JP3575828B2 - 温熱用具 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、人の皮膚や着衣に粘着して使用する温熱用具に関し、特に、使用済みの発熱体廃棄物の回収が促進されるようにした温熱用具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、いわゆる、使捨てかいろを人体或いは人の着衣の適用箇所に保持できるようにするために、発熱体組成物をシート状の通気性袋に収納して発熱体を形成し、この発熱体の片面に粘着剤層を設けた温熱用具が販売されている。
【0003】
この種の温熱用具は、使用後に一般のゴミと一緒に処理されたり、いわゆる、不燃物として処理されるために、回収されることがない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発熱体組成物には金属粉等の空気中の酸素と反応して発熱する物質を主剤とする種々の物質が含まれており、環境破壊を防止する観点からは発熱体組成物を産業廃棄物として処理することが望ましい。
【0005】
又、従来の温熱用具は、発熱体組成物をシート状の通気性袋に収納した発熱体と粘着剤層からなり、1回のみの使用で捨てるのは資源の有効利用や経済性更に環境破壊等の観点から好ましいものではなかった。
【0006】
本発明は、上記技術的課題に鑑みて完成されたものであり、空気の存在によって発熱する発熱体と、貼着と剥離が繰り返し行える粘着材とからなり、この粘着材の片面に上記発熱体が着脱可能に貼着されていることによって、使用後の回収を促進すると共に、廉価にした温熱用具を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る温熱用具は、上記目的を達成するために、空気の存在によって発熱する発熱体と、貼着と剥離が繰り返し行える両面粘着性の粘着材とからなり、この粘着材の片面に上記発熱体が着脱可能に貼着されていることを特徴とするものである。
【0008】
又、本発明に係る他の温熱用具は、上記の目的を達成するために、空気の存在によって発熱する発熱体と、この発熱体の片面に設けられた粘着剤層と、基材の片面に貼着と剥離が繰り返し行える粘着剤層を備える粘着材からなり、発熱体における粘着剤層が粘着材の非粘着性面側に着脱自在に貼着されていることを特徴とするものである。
【0009】
このように、発熱体から剥離可能な粘着材を設けることにより、後述するように、温熱用具の製造コストを低減できると共に、ユーザーの意識を改革させて発熱体廃棄物の回収が促進されるのである。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明で用いられる発熱体には、発熱体組成物をシート状の通気性袋に収納したもの、又は、更に発熱組成物を収納したシート状の通気性袋の片面に粘着剤層を設けたものとが含まれるが、まず製造コストが廉価で、しかも材料の無駄が少ない、発熱体が粘着剤層を備えず且つ貼着と剥離が繰り返し行える両面粘着性の粘着材を用いた温熱用具について詳細に説明する。
【0011】
この発熱体組成物としては、空気の存在下で発熱反応を起こすものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば鉄粉等の金属粉と、この金属粉の酸化反応を起こさせたり、PHの調整や触媒作用を有する活性炭と、金属粉の表面の酸化皮膜を破壊し、金属粉の酸化反応を円滑に進行させるための塩化物、更に水、及びこの水によるベトツキを無くすために用いる保水剤からなる既知の混合物(いわゆるケミカルヒータ)を用いることができる。
【0012】
この既知の発熱体組成物の中では、特に安全性、経済性、保存性及び温熱効果の持続性等の観点より、金属粉として鉄粉を用い、成分比率が鉄粉40〜75重量%、活性炭1〜10重量%、塩化物1〜10重量%、水10〜40重量%、保水剤1〜40重量%とすることが好ましい。
【0013】
又、この塩化物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属の塩化物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等のアルカリ土金属の塩化物が挙げられる。
【0014】
上記保水剤としては水分に起因するベトツキを無くするとともに発熱体組成物を充填する際の流動性を良好にして充填量のバラツキを少なくするためのものであり、この保水剤としては無機質保水剤及び/又は有機質保水剤が挙げられる。
【0015】
上記無機質保水剤としては無機質で保水性を有するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばパーライト、クリストバライト又はバーミキュライト等が挙げられる。
【0016】
又、上記有機質保水剤としては有機質で保水性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば吸水能力が自重の15倍以上、好ましくは20倍以上の高吸水性ポリマーが挙げられる。
【0017】
更に、この発熱体組成物を収納した通気性袋は、発熱体組成物の漏れがなく、しかもこの発熱体組成物を外気と接触できるようにするために、通気性袋は両面を通気性のフィルムないしシートで形成しても良いのであるが、温熱用具を人体に適用したとき、少なくとも外側に露出する側、つまり施用面と反対側の片面が通気性を有するフィルムやシートで構成されている。
【0018】
この通気性を有するフィルムないしシートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物又はエチレン−酢酸ビニル共重合体などの高分子材料で形成されたフィルムやシート更に不織布又は織布等の他、紙や発泡シート更に布或いはこれらの2種以上の積層体などが挙げられる。
【0019】
上記布としては天然繊維、合成繊維、これらの混紡物などの不織布或いは織布を用いることができる。
【0020】
上記通気性袋は、単室の袋であってもよいが、複数の室を有する複室袋にすることができ、この複室袋の各室の間隔を開けることにより、発熱体を曲面状の施用面に馴染ませ易くなる。
【0021】
又、この場合、連続させた片面又は両面のフィルム、シート或いは布を伸縮性を有するもので構成すれば、発熱体を曲面状の施用面に一層馴染ませ易くなるので望ましい。
【0022】
本発明で用いられる両面粘着性の粘着材としてはフィルム状又はシート状に形成されており、その片面に発熱体を貼着、保持でき、且つその他面を人体或いは人の着衣の適用箇所に貼着して当該適用箇所に保持できる程度の粘着力を有するものであり、しかも貼着と剥離が繰り返し行えるものであれば特に限定されるものではない。
【0023】
この粘着材としては発熱体を剥離可能に貼着でき、しかも人体や着衣の所要箇所に剥離可能に貼着できる上、発熱体や人体或いは着衣の所要箇所に対し貼着と剥離が繰り返し行えるもの、或いは発熱体の貼り替えや施用の繰り返しにより、人体からの老廃物、塵埃などの異物が付着することにより粘着力が低下し、再使用できなくなった場合、粘着材を水洗などによって簡単に洗浄した後、乾燥させると粘着力が回復する粘着剤が挙げられる。
【0024】
この種、粘着材としては、上記粘着剤をフィルム状ないしシート状に成形したもの、或いは基材とこの両面に設けられた粘着剤層からなるもの等が挙げられるが、この基材としては、人体や着衣における適用部位の伸縮に追従させて突っ張り感や違和感更に剥離等を無くするために伸縮性を有するものが望ましく、又、密封温熱効果を促進するために、基材が非通気性のフィルムないしシートで形成されているものが望ましい。
【0025】
粘着材を基材とその両面に付着させた粘着剤層とで構成する場合、この基材はフィルム状、シート状或いは布状であれば良く、又、その素材は特に限定されないが、ある程度の繰り返し使用に耐える耐久性を有することを要する。具体的には、天然又は合成のゴムや合成樹脂で形成されたフィルムないしシート、或いは合成樹脂、天然繊維、合成繊維又はこれらの混紡物で形成された不織布、織布及び布更に紙などが挙げられる。
【0026】
合成樹脂としてはフィルム状やシート状に成形できるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物又はエチレン−酢酸ビニル共重合体などの高分子材料がその例として挙げられる。
【0027】
又、この粘着材の基材は、施用面への馴染み性を高めるためには伸縮性を有することが好ましく、又、温熱効果(密封効果)を高めるために非通気性であることが望ましく、これらの観点から、上記合成樹脂の中でもポリウレタンや塩化ビニルなどのフィルムが好ましい。
【0028】
粘着剤を成形した単層のフィルム状ないしシート状の粘着材は、ゴム状弾性を有するものが、施用面の伸縮に追従して使用感が良好であるので望ましく、又、非通気性であるものが温熱効果(密封効果)を高める上で好ましい。
【0029】
このように温熱効果(密封効果)が得られる構造のものにすることにより、発熱体から供給される熱を比較的低温の状態に制御しても使用者は暖かく感じるのであり、しかもこのように低温に制御することによって低温やけどを確実に防止できるから至極有益である。
【0030】
又、本発明で用いられる粘着剤は、外皮に直接適用する場合、人肌にアレルギー性の炎症が発生することを防止するために皮膚刺激性が無いものが好ましい。
【0031】
ところで、粘着材に用いられる粘着剤とは、室温、無溶剤の状態において所望の粘着性(タック)を示し、単に指で押さえるだけで、発熱体や人体或いは着衣に貼着と剥離を繰り返し行えるものである。
【0032】
粘着剤は基本的には凝集力を与える高分子弾性体と粘着付与剤の2成分を骨格とし、いろいろな弾性を付与する目的で必要に応じて粘着調整剤、接着改良剤、安定剤、着色剤、防カビ剤、消泡剤、増粘剤、老化防止剤などが添加される。
【0033】
又、上記高分子弾性体はジエン系弾性体、エチレニック系弾性体或いは縮合系弾性体に分類される。
【0034】
ジエン系弾性体を用いる粘着剤はゴム系粘着剤と呼ばれ、ゴム成分と粘着付与剤(タッキファイヤ)を1:0.5〜2の割合に混合したものが用いられる。
【0035】
上記ゴム成分としては天然ゴム(NR)、合成天然ゴム(ポリイソプレン)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(BR)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)やスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)などのブロック共重合体、再生ゴム、熱可塑性ゴムなどが主に使用される。
【0036】
上記エチレニック系弾性体の代表的なものとしてはアクリル系ポリマーであり、アクリル系粘着剤とも呼ばれる。アクリル系粘着剤のベースとなるアクリルポリマーは、一般にそれ自身で粘着を発現し、粘着付与剤を必要とせず、ポリマーを構成するモノマーは大きく分けて粘着成分として働くもの、凝集成分として働くもの、改質成分として働くものの3成分から成り立っている。
【0037】
粘着成分はアルキル基の炭素数が4〜10のアクリル酸アルキルエステルが適し、Tgが−20〜−70℃程度の低いものであり、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどのC2以上のアルキルエステルが代表的である。
【0038】
この粘着成分は主成分として用いられ、粘着性に富んでいるが、凝集性に欠けるために凝集成分が必要になる。凝集成分としては、例えば▲1▼メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートなどC1〜C2の低級アルキル基のアクリル酸エステル、▲2▼C2〜C8のアルキルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル、▲3▼酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどC1〜C3のビニルエステル、▲4▼アクリルニトリル、▲5▼スチレン、▲6▼塩化ビニリデンなどのビニルモノマーなど、非重合可能でTgが高くなるようなモノマーが用いられる。この凝集成分は、凝集性を高めるだけでなく、ときには接着性の向上、耐水性の向上、透明性の向上などの性能の向上に役立ち、粘着剤の特殊性を出すのに用いられている。
【0039】
改質成分は、一般にこれら粘着成分及び凝集成分と共重合可能な官能基が挙げられるのであり、▲1▼アクリル酸、メタクリル酸又は無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、▲2▼アクリルアミド、アクリルアミド誘導体などの不飽和カルボン酸アミド及び変性体、▲3▼水酸基含有モノマー、▲4▼アクリルニトリル、▲5▼ヒドロキシエチルアクリレート、▲6▼グリシジルアクリレートをその例として挙げることができる。
【0040】
この改質成分は、架橋を施すのに役立つことは勿論であるが、凝集性を高めたり、接着性を向上させるのにも有用であり、又、重合中の反応速度を促進させるのにも役立っている。
【0041】
なお、アクリル系粘着剤は基本的には上記の3成分を含むが、場合によっては1成分或いは2成分で構成されることもある。又、アクリル系粘着剤は単一成分から成るため透明性が高く、耐久性が優れており、主にエマルジョン型及び溶液型の粘着剤として使用されている。
【0042】
このエチレニック系弾性体には、上記のアクリル系ポリマーの他にビニルエーテル系弾性体が用いられることがある。このビニルエーテル系弾性体を使用する粘着剤はビニル系粘着剤と呼ばれ、C2〜C4のアルキルビニルエーテル重合物で構成される。
【0043】
このビニル系粘着剤では、高分子量物と低分子量物とを混合して粘着力と保持力、タックのバランスを保つようにしているが、タックや粘着力の増強に他の樹脂を併用する場合もある。もっとも、ビニルエーテル系弾性体の中でも、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体は水溶性であるため、本発明には適していない。
【0044】
上記縮合系弾性体を用いる粘着剤はシリコーン系粘着剤と呼ばれ、このシリコーン系粘着剤はポリジメチルシロキサンゴムを主成分とし、このポリジメチルシロキサンにジメチルシロキサンを含む低分子量のシリコーン樹脂が添加されている。
【0045】
ゴム状シロキサンはフィルム形状と膜の凝集力を与え、シリコーン樹脂は粘着性や接着性を与える。このシリコーン系粘着剤は広い温度範囲で使用可能で、耐熱性、耐久性ともに優れている。
【0046】
上記粘着付与剤は、粘着付与樹脂、可塑剤、油脂類、高分子低重合物、架橋剤、接着改良剤、充填剤、その他の配合剤に分類することができる。
【0047】
粘着付与樹脂としては、天然樹脂であるロジン、ロジン変性体、ロジン又は変性ロジンの誘導体、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂(ポリテルペン)、テルペン変性体、脂肪族系炭化水素樹脂、シクロペンタジエン樹脂、芳香族系石油樹脂、非反応性フェノール樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、ビニルトルエン−αメチルスチレン共重合体など、分子量1000前後のものが用いられる。
【0048】
一般には固形樹脂が多いが、中には水添ロジンやそのエステルのような液状樹脂もある。粘着付与剤は使用する弾性体に相溶性がよく、粘着性を与えるものでなければならず、相溶性は粘着性を付与する根源になる。又、粘着付与剤は酸化性が著しくないことが望ましく、この観点からはロジン系の中の水添ロジン、ポリテルペン、C5やC9系の石油樹脂などが推奨される。
【0049】
粘着力やタックを与えるためには、実際は弾性体の種類によって粘着付与剤の種類や融点が選択され、時には二つ以上の粘着付与樹脂が併用される。
【0050】
可塑剤は、一般には加工性、柔軟性、弾性及び可撓性を高めると共に、低温における柔軟性やゴム状弾性、即ち、耐寒性を向上させる性質がある。しかし、粘着剤の本質である粘着を単独で発現することは難しいので、粘着付与樹脂などとの併用が多い。可塑剤としては、フタル酸系可塑剤、リン酸エステル可塑剤、アジピン酸エステル可塑剤、セバチン酸エステル可塑剤、リシノール酸エステル可塑剤、ポリエステル型可塑剤の他、塩化パラフィン、シリコーンなどをその例として挙げることができる。高分子ポリエステルは低温で柔軟性を増し、シリコーンは低温での可塑性の向上はもとより、低温粘着性の向上にも役立つのである。
【0051】
油脂類は、可塑剤と同じ作用があり、可塑性を付与する目的と粘着調整剤や接着改良剤として用いられる目的とがある。油脂類には、動物油、植物油、鉱物油、シリコーン油等が含まれ、使用目的に応じて使い分けがなされている。この油脂類は価格的にも安く、可撓性を増加させるので配合剤として魅力があるが、粘着剤の凝集性を急速に低下させるので配合量には注意を要する。
【0052】
高分子低重合物は、可塑剤や油脂類と同様な目的で用いられる他、それ自身の高分子としての役割が付与される。即ち、粘着付与性、接着性、流動調整などのために用いられる。ポリビニルエーテル系やポリイソブチレン系粘着剤においてはそれぞれのポリマーの分子量の高低で粘着性を付与し、粘着力、保持力及びタックのバランスを保持している。
【0053】
高分子低重合物の中には、これ以外に粘着剤原料のうちの弾性体や粘着付与樹脂にも見い出すことができる。SBR、BR、ポリアクリル酸エステル、ロジン系粘着付与樹脂の中の水添ロジンメチルエステル、低分子スチレン樹脂、ポリテルペンなどがその例である。
【0054】
架橋剤は、使用する弾性体や何を架橋させるかによって選ばれ、一般に、ゴム系粘着剤では硫黄−加硫促進剤系で加硫(架橋)する場合が多いが、加硫という操作にはいろいろと問題が多いため、最近ではアルキルフェノール樹脂を架橋成分とし、アルミニウムアルコレート、ポリイソシアネート、ジンクレジネートなどを架橋剤として用いる例が少なくない。
【0055】
ゴム系粘着剤の架橋剤としては、テトラメチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメラレンチウラムテトラサルファイド、ジブチルチオカーバメート亜鉛などの硫黄化合物、セレニウム、硫黄などの単体、油溶性熱硬化性フェノールホルムアルデヒド樹脂、メチロール化尿素ホルムアルデヒト樹脂などの脂肪化合物などが挙げられる。
【0056】
アクリル系粘着剤は、ゴム系粘着剤と異なり、容易にポリマーの中に官能基を導入することができる特徴があるが、架橋方法によって粘着剤の性能が変わるので、目的に合った架橋方法を選定する必要がある。通常、アクリル系粘着剤に用いられる架橋方法としては、カルボン酸/ポリイソシアネート、N−メチロールアクリルアミド、グリシルアクリレート/アミン類化合物、更に、各種エーテル化したアルデヒド変性カルボン酸アミド類、ジケトン/熱硬化性フェノール樹脂、エポキサイド又はエポキシ樹脂がある。
【0057】
粘着剤に用いられる天然ゴムや合成ゴムに充填剤を配合すると、ゴムの補強が行われ、引っ張り強さ、引き裂き強さ、耐摩耗性、硬度などが向上したり、その容積を増加させて価格を引き下げることができる。
【0058】
この際、充填剤粒子の大きさ、表面積、集合状態、分散性などが補強効果に著しく影響する。この効果はゴム分子と充填剤との相互作用によってゴムと充填剤とのすべりを調整するものと考えられ、充填剤が存在すればその分だけ流動成分の組成分率が少なくなり、流れ難くなり、粘着性に欠ける結果となるので、使用に際しては流動性と圧縮抵抗とを考慮して配合しなければならない。この場合、充填剤のもつ圧縮抵抗と流動性の制御にケイ酸ゲルを用いることがある。
【0059】
ゴム系粘着剤に使用される充填剤としては、無機質充填剤と、有機質充填剤とに大別される。
この無機質充填剤としては、アルミニウム、銅、鉄、鉛などの金属粉、珪酸質、珪酸塩、珪石、珪藻土、アルミナなどのバン土質、炭酸カルシウム、石膏などの石灰質、マイカ、クレーなどのバン土珪酸質、タルク、アスベストなどの苦土珪酸質、グラファイト、カーボンブラック、ホワイトカーボンなどの炭素或いは炭化物、その他セメント、酸化アンチモン、亜鉛華、炭酸マグネシウムなどがその例として挙げられる。
【0060】
又、有機質充填剤としてはリンター、リネン、サイザル木粉などの植物性天然物、絹などの動物性天然物、ビスコース、アセテート、ポリアミド、ビニロン、塩化ビニルなどの人造又は合成物がその例として挙げられる。
【0061】
充填剤は、粘着剤の配合の中で他の原料のように粘着剤に関与する特性を顕著に付与する作用はなく、具体的には凝集力の向上や圧縮抵抗の増加、流動性の制御などの作用がある。しかし、例えば、シリカの混入によりポリオレフィンの接着性がよくなるように、充填剤にも粘着剤の機能を多いに向上させ、接着性などを付与させる場合もある点に着目して選択する必要が有る。
【0062】
ゴム系粘着剤は自着性が強く、配合により所望の粘着性を自由にコントロールできる特徴を持つ反面、耐久性は他の粘着剤に比較すると劣っている。又、ゴム系粘着剤は主に溶液型粘着剤として使用され、その他、カレンダ塗工、ホットメルト塗工などが行なわれるが、エマルジョンとして使用される例は希である。なお、ゴム系粘着剤は多成分系であるため、溶解性の差から使用する溶剤により粘着性に影響を受けることがある。
【0063】
安定剤は特にビニル系粘着剤或いは配合中のビニル系樹脂に用いられ、概ね塩素含有樹脂に用いられる。フェノール系やビスフェノール類、アミン類、含硫黄化合物、亜リン酸塩類、エポキシ化合物、有機金属塩類などがあり、ポリマー破壊防止にしている。
【0064】
着色剤は、例えば粘着剤を白色にする場合などに使用されるが、顔料を多量に使用すると粘着性に影響するので、少量で目的の着色が施されることが望ましい。白色の場合には、隠蔽力の大きい酸化チタンが多用され、亜鉛華、炭酸カルシウムなども多用されている。
【0065】
紫外線防止剤は老化防止剤と同様、透明な粘着テープなどの光による黄変、黒化などの光による老化を防止するために用いられ、ベンゾフェノン系、サルチレート系、ベンゾトリアール系、置換アクリルニトリル系などに分類される。
【0066】
防カビ剤、消泡剤、増粘剤は、特にエマルジョン型粘着剤に用いられ、防カビ剤としては亜ヒ酸、亜酸化銅などの無機化合物と、有機硫黄化合物、フェノール系化合物、有機銅系化合物などの有機化合物とがある。
【0067】
消泡剤は、シリコーンエマルジョン、アルコール類は知られているが、これらは消泡効果とともに剥離性(離型性)を持っているので、余り多量に使用することは粘着性を低下させる。このため、少量で効果のある消泡剤を選定しなければならない。
【0068】
増粘剤は、エマルジョンの粘度増加を目的としているもので、一般的には水溶性高分子、コロイドが用いられる。エマルジョンの種類によって使い分ける必要が有り、例えばSBR、NRのようなゴムラテックスにはカゼイン、トラントゴムなどを、アクリル系やビニル系エマルジョンにはPVA、ポリアクリル酸ソーダ、CMC、メチルセルロースなどを用いる。増粘剤は粘度を増加させるばかりでなく、エマルジョンの安定性も付与するので、適正な増粘剤を選定する必要がある。又、増粘剤は高分子物質であるため粘着剤層内に含まれるから、当然に粘着性にも影響を与えることを十分に考慮する必要がある。
【0069】
これらゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤はいずれも水洗することにより表面に付着したゴミなどの異物を洗い落とすことができ、乾燥させれば再び粘着力を回復するので、いずれを用いてもよいが、特に、皮膚刺激性が無く、しかも貼着と剥離を繰り返すことによって粘着力が低下すると、水洗、乾燥により粘着力が回復する特性が顕著なアクリル系粘着剤を用いることが好ましく、アクリル系粘着剤の中でも、ポリアクリル酸ゲルをシート状に成形したものを用いることが好ましい。
【0070】
上記粘着材の発熱体側の粘着面の粘着剤には、発熱体からの剥離を容易にすると共に、水洗を更に容易にするために、粘着剤に粘着剤とは相反する性質を有する非粘着性で、好ましくはブルーム性を有する物質、例えばシリコーン、ポリエチレンワックス、界面活性剤、パラフィンなどを含ませてもよい。
【0071】
ところで、上記配合物の添加、粘着面の表面処理などによって粘着材どうしが粘着しても剥離可能なものを製造することができる。
【0072】
この場合、例えば2つの発熱体を1つの粘着材に付着させ、各発熱体を外側にして粘着層を折り畳んで互いに粘着させた状態で保管したり、粘着材を多数重ねて保管したりすることができるので剥離紙が不要で経済的である上、施用時に誤って粘着材どうしが折り畳まれて付着しても簡単に引き剥がして拡げることができるので望ましい。
【0073】
本発明においては、粘着材が衛生剤を含むものが、人体から放散される水分や臭い成分、又は温熱用具の適用箇所で発生ないし繁殖した細菌等と衛生剤とを効率良く接触させてこれらの成分を、物理的に吸着させたり、化学的に分解したり、或いは減菌作用ないし殺菌作用を発現しうるので有益である。
【0074】
即ち、人体に温熱用具を適用した場合、発熱体からの熱によって、温熱用具の適用箇所に発汗等による老廃物や汗等が滞留し、雑菌が繁殖して異臭を放つ恐れが有る。
【0075】
このため、粘着材の粘着(剤)層中に衛生剤を混入させることが望ましいが、この衛生剤としては、例えば抗菌剤、殺菌剤、防黴剤、消臭剤又は脱臭剤等の衛生剤のうちの1種又は2種以上が挙げられる。
【0076】
また、本発明において、抗菌剤や殺菌剤或いは防黴剤としては、減菌作用ないし殺菌作用を発現するものであれば特に限定されうものではなく、具体的には、例えば石炭誘導体、サリチル酸、硼酸、サラシ粉、ヨード剤、重金属化合物、逆性石鹸、酢酸、ウンデシレン酸などの脂肪酸系の物質、サリチル酸系の物質、チアントール系の物質、タール系の物質、酢酸フェニル水銀などの水銀系物質、イオン、抗生物質、ポリック、ダンバ又はアスレタンなどが挙げられる。
【0077】
また、本発明において、消臭剤又は脱臭剤の他例としては臭いの成分を酸化或いは還元して化学的に分解するようなものでも良く、この例としては、以下のものが挙げられる。
【0078】
即ち、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカゲル、ゼオライト又は活性炭等の乾燥剤や他の担持体に、白金族元素やこの化合物等の分解剤が含有されたものが挙げられる。
【0079】
又、本発明においては、粘着材が遠赤外線放射物質或いは磁気物質を含有又は備えるものが、以下に述べる理由より有益である。
【0080】
この遠赤外線放射物質としては、発熱体や体温によって、遠赤外線を放射することによって温熱効果を促進する物質である。
【0081】
遠赤外線放射物質としては、発熱体や体温によって波長4〜16μm程度の遠赤外線を放射するものが好ましく、例えばNa2O、K2O、CaO、BaO、MgO、Fe2O、FeO、Fe2O3、SiO2、Al2O3、ZrO、ZrO2、BeO、V2O3、V2O5、Y2O3、CoO、CuO、Cu2O、NiO、Ni2O3、MnO、MnO2、TiO、TiO2、ZnO、ThO2などの無機質酸化物を組み合わせて上記波長の遠赤外線が放射されるようにすればよい。
【0082】
具体的には、例えば2MgO・2Al2O3・5SiO2・Fe2O3を主成分とする複合体、Li2O・CuO・Al2O3・4SiO2を主成分とする複合体、ZrO、ZrO2、Al2O3・TiO2を主成分とする複合体、Al2O3・TiO2を主成分とする複合体などが挙げられる。ここにおいて、主成分とするとは、この化学組成物もののみからなる場合の他、これらの成分に他の成分が含まれる場合でもよい意味である。
【0083】
本発明で用いられる磁気物質としては、血行の促進等、人体に適用することによる磁気治療効果を発現するものである。
【0084】
この場合、用いられる磁石としては500ガウス以上、特に800ガウス以上2500ガウス未満のものが望ましいが、500ガウス以下のものも使用可能である。
【0085】
本発明で用いられる遠赤外線放射物質又は磁気物質の形状や大きさは特に限定されるものではなく、形状としては粉末、半球状、円盤状、半楕円状、板状、直方体又は立方体等が挙げられるのであり、又、大きさとしては数μm〜2000μm、特に10μm〜1000μmの範囲とするのが人体に与える物理的な刺激等の観点より望ましい。
【0086】
本発明において、遠赤外線放射物質又は磁気物質を温熱用具のどの箇所に担持させるかは特に限定されるものではないが、特に粘着材に含有させたり、或いは粘着材と発熱体との間に担持させたり、更に粘着材における人体への施用面側に担持させて、遠赤外線による温熱効果を得たり、磁気による磁気治療効果を得るのが望ましい。
【0087】
本発明の温熱用具においては、発熱体の張り替えを容易にするために、粘着材における発熱体の貼着側の粘着面が施用面側の粘着面よりも粘着力を低く調整されているものが望ましい。
【0088】
このためには、両面粘着性の粘着材における発熱体の貼着側と人体や着衣に貼着する側の粘着(剤)層が異なることによって調整できるが、後述するように粘着材における発熱体貼着側の粘着面に粘着力を低下させる粘着調整剤を分散、散布させたり、粘着材における発熱体貼着側の粘着面を凹凸に形成することにより粘着力を低下させることが挙げられる。
【0089】
このように粘着材における発熱体貼着側の粘着面に凹凸を形成すると発熱体との実質的な粘着面積が少なくなって剥離が容易になるのであり、従って、この面の粘着力は凹凸の比率を調整することによって任意に変更できる。
【0090】
上記粘着調整剤としては、粘着剤とは相反する性質を有する非粘着性で、好ましくはブルーム性を有する物質、例えばシリコーン、ポリエチレンワックス、界面活性剤、ポリエチレンの粉末、パラフィンなどをその例として挙げることができる。
【0091】
本発明においては、粘着材における施用面側に、無機質或いは有機質の吸水材が分散されているものが、温熱用具を直接人体に適用した場合、吸水材が汗や老廃物等を吸収して粘着力の低下を防止したり、適用部位の皮膚表面を清潔に保つことができるので有益である。
【0092】
上記無機質保水材としては無機質で保水性を有するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばパーライト、クリストバライト、バーミキュライト、シリカ系多孔質物質、ケイ酸カルシウム、シリカ粉、木粉等が挙げられる。
【0093】
又、上記有機質保水材としては有機質で保水性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば吸水能力が自重の15倍以上、好ましくは20倍以上のものが好ましい。具体的には、特公昭49−43395号公報に開示されている澱粉−ポリアクリロニトリル共重合体、特公昭51−39672号公報に開示されている架橋ポリアルキレンオキシド、特公昭53−13495号公報に開示されているビニルエステル−エチレン系不飽和カルボン酸共重合体ケン化物、特公昭54−30710号公報に開示されている逆相懸濁重合法によって得られる自己架橋ポリアクリル酸塩、特開昭54−20093号公報に開示されているポリビニルアルコール系重合体と環状無水物との反応生成物、特開昭59−84305号公報に開示されているポリアクリル酸塩架橋物、ポリアクリル酸ソーダ、CMC等が挙げられる。
【0094】
この場合、吸水材が、粘着(剤)層と親和性が悪く、均一に分散しない恐れが有るときには、界面活性剤で処理するのが望ましい。
【0095】
本発明で用いられる界面活性剤としては吸水材を処理することによって当該吸水材が粘着材の粘着層中に分散し易くなるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤が挙げられる。
【0096】
本発明で好適に用いられる界面活性剤としては、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、或いは、リン酸エステル塩型の界面活性剤、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルナトリウム塩等の界面活性剤、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸やその金属塩、低重合度ポリカルボン酸の塩、例えば低重合度ポリアクリル酸ソーダ、低重合度ポリアクリル酸ブチル、低重合度ポリメタアクリル酸ソーダ、更に、スルホン化ポリスチレン等の界面活性剤等が挙げられる。
【0097】
次に、本発明に係る他の温熱用具について説明する。
即ち、この温熱用具は、空気の存在によって発熱する発熱体と、この発熱体の片面に設けられた粘着剤層と、基材の片面に貼着と剥離が繰り返し行える粘着層を備える粘着材からなり、発熱体における粘着剤層が粘着材の非粘着性面側に着脱自在に貼着されていることを特徴とする。
【0098】
つまり、この温熱用具は、発熱体の片面に粘着剤層を設ける一方、粘着材として片面粘着性のフィルムないしシートを用い、上記発熱体を粘着材の非粘着性面側に着脱自在に貼着するようにした点を除くと上述の発明と同様である。
【0099】
従って、発熱体、粘着材に用いられる粘着剤、基材、衛生剤、遠赤外線放射物質又は磁気物質等は上述の発明の場合と同様であるので、重複説明を避けるために省略する。
【0100】
本発明の温熱用具においては、発熱体の剥離を容易にし、当該温熱用具の取扱性を良好にするために、発熱体における粘着剤層と粘着材における非粘着性面側の粘着力が粘着材における粘着面と施用面との粘着力よりも低下くなるように調整されているものが有益である。
【0101】
この場合、上述の発明の場合と同様の手段を採用できるのであり、具体的には、例えば発熱体における粘着剤層に粘着力を低下させる粘着調整剤を分散させたり、発熱体における粘着剤層の表面を凹凸面に形成したり、することができる。
この粘着調整剤としては上述のものが挙げられる。
【0102】
又、本発明においては、粘着材における粘着(剤)層側に、無機質或いは有機質の吸水材が分散されているものが、温熱用具を直接人体に適用した場合、吸水材が汗や老廃物等を吸収して粘着力の低下を防止したり、適用部位の皮膚表面を清潔に保つことができるので有益である。
【0103】
この場合、吸水材が、粘着(剤)層と親和性が悪く、均一に分散しない恐れが有るときには、界面活性剤で処理するのが望ましい。
【0104】
この無機質或いは有機質の吸水材或いは界面活性剤としては、上述の発明の場合と同様のものが挙げられる。
【0105】
【作用】
本発明の温熱用具は、上記構成を有し、発熱体と、貼着と剥離が繰り返し行える両面粘着性の粘着材とからなり、この粘着材の片面に上記発熱体が着脱可能に貼着されている。
【0106】
このように粘着材が発熱体から剥離できるようになると、メーカーにおいては発熱体の1つ1つに粘着剤層を設ける必要がなくなるので、このための装置や工程が省略できる結果、温熱用具の製造コストを低減できる。
【0107】
又、粘着材は繰り返し使用できるので、その都度、購入する必要が無く、しかも長期間にわたって連続的に使用できるのであり、粘着剤層のない貼り替え用の発熱体は廉価であるのでユーザーがこの廉価な発熱体を購入し易くなる。
【0108】
この場合、温熱用具の取扱店において、貼り替え用の発熱体の販売時に使用済みの発熱体や長期間繰り返し使用して使用不可となった粘着材の提供を要求しても良く、この際、その提供者に対しては貼り替え用の発熱体の割引き価格を設定したり、新しい粘着材を無料で添付したりして、ユーザーに発熱体廃棄物の提供を促進すことができる。
【0109】
ユーザーにとっては、粘着材を肌や着衣に貼ったまま、発熱体を貼り替えることができるようになる上、新しい発熱体を購入する時に使用済みの発熱体を提供することにより割引き価格によって更に安価に発熱体を入手できるようになることから、使用済みの発熱体をそれぞれで廃棄するこれまでの意識から、産業廃棄物として回収させるという意識革命を引き起こされることになる。
【0110】
そして、メーカーが発熱体廃棄物を回収しようとする意欲と、ユーザーが発熱体廃棄物の回収に参加することによって経済的利益を得ようとする意欲とが相俟って、発熱体廃棄物の回収が促進されることになるのである。
【0111】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0112】
図1の斜視図及び図2の断面模式図に示す本発明の第1の実施例に係る温熱用具は、貼着と剥離が繰り返し行える両面粘着性の粘着材2と、この粘着材2の片面に適当な間隔をおいて剥離可能に貼着された2枚の発熱体1とを備える。
【0113】
上記発熱体1は、発熱体組成物3とこれを収納した通気性袋4とからなり、この発熱体組成物3としては、空気の存在下で発熱反応を起こすものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、既知のものが挙げられるが、この実施例では、これら既知の混合物の中から、特に安全性、経済性、温熱効果の持続性及び保存性が優れている、鉄粉を金属粉として用い、成分比率が鉄粉60重量%、活性炭3重量%、塩化ナトリウム3重量%、水31重量%、保水剤3重量%としたものを用いている。
【0114】
ところで、発熱体1や粘着材2の大きさは任意に決定できるが、使用感や携帯性更に生産性等の観点より、発熱体1が縦80〜130mm、横50〜90mmの範囲とするのが好ましく、この実施例では、縦95mm程度、横70mm程度に形成されており、又、粘着材2は縦150〜180mm、横50〜90mmの範囲にするのが好ましく、この実施例では、縦170mm程度、横95mm程度に形成されている。
【0115】
この発熱体組成物3を収納した通気性袋4は、この場合、発熱体組成物3を外気と接触できるようにするために、片面が通気性フィルム4aで形成されているが、この通気性フィルム4aは、ポリエチレン製の通気性基材フィルムと、ポリエチレン製の不織布からなる通気性補強用フィルムの積層フィルムで形成されている。
【0116】
この実施例では、片面を通気性フィルム4aで形成しているが、これに代えて、両面を通気性フィルム4aで構成してもよい。
【0117】
図3は本発明の第2の実施例を示し、この第2の実施例では、貼着と剥離が繰り返し行える両面粘着性の粘着材2と、この粘着材2の片面に剥離可能に貼着された1枚の発熱体1とからなる。この場合、発熱体1が大きく、従って、人体の屈曲部や湾曲部への適用は好ましくないが、背中や腰など比較的平坦な箇所を広く暖めることができるので有益である。
【0118】
図4は本発明の第3の実施例を示し、第1の実施例では発熱体1が分離独立しているのに対し、この実施例では発熱体1の中間部Mに発熱体組成物3を除いて当該中間部M箇所を封着することにより、通気性袋4が互いに適当な間隔を置いて設けられる2室を有する複室袋とし、これによって、発熱体1を曲面状の施用面に対しても馴染ませ易くして構成している。
【0119】
尚、この通気性袋4には通気性フィルム4a側と反対面に粘着剤層を設けても良いが、この実施例では、発熱体1の交換使用という意識をより深くユーザーに持たせると共に、発熱体1のコストの削減を図るために、通気性袋4には粘着剤層を設けていないのである。
【0120】
上記粘着材2は、例えば図5に示すように、基材5の両面に粘着剤層6を付着させた、いわゆる、両面粘着テープからなるものを用いてもよいが、本発明の実施例では、生産性が良好で、しかも廉価である上、取扱性が著しく優れるので、シート状に形成された粘着剤層のみからなる粘着材2で構成されいる。
【0121】
上述の実施例では、特に水洗により粘着性が低下し、乾燥すると粘着性が回復する特性が顕著であり、しかも皮膚刺激性が無い上、安価であるアクリル系粘着剤のゲルをシート状に形成したものが用いられている。
【0122】
ところで、上述の実施例で用いられた粘着材2はフィルム状ないしシート状に形成された粘着剤のみで構成されているので、粘着剤特有のゴム状弾性を有する結果、施用面への馴染み性が高められるのであり、又、非通気性を有するので温熱効果を高める上で好ましい。
【0123】
このように温熱効果(密封効果)が得られる構造のものにすることにより、発熱体から供給される熱を比較的低温の状態に制御しても使用者は暖かく感じるのであり、しかもこのように低温に制御することによって低温やけどを確実に防止できるから至極有益である。
【0124】
本発明の一実施例に使用される粘着剤層のみからなる粘着材2、或いは、図5に示すように両面テープからなる粘着材2に使用される粘着剤は、本質的には、室温、無溶剤の状態において永続的な強い粘着性(タック)を示し、単に指で軽く押さえるだけで接着し、しかも被着体からは粘着剤の残留を見ることなしに剥離することができるものであればよい。
【0125】
この粘着剤は、基本的に凝集力を与える高分子弾性体と粘着付与剤の2成分を骨格とし、いろいろな耐性を付与する目的で必要に応じて粘着調整剤、接着改良剤、安定剤、着色剤、防カビ剤、消泡剤、増粘剤、老化防止剤などが添加される。又、上記高分子弾性体はジエン系弾性体、エチレニック系弾性体或いは縮合系弾性体に分類されるが、上述の実施例ではアクリル系粘着剤が用いられている。
【0126】
これらの粘着剤はいずれも水洗することにより表面に付着したゴミなどの異物を洗い落とすことができ、乾燥させれば再び粘着力を回復するので、いずれを用いてもよい。
【0127】
なお、両面粘着テープ型の粘着材2を構成する場合、この基材5はフィルム状、シート状或いは布状であれば良く、又、その素材は特に限定されないが、ある程度の繰り返し使用に耐える耐久性を有することが好ましい。具体的には、天然又は合成のゴムや、合成樹脂や、天然繊維、合成繊維或いはこれらの混紡物の不織布、織布や、紙などを用いることができる。
【0128】
この合成樹脂としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物又はエチレン−酢酸ビニル共重合体などの高分子材料がその例として挙げられる。
【0129】
又、この基材5は、人肌や着衣などの施用面への馴染み性を高めるために伸縮性を有することが好ましく、又、温熱効果(密封効果)を高めるためには非通気性を有することが好ましい。
【0130】
このように温熱効果(密封効果)が得られる構造のものにすることにより、発熱体から供給される熱を比較的低温の状態に制御しても使用者は暖かく感じるのであり、しかもこのように低温に制御することによって低温やけどを確実に防止できるから至極有益である。
【0131】
更に、粘着材2を基材5と粘着剤層6とで構成する場合には、粘着材2の保管時の粘着材2どうしの粘着や、粘着面への異物の付着を防止するために、粘着面に剥離紙8を貼着することが好ましい。
【0132】
ところで、本発明においては、発熱体1の交換を容易にするというユーザーの意識を高めるために、粘着材2における発熱体1の貼着側の粘着面が施用面側の粘着面よりも粘着力を低く調整されているものが望ましい。
【0133】
このように調整するには、例えば粘着材2における発熱体1の貼着側の粘着剤層に粘着力を低下させる粘着調整剤を分散させたり、粘着剤層の表面に粘着調整剤を散布させても良いのである。
【0134】
この粘着調整剤としては、粘着剤とは相反する性質を有する非粘着性で、好ましくはブルーム性を有する物質、例えばシリコーン、ポリエチレンワックス、界面活性剤、ポリエチレンの粉末、パラフィンなどがその例として挙げられる。
【0135】
又、粘着力を低下させる他の手段としては、粘着材2における発熱体1の貼着側の粘着面に凹凸を形成してもよいのであり、このように構成することによって、発熱体1と粘着剤層の粘着面積が小さくなって、実質的に粘着力が低下するのである。
【0136】
ところで、本発明においては、上記粘着材2には、例えば遠赤外線放射物質、磁気物質などの放射体を配合ないし配置することが可能であり、これらの物質を配合ないし配置する場合には、温熱効果を一層促進したり、磁気治療効果など発現することができる。
【0137】
この遠赤外線放射物質としては、発熱体1や体温によって波長4〜16μm程度の遠赤外線を放射するものが好ましく、例えばFe2O、FeO、Fe2O3、SiO2、Al2O3、ZrO、ZrO2、BeO、V2O3、V2O5、Y2O3、CoO、CuO、Cu2O、NiO、Ni2O3、MnO、MnO2、MgO、TiO、TiO2、ZnO、ThO2、Na2O、K2O、CaO、BaOなどの無機質酸化物を組み合わせて上記波長の遠赤外線が発錆するように設計すればよい。
【0138】
具体的には、2MgO・2Al2O3・5SiO2・Fe2O3を主成分とする複合体、Li2O・CuO・Al2O3・4SiO2を主成分とする複合体、Al2O3・TiO2を主成分とする複合体などが挙げられる。ここにおいて、主成分とするとは、この化学組成物のみからなる物質の他、これらの成分に他の成分が含まれる場合でもよいという意味である。
【0139】
又、これらの物質を粘着材2に配合することに代えて、発熱体1の施用面側に設けた粘着剤層の表面、或いは、例えば図6の第4の実施例に示すように粘着材2(粘着性ゲルシート)の発熱体1側に遠赤外線放射物質、磁気物質などの物質9を埋設するようにしてもよい。
【0140】
本発明の上述の温熱用具は、上記のように発熱体1と、両面に粘着面を有し、この発熱体1の片面に剥離可能に貼着されると共に、施用面に剥離可能に貼着される粘着材2(粘着性ゲルシート)とを備えるので、発熱体1と粘着材2とを剥離することができる。
【0141】
発熱体1が、人体や着衣に貼着される粘着材2から剥離できるようになると、メーカーにおいては発熱体1に粘着剤層を設ける工程が省略できるので、設備費用を節約できると共に、工程数が少なくなるので大幅なコストダウンを図ることができる。
【0142】
又、粘着材2は繰り返し使用できるようになるので、1つの発熱体1に1つ或いは2つの粘着材2を添付する必要がなくなり、発熱体1のみを交換用として製造、販売できるようになり、粘着材2の材料費用を節約することができる。
【0143】
又、ユーザーから発熱体1と、長期間にわたって繰り返し使用することにより再使用不可となった粘着材2を回収し、洗浄、乾燥することにより粘着材2をリサイクルすることができ、資源の枯渇を長期間にわたって防止できると共に粘着材2の材料費用を一層節約することができる。この場合、粘着材2の洗浄、乾燥はユーザーが行っても良いのである。
【0144】
更に、例えば粘着材2のない貼り替え用の発熱体1を製造し、貼り替え用の発熱体1の販売時にユーザーの使用済みの発熱体1或いは再使用不可となった粘着材2の提供に対して、例えば割引き価格を設定したり、新しい粘着材2を無料で添付したりしてユーザーに使用済みの発熱体1の提供を促進すことができ、発熱体廃棄物の回収を図ることが可能になる。
【0145】
ユーザーにとっては、粘着材2を肌や着衣に貼ったまま、発熱体1を貼り替えることができるようになる上、新しい発熱体1を購入する時に使用済みの発熱体1や使用により粘着力が低下した粘着材2を提供することにより割引き価格によって更に安価に発熱体1を入手できるようになることから、使用済みの発熱体1をそれぞれで廃棄するこれまでの意識から、産業廃棄物として回収させるという意識に改革され、発熱体廃棄物の回収に参加するようになる。
【0146】
そして、メーカーが発熱体廃棄物を回収しようとする意欲と、ユーザーが発熱体廃棄物の回収に参加することによって経済的利益を得ようとする意欲とが相俟って、発熱体廃棄物の回収が促されることになるのである。
【0147】
加えて、上述の第1及び第3の実施例に係る温熱用具は、通気性袋4が互いに適当な間隔を置いて形成されているので、例えば図7に示すように、温熱用具を通気性袋4の中央部で当該通気性袋4を内側にして折り返すことにより、小さく折り畳むことができ、ポケットなどに入れやすくなり、携帯性が高められる。なお、このように折り畳んだ場合には、粘着材2の施用面側の粘着面への異物の付着を防止するために、この粘着材2の表面に剥離紙を貼着することが好ましい。
【0148】
又、上述の第1及び第3の実施例において、例えば図8に示すように通気性袋4の中央部を粘着材2を内側にして折り返すことにより、小さく折り畳むことができ、ポケットなどに入れやすくなり、携帯性が高められる。
【0149】
ここで、粘着材2の粘着剤として互いに粘着させても容易に剥離できる粘着剤を使用する場合には粘着材2どうしを剥離させて温熱用具を容易に拡げることができる。一方、互いに粘着させると容易に剥離できない粘着剤を粘着材2に用いる場合には、剥離紙を挟んで袋4の中央部を粘着材2を内側にして折り返すことにより同様の効果が得られる。
【0150】
又、他の実施例においても、図9に示すように温熱用具を発熱体1の中央部で当該発熱体1を内側にして折り返すことにより、小さく折り畳むことができ、ポケットなどに入れやすくなり、携帯性が高められる。なお、このように折り畳んだ場合には、粘着材2の施用面側の粘着面への異物の付着を防止するため、この粘着面に剥離紙を貼着することが好ましい。
【0151】
又、上記に代えて、図10に示すように、発熱体1の中央部を粘着材2を内側にして折り返すことにより、小さく折り畳むことができ、ポケットなどに入れやすくなり、携帯性を高めることができる。
【0152】
ここで、粘着材2の粘着剤として互いに粘着させても容易に剥離できる粘着剤を使用する場合には粘着材2どうしを剥離させて温熱用具を容易に拡げることができる。一方、互いに粘着させても容易に剥離できない粘着剤を粘着材2に用いる場合には、剥離紙を挟んで発熱体1の中央部を粘着材2を内側に折り返すことにより同様の効果が得られる。
【0153】
以上の説明では、粘着材2の両面が粘着面になっている場合について説明したが、本発明においては、いわゆる、片面粘着テープを用いる場合にも本発明を適用することができる。
【0154】
即ち、本発明においては、上記目的を達成するために、空気の存在によって発熱する発熱体1と、この発熱体1の片面に設けられた粘着剤層と、基材5の片面に貼着と剥離が繰り返し行える粘着層を備える粘着材2からなり、発熱体1における粘着剤層が粘着材2の非粘着性面側に着脱自在に貼着されるようにしても良いのである。
【0155】
つまり、この温熱用具は、発熱体1の片面に粘着剤層を設ける一方、粘着材2として片面粘着性のフィルムないしシートを用い、上記発熱体1を粘着材2の非粘着性面側に着脱自在に貼着するようにした点を除くと上述の発明と同様である。
【0156】
従って、発熱体1、粘着材2に用いられる粘着剤、基材5、衛生剤、遠赤外線放射物質又は磁気物質等は上述の発明の場合と同様である。
【0157】
本発明の温熱用具においては、発熱体1の剥離を容易にし、当該温熱用具の取扱性を良好にするために、発熱体1における粘着剤層と粘着材2における非粘着性面側の粘着力が粘着材2における粘着面と施用面との粘着力よりも低下くなるように調整されているものが有益である。
【0158】
この場合、上述の発明の場合と同様の手段を採用できるのであり、具体的には、例えば発熱体1における粘着剤層に粘着力を低下させる粘着調整剤を分散させたり、発熱体1における粘着剤層の表面を凹凸面に形成したり、することができる。
この粘着調整剤としては上述のものが挙げられる。
【0159】
又、本発明においては、粘着材2における粘着(剤)層側に、無機質或いは有機質の吸水材が分散されているものが、温熱用具を直接人体に適用した場合、吸水材が汗や老廃物等を吸収して粘着力の低下を防止したり、適用部位の皮膚表面を清潔に保つことができるので有益である。
【0160】
この場合、吸水材が、粘着(剤)層と親和性が悪く、均一に分散しない恐れが有るときには、界面活性剤で処理するのが望ましい。
【0161】
この無機質或いは有機質の吸水材或いは界面活性剤としては、上述の発明の場合と同様のものが挙げられる。
【0162】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明は、発熱体と、貼着と剥離が繰り返し行える両面粘着性の粘着材とからなり、この粘着材の片面に上記発熱体が着脱可能に貼着されている。
【0163】
このように粘着材が発熱体から剥離できるようになると、メーカーにおいては発熱体の1つ1つに粘着剤層を設ける必要がなくなるので、このための装置や工程が省略できたり、人員の削減を図ることができる結果、温熱用具の製造コストを大幅に低減できる効果を奏する。
【0164】
又、粘着材は繰り返し使用できるので、その都度、購入する必要が無く、しかも長期間にわたって連続的に使用できるのであり、粘着剤層のない貼り替え用の発熱体は廉価であるのでユーザーがこの廉価な発熱体を購入し易くなる。
【0165】
この場合、温熱用具の取扱店において、貼り替え用の発熱体の販売時に使用済みの発熱体や長期間繰り返し使用して使用不可となった粘着材の提供を要求しても良く、この際、その提供者に対しては貼り替え用の発熱体の割引き価格を設定したり、新しい粘着材を無料で添付したりして、ユーザーに発熱体廃棄物の提供を促進すことができる。
【0166】
ユーザーにとっては、粘着材を肌や着衣に貼ったまま、発熱体を貼り替えることができるようになる上、新しい発熱体を購入する時に使用済みの発熱体を提供することにより割引き価格によって更に安価に発熱体を入手できるようになることから、使用済みの発熱体をそれぞれで廃棄するこれまでの意識から、産業廃棄物として回収させるという意識革命を引き起こされることになる。
【0167】
そして、メーカーが発熱体廃棄物を回収しようとする意欲と、ユーザーが発熱体廃棄物の回収に参加することによって経済的利益を得ようとする意欲とが相俟って、発熱体廃棄物の回収が促進される結果、環境破壊が防止されることになるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1の実施例に係る温熱用具の斜視図である。
【図2】図2は本発明の第1の実施例に係る温熱用具の断面模式図である。
【図3】図3は本発明の第2の実施例に係る温熱用具の断面模式図である。
【図4】図4は本発明の第3の実施例に係る温熱用具の断面模式図である。
【図5】図5は本発明に好適に用いられる粘着材の断面模式図である。
【図6】図6は本発明の第4の実施例に係る温熱用具の断面模式図である。
【図7】図7は本発明の実施例の携帯時の断面模式図である。
【図8】図8は本発明の実施例の他の携帯時の断面模式図である。
【図9】図9は本発明の他の実施例の携帯時の断面模式図である。
【図10】図10は本発明の一実施例の他の携帯時の断面模式図である。
【符号の説明】
1 発熱体
2 粘着材
3 発熱体組成物
4 通気性袋
5 基材
6 粘着剤層
8 剥離紙
【産業上の利用分野】
本発明は、人の皮膚や着衣に粘着して使用する温熱用具に関し、特に、使用済みの発熱体廃棄物の回収が促進されるようにした温熱用具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、いわゆる、使捨てかいろを人体或いは人の着衣の適用箇所に保持できるようにするために、発熱体組成物をシート状の通気性袋に収納して発熱体を形成し、この発熱体の片面に粘着剤層を設けた温熱用具が販売されている。
【0003】
この種の温熱用具は、使用後に一般のゴミと一緒に処理されたり、いわゆる、不燃物として処理されるために、回収されることがない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発熱体組成物には金属粉等の空気中の酸素と反応して発熱する物質を主剤とする種々の物質が含まれており、環境破壊を防止する観点からは発熱体組成物を産業廃棄物として処理することが望ましい。
【0005】
又、従来の温熱用具は、発熱体組成物をシート状の通気性袋に収納した発熱体と粘着剤層からなり、1回のみの使用で捨てるのは資源の有効利用や経済性更に環境破壊等の観点から好ましいものではなかった。
【0006】
本発明は、上記技術的課題に鑑みて完成されたものであり、空気の存在によって発熱する発熱体と、貼着と剥離が繰り返し行える粘着材とからなり、この粘着材の片面に上記発熱体が着脱可能に貼着されていることによって、使用後の回収を促進すると共に、廉価にした温熱用具を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る温熱用具は、上記目的を達成するために、空気の存在によって発熱する発熱体と、貼着と剥離が繰り返し行える両面粘着性の粘着材とからなり、この粘着材の片面に上記発熱体が着脱可能に貼着されていることを特徴とするものである。
【0008】
又、本発明に係る他の温熱用具は、上記の目的を達成するために、空気の存在によって発熱する発熱体と、この発熱体の片面に設けられた粘着剤層と、基材の片面に貼着と剥離が繰り返し行える粘着剤層を備える粘着材からなり、発熱体における粘着剤層が粘着材の非粘着性面側に着脱自在に貼着されていることを特徴とするものである。
【0009】
このように、発熱体から剥離可能な粘着材を設けることにより、後述するように、温熱用具の製造コストを低減できると共に、ユーザーの意識を改革させて発熱体廃棄物の回収が促進されるのである。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明で用いられる発熱体には、発熱体組成物をシート状の通気性袋に収納したもの、又は、更に発熱組成物を収納したシート状の通気性袋の片面に粘着剤層を設けたものとが含まれるが、まず製造コストが廉価で、しかも材料の無駄が少ない、発熱体が粘着剤層を備えず且つ貼着と剥離が繰り返し行える両面粘着性の粘着材を用いた温熱用具について詳細に説明する。
【0011】
この発熱体組成物としては、空気の存在下で発熱反応を起こすものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば鉄粉等の金属粉と、この金属粉の酸化反応を起こさせたり、PHの調整や触媒作用を有する活性炭と、金属粉の表面の酸化皮膜を破壊し、金属粉の酸化反応を円滑に進行させるための塩化物、更に水、及びこの水によるベトツキを無くすために用いる保水剤からなる既知の混合物(いわゆるケミカルヒータ)を用いることができる。
【0012】
この既知の発熱体組成物の中では、特に安全性、経済性、保存性及び温熱効果の持続性等の観点より、金属粉として鉄粉を用い、成分比率が鉄粉40〜75重量%、活性炭1〜10重量%、塩化物1〜10重量%、水10〜40重量%、保水剤1〜40重量%とすることが好ましい。
【0013】
又、この塩化物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属の塩化物、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等のアルカリ土金属の塩化物が挙げられる。
【0014】
上記保水剤としては水分に起因するベトツキを無くするとともに発熱体組成物を充填する際の流動性を良好にして充填量のバラツキを少なくするためのものであり、この保水剤としては無機質保水剤及び/又は有機質保水剤が挙げられる。
【0015】
上記無機質保水剤としては無機質で保水性を有するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばパーライト、クリストバライト又はバーミキュライト等が挙げられる。
【0016】
又、上記有機質保水剤としては有機質で保水性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば吸水能力が自重の15倍以上、好ましくは20倍以上の高吸水性ポリマーが挙げられる。
【0017】
更に、この発熱体組成物を収納した通気性袋は、発熱体組成物の漏れがなく、しかもこの発熱体組成物を外気と接触できるようにするために、通気性袋は両面を通気性のフィルムないしシートで形成しても良いのであるが、温熱用具を人体に適用したとき、少なくとも外側に露出する側、つまり施用面と反対側の片面が通気性を有するフィルムやシートで構成されている。
【0018】
この通気性を有するフィルムないしシートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物又はエチレン−酢酸ビニル共重合体などの高分子材料で形成されたフィルムやシート更に不織布又は織布等の他、紙や発泡シート更に布或いはこれらの2種以上の積層体などが挙げられる。
【0019】
上記布としては天然繊維、合成繊維、これらの混紡物などの不織布或いは織布を用いることができる。
【0020】
上記通気性袋は、単室の袋であってもよいが、複数の室を有する複室袋にすることができ、この複室袋の各室の間隔を開けることにより、発熱体を曲面状の施用面に馴染ませ易くなる。
【0021】
又、この場合、連続させた片面又は両面のフィルム、シート或いは布を伸縮性を有するもので構成すれば、発熱体を曲面状の施用面に一層馴染ませ易くなるので望ましい。
【0022】
本発明で用いられる両面粘着性の粘着材としてはフィルム状又はシート状に形成されており、その片面に発熱体を貼着、保持でき、且つその他面を人体或いは人の着衣の適用箇所に貼着して当該適用箇所に保持できる程度の粘着力を有するものであり、しかも貼着と剥離が繰り返し行えるものであれば特に限定されるものではない。
【0023】
この粘着材としては発熱体を剥離可能に貼着でき、しかも人体や着衣の所要箇所に剥離可能に貼着できる上、発熱体や人体或いは着衣の所要箇所に対し貼着と剥離が繰り返し行えるもの、或いは発熱体の貼り替えや施用の繰り返しにより、人体からの老廃物、塵埃などの異物が付着することにより粘着力が低下し、再使用できなくなった場合、粘着材を水洗などによって簡単に洗浄した後、乾燥させると粘着力が回復する粘着剤が挙げられる。
【0024】
この種、粘着材としては、上記粘着剤をフィルム状ないしシート状に成形したもの、或いは基材とこの両面に設けられた粘着剤層からなるもの等が挙げられるが、この基材としては、人体や着衣における適用部位の伸縮に追従させて突っ張り感や違和感更に剥離等を無くするために伸縮性を有するものが望ましく、又、密封温熱効果を促進するために、基材が非通気性のフィルムないしシートで形成されているものが望ましい。
【0025】
粘着材を基材とその両面に付着させた粘着剤層とで構成する場合、この基材はフィルム状、シート状或いは布状であれば良く、又、その素材は特に限定されないが、ある程度の繰り返し使用に耐える耐久性を有することを要する。具体的には、天然又は合成のゴムや合成樹脂で形成されたフィルムないしシート、或いは合成樹脂、天然繊維、合成繊維又はこれらの混紡物で形成された不織布、織布及び布更に紙などが挙げられる。
【0026】
合成樹脂としてはフィルム状やシート状に成形できるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物又はエチレン−酢酸ビニル共重合体などの高分子材料がその例として挙げられる。
【0027】
又、この粘着材の基材は、施用面への馴染み性を高めるためには伸縮性を有することが好ましく、又、温熱効果(密封効果)を高めるために非通気性であることが望ましく、これらの観点から、上記合成樹脂の中でもポリウレタンや塩化ビニルなどのフィルムが好ましい。
【0028】
粘着剤を成形した単層のフィルム状ないしシート状の粘着材は、ゴム状弾性を有するものが、施用面の伸縮に追従して使用感が良好であるので望ましく、又、非通気性であるものが温熱効果(密封効果)を高める上で好ましい。
【0029】
このように温熱効果(密封効果)が得られる構造のものにすることにより、発熱体から供給される熱を比較的低温の状態に制御しても使用者は暖かく感じるのであり、しかもこのように低温に制御することによって低温やけどを確実に防止できるから至極有益である。
【0030】
又、本発明で用いられる粘着剤は、外皮に直接適用する場合、人肌にアレルギー性の炎症が発生することを防止するために皮膚刺激性が無いものが好ましい。
【0031】
ところで、粘着材に用いられる粘着剤とは、室温、無溶剤の状態において所望の粘着性(タック)を示し、単に指で押さえるだけで、発熱体や人体或いは着衣に貼着と剥離を繰り返し行えるものである。
【0032】
粘着剤は基本的には凝集力を与える高分子弾性体と粘着付与剤の2成分を骨格とし、いろいろな弾性を付与する目的で必要に応じて粘着調整剤、接着改良剤、安定剤、着色剤、防カビ剤、消泡剤、増粘剤、老化防止剤などが添加される。
【0033】
又、上記高分子弾性体はジエン系弾性体、エチレニック系弾性体或いは縮合系弾性体に分類される。
【0034】
ジエン系弾性体を用いる粘着剤はゴム系粘着剤と呼ばれ、ゴム成分と粘着付与剤(タッキファイヤ)を1:0.5〜2の割合に混合したものが用いられる。
【0035】
上記ゴム成分としては天然ゴム(NR)、合成天然ゴム(ポリイソプレン)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(BR)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)やスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)などのブロック共重合体、再生ゴム、熱可塑性ゴムなどが主に使用される。
【0036】
上記エチレニック系弾性体の代表的なものとしてはアクリル系ポリマーであり、アクリル系粘着剤とも呼ばれる。アクリル系粘着剤のベースとなるアクリルポリマーは、一般にそれ自身で粘着を発現し、粘着付与剤を必要とせず、ポリマーを構成するモノマーは大きく分けて粘着成分として働くもの、凝集成分として働くもの、改質成分として働くものの3成分から成り立っている。
【0037】
粘着成分はアルキル基の炭素数が4〜10のアクリル酸アルキルエステルが適し、Tgが−20〜−70℃程度の低いものであり、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどのC2以上のアルキルエステルが代表的である。
【0038】
この粘着成分は主成分として用いられ、粘着性に富んでいるが、凝集性に欠けるために凝集成分が必要になる。凝集成分としては、例えば▲1▼メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートなどC1〜C2の低級アルキル基のアクリル酸エステル、▲2▼C2〜C8のアルキルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル、▲3▼酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどC1〜C3のビニルエステル、▲4▼アクリルニトリル、▲5▼スチレン、▲6▼塩化ビニリデンなどのビニルモノマーなど、非重合可能でTgが高くなるようなモノマーが用いられる。この凝集成分は、凝集性を高めるだけでなく、ときには接着性の向上、耐水性の向上、透明性の向上などの性能の向上に役立ち、粘着剤の特殊性を出すのに用いられている。
【0039】
改質成分は、一般にこれら粘着成分及び凝集成分と共重合可能な官能基が挙げられるのであり、▲1▼アクリル酸、メタクリル酸又は無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、▲2▼アクリルアミド、アクリルアミド誘導体などの不飽和カルボン酸アミド及び変性体、▲3▼水酸基含有モノマー、▲4▼アクリルニトリル、▲5▼ヒドロキシエチルアクリレート、▲6▼グリシジルアクリレートをその例として挙げることができる。
【0040】
この改質成分は、架橋を施すのに役立つことは勿論であるが、凝集性を高めたり、接着性を向上させるのにも有用であり、又、重合中の反応速度を促進させるのにも役立っている。
【0041】
なお、アクリル系粘着剤は基本的には上記の3成分を含むが、場合によっては1成分或いは2成分で構成されることもある。又、アクリル系粘着剤は単一成分から成るため透明性が高く、耐久性が優れており、主にエマルジョン型及び溶液型の粘着剤として使用されている。
【0042】
このエチレニック系弾性体には、上記のアクリル系ポリマーの他にビニルエーテル系弾性体が用いられることがある。このビニルエーテル系弾性体を使用する粘着剤はビニル系粘着剤と呼ばれ、C2〜C4のアルキルビニルエーテル重合物で構成される。
【0043】
このビニル系粘着剤では、高分子量物と低分子量物とを混合して粘着力と保持力、タックのバランスを保つようにしているが、タックや粘着力の増強に他の樹脂を併用する場合もある。もっとも、ビニルエーテル系弾性体の中でも、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体は水溶性であるため、本発明には適していない。
【0044】
上記縮合系弾性体を用いる粘着剤はシリコーン系粘着剤と呼ばれ、このシリコーン系粘着剤はポリジメチルシロキサンゴムを主成分とし、このポリジメチルシロキサンにジメチルシロキサンを含む低分子量のシリコーン樹脂が添加されている。
【0045】
ゴム状シロキサンはフィルム形状と膜の凝集力を与え、シリコーン樹脂は粘着性や接着性を与える。このシリコーン系粘着剤は広い温度範囲で使用可能で、耐熱性、耐久性ともに優れている。
【0046】
上記粘着付与剤は、粘着付与樹脂、可塑剤、油脂類、高分子低重合物、架橋剤、接着改良剤、充填剤、その他の配合剤に分類することができる。
【0047】
粘着付与樹脂としては、天然樹脂であるロジン、ロジン変性体、ロジン又は変性ロジンの誘導体、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂(ポリテルペン)、テルペン変性体、脂肪族系炭化水素樹脂、シクロペンタジエン樹脂、芳香族系石油樹脂、非反応性フェノール樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、ビニルトルエン−αメチルスチレン共重合体など、分子量1000前後のものが用いられる。
【0048】
一般には固形樹脂が多いが、中には水添ロジンやそのエステルのような液状樹脂もある。粘着付与剤は使用する弾性体に相溶性がよく、粘着性を与えるものでなければならず、相溶性は粘着性を付与する根源になる。又、粘着付与剤は酸化性が著しくないことが望ましく、この観点からはロジン系の中の水添ロジン、ポリテルペン、C5やC9系の石油樹脂などが推奨される。
【0049】
粘着力やタックを与えるためには、実際は弾性体の種類によって粘着付与剤の種類や融点が選択され、時には二つ以上の粘着付与樹脂が併用される。
【0050】
可塑剤は、一般には加工性、柔軟性、弾性及び可撓性を高めると共に、低温における柔軟性やゴム状弾性、即ち、耐寒性を向上させる性質がある。しかし、粘着剤の本質である粘着を単独で発現することは難しいので、粘着付与樹脂などとの併用が多い。可塑剤としては、フタル酸系可塑剤、リン酸エステル可塑剤、アジピン酸エステル可塑剤、セバチン酸エステル可塑剤、リシノール酸エステル可塑剤、ポリエステル型可塑剤の他、塩化パラフィン、シリコーンなどをその例として挙げることができる。高分子ポリエステルは低温で柔軟性を増し、シリコーンは低温での可塑性の向上はもとより、低温粘着性の向上にも役立つのである。
【0051】
油脂類は、可塑剤と同じ作用があり、可塑性を付与する目的と粘着調整剤や接着改良剤として用いられる目的とがある。油脂類には、動物油、植物油、鉱物油、シリコーン油等が含まれ、使用目的に応じて使い分けがなされている。この油脂類は価格的にも安く、可撓性を増加させるので配合剤として魅力があるが、粘着剤の凝集性を急速に低下させるので配合量には注意を要する。
【0052】
高分子低重合物は、可塑剤や油脂類と同様な目的で用いられる他、それ自身の高分子としての役割が付与される。即ち、粘着付与性、接着性、流動調整などのために用いられる。ポリビニルエーテル系やポリイソブチレン系粘着剤においてはそれぞれのポリマーの分子量の高低で粘着性を付与し、粘着力、保持力及びタックのバランスを保持している。
【0053】
高分子低重合物の中には、これ以外に粘着剤原料のうちの弾性体や粘着付与樹脂にも見い出すことができる。SBR、BR、ポリアクリル酸エステル、ロジン系粘着付与樹脂の中の水添ロジンメチルエステル、低分子スチレン樹脂、ポリテルペンなどがその例である。
【0054】
架橋剤は、使用する弾性体や何を架橋させるかによって選ばれ、一般に、ゴム系粘着剤では硫黄−加硫促進剤系で加硫(架橋)する場合が多いが、加硫という操作にはいろいろと問題が多いため、最近ではアルキルフェノール樹脂を架橋成分とし、アルミニウムアルコレート、ポリイソシアネート、ジンクレジネートなどを架橋剤として用いる例が少なくない。
【0055】
ゴム系粘着剤の架橋剤としては、テトラメチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメラレンチウラムテトラサルファイド、ジブチルチオカーバメート亜鉛などの硫黄化合物、セレニウム、硫黄などの単体、油溶性熱硬化性フェノールホルムアルデヒド樹脂、メチロール化尿素ホルムアルデヒト樹脂などの脂肪化合物などが挙げられる。
【0056】
アクリル系粘着剤は、ゴム系粘着剤と異なり、容易にポリマーの中に官能基を導入することができる特徴があるが、架橋方法によって粘着剤の性能が変わるので、目的に合った架橋方法を選定する必要がある。通常、アクリル系粘着剤に用いられる架橋方法としては、カルボン酸/ポリイソシアネート、N−メチロールアクリルアミド、グリシルアクリレート/アミン類化合物、更に、各種エーテル化したアルデヒド変性カルボン酸アミド類、ジケトン/熱硬化性フェノール樹脂、エポキサイド又はエポキシ樹脂がある。
【0057】
粘着剤に用いられる天然ゴムや合成ゴムに充填剤を配合すると、ゴムの補強が行われ、引っ張り強さ、引き裂き強さ、耐摩耗性、硬度などが向上したり、その容積を増加させて価格を引き下げることができる。
【0058】
この際、充填剤粒子の大きさ、表面積、集合状態、分散性などが補強効果に著しく影響する。この効果はゴム分子と充填剤との相互作用によってゴムと充填剤とのすべりを調整するものと考えられ、充填剤が存在すればその分だけ流動成分の組成分率が少なくなり、流れ難くなり、粘着性に欠ける結果となるので、使用に際しては流動性と圧縮抵抗とを考慮して配合しなければならない。この場合、充填剤のもつ圧縮抵抗と流動性の制御にケイ酸ゲルを用いることがある。
【0059】
ゴム系粘着剤に使用される充填剤としては、無機質充填剤と、有機質充填剤とに大別される。
この無機質充填剤としては、アルミニウム、銅、鉄、鉛などの金属粉、珪酸質、珪酸塩、珪石、珪藻土、アルミナなどのバン土質、炭酸カルシウム、石膏などの石灰質、マイカ、クレーなどのバン土珪酸質、タルク、アスベストなどの苦土珪酸質、グラファイト、カーボンブラック、ホワイトカーボンなどの炭素或いは炭化物、その他セメント、酸化アンチモン、亜鉛華、炭酸マグネシウムなどがその例として挙げられる。
【0060】
又、有機質充填剤としてはリンター、リネン、サイザル木粉などの植物性天然物、絹などの動物性天然物、ビスコース、アセテート、ポリアミド、ビニロン、塩化ビニルなどの人造又は合成物がその例として挙げられる。
【0061】
充填剤は、粘着剤の配合の中で他の原料のように粘着剤に関与する特性を顕著に付与する作用はなく、具体的には凝集力の向上や圧縮抵抗の増加、流動性の制御などの作用がある。しかし、例えば、シリカの混入によりポリオレフィンの接着性がよくなるように、充填剤にも粘着剤の機能を多いに向上させ、接着性などを付与させる場合もある点に着目して選択する必要が有る。
【0062】
ゴム系粘着剤は自着性が強く、配合により所望の粘着性を自由にコントロールできる特徴を持つ反面、耐久性は他の粘着剤に比較すると劣っている。又、ゴム系粘着剤は主に溶液型粘着剤として使用され、その他、カレンダ塗工、ホットメルト塗工などが行なわれるが、エマルジョンとして使用される例は希である。なお、ゴム系粘着剤は多成分系であるため、溶解性の差から使用する溶剤により粘着性に影響を受けることがある。
【0063】
安定剤は特にビニル系粘着剤或いは配合中のビニル系樹脂に用いられ、概ね塩素含有樹脂に用いられる。フェノール系やビスフェノール類、アミン類、含硫黄化合物、亜リン酸塩類、エポキシ化合物、有機金属塩類などがあり、ポリマー破壊防止にしている。
【0064】
着色剤は、例えば粘着剤を白色にする場合などに使用されるが、顔料を多量に使用すると粘着性に影響するので、少量で目的の着色が施されることが望ましい。白色の場合には、隠蔽力の大きい酸化チタンが多用され、亜鉛華、炭酸カルシウムなども多用されている。
【0065】
紫外線防止剤は老化防止剤と同様、透明な粘着テープなどの光による黄変、黒化などの光による老化を防止するために用いられ、ベンゾフェノン系、サルチレート系、ベンゾトリアール系、置換アクリルニトリル系などに分類される。
【0066】
防カビ剤、消泡剤、増粘剤は、特にエマルジョン型粘着剤に用いられ、防カビ剤としては亜ヒ酸、亜酸化銅などの無機化合物と、有機硫黄化合物、フェノール系化合物、有機銅系化合物などの有機化合物とがある。
【0067】
消泡剤は、シリコーンエマルジョン、アルコール類は知られているが、これらは消泡効果とともに剥離性(離型性)を持っているので、余り多量に使用することは粘着性を低下させる。このため、少量で効果のある消泡剤を選定しなければならない。
【0068】
増粘剤は、エマルジョンの粘度増加を目的としているもので、一般的には水溶性高分子、コロイドが用いられる。エマルジョンの種類によって使い分ける必要が有り、例えばSBR、NRのようなゴムラテックスにはカゼイン、トラントゴムなどを、アクリル系やビニル系エマルジョンにはPVA、ポリアクリル酸ソーダ、CMC、メチルセルロースなどを用いる。増粘剤は粘度を増加させるばかりでなく、エマルジョンの安定性も付与するので、適正な増粘剤を選定する必要がある。又、増粘剤は高分子物質であるため粘着剤層内に含まれるから、当然に粘着性にも影響を与えることを十分に考慮する必要がある。
【0069】
これらゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤はいずれも水洗することにより表面に付着したゴミなどの異物を洗い落とすことができ、乾燥させれば再び粘着力を回復するので、いずれを用いてもよいが、特に、皮膚刺激性が無く、しかも貼着と剥離を繰り返すことによって粘着力が低下すると、水洗、乾燥により粘着力が回復する特性が顕著なアクリル系粘着剤を用いることが好ましく、アクリル系粘着剤の中でも、ポリアクリル酸ゲルをシート状に成形したものを用いることが好ましい。
【0070】
上記粘着材の発熱体側の粘着面の粘着剤には、発熱体からの剥離を容易にすると共に、水洗を更に容易にするために、粘着剤に粘着剤とは相反する性質を有する非粘着性で、好ましくはブルーム性を有する物質、例えばシリコーン、ポリエチレンワックス、界面活性剤、パラフィンなどを含ませてもよい。
【0071】
ところで、上記配合物の添加、粘着面の表面処理などによって粘着材どうしが粘着しても剥離可能なものを製造することができる。
【0072】
この場合、例えば2つの発熱体を1つの粘着材に付着させ、各発熱体を外側にして粘着層を折り畳んで互いに粘着させた状態で保管したり、粘着材を多数重ねて保管したりすることができるので剥離紙が不要で経済的である上、施用時に誤って粘着材どうしが折り畳まれて付着しても簡単に引き剥がして拡げることができるので望ましい。
【0073】
本発明においては、粘着材が衛生剤を含むものが、人体から放散される水分や臭い成分、又は温熱用具の適用箇所で発生ないし繁殖した細菌等と衛生剤とを効率良く接触させてこれらの成分を、物理的に吸着させたり、化学的に分解したり、或いは減菌作用ないし殺菌作用を発現しうるので有益である。
【0074】
即ち、人体に温熱用具を適用した場合、発熱体からの熱によって、温熱用具の適用箇所に発汗等による老廃物や汗等が滞留し、雑菌が繁殖して異臭を放つ恐れが有る。
【0075】
このため、粘着材の粘着(剤)層中に衛生剤を混入させることが望ましいが、この衛生剤としては、例えば抗菌剤、殺菌剤、防黴剤、消臭剤又は脱臭剤等の衛生剤のうちの1種又は2種以上が挙げられる。
【0076】
また、本発明において、抗菌剤や殺菌剤或いは防黴剤としては、減菌作用ないし殺菌作用を発現するものであれば特に限定されうものではなく、具体的には、例えば石炭誘導体、サリチル酸、硼酸、サラシ粉、ヨード剤、重金属化合物、逆性石鹸、酢酸、ウンデシレン酸などの脂肪酸系の物質、サリチル酸系の物質、チアントール系の物質、タール系の物質、酢酸フェニル水銀などの水銀系物質、イオン、抗生物質、ポリック、ダンバ又はアスレタンなどが挙げられる。
【0077】
また、本発明において、消臭剤又は脱臭剤の他例としては臭いの成分を酸化或いは還元して化学的に分解するようなものでも良く、この例としては、以下のものが挙げられる。
【0078】
即ち、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカゲル、ゼオライト又は活性炭等の乾燥剤や他の担持体に、白金族元素やこの化合物等の分解剤が含有されたものが挙げられる。
【0079】
又、本発明においては、粘着材が遠赤外線放射物質或いは磁気物質を含有又は備えるものが、以下に述べる理由より有益である。
【0080】
この遠赤外線放射物質としては、発熱体や体温によって、遠赤外線を放射することによって温熱効果を促進する物質である。
【0081】
遠赤外線放射物質としては、発熱体や体温によって波長4〜16μm程度の遠赤外線を放射するものが好ましく、例えばNa2O、K2O、CaO、BaO、MgO、Fe2O、FeO、Fe2O3、SiO2、Al2O3、ZrO、ZrO2、BeO、V2O3、V2O5、Y2O3、CoO、CuO、Cu2O、NiO、Ni2O3、MnO、MnO2、TiO、TiO2、ZnO、ThO2などの無機質酸化物を組み合わせて上記波長の遠赤外線が放射されるようにすればよい。
【0082】
具体的には、例えば2MgO・2Al2O3・5SiO2・Fe2O3を主成分とする複合体、Li2O・CuO・Al2O3・4SiO2を主成分とする複合体、ZrO、ZrO2、Al2O3・TiO2を主成分とする複合体、Al2O3・TiO2を主成分とする複合体などが挙げられる。ここにおいて、主成分とするとは、この化学組成物もののみからなる場合の他、これらの成分に他の成分が含まれる場合でもよい意味である。
【0083】
本発明で用いられる磁気物質としては、血行の促進等、人体に適用することによる磁気治療効果を発現するものである。
【0084】
この場合、用いられる磁石としては500ガウス以上、特に800ガウス以上2500ガウス未満のものが望ましいが、500ガウス以下のものも使用可能である。
【0085】
本発明で用いられる遠赤外線放射物質又は磁気物質の形状や大きさは特に限定されるものではなく、形状としては粉末、半球状、円盤状、半楕円状、板状、直方体又は立方体等が挙げられるのであり、又、大きさとしては数μm〜2000μm、特に10μm〜1000μmの範囲とするのが人体に与える物理的な刺激等の観点より望ましい。
【0086】
本発明において、遠赤外線放射物質又は磁気物質を温熱用具のどの箇所に担持させるかは特に限定されるものではないが、特に粘着材に含有させたり、或いは粘着材と発熱体との間に担持させたり、更に粘着材における人体への施用面側に担持させて、遠赤外線による温熱効果を得たり、磁気による磁気治療効果を得るのが望ましい。
【0087】
本発明の温熱用具においては、発熱体の張り替えを容易にするために、粘着材における発熱体の貼着側の粘着面が施用面側の粘着面よりも粘着力を低く調整されているものが望ましい。
【0088】
このためには、両面粘着性の粘着材における発熱体の貼着側と人体や着衣に貼着する側の粘着(剤)層が異なることによって調整できるが、後述するように粘着材における発熱体貼着側の粘着面に粘着力を低下させる粘着調整剤を分散、散布させたり、粘着材における発熱体貼着側の粘着面を凹凸に形成することにより粘着力を低下させることが挙げられる。
【0089】
このように粘着材における発熱体貼着側の粘着面に凹凸を形成すると発熱体との実質的な粘着面積が少なくなって剥離が容易になるのであり、従って、この面の粘着力は凹凸の比率を調整することによって任意に変更できる。
【0090】
上記粘着調整剤としては、粘着剤とは相反する性質を有する非粘着性で、好ましくはブルーム性を有する物質、例えばシリコーン、ポリエチレンワックス、界面活性剤、ポリエチレンの粉末、パラフィンなどをその例として挙げることができる。
【0091】
本発明においては、粘着材における施用面側に、無機質或いは有機質の吸水材が分散されているものが、温熱用具を直接人体に適用した場合、吸水材が汗や老廃物等を吸収して粘着力の低下を防止したり、適用部位の皮膚表面を清潔に保つことができるので有益である。
【0092】
上記無機質保水材としては無機質で保水性を有するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばパーライト、クリストバライト、バーミキュライト、シリカ系多孔質物質、ケイ酸カルシウム、シリカ粉、木粉等が挙げられる。
【0093】
又、上記有機質保水材としては有機質で保水性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば吸水能力が自重の15倍以上、好ましくは20倍以上のものが好ましい。具体的には、特公昭49−43395号公報に開示されている澱粉−ポリアクリロニトリル共重合体、特公昭51−39672号公報に開示されている架橋ポリアルキレンオキシド、特公昭53−13495号公報に開示されているビニルエステル−エチレン系不飽和カルボン酸共重合体ケン化物、特公昭54−30710号公報に開示されている逆相懸濁重合法によって得られる自己架橋ポリアクリル酸塩、特開昭54−20093号公報に開示されているポリビニルアルコール系重合体と環状無水物との反応生成物、特開昭59−84305号公報に開示されているポリアクリル酸塩架橋物、ポリアクリル酸ソーダ、CMC等が挙げられる。
【0094】
この場合、吸水材が、粘着(剤)層と親和性が悪く、均一に分散しない恐れが有るときには、界面活性剤で処理するのが望ましい。
【0095】
本発明で用いられる界面活性剤としては吸水材を処理することによって当該吸水材が粘着材の粘着層中に分散し易くなるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤が挙げられる。
【0096】
本発明で好適に用いられる界面活性剤としては、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、或いは、リン酸エステル塩型の界面活性剤、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルナトリウム塩等の界面活性剤、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸やその金属塩、低重合度ポリカルボン酸の塩、例えば低重合度ポリアクリル酸ソーダ、低重合度ポリアクリル酸ブチル、低重合度ポリメタアクリル酸ソーダ、更に、スルホン化ポリスチレン等の界面活性剤等が挙げられる。
【0097】
次に、本発明に係る他の温熱用具について説明する。
即ち、この温熱用具は、空気の存在によって発熱する発熱体と、この発熱体の片面に設けられた粘着剤層と、基材の片面に貼着と剥離が繰り返し行える粘着層を備える粘着材からなり、発熱体における粘着剤層が粘着材の非粘着性面側に着脱自在に貼着されていることを特徴とする。
【0098】
つまり、この温熱用具は、発熱体の片面に粘着剤層を設ける一方、粘着材として片面粘着性のフィルムないしシートを用い、上記発熱体を粘着材の非粘着性面側に着脱自在に貼着するようにした点を除くと上述の発明と同様である。
【0099】
従って、発熱体、粘着材に用いられる粘着剤、基材、衛生剤、遠赤外線放射物質又は磁気物質等は上述の発明の場合と同様であるので、重複説明を避けるために省略する。
【0100】
本発明の温熱用具においては、発熱体の剥離を容易にし、当該温熱用具の取扱性を良好にするために、発熱体における粘着剤層と粘着材における非粘着性面側の粘着力が粘着材における粘着面と施用面との粘着力よりも低下くなるように調整されているものが有益である。
【0101】
この場合、上述の発明の場合と同様の手段を採用できるのであり、具体的には、例えば発熱体における粘着剤層に粘着力を低下させる粘着調整剤を分散させたり、発熱体における粘着剤層の表面を凹凸面に形成したり、することができる。
この粘着調整剤としては上述のものが挙げられる。
【0102】
又、本発明においては、粘着材における粘着(剤)層側に、無機質或いは有機質の吸水材が分散されているものが、温熱用具を直接人体に適用した場合、吸水材が汗や老廃物等を吸収して粘着力の低下を防止したり、適用部位の皮膚表面を清潔に保つことができるので有益である。
【0103】
この場合、吸水材が、粘着(剤)層と親和性が悪く、均一に分散しない恐れが有るときには、界面活性剤で処理するのが望ましい。
【0104】
この無機質或いは有機質の吸水材或いは界面活性剤としては、上述の発明の場合と同様のものが挙げられる。
【0105】
【作用】
本発明の温熱用具は、上記構成を有し、発熱体と、貼着と剥離が繰り返し行える両面粘着性の粘着材とからなり、この粘着材の片面に上記発熱体が着脱可能に貼着されている。
【0106】
このように粘着材が発熱体から剥離できるようになると、メーカーにおいては発熱体の1つ1つに粘着剤層を設ける必要がなくなるので、このための装置や工程が省略できる結果、温熱用具の製造コストを低減できる。
【0107】
又、粘着材は繰り返し使用できるので、その都度、購入する必要が無く、しかも長期間にわたって連続的に使用できるのであり、粘着剤層のない貼り替え用の発熱体は廉価であるのでユーザーがこの廉価な発熱体を購入し易くなる。
【0108】
この場合、温熱用具の取扱店において、貼り替え用の発熱体の販売時に使用済みの発熱体や長期間繰り返し使用して使用不可となった粘着材の提供を要求しても良く、この際、その提供者に対しては貼り替え用の発熱体の割引き価格を設定したり、新しい粘着材を無料で添付したりして、ユーザーに発熱体廃棄物の提供を促進すことができる。
【0109】
ユーザーにとっては、粘着材を肌や着衣に貼ったまま、発熱体を貼り替えることができるようになる上、新しい発熱体を購入する時に使用済みの発熱体を提供することにより割引き価格によって更に安価に発熱体を入手できるようになることから、使用済みの発熱体をそれぞれで廃棄するこれまでの意識から、産業廃棄物として回収させるという意識革命を引き起こされることになる。
【0110】
そして、メーカーが発熱体廃棄物を回収しようとする意欲と、ユーザーが発熱体廃棄物の回収に参加することによって経済的利益を得ようとする意欲とが相俟って、発熱体廃棄物の回収が促進されることになるのである。
【0111】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0112】
図1の斜視図及び図2の断面模式図に示す本発明の第1の実施例に係る温熱用具は、貼着と剥離が繰り返し行える両面粘着性の粘着材2と、この粘着材2の片面に適当な間隔をおいて剥離可能に貼着された2枚の発熱体1とを備える。
【0113】
上記発熱体1は、発熱体組成物3とこれを収納した通気性袋4とからなり、この発熱体組成物3としては、空気の存在下で発熱反応を起こすものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、既知のものが挙げられるが、この実施例では、これら既知の混合物の中から、特に安全性、経済性、温熱効果の持続性及び保存性が優れている、鉄粉を金属粉として用い、成分比率が鉄粉60重量%、活性炭3重量%、塩化ナトリウム3重量%、水31重量%、保水剤3重量%としたものを用いている。
【0114】
ところで、発熱体1や粘着材2の大きさは任意に決定できるが、使用感や携帯性更に生産性等の観点より、発熱体1が縦80〜130mm、横50〜90mmの範囲とするのが好ましく、この実施例では、縦95mm程度、横70mm程度に形成されており、又、粘着材2は縦150〜180mm、横50〜90mmの範囲にするのが好ましく、この実施例では、縦170mm程度、横95mm程度に形成されている。
【0115】
この発熱体組成物3を収納した通気性袋4は、この場合、発熱体組成物3を外気と接触できるようにするために、片面が通気性フィルム4aで形成されているが、この通気性フィルム4aは、ポリエチレン製の通気性基材フィルムと、ポリエチレン製の不織布からなる通気性補強用フィルムの積層フィルムで形成されている。
【0116】
この実施例では、片面を通気性フィルム4aで形成しているが、これに代えて、両面を通気性フィルム4aで構成してもよい。
【0117】
図3は本発明の第2の実施例を示し、この第2の実施例では、貼着と剥離が繰り返し行える両面粘着性の粘着材2と、この粘着材2の片面に剥離可能に貼着された1枚の発熱体1とからなる。この場合、発熱体1が大きく、従って、人体の屈曲部や湾曲部への適用は好ましくないが、背中や腰など比較的平坦な箇所を広く暖めることができるので有益である。
【0118】
図4は本発明の第3の実施例を示し、第1の実施例では発熱体1が分離独立しているのに対し、この実施例では発熱体1の中間部Mに発熱体組成物3を除いて当該中間部M箇所を封着することにより、通気性袋4が互いに適当な間隔を置いて設けられる2室を有する複室袋とし、これによって、発熱体1を曲面状の施用面に対しても馴染ませ易くして構成している。
【0119】
尚、この通気性袋4には通気性フィルム4a側と反対面に粘着剤層を設けても良いが、この実施例では、発熱体1の交換使用という意識をより深くユーザーに持たせると共に、発熱体1のコストの削減を図るために、通気性袋4には粘着剤層を設けていないのである。
【0120】
上記粘着材2は、例えば図5に示すように、基材5の両面に粘着剤層6を付着させた、いわゆる、両面粘着テープからなるものを用いてもよいが、本発明の実施例では、生産性が良好で、しかも廉価である上、取扱性が著しく優れるので、シート状に形成された粘着剤層のみからなる粘着材2で構成されいる。
【0121】
上述の実施例では、特に水洗により粘着性が低下し、乾燥すると粘着性が回復する特性が顕著であり、しかも皮膚刺激性が無い上、安価であるアクリル系粘着剤のゲルをシート状に形成したものが用いられている。
【0122】
ところで、上述の実施例で用いられた粘着材2はフィルム状ないしシート状に形成された粘着剤のみで構成されているので、粘着剤特有のゴム状弾性を有する結果、施用面への馴染み性が高められるのであり、又、非通気性を有するので温熱効果を高める上で好ましい。
【0123】
このように温熱効果(密封効果)が得られる構造のものにすることにより、発熱体から供給される熱を比較的低温の状態に制御しても使用者は暖かく感じるのであり、しかもこのように低温に制御することによって低温やけどを確実に防止できるから至極有益である。
【0124】
本発明の一実施例に使用される粘着剤層のみからなる粘着材2、或いは、図5に示すように両面テープからなる粘着材2に使用される粘着剤は、本質的には、室温、無溶剤の状態において永続的な強い粘着性(タック)を示し、単に指で軽く押さえるだけで接着し、しかも被着体からは粘着剤の残留を見ることなしに剥離することができるものであればよい。
【0125】
この粘着剤は、基本的に凝集力を与える高分子弾性体と粘着付与剤の2成分を骨格とし、いろいろな耐性を付与する目的で必要に応じて粘着調整剤、接着改良剤、安定剤、着色剤、防カビ剤、消泡剤、増粘剤、老化防止剤などが添加される。又、上記高分子弾性体はジエン系弾性体、エチレニック系弾性体或いは縮合系弾性体に分類されるが、上述の実施例ではアクリル系粘着剤が用いられている。
【0126】
これらの粘着剤はいずれも水洗することにより表面に付着したゴミなどの異物を洗い落とすことができ、乾燥させれば再び粘着力を回復するので、いずれを用いてもよい。
【0127】
なお、両面粘着テープ型の粘着材2を構成する場合、この基材5はフィルム状、シート状或いは布状であれば良く、又、その素材は特に限定されないが、ある程度の繰り返し使用に耐える耐久性を有することが好ましい。具体的には、天然又は合成のゴムや、合成樹脂や、天然繊維、合成繊維或いはこれらの混紡物の不織布、織布や、紙などを用いることができる。
【0128】
この合成樹脂としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物又はエチレン−酢酸ビニル共重合体などの高分子材料がその例として挙げられる。
【0129】
又、この基材5は、人肌や着衣などの施用面への馴染み性を高めるために伸縮性を有することが好ましく、又、温熱効果(密封効果)を高めるためには非通気性を有することが好ましい。
【0130】
このように温熱効果(密封効果)が得られる構造のものにすることにより、発熱体から供給される熱を比較的低温の状態に制御しても使用者は暖かく感じるのであり、しかもこのように低温に制御することによって低温やけどを確実に防止できるから至極有益である。
【0131】
更に、粘着材2を基材5と粘着剤層6とで構成する場合には、粘着材2の保管時の粘着材2どうしの粘着や、粘着面への異物の付着を防止するために、粘着面に剥離紙8を貼着することが好ましい。
【0132】
ところで、本発明においては、発熱体1の交換を容易にするというユーザーの意識を高めるために、粘着材2における発熱体1の貼着側の粘着面が施用面側の粘着面よりも粘着力を低く調整されているものが望ましい。
【0133】
このように調整するには、例えば粘着材2における発熱体1の貼着側の粘着剤層に粘着力を低下させる粘着調整剤を分散させたり、粘着剤層の表面に粘着調整剤を散布させても良いのである。
【0134】
この粘着調整剤としては、粘着剤とは相反する性質を有する非粘着性で、好ましくはブルーム性を有する物質、例えばシリコーン、ポリエチレンワックス、界面活性剤、ポリエチレンの粉末、パラフィンなどがその例として挙げられる。
【0135】
又、粘着力を低下させる他の手段としては、粘着材2における発熱体1の貼着側の粘着面に凹凸を形成してもよいのであり、このように構成することによって、発熱体1と粘着剤層の粘着面積が小さくなって、実質的に粘着力が低下するのである。
【0136】
ところで、本発明においては、上記粘着材2には、例えば遠赤外線放射物質、磁気物質などの放射体を配合ないし配置することが可能であり、これらの物質を配合ないし配置する場合には、温熱効果を一層促進したり、磁気治療効果など発現することができる。
【0137】
この遠赤外線放射物質としては、発熱体1や体温によって波長4〜16μm程度の遠赤外線を放射するものが好ましく、例えばFe2O、FeO、Fe2O3、SiO2、Al2O3、ZrO、ZrO2、BeO、V2O3、V2O5、Y2O3、CoO、CuO、Cu2O、NiO、Ni2O3、MnO、MnO2、MgO、TiO、TiO2、ZnO、ThO2、Na2O、K2O、CaO、BaOなどの無機質酸化物を組み合わせて上記波長の遠赤外線が発錆するように設計すればよい。
【0138】
具体的には、2MgO・2Al2O3・5SiO2・Fe2O3を主成分とする複合体、Li2O・CuO・Al2O3・4SiO2を主成分とする複合体、Al2O3・TiO2を主成分とする複合体などが挙げられる。ここにおいて、主成分とするとは、この化学組成物のみからなる物質の他、これらの成分に他の成分が含まれる場合でもよいという意味である。
【0139】
又、これらの物質を粘着材2に配合することに代えて、発熱体1の施用面側に設けた粘着剤層の表面、或いは、例えば図6の第4の実施例に示すように粘着材2(粘着性ゲルシート)の発熱体1側に遠赤外線放射物質、磁気物質などの物質9を埋設するようにしてもよい。
【0140】
本発明の上述の温熱用具は、上記のように発熱体1と、両面に粘着面を有し、この発熱体1の片面に剥離可能に貼着されると共に、施用面に剥離可能に貼着される粘着材2(粘着性ゲルシート)とを備えるので、発熱体1と粘着材2とを剥離することができる。
【0141】
発熱体1が、人体や着衣に貼着される粘着材2から剥離できるようになると、メーカーにおいては発熱体1に粘着剤層を設ける工程が省略できるので、設備費用を節約できると共に、工程数が少なくなるので大幅なコストダウンを図ることができる。
【0142】
又、粘着材2は繰り返し使用できるようになるので、1つの発熱体1に1つ或いは2つの粘着材2を添付する必要がなくなり、発熱体1のみを交換用として製造、販売できるようになり、粘着材2の材料費用を節約することができる。
【0143】
又、ユーザーから発熱体1と、長期間にわたって繰り返し使用することにより再使用不可となった粘着材2を回収し、洗浄、乾燥することにより粘着材2をリサイクルすることができ、資源の枯渇を長期間にわたって防止できると共に粘着材2の材料費用を一層節約することができる。この場合、粘着材2の洗浄、乾燥はユーザーが行っても良いのである。
【0144】
更に、例えば粘着材2のない貼り替え用の発熱体1を製造し、貼り替え用の発熱体1の販売時にユーザーの使用済みの発熱体1或いは再使用不可となった粘着材2の提供に対して、例えば割引き価格を設定したり、新しい粘着材2を無料で添付したりしてユーザーに使用済みの発熱体1の提供を促進すことができ、発熱体廃棄物の回収を図ることが可能になる。
【0145】
ユーザーにとっては、粘着材2を肌や着衣に貼ったまま、発熱体1を貼り替えることができるようになる上、新しい発熱体1を購入する時に使用済みの発熱体1や使用により粘着力が低下した粘着材2を提供することにより割引き価格によって更に安価に発熱体1を入手できるようになることから、使用済みの発熱体1をそれぞれで廃棄するこれまでの意識から、産業廃棄物として回収させるという意識に改革され、発熱体廃棄物の回収に参加するようになる。
【0146】
そして、メーカーが発熱体廃棄物を回収しようとする意欲と、ユーザーが発熱体廃棄物の回収に参加することによって経済的利益を得ようとする意欲とが相俟って、発熱体廃棄物の回収が促されることになるのである。
【0147】
加えて、上述の第1及び第3の実施例に係る温熱用具は、通気性袋4が互いに適当な間隔を置いて形成されているので、例えば図7に示すように、温熱用具を通気性袋4の中央部で当該通気性袋4を内側にして折り返すことにより、小さく折り畳むことができ、ポケットなどに入れやすくなり、携帯性が高められる。なお、このように折り畳んだ場合には、粘着材2の施用面側の粘着面への異物の付着を防止するために、この粘着材2の表面に剥離紙を貼着することが好ましい。
【0148】
又、上述の第1及び第3の実施例において、例えば図8に示すように通気性袋4の中央部を粘着材2を内側にして折り返すことにより、小さく折り畳むことができ、ポケットなどに入れやすくなり、携帯性が高められる。
【0149】
ここで、粘着材2の粘着剤として互いに粘着させても容易に剥離できる粘着剤を使用する場合には粘着材2どうしを剥離させて温熱用具を容易に拡げることができる。一方、互いに粘着させると容易に剥離できない粘着剤を粘着材2に用いる場合には、剥離紙を挟んで袋4の中央部を粘着材2を内側にして折り返すことにより同様の効果が得られる。
【0150】
又、他の実施例においても、図9に示すように温熱用具を発熱体1の中央部で当該発熱体1を内側にして折り返すことにより、小さく折り畳むことができ、ポケットなどに入れやすくなり、携帯性が高められる。なお、このように折り畳んだ場合には、粘着材2の施用面側の粘着面への異物の付着を防止するため、この粘着面に剥離紙を貼着することが好ましい。
【0151】
又、上記に代えて、図10に示すように、発熱体1の中央部を粘着材2を内側にして折り返すことにより、小さく折り畳むことができ、ポケットなどに入れやすくなり、携帯性を高めることができる。
【0152】
ここで、粘着材2の粘着剤として互いに粘着させても容易に剥離できる粘着剤を使用する場合には粘着材2どうしを剥離させて温熱用具を容易に拡げることができる。一方、互いに粘着させても容易に剥離できない粘着剤を粘着材2に用いる場合には、剥離紙を挟んで発熱体1の中央部を粘着材2を内側に折り返すことにより同様の効果が得られる。
【0153】
以上の説明では、粘着材2の両面が粘着面になっている場合について説明したが、本発明においては、いわゆる、片面粘着テープを用いる場合にも本発明を適用することができる。
【0154】
即ち、本発明においては、上記目的を達成するために、空気の存在によって発熱する発熱体1と、この発熱体1の片面に設けられた粘着剤層と、基材5の片面に貼着と剥離が繰り返し行える粘着層を備える粘着材2からなり、発熱体1における粘着剤層が粘着材2の非粘着性面側に着脱自在に貼着されるようにしても良いのである。
【0155】
つまり、この温熱用具は、発熱体1の片面に粘着剤層を設ける一方、粘着材2として片面粘着性のフィルムないしシートを用い、上記発熱体1を粘着材2の非粘着性面側に着脱自在に貼着するようにした点を除くと上述の発明と同様である。
【0156】
従って、発熱体1、粘着材2に用いられる粘着剤、基材5、衛生剤、遠赤外線放射物質又は磁気物質等は上述の発明の場合と同様である。
【0157】
本発明の温熱用具においては、発熱体1の剥離を容易にし、当該温熱用具の取扱性を良好にするために、発熱体1における粘着剤層と粘着材2における非粘着性面側の粘着力が粘着材2における粘着面と施用面との粘着力よりも低下くなるように調整されているものが有益である。
【0158】
この場合、上述の発明の場合と同様の手段を採用できるのであり、具体的には、例えば発熱体1における粘着剤層に粘着力を低下させる粘着調整剤を分散させたり、発熱体1における粘着剤層の表面を凹凸面に形成したり、することができる。
この粘着調整剤としては上述のものが挙げられる。
【0159】
又、本発明においては、粘着材2における粘着(剤)層側に、無機質或いは有機質の吸水材が分散されているものが、温熱用具を直接人体に適用した場合、吸水材が汗や老廃物等を吸収して粘着力の低下を防止したり、適用部位の皮膚表面を清潔に保つことができるので有益である。
【0160】
この場合、吸水材が、粘着(剤)層と親和性が悪く、均一に分散しない恐れが有るときには、界面活性剤で処理するのが望ましい。
【0161】
この無機質或いは有機質の吸水材或いは界面活性剤としては、上述の発明の場合と同様のものが挙げられる。
【0162】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明は、発熱体と、貼着と剥離が繰り返し行える両面粘着性の粘着材とからなり、この粘着材の片面に上記発熱体が着脱可能に貼着されている。
【0163】
このように粘着材が発熱体から剥離できるようになると、メーカーにおいては発熱体の1つ1つに粘着剤層を設ける必要がなくなるので、このための装置や工程が省略できたり、人員の削減を図ることができる結果、温熱用具の製造コストを大幅に低減できる効果を奏する。
【0164】
又、粘着材は繰り返し使用できるので、その都度、購入する必要が無く、しかも長期間にわたって連続的に使用できるのであり、粘着剤層のない貼り替え用の発熱体は廉価であるのでユーザーがこの廉価な発熱体を購入し易くなる。
【0165】
この場合、温熱用具の取扱店において、貼り替え用の発熱体の販売時に使用済みの発熱体や長期間繰り返し使用して使用不可となった粘着材の提供を要求しても良く、この際、その提供者に対しては貼り替え用の発熱体の割引き価格を設定したり、新しい粘着材を無料で添付したりして、ユーザーに発熱体廃棄物の提供を促進すことができる。
【0166】
ユーザーにとっては、粘着材を肌や着衣に貼ったまま、発熱体を貼り替えることができるようになる上、新しい発熱体を購入する時に使用済みの発熱体を提供することにより割引き価格によって更に安価に発熱体を入手できるようになることから、使用済みの発熱体をそれぞれで廃棄するこれまでの意識から、産業廃棄物として回収させるという意識革命を引き起こされることになる。
【0167】
そして、メーカーが発熱体廃棄物を回収しようとする意欲と、ユーザーが発熱体廃棄物の回収に参加することによって経済的利益を得ようとする意欲とが相俟って、発熱体廃棄物の回収が促進される結果、環境破壊が防止されることになるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1の実施例に係る温熱用具の斜視図である。
【図2】図2は本発明の第1の実施例に係る温熱用具の断面模式図である。
【図3】図3は本発明の第2の実施例に係る温熱用具の断面模式図である。
【図4】図4は本発明の第3の実施例に係る温熱用具の断面模式図である。
【図5】図5は本発明に好適に用いられる粘着材の断面模式図である。
【図6】図6は本発明の第4の実施例に係る温熱用具の断面模式図である。
【図7】図7は本発明の実施例の携帯時の断面模式図である。
【図8】図8は本発明の実施例の他の携帯時の断面模式図である。
【図9】図9は本発明の他の実施例の携帯時の断面模式図である。
【図10】図10は本発明の一実施例の他の携帯時の断面模式図である。
【符号の説明】
1 発熱体
2 粘着材
3 発熱体組成物
4 通気性袋
5 基材
6 粘着剤層
8 剥離紙
Claims (28)
- 空気の存在によって発熱する発熱体と、貼着と剥離が繰り返し行える両面粘着性の粘着材とからなり、この粘着材の片面に上記発熱体が着脱可能に貼着され、前記粘着材における発熱体の貼着側の粘着面が施用面側の粘着面よりも粘着力を低く調整されていることを特徴とする温熱用具。
- 発熱体が空気の存在によって発熱する発熱体組成物と、この発熱体組成物を収納したシート状の通気性袋とからなる請求項1に記載の温熱用具。
- 粘着材が水洗、乾燥によって粘着力が回復するものである請求項1又は2に記載の温熱用具。
- 粘着材がフィルム状ないしシート状に成形された粘着剤からなる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材が基材とこの両面に設けられた粘着剤層からなる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の温熱用具。
- 基材が伸縮性を有するものである請求項5に記載の温熱用具。
- 基材が非通気性のフィルムないしシートで形成されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材の粘着面が皮膚刺激性が無いもので形成されている請求項1ないし7のいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材が衛生剤を含むものである請求項1ないし8のいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材が遠赤外線放射物質を含有又は備えるものである請求項1ないし9のいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材が磁気物質を含有又は備えるものである請求項1ないし10のいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材における発熱体の貼着側の粘着面に粘着力を低下させる粘着調整剤が分散されている請求項1ないし11に記載の温熱用具。
- 粘着材における発熱体の貼着側の粘着面に凹凸を形成してなる請求項12に記載の温熱用具。
- 粘着材における施用面側に吸水材が分散されている請求項1ないし13のいずれかに記載の温熱用具。
- 吸水材が界面活性剤で処理されている請求項14に記載の温熱用具。
- 空気の存在によって発熱する発熱体と、この発熱体の片面に設けられた粘着剤層と、基材の片面に貼着と剥離が繰り返し行える粘着剤層を備える粘着材からなり、発熱体における粘着剤層が粘着材の非粘着性面側に着脱自在に貼着されていることを特徴とする温熱用具。
- 発熱体が空気の存在によって発熱する発熱体組成物と、この発熱体組成物を収納したシート状の通気性袋とからなる請求項16に記載の温熱用具。
- 粘着材が水洗、乾燥によって粘着力が回復するものである請求項16に記載の温熱用具。
- 基材が伸縮性を有するものである請求項16ないし18に記載の温熱用具。
- 粘着材の粘着面が皮膚刺激性が無いもので形成されている請求項16ないし19のいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材が衛生剤を含むものである請求項16ないし20のいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材が遠赤外線放射物質を含有又は備えるものである請求項16ないし21のいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材が磁気物質を含有又は備えるものである請求項16ないし22のいずれか1項に記載の温熱用具。
- 発熱体における粘着剤層と粘着材における非粘着性面側の粘着力が粘着材における粘着面と施用面との粘着力よりも低くなるように調整されている請求項16ないし23のいずれか1項に記載の温熱用具。
- 発熱体における粘着剤層には粘着力を低下させる粘着調整剤を分散させている請求項24に記載の温熱用具。
- 発熱体における粘着剤層の表面を凹凸面に形成している請求項24又は25に記載の温熱用具。
- 粘着材における粘着層に吸水材が分散されている請求項16ないし26のいずれか1項に記載の温熱用具。
- 吸水材が界面活性剤で処理されている請求項27に記載の温熱用具。
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