JP4973411B2 - インストルメントパネルの製造方法 - Google Patents
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Description
成形後のインストルメントパネルの開口部には、例えば、メータパネル、グローブボックス、ナビゲーションシステムのモニタ、エアコンのデフロスタやレジスタ等の別体取付部材が取付けられる。
この特許文献1の真空成形法は、インストルメントパネル基材210を基材用真空吸引型251に取付け、凸状部260を備えた表皮用真空吸引型252との型締めにより、表皮220をインストルメントパネル基材210に接着している。凸状部260では、図10及び図11に示すように、表皮用真空吸引型252に形成したガイド261内をスライドコア262が水平方向スライドできるようになっている。
基材用真空吸引型251と表皮用真空吸引型252との型締めでは成形が困難なデフロスタ収容部208では、基材用真空吸引型251と表皮用真空吸引型252との型締め前に、スライドコア262をインストルメントパネル基材210に向けてスライドさせ、表皮220を、インストルメントパネル基材210の周壁用アンダーカット部211に被覆している。その後、基材用真空吸引型251と表皮用真空吸引型252とを型締めし、表皮用真空吸引型252の吸引口と、基材用真空吸引型251及びインストルメントパネル基材210の吸気路とを通じて、表皮220を吸引している。表皮220の吸引は、インストルメントパネルのコーナー部に、表皮にだれが生じるのを防ぐ目的で行われている。
すなわち、開口部の外縁がシャープエッジな形状になっていると、別体取付部材が取付けられたインストルメントパネルにおいて、開口部の外縁と別体取付部材の稜線とが2本並んだ形態になる。また、サイドカバー部の外縁がシャープエッジな形状になっていると、運転席に乗車しようとする人が運転席側のドアを開いた際、インストルメントパネルの車幅方向端部の稜線が1本線条にはっきりと表れる。このため、乗車する人は、このような外縁の形態について美感を持って見えるようになる。
サイドカバー部の外縁は、インストルメントパネル基材の角部を覆う表皮がほぼシャープエッジな形状に被覆してなる。
このため、参照するサイドカバー部5の外縁5aでは、表皮20は、シャープエッジな形状にならない問題があった。
(1)基材側成形型と表皮側成形型との型締めと、補助成形型による押圧とにより、表皮の固着面を、基材側成形型で保持されたインストルメントパネル基材の表面に被覆し密着させるインストルメントパネルの製造方法において、前記インストルメントパネル基材に前記表皮が被覆する表皮被覆部のうち、前記補助成形型で押圧して、前記表皮の一部が、前記インストルメントパネル基材の角部に被覆する角部表皮被覆部の成形にあたり、前記表皮側成形型及び前記補助成形型の少なくともいずれかに形成された吸引孔を通じて、前記表皮の一部を外部から吸引する角部表皮被覆部吸引工程を備えること。
すなわち、本発明のインストルメントパネルの製造方法は、基材側成形型と表皮側成形型との型締めと、補助成形型による押圧とにより、表皮の固着面を、基材側成形型で保持されたインストルメントパネル基材の表面に被覆し密着させるインストルメントパネルの製造方法であって、インストルメントパネル基材に表皮が被覆する表皮被覆部のうち、補助成形型で押圧して、表皮の一部が、インストルメントパネル基材の角部に被覆する角部表皮被覆部の成形にあたり、表皮側成形型及び補助成形型の少なくともいずれかに形成された吸引孔を通じて、表皮の一部を外部から吸引する角部表皮被覆部吸引工程を備えているので、角部表皮被覆部に被覆する表皮の一部が、表皮の固着面の反対側から、表皮側成形型及び補助成形型の少なくともいずれかに形成された吸引孔を通じて、吸引できるようになる。
これにより、角部表皮被覆部における表皮は、基材側成形型、表皮側成形型及び補助成形型から開放された後でも、表皮の面方向にだれることなく、シャープエッジな形状のまま硬化し、インストルメントパネル基材の角部に被覆して密着する。
したがって、角部表皮被覆部において、真空成形法により、インストルメントパネル基材の角部に表皮がシャープなエッジ形状で密着したインストルメントパネルが得られる。
図1は、本実施形態に係るインストルメントパネル1の平面図である。図2は、図1に示すインストルメントパネルのA−A矢視断面図である。図3は、インストルメントパネル1を構成する表皮20を示す断面図であり、インストルメントパネル基材10に被覆する前の様子を示す図である。
なお、図1中左右方向がインストルメントパネル1の長手方向PL、図1中上下方向が幅方向PLであり、図2〜図9において図示した長手方向PLは、図1に示した長手方向PLに基づくものとする。
サイドカバー部5は、本体部2と同様、インストルメントパネル基材10と表皮20とからなる。このサイドカバー部5は、図1及び図2に示すように、インストルメントパネル基材10の表面10aに沿って表皮20(ドットハッチの部分)を被覆し密着させた、表皮被覆部3のうちの角部表皮被覆部6を有している。このインストルメントパネル1のサイドカバー部5は、後に詳述するように、真空成形法により、基材側成形型51、表皮側成形型52及び補助成形型53でインストルメントパネル基材10と表皮20とを挟着して一体に成形される。
なお、インストルメントパネル基材10の厚み方向THの厚さは、本実施形態では、3(mm)となっているが、凸部12が形成されたところでは、3(mm)よりも厚みが大きくなっている。
なお、表皮20の厚みtは、表皮20をインストルメントパネル基材10に被覆する前の状態において、本実施形態では、表面部材21が厚さ1(mm)、発泡層22が厚さ4(mm)で、表皮20全体で厚みt=5(mm)となっている。
また、このサイドカバー部5の外縁5aでは、インストルメントパネル基材10の角部11に被覆した表皮20(表皮外縁部20T)は、シャープエッジな形状となっており、ドアを開けて運転席に乗車しようとする人から見ると、外縁5aにおける表皮20の稜線ILが、はっきり表れている(図1参照)。
インストルメントパネル1の製造には、本実施形態では、真空成形装置50が用いられる。そこで、まず真空成形装置50について簡単に説明する。
真空成形装置50は、いずれも型開閉方向VL(図4〜図9中、上下方向)に昇降可能な基材側成形型51及び表皮側成形型52と、長手方向PLに移動可能な補助成形型53とを有している。また、真空成形装置50は、長手方向PLにテンションをかけて表皮20を保持する複数のクランプ具55と、複数のヒータ56とを備えている。
基材側成形型51及び表皮側成形型52は、真空成形装置50の昇降機構に装着されており、図4に示す型開き位置と図6等に示す型締め位置との間を移動する。
したがって、インストルメントパネル1の本体部2では、基材側成形型及び表皮側成形型の型形状は、図4〜図9に示す型形状とは異なっている。また、本体部2の成形にあたり、本体部2の中には、補助成形型53のような、補助的な成形型を用いず、基材側成形型及び表皮側成形型だけで成形するところもある。その一方で、補助的な成形型と共に基材側成形型及び表皮側成形型で成形するところもあり、この補助的な成形型の型面に、表皮を吸引できる吸引孔を必要に応じて設けるようにしても良い。
インストルメントパネル1のサイドカバー部5の製造工程にあたり、インストルメントパネル基材10は、予め所定形状に1次成形されており、基材側成形型51にセットされる。一方、表皮20は、図3に示すような所定サイズに裁断された後、クランプ具55によって把持され、所定位置に保持された状態で、ヒータ56によって意匠面20a側と固着面20bとの両側から加熱される(図4の状態)。そして、表皮20が、加熱により軟化した状態になると、ヒータ56は、待機位置に移動する。
次に、基材側成形型51を所定位置まで上昇させ、インストルメントパネル基材10の表面10aを表皮20の固着面20bに被覆した後、表皮側成形型52を下降させる。すると、図6に示すように、インストルメントパネル基材10の表面10a(一般面11a)が表皮20の固着面20bに当接した後、表皮側成形型52の表皮側成形型面52aが意匠面20aに当接する。
次いで、基材側成形型51と表皮側成形型52との型締めと、補助成形型53の押圧による型締めを行う。これにより、表皮20の固着面20bとインストルメントパネル基材10の表面10aとが貼着し、密着した角部表皮被覆部6が、成形空間50S内で得られる。
具体的には、表皮20の意匠面20aが補助成形型53の補助成形型面53aに接した状態で、表皮20を、その意匠面20a側から、表皮側成形型52の吸引孔52Hから補助成形型53の吸引孔53Hを通じて吸引する。さらに具体的には、表皮20のうち、一般面11aとアンダーカット面11bとの接続部11C(図2参照)を被覆する表皮外縁部20Tを、所定時間(例えば5秒間)、所定の真空圧力値で吸引する。
これにより、インストルメントパネル1のサイドカバー部5の外縁5aでは、表皮外縁部20T(表皮20)は、例えば、角エッジまたは微小R形状等のシャープエッジ形状に成形されると共に、表皮外縁部20T(表皮20)の意匠面20aにシボ転写が行われる。
基材側吸引工程では、図9に示すように、角部表皮被覆部6の表皮20を、その固着面20b側から基材側成形型51及びインストルメントパネル基材10の通気孔(いずれも図示せず)を通じて吸引する。具体的には、吸引装置により、基材側成形型51の微小孔及びインストルメントパネル基材10の微小通気孔を通じて、所定時間(例えば9.5秒間)、所定の真空圧力値で、表皮20を、その固着面20b側から吸引する。
かくして、インストルメントパネル1のサイドカバー部5の成形が完了する。
これにより、表皮20は、基材側成形型51、表皮側成形型52及び補助成形型53から開放された後でも、表皮20の面方向にだれることなく、シャープエッジな形状のまま硬化し、インストルメントパネル基材10の角部11に被覆して密着する。
したがって、角部表皮被覆部6において、真空成形法により、インストルメントパネル基材10の角部11に表皮20(表皮外縁部20T)がシャープなエッジ形状で密着したインストルメントパネル1が得られる(図2参照)。
これにより、表皮外縁部20T(表皮20)がインストルメントパネル基材10の凸部12に沿って、この凸部12と一体に密着することができるようになる。
また、本実施形態では、表皮側成形型52に吸引孔52Hが形成されているので、補助成形型53の吸引孔53Hを、表皮側成形型52の吸引孔52Hと連通させるだけで、補助成形型53の吸引孔53Hを通じた真空引きが簡単にできるようになる。
例えば、本実施形態では、補助成形型53の補助成形型面53aに形成した吸引孔53Hを、吸引装置に接続する表皮側成形型52の吸引孔52Hに連通させて、この吸引孔52Hから吸引できるように構成した。しかしながら、補助成形型の型面に形成した吸引孔は、表皮側成形型を介さず、吸引装置から直接吸引する構成でも良い。
IL 稜線
3 表皮被覆部
6 角部表皮被覆部
10 インストルメントパネル基材
10a (インストルメントパネル基材の)表面
11 (インストルメントパネル基材の)角部
11C 接続部
12 凸部
20 表皮
20a (表皮の)意匠面
20b (表皮の)固着面
20T 表皮外縁部
50S 成形空間
51 基材側成形型
52 表皮側成形型
52H (表皮側成形型の)吸引孔
53 補助成形型
53a (補助成形型の)補助成形型面(型面)
53H (補助成形型の)吸引孔
Claims (4)
- 基材側成形型と表皮側成形型との型締めと、補助成形型による押圧とにより、表皮の固着面を、基材側成形型で保持されたインストルメントパネル基材の表面に被覆し密着させるインストルメントパネルの製造方法において、
前記インストルメントパネル基材に前記表皮が被覆する表皮被覆部のうち、
前記補助成形型で押圧して、前記表皮の一部が、前記インストルメントパネル基材の角部に被覆する角部表皮被覆部の成形にあたり、
前記補助成形型に形成された吸引孔を通じて、前記表皮の一部を外部から吸引する角部表皮被覆部吸引工程を備えること、
前記インストルメントパネル基材の角部の稜線に凸部が形成されていること、
前記凸部は、一般面と、この一般面からほぼ直角状に折れて延びるアンダーカット面とを有していること、
前記補助成形型は、前記基材側成形型と前記表皮側成形型との間に配設され、前記一般面から前記アンダーカット面にかけて前記表皮を被覆する略L字型状の補助成形型面を有していること、
前記吸引孔が、前記補助成形型面のR形状部に形成されていることを特徴とするインストルメントパネルの製造方法。 - 請求項1に記載のインストルメントパネルの製造方法において、
前記角部表皮被覆部吸引工程の後、前記角部表皮被覆部の前記表皮を、その前記固着面側から前記基材側成形型及び前記インストルメントパネル基材の通気孔を通じて吸引する基材側吸引工程を備えることを特徴とするインストルメントパネルの製造方法。 - 請求項2に記載のインストルメントパネルの製造方法において、
前記角部表皮被覆部吸引工程と前記基材側吸引工程との間に、前記基材側成形型、前記表皮側成形型及び前記補助成形型からなる成形空間における真空圧力値を大気圧の圧力値に戻す圧力値還元工程を備えることを特徴とするインストルメントパネルの製造方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のインストルメントパネルの製造方法において、
前記表皮は、前記固着面とは反対側に意匠面を有し、
前記角部表皮被覆部吸引工程では、
前記表皮を、その意匠面が前記補助成形型の型面に接した状態で、前記意匠面側から吸引することを特徴とするインストルメントパネルの製造方法。
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