JP4984412B2 - 磁気センサおよび磁気センサの製造方法 - Google Patents

磁気センサおよび磁気センサの製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、磁気センサおよびその製法に関し、特に1枚の基板に3個以上の巨大磁気抵抗素子を配置し、三軸方向の磁界の強さを検知することができる小型の磁気センサを得るようにしたものである。
本出願人は、既に特開2004−6752号公報により、1枚の基板上に3個以上の巨大磁気抵抗素子を配置し、三軸方向の磁界の強さを測定することができる磁気センサを提案している。
この先行発明では、シリコン基板に溝を形成し、この溝の斜面にZ軸検知用の巨大磁気抵抗素子を配置し、基板平坦面にX軸検知用の巨大磁気抵抗素子とY軸検知用の巨大磁気抵抗素子を配置したもので、小型化が可能なものである。
また、これに引き続いて、基板上に酸化ケイ素からなる山部を形成し、この山部の斜面にZ軸検知用の巨大磁気抵抗素子を配置し、基板の平坦面にX軸検知用の巨大磁気抵抗素子とY軸検知用の巨大磁気抵抗素子を配置した三軸磁気センサを提案している。
また、これに関連して、基板上に1以上の溝あるいは堤状の突起部を並列して形成し、これらの溝または突起部の斜面に巨大磁気抵抗素子を設け、これら巨大磁気抵抗素子によりZ軸方向の磁界の強さを計測し、一方基板の平坦面にX軸方向およびY軸法の感知軸を有する2以上の巨大磁気抵抗素子を設け、これら巨大磁気抵抗素子によって、三軸方向の磁界の強さを計測できる三軸磁気センサについても、特許出願している。
この先行発明にあっては、上記溝または突起部の形成を以下のようにして行っている。
まず、基板上に酸化ケイ素などからなる厚膜を形成し、この厚膜上にレジスト膜を設ける。ついで、このレジスト膜のうち、溝となる部分あるいは突起部の底部となる部分に相当する部分を除去して、レジストパターンを形成する。
ついで、レジストパターンが形成されたレジスト膜に加熱処理を施し、レジスト膜の端面を傾斜面とする。
こののち、レジストと酸化ケイ素とのエッチング速度比がほぼ1:1となるようなエッチング条件でプラズマエッチングを施し、レジスト膜と厚膜を同時にエッチングして、厚膜に溝となる凹部あるいは突起部の底部となる凹部を形成する方法である。
ところが、このような溝あるいは突起部の形成方法では、プラズマエッチングの際に、エッチングエリアの全体を均一にエッチングをすることがどうしても困難であるため、形成された溝あるいは突起部の周辺部分の形状が崩れあるいはぼやけて、所期の形状とは異なるものになってしまう。
このため、溝または突起部の斜面の平面形状やその傾斜角度なども同様に、周辺部分と中央部分とで異なったものとなり、周辺部分では目的とする斜面の平面形状や傾斜角度などが得られなくなってしまう。
このため、このような周辺部分の斜面に巨大磁気抵抗素子を設けても、正常な形態の巨大磁気抵抗素子を得ることはできず、特性の劣ったものとなる。
特開2004−6752号公報
よって、本発明における課題は、このような形状や傾斜角度の乱れた斜面に巨大磁気抵抗素子が設けられることがないようにし、正常な形態の巨大磁気抵抗素子のみを設けることができるようにすることにある。
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、回路と配線層とが形成された基板と、前記基板上に形成された酸化膜からなる厚膜と、前記厚膜に並列して形成された複数の斜面とを備え、前記斜面の列方向の最外側にダミー斜面が形成され、このダミー斜面以外の斜面に磁気センサ素子が設けられたことを特徴とする磁気センサである。
請求項2にかかる発明は、回路と配線層とが形成された基板と、前記基板上に形成された酸化膜からなる厚膜と、前記厚膜に並列して形成された複数の斜面とを備え、前記斜面の個々の長手方向の両端部の外方にダミー斜面が形成され、このダミー斜面以外の斜面に磁気センサ素子が設けられたことを特徴とする磁気センサである。
請求項3にかかる発明は、前記基板の平坦面には、複数の磁気センサ素子が設けられ、これら磁気センサ素子は、X軸方向に感知軸を有するX軸センサおよびY軸方向に感知軸を有するY軸センサを構成し、前記基板の斜面に設けられた磁気センサ素子が、Z軸方向の磁界の強さを感知しうるZ軸センサを構成することを特徴とする請求項1または2記載の磁気センサである。
請求項4にかかる発明は、上記斜面が、基板上の厚膜に形成された溝の斜面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気センサである。
請求項5にかかる発明は、上記斜面が、基板上に形成された堤状の突起部の斜面であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気センサである。
請求項6にかかる発明は、前記磁気センサ素子は、溝の頂部を跨ぐようにして接続されていることを特徴とする請求項4に記載の磁気センサである。
請求項7にかかる発明は、前記磁気センサ素子は、磁気抵抗効果素子からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁気センサである。
請求項8にかかる発明は、回路と配線層とが形成された基板を用意する工程と、前記基板上に酸化膜からなる厚膜を形成する工程と、前記厚膜上にレジストパターンを形成し、加熱処理により断面形状が山状のレジスト膜とする工程と、前記レジスト膜と前記厚膜とをエッチングすることにより、前記厚膜に複数の斜面を形成する工程と、前記斜面のうち列方向の外側に形成されたダミー斜面以外の斜面上に磁気センサ素子を設ける工程とを有することを特徴とする磁気センサの製造方法である。
本発明によれば、基板に形成された溝または突起部の斜面のうち、その平面形状、傾斜角度等が正常なもののみに、巨大磁気抵抗素子を設けることができる。このため、特性の良好な巨大磁気抵抗素子を設けることができ、特性の良好な磁気センサが得られる。
図1は、本発明の磁気センサの一例を模式的に示すもので、基板上の巨大磁気抵抗素子の配置を示すものである。
図1において、符号1は基板を示す。この基板1は、シリコンなどの半導体基板に磁気センサの駆動回路、信号処理回路などの半導体集積回路、配線層などが予め形成されており、この上に平坦化膜、パッシベーション膜、酸化ケイ素膜などからなる厚膜が順次積層されたものであり、これらの各膜は図示を省略してある。
この基板の厚膜上には、X軸センサ2とY軸センサ3とZ軸センサ4とが設けられている。X軸センサ2は、図1に示した座標軸において、X方向に、Y軸センサ3は、同じくY方向に感知軸を有するものであり、Z軸センサ4は、Z方向の磁界の強さを感知しうるものである。
X軸センサ2は、4個の巨大磁気抵抗素子2a、2b、2c、2dから構成され、Y軸センサ3は、4個の巨大磁気抵抗素子3e、3f、3g、3hから構成され、Z軸センサ4は、4個の巨大磁気抵抗素子4i、4j、4k、4lから構成されている。
X軸センサ2をなす4個の巨大磁気抵抗素子の内、巨大磁気抵抗素子2a、2bは、基板1のほぼ中央部並んで設けられ、残りの2個の巨大磁気抵抗素子2c、2dは、これらからやや離れた基板1の端部に互い並んで、巨大磁気抵抗素子2a、2bと対峙するように設けられている。
Y軸センサ3をなす4個の巨大磁気抵抗素子の内、巨大磁気抵抗素子3e、3fは、基板1の一方の端部側に配され、残りの2個の巨大磁気抵抗素子3g、3hは、基板1の他方の端部側に互いに並んで、巨大磁気抵抗素子3e、3fと対峙するように配置されている。
Z軸センサ4をなす4個の巨大磁気抵抗素子の内、2個の巨大磁気抵抗素子4k、4lは、巨大磁気抵抗素子3e、3fに近い位置に互いに並んで配され、残りの2個の巨大磁気抵抗素子4i、4jは、巨大磁気抵抗素子2a、2bからやや離れた位置に互いに並んで配置されている。
これらの巨大磁気抵抗素子は、基本的には従来の巨大磁気抵抗素子と同様のもので、例えばX軸センサまたはY軸センサを例に取ると、図2に示すように、4個の帯状部5、5・・と、これらの帯状部5、5・・を電気的に直列に接続する3個のバイアス磁石部6、6・とから構成されている。
帯状部5は、巨大磁気抵抗素子の本体をなす部分であり、細長い帯状の平面形状を有するものである。
帯状部5は、磁化の向きが所定の向きに固定されたピンド層と、磁化の向きが外部磁界の向きに応じて変化するフリー層を備えたもので、具体的にはフリー層上に導電性のスペーサ層、ピンド層、キャッピング層を順次積層してなる多層金属薄膜積層物から構成されている。
例えば、フリー層には、コバルト−ジルコニウム−ニオブのアモルファス磁性層とニッケル−コバルトの磁性層とコバルト−鉄の磁性層との三層からなるものが、スペーサ層には、銅からなるものが、ピンド層には、コバルト−鉄の強磁性層と白金−マンガンの反磁性層との二層からなるものが、キャピング層にはタンタルからなるものが用いられる。
バイアス磁石部6は、4個の帯状部5、5・・を電気的に直列に接続するとともに帯状部5の磁気特性を整えるためのバイアス磁界を帯状部5に印加するためのものである。また、このバイアス磁石部5は、例えば、コバルト−白金−クロム層とクロム層との二層からなる薄膜金属積層物から構成されている。
基板1の平坦面に設けられたX軸センサ2およびY軸センサ3をなす巨大磁気抵抗素子2a、2b、2c、2d、3e、3f、3g、3hについての構造は、図2に示すように、4個の帯状部5、5・・と3個のバイアス磁石部6、6・とから構成され、帯状部5、5・・のうち、両外側の2個の帯状部5、5のバイアス磁石部6が接続されていない端部には、配線層7、7が接続され、この配線層7、7は、図示しないビア部に接続されている。
図3ないし図6は、Z軸センサ4をなす巨大磁気抵抗素子4i、4j、4、k4lの構造を示すもので、これらの図において、Z軸センサ4をなす4個の巨大磁気抵抗素子のうち、巨大磁気抵抗素子4i、4jについて、詳しく描いたもので、他の巨大磁気抵抗素子4k、4lについても同様の構造となっているので、これについては説明を省略する。
図3は、巨大磁気抵抗素子4i、4jの概略平面図であり、図4は、図3において破断線IV−IVで切断した概略断面図であり、図5、図6は、巨大磁気抵抗素子の帯状部5とバイアス磁石部6の配置状態および感知軸方向を模式的に示した斜視図である。
図4において、符号1は基板で示し、符号11は基板1上に堆積された酸化ケイ素などからなる厚膜を示す。
この厚膜11には、この厚膜11を部分的に削り取って形成された6個のV字状の溝8、8・・・が互いに並んで平行に設けられている。
この溝8は、その深さが3〜7μm、長さが250〜300μmとされる細長い形状の凹部となっており、その斜面の幅が3〜8μmとなっており、斜面と酸化膜11表面とのなす角度は60〜80度、好ましくは70度程度となっている。
なお、図4では、溝8の斜面を平坦面として描いているが、実際には製造プロセス上、外方に向けてやや張り出した湾曲面となっている。
また、これらの6個の溝8、8・・・うち、中央側に位置する4個の溝8、8・・の互いに隣接する8つの斜面には、斜面の長手方向に沿い、かつ斜面の中央部分の平坦性が良好な位置に、8個の巨大磁気抵抗素子の帯状部5、5・・が設けられている。
また、これら8つの斜面の内、第1の斜面に形成された帯状部5の一方の端部から溝の底部を経て隣の第2の斜面に形成された帯状部5の一方の端部にかけてバイアス磁石部6が設けられて、電気的に接続されている。
さらに、第2の斜面に形成された帯状部5の他方の端部から溝の頂部を跨ぐようにして隣の第3の斜面に形成された帯状部5の一方の端部にかけてバイアス磁石部6が設けられ、電気的に接続され、1個の巨大磁気抵抗素子4iが構成されている。
そして、同様にして残りの4個の帯状部5・・・が3個のバイアス磁石部6・・によって直列に接続され、1個の巨大磁気抵抗素子4jが構成されている。
また、図3、図4に示すように、巨大磁気抵抗素子が設けられた8個の斜面の並列方向の両方の外方には、それぞれ2個の第1のダミー斜面91、91・・が設けられている。さらに、図3に示すように、巨大磁気抵抗素子が設けられた8個の斜面および上記第1のダミー斜面91、91・・の個々の斜面の長手方向の両端側には、ギャップ(間隙)を介して、第2のダミー斜面92、92・・・が合計24個、個々の斜面から延びるようにして形成されている。
第1のダミー斜面91は、その平面形状が中央部分に位置する斜面のそれとほぼ同形状の長方形状となっているが、その傾斜角度が異なっていて、なだらかになっている。
第2のダミー斜面92は、その平面形状が図3にあるように、略台形状の先細となっており、傾斜角度がなだらかになっている。
これら第1および第2のダミー斜面91、91・・、92、92・・には、巨大磁気抵抗素子を形成する帯状部5およびバイアス磁石部6が設けられておらず、単に斜面そのままの状態となっている。
また、これら第1および第2のダミー斜面91、92は、6個の溝8、8・・を形成する際に同時に形成されるが、その形成方法については、後述する。
また、厚膜11の平坦部に設けられたX軸センサ2、Y軸センサ3をなす巨大磁気抵抗素子と同様に、これら帯状部5、5・・のうち、両外側の2個の帯状部5、5のバイアス磁石部6が接続されていない端部には、配線層7、7が接続され、この配線層7、7は、図示しないビア部に接続されている。この配線層7は、この例では巨大磁気抵抗素子のバイアス磁石部6を構成するマグネット膜で形成されており、これによりバイアス磁石部6と配線層7を同時に作製することができる。
また、X軸センサ2をなす巨大磁気抵抗素子およびY軸センサ3をなす巨大磁気抵抗素子においては、図2に示すように、その感知軸は帯状部5の長手方向に直交方向で基板1の表面に平行に向けられており、帯状部5のピニング方向およびバイアス磁石部6のバイアス磁界の着磁方向は、帯状部5の長手方向に対して30〜60度、好ましくは45度で、基板1の表面に平行となっている。
また、Z軸センサ4をなす巨大磁気抵抗素子においては、巨大磁気抵抗素子4i、4jでは、図5に示すように、その感知軸は、帯状部5の長手方向に対して直交方向で溝8の斜面に平行でかつ斜面の上向きに向けられており、帯状部5のピニング方向およびバイアス磁石部6のバイアス磁界の着磁方向は、帯状部5の長手方向に対して30〜60度、好ましくは45度で、溝8の斜面に平行で斜面の上向きとなっている。
また、巨大磁気抵抗素子4k、4lでは、図6に示すように、その感知軸は、帯状部5の長手方向に対して直交方向で溝8の斜面に平行でかつ斜面の下向きに向けられており、帯状部5のピニング方向およびバイアス磁石部6のバイアス磁界の着磁方向は、帯状部5の長手方向に対して30〜60度、好ましくは45度で、溝8の斜面に平行で斜面の下向きとなっている。
なお、図5および図6では、第1および第2のダミー斜面は、図示を省略している。
このような感知軸方向を得るためには、マグネットアレイを基板上方から接近させた状態で基板を260〜290℃で、3〜5時間加熱する加熱処理を行えばよく、これは従来のピニング処理と同様である。
通常の巨大磁気抵抗素子では、感知軸方向とピニング方向とは、ともに帯状部5の長手方向に対して直交方向で、基板表面に平行とされているが、上述のように、感知軸方向とピニング方向とを異ならせることで、巨大磁気抵抗素子の耐強磁界性が向上することになる。
また、図1ないし図6では、図示していないが、X軸センサ2、Y軸センサ3およびZ軸センサ4を構成するすべての巨大磁気抵抗素子を含む基板1全面には、窒化ケイ素などのパッシベーション膜、ポリイミドなどの保護膜が被覆されており、外界から保護されている。
このような磁気センサにあっては、1枚の基板1に、X軸センサ2、Y軸センサ3およびZ軸センサ4が配置されているので、小型の三軸磁気センサとして機能する。また、溝8の斜面の平坦性の良好な部分に巨大磁気抵抗素子の帯状部を形成することができ、性能のよい磁気センサが得られる。
また、第1および第2のダミー斜面91、92をあえて形成することによって、溝8の形成に伴って必然的に生じる周辺部分の斜面の平面形状や傾斜角度の乱れがあっても、この部分には、巨大磁気抵抗素子を設けなくても済むため、性能の劣った巨大磁気抵抗素子が設けられることが避けられ、磁気検知特性の良好な巨大磁気抵抗素子のみが設けられることになる。このため、性能の良好なZ軸センサを得ることができる。
さらに、帯状部5のピニング方向を、帯状部5の長手方向に対して30〜60度としたことで、得られる巨大磁気抵抗素子の耐強磁界性が良好となる。
つぎに、このような磁気センサの製法について説明する。
以下の説明においては、溝8、8・・の斜面に形成されたZ軸センサ4を構成する巨大磁気抵抗素子の作製について主に説明する。
まず、基板1を用意する。この基板1には、上述のように、シリコンなどの半導体基板に磁気センサの駆動回路、信号処理回路などの半導体集積回路、配線層などが予め形成されたものである。
図7(a)に示すように、この基板1上に、まず平坦化膜31を成膜する。この平坦化膜31には、例えば、プラズマCVD法による厚さ300nmの酸化ケイ素膜、厚さ600nmのSOG膜、厚さ50nmのトリエトキシシランを原料として製膜した酸化ケイ素膜を順次積層したものなどが用いられる。
次ぎに、図7(b)に示すように、基板1全面にパッシベーション膜32を成膜する。このパッシベーション膜32としては、例えば、厚さ250nmのプラズマCVD法による酸化ケイ素膜33と、厚さ600nmのプラズマCVD法による窒化ケイ素膜34との積層膜などが用いられる。
ついで、図8(a)に示すように、この上に厚さ5μm程度のプラズマCVD法による酸化ケイ素からなる厚膜35を形成する。この厚膜35は、後述するように、上記溝8、8・・が形成されるものである。
次ぎに、図8(b)に示すように、この厚膜35上に厚さ3μm程度のレジスト膜36を全面に形成する。このレジスト膜36の一部をエッチング処理して、除去して、レジストパターンを形成する。このレジストパターンは、溝形成部の各溝に相当する部分が開口するようにする。
このレジストパターンでは、上述の第1および第2のダミー斜面91、92も同時に得られるようにするため、これらの斜面に相当する溝8、8・・が形成されるようなパターンとされる。
つぎに、図8(c)にあるように、残っているレジスト膜36に温度150℃、時間10分程度の加熱処理を施し、レジスト膜36を溶融させる。この加熱処理によりレジストが溶融し、溶融液の表面張力に起因して、図示のように、レジスト36膜の上面が盛り上がり、同時に端面が傾斜面となって、断面形状が山状となって、その高さが約5μm程度に盛り上がる。
こののち、レジストと酸化ケイ素とのエッチング選択比がほぼ1対1となるような条件でレジスト膜36と厚膜35に対してドライエッチングを行う。
このドライエッチング条件は、例えば以下の通りである。 CF/CHF/N/O=60/180/10/100sccm、
圧力:400mTorr(53.2Pa)
RFパワー:750W
電極温度:15℃、チャンバ温度:15℃
この後、厚膜35上に残っているレジスト膜36を除去する。
これにより、図9(a)に示すように、厚膜35の溝形成部には、溝8、8・・が形成される。
ついで、基板1全面に、巨大磁気抵抗素子のバイアス磁石部6となるマグネット膜をスパッタにより成膜し、レジストワーク、エッチングにより不要部分を除去し、図9(b)に示すように、溝8、8・・の斜面のうち、第1および第2のダミー斜面91、91・・、92、92・・以外の斜面上にバイアス磁石部6とこれの配線膜を形成する。
このマグネット膜には、先に述べたとおりの多層金属薄膜が用いられる。
この際に、厚膜35の平坦面にも、X軸センサ2、Y軸センサ3を構成する各巨大磁気抵抗素子のバイアス磁石部6とこれの配線層7も形成する。
このバイアス磁石部6の形成のためのレジストワークの際に、溝8の斜面でのマグネット膜のエッチングを適切に行うため、パターン形成後のレジスト膜に加熱処理を施して、レジスト膜の端面を傾斜面とすることが好ましい。
ついで、この上に巨大磁気抵抗素子の帯状部5となる巨大磁気抵抗素子膜をスパッタにより全面に成膜する。この巨大磁気抵抗素子膜としては、先に述べた通りの多層金属薄膜が用いられる。
さらに、この状態の基板1をマグネットアレー上にセットして、温度260〜290℃、時間3〜5時間の熱処理を行って、巨大磁気抵抗素子膜に対して、ピニング処理を行う。
こののち、巨大磁気抵抗素子膜に対してレジストワーク、エッチングを行い、不要部分を除去して、図10(a)に示すように、溝8、8・・の斜面のうち、第1および第2のダミー斜面91、91・・、92、92・・以外の斜面上に帯状部6、6・・を形成し、巨大磁気抵抗素子を作製する。これにより、Z軸センサ4が完成する。
さらにこれと同時に厚膜35の平坦面にも、帯状部5を形成し、巨大磁気抵抗素子を作製する。これによりX軸センサ2と、Y軸センサ3が完成する。
ついで、図10(b)に示すように、プラズマCVD法による厚さ1μm程度の窒化ケイ素膜からなるパッシベーション膜27を成膜し、さらにこの上にポリイミドからなる保護膜28を設けて、目的とする磁気センサとする。
このような磁気センサの製法によれば、1枚の基板にX軸センサ2、Y軸センサ3およびZ軸センサ4を作り込むことができ、一連の連続したプロセスで小型の三軸磁気センサを製造することが可能になる。
また、Z軸センサ4を構成する複数の巨大磁気抵抗素子を、溝8、8・・の斜面のうち、平面形状や傾斜角度などの良好な斜面に限って設けることができ、磁気検知特性の良好なZ軸センサ4を得ることができる。
以上の説明では、巨大磁気抵抗素子を設ける斜面および第1、第2のダミー斜面に関して、溝8、8・・を形成して得られた斜面を対象として述べたが、これに限らず、基板に堤状の突起部を形成して得られる斜面を対象としてもよい。
この突起部の形成は、溝8の形成と同様に、図8(c)において、レジスト膜36にパターニングを施し、ついでこのレジスト膜36に加熱処理を施し、レジストと酸化ケイ素とのエッチング比がほぼ1:1となるような条件で、レジスト膜36と厚膜35をプラズマエッチングする。
このプラズマエッチング処理の際に、厚膜35の溝8、8・・を形成する領域以外の領域に対しても、表面が平坦となるようにエッチングして、大部分の厚膜35を取り除くことで、堤状の突起部を形成することができる。
そして、この突起部の形成の時に、第1および第2のダミー斜面91、91・・、92、92・・となる突起部が得られるようにレジスト膜36のパターンを定めておけばよい。
本発明の磁気センサの一例を示す概略平面図である。 本発明での巨大磁気抵抗の例を示す概略平面図である。 本発明でのZ軸センサを構成する巨大磁気抵抗の例を示す概略平面図である。 本発明でのZ軸センサを構成する巨大磁気抵抗の例を示す概略断面図である。 本発明でのZ軸センサを構成する巨大磁気抵抗の例を示す概略斜視図である。 本発明でのZ軸センサを構成する巨大磁気抵抗の他の例を示す概略斜視図である。 本発明の磁気センサの製法の一例を工程順に示す概略断面図である。 本発明の磁気センサの製法の一例を工程順に示す概略断面図である。 本発明の磁気センサの製法の一例を工程順に示す概略断面図である。 本発明の磁気センサの製法の一例を工程順に示す概略断面図である。
符号の説明
1・・基板、5・・帯状部、6・・バイアス磁石部、7・・配線層、8・・溝、31・・平坦化膜、32・・パッシベーション膜、35・・厚膜、36・・レジスト膜、28・・保護膜、91・・第1のダミー斜面、92・・第2のダミー斜面

Claims (8)

  1. 回路と配線層とが形成された基板と、
    前記基板上に形成された酸化膜からなる厚膜と、
    前記厚膜に並列して形成された複数の斜面とを備え、
    前記斜面の列方向の最外側にダミー斜面が形成され、このダミー斜面以外の斜面に磁気センサ素子が設けられたことを特徴とする磁気センサ。
  2. 回路と配線層とが形成された基板と、
    前記基板上に形成された酸化膜からなる厚膜と、
    前記厚膜に並列して形成された複数の斜面とを備え、
    前記斜面の個々の長手方向の両端部の外方にダミー斜面が形成され、このダミー斜面以外の斜面に磁気センサ素子が設けられたことを特徴とする磁気センサ。
  3. 前記基板の平坦面には、複数の磁気センサ素子が設けられ、これら磁気センサ素子は、X軸方向に感知軸を有するX軸センサおよびY軸方向に感知軸を有するY軸センサを構成し、前記基板の斜面に設けられた磁気センサ素子が、Z軸方向の磁界の強さを感知しうるZ軸センサを構成することを特徴とする請求項1または2記載の磁気センサ。
  4. 上記斜面が、基板上の厚膜に形成された溝の斜面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  5. 上記斜面が、基板上に形成された堤状の突起部の斜面であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  6. 前記磁気センサ素子は、溝の頂部を跨ぐようにして接続されていることを特徴とする請求項4に記載の磁気センサ。
  7. 前記磁気センサ素子は、磁気抵抗効果素子からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  8. 回路と配線層とが形成された基板を用意する工程と、
    前記基板上に酸化膜からなる厚膜を形成する工程と、
    前記厚膜上にレジストパターンを形成し、加熱処理により断面形状が山状のレジスト膜とする工程と、
    前記レジスト膜と前記厚膜とをエッチングすることにより、前記厚膜に複数の斜面を形成する工程と、
    前記斜面のうち列方向の外側に形成されたダミー斜面以外の斜面上に磁気センサ素子を設ける工程とを有することを特徴とする磁気センサの製造方法。
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