JP4760073B2 - 磁気センサおよびその製法 - Google Patents

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Description

この発明は、磁気センサおよびその製法に関し、特に1枚の基板に3個以上の巨大磁気抵抗素子を配置し、三軸方向の磁界の強さを検知することができる小型の磁気センサを得るようにしたものである。
本出願人は、既に特開2004−6752号公報により、1枚の基板上に3個以上の巨大磁気抵抗素子を配置してなり、三軸方向の磁界の強さを測定することができる磁気センサを提案している。
この先行発明では、シリコン基板に突起部を形成し、この突起部の斜面にZ軸検知用の巨大磁気抵抗素子を配置し、基板平坦面にX軸検知用の巨大磁気抵抗素子とY軸検知用の巨大磁気抵抗素子を配置したもので、小型化が可能なものである。
また、これに引き続いて、基板上に酸化ケイ素からなる山部を形成し、この山部の斜面にZ軸検知用の巨大磁気抵抗素子を配置し、基板の平坦面にX軸検知用の巨大磁気抵抗素子とY軸検知用の巨大磁気抵抗素子を配置した三軸磁気センサを提案している。
特開2004−6752号公報
本出願は、これら先行発明の延長線上にあるもので、その課題とするところは、同様に、1枚の基板に3個以上の巨大磁気抵抗素子を配置し、三軸方向の磁界の強さを検知することができる小型の磁気センサを得ることにある。
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、基板上に直線の稜線を有する突起部が1以上並列して形成され、これら突起部の斜面に、感磁部とこれら感磁部を電気的に直列に接続するバイアス磁石部とからなる巨大磁気抵抗素子が設けられ、前記基板の平坦面に2個以上の巨大磁気抵抗素子が設けられ、
前記基板にビア部が形成されており、このビア部と基板に設けられた巨大磁気抵抗素子のバイアス磁石部とが配線で接続されており、この配線がバイアス磁石部を構成するマグネット膜からなり、ビア部においては、このマグネット膜上に感磁部を構成する巨大磁気抵抗素子膜がさらに積層されていることを特徴とする磁気センサである。
請求項2にかかる発明は、前記突起部の斜面の中央部に前記感磁部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気センサである。
請求項3にかかる発明は、前記巨大磁気抵抗素子の感磁部のピニング方向が、感磁部の長手方向に対して30〜60度となっていることを特徴とする請求項1記載の磁気センサである。
請求項4にかかる発明は、前記感磁部が、稜線方向に長手方向を持つ帯状部材からなることを特徴とする請求項1記載の磁気センサである。
請求項5にかかる発明は、配線層を有する基板と、前記配線層を覆う下地膜上に並列して形成された稜線を有する突起部と、前記突起部の斜面に形成された感磁部を有する複数の巨大磁気抵抗素子と、前記下地膜上に設けられた感磁部を有する複数の巨大磁気抵抗素子とを備え、
前記配線層の最上層には下層の配線層と接続するビア部が形成されており、前記ビア部と前記巨大磁気抵抗素子は配線部で接続され、
前記ビア部においては、前記配線部上に感磁部を構成する巨大磁気抵抗素子膜がさらに積層されていることを特徴とする磁気センサである。
請求項6にかかる発明は、前記複数の巨大磁気抵抗素子が前記配線層によりブリッジ結線されていることを特徴とする請求項5記載の磁気センサである。
請求項7にかかる発明は、基板の最上層の配線層上に、この配線層を覆うとともに平坦面を形成する平坦化層を形成し、この平坦化層の一部を除去して、ビア部およびパッド部を露出させ、この上に上層と下層からなるパッシベーション膜を成膜したのち、ビア部およびパッド部に相当する部分の上層を除去し、
この上に厚膜を形成し、さらにこの厚膜上にレジスト膜を形成し、
このレジスト膜のうち、一部を除去し、残ったレジスト膜に加熱処理を施して、レジスト膜の側面を傾斜面となし、
ついで、レジスト膜と厚膜とを、そのエッチング選択比がほぼ1:1となるエッチング条件でエッチングし、略直線の稜線を有する突起部を形成すると同時にビア部およびパッド部に薄くなった厚膜を残し、
ついで、ビア部の中央部分に残った厚膜とパッシベーション膜の下層を除去して、ビア部の導体部を露出させ、
次ぎに、残った厚膜の平坦面と上記突起部の斜面ならびに頂部または底部に巨大磁気抵抗素子のバイアス磁石部を形成するとともにこの巨大磁気抵抗素子のバイアス磁石部とビア部の導体部とを接続する配線を形成し、この上に巨大磁気抵抗素子膜を成膜したのち、基板をマグネットアレー上に置いて熱処理を施し、
ついで、巨大磁気抵抗素子膜の一部をエッチングにより除去して、残った厚膜の平坦面および突起部の斜面に巨大磁気抵抗素子の感磁部を形成するとともにビア部にも巨大磁気抵抗素子膜を残し、この上にパッド部を残して保護膜を成膜したのち、パッド部を覆う厚膜とパッシベーション膜の下層を除去してパッド部の導体部を露出することを特徴とする磁気センサの製法である。
本発明の磁気センサによれば、1枚の基板にX軸、Y軸、Z軸方向の磁界の強さを検知できる巨大磁気抵抗素子を搭載でき、小型の三軸磁気センサを得ることができ、さらにビア部の開口縁部でのマグネット膜からなる配線の上に巨大磁気抵抗素子膜が積層されているため、段差部分の隅部での配線の切れが生じる恐れが少なくなる。また、突起部の斜面の平坦性の良好な部分に巨大磁気抵抗素子の感磁部を形成することができ、性能のよい磁気センサが得られる。さらに、得られる巨大磁気抵抗素子の耐強磁界性が良好となる。
本発明の磁気センサの製法によれば、直線の稜線を有する突起部の形成とこの突起部の斜面への巨大磁気抵抗素子の形成とビア部およびパッド部の形成とが一連のプロセスとして行えることになる。
図1は、本発明の磁気センサの一例を模式的に示すもので、基板上の巨大磁気抵抗素子の配置を示すものである。
図1において、符号1は基板を示す。この基板1は、シリコンなどの半導体基板に磁気センサの駆動回路、信号処理回路などの半導体集積回路、配線層などが予め形成されており、この上に平坦化膜、パッシベーション膜、酸化ケイ素膜などからなる下地膜が順次積層されたものであり、これらの各膜は図示を省略してある。
この基板1の下地膜上には、X軸センサ2とY軸センサ3とZ軸センサ4とが設けられている。X軸センサ2は、図1に示した座標軸において、X方向に、Y軸センサ3は、同じくY方向にそれぞれ感知軸を有するものであり、Z軸センサ4は、Z方向の磁場の強さを感知できるものである。
X軸センサ2は、4個の巨大磁気抵抗素子2a、2b、2c、2dから構成され、Y軸センサ3は、4個の巨大磁気抵抗素子3e、3f、3g、3hから構成され、Z軸センサ4は、4個の巨大磁気抵抗素子4i、4j、4k、4lから構成されている。X軸センサ2およびY軸センサ3は、基板1の下地膜の平坦面に設けられ、Z軸センサ4は、後述のように下地膜に形成された突起部の斜面に設けられている。
X軸センサ2をなす4個の巨大磁気抵抗素子の内、巨大磁気抵抗素子2a、2bは、基板1のほぼ中央部に並んで設けられ、残りの2個の巨大磁気抵抗素子2c、2dは、これらからやや離れた基板1の端部に互い並んで、巨大磁気抵抗素子2a、2bと対峙するように設けられている。
Y軸センサ3をなす4個の巨大磁気抵抗素子の内、巨大磁気抵抗素子3e、3fは、基板1の一方の端部側に互いに並んで配され、残りの2個の巨大磁気抵抗素子3g、3hは、基板1の他方の端部側に互いに並んで、巨大磁気抵抗素子3e、3fと対峙するように配置されている。
Z軸センサ4をなす4個の巨大磁気抵抗素子の内、2個の巨大磁気抵抗素子4k、4lは、巨大磁気抵抗素子3e、3fに近い位置に互いに並んで配され、残りの2個の巨大磁気抵抗素子4i、4jは、巨大磁気抵抗素子2a、2bからやや離れた位置に互いに並んで配置されている。
これら各X軸センサ2、Y軸センサ3およびZ軸センサ4をなす巨大磁気抵抗素子の配置に関して、ある規則性がある。
図1において、破線で示す線イ、ロ、ハは、基板1をその長手方向に四等分する仮想線であり、線ニは、基板1をその短手方向に二等分する仮想線である。また、線イと線ニとの交点をAとし、線ロと線ニとの交点をBとする。
このとき、X軸センサ2をなす巨大磁気抵抗素子2a、2bと巨大磁気抵抗素子2c、2dは、点Aに対して点対称となっている。また、Y軸センサ3をなす巨大磁気抵抗素子3e、3fと巨大磁気抵抗素子3g、3hとは点Aに対して点対称になっている。さらに、Z軸センサ4をなす巨大磁気抵抗素子4i、4jと巨大磁気抵抗素子4k、4lとは点Bに対して点対称になっている。
これらの巨大磁気抵抗素子は、基本的には従来の巨大磁気抵抗素子と同様のもので、この例では図2に示すように、4個の感磁部5、5・・と、これらの感磁部5、5・・を電気的に直列に接続する3個のバイアス磁石部6、6・とから構成されている。
感磁部5は、巨大磁気抵抗素子の本体をなす部分であり、細長い帯状の平面形状を有するもので、後述する突起部の稜線方向にその長手方向が沿うように配されている。
感磁部5は、磁化の向きが所定の向きに固定されたピンド層と、磁化の向きが外部磁界の向きに応じて変化するフリー層を備えたもので、具体的にはフリー層上に導電性のスペーサ層、ピンド層、キャッピング層を順次積層してなる多層金属薄膜積層物から構成されている。
例えば、フリー層には、コバルト−ジルコニウム−ニオブのアモルファス磁性層とニッケル−鉄の磁性層とコバルト−鉄の磁性層との三層からなるものが、スペーサ層には、銅からなるものが、ピンド層には、コバルト−鉄の強磁性層と白金−マンガンの反磁性層との二層からなるものが、キャピング層にはタンタルからなるものが用いられる。
バイアス磁石部6は、4個の感磁部5、5・・を電気的に直列に接続するとともに感磁部5の磁気特性を整えるためのバイアス磁界を感磁部5に印加するためのものである。また、このバイアス磁石部5は、例えば、コバルト−白金−クロム層とクロム層との二層からなる薄膜金属積層物から構成されている。
基板1の平坦面に設けられたX軸センサ2およびY軸センサ3をなす巨大磁気抵抗素子2a、2b、2c、2d、3e、3f、3g、3hについての構造は、図2に示すように、4個の感磁部5、5・・と3個のバイアス磁石部6、6・とから構成され、感磁部5、5・・のうち、両外側の2個の感磁部5、5のバイアス磁石部6が接続されていない端部には、配線層7、7が接続され、この配線層7、7は、図示しないビア部に接続されている。
図3ないし図5は、Z軸センサ4をなす巨大磁気抵抗素子4i、4j、4k、4lの構造を示すもので、これらの図において、Z軸センサ4をなす4個の巨大磁気抵抗素子のうち、巨大磁気抵抗素子4i、4jについて、詳しく描いたもので、他の巨大磁気抵抗素子4k、4lについても同様の構造となっているので、これについては説明を省略する。
図3は、巨大磁気抵抗素子4i、4jの概略平面図であり、図4は、図3において破断線IV−IVで切断した概略断面図であり、図5は、巨大磁気抵抗素子の感磁部5とバイアス磁石部6の配置状態を模式的に示した斜視図である。
図4において、符号1は基板で示し、符号11は基板1上に堆積された酸化ケイ素などからなる下地膜を示す。
この下地膜11には、5個の略直線の稜線を有する突起部8、8・・・が互いに並んで平行に設けられている。
この突起部8は、少なくとも巨大磁気抵抗素子が形成される斜面上の稜線が平面視直線をなすものであって、突起部8の稜線となる頂部は平坦な面となっていてもよい。
この突起部8は、その高さが3〜8μm、長さが200〜400μmとされる断面視山状あるいは堤状の形状となっており、その斜面の幅が3〜16μmとなっており、斜面と下地膜11表面とのなす角度は30〜80度、好ましくは70度程度となっている。
なお、図4では、突起部8の斜面を平坦面として描いているが、実際には製造プロセス上、外方(基板1の上側)に向けてやや張り出した湾曲面となっている。
また、これらの突起部8、8・・・の互いに隣接する8つの斜面には、斜面の長手方向に沿い、かつ斜面の中央部分の平坦性が良好な位置に、8個の巨大磁気抵抗素子の感磁部5、5・・が設けられている。
また、これら8つの斜面の内、第1の斜面に形成された感磁部5の一方の端部から突起部の底部を経て隣の第2の斜面に形成された感磁部5の一方の端部にかけてバイアス磁石部6が設けられ、電気的に接続されている。
さらに、第2の斜面に形成された感磁部5の他方の端部から突起部の頂部を跨ぐようにして隣の第3の斜面に形成された感磁部5の一方の端部にかけてバイアス磁石部6が設けられ、電気的に接続され、以下同様にして4個の感磁部5が3個のバイアス磁石部6で電気的に接続され、1個の巨大磁気抵抗素子4iが構成されている。
そして、同様にして残りの4個の感磁部5・・・が3個のバイアス磁石部6・・によって直列に接続され、1個の巨大磁気抵抗素子4jが構成されている。
また、下地膜11の平坦部に設けられたX軸センサ2、Y軸センサ3をなす巨大磁気抵抗素子と同様に、これら感磁部5、5・・のうち、両外側の2個の感磁部5、5のバイアス磁石部6が接続されていない端部には、配線層7、7が接続され、この配線層7、7は、図示しないビア部に接続されている。この配線層7は、この例では巨大磁気抵抗素子のバイアス磁石部6を構成するマグネット膜で形成されており、これによりバイアス磁石部6と配線層7を同時に作製することができる。
また、X軸センサ2をなす巨大磁気抵抗素子およびY軸センサ3をなす巨大磁気抵抗素子においては、図2の矢印で示すように、その感知軸は感磁部5の長手方向に直交方向で基板1の表面に平行に向けられており、感磁部5のピニング方向およびバイアス磁石部6のバイアス磁界の着磁方向は、感磁部5の長手方向に対して30〜60度、好ましくは45度で、基板1の表面に平行となっている。
また、Z軸センサ4をなす巨大磁気抵抗素子においては、巨大磁気抵抗素子4i、4jでは、図5に示すように、その感知軸は、感磁部5の長手方向に対して直交方向で突起部8の斜面に平行でかつ斜面の上向きに向けられており、感磁部5のピニング方向およびバイアス磁石部6のバイアス磁界の着磁方向は、感磁部5の長手方向に対して30〜60度、好ましくは45度で、突起部8の斜面に平行で斜面の上向きとなっている。
また、巨大磁気抵抗素子4k、4lでは、図6に示すように、その感知軸は、感磁部5の長手方向に対して直交方向で突起部8の斜面に平行でかつ斜面の下向きに向けられており、感磁部5のピニング方向およびバイアス磁石部6のバイアス磁界の着磁方向は、感磁部5の長手方向に対して30〜60度、好ましくは45度で、突起部8の斜面に平行で斜面の下向きとなっている。
このような感知軸方向を得るためには、マグネットアレイを基板上方から接近させた状態で基板を260〜290℃で、3〜5時間加熱する加熱処理を行えばよく、これは従来のピニング処理と同様である。
通常の巨大磁気抵抗素子では、感知軸方向とピニング方向とは、ともに感磁部5の長手方向に対して直交方向で、基板表面に平行とされているが、上述のように、感知軸方向とピニング方向とを異ならせることで、巨大磁気抵抗素子の耐強磁界性が向上することになる。
図7は、上述のX軸センサ2をなす4個の巨大磁気抵抗素子2a、2b、2c、2d、Y軸センサ3をなす4個の巨大磁気抵抗素子3e、3f、3g、3hおよびZ軸センサ4をなす4個の巨大磁気抵抗素子4i、4j、4k、4lの結線方法を示すもので、各軸センサの4個の巨大磁気抵抗素子の出力をブリッジ結線したものが示されている。
このようなブリッジ結線を行うことで、図1の座標軸のX軸、Y軸、Z軸の正方向に磁界を印加した時に、それぞれのX軸センサ2、Y軸センサ3およびZ軸センサ4からの出力が増加し、逆方向に磁界を印加したときには各センサ2、3、4からの出力が低下する特性が得られることになる。
また、図1ないし図6では、図示していないが、X軸センサ2、Y軸センサ3およびZ軸センサ4を構成するすべての巨大磁気抵抗素子を含む基板1全面には、窒化ケイ素などのパッシベーション膜、ポリイミドなどの保護膜が被覆されており、外界から保護されている。
図8は、基板1に設けられたビア部の構造の例を示すもので、図8において符号21aは、ビア部を構成するアルミニウムなどからなる導体部を示し、この導体部21aは、下層の配線部に電気的に接続されている。
この導体部21aの表面の周辺部は、上述の平坦化膜22、第1のパッシベーション膜23、下地膜11で覆われている。下地膜11の端縁部は、図示のように傾斜面となっている。
さらに、導体部21aの表面の中央部分は、配線膜25で被覆されており、この配線膜25は、上述の巨大磁気抵抗素子の配線層7に接続されている。この配線膜25も配線層7と同様にバイアス磁石部6をなすマグネット膜から構成されており、バイアス磁石部6と同時に作製することができる。
この配線膜25は、図示のように、厚膜11の端縁部において、階段状の段差が形成されている。この段差部分の隅部では、プロセス上、配線膜25の厚さが薄くなって断線の恐れがある。このため、この段差部分および中央部分を覆うように、保護導体膜26が積層されている。
この保護導体膜26としては、この例では、巨大磁気抵抗素子の感磁部5をなす巨大磁気抵抗素子膜が用いられており、これによれば感磁部5の作製と同時に配線膜25上に保護導体膜26を積層できる。これによって、配線膜25の断線の恐れを回避できることになる。
さらに、このようなビア部には、窒化ケイ素などのパッシベーション膜27、ポリイミドなどの保護膜28が被覆され、外界から保護されている。
このような磁気センサにあっては、1枚の基板1に、X軸センサ2、Y軸センサ3およびZ軸センサ4が配置されているので、小型の三軸磁気センサとして機能する。また、突起部8の斜面の平坦性の良好な部分に巨大磁気抵抗素子の感磁部を形成することができ、性能のよい磁気センサが得られる。
また、ビア部の開口縁部では、そのバイアス磁石膜からなる配線膜25の上に巨大磁気抵抗素子膜からなる保護導体膜26が積層され、段差部分の隅部での配線膜25の断線が生じる恐れが少なくなる。
さらに、感磁部5のピニング方向を、感磁部5の長手方向に対して30〜60度としたことで、得られる巨大磁気抵抗素子の耐強磁界性が良好となる。
また、基板上の酸化ケイ素などからなる厚膜に複数の溝を形成し、これら溝の斜面に巨大磁気抵抗素子を設けて、Z軸センサを構成した磁気センサでは、基板全面に厚膜が残るため、基板に対して大きな応力が作用する。しかし、この磁気センサでは、突起部以外の基板全面には、厚さの薄い下地膜が残るため、応力は遥かに小さなものとなる。また、ビア部等での開口周辺部分での膜間の段差が狭くなり、この部分での配線切れの恐れも小さくなる。
つぎに、このような磁気センサの製法について説明する。
以下の説明においては、突起部8、8・・の斜面に形成されたZ軸センサ4を構成する巨大磁気抵抗素子、ビア部、パッド部の作製についで、主に説明する。
まず、基板1を用意する。この基板1には、上述のように、シリコンなどの半導体基板に磁気センサの駆動回路、信号処理回路などの半導体集積回路、配線層などが予め形成されたものである。
図9(a)に示すように、この基板1の最上層の配線層の一部をなすビア部Aのアルミニウムなどからなる導体部21aとパッド部Bのアルミニウムなどからなる導体部21bが設けられている。
この基板1上に、まず平坦化膜31を成膜する。この平坦化膜31には、例えば、プラズマCVD法による厚さ300nmの酸化ケイ素膜、厚さ600nmのSOG膜、厚さ50nmのトリエトキシシランを原料として製膜した酸化ケイ素膜を順次積層したものなどが用いられる。
次ぎに、図9(b)に示すように、ビア部A、パッド部Bの導体部21a、21b上の平坦化膜31をエッチングして取り除き、それらの導体部21a、21bを開口させる。さらに、図9(c)に示すように、基板1全面に第1のパッシベーション膜32(23)を成膜する。この第1のパッシベーション膜32(23)としては、例えば、厚さ250nmのプラズマCVD法による酸化ケイ素膜33と、厚さ600nmのプラズマCVD法による窒化ケイ素膜34との積層膜などが用いられる。
ついで、図9(d)に示すように、ビア部A、パッド部Bの導体部21a、21bの上方に堆積している窒化ケイ素膜34をエッチングして除去する。この際、酸化ケイ素膜33は残し、窒化ケイ素膜34の除去の範囲は、平坦化膜31の開口幅よりも小さくされる。このようにすることにより、ビア部Aおよびパッド部Bの開口部分において、平坦化膜31の端面が露出して、水分が配線層や半導体集積回路などに侵入することが防止される。
ついで、図10(a)に示すように、この上に厚さ5μm程度のプラズマCVD法による酸化ケイ素からなる厚膜35を形成する。この厚膜35は、後述するように、上記突起部8、8・・が形成されるものであり、図4、図8において符号11で表示した厚膜となるものである。
次ぎに、図10(b)に示すように、この厚膜35上に厚さ3μm程度のレジスト膜36を全面に形成する。ついで、このレジスト膜36の一部をエッチング処理して、除去して、レジストパターンを形成する。このレジストパターンは、突起部形成部Cの各突起部に相当する部分が開口するようにする。また、突起部形成部C以外のレジストを除去する。
つぎに、図10(c)にあるように、残っているレジスト膜36に温度150℃、時間10分程度の加熱処理を施し、レジスト膜36を溶融させる。この加熱処理によりレジストが溶融し、溶融液の表面張力に起因して、図示のように、レジスト36膜の上面が盛り上がり、同時に端面が傾斜面となる。特に、突起部形成部Cに対応する部分のレジスト膜36では、断面形状が山状となって、その高さが約5μm程度に盛り上がる。
こののち、レジストと酸化ケイ素とのエッチング選択比がほぼ1対1となるような条件でレジスト膜36と厚膜35に対してドライエッチングを行う。
このドライエッチング条件は、例えば、以下の通りである。
エッチングガスには、CF/CHF/N/Oの混合ガスを、以下の割合、60/180/10/100sccmで用いた。
処理圧力:400mトール(53.2Pa)、RFパワー:750W、電極温度:15℃、チャンバー温度:15℃
このドライエッチングの際に、図11(a)にあるように、厚膜35のうち、突起部となる部分以外の厚膜35が厚さ500nm程度残るようにし(上述の下地膜11に該当する)、ビア部Aおよびパッド部Bでは、その開口の広さがパッシベーション膜32の開口の広さよりも大きくならないようにする。
この後、厚膜35上に残っているレジスト膜36を除去する。
これにより、図11(a)に示すように、厚膜35の突起部形成部Cには、突起部8、8・・が形成され、これら突起部8、8・・以外の部分の厚膜35は、その厚さが500nm程度と薄くなって残ることになる。
さらに、図11(b)に示すように、ビア部Aの導体部21aを覆っている厚膜35および酸化ケイ素膜33を取り除き、導体部21aを露出する。
ついで、基板1全面に、巨大磁気抵抗素子のバイアス磁石部6となるマグネット膜をスパッタにより成膜し、レジストワーク、エッチングにより不要部分を除去し、図11(c)に示すように、突起部8、8・・の斜面上にバイアス磁石部6を形成し、これと同時にビア部Aの導体部21a上に配線膜25を形成し、この配線膜25と巨大磁気抵抗素子のバイアス磁石部6とを繋ぐ配線層7を形成する。
このマグネット膜には、先に述べたとおりの、例えばCo−Cr−Prなどの多層金属薄膜が用いられる。
この際に、残った厚膜35の平坦面にも、X軸センサ2、Y軸センサ3を構成する各巨大磁気抵抗素子のバイアス磁石部6とこれの配線層7も形成する。
このバイアス磁石部6の形成のためのレジストワークの際に、突起部8の斜面でのマグネット膜のエッチングを適切に行うため、パターン形成後のレジスト膜に加熱処理を施して、レジスト膜の端面を傾斜面とすることが好ましい。
ついで、この上に巨大磁気抵抗素子の感磁部5となる巨大磁気抵抗素子膜をスパッタにより全面に成膜する。この巨大磁気抵抗素子膜としては、先に述べた通りの多層金属薄膜が用いられる。
さらに、この状態の基板1をマグネットアレー上にセットして、温度260〜290℃、時間3〜5時間の熱処理を行って、巨大磁気抵抗素子膜に対して、ピニング処理を行う。このピニング処理については後述する。
こののち、巨大磁気抵抗素子膜に対してレジストワーク、エッチングを行い、不要部分を除去して、図12(a)に示すように、突起部8、8・・の斜面上に感磁部5、5・・を形成し、巨大磁気抵抗素子を作製する。これにより、Z軸センサ4が完成する。
同時にビア部Aの導体部21a上に先に形成されたマグネット膜からなる配線膜25上にも巨大磁気抵抗素子膜を残し、保護導体膜26とする。これにより図8に示すビア部Aの構造が得られる。
さらにこれと同時に残った厚膜35の平坦面にも、感磁部5を形成し、巨大磁気抵抗素子を作製する。これによりX軸センサ2と、Y軸センサ3が完成する。
ついで、図12(b)に示すように、プラズマCVD法による厚さ1μm程度の窒化ケイ素膜からなるパッシベーション膜27を成膜し、さらにこの上にポリイミドからなる保護膜28を設ける。さらに、この保護膜28、パッシベーション膜27のうち、パッド部Bにある部分を除去し、開口する。
ついで、図12(c)に示すように、保護膜28をマスクとして、エッチングを行い、パッド部Bの導体部21bを覆っているパッシベーション膜32と厚膜35を除去し、パッド部Bの導体部21bを露出させて、目的とする磁気センサとする。
図13および図14は、上述のピニング処理を具体的に示すもので、基板1に対してマグネットアレーの各磁石の配置状態を示すものである。
マグネットアレーは、基板1の巨大磁気抵抗素子が形成される面(表面)の上方に配される。
図13(a)は、基板1の表面での巨大磁気抵抗素子と、マグネットアレーの各磁石の極性の位置関係を示し、図に示した極性は基板表面に面する側のものである。
図13(b)は、図13(a)における破線Qで示した断面での磁性の位置関係を示すものである。
図13(c)は、図13(a)における破線Rで示した断面での磁性の位置関係を示したものである。
図14は、図13(b)の拡大図であって、1個の巨大磁気抵抗素子に作用する磁力線の方向をしめしたものである。
このような磁気センサの製法によれば、1枚の基板にX軸センサ2、Y軸センサ3およびX軸センサ4を作り込むことができ、しかもピア部、パッド部もレと同時に作製することができ、一連の連続したプロセスで小型の三軸磁気センサを一挙に製造することが可能になる。
本発明の磁気センサの一例を示す概略平面図である。 本発明での巨大磁気抵抗素子の例を示す概略平面図である。 本発明でのZ軸センサを構成する巨大磁気抵抗素子の例を示す概略平面図である。 本発明でのZ軸センサを構成する巨大磁気抵抗素子の例を示す概略断面図である。 本発明でのZ軸センサを構成する巨大磁気抵抗素子の例を示す概略斜視図である。 本発明でのZ軸センサを構成する巨大磁気抵抗素子の他の例を示す概略斜視図である。 本発明での各軸センサをなす巨大磁気抵抗素子の結線方法の例を示す説明図である。 本発明の磁気センサのビア部の構造の例を示す概略断面図である。 本発明の磁気センサの製法の一例を工程順に示す概略断面図である。 本発明の磁気センサの製法の一例を工程順に示す概略断面図である。 本発明の磁気センサの製法の一例を工程順に示す概略断面図である。 本発明の磁気センサの製法の一例を工程順に示す概略断面図である。 本発明の磁気センサの製法におけるピニング処理でのマグネットアレーの各磁石の配置関係を示す説明図である。 本発明の磁気センサの製法におけるピニング処理でのgmr素子に対する磁力線の方向を示す説明図である。
符号の説明
1・・基板、5・・感磁部、6・・バイアス磁石部、7・・配線層、A・・ビア部、8・・突起部、21・・導体部、28・・導体部、31・・平坦化膜、32・・パッシベーション膜、35・・厚膜、36・・レジスト膜

Claims (7)

  1. 基板上に直線の稜線を有する突起部が1以上並列して形成され、これら突起部の斜面に、感磁部とこれら感磁部を電気的に直列に接続するバイアス磁石部とからなる巨大磁気抵抗素子が設けられ、前記基板の平坦面に2個以上の巨大磁気抵抗素子が設けられ、
    前記基板にビア部が形成されており、このビア部と基板に設けられた巨大磁気抵抗素子のバイアス磁石部とが配線で接続されており、この配線がバイアス磁石部を構成するマグネット膜からなり、ビア部においては、このマグネット膜上に感磁部を構成する巨大磁気抵抗素子膜がさらに積層されていることを特徴とする磁気センサ。
  2. 前記突起部の斜面の中央部に前記感磁部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
  3. 前記巨大磁気抵抗素子の感磁部のピニング方向が、感磁部の長手方向に対して30〜60度となっていることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
  4. 前記感磁部は、稜線方向に長手方向を持つ帯状部材からなることを特徴とする請求項1記載の磁気センサ。
  5. 配線層を有する基板と、前記配線層を覆う下地膜上に並列して形成された稜線を有する突起部と、前記突起部の斜面に形成された感磁部を有する複数の巨大磁気抵抗素子と、前記下地膜上に設けられた感磁部を有する複数の巨大磁気抵抗素子とを備え、
    前記配線層の最上層には下層の配線層と接続するビア部が形成されており、前記ビア部と前記巨大磁気抵抗素子は配線部で接続され、
    前記ビア部においては、前記配線部上に感磁部を構成する巨大磁気抵抗素子膜がさらに積層されていることを特徴とする磁気センサ。
  6. 前記複数の巨大磁気抵抗素子は前記配線層によりブリッジ結線されていることを特徴とする請求項5記載の磁気センサ。
  7. 基板の最上層の配線層上に、この配線層を覆うとともに平坦面を形成する平坦化層を形成し、この平坦化層の一部を除去して、ビア部およびパッド部を露出させ、この上に上層と下層からなるパッシベーション膜を成膜したのち、ビア部およびパッド部に相当する部分の上層を除去し、
    この上に厚膜を形成し、さらにこの厚膜上にレジスト膜を形成し、
    このレジスト膜のうち、一部を除去し、残ったレジスト膜に加熱処理を施して、レジスト膜の側面を傾斜面となし、
    ついで、レジスト膜と厚膜とを、そのエッチング選択比が1:1となるエッチング条件でエッチングし、直線の稜線を有する突起部を形成すると同時にビア部およびパッド部に薄くなった厚膜を残し、
    ついで、ビア部の中央部分に残った厚膜とパッシベーション膜の下層を除去して、ビア部の導体部を露出させ、
    次ぎに、残った厚膜の平坦面と前記突起部の斜面ならびに頂部または底部に巨大磁気抵抗素子のバイアス磁石部を形成するとともにこの巨大磁気抵抗素子のバイアス磁石部とビア部の導体部とを接続する配線を形成し、この上に巨大磁気抵抗素子膜を成膜したのち、基板をマグネットアレー上に置いて熱処理を施し、
    ついで、巨大磁気抵抗素子膜の一部をエッチングにより除去して、残った厚膜の平坦面および突起部の斜面に巨大磁気抵抗素子の感磁部を形成するとともにビア部にも巨大磁気抵抗素子膜を残し、この上にパッド部を残して保護膜を成膜したのち、パッド部を覆う厚膜とパッシベーション膜の下層を除去してパッド部の導体部を露出することを特徴とする磁気センサの製法。
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