JP2004105713A - 温熱用具 - Google Patents
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Abstract
【目的】本発明は、外皮に与える温度を電気的且つ容易に37℃以上で43℃以下に制御することにより、低温火傷を生じることのない安全な温度を長時間にわたって使用者に供給し、しかも取り扱い易く、構成が簡単である上、繰り返し使用が可能な温熱用具を提供することを目的とする。
【構成】本発明は、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材の片面に積層され、且つこの粘着材を37℃以上で43℃以下に加温する面状発熱体と、この面状発熱体に電力を供給する電池と、粘着材の温度を検出する温度検出回路と、この温度検出回路の検出温度に基づいて電源をオンオフして粘着材の温度を37℃以上43℃以下に制御する温度制御回路とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
【構成】本発明は、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材の片面に積層され、且つこの粘着材を37℃以上で43℃以下に加温する面状発熱体と、この面状発熱体に電力を供給する電池と、粘着材の温度を検出する温度検出回路と、この温度検出回路の検出温度に基づいて電源をオンオフして粘着材の温度を37℃以上43℃以下に制御する温度制御回路とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度制御が簡単で低温火傷を生じることのない安全な温度を長時間にわたって使用者に供給し、しかも取り扱い易く、構造が簡単である上、繰り返し使用が可能な温熱用具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、温熱用具としては、空気又は酸素の存在によって発熱する発熱体と粘着層の積層体が検討されている。
【0003】
この場合、発熱体は、通気性フィルムで構成された開放部のないシート状袋体の内部に、発熱体組成物、例えば鉄粉、活性炭及び塩類等からなる発熱体組成物を封入してなるものが提案されている(特開昭50−54188号公報、特開昭53−47154号公報、特開昭53−60885号公報、特開昭54−155984号公報、特開昭55−14067号公報、特開昭55−166147号公報、特開昭62−103014号公報、実公昭58−22733号公報等)。
この発熱体は、それらの実施例から明らかなように、50℃前後の温度が得られる。
【0004】
ところで、この温熱用具は外皮に直接当て使用するものであり、使用者が温度変化を敏感に感知しうると共に温度が44℃を超えると低温火傷が発生する。
【0005】
従って、発熱体組成物としてはこの点に充分に配慮して設計すべきであり、温度が50℃前後のものは低温火傷を発生するので、直接外皮に当てて使用できるものではない。
【0006】
また、このものは不織布や紙更に布等でシート状袋が形成されているが、これらのシートは孔径が大きく、従って、通気性及び透湿性が大であるので、使用中にシート状袋体内が減圧状態にならない結果、袋体内の発熱体混合物が自重によって使用中に下降し偏って温度のバラツキが大きくなるだけでなく、著しく使用感が悪くなる。
【0007】
更に、これらのものは、発熱体組成物のバラツキやシート状袋体の孔径のバラツキなどによって、初期温度がバラツキ易い等の問題がある。
【0008】
一方、(1)バンデージ、サポータ、ベルト、ジャケットなどの装着具を介して、発熱体付き温熱用具を患部に固定することが提案されており、しかもこの発熱体としては、人体へのなじみ性を高めるために、手で自由に曲げられる程度の柔軟性を有する面状発熱体が用いられている。
【0009】
この場合、この面状発熱体への電力は、外部の商用電源から制御装置を介して供給される方式が多用されている。
【0010】
又、(2)最近になって、例えば実開平4−103113号公報に示すように、片面に粘着剤を付着させて温熱用具を特殊な部位(つぼ)に固定できるようにした小型生体温熱刺激装置が提案されている。
【0011】
即ち、この従来例は、発熱体を支持する支持体の片面に粘着剤を付着させたり、発熱体を発熱体よりも大幅に面積が大きいカバーで覆い、このカバーの片面に粘着剤を付着させたりして、温熱用具を直接に皮膚に粘着できるようにしている。しかし、この場合、発熱体は導熱体を介して皮膚に熱を与えるようにしている。
【0012】
この発熱体としては、ニクロム線、ポジスタ、豆電球、レーザ、ストロボ放電管、あるいはニッケル、タングステン、銅、銀、金等の熱電材で形成されたフィラメントまたは面状体、コイル状体又は遠赤外線を発生させるセラミック等であり、発熱温度は700℃程度に設計されている。
【0013】
又、この従来例では、発熱体に断熱材を介して固定された電池から発熱体に電力を供給する方式も提案されており、この方式で使用する電池としては、コイン型、円筒型、ピン型などのニッケル・カドミウム電池、リチウム電池など充電可能な電池が用いられている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記(1)のものは、温熱用具の発熱体をバンデージ、サポータ、ベルト、ジャケットなどの装着具を介して患部に固定するために、本人が直接装着できなかったり、或いは本人が装着するのが至極困難である等、その取扱性に著しい課題が残る。
【0015】
又、この面状発熱体への電力の供給方式としては、外部の商用電源から制御装置を介して電力を供給する方式が採用されているが、これでは、使用の際、常に使用者の行動範囲内に商用電源が必要であり、実際には、仕事中や家事活動等の際の使用が不可能で、その患部への適用が著しく制限されるなどの課題がある。
【0016】
上記(2)の従来例においては、本発明のように外皮に低温火傷が生じない程度の低温の温熱を比較的長時間皮膚に供給する温熱治療に適用されるものではなく、温灸治療に用いられるものであって、発熱体が最高700℃程度の温度を周期的に変化させながら、肌に接触させる導熱体を介してつぼに熱を加えるようにしたものである。
【0017】
しかしながら、このものは温度が著しく高く、僅かの時間のズレによって、火傷が生じたり、又、逆に、時間が短くて肌に充分な刺激を与えることができず、所要の温灸治療効果が得られない場合がある。つまり温度と時間を極めて厳格に制御する必要がある結果、極めて特殊且つ高価な制御装置が必要になる。
【0018】
又、このものは、温灸治療に用いられるものであり、相当に高い温度を周期的に変化させるものであるが、このように、発熱体が高温加熱、冷却を繰り返すことによって、その物性が変化し、火傷を生じたり或いは充分な治療効果が得られない場合がある。
【0019】
即ち、本発明は、このような技術的課題を解決するものであって、外皮に与える温度を電気的且つ容易に37℃以上で43℃以下に制御することにより、低温火傷を生じることのない安全な温度を長時間にわたって使用者に供給し、しかも取り扱い易く、構成が簡単である上、繰り返し使用が可能な温熱用具を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の発明に係る温熱用具は、上記目的を達成するために、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材の片面に積層され、且つこの粘着材を37℃以上で43℃以下に加温する面状発熱体と、この面状発熱体に電力を供給する電池と、粘着材の温度を検出する温度検出回路と、この温度検出回路の検出温度に基づいて電源をオンオフして粘着材の温度を37℃以上43℃以下に制御する温度制御回路とを備えることを特徴とする。
【0021】
そして、この温熱用具は、粘着材によって外皮に貼り付けられることにより、粘着材及び面状発熱体で外皮を覆って当該皮膚を密封すると共に、電池から供給される電力で面状発熱体を発熱させ、この面状発熱体の熱を粘着材を介して外皮に適用することにより温熱効果を得るようにしたものである。
【0022】
この場合、粘着材の温度を37℃以上で43℃以下と、低温火傷を発生しない安全な温度範囲に電気的に制御するものであるが、この最適温度の感覚は、個人的な差異があり、これを電気的且つ簡便に制御して自己の最適な温度範囲に調整できるのである。
【0023】
本願の第2の発明に係る温熱用具は、上記目的を達成するために、面状発熱体を備える温熱用具において、この面状発熱体に電力を供給する電池がリチウムポリマー電池であることを特徴とするものである。
【0024】
本願の第3の発明に係る温熱用具は、上記目的を達成するために、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材に埋設される面状発熱体又は抵抗線と、この面状発熱体又は抵抗体に電力を供給して上記粘着材の温度を37℃以上で43℃以下に加温する電池を備えることを特徴とするものである。
【0025】
この明細書において、外皮とは健常なものだけでなく、患部も含めた意味である。
【0026】
更に、この温熱用具は、単に外皮に熱を与えて寒さを凌ぐために用いられるものの他、患部に温熱を加えることにより、例えば薬物治療効果が乏しい慢性疾患や外科的手術の後治療として治療効果が期待できる人体などの生体の部位に適用されたり、経皮吸収性の薬物投与によって治療効果が期待できる人体などの生体に適用されるものである。
【0027】
以下、まず、本願の第1の発明(以下、単に本第1発明と略称する。)を詳細に説明する。
【0028】
本第1発明に用いられる粘着材は、生体の皮膚に直接に粘着できると共に、使用後に剥離できることが必要であり、又、面状発熱体の熱を生体に伝導するために熱伝導性を有するものを用いるが、面状発熱体の発熱温度、粘着材の膜厚などを適宜選定することにより任意の熱伝導率のものを用いることができる。
【0029】
そして、粘着材としては、面状発熱体の消費電力を削減して使用時間を延長するという観点から、熱伝導率が高く、面状発熱体の温度と皮膚温度との差が小さくなるものを選択することが好ましい。
【0030】
又、粘着材は、生体の皮膚に粘着した後に剥離できるものであればよいが、貼着と剥離が繰り返し行えるものが有益である。
【0031】
更に、この粘着材は直接に面状発熱体に粘着させてもよく、又、繰り返し使用を容易にするために、面状発熱体に、熱伝導性の良好な部材を介して粘着してもよい。
【0032】
本第1発明で用いられる両面粘着性の粘着材としてはフィルム状又はシート状に形成されており、その片面に発熱体を貼着、保持でき、且つその他面を外皮に貼着して当該適用箇所に保持できる程度の粘着力を有するものであれば特に限定されるものではないが、特に貼着と剥離が繰り返し行えるものが好ましい。
【0033】
又、この粘着材としては面状発熱体から剥離可能に貼着できるように設計することにより、その使用によって、人体からの老廃物、塵埃などの異物が付着することにより粘着力が低下し、再使用できなくなった場合、面状発熱体から粘着材を剥離後、水洗などによって簡単に洗浄した後、乾燥させると粘着力が回復するような粘着剤が好ましい。
【0034】
この種、粘着材としては、上記粘着剤をフィルム状ないしシート状に成形したもの(いわゆる、ゲルフィルムないしゲルシート)、或いは基材とこの両面に設けられた粘着剤層からなるもの等が挙げられるが、この基材としては、適用部位の伸縮に追従させて突っ張り感や違和感更に剥離等を無くするために伸縮性を有するものが望ましく、又、密封温熱効果を促進するために、基材が非通気性のフィルムないしシートで形成されているものが望ましい。
【0035】
粘着材を基材とその両面に付着させた粘着剤層とで構成する場合、この基材はフィルム状、シート状或いは布状であれば良く、又、その素材は特に限定されない。具体的には、天然又は合成のゴムや合成樹脂で形成されたフィルムないしシート、或いは合成樹脂、天然繊維、合成繊維又はこれらの混紡物で形成された不織布、織布及び布更に紙などが挙げられる。
【0036】
合成樹脂としてはフィルム状やシート状に成形できるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物又はエチレン−酢酸ビニル共重合体などの高分子材料がその例として挙げられる。
【0037】
又、この粘着材の基材は、使用面への馴染み性を高めるためには伸縮性を有することが好ましく、又、温熱効果(密封効果)を高めるために非通気性であることが望ましく、これらの観点から、上記合成樹脂の中でもポリウレタンや塩化ビニルなどのフィルムが好ましい。
【0038】
粘着剤を成形した単層のフィルム状ないしシート状のポリウレタン或いはポリウレタン系の粘着材(ゲルフィルム或いはゲルシート)等において、ゴム状弾性を有するものが、使用面の伸縮に追従して使用感が良好であるので望ましく、又、非通気性であるものが温熱効果(密封効果)を高める上で好ましい。
【0039】
このように温熱効果(密封効果)が得られる構造のものにすることにより、面状発熱体から供給される熱を比較的低温の状態に制御しても使用者は暖かく感じるのであり、しかもこのように低温に制御することによって低温火傷を確実に防止できるから至極有益である。
【0040】
又、本発明で用いられる粘着剤は、外皮に直接適用する場合、人肌にアレルギー性の炎症が発生することを防止するために皮膚刺激性が無いものが好ましい。
【0041】
ところで、粘着材に用いられる粘着剤とは、室温、無溶剤の状態において所望の粘着性(タック)を示し、単に指で押さえるだけで、面状発熱体や外皮に貼着できるのである。
【0042】
粘着剤は基本的には凝集力を与える高分子弾性体と粘着付与剤の2成分を骨格とし、いろいろな弾性を付与する目的で必要に応じて粘着調整剤、粘着改良剤、安定剤、着色剤、防カビ剤、消泡剤、増粘剤、老化防止剤などが添加される。
【0043】
又、上記高分子弾性体はジエン系弾性体、エチレニック系弾性体或いは縮合系弾性体に分類される。
【0044】
ジエン系弾性体を用いる粘着剤はゴム系粘着剤と呼ばれ、ゴム成分と粘着付与剤(タッキファイヤ)を1:0.5〜2の割合に混合したものが用いられる。
【0045】
上記ゴム成分としては天然ゴム(NR)、合成天然ゴム(ポリイソプレン)、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(BR)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)やスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)などのブロック共重合体、再生ゴム、熱可塑性ゴムなどが主に使用される。
【0046】
上記エチレニック系弾性体の代表的なものとしてはアクリル系ポリマーであり、アクリル系粘着剤とも呼ばれる。アクリル系粘着剤のベースとなるアクリルポリマーは、一般にそれ自身で粘着を発現し、粘着付与剤を必要とせず、ポリマーを構成するモノマーは大きく分けて粘着成分として働くもの、凝集成分として働くもの、改質成分として働くものの3成分から成り立っている。
【0047】
粘着成分はアルキル基の炭素数が4〜10のアクリル酸アルキルエステルが適し、Tgが−20〜−70℃程度の低いものであり、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどのC2以上のアルキルエステルが代表的である。
【0048】
この粘着成分は主成分として用いられ、粘着性に富んでいるが、凝集性に欠けるために凝集成分が必要になる。凝集成分としては、例えば(1)メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートなどC1〜C2の低級アルキル基のアクリル酸エステル、(2)C2〜C8のアルキルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル、(3)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどC1〜C3のビニルエステル、(4)アクリルニトリル、(5)スチレン、(6)塩化ビニリデンなどのビニルモノマーなど、非重合可能でTgが高くなるようなモノマーが用いられる。この凝集成分は、凝集性を高めるだけでなく、ときには接着性の向上、耐水性の向上、透明性の向上などの性能の向上に役立ち、粘着剤の特殊性を出すのに用いられている。
【0049】
改質成分は、一般にこれら粘着成分及び凝集成分と共重合可能な官能基が挙げられるのであり、(1)アクリル酸、メタクリル酸又は無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、(2)アクリルアミド、アクリルアミド誘導体などの不飽和カルボン酸アミド及び変性体、(3)水酸基含有モノマー、(4)アクリルニトリル、(5)ヒドロキシエチルアクリレート、(6)グリシジルアクリレートをその例として挙げることができる。
【0050】
この改質成分は、架橋を施すのに役立つことは勿論であるが、凝集性を高めたり、接着性を向上させるのにも有用であり、又、重合中の反応速度を促進させるのにも役立っている。
【0051】
なお、アクリル系粘着剤は基本的には上記の3成分を含むが、場合によっては1成分或いは2成分で構成されることもある。又、アクリル系粘着剤は単一成分から成るため透明性が高く、耐久性が優れており、主にエマルジョン型及び溶液型の粘着剤として使用されている。
【0052】
このエチレニック系弾性体には、上記のアクリル系ポリマーの他にビニルエーテル系弾性体が用いられることがある。このビニルエーテル系弾性体を使用する粘着剤はビニル系粘着剤と呼ばれ、C2〜C4のアルキルビニルエーテル重合物で構成される。
【0053】
このビニル系粘着剤では、高分子量物と低分子量物とを混合して粘着力と保持力、タックのバランスを保つようにしているが、タックや粘着力の増強に他の樹脂を併用する場合もある。もっとも、ビニルエーテル系弾性体の中でも、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体は水溶性であるため、本発明には適していない。
【0054】
上記縮合系弾性体を用いる粘着剤はシリコーン系粘着剤と呼ばれ、このシリコーン系粘着剤はポリジメチルシロキサンゴムを主成分とし、このポリジメチルシロキサンにジメチルシロキサンを含む低分子量のシリコーン樹脂が添加されている。
【0055】
ゴム状シロキサンはフィルム形状と膜の凝集力を与え、シリコーン樹脂は粘着性や接着性を与える。このシリコーン系粘着剤は広い温度範囲で使用可能で、耐熱性、耐久性ともに優れている。
【0056】
上記粘着付与剤は、粘着付与樹脂、可塑剤、油脂類、高分子低重合物、架橋剤、接着改良剤、充填剤、その他の配合剤に分類することができる。
【0057】
粘着付与樹脂としては、天然樹脂であるロジン、ロジン変性体、ロジン又は変性ロジンの誘導体、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂(ポリテルペン)、テルペン変性体、脂肪族系炭化水素樹脂、シクロペンタジエン樹脂、芳香族系石油樹脂、非反応性フェノール樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、ビニルトルエン−αメチルスチレン共重合体など、分子量1000前後のものが用いられる。
【0058】
一般には固形樹脂が多いが、中には水添ロジンやそのエステルのような液状樹脂もある。粘着付与剤は使用する弾性体に相溶性がよく、粘着性を与えるものでなければならず、相溶性は粘着性を付与する根源になる。又、粘着付与剤は酸化性が著しくないことが望ましく、この観点からはロジン系の中の水添ロジン、ポリテルペン、C5やC9系の石油樹脂などが推奨される。
【0059】
粘着力やタックを与えるためには、実際は弾性体の種類によって粘着付与剤の種類や融点が選択され、時には二つ以上の粘着付与樹脂が併用される。
【0060】
可塑剤は、一般には加工性、柔軟性、弾性及び可撓性を高めると共に、低温における柔軟性やゴム状弾性、即ち、耐寒性を向上させる性質がある。しかし、粘着剤の本質である粘着を単独で発現することは難しいので、粘着付与樹脂などと併用するのが望ましい。可塑剤としては、フタル酸系可塑剤、リン酸エステル可塑剤、アジピン酸エステル可塑剤、セバチン酸エステル可塑剤、リシノール酸エステル可塑剤、ポリエステル型可塑剤の他、塩化パラフィン、シリコーンなどをその例として挙げることができる。高分子ポリエステルは低温で柔軟性を増し、シリコーンは低温での可塑性の向上はもとより、低温粘着性の向上にも役立つのである。
【0061】
油脂類は、可塑剤と同じ作用があり、可塑性を付与する目的と粘着調整剤や接着改良剤として用いられる目的とがある。油脂類には、動物油、植物油、鉱物油、シリコーン油等が含まれる。この油脂類は価格的にも安く、可撓性を増加させるので配合剤として魅力があるが、粘着剤の凝集性を急速に低下させるので配合量には注意を要する。
【0062】
高分子低重合物は、可塑剤や油脂類と同様な目的で用いられる他、それ自身の高分子としての役割が付与される。即ち、粘着付与性、接着性、流動調整などのために用いられる。ポリビニルエーテル系やポリイソブチレン系粘着剤においてはそれぞれのポリマーの分子量の高低で粘着性を付与し、粘着力、保持力及びタックのバランスを保持している。
【0063】
高分子低重合物の中には、これ以外に粘着剤原料のうちの弾性体や粘着付与樹脂にも見い出すことができる。SBR、BR、ポリアクリル酸エステル、ロジン系粘着付与樹脂の中の水添ロジンメチルエステル、低分子スチレン樹脂、ポリテルペンなどがその例として挙げられる。
【0064】
架橋剤は、使用する弾性体や何を架橋させるかによって選ばれ、一般に、ゴム系粘着剤では硫黄−加硫促進剤系で加硫(架橋)する場合が多いが、特に、アルキルフェノール樹脂を架橋成分とし、アルミニウムアルコレート、ポリイソシアネート、ジンクレジネートなどを架橋剤として用いる例が挙げられる。
【0065】
ゴム系粘着剤の架橋剤としては、テトラメチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメラレンチウラムテトラサルファイド、ジブチルチオカーバメート亜鉛などの硫黄化合物、セレニウム、硫黄などの単体、油溶性熱硬化性フェノールホルムアルデヒド樹脂、メチロール化尿素ホルムアルデヒト樹脂などの脂肪化合物などが挙げられる。
【0066】
アクリル系粘着剤は、ゴム系粘着剤と異なり、容易にポリマーの中に官能基を導入することができる特徴があるが、架橋方法によって粘着剤の性能が変わるので、目的に合った架橋方法を選定する必要がある。通常、アクリル系粘着剤に用いられる架橋方法としては、カルボン酸/ポリイソシアネート、N−メチロールアクリルアミド、グリシルアクリレート/アミン類化合物、更に、各種エーテル化したアルデヒド変性カルボン酸アミド類、ジケトン/熱硬化性フェノール樹脂、エポキサイド又はエポキシ樹脂がある。
【0067】
粘着剤に用いられる天然ゴムや合成ゴムに充填剤を配合すると、ゴムの補強が行われ、引っ張り強さ、引き裂き強さ、耐摩耗性、硬度などが向上したり、その容積を増加させて価格を引き下げることができる。
【0068】
この際、充填剤粒子の大きさ、表面積、集合状態、分散性などが補強効果に著しく影響する。この効果はゴム分子と充填剤との相互作用によってゴムと充填剤とのすべりを調整するものと考えられ、充填剤が存在すればその分だけ流動成分の組成分率が少なくなり、流れ難くなり、粘着性に欠ける結果となるので、使用に際しては流動性と圧縮抵抗とを考慮して配合される。この場合、充填剤のもつ圧縮抵抗と流動性の制御にケイ酸ゲルを用いることがある。
【0069】
ゴム系粘着剤に使用される充填剤としては、無機質充填剤と、有機質充填剤とに大別される。
この無機質充填剤としては、アルミニウム、銅、鉄、鉛などの金属粉、珪酸質、珪酸塩、珪石、珪藻土、アルミナなどのバン土質、炭酸カルシウム、石膏などの石灰質、マイカ、クレーなどのバン土珪酸質、タルク、アスベストなどの苦土珪酸質、グラファイト、カーボンブラック、ホワイトカーボンなどの炭素或いは炭化物、その他セメント、酸化アンチモン、亜鉛華、炭酸マグネシウムなどがその例として挙げられる。
【0070】
又、有機質充填剤としてはリンター、リネン、サイザル木粉などの植物性天然物、絹などの動物性天然物、ビスコース、アセテート、ポリアミド、ビニロン、塩化ビニルなどの人造又は合成物がその例として挙げられる。
【0071】
充填剤は、粘着剤の配合の中で他の原料のように粘着剤に関与する特性を顕著に付与する作用はなく、具体的には凝集力の向上や圧縮抵抗の増加、流動性の制御などの作用がある。しかし、例えば、シリカの混入によりポリオレフィンの接着性がよくなるように、充填剤にも粘着剤の機能を多いに向上させ、接着性などを付与させる場合もある点に着目して選択する必要が有る。
【0072】
ゴム系粘着剤は自着性が強く、配合により所望の粘着性を自由にコントロールできる特徴を持つ反面、耐久性は他の粘着剤に比較すると劣っている。又、ゴム系粘着剤は主に溶液型粘着剤として使用され、その他、カレンダ塗工、ホットメルト塗工などが行なわれるが、エマルジョンとして使用される例は希である。なお、ゴム系粘着剤は多成分系であるため、溶解性の差から使用する溶剤により粘着性に影響を受けることがある。
【0073】
安定剤は特にビニル系粘着剤或いは配合中のビニル系樹脂に用いられ、概ね塩素含有樹脂に用いられる。フェノール系やビスフェノール類、アミン類、含硫黄化合物、亜リン酸塩類、エポキシ化合物、有機金属塩類などがあり、ポリマー破壊防止にしている。
【0074】
着色剤は、例えば粘着剤を白色にする場合などに使用されるが、顔料を多量に使用すると粘着性に影響するので、少量で目的の着色が施されることが望ましい。白色の場合には、隠蔽力の大きい酸化チタンが多用され、亜鉛華、炭酸カルシウムなども多用されている。
【0075】
紫外線防止剤は老化防止剤と同様、透明な粘着テープなどの光による黄変、黒化などの光による老化を防止するために用いられるのであり、具体的には、例えばベンゾフェノン系、サルチレート系、ベンゾトリアール系、置換アクリルニトリル系などが挙げられる。
【0076】
防カビ剤、消泡剤、増粘剤は、特にエマルジョン型粘着剤に用いられ、防カビ剤としては亜ヒ酸、亜酸化銅などの無機化合物と、有機硫黄化合物、フェノール系化合物、有機銅系化合物などの有機化合物とが挙げられる。
【0077】
消泡剤は、シリコーンエマルジョン、アルコール類は知られているが、これらは消泡効果とともに剥離性(離型性)を持っているので、余り多量に使用することは粘着性を低下させる。このため、少量で効果のある消泡剤を選定しなければならない。
【0078】
増粘剤は、エマルジョンの粘度増加を目的としているもので、一般的には水溶性高分子、コロイドが用いられる。エマルジョンの種類によって使い分ける必要が有り、例えばSBR、NRのようなゴムラテックスにはカゼイン、トラントゴムなどを、アクリル系やビニル系エマルジョンにはPVA、ポリアクリル酸ソーダ、CMC、メチルセルロースなどを用いる。増粘剤は粘度を増加させるばかりでなく、エマルジョンの安定性も付与するので、適正な増粘剤を選定する必要がある。又、増粘剤は高分子物質であるため粘着剤層内に含まれるから、当然に粘着性にも影響を与えることを十分に考慮する必要がある。
【0079】
これらゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤はいずれも水洗することにより表面に付着したゴミなどの異物を洗い落とすことができ、乾燥させれば再び粘着力を回復するので、いずれを用いてもよいが、特に、皮膚刺激性が無く、しかも貼着と剥離を繰り返すことによって粘着力が低下すると、水洗、乾燥により粘着力が回復する特性が顕著なアクリル系粘着剤を用いることが好ましく、アクリル系粘着剤の中でも、ポリアクリル酸ゲルをシート状に成形したものを用いることが好ましい。
【0080】
本第1発明においては、粘着材が衛生剤を含むものが、生体から放散される水分や臭い成分、又は温熱用具の適用箇所で発生ないし繁殖した細菌等と衛生剤とを効率良く接触させてこれらの成分を、物理的に吸着させたり、化学的に分解したり、或いは減菌作用ないし殺菌作用を発現しうるので有益である。
【0081】
即ち、外皮に温熱用具を適用した場合、面状発熱体からの熱によって、温熱用具の適用箇所に発汗等による老廃物や汗等が滞留し、雑菌が繁殖して異臭を放つ恐れが有る。
【0082】
このため、粘着材の粘着(剤)層中に衛生剤を混入させることが望ましいが、この衛生剤としては、例えば抗菌剤、殺菌剤、防黴剤、消臭剤又は脱臭剤等の衛生剤のうちの1種又は2種以上が挙げられる。
【0083】
また、本発明において、抗菌剤や殺菌剤或いは防黴剤としては、減菌作用ないし殺菌作用を発現するものであれば特に限定されうものではなく、具体的には、例えば石炭誘導体、サリチル酸、硼酸、サラシ粉、ヨード剤、重金属化合物、逆性石鹸、酢酸、ウンデシレン酸などの脂肪酸系の物質、サリチル酸系の物質、チアントール系の物質、タール系の物質、酢酸フェニル水銀などの水銀系物質、イオン、抗生物質、ポリック、ダンバ又はアスレタンなどが挙げられる。
【0084】
また、本第1発明において、消臭剤又は脱臭剤の他例としては臭いの成分を酸化或いは還元して化学的に分解するようなものでも良く、この例としては、以下のものが挙げられる。
【0085】
即ち、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカゲル、ゼオライト又は活性炭等の乾燥剤や他の担持体に、白金族元素やこの化合物等の分解剤が含有されたものが挙げられる。
【0086】
又、本第1発明においては、粘着材が遠赤外線放射物質或いは磁気物質を含有又は備えるものが、以下に述べる理由より有益である。
【0087】
この遠赤外線放射物質としては、発熱体や体温によって、遠赤外線を放射することによって温熱効果を促進する物質である。
【0088】
遠赤外線放射物質としては、発熱体や体温によって波長4〜16μm程度の遠赤外線を放射するものが好ましく、例えばNa2O、K2O、CaO、BaO、MgO、Fe2O、FeO、Fe2O3、SiO2、Al2O3、ZrO、ZrO2、BeO、V2O3、V2O5、Y2O3、CoO、CuO、Cu2O、NiO、Ni2O3、MnO、MnO2、TiO、TiO2、ZnO、ThO2などの無機質酸化物を組み合わせて上記波長の遠赤外線が放射されるようにすればよい。
【0089】
具体的には、例えば2MgO・2Al2O3・5SiO2・Fe2O3を主成分とする複合体、Li2O・CuO・Al2O3・4SiO2を主成分とする複合体、ZrO、ZrO2、Al2O3・TiO2を主成分とする複合体、Al2O3・TiO2を主成分とする複合体などが挙げられる。ここにおいて、主成分とするとは、この化学組成物もののみからなる場合の他、これらの成分に他の成分が含まれる場合でもよい意味である。
【0090】
本第1発明で用いられる磁気物質としては、血行の促進等、外皮に適用することによる磁気治療効果を発現するものである。
【0091】
この場合、用いられる磁石としては500ガウス以上、特に800ガウス以上2500ガウス未満のものが望ましいが、500ガウス以下のものも使用可能である。
【0092】
本第1発明で用いられる遠赤外線放射物質又は磁気物質の形状や大きさは特に限定されるものではなく、形状としては粉末、半球状、円盤状、半楕円状、板状、直方体又は立方体等が挙げられるのであり、又、大きさとしては数μm〜2000μm、特に10μm〜1000μmの範囲とするのが人体に与える物理的な刺激等の観点より望ましい。
【0093】
本第1発明において、遠赤外線放射物質又は磁気物質を温熱用具のどの箇所に担持させるかは特に限定されるものではないが、特に粘着材に含有させたり、或いは粘着材と発熱体との間に担持させたり、更に粘着材における人体への使用面側に担持させて、遠赤外線による温熱効果を得たり、磁気による磁気治療効果を得るのが望ましい。
【0094】
本発明においては、粘着材における使用面側に、無機質或いは有機質の吸水材が分散されているものが、温熱用具を直接人体に適用した場合、吸水材が汗や老廃物等を吸収して粘着力の低下を防止したり、適用部位の皮膚表面を清潔に保つことができるので有益である。
【0095】
上記無機質保水材としては無機質で保水性を有するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばパーライト、クリストバライト、バーミキュライト、シリカ系多孔質物質、ケイ酸カルシウム、シリカ粉、木粉等が挙げられる。
【0096】
又、上記有機質保水材としては有機質で保水性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば吸水能力が自重の15倍以上、好ましくは20倍以上のものが好ましい。具体的には、特公昭49−43395号公報に開示されている澱粉−ポリアクリロニトリル共重合体、特公昭51−39672号公報に開示されている架橋ポリアルキレンオキシド、特公昭53−13495号公報に開示されているビニルエステル−エチレン系不飽和カルボン酸共重合体ケン化物、特公昭54−30710号公報に開示されている逆相懸濁重合法によって得られる自己架橋ポリアクリル酸塩、特開昭54−20093号公報に開示されているポリビニルアルコール系重合体と環状無水物との反応生成物、特開昭59−84305号公報に開示されているポリアクリル酸塩架橋物、ポリアクリル酸ソーダ、CMC等が挙げられる。
【0097】
この場合、吸水材が、粘着(剤)層と親和性が悪く、均一に分散しない恐れが有るときには、界面活性剤で処理するのが望ましい。
【0098】
本第1発明で用いられる界面活性剤としては吸水材を処理することによって当該吸水材が粘着材の粘着層中に分散し易くなるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤が挙げられる。
【0099】
本第1発明で好適に用いられる界面活性剤としては、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、或いは、リン酸エステル塩型の界面活性剤、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルナトリウム塩等の界面活性剤、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸やその金属塩、低重合度ポリカルボン酸の塩、例えば低重合度ポリアクリル酸ソーダ、低重合度ポリアクリル酸ブチル、低重合度ポリメタアクリル酸ソーダ、更に、スルホン化ポリスチレン等の界面活性剤等が挙げられる。
【0100】
本第1発明においては、遠赤外線放射効果を有効に発現するために、面状発熱体における外皮側に遠赤外線放射物層を形成しても良いのである。
【0101】
この場合、上述の遠赤外線放射物の塗料を形成し、これを面状発熱体における外皮貼着側に塗工、乾燥すれば良いのである。
【0102】
本第1発明においては、粘着材に経皮吸収性の薬物を配合することにより、局所治療効果を向上させたり、温熱効果によって循環が活発になった血液などに薬物を吸収させて効果的に生体内の各部に薬物を循環させることができるので、各部位の投与効果を高める上ですこぶる好ましい。
【0103】
本第1発明で用いられる薬物としては、経皮吸収性のものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば皮膚刺激剤、鎮痛消炎剤、中枢神経作用剤(睡眠鎮静剤、抗てんかん剤、精神神経用剤)、利尿剤、血圧降下剤、冠血管拡張剤、鎮咳去痰剤、抗ヒスタミン剤、不整脈用剤、強心剤、副腎皮質ホルモン剤、局所麻酔剤等が挙げられる。
【0104】
これら薬効成分は、一種又は必要に応じて二種以上配合されて用いられる。 その配合割合としては薬効が得られる範囲であれば特に限定されるものではなく、例えば粘着剤全体を100重量部とした場合、0.01〜30重量部の範囲内で適宜、設定される。
【0105】
本第1発明に用いられる電池としては、携帯性があるものであれば一次電池或いは二次電池のいずれも使用が可能で特に限定されるものではないが、簡便性及び経済性等の観点から、特に、二次電池が望ましい。
【0106】
具体的には、例えばボタン型又は円柱型等のアルカリマンガン電池やニッケル・カドミウム電池、リチウム電池、リチウムポリマー電池更に太陽電池などが例として挙げられる。
【0107】
又、電池から面状発熱体への電力の供給は、連続的に行うようにしても良く、或いはオンオフを繰り返して間欠的に行っても良いが、電池の使用可能な時間を延長するために間欠的に行うのが望ましい。
【0108】
即ち、電池の使用に当たり、連続的に使用する場合と間欠的に使用する場合において、電池の容量が一定としたとき、オンの時間とオフの時間を同一にすると、電池の使用可能な時間は2倍となる。従って、この温熱用具の使用感により、オン時間とオフ時間を適宜変更して使用時間の延長を図れば良いのである。
【0109】
本第1発明においては、面状発熱体の消費電力を削減して使用時間を延長するために、面状発熱体の露出面が断熱材で被覆され、この面状発熱体の表面からの放熱を防止するのが有益である。
【0110】
上記断熱材としては、面状発熱体の露出面に積層されて当該面状発熱体を断熱するものであれば特に限定されるものではない。
【0111】
そして、この断熱材は、面状発熱体から周囲の雰囲気中に熱が放散されることを防止するためのであり、又、温熱用具に電池が取り付けるにあたり、断熱材の露出面に電池が取り付けられていると、面状発熱体からの熱が電池及びスイッチに伝達されるのを防ぐので、温熱用具の信頼性が高くなるだけでなく、温熱用具の寿命が長くなって至極経済的である。
【0112】
この場合、断熱材は、温熱用具の薄肉化を図るために、薄くて高い断熱効果が得られることが好ましく、又、温熱用具の生体表面へのなじみ性を高めるために、柔軟であることを要す。この断熱材としては、特に低価格化を図るために、市販品を用いることが推奨される。
【0113】
このような断熱材としては、ゴムや合成樹脂の発泡体、ネル、タックシステム(株)製カルソフト(登録商標)、積水化学工業製高機能ソフトロン(登録商標)、東レ製トーレペフ(高圧法ポリエチレン)(登録商標)などがその例として挙げられる。
【0114】
ところで、本第1発明の温熱用具においては、この温熱用具に電池が取り付けられていると、携帯性や取扱性が一層容易になるので、この観点からも至極有益である。
【0115】
本第1発明において、外皮に直接に粘着される粘着材の温度は温熱効果が得られる下限の温度以上にする必要があるので、温度を37℃以上に制御する必要があり、又、長時間使用されるから、適用部の低温火傷を防止するために43℃以下に制御する必要がある。
【0116】
この温度制御は、経験的に、例えば粘着材の温度が37℃以上43℃以下に制御される面状発熱体の好適な抵抗値及び電池電圧とを求め、これらの好適値ないしは最適値に面状発熱体の抵抗値及び電池電圧を固定的に設定することにより実現することが可能である。
【0117】
粘着材の温度は、主として適用部の皮膚温度、面状発熱体の温度及び発熱量(出力)、及び環境温度によって決定されるが、これらのうち、適用部の皮膚温度及び環境温度、特に環境温度は大幅に変化する。そして、この変化を考慮に入れて面状発熱体の抵抗値及び電池電圧を固定的に設定することが困難になる場合がある。
【0118】
即ち、低温火傷を確実に防止するために、面状発熱体の抵抗値及び電池電圧を固定的に設定して面状発熱体の出力を小さく設定すると、面状発熱体が温熱効果が生じる37℃以上に到達するまでの時間(立ち上がり時間)が長くなるという問題が生じる。
【0119】
又、面状発熱体の抵抗値は温度の上昇に伴い減少するが、これに逆比例して電流値が高くなるので、抵抗値に比例し、かつ、電流値の二乗に比例する面状発熱体の出力は温度の上昇に伴い増大する傾向を示す。従って、使用時間の短縮を図るために、面状発熱体の出力を大きく設定した場合には、使用時間が長くなると面状発熱体の温度が43℃以上に達して低温火傷にかかる恐れが生じる場合がある。
【0120】
そこで、本第1発明においては、温熱効果と低温火傷の防止という観点から、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材の片面に積層され、且つこの粘着材を37℃以上で43℃以下に加温する面状発熱体と、この面状発熱体に電力を供給する電池と、粘着材の温度を検出する温度検出回路と、この温度検出回路の検出温度に基づいて電源をオンオフして粘着材の温度を37℃以上43℃以下に制御する温度制御回路とを備えて、粘着材の温度が確実に37℃以上43℃以下に制御されるようにすることが有益である。
【0121】
又、本第1発明において、温熱効果と低温火傷の防止という目的を達成する別の手段としては、粘着材又は面状発熱体の温度を検出する温度検出回路と、この温度検出回路の検出温度に基づいて電源をオンオフして粘着材の温度を37℃以上43℃以下に制御する温度制御回路とを備えることが挙げられる。
【0122】
なお、この電源のオンオフ制御の中には、電源出力をパルス状に出力させて、そのパルス幅、周波数或いは振幅を制御することも含まれている。
【0123】
又、使用者の個性によっては、体温が低いために37℃程度でも温熱効果が得られない場合があり、一方、43℃程度であっても低温火傷にならない場合もある。この様な場合を考慮すれば、本第1発明においては、使用者が粘着材の温度を37℃以上43℃未満の範囲で自由に調節ないし調整できるようにすることが好ましい。
【0124】
即ち、例えば面状発熱体に並列に接続される可変抵抗を設け、この可変抵抗の抵抗値を変化させることにより面状発熱体の電流値を変化させて面状発熱体の発熱量を変化させることが好ましい。
【0125】
又、粘着材の温度を37℃以上43℃未満の範囲で調節ないし調整できるようにするためには、面状発熱体に切替えスイッチを介して並列に接続される固定抵抗を設け、この固定抵抗の面状発熱体への接続をオンオフすることにより面状発熱体の電流値を切替えて面状発熱体の発熱量を変化させるという手段でも実現できる。
【0126】
ところで、温熱用具の使用に当たり、通電時の電池電圧が一定である場合、抵抗値が一定であると、電流値が一定になるので、電力計算が容易になる。従って、このような場合には、予め、最適の抵抗値を算出、決定することによって、所望の出力が得られる結果、特殊な制御回路が不要になるので至極有益である。
【0127】
次に、本第1発明で好適に用いられる面状発熱体としては、外皮の曲面に沿って自由に曲がる程度の柔軟性を有することが好ましく、例えば抵抗線とこれを担持する布又はシートとを備えるもの、高分子物質に導電性粉末を配合したものをシート状に成形した高分子複合発熱体、高分子複合発熱繊維ないし高分子複合発熱線を交えて編成又は織成された布、高分子物質に導電性粉末を配合して繊維状に成形した高分子複合発熱繊維、耐熱性高分子化合物に導電性粉末を配合して線状に成形した高分子複合発熱線などを柔軟性と絶縁性を有する膜体に担持させたもの、などをその例として挙げることができる。
【0128】
ここで、この膜体としては織布、不織布、多孔質合成樹脂シート、高密度合成樹脂シートが代表的であり、これらに抵抗線、高分子複合繊維ないし高分子複合発熱線を交織、漉き込み、積層、埋設などの方法で担持される。
【0129】
なお、この種の面状発熱体としては、部品コストの削減による低コスト化を図るため市販の面状発熱体を用いることが推奨される。
【0130】
次に、本願の第2の発明(以下、単に本第2発明と略称する。)に係る温熱用具を詳細に説明すると、この温熱用具においては、面状発熱体を備える温熱用具において、この面状発熱体に電力を供給する電池がリチウムポリマー電池であることを特徴とする。
【0131】
即ち、本第2発明において最も重要なことは電池がリチウムポリマー電池であることであり、このリチウムポリマー電池は、ポリマー電解質をリチウム合金と炭素酸化物とでサンドイッチした構造を備え、厚さが約0.5mm程度と薄く、手で自由に曲げられる柔軟性を有するので、生体表面(外皮)へのなじみ性が、剛性を有する従来の電池よりも、高いのである。
【0132】
このリチウムポリマー電池は、同重量で比較すると、使用時間がニッケル・カドミウム電池の6倍程度、リチウム電池の2〜3倍程度であり、しかも、製造コストをリチウム電池の半分以下に抑えることができるという利点もある。
【0133】
加えて、この温熱用具にリチウムポリマー電池が取り付けられていると、携帯性や取扱性が一層容易になるので、この観点からも至極有益である。
【0134】
このリチウムポリマー電池は、最近、米国ペンシルベニア州のホープ・テクノロジーによって携帯電話、携帯パソコン等の携帯機器、電気自動車などに用いる電池として開発されたものである。
【0135】
本第2発明は、電池として、特に、リチウムポリマー電池を用いた点に最も大きな特徴を有するものであり、従って、本第2発明において、面状発熱体の片面に積層される粘着材、或いは貼着と剥離が繰り返し行える粘着材としては、具体的には、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0136】
又、本第2発明においては、面状発熱体とリチウムポリマー電池の間に断熱材が設けられているものが、以下に述べる理由より、至極有益である。
【0137】
このように構成されていることにより、面状発熱体の消費電力を削減して使用時間を延長することができる上、面状発熱体からの熱が電池及びスイッチに直接伝達するのを防ぐので、温熱用具の信頼性が高くなるだけでなく、温熱用具の寿命が長くなって至極経済的である。
【0138】
上記断熱材としては、面状発熱体の露出面に積層されて当該面状発熱体を断熱するものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0139】
ところで、本第2発明に係る温熱用具は、外皮に与える温度を電気的且つ容易に37℃以上で43℃以下に制御することにより、低温火傷を生じることのない安全な温度を長時間にわたって使用者に供給するようにしたものであり、この温熱用具の面状発熱体が直接外皮に適用される場合、この面状発熱体の温度或いは外皮に貼着される粘着材の温度が37℃以上で43℃以下に制御されていることを要する。
【0140】
本第2発明において、外皮に直接に粘着される粘着材の温度は温熱効果が得られる下限の温度以上にする必要があるのでその温度を37℃以上に制御する必要があり、又、長時間使用されるから、適用部の低温火傷を防止するために43℃以下に制御する必要がある。
【0141】
このように温度を制御する手段としては温熱用具の面状発熱体が直接外皮に適用される場合、この面状発熱体の温度或いは外皮に貼着される粘着材の温度が37℃以上で43℃以下に制御されるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0142】
又、本第2発明において、両面粘着性の粘着材、フィルム状ないしシート状に成形された粘着材、基材とこの両面に設けられた粘着剤層からなる粘着材、粘着面が皮膚刺激性が無い粘着材、衛生剤を含む粘着材、遠赤外線放射物質を含有又は備える粘着材、磁気物質を含有又は備える粘着材、吸水材が分散されている粘着材、この場合、吸水材が界面活性剤で処理されているもの、更に、経皮吸収性の薬物が配合されている粘着材としては、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0143】
更に、本第2発明においては、遠赤外線放射効果を有効に発現するために、面状発熱体における外皮貼着側に遠赤外線放射物層を形成しているものが、至極有益である。
【0144】
次に、本第2発明で好適に用いられる面状発熱体としては、外皮の曲面に沿って自由に曲がる程度の柔軟性を有することが好ましく、例えば抵抗線とこれを担持する布又はシートとを備えるもの、高分子物質に導電性粉末を配合したものをシート状に成形した高分子複合発熱体、高分子複合発熱繊維ないし高分子複合発熱線を交えて編成又は織成された布、高分子物質に導電性粉末を配合して繊維状に成形した高分子複合発熱繊維、耐熱性高分子化合物に導電性粉末を配合して線状に成形した高分子複合発熱線などを柔軟性と絶縁性を有する膜体に担持させたもの、などをその例として挙げることができる。
【0145】
ここで、この膜体としては織布、不織布、多孔質合成樹脂シート、高密度合成樹脂シートが代表的であり、これらに抵抗線、高分子複合繊維ないし高分子複合発熱線を交織、漉き込み、積層、埋設などの方法で担持される。
【0146】
なお、この種の面状発熱体としては、部品コストの削減による低コスト化を図るため市販の面状発熱体を用いることが推奨される。
【0147】
更に、本願の第3の発明(以下、単に本第3発明と略称する。)に係る温熱用具を詳細に説明すると、この温熱用具においては、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材に埋設される面状発熱体又は抵抗線と、この面状発熱体又は抵抗体に電力を供給して上記粘着材の温度を37℃以上で43℃以下に加温する電池を備えることを特徴とする。
【0148】
即ち、本第3発明において最も重要なことは、特に、面状発熱体又は抵抗線が粘着材に埋設されている点に最も大きな特徴を有するものであり、このように構成することによって、面状発熱体又は抵抗線の断熱性が至極良好になる結果、面状発熱体からの熱効率が著しく良好になるのであり、しかも面状発熱体における外皮貼着面側と反対側の粘着材を用いて断熱材の粘着、積層が至極容易になるので好ましい。
【0149】
又、本第3発明においては、特に、面状発熱体又は抵抗線が粘着材に埋設される点に最も大きな特徴を有するものであり、従って、本第3発明において、用いられる粘着材、或いは貼着と剥離が繰り返し行える粘着材としては、具体的には、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0150】
本第3発明に用いられる電池としては、携帯性があるものであれば一次電池或いは二次電池のいずれも使用が可能で特に限定されるものではないが、簡便性及び経済性等の観点から、特に、二次電池が望ましい。
【0151】
具体的には、例えばボタン型又は円柱型等のアルカリマンガン電池やニッケル・カドミウム電池、リチウム電池、リチウムポリマー電池更に太陽電池などが例として挙げられる。
【0152】
又、電池から面状発熱体への電力の供給は、連続的に行うようにしても良く、或いはオンオフを繰り返して間欠的に行っても良いが、電池の使用可能な時間を延長するために間欠的に行うのが望ましい。
【0153】
即ち、電池の使用に当たり、連続的に使用する場合と間欠的に使用する場合において、電池の容量が一定としたとき、オンの時間とオフの時間を同一にすると、電池の使用可能な時間は2倍となる。従って、この温熱用具の使用感により、オン時間とオフ時間を適宜変更して使用時間の延長を図れば良いのである。
【0154】
又、本第3発明においては、面状発熱体における外皮貼着面側と反対側の粘着材の表面に断熱材が設けられているものが、以下に述べる理由より、至極有益である。
【0155】
このように構成されていることにより、面状発熱体の消費電力を削減して使用時間を延長することができる上、面状発熱体からの熱が電池及びスイッチに直接伝達するのを防ぐので、温熱用具の信頼性が高くなるだけでなく、温熱用具の寿命が長くなって至極経済的である。
【0156】
上記断熱材としては、粘着材の露出面に積層されて面状発熱体を断熱するものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0157】
ところで、本第3発明に係る温熱用具は、外皮に与える温度を電気的且つ容易に37℃以上で43℃以下に制御することにより、低温火傷を生じることのない安全な温度を長時間にわたって使用者に供給するようにしたものであり、この温熱用具の面状発熱体が直接外皮に適用される場合、この面状発熱体の温度或いは外皮に貼着される粘着材の温度が37℃以上で43℃以下に制御されていることを要する。
【0158】
本第3発明において、外皮に直接に粘着される粘着材の温度は温熱効果が得られる下限の温度以上にする必要があるのでその温度を37℃以上に制御する必要があり、又、長時間使用されるから、適用部の低温火傷を防止するために43℃以下に制御する必要がある。
【0159】
このように温度を制御する手段としては温熱用具の面状発熱体が直接外皮に適用される場合、この面状発熱体の温度或いは外皮に貼着される粘着材の温度が37℃以上で43℃以下に制御されるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0160】
本第3発明においては、粘着材に埋設された面状発熱体又は抵抗体において、この面状発熱体又は抵抗体の使用面側(皮膚貼着面側)と反対面側に断熱材を介在して粘着材が形成されているものが、この断熱材によって、面状発熱体又は抵抗体からの温熱が一層効果的に外皮に供給されるので、至極有益である。
【0161】
即ち、このものは、粘着材、断熱材、面状発熱体又は抵抗体及び粘着材を順次重ねた構造を有し、断熱材が無い側の粘着材が外皮に貼着される。
【0162】
又、本第3発明において、フィルム状ないしシート状に成形された粘着材、粘着面が皮膚刺激性が無い粘着材、衛生剤を含む粘着材、遠赤外線放射物質を含有又は備える粘着材、磁気物質を含有又は備える粘着材、吸水材が分散されている粘着材、この場合、吸水材が界面活性剤で処理されているもの、更に、経皮吸収性の薬物が配合されている粘着材としては、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0163】
更に、本第3発明においては、遠赤外線放射効果を有効に発現するために、面状発熱体における外皮貼着側に遠赤外線放射物層を形成しているものが、至極有益である。
【0164】
次に、本第3発明で好適に用いられる面状発熱体としては、外皮の曲面に沿って自由に曲がる程度の柔軟性を有することが好ましく、例えば抵抗線とこれを担持する布又はシートとを備えるもの、高分子物質に導電性粉末を配合したものをシート状に成形した高分子複合発熱体、高分子複合発熱繊維ないし高分子複合発熱線を交えて編成又は織成された布、高分子物質に導電性粉末を配合して繊維状に成形した高分子複合発熱繊維、耐熱性高分子化合物に導電性粉末を配合して線状に成形した高分子複合発熱線などを柔軟性と絶縁性を有する膜体に担持させたもの、などをその例として挙げることができる。
【0165】
ここで、この膜体としては織布、不織布、多孔質合成樹脂シート、高密度合成樹脂シートが代表的であり、これらに抵抗線、高分子複合繊維ないし高分子複合発熱線を交織、漉き込み、積層、埋設などの方法で担持される。
【0166】
なお、この種の面状発熱体としては、部品コストの削減による低コスト化を図るため市販の面状発熱体を用いることが推奨される。
【0167】
又、本第3発明においては、上記面状発熱体に代えて、抵抗体を用いることができるが、この抵抗体としては、柔軟性があり、しかも外皮に貼着される粘着材の温度を37℃以上で43℃以下に上昇できるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばニクロム線又はマンガニン線などの金属製抵抗線、高分子物質と導電性粉末で形成された高分子複合発熱繊維、高分子複合発熱線又は高分子複合発熱帯状体から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0168】
ところで、本発明に係る温熱用具においては、電池の設置箇所が特に限定されるものではなく、例えば被服のポケット等に収納し、これをリート線で面状発熱体に接続したり、或いはこの温熱用具に電池が取り付けられていること、つまり電池を面状発熱体に直接、或いは断熱材を介して設置することによって温熱用具の携帯性や取扱性が一層容易になるので好ましい。
【0169】
又、本発明において、導電性粉末とは電気抵抗が小さい導電性の粉末であれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば銅、真鍮、ステンレス、銀、金、クロム又はニッケル等の金属粉末、導電性カーボンの粉末等が挙げられる。
【0170】
【作用】
本第1の発明に係る温熱用具は、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材の片面に積層され、且つこの粘着材の温度を37℃以上で43℃以下に制御する面状発熱体と、この面状発熱体に電力を供給する電池を備える。
【0171】
そして、この温熱用具は、粘着材によって外皮に貼り付けられることにより、粘着材及び面状発熱体で外皮を覆って外皮を密封すると共に、電池から供給される電力で面状発熱体を発熱させ、この面状発熱体からの熱を粘着材を介して外皮に与えることにより温熱効果を発現する作用を有するのである。
【0172】
この場合、粘着材の温度を37℃以上で43℃以下と、低温火傷を発生しない安全な温度範囲に電気的に制御されているのであるが、この温度の最適な感覚は、個人的な差異があり、これを電気的且つ簡便に制御して自己の最適な温度範囲に自由に調整できる作用を有する。
【0173】
又、本第1の発明に係る温熱用具は、粘着材に面状発熱体を積層し、しかもこの面状発熱体に電力を供給する電池からなるものであり、この粘着材で外皮に粘着、固定するものであるから、粘着材や発熱体よりも大幅に面積が大きいカバーを省略して構成を簡単にできる作用を有する。
【0174】
本第2発明に係る温熱用具は、面状発熱体を備える温熱用具において、この面状発熱体に電力を供給する電池がリチウムポリマー電池であることを特徴とする。
【0175】
即ち、本第2発明において最も重要なことは、電池がリチウムポリマー電池を用いた点にあり、このリチウムポリマー電池は、同重量で比較すると、使用時間がニッケル・カドミウム電池の6倍程度、リチウム電池の2〜3倍程度であり、しかも、製造コストをリチウム電池の半分以下に抑えることができる作用を有する。
【0176】
又、リチウムポリマー電池は厚さ約0.5mm程度であり、手で自由に曲げられるくらい柔軟であるため、生体表面へのなじみ性が高く、使用中に運動をしても違和感があまり感じられず、使用者の運動意欲が阻害され難くなるので、使用者の運動性が高められる。
【0177】
更に、リチウムポリマー電池は、同重量で比較すると、使用時間がニッケル・カドミウム電池の6倍程度、リチウム電池の2〜3倍程度であるため長時間の使用が可能になり、しかも、製造コストをリチウム電池の半分以下に抑えることができるので温熱用具を安価にできる作用を有する。
【0178】
加えて、この温熱用具にリチウムポリマー電池が取り付けられていると、携帯性や取扱性が一層容易になる作用を有するのである。
【0179】
本第3発明に係る温熱用具は、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材に埋設される面状発熱体又は抵抗線と、この面状発熱体又は抵抗体に電力を供給して上記粘着材の温度を37℃以上で43℃以下に加温する電池を備えることを特徴とする。
【0180】
即ち、本第3発明において最も重要なことは、特に、面状発熱体又は抵抗線が粘着材に埋設されている点に最も大きな特徴を有するものであり、このように構成されていることによって、粘着材も断熱材としての役割を果す結果、面状発熱体又は抵抗線の断熱性が至極良好になる作用を有するのである。
【0181】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0182】
本発明の実施例は、図1に示すように外皮に粘着される粘着材1と、この粘着材1に順に積層された面状発熱体2、断熱材3、電源である電池4及びボタンスイッチからなるスイッチ5とを備え、図2に示すように、電池4とスイッチ5と面状発熱体2とを電気的に接続している。
【0183】
そして、粘着材1によりこの温熱用具を外皮に貼り付けることにより、粘着材1、面状発熱体2及び断熱材3で外皮を覆って外皮から放射される熱の放散を防止すると共に、電池4から供給される電力で面状発熱体2を発熱させ、この熱を外皮に適用することにより温熱効果を得るように構成されている。
【0184】
ところで、上記粘着材1は、生体の外皮に直接に粘着できると共に、使用後に剥離できるものであば特に限定されるものではないのであり、又、面状発熱体2からの熱を外皮に伝導するためのものである。この場合、面状発熱体2の発熱温度、粘着材1の膜厚などを適宜選定することにより任意の熱伝導率のものを用いることができる。
【0185】
そして、面状発熱体2の消費電力を削減して使用時間を延長するという観点からは、熱伝導率が高く、面状発熱体2の温度と外皮の皮膚温度との差が小さくなるものを選択することが好ましい。
【0186】
又、粘着材1は、外皮に粘着した後に剥離できるものであればよいが、この粘着材1が面状発熱体2から剥離できるものである場合、この粘着材1を面状発熱体2から粘着材1を剥離し、水洗などによって簡単に汚れを除去でき、乾燥後に再び粘着力を回復するものが好ましく、例えば布付ゲルシートを含むゲルシート(三井東圧化学株式会社製の100F80T4−03P、100F80T4−05P及び100F80T4−10P)や、アクリル系粘着剤(東洋ケミテック株式会社製、東洋インキ株式会社製)、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体(タックシステム株式会社製、以下、SISと略称する。)等のゴム系粘着剤が挙げられる。
【0187】
上記面状発熱体2は、外皮の曲面に沿って自由に曲がる程度の柔軟性を有するものが好ましく、例えば繊細な抵抗線、高分子物質に導電性粉末を配合して繊維状に成形した高分子複合発熱繊維、高分子物質に導電性粉末を配合して線状に成形した高分子複合発熱線などを柔軟性と絶縁性を有する膜体に担持させたもの、耐熱性高分子化合物に導電性粉末を配合してシート状に形成した高分子発熱体シートなどをその例として挙げることができる。
【0188】
ここで、膜体としては織布、不織布、多孔質合成樹脂シート又は高密度合成樹脂シート等が挙げられるのであり、抵抗線や高分子複合発熱体繊維はこれらの膜体に交織、漉き込み、積層、埋設などの方法で担持される。
【0189】
面状発熱体2としては部品コストの削減による低コスト化を図るため、市販品を用いることが推奨されるのであり、例えば抵抗線を交織した布状のものとしては坂口電熱株式会社製(SAMICON 230SR)がその例として挙げられるのであり、高分子複合発熱繊維ないし高分子複合発熱線を交織した布状のものとしてはダイキンケミトロニクス製の織フロロトロンがその例として挙げられる。
【0190】
なお、面状発熱体2の好適な電気的特性、即ち、抵抗値は温熱用具の面積、面状発熱体2の温度、電池の出力を考慮して理論的に決定してもよく、又、実験を繰り返して経験的に求めてもよい。いずれにしても、好適な電気特性を得るためには、必要に応じて複数枚の市販の面状発熱体2を積層し、直列接続により抵抗値を高めたり、並列接続により抵抗値を低めたりすることができる。
【0191】
ところで、実験によると、面状発熱体2の熱効率を向上するには、当該面状発熱体2表面からの放熱をいかに防ぐか、つまり断熱効果をいかに向上するかが重要であり、又、粘着材1の厚さ、充填剤及び高分子物質の種類等が重要であり、この断熱効果を向上させることによって、比較的低い電力で優れた温熱効果が得られることが判明した。
【0192】
又、粘着材1厚さだけでなく、その構造も重要であり、具体的には、粘着材1の皮膚粘着面側の表面部の構造、例えば粗面構造や凹凸構造等に形成しても異なるが、特に粘着材1に穴を設けたものが有益である。
【0193】
次に、96mm×70mmの長方形に裁断された面状発熱体2を用い、図3に示すように、プレート6の上に、粘着材1、面状発熱体2及び断熱材3からなる温熱用具を積層し、プレート6と粘着材1との間に挿入された温度センサ7及び粘着材1と面状発熱体2との間に挿入された温度センサ8によって、プレート6面の温度及び面状発熱体2の温度を測定した。
【0194】
この場合、プレート6としては厚さ5mmの三菱レイヨン製ポリカーボネート板を用い、面状発熱体2としては、坂口電熱株式会社製(SAMICON 230SR 10.32Ω)を用い、断熱材3としては積水化学工業製高機能ソフトロンIF#3002を積層したものを用い、又、粘着材1としてはゲルシート(三井東圧化学株式会社製の100F80T4−05P)を用いた。
【0195】
この温熱用具を外皮(肩)に適用した場合において、この温熱用具に、株式会社ソニー・エナジー・テック社製リチウム イオンバッテリー(LiP−10)を用いて通電し、電流240mAで37℃であり、又、電流570mAで43℃となり、電流が240mA未満では37℃未満になって温熱効果が乏しくなり、一方、電流が570mAを超えると43℃を超えるので低温火傷の恐れが生じる。
【0196】
ところで、この電流値は、面状発熱体2表面の断熱方法によって大きく異なり、面状発熱体2表面からの放熱の防止が至極重要であり、薄くて高い断熱効果が得られることが好ましく、又、温熱用具の生体表面へのなじみ性を高めるために、柔軟であることが求められる。更に、低価格化を図るためには、市販品を用いることが推奨される。
【0197】
この断熱材3としては、断熱性が高い独立気泡を有し、発泡倍率の高い発泡体が最も好ましい。
【0198】
ところで、外皮に直接に粘着される粘着材1の温度は温熱効果が得られる下限の温度以上にする必要があるのでその発熱温度を37℃以上に制御する必要があり、又、温熱効果においては長時間使用されることから、適用部の低温火傷を防止するために43℃を超えないように制御する必要がある。
【0199】
この温度制御は、経験的に粘着材1の温度が37℃以上43℃以下に制御される面状発熱体の好適な抵抗値及び電池電圧とを求め、これらの好適値ないしは最適値に面状発熱体の抵抗値及び電池の出力を固定的に設定することにより実現することが可能である。
【0200】
次に、以上の経験を基礎にして、図4に示すように、それぞれ96mm×70mmの長方形に形成された、上記ゲルシート(100F80T4−05P)1aと伝熱体1bとの積層体からなる粘着材1、電極間距離90mm、抵抗値15.72Ωの面状発熱体2、グレードSP#2002の高機能ソフトロンからなる断熱材3を積層し、富士通製リチウム電池CR123A(3V、使用電圧2.65V)を電池4に用いた温熱用具の特性を求めてみた。
【0201】
即ち、この温熱用具を厚さ5mmの三菱レイヨン製ポリカーボネートからなるプレート6の上に貼り、ネルのカバー11を被せ、スイッチ5をオンにした後のプレート温度、ゲルとプレート間のプレート面温度、発熱体温度(面状発熱体2と断熱材3間)、及び断熱材(SP#2002)の外側温度を、平均気温20.1℃の雰囲気中で測定したところ、各測定点で図5に示すような温度変化が見られた。
【0202】
なお、図4において、ch.1はプレート温度を検出する温度センサ、ch.3は断熱材3外側温度を検出する温度センサ、ch.4は面状発熱体温度を検出する温度センサ、ch.5はプレート面(ゲルとプレート間)温度を検出する温度センサをそれぞれ示す。
【0203】
図5に示すように、プレート面(ゲルとプレート間)温度は通電開始後15〜20分で37℃以上になり、通電開始後60分を経過した頃に最高温度39.6℃を記録した後、次第に降温し、通電開始後ほぼ180分を経過したころまで37℃を上回っている。つまり、通電開始後15〜20分から180分を経過するまで温熱効果が得られることが分かる。
【0204】
又、比較のため、抵抗値10.32Ωの抵抗値を有する面状発熱板を用いて同様の測定をしたところ、プレート面温度が47.8℃にも達し、低温火傷にかかることが確認された。
【0205】
次に、図6及び図7に示すように、それぞれ96mm×70mmの長方形に形成された、ゲルシート(100F80T4−05P)からなる粘着材1とグレードIF#3002の高機能ソフトロンからなる断熱材3との間に7.7Ωの抵抗値を有する面状発熱体2を挟み込み、人の左腕に粘着させた後、安定化電源からなる電源から3V、0.39Aの電圧を印加して環境温度、皮膚温度、発熱体温度及び使用部温度を測定した。
【0206】
図6及び図7において、ch.1は環境温度測定用温度センサ、ch.2は皮膚温度測定用温度センサ、ch.3は面状発熱体2の温度測定用温度センサ、ch.4〜ch.6は使用部(外皮)温度測定用温度センサをそれぞれ示しており、このうち、ch.4は粘着材1と外皮との密着部の温度、ch.5は粘着材1における貫設された直径5mmの孔の中に、又、ch.6は粘着材1における貫設された直径4mmの孔の中に、温度センサをそれぞれ配置し、その部位の温度を測定したところ、各測定点で図8に示すような温度変化が見られた。
【0207】
図8から、ゲルシート(100F80T4−03P)からなる粘着材1を用いた場合には、粘着材1の皮膚側温度、特に、外部に開放されていない使用部温度測定用温度センサch.4の検出温度は、通電を開始した後約3分で39℃を上回ることが分かる。
【0208】
図9から、ゲルシート(100F80T4−05P)からなる粘着材1を用いた場合には、使用部温度測定用温度センサch.4の検出温度は、通電開始後約3分で37℃以上になり、最高温度が39.2℃となっていることが分かる。
【0209】
粘着材1の温度(粘着材1と皮膚間温度)は、主として外皮の皮膚温度、面状発熱体の温度及び発熱量(出力)、及び環境温度によって決定されるが、これらのうち、外皮の皮膚温度及び環境温度、特に環境温度は大幅に変化する。そして、この変化を考慮に入れて面状発熱体の抵抗値及び出力を固定的に設定することが困難になる場合がある。
【0210】
即ち、低温火傷を確実に防止するために、面状発熱体2の抵抗値及び電池電圧を固定的に設定して面状発熱体2の出力を小さく設定すると、面状発熱体2が温熱効果が生じる37℃以上に昇温しなかったり、到達するまでの時間(立ち上がり時間)が長くなり、施用時間が長くなるという問題が生じる。
【0211】
又、面状発熱体2の抵抗値は温度の上昇に伴い減少するが、これに逆比例して電流値が高くなるので、抵抗値に比例し、かつ、電流値の二乗に比例する面状発熱体の出力は温度の上昇に伴い増大する傾向を示す。従って、使用時間の短縮を図るために、面状発熱体2の出力を大きく設定した場合には、使用時間が長くなると面状発熱体2の温度が43℃を超えると低温火傷にかかる恐れが生じる。
【0212】
そこで、図10に示す本発明の他の実施例に係る温熱用具には、立ち上がり時間の短縮と低温火傷の防止という、いわば、相反する目的を共に確実に達成するために、上記粘着材1又は面状発熱体2の温度を検出する温度検出回路12と、この温度検出回路12の検出温度に基づいて、電池4の出力電圧を粘着材1又は面状発熱体2の温度が37℃以上43℃以下の所定値になるように制御し、この所定値外では電池4の出力を段階的に又は連続的に出力を制御して粘着材1又は面状発熱体2の温度を37℃以上43℃以下に制御する温度制御回路13とを備えて、粘着材の温度が確実に37℃以上43℃以下に制御されるようにしている。
【0213】
又、図11に示す本発明の又他の実施例では、立ち上がり時間の短縮と低温火傷の防止という相反する目的を共に達成する別の手段としては、上記粘着材1又は面状発熱体2の温度を検出する温度検出回路12と、この温度検出回路12の検出温度が設定された温度(45℃)又はその近傍に上昇すると電池4をオフし、37℃又はその近傍まで低下すると電池4をオンにして粘着材1又は面状発熱体2の温度を37℃以上43℃以下に制御する温度制御回路14とを備えている。
【0214】
なお、この他に、電池出力をパルス状に出力させて、温度検出回路12の出力に基づいてそのパルス幅、周波数或いは振幅を制御することにより、粘着材1又は面状発熱体2の最高温度を37℃以上43℃以下に制御することも可能である。
【0215】
又、使用者の個性、例えば体温が低い場合、37℃でも温熱効果が得られる場合があり、使用する環境温度によっては、いわゆる常温、或いは室温を基準にして抵抗値、印加電圧などを設定、制御される。
【0216】
例えば本発明の更に他の実施例では、図12に示すように、上記面状発熱体2に並列に接続される可変抵抗15を設け、この可変抵抗15の抵抗値を変化させることにより面状発熱体2の電流値を変化させて面状発熱体2の出力を変化させるように構成される。なお、この可変抵抗15には、いわゆる、半固定式可変抵抗も含まれる。
【0217】
又、本発明のもう一つの実施例では、図13に示すように上記面状発熱体2に例えばボタンスイッチからなる切替えスイッチ16を介して並列に接続される固定抵抗17を設け、この固定抵抗17の面状発熱体2への接続をオンオフすることにより面状発熱体2の電流値を切替えて面状発熱体の出力を変化させるように構成される。この場合、複数の固定抵抗17をそれぞれ切替えスイッチ16を操作することにより使用環境に適した出力を得られるようにすることができる。
【0218】
【発明の効果】
本第1の発明に係る温熱用具は、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材の片面に積層され、且つこの粘着材の温度を37℃以上で43℃以下に制御する面状発熱体と、この面状発熱体に電力を供給する電池を備える。
【0219】
そして、この温熱用具は、粘着材によって外皮に貼り付けられることにより、粘着材及び面状発熱体で外皮を覆って外皮を密封すると共に、電池から供給される電力で面状発熱体を発熱させ、この面状発熱体の熱を粘着材を介して外皮に適用することにより優れた温熱効果を発現する。
【0220】
この場合、粘着材の温度を37℃以上で43℃以下と、温熱効果を確保する一方、低温火傷を発生しない安全な温度範囲に電気的に制御されているのであるが、この温度の最適な感覚は、個人的な差異があり、これを電気的且つ簡便に制御して自己の最適な温度範囲に調整できるので、至極有益である。
【0221】
又、本第1の発明に係る温熱用具は、粘着材に面状発熱体を積層し、しかもこの面状発熱体に電力を供給する電池からなるものであり、この粘着材で外皮に粘着、固定するものであるから、粘着材や発熱体よりも大幅に面積が大きいカバーを省略して構成を簡単にできる。
【0222】
本第2発明に係る温熱用具は、面状発熱体を備える温熱用具において、この面状発熱体に電力を供給する電池がリチウムポリマー電池であることを特徴とし、このリチウムポリマー電池は、同重量で比較すると、使用時間がニッケル・カドミウム電池の2倍程度、リチウム電池の2〜3倍程度であり、しかも、製造コストをリチウム電池の半分以下に抑えることができる結果、至極経済的である。
【0223】
又、リチウムポリマー電池は厚さ約0.5mm程度であり、手で自由に曲げられるくらい柔軟であるため、生体表面へのなじみ性が高く、使用中に運動をしても違和感があまり感じられず、使用者の運動意欲が阻害され難くなるので、使用者の運動性が高められる。
【0224】
加えて、この温熱用具にリチウムポリマー電池が取り付けられていると、携帯性や取扱性が一層容易になり、一層実用性が向上するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の断面模式図である。
【図2】本発明の一実施例の電気回路図である。
【図3】本発明の粘着材の特性測定の説明図である。
【図4】本発明の一実施例の粘着材、面状発熱体及び断熱材の実用性試験の説明図である。
【図5】本発明の一実施例の粘着材、面状発熱体及び断熱材の実用性試験の結果を示す特性図である。
【図6】本発明の一実施例の粘着材、面状発熱体及び断熱材の身体テストの説明図である。
【図7】図6の温度センサの部位を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施例の他の粘着材、面状発熱体及び断熱材の身体テストの結果を示す特性図である。
【図9】本発明の一実施例の又他の粘着材、面状発熱体及び断熱材の身体テストの結果を示す特性図である。
【図10】本発明の他の実施例の電気回路図及びその制御特性図である。
【図11】本発明の又他の実施例の電気回路図及びその制御特性図である。
【図12】本発明の更に他の実施例の電気回路図である。
【図13】本発明のもう一つの実施例の電気回路図である。
【符号の説明】
1 粘着材
2 面状発熱体
3 断熱材
4 電源
5 スイッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度制御が簡単で低温火傷を生じることのない安全な温度を長時間にわたって使用者に供給し、しかも取り扱い易く、構造が簡単である上、繰り返し使用が可能な温熱用具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、温熱用具としては、空気又は酸素の存在によって発熱する発熱体と粘着層の積層体が検討されている。
【0003】
この場合、発熱体は、通気性フィルムで構成された開放部のないシート状袋体の内部に、発熱体組成物、例えば鉄粉、活性炭及び塩類等からなる発熱体組成物を封入してなるものが提案されている(特開昭50−54188号公報、特開昭53−47154号公報、特開昭53−60885号公報、特開昭54−155984号公報、特開昭55−14067号公報、特開昭55−166147号公報、特開昭62−103014号公報、実公昭58−22733号公報等)。
この発熱体は、それらの実施例から明らかなように、50℃前後の温度が得られる。
【0004】
ところで、この温熱用具は外皮に直接当て使用するものであり、使用者が温度変化を敏感に感知しうると共に温度が44℃を超えると低温火傷が発生する。
【0005】
従って、発熱体組成物としてはこの点に充分に配慮して設計すべきであり、温度が50℃前後のものは低温火傷を発生するので、直接外皮に当てて使用できるものではない。
【0006】
また、このものは不織布や紙更に布等でシート状袋が形成されているが、これらのシートは孔径が大きく、従って、通気性及び透湿性が大であるので、使用中にシート状袋体内が減圧状態にならない結果、袋体内の発熱体混合物が自重によって使用中に下降し偏って温度のバラツキが大きくなるだけでなく、著しく使用感が悪くなる。
【0007】
更に、これらのものは、発熱体組成物のバラツキやシート状袋体の孔径のバラツキなどによって、初期温度がバラツキ易い等の問題がある。
【0008】
一方、(1)バンデージ、サポータ、ベルト、ジャケットなどの装着具を介して、発熱体付き温熱用具を患部に固定することが提案されており、しかもこの発熱体としては、人体へのなじみ性を高めるために、手で自由に曲げられる程度の柔軟性を有する面状発熱体が用いられている。
【0009】
この場合、この面状発熱体への電力は、外部の商用電源から制御装置を介して供給される方式が多用されている。
【0010】
又、(2)最近になって、例えば実開平4−103113号公報に示すように、片面に粘着剤を付着させて温熱用具を特殊な部位(つぼ)に固定できるようにした小型生体温熱刺激装置が提案されている。
【0011】
即ち、この従来例は、発熱体を支持する支持体の片面に粘着剤を付着させたり、発熱体を発熱体よりも大幅に面積が大きいカバーで覆い、このカバーの片面に粘着剤を付着させたりして、温熱用具を直接に皮膚に粘着できるようにしている。しかし、この場合、発熱体は導熱体を介して皮膚に熱を与えるようにしている。
【0012】
この発熱体としては、ニクロム線、ポジスタ、豆電球、レーザ、ストロボ放電管、あるいはニッケル、タングステン、銅、銀、金等の熱電材で形成されたフィラメントまたは面状体、コイル状体又は遠赤外線を発生させるセラミック等であり、発熱温度は700℃程度に設計されている。
【0013】
又、この従来例では、発熱体に断熱材を介して固定された電池から発熱体に電力を供給する方式も提案されており、この方式で使用する電池としては、コイン型、円筒型、ピン型などのニッケル・カドミウム電池、リチウム電池など充電可能な電池が用いられている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記(1)のものは、温熱用具の発熱体をバンデージ、サポータ、ベルト、ジャケットなどの装着具を介して患部に固定するために、本人が直接装着できなかったり、或いは本人が装着するのが至極困難である等、その取扱性に著しい課題が残る。
【0015】
又、この面状発熱体への電力の供給方式としては、外部の商用電源から制御装置を介して電力を供給する方式が採用されているが、これでは、使用の際、常に使用者の行動範囲内に商用電源が必要であり、実際には、仕事中や家事活動等の際の使用が不可能で、その患部への適用が著しく制限されるなどの課題がある。
【0016】
上記(2)の従来例においては、本発明のように外皮に低温火傷が生じない程度の低温の温熱を比較的長時間皮膚に供給する温熱治療に適用されるものではなく、温灸治療に用いられるものであって、発熱体が最高700℃程度の温度を周期的に変化させながら、肌に接触させる導熱体を介してつぼに熱を加えるようにしたものである。
【0017】
しかしながら、このものは温度が著しく高く、僅かの時間のズレによって、火傷が生じたり、又、逆に、時間が短くて肌に充分な刺激を与えることができず、所要の温灸治療効果が得られない場合がある。つまり温度と時間を極めて厳格に制御する必要がある結果、極めて特殊且つ高価な制御装置が必要になる。
【0018】
又、このものは、温灸治療に用いられるものであり、相当に高い温度を周期的に変化させるものであるが、このように、発熱体が高温加熱、冷却を繰り返すことによって、その物性が変化し、火傷を生じたり或いは充分な治療効果が得られない場合がある。
【0019】
即ち、本発明は、このような技術的課題を解決するものであって、外皮に与える温度を電気的且つ容易に37℃以上で43℃以下に制御することにより、低温火傷を生じることのない安全な温度を長時間にわたって使用者に供給し、しかも取り扱い易く、構成が簡単である上、繰り返し使用が可能な温熱用具を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の発明に係る温熱用具は、上記目的を達成するために、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材の片面に積層され、且つこの粘着材を37℃以上で43℃以下に加温する面状発熱体と、この面状発熱体に電力を供給する電池と、粘着材の温度を検出する温度検出回路と、この温度検出回路の検出温度に基づいて電源をオンオフして粘着材の温度を37℃以上43℃以下に制御する温度制御回路とを備えることを特徴とする。
【0021】
そして、この温熱用具は、粘着材によって外皮に貼り付けられることにより、粘着材及び面状発熱体で外皮を覆って当該皮膚を密封すると共に、電池から供給される電力で面状発熱体を発熱させ、この面状発熱体の熱を粘着材を介して外皮に適用することにより温熱効果を得るようにしたものである。
【0022】
この場合、粘着材の温度を37℃以上で43℃以下と、低温火傷を発生しない安全な温度範囲に電気的に制御するものであるが、この最適温度の感覚は、個人的な差異があり、これを電気的且つ簡便に制御して自己の最適な温度範囲に調整できるのである。
【0023】
本願の第2の発明に係る温熱用具は、上記目的を達成するために、面状発熱体を備える温熱用具において、この面状発熱体に電力を供給する電池がリチウムポリマー電池であることを特徴とするものである。
【0024】
本願の第3の発明に係る温熱用具は、上記目的を達成するために、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材に埋設される面状発熱体又は抵抗線と、この面状発熱体又は抵抗体に電力を供給して上記粘着材の温度を37℃以上で43℃以下に加温する電池を備えることを特徴とするものである。
【0025】
この明細書において、外皮とは健常なものだけでなく、患部も含めた意味である。
【0026】
更に、この温熱用具は、単に外皮に熱を与えて寒さを凌ぐために用いられるものの他、患部に温熱を加えることにより、例えば薬物治療効果が乏しい慢性疾患や外科的手術の後治療として治療効果が期待できる人体などの生体の部位に適用されたり、経皮吸収性の薬物投与によって治療効果が期待できる人体などの生体に適用されるものである。
【0027】
以下、まず、本願の第1の発明(以下、単に本第1発明と略称する。)を詳細に説明する。
【0028】
本第1発明に用いられる粘着材は、生体の皮膚に直接に粘着できると共に、使用後に剥離できることが必要であり、又、面状発熱体の熱を生体に伝導するために熱伝導性を有するものを用いるが、面状発熱体の発熱温度、粘着材の膜厚などを適宜選定することにより任意の熱伝導率のものを用いることができる。
【0029】
そして、粘着材としては、面状発熱体の消費電力を削減して使用時間を延長するという観点から、熱伝導率が高く、面状発熱体の温度と皮膚温度との差が小さくなるものを選択することが好ましい。
【0030】
又、粘着材は、生体の皮膚に粘着した後に剥離できるものであればよいが、貼着と剥離が繰り返し行えるものが有益である。
【0031】
更に、この粘着材は直接に面状発熱体に粘着させてもよく、又、繰り返し使用を容易にするために、面状発熱体に、熱伝導性の良好な部材を介して粘着してもよい。
【0032】
本第1発明で用いられる両面粘着性の粘着材としてはフィルム状又はシート状に形成されており、その片面に発熱体を貼着、保持でき、且つその他面を外皮に貼着して当該適用箇所に保持できる程度の粘着力を有するものであれば特に限定されるものではないが、特に貼着と剥離が繰り返し行えるものが好ましい。
【0033】
又、この粘着材としては面状発熱体から剥離可能に貼着できるように設計することにより、その使用によって、人体からの老廃物、塵埃などの異物が付着することにより粘着力が低下し、再使用できなくなった場合、面状発熱体から粘着材を剥離後、水洗などによって簡単に洗浄した後、乾燥させると粘着力が回復するような粘着剤が好ましい。
【0034】
この種、粘着材としては、上記粘着剤をフィルム状ないしシート状に成形したもの(いわゆる、ゲルフィルムないしゲルシート)、或いは基材とこの両面に設けられた粘着剤層からなるもの等が挙げられるが、この基材としては、適用部位の伸縮に追従させて突っ張り感や違和感更に剥離等を無くするために伸縮性を有するものが望ましく、又、密封温熱効果を促進するために、基材が非通気性のフィルムないしシートで形成されているものが望ましい。
【0035】
粘着材を基材とその両面に付着させた粘着剤層とで構成する場合、この基材はフィルム状、シート状或いは布状であれば良く、又、その素材は特に限定されない。具体的には、天然又は合成のゴムや合成樹脂で形成されたフィルムないしシート、或いは合成樹脂、天然繊維、合成繊維又はこれらの混紡物で形成された不織布、織布及び布更に紙などが挙げられる。
【0036】
合成樹脂としてはフィルム状やシート状に成形できるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物又はエチレン−酢酸ビニル共重合体などの高分子材料がその例として挙げられる。
【0037】
又、この粘着材の基材は、使用面への馴染み性を高めるためには伸縮性を有することが好ましく、又、温熱効果(密封効果)を高めるために非通気性であることが望ましく、これらの観点から、上記合成樹脂の中でもポリウレタンや塩化ビニルなどのフィルムが好ましい。
【0038】
粘着剤を成形した単層のフィルム状ないしシート状のポリウレタン或いはポリウレタン系の粘着材(ゲルフィルム或いはゲルシート)等において、ゴム状弾性を有するものが、使用面の伸縮に追従して使用感が良好であるので望ましく、又、非通気性であるものが温熱効果(密封効果)を高める上で好ましい。
【0039】
このように温熱効果(密封効果)が得られる構造のものにすることにより、面状発熱体から供給される熱を比較的低温の状態に制御しても使用者は暖かく感じるのであり、しかもこのように低温に制御することによって低温火傷を確実に防止できるから至極有益である。
【0040】
又、本発明で用いられる粘着剤は、外皮に直接適用する場合、人肌にアレルギー性の炎症が発生することを防止するために皮膚刺激性が無いものが好ましい。
【0041】
ところで、粘着材に用いられる粘着剤とは、室温、無溶剤の状態において所望の粘着性(タック)を示し、単に指で押さえるだけで、面状発熱体や外皮に貼着できるのである。
【0042】
粘着剤は基本的には凝集力を与える高分子弾性体と粘着付与剤の2成分を骨格とし、いろいろな弾性を付与する目的で必要に応じて粘着調整剤、粘着改良剤、安定剤、着色剤、防カビ剤、消泡剤、増粘剤、老化防止剤などが添加される。
【0043】
又、上記高分子弾性体はジエン系弾性体、エチレニック系弾性体或いは縮合系弾性体に分類される。
【0044】
ジエン系弾性体を用いる粘着剤はゴム系粘着剤と呼ばれ、ゴム成分と粘着付与剤(タッキファイヤ)を1:0.5〜2の割合に混合したものが用いられる。
【0045】
上記ゴム成分としては天然ゴム(NR)、合成天然ゴム(ポリイソプレン)、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(BR)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)やスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)などのブロック共重合体、再生ゴム、熱可塑性ゴムなどが主に使用される。
【0046】
上記エチレニック系弾性体の代表的なものとしてはアクリル系ポリマーであり、アクリル系粘着剤とも呼ばれる。アクリル系粘着剤のベースとなるアクリルポリマーは、一般にそれ自身で粘着を発現し、粘着付与剤を必要とせず、ポリマーを構成するモノマーは大きく分けて粘着成分として働くもの、凝集成分として働くもの、改質成分として働くものの3成分から成り立っている。
【0047】
粘着成分はアルキル基の炭素数が4〜10のアクリル酸アルキルエステルが適し、Tgが−20〜−70℃程度の低いものであり、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレートなどのC2以上のアルキルエステルが代表的である。
【0048】
この粘着成分は主成分として用いられ、粘着性に富んでいるが、凝集性に欠けるために凝集成分が必要になる。凝集成分としては、例えば(1)メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートなどC1〜C2の低級アルキル基のアクリル酸エステル、(2)C2〜C8のアルキルメタクリレートなどのメタクリル酸アルキルエステル、(3)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどC1〜C3のビニルエステル、(4)アクリルニトリル、(5)スチレン、(6)塩化ビニリデンなどのビニルモノマーなど、非重合可能でTgが高くなるようなモノマーが用いられる。この凝集成分は、凝集性を高めるだけでなく、ときには接着性の向上、耐水性の向上、透明性の向上などの性能の向上に役立ち、粘着剤の特殊性を出すのに用いられている。
【0049】
改質成分は、一般にこれら粘着成分及び凝集成分と共重合可能な官能基が挙げられるのであり、(1)アクリル酸、メタクリル酸又は無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、(2)アクリルアミド、アクリルアミド誘導体などの不飽和カルボン酸アミド及び変性体、(3)水酸基含有モノマー、(4)アクリルニトリル、(5)ヒドロキシエチルアクリレート、(6)グリシジルアクリレートをその例として挙げることができる。
【0050】
この改質成分は、架橋を施すのに役立つことは勿論であるが、凝集性を高めたり、接着性を向上させるのにも有用であり、又、重合中の反応速度を促進させるのにも役立っている。
【0051】
なお、アクリル系粘着剤は基本的には上記の3成分を含むが、場合によっては1成分或いは2成分で構成されることもある。又、アクリル系粘着剤は単一成分から成るため透明性が高く、耐久性が優れており、主にエマルジョン型及び溶液型の粘着剤として使用されている。
【0052】
このエチレニック系弾性体には、上記のアクリル系ポリマーの他にビニルエーテル系弾性体が用いられることがある。このビニルエーテル系弾性体を使用する粘着剤はビニル系粘着剤と呼ばれ、C2〜C4のアルキルビニルエーテル重合物で構成される。
【0053】
このビニル系粘着剤では、高分子量物と低分子量物とを混合して粘着力と保持力、タックのバランスを保つようにしているが、タックや粘着力の増強に他の樹脂を併用する場合もある。もっとも、ビニルエーテル系弾性体の中でも、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体は水溶性であるため、本発明には適していない。
【0054】
上記縮合系弾性体を用いる粘着剤はシリコーン系粘着剤と呼ばれ、このシリコーン系粘着剤はポリジメチルシロキサンゴムを主成分とし、このポリジメチルシロキサンにジメチルシロキサンを含む低分子量のシリコーン樹脂が添加されている。
【0055】
ゴム状シロキサンはフィルム形状と膜の凝集力を与え、シリコーン樹脂は粘着性や接着性を与える。このシリコーン系粘着剤は広い温度範囲で使用可能で、耐熱性、耐久性ともに優れている。
【0056】
上記粘着付与剤は、粘着付与樹脂、可塑剤、油脂類、高分子低重合物、架橋剤、接着改良剤、充填剤、その他の配合剤に分類することができる。
【0057】
粘着付与樹脂としては、天然樹脂であるロジン、ロジン変性体、ロジン又は変性ロジンの誘導体、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂(ポリテルペン)、テルペン変性体、脂肪族系炭化水素樹脂、シクロペンタジエン樹脂、芳香族系石油樹脂、非反応性フェノール樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、ビニルトルエン−αメチルスチレン共重合体など、分子量1000前後のものが用いられる。
【0058】
一般には固形樹脂が多いが、中には水添ロジンやそのエステルのような液状樹脂もある。粘着付与剤は使用する弾性体に相溶性がよく、粘着性を与えるものでなければならず、相溶性は粘着性を付与する根源になる。又、粘着付与剤は酸化性が著しくないことが望ましく、この観点からはロジン系の中の水添ロジン、ポリテルペン、C5やC9系の石油樹脂などが推奨される。
【0059】
粘着力やタックを与えるためには、実際は弾性体の種類によって粘着付与剤の種類や融点が選択され、時には二つ以上の粘着付与樹脂が併用される。
【0060】
可塑剤は、一般には加工性、柔軟性、弾性及び可撓性を高めると共に、低温における柔軟性やゴム状弾性、即ち、耐寒性を向上させる性質がある。しかし、粘着剤の本質である粘着を単独で発現することは難しいので、粘着付与樹脂などと併用するのが望ましい。可塑剤としては、フタル酸系可塑剤、リン酸エステル可塑剤、アジピン酸エステル可塑剤、セバチン酸エステル可塑剤、リシノール酸エステル可塑剤、ポリエステル型可塑剤の他、塩化パラフィン、シリコーンなどをその例として挙げることができる。高分子ポリエステルは低温で柔軟性を増し、シリコーンは低温での可塑性の向上はもとより、低温粘着性の向上にも役立つのである。
【0061】
油脂類は、可塑剤と同じ作用があり、可塑性を付与する目的と粘着調整剤や接着改良剤として用いられる目的とがある。油脂類には、動物油、植物油、鉱物油、シリコーン油等が含まれる。この油脂類は価格的にも安く、可撓性を増加させるので配合剤として魅力があるが、粘着剤の凝集性を急速に低下させるので配合量には注意を要する。
【0062】
高分子低重合物は、可塑剤や油脂類と同様な目的で用いられる他、それ自身の高分子としての役割が付与される。即ち、粘着付与性、接着性、流動調整などのために用いられる。ポリビニルエーテル系やポリイソブチレン系粘着剤においてはそれぞれのポリマーの分子量の高低で粘着性を付与し、粘着力、保持力及びタックのバランスを保持している。
【0063】
高分子低重合物の中には、これ以外に粘着剤原料のうちの弾性体や粘着付与樹脂にも見い出すことができる。SBR、BR、ポリアクリル酸エステル、ロジン系粘着付与樹脂の中の水添ロジンメチルエステル、低分子スチレン樹脂、ポリテルペンなどがその例として挙げられる。
【0064】
架橋剤は、使用する弾性体や何を架橋させるかによって選ばれ、一般に、ゴム系粘着剤では硫黄−加硫促進剤系で加硫(架橋)する場合が多いが、特に、アルキルフェノール樹脂を架橋成分とし、アルミニウムアルコレート、ポリイソシアネート、ジンクレジネートなどを架橋剤として用いる例が挙げられる。
【0065】
ゴム系粘着剤の架橋剤としては、テトラメチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメラレンチウラムテトラサルファイド、ジブチルチオカーバメート亜鉛などの硫黄化合物、セレニウム、硫黄などの単体、油溶性熱硬化性フェノールホルムアルデヒド樹脂、メチロール化尿素ホルムアルデヒト樹脂などの脂肪化合物などが挙げられる。
【0066】
アクリル系粘着剤は、ゴム系粘着剤と異なり、容易にポリマーの中に官能基を導入することができる特徴があるが、架橋方法によって粘着剤の性能が変わるので、目的に合った架橋方法を選定する必要がある。通常、アクリル系粘着剤に用いられる架橋方法としては、カルボン酸/ポリイソシアネート、N−メチロールアクリルアミド、グリシルアクリレート/アミン類化合物、更に、各種エーテル化したアルデヒド変性カルボン酸アミド類、ジケトン/熱硬化性フェノール樹脂、エポキサイド又はエポキシ樹脂がある。
【0067】
粘着剤に用いられる天然ゴムや合成ゴムに充填剤を配合すると、ゴムの補強が行われ、引っ張り強さ、引き裂き強さ、耐摩耗性、硬度などが向上したり、その容積を増加させて価格を引き下げることができる。
【0068】
この際、充填剤粒子の大きさ、表面積、集合状態、分散性などが補強効果に著しく影響する。この効果はゴム分子と充填剤との相互作用によってゴムと充填剤とのすべりを調整するものと考えられ、充填剤が存在すればその分だけ流動成分の組成分率が少なくなり、流れ難くなり、粘着性に欠ける結果となるので、使用に際しては流動性と圧縮抵抗とを考慮して配合される。この場合、充填剤のもつ圧縮抵抗と流動性の制御にケイ酸ゲルを用いることがある。
【0069】
ゴム系粘着剤に使用される充填剤としては、無機質充填剤と、有機質充填剤とに大別される。
この無機質充填剤としては、アルミニウム、銅、鉄、鉛などの金属粉、珪酸質、珪酸塩、珪石、珪藻土、アルミナなどのバン土質、炭酸カルシウム、石膏などの石灰質、マイカ、クレーなどのバン土珪酸質、タルク、アスベストなどの苦土珪酸質、グラファイト、カーボンブラック、ホワイトカーボンなどの炭素或いは炭化物、その他セメント、酸化アンチモン、亜鉛華、炭酸マグネシウムなどがその例として挙げられる。
【0070】
又、有機質充填剤としてはリンター、リネン、サイザル木粉などの植物性天然物、絹などの動物性天然物、ビスコース、アセテート、ポリアミド、ビニロン、塩化ビニルなどの人造又は合成物がその例として挙げられる。
【0071】
充填剤は、粘着剤の配合の中で他の原料のように粘着剤に関与する特性を顕著に付与する作用はなく、具体的には凝集力の向上や圧縮抵抗の増加、流動性の制御などの作用がある。しかし、例えば、シリカの混入によりポリオレフィンの接着性がよくなるように、充填剤にも粘着剤の機能を多いに向上させ、接着性などを付与させる場合もある点に着目して選択する必要が有る。
【0072】
ゴム系粘着剤は自着性が強く、配合により所望の粘着性を自由にコントロールできる特徴を持つ反面、耐久性は他の粘着剤に比較すると劣っている。又、ゴム系粘着剤は主に溶液型粘着剤として使用され、その他、カレンダ塗工、ホットメルト塗工などが行なわれるが、エマルジョンとして使用される例は希である。なお、ゴム系粘着剤は多成分系であるため、溶解性の差から使用する溶剤により粘着性に影響を受けることがある。
【0073】
安定剤は特にビニル系粘着剤或いは配合中のビニル系樹脂に用いられ、概ね塩素含有樹脂に用いられる。フェノール系やビスフェノール類、アミン類、含硫黄化合物、亜リン酸塩類、エポキシ化合物、有機金属塩類などがあり、ポリマー破壊防止にしている。
【0074】
着色剤は、例えば粘着剤を白色にする場合などに使用されるが、顔料を多量に使用すると粘着性に影響するので、少量で目的の着色が施されることが望ましい。白色の場合には、隠蔽力の大きい酸化チタンが多用され、亜鉛華、炭酸カルシウムなども多用されている。
【0075】
紫外線防止剤は老化防止剤と同様、透明な粘着テープなどの光による黄変、黒化などの光による老化を防止するために用いられるのであり、具体的には、例えばベンゾフェノン系、サルチレート系、ベンゾトリアール系、置換アクリルニトリル系などが挙げられる。
【0076】
防カビ剤、消泡剤、増粘剤は、特にエマルジョン型粘着剤に用いられ、防カビ剤としては亜ヒ酸、亜酸化銅などの無機化合物と、有機硫黄化合物、フェノール系化合物、有機銅系化合物などの有機化合物とが挙げられる。
【0077】
消泡剤は、シリコーンエマルジョン、アルコール類は知られているが、これらは消泡効果とともに剥離性(離型性)を持っているので、余り多量に使用することは粘着性を低下させる。このため、少量で効果のある消泡剤を選定しなければならない。
【0078】
増粘剤は、エマルジョンの粘度増加を目的としているもので、一般的には水溶性高分子、コロイドが用いられる。エマルジョンの種類によって使い分ける必要が有り、例えばSBR、NRのようなゴムラテックスにはカゼイン、トラントゴムなどを、アクリル系やビニル系エマルジョンにはPVA、ポリアクリル酸ソーダ、CMC、メチルセルロースなどを用いる。増粘剤は粘度を増加させるばかりでなく、エマルジョンの安定性も付与するので、適正な増粘剤を選定する必要がある。又、増粘剤は高分子物質であるため粘着剤層内に含まれるから、当然に粘着性にも影響を与えることを十分に考慮する必要がある。
【0079】
これらゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤はいずれも水洗することにより表面に付着したゴミなどの異物を洗い落とすことができ、乾燥させれば再び粘着力を回復するので、いずれを用いてもよいが、特に、皮膚刺激性が無く、しかも貼着と剥離を繰り返すことによって粘着力が低下すると、水洗、乾燥により粘着力が回復する特性が顕著なアクリル系粘着剤を用いることが好ましく、アクリル系粘着剤の中でも、ポリアクリル酸ゲルをシート状に成形したものを用いることが好ましい。
【0080】
本第1発明においては、粘着材が衛生剤を含むものが、生体から放散される水分や臭い成分、又は温熱用具の適用箇所で発生ないし繁殖した細菌等と衛生剤とを効率良く接触させてこれらの成分を、物理的に吸着させたり、化学的に分解したり、或いは減菌作用ないし殺菌作用を発現しうるので有益である。
【0081】
即ち、外皮に温熱用具を適用した場合、面状発熱体からの熱によって、温熱用具の適用箇所に発汗等による老廃物や汗等が滞留し、雑菌が繁殖して異臭を放つ恐れが有る。
【0082】
このため、粘着材の粘着(剤)層中に衛生剤を混入させることが望ましいが、この衛生剤としては、例えば抗菌剤、殺菌剤、防黴剤、消臭剤又は脱臭剤等の衛生剤のうちの1種又は2種以上が挙げられる。
【0083】
また、本発明において、抗菌剤や殺菌剤或いは防黴剤としては、減菌作用ないし殺菌作用を発現するものであれば特に限定されうものではなく、具体的には、例えば石炭誘導体、サリチル酸、硼酸、サラシ粉、ヨード剤、重金属化合物、逆性石鹸、酢酸、ウンデシレン酸などの脂肪酸系の物質、サリチル酸系の物質、チアントール系の物質、タール系の物質、酢酸フェニル水銀などの水銀系物質、イオン、抗生物質、ポリック、ダンバ又はアスレタンなどが挙げられる。
【0084】
また、本第1発明において、消臭剤又は脱臭剤の他例としては臭いの成分を酸化或いは還元して化学的に分解するようなものでも良く、この例としては、以下のものが挙げられる。
【0085】
即ち、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカゲル、ゼオライト又は活性炭等の乾燥剤や他の担持体に、白金族元素やこの化合物等の分解剤が含有されたものが挙げられる。
【0086】
又、本第1発明においては、粘着材が遠赤外線放射物質或いは磁気物質を含有又は備えるものが、以下に述べる理由より有益である。
【0087】
この遠赤外線放射物質としては、発熱体や体温によって、遠赤外線を放射することによって温熱効果を促進する物質である。
【0088】
遠赤外線放射物質としては、発熱体や体温によって波長4〜16μm程度の遠赤外線を放射するものが好ましく、例えばNa2O、K2O、CaO、BaO、MgO、Fe2O、FeO、Fe2O3、SiO2、Al2O3、ZrO、ZrO2、BeO、V2O3、V2O5、Y2O3、CoO、CuO、Cu2O、NiO、Ni2O3、MnO、MnO2、TiO、TiO2、ZnO、ThO2などの無機質酸化物を組み合わせて上記波長の遠赤外線が放射されるようにすればよい。
【0089】
具体的には、例えば2MgO・2Al2O3・5SiO2・Fe2O3を主成分とする複合体、Li2O・CuO・Al2O3・4SiO2を主成分とする複合体、ZrO、ZrO2、Al2O3・TiO2を主成分とする複合体、Al2O3・TiO2を主成分とする複合体などが挙げられる。ここにおいて、主成分とするとは、この化学組成物もののみからなる場合の他、これらの成分に他の成分が含まれる場合でもよい意味である。
【0090】
本第1発明で用いられる磁気物質としては、血行の促進等、外皮に適用することによる磁気治療効果を発現するものである。
【0091】
この場合、用いられる磁石としては500ガウス以上、特に800ガウス以上2500ガウス未満のものが望ましいが、500ガウス以下のものも使用可能である。
【0092】
本第1発明で用いられる遠赤外線放射物質又は磁気物質の形状や大きさは特に限定されるものではなく、形状としては粉末、半球状、円盤状、半楕円状、板状、直方体又は立方体等が挙げられるのであり、又、大きさとしては数μm〜2000μm、特に10μm〜1000μmの範囲とするのが人体に与える物理的な刺激等の観点より望ましい。
【0093】
本第1発明において、遠赤外線放射物質又は磁気物質を温熱用具のどの箇所に担持させるかは特に限定されるものではないが、特に粘着材に含有させたり、或いは粘着材と発熱体との間に担持させたり、更に粘着材における人体への使用面側に担持させて、遠赤外線による温熱効果を得たり、磁気による磁気治療効果を得るのが望ましい。
【0094】
本発明においては、粘着材における使用面側に、無機質或いは有機質の吸水材が分散されているものが、温熱用具を直接人体に適用した場合、吸水材が汗や老廃物等を吸収して粘着力の低下を防止したり、適用部位の皮膚表面を清潔に保つことができるので有益である。
【0095】
上記無機質保水材としては無機質で保水性を有するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばパーライト、クリストバライト、バーミキュライト、シリカ系多孔質物質、ケイ酸カルシウム、シリカ粉、木粉等が挙げられる。
【0096】
又、上記有機質保水材としては有機質で保水性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば吸水能力が自重の15倍以上、好ましくは20倍以上のものが好ましい。具体的には、特公昭49−43395号公報に開示されている澱粉−ポリアクリロニトリル共重合体、特公昭51−39672号公報に開示されている架橋ポリアルキレンオキシド、特公昭53−13495号公報に開示されているビニルエステル−エチレン系不飽和カルボン酸共重合体ケン化物、特公昭54−30710号公報に開示されている逆相懸濁重合法によって得られる自己架橋ポリアクリル酸塩、特開昭54−20093号公報に開示されているポリビニルアルコール系重合体と環状無水物との反応生成物、特開昭59−84305号公報に開示されているポリアクリル酸塩架橋物、ポリアクリル酸ソーダ、CMC等が挙げられる。
【0097】
この場合、吸水材が、粘着(剤)層と親和性が悪く、均一に分散しない恐れが有るときには、界面活性剤で処理するのが望ましい。
【0098】
本第1発明で用いられる界面活性剤としては吸水材を処理することによって当該吸水材が粘着材の粘着層中に分散し易くなるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤が挙げられる。
【0099】
本第1発明で好適に用いられる界面活性剤としては、例えばドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、或いは、リン酸エステル塩型の界面活性剤、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルナトリウム塩等の界面活性剤、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸やその金属塩、低重合度ポリカルボン酸の塩、例えば低重合度ポリアクリル酸ソーダ、低重合度ポリアクリル酸ブチル、低重合度ポリメタアクリル酸ソーダ、更に、スルホン化ポリスチレン等の界面活性剤等が挙げられる。
【0100】
本第1発明においては、遠赤外線放射効果を有効に発現するために、面状発熱体における外皮側に遠赤外線放射物層を形成しても良いのである。
【0101】
この場合、上述の遠赤外線放射物の塗料を形成し、これを面状発熱体における外皮貼着側に塗工、乾燥すれば良いのである。
【0102】
本第1発明においては、粘着材に経皮吸収性の薬物を配合することにより、局所治療効果を向上させたり、温熱効果によって循環が活発になった血液などに薬物を吸収させて効果的に生体内の各部に薬物を循環させることができるので、各部位の投与効果を高める上ですこぶる好ましい。
【0103】
本第1発明で用いられる薬物としては、経皮吸収性のものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば皮膚刺激剤、鎮痛消炎剤、中枢神経作用剤(睡眠鎮静剤、抗てんかん剤、精神神経用剤)、利尿剤、血圧降下剤、冠血管拡張剤、鎮咳去痰剤、抗ヒスタミン剤、不整脈用剤、強心剤、副腎皮質ホルモン剤、局所麻酔剤等が挙げられる。
【0104】
これら薬効成分は、一種又は必要に応じて二種以上配合されて用いられる。 その配合割合としては薬効が得られる範囲であれば特に限定されるものではなく、例えば粘着剤全体を100重量部とした場合、0.01〜30重量部の範囲内で適宜、設定される。
【0105】
本第1発明に用いられる電池としては、携帯性があるものであれば一次電池或いは二次電池のいずれも使用が可能で特に限定されるものではないが、簡便性及び経済性等の観点から、特に、二次電池が望ましい。
【0106】
具体的には、例えばボタン型又は円柱型等のアルカリマンガン電池やニッケル・カドミウム電池、リチウム電池、リチウムポリマー電池更に太陽電池などが例として挙げられる。
【0107】
又、電池から面状発熱体への電力の供給は、連続的に行うようにしても良く、或いはオンオフを繰り返して間欠的に行っても良いが、電池の使用可能な時間を延長するために間欠的に行うのが望ましい。
【0108】
即ち、電池の使用に当たり、連続的に使用する場合と間欠的に使用する場合において、電池の容量が一定としたとき、オンの時間とオフの時間を同一にすると、電池の使用可能な時間は2倍となる。従って、この温熱用具の使用感により、オン時間とオフ時間を適宜変更して使用時間の延長を図れば良いのである。
【0109】
本第1発明においては、面状発熱体の消費電力を削減して使用時間を延長するために、面状発熱体の露出面が断熱材で被覆され、この面状発熱体の表面からの放熱を防止するのが有益である。
【0110】
上記断熱材としては、面状発熱体の露出面に積層されて当該面状発熱体を断熱するものであれば特に限定されるものではない。
【0111】
そして、この断熱材は、面状発熱体から周囲の雰囲気中に熱が放散されることを防止するためのであり、又、温熱用具に電池が取り付けるにあたり、断熱材の露出面に電池が取り付けられていると、面状発熱体からの熱が電池及びスイッチに伝達されるのを防ぐので、温熱用具の信頼性が高くなるだけでなく、温熱用具の寿命が長くなって至極経済的である。
【0112】
この場合、断熱材は、温熱用具の薄肉化を図るために、薄くて高い断熱効果が得られることが好ましく、又、温熱用具の生体表面へのなじみ性を高めるために、柔軟であることを要す。この断熱材としては、特に低価格化を図るために、市販品を用いることが推奨される。
【0113】
このような断熱材としては、ゴムや合成樹脂の発泡体、ネル、タックシステム(株)製カルソフト(登録商標)、積水化学工業製高機能ソフトロン(登録商標)、東レ製トーレペフ(高圧法ポリエチレン)(登録商標)などがその例として挙げられる。
【0114】
ところで、本第1発明の温熱用具においては、この温熱用具に電池が取り付けられていると、携帯性や取扱性が一層容易になるので、この観点からも至極有益である。
【0115】
本第1発明において、外皮に直接に粘着される粘着材の温度は温熱効果が得られる下限の温度以上にする必要があるので、温度を37℃以上に制御する必要があり、又、長時間使用されるから、適用部の低温火傷を防止するために43℃以下に制御する必要がある。
【0116】
この温度制御は、経験的に、例えば粘着材の温度が37℃以上43℃以下に制御される面状発熱体の好適な抵抗値及び電池電圧とを求め、これらの好適値ないしは最適値に面状発熱体の抵抗値及び電池電圧を固定的に設定することにより実現することが可能である。
【0117】
粘着材の温度は、主として適用部の皮膚温度、面状発熱体の温度及び発熱量(出力)、及び環境温度によって決定されるが、これらのうち、適用部の皮膚温度及び環境温度、特に環境温度は大幅に変化する。そして、この変化を考慮に入れて面状発熱体の抵抗値及び電池電圧を固定的に設定することが困難になる場合がある。
【0118】
即ち、低温火傷を確実に防止するために、面状発熱体の抵抗値及び電池電圧を固定的に設定して面状発熱体の出力を小さく設定すると、面状発熱体が温熱効果が生じる37℃以上に到達するまでの時間(立ち上がり時間)が長くなるという問題が生じる。
【0119】
又、面状発熱体の抵抗値は温度の上昇に伴い減少するが、これに逆比例して電流値が高くなるので、抵抗値に比例し、かつ、電流値の二乗に比例する面状発熱体の出力は温度の上昇に伴い増大する傾向を示す。従って、使用時間の短縮を図るために、面状発熱体の出力を大きく設定した場合には、使用時間が長くなると面状発熱体の温度が43℃以上に達して低温火傷にかかる恐れが生じる場合がある。
【0120】
そこで、本第1発明においては、温熱効果と低温火傷の防止という観点から、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材の片面に積層され、且つこの粘着材を37℃以上で43℃以下に加温する面状発熱体と、この面状発熱体に電力を供給する電池と、粘着材の温度を検出する温度検出回路と、この温度検出回路の検出温度に基づいて電源をオンオフして粘着材の温度を37℃以上43℃以下に制御する温度制御回路とを備えて、粘着材の温度が確実に37℃以上43℃以下に制御されるようにすることが有益である。
【0121】
又、本第1発明において、温熱効果と低温火傷の防止という目的を達成する別の手段としては、粘着材又は面状発熱体の温度を検出する温度検出回路と、この温度検出回路の検出温度に基づいて電源をオンオフして粘着材の温度を37℃以上43℃以下に制御する温度制御回路とを備えることが挙げられる。
【0122】
なお、この電源のオンオフ制御の中には、電源出力をパルス状に出力させて、そのパルス幅、周波数或いは振幅を制御することも含まれている。
【0123】
又、使用者の個性によっては、体温が低いために37℃程度でも温熱効果が得られない場合があり、一方、43℃程度であっても低温火傷にならない場合もある。この様な場合を考慮すれば、本第1発明においては、使用者が粘着材の温度を37℃以上43℃未満の範囲で自由に調節ないし調整できるようにすることが好ましい。
【0124】
即ち、例えば面状発熱体に並列に接続される可変抵抗を設け、この可変抵抗の抵抗値を変化させることにより面状発熱体の電流値を変化させて面状発熱体の発熱量を変化させることが好ましい。
【0125】
又、粘着材の温度を37℃以上43℃未満の範囲で調節ないし調整できるようにするためには、面状発熱体に切替えスイッチを介して並列に接続される固定抵抗を設け、この固定抵抗の面状発熱体への接続をオンオフすることにより面状発熱体の電流値を切替えて面状発熱体の発熱量を変化させるという手段でも実現できる。
【0126】
ところで、温熱用具の使用に当たり、通電時の電池電圧が一定である場合、抵抗値が一定であると、電流値が一定になるので、電力計算が容易になる。従って、このような場合には、予め、最適の抵抗値を算出、決定することによって、所望の出力が得られる結果、特殊な制御回路が不要になるので至極有益である。
【0127】
次に、本第1発明で好適に用いられる面状発熱体としては、外皮の曲面に沿って自由に曲がる程度の柔軟性を有することが好ましく、例えば抵抗線とこれを担持する布又はシートとを備えるもの、高分子物質に導電性粉末を配合したものをシート状に成形した高分子複合発熱体、高分子複合発熱繊維ないし高分子複合発熱線を交えて編成又は織成された布、高分子物質に導電性粉末を配合して繊維状に成形した高分子複合発熱繊維、耐熱性高分子化合物に導電性粉末を配合して線状に成形した高分子複合発熱線などを柔軟性と絶縁性を有する膜体に担持させたもの、などをその例として挙げることができる。
【0128】
ここで、この膜体としては織布、不織布、多孔質合成樹脂シート、高密度合成樹脂シートが代表的であり、これらに抵抗線、高分子複合繊維ないし高分子複合発熱線を交織、漉き込み、積層、埋設などの方法で担持される。
【0129】
なお、この種の面状発熱体としては、部品コストの削減による低コスト化を図るため市販の面状発熱体を用いることが推奨される。
【0130】
次に、本願の第2の発明(以下、単に本第2発明と略称する。)に係る温熱用具を詳細に説明すると、この温熱用具においては、面状発熱体を備える温熱用具において、この面状発熱体に電力を供給する電池がリチウムポリマー電池であることを特徴とする。
【0131】
即ち、本第2発明において最も重要なことは電池がリチウムポリマー電池であることであり、このリチウムポリマー電池は、ポリマー電解質をリチウム合金と炭素酸化物とでサンドイッチした構造を備え、厚さが約0.5mm程度と薄く、手で自由に曲げられる柔軟性を有するので、生体表面(外皮)へのなじみ性が、剛性を有する従来の電池よりも、高いのである。
【0132】
このリチウムポリマー電池は、同重量で比較すると、使用時間がニッケル・カドミウム電池の6倍程度、リチウム電池の2〜3倍程度であり、しかも、製造コストをリチウム電池の半分以下に抑えることができるという利点もある。
【0133】
加えて、この温熱用具にリチウムポリマー電池が取り付けられていると、携帯性や取扱性が一層容易になるので、この観点からも至極有益である。
【0134】
このリチウムポリマー電池は、最近、米国ペンシルベニア州のホープ・テクノロジーによって携帯電話、携帯パソコン等の携帯機器、電気自動車などに用いる電池として開発されたものである。
【0135】
本第2発明は、電池として、特に、リチウムポリマー電池を用いた点に最も大きな特徴を有するものであり、従って、本第2発明において、面状発熱体の片面に積層される粘着材、或いは貼着と剥離が繰り返し行える粘着材としては、具体的には、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0136】
又、本第2発明においては、面状発熱体とリチウムポリマー電池の間に断熱材が設けられているものが、以下に述べる理由より、至極有益である。
【0137】
このように構成されていることにより、面状発熱体の消費電力を削減して使用時間を延長することができる上、面状発熱体からの熱が電池及びスイッチに直接伝達するのを防ぐので、温熱用具の信頼性が高くなるだけでなく、温熱用具の寿命が長くなって至極経済的である。
【0138】
上記断熱材としては、面状発熱体の露出面に積層されて当該面状発熱体を断熱するものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0139】
ところで、本第2発明に係る温熱用具は、外皮に与える温度を電気的且つ容易に37℃以上で43℃以下に制御することにより、低温火傷を生じることのない安全な温度を長時間にわたって使用者に供給するようにしたものであり、この温熱用具の面状発熱体が直接外皮に適用される場合、この面状発熱体の温度或いは外皮に貼着される粘着材の温度が37℃以上で43℃以下に制御されていることを要する。
【0140】
本第2発明において、外皮に直接に粘着される粘着材の温度は温熱効果が得られる下限の温度以上にする必要があるのでその温度を37℃以上に制御する必要があり、又、長時間使用されるから、適用部の低温火傷を防止するために43℃以下に制御する必要がある。
【0141】
このように温度を制御する手段としては温熱用具の面状発熱体が直接外皮に適用される場合、この面状発熱体の温度或いは外皮に貼着される粘着材の温度が37℃以上で43℃以下に制御されるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0142】
又、本第2発明において、両面粘着性の粘着材、フィルム状ないしシート状に成形された粘着材、基材とこの両面に設けられた粘着剤層からなる粘着材、粘着面が皮膚刺激性が無い粘着材、衛生剤を含む粘着材、遠赤外線放射物質を含有又は備える粘着材、磁気物質を含有又は備える粘着材、吸水材が分散されている粘着材、この場合、吸水材が界面活性剤で処理されているもの、更に、経皮吸収性の薬物が配合されている粘着材としては、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0143】
更に、本第2発明においては、遠赤外線放射効果を有効に発現するために、面状発熱体における外皮貼着側に遠赤外線放射物層を形成しているものが、至極有益である。
【0144】
次に、本第2発明で好適に用いられる面状発熱体としては、外皮の曲面に沿って自由に曲がる程度の柔軟性を有することが好ましく、例えば抵抗線とこれを担持する布又はシートとを備えるもの、高分子物質に導電性粉末を配合したものをシート状に成形した高分子複合発熱体、高分子複合発熱繊維ないし高分子複合発熱線を交えて編成又は織成された布、高分子物質に導電性粉末を配合して繊維状に成形した高分子複合発熱繊維、耐熱性高分子化合物に導電性粉末を配合して線状に成形した高分子複合発熱線などを柔軟性と絶縁性を有する膜体に担持させたもの、などをその例として挙げることができる。
【0145】
ここで、この膜体としては織布、不織布、多孔質合成樹脂シート、高密度合成樹脂シートが代表的であり、これらに抵抗線、高分子複合繊維ないし高分子複合発熱線を交織、漉き込み、積層、埋設などの方法で担持される。
【0146】
なお、この種の面状発熱体としては、部品コストの削減による低コスト化を図るため市販の面状発熱体を用いることが推奨される。
【0147】
更に、本願の第3の発明(以下、単に本第3発明と略称する。)に係る温熱用具を詳細に説明すると、この温熱用具においては、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材に埋設される面状発熱体又は抵抗線と、この面状発熱体又は抵抗体に電力を供給して上記粘着材の温度を37℃以上で43℃以下に加温する電池を備えることを特徴とする。
【0148】
即ち、本第3発明において最も重要なことは、特に、面状発熱体又は抵抗線が粘着材に埋設されている点に最も大きな特徴を有するものであり、このように構成することによって、面状発熱体又は抵抗線の断熱性が至極良好になる結果、面状発熱体からの熱効率が著しく良好になるのであり、しかも面状発熱体における外皮貼着面側と反対側の粘着材を用いて断熱材の粘着、積層が至極容易になるので好ましい。
【0149】
又、本第3発明においては、特に、面状発熱体又は抵抗線が粘着材に埋設される点に最も大きな特徴を有するものであり、従って、本第3発明において、用いられる粘着材、或いは貼着と剥離が繰り返し行える粘着材としては、具体的には、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0150】
本第3発明に用いられる電池としては、携帯性があるものであれば一次電池或いは二次電池のいずれも使用が可能で特に限定されるものではないが、簡便性及び経済性等の観点から、特に、二次電池が望ましい。
【0151】
具体的には、例えばボタン型又は円柱型等のアルカリマンガン電池やニッケル・カドミウム電池、リチウム電池、リチウムポリマー電池更に太陽電池などが例として挙げられる。
【0152】
又、電池から面状発熱体への電力の供給は、連続的に行うようにしても良く、或いはオンオフを繰り返して間欠的に行っても良いが、電池の使用可能な時間を延長するために間欠的に行うのが望ましい。
【0153】
即ち、電池の使用に当たり、連続的に使用する場合と間欠的に使用する場合において、電池の容量が一定としたとき、オンの時間とオフの時間を同一にすると、電池の使用可能な時間は2倍となる。従って、この温熱用具の使用感により、オン時間とオフ時間を適宜変更して使用時間の延長を図れば良いのである。
【0154】
又、本第3発明においては、面状発熱体における外皮貼着面側と反対側の粘着材の表面に断熱材が設けられているものが、以下に述べる理由より、至極有益である。
【0155】
このように構成されていることにより、面状発熱体の消費電力を削減して使用時間を延長することができる上、面状発熱体からの熱が電池及びスイッチに直接伝達するのを防ぐので、温熱用具の信頼性が高くなるだけでなく、温熱用具の寿命が長くなって至極経済的である。
【0156】
上記断熱材としては、粘着材の露出面に積層されて面状発熱体を断熱するものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0157】
ところで、本第3発明に係る温熱用具は、外皮に与える温度を電気的且つ容易に37℃以上で43℃以下に制御することにより、低温火傷を生じることのない安全な温度を長時間にわたって使用者に供給するようにしたものであり、この温熱用具の面状発熱体が直接外皮に適用される場合、この面状発熱体の温度或いは外皮に貼着される粘着材の温度が37℃以上で43℃以下に制御されていることを要する。
【0158】
本第3発明において、外皮に直接に粘着される粘着材の温度は温熱効果が得られる下限の温度以上にする必要があるのでその温度を37℃以上に制御する必要があり、又、長時間使用されるから、適用部の低温火傷を防止するために43℃以下に制御する必要がある。
【0159】
このように温度を制御する手段としては温熱用具の面状発熱体が直接外皮に適用される場合、この面状発熱体の温度或いは外皮に貼着される粘着材の温度が37℃以上で43℃以下に制御されるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0160】
本第3発明においては、粘着材に埋設された面状発熱体又は抵抗体において、この面状発熱体又は抵抗体の使用面側(皮膚貼着面側)と反対面側に断熱材を介在して粘着材が形成されているものが、この断熱材によって、面状発熱体又は抵抗体からの温熱が一層効果的に外皮に供給されるので、至極有益である。
【0161】
即ち、このものは、粘着材、断熱材、面状発熱体又は抵抗体及び粘着材を順次重ねた構造を有し、断熱材が無い側の粘着材が外皮に貼着される。
【0162】
又、本第3発明において、フィルム状ないしシート状に成形された粘着材、粘着面が皮膚刺激性が無い粘着材、衛生剤を含む粘着材、遠赤外線放射物質を含有又は備える粘着材、磁気物質を含有又は備える粘着材、吸水材が分散されている粘着材、この場合、吸水材が界面活性剤で処理されているもの、更に、経皮吸収性の薬物が配合されている粘着材としては、本第1発明のものと同様のものが挙げられるのであり、よって、重複説明を避けるために省略する。
【0163】
更に、本第3発明においては、遠赤外線放射効果を有効に発現するために、面状発熱体における外皮貼着側に遠赤外線放射物層を形成しているものが、至極有益である。
【0164】
次に、本第3発明で好適に用いられる面状発熱体としては、外皮の曲面に沿って自由に曲がる程度の柔軟性を有することが好ましく、例えば抵抗線とこれを担持する布又はシートとを備えるもの、高分子物質に導電性粉末を配合したものをシート状に成形した高分子複合発熱体、高分子複合発熱繊維ないし高分子複合発熱線を交えて編成又は織成された布、高分子物質に導電性粉末を配合して繊維状に成形した高分子複合発熱繊維、耐熱性高分子化合物に導電性粉末を配合して線状に成形した高分子複合発熱線などを柔軟性と絶縁性を有する膜体に担持させたもの、などをその例として挙げることができる。
【0165】
ここで、この膜体としては織布、不織布、多孔質合成樹脂シート、高密度合成樹脂シートが代表的であり、これらに抵抗線、高分子複合繊維ないし高分子複合発熱線を交織、漉き込み、積層、埋設などの方法で担持される。
【0166】
なお、この種の面状発熱体としては、部品コストの削減による低コスト化を図るため市販の面状発熱体を用いることが推奨される。
【0167】
又、本第3発明においては、上記面状発熱体に代えて、抵抗体を用いることができるが、この抵抗体としては、柔軟性があり、しかも外皮に貼着される粘着材の温度を37℃以上で43℃以下に上昇できるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばニクロム線又はマンガニン線などの金属製抵抗線、高分子物質と導電性粉末で形成された高分子複合発熱繊維、高分子複合発熱線又は高分子複合発熱帯状体から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0168】
ところで、本発明に係る温熱用具においては、電池の設置箇所が特に限定されるものではなく、例えば被服のポケット等に収納し、これをリート線で面状発熱体に接続したり、或いはこの温熱用具に電池が取り付けられていること、つまり電池を面状発熱体に直接、或いは断熱材を介して設置することによって温熱用具の携帯性や取扱性が一層容易になるので好ましい。
【0169】
又、本発明において、導電性粉末とは電気抵抗が小さい導電性の粉末であれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば銅、真鍮、ステンレス、銀、金、クロム又はニッケル等の金属粉末、導電性カーボンの粉末等が挙げられる。
【0170】
【作用】
本第1の発明に係る温熱用具は、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材の片面に積層され、且つこの粘着材の温度を37℃以上で43℃以下に制御する面状発熱体と、この面状発熱体に電力を供給する電池を備える。
【0171】
そして、この温熱用具は、粘着材によって外皮に貼り付けられることにより、粘着材及び面状発熱体で外皮を覆って外皮を密封すると共に、電池から供給される電力で面状発熱体を発熱させ、この面状発熱体からの熱を粘着材を介して外皮に与えることにより温熱効果を発現する作用を有するのである。
【0172】
この場合、粘着材の温度を37℃以上で43℃以下と、低温火傷を発生しない安全な温度範囲に電気的に制御されているのであるが、この温度の最適な感覚は、個人的な差異があり、これを電気的且つ簡便に制御して自己の最適な温度範囲に自由に調整できる作用を有する。
【0173】
又、本第1の発明に係る温熱用具は、粘着材に面状発熱体を積層し、しかもこの面状発熱体に電力を供給する電池からなるものであり、この粘着材で外皮に粘着、固定するものであるから、粘着材や発熱体よりも大幅に面積が大きいカバーを省略して構成を簡単にできる作用を有する。
【0174】
本第2発明に係る温熱用具は、面状発熱体を備える温熱用具において、この面状発熱体に電力を供給する電池がリチウムポリマー電池であることを特徴とする。
【0175】
即ち、本第2発明において最も重要なことは、電池がリチウムポリマー電池を用いた点にあり、このリチウムポリマー電池は、同重量で比較すると、使用時間がニッケル・カドミウム電池の6倍程度、リチウム電池の2〜3倍程度であり、しかも、製造コストをリチウム電池の半分以下に抑えることができる作用を有する。
【0176】
又、リチウムポリマー電池は厚さ約0.5mm程度であり、手で自由に曲げられるくらい柔軟であるため、生体表面へのなじみ性が高く、使用中に運動をしても違和感があまり感じられず、使用者の運動意欲が阻害され難くなるので、使用者の運動性が高められる。
【0177】
更に、リチウムポリマー電池は、同重量で比較すると、使用時間がニッケル・カドミウム電池の6倍程度、リチウム電池の2〜3倍程度であるため長時間の使用が可能になり、しかも、製造コストをリチウム電池の半分以下に抑えることができるので温熱用具を安価にできる作用を有する。
【0178】
加えて、この温熱用具にリチウムポリマー電池が取り付けられていると、携帯性や取扱性が一層容易になる作用を有するのである。
【0179】
本第3発明に係る温熱用具は、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材に埋設される面状発熱体又は抵抗線と、この面状発熱体又は抵抗体に電力を供給して上記粘着材の温度を37℃以上で43℃以下に加温する電池を備えることを特徴とする。
【0180】
即ち、本第3発明において最も重要なことは、特に、面状発熱体又は抵抗線が粘着材に埋設されている点に最も大きな特徴を有するものであり、このように構成されていることによって、粘着材も断熱材としての役割を果す結果、面状発熱体又は抵抗線の断熱性が至極良好になる作用を有するのである。
【0181】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0182】
本発明の実施例は、図1に示すように外皮に粘着される粘着材1と、この粘着材1に順に積層された面状発熱体2、断熱材3、電源である電池4及びボタンスイッチからなるスイッチ5とを備え、図2に示すように、電池4とスイッチ5と面状発熱体2とを電気的に接続している。
【0183】
そして、粘着材1によりこの温熱用具を外皮に貼り付けることにより、粘着材1、面状発熱体2及び断熱材3で外皮を覆って外皮から放射される熱の放散を防止すると共に、電池4から供給される電力で面状発熱体2を発熱させ、この熱を外皮に適用することにより温熱効果を得るように構成されている。
【0184】
ところで、上記粘着材1は、生体の外皮に直接に粘着できると共に、使用後に剥離できるものであば特に限定されるものではないのであり、又、面状発熱体2からの熱を外皮に伝導するためのものである。この場合、面状発熱体2の発熱温度、粘着材1の膜厚などを適宜選定することにより任意の熱伝導率のものを用いることができる。
【0185】
そして、面状発熱体2の消費電力を削減して使用時間を延長するという観点からは、熱伝導率が高く、面状発熱体2の温度と外皮の皮膚温度との差が小さくなるものを選択することが好ましい。
【0186】
又、粘着材1は、外皮に粘着した後に剥離できるものであればよいが、この粘着材1が面状発熱体2から剥離できるものである場合、この粘着材1を面状発熱体2から粘着材1を剥離し、水洗などによって簡単に汚れを除去でき、乾燥後に再び粘着力を回復するものが好ましく、例えば布付ゲルシートを含むゲルシート(三井東圧化学株式会社製の100F80T4−03P、100F80T4−05P及び100F80T4−10P)や、アクリル系粘着剤(東洋ケミテック株式会社製、東洋インキ株式会社製)、スチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体(タックシステム株式会社製、以下、SISと略称する。)等のゴム系粘着剤が挙げられる。
【0187】
上記面状発熱体2は、外皮の曲面に沿って自由に曲がる程度の柔軟性を有するものが好ましく、例えば繊細な抵抗線、高分子物質に導電性粉末を配合して繊維状に成形した高分子複合発熱繊維、高分子物質に導電性粉末を配合して線状に成形した高分子複合発熱線などを柔軟性と絶縁性を有する膜体に担持させたもの、耐熱性高分子化合物に導電性粉末を配合してシート状に形成した高分子発熱体シートなどをその例として挙げることができる。
【0188】
ここで、膜体としては織布、不織布、多孔質合成樹脂シート又は高密度合成樹脂シート等が挙げられるのであり、抵抗線や高分子複合発熱体繊維はこれらの膜体に交織、漉き込み、積層、埋設などの方法で担持される。
【0189】
面状発熱体2としては部品コストの削減による低コスト化を図るため、市販品を用いることが推奨されるのであり、例えば抵抗線を交織した布状のものとしては坂口電熱株式会社製(SAMICON 230SR)がその例として挙げられるのであり、高分子複合発熱繊維ないし高分子複合発熱線を交織した布状のものとしてはダイキンケミトロニクス製の織フロロトロンがその例として挙げられる。
【0190】
なお、面状発熱体2の好適な電気的特性、即ち、抵抗値は温熱用具の面積、面状発熱体2の温度、電池の出力を考慮して理論的に決定してもよく、又、実験を繰り返して経験的に求めてもよい。いずれにしても、好適な電気特性を得るためには、必要に応じて複数枚の市販の面状発熱体2を積層し、直列接続により抵抗値を高めたり、並列接続により抵抗値を低めたりすることができる。
【0191】
ところで、実験によると、面状発熱体2の熱効率を向上するには、当該面状発熱体2表面からの放熱をいかに防ぐか、つまり断熱効果をいかに向上するかが重要であり、又、粘着材1の厚さ、充填剤及び高分子物質の種類等が重要であり、この断熱効果を向上させることによって、比較的低い電力で優れた温熱効果が得られることが判明した。
【0192】
又、粘着材1厚さだけでなく、その構造も重要であり、具体的には、粘着材1の皮膚粘着面側の表面部の構造、例えば粗面構造や凹凸構造等に形成しても異なるが、特に粘着材1に穴を設けたものが有益である。
【0193】
次に、96mm×70mmの長方形に裁断された面状発熱体2を用い、図3に示すように、プレート6の上に、粘着材1、面状発熱体2及び断熱材3からなる温熱用具を積層し、プレート6と粘着材1との間に挿入された温度センサ7及び粘着材1と面状発熱体2との間に挿入された温度センサ8によって、プレート6面の温度及び面状発熱体2の温度を測定した。
【0194】
この場合、プレート6としては厚さ5mmの三菱レイヨン製ポリカーボネート板を用い、面状発熱体2としては、坂口電熱株式会社製(SAMICON 230SR 10.32Ω)を用い、断熱材3としては積水化学工業製高機能ソフトロンIF#3002を積層したものを用い、又、粘着材1としてはゲルシート(三井東圧化学株式会社製の100F80T4−05P)を用いた。
【0195】
この温熱用具を外皮(肩)に適用した場合において、この温熱用具に、株式会社ソニー・エナジー・テック社製リチウム イオンバッテリー(LiP−10)を用いて通電し、電流240mAで37℃であり、又、電流570mAで43℃となり、電流が240mA未満では37℃未満になって温熱効果が乏しくなり、一方、電流が570mAを超えると43℃を超えるので低温火傷の恐れが生じる。
【0196】
ところで、この電流値は、面状発熱体2表面の断熱方法によって大きく異なり、面状発熱体2表面からの放熱の防止が至極重要であり、薄くて高い断熱効果が得られることが好ましく、又、温熱用具の生体表面へのなじみ性を高めるために、柔軟であることが求められる。更に、低価格化を図るためには、市販品を用いることが推奨される。
【0197】
この断熱材3としては、断熱性が高い独立気泡を有し、発泡倍率の高い発泡体が最も好ましい。
【0198】
ところで、外皮に直接に粘着される粘着材1の温度は温熱効果が得られる下限の温度以上にする必要があるのでその発熱温度を37℃以上に制御する必要があり、又、温熱効果においては長時間使用されることから、適用部の低温火傷を防止するために43℃を超えないように制御する必要がある。
【0199】
この温度制御は、経験的に粘着材1の温度が37℃以上43℃以下に制御される面状発熱体の好適な抵抗値及び電池電圧とを求め、これらの好適値ないしは最適値に面状発熱体の抵抗値及び電池の出力を固定的に設定することにより実現することが可能である。
【0200】
次に、以上の経験を基礎にして、図4に示すように、それぞれ96mm×70mmの長方形に形成された、上記ゲルシート(100F80T4−05P)1aと伝熱体1bとの積層体からなる粘着材1、電極間距離90mm、抵抗値15.72Ωの面状発熱体2、グレードSP#2002の高機能ソフトロンからなる断熱材3を積層し、富士通製リチウム電池CR123A(3V、使用電圧2.65V)を電池4に用いた温熱用具の特性を求めてみた。
【0201】
即ち、この温熱用具を厚さ5mmの三菱レイヨン製ポリカーボネートからなるプレート6の上に貼り、ネルのカバー11を被せ、スイッチ5をオンにした後のプレート温度、ゲルとプレート間のプレート面温度、発熱体温度(面状発熱体2と断熱材3間)、及び断熱材(SP#2002)の外側温度を、平均気温20.1℃の雰囲気中で測定したところ、各測定点で図5に示すような温度変化が見られた。
【0202】
なお、図4において、ch.1はプレート温度を検出する温度センサ、ch.3は断熱材3外側温度を検出する温度センサ、ch.4は面状発熱体温度を検出する温度センサ、ch.5はプレート面(ゲルとプレート間)温度を検出する温度センサをそれぞれ示す。
【0203】
図5に示すように、プレート面(ゲルとプレート間)温度は通電開始後15〜20分で37℃以上になり、通電開始後60分を経過した頃に最高温度39.6℃を記録した後、次第に降温し、通電開始後ほぼ180分を経過したころまで37℃を上回っている。つまり、通電開始後15〜20分から180分を経過するまで温熱効果が得られることが分かる。
【0204】
又、比較のため、抵抗値10.32Ωの抵抗値を有する面状発熱板を用いて同様の測定をしたところ、プレート面温度が47.8℃にも達し、低温火傷にかかることが確認された。
【0205】
次に、図6及び図7に示すように、それぞれ96mm×70mmの長方形に形成された、ゲルシート(100F80T4−05P)からなる粘着材1とグレードIF#3002の高機能ソフトロンからなる断熱材3との間に7.7Ωの抵抗値を有する面状発熱体2を挟み込み、人の左腕に粘着させた後、安定化電源からなる電源から3V、0.39Aの電圧を印加して環境温度、皮膚温度、発熱体温度及び使用部温度を測定した。
【0206】
図6及び図7において、ch.1は環境温度測定用温度センサ、ch.2は皮膚温度測定用温度センサ、ch.3は面状発熱体2の温度測定用温度センサ、ch.4〜ch.6は使用部(外皮)温度測定用温度センサをそれぞれ示しており、このうち、ch.4は粘着材1と外皮との密着部の温度、ch.5は粘着材1における貫設された直径5mmの孔の中に、又、ch.6は粘着材1における貫設された直径4mmの孔の中に、温度センサをそれぞれ配置し、その部位の温度を測定したところ、各測定点で図8に示すような温度変化が見られた。
【0207】
図8から、ゲルシート(100F80T4−03P)からなる粘着材1を用いた場合には、粘着材1の皮膚側温度、特に、外部に開放されていない使用部温度測定用温度センサch.4の検出温度は、通電を開始した後約3分で39℃を上回ることが分かる。
【0208】
図9から、ゲルシート(100F80T4−05P)からなる粘着材1を用いた場合には、使用部温度測定用温度センサch.4の検出温度は、通電開始後約3分で37℃以上になり、最高温度が39.2℃となっていることが分かる。
【0209】
粘着材1の温度(粘着材1と皮膚間温度)は、主として外皮の皮膚温度、面状発熱体の温度及び発熱量(出力)、及び環境温度によって決定されるが、これらのうち、外皮の皮膚温度及び環境温度、特に環境温度は大幅に変化する。そして、この変化を考慮に入れて面状発熱体の抵抗値及び出力を固定的に設定することが困難になる場合がある。
【0210】
即ち、低温火傷を確実に防止するために、面状発熱体2の抵抗値及び電池電圧を固定的に設定して面状発熱体2の出力を小さく設定すると、面状発熱体2が温熱効果が生じる37℃以上に昇温しなかったり、到達するまでの時間(立ち上がり時間)が長くなり、施用時間が長くなるという問題が生じる。
【0211】
又、面状発熱体2の抵抗値は温度の上昇に伴い減少するが、これに逆比例して電流値が高くなるので、抵抗値に比例し、かつ、電流値の二乗に比例する面状発熱体の出力は温度の上昇に伴い増大する傾向を示す。従って、使用時間の短縮を図るために、面状発熱体2の出力を大きく設定した場合には、使用時間が長くなると面状発熱体2の温度が43℃を超えると低温火傷にかかる恐れが生じる。
【0212】
そこで、図10に示す本発明の他の実施例に係る温熱用具には、立ち上がり時間の短縮と低温火傷の防止という、いわば、相反する目的を共に確実に達成するために、上記粘着材1又は面状発熱体2の温度を検出する温度検出回路12と、この温度検出回路12の検出温度に基づいて、電池4の出力電圧を粘着材1又は面状発熱体2の温度が37℃以上43℃以下の所定値になるように制御し、この所定値外では電池4の出力を段階的に又は連続的に出力を制御して粘着材1又は面状発熱体2の温度を37℃以上43℃以下に制御する温度制御回路13とを備えて、粘着材の温度が確実に37℃以上43℃以下に制御されるようにしている。
【0213】
又、図11に示す本発明の又他の実施例では、立ち上がり時間の短縮と低温火傷の防止という相反する目的を共に達成する別の手段としては、上記粘着材1又は面状発熱体2の温度を検出する温度検出回路12と、この温度検出回路12の検出温度が設定された温度(45℃)又はその近傍に上昇すると電池4をオフし、37℃又はその近傍まで低下すると電池4をオンにして粘着材1又は面状発熱体2の温度を37℃以上43℃以下に制御する温度制御回路14とを備えている。
【0214】
なお、この他に、電池出力をパルス状に出力させて、温度検出回路12の出力に基づいてそのパルス幅、周波数或いは振幅を制御することにより、粘着材1又は面状発熱体2の最高温度を37℃以上43℃以下に制御することも可能である。
【0215】
又、使用者の個性、例えば体温が低い場合、37℃でも温熱効果が得られる場合があり、使用する環境温度によっては、いわゆる常温、或いは室温を基準にして抵抗値、印加電圧などを設定、制御される。
【0216】
例えば本発明の更に他の実施例では、図12に示すように、上記面状発熱体2に並列に接続される可変抵抗15を設け、この可変抵抗15の抵抗値を変化させることにより面状発熱体2の電流値を変化させて面状発熱体2の出力を変化させるように構成される。なお、この可変抵抗15には、いわゆる、半固定式可変抵抗も含まれる。
【0217】
又、本発明のもう一つの実施例では、図13に示すように上記面状発熱体2に例えばボタンスイッチからなる切替えスイッチ16を介して並列に接続される固定抵抗17を設け、この固定抵抗17の面状発熱体2への接続をオンオフすることにより面状発熱体2の電流値を切替えて面状発熱体の出力を変化させるように構成される。この場合、複数の固定抵抗17をそれぞれ切替えスイッチ16を操作することにより使用環境に適した出力を得られるようにすることができる。
【0218】
【発明の効果】
本第1の発明に係る温熱用具は、外皮に粘着される粘着材と、この粘着材の片面に積層され、且つこの粘着材の温度を37℃以上で43℃以下に制御する面状発熱体と、この面状発熱体に電力を供給する電池を備える。
【0219】
そして、この温熱用具は、粘着材によって外皮に貼り付けられることにより、粘着材及び面状発熱体で外皮を覆って外皮を密封すると共に、電池から供給される電力で面状発熱体を発熱させ、この面状発熱体の熱を粘着材を介して外皮に適用することにより優れた温熱効果を発現する。
【0220】
この場合、粘着材の温度を37℃以上で43℃以下と、温熱効果を確保する一方、低温火傷を発生しない安全な温度範囲に電気的に制御されているのであるが、この温度の最適な感覚は、個人的な差異があり、これを電気的且つ簡便に制御して自己の最適な温度範囲に調整できるので、至極有益である。
【0221】
又、本第1の発明に係る温熱用具は、粘着材に面状発熱体を積層し、しかもこの面状発熱体に電力を供給する電池からなるものであり、この粘着材で外皮に粘着、固定するものであるから、粘着材や発熱体よりも大幅に面積が大きいカバーを省略して構成を簡単にできる。
【0222】
本第2発明に係る温熱用具は、面状発熱体を備える温熱用具において、この面状発熱体に電力を供給する電池がリチウムポリマー電池であることを特徴とし、このリチウムポリマー電池は、同重量で比較すると、使用時間がニッケル・カドミウム電池の2倍程度、リチウム電池の2〜3倍程度であり、しかも、製造コストをリチウム電池の半分以下に抑えることができる結果、至極経済的である。
【0223】
又、リチウムポリマー電池は厚さ約0.5mm程度であり、手で自由に曲げられるくらい柔軟であるため、生体表面へのなじみ性が高く、使用中に運動をしても違和感があまり感じられず、使用者の運動意欲が阻害され難くなるので、使用者の運動性が高められる。
【0224】
加えて、この温熱用具にリチウムポリマー電池が取り付けられていると、携帯性や取扱性が一層容易になり、一層実用性が向上するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の断面模式図である。
【図2】本発明の一実施例の電気回路図である。
【図3】本発明の粘着材の特性測定の説明図である。
【図4】本発明の一実施例の粘着材、面状発熱体及び断熱材の実用性試験の説明図である。
【図5】本発明の一実施例の粘着材、面状発熱体及び断熱材の実用性試験の結果を示す特性図である。
【図6】本発明の一実施例の粘着材、面状発熱体及び断熱材の身体テストの説明図である。
【図7】図6の温度センサの部位を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施例の他の粘着材、面状発熱体及び断熱材の身体テストの結果を示す特性図である。
【図9】本発明の一実施例の又他の粘着材、面状発熱体及び断熱材の身体テストの結果を示す特性図である。
【図10】本発明の他の実施例の電気回路図及びその制御特性図である。
【図11】本発明の又他の実施例の電気回路図及びその制御特性図である。
【図12】本発明の更に他の実施例の電気回路図である。
【図13】本発明のもう一つの実施例の電気回路図である。
【符号の説明】
1 粘着材
2 面状発熱体
3 断熱材
4 電源
5 スイッチ
Claims (25)
- 外皮に粘着される粘着材と、この粘着材の片面に積層され、且つこの粘着材を37℃以上で43℃以下に加温する面状発熱体と、この面状発熱体に電力を供給する電池と、粘着材の温度を検出する温度検出回路と、この温度検出回路の検出温度に基づいて電源をオンオフして粘着材の温度を37℃以上43℃以下に制御する温度制御回路とを備えることを特徴とする温熱用具。
- 外皮に粘着される粘着材と、この粘着材の片面に積層され、且つこの粘着材を37℃以上で43℃以下に加温する面状発熱体と、この面状発熱体に電力を供給する電池と、面状発熱体に並列に接続される可変抵抗を設け、この可変抵抗の抵抗値を変化させることにより面状発熱体の電流値を変化させて面状発熱体の発熱量を変化させることを特徴とする温熱用具。
- 外皮に粘着される粘着材と、この粘着材の片面に積層され、且つこの粘着材を37℃以上で43℃以下に加温する面状発熱体と、この面状発熱体に電力を供給する電池と、面状発熱体に切替えスイッチを介して並列に接続される固定抵抗を設け、この固定抵抗の面状発熱体への接続をオンオフすることにより面状発熱体の電流値を切替えて面状発熱体の発熱量を変化させることを特徴とする温熱用具。
- 粘着材が貼着と剥離が繰り返し行えるものである請求項1ないし3のいずれかに記載の温熱用具。
- 面状発熱体の露出面が断熱材で被覆されている請求項1ないし4のいずれかに記載の温熱用具。
- 請求項1ないし5のうちのいずれか1項に記載の温熱用具において、この温熱用具に電池が取り付けられている温熱用具。
- 断熱材の露出面に電池が取り付けられている請求項5又は6に記載の温熱用具。
- 面状発熱体の抵抗値と電池電圧とを適宜固定設定することにより粘着材の温度が37℃以上43℃以下に制御される請求項1ないし7のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材が両面粘着性である請求項1ないし8のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材がフィルム状ないしシート状に成形された粘着剤からなる請求項1ないし9のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材が基材とこの両面に設けられた粘着剤層からなる請求項1ないし9のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材がアクリル系粘着剤で形成されたものである請求項1ないし11のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材がゴム系粘着剤で形成されたものである請求項1ないし11のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材の粘着面が皮膚刺激性が無いもので形成されている請求項1ないし13のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材が衛生剤を含むものである請求項1ないし14のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材が遠赤外線放射物質を含有又は備えるものである請求項1ないし15のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材が磁気物質を含有又は備えるものである請求項1ないし16のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材における使用面側に吸水材が分散されている請求項1ないし17のうちのいずれかに記載の温熱用具。
- 吸水材が界面活性剤で処理されている請求項18に記載の温熱用具。
- 面状発熱体における外皮貼着側に遠赤外線放射物層を形成している請求項1ないし19のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
- 粘着材に経皮吸収性の薬物を配合させている請求項1ないし20のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
- 面状発熱体が抵抗線とこれを担持する布又はシートとを備える請求項1ないし21のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
- 面状発熱体が高分子物質に導電性粉末を配合した高分子複合発熱体である請求項1ないし21のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
- 面状発熱体が高分子複合発熱繊維ないし高分子複合発熱線を交えて編成又は織成された布からなる請求項1ないし21のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
- 前記電池がリチウムポリマーであることを特徴とする請求項1ないし24のうちのいずれか1項に記載の温熱用具。
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