JP4279372B2 - 美顔用粘着性発熱シート - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、顔面に貼着されて当該貼着部位を清潔にし、美化して魅力を増し、又は皮膚を健やかに保つために用いられる美顔用粘着性発熱シートに関し、特に、発熱シートからの温熱によって美顔用化粧用材を適用部位に効果的に吸収させて美顔効果を一層向上させる上、安全で、しかも使用感や利便性更に有用性が著しく優れた美顔用粘着性発熱シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、美顔方法としては、(a)顔面に美顔用剤を含む化粧水、乳液、美容液又は栄養クリームなどを塗布したり、或いは(b)顔面に美顔用剤を含むパック剤を塗布することが提案されている。
【0003】
しかしながら、前記(a)の方法では角質層に起因するバリヤー効果から美顔用剤を皮膚内部に殆ど吸収させることができず、所要の美顔効果が得られないのであり、又、前記(b)の方法ではパック剤で皮膚表面の汚れを吸着、除去できる効果があるものの、前記(a)と同様に、角質層に起因するバリヤー効果から美顔用剤を皮膚内部に殆ど吸収させることができず、所要の美顔効果が得られないのである。
【0004】
又、前記の(a)及び(b)の美顔方法において、冬期にこれらの方法を採用する場合、化粧水等やパック剤が冷たくなっており、顔面に塗布すると、冷たく不快感を感じることが少なくない。このため、その使用に際しては入浴後に限定されるなど、使用上の自由度が制限されることが多々ある。
【0005】
そこで、他の美顔方法としては、顔面に蒸しタオルを当てがい、この蒸しタオルからの湿気と温熱を顔面に供給することが行われている。
【0006】
しかしながら、この美顔方法では、蒸しタオルの温度調整が困難であるうえ、保温時間が短く、角質層を充分に保水させることができず、美顔に必要な温熱時間を確保できず、蒸しタオルの当てがい、除去を複数回繰り返す必要があり、煩わしさが残る。
【0007】
そこで、最近では、以下に述べる美顔用マスク及び美顔方法が提案されている。
即ち、▲1▼ 美顔用マスクとして、少なくとも顔面に密着する側を柔軟性のあるシート材料で構成し、温水を収容し得る中空状のマスク本体の左右両側に締着けバンドを一体的に設けたものが提案されている(特開昭59ー14804号公報)。
【0008】
この美顔用マスクは、胎盤エキス、コラーゲン等を主成分とする美顔用クリーム等を塗った顔面に接当して使用されたり、或いは美顔用クリーム等を塗ることなく単独に使用して、中空部内の温水で顔面全体を温めながら圧迫し、顔面のしわを延ばしたり、脂肪、吹出物等を除去するためのものであり、この美顔用マスクは締付バンドを頭部の左右に回し、耳を耳孔から露出させて強く引張した状態で止着具を重ね合わせて使用するものである。
【0009】
▲2▼ 温熱治療パックとして、パラフィンを主成分とした温熱治療剤を水密性を有する袋中に収納したもが提案されている(実開昭61ー96911号公報)。
【0010】
この場合、温熱治療剤に助剤としてカオリン、ベントナイト等の粘土質微粉末を主体とする保型剤が添加される。
【0011】
そして、この温熱治療パックは、パラフィンを主成分とした温熱治療剤を、袋ごと加熱できるようにし水密性を有する袋中に収納し、この温熱治療パックを直接温水中に入れて加熱し、55〜60℃程度の適温となった時に取り出して、患部に当てることによって、温熱治療を施すものである。
【0012】
この際、予め、顔面にオリーブ油やクリーム、更に香料、テレピン油或いはメントール等を塗ったり、放射性含有鉱石の微粉末を添加することも提案されている。
【0013】
▲3▼ 美顔用温熱パックとして、柔軟性物質によって顔面形状の袋体を形成し、この袋体に貫通状の眼対応穴、口対応穴および鼻突出穴を各々設けると共に、袋体の一面に晶折発生小孔を穿設し、袋体内に、過冷却と晶折を反復し晶折時に発熱する溶液を充填して密封すると共に、ラベルを上記晶折発生小孔に剥離可能に接着して閉鎖したものが提案されている(実開昭63ー180023号公報)。
【0014】
このものは、過冷却された液体が晶折する時に生ずる熱を熱源として利用するものである。
【0015】
そして、この美顔用温熱パックには突出部が左右に形成され、この突出部には顔面への取付用のヒモ挿通孔が形成され、このヒモ挿通孔にはヒモを取り付け、このヒモを頭部に巻き付けて当該美顔用温熱パックを顔面に取り付けるよう構成されている。
【0016】
▲4▼ 美顔用マスクとして、人の顔面形状に合わせて成形されたマスク本体中に、通電することによって発熱する面状発熱体を埋め込むとともに、面状発熱体としてシート状の基板上に導極線と発熱材を印刷したものを使用したものが提案されている(特開平9ー122166号公報)。
【0017】
この場合、面状発熱体の発熱材中に遠赤外線を放射する物質を混入することも開示されている。
【0018】
この美顔用マスクにおいては、加温源として、電源を用いた面状発熱体が使用されるが、この電源としては商業用電源やバッテリーが用いられる。
【0019】
この美顔用マスクは、人の顔面に被せて使用されるが、このとき、バンドを頭の後面に掛けて当該マスクを顔面に当てて保持し、その状態で面状発熱体に通電すると、この面状発熱体が発熱して顔面を加温する。
【0020】
▲5▼ 顔面美容法として、シート状化学的発熱体を用いた加温器具が顔面に装着されて使用することにより、顔面を加温せしめることが提案されている(特開昭56ー85336号公報)。
【0021】
このシート状化学的発熱体は、酸化反応、あるいは、溶解・水和等の相変化により発熱する薬剤あるいは組成物を利用するものである。
【0022】
このシート状化学的発熱体を用いた加温器具は、人間の目および口ならびに鼻の部分に穴をあけたり、或いは切り込みを入れた仮面状に形成され、この加温器具にて、そのまま顔面を直接加温したり、顔面に化粧パックを施したり、或いは栄養・漂白クリームを塗り、美容効果を促進することが開示されている。
【0023】
ところで、シート状化学的発熱体からなる加温器具の顔面への装着は、加温器具を顔に被せるだけでもよいが、さらに、その上に圧力をかけるようなマスクで押えたり、或いは加温器具にゴムひも、ゴムバンド等を設け、耳あるいは、頭部にて加温器具を顔面に押しつけるように固定することが開示されている。
【0024】
▲6▼ 発熱シートにおいて、内面に粘着剤層を有する粘着性シートと多孔質包材との間に空気の存在下で発熱する発熱剤が配置され、該発熱剤の周縁部の両包材が粘着性シートの粘着剤を用いて感圧シールされてなるものが提案されている(特公平7ー49937号公報)。
【0025】
この場合、美顔用の発熱シートとするために、顔面に沿うように目、口部の繰り抜き部、鼻部の切込み部を設けて顔面形に形成されている。
【0026】
ところで、この美顔用の発熱シートを顔面に装着するにあたり、その左右両端部に孔を設け、この孔に取り付けたひもやゴムひも等の固定用具で固定したり、こめかみや顎の左右に切込み部等を設けた構造に形成されている。
【0027】
又、この発熱シートにおける基材シートの外面に粘着剤層又は遠赤外線発生物質等を付与することにより、身体の曲面部にも使用可能としたり、又は、基材シートの外面に湿布剤や薬効成分等を塗布したり、粘着等して一体化して温湿布体とすることが記載されている。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
前記▲1▼の美顔用マスクは中空状に形成されその内部に温水を入れて顔面を暖めるものであるが、これでは温水を作る装置が必要である上、面倒で、いつでも、どこでも手軽に使用できるものではない。
【0029】
又、このように温水を用いる場合、重く、使用中に違和感を感じるだけでなく、落下したときや取り扱う際の衝撃に充分耐え得る程度の厚みと強度が必要であるが、仮に、美顔用マスクが破れると当該マスク内の温水が顔面や周囲に飛散し、やけどが発生したり、顔面や衣服更にその周辺を汚すなどの問題が生じるのである。
【0030】
更に、このものは、胎盤エキス、コラーゲン等を主成分とする美顔用クリーム等を顔面に塗った後、美顔用マスクを顔面に当てて使用することもできるが、これでは美顔用マスクと顔面との密着性が悪く、マスクと顔面との間に隙間ができたり、角質層に基づくバリヤー性、更に、美顔用マスクの温熱によって顔面に塗ったクリーム等が直ちに乾燥する結果、胎盤エキス等が経皮吸収され難いなどの問題がある。
【0031】
特に、この美顔用マスクには締め付けバンドが取り付けられ、このバンドを締め付けて美顔用マスクを顔面に固定するものであるから、取扱性が悪いうえ、顔面への違和感更に側頭部や後頭部に疼痛が生じる等の不都合が生じるのである。
【0032】
前記▲2▼の温熱治療パックは、パラフィンを主成分とした温熱治療剤を、袋ごと加熱できるように、水密性を有する袋中に収納し、この温熱治療パックを直接温水中に入れて加熱し、55〜60℃程度の適温となった時に取り出して、患部に当てて使用するものであるが、これでは温水を作る装置が必要である上、面倒で、いつでも、どこでも手軽に使用できるものではない。
【0033】
又、このようにパラフィンを主成分とした温熱治療剤を用いる場合、落下したときや取り扱う際の衝撃によって袋が破れると温熱治療パック内の温熱治療剤が顔面や周囲に飛散し、やけどが発生したり、顔面や衣服更にその周辺を汚すだけでなく、パラフィンが用いられているから汚れがしつこく、後処理が極めて困難であるなどの問題が生じる。
【0034】
更に、このものは、顔面にオリーブ油やクリーム、更に香料、テレピン油或いはメントール等を塗った後、温熱治療パックを顔面に当てて使用することもできるが、これでは温熱治療パックと顔面との密着性が悪く、当該パックと顔面との間に隙間ができたり、角質層に基づくバリヤー性、更に、温熱治療パックの温熱によって顔面に塗ったメントール等が直ちに乾燥する結果、メントール等が経皮吸収され難いなどの問題がある。
【0035】
特に、このものは温熱治療パックの顔面への固定具が無く、不安定で、使用中に僅かに顔を左右又は前後に動かすだけで当該パックがズリ落ちたり、移動するため、手直しが必要となり、極めて煩わしく、利便性等に欠けるなどの問題があるのであり、加えて、放射性含有鉱石の微粉末を添加すると、放射線によって被爆する虞れも有る。
【0036】
前記▲3▼の美顔用温熱パックにおいては、過冷却された液体が晶折する時に生ずる熱を熱源として利用したものであるが、これでは温度の上昇に時間が掛かるうえ、温度が安定せず、所要の温熱効果が得られ無いなどの問題が生じる。
【0037】
又、このものは、美顔用温熱パックを顔面に当てて使用するものであるが、これでは美顔用温熱パックと顔面との密着性が悪く、顔面に充分に温熱を与えることができず、所要の温熱効果が得られないのである。
【0038】
更に、この美顔用温熱パックにはヒモを取り付け、このヒモを頭部に巻き付けて当該美顔用温熱パックを顔面に取り付けるものであるから、取扱性が悪いうえ、使用の際、顔面への違和感更に側頭部や後頭部に疼痛が生じる等の不都合が生じるのである。
【0039】
前記▲4▼の美顔用マスクにおいては、人の顔面形状に合わせて成形されたマスク本体中に、通電することによって発熱する面状発熱体を埋め込んだものであり、その電源としては商業用電源やバッテリーが用いられるのであるが、これではバッテリーの携帯や商業用電源の存在箇所でないと使用できず、しかも携帯性が著しく悪く、いつでも、どこでも手軽に使用できるものではない上、故障した場合の処置が困難であるなどの課題が有る。
【0040】
又、この種、美顔用マスクにおいて、このような課題は、使用者が女性であることから、極めて大きな問題となる。
【0041】
更に、この美顔用マスクは、人の顔面に被せて使用されるが、このとき、バンドを頭の後面に掛けて当該マスクを顔面に当てて保持、固定するものであるから、取扱性が悪いうえ、使用の際、顔面への違和感更に側頭部や後頭部に疼痛が生じる等の問題が生じるのである。
【0042】
前記▲5▼の顔面美容法においては、シート状化学的発熱体を用いた加温器具を顔面に装着し、顔面を加温するものであり、この加温器具は、人間の目および口ならびに鼻の部分に穴をあけたり、或いは切り込みを入れた仮面状に形成され、この加温器具にて、そのまま顔面を直接加温したり、顔面に化粧パックを施したり、或いは栄養・漂白クリームを塗るものである。
【0043】
しかしながら、これでは、加熱器具と顔面との密着性が悪く、加熱器具と顔面との間に隙間ができたり、角質層に基づくバリヤー性、更に、加熱器具の温熱によって顔面に塗ったクリーム等が直ちに乾燥する結果、栄養剤等が経皮吸収され難いなどの問題がある。
【0044】
又、この加温器具の顔面への装着は、加温器具を顔に被せ、その上に圧力をかけるようなマスクで押えたり、或いは加温器具にゴムひも、ゴムバンド等を設け、耳あるいは頭部にて、加温器具を顔面に押しつけるように固定するものであるから、取扱性が悪いうえ、使用の際、顔面への違和感、耳部や側頭部更に後頭部に疼痛が生じる等の問題が生じ、使用感が悪いのである。
【0045】
前記▲6▼の発熱シートにおいて、美顔用の発熱シートにおいては、顔面に装着できるようにするため、顔面に沿うように目、口部の繰り抜き部、鼻部の切込み部を設けて顔面形に形成したものである。
【0046】
そして、この美顔用の発熱シートを顔面に装着するにあたり、その左右両端部に孔を設け、この孔に取り付けたひもやゴムひも等の固定用具で固定するものであるから、取扱性が悪いうえ、顔面への違和感、耳部や側頭部更に後頭部に疼痛が生じる等の不都合が生じ、使用感が悪いのである。
【0047】
ところで、美顔用の発熱シートにおいて、そのこめかみや顎の左右に対応する箇所に単に切込み部を設けたものも提案されているが、このものは顔面への固定手段が無く、不安定で、使用中に顔を左右又は前後に動かすだけで当該シートがズリ落ちたり、移動するため、手直しが必要となり、極めて煩わしく、利便性等に欠けるなどの問題があるのである。
【0048】
又、この発熱シートにおける基材シートの外面に湿布剤や薬効成分等を塗布したりしたものは、発熱シートの温熱によって顔面に塗った湿布剤等が直ちに乾燥する結果、この薬効成分等が経皮吸収され難いなどの問題がある。
【0049】
加えて、前記▲1▼〜▲6▼のものは、顔面との密着性が乏しく、顔面に適用しても当該適用部位を清潔にしたり、美化する効果が至極乏しく、所要の美顔効果が得られないのである。
【0050】
本発明は、顔面との適度の粘着性を有し、顔面に貼着することによって、いつでも、どこでも簡便に使用できるうえ、頭部や耳部の締め付けが無く使用感が良好であり、しかも顔面に密着して密封効果(いわゆるODT効果)と発熱シートによる温熱効果の相乗作用によって顔面の汚れや老廃物が容易に且つ効果的に除去されて、適用部位を清潔にしたり、美顔用化粧用材を効率良く吸収させることにより、顔肌自体を効果的に活性化させて、顔肌を美化して魅力を増長したり、皮膚を健やかにして美肌に保ち、加えて、粘着層に水分が含有されているとその水分が加温されることにより、そのモイスチャー効果がより一層高まる美顔用粘着性発熱シートを提供することを目的とする。
【0051】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る美顔用粘着性発熱シートにおいては、前記目的を達成するために、顔面の特定の部位或いは全面に貼着される粘着性発熱シートにおいて、この粘着性発熱シートが空気の存在によって発熱する発熱シートとその片面における全面或いは一部に積層された粘着層と、これらを封入する非通気性の外袋とを有し、この発熱シートは非通気性を有する基材と通気性を有する被覆材とからなる偏平状包材とこの包材内に封入されたペースト状の発熱組成物とからなり、発熱組成物から遊離水を吸収して発熱温度を得るに適した水分配合率にすることが可能な吸水性の包材に、遊離水によって発熱物質と空気との接触を妨げたペースト状の発熱組成物が、印刷、塗工またはコーティングされることにより均等に分布された状態で封入され、発熱が起こる前に外袋に封入され、前記粘着層は、水25〜85重量%、親水性ポリマー2.5〜40重量%、保湿剤0.5〜25重量%、充填剤0.5〜35重量%及び界面活性剤0.1〜5重量%からなるものを必須成分とし、この粘着層100重量部に対して、顔面への貼着部位を清潔にし、美化して魅力を増し、又は皮膚を健やかに保つための美顔用化粧用材を0.001〜85重量部配合してなるゼリー状またはペースト状となされ、基材の全面に積層されてなることを特徴とするものである。
【0052】
この美顔用粘着性発熱シートは、顔面の特定の部位或いは全面に貼着して使用されるものであり、顔面の全面を覆う形状、或いは顔面の特定部位、具体的には、例えば額、目の周辺部、目尻或いは目尻周辺、鼻、鼻元やその周辺、顎、口の周辺又は頬を覆う形状に形成されている。
【0053】
又、本発明においては、空気の存在によって発熱する発熱シートとその片面における全面或いは一部に積層された粘着層とを有し、この粘着層には顔面への貼着部位を清潔にし、美化して魅力を増し、又は皮膚を健やかに保つための美顔用化粧用材を配合してなるものである。
【0054】
本発明で用いられる発熱シートとしては、通気性を有する偏平状包材とこの包材内に封入されたペースト状の発熱組成物からなるものが挙げられる。
【0055】
この通気性を有する偏平状包材とは、当該包材を構成する基材と被覆材のうちの少なくとも一方の全面或いは一部が通気性を有する場合をいう。
【0056】
この偏平状包材としては基材と被覆材とで構成され、しかも基材と被覆材とが同種のフィルムないしシートで形成されたもの、或いは基材と被覆材とが異種のフィルムないしシートで形成されたもの、又は1枚のフィルムないしシートを折り返して基材と被覆材とを形成したもの、等が挙げられる。
【0057】
この基材や被覆材としてはその少なくとも一方が吸水性を有するフィルム状ないしシート状のものが挙げられる。
【0058】
又、偏平状包材は通気性を有するが、その通気性を高精度に管理するためには透湿度でフィルムないしシート(基材及び/又は被覆材)の通気性を管理することが好ましく、具体的には、透湿度がリッシー法(Lyssy法 L80−4000H型)で50〜10,000g/m2・24hrの範囲が一般的であるが、美顔用粘着性発熱シートの用途及び目的などにより、異なるので特に限定されるものではない。
【0059】
又、基材及び/又は被覆材が複数層の通気性フィルムからなる場合には、全体としての透湿度をリッシー法(Lyssy法)で50〜10,000g/m2・24hrの範囲にすることが好ましい。
【0060】
この透湿度が、50g/m2・24hr未満では発熱量が少なくなり、十分な温熱効果が得られないので好ましくなく、一方、10,000g/m2・24hrを超えると発熱温度が高くなって安全性に問題が生じる虞れが生じるので好ましくない。
【0061】
ところで、リッシー法(Lyssy法)とは世界各国の工業規格に準拠した方法であり、例えばJIS Z0208では、温度40℃、相対湿度差90%RHに保つように定められているので、本装置では、100%相対湿度の状態にある下部チャンバーと、高感度の湿度センサーを設置した上部チャンバーの境界面に測定サンプルが挿入され、湿度センサーのある上部チャンバーの相対湿度を10%RH(100%−90%)に保つようにし、これを中心にして、約±1%の幅(△RH)、即ち約9%から約11%に湿度が増加するのに必要な時間(数秒)を測定し、予め透過度既知の標準サンプルを用いて同じ条件で行ったキャリブレーションの結果と比較することにより透過度を求める方式である。
【0062】
ところで、従来の粉末状の発熱組成物においては、金属粉や水分等の各成分が最適な状態で配合さており、発熱組成物は粉末状で多孔質体であり、従って、表面積が広く、空気との接触が極めて良好であるため、空気と接触すると直ちに酸化反応、つまり発熱反応が生じる。
【0063】
このため、発熱組成物を適正な配合比で配合している間、及び粉末状の発熱組成物を製造し、これを基板上に投下し被覆材で被覆して発熱体を製造するまでの間に発熱反応が起こり、発熱組成物の発熱反応によるロスが生じると共に発熱組成物の品質が低下する上、発熱反応によって生成した生成物が凝固して種々の弊害が発生する。この弊害としては、具体的には、例えば、発熱組成物の投下量のバラツキ、凝固物除去による歩留りの低下、取り扱いの困難性、製造装置のメンテナンスの煩雑性、製造装置の稼働時間ないし作業者の就業時間に対する制約、凝固物処理の困難性等の弊害が挙げられる。
【0064】
そこで、このような課題を解決するために、発熱組成物をペースト状に形成すると、遊離水が金属粉末等の発熱物質と空気との接触を妨げ、つまり遊離水がバリヤー層としての機能を発現し、発熱組成物を製造している間、及びペースト状の発熱組成物を製造し、これを基材上にスクリーン印刷等の印刷やコーティング等によって積層、転写した後、被覆材で被覆して発熱体を製造するまでの間に発熱反応が殆ど発生することがなく、発熱組成物の発熱反応に伴うロスや発熱組成物の品質低下が防止される上、発熱組成物の凝固が防止される。
【0065】
このため、本発明者は、歩留りや取扱性が向上し、製造装置のメンテナンスが容易で、しかも製造装置の稼働時間ないし作業者の就業時間に対する制約が無くなるとの知見を得、既に、ペースト状の発熱組成物を用いた発熱体を提案している(特願平8−177404号の明細書)。
【0066】
本発明において、ペースト状の発熱組成物としては、発熱物質と、吸水性ポリマー及び/又は増粘剤と、炭素成分及び金属の塩化物と水とを必須成分とし、全体としてペースト状に形成されているものが挙げられる。この場合、所望により、更に、pH調整剤や無機質保水剤等を配合し、全体としてペースト状に形成しても良いのである。
【0067】
そして、このペースト状の発熱組成物としては、空気中の酸素と反応して発熱反応を起こす成分からなり、しかも外力を加えると流動する性質を有するものであれば特に限定されるものではない。
【0068】
具体的には、例えば発熱物質と、吸水性ポリマー及び/又は増粘剤と、炭素成分及び金属の塩化物と水とを必須成分とし、全体としてペースト状に形成されたものが挙げられるのであり、その配合割合は発熱物質100重量部に対し、吸水性ポリマー0.1〜7.5重量部及び/又は増粘剤0.1〜10重量部と、炭素成分1.5〜15重量部及び金属の塩化物1〜10重量部とを必須成分とし、且つ水が配合されて、全体としてペースト状に形成されたものが挙げられる。この場合、所望により、更に、発熱物質100重量部に対し、pH調整剤0.01〜10重量部、無機質保水剤0.5〜10重量部を配合し、全体としてペースト状に形成しても良いのである。
【0069】
そして、発熱組成物は、前述のように、ペースト状に形成されるが、その粘度(温度20℃)が、以下の方法で、一般に、50,000〜9,500,000cpsの範囲とするのが望ましく、発熱組成物の粘度が50,000cps未満と低すぎると、発熱組成物の印刷やコーティングなどによる転写性が悪くなったり、水分が至極過剰になり過ぎて他の成分の転写量が不足し、発熱時間が短くなったり、発熱組成物が基材上の所定の領域外に染み出たり、転写後に水分を多量に包材に吸収させる必要があり、特殊な構造の包材を用いたり、発熱体の構造を複雑にする必要があるので好ましくなく、一方、9,500,000cpsを超えると転写性が悪くなって転写量にバラツキが生じたり、表面で発熱反応が生じる虞れがあるから好ましくない。
【0070】
この粘度とは、東機産業(株)社製(R110型粘度計、RE110Uシステム、検出ヘッドRE100U、コントローラRC100A)で、しかもSPPローターを用い、回転数0.2rpm(D=0.4(1/S))とし、測定温度20℃で測定した値である。
尚、この粘度は転写、積層時の値である。
【0071】
又、ペースト状の発熱組成物の他例としては、本願出願人が平成8年6月17日付け提出の願書に添付した明細書(特願平8ー177404号の明細書)に記載されたもの(インキ状ないしクリーム状の発熱組成物)が挙げられる。
【0072】
発熱組成物がペースト状に形成されていると、前述の利点が得られる上、印刷等によって、ペースト状の発熱組成物を基材上に簡単に且つ確実に転写、積層できるメリットが発生するのである。
【0073】
即ち、発熱組成物はペースト状であるから、例えば厚塗印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、吹き付けなどの公知の印刷技術を用いて印刷したり、ヘッドコーター、ローラー、アプリケーター等により塗工やコーティングによって、至極容易に転写、積層できる上、高速で超薄型の発熱体を製造できるのであり、粉末状のものと比較して、不均一な空気層を含まないため計量精度が格段に向上し、しかも発熱組成物を包材に均等に分布させることができる。
【0074】
前記発熱物質としては、有機物を用いることも可能であるが、反応に伴って異臭が発生しない鉄粉、亜鉛粉、アルミニウム粉又はマグネシウム粉或いはこれらの2種以上の金属からなる合金の粉末、更に、これらのうちの2種以上を混合した混合金属粉などが用いられるが、特に、これらの金属粉の中では、安全性、取扱性、コスト、保存性及び安定性などの観点を総合して最も優れている鉄粉を用いることが望ましい。
【0075】
前記吸水性ポリマーとしては、主として、水や金属の塩化物水溶液を円滑、且つ大量に吸収する高分子材料が挙げられるのであり、具体的には、例えば特公昭54−30710号公報に開示されている自己架橋ポリアクリル酸塩、特開昭54−20093号公報に開示されているポリビニルアルコール系重合体と環状無水物との反応生成物、特開昭59−84305号公報に開示されているポリアクリル酸塩架橋物が挙げられるのである。これらの吸水性ポリマーの中には水や金属の塩化物水溶液を吸収して増粘性を付与するものがあるが、主として、水や金属の塩化物水溶液を円滑、且つ大量に吸収する機能を有するものである。
【0076】
この吸水性ポリマーの市販品の好例としては、三洋化成工業社製のサンフレッシュST−30MPS、ST−100MPS、ST−500MPSなどが、水や金属の塩化物水溶液を迅速に吸収し、しかもそれらの吸収量が高いなどの理由より、特に好ましい。
【0077】
前記増粘剤としては、主として、水や金属の塩化物水溶液を吸収し、稠度を増大させるか、チキソトロピー性を付与する物質が挙げられるのであり、ベントナイト、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、アルギン酸塩、ペクチン、カルボキシビニルボリマー、多糖類系増粘剤、CMC、酢酸エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体系増粘剤、水溶性セルロースエーテル等から選ばれた1種又は2種以上の混合物が挙げられるのである。
【0078】
前記水溶性セルロースエーテルとしては、例えばセルローズをメトキシル基でエーテル化したメチルセルロース、セルローズをヒドロキシプロポキシル基でエーテル化したヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルローズをヒドロキシエトキシル基でエーテル化したヒドロキシエチルメチルセルロースなどの水溶性セルロースエーテル、第一工業製薬製のセロゲンEP、セロゲンBSH−12、セスカMC、セスカMHEC、セスカMHPCなどの水溶性セルロースエーテルが挙げられる。
【0079】
前記の吸水性ポリマー及び増粘剤においては、所望により、これらを界面活性剤で処理したり、これらにと界面活性剤を組み合せて親水性を向上しても良いのである。
【0080】
前記炭素成分としてはカーボンブラック、黒鉛又は活性炭などがその例として挙げられるのであり、金属の塩化物としては塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属の塩化物、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどのアルカリ土金属の塩化物などをその例として挙げることができる。
【0081】
ところで、前述のように、ペースト状の発熱組成物においてその構成成分である発熱物質が遊離水によって被覆され、空気との接触が妨げられていると、つまり遊離水がバリヤー層としての機能を発現していると、この種、発熱組成物を用いて粘着性発熱シートを製造しても遊離水が空気との接触を妨げる結果、発熱反応が殆ど発生することがなく、粘着性発熱シートとして使用することができないのである。
【0082】
ところが、この場合において、ペースト状の発熱組成物中の水分の一部を包材に吸収させると、遊離水つまりバリヤー層が喪失し、しかも水分が包材に吸収されることによって発熱組成物が多孔質になる結果、空気との接触が良好になり、発熱特性が良好な粘着性発熱シートが得られるのである。
【0083】
一方、このように遊離水によって発熱速度を抑制したペースト状の発熱組成物において、当該遊離水が過大になると、当該発熱組成物のバリヤー層を除去するために、基材や被覆材の吸水性が大であることが必要であるが、この場合、基材又は被覆材の吸水量が過大になり過ぎて発熱組成物の発熱反応に必要な水分をも吸収しないように配慮することが大切である。
【0084】
以上の観点より、特に、吸水性を有する基材又は被覆材の吸水量としては、この種、ペースト状の発熱組成物の転写厚みが0.1〜1mmの場合を想定すると、吸水量の範囲が、一般に、1.5〜1000g/m2の範囲、好ましくは3〜650g/m2の範囲、特に好ましくは5〜550g/m2の範囲とするのが望ましい。
【0085】
この吸水量は、発熱組成物において、当該ペースト状の発熱組成物を従来の粉末状の発熱組成物であって最適な水分率の条件を基準とし、これに対し、どの程度の水分が多く配合されているかによって測定し、その過剰水量を前記吸水量(g/m2)に換算したものである。
【0086】
つまり、測定条件の根拠は、発熱組成物中の水分を吸収させた場合、その成分比率が従来の粉末状の発熱組成物としたときの最適な水分率が得られるようにするものであるが、この最適な水分率は水分の過剰量と発熱特性によって測定したものである。
【0087】
ところで、このように、基材及び/又は被覆材(偏平状包材)の吸水量を調整することによって、ペースト状の発熱組成物中の余剰水分を吸収させて発熱反応に適した水分率に調整するものであり、このように余剰水分を偏平状包材に吸収させると、発熱組成物が多孔質になる結果、空気との接触が良好になり、発熱特性が良好になるのである。
【0088】
即ち、このような吸水性の基材及び/又は被覆材を用い、ペースト状の発熱組成物中の水分を吸水させるにあたり、その吸水量としては、発熱組成物中の水分量の1.5〜60重量%の範囲、好ましくは2〜50重量%の範囲、特に好ましくは2.5〜45重量%の範囲とするのが望ましい。
【0089】
この発熱組成物中の水分の発熱体用包材(偏平状包材)への吸収率(k重量%)は、以下の方法で測定した。
この包材に用いられる吸水性の基材と被覆材を用い、これを直径65mmの円形に打ち抜いた後、温度55℃で1〜2mmHgの減圧下24時間乾燥して基材片と被覆材片を形成し、その各々の重量を測定する。この場合、基材片の重量をA1(g)、被覆材片の重量をB1(g)とする。
【0090】
次いで、この乾燥した基材片上に直径60mmの円形で、しかも厚さが約850μmとなるように発熱組成物をスクリーン印刷で積層し、この積層後の全重量C(g)から基材片の重量A1(g)を引いて発熱組成物の積層量D(g)を求める。この発熱組成物の水分含有率をP重量%とすると、積層された発熱組成物中の全水分量(g)はD×P/100となる。
【0091】
更に、基材片上における発熱組成物の露出面に、乾燥した被覆材片を積層した後、その上に厚さ約1mmのアクリル板を載せ、さらにその上に2.5Kgの分銅を載せて5時間放置する。
【0092】
この後、基材片と被覆材片とを剥離し、これらに付着している発熱組成物をピンセットでほぼ完全に除去した後、この基材片と被覆材片との各々の重量を測定する。
この場合、基材片の重量をA2(g)、被覆材片の重量をB2(g)とする。
【0093】
次いで、この吸水させた基材片と被覆材片とを温度55℃で1〜2mmHgの減圧下24時間乾燥し、その各々の重量を測定する。この基材片の重量をA3(g)、被覆材片の重量をB3(g)とする。
K=[(A2+B2)−(A3+B3)]÷D×100で求めた値を吸水率とした。
【0094】
この吸水性を有する基材又は被覆材としては、非通気性のもの或いは通気性のもの、のいずれのものでも良く、その素材自体が吸水性を有するか否かを問わず、結果として、吸水性を有するものであれば特に限定されるものではない。
【0095】
又、吸水性を有する基材又は被覆材としては、非通気性或いは通気性のフィルムないしシートの発熱組成物中の水分を吸収できる側の片面或いは両面に、吸水性を有する吸水材を積層し、これによって、吸水性を付与すると共に、水分の染み出しを防止したものが望ましい。
【0096】
この吸水材としては、具体的には、例えば吸水性を有する発泡フィルムないしシート(吸水性発泡ポリウレタン等の発泡体)や紙類、吸水性を有する繊維で形成された不織布や織布、或いは吸水性を有する繊維を含む不織布や織布、又は吸水性の多孔質フィルムないしシート等の他、吸水性の有無を問わず、発泡フィルムないしシート、不織布、織布又は多孔質フィルムないしシートに、吸水剤を含有、含浸、練り込み、転写又は担持させて吸水性を付与ないし増大させたもの、或いはこの種、吸水材を前記発熱組成物が積層されるその平面形状に切断し、この吸水材の切断片を、非通気性或いは通気性のフィルムないしシートの片面或いは両面(包材の内面)に積層、固定し、これによって、前記発熱組成物の片面又は両面に当てがって吸水性が付与されたものが挙げられる。
【0097】
前記吸水性の不織布としては、優れた柔軟性を発現し、しかも風合が至極優れて顔面への使用感が良好であるなどの観点から、リーヨン、パルプ、コットン等で形成されたものが挙げられる。
【0098】
前記偏平状包材において、この包材を構成する基材と被覆材との接合箇所が熱接着、熱融着又はホットメルト系粘着剤等の粘着剤によって接着又は粘着されているものが、使用中の剥離がなく、品質が安定する上、水分や発熱組成物の染み出しが防止されるので望ましい。
【0099】
又、偏平状包材において、この包材を構成する基材と被覆材としては前述のように吸水性を有するものであれば特に限定されるものではないが、このように吸水性を有する基材と被覆材は、一般に熱融着性が全く無いか、或いは殆ど無いのである。
【0100】
従って、このような場合には、基材上に積層された発熱組成物の外周縁部において、ホットメルト系接着剤の層、或いはホットメルト系粘着剤等の粘着剤の層、特に粘着剤の層を介在させて基材と被覆材とを熱接着或いは粘着すれば良いのである。
【0101】
このように基材と被覆材とを熱接着或いは粘着すると、至極柔軟で、風合や使用感が著しく優れる美顔用粘着性発熱シートが得られるので望ましい
【0102】
又、熱融着或いは熱接着が可能なヒートシール性の基材及び被覆材を用いると、生産性が向上し、生産コストを廉価にできるので望ましい。
【0103】
具体的には、例えば吸水性を有する基材が、ヒートシール性不織布、吸水性不織布及び合成樹脂製のフィルムないしシート(通気性或いは非通気性のフィルムないしシート)からなる積層体で形成され、この基材におけるヒートシール性不織布上に前記発熱組成物を積層すると、当該発熱組成物中の水分の一部がヒートシール性不織布を透過して、吸水性不織布に移行、吸水され、これによって、遊離水に起因するバリヤー層が消失する結果、発熱組成物は常に発熱反応に適性な水分状態になり、発熱反応により発熱組成物の消費に伴って吸水性不織布の水分が逐次発熱反応に供給されるため、安定した発熱反応が得られるのである。
【0104】
本発明においては、基材と被覆材のうち少なくとも一方には発熱組成物と接触する不織布を備えるものが挙げられるのであり、この不織布にはヒートシール性不織布と吸水性不織布からなるものが挙げられるのであり、このヒートシール性不織布が疎水性である一方、吸水性不織布が親水性であるものが、優れたヒートシール性や吸水性を発現するので望ましい。
【0105】
前記ヒートシール性不織布としては、ポリエステルとポリエチレンとの複合不織布が挙げられるのであり、具体的には、例えばポリエステル繊維とポリエチレン繊維の積層型不織布(大紀商事社製「フルベール」)や複合型スパンボンド不織布、或いは他の複合型スパンボンド不織布[旭化成工業(株)社製(商品名 フルベール)、熱接着性繊維を使用]が挙げられる。
【0106】
又、他のヒートシール性不織布としては、繊維状の芯と、この芯の外周囲が被覆層で被覆された二重構造の繊維で形成された不織布であり、前記芯がポリエステル細繊維或いはポリプロピレン細繊維で形成されており、しかも前記被覆層がポリエチレンで形成されているものが挙げられる。この二重構造の繊維で形成された不織布としては、例えばユニチカ(株)社製スパンボンド不織布[商品名 エルベス(ELEVES)]が挙げられる。二重構造の複合系熱接着性繊維としては例えば宇部日東化成株式会社製のUNKポリプロ繊維UCファイバー、チッソ株式会社製のチッソポリプロES等が挙げられる。
【0107】
更に、他のヒートシール性不織布としては、ポリエチレン繊維の周囲をポリエステル極細繊維で取り囲んだ複合繊維を当該繊維の軸方向に分割した極細スパンボンドを用いて形成されたものが挙げられる。この極細繊維としてはユニチカ(株)社製スパンボンド(商品名 アルシーマ)が挙げられる。
【0108】
前記偏平状包材としては、一般に、基材がA層/B層/C層の三層からなり、被覆材がD層/E層の二層からなるものが挙げられる。この場合において、A層は補強層、B層は通気制御層且つ染み出し防止層、C層は吸水層、D層は吸水層、E層は通気性又は非通気性フィルム又はシートである。
【0109】
前記A層は、いわゆる補強層であり、各種不織布が挙げられるのであり、前記B層は、通気性を制御し、しかも発熱組成物の染み出しを防止するための層であり、ポリオレフィン等の合成樹脂で形成された通気性のフィルムないしシートが挙げられる。
【0110】
前記C層は、吸水性及び通気性を有する層であり、紙類やコットン更にレーヨン等の吸水性素材で形成された不織布等が挙げられる。
【0111】
又、前記D層は、前記C層と同様のものが挙げられるのであり、前記E層は、ポリオレフィン或いはポリエステル等の合成樹脂で形成された通気性或いは非通気性のフィルムないしシートが挙げられる。
【0112】
前記のヒートシール性不織布及び吸水性不織布などの不織布としては、所要の機械的強度やヒートシール性更に吸水性を発現させるために、その坪量が、5〜500g/m2の範囲、より好ましくは10〜350g/m2の範囲とするのが望ましい。
【0113】
又、前記のポリオレフィン系樹脂製フィルム、ポリエステル系樹脂製フィルム又はポリウレタン系樹脂製フィルムとしては、所要の機械的強度やヒートシール性を発現させるために、その厚さが、5〜500μmの範囲、より好ましくは10〜350μmの範囲とするのが望ましい。
【0114】
前記偏平状包材において、基材及び被覆材の好適な他例としては、本願出願人である(株)元知研究所が平成10年1月19日付け提出の願書に添付した明細書(特願平10ー22807号の明細書)に記載されたものが挙げられる。
【0115】
前記偏平状包材には、非通気性或いは通気性のフィルムないしシートが用いられるが、この非通気性或いは通気性のフィルムないしシートとしては、この種、発熱体に用いられるものであれば特に限定されるものではなく、好ましくはポリオレフィン系樹脂で形成されたものが挙げられる。
【0116】
前記ポリオレフィン系樹脂製フィルムの形成には通常の成形装置および成形方法を用いればよく、インフレーション成形機、Tダイ成形機などが好適に適用されるのであり、又、かくして得られたポリオレフィン系樹脂製フィルムに通気性を付与するにはこのフィルムを1軸又は2軸に延伸して多孔質化すれば良いが、この延伸方法も通常の延伸装置を用いて常法で行えばよく、例えばロール延伸、同時二軸延伸、逐次二軸延伸等が採用される。
【0117】
この場合、ポリオレフィン系多孔質フィルムとしては、ポリオレフィン系樹脂製フィルムを一軸延伸又は二軸延伸により直接形成されたものの他、延伸によりポリオレフィン系多孔質フィルムを得、次いで、これを、酸、アルカリ又は水等で充填剤を溶出して形成したものでもよいのである。
【0118】
前記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂更にエチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂が挙げられるのであり、これらのうち、特に線状低密度ポリエチレン樹脂がフィルムの生産・加工性に優れ生産コストが安価であり、しかも、得られた多孔質フィルムの機械的強度が大きいから望ましい。
【0119】
前記ポリオレフィン系樹脂には、充填剤が配合されたものも含まれるが、かかる充填剤としては炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、硫酸バリウム、硫酸カオリン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ等が挙げられる。
【0120】
前記の基材及び被覆材の厚さとしては、用途によって大きく異なり、特に限定されるものではない。一般には、両者共にそれぞれ10〜1000μmとするのが望ましい。
【0121】
基材と被覆材の膜厚が共にそれぞれ10μm未満の場合には、必要な機械的強度を得られなくなる上、膜厚を均一にすることが困難になる虞れがあるので好ましくない。
【0122】
一方、基材と被覆材の膜厚が共にそれぞれ1000μmを超える場合には柔軟性が低下して体表面へのなじみ性が著しく低下すると共に、体表面の変形や移動に対する追従性が低下する上、ごわごわして風合が悪くなり、又、発熱体全体の厚さが厚くなるので好ましくない。
【0123】
そして、本発明においては、前記発熱シートの片面における全面或いは一部に粘着層が積層されてなり、しかもこの粘着層には顔面への貼着部位を清潔にし、顔面を美化して魅力を増し、又は顔面の皮膚を健やかに保つための美顔用化粧用材が配合されてなる。
【0124】
この粘着層としては顔面に貼着し使用しても皮膚刺激性が殆ど無いか或いは全く無く、しかも剥離の際にも皮膚刺激性が殆ど無いか或いは全く無いものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、親油性の粘着層、或いは親水性の粘着層、のいずれでも良いが、特に使用中や剥離の際の皮膚刺激性が無く、しかも汗や老廃物を速やかに吸収して皮膚表面を清潔にするうえ、含水させてモイスチャー効果が得られる親水性の粘着層が特に望ましい。
【0125】
前記親油性の粘着層としては親油性のポリマーで形成された粘着性の層であれは特に限定されるものではなく、具体的には、例えばアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤又はホットメルト系粘着剤で形成された層が挙げられる。
【0126】
前記アクリル系粘着剤としては、例えば(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸テトラデシルエステルの如きアクリル基の炭素数が4〜14個である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単独重合物、又はこれらの(メタ)アクリル酸アルキルエステル15〜90重量%と、この(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な単量体、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エチル、イタコン酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸アミド、ビニルピロリドン、プロピオン酸ビニルの如きビニル単量体などの単量体85〜10重量%と、からなる共重合物が挙げられる。
【0127】
前記ゴム系粘着剤としては、例えば天然ゴム、合成ポリイソプレンゴム、ポリスチレン・ポリブタジエンゴム、ポリイソブチレン、シリコーンゴム、ポリアクリル酸エステル、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム、アクリルゴム等が挙げられる。
【0128】
前記ホットメルト系粘着剤としては、従来から公知のS−I−S系のホットメルト系粘着剤等が挙げられる。
【0129】
前記親油性の粘着剤には、所望により、他の成分、例えば他の粘着剤、ピコペールレジン、ピコライト、ステベライトレジン又はエステルガムH等の粘着付与剤、粘着調整剤、粘着改良剤、プロセスオイル、ポリブテン又は流動パラフィン等の石油系軟化剤、ヒマシ油、綿実油、パーム油又はヤシ油等の脂肪油系軟化剤、蜜ロウ、カルナバロウ又はラノリン等のロウ類(軟化剤)、亜鉛華、炭酸カルシウム、二酸化チタン又はシリカ類等の無機充填剤、4、4−ジオキシジフェニル、ジオキシジフェニル・メタン誘導体等の老化防止剤、着色剤、消泡剤、増粘剤、改質剤、防カビ剤、抗菌剤、殺菌剤、消臭剤又は脱臭剤等が適宜、適量添加させても良いのである。
【0130】
前記親水性の粘着層としては、顔面との密着性や保型性更に汗及び老廃物等の吸収性が良好であるなどの観点から、親水性ポリマー及び/又は保湿剤を必須成分とするゼリー状又はペースト状のものであれば特に限定されるものではないが、特に、親水性ポリマー、保湿剤、充填剤及び界面活性剤からなるものが、顔面との密着性や保型性が一層優れるうえ、更に汗及び老廃物等の吸収性が良好であり、しかも使用中の皮膚(顔面)刺激性が無く、又、顔面から剥離する際の皮膚刺激もなく、剤型が一層安定して優れたゼリー状又はペースト状のものが得られるので望ましい。
【0131】
この場合において、優れた皮膚粘着性を有し、使用感の良好な粘着層を得るために、親水性ポリマー(A)と保湿剤(B)を必須成分とするときには、(A)100重量部に対して、(B)10〜200重量部の範囲、好ましくは(B)20〜150重量部の範囲、特に好ましくは(B)25〜100重量部の範囲とするのが望ましい。
【0132】
前記親水性ポリマーとしては親水性の高分子物質であれば特に限定されるものではないが、安全性、信頼性及び安定性等の観点から、食品、化粧品又は医薬品などの分野で用いられるものが特に好ましい。
【0133】
この親水性ポリマーの具体例としては、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、コーンスターチ、トラカントゴム、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースの如きセルロース系高分子物質、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、カルボキシメチルセルロース、ペクチン、ゼラチン、キサンタンガム、メチル(またはエチル)セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、ポリビニルエーテル又はポリビニルピロリドン等が挙げられるのであり、これらは1種あるいは複数種を混合して用いられる。
【0134】
本発明で用いられる保湿剤としては医薬品や化粧品などの分野で用いられるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばポリエチレングリコール(300、400、1500、4000、6000)、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1、3ブチレングリコール、ソルビトールほか糖類、ムコ多糖類、PCA−Na等が挙げられるのであり、これらは1種あるいは複数種を混合して用いられる。
【0135】
本発明で用いられる充填剤としては、粘着層の粘度を調整したり、架橋剤としての役割を果たして保型性の向上を図ったり、増量剤としての役割を果たすものであり、具体的には、例えばカオリン、ベントナイト、亜鉛華、二酸化チタン等の酸化チタン、タルク、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、カリミョーバン、球状セルロース等の有機質球状体、ポリブテン、ポリイソブチレン、アセトアルデヒド、グルタールアルデヒド、グリオキザール、ジアルデヒド澱粉、ジメチルケトン等が挙げられるのであり、これらは1種あるいは複数種を混合して用いられる。
【0136】
本発明で用いられる界面活性剤としては、乳化、可溶性、浸透性、濡れ性、分散性或いは洗浄力を促進ないし向上させる他、保湿性、殺菌力、潤滑性、帯電防止、柔軟性、消泡等の機能を発現させるものであり、化粧品の分野で用いられるものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばPOEオレイルアルコールエーテル、C12〜C18の脂肪酸、12ーヒドロキシステアリン酸、動植物油脂脂肪酸、POEソルビタンモノラウリン酸エステル等が挙げられるのであり、これらは1種あるいは複数種を混合して用いられる。
【0137】
前記親水性の粘着層において、親水性ポリマー、保湿剤、充填剤及び界面活性剤の配合割合としては、顔面との密着性や保型性更に汗及び老廃物等の吸収性が良好で、しかも使用感等が優れたものであれば特に限定されるものではないが、一般に、親水性ポリマー2.5〜60重量%、保湿剤2〜55重量%、充填剤35重量%以下及び界面活性剤5重量%以下からなるもの、特に、親水性ポリマー5〜50重量%、保湿剤2.5〜45重量%、充填剤1〜30重量%及び界面活性剤0.1〜3重量%からなるもの、が望ましい。
【0138】
本発明においては、親水性の粘着層において、当該粘着層に水を配合すると、無水の親水性粘着層と比較して、前述の作用、効果に加えて、更に、発熱温度の調節が至極容易になって一層安全性が向上するうえ、温熱効果が長時間にわたって得られるので一層好ましく、しかも至極優れたモイスチャー効果が得られるので特に望ましい。この粘着層には、いわゆる水性ゲルで形成された層が挙げられる。
【0139】
この場合において、水、親水性ポリマー、保湿剤、充填剤及び界面活性剤の配合割合としては、水25〜85重量%、親水性ポリマー2.5〜40重量%、保湿剤0.5〜25重量%、充填剤35重量%以下及び界面活性剤5重量%以下からなるもの、特に、水30〜80重量%、親水性ポリマー5〜35重量%、保湿剤1〜20重量%、充填剤0.5〜30重量%及び界面活性剤0.1〜3重量%からなるもの、が望ましい。
【0140】
又、本発明において、前記粘着層には美顔用化粧用材が配合されてなるが、この美顔用化粧用材としては、顔面への貼着部位を清潔にし、美化して魅力を増し、又は皮膚を健やかに保つために用いられるものであれば特に限定されるものではない。
【0141】
この美顔用化粧用材としては、にきび用薬剤、美白用薬剤、ビタミン類や動植物の抽出エキス或いはこれから得られた成分等の賦活剤、アミノ酸類等の栄養剤、エモリエント剤から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0142】
具体的には、例えば公知の各種にきび用薬剤、ビタミンCおよび誘導体、プラセンタエキス、アルブチン、グルタチオン等の硫黄化合物、ヒドロキノン、パントテイン−s−スルフォン酸、イソフェルラ酸、アスコルビン酸リン酸マグネシウム塩、リノール酸、システィン、ハイドロキノンの配糖体、コウジ酸、胎盤抽出物、アスコルビン酸、ビタミンA酸或いはそのナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩等、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸の誘導体等の美白用薬剤、パントテニールエチルエーテル、ビタミン類、動植物抽出物等の賦活剤、アミノ酸類等の栄養剤等が挙げられる。
【0143】
前記ビタミン類としては、各種ビタミン或いはその誘導体が挙げられるが、具体的には、例えばビタミンA、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、パントテン酸、ビタミンH、酢酸dl−α−トコフェロール等が挙げられる。
【0144】
又、前記動植物抽出物としては、アロエエキス、ニンジンエキス、カンゾウエキス、オオバクエキス、薬草エキス、ハーブエキス、カミツレエキス又はビワ抽出液等が挙げられる。
【0145】
更に、前記アミノ酸類としては、アミノ酸或いはその誘導体、例えばシスチン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン又はアミノ酸エキス等が挙げられる。
【0146】
本発明で用いられるエモリエント剤としては、顔面につやを与え、顔面への展延性を向上させて皮膚への密着性を向上させる上、顔面肌(角質層)との親和性が高く、美顔用化粧用材の安定性や吸収性を向上させるものであって、医薬品や化粧品などの分野で用いられる油分であれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばオリーブ油、マカデミアナッツ油、ホホバ油、スクワラン、エステル油、脂肪酸、高級アルコール、ラノリン誘導体、ビースワックス又はヤシ油等が挙げられるのであり、これらは1種あるいは複数種を混合して用いられる。
【0147】
この美顔用化粧用材の配合割合は、用いられる美顔用化粧用材によって大きく異なり、その効果が発現する範囲であれば特に限定されるものではないが、一般に、前記粘着層(C)100重量部に対して、前記美顔用化粧用材(D)0.001〜85重量部、好ましくは0.01〜50重量部、特に好ましくは0.1〜30重量部とすのが望ましく、(D)の配合割合が、0.001重量部未満と少な過ぎると、所要量の美顔用化粧用材を保持できず、所要の美観効果が得難い虞れがあり、一方、85重量部を超えると効果に限界が生じ、それ以上配合する意味がないうえ、コスト高になって経済的にも悪くなり、いずれの場合も望ましくない。
【0148】
また、本発明の美顔用粘着性発熱シートには、特に、化粧品などに一般に用いられる他の各種基剤及び薬剤等、例えば他の水性成分や油性成分、あるいは酸化防止剤、パラベン類等の防腐剤、許可色素や無機顔料等の色剤、緩衝剤、収斂剤、キレート剤、防腐剤、紫外線吸収剤、香料、あるいは殺菌剤、局所麻酔剤、感光素、TCC又は消炎剤などの薬剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0149】
前記緩衝剤としては、pH調整作用や粘着層の安定化を図るものでって、具体的には、例えばクエン酸、乳酸、アミノ酸類、クエン酸Na、乳酸Na等が挙げられる。
【0150】
前記消炎剤としては、特に化粧品として使用し得るものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばアラントイン、グリチルリチン酸塩、グリチルリチン酸誘導体、アズレン、アミノカプロン酸、ヒドロコルチゾン、カンゾウ、黄連、シコン、アロエ、ヒリハリ草等が挙げられる。
【0151】
前記の粘着層の厚さとしては特に限定されるものではないが、一般に、5〜5000μm、特に、20〜2500μm、更に好ましくは35〜1500μmとするのが好ましく、粘着層の厚さが、5μm未満になると厚さが薄く、顔面との密着性や粘着性が乏しく、所要量の美顔用化粧用材を保持できず、所要の美観効果が得難い虞れがあるうえ、均一で安定したものが得られない虞れがあり、一方、5000μmを超えると効果に限界が生じるうえ、嵩張って使用感が悪くなるだけでなく、携帯性が悪くなったり、しかもコスト高になって経済性が悪くなるなどの理由より望ましくない。
【0152】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0153】
実施例1
図1及び図2は本発明の第1実施例に係る美顔用粘着性発熱シート1であり、この美顔用粘着性発熱シート1は顔面の特定の部位、この場合、額に貼着されて使用されるものであり、この美顔用粘着性発熱シート1は、空気の存在によって発熱する発熱シート2とその片面における全面に積層された粘着層3とからなる粘着性発熱シート4を基本的な構成とするものであり、前記粘着層3には顔面への貼着部位を清潔にし、美化して魅力を増し、又は皮膚を健やかに保つための美顔用化粧用材が配合されてなる。
尚、9は前記粘着層3の表面を保護する離型シートである。
【0154】
即ち、この美顔用粘着性発熱シート1は、最大幅31mm、長さ88.5mmの楕円形の偏平状包材6内にペースト状の発熱組成物5を封入し、この発熱組成物5中の水分の一部を偏平状包材6に吸収させて、バリヤー層を喪失させ、これによって、発熱組成物5が多孔質となって空気との接触が良好になるように構成したものであり、前記偏平状包材6は、この場合、非通気性を有する基材7と、通気性を有する被覆材8とからなる。
【0155】
前記基材7は、十分な柔軟性が得られるように、疎水性且つヒートシール性のポリエステル繊維とポリエチレン繊維からなる不織布層(ユニチカ社製、商品名アルシーマA0504WTO、坪量50g/m2)と、吸水性のコットン不織布の複合型積層不織布(ユニチカ社製、商品名アルシーマ・コットン交絡品AC5050、坪量50g/m2)と、補強材及びヒートシールするために露出面が融点の高い、ポリエステル不織布(シンワ社製、商品名7830、坪量30g/m2)とを、厚さ40μmのポリエチレン樹脂でサンドラミネートしてなる非通気性積層フィルムを用いた。
【0156】
又、前記被覆材8は補強材として機械的強度を高めると共に、ヒートシール時に十分な耐熱性が得られるようにするため、露出面から、坪量30g/m2、ポリエステル不織布(シンワ社製、商品名7830)と、厚さ40μmのポリエチレン製多孔質フィルム(三井東圧社製、商品名エスポアールN)とを、接着部1mm非接着部1mmのパターンで45度の角度でスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体のホットメルト接着剤(日本エヌエスシー社製、商品名デスポメルトPT−3)で、全面にわたって接着積層後、更に同様の接着方法で(但し、接着パターンは、前回の角度と直角に交差するように)、坪量50g/m2、親水・吸水性のコットン不織布と、坪量50g/m2で、疎水性且つヒートシール性のポリエステル繊維とポリエチレン繊維複合型スパンボンド不織布(ユニチカ社製、商品名アルシーマA0504WTO)のアルシーマ・コットン交絡品(ユニチカ社製、商品名アルシーマ・コットン交絡品AC5050)を順次接着した積層フィルムを用いた。
この被覆材8の透湿度は、被覆材の透湿度はリッシー法で、400g/m2・24hrであった。
【0157】
そして、本発明においては、前記基材7におけるヒートシール性複合不織布上の所定の位置に、後述するペースト状の発熱組成物5をスクリーン印刷によって楕円形状に積層し、その上から被覆材8におけるヒートシール性複合不織布が発熱組成物5と接触するように当該被覆材8を被せ、この発熱組成物5の外周囲部において、基材7と被覆材8とのシール部をヒートシールし、しかもペースト状の発熱組成物5中の水分の一部を基材7におけるコットン不織布と、被覆材8におけるコットン不織布とに吸収させて、バリヤー層を喪失させ、これによって、発熱組成物5が多孔質となって空気との接触が良好になるように構成している。
【0158】
前記ペースト状の発熱組成物5は、以下の方法で製造したものである。
即ち、発熱物質である鉄粉(同和鉄粉社製 DKP)100重量部に対し、増粘剤としてCMC(第一工業薬品社製 商品名セロゲンEP)1.2重量部、吸水性ポリマーとして(三洋化成社製 商品名 サンフレッシュST−500MPS)0.3重量部、無機増粘剤としてベントナイト(豊洋ベントナイト社製 商品名 豊300)3.0重量部、活性炭(ノリット社製 SAーSuper)8.0重量部、金属の塩化物として塩化ナトリウム4.0重量部及びpH調整剤として水酸化カルシウム0.15重量部、水を34重量部を加えて混練し調整している。
【0159】
つまり、前記配合割合を活性炭、増粘剤、吸水性ポリマー、ベントナイト、塩化ナトリウム、PH調整剤の順で混合機(特殊機化工業株式会社製 T.K.ハイビスミックス 2P−100型 容量100リットル)に投入し、5分間撹拌した後、撹拌しながら水を投入し、10分間混練し、更に鉄粉を加え5分間混練後、容器内の付着物の清掃を行い、再度、15分間混練後、排出を行う。
得られたペースト状の発熱組成物の粘度は、304万cps前後で、比重は2.65g/ccであった。
【0160】
このペースト状の発熱組成物5を20℃で1時間保存したところ粘度が上昇するが、再度、混練すると、粘度が下記測定方法で309万cpsであり、これを基材7上にスクリーン印刷によって厚さ850μmとなるように積層した。
この場合のブレードの回転数はスタートから終了まで15rpmであった。
【0161】
又、この粘度は、東機産業(株)社製(R110型粘度計、RE110システム、検出ヘッドRE100U、コントローラRC100A)で、しかもSPPローターを用い、回転数0.2rpm(D=0.4(1/S))とし、測定温度20℃で測定した値である。
【0162】
この発熱組成物5はペースト状で表面積が小さく、空気との接触面積が制限される上、遊離水が鉄粉と空気との接触を抑制するバリアー層として機能することによって、単位時間当たりの酸化量が著しく制限される結果、その上にフイルム状ないしシート状の被覆材で積層され、美顔用粘着性発熱シートが得られるまでの間の酸化反応が殆ど阻止されるのである。
【0163】
この実施例1では、前述のように、前記基材7上に前記ペースト状の発熱組成物5を、厚さ850μmのスクリーン版を使用して楕円形状にスクリーン印刷で積層し、その上から被覆材8を被せ、この発熱組成物5の外周囲部において、基材7と被覆材8とをヒートシールしたものである。
【0164】
即ち、この実施例では、幅120mmのロールフィルム状の基材7を水平に送りながら、その上面にペースト状の発熱組成物5を厚さ約850μmのロータリースクリーン版で楕円形状にスクリーン印刷し、ヒートシールにより美顔用粘着性発熱シート1の各周囲のシール幅Lが5mmになるように、次々とダイカットにより裁断し、美顔用粘着性発熱シート1を製造した。
【0165】
ところで、前記粘着層3としては、以下の成分からなる美白用粘着剤で形成した層(厚さ550μm)を用いた。
即ち、美白用粘着剤として、ポリ酢酸ビニルエマルジョン19.5重量%、ポリビニルアルコール9.5重量%、ソルビトール5.0重量%、PEG400(5.0重量%)、L−アスコルビン酸1.0重量%、ホホバ油2.0重量%、スクワラン2.0重量%、酸化チタン5.0重量%、タルク5.0重量%、エタノール8.0重量%、POEソルビタンモノステアリン酸エステル1.0重量%及びイオン交換水37.0重量%からなるものである。
【0166】
イオン交換水に酸化チタン及びタルクを加え充分に分散させた後、ソルビトール及びPEG400を添加して均一な混合物にし、これを70〜80℃に昇温した後、ポリ酢酸ビニルエマルジョンとポリビニルアルコールを添加し溶解する。
以下、これを水相混合物という。
【0167】
一方、エタノールに、L−アスコルビン酸、ホホバ油、スクワラン及びPOEソルビタンモノステアリン酸エステルを添加し、均一になるまで混合する。
以下、これを油相混合物という。
【0168】
この油相混合物を前述の水相混合物に加えて均一になるまで混合した後、室温になるまで冷却する。
尚、前記混合は全てホモミキサーによって行った。
【0169】
なお、裁断される各美顔用粘着性発熱シートは、引き続いて包装工程に送り込まれ、図示しない気密性を有する外袋内に封入される。
【0170】
ところで、ペースト状の発熱組成物5は、基材7上面にスクリーン印刷された後、その水分の一部が徐々に基材7に吸収されるのであり、又、その上から被覆材8が被覆される。しかしながら、ペースト状の発熱組成物5が基材7上にスクリーン印刷されてから外袋に封入されるまでの時間は極短時間であり、この間に発熱反応が可能なる程度にペースト状の発熱組成物5の水分が基材7に吸収されることは殆どない。
【0171】
従って、製造工程におけるペースト状の発熱組成物5の発熱が起こる恐れはなく、製造工程における発熱反応によるロスや、発熱組成物5の品質低下が生じる恐れは全くない。又、ペースト状の発熱組成物5の配合から基材7へのスクリーン印刷までの工程においてペースト状の発熱組成物5が発熱反応によって凝固する恐れも殆どなくなり、凝固による歩留り低下、操業の中断、操業時間に対する制約、製造装置の洗浄の困難性及び危険性、製造装置の洗浄の頻繁性、凝固物処理の困難性などの種々の弊害を防止できる。
【0172】
ところで、この美顔用粘着性発熱シートが非通気性袋に封入され、流通を経てユーザーの手に届くまでには、ペースト状の発熱組成物5中の遊離水が基材7と被覆材8に吸収されて、所定の発熱温度を得るに適した水分配合率になっているので、非通気性袋が破られて空気に触れるまでに発熱組成物5の品質が低下することがなく、発熱組成物5の品質を高品質に保持できる上、非通気性袋を破って美顔用粘着性発熱シートを取り出すと直ちに発熱反応が開始され、速やかに所定の発熱温度まで昇温する。
【0173】
ところで、このペースト状の発熱組成物5の水分の前記粘着性発熱シートへの吸収率(K重量%)を前述の方法で測定したところ、3.0重量%であった。
【0174】
実施例2
実施例1において、実施例1で用いた美白用粘着剤に代えて、以下に述べる美白用粘着剤で形成した層(厚さ550μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして、額に貼着して使用する美顔用粘着性発熱シート1を得た。
【0175】
即ち、美白用粘着剤として、ポリビニルアルコール17.5重量%、カルボキシメチルセルロース7.5重量%、1,3ブチレングリコール7.5重量%、L−アスコルビン酸1.0重量%、エタノール12重量%、乳酸ナトリウム0.3重量%、POEオレイルアルコールエーテル0.7重量%及びイオン交換水53.5重量%からなるものである。
【0176】
イオン交換水に乳酸ナトリウム、1,3ブチレングリコールを添加して均一な混合物にし、これを70〜80℃に昇温した後、ポリビニルアルコールとカルボキシメチルセルロースを添加し撹拌、溶解する。
以下、これを水相混合物という。
【0177】
一方、エタノールに、L−アスコルビン酸及びPOEソルビタンモノステアリン酸エステルを添加し、均一になるまで混合する。
以下、これを油相混合物という。
【0178】
この油相混合物を前述の水相混合物に加えて均一になるまで混合した後、室温になるまで冷却する。
尚、前記混合は全てホモミキサーによって行った。
【0179】
実施例3
図3に示すように、実施例1において、実施例1で用いたものと同様の基材7を用い、この基材7上に、実施例1で用いたものと同様のペースト状の発熱組成物5をスクリーン印刷するにあたり、厚さ850μmのスクリーン版を用い、且つ目の部分を除いて目の周辺部を覆う形状に前記ペースト状の発熱組成物5をスクリーン印刷で積層し、その上から実施例1で用いたものと同様の被覆材8を被せ、この発熱組成物5の外周囲部において、基材7と被覆材8とをヒートシールすると共に、目の部分を打ち抜いた略アイマスク状の美顔用粘着性発熱シート11を製造した。
【0180】
この場合、偏平状包材6における基材7の露出面全面に、実施例1で用いたものと同様の美白用粘着剤の層(厚さ550μm)が形成されてなり、又、発熱組成物5の外周囲部におけるシール幅が5mmになるように、ダイカットにより打ち抜き裁断した。
【0181】
この美顔用粘着性発熱シート11は、目の周辺部を覆う略アイマスク状に形成されたものであり、実施例1の場合と同様に、ペースト状の発熱組成物5中の水分の一部を偏平状包材6に吸収させて、バリヤー層を喪失させ、これによって、発熱組成物5が多孔質となって空気との接触が良好になるのである。
【0182】
実施例4〜10
本発明に係る美顔用粘着性発熱シートにおいては、実施例1と同様にして、図4及び図12に示すようなアイマスク状の美顔用粘着性発熱シート12を製造したり(実施例4)、図5及び図11に示すような目尻や目尻の周辺部を覆う左右一対の美顔用粘着性発熱シート13を製造したり(実施例5)、図6及び図12に示すような顎を覆う美顔用粘着性発熱シート14を製造したり(実施例6)、図7、図8、図12及び図13に示すような鼻や鼻元更にその周辺を覆う美顔用粘着性発熱シート15、16を製造したり(実施例7・8)、図9、図11及び図13に示すような頬を覆う美顔用粘着性発熱シート17を製造したり(実施例9)、図10及び図13に示すような口と鼻の間を覆う美顔用粘着性発熱シート18を製造したりする(実施例10)等、顔面を覆う任意の形状に形成される。
これらの美顔用粘着性発熱シートは前記実施例1と同様の手順、方法で製造し得るのである。
【0183】
このように顔面の特定部位に粘着して使用できるようにすることにより、顔面全体に用いる美顔用粘着性発熱シートと比較して、所定部位との密着性が至極向上し、優れた美顔効果が得られる上、顔面の気になる箇所に適用できる結果、経済的にも無駄が無いので望ましい。
【0184】
前記各実施例においては、ペースト状の発熱組成物5を用いているので、空気中でも安定しているうえ、基材7上に、スクリーン印刷などの印刷等によって任意の形状でペースト状の発熱組成物5を積層できる結果、任意形状の美顔用粘着性発熱シートが容易に得られるのであり、又、ペースト状の発熱組成物5中の水分の一部を偏平状包材6に吸収させて、バリヤー層を喪失させ、これによって、発熱組成物5が多孔質となって空気との接触が良好になるのである。
【0185】
次に、実施例1に示す額用の美顔用粘着性発熱シート1と、実施例5に示す目尻や目尻の周辺部を覆う左右一対の美顔用粘着性発熱シート13と、実施例9に示す頬を覆う美顔用粘着性発熱シート17とを用い、美顔試験を以下の方法で調査した。
【0186】
即ち、美顔効果は、皺、しみ、そばかす等に悩むパネラー(40〜53才の女性)75名を1群25名として、3群に分けた。
【0187】
その中の1群25名に対して、実施例1に示す額用の美顔用粘着性発熱シート1と、実施例5に示す目尻や目尻の周辺部を覆う左右一対の美顔用粘着性発熱シート13と、実施例9に示す頬を覆う美顔用粘着性発熱シート17とをそれぞれ製造し、これらをそれぞれ非通気性の外袋に封入した後、24時間経過してから各外袋を破って、図11に示すように、顔面における額、目尻や目尻の周辺部及び頬に貼着、使用をした。
【0188】
この場合、毎日、朝と、入浴後30〜60分の間に、図11に示すように、顔面における額、目尻や目尻の周辺部及び頬に35日にわたって繰り返し貼着、使用をし、35日目にその顔面に対する皺、しみ、そばかすなどの美顔効果を判定した。
【0189】
実施例1、実施例5及び実施例9の各美顔用粘着性発熱シートを製造し、これを非通気性の外袋に封入した後、24時間経過してから各外袋を破って、図11に示すように、顔面における額、目尻や目尻の周辺部及び頬に貼着、使用をしたところ、1分程度で発熱温度が約38℃まで昇温し、以後38〜41℃で約25分間にわたって発熱した。
【0190】
又、この各実施例に係る美顔用粘着性発熱シートの繰り返し使用による美顔効果は以下のとおりである。
顔面における額、目尻や目尻の周辺部及び頬において、顔面に対する皺、しみ、そばかすが目立たず、美白で肌がしっとりして若肌になり、その美顔効果が顕著であると認めたものが15名有り、又、顔面に対する皺、しみ、そばかすが薄くなって殆ど目立たず、美白で肌がしっとりして若肌になり、その美顔効果が有ると認めたものが7名有り、残りの3名も皺、しみ、そばかすが幾分薄くなり、幾分かの美白効果が認められると主張した。
【0191】
又、この使用中、各美顔用粘着性発熱シートは顔面に密着し、皮膚刺激もなく、全面にわたって平均した発熱が認められた。又、剥離の際にも皮膚刺激は全く認められなかった。
【0192】
一方、比較例としては、実施例1、実施例5及び実施例9において、発熱組成物を除いた以外は、実施例1、実施例5及び実施例9と同様にして製造した、顔面における額、目尻や目尻の周辺部及び頬に用いる美顔用粘着性シートを使用した。
【0193】
この比較例に係る美顔用粘着性シートを用い、前記他の1群25名に対して、各実施例の場合と同様の条件で、顔面における額、目尻や目尻の周辺部及び頬に35日にわたって繰り返し貼着、使用をし、35日目にその顔面に対する皺、しみ、そばかすなどの美顔効果を判定した。
【0194】
この各比較例に係る美顔用粘着性シートの繰り返し使用による美顔効果は以下のとおりである。
顔面における額、目尻や目尻の周辺部及び頬において、その美顔効果が顕著であると認めたものは存在しなかったが、顔面に対する皺、しみ、そばかすが薄くなって殆ど目立たず、美白で肌がしっとりして若肌になり、その美顔効果が有ると認めたものが8名有り、又、11名が皺、しみ、そばかすが幾分薄くなり、幾分かの美白効果が認められると主張し、更に、残りの6名は変化がなく美顔効果が認められないと主張した。
【0195】
この各比較例に係る美顔用粘着性シートの使用中、各美顔用粘着性シートは顔面に密着し、皮膚刺激もなく、又、剥離の際にも皮膚刺激は全く認められなかった。
【0196】
更に、他の比較例としては、実施例1、実施例5及び実施例9において、美白用粘着剤で形成した粘着層3に代えて、アクリル系粘着剤で形成した粘着層(厚さ25μm)を用いた以外は、実施例1、実施例5及び実施例9と同様にして製造した、顔面における額、目尻や目尻の周辺部及び頬に用いる粘着性発熱シートを使用した。
【0197】
この粘着性発熱シートを用い、前記残りの1群25名に対して、顔面における額、目尻や目尻の周辺部及び頬に35日にわたって繰り返し貼着、使用をするにあたり、顔面におけるその各々の箇所に市販されているL−アスコルビン酸含有の美白クリームを塗り、その上から当該粘着性発熱シートを貼着、使用をし、35日目にその顔面に対する皺、しみ、そばかすなどの美顔効果を判定した。
【0198】
この各比較例に係る粘着性発熱シートの繰り返し使用による美顔効果は以下のとおりである。
顔面における額、目尻や目尻の周辺部及び頬において、その美顔効果が顕著であると認めたものは存在しなかったが、顔面に対する皺、しみ、そばかすが薄くなって殆ど目立たず、美白で肌がしっとりして若肌になり、その美顔効果が有ると認めたものが5名有り、又、12名が皺、しみ、そばかすが幾分薄くなり、幾分かの美白効果が認められると主張し、更に、残りの8名は変化がなく美顔効果が認められないと主張した。
【0199】
この場合の粘着性発熱シートの使用中において、顔面における適用部位との密着性が悪く、つまり美白クリームによって粘着性発熱シートが顔面に粘着し難いのであり、又、美白クリームが粘着性発熱シートの温熱によって当該美白クリームが1〜2分程度で乾燥し、角質層のバリヤー機能によって美白剤の経皮吸収性が悪く、顔面に適用しても当該適用部位を清潔にしたり、美化する効果が至極乏しく、所要の美顔効果が得られなかったものと認められる。
【0200】
以上の結果より、各実施例のものは、各比較例のものと比較して、温熱効果と美顔用化粧用材との相乗作用によって、顔面のしわを延ばしたり、しみやそばかすを目立たないようにしたり、美白で肌がしっとりした若肌にしたりする等、至極優れた美顔効果が得られるのである。
【0201】
【発明の効果】
本発明に係る美顔用粘着性発熱シートにおいては、顔面の特定の部位或いは全面に貼着される粘着性発熱シートにおいて、この粘着性発熱シートが空気の存在によって発熱する発熱シートとその片面における全面或いは一部に積層された粘着層と、これらを封入する非通気性の外袋とを有し、この発熱シートは非通気性を有する基材と通気性を有する被覆材とからなる偏平状包材とこの包材内に封入されたペースト状の発熱組成物とからなり、発熱組成物から遊離水を吸収して発熱温度を得るに適した水分配合率にすることが可能な吸水性の包材に、遊離水によって発熱物質と空気との接触を妨げたペースト状の発熱組成物が、印刷、塗工またはコーティングされることにより均等に分布された状態で封入され、発熱が起こる前に外袋に封入され、前記粘着層は、水25〜85重量%、親水性ポリマー2.5〜40重量%、保湿剤0.5〜25重量%、充填剤0.5〜35重量%及び界面活性剤0.1〜5重量%からなるものを必須成分とし、この粘着層100重量部に対して、顔面への貼着部位を清潔にし、美化して魅力を増し、又は皮膚を健やかに保つための美顔用化粧用材を0.001〜85重量部配合してなるゼリー状またはペースト状となされ、基材の全面に積層されてなる。
【0202】
そして、本発明においては、このような構成を有し、顔面との適度の粘着性を有し、顔面に貼着することによって、いつでも、どこでも簡便に使用できるうえ、頭部や耳部の締め付けが無く使用感が良好であり、しかも顔面に密着して密封効果(いわゆるODT効果)、つまり角質層のルーズ化の促進効果と発熱シートによる温熱効果の相乗作用によって、美顔用化粧用材の経皮吸収が至極促進されたり、顔面の汚れや老廃物が容易に且つ効果的に除去されて、適用部位を清潔にしたり、美顔用化粧用材を効率良く吸収させることにより、顔肌を美化して魅力を増長したり、皮膚を健やかにして美肌に保ったり、若肌に改善する等の至極優れた効果が得られるのである。
【0203】
又、本発明において、粘着層に水分が含有されているとその水分が加温されることにより、前記効果に加えて、そのモイスチャー効果によって一層優れた美顔効果が得られるのである。
【0204】
更に、本発明に係る美顔用粘着性発熱シートは、顔面に貼着して使用されるものであり、しかも発熱温度が透湿度によって制御されていることにより低温火傷が発生しないように管理されているから、老若男女を問わず、特に肌が敏感な若き女性でも安全且つ容易に使用できる結果、毎日、安心して手軽に使用できる効果が得られるのである。
【0205】
加えて、本発明に係る美顔用粘着性発熱シートにおいては、発熱シートによって、顔面における肌が加温されるのであり、この顔面における肌が加温されると、血行の促進と汗せんが開いて発汗作用や老廃物の排出作用が促進されて、顔面における肌の細胞が活性化される上、美顔用化粧用材の経皮吸収が促進される結果、至極優れた美顔効果が得られるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1実施例に係る美顔用粘着性発熱シートの平面模式図である。
【図2】図2は、そのA−A線断面図である。
【図3】図3は、本発明の第3実施例に係る美顔用粘着性発熱シートの平面模式図である。
【図4】図4は、本発明の第4実施例に係る美顔用粘着性発熱シートの平面模式図である。
【図5】図5は、本発明の第5実施例に係る美顔用粘着性発熱シートの平面模式図である。
【図6】図6は、本発明の第6実施例に係る美顔用粘着性発熱シートの平面模式図である。
【図7】図7は、本発明の第7実施例に係る美顔用粘着性発熱シートの平面模式図である。
【図8】図8は、本発明の第8実施例に係る美顔用粘着性発熱シートの平面模式図である。
【図9】図9は、本発明の第9実施例に係る美顔用粘着性発熱シートの平面模式図である。
【図10】図10は、本発明の第10実施例に係る美顔用粘着性発熱シートの平面模式図である。
【図11】図11は、各実施例に係る美顔用粘着性発熱シートの使用状態を示す模式図である。
【図12】図12は、他の各実施例に係る美顔用粘着性発熱シートの使用状態を示す模式図である。
【図13】図13は、更に他の各実施例に係る美顔用粘着性発熱シートの使用状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 美顔用粘着性発熱シート
2 発熱シート
3 粘着層
4 粘着性発熱シート
5 ペースト状の発熱組成物
6 偏平状包材
7 基材
8 被覆材
9 離型シート
11 美顔用粘着性発熱シート
12 美顔用粘着性発熱シート
13 美顔用粘着性発熱シート
14 美顔用粘着性発熱シート
15 美顔用粘着性発熱シート
16 美顔用粘着性発熱シート
17 美顔用粘着性発熱シート
18 美顔用粘着性発熱シート
L シール幅

Claims (3)

  1. 顔面の特定の部位或いは全面に貼着される粘着性発熱シートにおいて、この粘着性発熱シートが空気の存在によって発熱する発熱シートとその片面における全面或いは一部に積層された粘着層と、これらを封入する非通気性の外袋とを有し、
    この発熱シートは非通気性を有する基材と通気性を有する被覆材とからなる偏平状包材とこの包材内に封入されたペースト状の発熱組成物とからなり、発熱組成物から遊離水を吸収して発熱温度を得るに適した水分配合率にすることが可能な吸水性の包材に、遊離水によって発熱物質と空気との接触を妨げたペースト状の発熱組成物が、印刷、塗工またはコーティングされることにより均等に分布された状態で封入され、発熱が起こる前に外袋に封入され、
    前記粘着層は、水25〜85重量%、親水性ポリマー2.5〜40重量%、保湿剤0.5〜25重量%、充填剤0.5〜35重量%及び界面活性剤0.1〜5重量%からなるものを必須成分とし、この粘着層100重量部に対して、顔面への貼着部位を清潔にし、美化して魅力を増し、又は皮膚を健やかに保つための美顔用化粧用材を0.001〜85重量部配合してなるゼリー状またはペースト状となされ、基材の全面に積層されてなることを特徴とする美顔用粘着性発熱シート。
  2. 顔面の特定の部位が額、目の周辺部、目尻或いは目尻周辺、鼻、鼻元やその周辺、顎、口の周辺又は頬である請求項1に記載の美顔用粘着性発熱シート。
  3. 美顔用化粧用材がにきび用薬剤、美白用薬剤、アミノ酸類などの栄養剤、ビタミン類や動植物の抽出エキス或いはこれから得られた成分などの賦活剤又はエモリエント剤から選ばれた少なくとも1種である請求項1又は2に記載の美顔用粘着性発熱シート。
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