以下、図面を参照して本発明の紙容器について説明する。
このうち、図1は本発明の紙容器の外観を示す斜視図、図2は本発明の紙容器の積層材を示す断面図、図3は本発明の紙容器のブランク材を示す平面図、図4は本発明の紙容器の剥離片の取付例の第一の例を示す平面図、図5は本発明の紙容器の剥離片の取付例の第ニの例を示す平面図、図6は本発明の紙容器の剥離片の取付例の第三の例を示す平面図、図7は本発明の紙容器の剥離片の取付例の第四の例を示す平面図、図8は本発明の紙容器の剥離片の取付例の第五の例を示す平面図、図9は本発明の紙容器の剥離片の取付例の第六の例を示す平面図である。
本発明による紙容器、例えばゲーベルトップ型紙容器について説明する。
図1に示すように、紙容器10はゲーベルトップ型の紙容器10であって、紙を主体とする積層材100によって形成され、上部20と、4側面からなる四角筒状の胴部30と、四角形状の底部50とを有する。上部20は、一対の切妻屋根部22,24と、切妻屋根部22,24間に位置するとともに切妻屋根部間に折込まれる一対の妻屋根部21,23とを有する。
このようなゲーベルトップ型の紙容器10において、切妻屋根部22と切妻屋根部24の上端部の接着部を外側に開いてシールを剥がし、妻屋根部を外側に折り返すことにより紙容器10内から飲料等の内容物を取出すことができる。
妻屋根部21,23は、図3に示すように、二等辺三角形で構成される底面部と、直角三角形で構成される左上面部,右上面部とを有する。そして、妻屋根部23の底面部には易剥離層がパターンコートされた領域4Xと矩形状の剥離片70が形成され、剥離片70は点線からなる第1のハーフカット線70aと連続した線からなる第2のハーフカット線70bで構成されている。ユーザーは剥離片70を剥離し、応募券やクーポン券等として使用することができる。
本発明の紙容器の積層材100は、図2(a)に示すように、少なくとも外面側から、印刷層1、紙層2、熱可塑性樹脂層3が順次積層されたものである。ここで、外面側とは、紙容器を製函したときに外側になる面を指す。また、図2(b)に示すように、易剥離層がパターンコートされた領域4Xは、紙層2と熱可塑性樹脂層3との間に易剥離層4が積層されている。更に、第1のハーフカット線70aと第2のハーフカット線70bが印刷層1から紙層2まで形成されている。
印刷層1は、絵柄や商品情報の文字等を印刷するための層である。後述する隠された情報が印刷された印刷層が印刷されない場合は、印刷層1の剥離片70の領域内に、応募券やクーポン券等の内容が印刷される。
紙層2は主強度材であり、紙層を構成する紙材としては、コートボール等の板紙、純白ロール紙、ミルクカートン原紙、コート紙、クラフト紙、加工紙等の公知の紙を用いることができる。紙材の坪量は、紙容器の形態に応じて適宜決定すればよいが、主に80g/m2〜600g/m2であり、100g/m2〜450g/m2のものを用いることが好ましい。また、厚みは、主に110μm〜860μmであり、140μm〜640μmのものを用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂層3は、ヒートシールできる熱可塑性樹脂であればよく、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−メチルエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メタアクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−マレイン酸共重合体等を用いることができる。その中でも、低温シール性、透明性、加工適性という観点から、ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが好ましい。また、熱可塑性樹脂層3の厚さは、30μm〜60μmであることが好ましい。
紙層2と熱可塑性樹脂層3の間に中間層を積層してもよい。中間層としては、強度向上層や、水蒸気やその他のガスバリア層等を用いることができる。強度向上層としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステルの二軸延伸フィルムのほか、ナイロン6、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)等のポリアミドの二軸延伸フィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、紙等を使用することができる。紙としては、紙層2と同じものを使用することができる。また、ガスバリア層としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)等のフィルムのほか、アルミニウム箔(AL)、或いは、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着膜を設けた二軸延伸ナイロンフィルム(蒸着ONy)、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層を設けたニ軸延伸ポリエチレンテレフタレート(蒸着PET)等を使用することができる。中間層は複数積層してもよい。
紙層2と熱可塑性樹脂層3の間に接着樹脂層を積層してもよい。接着樹脂層は熱可塑性樹脂層からなり、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、エチレン−メチルエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メタアクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−マレイン酸共重合体、アイオノマー(ION)等を用いることができる。低温シール性、透明性、加工適性という観点では、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが好ましい。また、中間層としてアルミニウム箔を使用した場合は、アルミニウムと強い接着性が得られるとともに、加工適性に優れ、これらの材料の中では価格が比較的安価であるという点で、エチレン−メタアクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン−マレイン酸共重合体を用いることが好ましい。接着樹脂層の厚さは、15μm〜80μmであることが好ましい。
易剥離層4は、熱可塑性樹脂層3の紙層2または中間層に対する強固な接着、あるいは、接着樹脂層の紙層2または中間層に対する強固な接着を阻害する役割を果たす層である。易剥離層4は、紙層2または中間層との接着性が良好で、且つ、熱可塑性樹脂層3または接着樹脂層との接着性が易剥離層4と紙層2または中間層との接着力よりも低くなるような樹脂材料から構成されていればよく、具体例としては、シリコーン樹脂、ウレタン系樹脂、硝化綿(セルロース)系樹脂、硝化綿とウレタン系樹脂とのブレンド樹脂、シリコーン樹脂とセルロース系樹脂とのブレンド樹脂、アクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル−スチレン共重合体を溶解させた、アクリル系の水溶性樹脂やエマルジョン等が挙げられる。これらの材料の中でも、コロナ処理を行うことなく塗布することができることから、シリコーン樹脂とセルロース系樹脂とのブレンド樹脂が好ましい。このような剥離剤としては、シリコーン樹脂とセルロース系樹脂とを主成分とし、酢酸エチルを溶剤として含むDIC株式会社製の「ポリコートP−91」などは、コロナ処理を行うことなく塗布することができるため、特に好適である。また、熱可塑性樹脂層3や接着樹脂層として、上述したエチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)またはエチレン−マレイン酸共重合体を用いる場合には、アクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、およびアクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル−スチレン共重合体が好ましい。これらの共重合体を構成する(メタ)アクリル酸アルキルのアルキル基の炭素数は4〜8であることが好ましい。これらのコーティング液の塗工方法は、特に限定されず、従来公知の塗工方法が用いられるが、グラビアコート、ロールコート、エアナイフコート、ブレードコート、ショートドウェルコート、キャストコート等の塗工方法が用いられる。
熱可塑性樹脂層3と易剥離層4との間の接着強度、あるいは、接着樹脂層と易剥離層4との間の接着強度は0.5N以下/15mm幅であり、0.2N以下/mmであることが更に好ましい。接着強度が0.5N/15mm幅を超えると、剥離片70を剥離し難くなる。なお、接着強度の測定は、まず積層体を15mm幅にて100mm切り出して試験片とし、切り出した試験片の一方から易剥離層4を50mmまで剥がし、引張り試験機の両チャックにそれぞれチャッキングする。チャック間距離は100mmとする。そして、25℃の雰囲気下で、50mm/minの引張り速度で180度方向に剥がし、最大荷重を測定する。測定は5回行い、その算術平均を接着強度とする。
紙層2の内面側、あるいは、中間層の外面側、あるいは、中間層の内面側の第1のハーフカット線70aと第2のハーフカット線70bで囲まれた領域に、隠された情報が印刷された印刷層を印刷してもよい。隠された情報が印刷された印刷層5は、当り券、応募券、シリアル番号、QRコード(登録商標)等のキャンペーン情報を印刷するための層である。また、商品情報、絵柄、広告等を印刷することもできる。ユーザーは剥離片70を剥がした後、剥離片70の裏面に印刷された隠された情報を利用してキャンペーンに応募することができる。
紙層2の外面側に第2の熱可塑性樹脂層を積層してもよい。第2の熱可塑性樹脂層としては、熱可塑性樹脂層3と同じ材質のものを用いることができる。紙容器を製函するときに、熱可塑性樹脂層3と第2の熱可塑性樹脂層で強固に接着することができるため、内容物を飲料とする場合に好適である。
以下に、積層材100の積層方法について説明する。まず、紙層2の一方の面に印刷層1が印刷される。更に、ロータリーダイカットにより印刷層1から紙層2まで第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが形成される。そして、紙層2の他方の面の一部にグラビアロールにて易剥離層4が塗布された後、熱可塑性樹脂が押出コーティング法にて押し出され、熱可塑性樹脂層3が形成される。なお、印刷層1の剥離片70の領域内には、応募券やクーポン券等の内容が印刷される。
なお、易剥離層4の塗布量は、乾燥重量で2g/m2〜10g/m2となるように設定する。塗布量が2g/m2未満では易剥離層4が均一な膜になり難く、熱可塑性樹脂層3と紙層2との強度が上がり、剥離片70が剥離し難くなるため好ましくない。また、塗布量が10g/m2より大きい場合は、塗布膜の乾燥性・塗工適性が悪くなるとともにコストも上がるため好ましくない。
ところで、ゲーベルトップ型の紙容器10は、図3に示すようなブランク材10aを組立てることにより製函される。
ブランク材10aは積層材100を打抜くことにより得られる。このブランク材10aは、紙容器10の上部20を構成する一対の切妻屋根部22,24と、切妻屋根部22,24間に折込まれる一対の妻屋根部21,23と、胴部30を構成する側面31,32,33,34と、底部50を構成する底面51,52,53,54とを有している。
また、一対の妻屋根部21,23の上辺と、一対の切妻屋根部22,24の上辺と、切妻屋根部24の右辺と、側面34の右辺と、底面54の右辺にはのりしろが設けられている。
得られた積層材100を製函して、ゲーブルトップ型の紙容器10を製造することができる。具体的には、まず、積層材100を断裁して所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設ける。次に、フレームシールまたはホットエアーシールにより熱可塑性樹脂層3を構成する樹脂材料を溶融し、胴部を貼り合わせて、筒状のスリーブを得る。続いて、底部50を形成した後、内容物を充填し、上部20をシールするという公知の方法により製造することができる。
易剥離層4がパターンコートされた領域4Xと矩形状の剥離片70について説明する。ここで、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xおよび矩形状の剥離片70は、紙容器を外面側から見たときの位置関係で説明することとする。剥離片70は、左辺の下側と、下辺と、右辺の下側が点線からなる第1のハーフカット線70aで構成され、左辺の上側と、上辺と、右辺の上側が連続した線からなる第2のハーフカット線70bで構成されている。また、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xが矩形状に形成され、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに第1のハーフカット線70aが始端と終端を除いて形成され、易剥離層4がパターンコートされていない領域に第2のハーフカット線70bが形成されている。このように、剥離片の取付例の第一の例では、易剥離層がパターンコートされた領域に点線からなる第1のハーフカット線が少なくとも始端と終端を除いて形成され、易剥離層がパターンコートされていない領域に連続した線からなる第2のハーフカット線が第1のハーフカット線の始端と終端を繋ぐように形成されている。
ユーザーは第2のハーフカット線70bを摘んで剥離することにより、剥離片70の外縁に沿ってきれいに剥離することができる。ここで、剥離片70の外縁に沿ってきれいに剥がすことができるとは、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bの全ての線を繋いで剥離できることを指す。また、第2のハーフカット線70bは摘む箇所となることから、第1のハーフカット線70aに対して外方に凸の形状となっていることが好ましい。
また、剥離片の取付例の第一の例として、図4のようにすることもできる。図4(a)および図4(b)は、何れも、妻屋根部24の底面部に矩形状の剥離片70が形成されている。図4(a)の剥離片70は、上辺の右側と、右辺と、下辺と、左辺の下側が点線からなる第1のハーフカット線70aで構成され、上辺の左側と、左辺の上側が連続した線からなる第2のハーフカット線70bで構成されている。また、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xが矩形の左上の頂角を切り取った形状に形成され、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、第1のハーフカット線70aが始端と終端を除いて形成され、易剥離層4がパターンコートされていない領域に第2のハーフカット線70bが形成されている。図4(b)の剥離片70は、下辺の右側と、右辺の下側が点線からなる第1のハーフカット線70aで構成され、下辺の左側と、左辺と、上辺と、右辺の上側が連続した線からなる第2のハーフカット線70bで構成されている。また、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xが三角形に形成され、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、第1のハーフカット線70aが始端と終端を除いて形成され、易剥離層4がパターンコートされていない領域に第2のハーフカット線70bが形成されている。図4(c)は、図3の剥離片70において、第2のハーフカット線70bを外方に凸の曲線としたものである。図4(c)のようにした場合は、剥離片70を摘み易くすることができるとともに、第2のハーフカット線70bに角部がないため、積層材を紙容器に加工する工程や紙容器に内容物を充填する工程や充填後の製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を剥がれ難くすることができる。また、剥離片の取付例の第一の例において、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xの外縁と第1のハーフカット線70aが重なるように形成してもよい。
剥離片の取付例の第一の例は、第1のハーフカット線70aの一部および第2のハーフカット線70bがパターンコートされていない領域に形成されているため、積層材を紙容器に加工する工程や紙容器に内容物を充填する工程や充填後の製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を剥がれ難くすることができる。また、点線からなる第1のハーフカット線70aが、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに少なくとも始端と終端を除いて形成されているため、剥離片70を外縁に沿ってきれいに剥がし易くすることができる。
更に、剥離片の取付例の第ニの例として、図5のようにすることもできる。剥離片の取付例の第ニの例では、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、点線からなる第1のハーフカット線70aが全て含まれるように形成され、易剥離層4がパターンコートされていない領域に連続した線からなる第2のハーフカット線70bが第1のハーフカット線の始端と終端とを繋ぐように形成されている。図5は、何れも、妻屋根部24の底面部に矩形状の剥離片70が形成され、剥離片70は、左辺の下側と、下辺と、右辺の下側が点線からなる第1のハーフカット線70aで構成され、左辺の上側と、上辺と、右辺の上側が連続した線からなる第2のハーフカット線70bで構成されている。また、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xが矩形状に形成され、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、第1のハーフカット線70aが全て含まれるように形成され、易剥離層4がパターンコートされていない領域に第2のハーフカット線70bが形成されている。図5(b)は、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xの外縁と第1のハーフカット線70aが重なる場合を示している。
剥離片の取付例の第ニの例は、点線からなる第1のハーフカット線70aが易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに全て含まれるため、剥離片の取付例の第一の例に比べて剥離片70を外縁に沿ってきれいに剥がし易くすることができる。また、第2のハーフカット線70bは易剥離層4がパターンコートされていない領域に形成されているため、積層材を紙容器に加工する工程や紙容器に内容物を充填する工程や充填後の製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を剥がれ難くすることができる。
更に、剥離片の取付例の第三の例として、図6のようにすることもできる。剥離片の取付例の第三の例では、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、点線からなる第1のハーフカット線70aが全て含まれるように形成され、連続した線からなる第2のハーフカット線70bが第1のハーフカット線の始端と終端とを繋ぐように形成されるとともに、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに第2のハーフカット線70bの始端と終端、または、全部が含まれるよう形成されている。図6は、何れも、妻屋根部24の底面部に矩形状の剥離片70が形成され、剥離片70は、左辺の下側と、下辺と、右辺の下側が点線からなる第1のハーフカット線70aで構成され、左辺の上側と、上辺と、右辺の上側が連続した線からなる第2のハーフカット線70bで構成されている。また、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xが矩形状に形成され、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、第1のハーフカット線70aが全て含まれるように形成されている。図6(a)は、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに第2のハーフカット線70bの始端と終端が含まれる場合、図6(b)、図6(c)、図6(d)は易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに第2のハーフカット線70bの全部が含まれる場合を示している。図6(b)は、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xの上辺に第2のハーフカット線70bの上辺が重なる場合、図6(d)は、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xの外縁と、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが重なる場合を示している。
剥離片の取付例の第三の例は、第1のハーフカット線70aだけでなく、第2のハーフカット線70bの一部または全部が、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに含まれるため、剥離片の取付例の第一あるいは第ニの例に比べて剥離片70を外縁に沿ってきれいに剥がし易くすることができる。また、第1のハーフカット線70aは点線で構成されているため、剥離片の取付例の第一の例あるいは第2の例には劣るものの、積層材を紙容器に加工する工程や紙容器に内容物を充填する工程や充填後の製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を剥がれ難くすることができる。
また、剥離片の取付例の第三の例は、積層材を紙容器に加工する工程や紙容器に内容物を充填する工程や充填後の製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を剥がれ難くするために、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに含まれる第2のハーフカット線70bの長さは剥離片70の外周、つまり、第1のハーフカット線70aの長さと第2のハーフカット線70bの長さの合計の40%以下とすることが好ましく、25%以下とすることがより好ましい。
更に、剥離片の取付例の第四の例として、図7のようにすることもできる。剥離片の取付例の第四の例では、剥離片の取付例の第一から第三の例において、第2のハーフカット線70bが隣り合う2つの面を連設する折線と交差するように形成されているものである。図7(a)は第一の例において、図7(b)は第ニの例において、図7(c)は第三の例において、それぞれ第2のハーフカット線70bが隣り合う2つの面を連設する折線と交差するように形成されているものである。図7は、何れも、妻屋根部24の底面部に矩形状の剥離片70が形成され、剥離片70は、上辺の右側と、右辺と、下辺と、左辺の下側が点線からなる第1のハーフカット線70aで構成され、上辺の左側と、左辺の上側が連続した線からなる第2のハーフカット線70bで構成されている。また、図7(a)および図7(b)は、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xが矩形の左上の頂角を切り取った形状に形成され、図7(c)は、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xが矩形状に形成されている。何れにおいても、第2のハーフカット線70bの二辺が妻屋根部24の底面部と左上面部を連設する折線L21と交差するように形成されている。
剥離片の取付例の第四の例は、第2のハーフカット線70bで構成される辺が摘み易くなるため、剥離片70を剥がし易くすることができる。例えば、第2のハーフカット線70bを妻屋根部24の底面部と左右上面部を連設する折線L21上に設けた場合は、妻屋根部24が折線L21,L21を介して内側に折り込まれているため、店頭等でいたずらにより剥離片70が剥がされることを防止することができる。
更に、剥離片の取付例の第五の例として、図8のようにすることもできる。剥離片の取付例の第五の例では、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが全て含まれるように形成され、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが点線となるように形成されているものである。
剥離片の取付例の第五の例は、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが点線で形成されるため、積層材を紙容器に加工する工程や紙容器に内容物を充填する工程や充填後の製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を最も剥がれ難くすることができる。
更に、剥離片の取付例の第六の例として、図9のようにすることもできる。剥離片の取付例の第六の例は、剥離片の取付例の第ニの例において、第1のハーフカット線70aが連続した線となるように形成されているものである。
剥離片の取付例の第六の例は、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bが連続した線で形成されるため、最も生産しやすくすることができる。
また、剥離片の取付例の第六の例は、積層材を紙容器に加工する工程や紙容器に内容物を充填する工程や充填後の製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を剥がれ難くするために、第1のハーフカット線70aの長さは剥離片70の外周、つまり、第1のハーフカット線70aの長さと第2のハーフカット線70bの長さの合計の40%以下とすることが好ましく、25%以下とすることがより好ましい。
剥離片の取付例の第一〜第六の例において、図2(c)は、積層材100の易剥離層4がパターンコートされていない領域に第1のハーフカット線70aあるいは第2のハーフカット線70bが形成されるときの断面図を示し、図2(d)は、積層材100の易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに第1のハーフカット線70aあるいは第2のハーフカット線70bが形成されるときの断面図を示している。何れにおいても、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bは印刷層1から紙層2まで形成されている。
[実施例1]
坪量320g/m2のクリアウォーター製ノーコート紙(紙層2)の一方の面に第2の熱可塑性樹脂層5として、厚さ20μmの低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製LC520)を押出コーティング法により積層した。更に、低密度ポリエチレン(第2の熱可塑性樹脂層5)の上にグラビアロールにて印刷層1を印刷した。得られた積層材に対して、ロータリーダイカットにて印刷層1から紙層2まで第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bを形成した。そして、坪量320g/m2のクリアウォーター製ノーコート紙(紙層2)の他方の面にポリコートP−91を乾燥重量で2.0g/m2となるように塗布して易剥離層4を形成し、坪量320g/m2のクリアウォーター製ノーコート紙(紙層2)の他方の面に熱可塑性樹脂層3として厚さ40μmの低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製LC520)を押出コーティング法により積層し、積層材100Aを得た。なお、剥離片70は図4(a)の形状とした。
積層材100Aは、図10(a)に示すように、外面側から、印刷層1、第2の熱可塑性樹脂層5、紙層2、熱可塑性樹脂層3が順次積層されたものであり、図10(b)に示すように、易剥離層がパターンコートされた領域4Xは、紙層2と熱可塑性樹脂層3との間に易剥離層4が積層されたものである。また、図10(c)は、積層材100Aの易剥離層4がパターンコートされていない領域に第1のハーフカット線70aあるいは第2のハーフカット線70bが形成されるときの断面図を示し、図10(d)は、積層材100Aの易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに第1のハーフカット線70aあるいは第2のハーフカット線70bが形成されるときの断面図を示している。何れにおいても、第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bは印刷層1から紙層2まで形成されている。
得られた積層材100Aを所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランク材10aとし、次いで、フレームシールにより胴部30を貼り合わせて筒状スリーブとし、この筒状スリーブを充填機に供給し、充填機上で底部50を形成した後、内容物を充填し、上部20をシールすることにより実施例1のゲーブルトップ型の紙容器を作製した。
[実施例2]
実施例1のポリコートP−91を乾燥重量で5.0g/m2となるように塗布した以外は、実施例1と同様にして積層材100Aを得た。
得られた積層材100Aを所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランク材10aとし、次いで、フレームシールにより胴部30を貼り合わせて筒状スリーブとし、この筒状スリーブを充填機に供給し、充填機上で底部50を形成した後、内容物を充填し、上部20をシールすることにより実施例2のゲーブルトップ型の紙容器を作製した。
[実施例3]
実施例1のポリコートP−91を乾燥重量で10.0g/m2となるように塗布した以外は、実施例1と同様にして積層材100Aを得た。
得られた積層材100Aを所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランク材10aとし、次いで、フレームシールにより胴部30を貼り合わせて筒状スリーブとし、この筒状スリーブを充填機に供給し、充填機上で底部50を形成した後、内容物を充填し、上部20をシールすることにより実施例3のゲーブルトップ型の紙容器を作製した。
[実施例4]
坪量400g/m2のクリアウォーター製ノーコート紙(紙層2)の一方の面に第2の熱可塑性樹脂層5として厚さ20μmの低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製LC520)を押出コーティング法により積層した。更に、低密度ポリエチレン(第2の熱可塑性樹脂層5)の上にグラビアロールにて印刷層1を印刷した。得られた積層材に対して、ロータリーダイカットにて印刷層1から紙層2まで第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bを形成した。一方、二液硬化型ウレタン系接着剤を用いて、厚さ6μmのアルミニウム箔(中間層6a)と厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(中間層6b)とをドライラミネーション法により積層し、ラミネートフィルムを作製した。そして、坪量400g/m2のクリアウォーター製ノーコート紙(紙層2)の他方の面にスチレン−アクリル酸共重合エマルジョン水系組成物を乾燥重量で2.0g/m2となるように塗布して易剥離層4を形成した後、坪量400g/m2のクリアウォーター製ノーコート紙(紙層2)の他方の面とアルミニウム箔(中間層6a)の面を対向させ、その間に厚さ20μmのエチレン−メタクリル酸共重合体(接着樹脂層7)を295℃で溶融押出してサンドイッチラミネートした。最後に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの面に2液硬化型のウレタン系アンカーコート剤を塗布した後、厚さ60μmの低密度ポリエチレン(熱可塑性樹脂層3)を押出ラミネーション法により積層し、積層材100Bを得た。なお、剥離片70は図4(a)の形状とした。
積層材100Bは、図11(a)に示すように、外面側から、印刷層1、第2の熱可塑性樹脂層5、紙層2、接着樹脂層7、中間層6a(バリア層)、中間層6b(強度向上層)、熱可塑性樹脂層3が順次積層されたものであり、図11(b)に示すように、易剥離層がパターンコートされた領域4Xは、紙層2と接着樹脂層7との間に易剥離層4が積層されたものである。また、図11(c)は、積層材100Bの易剥離層4がパターンコートされていない領域に第1のハーフカット線70aあるいは第2のハーフカット線70bが形成されるときの断面図を示し、図11(d)は、積層材100Bの易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに第1のハーフカット線70aあるいは第2のハーフカット線70bが形成されるときの断面図を示している。第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bは印刷層1から紙層2まで形成されている。
得られた積層材100Bを所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランク材10aとし、次いで、フレームシールにより胴部30を貼り合わせて筒状スリーブとし、この筒状スリーブを充填機に供給し、充填機上で底部50を形成した後、内容物を充填し、上部20をシールすることにより実施例4のゲーブルトップ型の紙容器を作製した。
[実施例5]
実施例4のスチレン−アクリル酸共重合エマルジョン水系組成物を乾燥重量で5.0g/m2となるように塗布した以外は、実施例4と同様にして積層材100Bを得た。
得られた積層材100Bを所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランク材10aとし、次いで、フレームシールにより胴部30を貼り合わせて筒状スリーブとし、この筒状スリーブを充填機に供給し、充填機上で底部50を形成した後、内容物を充填し、上部20をシールすることにより実施例5のゲーブルトップ型の紙容器を作製した。
[実施例6]
実施例4のスチレン−アクリル酸共重合エマルジョン水系組成物を乾燥重量で10.0g/m2となるように塗布した以外は、実施例4と同様にして積層材100Bを得た。
得られた積層材100Bを所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランク材10aとし、次いで、フレームシールにより胴部30を貼り合わせて筒状スリーブとし、この筒状スリーブを充填機に供給し、充填機上で底部50を形成した後、内容物を充填し、上部20をシールすることにより実施例6のゲーブルトップ型の紙容器を作製した。
[比較例1]
実施例1のポリコートP−91を塗布しなかった以外は、実施例1と同様にして積層材を得た。
得られた積層材を所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランク材10aとし、次いで、フレームシールにより胴部30を貼り合わせて筒状スリーブとし、この筒状スリーブを充填機に供給し、充填機上で底部50を形成した後、内容物を充填し、上部20をシールすることにより比較例1のゲーブルトップ型の紙容器を作製した。
[比較例2]
実施例4のスチレン−アクリル酸共重合エマルジョン水系組成物を塗布しなかった以外は、実施例4と同様にして積層材を得た。
得られた積層材を所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランク材10aとし、次いで、フレームシールにより胴部30を貼り合わせて筒状スリーブとし、この筒状スリーブを充填機に供給し、充填機上で底部50を形成した後、内容物を充填し、上部20をシールすることにより比較例2のゲーブルトップ型の紙容器を作製した。
<接着強度の測定>
実施例1〜6および比較例1〜2の積層材の接着強度を測定した。具体的には、実施例1〜6および比較例1〜2と同様にして積層材をそれぞれ作製し、これらから幅15mm、長さ100mmの試験片を切り出し、切り出した試験片の一端から測定対象とする層間を50mm剥がし、テンシロン引張り試験機の両チャックにそれぞれチャッキングした。25℃雰囲気下、50mm/minの引張り速度で180度方向に剥がし、最大荷重を測定した。測定は5回行い、その算術平均を接着強度として結果を表1に示した。
積層材100Aでは、易剥離剤の塗布量が2〜10g/m2において、易剥離層4と熱可塑性樹脂層3は容易に剥離することができた。また、塗布量が5g/m2と10g/m2のラミ強度は、テンシロン引張り試験機の測定精度以下となった。易剥離層4を設けない場合においては、紙層2中で凝集剥離してしまい、紙剥けが発生した。また、積層材100Bでは、易剥離剤の塗布量が2〜10g/m2において、易剥離層4と接着樹脂層7は容易に剥離することができた。また、塗布量が5g/m2と10g/m2のラミ強度は、テンシロン引張り試験機の測定精度以下となった。易剥離層4を設けない場合においては、紙層2中で凝集剥離してしまい、紙剥けが発生した。
本発明の紙容器は、(1)剥離片70が点線からなるハーフカット線70aで構成される部分を有していること、(2)易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、点線からなる第1のハーフカット線70aが形成されていることに特徴がある。剥離片70が点線からなるハーフカット線70aで構成される部分を有するため、積層材を紙容器に加工する工程や紙容器に内容物を充填する工程や充填後の製品流通工程において、外部と接触しても剥離片70を剥がれ難くすることができる。また、易剥離層4がパターンコートされた領域4Xに、点線からなる第1のハーフカット線70aが形成されているため、点線にも関わらず剥離片70の外縁に沿ってきれいに剥がし易くすることができる。また、易剥離層4がパターンコートされている(積層材の一部のみに塗布されている)ため、紙容器としての強度を維持することができる。易剥離層4が積層材の全面に塗布されている場合、易剥離層4を含む層間での接着強度が低いため、紙容器としての強度が弱いだけでなく、例えば、内容物を飲料とした場合には液漏れが発生する可能性がある。
剥離片の取付例の第一〜第六の例の何れも、ユーザーは第2のハーフカット線70bを摘んで剥離することにより、剥離片70の外縁に沿ってきれいに剥離することができる。また、剥離片の取付例の第五の例においては、第1のハーフカット線70aと摘んで剥離してもよい。
また、本発明の紙容器10から剥離片70を剥離した後、剥離片70に印刷された隠された情報を複数組み合わせて新たな情報を作成することができる。例えば、図12に示すように、A、B、Cといった特定な組み合わせのときに当たり券となるようにしてもよい。印刷された隠された情報を複数組み合わせるには、異なる紙容器10から剥離された複数の剥離片70を組み合わせてもよいし、1つの紙容器10に複数の剥離片70を形成しておき、1つの紙容器10から剥離された複数の剥離片70を組み合わせてもよい。
また、本発明の紙容器10から剥離片70を剥がした後、紙容器10に露出した隠された情報を複数組み合わせて新たな情報を作成することもできる。例えば、図13に示すように、A、B、Cの絵柄を組み合わせて新たな絵柄となるようにしてもよい。
第1のハーフカット線70aおよび第2のハーフカット線70bの形状は上記の例に限るものではなく、曲線、曲線と直線で構成されるもの、複数の直線で構成されるものとしてもよい。
易剥離層がパターンコートされた領域4Xおよび剥離片70の形成位置は妻屋根部24の底面部に限るものではなく、他の面であってもよい。
本発明の紙容器は、ゲーベルトップ型の紙容器に限るものではなく、他の形状であってもよい。