JP4977955B2 - ニンニク用の包装袋、ニンニクの包装体及びニンニクの保存方法 - Google Patents
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Description
ニンニクを貯蔵した場合の問題点の一つに10月ごろから発生する発芽、発根が挙げられる。ニンニクは、9月頃まで休眠しているが、夏場の高温を経ることで休眠が破れて、10月頃になると発芽、発根し始める。貯蔵時の雰囲気の温度が0〜15℃になると発芽が活発であり、特に10℃付近では顕著である。また、休眠が破れたニンニクを常温で保管していると、ニンニクの重量減少が起こり、ニンニクに萎れなどが発生し商品価値が著しく低下する。従って、発芽・発根を防止するため、従来は発芽防止剤を用いて防止していたが、近年、この薬品が使用されなくなり、−2℃程度の低温貯蔵、加熱、CA(Controlled Atmosphere)貯蔵といった代替方法が用いられるようになってきた。しかし、これらの方法では、出庫後の発芽、発根防止効果が得られない、専用の大型の低温貯蔵設備が必要である、加熱によってニンニクが傷んでしまうといった問題があった。
更に好ましい形態としては、包装袋内の酸素濃度が、0.05〜1%であり、ニンニク100gあたりの包装袋の酸素透過速度が20〜100cc/100g・day・atmであるニンニク用の包装袋であり、包装袋の水蒸気透過度が、50〜1000g/m2・day(40℃、90%RH)であり、ニンニク100gあたりの包装袋の水蒸気透過度が、1〜50g/100g・dayであり、包装袋が合成樹脂フィルム又は半合成樹脂フィルムであり、合成樹脂フィルムが、ポリスチレン、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ乳酸系樹脂の中から選ばれるフィルムであり、半合成樹脂フィルムがセロハンであり、包装袋が、1個あたりの開口面積が0.075mm2以下である貫通孔、或いは貫通或は非貫通の傷又はクラック、或いは長さ5mm以下の切れ込みを有するニンニク用の包装袋である。
上記のニンニク用の包装袋を用いてニンニクを包装するニンニクの包装体である。
また、ニンニクを包装したニンニクの包装体を0〜15℃の温度で貯蔵するニンニクの保存方法であり、ニンニクを包装した後、低温保存の前に予措処置を行うニンニクの保存方法である。
包装袋内の酸素濃度及び二酸化炭素濃度は、ニンニクを包装後30日以内の包装袋内の濃度を示しており、30日以内にこれらの濃度に達するものであれば良い。好ましくは15日以内にこれらの濃度に達していれば良く、更に7日以内がより好ましい。
包装体内の二酸化炭素濃度は、4〜40%が好ましい。二酸化炭素濃度が4%未満では、発芽、発根防止効果が若干小さくなる可能性があり、40%を越える濃度で長期間保管すると炭酸ガス障害によって、ニンニクが死ぬ可能性がある。
また、ニンニク100gあたりの包装袋の水蒸気透過度は、1〜50g/100g・dayであることが好ましい。水蒸気透過度が本範囲内にあると、包装体内が蒸れてニンニクにカビが発生するのを効果的に防止できる可能性がある。常温でニンニクを保存する場合には、ニンニク100gあたりの包装袋の水蒸気透過度は4〜50g/100g・dayであることがより好ましい。この範囲であると貯蔵中におけるニンニクの重量減少をより少なくできる可能性がある。
微細孔に関しては、1個の開口面積が、0.075mm2より大きいと、穴が目立つようになることと、包装体あたりの孔数が少なくなって酸素透過速度のばらつきが大きくなる可能性がある。貫通あるいは非貫通の傷及びクラックに関しては、微細孔よりも加工1ヶ所あたりの酸素透過速度の制御はより困難であるため、1cm2あたり1ヶ所以上の加工を施すことが好ましい。また、切れ込みは、その長さが5mm以下であるのは、5mm以上では、酸素等加速度が大きくなりすぎて、包装体の酸素透過速度の制御が困難になる可能性があるためである。
また、これらのフィルムは、本発明の条件を満たす範囲内であれば、その他の樹脂をブレンドしたものや積層、印刷、或いは防曇剤の塗布や練りこみ等を行ったものでも良い。
また、含水率を減らしてニンニクの保存性を向上させるために予措乾燥を行うことが好ましく、本発明の包装袋を用いることにより、包装後に予措乾燥を行っても良いことを見出した。
《参考例1》
厚さ25μmの防曇処理を施したナイロンフィルム(水蒸気透過度108g/m2・day)を用い、内寸140×180mmの溶断袋を作製した。袋には、開口面積3.85×10-3mm2の微細孔2個をあけ、青森県産ニンニク(約70g/個)2個を入れてヒートシールで密封し、10℃で30日間保管した。なお、全ての実施例と比較例に用いたニンニクは、7月に収穫したものを常温で保管し、その年の10月に試験を実施し、また、加熱等の処理は行わなかった。このときの、ニンニク100gあたりの水蒸気透過度と酸素透過度、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度と二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表1に示す。
《参考例2》
厚さ25μmの防曇処理を施したポリ乳酸フィルム(水蒸気透過度320g/m2・day)を用い、内寸140×180mmの三方シール袋(シール幅10mm)を作製した。袋には、開口面積3.85×10-3mm2の微細孔1個をあけ、青森県産ニンニク(約70g/個)2個を入れてヒートシールで密封し、10℃で30日間保管した。このときの、ニンニク100gあたりの水蒸気透過度と酸素透過度、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度と二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表1に示す。
《参考例3》
厚さ42μmの防曇処理を施したナイロンとエチレン-酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル20%)のラミネートフィルム(水蒸気透過度90g/m2・day)を用い、内寸140×180mmの三方シール袋(シール幅10mm)を作製した。袋には、開口面積3.85×10-3mm2の微細孔2個をあけ、青森県産ニンニク(約70g/個)2個を入れてヒートシールで密封し、10℃で30日間保管した。このときの、ニンニク100gあたりの水蒸気透過度と酸素透過度、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度と二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表1に示す。
《参考例4》
厚さ25μmの防曇処理を施したポリ乳酸フィルム(水蒸気透過度320g/m2・day)を用い、内寸140×180mmの三方シール袋(シール幅10mm)を作製した。袋には、開口面積3.85×10-3mm2の微細孔2個をあけ、青森県産ニンニク(約70g/個)2個を入れてヒートシールで密封し、20℃で30日間保管した。このときの、ニンニク100gあたりの水蒸気透過度と酸素透過度、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度と二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表1に示す。
厚さ25μmの防曇処理を施したポリ乳酸フィルム(水蒸気透過度320g/m2・day)を用い、内寸140×150mmの三方シール袋(シール幅10mm)を作製した。これに、青森県産ニンニク(約70g/個)1個を入れてヒートシールで密封し、10℃で30日間保管した。このときの、ニンニク100gあたりの水蒸気透過度と酸素透過度、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度と二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表1に示す。
《実施例6》
厚さ25μmの防曇処理を施したナイロンフィルム(水蒸気透過度108g/m2・day)を用い、内寸200×350mmの溶断袋を作製した。袋には、開口面積3.85×10-3mm2の微細孔3個をあけ、青森県産ニンニク(約70g/個)15個を入れてヒートシールで密封し、5℃で30日間保管した。このときの、ニンニク100gあたりの水蒸気透過度と酸素透過度、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度と二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表1に示す。
《参考例5》
厚さ25μmの防曇処理を施したナイロンフィルム(水蒸気透過度108g/m2・day)を用い、内寸140×180mmの溶断袋を作製した。袋には、開口面積3.85×10-3mm2の微細孔2個をあけ、青森県産ニンニク(約70g/個)3個を入れてヒートシールで密封し、14℃で30日間保管した。このときの、ニンニク100gあたりの水蒸気透過度と酸素透過度、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度と二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表1に示す。
《参考例6》
厚さ25μmの防曇処理を施したポリ乳酸フィルム(水蒸気透過度320g/m2・day)を用い、内寸140×180mmの三方シール袋(シール幅10mm)を作製した。袋には、開口面積(穴径70μm)3.85×10-3mm2の微細孔3個をあけ、青森県産ニンニク(約70g/個)2個を入れてヒートシールで密封し、25℃で30日間保管した。このときの、ニンニク100gあたりの水蒸気透過度と酸素透過度、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度と二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表1に示す。
青森県産ニンニク(約70g/個)をダンボール箱(幅13cm×長19cm×高12cm)に入れて、10℃で30日間保管した。このときの、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度と二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表2に示す。
《比較例2》
厚さ30μmの防曇処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用い、内寸140×180mmの三方シール袋(シール幅10mm)を作製した。袋にはに開口面積(穴径5mm)19.6mm2の穴8個をあけ、青森県産ニンニク(約70g/個)2個を入れてヒートシールで密封し、10℃で30日間保管した。このときの、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度、二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表2に示す。
《比較例3》
保管温度が20℃である以外は、比較例1と同様にニンニクを30日間保管した。このときの、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度と二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表2に示す。
《比較例4》
保管温度が20℃である以外は、比較例2と同様にニンニクを30日間保管した。このときの、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度と二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表2に示す。
厚さ25μmの防曇処理を施したナイロンフィルム(水蒸気透過度108g/m2・day)を用い、内寸140×180mmの溶断袋を作製した。袋には、微細孔等の加工を施さず、青森県産ニンニク(約70g/個)2個を入れてヒートシールで密封し、20℃で30日間保管した。このときの、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度、二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表2に示す。
《比較例6》
厚さ25μmの防曇処理を施したナイロンフィルム(水蒸気透過度108g/m2・day)を用い、内寸140×180mmの溶断袋を作製した。袋には、開口面積3.85×10-3mm2の微細孔4個をあけ、青森県産ニンニク(約70g/個)2個を入れてヒートシールで密封し、10℃で30日間保管した。このときの、ニンニク100gあたりの水蒸気透過度と酸素透過度、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度と二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表2に示す。
《比較例7》
厚さ40μの防曇処理を施した二軸延伸ポリプロピレンフィルム(水蒸気透過度3.8g/m2・day)を用い、内寸200×350mmの三方シール袋(シール幅10mm)を作製した。袋には、微細孔等の加工を施さず、青森県産ニンニク(約70g/個)15個を入れてヒートシールで密封し、10℃で30日間保管した。このときの、ニンニク100gあたりの水蒸気透過度と酸素透過度、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度と二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表2に示す。
《比較例8》
厚さ25μmの防曇処理を施したナイロンフィルム(水蒸気透過度108g/m2・day)を用い、内寸140×180mmの溶断袋を作製した。袋には、開口面積3.85×10-3mm2の微細孔3個をあけ、青森県産ニンニク(約70g/個)4個を入れてヒートシールで密封し、20℃で30日間保管した。このときの、ニンニク100gあたりの水蒸気透過度と酸素透過度、15日目と30日目の包装体内の酸素濃度と二酸化炭素濃度、ニンニクの発芽、発根、カビ、異臭、内部変色などの評価結果及び重量減少を表2に示す。
Claims (8)
- 0〜15℃の温度条件でニンニクを貯蔵するニンニク用の包装袋において、ニンニク100gあたりの包装袋の酸素透過速度が20〜100cc/100g・day・atmであり、ニンニクを包装した後、包装袋内の酸素濃度が0.3〜1%、二酸化炭素濃度が8.9〜19.4%であるニンニク用の包装袋を用いてニンニクを包装し、包装されたニンニクを0〜15℃の温度条件で貯蔵することを特徴とするニンニクの保存方法。
- 包装袋の水蒸気透過度が、50〜1000g/m2・day(40℃、90%RH)である請求項1に記載のニンニクの保存方法。
- ニンニク100gあたりの包装袋の水蒸気透過度が、1〜50g/100g・dayである請求項1に記載のニンニクの保存方法。
- 包装袋が合成樹脂フィルム又は半合成樹脂フィルムである請求項1に記載のニンニクの保存方法。
- 合成樹脂フィルムが、ポリスチレン、ナイロン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ乳酸系樹脂の中から選ばれるフィルムである請求項4に記載のニンニクの保存方法。
- 半合成樹脂フィルムがセロハンである請求項4に記載のニンニクの保存方法。
- 包装袋が、1個あたりの開口面積が0.075mm2以下である貫通孔、或いは貫通或は非貫通の傷又はクラック、或いは長さ5mm以下の切れ込みを有する請求項1に記載のニンニクの保存方法。
- ニンニクを包装した後、低温保存の前に予措処置を行う請求項1に記載のニンニクの保存方法。
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