JP4972454B2 - 燃料タンク用弁装置 - Google Patents

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Description

この発明は、燃料タンクの内外を連通する通気路中に備えられて、弁装置より先への燃料の流入を阻止するために用いられる弁装置に関する。
燃料タンクの液面高さ制御バルブにおいて、バルブ部材101をフロート100の上部に相対動自在に掛合させると共に、このフロート100の上部の中央に形成した突起部100aによってこのバルブ部材101を上方に押し、キャニスタに連絡した換気通路中に設けられるシート部103にこのバルブ部材101を当接させ、この当接状態においてかかる換気通路を閉鎖するようにしたものがある。(特許文献1参照)
しかるに、かかる制御バルブにあっては、第一に、換気通路の閉鎖状態から液面高さが下がると、フロート100が下降し、このときフロート100の上部頭部の縁部がバルブ部材101の突起101aに引っかかりバルブ部材101をシート部から離れ出させるように機能するものであるが、燃料タンク内が高圧である場合などバルブ部材101にシート部103に張り付くような力が作用されていると、フロート100の下降により直ちにバルブ部材101をシート部103から引き離し難く、液面高さが低下したときに応答性良く換気通路の閉鎖を解きにくいものであった。
また、第二に、バルブ部材101は前記突起部00aに支持されるが、フロート100の上昇時にバルブ部材101が傾いているとシート部103にはバルブ部材101の傾斜上方側で最初に接することとなる。そして、この場合、このバルブ部材101の傾斜下方側は最終的には持ち上げられバルブ部材101の姿勢は矯正されるが、この矯正はフロート100の中心から離れたバルブ部材101の傾斜下方側にある前記突起101aの内面とフロート100の上部頭部の縁部100bとを接触させてなされるため、(図16)こうした場合バルブ部材101をシート部103に完全に接しさせるために必要とされる力を過度に大きくさせてしまうものであった。
特開平7−279789号公報
この発明が解決しようとする主たる問題点は、第一に、この種のフロート体を利用した弁装置(バルブ)において、燃料タンク内の燃料の液面レベルが所定高さまで低下した場合には、応答性良く開弁状態に移行して通気路の閉鎖状態を解除できるようにする点にある。
また、第二に、フロート体に上下動を許容させた状態で掛合組み合わされた弁体を傾かせた状態でフロート体が上昇されたときには、このフロート体の傾きを必要最小限の上方に向けた力により矯正して弁体を弁座に着座させるようにする点にある。
前記第一の課題は、燃料タンク用弁装置に以下の(1)〜(7)の構成を備えさせることで解決される。
(1)燃料タンクの内外を連通する通気路中に備えられる弁装置であって、
(2)上部に弁体を備えたフロート体と、
(3)このフロート体を上下動可能に収納する前記通気路の一部をなす収納室と、
(4)この収納室への燃料の流入によるフロート体の上昇により前記弁体の着座を受け閉弁される前記通気路の一部をなす弁座とを備えており、
(5)弁体とフロート体とは、弁体に備えさせた二以上の掛合部をそれぞれ、フロート体に備えさせた被掛合部に、弁体の上下動を許容させた状態で掛合させて組み合わされていると共に、
(6)前記二以上の掛合部のうちの一つの掛合部が他の掛合部よりも上方に位置されており、フロート体の下降時に、この一つの掛合部が他の掛合部よりも先に被掛合部に引っかかり弁体が傾動されるようになっており、
(7)しかも、この弁体の傾動を他の掛合部が規制するようになっている。
フロート体の下降位置においては、弁体はフロート体に支持されている。通気路の一部をなす収納室に燃料が流入してくるとフロート体と弁体とは一緒に上昇し弁座を閉じる。(閉弁)この状態から収納室より燃料が流出すると、弁体とフロート体とは弁体の上下動を許容させた状態で掛合組み合わされていることから、フロート体が下降するとこれに支持されていた弁体も下降され弁座は開かれる。一つの掛合部が被掛合部に引っかかる位置までフロート体が下降すると、弁体はこの一つの掛合部の側を下にして傾動され、フロート体の下降初期の段階でこの側において弁体を弁座から大きく引き離すことができる。これにより、収納室から燃料が流出すると同時に応答性良く弁座を開き燃料タンクを外部と通気可能な状態にさせることができる。また、燃料タンク内が高圧であると弁体が弁座に押し付けられ離座し難い事態が生じる場合があるが、このような場合でもフロート体の下降によって弁体を傾動させて弁座をスムースに開くことができる。
また、前記第二の課題は、燃料タンク用弁装置に、さらに以下の(1)〜(2)の構成を備えさせることで解決される。
(1)フロート体の移動中心軸側に、弁体に傾きが生じているときにこの弁体の傾斜下方側で接し合ってフロート体の上昇によってこの傾きを矯正する対をなすガイド手段が備えられていると共に、
(2)フロート体の上昇時にはその余の箇所においてフロート体と弁体とが接し合わないようになっている。
収納室への燃料の流入によりフロート体が上昇すると弁体も上昇するが、このときに弁体に傾きが生じていると、弁座の一方側に先に弁体が接することからこの側を支点として弁座の他方側をフロート体によって持ち上げフロート体の傾きを矯正し弁座に弁体を全体として着座させることとなる。前記ガイド手段はフロート体の移動中心軸側に備えられていることから、弁体に前記のような傾きが生じている場合には前記支点と近い位置で弁体とフロート体とを摩擦力を大きくすることなく接しさせて前記傾きを矯正させることができる。
この発明にかかる弁装置によれば、燃料タンク内の燃料の液面レベルが所定高さまで低下した場合には、応答性良く開弁状態に移行して通気路の閉鎖状態を解除することができる。
また、ガイド手段をさらに備えさせることで、弁体を傾かせた状態でフロート体が上昇されたときには、このフロート体の傾きを必要最小限の上方に向けた力により矯正してこの弁体を弁座に着座させることができる。
以下、図1〜図15に基づいて、この発明を実施するための最良の形態について説明する。
なお、ここで図1〜図9は実施の形態にかかる弁装置の構成例の一つを、図10〜12は図1〜図9に示される構成例における弁体の構成の一部を変更させた例を、図13は図1〜図9に示される構成例におけるフロート体1の構成の一部を変更させた例を、図14は図1〜図9に示される構成例におけるフロート体1の構成の一部を変更させた他の例を、図15は図1〜図9に示される構成例における弁体3とフロート体1の構成の一部を共に変更させた例を、それぞれ示している。
図1〜図9については、図1はフロート体1が下降位置にある状態の弁装置の全体構成を断面にして示しており、図2は弁装置を側面から視て、図3は底面から視て、それぞれ示している。図4は弁体3を傾斜させた状態でフロート体1が上昇してこの弁体3の斜上側が弁座23aに突き当たった状態を、図5は図4の状態からフロート体1に作用される上向きの力によって弁体3の姿勢が矯正されて弁座23aが閉弁された状態を、図6は図5の状態からフロート体1が下降してこれにより弁体3が傾動されて弁座23aが開弁された直後の状態を、それぞれ示している。また、図7は弁体3とフロート体1を分離させた状態として、図8および図9はかかる弁体3を、それぞれ示している。
また、図10〜図12については、図10では弁座23aに弁体3を着座させていたフロート体1が下降し始めた直後の様子を、このフロート体1と弁体3のみを表して示しており、図11および図13はかかる弁体3を表している。
この実施の形態にかかる燃料タンク用弁装置は、燃料タンクTの内外を連通する通気路R中に備えられて、基本的には、給油や車両の傾きなどによって燃料タンクT内の燃料の液面レベルが所定の高さまで上昇したような場合に、弁装置より先への通気路Rへの燃料の流入を阻止するために用いられるものである。
典型的には、かかる弁装置は、通常は開弁状態にあり、給油や車両の傾きなどにより弁装置より先の通気路Rに燃料を入り込ませてしまう条件が備わったときに閉弁状態に移行し、この条件がなくなったときに再び開弁状態に移行するようになっている。これにより、かかる弁装置は、燃料タンクTへの給油の上限を規制するベントバルブや燃料タンクT内の圧力を一定範囲に保つ通気路Rに備えられるカットバルブなどとして用いることができるようになっている。かかる通気路Rは典型的にはキャニスターと燃料タンクTとを接続させる。
かかる弁装置は、フロート体1と、収納室20と、弁座23aとを備えている。
図示の例では、筒上部21とこれより太い筒下部22とを備え、この筒上部21と筒下部22との間を隔壁23によって区分させた筒状ケース2のこの隔壁23に弁座23aが形成されている。図示の例では、隔壁23は下方に向けて突き出すドーム状をなしドーム内側を筒上部21の内壁の一部とし、かつ、ドーム外側を筒下部22の内壁の一部としている。弁座23aはこの隔壁23の下部中央に通気路Rの一部となる貫通孔23bを設けることで構成されている。隔壁23におけるドーム外側では貫通孔23bは周回リブ23cによって縁取られている。筒上部21の上端にはアッパーキャップ4が取り付けられている。
そして、この例では、かかる筒上部21内には、チェックバルブ5が納められている。
かかるチェックバルブ5は、
筒状をなす第一バルブ体50と、
この第一バルブ体50の下端開口50aからこの第一バルブ体50内に脚部51aを入れ込ませて頭部51bをこの下端開口50aの下方に位置させる第二バルブ体51と、
アッパーキャップ4と第一バルブ体50の下端内側部との間に介装されて所定の力でこの第一バルブ体50の下端開口50aを巡る周回肩部50bを前記弁座23aよりも上方の位置で筒上部21の上方を向いた周回段差面21aに気密状態に押し付けさせる付勢手段としての上部圧縮バネ52と、
隔壁23と第二バルブ体51の頭部51bとの間に介装されて所定の力でこの第二バルブ体51の頭部51bを第一バルブ体50の下端開口50aに気密状態で押し付けさせる付勢手段としての下部圧縮バネ53とから構成されている。
また、筒状ケース2の筒下部22の下端は筒状ケース2の掛合窓24に掛合爪60を掛合させて組み付けられたロアキャップ6によって塞がれている。フロート体1はロアキャップ6によって塞がれた筒状ケース2の筒下部22内に上下動可能に納められるようになっている。すなわち、図示の例では、かかる筒状ケース2の筒下部22がフロート体1を上下動可能に収納する前記通気路Rの一部をなす収納室20として機能するようになっている。アッパーキャップ4の中央には貫通口40が形成されていると共に、ロアキャップ6には複数の貫通孔61、61…が形成されている。図示の例では、筒状ケース2の側部にも複数の貫通孔25、25…が形成されている。
また、図示の例では、筒状ケース2の筒下部22の上下方向略中程の位置には、その直径方向両側にそれぞれ、筒下部22の外面との間に隙間を開けるようにして上方に延び且つ上端部の内側に掛合爪22bを備えた取り付け用腕22aが備えられている。図示の例では、円板状部Faの中央にこの円板状部Faの上面から突き出す上部Fcとこの円板状部Faの下面から突き出す下部Fdとを備えこの下部Fdの下端を開放させたフランジ体Fを介して弁装置の燃料タンクTへの取り付けをなすようにしている。すなわち、フランジ体Fの下部Fdの下端には前記取り付け用腕22aの掛合爪22bの掛合窓Feが形成されており、筒状ケース2をフランジ体Fの下部Fdよりアッパーキャップ4がフランジ体Fの上部Fc内面に突き当たる位置まで入れ込む過程でかかる掛合爪22bが掛合窓Feに取り付け用腕22aの弾発によって外側から入り込み、フランジ体Fと弁装置とが組み合わされるようになっている。このように弁装置と組み合わされたフランジ体Fを燃料タンクTに開設された取り付け用開口Taを燃料タンクTの外部より上方から覆うように組み合わせこの取り付け用開口Taの開口縁Tbとフランジ体Fの円板状部Faの外縁Fbとを溶着させることで、筒状ケース2の筒下部22すなわちフロート体1を納めた収納室20を燃料タンクT内に位置させ、かつ、筒上部21すなわち前記チェックバルブ5を燃料タンクTの外に位置させた状態で、かかる燃料タンクTに弁装置が取り付けられるようになっている。なお、取り付け用開口Taの開口縁Tbとフランジ体Fの円板状部Faの外縁Fbとの接合は両者の間にシール材を挟んでネジ止めによって行っても良い。
フランジ体Fの上部Fcは図示しないキャニスターに接続されており、したがって、筒状ケース2内は前記通気路Rの一部を構成するものとなっている。図示の例では、燃料タンクT内が前記上部圧縮バネ52の付勢に抗して第一バルブ体50を押し上げさせる高圧になったときはこの第一バルブ体50の前記周回肩部50bが前記周回段差面21aから離れて燃料タンクT内の気体を燃料タンクT外に逃し、一方、燃料タンクT内が前記下部圧縮バネ53の付勢に抗して第二バルブ体51を押し下げさせる低圧になったときはこの第二バルブ体51の前記頭部が第一バルブ体50の前記下端開口50aから離れて燃料タンクT内に外気を導入するようになっている。
フロート体1は、上部に弁体3を備えている。そして、前記収納室20への燃料の流入がなされるとフロート体1は上昇し前記通気路Rの一部をなす弁座23aにこの弁体3を着座させて閉弁して弁座23aより先の通気路Rに燃料が入り込まないようにこの通気路Rを閉鎖するようになっている。
図示の例では、フロート体1は、円柱状をなす主体部10と、この主体部10の上端に形成された頭部11とを備えている。頭部11は、主体部10の上端面10aの略中央からフロート体1の移動中心軸xに沿って突き出す軸部11aと、この軸部11aの先端11bと基部との間に形成された周回鍔部11cとを備えている。周回鍔部11cはさらに、中央部11dとこの中央部11dより上方に位置される外縁部11eとを備えており、両者の間には周回溝部11fが形成されている。
フロート体1はまた、その下端面においてその移動中心軸xを巡る周回状の穴口を有しフロート体1の上下方向略中程まで続く周回穴12と、この移動中心軸xの軸線上に位置するフロート体1の下端面において開放された中心穴13とを備えている。図示の例では、この周回穴12に入れ込まれてこの周回穴12の内奥部にバネ上端を接しさせ、かつ、バネ下端をロアキャップ6に接しさせた圧縮コイルバネ7によって、弁座23aから弁体3を離座させた下降位置にあり下端をロアキャップ6に接しさせたフロート体1に対し予め上方に向けた一定の付勢力が作用されるようになっている。(図1)
この実施の形態にあっては、かかる弁体3とフロート体1とは、これらの一方に備えさせた二以上の掛合部8をそれぞれ、これらの他方に備えさせた被掛合部8’に、弁体3の上下動を許容させた状態で掛合させて組み合わされていると共に、
これらの掛合部8のうちの少なくとも一つの掛合部8の備えられた位置に対しフロート体1の移動中心軸xを挟んで対向する位置には、掛合部8を設けさせないようにしてある。
また、フロート体1の下降時に、二以上の掛合部8のうちの一つの掛合部8が他の掛合部8よりも先に被掛合部8’に引っかかり弁体3が傾動されるようになっており、さらに、この弁体3の傾動を他の掛合部8が規制するようになっている。
図示の例にあっては、弁体3は、円板状をなし、フロート体1の上昇と共に上昇してその上面中央部を弁座23aの周回リブ23cに着座させ、この弁座23aを閉弁させるように構成されている。弁体3の下面側にはその縁部から下方に向けて突き出す複数の脚部30が設けられている。脚部30は図示の例では弁体3の周回方向において90度毎に一つづつの計四本備えられている。図示の例では、この脚部30のうちの三つに、この脚部30の先端側の内側に掛合面31aを上方に向けた掛合爪31が形成されている。また、弁体3には、脚部30の形成位置に掛合爪31の成形用窓35が開設されている。そして、前記頭部11と主体部10の上端面10aとの間に常時この掛合爪31が位置されるように、弁体3とフロート体1とが組み合わされている。具体的には、各掛合爪31は下方側に掛合面31aの側に向かうに連れて掛合爪31の上下寸法を細める向きに傾斜した傾斜面31bを有すると共に、この傾斜面31bと掛合面31aとの接し合う各掛合爪31の先端を頭部11の外径よりも直径をやや小さくする仮想の円の円弧状に位置させるようにしている。そしてこの例では、各脚部30の間に頭部11を前記傾斜面31aに頭部11の縁部を押し付けることでこの脚部30を弾性変形させながら入れ込むことができ、かつ、頭部11の縁部が掛合爪31を乗り越えた位置での脚部30の弾性復帰により、頭部11と主体部10の上端面10aとの間に常時この掛合爪31が位置されるように弁体3とフロート体1とが組み合わされるようになっている。すなわち、図1〜図14に示される例では、かかる弁体3の掛合爪31が前記掛合部8として、また、フロート体1の頭部11が前記被掛合部8’として機能するようになっている。
フロート体1の下降位置においては、弁体3はフロート体1の頭部11に支持されている。(図1)通気路Rの一部をなす収納室20に前記貫通孔25、61などより燃料が流入してくるとフロート体1と弁体3とは一緒に上昇し弁座23aを閉じる。(閉弁/図5)この状態から収納室20から燃料が流出すると、弁体3とフロート体1とは弁体3の上下動を許容させた状態で掛合組み合わされていることから、フロート体1が下降するとこれに支持されていた弁体3も下降され弁座23aは開かれる。この実施の形態にかかる弁装置にあっては、前記掛合部8のうちの少なくとも一つの掛合部8の備えられた位置に対しフロート体1の移動中心軸xを挟んで対向する位置には掛合部8を設けさせていないことから、この一つの掛合部8が被掛合部8’に引っかかる位置までフロート体1が下降すると、弁体3はこの一つの掛合部8の側を下にして傾動され、フロート体1の下降初期の段階でこの側において弁体3を弁座23aから大きく引き離すことができる。これにより、収納室20から燃料が流出すると同時に応答性良く弁座23aを開き燃料タンクTを外部と通気可能な状態にさせることができる。(図6)また、燃料タンクT内が高圧であると弁体3が弁座23aに押し付けられ離座し難い事態が生じる場合があるがこのような場合でも、フロート体1の下降によって弁体3を傾動させて弁座23aをスムースに開くことができる。
図15に示されるように、フロート体1の上端部に、内側に弁体3を納める上方に突き出す複数の突片10bを設けると共に、この複数の突片10bの一部に下方に掛合面10dを向けた掛合部8となる掛合爪10cを形成させ、この掛合爪10cが被掛合部8’となる弁体3の縁部に上方から引っかかるようにして、かかる複数の突片10bによって、弁体3とフロート体1とを弁体3の上下動を許容させた状態で組み合わせるようにしても同様の機能を発揮させることができる。この場合には、弁体3には前記脚部30は形成させない。
また、この実施の形態にあっては、弁体3は、弁体3から下方に突き出す脚部30の下端側に備えられた掛合爪31によって構成された少なくとも三箇所の掛合部8を備えていると共に、
三箇所の掛合部8のうちの一箇所の掛合部8の掛合爪31が他の掛合部8の掛合爪31よりも上方に位置された先当たり掛合爪31’となっている。
そして、この先当たり掛合爪31’とされる掛合部8の備えられた位置に対しフロート体1の移動中心軸xを挟んで対向する位置に、掛合部8を設けさせないようにしてある。
先当たり掛合爪31’の掛合面31aと弁体3の下面32との間のピッチは、頭部11の上下寸法よりも大きく、かつ、その余の掛合爪31の掛合面31aと弁体3の下面32との間のピッチより小さくなっている。図示の例では、弁体3の周回方向において先当たり掛合爪31’を備えた脚部30に隣り合う脚部30がそれぞれその余の掛合爪31となっている。
これにより、この実施の形態にあっては、フロート体1の下降時には先当たり掛合爪31’とされる掛合部8により弁座23aに着座されている弁体3にこれを傾動させる力を作用させて離座を円滑になさしめると共に、その余の掛合爪31を持った掛合部8によって弁体3とフロート体1との組み合わせ状態を保たせることができる。
また、かかる先当たり掛合爪31’とされる掛合部8以外の掛合部8によって、弁体3が一定角度以上に傾動しないようにすることができる。図10〜図12に示されるように、弁体3の周回方向において先当たり掛合爪31’を備えた脚部30に隣り合う脚部30に形成された掛合爪31の掛合面31aを、この先当たり掛合爪31’に近づくに連れて次第に斜上する傾斜面とさせておけば、前記頭部11の下面にこの掛合面31aを全体として接しさせた状態において、最も弁体3が傾動されるようになる。(図10)
また、この実施の形態にあっては、弁体3における先当たり掛合爪31’の備えられた位置に対しフロート体1の移動中心軸xを挟んで対向する位置に、フロート体1の頭部11の縁部の側方に位置される掛合爪31を持たない外れ止め脚部33が形成されている。そして、外れ止め脚部33の内面と先当たり掛合部の掛合爪31の先端との間のピッチが頭部11の外径よりもやや小さくなるようにしてある。
これにより、この実施の形態にあっては、弁体3の前記傾動を許容させながら、先当たり掛合爪31’の形成側と反対の側に外れ止め脚部33を設けてこの先当たり掛合爪31’がフロート体1の被掛合部8’である頭部11から外れないようにすることができる。
また、この実施の形態にあっては、フロート体1の移動中心軸x側に、弁体3に傾きが生じているときにこの弁体3の傾斜下方側で接し合ってフロート体1の上昇によってこの傾きを矯正する対をなすガイド手段9が備えられていると共に、
フロート体1の上昇時にはその余の箇所においてフロート体1と弁体3とが接し合わないようになっている。
この実施の形態にあっては、かかる対をなすガイド手段9の一方は、フロート体1に備えられた突部14とされ、対をなすガイド手段9の他方は、弁体3に備えられたこの突部14を納める凹部34となっている。
図示の例では、フロート体1の頭部11の前記軸部11aの上部がかかる突部14として機能するようになっている。また、図示の例では、弁体3の下面32であってその略中央に内側を前記凹部34とさせる周回突部34aが形成されており、この周回突部34aの内径は軸部11aの上部の外径よりもやや大きく、弁体3はこの軸部11aを周回突部34a内に納め、この軸部11aを周回突部34aによって囲繞された下面32に接しさせてフロート体1上に支持されるようになっている。そして、この状態において、弁体3の脚部30の内面はフロート体1の頭部11の縁部(図示の例では周回鍔部11cの外縁部11eの縁)に接することがなく、周回突部34aの外面は前記周回溝部11fの溝壁に接することがなく、脚部30の先端はフロート体1の主体部10の上端面10aに接しないようになっている。軸部11aの上端はドーム状をなすように形成されており、弁体3はこの軸部11aの頂部に凹部34の内奥部34bを点的に接触させるようにして支持されている。
収納室20への燃料の流入によりフロート体1が上昇すると弁体3も上昇するが、このときに弁体3に傾きが生じていると、弁座23aの一方側に先に弁体3が接することから(図4)この側を支点として弁座23aの他方側をフロート体1によって持ち上げフロート体1の傾きを矯正し弁座23aに弁体3を全体として着座させることとなる。(図5)この実施の形態にあっては、フロート体1の移動中心軸x側に前記ガイド手段9が備えられていることから、弁体3に前記のような傾きが生じている場合には前記支点と近い位置で弁体3とフロート体1とを摩擦力を大きくすることなく接しさせて前記傾きを矯正させることができる。具体的には、前記凹部34におけるフロート体1の移動中心軸xに沿った内面に突部14の側面14aを接しさせて前記弁体3の傾きを矯正させることができる。(図4)
図13および図14に示されるように、前記突部14を、この突部14の突き出し中心軸14bを巡る向きにおいて、隣り合う突部構成体14cとの間に隙間14dを開けて配された複数の突部構成体14c、14c…から構成させておくこともある。
また、図11に示されるように、隣り合う凹部構成体34cとの間に隙間34dを開けるようにして周回状に配された複数の凹部構成体34cの内側を前記凹部34とするようにしておくこともある。
このようにした場合、これらの構成体14c、34c間の隙間14d、34dによって突部14と凹部34間への燃料の残存を防止することができ、残存燃料によって弁体3をフロート体1に張り付けさせてしまうような事態を防止することができる。
この実施の形態にあってはまた、フロート体1の頭部11における前記周回溝部11fの外周側の溝壁に液抜き孔11gが形成されており、(図7)突部14と凹部34との間に入り込んだ燃料はこの液抜き孔11gにより周回溝部11fに溜まることがないようにしてある。
以上に説明した弁装置の構成各部品における弾性変形特性を備えるべき部分に対する弾性変形特性の付与は、その部品をプラスチック成形により構成することで確保される。
弁装置の使用状態を示した断面構成図 弁装置の側面図 同底面図 弁装置の要部断面構成図(チェックバルブ5の記載省略) 弁装置の要部断面構成図(チェックバルブ5の記載省略) 弁装置の要部断面構成図(チェックバルブ5の記載省略) 弁体3とフロート体1の分離斜視図 弁体3の斜視図 同断面図 他の構成例にかかる弁体3の傾動状態を示した側面図 同弁体3の斜視図 同断面図 他の構成例にかかるフロート体1の要部斜視図 さらに他の構成例にかかるフロート体1の要部斜視図 弁体3およびフロート体1の構成の一部を共に異ならせた例の要部断面構成図 従来例の不都合を示した断面構成図
符号の説明
R 通気路
T 燃料タンク
1 フロート体
20 収納室
23a 弁座
3 弁体
8 掛合部
8’ 被掛合部

Claims (4)

  1. 燃料タンクの内外を連通する通気路中に備えられる弁装置であって、
    上部に弁体を備えたフロート体と、
    このフロート体を上下動可能に収納する前記通気路の一部をなす収納室と、
    この収納室への燃料の流入によるフロート体の上昇により前記弁体の着座を受け閉弁される前記通気路の一部をなす弁座とを備えており、
    弁体とフロート体とは、弁体に備えさせた二以上の掛合部をそれぞれ、フロート体に備えさせた被掛合部に、弁体の上下動を許容させた状態で掛合させて組み合わされていると共に、
    前記二以上の掛合部のうちの一つの掛合部が他の掛合部よりも上方に位置されており、フロート体の下降時に、この一つの掛合部が他の掛合部よりも先に被掛合部に引っかかり弁体が傾動されるようになっており、
    しかも、この弁体の傾動を他の掛合部が規制するようになっており、
    さらに、フロート体の移動中心軸側に、弁体に傾きが生じているときにこの弁体の傾斜下方側で接し合ってフロート体の上昇によってこの傾きを矯正する対をなすガイド手段が備えられていると共に、
    フロート体の上昇時にはこのガイド手段以外の箇所においてフロート体と弁体とが接し合わないようになっていることを特徴とする燃料タンク用弁装置。
  2. 対をなすガイド手段の一方が、フロート体及び弁体のいずれか一方の側に備えられた突部であり、対をなすガイド手段の他方が、フロート体及び弁体の他方の側に備えられたこの突部を納める凹部であることを特徴とする請求項1に記載の燃料タンク用弁装置。
  3. 突部を、この突部の突き出し中心軸を巡る向きにおいて、隣り合う突部構成体との間に隙間を開けて配された複数の突部構成体から構成させていることを特徴とする請求項2記載の燃料タンク用弁装置。
  4. 隣り合う凹部構成体との間に隙間を開けるようにして周回状に配された複数の凹部構成体の内側を前記凹部としていることを特徴とする請求項2記載の燃料タンク用弁装置。
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