以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る景品取得ゲーム装置について説明する。まず、図1〜図8等を用いて景品取得ゲーム装置1の概略的な構成及びその動作について説明し、その後、景品取得ゲーム装置1における、景品取得部4による押圧力を適宜設定することを可能とした構造について説明する。
なお、本明細書でいう「景品」とは、ゲームによってプレイヤが直接的に取得しうる品物(例えばヌイグルミ等)だけを意味するわけではない。例えば、ゲームでの取得対象として収容されている物品であって取得後に他の景品と交換可能な物品、さらには当該物品(景品)自体の提供は行わず得点や順位を競うために用いるもの等も「景品」に含めて考える。要は、ゲーム後にプレイヤの所有物になるかどうかに関わらず、取得部を移動・昇降させて取得対象となる物品はすべて本願明細書でいう「景品」に包含される。
<景品取得ゲーム装置の全体構成>
最初に、図1及び図2等を用いて、本実施形態に係る景品取得ゲーム装置1の全体の構成について説明する。
景品取得ゲーム装置1は、図1に示すように、直方体形状の基台2の上に、景品Pを収容するための箱型(あるいは円柱形状等であってもよい)の景品収容部3を備えた構造となっている。
景品収容部3は、図1に示すように、その内部に収容され底面(景品載置部)に載置された景品Pをプレイヤが目視することができるように前面5A及び側面5B,5Cが透明な樹脂又はガラスの板状部材から形成されている。また、景品収容部3の背面5Dは、例えば鏡面状の板状部材や内面に装飾が施された板状部材により形成されており、さらに、景品収容部3の前面5Aは、例えば引戸又は観音開き構造にて開閉可能となっている。景品取得ゲーム装置1の管理者(例えばサービス提供側ユーザ)は、この前面5Aから例えばキャラクタ等のぬいぐるみや雑貨等といった景品Pを景品収容部3内に収容し、取り出し、さらにはディスプレイ状態を変える(配置や傾き等といった状態を適宜変更する)ことができるようになっている。
景品収容部3内には、図1及び図2に示すように、景品Pを把持するための把持部6を備えた景品取得部4と、該景品取得部4をプレイヤの操作に応じて水平方向に移動させる手段としての移動装置7と、景品取得部4を昇降させる昇降装置37と、が設けられている。
把持部6は、景品取得部4の内部に設けられているモータ74(図6参照)の回転駆動力に基づいて開閉駆動する左右一対のアーム8を有し、これらアーム8を開閉させることによって景品Pを把持することができるように構成されている。アーム8には、それぞれの先端に爪部材8b(図6等参照)が取り付けられている。把持部6が設けられている景品取得部4は、移動装置7の動作によって景品収容部3内を移動するように構成されている。アーム8の把持力は、後述する把持力調整手段70(図6〜図8参照)により調整される。
移動装置7は、図2に示すように、景品収容部3の内部上方に横方向(側面5Bと側面5Cとを結ぶ方向であり、以下「X方向」と称することがある)と平行に固定配置された複数のX方向移動用固定レール9と、これらX方向移動用固定レール9にスライド自在に、かつ縦方向(前面5Aと背面5Dを結ぶ方向であり、以下「Y方向」と称することがある)と平行に取り付けられたY方向移動用可動レール10と、Y方向移動用可動レール10にスライド自在に取り付けられた景品取得用基台12と、景品取得用基台12の鉛直方向(以下「Z方向」と称することがある)下側に取り付けられた伸縮自在の支持部11と、を有する構造となっている。景品取得部4は、支持部11の下端部に取り付けられている。
Y方向移動用可動レール10は、X方向移動用モータ13Xの回転出力に基づきX方向移動用固定レール9に沿って横方向(X方向)に移動することができるように構成されている。また、景品取得用基台12は、Y方向移動用モータ13Yの回転出力基づきY方向移動用可動レール10に沿って縦方向(Y方向)に移動することができるように構成されている。また支持部11は、Z方向移動用モータ13Z(図3参照)の回転出力に基づいて伸縮することができるように構成されている。本実施形態に係る景品取得ゲーム装置1においては、以上のような構成のX方向移動用モータ13X、Y方向移動用モータ13Y及びZ方向移動用モータ13Zを適宜作動させることにより、景品取得部4を景品収容部3内の所望位置に移動させ得るようになっている。
また、基台2の前側には、図1に示すように、操作用卓であるコントロールパネル14が設けられている。コントロールパネル14には、ゲームを行う際にコインを投入するためのコイン投入口15と、ゲーム時にプレイヤが景品取得部4をX方向の所望位置に移動させる操作を入力するための第1の操作ボタン16Aと、その後プレイヤが景品取得部4をY方向の所望位置にまで移動させる操作を入力するための第2の操作ボタン16Bと、からなる操作部16(操作手段)が設けられている。操作部16は、ジョイステック等の他の操作手段により構成することも可能である。さらに、Z方向への移動を指示する第3の操作ボタンが操作部16に設けられてもよい。
さらに、基台2の前面側には、図1に示すように、景品収容部3内の所定位置に設けられた筒状の景品投入ガイド17に連通する景品の取出口18が設けられている。把持部6により把持された状態で搬送され、あるいは転がされて景品投入ガイド17内に落とされた景品Pは、取出口18から取り出し得るようになっている。また、基台2の前面側には、さらに開閉扉19が設けられており、この開閉扉19を開いた内側には、景品取得ゲーム装置1の全体を制御する後述の制御部30(図3参照)等を備えた、当該景品取得ゲーム装置1の内部構成(機能的構成)に対応するメインボードが収納されている。
なお、本実施形態に係る景品取得ゲーム装置1においては、景品取得部4の初期位置(ゲーム開始時及び終了時における景品取得部4のデフォルトの位置又はその近傍の位置)が景品投入ガイド17の上方の位置に設定されている。また、本実施形態においては、X軸、Y軸及びZ軸の原点(X方向、Y方向及びZ方向それぞれの座標が0となる位置)が景品取得部4の初期位置にあるものとする。
次に、図3等を用いて、本実施形態に係る景品取得ゲーム装置1の内部構成(機能的構成)について説明する。景品取得ゲーム装置1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)及び入出力ポート等によって構成された制御部30と、例えば不揮発性メモリからなる記憶部31と、現在時刻をカウントするタイマ32と、を有している。
制御部30からは、ゲーム中にプレイヤによりコントロールパネル14(図1参照)の操作部16(第1の操作ボタン16Aや第2の操作ボタン16B)が押圧されたときに、これに応じた操作信号S1(操作情報)が送出されるようになっている。
また、移動装置7には、景品取得部4のX方向の位置を検出するX方向位置検出手段、Y方向の位置を検出するY方向位置検出手段及びZ方向の位置を検出するZ方向位置検出手段として、景品取得部4のX方向、Y方向の原点位置及び移動限界位置、ならびにZ方向原点側の移動限界位置に各々配置されたリミットスイッチ33が設けられている。これらリミットスイッチ33は、景品取得部4が、X方向、Y方向の原点位置又はX方向、Y方向の移動限界位置、あるいはZ方向原点側の移動限界位置にまで移動したときに、これに応じた移動限界検出信号S2を制御部30に送出するようになっている。
制御部30は、これら操作信号S1及び移動限界検出信号S2に基づいて、プレイヤによる第1及び第2の操作ボタン16A,16Bの操作に応答したゲーム動作を景品取得ゲーム装置1に実行させることができるようになっている。ここで、本実施形態の制御部30は、第2の操作ボタン16Bが押圧されている時間を計測し、この第2の操作ボタン押圧時間が例えば1秒よりも大きいときには、景品取得用基台12をY方向移動用可動レール10に沿ってY方向原点側に移動させる時間を、押圧時間よりも1秒少ない時間に設定する。このように、制御部30は、把持部6が把持する景品Pが通常よりも大きな景品の場合に合わせて、景品取得用基台12をY方向移動用可動レール10に沿ってY方向原点側に移動させる時間を、押圧時間よりも例えば1秒少ない時間に設定することにより、把持部6により把持された景品Pが景品取得ゲーム装置1の前面5Aの内面に衝突して落下することを未然に防止することができるようになっている。また、制御部30は、第2の操作ボタン押圧時間が1秒以内のときには、景品取得用基台12をY方向移動用可動レール10に沿ってY方向原点側に移動させないように構成されている。さらに、本実施形態の制御部30は、操作部16から送出される操作信号S1に基づいて、把持部30の内部に設けられたモータ74(図6参照)を駆動制御することにより、左右一対のアーム8を開閉させて、把持部30に景品Pを把持させる動作を行わせる。
<景品取得ゲーム装置の動作>
続いて、図4及び図5に示すフローチャート等を用いて、本実施形態に係る景品取得ゲーム装置1の動作について説明する。
制御部30は、予め設定された1プレイ(あるいは例えば3プレイ)分の所定枚数のコインがコイン投入口15(図1参照)に投入されたことを認識すると、図4に示す景品取得ゲーム実行処理手順RT1をステップSP0において開始し、続くステップSP1において、コントロールパネル14の第1の操作ボタン16Aが押圧されるのを待ち受ける。
また、制御部30は、やがてプレイヤが第1の操作ボタン16Aを押圧したことを第1の操作ボタン16Aからの操作信号S1に基づいて認識すると、ステップSP2に進んで、移動装置7(図2参照)のX方向移動用モータ13Xを作動させ、初期状態において景品投入ガイド17(図1参照)の真上のホームポジション(原点)に位置していた景品取得部4のX方向における移動を開始させる。
次いで、制御部30は、ステップSP3に進んで、X方向のリミットスイッチ33からの移動限界検出信号S2に基づいて、景品取得部4がX方向の移動限界位置にまで移動し終えたか否かを判断する。また、制御部30は、続くステップSP4において、第1の操作ボタン16Aからの操作信号S1に基づいて、第1の操作ボタン16Aの押圧が解除されたか否かを判断する。そして制御部30は、これらステップSP3及びステップSP4においてともに否定結果を得ると、ステップSP3に戻る。
これに対し、制御部30は、ステップSP3又はステップSP4の何れかにおいて肯定結果を得ると、ステップSP5に進んで、移動装置7のX方向移動用モータ13Xを停止させて景品取得部4のX方向における移動を終了させ、この後ステップSP6に進んで、コントロールパネル14の第2の操作ボタン16Bが押圧されるのを待ち受ける。
そして、制御部30は、第2の操作ボタン16Bが押圧されたことを第2の操作ボタン16Bからの操作信号S1に基づいて認識すると、ステップSP8において、移動装置7のY方向移動用モータ13Yを作動させて景品取得部4のY方向における移動を開始させる。
この後、制御部30は、ステップSP9に進んで、Y方向のリミットスイッチ33からの移動限界検出信号S2に基づいて、景品取得部4がY方向の移動限界位置にまで移動し終えたか否かを判断する。また制御部30は、続くステップSP10において、第2の操作ボタン16Bからの操作信号S1に基づいて、第2の操作ボタン16Bの押圧が解除されたか否かを判断する。そして制御部30は、これらステップSP8及びステップSP9においてともに否定結果を得ると、ステップSP9に戻る。
これに対し、制御部30は、ステップSP9又はステップSP10の何れかにおいて肯定結果を得ると、ステップSP12において、移動装置7のY方向移動用モータ13Yを停止させて把持部6のY方向における移動を終了させる。
次いで、制御部30は、ステップSP13に進んで、把持部6のモータ74(図6参照)を作動させて、把持部6のアーム8を開かせる。そして、制御部30は、この後ステップSP14に進んで、移動装置7のZ方向移動用モータ13Z(図3参照)を作動させて景品取得部4の下降を開始させ、さらにこの後ステップSP15に進んで、景品取得部4がZ方向の移動限界位置にまで移動し終えるのを待ち受ける。
次いで、制御部30は、Z方向のスイッチとして機能する底付き検出装置43からの検出信号S3に基づき(図3参照)、景品取得部4がZ方向の移動限界位置にまで移動し終えたことを認識する(あるいは、後述するように景品取得部4が景品P等に作用させている荷重が所定の大きさとなるように制御する)と、ステップSP16に進んで、移動装置7のZ方向移動用モータ13Zを停止させて景品取得部4の下降を終了させる。この後、制御部30は、ステップSP17に進んで、把持部6のモータ74を作動させてアーム8を閉じさせることにより、景品Pを把持する動作を行わせる。
次いで、制御部30は、ステップSP18に進んで、移動装置7のZ方向移動用モータ13Zを作動させて景品取得部4の上昇を開始させ、この後ステップSP19に進んで、景品取得部4がZ方向原点側の移動限界位置にまで移動し終えるのを待ち受ける。そして、制御部30は、Z方向原点側のリミットスイッチ33からの移動限界検出信号S2に基づいて、把持部6がZ方向の移動限界位置にまで移動し終えたことを確認すると、ステップSP20に進んで、移動装置7のZ方向移動用モータ13Zを停止させて景品取得部4の上昇を終了させる。
次いで、制御部30は、ステップSP22に進んで、移動装置7のY方向移動用モータ13Yを作動させて景品取得部4のY方向原点側への移動を開始させる。
次いで、制御部30は、X方向原点側への移動を開始し(ステップSP24)、ステップSP26に進み、移動装置7のY方向移動用モータ13Yを停止させて景品取得部4のY方向原点側への移動を終了させる。
やがて、制御部30は、この後ステップSP29に進んで、X方向原点側のリミットスイッチ33からの移動限界検出信号S2に基づいて、景品取得部4がX方向の移動限界位置にまで移動し終えたか否かを判断する。そして制御部30は、このステップSP29において否定結果を得ると、景品取得部4がX方向原点側の移動限界位置にまで移動し終えるのを待ち受け、このステップSP29において肯定結果を得ると、ステップSP30に進み、移動装置7のX方向移動用モータ13Xを停止させて景品取得部4のX方向原点側への移動を終了させる。
次いで、制御部30は、ステップSP31に進んで、把持部6のモータ74を作動させてアーム8を開かせることにより景品Pの解放を実現させた後、再びモータ74を作動させてアーム8を閉じさせる。
この後、制御部30は、ステップSP32に進んで、移動装置7のY方向移動用モータ13Yを作動させて景品取得部4のY方向原点側への移動を開始させる。次いで、制御部30は、ステップSP33に進んで、Y方向原点側のリミットスイッチ33からの移動限界検出信号S2に基づいて、景品取得部4がY方向の移動限界位置にまで移動し終えたかを判断する。そして制御部30は、このステップSP33において否定結果を得ると、景品取得部4がY方向原点側の移動限界位置にまで移動し終えるのを待ち受け、やがてこのステップSP33において肯定結果を得ると、ステップSP34に進み、移動装置7のY方向移動用モータ13Yを停止させて景品取得部4のY方向原点側への移動を終了させる。
この結果、制御部30は、景品取得部4をX方向及びY方向の移動限界位置まで移動させ終えたこととなり、このことは景品投入ガイド17の真上のホームポジション(原点)に景品取得部4を位置させたことを示している。この後、制御部30は、ステップSP35に進んでこの景品取得ゲーム実行処理手順RT1を終了する。
かくして、本実施形態に係る景品取得ゲーム装置1においては、把持部6のアーム8によって景品Pを把持する(景品Pの一部を引っ掛けて持ち上げるような場合を含む)ことができた場合に、景品Pを把持した状態で景品投入ガイド17上にまで運び、その後景品Pの解放動作を実現させて景品投入ガイド17内に景品Pを落下させることができる。あるいは、把持部6のアーム8によって景品Pを把持することができなくても、当該景品Pを転がしたりずらしたりして景品投入ガイド17内に落下させることも可能である。この結果、プレイヤは景品Pを景品取出口18から取り出して取得することができる。
<景品Pに及ぼす押圧力の制御(1)>
次に、図9〜図16を用いて、本実施形態に係る景品取得ゲーム装置1の構成について説明する。本実施形態では、景品取得部4によって景品Pを積極的に下方へと押圧する際、押圧力を適宜設定することを可能とし、ひいては景品投入ガイド17の景品落し口17aに景品Pを引っ掛けておくといったように多様化するレイアウトにも対応した動作を行い得るようにしている。
ここで、まず、景品取得部4を支持しつつ昇降させるための支持部11等の構成について説明する(図9等参照)。
支持部11は、複数個のパイプを入子式に嵌合させてなる伸縮管として構成されている。この伸縮管は、順次小径となる4本のパイプ11a,11b,11c,11dを入子式に摺動自在に嵌合させたものである(図9参照)。最下位のパイプ11dの下端には、カプラ35のボス35aが嵌入固定されている。このカプラ35の先には、ブラケット36を介して景品取得部4が連結されている(図6参照)。
また、景品取得部4を上下に昇降させるための昇降手段としての昇降装置37は、景品取得用基台12に搭載された巻取り巻戻し装置39と、この巻取り巻戻し装置39によって巻き取られるワイヤ40とからなり、ワイヤ40は、支持部11の内側を通過するようになっている(図9参照)。また、巻取り巻戻し装置39は、ワイヤモータ41と、ワイヤ巻取りプーリ42と、底付き検出装置43とを含む構成となっている。
底付き検出装置43は、景品取得部4が下降して景品Pや景品収容部3の底に衝突した際、ワイヤ40のテンションの変化(例えば弛みが生じた際の引張り力の減少)に基づき当該景品取得部4が底付き状態になったこと、および当該景品取得部4が景品P等に及ぼしている荷重の大きさを検出する装置である。例えば本実施形態における底付き検出装置43は、支軸46を中心として揺動可能な揺動アーム47と、該揺動アーム47の自由端に回転可能に支持されているテンションプーリ45と、該テンションプーリ45をワイヤ40に押し付けるように揺動アーム47を付勢するコイルばね(トーションばね)48と、テンション検出用ギア49と、ピニオンギア50と、ボリューム51とを含む構成となっている(図12等参照)。
ワイヤ40は、ワイヤ巻取りプーリ42から繰り出され、テンションプーリ45の一側を通過してから支持部11の内側に導入され、パイプ11dの出口端のところでパイプ内を上下動可能な円柱状のコネクタ63に結合されている。このコネクタ63は、中心に受け孔63aを有し、この受け孔63aの中にスイッチ作動子61を下端に固着した心棒62の上端が結合されている(図9参照)。なお、図中符号64はモータ74に給電するケーブルである。
テンション検出用ギア49は揺動アーム47の一部(例えば本実施形態であればテンションプーリ45とは支軸46を挟んで反対の側)に形成された例えば円弧形状の歯車からなる(図12等参照)。このテンション検出用ギア49が噛合するピニオンギア50は、ボリューム51の回転軸に取り付けられている。
ボリューム51は、被検出部材たるテンション検出用ギア49の動作を検出する部材である。例えば本実施形態では、上述したような構成によりテンション検出用ギア49の動作をピニオンギア50の回転に変換し、エンコードされた回転量をボリューム51によって検出し、電気信号に変換して出力するようにしている。
本実施形態における昇降装置37はこのように構成されているから、所望の景品Pの直上に景品取得部4を位置させた後、ワイヤモータ41を駆動し、ワイヤ巻取りプーリ42上のワイヤ40を送り出すと、支持部11が下方に向かって伸び、景品取得部4が景品Pに向かって下降し接近する。そして、把持部6のアーム8(または景品取得部4の底部)が景品Pに当接して下降が停止(あるいは減速)すると、巻取り巻戻し装置39がワイヤ40をさらに送り出した分だけ当該ワイヤ40のテンションがなくなり弛みが生じる。そうすると、コイルばね48が揺動アーム47を一方向(例えば図13中では反時計回り)に揺動させ、テンションプーリ45をワイヤ40に押し付ける(図13、図14参照)。このとき、テンション検出ギア46が揺動アーム47の動きに連動し、ピニオンギア50を回転させる(図14参照)。ボリューム51は、当該ピニオンギア50の回転量を検出し、テンション検出ギア46および揺動アーム47の動きの量、ひいてはワイヤ40の弛みの量を検出する。かかる検出結果に基づけば、ワイヤ40のテンションの大きさを測定することができる。
以上により、本実施形態の景品取得ゲーム装置1においては、ワイヤ40の弛みを利用し、景品取得部4が景品P(あるいは景品収容部3の底面(景品載置部))に及ぼしている荷重の大きさを検出することが可能である。さらに本実施形態においては、このようにして検出した結果に基づき、景品取得部4が景品P等に及ぼしている荷重を制御部30によって制御する。こうした場合、例えば景品投入ガイド17の景品落し口にレイアウトされている景品Pに対する荷重の大きさを適宜変化させ、景品取得率(いわゆるペイアウト率)を適宜変化させることが可能である。また、以上のような荷重制御により景品取得ゲームの興趣性を適宜変化させ、プレイヤの興味をさらに惹き付けることも可能である。
ここで、景品取得部4による景品Pに対する荷重の大きさ(以下、押込み力ともいう)の制御例をフローを用いて説明する(図15、図16参照)。以下に示す制御においては、ワイヤ40のテンションを上述したボリューム51で検出して押込み力を調整する。
まず押込み力を最大にする場合の制御例を示す(図15参照)。景品取得ゲームの開始後(ステップSP41)、操作部16(第1の操作ボタン16A、第2の操作ボタン16B)を用いてプレイヤが景品取得部4をX方向およびY方向に移動させたら(ステップSP42)、底付き検出装置43を用いてワイヤ40に作用しているテンションの大きさを測定し、記憶部31に記憶する(ステップSP43)。
続いて、本実施形態においてはワイヤモータ41を通常時(ここでいう通常時とは、押込み力を大きくする必要がない時)よりも高速回転させて景品取得部4を下降させる(ステップSP44)。景品取得部4の下降時、下降速度が速いほど運動エネルギー(E=mv2/2)が増大し、景品Pに対する押込み力が大きくなる。下降した景品取得部4が景品Pに接触したら(ステップSP45)、底付き検出装置43によってワイヤ40のテンション変化を検出する(ステップSP46)。その後、ワイヤ40を完全に弛ませ、景品取得部4の荷重による押込み力を景品Pに作用させる(ステップSP47)。
ここで、把持動作前、荷重を受けて景品Pが下に動いた場合、具体例を挙げれば景品投入ガイド17の景品落し口に引っ掛かった状態でレイアウトされていた景品Pが荷重を受けて当該景品落し口から落下したような場合(ステップSP48にてYES)、ワイヤ40のテンションの変化を底付き検出装置43で再び検出し(ステップSP46)、再度、ワイヤ40を完全に弛ませる(ステップSP47)。その後、景品Pの下方への動きがないかどうかを再度確認し(ステップSP48)、動きがなければ把持部6による把持動作を行う(ステップSP50)。押込み力を最大にするための制御はここまでであり(ステップSP51)、その後の把持部6および景品取得部4の動作制御は押込み力制御を行わない場合と同様である。
なお、ワイヤモータ41の回転速度、ワイヤ40のテンションはそれぞれステップSP44、ステップSP47にて調整することが可能であり、最小値と最大値の間でこれらを適宜調整することによって景品取得率(ペイアウト率)を変化させることが可能である。
次に、押込み力を最小にする場合の制御例を示す(図16参照)。景品取得ゲームの開始後(ステップSP61)、操作部16(第1の操作ボタン16A、第2の操作ボタン16B)を用いてプレイヤが景品取得部4をX方向およびY方向に移動させたら(ステップSP62)、底付き検出装置43を用いてワイヤ40に作用しているテンションの大きさを測定し、記憶部31に記憶する(ステップSP63)。ここまでは上述した制御例と同様である。
続いて、本実施形態においてはワイヤモータ41を通常時(ここでいう通常時とは、押込み力を小さくする必要がない時)よりも低速回転させて景品取得部4を下降させる(ステップSP64)。景品取得部4の下降時、下降速度が遅いほど運動エネルギー(E=mv2/2)が減少し、景品Pに対する押込み力が小さくなる。下降した景品取得部4が景品Pに接触したら(ステップSP65)、底付き検出装置43によってワイヤ40のテンション変化を検出する(ステップSP66)。その後、ここではワイヤモータ41を停止し、ワイヤ40の送り出し動作を止めてから把持動作へと移行する(ステップSP67)。こうした場合、景品取得部4の重量で景品Pを押し込む際の量(押込み量)が、ワイヤ40の弛み分のみに抑えられることになる。また、このようにして押込み力を最小にする制御の場合、ワイヤモータ41を低速回転させて景品取得部4の下降速度を低くしているため、ワイヤ40の弛みが検出されてから景品取得部4が停止するまでの当該景品取得部4の下降量が少なくなる。押込み力を最小にするための制御はここまでであり(ステップSP68)、その後の把持部6および景品取得部4の動作制御は押込み力制御を行わない場合と同様である。
<景品Pに及ぼす押圧力の制御(2)>
図17〜図19を用いて、景品Pに及ぼす押圧力の別の制御例を説明する。
本実施形態の場合、ワイヤ40の送り出し量を検出する送り出し量検出手段52を備え、景品取得部4が景品Pや景品収容部3の底に衝突したことを底付き検出装置43’によって検出した後、送り出し量検出手段52による検出結果に基づき、制御部30が、景品Pに及ぼす景品取得部4の荷重を制御することとしている。
送り出し量検出手段52の具体的な構成は特に限定されるものではないが、本実施形態では、ワイヤ巻取りプーリ42と同軸に設けられて同量回転するエンコーダ52aと、このエンコーダ52aの回転量を検出してワイヤ巻取りプーリ42の回転角度を認識するプーリ回転角度認識センサ52bとで送り出し量検出手段52を構成している(図17参照)。エンコーダ52aは、等間隔に形成されたスリットを有する円板からなる。プーリ回転角度認識センサ52bは、円板上のスリットを通過する光を利用して回転量を検出する光学的なセンサである。
底付き検出装置43’は、景品取得部4が景品Pや景品収容部3の底に衝突したことを検出する装置である。上述した実施形態ではワイヤ40の弛み量までも検出するべくテンション検出ギア49やボリューム51等を利用してリニアな変化量を検出できるようにしたが(図12等参照)、本実施形態の場合には景品取得部4が底付き状態となったことを検出すれば足り、あとは上述の送り出し量検出手段52を利用してワイヤ40を適宜量送り出すという制御を行うこととしている。このような底付き検出手段43’は、例えば、底付き状態となったときに揺動する揺動アーム47の動きを検出する図示していないスイッチ作動子やリミットスイッチなどで構成することができる。
また、本実施形態のワイヤ巻取りプーリ42およびエンコーダ52aは、回転軸が異なるワイヤモータ41により、ウォームギア53およびウォームホイール54を介して駆動される構成となっている(図17参照)。ただしこれは一例にすぎず、上述した実施形態のごとくワイヤモータ41の回転軸上にワイヤ巻取りプーリ42を配した構成としても構わない(図12参照)。
本実施形態における昇降装置37はこのように構成されているから、所望の景品Pの直上に景品取得部4を位置させた後、ワイヤモータ41を駆動し、ワイヤ巻取りプーリ42上のワイヤ40を送り出すと、支持部11が下方に向かって伸び、景品取得部4が景品Pに向かって下降し接近する。そして、把持部6のアーム8(または景品取得部4の底部)が景品Pに当接して下降が停止(あるいは減速)すると、巻取り巻戻し装置39がワイヤ40をさらに送り出した分だけ当該ワイヤ40のテンションがなくなり弛みが生じる。そうすると、コイルばね48が揺動アーム47を一方向に揺動させ、テンションプーリ45をワイヤ40に押し付ける(図17参照)。このとき、上述の底付き検出装置43’が底付き状態となったことを検出する。この後は、プーリ回転角度認識センサ52bにより認識したワイヤ巻取りプーリ42の回転角度に基づき、制御部30によって当該ワイヤ巻取りプーリ42を所定量回転させ、ワイヤ40を所定量弛ませ、当該ワイヤ40の弛み分に応じた量だけ景品Pに押込み力を作用させることができる。以上により、本実施形態においては、景品取得部4が景品P等に及ぼしている荷重を制御部30によって制御することが可能であり、例えば景品投入ガイド17の景品落し口にレイアウトされている景品Pに対する荷重の大きさを適宜変化させ、景品取得率(いわゆるペイアウト率)を適宜変化させることが可能である。
ここで、景品取得部4による押込み力の制御例をフローを用いて説明する(図18、図19参照)。以下に示す制御においては、ワイヤ40の送り出し量で押込み力を調整する。
まず押込み力を最大にする場合の制御例を示す(図18参照)。景品取得ゲームの開始後(ステップSP71)、操作部16(第1の操作ボタン16A、第2の操作ボタン16B)を用いてプレイヤが景品取得部4をX方向およびY方向に移動させたら(ステップSP72)、ワイヤモータ41を通常時(ここでいう通常時とは、押込み力を大きくする必要がない時)よりも高速回転させて景品取得部4を下降させる(ステップSP73)。景品取得部4の下降時、下降速度が速いほど運動エネルギーが増大し、景品Pに対する押込み力が大きくなる。下降した景品取得部4が景品Pに接触したら(ステップSP74)、ワイヤ40のテンションが変化し、底付き状態となったことを底付き検出装置43’のセンサ(例えばリミットスイッチ等)によって検出する(ステップSP75)。その後はワイヤモータ41をさらに駆動してワイヤ巻取りプーリ42を回転させ、完全に弛む程度までワイヤ40を送り出す(ステップSP76)。これにより、景品取得部4の荷重による押込み力を景品Pに作用させ続けることができる。
ここで、把持動作前、荷重を受けて景品Pが下に動いた場合、具体例を挙げれば景品投入ガイド17の景品落し口に引っ掛かった状態でレイアウトされていた景品Pが荷重を受けて当該景品落し口から落下したような場合(ステップSP77にてYES)、ワイヤ40にテンションが作用しているかどうかを底付き検出装置43’で検出したうえで(ステップSP75)、再度、完全に弛む程度までワイヤ40を送り出す(ステップSP76)。その後、景品Pの下方への動きがないかどうかを再度確認し(ステップSP77)、動きがなければ把持部6による把持動作を行う(ステップSP79)。押込み力を最大にするための制御はここまでであり(ステップSP80)、その後の把持部6および景品取得部4の動作制御は押込み力制御を行わない場合と同様である。
なお、ワイヤモータ41の回転速度はステップSP73にて調整することが可能であり、最小値と最大値の間でこれらを適宜調整することによって景品取得率(ペイアウト率)を変化させることが可能である。
次に、押込み力を最小にする場合の制御例を示す(図19参照)。景品取得ゲームの開始後(ステップSP81)、操作部16(第1の操作ボタン16A、第2の操作ボタン16B)を用いてプレイヤが景品取得部4をX方向およびY方向に移動させたら(ステップSP82)、ワイヤモータ41を通常時(ここでいう通常時とは、押込み力を小さくする必要がない時)よりも低速回転させて景品取得部4を下降させる(ステップSP83)。景品取得部4の下降時、下降速度が遅いほど運動エネルギーが減少し、景品Pに対する押込み力が小さくなる。下降した景品取得部4が景品Pに接触したら(ステップSP84)、ワイヤ40のテンションが変化し、底付き状態となったことを底付き検出装置43’のセンサ(例えばリミットスイッチ等)によって検出する(ステップSP85)。その後、ここではワイヤモータ41を停止し、ワイヤ40の送り出し動作を止めてから把持動作へと移行する(ステップSP86)。こうした場合、景品取得部4の重量で景品Pを押し込む際の量(押込み量)が、ワイヤ40の弛み分のみに抑えられることになる。また、このようにして押込み力を最小にする制御の場合、ワイヤモータ41を低速回転させて景品取得部4の下降速度を低くしているため、ワイヤ40の弛みが検出されてから景品取得部4が停止するまでの当該景品取得部4の下降量が少なくなる。押込み力を最小にするための制御はここまでであり(ステップSP87)、その後の把持部6および景品取得部4の動作制御は押込み力制御を行わない場合と同様である。
なお、ここまで説明した第2の実施形態においては、底付き検出手段43’は景品取得部4が底付き状態となったことを検出するものであれば足りるとして説明したが、かかる底付き検出手段が、第1の実施形態で説明したようなワイヤ40の弛み量までも検出するものであってもよいことはいうまでもない。このような構成の場合には、当該ワイヤ40の弛み量およびそこから得られるテンションの大きさを把握しつつワイヤ40の送り出し量を調整することが可能である。
<景品取得部の昇降速度の制御>
次に、景品取得部4の昇降速度の制御例について説明する(図20〜図22参照)。
本実施形態では、景品収容部3内での景品取得部4の昇降速度を調整可能としている。例えば本実施形態の景品取得ゲーム装置1は、上述のように景品取得部4を吊設するワイヤ(吊設部材)40と、ワイヤ40を巻き取りまたは送り出す巻取り巻戻し装置39と、この巻取り巻戻し装置39を駆動する動力源たるワイヤモータ41とを備えており(図12等参照)、ワイヤモータ41による巻取り巻戻し装置39の駆動速度を制御手段30により制御し、これによって景品取得部4の昇降速度を調整する。このような景品取得ゲーム装置1においては、例えば景品Pの取得動作(把持部6による把持動作)を通常の速度で行った後、ワイヤモータ41による巻取り巻戻し装置39の駆動速度を上げ、通常よりも速い速度で景品取得部4を上昇させるといった動作を行うことが可能である。ワイヤモータ41としては例えばDCモータが用いられる。
以下、景品取得部4の昇降速度制御の具体例を説明する。例えば上述したように景品落し口17aに引っ掛かった状態の景品Pは、実際には適度に外力を与えないと簡単には落とせない状態のレイアウトとなっている場合がある。このような場合においては、景品取得部4の下降速度を、少なくとも当該景品取得部4が景品Pに当接する時点で通常よりも速くなるように制御することが可能である。こうした場合、通常よりも大きな慣性を利用して当該景品Pを押し込み、景品落し口17aから落下させて取得しやすくすることができるから、ワイヤ40を単純に弛めてテンションを0にしたときよりも強い押し込み力を与えることが可能である。あるいは、景品収容部3内にて景品Pが重なり合っているとき、景品取得部4の下降速度を速くし、これら景品Pの間の隙間にアーム8を押し込むようにしてさらに奥まで滑り込ませ、当該景品Pを取得しやすくすることもできる。ここでは一例を説明したにすぎないが、このように景品取得部4の昇降速度を適宜変化させることとすれば、多様化するレイアウトに応じて種々の動作を行わせることが可能である。
以下に具体例を示して説明する(図21参照)。ゲーム開始後(ステップSP101)、プレイヤによる操作部16からのXY方向移動操作入力を制御部30が受け付けたら(ステップSP102)、Z方向移動用モータ13Zを中速回転し、景品取得部4を中速にて下降させる(ステップSP103)。ここでいう中速とは、さらに速くも遅くもできる通常時における速度あるいはこれに近い速度のことである。また、測距センサ44で、当該景品取得部4の真下に位置する景品Pまたは景品収容部3の底面までの距離を測定する(ステップSP104)。
次に、景品取得部4による「押込み力の難易度」を確認ないし設定する(ステップSP105)。押込み力の難易度は、例えば景品取得ゲーム装置1の管理者(サービス提供側ユーザ等)によるペイアウト率の設定状況に対応するものであり、本実施形態の場合には、ペイアウト率が低い(景品Pを取得し難い)ことに応じて押込み力難易度を高くするという制御を実施する、より具体的には、まずZ方向移動用モータ13Zを低速回転して景品取得部4を低速にて下降させる(ステップSP106)。こうした場合、景品取得部4の慣性は通常よりも小さなものとなるから、景品Pを景品落し口17aから落下させることが困難である。動作後、ワイヤ40のテンションが減少したことを検出したら景品取得部4が景品P(あるいは景品収容部3の底面)に接触して底付き状態となったと判断し(ステップSP107)、把持動作に移行する(ステップSP114)。この後、一連の処理が終了するまで通常の動作(通常の速度で行う動作)を行う(ステップSP115)。
また、ペイアウト率が中ぐらいに設定されている場合には、上述と同様の制御により「押込み力の難易度」を中に設定して動作を行わせる。具体的には、Z方向移動用モータ13Zを中速回転して景品取得部4を中速にて下降させる(ステップSP108)。こうした場合、景品取得部4の慣性は通常と同程度であり、景品Pを景品落し口17aから落下させることの困難さも中程度である。動作後、ワイヤ40のテンションが減少したことを検出したら景品取得部4が景品P(あるいは景品収容部3の底面)に接触して底付き状態となったと判断し(ステップSP109)、把持動作に移行する(ステップSP114)。この後、一連の処理が終了するまで通常の動作(通常の速度で行う動作)を行う(ステップSP115)。
一方、ペイアウト率が高い(景品Pを取得しやすい)場合には、「押込み力の難易度」を低く設定して動作を行わせる。具体的には、Z方向移動用モータ13Zを高速回転して景品取得部4を高速にて下降させる(ステップSP110)。こうした場合、景品取得部4の慣性は通常よりも大きいからその分だけ景品Pを景品落し口17aから落下させやすくなる。動作後、ワイヤ40のテンションが減少したことを検出したら(ステップSP111)、ワイヤ40が完全に弛んだ状態となるよう更に当該ワイヤ40を送り出す(ステップSP112)。このとき、ワイヤテンションが増大したら(ステップSP113にてYES)、押込み力を受けた景品Pが下に動いたと判断し、ステップ111に戻り、ワイヤテンションが減少したかどうかの検出、およびワイヤ40の送り出しを繰り返す(図21参照)。一方、ワイヤ40を送り出したときワイヤテンションが増大しなければ(ステップSP113にてNO)、把持動作に移行する(ステップSP114)。この後、一連の処理が終了するまで通常の動作(通常の速度で行う動作)を行う(ステップSP115)。
また、景品取得部4が景品Pに対する取得動作(把持動作)を終了した後、上昇する際に当該上昇速度を通常時よりも速くなるように制御することもできる。こうした場合、景品取得部4が把持等している景品Pが、当該衝撃や加速度の影響により上昇途中で落下する可能性が高くなり、結果として惜しくも景品Pが取得できなかったという動作を演出することが可能である。また、このような動作を行う場合には、把持部6による景品Pの取得動作は通常と同様の速さで行い、取得動作後の景品取得部4の加速動作を滑らかに行うようにすれば、プレイヤに悟られないように、すなわちプレイヤのゲームへの興趣を損なわないようにしつつ景品Pの取得を困難にしてペイアウト率を意図的に低下させるという新たな態様を実現することができる。本実施形態では、景品取得部4が景品Pを取得した状態(例えば把持した状態)となっていることを測距センサ44によって検出したとき、該検出結果に基づき、当該景品取得部4の上昇速度を上げるように制御している。本実施形態におけるこの制御は、景品取得部4が景品収容部3の底面(景品載置部)の上方に位置している時(景品取得時)に行われる。
この場合における景品取得部4の上昇速度の制御の具体例は種々あるが、例示すれば、該景品取得部4の昇降ストロークのうち上半分側での最高速度が下半分側での最高速度を上回るようにすることが挙げられる。例えば、昇降ストロークの略中間地点まではある速度を上限として上昇し、この地点を過ぎた後に上昇速度をさらに上げれば、上昇過程の後半にて所定の加速度を作用させることができる。ただし、ここで説明したのは好適な制御の一例に過ぎず、要は、景品取得部4に対し、景品Pを保持し切れずに落下させてしまう程度の加速度(あるいは急制動、ないしは衝撃)を与えるような制御を行うものであれば好適である。この場合の当該制御は、プレイヤに悟られることのないよう円滑な動作を前提とするものであることが望ましい。
さらに、景品取得部4の上昇速度を、少なくとも当該景品取得部4が昇降ストロークの上端に到達する直前の時点において通常(例えば、景品Pを把持していない場合の上昇速度)より速くなるように制御することもできる。昇降ストロークの上端にて停止する直前の速度が通常よりも速ければ、当該ストローク上端付近での慣性が大きくなるから停止動作が急となり、当該景品取得部4自体が受ける衝撃の大きさあるいは加速度(この場合、マイナスの加速度)がこれまでよりも大きなものとなる。例えば本実施形態の景品取得ゲーム装置1の場合、把持部6は、景品Pの取得動作後に上昇し、上昇しきると停止してXY方向への水平移動へと移行するが、当該上昇しきって停止する際、上昇速度が速ければ速いほど慣性が大きくなり、景品Pが落ちやすくなる。したがってストローク上端付近での上昇速度を制御することによっても景品Pのペイアウト率を調整することが可能である。
さらに、景品取得部4による景品Pの取得動作中、景品Pを取得したことだけでなく、景品Pの落下も検出し、景品Pが落下するまで速度を上げる(あるいは高速を維持する)等の制御を行うことも好ましい。例えば本実施形態では、景品取得部4のアーム8によって把持されていた景品Pが取得動作の途中で落下した場合には当該時点まで、つまり、景品Pが途中で落下したことを測距センサ44が検出するまで、景品取得部4の上昇速度を上げる制御を行うこととしている。換言すれば、景品取得部4が景品Pをいったん取得した状態(例えばアーム8によって把持した状態)になった後、上昇中に当該景品Pが落下して取得状態ではなくなったことを検出したら、その時点で景品取得部4の上昇速度制御を終了させる。これによれば、当該景品Pのペイアウト率の調整をプレイヤに悟られないようにする効果を高めることが可能である。この場合、落下検出時点で上昇速度が既にある程度高速になっていれば、そこから円滑に減速し、通常の一定速度(例えば、景品Pを把持していない場合の上昇速度)にて上端まで上昇させることとしてもよい。また、アーム8の取得動作を通常と同様の速さで行い、尚かつ景品取得部4の加速動作を滑らかに行えば、プレイヤに悟られないようにしつつ景品Pのペイアウト率を調整する新たな態様を実現することができる。
以下に具体例を示して説明する(図22参照)。ゲーム開始後(ステップSP121)、景品取得部4をXY方向に移動させ(ステップSP122)、次に下降させ(ステップSP123)、アーム8の把持動作を行わせる(ステップSP124)。
この後、景品取得部4による「上昇時の難易度」を確認ないし設定する(ステップSP125)。上昇時の難易度は、例えば景品取得ゲーム装置1の管理者(サービス提供側ユーザ等)が事前に設定した難易度の設定状況に応じて設定されるものであってもよいし、あるいは、ペイアウト率が目標ペイアウト率に近付くように自動的に設定されるものであってもよい。本実施形態では、例えばペイアウト率が高い(景品Pを取得しやすい)あるいは高くする必要がある場合には上昇時難易度を低くするという制御を実施することとし、Z方向移動用モータ13Zを低速回転して景品取得部4を低速にて上昇させる(ステップSP126)。このとき、景品取得部4が景品Pを把持しているかどうかを判断し(ステップSP127)、把持していなければ当該景品取得部4を中速にて最上部(昇降ストロークの上端)まで上昇させ(ステップSP131)、通常と同様の動作を行わせてゲームを終了させる(ステップSP148)。一方、景品Pを把持していれば、当該景品取得部4が昇降ストロークの半分以上上昇したかどうか判断する(ステップSP128)。半分以上上昇していなければステップSP126に戻り低速での上昇を継続する一方(ステップSP128にてNO)、半分に達していればステップSP136にて再度「上昇時の難易度」を確認ないし設定する(ステップSP136)。
また、ステップSP125にて上昇時難易度が中であれば、Z方向移動用モータ13Zを中速回転して景品取得部4を中速にて上昇させる(ステップSP129)。ここでいう中速とは、さらに速くも遅くもできる通常時における速度あるいはこれに近い速度のことである。このとき、景品取得部4が景品Pを把持しているかどうかを判断し(ステップSP130)、把持していなければ当該景品取得部4を中速のまま最上部(昇降ストロークの上端)まで上昇させ(ステップSP131)、通常と同様の動作を行わせてゲームを終了させる(ステップSP148)。一方、景品Pを把持していれば、当該景品取得部4が昇降ストロークの半分以上上昇したかどうか判断する(ステップSP132)。半分以上上昇していなければステップSP129に戻り中速での上昇を継続する一方(ステップSP132にてNO)、半分に達していればステップSP136にて再度「上昇時の難易度」を確認ないし設定する(ステップSP136)。
一方、ステップSP125にて上昇時難易度が高であれば、Z方向移動用モータ13Zを高速回転して景品取得部4を高速にて上昇させる(ステップSP133)。このとき、景品取得部4が景品Pを把持しているかどうかを判断し(ステップSP134)、把持していなければ当該景品取得部4を中速にて最上部(昇降ストロークの上端)まで上昇させ(ステップSP131)、通常と同様の動作を行わせてゲームを終了させる(ステップSP148)。一方、景品Pを把持していれば、当該景品取得部4が昇降ストロークの半分以上上昇したかどうか判断する(ステップSP135)。半分以上上昇していなければステップSP133に戻り高速での上昇を継続する一方(ステップSP135にてNO)、半分に達していればステップSP136にて再度「上昇時の難易度」を確認ないし設定する(ステップSP136)。
また、本実施形態では、上述した上昇時難易度の高低に関わらず、景品取得部4が景品Pを把持した状態で昇降ストロークの半分以上を上昇した場合には、再度「上昇時難易度」を確認ないし設定し(ステップSP136)、上述のものに近似したフローに沿って再動作する。すなわち、本実施形態では景品取得部4の上昇時、昇降ストロークの前半(下半分)と後半(上半分)とでそれぞれ上昇時難易度の確認ないし設定、および上昇時難易度に沿った動作を計2度行われるという制御を行う。
具体的には、ステップSP136にて景品取得部4による「上昇時の難易度」を確認ないし設定する。例えばペイアウト率が高い(景品Pを取得しやすい)あるいは高くする必要がある場合には上昇時難易度を低くするという制御を実施することとし、Z方向移動用モータ13Zを低速回転して景品取得部4を低速にて上昇させる(ステップSP137)。このとき、景品取得部4が景品Pを把持しているかどうかを判断し(ステップSP138)、把持していなければ当該景品取得部4を中速にて最上部(昇降ストロークの上端)まで上昇させ(ステップSP142)、通常と同様の動作を行わせてゲームを終了する(ステップSP148)。一方、景品Pを把持していれば、当該景品取得部4が昇降ストロークの最上部まで上昇したかどうか判断する(ステップSP139)。最上部まで上昇していなければステップSP137に戻り低速での上昇を継続する一方(ステップSP139にてNO)、最上部まで達していれば上昇を停止し(ステップSP147)、その後は通常と同様の動作を行わせてゲームを終了する(ステップSP148)。
また、ステップSP136にて上昇時難易度が中であれば、Z方向移動用モータ13Zを中速回転して景品取得部4を中速にて上昇させる(ステップSP140)。ここでいう中速とは、さらに速くも遅くもできる通常時における速度あるいはこれに近い速度である。このとき、景品取得部4が景品Pを把持しているかどうかを判断し(ステップSP141)、把持していなければ当該景品取得部4を中速のまま最上部(昇降ストロークの上端)まで上昇させ(ステップSP142)、通常と同様の動作を行わせてゲームを終了する(ステップSP148)。一方、景品Pを把持していれば、当該景品取得部4が昇降ストロークの最上部まで上昇したかどうか判断する(ステップSP143)。最上部まで上昇していなければステップSP140に戻り中速での上昇を継続する一方(ステップSP143にてNO)、最上部まで達していれば上昇を停止し(ステップSP147)、その後は通常と同様の動作を行わせてゲームを終了する(ステップSP148)。
一方、ステップSP136にて上昇時難易度が高であれば、Z方向移動用モータ13Zを高速回転して景品取得部4を高速にて上昇させる(ステップSP144)。このとき、景品取得部4が景品Pを把持しているかどうかを判断し(ステップSP145)、把持していなければ当該景品取得部4を中速にて最上部(昇降ストロークの上端)まで上昇させ(ステップSP142)、通常と同様の動作を行わせてゲームを終了する(ステップSP148)。一方、景品Pを把持していれば、当該景品取得部4が昇降ストロークの最上部まで上昇したかどうか判断する(ステップSP146)。最上部まで上昇していなければステップSP144に戻り高速での上昇を継続する一方(ステップSP146にてNO)、最上部まで達していれば上昇を停止し(ステップSP147)、その後は通常と同様の動作を行わせてゲームを終了する(ステップSP148)。
なお、本実施形態では、上述したように、景品取得部4の上昇時、昇降ストロークの前半(下半分)と後半(上半分)とで上昇時難易度の確認ないし設定をいわば2段階で行うこととしている。この場合、「上昇時の難易度」が前半と後半とで同じであってももちろん構わないが、異ならせることも可能である。異ならせる場合の具体例を示せば、(1)前半は低速で上昇させ(難易度低)、後半は高速で上昇(難易度高)させて最上部にて高速停止させる(2)前半は高速で上昇させ(難易度高)、後半は低中高のいずれかの速度で上昇させる(3)前半は低中高のいずれかの速度で上昇させ、後半は低速で上昇させる(難易度低)等が挙げられる。(1)の例は、いったんは景品Pを持ち上げたものの、最上部にて落としやすくすることによって難易度を調整する例として好適である。(2)の例は、数回のプレイによって景品Pを景品落し口17aまで少しずつ移動させる態様(例えば景品Pが比較的大きいため、持ち上げて一気に運ぶよりも数回に分けて少しずつ運ぶ方が効率的な態様)の場合における状態態様の一例として好適である。また、(3)の例は、掴みにくい形状、バランスの悪い構造といった、もともと持ち上げるのが難しい景品Pに対する態様(景品Pを把持するのが難しいため、把持した後はできるだけ落とさないようにする態様)の一例として好適である。本実施形態にて説明したごとき上昇速度制御は、プレイヤに違和感を与えることなく難易度やペイアウト率を一連の動作の中で変化させうるという点で特徴的なものである。また、上記具体例のごとく前半と後半とで上昇速度を異ならせる場合には、景品取得ゲーム装置1の管理者(サービス提供側ユーザ等)が予め設定を決めておき、当該設定内容に従うことが好適である。
このような景品取得ゲーム装置1においては、測距センサ44を利用して、景品取得部4から景品収容部3内の景品Pまたは当該景品収容部3の底部までの距離を計測することが可能である。測距センサ44は例えば景品取得部4の底部等に配置されており(図10参照)、検出信号を制御部30に送信する(図3参照)。なお、本実施形態における測距センサ44は近接センサの好適な一例にすぎない。本明細書でいう近接センサとは、景品取得部4が当該景品取得部4の真下に位置する景品Pまたは景品収容部3の底面に対して所定距離以内に近づいたか否かを、例えば光、赤外線、音波等を利用して非接触で検出するセンサである。したがって対象部材が所定距離以内に近接したことを検出しうるセンサであれば種別が特に限定されることはなく、特に詳しく図示しないが、例えば発光素子、受光素子、信号処理回路等を一体化した光センサ、あるいは超音波の反射を利用する超音波センサ等、普及型のセンサ等を測距センサ44として用いることができる。
また、景品取得部4の昇降動作について具体例を挙げつつより詳細に説明すると以下のとおりである。すなわち、景品取得部4の最大上昇速度は例えば約100mm/sであり、ワイヤモータ41の出力を100%、80%、60%に切り換えることによって上昇速度を3段階にて設定することが可能となっている(図20参照)。ただしこれは一例にすぎず、最大上昇速度や出力、切換可能な段階数は適宜設定することがもちろん可能である。また、昇降速度を昇降途中のどのタイミングで変えるかも自由に設定可能である。
以上説明した本実施形態の景品取得ゲーム装置1によれば、景品Pのペイアウト率の調整を容易に行いうるよう景品取得部4の動作を改良することができる。すなわち、従来の景品取得ゲーム装置においては景品Pの取得からその後の上昇までの一連の動作速度が一律に素早くなってしまうのに対し、本実施形態ではワイヤモータ41を制御することによって景品取得部4の昇降速度を適宜変化させることを可能としている。これによれば、当該景品取得部4の昇降速度を適宜調整し、プレイヤに悟られないようにしつつ景品Pのペイアウト率を適宜調整することが可能である。
<把持力調整手段の構成>
次に、図6〜図8を用いて、景品取得ゲーム装置1の把持力調整手段70について説明する。
まず、本実施形態における把持力調整手段70の構成について説明する。なお、本実施形態における把持力調整手段70は、左右のアーム8に対応するように左右対称に一対設けられており、両者の構成は実質的に共通している。このため、以下、一方(正面から見て右側)の把持力調整手段70の構成についてのみ説明することとする。
本実施形態における把持力調整手段70は、アーム8の把持力を調整するためのものであり、図6〜図8に示すように、把持力動作ギア72、巻回ばね73、モータ74、ピニオンギア75等から構成されている。
把持力動作ギア72は、本発明における回動部材に相当するものであり、モータ74の回動軸(出力軸74a:図7及び図8参照)と異なる所定の回動軸71を中心に回動する。把持力動作ギア72は、モータ74からの回転駆動力を(巻回ばね73を介して)アーム8に伝達することにより、アーム8の開閉動作を実現させるとともに、アーム8に把持力を付与するための部材である。
また、把持力動作ギア72は、本発明における第二の歯車に相当する円板状の歯車であり、ピニオンギア75の歯部と噛み合う歯部がその周縁部に設けられている。把持力動作ギア72の周縁部近傍位置には、所定長の円弧状の長穴部72aが設けられ、この長穴部72aには、巻回ばね73の一端73aが移動自在に遊挿されている。なお、把持力動作ギア72の回動軸71は、アーム8の回動軸にもなっている。
巻回ばね73は、把持力動作ギア72の回動軸71の回りに巻回され、その一端73aが折り曲げられて把持力動作ギア72の長穴部72a内に移動自在に遊挿され、その他端73bが折り曲げられてアーム8に係止(固定)されている。また、巻回ばね73の一端73aは、把持力動作ギア72の長穴部72aの端部に接触可能とされ、これにより、把持力動作ギア72の回転力が巻回ばね73に伝達されるようになっている。
モータ74は、制御部30から送出される制御信号に基づいて駆動制御されることにより、所定の出力軸74aを図7(B)に示すR1方向及び図8(A)に示すR2方向に回動させる。モータ74により発生した回転力は、ピニオンギア75、把持力動作ギア72及び巻回ばね73を介してアーム8に伝達される。ピニオンギア75は、モータ74の出力軸74aに取り付けられて出力軸74aを中心に回動するものであり、本発明における第一の歯車に相当する。ピニオンギア75は、把持力動作ギア72の歯部と噛み合う歯部を有している。これらモータ74及びピニオンギア75は、把持力動作ギア72を回動させるものであり、本発明における回動駆動手段を構成する。
次に、本実施形態における把持力調整手段70の動作について説明する。
本実施形態における把持力調整手段70は、アーム8の閉状態において、アーム8の把持力を発生させない(略零に設定する)ことができる。すなわち、図7(A)に示すように、巻回ばね73の一端73aに把持力動作ギア72の長穴部72aの端部が接触していないような状態(巻回ばね73の一端73aが長穴部72a内で遊挿状態にある場合)においては、把持力動作ギア72の回転力が巻回ばね73に伝達されないため、巻回ばね73の弾性力が巻回ばね73の他端73bからアーム8に伝達されることもない。この結果、アーム8には自重のみが作用することとなり、アーム8を閉じる方向に駆動する巻回ばね73の弾性力は発生せず、アーム8の把持力は略零に設定されることとなる。
図7(A)に示した初期状態(アーム8の把持力零の状態)から、モータ74を回転駆動して、出力軸74a及びピニオンギア75を図7(B)のR1方向に回動させると、ピニオンギア75の回動に伴って把持力動作ギア72が図7(B)のR3方向に回動する。このように、モータ74の回転力がピニオンギア75を介して把持力動作ギア72に伝達されても、巻回ばね73の一端73aが把持力動作ギア72の長穴部72a内を移動して、巻回ばね73と把持力動作ギア72との非接触状態が維持される限り、把持力動作ギア72の回転力が巻回ばね73に伝達されず、この結果、アーム8の把持力は略零のまま維持される。
やがて、把持力動作ギア72が図7(A)に示した初期状態から所定角度(例えば45°)だけ回動すると、巻回ばね73の一端73aが把持力動作ギア72の長穴部72aの端部に接触して押圧される。この結果、図7(B)に示すように、モータ74の回転力が、ピニオンギア75、把持力動作ギア72及び巻回ばね73を介してアーム8に伝達され、アーム8の把持力が発生することとなる。すなわち、本実施形態における把持力調整手段70は、把持力動作ギア72が図7(A)に示した初期状態から所定角度回動するまでの所定角度領域内において、アーム8の把持力を一時的に消失させることができる。なお、アーム8の把持力は、図7(B)のR3方向に把持力動作ギア72が回動を続け、巻回ばね73の一端73aが把持力動作ギア72の長穴部72aの端部に接触して押圧された状態にすることで巻回ばね73の巻回量を変化させることにより、適宜調整することができる。
一方、把持力調整手段70を用いて、アーム8を閉状態から開状態に移行させることもできる。例えば、図7(A)に示した初期状態からアーム8を開状態にする場合には、モータ74を回転駆動して、出力軸74a及びピニオンギア75を図8(A)のR2方向に回動させ、このピニオンギア75の回動により把持力動作ギア72を図8(A)のR4方向に回動させる。把持力動作ギア72が図7(A)に示した初期状態から所定角度(例えば30°)だけ回動すると、把持力動作ギア72のボス部72bがアーム8の一部に接触する。この結果、モータ74の回転力が、ピニオンギア75及び把持力動作ギア72を介してアーム8に伝達され、図8(A)に示すようにアーム8が開状態に移行することとなる。
本実施形態における把持力調整手段70は、このようなアーム8の開状態においても、アーム8の把持力を発生させない(略零に設定する)ことができる。すなわち、図8(A)に示すように、巻回ばね73の一端73aに把持力動作ギア72の長穴部72aの端部が接触していないような状態においては、把持力動作ギア72の回転力が巻回ばね73に伝達されないため、巻回ばね73の弾性力が巻回ばね73の他端73bからアーム8に伝達されることもない。この結果、アーム8を閉じる方向に駆動する力は発生せず、アーム8の把持力は略零に設定されることとなる。
図8(A)に示した状態(アーム8の把持力零の状態)から、モータ74を回転駆動して、出力軸74a及びピニオンギア75を図8(B)のR1方向に回動させると、ピニオンギア75の回動に伴って把持力動作ギア72が図8(B)のR3方向に回動する。このように、モータ74の回転力がピニオンギア75を介して把持力動作ギア72に伝達されても、巻回ばね73の一端73aが把持力動作ギア72の長穴部72a内を移動して、巻回ばね73と把持力動作ギア72との非接触状態が維持される限り、把持力動作ギア72の回転力が巻回ばね73に伝達されず、この結果、アーム8の把持力は略零のまま維持される。
やがて、把持力動作ギア72が図8(A)に示した状態から所定角度(例えば45°)だけ回動すると、巻回ばね73の一端73aが把持力動作ギア72の長穴部72aの端部に接触して押圧される。この結果、図8(B)に示すように、モータ74の回転力が、ピニオンギア75、把持力動作ギア72及び巻回ばね73を介してアーム8に伝達され、アーム8の把持力が発生し、景品Pを把持することができる。すなわち、本実施形態における把持力調整手段70は、把持力動作ギア72が図8(A)に示した状態から所定角度回動するまでの所定角度領域内において、アーム8の把持力を一時的に消失させることができる。なお、アーム8の把持力は、図8(B)のR3方向に把持力動作ギア72が回動を続け、巻回ばね73の一端73aが把持力動作ギア72の長穴部72aの端部に接触して押圧された状態にすることで巻回ばね73の巻回量を変化させることにより、適宜調整することができる。
以上の実施形態に係る景品取得ゲーム装置1においては、モータ74の回動力をアーム8に伝達して把持力を発生させることができる一方、把持力動作ギア72が所定角度領域内を回動したときに、巻回ばね73の一端73aと把持力動作ギア72とを非接触状態とすることにより、アーム8の把持力を一時的に消失させる(把持力を一時的に略零に設定する)ことができる。また、回動駆動手段(モータ74、ピニオンギア75)及び把持力動作ギア72は、左右のアーム8の各々に対応して設けられているため、各アーム8の把持力を異ならせる(例えば、何れか一方のアーム8の把持力を略零にする)ことができる。従って、巻回ばね73を使用した簡素な構成を採用しながら、多様な把持態様を実現させることができる。
また、以上の実施形態に係る景品取得ゲーム装置1においては、把持力動作ギア72(第二の歯車)の回動軸71が、モータ74の出力軸74aと同軸とされたピニオンギア75(第一の歯車)の回動軸と異なっているため、モータ74が故障して異常回転した場合においても、把持力動作ギア72が受ける影響を少なくすることができ、かつ、把持力動作ギア72(第二の歯車)に過度の負担がかかった場合であっても、モータ74が受ける影響を少なくすることができる。
なお、上記実施形態において、巻回ばね73の一端73aが把持力動作ギア72のボス部72bに接触して押圧された状態にすることで巻回ばね73の巻回量を変化させ、把持力を発生させていたが、巻回ばね73の一端73aが把持力動作ギア72の長穴部72aの端部に接触して押圧されるように構成してもよい。
なお、以上の各実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述した実施形態ではワイヤ(吊設部材)40や巻取り巻戻し装置39等を用いて景品取得部4を昇降させる構造の景品取得ゲーム装置1を説明したが、本発明の適用対象がこのような装置1に限られるわけではない。すなわち、上述したようなワイヤ(吊設部材)40を使わずに景品取得部4を昇降させるようにした機構(詳しくは説明しないが、異径の複数本のパイプを例えばギアやラック等を用いて伸縮させるような機構)であっても本発明の適用は妨げられない。
また、上述したように景品取得部4の昇降速度を適宜変えることに加え、例えば測距センサ44を用いる等して景品Pが把持等された状態を検出したときのみ景品取得部4を高速で上昇させるようにしてもよい。あるいは、比較的急な加速・減速を行って動作にいわゆるメリハリを付け、ひいては1回当たりのゲーム所要時間を短縮することも可能である。
1…景品取得ゲーム装置(物品取得ゲーム装置)、2…基台、3…景品収容部(物品収容部)、4…景品取得部(物品取得部)、5A…前面、5B…側面、5C…側面、5D…背面、6…把持部、7…移動装置(移動手段)、8…アーム、8b…爪部材、9…X方向移動用固定レール、10…Y方向移動用可動レール、11…支持部、11a,11b,11c,11d…パイプ、12…景品(物品)取得用基台、13X…X方向移動用モータ、13Y…Y方向移動用モータ、13Z…Z方向移動用モータ、14…コントロールパネル、15…コイン投入口、16…操作部(操作手段)、16A…第1の操作ボタン、16B…第2の操作ボタン、17…景品(物品)投入ガイド、17a…景品(物品)落し口、18…取出口、19…開閉扉、30…制御部(制御手段)、31…記憶部、32…タイマ、33…リミットスイッチ、35…カプラ、35a…ボス、36…ブラケット、37…昇降装置(昇降手段)、39…巻取り巻戻し装置、40…ワイヤ(吊設部材)、41…ワイヤモータ(動力源)、42…ワイヤ巻取りプーリ、43,43’…底付き検出装置(底付き検出手段)、44…測距センサ(近接センサ)、45…テンションプーリ(被押圧部材)、46…支軸、47…揺動アーム、48…コイルばね(付勢部材)、49…テンション検出ギア(被検出部材)、50…ピニオンギア、51…ボリューム(検出部材)、52…送り出し量検出手段、52a…エンコーダ、52b…プーリ回転角度認識センサ、53…ウォーム、54…ウォームギア、61…スイッチ作動子、62…心棒、63…コネクタ、63a…受け孔、64…ケーブル、70…把持力調整手段、71…回動軸、72…把持力動作ギア(回動部材、第二の歯車)、72a…長穴部、73…巻回ばね、73a…巻回ばねの一端、73b…巻回ばねの他端、74…モータ、74a…出力軸、75…ピニオンギア、82…回動アーム部材、P…景品(物品)。