JP4973102B2 - 積層体および紙製容器 - Google Patents
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Description
このような紙製容器のためのブランクシートとして、熱可塑性樹脂を熱溶融させて紙基材の全面にコーティングしたものや、紙基材と熱可塑性樹脂フィルムとを接着剤等で部分的に接着させたものがある。
したがって、本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、紙製容器に加工した際に容器の縁に人間の指が入る程度の熱可塑性樹脂層を剥がす切っ掛け部分が存在し、紙製容器の使用後に人間の力程度で熱可塑性樹脂層を容易に剥離させることができ、且つブランクシートの形状に依って接着部分の位置を変更する必要がない積層体を提供することを目的とする。
上記接着領域は、上記平行直線群に直交する平行直線群上に更に配置されていることが好ましい。
上記接着領域は、主接着領域と主接着領域よりも面積の小さい補助接着領域とから構成され、主接着領域と補助接着領域との面積比が2:1〜4:1であることが好ましい。
図1に示すように、本発明に係る積層体は、紙基材1上に熱可塑性樹脂層2が積層された長方形の積層体である。そして、この紙基材1と熱可塑性樹脂層2とを剥離可能に接着する接着領域3が積層体の全面にわたって点在し、それぞれの接着領域3は、最も近い他の接着領域3との間に所定の長さLの非接着領域4が存在するように、長方形の一辺5に対してα傾斜した仮想的な平行直線群6上に配置されている。ここで、それぞれの接着領域3と最も近い他の接着領域3との間に存在する非接着領域4の長さLは12mm〜40mmであることが必要である。また、長方形の一辺5に対する仮想的な平行直線群6の傾斜角度αは少なくとも3°(45°以下)であることが必要であり、紙製容器の大きさや形状に応じて3°〜45°の範囲で適宜決定すればよい。このように、長方形の一辺5に対してα傾斜した平行直線群6上に接着領域3を配置することで、積層体をブランクシートに加工した際にブランクシートの端辺(特に、長方形の一辺5に平行または垂直なブランクシートの端辺)の近傍に接着領域3を残すことができる。これに対し、図2に示すような傾斜しない平行直線群6’(長方形の一辺5と平行な直線群)上に接着領域3を配置した積層体では、積層体をブランクシートに加工した際に傾斜しない平行直線群6’のピッチ程度の非接着領域4がブランクシートの端辺(特に、長方形の一辺5に平行または垂直なブランクシートの端辺)の近傍に存在することがあり、この部分から熱可塑性樹脂フィルムが意図せず剥離し易くなる。これら長さLおよび傾斜角度αのいずれか一方でも上記範囲外であると本発明の効果を奏さない。非接着領域4の長さLは、好ましくは15mm〜30mmである。
図1に示す積層体では、平行直線群6のピッチを一定とし且つ接着領域3を平行直線群6上に等間隔で配置しているが、それぞれの接着領域3と最も近い他の接着領域3との間に存在する非接着領域4の長さLが12mm〜40mmであれば、平行直線群6のピッチを一定にしなくてもよいし、平行直線群6上で等間隔に配置しなくてもよい。また、図1に示す積層体では、平行直線群6の傾斜角度αの基準となる一辺5を長方形の長辺としたが、長方形の短辺としても同様の効果を得ることができる。なお、積層体がロール状に巻回されたものである場合も、ロール状積層体の両側辺のいずれか一方を平行直線群6の傾斜角度αの基準となる一辺とすれば同様の効果を得ることができる。なお、積層体がロール状に巻回されたものである場合も、ロール状積層体の両側辺のいずれか一方を平行直線群6の傾斜角度αの基準となる一辺とすれば同様の効果を得ることができる。
オレフィン系熱可塑性樹脂の押出コーティングにより接着領域3を形成する場合、非接着領域4は、紙基材の平滑化加工表面上に非接着印刷層を予め形成しておくことで接着領域3と共に形成することができる。つまり、押出コーティングによる形成方法では、非接着印刷層が形成されていない部分である紙基材1の平滑化加工が施された表面と、オレフィン系熱可塑性樹脂層とは剥離可能に接着されており、非接着印刷層とオレフィン系熱可塑性樹脂層とは接着されていない状態となっている。
また、接着領域3の剥離強度は、0.049N/15mm幅以上であることが好ましい。剥離強度がこの値未満であると、積層体の製造時および加工時に、紙基材と熱可塑性樹脂との接着が不十分な場合がある。適切な剥離強度は、接着領域3と非接着領域4により形成される模様および加工される容器の種類によって異なるため適宜決定する。剥離強度は、接着剤の塗布により接着領域3を形成する場合には、接着剤の種類を変えることによって適宜増減することができ、オレフィン系熱可塑性樹脂の押出コーティングにより接着領域3を形成する場合には、オレフィン系熱可塑性樹脂の種類、押出コーティングの加工条件等を変化させることによって適宜増減することができる。
また、紙基材1の坪量は特に限定されるものではなく、積層体を用いた製品の形態に応じて適宜決定すればよい。
まず、接着領域3の形成方法として接着剤の塗布を採用する場合の積層体の製造方法について説明する。まず紙基材1または熱可塑性樹脂層2となる熱可塑性樹脂フィルムの表面上に、グラビア印刷、スクリーン印刷等で、弱接着剤、粘着剤、ホットメルト等を部分的に塗布し、紙基材1と熱可塑性樹脂フィルムとを重ね合わせてロール間で圧着もしくは熱ラミネートすることにより積層体が得られる。
また、上記ではオレフィン系熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを使用した場合の押出コーティング加工条件について説明したが、他のオレフィン系熱可塑性樹脂においても樹脂の性状に応じて加工条件を適宜設定することができる。
<実施例1>
まず、片面がクレーで平滑化加工された紙基材である坪量320g/m2の板紙(NEWウルトラH;日本大昭和板紙(株))の表面、すなわちクレーがコートされた面(ベック式平滑度265秒)に硝化綿を主成分とする剥離用印刷インキ(CP−2K:大日精化工業(株)製)を、版深が30μmのパターン版を用いてグラビア印刷を行い、図4に示すような主接着領域、補助接着領域および非接着領域の配置となるように非接着印刷層を形成した。
Claims (6)
- 紙基材上に少なくとも熱可塑性樹脂層が積層された長方形の積層体であって、
紙基材と熱可塑性樹脂層とを剥離可能に接着する接着領域が積層体の全面にわたって点在し、それぞれの接着領域は、最も近い他の接着領域との間に12mm〜40mmの非接着領域が存在するように、長方形の一辺に対して3°〜45°傾斜し且つ最も近い接着領域同士を結ぶ直線状の平行直線群上に配置されており、接着領域は、紙基材の平滑化加工表面上にオレフィン系熱可塑性樹脂を押出コーティングすることにより形成され、且つ非接着領域は、紙基材の平滑化加工表面上に形成された非接着印刷層上にオレフィン系熱可塑性樹脂を押出コーティングすることにより形成されることを特徴とする積層体。 - 前記接着領域が、前記平行直線群に直交する平行直線群上に更に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記接着領域が、主接着領域と主接着領域よりも面積の小さい補助接着領域とから構成され、主接着領域と補助接着領域との面積比が2:1〜4:1であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体。
- 前記平滑化加工表面は、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、二酸化チタンまたは沈降性炭酸カルシウムを含む表面コート剤を前記紙基材に塗布することにより形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の積層体。
- 請求項1〜4の何れか一項に記載の積層体を加工してなることを特徴とする紙製容器。
- 熱可塑性樹脂層が前記容器の少なくとも内面になるように加工されていることを特徴とする請求項5に記載の紙製容器。
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