JP2015159899A - 発熱具及びその製造方法 - Google Patents

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陽一 遠藤
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Abstract

【課題】柔軟性が高く、身体の凹凸などにも追従し沿い易い発熱具を提供する。【解決手段】発熱具10は、肌へ貼付するための粘着層2と、発熱組成物1からなる発熱層と、通気性シート3とを有し、発熱層が粘着層の一面上に直接配設され、通気性シートが発熱層を覆い周辺部で粘着層と接合されている。通気性シート側から空気が取り込まれて被酸化性金属が発熱し、粘着層を介して面状に温熱が肌に付与される。被酸化性金属の粒子は、一部が粘着層に沈み込んでいる。【選択図】図1

Description

本発明は、発熱具及びその製造方法に関する。
従来より、被酸化性金属の酸化熱を利用して肌に温熱等を付与する発熱具が知られている。例えば、特許文献1には、通気性を有する袋体に発熱組成物を封入したシート本体と、身体に貼付させるための接着層とを備えた発熱用シートが記載されている。また、特許文献2には、基材シートの一面に発熱組成物の層を設け発熱体とし、これを包材の内部の収容空間に非固定状態で収容された発熱具が記載されている。
特開2012-245044号公報 特開2012-20119号公報
これまでの発熱具では、被酸化性金属等を含有する発熱組成物からシート状の発熱層を形成する場合、発熱組成物がシート部材上で硬化されてシート体とされていた。そのため、前記発熱組成物とシート部材との組み合わせは、他の構成部材よりも相対的に剛性が高いものであった。前記特許文献2の発熱具などでは、発熱組成物の層が袋体から非固定状態とされ、構成上、発熱層の剛性の影響が軽減さていた。しかし、発熱組成物の層(発熱層)自体の剛性は依然残るため、さらなる柔軟性を改善する余地があった。
この点に関し、部材構成を見直し、発熱具全体としてさらに高い柔軟性が得られれば、製品として肌への確かな密着で良好な使用感が得られ好ましい。
本発明は、上記の点に鑑み、より柔軟性が高く、身体の凹凸などにも追従し沿い易い発熱具に関する。
本発明は、肌へ貼付するための粘着層と、発熱組成物からなる発熱層と、通気性シートとを有し、前記発熱層が前記粘着層の一面上に直接配設され、前記通気性シートが前記発熱層を覆い周辺部で前記粘着層と接合されている発熱具を提供する。
本発明の発熱具は、より柔軟性が高く、身体の凹凸などにも沿い易い。
本発明に係る発熱具の好ましい実施形態の断面を模式的に示す断面図である。 本実施形態の発熱具の部材構成を模式的に示す分解斜視図である。 本実施形態の発熱具における発熱層と粘着層との一体化の様子を示す模式図である。 (a)は発熱具の三点曲げ荷重の測定方法を示す側面図であり、(b)は発熱具の三点曲げ荷重の測定方法を示す上面である。 本発明に係る発熱具の別の好ましい実施形態(第2実施形態)を模式的に示す図であり、(A)はその分解斜視図であり、(B)はその平面図である。 本発明に係る発熱具のさらに別の好ましい実施形態(第3実施形態)を模式的に示す図であり、(A)はその分解斜視図であり、(B)はその平面図である。 本発明に係る発熱具の製造方法の好ましい実施形態としての工程の要部を示す斜視図である。 本発明に係る発熱具の製造方法の別の好ましい実施形態としての工程の要部を示す斜視図である。 本発明に係る発熱具の製造方法のさらに別の好ましい実施形態としての工程の要部を示す斜視図である。
本発明に係る発熱具の好ましい一実施形態(第1実施形態)について、図1〜3を参照しながら以下に説明する。
図1及び2が示すように、本実施形態の発熱具10は矩形状を有し、酸化反応によって発熱する発熱層1、肌への貼付機能を有する粘着層2、前記酸化反応に必要な空気を取り入れる通気性シート3を有する。通気性シート3と粘着層2とは、発熱層1を間に挟み、発熱層1が配置されない周辺部で互いに接合されている。すなわち、粘着層2は、一面上に配設された発熱層1の全周にわたって該発熱層1から延出した延出部を有し、該延出部が通気性シート3と接合されている。これにより、発熱層1が通気性シート3と粘着層2とからなる袋体5に内包され封止されている。なお、図1及び2では、1つの発熱具10に発熱層1が1つ配設されているが、本発明においてはこれに限らず、1つの発熱具に2以上の複数の発熱層が配設されていてもよい。
使用前の発熱具10には、更に、粘着層2の発熱層1が形成されていない側の面、すなわち肌に貼付される粘着層2の肌当接面22に剥離シート4が剥離可能に配されている(この状態の発熱具を特に発熱具10Aという。)。これにより粘着層2の粘着力等が保持される。この発熱具10Aは、剥離シート4を剥離し、粘着層4の肌当接面22を肌に貼付して使用される。その際、通気性シート3側から空気が取り込まれて被酸化性金属が発熱し、粘着層4を介して面状に温熱が肌に付与される。
発熱層1は、少なくとも被酸化性金属、電解質及び水を含む層であり、前記被酸化性金属が空気中の酸素と酸化反応をして発熱する。この発熱層1は、粘着層2の一面上に直接形成されている(以下、この粘着層2の一面を発熱層1の配設面21又は非肌当接面21という。)。これにより発熱層1と粘着層2とは、他の部材を介在させずに、直接、密着し一体化された層構造をなしている。この層構造により、粘着層2が肌への貼付部材として備える柔軟性や弾力性は、他の部材を介さずに発熱層1に直接的に伝わる。
発熱層1と粘着層2との一体化された層構造において、発熱層1を構成する発熱組成物、特に被酸化性金属の粒子などは、一部が粘着層2に沈み込んでいる。例えば、図3の模式図のように、被酸化性金属の粒子18の一部が粘着層2の配設面21から沈み込む状態である。この状態で発熱層1には、厚み方向及び平面方向において局所的には不規則な配置で粒子が存在し粒子間には空隙が形成されているため、発熱組成物は不連続に配置された粒子の集合体である。そのため発熱層1は、層として一体性を有しながら、不連続な部分を有することで、発熱層全体に微細な層の断絶や窪みが不規則に複数あり、これにより多方向へ変形し易くされている。これにより発熱層1は、粘着層2の柔軟性に追従できる層となっており、前記の沈み込みにより発熱層1と粘着層2との密着性が高いため、両層が一体となって柔軟に変形可能である。
このように粘着層2と、該粘着層2の一面上に直接配設された発熱層1との組み合わせで、発熱具10全体が柔軟で変形し易くなっている。この発熱具10を肌に貼付すると身体の屈曲部などにも追従し沿い易い。また、部材構成としても、従来の発熱層1を構成していたシート部材を省略できるので、発熱具10全体として従来のものよりも厚みが薄く肌への追従性が高い。この点において製造コストの低減もできる。
また、粘着層2と発熱層1とは他の部材を介さず密着して一体化されているので、発熱層1から粘着層及び肌への伝熱効率に優れる。また、発熱具10全体として、粘着層2全面が肌に均一に接触するため、肌に触れる面での温熱作用の均一性が高い。さらに、使用中の発熱による発熱層1の硬化が生じても、発熱層1は粘着層2と一体化しているため、発熱層1の反りが抑えられ、使用開始時に肌の起伏に沿わせて貼付した状態が保持され得る。すなわち、使用途中での発熱具10の肌からの剥離が抑えられる。
発熱具10の柔軟性は、三点曲げ荷重によって評価することができる。この曲げ荷重の値が小さいほど発熱具10は柔軟性が高いと判断できる。三点曲げ荷重の測定は次のようにして行われる。測定器は自社製のハンドロメーターを使用する。発熱具10の測定試料100は、剥離シート4を配した状態で、65mm四方の正方形とする。この測定試料100を、図4に示すように、一対の板状の支持体90,90の間に架けわたす。支持体90の間隔は25mmとする。また支持体90の長さは、測定試料100の長さよりも長くする。支持体90間に架けわたした測定試料100の上から板状押し込み体91を測定試料100に押し込む。板状押し込み体91は、その幅が2mmであり、長さは測定試料100の長さよりも長くなっている。板状押し込み体91を押し込む位置は、一対の支持体90間の中間位置である。板状押し込み体91を支持体90に対して15mm押し込み、その移動量の間に発生した加重の最大値を三点曲げ荷重とする。
本発明においては、この三点曲げ荷重の値が、発熱開始前のものとして、0〜1.0N/65mmであることが好ましく、0〜0.5N/65mmであることが更に好ましい。
次に発熱具10及び10Aの各部材について説明する。
(粘着層)
粘着層2は、肌への貼着手段として肌の起伏に追従して密着できるよう、柔軟性及び弾力性があり、肌への粘着性を有する。また、使用前、使用時、使用後において層形状を保持する固形性と強度を有し、流動性が抑えられている。例えば、ホットメルト材料からなる層や、ゲル組成物からなるゲル層などが挙げられる。
このような粘着層2を形成する素材としては、この種の物品に用いられるものを特に制限なく用いることができる。特に、使用時の発熱層1の発熱温度にも耐え、保管時の気温状態にも耐え得る強度を有する素材であることが好ましい。すなわち、素材の軟化点が発熱層1の発熱温度以上であることが好ましい。具体的には、素材の軟化点が80℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい。一方、後述する製造方法において、120℃程度の加熱で溶融し塗布できる流動性を有することが好ましい。
具体的には、例えば、ホットメルト材料について言えば、アクリル系、ウレタン系、ゴム系、シリコン系、ポリイソブチレン系、スチレン−イソブチレン−スチレン(SIS)系、スチレン−イソブチレン系、ポリアクリル酸系の水溶性高分子等が挙げられる。特にその中でも、上記の層としての固形性及び強度の観点、製造時の流動性、並びに発熱層1との密着一体化の観点から、スチレン−イソブチレン−スチレン(SIS)系、スチレン−イソブチレン系などが好ましい。
このホットメルト材料により形成された粘着層2の厚みとしては、発熱具10の柔軟性の観点から薄いほどよく、2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。また、層としての強度を保持する観点から、その下限は、0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、0.15mm以上がさらに好ましい。
粘着層2がホットメルト材料からなる場合、ホットメルトの接着性により、前述の発熱組成物の部分的な沈み込みと相俟って、粘着層2と発熱層1の一体化がより強固なものとなる。また、使用時の発熱層1の発熱により粘着層のホットメルト材料自体の柔軟性が高まる。そのとき、ホットメルト材料は融点が発熱温度よりも高く、粘着層2の層構造が維持される。これにより、発熱具10は、前述の柔軟性と相俟って、使用中における肌への追従性及び密着性が高まり、最後まで肌に沿って温熱作用を肌に付与する。
また、粘着層2は、発熱層1中の粒状物漏れ抑制の観点から、非開孔であり、全面にわたってその厚みがほぼ均一であることが好ましい。
上記の粘着層2の強度(破壊強度T)は、使用後に肌から発熱具10を剥離する力(剥離強度G1)や、使用時に剥離シート4を粘着層2から剥離する力(剥離強度G2)にも耐え得る強度であることが好ましい。すなわち、破壊強度T>剥離強度G1であり、かつ、破壊強度T>剥離強度G2であることが好ましい。
具体的には、破壊強度Tと剥離強度G1との差(T−G1)は、上記の観点から、0.02N/mm以上が好ましく、0.04N/mm以上がより好ましく、0.06N/mm以上が更に好ましい。また、破壊強度Tと剥離強度G2との差(T−G2)は、上記の観点から、0.02N/mm以上が好ましく、0.04N/mm以上がより好ましく、0.06N/mm以上が更に好ましい。
さらに、粘着層2の破壊強度Tは、0.02N/mm以上が好ましく、0.04N/mm以上がより好ましく、0.06N/mm以上が更に好ましい。
上記の粘着層2の破壊強度Tは次の方法により測定できる。
破壊強度Tについては、粘着層2の端部一辺を固定し、それに対向する端部一辺をプッシュ・プルゲージを用いて、引っ張り試験の要領で材破させる。これを3回行い、得た数値の平均を破壊強度Tとする。
また、上記の剥離強度G1及びG2は次の方法により測定できる。
剥離強度G1については、発熱具10の粘着層2を人体の肌に貼付し、プッシュ・プルゲージ((株)今田製作所社製)を用いて、180度剥離の試験で肌から発熱具10を剥がす。これを3回行い、得た数値の平均を剥離強度G1とする。
剥離強度G2については、発熱具10の粘着層2に剥離シート4が配された状態から、上記のプッシュ・プルゲージを用いて、180度剥離の試験で剥離シート4を粘着層2剥がす。これを3回行い、得た数値の平均を剥離強度G2とする。
また、粘着層2は、非通気性であることが、発熱層1中の粒状物漏れの観点から好ましい。前記非通気性とは、空気及び水蒸気を透過させない性質をいい、通気度で100,000秒/100ml以上である。また、発熱層1が粘着層1上に直接配設されているので、発熱層1に含有される水分が、粘着層1の肌当接面側(剥離シート4側)に滲出しないことが好ましい。
粘着層2は、単層でもよく複数層からなるものでもよいが、上述の柔軟性や発熱層1との一体性の観点から、単層であることが好ましい。また、粘着層2は、両面、すなわち発熱層1の配設面21と肌当接面22(剥離シート4の配置面)とがいずれも接着性を有することが好ましい。これにより、余計な加工や材料を含むことなく、剥離シート4、発熱層1、通気性シート3を一体化することができる。ここでいう接着性とは、剥離可能な「粘着性」と、剥離不可能な「固着性」(又は「接合性」)とのを両方含む意味である。発熱具10としては、剥離シート4の配置面22では剥離可能な「粘着性」を示し、発熱層1の配設面21では、発熱層1が剥離不可能な「固着性」、通気性シート3の周辺部との剥離不可能な「固着性」を有することが好ましい。なお、通気性シート3と粘着層2との接合は、必要により他の接着剤が介在するようにしてもよい。
(発熱層)
発熱層1は、空気中の酸素との酸化反応で発熱する被酸化性金属の粒子、電解質及び水を含む発熱組成物の層からなる。また、必要により反応促進剤等の他の成分を更に含有していてもよい。
発熱層1の含まれる被酸化性金属としては、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、カルシウム等が挙げられる。被酸化性金属の粒子の粒径は、例えば0.1〜300μm程度とすることができる。
電解質としては、被酸化性金属の粒子の表面に形成された酸化物の溶解が可能なものが用いられる。その例としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属又は遷移金属の硫酸塩、炭酸塩、塩化物又は水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、導電性、化学的安定性、生産コストに優れる点からアルカリ金属、アルカリ土類金属又は遷移金属の塩化物が好ましく用いられ、特に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄が好ましく用いられる。
反応促進剤としては、水分保持剤として作用するほかに、被酸化性金属への酸素保持/供給剤としての機能も有しているものを用いることが好ましい。反応促進剤としては例えば活性炭(椰子殻炭、木炭粉、暦青炭、泥炭、亜炭)、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、ゼオライト、パーライト、バーミキュライト、シリカ等が挙げられる。
発熱層1における被酸化性金属の量は、坪量で表して100g/m以上3000g/m以下、特に200g/m以上1500g/m以下であることが、十分な発熱量を確保する観点から好ましい。発熱層1における電解質の量は、4g/m以上80g/m以下、特に4g/m以上40g/m以下、とりわけ5g/m以上30g/m以下であることが、長時間にわたり安定な発熱を維持する観点から好ましい。同様の理由によって、必要に応じて用いられる反応促進剤の量は、4g/m以上300g/m以下、特に4g/m以上80g/m以下、とりわけ8g/m以上50g/m以下であることが好ましい。なお、これらの坪量は、発熱具の具体的な用途に合わせ、適宜調整される。
通気性シート3や剥離シート4としては、この種の物品に用いられる素材を特に制限なく用いて得ることができる。
発熱具10は、上記の柔軟性等が阻害されない限り、他の部材と組み合わせられていてもよい。たとえば、発熱層1の水分の調整剤となる吸水性ポリマーを含む吸水層(図示せず)などが発熱具10中に含まれていてもよい。
また、発熱具10は、使用前の製品形態として、剥離シート4が配された状態で外側を気密性外包材(図示せず)で包装され、発熱具の包装体となっていることが好ましい。これにより、酸化反応が防止され、使用時まで発熱具10の発熱特性が保持される。
次に、図5及び6を参照して、本発明に係る発熱具の第2実施形態及び第3実施形態について説明する。
第2実施形態の発熱具20A及び第3実施形態の発熱具30Aは、いずれも第1実施形態の発熱具10Aの層構造を有するが、発熱具20、30又は剥離シート4の形状が異なる(ここで、剥離シート4を有さない状態の発熱具をそれぞれ発熱具20及び発熱具30といい、剥離シート4を有する状態のものをそれぞれ発熱具20A及び発熱具30Aという。)。ここでの剥離シート4は粘着層2よりも面積が大きい。すなわち、平面視すると、剥離シート4が少なくとも一部において粘着層2の領域を越え延出した形状とされている。この延出部分が引き剥がし耳部となる。これは、剥離シート4の剥がし易さの向上を考慮した構成である。第1実施形態で示した発熱層1と粘着層2との一体化により、発熱具20及び30全体の柔軟性等が従来になく高められたことによる剥離シート4の引き剥がし性の低下を補う構成である。これにより、剥離シート4の引き剥がし時に、発熱具の発熱層1、粘着層2及び通気性シート3の層構造に余分な荷重がかかわらず、発熱具10の強度が保持できるので好ましい。この観点から、引き剥がし耳部は、これを指でつまむことができるに足る面積を有することが好ましい。
具体的には、第2実施形態の発熱具20Aでは、図5に示すように、粘着層2及び通気性シート3の四つ角の一角を切り取られた形状で、該切り取られた部分で剥離シート4の一端部41が粘着層2よりも大きく、引き剥がし耳部41をなしている。この部分において剥離シート4は粘着層2よりも面積が大きい。これにより発熱具20Aでは、剥離シート4の引き剥がし耳部41を摘まんで180度反転させることで、剥離シート4の剥離部分を容易に形成できる。さらに、発熱具20の袋体5の端部を軽く抑えながら剥離シート4を引き剥がし完全に分離する。このようにして剥離シート4を引き剥がすことで、発熱層1、粘着層2及び通気性シート3の層構造に余分な荷重がかからず好ましい。
また、第3実施形態の発熱具30は、図6に示すように、4辺の1辺において、剥離シート4の1辺42が粘着層2及び通気性シート3の1辺の端部を越えて延出し、引き剥がし耳部42をなしている。この部分において剥離シート4は粘着層2よりも面積が大きい。これにより発熱具30Aでは、発熱具20Aと同様に、剥離シート4の引き剥がし耳部42を摘まんで容易に引き剥がすことができ、発熱層1、粘着層2及び通気性シート3の層構造に余分な荷重がかからず好ましい。
また、後述する第3実施態様の製造方法で製造される発熱具のように、通気性シート3と剥離シート4は同じ面積を有し、粘着層2が剥離シート4よりも小さい面積を有することで、引き剥がし耳部を形成することもできる。
次に、図7から9を参照して、本発明の発熱具の製造方法の好ましい実施形態(第1から第3実施形態)について説明する。いずれの実施形態においても、(1)粘着層前駆体200の形成工程、(2)発熱層1の形成工程、(3)通気性シート300の積層及び貼り合わせ工程、(4)所定大きさにカットする工程を備える。
まず、図7を参照して、発熱具の製造方法の第1実施形態について説明する。図7に示されるように、塗工部81において、長尺帯状の剥離シート400(剥離シート4の大きさにカットされる前の剥離原シート400)の一方の面上に、加熱溶融された粘着組成物(硬化して粘着層2となる前の流体)を長手方向に連続的に塗工し、硬化前の粘着層前駆体200を形成する((1)粘着層前駆体200の形成工程)。この工程においては、剥離シート400の粘着層形成面が平滑で凹凸がないことが好ましい。この平滑であること及び凹凸がないこととは、性能や加工の安定化を意味する。すなわち、剥離シート400が平滑であることにより、この工程において形成される粘着層前駆体200にピンホールなどの微細な孔が生じ難く、のちの粘着層2としたときの非通気性が得られる。また、粘着組成物を連続塗工することにより、非開孔の粘着層2を形成することができる。
次いで、塗工部82において、粘着層前駆体200の一面上に発熱層1となる発熱組成物の塗料を塗工して、発熱層1を形成する((2)発熱層1の形成工程)。発熱層1は複数、粘着層前駆体200上で搬送方向及び幅方向に互いに間隔をあけて形成される。ここで用いられる塗料は、被酸化性金属の粒子、電解質及び水を含み、必要により反応促進剤を含んでいる。また、塗料中での固形分の分散性を高める観点から、増粘剤や界面活性剤を配合してもよい。このとき、塗工対象の粘着層前駆体200は、被酸化性金属の粒子等をしっかりと捉えて一部を沈み込ませる観点から、粘着性を有することが好ましい。これにより、完成後の発熱層1と粘着層2との密着性が高く一体化した層構造が得られる。
なお、塗料としては、上記の成分構成から電解質を除き、該電解質を別に供給してもよい。供給時の状態としては、固体状態でもよく、水溶液の状態でもよい。供給のタイミングとしては、電解質を除く前記被酸化性金属等の塗料を塗工した後、又は塗工前であってもよい。上記の各成分の濃度や塗料の粘度等は、発熱特性や発熱具の用途、工程上の塗工条件等によって適宜決定することができる。
上述した塗工部81及び82における塗工方法としては、通常用いられる各種の方法を特に制限なく採用でき、例えばロール塗布、ダイコーティング、スクリーン印刷、ロールグラビア、ナイフコーティング、カーテンコーター等などが用いられる。塗布の簡易性、塗布量の制御のし易さ、塗料の均一塗工を実現できる点からダイコーティングが好ましい。ダイコータを用いた発熱組成物の塗料の塗工の詳細は、例えば本出願人の先の出願に係る特許第4155791号公報に記載されている。
次いで、長尺帯状の通気性シート300(通気性シート3の大きさにカットされる前の通気性原シート400)を繰り出して複数の発熱層2上に積層する。その際、ローラ83等を用いて通気性シート300と粘着層前駆体200との、発熱層2が配されない周辺部において圧着、接合する((3)通気性シート300の積層及び貼り合わせ工程)。これにより、通気性シート300と粘着層前駆体200とからなる袋体が形成され、発熱層1がその内部に封入される。
その後、粘着層前駆体200は流動性が失われた状態で粘着層2となり、前記接合された周辺部において、カット部84によって、縦横に所定の大きさにカットする((4)所定大きさにカットする工程)。これにより、剥離シート4を備えた発熱具が形成される。なお、粘着層前駆体200の流動性喪失による粘着層2の形成は、発熱層1の形成後であることが好ましいが、発熱層1の形成前で生じてもよい(以下の実施形態においても同様。)。
次に、図8を参照して、発熱具の製造方法の第2実施形態について説明する。図8に示されるように、第2実施形態の製造方法では、図7の第1実施形態とは、用いる剥離シート400の幅が異なる。第2実施形態においては、剥離シート400の端部401よりも内側に粘着層前駆体200を形成する。すなわち、剥離シート400の幅H3に対し、粘着層前駆体200の幅H1は両側のH2、H2の分だけ幅狭とされている((1)粘着層前駆体200の形成工程)。次いで、粘着層前駆体200の幅H1内で、発熱層1を複数、縦横に互いに間隔をあけて2列形成する((2)発熱層1の形成工程)。
さらに、通気性シート300は、剥離シート400の幅H3よりも狭く、粘着層前駆体200の形成幅H1と同じとされて、発熱層1上に積層する。このように積層し、通気性シート300と粘着層前駆体200との周辺部で接合される((3)通気性シート300の積層及び貼り合わせ工程)。
その後、通気性シート200、発熱層1、粘着層前駆体200及び剥離シート400の積層体が前記接合された周辺部でカットされると((4)所定大きさにカットする工程)、剥離シート4が粘着層2の幅H1よりも幅H2だけはみ出した形状の発熱具が得られる。この部分が剥離シート4の引き剥がし耳部となり、上述した剥離シートの引き剥がし易さを有する発熱具となる。
次に、図9を参照して、発熱具の製造方法の第3実施形態について説明する。図9に示されるように、第3実施形態の製造方法では、図8の第2実施形態と同じ幅H3を有する剥離シート400を用いる。しかし、第3実施形態と異なる点は、粘着層前駆体200が幅方向に複数条に分離している点である。具体的には、図9に示す2条の粘着層前駆体200を形成する場合、幅H4を有する粘着層前駆体201及び202が間に幅H5だけ離間して形成されている((1)粘着層前駆体200の形成工程)。この形態においては第1実施形態と同様に、粘着層前駆体201及び202は、剥離シート400の端部401に合わせて形成される。すなわち、粘着層前駆体201及び202並びに両者の離間部を合せた幅H4+H5+H4は、剥離シート400の幅H3に一致する。この粘着前駆体201及び202のそれぞれの列の幅H4内に、発熱層1を複数、互いに間隔をあけて形成する((2)発熱層1の形成工程)。
次いで、積層される通気性シート300は幅H3を有し、各粘着層前駆体201及び202の幅H4よりも幅広とされている。すなわち、離間幅H5の分だけ、粘着層前駆体201及び202の領域からはみ出して積層されている。一方、通気性シート300の幅方向の端部301は、剥離シート400の端部401にある。このように積層した状態で、粘着層前駆体201及び202それぞれと通気性シート300とが重なる周辺部で接合する((3)通気性シート300の積層及び貼り合わせ工程)。
その後、通気性シート200、発熱層1、粘着層前駆体200及び剥離シート400の積層体が前記接合された周辺部でカットされて剥離シートを備えた発熱具を得る((4)所定大きさにカットする工程)。得られた発熱具は、剥離シートが粘着層2の幅H4よりも幅H5の約半分だけはみ出している。この部分が剥離シート4の引き剥がし耳部となり、上述した剥離シートの引き剥がし易さを有する発熱具となる。また、通気性シート3も粘着層の幅H4よりも幅H5の約半分だけはみ出した形状とされている。これにより、粘着層に全く触れずに剥離シートを剥がすことが可能になり、貼付性が向上して好ましい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の含水ゲルシート材の製造方法を開示する。
<1>肌へ貼付するための粘着層と、発熱組成物からなる発熱層と、通気性シートとを有し、前記発熱層が前記粘着層の一面上に直接配設され、前記通気性シートが前記発熱層を覆い周辺部で前記粘着層と接合されている発熱具。
<2>前記粘着層は両面に接着性を有し単層で構成されている前記<1>に記載の発熱具。
<3>前記粘着層がホットメルト材料からなる前記<1>又は<2>に記載の発熱具。
<4>前記ホットメルト材料として、軟化点が80℃以上のものを前記粘着層に含む前記<3>に記載の発熱具。
<5>前記ホットメルト材料が、スチレン−イソブチレン−スチレン(SIS)系、スチレン−イソブチレン系から選ばれる少なくとも1種からなる前記<3>又は<4>に記載の発熱具。
<6>前記粘着層は、肌との剥離強度よりも該粘着層自体の破壊強度が高い前記<1>〜<5>のいずれか1に記載の発熱具。
<7>前記発熱層と前記粘着層とは一体化しており、前記発熱層は前記発熱組成物同士の不連続部分を有する前記<1>〜<6>のいずれか1に記載の発熱具。
<8>前記粘着層は、前記発熱層の全周にわたって該発熱層から延出した延出部を有し、該延出部と前記通気性シートとが接合され、前記発熱層が前記通気性シートと前記粘着層とからなる袋体に内包され封止されている前記<1>〜<7>のいずれか1に記載の発熱具。
<9>前記粘着層は非開孔である前記<1>〜<8>のいずれか1に記載の発熱具。
<10>前記粘着層よりも面積が大きい剥離シートが、前記粘着層の、前記発熱層が配設された面と反対側の面に配されている前記<1>〜<9>のいずれか1に発熱具。
<11>前記発熱組成物は酸化反応により発熱するものであり、被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含む前記<1>〜<10>のいずれか1に記載の発熱具。
<12>前記発熱具の柔軟性は、三点曲げ荷重の値が、発熱開始前のものとして、0〜1.0N/65mmであることが好ましく、0〜0.5N/65mmであることが更に好ましい、前記<1>〜<11>のいずれか1に記載の発熱具。
<13>前記粘着層に含まれる素材の軟化点が80℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがさらに好ましい、前記<1>〜<12>のいずれか1に記載の発熱具。
<14>前記粘着層の厚みは、2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、0.15mm以上がさらに好ましい、前記<1>〜<13>のいずれか1に記載の発熱具。
<15>前記粘着層自体の破壊強度と肌との剥離強度との差は、0.02N/mm以上が好ましく、0.04N/mm以上がより好ましく、0.06N/mm以上が更に好ましい、<1>〜<14>のいずれか1に記載の発熱具。
<16>前記粘着層自体の破壊強度と剥離シートとの剥離強度との差(T−G2)は、0.02N/mm以上が好ましく、0.04N/mm以上がより好ましく、0.06N/mm以上が更に好ましい、<1>〜<15>のいずれか1に記載の発熱具。
<17>前記粘着層の破壊強度は、0.02N/mm以上が好ましく、0.04N/mm以上がより好ましく、0.06N/mm以上が更に好ましい、<1>〜<16>のいずれか1に記載の発熱具。
<18>前記粘着層の肌当接面側に剥離シートが配されており、前記粘着層及び通気性シートの四つ角の一角を切り取られた形状で、該切り取られた部分で前記剥離シートの一端部が粘着層よりも大きく、引き剥がし耳部41をなしている前記<1>〜<17>のいずれか1に記載の発熱具。
<19>前記粘着層の肌当接面側に剥離シートが配されており、前記発熱具の4辺の1辺において、前記剥離シートの1辺が粘着層及び通気性シートの1辺の端部を越えて延出し、引き剥がし耳部をなしている前記<1>〜<17>のいずれか1に記載の発熱具。
<20>前記<1>〜<19>のいずれか1に記載の発熱具が気密性外包材で包装されてなる、発熱具の包装体。
<21>長尺帯状の剥離シート上に粘着組成物を長手方向に連続塗工して粘着層前駆体を形成する工程と、該粘着層前駆体上に発熱組成物を塗工して発熱層を複数、互いに間隔をあけて形成する工程と、該発熱層上に長尺帯状の通気性シートを積層して該粘着層前駆体と該通気シートとを貼り合せる工程と、前記通気性シートを貼り合せた後に所望の大きさにカットする工程とを有する発熱具の製造方法。
<22>前記剥離シートの幅方向の端部よりも内側に前記粘着組成物を連続塗工して前記粘着層前駆体を形成し、前記発熱層上に前記粘着層前駆体の幅と同じ幅を有する前記通気性シートを貼り合せる前記<21>に記載の発熱具の製造方法。
<23>前記剥離シート上に粘着組成物を長手方向に連続塗工して複条数の前記粘着層前駆体を形成し、前記発熱層上に前記粘着層前駆体の幅よりも大きい幅を有する前記通気性シートを貼り合せる前記<21>に記載の発熱具の製造方法。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、これにより本発明が限定して解釈されるものではない。以下、文中の組成を示す「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例)
図1に示す構造の発熱具10を製造し、実施例の発熱具の試料S1を得た。試料S1において、発熱層1は50mm×50mmの正方形であり、粘着層2、通気性シート3及び剥離シート4は65mm×65mmの正方形であった。
発熱層1としては、上述の被酸化性金属の粒子、反応促進剤、電解質及び水を含む発熱組成物を塗布して吸水層を積層させてなるのであった。
粘着層2としては、スチレン−イソブチレン系のホットメルト材料を用いて形成したもので、厚みは250μmであった。また粘着層2は、非通気性で、粘度4000mPa・s(160℃)、軟化点100℃であった。
通気性シート3としては、ポリエチレン(PE)からなる多孔フィルムを用いて形成されており、通気度が2500s/100ccであった。剥離シート4はポリエチレンテレフタレート(PET)からなるフィルム材を用いて形成されていた。
(比較例)
比較例の発熱具の試料C1では、ポリエチレン(PE)と紙とを積層した非通気性の基材シート上に発熱組成物を塗布して発熱層とした以外は、実施例の試料S1と同様にして得た。すなわち、比較例1は従来型の発熱具の試料であった。
上記の実施例の試料S1及び比較例の試料C1について、上述した三点曲げ荷重の試験を行い、柔軟性を評価した。この曲げ荷重の値が小さいほど発熱具は柔軟性が高いと判断できる。その結果は、下記の表1に示すとおりであった。
表1に示されるように、実施例の試料S1の三点曲げ荷重は、比較例1の試料C2のものよりも30%低く、柔軟性が高いことが分かった。
1 発熱層
2 粘着層
3 通気性シート
4 剥離シート
5 袋体
10 発熱具
200 粘着層前駆体
300 通気性シート(通気性原シート)
400 剥離シート(剥離原シート)

Claims (13)

  1. 肌へ貼付するための粘着層と、発熱組成物からなる発熱層と、通気性シートとを有し、前記発熱層が前記粘着層の一面上に直接配設され、前記通気性シートが前記発熱層を覆い周辺部で前記粘着層と接合されている発熱具。
  2. 前記粘着層は両面に接着性を有し単層で構成されている請求項1に記載の発熱具。
  3. 前記粘着層がホットメルト材料からなる請求項1又は2に記載の発熱具。
  4. 前記ホットメルト材料として、軟化点が80℃以上のものを前記粘着層に含む請求項3に記載の発熱具。
  5. 前記粘着層は、肌との剥離強度よりも該粘着層自体の破壊強度が高い請求項1〜4のいずれか1項に記載の発熱具。
  6. 前記発熱層と前記粘着層とは一体化しており、前記発熱層は前記発熱組成物同士の不連続部分を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の発熱具。
  7. 前記粘着層は、前記発熱層の全周にわたって該発熱層から延出した延出部を有し、該延出部と前記通気性シートとが接合され、前記発熱層が前記通気性シートと前記粘着層とからなる袋体に内包され封止されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の発熱具。
  8. 前記粘着層よりも面積が大きい剥離シートが、前記粘着層の、前記発熱層が配設された面と反対側の面に配されている請求項1〜7のいずれか1項に発熱具。
  9. 前記発熱組成物は酸化反応により発熱するものであり、被酸化性金属、反応促進剤、電解質及び水を含む請求項1〜8のいずれか1項に記載の発熱具。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の発熱具が気密性外包材で包装されてなる、発熱具の包装体。
  11. 長尺帯状の剥離シート上に粘着組成物を長手方向に連続塗工して粘着層前駆体を形成する工程と、該粘着層前駆体上に発熱組成物を塗工して発熱層を複数、互いに間隔をあけて形成する工程と、該発熱層上に長尺帯状の通気性シートを積層して該粘着層前駆体と該通気シートとを貼り合せる工程と、前記通気性シートを貼り合せた後に所望の大きさにカットする工程とを有する発熱具の製造方法。
  12. 前記剥離シートの幅方向の端部よりも内側に前記粘着組成物を連続塗工して前記粘着層前駆体を形成し、前記発熱層上に前記粘着層前駆体の幅と同じ幅を有する前記通気性シートを貼り合せる請求項11記載の発熱具の製造方法。
  13. 前記剥離シート上に粘着組成物を長手方向に連続塗工して複条数の前記粘着層前駆体を形成し、前記発熱層上に前記粘着層前駆体の幅よりも大きい幅を有する前記通気性シートを貼り合せる請求項11記載の発熱具の製造方法。
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