JP4970646B2 - 発熱体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超薄型から厚型までの任意の厚みで、円、楕円、ダンベル型等の任意の形状に成形できる発熱体の製造方法に関するものである。即ち、粘性付与物質を含まず、酸素と反応して発熱する鉄粉、活性炭、塩化ナトリウム、水を必須成分とし、易動水値を16〜50とすることで、全体としてシャーベット状に形成でき、このシャーベット状の発熱組成物を基材上に設けられた通し型等を使い、超薄型から厚型までの任意の厚みの発熱体として製造でき、小から大までの各種サイズの外、形状も円形、長方形、三角形等、多種の形状の発熱体が製造できる上、発熱組成物を袋体内に均等な厚さに分布させ得ることは言うまでもなく、柔軟で使用感が著しくよく、長時間に亘り発熱する、発熱性能に優れた発熱体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄等の金属の酸化反応を利用した発熱組成物は粉体及び結合剤や増粘剤等を用いた粘体やクリーム状物として提供されてきた。それらを利用した発熱体は、コスト、安全性、発熱温度などからみて非常に優れており、例えば、通気性を有する袋に充填されたいわゆる化学カイロとして既に実用に供せられている。
【0003】
また、カイロの形状を変える目的で、通気性を有する袋の形状を馬蹄形や台形に形成し、靴やスリッパに用いる履き物用発熱体として利用されている。一方、特開昭60−101448号公報、特開平10−216167号公報、特開平11−508314号公報等に見られるように、発熱剤を粘体やクリーム状物にし、形状を従来の矩形から足型や円形状に変え、被保温体の輪郭に適合できるようにすることが提案されている。
【0004】
この発熱体の製造方法としては、スラリー状、凝集体状又は粘体状の発熱組成物の場合は、発熱組成物を圧縮成型し、形を付けた発熱組成物を基材の所定領域に投下した後、通気性を有する被覆材を被せ、更に、この後、基材と被覆材の周縁部を全周に亘ってヒートシール、ホットメルト系接着剤などによって封印する方法が提案されている。
【0005】
そして、このようにして製造された発熱体は、使用時までの発熱反応を抑止するために、気密性の外袋内に密封され、保存されたり、流通に供されている。
【0006】
また、クリーム状発熱組成物の場合は、発熱組成物に増粘剤を加え、粘調化して発熱組成物をクリーム状にし、印刷やコーティング等により、紙等の吸水性支持体上に積層し、簿型の発熱体として製造し、その後、遊離水及び/又は含水ゲル中の水分の一部を支持体、被覆材などに吸収させることにより、空気との接触をよくして、発熱反応を開始させるという提案がなされている。
【0007】
発熱組成物を投下する方法としては、粉末状発熱組成物の場合、収納袋に発熱体を充填する方法に見られるように、袋基材を間欠的に移動させ、袋基材の停止中に粉末状の発熱組成物を投下する方法と、不織布中に粉末状の発熱体を分散させ、水を加えてシート状の発熱体を作成する場合に見られるように、基材を一定速度で移動させ、投下口より基材上に粉末状の発熱組成物を投下する方法とがある。
【0008】
【本発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら粉体状発熱組成物は種々の欠点を有している。即ち、これらの発熱体を、人体、或いは、機械設備などの加熱、保温に用いた場合には、運動状態はもとより、静止状態においても発熱組成物が重力で袋の下方に片寄り、形状変化による違和感を生ずるほか、発熱特性自体も変化し、発熱量が低下するという欠点があった。
【0009】
更に、袋状収納体に粉体発熱剤を充填して発熱体を製造する場合は、基材を間欠的に移動させ、基材の停止中に発熱組成物を投下するため、基材の停止、起動を頻繁に繰り返すので、製造速度が遅くなるという問題がある。
【0010】
特に、薄物を作成しようとすると、厚みムラ、即ち、充填量の偏りが起こり、発熱の信頼性がなくなり、信頼性を上げるためには、発熱体全体を数mm程度とし、分厚くする必要があるため、形態的に使用感が悪くなると共に、発熱組成物の移動が起こり、発熱温度分布が一定せず、特性上も使用感の悪いものであった。
【0011】
一方、多孔質膜による発熱時の減圧を利用して発熱組成物の片寄りを防止した製品もあるが、完全に片奇り防止するには至っていない。
【0012】
また、シート状発熱体の製造に見られるような、基材を一定速度で移動させると共に発熱組成物を投下する方法では、粉体を充填する方法より高速化が得られる可能性があるが、基材である不織布の中に粉末状の発熱体を分散する必要があり、製造速度には限界があった。
【0013】
一方、スラリー状の発熱組成物は水分量が多く、形状維持ができず、粘体発熱組成物は流動性が足らず、成形することができず、圧縮成型等に頼らざるを得なかった。
【0014】
また、膠やアラビアゴム等を入れたインキ(インク)やCMC等を入れたクリームを模して加粘性物を発熱性組成物に加え、粘調性を与え、発熱組成物の印刷を可能にしたインキ状乃至クリーム状の発熱組成物が開発されているが、これらのインキ状乃至クリーム状のものは加粘性物を使用して発熱組成物粒子を結合しているため、片寄り防止、成形性、形状維持性は優れているが、発熱性能が著しく悪かった。同様に増粘剤や結合剤を使用して作られている粘体発熱組成物も増粘剤や結合剤を使用して発熱組成物粒子を結合しているため、片寄り防止、成形性、形状維持性は優れているが、発熱性能が著しく悪かった。
即ち、粘体発熱組成物の場合、形状形成のため、圧縮成型行程が入り、工程的に煩雑になる。一方、インキ状乃至クリーム状発熱組成物の場合、加粘性物を加えて、発熱組成物の粘調性を出しているため、印刷法等にて形状形成が高速でできる反面、発熱反応を起こさせるために、遊離水を支持体、被覆材、或いは、吸水材などに吸収させても、結合剤、増粘剤、凝集助剤や吸水性ポリマーにより発熱組成物が粘調性であるため、遊離水が抜けきれなかったり、増粘剤等の発熱物質への悪影響等により、反応が緩慢になり、所用温度までの急速な温度上昇や長時間の加温が困難であった。
【0015】
更に、クリーム状発熱組成物は水はけが悪いため、支持体等に遊離水を吸水させるのに、長時間を要するのと、発熱組成物中に余分な遊離水が残り、該遊離水が反応を阻害する問題があった。また、加える水を少なくすると反応発熱時間が短くなる等の問題があった。従って、高速で、超薄型の発熱体を成形することはできるが、長時間発熱できるものができなかったり、発熱体を厚くし、発熱時間を延ばそうとすると、遊離水が抜けきれず、かえって発熱温度が下がったりして、所望する温度や発熱時間の得られる発熱体の製造には問題があった。
【0016】
本発明者は、吸水性ポリマー、凝集助剤、増粘剤及び/又は結合剤等の粘性を有する物質又は水を混合すると粘性を発現する物質を含む発熱組成物と発熱反応に適した水分量とからなる粉体発熱組成物に余剰水を加え、その余剰水で発熱を制御しようとすると、発熱は制御できるが発熱特性が著しく落ち、所望の発熱特性が得られないという知見を得た。
【0017】
また、増粘剤、結合剤、凝集助剤や吸水ポリマー等の粘性付与物質を含む発熱組成物は、反応に必要な量を超えた量の水を含んだ履歴を持つと、余分な水を除く処理をしてもその発熱性能が著しく低下するとの知見を得た。
【0018】
また、成形性を出すことにおいては、増粘剤、結合剤、凝集助剤や吸水性ポリマー等を使用した粘性増加法を取らず、遊離水量を調整することにより、形状形成等の成形性が出るとの知見を得た。
【0019】
また、使い捨てカイロ等の発熱原理は、金属粉が酸化される時の発熱を利用するものであり、この酸化反応は、特に、水分量に大きく影響され、水分が多すぎても、少なすぎても反応は著しく遅くなり、発熱を開始し、維持するためには適度の水分量が必要であるが、遊離水は極力除いた方がよいとの知見を得た。従って、成形性を出すために遊離水を利用した場合は、遊離水が排出され易い組成にしたり、増粘剤、結合剤、凝集助剤や吸水ポリマー等の粘性付与物質の発熱物質自身の悪影響を取り除くことにより、吸水剤や基材等で水分を吸い取るか、空間放置や減圧等で遊離水を減らしてやれば、発熱を効率よく開始し、優れた発熱特性を示すとの知見も得た。
【0020】
更に、また、本発明者は、発熱組成物をシャーベット状にすると、遊離水の排出が非常に容易になり、型通し成形、型押し込み成形、スクリーン印刷やコーティング等による積層が容易で、且つ、高速で超簿型から厚型の発熱体を製造でき、しかも発熱組成物を袋材に均等に分布させることができる上、吸収性基材の上に積層すると、このシャーベット状の発熱組成物は侵入・投錨性が高く、これらの基材の細孔に食い込み、その移動や偏りが阻止されるとの知見を得た。また、吸水性が増すとその効果が大きくなるとの知見も得た。
【0021】
また、本発明のシャーベット状の発熱組成物は、撹拌するか、振動を与えると余剰水が分離し、該発熱組成物の流動性が高まり、成形性が著しく高まるとの知見を得た。
【0022】
また、磁石を利用すると、型へシャーベット状の発熱組成物を容易に収容でき、収容後、磁石を外し、更に、型を外すことにより成形でき、また、形状維持することができるとの知見を得た。即ち、シャーベット状の発熱組成物の流動特性と磁石を組み合わせることにより、形状形成と形状維持を構成要素とする成形が容易にできるため、任意の形状成形性と優れた発熱特性を持つ発熱体が得られるとの知見を得た。
【0023】
本発明の課題は、スクリーン印刷やコーティングなどの印刷、転写法、型押し込み成形や、型通し成形等の成形手段を使用し、任意の形状を有する発熱体を任意の厚さや大きさで製造でき、発熱体製造時の粉塵の発生を防止し、成形後の発熱体が優れた発熱特性を持ち、しかも初期反応が速く、且つ、持続性のある、発熱体の製造方法を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
このように、従来の酸化発熱現象を利用した発熱組成物においては、上述の如き問題を有しているので、無害で使用し易く、任意の形状で、任意の厚みや大きさに作成でき、初期反応が速く、且つ、持続性のある発熱特性に優れた発熱組成物及び発熱体の開発が待たれていた。
そこで、本発明者は、これら従来の問題点を解決すべく鋭意研究し、各種の系統的実験を行なった結果、本発明を成すに至ったものである。
即ち、発熱組成物を粘性付与物質を含まず、酸素と反応して発熱する鉄粉、活性炭、塩化ナトリウム、水を必須成分とし、易動水値を一定範囲内に制限し、増粘剤、結合剤、凝集助剤や吸水性ポリマー等の粘性付与物質を含まず、全体としてシャーベット状に形成することで、発熱組成物に流動性、成形性、形状維持性、非粘調性を与え、遊離水等の余剰水の排水性が高く、粉体では実現不可能な成形性、形状維持性を持ち、クリーム状態、スラリー状態では実現困難な優れた成形性と優れた発熱特性を合わせ持つ発熱組成物を開発することに成功した。これを用いた発熱体は余分な水分が発熱組成物成分外に効率よく排出されているので、温度が高く、発熱寿命の長い発熱体とすることができた。
粘性を有する物質を発熱組成物中に混合させると、成形性、形状維持性はよくなるが、排水性、発熱性は悪くなる。従って、発熱組成物の成分に粘性をもっているもの、又は水と混合して粘性を発現するものを発熱組成物中に含めないようにすることで、優れた発熱特性を持つ本発明のシャーベット状発熱組成物が実現できた。
言うまでもないが、増粘剤、結合剤、凝集助剤、吸水性ポリマー、吸水剤、吸水材を成形された発熱組成物の表面上に、表裏を問わず設けてもよいし、発熱組成物から発熱可能な状態に余剰水分が除かれた後では、それらが発熱組成物と混合された状態になってもよい。
また、スクリーン印刷やコーティングなどの印刷、転写法、型押し込み成形、型通し成形等の成形手段を使用し、任意の形状で、任意の厚さや大きさで、発熱体を成形できた。ここで、磁石も併用できるが、磁石は磁性を有するものであれば如何なるものでよく、永久磁石や電磁石が一例として挙げられる。
以上、前記のような問題点を解決し、発熱体組成物をシャーベット状にしたため、発熱体に流動性と成形性が付与され、スラリー状発熱体に比べ、成形性、形状維持性が飛躍的に向上し、高速の型押し出し成形等が可能になり、平板状、円形状等の種々の形状を、超薄型から厚型、小面積から大面積、非連続体や連続体として製造可能にした。
また、結合剤や増粘剤による発熱物質への悪影響がなく、粘調性がないため、通水性がよく、成形後の発熱剤中の遊離水が素早く発熱剤の外に排出され、昇温速度、到達温度、発熱時間が結合剤等を使用した場合(粘体又はクリーム状体)に比べ、大幅に増大し、粉体に近い発熱性能をだすことができる化学カイロを作成できるという知見を得て、本発明が完成されたものである。
即ち、本発明の発熱体の製造方法は、請求項1に記載の通り、粘性付与物質を含まず、酸素と反応して発熱する鉄粉、活性炭、塩化ナトリウム、水を必須成分として易動水値16〜50の発熱組成物となるようにして調整し、基材及び被覆材のうちの少なくとも何れかの一部を通気性を有するように構成し、前記基材は、フィルム状又はシート状とし、前記発熱組成物を、層状に成形して前記基材上に積層した後に、前記被覆材を積層して前記基材と前記被覆材とを前記発熱組成物を介して貼り合わせることにより発熱体とし、前記易動水値は、No.2の濾紙上に内径10mm×高さ4mmの中空円筒状の穴を有する型板を載置し、前記穴内に測定対象となる発熱組成物を充填し、前記穴の中心から半径方向において、前記穴の外周から浸み出した水の距離の平均値を水分値(mm)とし、測定対象となる発熱組成物に含まれていた水量に相当する水のみを前記穴内に入れ、前記穴の中心から半径方向において、前記穴の外周から浸み出した水の距離の平均値を真の水分値(mm)とし、水分値(mm)を真の水分値(mm)で除した値を百分率で表した値であることを特徴とする。
また、請求項2記載の発熱体の製造方法は、請求項1に記載の発熱体の製造方法において、前記発熱組成物に保水剤が配合されていることを特徴とする。
また、請求項3記載の発熱体の製造方法は、請求項2に記載の発熱体の製造方法において、前記発熱組成物にpH調整剤及び水素抑制剤から選ばれた少なくとも1種が配合されていることを特徴とする。
また、請求項4記載の発熱体の製造方法は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の発熱体の製造方法において、前記発熱組成物の水分の一部を前記基材又は前記被覆材に吸収させてなることを特徴とする。
また、請求項5記載の発熱体の製造方法は、請求項4に記載の発熱体の製造方法において、少なくとも前記発熱組成物の表面の一部が網状ポリマーにより覆われていることを特徴とする。
また、請求項6記載の発熱体の製造方法は、請求項5に記載の発熱体の製造方法において、前記発熱組成物の周囲部において、前記基材と前記被覆材とが全周で、或いは、部分的に粘着又は接着若しくは熱融着によって封着されていることを特徴とする。
また、請求項7記載の発熱体の製造方法は、請求項5又は6に記載の発熱体の製造方法において、前記基材及び前記被覆材の少なくとも一種が伸長性を有していることを特徴とする。
また、請求項8記載の発熱体の製造方法は、請求項4乃至7の何れかに記載の発熱体の製造方法において、前記発熱組成物の表層部における全面又はその一部に凹凸が形成されていることを特徴とする。
また、請求項9記載の発熱体の製造方法は、請求項5乃至8の何れかに記載の発熱体の製造方法において、前記基材又は前記被覆材において、その何れか一方の露出面の少なくとも一部に粘着剤層又はジェル層が積層されていることを特徴とする。
また、請求項10記載の発熱体の製造方法は、請求項9に記載の発熱体の製造方法において、前記粘着剤層又はジェル層が、湿布剤を含有する湿布層、或いは、経皮吸収性薬物を含有又は担持している薬物含有層であることを特徴とする。
【0025】
本発明のシャーベット状の発熱組成物は、発熱体中の過剰遊離水を減少でき、発熱性能を大幅に向上させることができ、しかも、発熱体製造時の粉塵の発生を防止でき、更に、型通し成形法、型押し込み成形法やスクリーン印刷、コーティングなどの印刷、転写法を採用できるので、発熱組成物の均等な分布を可能にし、しかも、発熱組成物の厚さやその分布の精度が高く、製品の品質の向上を図れる上、高速で超薄形の発熱体を簡便に製造できる。更に、発熱組成物を、吸水性の基材や被覆材、或いは、これらの上に形成された吸水層、或いは、吸水性を付与した包材上に型通し成形や型押し込み成形することによって、発熱組成物を袋材に均等に分布した状態で固定させることができ、その結果、発熱性能の確保と発熱組成物の移動や片奇りを防止できる。また、発熱体の少なくとも一部をメルトブロー法によりポリマーで網状に覆うことにより、発熱体の移動や偏りをより防止できるため、通気量の大きい材料からなる袋に収納しても袋内で偏りがより起こりにくくすることができる。
【0026】
また、本発明発熱組成物は、通水性基材上に積層し、減圧等により余剰な水分の一部を排出するようにしても、前記と同じ効果が得られる。
【0027】
本発明発熱組成物は、粘度等の流動性に関する性質は、成形できて、排水性や発熱特性が確保される範囲であれば如何なるものでもよい。
【0028】
本発明発熱組成物の易動水値とは、発熱組成物中の組成物外へ移動できる余剰水分の量を示す値である。この易動水値について、図1乃至図5を使って説明する。
図1に示すように、中心点から放射状に45度間隔で8本の線が書かれたNo.2の濾紙15を、図2及び図3に示すように、ステンレス板18上に置き、該濾紙15の中心に、内径10mm×高さ4mmの中空円筒状の穴16aを持つ型板16を置き、その中空円筒状の穴16a付近に試料17を置き、押し込み板13を型板16上に沿って動かし、試料17を押し込みながら中空円筒状の穴16aへ入れる(押し込み成形)。更に、図4に示すように、試料17の入った中空円筒状の穴16a及びその周辺を風防19で覆い、5分間保持する。その後、濾紙15を取り出し、放射状に書かれた線に沿って、水の浸みだし軌跡を中空円筒の穴16aの縁である円周部から浸みだし先端までの距離Lとして、mm単位で読み取る。同様にして、各線上からその距離Lを読み取り、合計8個の値を得る(図5)。読み取った8個の各値(a,b,c,d,e,f,g,h)を測定水分値とする。
その8個の測定水分値を算術平均したものをその試料の水分値(mm)とする。
また、真の水分値を測定するための水分量は内径10mm×高さ4mmの該発熱組成物の重量に相当する該発熱組成物の配合水分量とし、その水分量に相当する水のみで同様に測定し、同様に算出したものを真の水分値(mm)とする。水分値を真の水分値で除したものに100をかけた値が易動水値である。
即ち、易動水値=[水分値(mm)/真の水分値(mm)]×100
尚、この易動水値は、型押し込み成形等による積層時の値である。
【0029】
本発明のシャーベット状発熱組成物の易動水値(0〜100)は好ましくは7〜50、より好ましくは8から45、更に好ましくは9〜40である。7未満であると該組成物を型を通して基材へ積層しようとした場合、流動性が悪く積層ができず、50を越えると型形状から組成物がはみ出して形状が維持できない。
【0030】
本発明発熱組成物は、シャーベット状であるから、型通し成形、型押し込み成形や、例えば厚塗印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、吹き付けなどの公知の印刷技術を用いて印刷したり、ヘッドコーター、ローラー、アプリケーター等による塗工やコーティングによって、至極容易に転写、積層できる上、高速で超薄型の発熱体を製造できるものであり、しかも、本発明発熱組成物は袋材に均等に分布させることができる。中でも、シャーベット状の発熱組成物の特性を生かせる型通し成形が好ましい。
【0031】
本発明発熱組成物においては、シャーベット状に形成されているので、発熱組成物を高速の印刷やコーティング等によって積層する場合、例えば、基材の送り速度が毎分100〜200m/分程度という高速で、少なくとも1箇所の所定領域に、例えば、0.02〜3.0mm程度の薄い膜厚から厚い膜厚まで、しかも、厚みを均一にして積層させることが可能になる。
【0032】
基材上に本発明発熱組成物を積層し、更に、その上からロールフィルム状又はロールシート状の被覆材を被せれば発熱体を得ることができる。
【0033】
また、本発明発熱組成物は、シャーベット状であるので、遊離水である余剰水分がバリヤー層となるので、空気の供給量が滅少して発熱反応を実質的に停止するが、排水性がよいので、場合によっては、短時間、空気中に放置することにより、水分が蒸発して表面から発熱反応がはじまり、そのまま発熱反応を持続させることができる。
【0034】
即ち、従来の粉末状発熱組成物やクリーム状発熱組成物においては、前述の種々の重大な弊害が発生するが、本発明のように、増粘剤等の粘性向上剤を含まない発熱組成物をシャーベット状にすると、型通し成形、型押し込み成形、スクリーン印刷やコーティング等による転写、積層等が容易で、且つ、高速で超薄形の発熱体を製造でき、成形後、この余剰水分である遊離水は速やかに発熱組成物外へ排出できるので高発熱性能が保たれる。
【0035】
また、余剰水分である遊離水の一部を減圧等で発熱組成物外へ排出するか、基材及び/又は被覆材などの袋材に吸収させると、バリヤー層が消失し、しかも水分が包材に吸収されることによって本発明発熱組成物が多孔質になる結果、空気との接触が良好になり、発熱特性が良好な発熱体が得られる。しかも、シャーベット状であるので、クリーム状やペースト状のように粘調性がないので、水分を反応時に必要な水分量まで、短時間で簡単に落とすことができる。また、増粘剤や結合剤等を含むインキ状、クリーム状、ペースト状の発熱組成物と異なり、増粘剤や結合剤による発熱特性に対する悪影響もない。
【0036】
本発明において使用される発熱物質、炭素成分、酸化促進剤及び水については、通常の化学カイロに用いられるものであれば特に制限はない。
同様に、粘調性を与えず、通水性、流動性、分散性、型離れ性、形状維持性、基材への密着性等の改良を目的とし添加するものとして、無機系保水剤、有機系保水剤、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤、疎水性高分子化合物、ベントナイト、焦電物質、酸化防止剤、骨材及び発熱助剤が一例として挙げられる。通常の化学カイロに用いられるものであれば特に制限はない。場合によっては、粘調化が起こらない程度の少量の吸水性ポリマーや結合剤などを配合し、全体としてシャーベット状に形成してもよい。
【0037】
本発明の発熱体の各成分量は、成形性や発熱特性を維持できるならば如何なる量でもよいが、通常は発熱物質100質量部あたり、炭素成分1〜40質量部、酸化促進剤0.2〜30質量部及び水2〜100質量部であり、好ましくは鉄粉100質量部あたり、炭素成分1.5〜30質量部、酸化促進剤0.7〜10質量部及び水3〜85質量部からなり、更に、易動水値を7〜50にすることで、全体としてシャーベット状に形成することができる。
更に、この発熱組成物には、前記シャーベット状が維持される範囲で、他の成分を配合してもよいが、発熱物質100質量部に対し、無機系、或いは、有機系の保水剤0.1〜10質量部、pH調整剤0.01〜10質量部、分散性を高める界面活性剤0.01〜10質量部、消泡剤0.01〜10質量部及び疎水性高分子化合物0.01〜10質量部から選ばれた少なくとも1種の配合が一例として挙げられる。
【0038】
ところで、これら成分の混合法としては、シャーベット状にすることができれば、如何なる方法でもよいが、前記固形成分のみを均一に混合した後、水或いは金属の塩化物の水溶液乃至分散液を配合したり、前記固形成分に、前記含水量の範囲内で、適量の水を加え、この全成分を均一に混合する方法が一例として挙げられる。
場合によっては、粘調性を増加させない範囲で、増粘剤、結合剤及び/又は凝集助剤を好ましくは0.01〜1.0質量部、更に好ましくは0.01〜0.09質量部を適宜配合して、シャーベット状にしてもよい。尚、凝集剤、増粘剤及び/又は結合剤の添加量が1.0質量部を越えると粘調性がでて、遊離水の排出を困難にすると共に、発熱物質への増粘剤等の粘着(付着)等により発熱物質の発熱特性が落ち、発熱反応への悪影響がでる。
同様に、吸水性ポリマーについても粘調性を増加させない範囲で付与してもよい。ここで粘調性を増加させない範囲とは、発熱物質、炭素成分、酸化促進剤、水とからなる発熱組成物のB型粘度Sとそれに吸水性ポリマー等の添加物を加えた発熱組成物のB型粘度Tの差、即ち、T−Sの値が20,000cps以下である。0やマイナス値も入る。
また、B型粘度とはB型粘度計で、♯7で2rpmで、試料に♯7のローターを入れ、回転し始めてから3分以上たった安定状態の値を採用する。
♯7で2rpmでのB型粘度計のフルスケールは2,000,000cpsである。
【0039】
加えて、本発明のシャーベット状の発熱組成物を基材と被覆材の間に介装するにあたり、本発明発熱組成物の片面又は両面に鉄粉、炭素成分、吸水剤、吸水性ポリマー、結合剤、増粘剤又は凝集助剤から選ばれた少なくとも1種を積層、或いは、散布し、使用時の発熱温度の立ち上がりを速やかにしたり、使用時の温度特性を変化させてもよい。この場合、その積層、或いは、散布量は、温度特性を悪化させない範囲であれば特に限定されるものではないが、一般に1〜300g/m2の範囲とするのが望ましい。この吸水剤としてはパルプ、コットン、紙類、火山灰系物質、保水剤が一例として拳げられる。
ここで、前記鉄粉として炭素成分でコーティングした鉄粉、或いは鉄粉(A)と炭素成分(B)とこの(A)と(B)の合計量に対し5質量%以下の水を加えた混合物を使用してもよい。
【0040】
上記発熱物質としては酸素と反応して発熱するものであれば如何なるものでも使用可能であるが、一般的には金属が使用される。例えば、鉄粉、亜鉛粉、アルミニウム粉又はマグネシウム粉、或いは、これらの1種以上の金属を含む合金の粉末、更に、これらのうちの1種以上を含む混合金属粉などが用いられるが、特に、これらの金属粉の中では、安全性、取扱性、コスト、保存性及び安定性などの観点を総合して最も優れている鉄粉を用いることが望ましい。この鉄粉としては、鋳鉄鉄粉、アトマイズド鉄粉、電解鉄粉、還元鉄粉等を使用することができる。更に、これら鉄粉が炭素を含有しているものも有用である。
【0041】
特に、鉄粉表面が0.3〜3.0質量%の導電性炭素質物質で部分的に被覆された鉄粉は有用である。導電性炭素質物質は、カーボンブラック、活性炭等が例示され、鉄粉は還元鉄粉、アトマイズ鉄粉、スポンジ鉄粉が例示されるが、特に、導電性炭素質物質が活性炭で、鉄粉が還元鉄粉である場合が化学カイロには有用である。
【0042】
この場合において、炭素成分で鉄粉をコーティングする方法としては、ボールミル、コニカルブレンダ等で、30分から3時間の被覆処理により陰極薄膜形成できる。一例として、押圧型の混合機(ホソカワミクロン社製 AM一15F等)を用い、鉄粉100質量部に対し、炭素成分0.1〜10質量部の割合とし、回転数500〜1500rpmで、10〜80分混練する方法等が挙げられる。
【0043】
また、混合、押し出しのできるスクリュー等で、鉄粉、炭素成分、水又は塩水を混合、押し出しをした後、保水剤等の他の成分を加え、混合、押し出しを行い、炭素成分処理の鉄粉を使用する発熱剤としてもよい。
【0044】
上記炭素成分としてはカーボンブラック、黒鉛又は活性炭などがその例として拳げられる。ココナツの殻、木材、木炭、石炭、骨炭などから調製された活性炭が有用であるが、動物産物、天然ガス、脂肪、油及び樹脂のような他の原料から調製されたものも本発明の発熱組成物に有用である。使用される活性炭の種類には制限はないが、優れた吸着保持能を有する活性炭(好ましくはヨー素吸着性能が800〜1200mg/g、メチレンブルー脱色力が100〜300mg/g)が好ましい。本発明では上記炭素の混合物を使用することもできる。
【0045】
上記酸化促進剤としては発熱物質の酸化促進ができるものであれば如何なるものでもよい。塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化第二銅、塩化マンガン、及び塩化第一銅等の金属ハロゲン化物や、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸銅、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、硫酸マンガンといった金属硫酸塩類、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等の硝酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩が一例として挙げられる。また、上記金属や他の金属の炭酸塩、及び他の塩も使用することができる。これらは単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0046】
上記水としては適当なソースからのものでよい。その純度及び種類等には制限はない。
【0047】
上記火山灰系物質(火山砂礫類等)としてはケイ素、アルミニウム、酸素等を主成分としたテラバルーン(火山ガラスを急速加熱したもので、独立気泡を有する微細な中空発泡体)、シラスバルーン、タイセツバルーン、鹿沼土、赤玉土、富士砂、軽石等又はこれらを焼成及び/又は粉砕したものが一例として挙げられる。吸水性、保水性に優れ、発熱特性が向上する。
【0048】
上記保水剤としては、テラバルーン、活性白土、ゼオライト等の含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物、パーライト、クリストバライト、バーミキュライト(ヒル石)、シリカ系多孔質物質、珊瑚礁物質、シリカ粉、ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩、ケイ石、ケイソウ土、アルミナ、マイカ粉やクレー等のケイ酸質、タルク等の苦土ケイ酸質、シリカ粉、オプライト又は木粉やパルプ粉や活性炭、おがくず、多くの綿毛を有する綿布、綿の短繊維、紙屑、植物質材料及び他の大きい毛細管機能と親水性とを有する多孔質材料等が拳げられる。尚、これらの保水力の増加、形状維持力の強化等のため、焼成及び/又は粉砕等の加工処理をしたものもよい。
セビオライトに代表される、含水ケイ酸マグネシウム質粘土鉱物(以下、粘土鉱物という)は、具体的には含水マグネシウムシリケートを主成分とするセビオライト、シロタイル、ラフリナイト、ファルコンドアイト、含水マグネシウムアルミニウムシリケートを主成分とするパリゴルスカイト等があり、これらの1種又は2種以上の混合物を用いる。また、通称で、マウンテンコルク、マウンテンウッド、マウンテンレザー、海泡石、アタパノレジャイト等と呼ばれる鉱物がこれに当る。
前記無機系、或いは、有機系の保水剤としては、粘調性を著しく発現させず、水を保水できるものであれば如何なるものも使用できる。特に、無機系の微細な中空発泡体は有用である。
【0049】
上記疎水性高分子化合物としては組成物中の水抜けをよくするため、水との接触角が40°以上、より好ましくは50°以上、更に好ましくは60°以上の高分子化合物であれば如何なるものでもよい。形状も特に制限はなく、粉体、顆粒、粒、錠等が一例として挙げられるが、粉体、粒状、顆粒状が好ましい。
ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリテレフタル酸エチレン等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレンやポリトリフルオロエチレンやポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリメタアクリル酸メチルやポリアクリル酸メチル等のアクリル酸樹脂が一例として挙げられる。
【0050】
上記pH調整剤としてはアルカリ金属の弱酸塩、水酸化物など、或いは、アルカリ土類金属の弱酸塩、水酸化物などがあり、その代表例として、Na2CO3、NaHCO3、Na3PO4、Na2HPO4、Na5P3O10、NaOH、KOH、CaCO3、Ca(OH)2、Mg(OH)2、Ba(OH)2、Ca3(PO4)2、Ca(H2PO4)2などが一例として挙げられる。
【0051】
上記水素抑制剤としては水素の発生を抑制するものであれば如何なるものでもよいが、硫化カルシウム等の金属硫化物、酸化剤、アルカリ性物質、イオウ、アンチモン、セレン、リン及びテルルからなる群より選ばれた少なくとも1種又は2種以上からなるものや、上記pH調整剤が一例として挙げられる。発熱剤である金属粉に予め混合しておくと、添加量を減らせて、より効果がある。
【0052】
ここで、酸化剤としては硝酸塩、亜硝酸塩、酸化物、過酸化物、ハロゲン化酸素酸塩、過マンガン酸塩、クロム酸塩等があり、NaNO3、KNO3、NaNO2、KNO2、CuO、MnO2、H2O2、NaClO、NaClO3、NaClO4、NaMnO4、KMnO4、Na2ClO4、K2ClO4等が一例として挙げられる。
【0053】
アルカリ性物質としては、ケイ酸、硼酸塩、第二リン酸塩、第三リン酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、Na2SiO3、Na4SiO4、NaBO4、Na2BO4O7、KBO2、Na2HPO4、Na2SO3、K2SO3、Na2S2O3、Na2CO3、NaHCO3、K2S2O3、CaS2O3、Na3PO4、Na5P3O10等が一例として挙げられる。
【0054】
水素抑制剤を組み合わせて使用する場合、アルカリ弱酸塩―アルカリ弱酸塩の組み合わせ、即ち、Na2SO3―Na2SiO3、Na2SO3―Na2SiO3、Na2SO3―Na2B4O7、Na2B4O7―Na3PO3、Na2CO3―Na2SO3や、酸化剤―アルカリ弱酸塩の組み合わせ、即ち、Na3PO4―Na2SO3、Na5P3O10―Na2SO3、NaNO2―Na2SiO3、NaNO2―Na2HPO4、NaNO2―Na2SO3、NaNO2―Na2S3O3、NaNO3―Na2SiO3、NaNO2―Na2S2O3、NaNO3―Na3SiO3、NaNO3―Na2HPO4、NaNO3―Na2SO3、NaNO3―Na2S2O3、MnO2―NaSiO3、MnO2―Na2HPO4、MnO2―Na2S2O3、NaClO―Na2SiO3、NaCl―Na2HPO4、NaClO―Na2SO3、KMnO4―Na2SiO3、KMnO4―Na2HPO4、KMnO4―Na2HPO4、S―Na2SO3、S―Na2S2O3等が一例として挙げられる。
【0055】
水素抑制剤の使用量は各水素抑制剤の合計量で、鉄粉に対して好ましくは0.01〜12.0質量%、より好ましくは0.05〜8質量%、更に好ましくは0.5〜2.0質量%である。0.01質量%未満では水素発生の抑制効果に乏しく、12.0質量%を超えると水素発生の抑制効果はあるが、発熱温度が低下するので適当ではない。
添加方法としては、作業性、混合の均一性から、水溶液として添加した方が好ましいが、水とは別個に固形として加えても、水素抑制効果に関しては、水溶液の場合とほとんど変わりない。
【0056】
過酸化物、ハロゲン化酸素酸塩等の酸化剤については、発熱剤への添加により、接触分解を起こすから、予め該酸化剤の水溶液を鉄粉に浸漬処理した場合の方が水素抑制効果はある。
【0057】
亜硝酸塩、硝酸塩については、発熱剤に添加した場合、アンモニアガスの発生がある。従って、亜硝酸塩、硝酸塩の水溶液により予め鉄粉を浸漬処理して、次いで、中和処理した場合の方が簡単にアンモニア臭を除去できるため、直接添加した場合より好ましい。
【0058】
上記界面活性剤としてはアニオン、カチオン、ノニオン、両性イオンを含む界面活性剤を包含する。しかしながら、これを用いるときは、ノニオン界面活性剤が好ましい。
また、エチレンオキサイドやエチレングリコール、プロピレンオキサイド、プロピレングリコール及びそれらを含む重合体も同様にして添加物として有用である。
【0059】
ノニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ヒマシ油・エチレンオキサイド付加物、ノニルフェノール又はオクチルフェノールのエチレンオキサイド付加物等のアルキルフェノール・エチレンオキサイド付加物、中級アルコール又は高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールのモノ、ジ、トリ、テトラ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エーテル・エステル、高級アルコール燐酸エステル等が挙げられる。
【0060】
その他の界面活性剤の具体例としては、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、或いは、リン酸エステル塩型の界面活性剤、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルナトリウム塩等の界面活性剤、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸やその金属塩、低重合度ポリカルボン酸の塩、例えば、低重合度ポリアクリル酸ソーダ、低重合度ポリアクリル酸ブチル、低重合度ポリメタアクリル酸ソーダ、更に、スルホン化ポリスチレン等の界面活性剤等が一例として拳げられる。
【0061】
これらの内の一種単独又は2種以上の混合物を用いることができる。また、これらを含有する市販の合成洗剤を用いることもできる。
【0062】
上記結合剤としては無機系、有機系、水分散エマルジョン系のいずれでもよいが、水に親和性のあるものが好ましい。
該結合剤又は増粘剤としては、ベントナイト、ステアリン酸塩、ポリアクリル酸ソーダ等のポリアクリル酸塩、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、アルギン酸ソーダ等のアルギン酸塩、ペクチン、カルボキシビニルポリマー、デキストリン、ユリア・メラミン樹脂系、ポリウレタン系、ポリ酢酸ビニル系、ポリビニルアルコール系、ポリビニルアセタール系、ポリアクリル酸系、例えば、シアノアクリレート類、異節環状系、例えば、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体系、例えば、カルボキシメチルセルロース、酢酸エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロースなど、澱粉系、例えば、デキストリン、α化澱粉、化工用澱粉、コーンスターチ、ポテトスターチ、αスターチなど、多糖類系、例えば、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、寒天、ポリエチレングリコール、キサンタン、マンナン、カゼイン、アルギン酸、アルブミン、アクリルスルホン酸系高分子物質、ポリ−N−ビニルアセトアミドなどが一例として挙げられる。
水分散エマルジョン系としては、例えば、ポリアクリル酸エマルジョン類、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、ポリブタジエンエマルジョシなどが一例として挙げられる。
【0063】
無機系の結合剤としてセメント類、例えば、ポルトランドセメント、マグネシアセメントなど、ケイ酸塩類、例えば、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリなど、リン酸塩類、例えば、リン酸亜鉛セメント、リン酸アルミニウムなど、硫酸塩類、例えば、石こうなど多数のものが挙げられる。リン酸三カルシウム及びケイアルミン酸ナトリウムのような凝結防止剤も使用できる。
【0064】
上記凝集助剤としてはコーンシロップ、結晶性ソルビトールシロップ、非結晶性ソルビトールシロップ及びこれらの混合物が一例として挙げられる。
【0065】
これらから選ばれた1種又は2種以上の混合物が一例として拳げられ、更に、これらを界面活性剤で処理したり、これらと界面活性剤を組み合わせて親水性を向上してもよい。
【0066】
消泡剤としてはポリリン酸ナトリウム等の通常のpH調整剤の他、この分野で用いられるものが用いられる。
【0067】
吸水性ポリマーとしては、水や金属の塩化物水溶液を円滑に、且つ、大量に吸水する高分子材料であれば如何なるものでもよい。
イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体、澱粉−アクリル酸塩グラブト重合体、ポリアクリル酸塩架橋物、アクリル酸塩−アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸塩−アクリルアミド共重合体、ポリアクリルニトリル架橋物の加水分解物、澱粉−ポリアクリロニトリル共重合体、架橋ポリアルキレンオキシド、ビニルエステルーエチレン系不飽和カルボン酸共重合体ケン化物、自己架橋ポリアクリル酸塩、ポリビニルアルコール系重合体と環状無水物との反応生成物、ポリアクリル酸塩架橋物、N−ビニルアセトアミド架橋体等から選ばれた1種又は2種以上の混合物が一例として拳げられる。更に、これらを界面活性剤で処理したり、これらと界面活性剤とを組み合せて親水性を向上してもよい。
【0068】
この吸水性ポリマーとしては、自重の倍以上、水を吸収してゲル化するものであれば特に限定されるものではないが、特に、架橋結合を導入して水に対する溶解性を制御した吸水性ポリマーが望ましい。特に、50倍以上の吸水力を有するものがより好ましい。
【0069】
上記焦電物質としてはドラバイト、ショール、エルバイト等のトルマリンが一例として挙げられる。
【0070】
上記骨材としては発熱組成物の多孔質化に有用であれば如何なるものでもよいが、活性白土、活性炭、木炭、ベントナイト、パーライト、シリカ−アルミナ粉、シリカ−マグネシア粉、カ焼マグネシア、カオリン、軽石、ゼオライト、マグネシア粉、沈殿アルミナ粉、活性アルミナ、炭酸カルシウム、シリカゲル、クリストバライト、バーミキュライト、シリカ系多孔質物質、ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩、ケイ石、ケイソウ土、アルミナ等の酸化アルミナ類、マイカ粉やクレー等の酸化アルミケイ酸質、タルク等の苦土ケイ酸質、シリカ粉、有機酸及び/又は無機質の短繊維、木粉、パルプ粉、メタシリケート、ジルコニウム、セラミックス、オプライト等が一例として挙げられる。
【0071】
上記発熱助成剤としては金属粉、金属塩、金属酸化物などがあり、Cu、Sn、Ni、Cr、Mn、CuCl2、FeC12、FeC13、CuSO4、FeSO4、CuO、MnO2、MgO、CaO、二酸化マンガン、酸化第二銅、四三酸化鉄やこれら元素を含有する化合物、又はそれらの混合物等が一例として挙げられる。
【0072】
上記充填剤としては木くず、コットンリンター及びセルロースを含む天然セルロース破片、ポリエステル繊維を含む破片形態の合成繊維、発泡ポリエステル及びポリウレタンのような発泡合成樹脂、及びシリカ粉末、多孔質シリカゲル、硫酸ナトリウム、硫酸バリウム、鉄酸化物及びアルミナを含む無機化合物等が一例として挙げられる。
【0073】
上記発泡剤としてはガスを発生し、発泡できるものであれば如何なるものでもよい。単一の物質であって、加熱により分解してガスを発生させる分解型発泡剤、2つ以上の物質を互に反応させることによってガスを発生させる反応型発泡剤などがある。分解型発泡剤には特に制限はないが、無機系分解型発泡剤が好適に用いられる。この代表例として重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムなどが挙げられる。
また、反応型発泡剤にも特に制限はないが、次のようなものが好適に用いられる。即ち、代表例として炭酸塩類、重炭酸塩類、或いは、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムなどの軽金属類とスルファミン酸、クエン酸などの酸性物質との組み合わせがある。
また、例えば、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、ケイ素などの軽金属類と苛性ソーダ、苛性カリ、水酸化カルシウム、炭酸ソーダなどの塩基性物質との組み合わせがある。更にまた、例えば、カルシウムカーバイトのようなものがあり、このものは水の存在下でアセチレンガスを発生させる。
これらの反応型発泡剤は何れも特に加熱をしなくても発泡するが、加熱することを妨げない。
【0074】
上記吸水剤としては水を吸収できるものであれば如何なるものでもよいが、前記保水剤、活性炭、結合材、吸水性ポリマー、増粘剤、凝集助剤、充填剤、骨剤等が一例として挙げられる。
【0075】
本発明のシャーベット状の発熱組成物の炭素成分は成形ができれば如何なる粒径でもよいが、150μm以上600μm以下の粒径の炭素成分が2%以上、85%以下であることが好ましい。
該炭素成分以外の固形成分においても同様に成形できれば、如何なる大きさでもよいが、好ましくは、その大きさは少なくとも70質量%以上が600μm以下であり、更に少なくとも50質量%、好ましくは70質量%、より好ましくは80質量%、最も好ましくは90質量%が200μm以下であり、150μm以下の平均粒度を有することが好ましい。これにより、排水性がよく、形状形成にも優れたシャーベット状発熱組成物に形成される。
前記固形成分の大きさが200μmより大きい粒径のものが50質量%よりも多くなると、印刷性や形状保持が低下する。
【0076】
網状ポリマーに使用されるポリマーはオリゴマー以上で接着剤系や粘着剤系が一例として挙げられるが、接着力や粘着力で固定できる固定能力を有するものであれば、エマルジョン型、溶剤型やホットメルト型であろうと、如何なるものでもよい。例えば、粘着剤系としては酢酸ビニル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルアセタール系粘着剤、塩化ビニル系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリエチレン系粘着剤、セルロース系粘着剤、クロロプレン(ネオプレン)系粘着剤、ニトリルゴム系粘着剤、ポリサルファイド系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤、シリコーンゴム系粘着剤、スチレンエラストマー系粘着剤(例えば、SIS、SBS、SEBS(SBSの水素添加タイプ)、SIPS(SISの水素添加タイプ)など)、アクリル酸系やメタクリル酸系のアルキルエステルを成分とするアクリル系エラストマー、ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体の如きオレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマーなどが一例として挙げられる。
これらは1種又は2種以上をブレンドしたものが用いられる。また水系エマルジョンとして使用してもよい。
【0077】
ちなみに、スチレン系エラストマーにオレフィン系エラストマーを加えることで、タックや強度を調節することができる。尚、弱粘着性物質の調整に際しては、必要に応じタッキファイヤー、軟化剤、老化防止剤などの添加剤を適宜配合することができる。
【0078】
接着剤系でのホットメルト系接着剤としては、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の通常のホットメルト接着剤及びスチレン・ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル・エチレン・オレフィン共重合体、石油樹脂、コールドグルー等の接着成分を含む接着剤が一例として挙げられる。
【0079】
次に、本発明発熱体について詳細に説明する。本発明発熱体の特徴は、前記シャーベット状の発熱組成物が少なくとも一部が通気性を有する収納袋内に積層、封入されてなり、且つ、前記シャーベット状の発熱組成物の水分の一部を系外へ出すか、収納袋に吸収させてなることを特徴とする発熱体であり、又は、前記シャーベット状の発熱組成物が敷材上に積層され、又は敷材間に設けられ、更に、包材に封入され、包材が基材と被覆材から構成された発熱体であり、本発明シャーベット状の発熱組成物をシート状包材内に積層、封入し、発熱組成物の水分の一部を前記シ−ト状包材、基材及び/又は被覆材又は敷材等に吸収させるか、積層時及び/又は積層後、空間放置による水分揮散、吸引脱水や遠心脱水、保水剤等吸水物質を該発熱組成物に積層又は散布等により接触設置させるか、又は、これらの組合せにより、水分の一部を発熱組成物の外へ出し発熱可能な構成にした発熱体である。
【0080】
本発明発熱体において、前記収納袋又は包材が、フィルム状、シート状又は不織布状の基材と、フィルム状、シート状又は不織布状の被覆材とからなり、この基材と被覆材のうち少なくとも一方、或いは、一部が通気性を有するものが望ましい。更に、吸水性を有するものが望ましい。
【0081】
本発明発熱体で用いられる基材、被覆材又は敷材等の素材は単一層のものと、厚み方向に複数層を積層したものとが含まれる。この場合において、積層とはヒートセット、接着、粘着、ラミネーションなどによって層同志が全面的に、或いは、部分的に接合されていたり、或いは、各層が単に重ね合わされ、例えば、周縁部や中央部などの局部で層同志がヒートシール、ホットメルト系接着剤、或いは、粘着剤等で接合されていることをいう。
【0082】
本発明発熱体は、このようにフィルム状、シート状又は不織布状の1箇所の所定領域に膜厚の薄い本発明発熱組成物を積層させた後、この発熱組成物を覆うようにフィルム状、シート状又は不織布状の被覆材を被せ、基材と被覆材とを発熱組成物を介して貼り合わせる。無論、品質及び信頼性を一層向上するために、基材と被覆材とを発熱組成物の周囲部において、粘着、熱接着又は熱融着によって封着するのが望ましい。この時、加圧及び/又は加熱を適宜使用してもよい。
【0083】
本発明発熱組成物上にポリマーをメルトブロー、塗布、スプレー、コーティング等で網状に設け、発熱組成物と基材等との固定をより確実にしてもよい。ここでのポリマーとは好ましくは熱可塑性の高分子化合物、エマルジョン系粘着剤、ホットメルト系粘着剤等が一例として挙げられる。
【0084】
ここで、基材、被覆材、敷材等の素材としては、高分子材料からなる発泡、或いは、非発泡のフィルム、シート又は不織布等が拳げられ、更に、積層型の基材、被覆材又は敷材を構成する場合にはこの一部を通気性を有するフィルム又はシートで構成すことができる。この通気性を有するフィルム、シート又は不織布等としては、発泡又は非発泡のフィルム又はシート、紙類、合成繊維、天然繊維の不織布、織布又は多孔質フィルム・シート、布、各種合成樹脂フィルム及びこれらの複合シートなどを用いることができる。布としては、織布、編布、不織布などを用いることができる。布を構成する繊維としては天然繊維、ビスコース繊維などの天然素材を用いた再生繊維、半合成繊維、合成繊維及びこれらのうちの2種以上の混合物などを用いることができる。
また、合成樹脂フィルムでは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルなどのフィルムに針、レーザーなどで細孔を設けて通気性を持たせたものが挙げられる。これらは単独で、又は適宜組み合わせて使用されるが、被覆加工性の面からは支持体と接する側には融点が低い繊維又はフィルムを、他の側には非溶融性乃至は融点の高い繊維又はフィルムを配した被覆材などが好ましい。特に、吸水性を有するフィルム、シート、不織布等が有用である。
【0085】
基材、被覆材又は敷材を構成する素材の高分子の一例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、芳香族、或いは、脂肪族のポリアミド、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、塩化ビニル−塩化ビニリデン系樹脂、ポリイミド、塩酸ゴム、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂、ポリアミノビスマレイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリオキシベンジル等の高分子材料や紙、パルプ、繊維、綿等の天然材料又はこれらの組み合わせによる織物、織布、不織布、フィルム、シート、発泡シート等が挙げられる。また、伸縮性素材に接着剤等を設けたり、2軸延伸するなどした、伸縮性のないものや実質上伸縮性のないものも伸縮性のない基材に含まれる。また、これらは単独、或いは、2種以上を積層して用いることができる。
【0086】
伸縮性素材としては伸縮性があれば、特に限定されるものではない。例えば、天然ゴム、合成ゴム、エラストマー、伸縮性形状記憶ポリマー等の単品やこれらと非伸縮性素材との混合品、混抄品やこれらの組み合わせ品から構成される織物、フィルム、スパンデックス糸、糸、紐、平板、リボン、スリットフィルム、発泡体、不織布、又はこれら同士又はこれらと非伸縮性のものとの積層等による複合化伸縮材等が一例として挙げられる。ここで、非伸縮性の長繊維や連続フィラメントをランダムに交絡させ、ランダムに接着や融着させて全体として伸縮性を有する等の加工法によるものも上記伸縮材に含まれる。ウレタン糸等の伸縮性糸にナイロン糸等を巻き付けて保護性伸縮性糸にしてもよい。
【0087】
ここで、エラストマー中でも、熱可塑性を有する熱可塑性エラストマーは熱融着性を有し、不織布等との積層体を製造するのに非常に容易であるので、望ましい。熱融着性の無い素材であれば熱可塑性樹脂を混合や混抄することにより熱融着性を付与したり、ホットメルト系等の接着剤(含粘着剤)を用いて接着すればよい。更に、伸縮材が非通気性の場合には、熱ピン方式、エンボス方式等、孔を開ける手段を使い、孔を開けることにより、伸縮性や伸長性と通気性を付与できる。即ち、全体として、伸縮性があればよく、単品でも、伸縮性基材同士又は非伸縮性基材との組み合わせによる複合品でもよい。
【0088】
上記合成ゴムとしては、具体的には、例えば、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、ポリアルキレンスルフィド、シリコーンゴム、ポリ(クロル・トリフルオロエチレン)、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレン・コポリマー、ウレタンゴム、プロピレンオキシドゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル酸エステル−アクリロニトリル・コポリマー又はアクリル酸エステル−2−クロルエチルビニルエーテル・コポリマー等が一例として拳げられる。
【0089】
また、上記熱可塑性エラストマーとしては、具体的には、例えば、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、アミド系エラストマー、塩ビエラストマー、シンジオタクチックポリ(1,2−ブタジエン)、ポリ(トランス−1,4−イソプレン)、シリコーン系エラストマー等が一例として拳げられる。
【0090】
上記オレフィン系エラストマーとしては、エチレン−プロピレン・コポリマー、エチレン−プロピレン−ジエン・ターポリマー、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン又はエチレン−酢酸ビニル・コポリマー等が一例として拳げられる。中でも、シクロペンタジエニル錯体、即ち、メタロセン触媒を用いて形成されたエチレン−α−オレフィンが特に好ましい。α−オレフィンとしては1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチルペンテン−1等が特に好ましい。
【0091】
ウレタン系エラストマーとしてはウレタン結合を有するブロックとポリカーボネート系ポリオール、又はエーテル系ポリオール、又はポリエーテル・ポリエステル系ポリオール、又はカプロラクトン系ポリエステルブロックとからなるウレタン系エラストマーが一例として挙げられる。
特に、これらから形成されるポリウレタンフィルムは非多孔質で透湿性を持ち、伸縮性も合わせ持つ特徴がある。
【0092】
エステル系エラストマーとしては芳香族ポリエステルを有するブロックと脂肪族ポリエステル又は脂肪族ポリエーテルを有するブロックとからなるエステル系エラストマーが一例として挙げられる。
【0093】
伸縮性記憶形状ポリマーとしてはポリイソプレン系、スチレン−ブタジエン系等共重合ポリマー、ポリウレタン系、ポリマーアロイ系等が一例として挙げられる。
【0094】
前記の基材及び被覆材の厚さとしては、用途によって大きく異なるが、特に限定されるものではない。具体的には、足用の場合、好ましくは10〜5000μm、人体に直接張り付けて使用する場合、好ましくは10〜500μm程度、より好ましくは12〜250μmである。一般用の場合、好ましくは10〜2500μm、より好ましくは12〜1000μmである。
【0095】
天然繊維としては、綿、麻、パルプ、レーヨンなどの植物性繊維、絹、獣毛などの動物性繊維が一例として拳げられる。
【0096】
伸縮性素材及び非伸縮性素材は透明、不透明、着色、無着色等如何なるものでもよい。
【0097】
前記伸縮性素材を含み、該使用素材と形態、性状、種類等の何れかを異にする素材との組み合わせにより全体として伸縮性を有する素材である複合化伸縮材を伸縮性素材としもよい。
【0098】
不織布としては、一般的に、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ビニロン、ポリエチレン、ウレタン、キュプラ、綿、セルロース、パルプ等の材質からなる単繊維又は複合繊維の単一不織布又はそれらの繊維の混抄又は異種繊維層の積層が用いられる。また、製法的には乾式不織布、湿式不織布、スパンボンド、スパンレース等を使用することができる。芯鞘構造の複合繊維からなる不織布でもよい。不織布の坪量は10〜200g/m2が好ましい。10g/m2未満の場合は強度が期待できず、200g/m2を越えることは強度的に必要ない。
【0099】
本発明において、被覆をおこなう場合には熱融着の過程で所定の厚さのシート状に加工される。被覆の方法としては支持体の表面に被覆材を重ね合わせ、熱ロールを通すか、又はプレス機により、全体、或いは、発熱組成物の周辺部を熱圧着するか、或いは、被覆材を用いた扁平状の袋内に収納した状態で袋の開口部を圧縮しながら熱融着するか、袋の全体部を圧縮しながら熱融着することによっておこなわれる。
【0100】
本発明において、吸水性を有する不織布として高吸水性繊維を使用する場合は、高吸水性繊維として好ましくは50ml/g以上、より好ましくは100ml/g以上の吸水能を有するものが好ましい。一般的にはアルカリによる加水分解によって生ずる親水基及び架橋構造などを有するアクリル系繊維が好ましく、例えば、ポリアクリル酸塩の架橋物、アクリル酸塩−アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリロニトリル架橋物の加水分解物、アクリル酸塩−アクリルアミド共重合体、ポリビニルアルコール−アクリル酸塩共重合体などの繊維であり、その太さが1〜10デニール、繊維長が10〜100mm程度のものが好ましい。
【0101】
基材又は被覆材となる不繊布は上記のような高吸水性繊維単独からなるものであってもよいが、強度面などから、通常は、その他の繊維との混紡されたものが用いられる。高吸水性繊維と混紡される繊維の種類には特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリウレタンなどの合成繊維、綿、パルプ、ビスコースレーヨンなどの天然繊維などであるが、得られた発熱体の両面を更にフィルムや不織布などで被覆するような場合には熱融着性が優れている点などからポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリエステルなどの合成樹脂繊維が好ましい。
【0102】
不織布全体に対する高吸水性繊維の混紡率は、通常は20質量%以上、好ましくは30〜80質量%程度とされる。支持体となる不繊布への加工は乾式法、湿式法の何れによるものであってもよく、その厚さとしては、通常は、2〜15mm、好ましくは3〜12mmであり、その重量は好ましくは20〜120g/m2、より好ましくは30〜100g/m2である。
【0103】
また、本発明発熱体においては、基材上に発熱組成物を積層し、更に、この組発熱組成物を被覆材で被覆するにあたり、フィルム状乃至シート状の吸水材を発熱組成物の積層形状に切断し、前記発熱組成物の片面に載置したり、或いは、これで発熱組成物の両面を挟み、次いで、被覆材で封着してもよい。
【0104】
この吸水材としては、その素材自体が吸水性を有するか否かを間わず、結果として吸水性を有するものであれば、特に限定されるものではない。
【0105】
具体的には、例えば、吸水材としては吸取紙、ティッシュペーパーなどの家庭用薄葉紙等の紙類、吸水性を有する発泡フィルム・シート(吸水性発泡ポリウレタン等の発泡体)又は吸水性を有する繊維で形成された不織布や織布、或いは、吸水性を有する繊維を含む不織布や織布又は吸水性の多孔質フィルム・シートなどが一例として挙げられる。
更に、吸水性の有無を問わず、発泡フィルム・シート、不織布、織布又は多孔質フィルム、シートに吸水剤の溶液を含侵させ、溶媒を蒸発させたり、或いは、フィルム又はシ−トに吸水剤を吹き付け、塗布、練り込み、圧着、積層、配合、転写又は担持等によって吸水性を付与又は増大させたり、或いは、吸水性の繊維を不繊布や織布に織り込んだり、混合した吸水フィルム又はシート等も一例として挙げられる。
また、吸水性の有無を問わず、発泡フィルム・シート、紙類、不織布、織布又は多孔質フィルム、シート等の非通気性、或いは、通気性のフィルム乃至シートの片面、或いは、両面(包材の内面)に、発熱組成物の平面形状に切断した吸水性の発泡フィルム・シート、紙類、不織布、織布又は多孔質フィルム・シート等の切断片を積層、固定して吸水性が付与されたものも一例として挙げられる。
【0106】
前記紙類としては吸水性を有する紙であれば特に限定されるものではないが、例えば、ティッシュペーパー、クレープ紙、及びクラフト等の薄紙、ライナー紙、段ボール中芯、コートボール等の厚紙、或いは、これらの1種又は2種以上の積層体が挙げられる
【0107】
前記吸水剤としては吸水性を有するものであれば如何なるものでもよく、前記発熱組成物で挙げた保水剤が一例として挙げられる。
【0108】
熱融着性や熱接着性の乏しい吸水性を有する基材や被覆材の場合は、基材上に積層された発熱組成物の外周縁部において、ホットメルト系接着剤の層、或いは、ホットメルト系粘着剤の層を介して基材と被覆材とを熱接着、或いは、粘着すればよい。加圧、加熱は適宜使用すればよい。
【0109】
吸水性を有する基材がヒートシール性不織布、吸水性不織布及び合成樹脂性のフィルム乃至シート(通気性、或いは、非通気性のフィルム乃至シート)からなる積層体の場合、ヒートシール性不織布は疎水性であり、吸水性の不織布が親水性であるものが、優れたヒートシール性や吸水性を発現するので、好ましい。
【0110】
前記ヒートシール性不織布としては、ポリオレフィン樹脂製不織布、ポリウレタン系不織布、ポリエステル系不織布等のほかに、ポリエステルとポリエチレンとの複合不織布が挙げられる。例えば、ポリエステル繊維とポリエチレン繊維の積層型不織布や複合型スパンボンド不織布、或いは、複合型スパンボンド不織布が一例として挙げられる。
【0111】
また、他のヒートシール性不織布の例として、繊維の芯と、この芯の外周囲が被覆層で被覆された二重構造の繊維で形成された不織布であり、前記芯がポリエステル繊維、或いは、ポリプロピレン繊維で形成されており、しかも前記被覆層がポリエチレンで形成されているものが一例として挙げられる。
【0112】
更に、他のヒートシール性不織布の例として、ポリエチレン繊維の周辺をポリエステル極細繊維で取り囲んだ複合繊維を当該繊維の軸方向に分割した極細スパンボンドを用いたものが一例として挙げられる。
【0113】
前記基材や被覆材が積層体で構成されている場合、基材が補強層/通気性制御層且つ染み出し防止層/吸水層、被覆材が吸水層/通気層又は非通気性層の構成が一例として挙げられる。補強層は各種不織布、通気性制御層且つ染み出し防止層はポリオレフィン、ポリエステル等の合成樹脂で形成された通気性又は非通気性のフィルム又はシート、吸水層は紙及びパルプ、コットン、レーヨン等の吸水素材で形成された不織布が一例として挙げられる。
【0114】
吸水性を有するフィルム又はシート状の支持体に、シャーベット状発熱組成物が積層されたシート状発熱体において、支持体として吸水能が5g/m2以上であることが好ましい。
【0115】
前記のヒートシール性不織布及び吸水性不織布などの不織布としては、所要の機械的強度やヒートシール性、更に、吸水性を発現させるために、その坪量は好ましくは5〜500g/m2、より好ましくは10〜350g/m2である。
【0116】
前記ポリオレフィン系樹脂製フィルム、ポリウレタン系樹脂製フィルム又はポリエステル系樹脂製フィルムとしては、所要の機械的強度やヒートシール性を発現させるために、その厚さは、好ましくは5〜500μm、より好ましくは10〜350μmである。
【0117】
熱可塑性樹脂製の不織布としては、所要の機械的強度やヒートシール性の向上を図るために、その坪量は好ましくは5〜500g/m2、より好ましくは10〜350g/m2である。
【0118】
本発明発熱体においては、印刷やコーティング等によって、超薄形の発熱体が形成されるが、発熱体が薄く形成されると、袋体内における発熱組成物による空気中の酸素の消費に基づく滅圧のみでは、単位時間当たりの発熱反応量が低下する結果、発熱組成物の移動、片奇りを防止し得る程度の減圧状態を維侍できない場合がある。また、減圧状態に関係なく使用できればより好ましい。
【0119】
このような場合には、成形された発熱組成物をポリマー(粘着剤や熱可塑性のポリマーが好ましい)又はそれらを含むエマルジョンの塗布、スプレー、コーティング、印刷、メルトブロー等により網状や千鳥状に覆う(網状ポリマ−で覆う)などして、基材及び/又は被覆材などに発熱組成物の全部又は一部を固定させてその移動、片寄りを防ぐのが好ましい。また、形状崩れの防止にもなる。ここで、ポリマーとは熱可塑性、熱硬化性、何れでもよいが、好ましくは後記の高分子材料、熱可塑性エラストマーや粘着剤層に使われる粘着剤が一例として挙げられる。熱可塑性の高分子とは基材や被覆材に使用される高分子材料も一例として挙げられる。言うまでもないが、これらの組み合わせや粘着力の弱いものから強いものまで使用できる。
また、網状とは通気性があれば、形状は如何なるものでもよく、通気性の膜も有用である。
【0120】
前記基材、敷材及び被覆材は引っ張り強度などの必要な機械的強度を有することが必要であり、しかも、体表面へのなじみ性を高めるために、全体として柔軟であることが好ましい。
【0121】
即ち、本発明発熱体においては、肘や膝等の関節部、更に、肩や腕等の人体における湾曲部や伸縮部、更に、屈伸部に一層好適に適用され、しかも、この伸縮部更に屈伸部に一層追従し易くするために、基材及び被覆材が、つまり発熱体の包材が、伸長性のフィルム、或いは、シート、特に、伸縮性のフィルム、或いは、シートで形成されたものが望ましい。
【0122】
また、仲縮性の基材及び被覆材、つまり伸縮性のフィルム、或いは、シートとしては、伸縮性の素材で形成されたものであれば特に限定されるものではないが、例えば天然ゴム、合成ゴム又は熱可塑性エラストマーが一例として拳げられる。
【0123】
前記の通り、本発明発熱体で用いられる基材及び/又は被覆材は厚み方向に前記の各種機能を持った層を複数、積層したものが含まれる。
【0124】
前記基材、敷材及び被覆材の表面に物理的に凹凸を形成することにより、発熱組成物からの吸水に伴う密着性とこれらの凹凸によって発熱組成物との結合性を高めてその移動、片奇りを防止してもよい。
【0125】
前記基材、敷材及び被覆材の表面が平滑性のフィルム、平滑性のシートの場合には、その表面を粗面(凹凸面)にしたり、発泡フィルム、発泡シート、紙、不織布、織布又は多孔質フィルム、多孔質シートを用い、発熱組成物の移動、片寄りを防止してもよい。
【0126】
前記基材、敷材及び被覆材の表面をコロナ処理等の物理的処理によって粗荒化(凹凸化)したり、及び/又は前述の鉄粉、活性炭、吸水性ポリマー、増粘剤、凝集助剤及び/又は結合剤で形成された層、或いは、前述のフィルム状乃至シート状の吸水材からなる吸水層に発熱組成物の全部又は一部を埋設乃至接合し、これによって、発熱組成物の移動、片寄りを一層防止してもよい。
【0127】
また、前記基材、敷材及び被覆材が、非通気性、或いは、通気性のフィルム又はシートを吸水性の素材でつくるか、又は該片面、或いは、両面に、吸水性を有する吸水材を積層し、これによって、前記基材及び/又は被覆材及び/又は敷材における発熱組成物との接触箇所に凹凸を形成することにより、発熱組成物からの吸水に伴う密着性とこれらの凹凸によって発熱組成物との結合性を高めてその移動、片寄りを防止してもよい。
【0128】
シャーベット状の発熱組成物及び/又は敷材の表層部における全面又はその一部に形成されている凹凸が当該発熱組成物層の層厚1/5〜4/5の深さで形成されていることが好ましい。
【0129】
シャーベット状の発熱組成物及び/又は敷材の表層部における全面又はその一部に形成されている凹凸がエンボスパターンロールにて形成され、しかもその凹凸のエンボス角が90〜120度の範囲内であることが好ましい。
【0130】
ここで、前記基材、敷材及び被覆材の厚さは、所要の機械的強度が得られると共に、所要の柔軟性が得られる観点から、好ましくは10〜5000μmの範囲、より好ましくは10〜2500μmの範囲、更に好ましくは12〜1000μmの範囲である。
【0131】
前記基材、敷材及び被覆材の膜厚が10μm未満の場合には、必要な機械的強度を得られず、一方、前記基材、敷材及び被覆材の膜厚が5000μmを超える場合には、スポンジ等の発泡体であっても柔軟性が低下して体表面へのなじみ性が著しく低下すると共に、ごわごわして風合が悪くなり、また、発熱体全体の厚さが厚くなるので好ましくない。
【0132】
基材と被覆材の通気部の通気性は本発明発熱体の温度効果を得るために、透湿度がリッシー法(Lyssy法L80−4000H型)で、好ましくは50〜10,000g/m2.24hrであり、より好ましくは200〜6,000g/m2.24hrである。
この透湿度が、50g/m2.24hr未満では発熱量が少なくなり、十分な温熱効果が得られないので好ましくなく、一方、10,000g/m2・24hrを超えると発熱温度が高くなって安全性に問題が生じたり、発熱時間が短くなる虞れがある。
【0133】
敷材は通気性であっても、非通気性であってもよく、通気性がある場合は基材や被覆材と同等の通気性が好ましい。
【0134】
本発明発熱体の何れか一方の露出面の全面又は一部に粘着剤層又はジェル層を形成することができる。且つ、その何れか他方の少なくとも一部が通気性を有するものが望ましい.
【0135】
この粘着剤層又はジェル層としては外皮又は衣服等に粘着又は固定可能な層であれば特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、ジェル成分及び/又は粘着剤で形成された層が挙げられる。
【0136】
この粘着剤層又はジェル層は、直接に基材又は被覆材の何れか一方の露出面に粘着剤層又はジェル層を形成させることができるが、この場合には粘着剤層又はジェル層の基材又は被覆材への結合力を高めるために、基材又は被覆材の露出面を粗荒化したり、基材又は被覆材の露出面を紙、織布、編布、不織布、発泡フィルムなどの表面が粗荒なフィルム又はシートで構成するのが好ましい。
【0137】
前記粘着剤層としては、溶剤型粘着剤、エマルジョン型粘着剤又はホットメルト型粘着剤又は水性ゲル等で形成された層が挙げられるが、これらのうち、温熱を与えても粘着力の変化が比較的少く、特に、直接皮膚に貼るタイプの場合、皮膚貼着性が良好で、しかも皮膚刺激が少ない等の理由より、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤又はホットメルト型高分子物質を含有する粘着剤で形成された層が望ましく、特に、ホットメルト型高分子物質を含有する粘着剤の層は、初期タック力が強く、加温時の粘着性が非常に優れる。
【0138】
粘着剤層としては、具体的には、例えばゴム系粘着剤、酢酸ビニル系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルアセタール系粘着剤、塩化ビニル系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリエチレン系粘着剤、セルロース系粘着剤、ポリサルファイド粘着剤又はホットメルト型高分子物質を含有する粘着剤で形成された層が一例として拳げられる。
【0139】
本発明発熱体で用いられるホットメルト型高分子化合物としては、具体的には、例えばポリスチレン系A−B−A型ブロック共重合体、ポリエチレン系高分子化合物、飽和ポリエステル系高分子化合物、ポリアミド系高分子化合物、アクリル系高分子化合物、ウレタン系高分子化合物、ポリオレフィン系高分子化合物又はポリオレフィン系共重合体、或いは、これらの変性体、若しくはこれらの2種以上の混含物が一例として拳げられる。特に、ポリスチレン系A−B−A型ブロック共重合体であるエラストマーと粘着付与樹脂(石油系樹脂等)とから構成されるものが再剥離性粘着剤として有用である。
【0140】
この変性体とは、ホットメルト型高分子物質の成分の一部を他の成分に置き換えてホットメルト型高分子化合物の性質、例えばホットメルト型高分子化合物の粘着性の改善や安定性等を変えたものをいう。
【0141】
前記A−B−A型ブロック共重合体において、Aブロックはスチレン、メチルスチレン等のモノビニル置換芳香族化合物Aで、非弾性重合体ブロックであり、Bブロックはブタジエン、イソプレン等の共役ジエンの弾性重合体ブロックであり、具体的には、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、又はこれらの水添タイプ(SEBS、SIPS)等が拳げられ、また、これらを混合して用いてもよい。
【0142】
上記ジェル層としてはポリアクリル酸系水性ゲルから構成される水性ゲル層の他に、上記粘着剤に更に吸水性ポリマーが配合された粘着層、つまり用いられる粘着層がホットメルト型高分子物質、脂環族系石油樹脂、軟化剤及び吸水性ポリマーで形成されたものが、この吸水性ポリマーによって、皮膚からの汗や分泌物等の体液を、吸収、吸着し、常に外皮表面を清潔に保つので衛生面から望ましい。
【0143】
このジェル層は、上述の粘着剤に更に吸水性ポリマーが配合されたものであり、従って、用いられるホットメルト型高分子物質、脂環族系石油樹脂及び軟化剤は上述の場合と同様である。
【0144】
本発明において、ジェル層としてはホットメルト型高分子物質5〜40質量部、脂環族系石油樹脂5〜55質量部、軟化剤5〜55質量部及び吸水性ポリマー0.5〜10質量部で形成されたもの、特に、ホットメルト型高分子物質10〜30質量部、脂環族系石油樹脂10〜50質量部、軟化剤15〜45質量部及び吸水性ポリマー1〜8質量部で形成されたものが、より有用である。
【0145】
この場合、吸水性ポリマーが、粘着(剤)層と親和性が悪く、均一に分散しない恐れがあるときには、界面活性剤で処理するのが望ましい。
【0146】
前記で用いられる界面活性剤としては当該吸水性ポリマ一が粘着剤の粘着層中に分散し易くなるものであれば特に限定されるものではないが、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤が一例として拳げられる。
【0147】
この粘着剤又はジェル層には、所望により、薬草、ハーブ、芳香剤、化粧水、乳液、湿布剤、経皮吸収性薬物、他の粘着剤、粘着剤賦与剤、老化防止剤、充填剤、粘着調整剤、粘着改良剤、着色剤、消泡剤、増粘剤、改質剤、防カビ剤、抗菌剤、殺菌剤、消臭剤又は脱臭剤、遠赤外線放射体、或いは、磁気体等が適宜適量配合されてもよい。
【0148】
前記経皮吸収性薬物としては、経皮吸収性のものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば皮膚刺激剤、沈痛消炎剤、中枢神経作用剤(睡眠鎮静剤、抗てんかん剤、精神神経用剤)、利尿剤、血圧降下剤、寇血管拡張剤、鎮咳去疾剤、抗ヒスタミン剤、不整脈用剤、強心剤、副腎皮質ホルモン剤、局所麻酢剤等が拳げられる。これら薬物は、1種又は必要に応じて2種以上配合されて用いられる。
【0149】
本発明発熱体においては、粘着剤層に経皮吸収性の薬物を配合することにより、局所治療効果を向上させたり、全身治療効果を向上させたり、温熱効果によって循環が活発になった血液などに薬物を吸収させて一層効果的に生体内の各部に薬物を循環させることができるので、各部位の投与効果を一層高める上で至極好ましい。
【0150】
本発明発熱体においては、所望により、遠赤外線効果を発現させるうえで、発熱組成物中及び/又は発熱体における粘着剤層側に、遠赤外線を放射するセラミックスの粉末、或いは、成形体を設けるのが望ましい。
【0151】
この粘着剤層又はジェル層の厚さとしては特に限定されるものではないが、好ましくは5〜1000μm、より好ましくは10〜500μm、更に好ましくは15〜250μmである。粘着剤層の厚さが、5μm未満になると所要の粘着力が得られない場合があり、一方、1000μmを超えると嵩高くなり使用感が悪くなるだけでなく、経済性が悪くなるので好ましくない。
【0152】
この薬物の含有量としては薬効を期待できる範囲であれば特に限定されるものではないが、薬理効果や経済性、更に、粘着力等の観点より、経皮吸収性の薬物の含有量が粘着剤100質量部に対し好ましくは0.01〜25質量部、更に好ましくは0.5〜15質量部である。
【0153】
また、粘着層が通水性を有し、即ち、皮膚から滲出した汗等の体液が支持体側に透過できる機能を有することで、この透過した体液が吸水層に吸収されて粘着力の低下を防止する結果、温熱貼付剤の剥がれが防止されたり、外皮との密着性の低下を防止できる。
【0154】
具体的には、粘着層に、高エネルギーの電子線やレーザー等の照射線を照射して連通孔(貫通孔)を形成した層や、或いは、粘着層が上述のホットメルト型高分子物質を含有する粘着剤からなり、網状に形成されたものが一例として挙げられる。
【0155】
吸水材の吸水率は発熱組成物中の水分の量からの吸水量比として、好ましく2.5〜35質量%、より好ましくは5〜30質量%である。
【0156】
この発熱組成物中の水分の包材素材への吸収率(W質量%)の測定法について説明する。
包装素材である基材と被覆材を用い、これを直径60mmの円形に打ち抜いた後、温度55℃で1から2パスカルの減圧下、24時間乾燥して基材片と被覆材片を形成し、その各々につき測定する。この場合、基材片の重量をK1(g)、被覆材片の重量をH1(g)とする。
【0157】
次いで、この乾燥した基材片上に、直径60mmの円形で、しかも厚さが約850μmとなるように発熱組成物を型を通して積層し、この積層後の全重量C(g)から基材片の重量K1(g)を引いて発熱組成物の積層重量S(g)を求める。
この積層された発熱組成物中の水分含有率をP質量%とすると、積層された発熱組成物中の全水分量(g)はS×P/100となる。
【0158】
更に、基材上における発熱組成物の露出面に、乾燥した被覆材片を積層した後、その上に厚さ約1mmのアクリル板を載せ、更に、その上に2.5Kgの分銅を載せて5時間放置する。
【0159】
この後、基材片と被覆材片とを分離し、これらに付着している発熱組成物をピンセットでほぼ完全に除去した後、この基材片と被覆片との各々の重量を測定する。この場合、基材片の重量をK2(g)、被覆材片の重量をH2(g)とする。
【0160】
次いで、この基材片と被覆材片とを温度55℃で1〜2パスカルの減圧下24時間乾燥し、その各々の重量を測定する。この基材片の重量をK3(g)、被覆材片の重量をH3(g)とする。
W=100×{(K2+H2)−(K3+H3)}/{S×P/100}で求めた値を吸水率とした。
【0161】
このようにして得られた発熱体は、冬期における採暖の他、肩こり、筋肉痛、筋肉のこり、腰痛、手足の冷え、神経痛、リューマチ、打ち身、捻挫等の疾患に使用され、温熱による治療効果を充分に期待できる。
【0162】
次に、本発明の発熱体の製法について説明する。
本発明に係わる第1の発熱体の製造方法(以下「本発明第1方法」という)は配合と混合からなる発熱組成物質の調整を行う第1工程と、転写、積層、型押し込み、型通し等の成形を行う第2工程と、被覆材を被せ、封入を行う第4工程とからなり、第1工程、第2工程、第4工程の順に行う。
ここで、第2工程として、型、撹拌スクリュー付ヘッド、振動装置付押し込み板を使った成形を行う第2A工程(尚、第2工程で、振動装置付押し込み板の下に磁石を設け、基材を夾んで発熱剤の押し込みを行ってもよい)と、撹拌スクリュー付ヘッド、擦り切り板、基材を夾んで擦り切り板の下に設けられた磁石を使った成形を行う第2B工程が一例として挙げられる。必要に応じて、ヘッドや擦り切り板に振動を与えてもよい。
本発明に係わる第2の発熱体の製造方法(以下「本発明第2方法」という)は配合と混合を行う第1工程と、転写、積層、型押し込み、型通し等の成形を行う第2工程と、吸水剤、鉄粉、炭素成分、吸水性ポリマー、結合剤、増粘剤、凝集助剤、吸水材から撰ばれた少なくとも1種を成形された発熱組成物へ積層又は散布する第3工程と、被覆材を被せる第4工程と、打ち抜きを行う第5工程とからなり、第1工程、第2工程、第3工程、第4工程、第5工程の順に行う。
本発明に係わる第3の発熱体の製造方法(以下「本発明第3方法」という)は配合と混合を行う第1工程と、転写、積層、型押し込み、型通し等の成形を行う第2工程と、成形された発熱組成物へ網状の高分子を設ける第3A工程と、被覆材を被せる第4工程と、打ち抜きを行う第5工程とからなり、第1工程、第2工程、第3A工程、第4工程、第5工程の順に行う。
本発明に係わる第4の発熱体の製造方法(以下「本発明第4方法」という)は配合と混合を行う第1工程と、転写、積層、型押し込み、型通し等の成形を行う第2工程と、吸引脱水、遠心脱水、圧縮脱水、減圧脱水、圧縮・減圧脱水等の脱水を行う第3B工程と、被覆材を被せる第4工程と、打ち抜きを行う第5工程とからなり、第1工程、第2工程、第3B工程、第4工程、第5工程の順に行う。
本発明に係わる第5の発熱体の製造方法(以下「本発明第5方法」という)は上記本発明の第1から4の発熱体の製造方法より製造された発熱体を2枚のフィルム又はシートの間に介在させ、この介在と同時に、又は、この介在後に、2枚のフィルム又はシートを発熱体以上の大形に打ち抜き、この打ち抜きと同時に、若しくは打ち抜き後に、前記発熱体の周縁部において、前記2枚のフィルム又はシートを封着する第6工程からなり、上記各製造法の最後の工程の後に、第6工程を行う。ここで、フィルム又はシートが気密性を有していれば、保存用の外袋としての機能を有する。
本発明の第1方法から第5方法で使われる第1工程、第2工程、第2A工程、第2B工程、第3工程、第3A工程、第3B工程、第4工程、第5工程、第6工程を、重複を含み、順不同で、適宜組み合わせて、本発明の発熱体を製造してもよい。
例えば、第1工程、第2A工程、第3B工程、第3A工程、第4工程、第5工程、第6工程の順に行う製造方法や、第3工程、第1工程、第2工程、第3A工程、第4工程、第5工程の順に行う製造方法等を組むことができる。
また、これら各工程中において、鉄粉が空気中の酸素と接触し酸化されるのを防止するために窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気で行ってもよい。
【0163】
次に、各工程について詳細に説明する。
本発明のシャーベット状の発熱組成物としては前述のものと同様のものが挙げられる。
第1工程は、まず所定量の鉄粉、活性炭、酸化促進剤及び水、更に所望により保水剤、発熱助成剤、水素発生抑制剤、発泡剤などの成分を混合する。混合順序には特に制限はないが、前記全成分を、混合機に投入し、次いで、均一に混合してもよく、或いはこれに代えて、前記全成分のうち固形成分のみいくつかのグループにわけて、逐次、投入してもよいし、又は、全固形性分のみを混合機に投入し、その後、この混合機でこれらの成分を均一に混合し、次いで、これに水、或いは、金属の塩化物の水溶液又は分散液を投入して混合し、これによって、前述の本発明のシャーベット状の発熱組成物を得てもよい。この場合、前記各固形成分を、混合機に投入し、次いで、これを均一に混合した後、これに水を投入、混合するので、得られた発熱組成物の品質が安定するので望ましい。
【0164】
スクリュー方式で混合・搬送を行う場合は鉄粉、炭素成分又はその一部分、塩水(又は水)又はその一部分を始めに投入して、鉄と炭素成分の接触混合を十分にし、ある時間をおいて、他の成分を投入し、その後全体をスクリューで混合しながら、搬送する形式をとってもよい。
【0165】
本発明第1工程で用いられる混合機としては本発明のシャーベット状の発熱組成物を構成する成分を均一に混合するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばリボンミキサー、スパルタンミキサー、スクリューブレンダー、ロールミキサー、バンパリーミキサー又は、混合・押し出しスクリュー等が一例として拳げられる。
【0166】
ところで、本発明発熱組成物を製造するにあたり、基本的に発熱材料を混合できれば、どのような混合装置を用いてもよい。
【0167】
第2工程は、第1工程で得られた発熱組成物を、フィルム状又はシート状の基材上面における少なくとも一箇所の所定領域に型押し出しして、積層する工程である。ここで用いられる基材としては本発明発熱体で説明したものと同様である。具体的には第2A工程、第2B工程が一例として挙げられる。
【0168】
この第2工程においては、基材上面にスクリーン印刷等の印刷やコーティングによって発熱組成物が任意の形状で積層される。
【0169】
この第2A工程においては、振動を与えながら、転写、積層、型押し込み、型通し等の成形を行う。
この振動を与える手段は本発明のシャーベット状の発熱組成物に振動が起これば如何なるものでもよいが、偏心モーター、圧電素子又は空気等を使った通常使用されている振動機器が一例として挙げられる。
【0170】
この第2A工程においては、振動を与えながら、押板による発熱組成物の押し込みを伴う、転写、積層、型押し出し等の成形を行う。
この押板は本発明のシャーベット状の発熱組成物を型に押し込めれば如何なるものでもよいが、好ましくはアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン等のプラスチック、鉄、ステンレス等の金属又はその複合体からなり、バネ性を有する板が一例として挙げられる。
【0171】
この第2B工程においては、撹拌スクリューを備えたシリンダー状ヘッドに発熱原料を撹拌スクリューで撹拌しながら、型へ供給する。このときヘッドに振動を与えてもよい.ヘッドのやや前方下に固定して設けられた擦り切り板とその下に置かれた磁石の間を基材、型板及びそれらを受ける受け板(ベルトコンベアのベルト等)が一体となり通過する。磁石により該発熱組成物が型を通して基材上に引かれ、同時に、擦り切り板により型にそって該発熱組成物の表面が擦り切られ、成形される。その後、型を基材から離す。磁石は磁性を有するものであれば如何なるものでよく、永久磁石や電磁石が一例として挙げられる。
【0172】
この第2工程から第2B工程においては、この発熱組成物は、基材上面における幅方向において1箇所、或いは、2箇所以上積層したり、基材の長手方向において千鳥状に積層してもよい。
【0173】
この第3工程においては、吸水剤、鉄粉、活性炭、吸水性ポリマー、結合剤、増粘剤、凝集助剤から選ばれた少なくとも1種を成形された発熱組成物へ積層又は散布する。
【0174】
この第3A工程においては、成形された発熱組成物へ網状のポリマーを設ける。
【0175】
この第3B工程においては、吸引脱水、遠心脱水等の脱水を行う。
【0176】
この第3工程は、フィルム状又はシート状の基材上面における少なくとも1箇所の所定領域に積層された発熱組成物上面に鉄粉、炭素成分、吸水剤、吸水性ポリマー、結合剤、増粘剤又は凝集助剤、吸水材から選ばれた少なくとも1種を積層、或いは、散布する工程である。
【0177】
尚、吸水材の場合、積層された本発明のシャーベット状の発熱組成物の片面或いは両面にフィルム状又はシート状の吸水材を当てがい、この吸水材に本発明物の水分の一部を吸収させてもよい。この吸水材としては上述のものが拳げられる。
【0178】
従って、被覆材が、本発明のシャーベット状の発熱組成物の積層物、鉄粉、炭素成分、吸水剤、吸水性ポリマー、結合剤、増粘剤又は凝集助剤から選ばれた少なくとも1種の積層又は散布物及び/又は吸水材を覆うように被せられる。
【0179】
この第3A工程は、積層された本発明のシャーベット状の発熱組成物の積層物表面に網状のポリマーを設ける工程である。これはメルトブロー、印刷、塗布等、通常の加工技術によってなされる。これにより本発明のシャーベット状の発熱組成物の積層物をより強く基材へ固定できる。更に、ポリマーが粘着性を有しているものであれば、この粘性によって、基材及び/又は発熱組成物と被覆材が貼り合わせられる。
【0180】
この第3A工程は、不織布や濾紙等の通水性基材に型押し込み、積層等で設けられた発熱組成物を濾過、吸引脱水後、場合によってはキャンバスなどに挟みプレスで更に脱水することにより、シート状発熱体を得る工程である。尚、この製造工程中において、鉄粉が空気中の酸素と接触し酸化されるのを防止するために窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。このようにして得られたシート状発熱体は、そのまま、或いは、所望の大きさに裁断して、人体、機械設備、部品及び食品などの加熱、保温に用いられる。
【0181】
この第4工程においては、本発明のシャーベット状の発熱組成物の積層物を覆うようにフィルム状又はシート状の被覆材を被せる封入の工程である。ここで用いられる被覆材としては本発明発熱体で説明したものと同様である。この場合、基材と被覆材とを、発熱組成物の積層物の周囲部において、粘着、熱接着又は熱融着によって封着するのが望ましい。そして、本発明方法においては、空気との接触によって発熱する本発明発熱体を得るものであるから、前記の基材と被覆材のうち少なくとも一方、或いは、一部が通気性を有する。
【0182】
この第5工程においては、前記積層体を所定の形状に打ち抜く工程である。この所定の形状に打ち抜く工程は当該積層体を静止させて行ってもよく、この場合には同時に積層体の送り方向及びこれに直角の幅方向に並ぶ複数の積層体を同時に打ち抜くことにより一度に多量の発熱体を形成することができる結果、コストダウンを図ることができる。
【0183】
しかしながら、この方法では、前述のように、例えば、ロールフィルム状又はロールシート状の基材を、例えば、30〜200m/分で送りながら、その上に発熱組成物を積層させた後、ロールフィルム状又はロールシート状の被覆材をロールでその上に案内するという方法で被覆材を発熱組成物に被せ、これによって、積層体を得る場合には、打ち抜き工程において、積層体をその製造時の送り速度、例えば、30〜200m/分で送りながら、ロールプレス等を用いて任意の形状に打ち抜き、これによって、連続的に本発明発熱体を得ることができる。言うまでもないが、一旦、積層体をロール伏に巻取り、このロールを間欠的に繰り出しながら打ち抜いてもよい。
【0184】
また、この場合には、積層体において幅方向に1箇所、或いは、2箇所以上連続して打ち抜いたり、積層体において長手方向に千鳥状に複数連続して打ち抜くことにより、短時間に一層多量の本発明発熱体を製造して、一層大幅なコストダウンを図ってもよい。
【0185】
この積層体の打ち抜き形状については、得られた発熱体の用途に応じて、任意の部位を覆う形状に打ち抜かれる。即ち、本発明第3方法において得られた積層体が所望の任意の形状に打ち抜かれるが、この打ち抜かれて得られた本発明発熱体は、例えば足用、肩用、腰用等、特に限定されるものではなく、任意の形状のものが拳げられる。
【0186】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図に基づいて具体的に説明するが、これらの実施例は単に説明の目的にのみ与えられているものであり、本発明を限定するものと解すべきではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、改変することができる。
【0187】
(実施例1)
鉄粉100gと、活性炭6gと、塩化ナトリウム水溶液(NaClが7g及び水が55g)とをよく混合し、シャーベット状の発熱組成物を得た。このときの易動水値は30であった。
厚さ40μmの非通気性ポリエチレンフィルム3bの片面に、吸水性ポリマー含有のポリエステル不織布(厚さ210μm)3dを設けた基材3の不織布3d側にシャーベット状の発熱組成物2を擦り切り板用いた型通し成形法で、幅5cm、長さ10cm、厚さ約0.9mmの矩形に積層した。次に、その上面に、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体系の粘着性ポリマー8をメルトブロー法にて網状に設けた後、被覆材4を被せた。引き続いてその積層領域の周囲をヒートシールによって封着し、周囲を切断し、図6及び図7に示す通り、周囲のシール部9の幅が7mmで、しかも超薄形の本発明発熱体1を製造した。
【0188】
ここで、前記被覆材4は厚さ100μmのポリエチレン製多孔質フィルム4aの外面側に厚さ150μmのナイロン製不織布4bを積層したものを用いた。尚、この被覆材4の透湿度は透湿量がリッシー法で400g/m2・24hrであった。
【0189】
次に、得られた発熱体1を気密性を有する外袋内に封入した。外袋に封入した後、その水分の一部を徐々に基材に吸収させるため、24時間経過させた。その後、外袋を破って以下の条件で発熱試験を行った。
即ち、まず、大きさ300×300mmの、30℃に調整された鋼板上の中央部に、上記の発熱体を載置し、該発熱体の上に温度センサーを貼り付け、その上に厚さ6mm、大きさ80×80mmのネル布1枚を重ね合わせた。尚、この場合には、発熱体の周辺部とネル布の周辺部が実質的に一致するように重ね合わせなければならない。そして、この上に大きさ600mm×600mmの木綿100%のネル2枚を発泡スチロールの板が隠れるように被せた。
上記の試験条件のもとで発熱体としての発熱特性(発熱到達温度−発熱時間曲線)を測定した。発熱到達温度の測定はデータコレクタを用い、気温20℃、湿度65%の恒温室で行った。
【0190】
上記発熱試験では、1〜2分程度で発熱温度が約38℃まで昇温し、以後38〜41℃で3時間以上に亘って発熱した。全面に亘って平均した発熱が認められた。
【0191】
(実施例2)
窒素ガス雰囲気において、粒度200メッシュ以下のものを80%を含む還元鉄粉100gと、椰子殻活性炭6gと、保水剤としてパーライト(粒径0.05〜0.5mm)8gを、NaCl7gを溶解した塩化ナトリウム水溶液55gに混合し、撹拌し、シャーベット状にした。このときの易動水値は45であった。
このシャーベット状発熱組成物2を直径110mmの濾紙6を敷いたブフナー型ロートに流し込み、吸引濾過して余剰水分を除き、含水量約40%のシート状物を得、発熱体とした(図8)。
得られた、濾紙6を含むシート状発熱体の厚さは2mmであり、このものを酸素非透過性の外袋に密封した。
【0192】
次に、シート状発熱体を外袋から取り出して5×5cmに裁断し、室温20℃、相対湿度65%の空気中にて発抱スチロール上で発熱させたところ、5分後には発熱体の温度が50℃以上になり、実用上充分な発熱性能を有していた。
【0193】
(比較例)
窒素ガス雰囲気において、粒度200メッシュ以下のものを80%を含む還元鉄粉100gと、椰子殻活性炭7.5gと、CMCを1gを、NaCl4gを溶解した塩化ナトリウム水溶液36gに混合し、クリーム状の発熱組成物を得た。易動水値は10であった。これを実施例2と同様に処理したが、余剰水を排出することはほとんどできず、かなりの水分量が発熱組成物の中に残った。
前記実施例と同様な発熱試験では、温度が30℃以下で、十分な発熱性能が出せなかった。
【0194】
(実施例3及び4、比較例2及び3)
発熱組成物の配合比は、鉄粉100gと、酸化促進剤として食塩(NaCl)7gと、水55g及び活性炭6gとし、更に、実施例3として、保水力のある火山灰系物質であるテラバルーンを8g用いたもの、実施例4として、保水力のある火山灰系物質であるテラバルーン12gを用いたものをそれぞれ作成した。該発熱組成物の易動水値はそれぞれ26と17であった。
また、比較例2として、保水剤の代わりに増粘剤としてCMCを1g用い、比較例3として、増粘剤としてCMCを10g用いたクリーム状の発熱組成物をそれぞれ作成した。該クリーム状発熱組成物の易動水値はそれぞれ10と6であった。
【0195】
実施例3として、厚さ40μmの非通気性ポリエチレンフィルム3bの片面に、吸水性ポリマー含有のポリエステル不織布(厚さ210μm)3a設けた基材の不織布3a側にシャーベット状の発熱組成物2を擦り切り板用いた型通し成形法で、幅5cm、長さ10cm、厚さ約0.9mmの矩形に積層した。次に、その上面に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体系の粘着性ポリマー8をメルトブロー法にて網状に設けた後、実施例1の被覆材の裏面に吸水紙4dを設けた被覆材4を用い、吸水紙4dが該網状ポリマー8と接するように被覆材4を被せた。引き続いてその積層領域の周囲を圧着によって封着し、周囲を切断し、発熱体の周囲のシール幅が7mmで、しかも超薄形の本発明発熱体を製造した。次に、気密性を有する外袋内に封入した。
【0196】
実施例4、比較例2、3についても前記実施例3と同様にして発熱体を作り、これら発熱体について実施例1と同様の発熱試験を行った。
実施例3、4並びに比較例2、3の発熱特性の測定結果を図10に示す。試験の結果、実施例3及び4はそれぞれ高い発熱到達温度と長い持続時間が得られることが解った。また、実施例3及び4はそれぞれ比較例3及び4よりも2℃以上発熱到達温度が高く、40℃以上を持続する時間も2時間以上長いことが解った。
【0197】
(実施例5)
鉄粉100gと、活性炭8gと、消石灰0.2gと、テラバルーン8gと、木粉1gを均一に混合した混合物と、塩化ナトリウム水溶液(NaClが7g及び水が55g)とをよく混合して、シャーベット状の発熱組成物を得た。このときの易動水値は16であった。
その後、実施例1と同じように処理した。ただし、シャーベット状発熱組成物の形成後、厚さ100μmのスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体系の粘着性高分子を網状に設ける前に、該発熱組成物の面上に手作業で吸水剤として吸水性ポリマーを散布して吸水層(目付け量20g/m2)を形成した以外は実施例1と同様にして、図11に示す超薄形の本発明発熱体を製造した。実施例1と同様な発熱試験を行ったところ同様の結果が得られた。
【0198】
(実施例6)
鉄粉100gと、活性炭6gと、消石灰0.2gと、保水力のある火山灰系物質であるテラバルーン8gを均一に混合した混合物と、塩化ナトリウム水溶液(NaClが7g及び水が55g)とをよく混合し、シャーベット状の組成物を得た。このときの易動水値は26であった。
このシャーベット状の組成物2を厚さ40μmの非通気性ポリエチレンフィルム3bの片面に、吸水紙(厚さ3mm)3eを貼り合わせた基材3の吸水紙3e側に該発熱組成物2を擦り切り板を使用した型通し成形法で、幅40mm、長さ200mm、厚さ約1mmの長方形状に成形し、その上に吸水性ポリマー7をほぼ均一に散布した。次に、その上面に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体系の粘着性ポリマー8をメルトブロー法にて網状に設けた後、被覆材4を被せ、引き続いてその印刷領域の周囲をヒートシールによって封着し、周囲を切断し、周囲のシール幅が7mmで、しかも超薄形の本発明発熱体(図12)を製造した。
ここで、前記被覆材4は厚さ50μmのポリエチレン製多孔質フィルム4aに厚さ150μmのナイロン不織布4bを積層したものを用いた。尚、この被覆材4の透湿度は透湿量がリッシー法で400g/m2・24hrであった。
次に、得られた発熱体を、気密性を有する外袋内に封入した。
実施例1と同様に、外袋を破り、本発明発熱体を取り出し、発熱試験を行ったところ、実施例1と同様に良好な発熱特性を示した。
【0199】
(比較例4・5)
同様にして、比較例4として、鉄粉100gと、活性炭7.5gと、ベントナイト3gと、CMC1gを均一に混合した混合物と、塩化ナトリウム水溶液(NaClが4g及び水が36g)とをよく混合し、クリーム状の組成物を得た。
以下、前記シャーベット状発熱組成物と同様にして発熱体を作成した。
前記と同様な発熱試験を行ったが、比較例3と同等な温度特性を示し、発熱はするが、発熱が緩慢で、発熱体としては不適格であった。
【0200】
更に、比較例6として、鉄粉100gと、活性炭6gと、保水力のある火山灰系物質であるテラバルーン(粒径0.05〜0.5mm)8gを均一に混合した混合物と、塩化ナトリウム水溶液(NaClが55g及び水が500g)とをよく混合し、スラリー状の組成物を得た。
以下、前記シャーベット状発熱組成物と同様にして発熱体を作成した。
前記と同様な発熱試験を行ったが、水分が多すぎて発熱がほとんど起こらず、加工時には水分が多すぎて基材全体に水分が染み出し、発熱体としては不適格であった。
【0201】
(実施例7)
支持体としてアクリル繊維を高濃度アルカリで加水分解させた架橋構造を有する高吸水性繊維で吸水能が130ml/gの高吸水性繊維(東洋紡(株)製、ランシールF)とメルティー(ユニチカ(株)製、ポリプロピレン・ポリエチレン繊維)とを50質量%:50質量%の比率で混紡した厚さ1mmの不織布3dを用いるものとした。この吸水性不織布3dを70mm×120mmに切り取り、この上に鉄粉100gと、活性炭10gと、塩化ナトリウム7gと、水55gのシャーベット状発熱組成物(易動水値16)2を型通し成形法で成形し、その上に成形物と同形状のティッユペーパー(パルプ)4cを重ね合わせた。その後、片面が透湿度400g/m2・dayのポリエチレン製の多孔質フィルム4aからなる被覆材と、もう一方の他面がポリエチレンフィルム3bとナイロン不織布3fのラミネートシートで構成された基材とからなる3方がシールされた扁平状の内袋に収納して残りの一方を熱シールして、シート状発熱体とした(図13)。このものの厚さを測定した結果、3mmであった。この状態で非通気性の外袋内に密封収納した。
2日後に、シート状発熱体を外袋から取り出して、実施例1と同様な発熱試験を行い、同様な結果を得た。
【0202】
(実施例8)
図14は示す擦り切り板14を用いた型通し成形法の一例を示す。
即ち、幅130mmのロールフィルム状の基材3を厚さ1mmで、型の中央に所望の形状が抜かれた成形用の型11と合わせて、上面にダイス10、下面に磁石12を配すようにそれらの間を所定の速度で水平に送る。該型11の上面より、本発明シャーベット状の発熱組成物2をダイス10の穴10aを通して、型11の打ち抜き箇所に送り込む。発熱組成物は進行方向前方に置かれた擦り切り板14により、型11と面一に擦り切られると共に、型11に収納され、厚さ1mmの所望の形状が基材3上に成形される。その後、その型11を外し、基材3の上に積層された成形物が得られる。図には示されていないが、その後、該成形物の表面に、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体系の粘着性高分子をメルトブロー法にて網状に設け、被覆材を被せ、その成形物領域の周囲をヒートシールによって封着し、形状に裁断することにより、所望の形状を持つ発熱体が得られる。
更に、裁断された本発明発熱体は、引き続いて包装工程に送り込まれ、気密性を有する外袋内に封入される。
【0203】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の発熱組成物は、吸水剤、吸水性ポリマー、結合剤、増粘剤又は凝集助剤等の粘性付与物質を実質的に使用せず、余剰水である遊離水の分量で、発熱性、成形性と形状維持性を発現できるよう、シャーベット状化されているので、以下の効果が得られる。
1)本発明のシャーベット状の発熱組成物は適度の流動性を持つので、印刷、コーティング、型通しや型押し込み成形などによって基材に高精度に制御した積層ができるので、厚形の発熱体から超薄形の発熱体まで、高速で製造できる。
2)本発明のシャーベット状の発熱組成物は適度の流動性を持つので、印刷、コーティング、型通しや型押し込み成形などによって基材に多種の形状で積層し、形状保持ができるので、多種の形状発熱体が製造できる。
3)本発明のシャーベット状の発熱組成物は吸水剤、吸水性ポリマー、結合剤、増粘剤又は凝集助剤等の粘性付与物質を含まないので、成形後、基材、敷材又は被覆材、更に、吸水層などに過剰水分、或いは、遊離水等を容易に吸収させることができるので、遊離水等の余剰水分が抜けた、優れた発熱特性を持つ発熱体が製造できる。
4)本発明のシャーベット状の発熱組成物は遊離水等の水分の排出性に優れているので、基材への水分が吸収されるため、アンカー効果が上がり、基材への密着力が上がる。
5)本発明のシャーベット状の発熱組成物は遊離水等の水分の排出性に優れているので、成形後の発熱体も基材からの放出水等の水分補充が受けられ、発熱時間の延長が可能である。
6)本発明のシャーベット状の発熱組成物を使用すれば、発熱体がシート状に成形できるため、粉末が飛散することがなく、被保温物の形状、大きさなどに合わせて任意に裁断することもできる。
7)本発明のシャーベット状の発熱組成物を使用すれば、発熱体が超薄型で、しかも均一に積層でき、優れた発熱性能をもっているので、発熱体が超薄型で、柔軟性が高く、肩等の湾曲部や屈曲部への追従性が極めて良好であり、使用感が優れる効果を有する。シート状で柔軟性を有するため、機器類の加温においてタイトに装着し得る。
8)本発明の発熱体において、基材及び被覆材が伸長性、特に、伸縮性を有する場合には、任意の部位の複雑な凸凹形状に発熱体を馴染ませるのが一層容易になる上、動作による凸凹形状の変化に対する追従性が高められ、発熱体の剥離乃至適用部位からの浮き上がりが確実に防止され、生体との密着性が良好になるため、優れた採暖効果や血行促進効果が得られる。
9)本発明の発熱体において、基材及び/又は被覆材、或いは、吸水材が吸水性を有する場合には、使用時までに発熱組成物の水分の一部を吸収して、発熱組成物中の水分配合率を発熱に適した配合率に調整することができる結果、使用に際して気密性袋を破ることにより直ちに発熟が開始されるようにすることができ、速やかに所要の発熱温度が得られるようになると共に、発熱反応の進行に伴い発熱組成物から蒸散した水分を基材及び/又は被覆材からの放水により補充でき、長時間に亘って所要の発熱温度を保持できるようになる、という効果が得られる。
10)本発明の発熱体において、粘着剤層に遠赤外線放射体、磁気体又は経皮吸収性薬物のうちの少なくとも1種を含有又は担持させていると、遠赤外線加温効果、遠赤外線治療効果、磁気治療効果、薬物による治療効果などが得られることはもとより、これらの効果が発熱体の発熱による血行促進などの全身作用や局部作用と相乗的に促進して一層その効果が高められる、という効果が得られる。
11)本発明の第1方法においては、本発明のシャーベット状の発熱組成物を形成し、この発熱組成物を転写や印刷などによって基材に積層させることができ、積層領域を高精度に制御し、又、非常に薄い膜厚で、且つ、均一に発熱組成物を基材に積層できる結果、高速で超薄形から厚形までの発熱体を製造できる効果が得られる。このとき、ヘッドや型押し板等に振動を与え、成形をよりスムーズ化してもよい。即ち、フィルム状又はシート状の基材上に、本発明のシャーベット状の発熱組成物に振動を与えながら型を通して、積層させることができ、振動により、本発明の発熱組成物の流動化が促進され、積層物の表面がより均一になると共に、より少ない余剰水を使って、この発熱組成物を転写や印刷などによって基材に積層させることができ、積層領域を高精度に制御し、また、非常に薄い膜厚で、且つ、均一に発熱組成物を基材に積層できる結果、高速で超薄形の発熱特性に優れた発熱体を製造できる効果が得られる。
12)本発明の第2方法においては、本発明の発熱組成物、つまり水分の配合率を高くしてシャーベット状化させた発熱組成物を形成し、この本発明発熱組成物を、フィルム状又はシート状の基材上面における少なくとも1箇所の所定領域に積層させた後、この本発明の発熱組成物上面に鉄粉、炭素成分又は吸水剤から選ばれた少なくとも1種を積層或いは散布によって、使用初期の立ち上がりを良好にしたり、温度特性を良好にするなどの効果が得られる。
13)本発明の第3方法においては、フィルム状又はシート状の基材上に、本発明のシャーベット状の発熱組成物を型を通して積層し、粘着性物質をメルトブロー等により網状に設け、その上からフィルム状又はシート状の被覆材を被せることにより、前記の基材と被覆材とを張り合わせ、次いで、得られた積層体を任意の形状に打ち抜き、しかも前記の基材又は被覆材のうち少なくとも一方又は一部が通気性を有するものとするので、本発明のシャーベット状の発熱組成物を袋体内に均等に分布、固定させることによって当該発熱組成物の移動、片寄りを防止し、この結果、発熱組成物の過剰な発熱反応を極カ避けて低温火傷を防止し、安全に使用し得る本発明発熱体を製造できる。
14)本発明の第4方法においては、本発明のシャーベット状の発熱組成物を形成し、この発熱組成物を転写や印刷などによって不織布等の通気性のある基材に積層させ、減圧脱水法等により余剰水の排出を行い、更に、コットン等の吸水材をその上に散布し、粘着性物質をメルトブロー等により網状に設け、その上からフィルム状又はシート状の被覆材を被せることにより、前記の基材と被覆材とを貼り合わせ、次いで、得られた積層体を任意の形状に打ち抜き、しかも前記の基材又は被覆材のうち少なくとも一方又は一部が通気性を有するものとするので、空気と接触して、すぐに発熱できる等発熱特性に優れ、本発明のシャーベット状発熱組成物を袋体内に均等に分布、固定させることによって当該発熱組成物の移動、片寄りを防止し、この結果、発熱組成物の過剰な発熱反応を極カ避けて低温火傷を防止し、安全に使用し得る本発明の発熱体を製造できる。
15)本発明の第5方法においては、非通気性フィルムで発熱体を封着することにより、超薄型で、発熱特性に優れた本発明の発熱体を劣化を押さえながら長期間保存可能にする発熱体の製造できる効果が得られる。
16)本発明第1乃至第5方法において、本発明のシャーベット状の発熱組成物の片面又は両面にフィルム状乃至シート状の吸水材、特に、吸水性の高い紙類を当てがうと、本発明のシャーベット状の発熱組成物の水分の一部を吸収すると共に本発明のシャーベット状の発熱組成物をこの紙類に一層強固に固定できる。
17)本発明は、高吸水性繊維を用いた不織布を発熱組成物の支持体とすることにより、それによって発熱温度が高く、持続時間が長いなど優れた発熱性能を有すると共に薄型で柔軟性の大きいシート状発熱体の製造が可能となった。従って、採暖用、患部の加温用などとして人体の任意の部位にフィットした状態で装着することができ、長時間に亘って効果が維持されるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明発熱組成物における易動水値測定用濾紙の平面図
【図2】 本発明発熱組成物における易動水値の測定方法を示す模式図
【図3】 同上側断面図
【図4】 同上側断面図
【図5】 本発明における易動水値の測定実施後の濾紙の平面図
【図6】 本発明発熱体の一実施例の平面図
【図7】 図6のVII−VII線断面図
【図8】 本発明発熱体の他実施例の断面図
【図9】 本発明発熱体の他実施例の断面図
【図10】 本発明発熱体の実施例及び比較例の発熱特性図
【図11】 本発明発熱体の他実施例の平面図
【図12】 本発明発熱体の他実施例の断面図
【図13】 本発明発熱体の他実施例の断面図
【図14】 本発明の型通し成形の模式図
【符号の説明】
1 発熱体
2 発熱組成物
3 基材
3a 吸水性ポリマー含有ポリエステル不織布
3b ポリエチレンフイルム
3c レーヨン/PET混紡不織布
3d 吸水性不織布
3e 吸水紙
3f ナイロン不織布
4 被覆材
4a ポリエチレン製多孔質フィルム
4b ナイロン不織布
4c ティッシュペーパー
4d 吸水紙
6 濾紙
7 吸水性ポリマー
8 網状粘着性ポリマー
9 シール部
10 ダイス
10a ダイスの穴
11 型
12 磁石
13 押し込み板
14 擦り切り板
15 濾紙
16 型板
16a 中空円筒状の穴
17 試料
18 ステンレス板
19 風防
L 浸みだし先端までの距離
Claims (10)
- 粘性付与物質を含まず、酸素と反応して発熱する鉄粉、活性炭、塩化ナトリウム、水を必須成分として易動水値16〜50の発熱組成物となるようにして調整し、
基材及び被覆材のうちの少なくとも何れかの一部を通気性を有するように構成し、
前記基材は、フィルム状又はシート状とし、
前記発熱組成物を、層状に成形して前記基材上に積層した後に、前記被覆材を積層して前記基材と前記被覆材とを前記発熱組成物を介して貼り合わせることにより発熱体とし、
前記易動水値は、No.2の濾紙上に内径10mm×高さ4mmの中空円筒状の穴を有する型板を載置し、前記穴内に測定対象となる発熱組成物を充填し、前記穴の中心から半径方向において、前記穴の外周から浸み出した水の距離の平均値を水分値(mm)とし、測定対象となる発熱組成物に含まれていた水量に相当する水のみを前記穴内に入れ、前記穴の中心から半径方向において、前記穴の外周から浸み出した水の距離の平均値を真の水分値(mm)とし、水分値(mm)を真の水分値(mm)で除した値を百分率で表した値であることを特徴とする発熱体の製造方法。 - 前記発熱組成物に保水剤が配合されていることを特徴とする請求項1に記載の発熱体の製造方法。
- 前記発熱組成物にpH調整剤及び水素抑制剤から選ばれた少なくとも1種が配合されていることを特徴とする請求項2に記載の発熱体の製造方法。
- 前記発熱組成物の水分の一部を前記基材又は前記被覆材に吸収させてなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の発熱体の製造方法。
- 少なくとも前記発熱組成物の表面の一部が網状ポリマーにより覆われていることを特徴とする請求項4に記載の発熱体の製造方法。
- 前記発熱組成物の周囲部において、前記基材と前記被覆材とが全周で、或いは、部分的に粘着又は接着若しくは熱融着によって封着されていることを特徴とする請求項5に記載の発熱体の製造方法。
- 前記基材及び前記被覆材の少なくとも一種が伸長性を有していることを特徴とする請求項5又は6に記載の発熱体の製造方法。
- 前記発熱組成物の表層部における全面又はその一部に凹凸が形成されていることを特徴とする請求項4乃至7の何れかに記載の発熱体の製造方法。
- 前記基材又は前記被覆材において、その何れか一方の露出面の少なくとも一部に粘着剤層又はジェル層が積層されていることを特徴とする請求項5乃至8の何れかに記載の発熱体の製造方法。
- 前記粘着剤層又は前記ジェル層が、湿布剤を含有する湿布層、或いは、経皮吸収性薬物を含有又は担持している薬物含有層であることを特徴とする請求項9に記載の発熱体の製造方法。
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