JP3004769B2 - 温熱治療用構造物 - Google Patents

温熱治療用構造物

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JP3004769B2
JP3004769B2 JP3155571A JP15557191A JP3004769B2 JP 3004769 B2 JP3004769 B2 JP 3004769B2 JP 3155571 A JP3155571 A JP 3155571A JP 15557191 A JP15557191 A JP 15557191A JP 3004769 B2 JP3004769 B2 JP 3004769B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は皮膚に貼付されて発熱体
組成物の温熱を皮膚に均一且つ全面に伝達し、この温熱
によって局所麻酔剤を速やかに経皮吸収させる上、発熱
による局所の血行循環を促進して局所の代謝の改善を実
現することにより慢性疼痛を除去或いは緩和させること
ができる温熱治療用構造物に関し、特に吸汗性の粘着層
が水分を30〜70重量%含有していることにより、皮
膚角質層の水和を助長して薬効を高めたり、また、皮膚
への熱伝導を良くしたり、汗や老廃物と粘着層中に含ま
れる多量の水分との相互作用が発現し、この汗や老廃物
が当該粘着層に効果的に吸収されて皮膚表面を清潔に保
つことができる温熱治療用構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日、病院や医療機関を訪れる患者の主
訴の大半が疼痛である。疼痛は、その臨床的経過から、
急性のものと慢性のものに分類される。この急性疼痛
は、外傷や、急性炎症、急性感染症など速やかな診断と
処置を必要とする生命に危険性のある疼痛である。一
方、慢性疼痛は、疼痛そのものが、患者を苦しめるが、
生命への影響は少ない。しかし、慢性疼痛患者のQOL
(人生の質的レベル)は、大きく低下する。即ち、心理的
にも落ち込み、疼痛にとらわれ、社会的活動の制限を受
け、生きがいすら失って行くことがある。ここで、急性
疼痛と慢性疼痛は、その病態生理学上も治療上の意味も
大きく異なることを十分認識してあたるべきであり、い
たずらに急性疼痛の治療方法を慢性疼痛の治療に外挿す
るだけでは不十分であることを知らなければならない。
【0003】ところで、一般に、慢性疼痛と認定される
には、以下に述べる三条件を充足する必要がある。 即ち、 痛みの局所に痛みの原因となる病理的変化
がないか、又は仮にあっても、すでに固定化しているこ
と。 痛みの局所から中枢に至るまでの神経経路に病理学
的変化がないこと。 疼痛を持続・増強させるような積極的な心理社会的
要因が認められること 。 このような条件を満たす慢性疼痛患者に対しては、
まず今ある疼痛を速やかに除去することが第一義的であ
り、さらに、患者にとって、苦痛とならない治療方法で
疼痛を除去しなければならない。できうるならば、患者
が、日常生活に支障をきたすことなく、自ら疼痛をコン
トロールできることが大切である。
【0004】一方、鎮痛剤の副作用の問題は大きく、ま
たその効果は完全ではない。覚醒剤や麻薬に走る者の多
くが、慢性疼痛にさいなまれた結果であることをわれわ
れは、もっと認識すべきである。
【0005】慢性疼痛において、疼痛局所における循環
不全状態は、よく指摘される。実際、頭痛や肩こり、腰
痛、関節痛の患者にとって温泉療法や、入浴は大変効
果のある方法である。また、鍼や灸、温湿布という方法
も、局所を暖め、そこの血行の循環状態を改善させる
法である。
【0006】従来、こうし臨床経験より、温熱体を疼
痛局所に当て保温する方法は、良く行われてきたが、
以下のような欠点があった。 1.温熱効果が生じるまで時間がかかりすぎ、即効性に
欠ける。 2.皮膚温度が安定しないため、低温やけどなどの危険
性がある。 3.皮膚との密着性に安定性がないため、気化熱が奪わ
れたり、皮膚表面温度に変化が生じやすい。
【0007】そこで、最近では、患者が、日常生活に支
障をきたすことなく、自ら疼痛をコントロールできるよ
うにするために、発熱体層と湿布剤層とからなる温熱湿
布剤が提案されている(特公昭60−12381号公
報)。即ち、このものはアルカリ金属の硫化物もしくは
多硫化物又はこれらの含水塩と炭素物質もしくは炭化鉄
を混合してなる発熱体組成物が空気(酸素)の存在により
発熱するように構成した発熱体層と、湿布用薬剤を含有
させた湿布剤層とを組み合わせることより、簡便で且つ
一定した温熱効果により薬物の経皮吸収を促進するよう
にしたものである。この場合、湿布用薬物として、サリ
チル酸、サリチル酸メチル及び/又はサリチル酸グリコ
ールが挙げられている。
【0008】
【 発明が解決しようとする課題】しかしながら、この
ものは発熱体組成物中に、水分が含有されていないか或
いは殆ど水分が含有されていないために、以下に述べる
課題がある。
【0009】即ち、この発熱体組成物が空気(酸素)と接
触し、空気酸化によって生じた熱は直接湿布剤層に伝達
されるため湿布剤層の温度が急激に上昇し、温度が50
℃以上になる。
【0010】事実、このものは温度が60℃まで達する
との記述がある。ところが、この発熱体組成物中に、所
要量の水分が含まれていると、温度の上昇に伴い水分の
蒸発が盛んになり、このため蒸発潜熱を奪って発熱体組
成物が所定の温度より上昇するのが防止される。
【0011】ところで、最近の試験結果によると、一般
に皮膚表面温度が45℃を超えると低温やけどが生じる
といわれており、この温度を超えないように発熱体組成
物を設計、管理する必要がある。
【0012】一方で、発熱体組成物中には殆ど水分が含
有されていないため温度変化が激しいだけでなく蓄熱量
が悪く、このため所要温度を長時間に亘って維持できな
い。
【0013】更に、このものは、発熱体組成物中の発熱
体成分として、アルカリ金属の硫化物もしくは多硫化物
又はこれらの含水塩を必須成分としているが、このもの
は空気の存在下、酸素と反応して発熱する際、硫黄臭が
するため、使用者が不快感、異和感を感じることがあ
る。
【0014】ところで、この温熱湿布剤はその湿布用薬
物として、サリチル酸、サリチル酸メチル及び/又はサ
リチル酸グリコールが用いられているが、これらの薬物
は慢性化した腰痛症、各部関節痛、神経痛、リューマチ
等に対しては効果がないどころか、逆効果もたらすこ
とすらある。これらの薬物は基本的には、急性の炎症性
疾患に対して用いるべきものであり、慢性化した疼痛疾
患でのその治療効果は充分とはいえないのが実状であ
る。
【0015】また、慢性疼痛では、その疼痛原因が必ず
しも炎症によるものでないことも多い。仮に炎症性疾患
がその起因であっても慢性化した状態では、炎症が持続
しているとは言いきれない。従って、慢性疼痛ではこう
した炎症性剤の適応でないことが多々あると言える。
【0016】即ち、これらの薬物のうち、慢性疼痛の治
療に対して、サルチル酸を用いた場合には、温熱によっ
てサルチル酸がプロトン(水素イオン)を発生し易くな
り、このために、このプロトンが皮膚に作用して刺激性
を増大したり、角質層を痛める恐れがあるので慢性疼痛
のような長時間にわたる使用に対してはサルチル酸は使
用をひかえるべきである。
【0017】又、サリチル酸メチルは、温熱を与えた場
合、水素結合による蒸散抑制効果がないので蒸散し易
く、このため慢性疼痛の治療剤に温熱を与えた場合、こ
の温熱によって薬物が治療剤にトラップされている時間
が非常に短い上、サリチル酸メチルの蒸散によって悪臭
を発するので使用感が悪く、この結果、慢性疼痛のよう
な長時間に亙る治療に対しては所望の結果が得られない
のである。
【0018】更に、サリチル酸グリコールを、この種の
温熱治療剤に用いた場合、このサルチル酸グリコールが
皮下の毛細血管における血液中等で加水分解して生体に
有害なグリコール成分を生成するので安易に使用できな
いのである。
【0019】ところで、これらの薬物と同様の作用、効
果を有し、しかもこれらより優れた薬効を示すものとし
てインドメタシンが知られている。
【0020】これらの薬物においては、特に、上述の三
条件を充足する慢性疼痛に対しては以下に述べる理由よ
り効果が期待できないことが多い。即ち、急性疾患、例
えば打撲、骨折、捻挫等の急性期においては、患部局所
に炎症がおき、それがヒスタミン、ブラジキニン、サブ
スタンスPなど多くの発痛物質を産生する。又、これは
滲出液の分泌をも伴う。この滲出液の分泌が局所の腫脹
となって現れる。この腫脹を抑えるために、古来より打
ち身、捻挫等の急性疾患には「暖める」より「冷やす」とい
う方法がとられてきた。一般的な湿布剤が水分を多量に
含有した処方をとっているのは、その水分の蒸発潜熱に
よる冷却効果を期待したものである。事実、湿布剤は急
性の炎症には湿布基剤のみでも、一定の消炎鎮痛効果を
発揮するものである。
【0021】又、このような急性疾患の場合には特定の
鎮痛消炎剤を薬物として用いるとその効果が期待でき
る。それは、発痛物質の制御等の作用、機能を有してい
る。しかしながら、上述の三条件を満たす慢性化した疼
痛性疾患においては消炎鎮痛剤では効果が認められない
ことが多い。このため、慢性疼痛治療を主目的にした鎮
痛消炎剤は、ほとんど開発されていないのが国際的にも
実状である。
【0022】本発明は、上記技術的課題を解決するため
に、この種の温熱治療用構造物(温熱湿布剤)において、
発熱体組成物中に水分を含有させることにより皮膚表面
温度を所定の範囲に維持して低温やけどを防止すると共
にその温度を長時間に亘って維持することにより疾患の
有効な治療を行う上、薬物として局所麻酔剤を用いるこ
とにより、上述の三条件を満たす慢性化した疼痛性疾患
に有効に作用させて疼痛を速やかに除去し、しかも、皮
膚角質層の水和を助長して薬効を高めたり、又、皮膚へ
の熱伝導を向上させたり、汗や老廃物と粘着層中に含ま
れる多量の水分との相互作用が発現し、この汗や老廃物
が当該粘着層に効果的に吸収されて皮膚表面を清潔に保
ち、衛生性及び安全性を至極向上させた温熱治療用構造
物を提供することを目的とする。
【0023】つまり本発明の温熱治療用構造物は、慢性
的に血行不全状態の続く患部の血行改善を図り、さら
に、温熱による直接的な患部の血行改善効果と局所麻酔
剤とが相俟って、患部に蓄積された発痛物質を効果的に
取り除くことができる。特に、皮膚角質層の水和を助長
して薬効を高めたり、又、上記温熱の皮膚への熱伝導を
向上させたり、更には、汗や老廃物を当該粘着層に吸収
させることができる。こうしたことによって、血行不全
状態の正常化をもたらして慢性疼痛の除去或いは緩和を
図ることを目的とするのであり、薬効を高め、且つ衛生
性や安全性をも向上させることを目的とするのである。
【0024】
【課題を解決するための手段】 即ち、本発明の温熱治療
用構造物は、その患部に温熱と局所麻酔剤を併用するこ
とにより当該局所において、局所麻酔剤を経皮吸収させ
てこの麻酔剤による即効的鎮痛を実現し、更に、これに
よって局所の交感神経の遮断を行い、疼痛局所に至る細
動脈の収縮を防ぐと共に所要の温熱により患部の血流を
持続的に高めることができるのである。加えて、粘着層
として水分を含有する吸汗性の粘着層を用いることによ
り、汗や老廃物と当該粘着層中に含まれる多量の水分と
の相互作用を発現させ、その結果、吸汗性の粘着層が汗
や老廃物を効果的に吸収し、皮膚表面を清潔にすること
ができ、これにより、衛生性や安全性をも高めることが
できるのであり、又、上記温熱の皮膚への熱伝導を向上
させたり、更に、皮膚角質層の水和を助長し、これによ
って、局所麻酔剤の経皮吸収を促進してその薬効を高め
ることができるのである。
【0025】ところで、慢性疼痛患者の場合、疼痛スト
レスにより、交感神経がたえず緊張した状態にあるため
細動脈の持続した収縮と、その影響を最も受けやすい心
臓交感神経の疲弊状態が認められる。
【0026】即ち、それは心拍出量の低下と総末梢血管
抵抗の増大を招来し、それは、疼痛局所の血行不全を一
層悪化させる結果となる。従って、患部の血流をより促
進するため所定の温熱を与えて、血流をより促進するこ
とが必要となる。従って、本発明の温熱治療用構造物は
慢性疼痛の除去あるいは緩和を図る上で至極理論的であ
り、且つ効果的である。しかも、本発明の温熱治療用構
造物においては、水分を含有する吸汗性の粘着層を用い
ることにより、当該粘着層が汗等を効果的に吸収し、皮
膚表面を常に清潔に保つことができ、衛生性や安全性を
向上させることができる。 又、上記粘着層の水分含有量
が30〜70重量%であるため、温熱の皮膚への熱伝導
を向上させることができる上、この水分と発汗による水
分との相互作用が発現し、この吸汗性の粘着層が汗等を
効果的に吸収するのであり、しかも皮膚角質層の水和を
助長し、局所麻酔剤の経皮吸収を促進してその薬効を高
めることができる。
【0027】上記目的を達成するために、本発明の温熱
治療用構造物は、表面が透湿性フィルムで形成され、且
つ裏面が支持体で形成された開放部のない偏平状袋体
に、空気の存在により発熱する発熱体組成物を封入して
なる発熱体構造物において、該発熱体構造物の裏面に
汗性の粘着層が形成されており、該吸汗性の粘着層には
30〜70重量%の水分及び局所麻酔剤が含有されてい
ることを特徴とするものである。
【0028】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいては、発熱組成物を封入してなる扁平状の発熱体構
造物と、その裏面にもうけられた、局所麻酔剤を含有す
る粘着層とからなる。そして、上記扁平状の発熱体構造
物は、扁平状袋体とその中に封入された発熱組成物から
なり、該発熱体組成物は空気の存在により発熱するもの
である。特に、本発明の温熱治療用構造物においては、
上記局所麻酔剤を含有する粘着層が、水分を30〜70
重量%含有している吸汗性の粘着層である点に特徴を有
するものである。
【0029】本発明に用いられる偏平状袋体は表面が透
湿性フィルムで形成され、且つ裏面が支持体で形成さ
れ、その周縁部が接合された放部のない偏平状のもの
であり、この透湿性フィルムと支持体の間に空気の存在
によって発熱する発熱体組成物を介在、封入させるため
のものである。
【0030】この透湿性フィルムは透湿性を有し、且つ
合成樹脂で形成されたものであれば特に限定されるもの
ではない。ところで、このように透湿性フィルムを用い
たのは、発熱体組成物の温度管理には通気度より透湿度
で制御するのが所要の温度範囲が得られるからである
【0031】即ち、本発明の温熱治療用構造物は、直接
皮膚に張り付けて使用するものであり、温度が低すぎる
と効果が乏しくなり、一方、温度が高すぎると低温やけ
どが生じるので、所望の温度(38〜43℃)に制御す
る必要がある。
【0032】ところで、温度38〜43℃の水蒸気は、
いわゆる湿り蒸気であり、乾き蒸気とは透湿性フィルム
に対し全く異質の挙動を示す。つまり、この温湿布構造
物に用いられる透湿性フィルムは延伸によって微細孔
(平均孔径0.5〜1μm程度)が形成されているが、
この微細孔に湿り蒸気が付着して凝集し(乾き蒸気は空
気等のガスと同様の挙動を示し、簡単に透過するが、湿
り蒸気は微細孔箇所に微細な水滴として吸着され
る。)、このため、この微細な水滴が微細孔を塞ぎ、そ
の実質孔径が経時的に大きく変化する。
【0033】このため、同じ通気度のフィルムでも、微
細孔への水蒸気の付着状況は、フィルムの性質、つまり
親水性であるか、疎水性であるかによって異なるだけで
なく、微細孔の構造、例えば円形、楕円形、スリット状
の孔、更に孔の周辺にクラックが入っているか否かによ
っても大きく異なり一定でなく、つまり孔の形状によっ
て微細な水滴の吸着量が異なるのであり、従って、温度
にバラツキが生じるだけでなく、発熱時間にも大きな違
いが生じ、品質が安定しないのである。
【0034】一方、透湿度でフィルムを管理すると、温
度が安定するだけでなく、発熱時間もほぼ一定するので
ある。故に、このように、温度範囲を38〜43℃とい
う微妙な範囲に設定するには、フィルムを通気度で管理
するのではなく、透湿度で管理する必要がある。
【0035】この透湿性フィルムは、単層フィルムであ
ると2層以上の複合フィルムであるとを問うものではな
く、2層以上の複合フィルムとすることにより透湿度を
コントロールしてもよいのである。上記透湿性フィルム
はその厚さが特に限定されるものではないが、透湿度、
強度、熱融着などの加工性、更に取扱い性等の観点よ
り、5〜200μm、特に20〜120μmとするのが
好ましい。
【0036】そして、本発明者らの実験結果によると、
発熱体組成物の組成を広範にわたって変化させても皮膚
に障害を与えないようにするには、透湿性フィルムとし
てはその透湿度がASTM法(E−96−80D法)で1
00〜400g/m2/24hrの範囲のものであり、この
範囲に制御することにより低温やけどを生じることがな
く、安全で、しかも温熱効果に適した38〜43℃の温
度を長時間局所皮膚に付与することができるのである。
【0037】上記ASTM法(E−96−80D法)とは
以下に述べる方法である。即ち、カップ内径(直径)6.
18cm、高さ1.5cmの容器内に純水20mlを入れ、
該容器の上面を透湿性フィルムで閉蓋してロウで固定
し、これを恒温(32.2℃)、恒湿(50%)の中に24
時間放置する。次いで、この容器内の水の減少量を測定
し、放出(蒸散)した水の量を[g/m2/24hr]に換算し
て表示する。
【0038】本発明では、上記特定の透湿性フィルムを
用いることにより、発熱体組成物への空気(酸素)の供給
量が定常的に制御されると共にこの反応熱と水蒸気の放
出、つまり発熱体組成物中の水の蒸散による放熱とのバ
ランスが保持され、この結果、温熱効果が得られる所要
の温度範囲を長時間にわたって維持しうるのである。
【0039】透湿性フィルムの透湿度が、100g/m2
/24hr未満であると発熱量が少なすぎて温熱効果が乏
しくなるので好ましくなく、一方、400g/m2/24h
rを超えると温度が上昇して最高温度が43℃を超える
場合があり、このため、低温やけどの危険性があるので
この場合も好ましくなく、従って、通気性フィルムの透
湿度が150〜350g/m2/24hrの範囲が最も望ま
しい。
【0040】この透湿性フィルムを形成する高分子材料
としては、フィルム化できるものであって、延伸或いは
延伸後、更に可溶性充填剤を抽出する等の方法により透
湿性を発現するものであれば特に限定されるものではな
く、具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコー
ル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタ
ン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポ
リカーボネート、塩酸ゴム等で形成されたものが挙げら
れるが、これらのうちポリエチレン製のものが延伸等に
より均質、且つ安価な透湿性フィルムが得られるから好
ましい。
【0041】又、本発明で用いられる支持体は後述す
水分を含有する吸汗性の粘着層を支持しうるものであ
れば特に限定されるものではない。この支持体として
上述の高分子材料で形成されたフィルムが挙げられる
が、この場合、後述する局所麻酔剤の保持性を良好に
し、且つ皮膚表面からの汗等の水分の蒸発により皮膚表
面の温度が変化しないように透湿性のないもの或いは透
湿度の低いもの、特に無孔フィルムが望ましい。ところ
で、このように透湿性の低いフィルムを用いると、皮膚
表面に汗や老廃物が滞留し、好ましくないため、本発明
においては、前記粘着層として、水分を30〜70重量
%含有している吸汗性の粘着層を上記フィルムに積層
し、汗や老廃物が当該粘着層に効率よく吸収され得るよ
うに構成されている。
【0042】又、上記偏平状袋体は、目的に応じて2層
以上の樹脂層で形成されたものでもよいが、その素材の
選択に当たり、ヒートシール性があり、簡単に熱融着で
きるものを選ぶのが好ましい。この場合、2層以上の樹
脂層が熱融着できないときには、その間にホットメルト
系の接着フィルムを介在させてこれらの樹脂層を接合し
てもよい。この場合、透湿性フィルムの透湿性が失われ
ないように注意することを要する。
【0043】ところで、上記偏平状袋体を補強するため
に織布もしくは不織布からなる補強用材を用いるのが好
ましいが、かかる補強用材は、例えば、ナイロン、ビニ
ロン、ポリエステル、レーヨン、アセテート、アクリ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等
の人工繊維、綿、麻、絹等の天然繊維から選ばれる1種
または2種以上の素材を用いて形成される。
【0044】本発明においては、上記偏平状袋体の内部
に、空気の存在によって発熱する発熱体組成物が封入さ
れるが、該発熱体組成物としては低温火傷を生じること
がない安全な温度を長時間維持できるものであれば特に
限定されるものではなく、具体的には、使い捨てカイロ
などに用いられている公知の発熱体組成物を用いること
ができる。
【0045】ところで、上記発熱体組成物中の各成分は
製法、用途によって種々のものが挙げられるが、使い捨
てカイロに用いられるものであれば、種類、形状、純度
を問わず、使用が可能である。上記発熱体組成物として
特に好ましいものは、例えば、空気との酸化反応の際に
硫黄臭などの異臭を発することがなく、しかも安全性の
高い鉄粉と、該鉄粉の酸化反応を起こさせたり、鉄粉表
面の酸化皮膜を破壊し、鉄粉の酸化反応を円滑に進行さ
せるための塩化ナトリウムや塩化カリウム等の塩化物、
更に水、及び該水によるベトツキをなくするために用い
られる保水剤からなる。
【0046】この場合において、発熱体組成物はその成
分比率が鉄35〜80重量%、塩化物1〜10重量%、
水5〜45重量%、保水剤1〜45重量%からなるもの
が好ましく、この範囲以外では、温熱作用が乏しく、所
望の効果が得られなかったり、或いは低温火傷を生じる
危険があり、しかも長時間にわたって優れた温熱効果を
発現する温熱治療用構造物が得られないのである。
【0047】この発熱体組成物において、空気との酸化
反応の際、pH調整を行ったり、触媒作用を有する活性
炭を配合させるのが特に望ましい。即ち、上記発熱体組
成物において、その成分比率が鉄35〜80重量%、活
性炭1〜10重量%、塩化物1〜10重量%、水5〜4
5重量%、保水剤1〜45重量%からなるものが望まし
い。
【0048】又、上記保水剤としては、保水性が高く、
発熱体組成物においてそのベトツキを無くするものであ
れば特に限定されるものではないが、具体的には、例え
ばバーミキュライト、クリストバライト、シリカ系多孔
質物質、ケイ酸カルシウム、シリカ粉、木粉、吸水性ポ
リマー等のうち少なくとも一種が挙げられる。
【0049】上記吸水性ポリマーとしては特に限定され
るものではないが吸水能力が自重の15倍以上、好まし
くは20倍以上のものが好ましい。具体的には、特公昭
49−43395号公報に開示されている澱粉−ポリア
クリロニトリル共重合体、特公昭51−39672号公
報に開示されている架橋ポリアルキレンオキシド、特公
昭53−13495号公報に開示されているビニルエス
テル−エチレン系不飽和カルボン酸共重合体ケン化物、
特公昭54−30710号公報に開示されている逆相懸
濁重合法によって得られる自己架橋ポリアクリル酸塩、
特開昭54−20093号公報に開示されているポリビ
ニルアルコール系重合体と環状無水物との反応生成物、
特開昭55−84305号公報に開示されているポリア
クリル酸塩架橋物等が好ましい。
【0050】そして、上記発熱体組成物は上記偏平状袋
体に均一に封入されるが、その充填量は500〜700
0g/m2の範囲とするのが望ましく、その充填量が、5
00g/m2未満であると発熱体組成物の充填量が少なす
ぎて所望の温度を長時間に亘って維持できず優れた温湿
布効果が得られないのであり、一方、7000g/m2
超えると発熱体組成物の充填量が過剰になって袋詰めが
困難になったり、温熱治療用構造物が厚くなり過ぎて使
用感や携帯性が悪くなるうえ、不経済であるから好まし
くないのである。
【0051】本発明の温熱治療用構造物は、上記の発熱
体組成物を封入してなる発熱体構造物において、透湿性
フィルム側と反対側面、つまり発熱体構造物の裏面に
分を30〜70重量%含有する吸汗性の粘着層が積層さ
れており、しかも該吸汗性の粘着層には局所麻酔剤が含
有されている。
【0052】上記粘着層としては、皮膚との粘着性が良
好で、しかも水分を30〜70重量%含有した吸汗性の
粘着層であれば特に限定されるものではない。具体的に
は、例えばアクリル系粘着剤、合成ゴムや天然ゴム等の
ゴム系粘着剤、ビニル系粘着剤、テルペン樹脂或いは水
溶性ロジン、ウレタン系粘着剤、ゼラチン等が挙げられ
る。 即ち、このように構成すると、汗や老廃物が吸汗性
の粘着層に効果的に吸収されて皮膚表面を清潔にするの
で望ましいのである。
【0053】上記吸汗性の粘着層としては水分を30〜
70重量%含有し、や老廃物を吸収する粘着性の層で
あれば特に限定されるものではなく、例えば、水や湿布
液、更に皮膚に粘着性を発現する湿布用ペースト等の湿
布基剤からなり、且つ肌を湿布するための層である。
【0054】上記吸汗性の粘着層は支持体に保持されて
いる。この場合、支持体としては各種のフィルムやシー
トからなるものであれば特に限定されるものではなく、
該支持体は無孔フィルム又は無孔シートを用いて形成さ
れたものでもよいが、特に、このようなフィルム又はシ
ートに親水性シート或いは親水性フィルムを接合したも
のが望ましい。この場合、親水性シート或いは親水性フ
ィルムは粘着層保持部材としての機能を有する。
【0055】上記支持体の素材としては上述の透湿性フ
ィルムに用いたものと同様の材質が挙げられる。上記粘
着層保持部材としては、親水性高分子物質、例えば紙、
レーヨン不織布或いはレーヨン混合不織布等の不織布、
織布、連続気泡性スポンジ等、毛細管現象を示すもの等
を用いるのが望ましい。特に、レーヨン不織布或いはレ
ーヨン混合不織布を用いると粘着層の保持性が良好にな
るので使用中に剥離等の問題が生じないので望ましい。
【0056】上記粘着層は、目的に応じて、粘着層保持
部材に吸汗性の粘着層を形成し疼痛局部に直ちに適用し
うるものが望ましい。
【0057】吸汗性の粘着層は、皮膚への熱伝導が良く
なるように水分を30〜70重量%、特に40〜60重
量%含有し、かつ粘着性の優れたものとするのが望まし
い。また発熱の際に38〜44℃の温度においても軟化
し粘着層の基剤が皮膚に残らない適度の凝集性を有する
ことが望ましい。例えば、含水するための原料として
は、CMC、ポリアクリル酸ナトリウム、吸水性樹脂、
無機質吸水剤、カオリン、ゼラチン、酸化チタン、各種
架橋剤、モノラウリン酸ソルビタンやモノパルミチン酸
ポリオキシエチレンソルビタン等の界面活性剤、パラオ
キシ安息香酸エチル等の防腐剤等を用いることができる
が、このほかに柔軟性、粘着性等、所望の物性を得るた
めに各種の原料を用いることができる。又、この吸汗性
の粘着層としては、例えば公知の湿布層が挙げられる。
【0058】上記吸水性樹脂としては特に限定されるも
のではないが吸水能力が自重の15倍以上、好ましくは
20倍以上のものが望ましい。具体的には、特公昭49
−43395号公報に開示されている澱粉−ポリアクリ
ロニトリル共重合体、特公昭51−39672号公報に
開示されている架橋ポリアルキレンオキシド、特公昭5
3−13495号公報に開示されているビニルエステル
−エチレン系不飽和カルボン酸共重合体ケン化物、特公
昭54−30710号公報に開示されている逆相懸濁重
合法によって得られる自己架橋ポリアクリル酸塩、特開
昭54−20093号公報に開示されているポリビニル
アルコール系重合体と環状無水物との反応生成物、特開
昭55−84305号公報に開示されているポリアクリ
ル酸塩架橋物等が好ましい。
【0059】上記無機質吸水剤としては、吸水層の吸水
能力を向上させて温熱治療用構造物の長時間に亘る吸汗
や老廃物の吸収を実現するものであり、具体的には、活
性炭、ゼオライト、ゼオライト系多孔質物質、クリスト
バライト、シリカ系多孔質物質、ケイ酸カルシウム等が
挙げられる。
【0060】上記湿布液としては、特に限定されるもの
ではなく、単なる水、温泉水、ユーカリ油、塩化ナトリ
ウム水、グリセリン、ハッカ油等常用のものが単独又は
複数配合して用いられるほか、所望により、液状のアル
コール類、液状の脂肪酸エステル類等も用い得るが、こ
れらの液体には更に、分散安定剤として界面活性剤等を
配合して湿布液とすることができる。
【0061】本発明においては、特に、上記粘着層に局
所麻酔剤が含有されていることを特徴とする。ところ
で、局所麻酔剤とは、大脳皮質知覚領には作用せず、も
っぱら知覚神経、自律神経の末梢に作用して局所の知
覚、とくに痛覚を鈍麻または消失させる薬物である。
【0062】本発明に用いられる局所麻酔剤としては特
に限定されるものではないが、具体的にはプロカイン、
塩酸プロカイン、リドカイン、塩酸リドカイン、メピバ
カイン、塩酸メピバカイン、プリロカイン、クアタカイ
ン、ブピバカイン、アミノ安息香酸エチル、塩酸テトラ
カイン、塩酸ジブカイン、オキシブプロカイン、塩酸プ
ロピトカイン、テーカイン、塩酸ベノキシネイト、塩酸
メプリルカイン、塩酸プロカイン、塩酸クロロプロカイ
ン、塩酸ベノキシネート又は塩酸ヘキソチオカイン等が
挙げられる。
【0063】そして、本発明においては、粘着層に局所
麻酔剤が含有されるが、この局所麻酔剤の配合割合は粘
着層全体の0.1〜25重量%の範囲とするのが望まし
く、局所麻酔剤の配合割合が、0.1重量%未満では薬
効が乏しく所望の効果が得られないのであり、一方、2
5重量%を超えると皮膚粘着力が低下する上、不経済で
あり、従って、これらの観点より、特に0.5〜15重
量%の範囲とするのが望ましい。
【0064】この場合、粘着基剤と局所麻酔剤を混合し
て形成してもよく、或いは粘着基剤を用いて粘着層を形
成し、該粘着層上に、局所麻酔剤の軟膏又は溶液或いは
分散液を塗工してもよいのである。つまり、本発明にお
いて、「粘着層に局所麻酔剤が含有されているとは」 、粘
着層に均一に局所麻酔剤が含有されていることを要する
ものではなく、粘着層に部分的に含有されていたり、或
いは粘着層における皮膚貼着面側に高濃度になるように
局所麻酔剤を含有させてもよいのである。
【0065】そして、上記支持体、例えば粘着層保持部
材には局所麻酔剤を含有する吸汗性の粘着層が形成され
る。この場合、その充填量が400〜2500g/m2
のものが好ましく、この充填量が、400g/m2未満
であると充填量が少なすぎて均一な粘着層ができず優れ
た温湿布効果が得られないのであり、一方、2500g
/m2を超えると充填量が過剰になって適用後の温度の
立ち上がりが鈍くなるので即効性に欠ける上、温熱治療
用構造物が厚く、しかも重くなりすぎて使用感や携帯性
が悪くなり、しかも不経済であるから好ましくないので
ある。
【0066】このようにして形成された吸汗性の粘着層
上記扁平状袋体の裏面側に重ね合わせ、その周辺部
を、接着、融着、縫製等の手段によって接合し、扁平状
袋体を形成する。この場合、その周辺部の一端は開放し
ておき、発熱組成物を詰めた後この部分を上記の手段で
シールする。このようにして温熱治療用構造物が完成さ
れる。
【0067】上記局所麻酔剤を含有する粘着層の露出面
は更に保護フィルムで被覆されるのが好適である。
【0068】本発明の温熱治療用構造物において、発熱
体組成物が鉄粉40〜75重量%、塩化物1〜10重量
%、水10〜40重量%、保水剤1〜40重量%からな
るものが、以下に述べる理由より望ましい。
【0069】上述のように、特定の透湿性フィルムと特
定の発熱体組成物を用いることにより、この両者の相互
作用によって発熱体組成物への空気(酸素)の供給量が定
常的に制御されると共にこの反応熱と水蒸気の放出、つ
まり発熱体組成物中の水の蒸散による放熱とのバランス
が保持され、低温やけどを生じることなく、安全で、し
かも効果的な温熱治療が長時間に亙って得られるのであ
る。
【0070】本発明の温熱治療用構造物において、発熱
体組成物が鉄粉40〜75重量%、活性炭1〜10重量
%、塩化物1〜10重量%、水10〜40重量%、保水
剤1〜40重量%からなるものが、以下に述べる理由よ
り更に望ましい。
【0071】このように、活性炭を配合することによ
り、上述の発熱体組成物に比べて、この活性炭が空気中
の酸素の活性化を図ったり、pH調整を行うのであり、
従って、初期の鉄粉と酸素との反応を促進する結果、上
述の効果に加えて、初期の温度の立ち上がりが極めて良
好になり、そのため一層優れた温熱治療が長時間に亙っ
て得られるのである。
【0072】本発明の温熱治療用構造物は、上記特徴を
有する結果、従来は困難であった一定の温度を超えない
安全で、しかも温湿布効果に適した38〜44℃の温度
を長時間局所皮膚に付与することができるのである。そ
して、特に吸汗性の粘着層において、当該粘着層の水分
含有量を30〜70重量%とすることにより、皮膚角質
層の水和を助長して薬効を高めたり、又、皮膚への熱伝
導を向上したり、更には、汗や老廃物と上記粘着層中に
含まれる多量の水分との相互作用が発現し、この汗や老
廃物が当該粘着層に効果的に吸収されて皮膚表面を清潔
にするのであり、しかも局所麻酔剤により慢性疼痛に対
し速やかに効果を発現し、疼痛を除去したり、疼痛を緩
和するのである。
【0073】本発明の温熱治療用構造物は、気密性袋体
に収納され、流通に供されるが、この場合、単品或いは
複数のものを連結して折り畳んで入れておき、使用目的
に応じて自由に切断して用い得るようにしてもよいので
ある。
【0074】
【作用】本発明の温熱治療用構造物は、上記構成を有
し、疼痛局所に貼着される。そうすると、温熱治療用構
造物において、局所麻酔剤により慢性疼痛を速やかに除
去したり、慢性疼痛を緩和する等、慢性疼痛の有効な治
療を行うのであり、しかも発熱体組成物中の水分により
皮膚表面温度を所定の範囲に維持して低温火傷を防止す
ると共にその温度を長時間に亘って維持することにより
長時間に亙って慢性疼痛を除去ないし緩和するのであ
り、しかも発熱体成分として安全で安価な鉄粉を用いる
ことにより、安全性が至極向上するのである。
【0075】つまり本発明の温熱治療用構造物は特定の
発熱体組成物を所定量袋体内に封入しているので、この
温熱治療用構造物を人体に適用したとき、当該温熱治療
用構造物の温度特性は、その内部の発熱体組成物が空気
との酸化反応によって発生する反応熱と、発熱体組成物
内の水の気化潜熱、更に血流による放熱のバランスが維
持され、この発熱と放熱のバランスの維持によって所望
の温度が長時間に亘って維持される作用を有するのであ
る。
【0076】 又、本発明の温熱治療用構造物はその貼
付局所を加温することにより皮膚表面の温度を上げ、血
流を促進し、皮膚表面領域の新陳代謝を高めるのであ
り、しかも皮膚面から気化潜熱を奪わず、したがって、
皮膚温度を下げることなく一定であり、慢性疼痛の治療
に有効である。
【0077】しかも本発明で用いられる吸汗性の粘着
層が、水分を30〜70重量%含有しているため、皮膚
角質層の水和を助長する。この作用により、局所麻酔剤
の経皮吸収を促進してその薬効を高めることができる。
このため本発明によれば、経皮吸収促進剤を添加したり
基剤に特別な処方を考慮する必要がなく、皮膚刺激等の
副作用を考えた場合、安全性を高めることが可能であ
り、局所麻酔剤の経皮吸収効果も格段に高めることが可
能である。加えて、前記粘着層が、水分を30〜70重
量%含有しているため、前記発熱体からの熱を効率よく
皮膚へ伝導することができたり、汗や老廃物と上記粘着
層中に含まれる多量の水分との相互作用が発現して、こ
の汗や老廃物が当該粘着層に効果的に吸収される結果、
皮膚表面を清潔にすることができる作用を有するのであ
る。
【0078】更に、本発明の温熱治療用構造物は慢性的
に血行不全状態の続く患部に作用し、その部位の血管を
拡張して血流を改善させ、更に患部にて生産され、蓄積
した発痛物質を効果的に取り除くことができるのであ
り、これによって慢性疼痛の除去或いは緩和を図る作用
を有するのである。
【0079】即ち、本発明の温熱治療用構造物は、その
患部に温熱と局所麻酔剤を併用する事により当該局所麻
酔剤を経皮吸収させてこの麻酔剤による速効性を実現
し、これによって交感神経の遮断を行い細動脈の収縮を
防ぐと共に所要の温熱により患部の血行を持続的に高め
ることができるのである。
【0080】ところで、慢性疼痛患者の場合、全身的に
交感神経がたえず緊張した状態にあるため、その結果細
動脈の収縮と共に心臓の心拍量の低下、総末梢血管抵抗
の増大が一般に生じているため、患部の血流をより促進
するため所定の温熱を与えて、血流をより促進すること
が血行動態の改善に必要となる。この点、本発明の温熱
治療用構造物は上記のような血行動態の不良状態の改善
を発現するので至極有用である。
【0081】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の温熱治療用構造物の構造例 第1図において、(1)は温熱治療用構造物であり、該
温熱治療用構造物(1)は扁平状袋体(2)の内部に、
空気の存在によって発熱する発熱体組成物(3)を封入
してなる発熱体構造物(1a)と、該発熱体構造物(1
a)の裏面に設けられた吸汗性の粘着層(4)からな
る。
【0082】そして、上記偏平状袋体(2)は、その表
面が透湿性フィルム(5)で形成され、且つ裏面が支持
体(6)で形成された放部のない偏平状に形成されて
いる。上記透湿性フィルム(5)は、この場合、透湿性
基材フィルム(5a)と多孔質補強用基材(5b)から
なる。
【0083】具体的には透湿性フィルム(5)として、合
成樹脂製の透湿性基材フィルム(5a)と、織布もしくは
不織布からなる多孔質補強用基材(5b)をラミネートし
て形成した後、これを延伸したり或いはこの延伸したフ
ィルムから充填剤を抽出してその透湿度を上記範囲に調
整してなる積層フィルムで形成したものである。
【0084】又、透湿性フィルム(5)としては、上記実
施例に代えて、多孔質補強用基材(5b)は用いず、透湿
性基材フィルム(5a)のみで形成したものでもよいので
ある。
【0085】ところで、この透湿性フィルム(5)はその
柔らかさが、ループステフネステスタにおいて2.5g
以下であることが好ましい。このようにすると、発熱体
組成物(3)が酸素を吸収する時に当該袋体(2)が容易に
収縮し、発熱体組成物(3)と透湿性フィルム(5)が密着
し、発熱体組成物(3)の片寄りが容易に防止されるので
有利である。
【0086】上記支持体(6)は、上述の高分子材料で形
成されたフィルムが挙げられるが、この場合、後述する
局所麻酔剤の保持性を良好にし、且つ皮膚表面からの汗
等の水分の蒸発により皮膚表面の温度が変化しないよう
に透湿性のないもの或いは透湿度の低いもの、特に無孔
フィルムが望ましい。
【0087】上記支持体(6)は、この場合、合成樹脂フ
ィルム(6a)と粘着層保持部材(6b)からなる。
【0088】又、上記吸汗性の粘着層は、水分を30〜
70重量%含有し、しかもこの粘着層(4)には局所麻
酔剤が含有されており、この場合、該局所麻酔剤を含有
する吸汗性の粘着層(4)が発熱体構造物(1a)の裏
面に部分的に形成されるが、この形成方法としては特に
限定されるものではない。
【0089】尚、(7)は保護フィルムであり、該保護
フィルム(7)によって吸汗性の粘着層(4)の表面が
被覆、保護されている。
【0090】そして、本発明の温熱治療用構造物(1)は
気密性袋体(C)に封入されて流通に供される。
【0091】本発明の温熱治療用構造物(1)は、上記構
成を有し、その使用時には気密性袋体(C)から温熱治療
用構造物(1)を取り出し、保護フィルム(7)を剥がし、
その粘着層(4)を疼痛局部に密着させて使用する。
【0092】そうすることにより、その適用部位におい
て、局所麻酔剤が慢性の疼痛を速やかに除去したり、疼
痛を緩和するのであり、また発熱体構造物(1a)による
温熱効果とこの温熱による局所の血行循環を促進して局
所の代謝の改善を実現する上、長時間に亘って、皮膚の
温度が一定であり、従って、慢性化した疼痛の長時間に
亘る治療に有効なのである。
【0093】本発明の温熱治療用構造物の実施例 本発明に用いられる支持体 支持体(6)としてはポリエチレン製フィルム(厚さ25
μm)(6a)の片面に、レーヨン・ポリエステル混合不織
布(レーヨン繊維含有量60重量%、40g/m2)(6b)を
ラミネートしたものを用いた。
【0094】 本発明で用いられる透湿性フィルム 透湿性フィルム(5)としてはポリエチレン製の透湿性基
材フィルム(40μm)(5a)の片面に、ポリエステル製多
孔質補強用基材(60g/m2)(5b)をラミネートしたもの
を用いた[透湿度がASTM法(Eー96ー80D法)で
185g/m2/24hr]。
【0095】上記の支持体(6)と透湿性フィルム(5)を
重ね合わせるにあたり、支持体(6)におけるポリエチレ
ン製フィルム(6a)側と透湿性フィルム(5)における透
湿性基材フィルム(5a)とが接触するように積層し、つ
まり不織布(6b)が裏面に露出するように積層し、その
積層体の三周縁部をヒートシールして一方端開放の偏平
状袋体(2)を形成し、この偏平状袋体(2)の内部に後述
する空気の存在によって発熱する発熱体組成物(3)を充
填し(1666.7g/m2)、この開放端をヒートシールし
て発熱体構造物(1a)を得た。
【0096】発熱体組成物の成分 RZ鉄粉60重量%、活性炭3重量%、塩化ナトリウム
3重量%、保水剤3重量%、水31重量%の組成物
【0097】粘着層の製造 カオリン 20.0重量部 CMC 0.5重量部 アクリル酸デンプン 2.0重量部 ゼラチン 5.0重量部 酸化チタン 1.0重量部 界面活性剤 1.0重量部 防腐剤 0.03重量部 グリセリン 16.0重量部 水 54.5重量部
【0098】上記の組成物からなる吸汗性の粘着基剤
(湿布基剤)を用い、これを上記発熱体構造物(1a)の裏
面、つまり不織布(6b)側に810g/m2となるように形
成して吸汗性の粘着層を形成した。
【0099】次いで、上記吸汗性の粘着層上に、塩酸リ
ドカインゼリーを塗工して、塩酸リドカイン含有粘着層
(4)を形成した。この場合、塩酸リドカイン含有粘着
層(4)全体中の塩酸リドカイン含有量は1重量%にな
るように調整した。
【0100】かくして、本発明の温熱治療用構造物(1)
を得た。この温熱治療用構造物(1)の大きさは、縦9.
5cm、横13.0cmとした。
【0101】比較例1 上記温熱治療用構造物において、塩酸リドカインを除い
たものを用いた。
【0102】比較例2 塩酸リドカインゼリーをガーゼに塗布したものを用い
た。この場合、ガーゼの大きさは実施例のものと同じに
し、又、塩酸リドカインの含有量は実施例のものと同じ
条件とした。
【0103】比較例3 市販されているインドメタシン軟膏を用いた。この軟膏
には1重量%のインドメタシンが含有されている。
【0104】比較例4 上記実施例の温熱治療用構造物において、塩酸リドカイ
ンに代えて、インドメタシンを用いた以外は、実施例と
同様に製造したものを用いた。
【0105】上記実施例のものと比較例1・2及び比較
例4のものを用い、慢性腰痛を訴えて病院を訪れた患者
計30例(各例については10名)について、以下の治
療を試みた。
【0106】上記比較例3の軟膏を1.5g採り、これ
を、慢性腰痛を訴えて病院を訪れた患者10例の患部に
塗布し、以下の治療を試みた。
【0107】対象をランダムに3群に分け、その症状
を、日本整形外科学会の疼痛の自覚症状分類に則り、ス
コア化した。
【0108】1.疼痛(腰痛)のスコアについて(日本整
形外科学会の疼痛の自覚症状分類による。) A.腰痛に関して: a.まったく腰痛はない 0点 b.時に軽い腰痛がある 1点 c.常に腰痛があるか、或いは時にかなりの腰痛がある
2点 d.常に激しい腰痛がある 3点 B.下肢痛及びシビレに関して: a.まったく下肢痛、シビレがない 0点 b.時に軽い下肢痛、シビレがある 1点 c.常に下肢痛、シビレがあるか、或いは時にかなりの
下肢痛、シビレがある 2点 d.常に激しい下肢痛、シビレがある 3点 AとBの得点を加えた点数を腰痛スコアとする。
【0109】2.対象患者の治療内容による分類 対象患者をその治療内容により5群に分けた。 実施例群:実施例のものを用い、これを疼痛局部に1枚
貼着し、これを毎日張り替えつつ2週間続けた。 比較例1群:比較例1のものを用い、実施例と同様の試
験を行った。 比較例2群:比較例2のものを用い、実施例と同様の試
験を行った。 比較例3群:比較例3のものを用い、実施例と同様の試
験を行った。 比較例4群:比較例4のものを用い、実施例と同様の試
験を行った。
【0110】上記3群の各患者の治療前後の腰痛スコア
の変動を、第1表(実施例群)、第2表(比較例1群)、第
3表(比較例2群)、第4表(比較例3群)、第5表(比
較例4群)にそれぞれ示す。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
【表3】
【0114】
【表4】
【0115】
【表5】
【0116】治療前の各群の重症度に、統計学的有意差
は、認められなかった。次に、各群について検討してみ
る。
【0117】1)第1表(実施例群)に示す結果より; 治療前の腰痛スコアは3.9±1.3 治療後の腰痛スコアは1.3±1.1 であり、統計学的に治療は有効であることが認められる
(p<0.01))。
【0118】2)第2表(比較例1群)に示す結果より; 治療前の腰痛スコアは4.0±1.3 治療後の腰痛スコアは2.6±0.9 であり、統計学的に治療は有効であることが認められる
(p<0.05)。
【0119】3)第3表(比較例2群)に示す結果より; 治療前の腰痛スコアは3.8±1.2 治療後の腰痛スコアは2.4±1.1 であり、統計学的に治療は有効であった(p<0.0
5))。
【0120】4)第4表(比較例3群)に示す結果より; 治療前の腰痛スコアは3.9±0.5 治療後の腰痛スコアは3.1±1.0 であり、統計学的には治療傾向はあるもあまり有効でな
いことが認められる(p<0.1)。
【0121】5)第5表(比較例4群)に示す結果より; 治療前の腰痛スコアは3.9±1.0 治療後の腰痛スコアは2.3±1.2 であり、統計学的に治療は有効であった(p<0.0
5))。
【0122】治療前の腰痛スコアは、実施例群と比較例
1〜4群の総てにおいて、いずれも統計的な有意差を認
めなかった。第1表〜第5表に示す結果より、各群間の
治療効果を統計学的に検討すると; 実施例群 対 比較例1群;統計学的有意差あり(p<
0.05) 実施例群 対 比較例2群;統計学的有意差あり(p<
0.05) 実施例群 対 比較例3群;統計学的有意差あり(p<
0.05) 実施例群 対 比較例4群;統計学的有意差あり(p<
0.05) 比較例1群 対 比較例2群;統計学的有意差なし 比較例3群 対 比較例4群;統計学的有意差あり(p<
0.05)
【0123】以上に示す結果より、実施例群の治療効果
は、比較例1群〜比較例4群に比して、優れていること
が認められる。
【0124】また、治療効果時間の検討も行った。慢性
疼痛(慢性腰痛)を有した患者を対象にして検討したとこ
ろ、実施例群では対象10例の治療効果発現に要する時
間は3.5±1.0分であり、また患部に適用して10
時間後の腰痛スコアは3.9±1.3から1.5±0.
8に減少し、極めて高い鎮痛効果が認められた(p<
0.01)。また、その安全性についても、充分に検討
を行ったが、副作用発現例は認められず、本発明の温熱
治療用構造物は安全であることが認められる。
【0125】比較例1群について、上記と同様の試験を
行ったところ、効果発現に要する時間は10.0±3.
2分であり、また患部に適用して10時間経過後の腰痛
スコアは4.0±1.3から3.2±1.5となり、所
要の鎮痛効果は得られなかった。また、安全性について
検討したところ異常は認められなかった。
【0126】比較例2群について、上記と同様の試験を
行ったところ、効果発現に要する時間は4.2±3.1
分であり、また患部に適用して10時間後の腰痛スコア
は3.8±1.2から3.2±0.4であり、所要の鎮
痛効果は認められなかった。また、安全性について検討
したところ異常は認められなかった。
【0127】比較例3群について、上記と同様の試験を
行ったところ、効果発現に要する時間は12.5±1
0.8分であり、また患部に適用して10時間経過後の
腰痛スコアは3.9±0.5から3.6±0.1であ
り、所要の鎮痛効果は得られなかった。また、安全性に
ついて検討したところ異常は認められなかった。
【0128】比較例4群について、上記と同様の試験を
行ったところ、効果発現に要する時間は9.6±6.2
分であり、また患部に適用して10時間後の腰痛スコア
は3.9±1.0から3.5±2.2であり、所要の鎮
痛効果は認められなかった。また、安全性について検討
したところ異常は認められなかった。
【0129】上述の結果より、実施例のものは局所麻薬
剤と温熱の相乗効果により、速やかに、局所の鎮痛が図
られ、それと同時に、発熱体により、安定した温熱効果
が発生し、局所循環が改善され、所要の鎮痛効果が持続
して得られる。
【0130】このように、実施例のものは、局所麻薬剤
と、発熱体を組み合わせることにより、即効性があり、
かつ鎮痛効果の持続性が認められるので至極有益であ
る。
【0131】これに対して、比較例1のものは効果が乏
しいだけでなく、鎮痛効果が発現するまでに相当の時間
を要し、常に痛みがあるか、又は時にかなりの痛みがあ
ったり、或いは常に激しい痛みがある慢性疼痛の患者に
対して所要の効果が期待できないのである。
【0132】更に、比較例2のものは効果が乏しいだけ
でなく、鎮痛効果の持続性が欠けるのであり、従って、
常に痛みがあるか、又は時にかなりの痛みがあったり、
或いは常に激しい痛みがある慢性疼痛の患者に対して短
時間で張り替える必要があり、大変煩わしい上、所要の
効果が期待できないのである。
【0133】比較例3のものは効果が殆ど期待できない
だけでなく、鎮痛効果が発現するまでに相当の時間を要
し、常に痛みがあるか、又は時にかなりの痛みがあった
り、或いは常に激しい痛みがある慢性疼痛の患者に対し
て所要の効果が期待できないのである。
【0134】比較例4のものは効果がある程度期待でき
るが、鎮痛効果の持続性が欠けるのであり、従って、常
に痛みがあるか、又は時にかなりの痛みがあったり、或
いは常に激しい痛みがある慢性疼痛の患者に対して短時
間で張り替える必要があり、大変煩わしい上、所要の効
果が期待できないのである。
【0135】以上の実験から、本発明の温熱治療用構造
物は、至極優れた鎮痛効果を発現する上、即効性があ
り、しかも鎮痛効果の持続性が得られるので、慢性化し
た腰痛、神経痛、筋痛症、頭痛や肩凝り、頚肩腕症候
群、いわゆるムチ打ち症、四肢痛、各部関節痛及び慢性
関節リューマチ、難治性筋神経疾患等の治療に有効であ
る。
【0136】
【発明の効果】本発明の温熱治療用構造物は、上記構成
を有し、吸汗性の粘着層が、水分を30〜70重量%含
有しているため、疼痛局所に貼着されると、皮膚角質層
の水和を助長し、これにより、局所麻酔剤の経皮吸収性
を促進してその薬効を高めることができる結果、慢性疼
痛を速やかに除去したり、慢性疼痛を緩和する等、慢性
疼痛の有効な治療を行うことができる効果を奏するので
ある。しかも、発熱体組成物中の水分により、皮膚表面
温度を所定の範囲に維持して低温火傷を防止すると共に
その温度を長時間に亘って維持することにより長時間に
亘って慢性疼痛を除去ないし緩和することができる効果
を奏するのである。
【0137】又、本発明の温熱治療用構造物は特定の発
熱体組成物を封入してなるので、この温熱治療用構造物
を疼痛局部に適用したとき、当該温熱治療用構造物の温
度特性は、その内部の発熱体組成物が空気との酸化反応
によって発生する反応熱と、発熱体組成物内の水の気化
潜熱、更に血流による放熱のバランスが維持され、この
発熱と放熱のバランスの維持によって所望の温度が長時
間に亘って維持される結果、鎮痛効果の持続性が確保さ
れるのである。
【0138】 更に、本発明の温熱治療用構造物はその
貼付局所を加温することにより皮膚表面の温度を上げ、
血流を促進し、皮膚表面領域の新陳代謝を高めうるので
あり、しかも皮膚温度を下げることなく一定であり、
に、粘着層が水分を30〜70重量%含有しており、し
かもこの粘着層には局所麻酔剤が含有されている。
って、発熱組成物からの温熱の皮膚への付与と、局所麻
酔剤の皮膚への投与とにより、慢性疼痛の有効な治療を
行い得るのであり、加えて、吸汗性の粘着層が汗や老廃
物を効果的に吸収し、皮膚表面を清潔にするのであり、
しかも慢性疼痛の治療に有効である上、皮膚刺激等の副
作用がなく、安全性が高いのである。
【0139】本発明の温熱治療用構造物において、発熱
体成分として鉄粉を用いることにより、安全性が高い
上、安価で経済的であり、しかも硫黄臭等がなく使用感
が良好になるのである。
【0140】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図である。
【0141】
【符号の説明】
1 温熱治療用構造物 2 偏平状袋体 3 発熱体組成物 4 粘着層 5 透湿性フィルム 5a 透湿性基材フィルム 5b 多孔質補強用基材 6 支持体 6a 合成樹脂フィルム 6b 粘着層保持部材 7 保護フィルム C 気密性袋体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61K 31/24 A61K 31/24 31/245 31/245 31/445 31/445 31/46 31/46 31/47 31/47 45/00 AAQ 45/00 AAQ // C09K 5/00 C09K 5/00 B (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 9/70 A61K 7/08 A61K 31/165 A61K 31/24 A61K 31/245 A61K 31/445 A61K 31/46 A61K 31/47 A61K 45/00 A61K 31/00 625 G C09K 5/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面が透湿性フィルムで形成され、且つ
    裏面が支持体で形成された放部のない偏平状袋体に、
    空気の存在により発熱する発熱体組成物を封入してなる
    発熱体構造物において、該発熱体構造物の裏面には吸汗
    性の粘着層が形成されており、該吸汗性の粘着層には3
    0〜70重量%の水及び局所麻酔剤が含有されているこ
    とを特徴とする温熱治療用構造物。
  2. 【請求項2】 透湿性フィルムは透湿度が100〜40
    0g/m2/24hr(ASTM法)である請求項1に記載の
    温熱治療用構造物。
  3. 【請求項3】 発熱体組成物が鉄粉40〜75重量%、
    塩化物1〜10重量%、水10〜40重量%、保水剤1
    〜40重量%からなる請求項1又は2に記載の温熱治療
    用構造物。
  4. 【請求項4】 発熱体組成物が鉄粉40〜75重量%、
    活性炭1〜10重量%、塩化物1〜10重量%、水10
    〜40重量%、保水剤1〜40重量%からなる請求項1
    又は2に記載の温熱治療用構造物。
  5. 【請求項5】 発熱体組成物の充填量が500〜700
    0g/m2である請求項1ないしのいずれか1項に記載
    の温熱治療用構造物。
  6. 【請求項6】 局所麻酔剤がプロカイン、塩酸プロカイ
    ン、リドカイン、塩酸リドカイン、メピバカイン、塩酸
    メピバカイン、プリロカイン、クアタカイン、ブピバカ
    イン、塩酸コカイン、アミノ安息香酸エチル、塩酸テト
    ラカイン、塩酸ジブカイン、オキシブプロカイン、塩酸
    プロピトカイン、テーカイン、塩酸ベノキシネイト、塩
    酸メプリルカイン、塩酸プロカイン、塩酸クロロプロカ
    イン、塩酸ベノキシネート又は塩酸ヘキソチオカインで
    ある請求項1ないしのいずれか1項に記載の温熱治療
    用構造物。
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