JPWO2006006665A1 - 発熱組成物及び発熱体 - Google Patents

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Abstract

発熱立ち上がり性の優れた発熱体の原料として好適で、かつ経済性に優れた発熱組成物、及びそれを使用した発熱体を提供する。0.3〜10.0重量%の導電性炭素質物質で部分的に被覆された鉄粉、水素発生抑制剤、反応促進剤及び水を必須成分とし、前記発熱組成物の膨らみ度が40%以下であることを特徴とする。

Description

本発明は、活性があり、膨らみ度の小さい発熱組成物及びそれを使用した発熱体に関する。
鉄粉と反応助剤と水等の混合物に空気(酸素)を作用させて使用する使い捨てカイロが良く知られている。
発熱体に使用される金属粉としては、鉄粉が最も一般的であることは、公知であり、食塩等の反応促進剤や水等が合わせて用いられ、これらの物質を担持する保水剤として活性炭、バーミキュライト、珪藻土、木粉或いは吸水性ポリマー等を混合して使用されることも良く知られている。
発熱体での鉄粉の役割は、酸化による反応熱を放出することにある。
従って、製品の発熱性能は鉄粉の特性及びその能力を生かす他成分とのコンビネーションによって大きく左右され、換言すれば活性の高い鉄粉を使用し、それに伴う弊害を押さえながら、うまく鉄粉の特性を生かす成分とを組み合わせることにより良質の発熱体が生産されることになる。
特に発熱体にあっては、開封後すみやかに昇温することが製品価値を高めるため、発熱立上り特性の優れた発熱組成物を供給することが望まれている。
このような目的に使用する鉄粉として、従来からアトマイズ粉や還元鉄粉が使用されてきたが、アトマイズ粉よりも多孔質な、言い換えれば反応面積が大きくて、発熱性能が期待できる還元鉄粉が発熱体用鉄粉として求められてきた。更に発熱性能を上げるために、
鉄粉表面に一定量の導電性炭素質物質を部分的に被覆した鉄粉が発熱体用鉄粉として提案された。
しかし、鉄粉表面に被覆した導電性炭素質物質の被覆量を増すと、発熱立上り特性は向上するが、発生ガス(例えば、水素ガス)の量が多くなる。その結果、発熱体を非通気性収納袋に収納し、輸送や保存をする場合、発熱体中の水分が飛散し、発熱体の減量が生じ、発熱体の発熱時間が短くなる等の弊害をもたらす。また、外袋の透湿度(通気性)を低くすると、減量は防止できるが、外袋の膨らみが生じ、商品価値がなくなってしまう。即ち、膨らみをなくすために外袋の透湿度(通気性)を高くすると、発熱体の発熱時間が短くなり、外袋の透湿度(通気性)を低くすると、膨らみが生じ、共に商品価値がなくなる。従って、発熱組成物から発生する水素を抑制することが商品価値を出すために必須事項となる。
本発明は、発熱立ち上がり性の優れた発熱体の原料として好適で、かつ経済性に優れた発熱組成物、及びそれを使用した発熱体を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、上記の課題を解決し、本発明を完成したものである。
即ち、本発明の発熱組成物は、請求項1に記載の通り、0.3〜10.0重量%の導電性炭素質物質で部分的に被覆された鉄粉、水素発生抑制剤、反応促進剤及び水を必須成分とし、前記発熱組成物の膨らみ度が40%以下であることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発熱組成物は、請求項1に記載の発熱組成物において、前記導電性炭素質物質は、導電性グラファイト、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン及び活性炭からなる群から選択され導電性炭素質物質であることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発熱組成物は、請求項1に記載の発熱組成物において、前記導電性炭素質物質は、3.01〜10.0重量%であることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発熱組成物は、請求項1に記載の発熱組成物において、前記発熱組成物の易動水値は、0.01〜20であることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発熱組成物は、請求項1に記載の発熱組成物において、前記発熱組成物は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、骨材、繊維状物、機能性物質、界面活性剤、有機ケイ素化合物、焦電物質、保湿剤、肥料成分、疎水性高分子化合物、発熱助剤、鉄以外の金属、酸化鉄以外の金属酸化物、酸性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする。
また、請求項6に記載の発熱組成物は、請求項1に記載の発熱組成物において、前記発熱組成物は、少なくとも0.3〜10.0重量%の導電性炭素質物質で部分的に被覆された鉄粉、炭素成分、反応促進剤及び水の混合物を酸化性ガスにより接触処理した成分を含有することを特徴とする。
本発明の発熱体は、請求項7に記載の通り、請求項1に記載の発熱組成物を通気性収納袋に収納したことを特徴とする。
請求項8に記載の発熱体は、請求項7に記載の発熱体において、
1)前記収納袋は、基材と被覆材とから構成され、
2)前記発熱組成物の周囲がシールされて形成される区分け部と、前記区分け部間に形成される区分発熱部とを有し、
3)前記基材が実質的に平面状で、ポケット、収納区画又は収納区域を有せず、
4)前記発熱組成物は、凝集助剤、凝集化剤、集塊補助剤、乾燥バインダー、乾燥結合剤、乾燥結合材、粘着性素材、増粘剤及び賦形剤を含有せず、
5)発熱組成物中の水分がバリア層として機能せず、空気と接触して発熱反応を起こし、
6)前記発熱組成物成形体の体積は、0.1〜30cmであり、
7)前記発熱組成物成形体の体積と前記区分発熱部の容積との比率は、0.6〜1.0であり、
8)前記区分発熱部の最大高さは、0.1〜10mmであり、
9)前記区分発熱部の間隔である区分け部の幅は、0.3〜30mmである、ことを特徴とする。
また、請求項9に記載の発熱体は、請求項7に記載の発熱体において、前記区分発熱部の厚み方向と直交する面における最小剛軟度は、50mm以下であることを特徴とする。
また、請求項10に記載の発熱体は、請求項7に記載の発熱体において、前記区分発熱部は、スジ状に形成されていることを特徴とする。
また、請求項11に記載の発熱体は、請求項7に記載の発熱体において、前記発熱体は、少なくとも一部に固定手段を有することを特徴とする。
また、前記発熱体において、前記通気性収納袋に収容される発熱組成物は、成形され、圧縮されていることを特徴とする。
また、前記発熱体において、前記基材と前記被覆材は、粘着剤により仮着された後、前記基材及び/又は被覆材に設けられたヒートシール層によりヒートシールされたヒートシール部を有し、前記ヒートシール部には、前記粘着剤の粘着剤成分が含まれていることを特徴とする。
また、前記発熱体において、前記ヒートシール後、前記発熱組成物成形体の少なくとも一部をヒートシールされていない仮着部に移動させ、ヒートシールされていない仮着部を開着したことを特徴とする。
また、前記発熱体において、前記区分発熱部の厚み方向と直交する面における剛軟度比は2以上であることを特徴とする。
また、前記発熱組成物において、前記鉄粉は、還元鉄粉であることが好ましい。
また、前記発熱組成物において、前記鉄粉は、アトマイズ鉄粉であることが好ましい。
また、前記発熱組成物において、前記発熱組成物の易動水値は、0.01〜50であることが好ましい。
また、前記発熱組成物において、前記鉄粉は、少なくとも表面の一部が鉄酸化物皮膜で覆われ、前記鉄酸化物皮膜の厚さが3nm以上であり、且つ、少なくとも前記鉄粉の中心部領域及び前記鉄酸化物皮膜の下の績域から選ばれた少なくとも1領域において酸素を含まない鉄成分の領域を有する活性鉄粉を20〜100%含有することが好ましい。
また、前記発熱組成物において、前記鉄粉は、少なくとも表面の一部がウスタイト皮膜で覆われ、鉄とのX線ピーク強度比で、ウスタイト量が2〜50重量%である活性鉄粉を20〜100%含有することが好ましい。
また、前記発熱組成物において、前記発熱組成物を、100mlの水に1gを投入し、混合撹拌した上澄液で測定したpHが7以上であることが好ましい。
また、前記発熱体において、前記固定手段は、粘着剤層であり、前記粘着剤層が保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、界面活性剤、有機ケイ素化合物、疎水性高分子化合物、焦電物質、酸化防止剤、骨材、繊維状物、保湿剤、機能性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有してなることが好ましい。
本発明によれば、鉄粉の表面に、導電性炭素質物質薄膜を局部的に一定量形成させ、酸化反応が促進されるように表面改質された活性の高い鉄粉を水素発生抑制剤、更にpH調整剤と組み合わせることにより膨らみもなく、長期保存が可能な商品価値のある、発熱立ち上がり性の優れた発熱組成物及び発熱体を得ることができる。特に易動水値0.01〜20の余剰水を有し、成形性のある発熱組成物の場合、本発明の組み合わせにより発熱体への実用化が可能になった。
更に、
1.本発明の発熱組成物は、凝集助剤、凝集化剤、集塊補助剤、乾燥結合材、乾燥結合剤、乾燥バインダ、粘着剤バインダ、増粘剤及び賦形剤を含有せず、特に易動水値0.01〜20の発熱組成物は空気と接触して酸化反応が起こり、余剰水を結合物質に用い、成形性を有している成形性発熱組成物であるので、基材に収納用ポケットを設ける必要がなく、実質的に平面状の基材を使用して、各種形状の発熱体が製造でき、発熱特性に優れ、超薄型の発熱体でも十分に有効な発熱時間を有している。
2.本発明の成形性発熱組成物を使用した発熱組成物成形体を基材と被覆材で封入した、区分発熱部を有する発熱体は薄く、細やかな形状で、発熱組成物の偏らない発熱部を有するので、布のようにしなやかで、屈曲性に優れて、肘や膝等の屈曲自在箇所に容易かつ確実にフィットし、採暖することができ、肩や腕、首や足等の湾曲部などの人体各所に追随変形性よく適用できて違和感を生じにくい。
3.本発明の発熱体であるストライプ状の区分発熱部からなる発熱部を有する発熱体は、厚み方向と直交する面における、最少剛軟度が60mm以下であり、好ましくは30mm以下であるので、身体等の曲面への密着性が優れている。
4.区分発熱部を有する発熱体は、その剛軟度比が2以上である領域を少なくとも発熱体の1部に有しているので、取り扱いも容易で、身体の曲面に添うように固定手段を用いて簡単に固定できる。
5.区分発熱部を有する発熱体の一方向の剛軟度が低いので、簡単にその方向へ巻き付けたり、折り曲げることができ、保存用非通気性収納である外袋にコンパクトに収納保存でき、発熱組成物の劣化も緩和できる。
本発明の発熱組成物は鉄粉表面が0.3〜10.0重量%の導電性炭素質物質で部分的に被覆された鉄粉と水素発生抑制剤、反応促進剤及び水を必須成分とした発熱組成物である。
本発明の発熱組成物の膨らみ度は好ましくは40%以下である。更に詳しくは、膨らみ度は好ましくは30%以下であり、より好ましくは20%以下であり、更に好ましくは5%以下であり、更に好ましくは1%以下である。膨らみ度はマイナスになってもよい。
減量度は、好ましくは15%以下であり、より好ましくは10%以下であり、更に好ましくは9%以下であり、更に好ましくは8%以下であり、更に好ましくは7%以下であり、更に好ましくは6%である。
膨らみ度とは、50℃、45%RHの環境下に非通気性収納袋(外袋)に発熱体を密封収納し、30日後、外袋を含む試料の減量度が15%以下である条件下における外袋の厚み変化を次式から算出する。
膨らみ度(A)=((C−D)×100)/D
減量度 (C)=((E−F)×100)/F
A 膨らみ度
B 減量度
C 試験後の試料中心部の厚み
D 試験前の試料中心部の厚み
E 試験後の試料の重さ
F 試験前の試料の重さ
ここで、試料としては、セパレータ付きの粘着剤層を片面に設け、他面にメタロセン触媒を使用したポリエチレンからなるヒートシール材層を設けた、ポリエチレンフィルムを基材とし、不織布とポリエチレン製多孔質フィルムの積層体からなり通気度としてリッシー法による透湿度がほぼ400g/m/24hrの被覆材を使用し、外寸100mm×130mmで、3辺を8mm幅のヒートシールをした収納袋(内袋)に、発熱組成物を32g収納し、収納口を8mm幅でヒートシールし、残りの辺8mm幅のヒートシールし、発熱組成物がほぼ均一になるようにして、平坦化した発熱体を作成する。
次にリッシー法の透湿度が1.6g/m/24hr以下で、酸素透過度が2.00cc/m/24hr以下の非通気性包材を2枚使用し、前記発熱体を2枚の間に挟み、発熱体の最外周縁部から1mm外側を8mm幅でヒートシールし、4辺をヒートシールして試料とする。
また、前記発熱組成物は中性からアルカリ性であることが外袋の膨らみを防止するためにも有用である。判定方法は発熱組成物1gを100mlの水に投入し、混合撹拌した上澄液で測定したpHを採用する。尚、発熱組成物中のpHの調整は、pH調整剤等を添加し、調整すればよい。
本発明の発熱組成物のpHは好ましくは7以上であり、より好ましくは7〜14であり、更に好ましくは8〜14であり、更に好ましくは10〜14である。更に好ましくは10〜13である。
前記発熱組成物は、0.3〜10.0重量%の導電性炭素質物質で部分的に被覆された鉄粉、水素発生抑制剤、反応促進剤及び水を必須成分とするものである。
前記発熱組成物は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、骨材、繊維状物、機能性物質、界面活性剤、有機ケイ素化合物、焦電物質、保湿剤、肥料成分、疎水性高分子化合物、発熱助剤、鉄以外の金属、酸化鉄以外の金属酸化物、酸性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明の発熱組成物等は、その配合割合は特に限定されるものではないが、鉄粉100重量部に対して、炭素成分1.0〜50重量部、保水剤0.01〜10重量部、吸水性ポリマー0.01〜20重量部、pH調整剤0.01〜5重量部、水素発生抑制剤0.01〜12重量部、反応促進剤1.0〜50重量部であり、水0〜60重量部で、発熱組成物として易動水値が0.01〜20になるように配合割合を選択するのが好ましい。更に、前記発熱組成物に下記のものを鉄粉に対して、下記の配含割合で加えてもよい。即ち、鉄以外の金属1.0〜50重量部、酸化鉄以外の金属酸化物1.0〜50重量部、界面活性剤0.01〜5重量部、消泡剤0.01〜5重量部、疎水性高分子化合物、骨材、繊維状物焦電物質、有機ケイ素化含物はそれぞれ0.01〜10重量部、保湿剤、肥料成分、発熱助剤はそれぞれ0.01〜10重量部、酸性物質0.01〜1重量部である。磁性体を配合する場合はその配合割合は所望により適宜決めればよい。
発熱組成物を構成する固形成分の粒径を小さくすることは、活性や成形性の上から好ましい。
発熱組成物を構成する成分中、反応促進剤と水を除く非水溶性固形成分の最大粒径は好ましくは2.5mm以下であり、より好ましくは930μm以下であり、更に好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは300μm以下であり、更に好ましくは250μm以下であり、更に好ましくは200μm以下であり、且つ、前記固形成分の粒径の80%以上が、通常500μm以下で有り、好ましくは300μm以下であり、より好ましくは250μm以下であり、更に好ましくは200μm以下であり、更に好ましくは150μm以下であり、更に好ましくは100μm以下である。
本発明で使用される鉄粉は、0.3〜10.0重量%の導電性炭素質物質で部分的に被覆された鉄粉である。
前記活性の高い鉄粉は、鉄粉表面に導電性炭素質物質の薄膜を局部的に形成し、地鉄と導電材料の間に形成される局部電池により酸化反応を促進させるものである。
本発明で用いられる鉄粉としては、制限はなく、市販の鉄粉でよく、還元鉄粉、アトマイズ鉄粉、鋳鉄粉、電解鉄粉、銑鉄粉等が例示されるが、スポンジ鉄粉、溶接棒用鉄粉や粉末冶金用鉄粉が一例として挙げられる。特に還元鉄粉やアトマイズ鉄粉が好ましい。
本発明では、この鉄粉の表面に導電性炭素質物質が部分的に被覆されている。
導電性炭素質物質としては、電気抵抗が小さく、かつ鉄粉皮膜を形成し易いものがよく、導電性グラファイト、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン及び活性炭からなる群から選択されるものが好ましい。
この導電性炭素質物質の被覆量は、好ましくは鉄粉全体の0.3〜10.0重量%であり、より好ましくは、3.0〜10.0重量%、更に好ましくは、3.01〜10.0重量%であり、更に好ましくは3.01〜10.0重量%であり、更に好ましくは3.01〜7.0重量%である。0.3重量%未満では発熱体の発熱特性に寄与できず、10.0重量%を超えても効果がより増進しない。
通常、還元鉄粉は0.01〜0.3重量%の還元剤、即ち炭素分が残留しているが、これらの炭素分は鉄粉中に固溶しているか、或いは鉄粉から遊離したいわゆる遊離炭素として存在するため、これらの形態での炭素分では発熱体の発熱特性に寄与することはない。
また、導電性炭素質物質被覆を効率よく行なうために鉄粉の流動性を害さない程度に0.01〜0.05重量%の油分、例えばスピンドル油等を添加してもよい。
鉄粉表面をこれらの導電性炭素質物質で局部的に被覆するには各種の装置が適用でき、被覆処理装置により制約を受けるものではない。ボールミル、コニカルブレンダ等でも30分〜3時間の被覆処理により陰極薄膜を形成させることが可能である。
皮膜形成機としては、メカフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製AM−15F等)や粉体表面改質装置“ハイブリダイゼーション”(奈良機械 NHS−0等)が一例として挙げられる。
皮膜形成機を使用すると処理時間が短縮できる。
一例として、ホソカワミクロン社製AM−15Fを用い、鉄粉100重量部に対し、炭素成分0.3〜12重量部の割合とし、回転数500〜1500rpmで処理すれば、10〜80分間の混合処理で、被覆ができる。
また、この場合、粉塵の飛散を防止するために、鉄粉と炭素成分の合計量に対し少量の水を加え、処理をしてもよい。
鉄粉の製造方法や工程に制限はないが、トンネルキルンを用いて還元された鉄粉が一例として挙げられる。
また、本発明の鉄粉表面に導電性炭素質物質の薄膜を局部的に形成した鉄粉を酸化性ガスとの接触処理をしたり、前記鉄粉表面に酸素含有領域を設けてもよい。
酸化性ガスとの接触処理を行う場合の反応混合物、発熱混合物も前記発熱組成物と同様の成分及びその割合が使用できる。
酸化性ガスとの接触処理とは、鉄粉、反応促進剤及び水を必須成分とする混合物を酸化性ガスと接触させ、発熱特性、成形性等の優れた発熱組成物を製造する方法であり、好ましくは鉄粉、反応促進剤及び水を必須成分とする混合物を酸化性ガスと接触させ、接触から10以内に前記混合物の温度上昇分が1℃以上にする方法が一例として挙げられる。
前記酸化性ガスとは、気体で酸化性があれば如何なるものでもよいが、酸素ガス、空気、又は窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスと酸素を含むガスとの混合気体が一例として挙げられる。特に、空気が好ましい。
前記鉄粉表面に酸素含有領域を設ける方法は制限はないが、鉄粉表面に導電性炭素質物質の薄膜を局部的に形成した鉄粉に食塩等の反応促進剤と水を加え、空気等の酸化性ガスの雰囲気中で、自己発熱させて、鉄粉や導電性炭素質物質の表面等を酸化する方法が一例として挙げられる。
酸化性ガス処理をした鉄粉に導電性炭素質物質を設けてもよいし、酸化性ガス処理と導電性炭素質物質の設置処理を同時に行ってもよい。鉄粉表面の分析は制限はないがX解析法やオージェ電子分光法等が一例として挙げられ、ウスタイトの分析にはX解析法が、酸素含有領域の厚さの測定にはオージェ電子分光法が用いられる。
前記鉄粉の表面を覆う酸素含有皮膜の厚さは、オージェ電子分光法の測定により、通常、3nm以上であり、好ましくは3nm〜100μmであり、より好ましくは30nm〜100μmであり、更に好ましくは30nm〜50μm、更に好ましくは30nm〜1μm、更に好ましくは30nm〜500nmであり、更に好ましくは50nm〜300nmである。
鉄の酸素含有皮膜の厚さが3nm以上とすることにより、鉄の酸素含有皮膜が酸化反応の促進効果を発揮でき、空気等の酸化性ガスと接触して、酸化反応をすぐに開始させることができる。鉄の酸素含有皮膜の厚さが100μm以上であると、発熱時間が短くなるおそれがあるが、用途によっては使用できる。
ウスタイト量とは、X線解析装置を用い、鉄(αFe)の110面のピークの積分強度とFeO(ウスタイト)の220面のピークの積分強度に対するFeO(ウスタイト)の220面のピークの積分強度を%表示で表したものである。ウスタイト量は通常は2〜50重量%であり、好ましくは5.01〜50重量%、より好ましくは5.01〜40重量%であり、更に好ましくは6〜40重量%であり、より更に好ましくは7〜30重量%であり、更に好ましくは7〜25重量%である。50重量%を超えても発熱立ち上がり性はよいが、発熱持続時間が短くなる。
前記水としては、適当なソースからのものでよい。その純度及び種類等には制限はない。
水の含有量は、発熱組成物の場合、発熱組成物の1〜70重量%、より好ましくは1〜60重量%、更に好ましくは7〜60重量%、更に好ましくは10〜50重量%、更に好ましくは20〜50重量%を含有する。
また、酸化性ガスによる接触処理をする前の反応混合物及び発熱混合物の場合、反応混合物又は発熱混合物の0.5〜20重量%、より好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは3〜20重量%、更に好ましくは4〜15重量%を含有する。
前記炭素成分としては、炭素を成分としたものであれば制限はない。カーボンブラック、黒鉛、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレンなどが一例として挙げられる。ドーピング等により導電性を有するものであってもよい。ココナツの殻、木材、木炭、石炭、骨炭などから調製された活性炭や、動物産物、天然ガス、脂肪、油及び樹脂のような他の原料から調製されたものも一例として挙げられる。特に、吸着保持能を有する活性炭が好ましい。
また、炭素成分としては、必ずしも単独で存在する必要はなく、炭素成分を含有及び/又は炭素成分で被覆された鉄粉を発熱組成物に使用した場合、炭素成分が単独に存在しなくても、前記発熱組成物は炭素成分を含むものとする。
前記反応促進剤としては、発熱物質の反応促進ができるものであれば制限はない。金属ハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、金属硫酸塩類等が一例として挙げられる。金属ハロゲン化物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化第一鉄、臭化第二鉄、沃化ナトリウム、沃化カリウム等が一例として挙げられる。硝酸塩としては硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が一例として挙げられる。酢酸塩としては、酢酸ナトリウム等が一例として挙げられる。炭酸塩としては、炭酸第一鉄等が一例として挙げられる。金属硫酸塩類としては、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄等が一例として挙げられる。
前記保水剤としては、保水できれば制限はない。木粉、パルプ粉、活性炭、おがくず、多くの綿毛を有する綿布、綿の短繊維、紙屑、植物質材料及び他の大きい毛細管機能と親水性とを有する植物性多孔質材料、活性白土、ゼオライト等の含水ケイ酸マグネシウム質粘土鉱物、パーライト、バーミキュライト、シリカ系多孔質物質、珊瑚化石、火山灰系物質(テラバルーン、シラスバルーン、タイセツバルーン等)等が一例として挙げられる。尚、これら保水剤の保水力の増加、形状維持力の強化等のため、焼成及び/又は粉砕等の加工処理をしたものもよい。
前記吸水性ポリマーは、架橋構造を有し、かつ自重に対するイオン交換水の吸水倍率が3倍以上の樹脂であれば特に限定されるものではない。また、表面を架橋したものでもよい。従来公知の吸水性ポリマーや市販のものも用いることもできる。
吸水性ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸架橋体、ポリ(メタ)アクリル酸塩架橋体、スルホン酸基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリオキシアルキレン基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステル架橋体、ポリ(メタ)アクリルアミド架橋体、(メタ)アクリル酸塩と(メタ)アクリルアミドとの共重合架橋体、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルと(メタ)アクリル酸塩との共重合架橋体、ポリジオキソラン架橋体、架橋ポリエチレンオキシド、架橋ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン架橋体、架橋ポリビニルピリジン、デンプン−ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合体のケン化物、デンプン−ポリ(メタ)アクリル酸(塩)グラフト架橋共重合体、ポリビニルアルコールと無水マレイン酸(塩)との反応生成物、架橋ポリビニルアルコールスルホン酸塩、ポリビニルアルコール−アクリル酸グラフト共重合体、ポリイソブチレンマレイン酸(塩)架橋重合体等が一例として挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記吸水性ポリマー中の生分解性を有する吸水性ポリマーとしては、生分解性を有する吸水性ポリマーであれば制限はない。ポリエチレンオキシド架橋体、ポリビニルアルコール架橋体、カルボキシメチルセルロース架橋体、アルギン酸架橋体、澱粉架橋体、ポリアミノ酸架橋体、ポリ乳酸架橋体などが一例として挙げられる。
前記pH調整剤としては、pHが調整できれば制限はない。アルカリ金属の弱酸塩、水酸化物など、或いは、アルカリ土類金属の弱酸塩、水酸化物などがあり、NaCO、NaHCO、NaPO、NaHPO、Na10、NaOH、KOH、Ca(OH)、Mg(OH)、Ca(POなどが一例として挙げられる。
前記水素発生抑制剤としては、水素の発生を抑制するものであれば制限はない。イオウ化合物、酸化剤、アルカリ性物質、イオウ、アンチモン、セレン、リン及びテルルからなる群より選ばれた少なくとも1種又は2種以上からなるものが一例として挙げられる。尚、イオウ化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属との化合物で、硫化カルシウム等の金属硫化物、亜硫酸ナトリウム等の金属亜硫酸塩やチオ硫酸ナトリウム等金属チオ硫酸塩等が一例として挙げられる。
前記酸化剤としては、硝酸塩、酸化物、過酸化物、ハロゲン化酸素酸塩、過マンガン酸塩、クロム酸塩等が一例として挙げられる。
前記骨材としては、充填剤として有用であり、及び/又は、発熱組成物の多孔質化に有用であれば制限はない。化石サンゴ(サンゴ化石、風化造礁サンゴ等)、竹炭、備長炭、シリカ−アルミナ粉、シリカ−マグネシア粉、カオリン、結晶セルロース、コロイダルシリカ、軽石、シリカゲル、シリカ粉、マイカ粉、クレー、タルク、合成樹脂の粉末やペレット、発泡ポリエステル及びポリウレタンのような発泡合成樹脂、藻土、アルミナ、繊維素粉末等が一例として挙げられる。尚、カオリン及び結晶セルロースは、本発明の発熱組成物には含まないものとする。
前記繊維状物としては、無機系の繊維状物及び/又は有機系の繊維状物である、ロックウール、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維、パルプ、紙、不織布、織物、綿や麻等の天然繊維、レーヨン等再生繊維、アセテート等の半合成繊維、合成繊維及びそれらの粉砕品が一例として挙げられる。
前記機能性物質としては、機能を有する物質であれば制限はないが、マイナスイオン発生物質や遠赤外線放射物質等から選ばれた少なくとも1種が一例として挙げられる。前記マイナスイオン発生物質としては、直接、間接を問わず、結果としてマイナスイオンは発生すれば制限はない。トルマリン、化石サンゴ、花崗岩、プロピオン酸カルシウムストロンチウムなどの共誘電体、ラジウム、ラドン等の放射性物質を含む鉱石等が一例として挙げられる。前記遠赤外線放射物質としては、遠赤外線を放射するものであれば制限はない。セラミック、アルミナ、ゼオライト、ジルコニウム、シリカ等が一例として挙げられる。
前記界面活性剤としては、アニオン、カチオン、ノニオン、両性イオンを含む界面活性剤を包含する。特に、ノニオン界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルフェノール・エチレンオキサイド付加物、高級アルコール燐酸エステル等が一例として挙げられる。
前記有機ケイ素化合物としては、少なくともSi−O−R及び又はSi−N−R及び又はSi−Rの結合を持つ化合物であれば制限はない。モノマー、低縮合物、ポリマー等の形態で、メチルトリエトキシシラン等の有機シラン化合物、ジメチルシリコーンオイル、ポリオルガノシロキサン又はそれらを含有するシリコーン樹脂組成物等が一例として挙げられる。
前記焦電物質としては、焦電性(パイロ電気又はピロ電気)を有する物であれば制限はない。電気石、イキョク鉱物焦電性鉱物が一例として挙げられる。特に電気石の一種であるトルマリンが好ましい。トルマリンとしては、ドラバイト(苦土電気石)、ショール(鉄電気石)、エルバイト(リチア電気石)等が挙げられる。
前記保湿剤としては、保湿ができれば制限はない。ヒアルロン酸、コラーゲン、グリセリン、尿素等が一例として挙げられる。
前記肥料成分としては、窒素、燐酸、カリウムの3要素のうち少なくとも1種を含む成分であれば制限はない。骨粉、尿素、硫安、過燐酸石灰、塩化カリウム、硫酸カルシウム等が一例として挙げられる。
前記疎水性高分子化合物としては、組成物中の水抜けをよくするため、水との接触角が40°以上、より好ましくは50°以上、更に好ましくは60°以上の高分子化合物であれば制限はない。形状も制限はなく、粉体、顆粒、粒、錠等が一例として挙げられる。ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が一例として挙げられる。
前記発熱助成剤としては、金属粉、金属塩、金属酸化物などがあり、Cu、Mn、CuCl、FeCl、二酸化マンガン、酸化第二銅、四三酸化鉄等やそれらの混合物等が一例として挙げられる。
前記酸化鉄以外の金属酸化物としては、酸化性ガスによる鉄の酸化を阻害しなければ如何なるものでもよいが二酸化マンガン、酸化第2銅等が一例として挙げられる。
前記酸性物質としては、無機酸、有機酸、及び酸性塩の何れでもよく、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、クロル酢酸、塩化鉄、硫酸鉄、シュウ酸鉄、クエン酸鉄、塩化アルミニウム、塩化アンモニウム、次亜塩素酸等が一例として挙げられる。
易動水値とは、発熱組成物中に存在する水分の中で発熱組成物外へ移動できる余剰水分の量を示す値である。この易動水値について、図9乃至図13を使って説明する。図9に示すように、中心点から放射状に45度間隔で8本の線が書かれたNO.2(JIS P 3801 2種)の濾紙12を、図10及び図11に示すように、ステンレス板16上に置き、前記濾紙12の中心に、内径20mm×高さ8mmの中空円筒状の穴14を持つ長さ150mm×幅100mmの型板13を置き、その中空円筒状の穴14付近に試料15を置き、押し込み板9を型板13上に沿って動かし、試料15を押し込みながら中空円筒状の穴14へ入れ、型板面13に沿って、試料を擦り切る(型押し込み成形)。次に、図12に示すように、前記穴14を覆うように非吸水性の70μmポリエチレンフィルム11を置き、更にその上に、厚さ5mm×長さ150mm×幅150mmのステンレス製平板10を置き、発熱反応が起こらないようにして、5分間保持する。その後、図13に示すように、濾紙12を取り出し、放射状に書かれた線に沿って、水又は水溶液の浸みだし軌跡を中空円筒の穴の縁である円周部18から浸みだし先端までの距離17として、mm単位で読み取る。同様にして、各線上からその距離17を読み取り、合計8個の値を得る。読み取った8個の各値(a,b,c,d,e,f,g,h)を測定水分値とする。その8個の測定水分値を算術平均したものをその試料の水分値(mm)とする。また、真の水分値を測定するための水分量は内径20mm×高さ8mmの前記発熱組成物等の重量に相当する前記発熱組成物等の配合水分量とし、その水分量に相当する水のみで同様に測定し、同様に算出したものを真の水分値(mm)とする。水分値を真の水分値で除したものに100をかけた値が易動水値である。
即ち、
易動水値=[水分値(mm)/真の水分値(mm)]×100
同一試料に対して、5点測定し、その5個の易動水値を平均し、その平均値をその試料の易動水値とする。また、発熱体中の発熱組成物の易動水値を測定する場合、真の水分値を測定する水分量は発熱組成物の赤外線水分計による水分量測定から発熱組成物の含水率を算出し、それを基に、測定に必要な水分量を算出し、前記水分量により真の水分値を測定算出する。
本発明での易動水値(0〜100)は、好ましくは0.01〜20であり、より好ましくは0.01〜18であり、更に好ましくは0.01〜15であり、更に好ましくは0.01〜13であり、更に好ましくは1〜13であり、更に好ましくは3〜13である。
易動水値が0.01未満の発熱組成物は成形性が不足する。易動水値が0.01〜50の発熱組成物は成形性を有するので成形性発熱組成物である。易動水値が20を超えると発熱組成物の一部水分を吸水や脱水等により除去する必要がある。即ち、吸水性包材等を使用して発熱組成物成形体中の一部水分を吸水や脱水等により除去しないと、実用的な発熱反応を起こさない。尚、吸水速度の遅い吸水性ポリマーを使用し、成形時には高い易動水値を示すが、一定時間後、余剰水の一部が吸水性ポリマーに取り込まれ、易動水値0.01〜20の発熱状態になる場合は、易動水値が高い発熱組成物でも余剰水がバリア層になっていない発熱組成物として扱う。易動水値が50を超える発熱組成物は、余剰水が多すぎ、スラリー状になり、成形性がなく、余剰水がバリア層になり、そのままでは空気と接触して発熱反応は起こさない。
また、易動水値とは、発熱組成物や混合物等に含まれる水分のうち、容易に、自由に系外へしみ出せる水分量である余剰水を数値化したものである。発熱組成物や混合物等のいくつかの成分を混合した混合物では、保水剤、炭素成分、吸水性ポリマー等の保水能力を持つ成分量、各成分の濡れ性により、その余剰水量は種々変化し、加えた水分量からは予想が非常に難しい。従って、易動水値からその発熱組成物や混合物等の余剰水量が決まるので、これによって、加える水分量、他の成分量を決めれば、ほぼ一定量の余剰水量を持つ発熱組成物や混合物等が再現性よく得られる。即ち、予め、易動水値と発熱組成物や混合物等の組成比を調べておけば、その組成比に従って配合した発熱組成物や混合物等は一定範囲内の易動水値、即ち、一定範囲内の余剰水量を持つので、空気と接触して発熱するが、成形性のない粉体状の発熱組成物、空気と接触して発熱し、しかも成形性のある発熱組成物、吸水等により一定の余剰水量を系外に出した後に、空気と接触して発熱し、しかも成形性のある発熱組成物等の種々の発熱組成物が容易に製造できる。従って、易動水値がわかればその発熱組成物や混合物等が上記の何れの状態にあるのかがわかる。
易動水値を使えば、簡単な測定により、所望の状態を再現よく具現化できるので、その測定より得た易動水値と成分比を基に、発熱組成物の成分比を決定し、発熱組成物の実生産が簡単に可能になる。
易動水値の使用例としては、水分(又は反応促進剤水溶液)を除いた他の発熱組成物成分を特定量で混合した混合物に水分(又は反応促進剤水溶液)を加え、混合し、水分量の異なる発熱組成物を複数個製造する。次に、その各発熱組成物の易動水値を測定し、添加水分量(又は反応促進剤水溶液)と易動水値の関係を求める。
成形性があり、空気と接触して発熱する発熱組成物の易動水値は0.01〜20である。これにより各成分の配合を決め、その配合で混合物を作製すれば、水分がバリア層として機能せず、空気と接触して発熱し、成形性を有する発熱組成物が再現よく製造できる。
これにより、余剰水を連結物質とし、凝集助剤や乾燥結合材を使用していないので、鉄粉の反応効率も落ちないので、凝集助剤や乾燥結合材を使用した場合に比べ、少量で高い発熱性能が得られる。
尚、本発明において、バリア層として機能せず、空気と接触して発熱反応を起こすとは、発熱組成物中の水分が空気遮断層としてのバリア層として機能せず、発熱組成物製造直後に、空気と接触して直ちに発熱反応を起こすことをいう。
この余剰水を連結物質とした成形性発熱組成物を使用することにより、一例として、実質的に平面状の基材上に発熱組成物成形体を最大幅で、好ましくは1〜50mm、より好ましくは1〜20mm、又は最大直径で、好ましくは1〜50mm、より好ましくは1〜20mm(楕円等の径が2つ以上ある場合は、長径を長さ、短径を幅として扱う)の区分発熱部を複数持つ、超薄形、超柔軟性の発熱体が製造可能になる。
前記余剰水とは、発熱組成物中に余剰に存在する水分で容易に発熱組成物外へ移動する水分又は水溶液分をいい、前記発熱組成物等の中から濾紙により吸い出される水分値又は水溶液分値である易動水値として定義される。発熱組成物が適量の余剰水を有すると、発熱組成物の成分中の親水基に対しては双極子相互作用又は水素結合によって水和し、また、疎水基の周辺において高い構造性を有して存在すると推定される。
これは何らかの意味で連結物質である連結水である。これ以外に自由水と呼べる状態の水分もある。余剰水が増加すれば構造が軟化し、自由水も認められる。
本発明の発熱体の形態は制限はないが、一例として製造方法により分類が例示される。
1)充填方式による発熱体、
2)ポケット方式による発熱体、
3)成形方式による発熱体が一例として挙げられる。
即ち、
1)充填方式
接着剤や縫製加工やヒートシール方式等の適宣な方式で基材の端部や間仕切り箇所を結合して袋体を形成し、発熱組成物をその袋体に充填し、その後袋体端を接着する方法である。一例として、充填方式による分室化された発熱体の製造方法としては、例えば長尺の基材と、目的とする間仕切り部分及び基材の周縁をヒートシールできる回転式の加熱圧着器を用いて、その加熱圧着器を介し対向配置した長尺基材の縁部及び間仕切り部分の必要箇所をヒートシールしつつ、形成された基材間の空隙からなる分室に通気発熱性の発熱体を供給して封入処理し、その封入処理でカイロ端を接着しつつ次の分室の形成を開始する連続形成方法などである。
2)ポケット方式
特表平11−508786号公報に開示されているように、予め基材に熱成形、機械的エンボス、真空エンボス又は他の許容しうる手段によりポケットを造っておき、前記ポケットに発熱組成物及びその圧縮体等を充填し、更に別の基材で、そのポケットを覆い、2つの基材の周囲を結合し、発熱体を製造する方法である。
3)成形方式
抜き型を使った型通し成形法や鋳込み型を使った鋳込み成形法により、所望の形状に成形性発熱組成物を成形し、収納用ポケットを有しない、実質的に平面状の基材等に、その成形体を積層し、更に別の基材を被せ、シールして発熱体を製造する方法である。ここで型通し成形法とは、抜き型を使用し、長尺の基材の上に型の抜き形状の発熱組成物成形体を積層する成形機とそれを長尺の被覆材で覆い、目的とする区分け部分及び基材と被覆材の周辺部をシール(ヒートシールや圧着シールや熱圧着シール等)できる回転式のシール器を用いて、そのシール器を介し、発熱組成物成形体の周辺部及び区分け部分の必要箇所をヒートシールし、封入処理する連続形成方法である。また鋳込み成形法とは、凹部を有する鋳込み型への充填と基材への移設により、発熱組成物成形体を長尺基材上へ積層する成形法である。連続式の場合は、ドラム状回転体による凹部への充填と基材への移設により、発熱組成物成形体を長尺基材上へ積層する成形機とそれを長尺の被覆材で覆い、目的とする区分け部分及び基材と被覆材の周辺部をシール(ヒートシールや圧着シールや熱圧着シール等)できる回転式のシール器を用いて、そのシール器を介し、発熱組成物成形体の縁部及び区分け部分の必要箇所をヒートシールし、封入処理する連続形成方法などである。
また、
上記方法及びその他方法を使った本発明の発熱組成物使用の発熱体製造には、磁石を使用してもよい。磁石を利用すると、発熱組成物の袋体や型内への収容や、その成形体の型からの離脱が容易にでき、発熱組成物成形体の成形や発熱体の製造がより容易になる。
特に、成形性のある活性発熱組成物と基材と被覆材から、成形方式により直接製造する一体型発熱体が好ましい。
本発明の区分発熱部又は発熱組成物成形体は、最大幅は、通常、0.5〜60mmであり、好ましくは0.5〜50mmであり、更に好ましくは1〜50mmであり、更に好ましくは3〜50mmであり、更に好ましくは3〜30mmであり、更に好ましくは5〜20mmであり、更に好ましくは5〜15mmであり、更に好ましくは5〜10mmである。また、最高高さは、通常0.1〜30mmであり、好ましくは0.1〜10mmであり、更に好ましくは0.3〜10mmであり、更に好ましくは1〜10mmであり、更に好ましくは2〜10mmである。また、最長長さは、通常5〜300mmであり、好ましくは5〜200mmであり、より好ましくは5〜100mmであり、更に好ましくは20〜150mmであり、更に好ましくは30〜100mmである。
前記区分発熱部の容積又は発熱組成物成形体の体積は、通常、0.015〜500cmであり、好ましくは0.04〜30cmであり、より好ましくは0.1〜30cmであり、更に好ましくは1〜30cmであり、更に好ましくは3〜20cmである。
前記区分発熱部において、発熱組成物収納領域である区分発熱部が発熱組成物成形体で満たされた時に、発熱組成物成形体占有領域である発熱組成物成形体の体積と発熱組成物収納領域である区分発熱部の容積との容積比は通常0.6〜1であり、好ましくは0.7〜1であり、より好ましくは0.8〜1であり、更に好ましくは0.9〜1.0である。
また、前記区分発熱部の間隔である区分け部の幅は区分けができれば制限はないが、通常0.1〜50mmであり、好ましくは0.3〜50mmであり、より好ましくは0.3〜50mmであり、更に好ましくは0.3〜40mmであり、更に好ましくは0.5〜30mmであり、更に好ましくは1.0〜20mmであり、更に好ましくは3〜10mmである。
尚、前記発熱組成物成形体又は区分発熱部の形状は如何なるものでもよいが、平面形状で、円、楕円、多角形状、星形状、花形状等が一例として挙げられる。立体形状では、多角錐形状、円錐形状、錐台形状、球形状、平行六面体形状、円筒体形状、半円柱体形状、半楕円柱体形状、蒲鉾形状体、円柱体形状、楕円柱体形状等が一例として挙げられる。また、これらの形状は角部にアールを設け、角部を曲線状や曲面状にしてもよいし、中央部等に凹部があってもよい。
また、本発明の発熱組成部成形体の体積とは、発熱組成物成形体又は圧縮された発熱組成物成形体の体積を意味する。
また、区分発熱部の容積とは、発熱組成物成形体を収納した区分発熱部の内部容積を意味する。
前記区分発熱部、収納袋、外袋(発熱体の収納袋)等はシール部である区分け部やその周縁部や周辺部において、それらを構成する包材等がシールされるが、通常ヒートシールが使用されるが他シール方法も用途に合わせ使用できる。例えば、粘着剤層及び/又は接着剤層及び/又はヒートシール層を介して加圧、加温、加熱等又はそれらの組み合わせ手段により圧着シール(粘着シール、加温圧着シール(粘着シール)、接着シール、熱接着シール、熱融着シール(ヒートシール等で、点状(欠線状)或いは全面状等にすることが一例として挙げられるが、その何れか又はその組み合わせは所望により選択する。これらにより、区分発熱部、内袋(収納袋)及び外袋等を封着形成できる。縫製加工もシールの一手段として使用できる。
また、シール部を設けるシール型、シーラーについては制限はないが、連続シール加工にあたっては、回転式のシールロールを使用したものが好ましい。シール型、シールロール、シール装置、シール模様及びそれを使用した発熱体等に付いては特開2003−205556号公報、特開2004−24671号公報に記載されており、シール型、シールロール、シール装置、シール模様及びそれを使用した発熱体等は本発明の発熱体に適用でき、その全部を参照する事により本明細書に組み入れるものとする。
前記区分発熱部を多数連設し、前記区分け部に前記手切れ可能なミシン目を設けてもよい。前記区分け部に前記手切れ可能なミシン目を設けた発熱体は、人体への適用箇所等の使用目的などに基づいて使用時にそれに応じた適宣なサイズにカットでき、適用できる。その場合には発熱体のサイズと区分発熱部のサイズと数を適宜に設定すればよい。それらサイズや数に制限はない。また区分け部は縦又は横方向や縦及び横方向、斜め方向などの任意な方向に形成することができる。
また、前記区分発熱部が2個以上、連鎖し、前記連鎖した区分発熱部を有する発熱体の少なくとも片面を包材で覆ってもよい。発熱体である区分発熱部を2個以上、連鎖させ、発熱体としてもよいし、前記連鎖した区分発熱部の少なくとも片面を包材で覆って発熱体としてもよい。前記包材としては、基材、被覆材、敷材に使用される素材が使用できる。
本発明の区分発熱部又は発熱組成物成形体は、最大幅は、通常、0.5〜60mmであり、好ましくは0.5〜50mmであり、更に好ましくは1〜50mmであり、更に好ましくは3〜50mmであり、更に好ましくは3〜30mmであり、更に好ましくは5〜20mmであり、更に好ましくは5〜15mmであり、更に好ましくは5〜10mmである。また、最高高さは、通常0.1〜30mmであり、好ましくは0.1〜10mmであり、更に好ましくは0.3〜10mmであり、更に好ましくは1〜10mmであり、更に好ましくは2〜10mmである。また、最長長さは、通常5〜300mmであり、好ましくは5〜200mmであり、より好ましくは5〜100mmであり、更に好ましくは20〜150mmであり、更に好ましくは30〜100mmである。
前記区分発熱部の容積又は発熱組成物成形体の体積は、通常、0.015〜500cmであり、好ましくは0.04〜30cmであり、より好ましくは0.1〜30cmであり、更に好ましくは1〜30cmであり、更に好ましくは3〜20cmである。
前記区分発熱部において、発熱組成物収納領域である区分発熱部が発熱組成物成形体で満たされた時に、発熱組成物成形体占有領域である発熱組成物成形体の体積と発熱組成物収納領域である区分発熱部の容積との容積比は通常0.6〜1であり、好ましくは0.7〜1であり、より好ましくは0.8〜1であり、更に好ましくは0.9〜1.0である。
また、前記区分発熱部の間隔である区分け部の幅は区分けができれば制限はないが、通常0.1〜50mmであり、好ましくは0.3〜50mmであり、より好ましくは0.3〜50mmであり、更に好ましくは0.3〜40mmであり、更に好ましくは1.0〜20mmであり、更に好ましくは3〜10mmである。
尚、前記発熱組成物成形体又は区分発熱部の形状は如何なるものでもよいが、平面形状で、円、楕円、多角形状、星形状、花形状等が一例として挙げられる。立体形状では、多角錐形状、円錐形状、錐台形状、球形状、平行六面体形状、円筒体形状、半円柱体形状、半楕円柱体形状、蒲鉾形状体、円柱体形状、楕円柱体形状等が一例として挙げられる。また、これらの形状は角部にアールを設け、角部を曲線状や曲面状にしてもよいし、中央部等に凹部があってもよい。
また、本発明の発熱組成部成形体の体積とは、発熱組成物成形体又は圧縮された発熱組成物成形体の体積を意味する。
また、区分発熱部の容積とは、発熱組成物成形体を収納した区分発熱部の内部容積を意味する。
また、区分発熱部をスジ状に間隔を置いて設ける場合、発熱部をスジ状即ちストライプ状の区分発熱部及びそれに添った区分け部から構成することにより、被着体へのフィット性が増す。
更に、発熱体の厚み方向と直交する面において、一方向とそれと直交する方向の剛軟度の小さい剛軟度に対する剛軟度比が2以上にし、更に発熱体の厚み方向と直交する面における最小剛軟度が50mm以下にすることで、被着体へのフィット性が著しく増す。
スジ状(ストライプ状)区分発熱部を有する構成による発熱部を有する発熱体は以下の効果を有する。
1)発熱部がスジ状(ストライプ状)区分発熱部を有する発熱部からなるので、発熱体の厚み方向と直交する面における最小剛軟度が50mm以下であるので、身体等の曲面への密着性が優れている。
2)発熱体の厚み方向と直交する面において、剛軟度比が2以上の領域を少なくとも発熱体の一部に有しているので、簡単に身体等の曲面に添うようにして固定できる。
3)発熱体の一方向の剛軟度が低いので、簡単にその方向へ巻けたり、折り曲げることができ、保存用非通気性収納である外袋にコンパクトに収納保存でき、発熱組成物の劣化も緩和できる。
4)肩こり、腰痛、関節痛、筋肉疲労、生理痛等の症状を緩和のために効果的に使用することができる。
本発明では成形方式で製造された発熱組成物成形体は圧縮されていてもよく、発熱組成物成形体の圧縮体である発熱組成物圧縮体も発熱組成物成形体に含ませる。
更に、シール部分を設ける場合、特にヒートシールの場合、ヒートシールを確実にするために、粘着剤又は粘着層を介して、仮着し、その後、ヒートシールする方法を採ってもよい。また、仮着部分の領域より狭い領域にヒートシール部領域を設け、ヒートシール部を設けた後に、ヒートシールされていない仮着部分の領域に発熱組成物の一部を移動させ、前記領域を開着し、シール部が実質的にヒートシール部で構成されている構造にしてもよい。したがって、ヒートシール部の少なくとも一部には粘着剤層又は粘着層を構成する成分とヒートシール材を構成する成分の混在する部分が存在する。粘着剤又は粘着層を構成する成分は少量であるので、ヒートシール強度には影響ない。実質的とは、60℃シール強度が0.8kg/25mm以上である。
60℃シール強度とは、シールされた対象試料のシール強度を測定する個所から25mm×250mmの試験片をとり、60℃環境下で5分放置後、60℃環境下で、つかみ、間隔10mm、引張速度300mm/minで最大強度を測定することを、3個の試料に対し行い、各々の最高値の平均値をいう。
前記仮着部のシール強度としては、20℃環境下で、好ましくは0.5kg/25mm以上であり、より好ましくは0.5〜1kg/25mmであり、更に好ましくは0.5〜0.9kg/25mmであり、更に好ましくは0.5〜0.8kg/25mmである。また、60℃シール強度は好ましくは0.8kg/25mm未満であり、より好ましくは0.01〜0.8kg/25mm未満であり、更に好ましくは0.01〜0.5kg/25mm未満であり、更に好ましくは0.01〜0.4kg/25mm未満である。
仮着部の粘着層は粘着剤から構成され、60℃シール強度が0.01〜0.8kg/25mmであり、基材と被覆材との間の発熱組成物成形体の動きを止めることができ、高速ヒートシールを可能にする。更に、所望により、仮着時に加温をしてもよい。加温は粘着剤層を形成するホットメルト系粘着剤中のベースポリマーの融点以下で加圧処理されるのが好ましい。
仮着後ヒートシールしたヒートシール部の20℃環境下でのシール強度は、好ましくは1.0kg/25mm以上であり、より好ましくは1.2kg/25mm以上であり、更に好ましくは1.5kg/25mm以上であり、更に好ましくは1.5〜3kg/25mmである。また、60℃環境下での60℃シール強度は、好ましくは0.8kg/25mm以上であり、より好ましくは1.0kg/25mm以上であり、更に好ましくは1.2kg/25mm以上であり、更に好ましくは1.5kg/25mm以上である。ここで、20℃環境下でのシール強度は、測定環境温度が20℃である以外は60℃シール強度の条件と同じである。
尚、仮着とは、基材と被覆材との間に挟まれた発熱組成物成形体において、粘着剤からなる粘着層を介して、少なくとも基材と被覆材を粘着し、ヒートシールをするまでの間、収納した発熱組成物成形体を保留しておくための弱い感圧接着又は粘着である。
また、開着とは、ヒートシール後の仮着シール部において、未ヒートシール部領域を発熱組成物を前記領域に移動させること等により仮着を解くことである。
本発明のスジ状に間隔をおいて設けた区分発熱部を有する発熱体の場合は、直角方向になる2方向における剛軟度の差の絶対値が最大になる、平行六面体形状の区分発熱部をスジ状に間隔をおいて設けた発熱体や更に粘着剤層を設けた発熱体や、その粘着剤層をスジ状に間隔をおいて設けた発熱体は、一方向に対して非常に柔軟性であり、一方向に対しては剛性であるので、肩こり、腰痛、筋肉疲労等の症状を緩和し、特に生理痛の症状緩和する等の効能よ発揮する。更に、発熱体の幅方向に、ほぼ幅の大きさで巻けて、コンパクトになり、収納にも便利である。またセパレータ付きの場合は剛軟度の低いセパレータを使用すれば巻ける。
また、身体に沿わせて発熱体を設ける場合、身体は二次的曲面が多く、肩、脚、腹、腰、腕等は1方向はほぼ直線的になっており、他の2方向はほぼ曲面から造られる。従って、1方向はほぼ直線的であり、他の2方向は曲面を造ることができる本発明の発熱体は2次元的曲面が造れるので、身体にうまく沿わすことができ、身体の採暖や諸症状の緩和、治療に最適である。
また、本発明の発熱体は凸部区分発熱部の大きさや間隔を調整することにより、柔軟で、均一温度分布を示す発熱部や模様状温度分布を示す発熱部が得られる。模様状温度分布により、加温部のつぼ効果を向上させることができる。
区分発熱部を有する発熱体において、厚み方向に直交する面における剛軟度の最小剛軟度は、好ましくは50mm以下であり、より好ましくは40mm以下であり、更に好ましくは30mm以下であり、更に好ましくは5〜30mmである。
区分発熱部を有する発熱体において、厚み方向に直交する面における剛軟率は、好ましくは1.1以上であり、より好ましくは1.5以上であり、更に好ましくは2以上であり、更に好ましくは3以上であり、更に好ましくは5以上である。
この剛軟度及び剛軟率は少なくとも20〜60℃の間で保持される。
本発明における剛軟度とは、剛性(ハリ、コシ)又は柔軟性を示し、JIS−L−1096A法(45°カンチレバー法)に準じ、試料として発熱体自身を用いたこと以外は同法に従ったものである。即ち、一端が45度の斜面をもつ表面の滑らかな水平台の上に発熱体の一辺をスケール基線に合わせて置く。次に、適当な方法によって発熱体を斜面の方向に緩やかに滑らせて、発熱体の一端の中央点が斜面Aと接したときに他端の位置をスケールによって読む。剛軟度は発熱体が移動した長さ(mm)で示され、それぞれ発熱体5枚を測り、縦方向及び横方向、又は、一方向及びそれと直交する方向それぞれの平均値でそれぞれの方向の剛軟度を表す(整数位まで)。ただし、測定にあたって、粘着剤層付き発熱体の粘着剤側面を水平台側面と相対するようにして測定する場合には、セパレータを付けた粘着剤側面が水平台側面に相対するようにおく。いずれにしても、最小の剛軟度が測定される側の測定値を採用する。
また、
1)水平台には発熱体の発熱組成物入り発熱部が幅5mm以上×長さ20mm以上残っていること。ただし、長さは発熱組成物が存在している領域を横断していること又は発熱組成物が存在している領域と存在していない領域を直線的に横断していること。
2)粘着剤層付き発熱体の場合は粘着剤層のセパレータとして剛軟度30mm以下のプラスチックフィルム、或いは、厚み50μm以下、好ましくは25μm以下の腰のない、或いは、軽く揉んでシワができるプラスチックフィルム等の腰のない、柔らかいフィルムを使用し、粘着剤層に添って設けること。また、基材及び/又は被覆材の剛軟度は100mm×200mmの試験片を作成し、200mm方向の剛軟度を採用する。
本発明では、少なくとも一方向の剛軟度は、通常100mm以下であり、好ましくは80mm以下であり、より好ましくは50mm以下であり、更に好ましくは30mm以下であり、更に好ましくは20mm以下である。
本発明における発熱体又は発熱部の剛軟度率とは、一方向における発熱体又は発熱部の全長に対する剛軟度率であり、次式により算出される。
剛軟度率=(A/B)×100
A:一方向における発熱体又は発熱部の剛軟度
B:前記一方向における発熱体又は発熱部の全長
本発明では、少なくとも一方向の剛軟度率は、通常50以下であり、好ましくは40以下であり、より好ましくは30以下である。
本発明における剛軟度比とは、発熱体又は発熱部の厚み方向と直交する面において、一方向の剛軟度と、それと直交する方向の剛軟度において小さい剛軟度に対する比である。剛軟度比は、好ましくは2以上である。
本発明におけるスジ状に間隔をおいて設けた区分発熱部を有する発熱体の場合は、直角方向になる2方向における剛軟度の差の絶対値が最大になる、平行六面体形状の区分発熱部をスジ状に間隔をおいて設けた発熱体や、更に粘着剤層を設けた発熱体や、その粘着剤層をスジ状に間隔をおいて設けた発熱体は、一方向に対して非常に柔軟性であり、一方向に対しては剛性であるので、肩こり、腰痛、筋肉疲労等の症状を緩和し、特に生理痛の症状緩和する等の効能を発揮する。更に、発熱体の幅方向に、ほぼ幅寸法の大きさで巻けて、コンパクトになり、収納にも便利である。またセパレータ付きの場合は剛軟度の低いセパレータを使用すれば巻くことができる。
また、身体に沿わせて発熱体を設ける場合、身体は二次的曲面が多く、肩、脚、腹、腰、腕等は1方向は、ほぼ直線的になっており、他の2方向はほぼ曲面から造られる。従って、1方向はほぼ直線的であり、他の2方向は曲面を造ることができる本発明の発熱体は2次元的曲面が造れるので、身体にうまく沿わすことができ、身体の採暖や諸症状の緩和、治療に最適である。
また、本発明の発熱体は凸部区分発熱部の大きさや間隔を調整することにより、柔軟で、均一温度分布を示す発熱部や模様状温度分布を示す発熱部が得られる。模様状温度分布により、加温部のつぼ効果を向上させることができる。
スジ状に間隔をおいて設けた区分発熱部を有する発熱体において、厚み方向に直交する面における剛軟度の最小剛軟度は、好ましくは50mm以下であり、より好ましくは40mm以下であり、更に好ましくは30mm以下であり、更に好ましくは5〜30mmである。
この剛軟度及び剛軟度比は、少なくとも20〜60℃の間で保持される。
保水率とは、下記の方法で測定、算出したものである。約5cmの長さにカットし、よく開繊された試料繊維約1gを純水中に浸漬し、20分間(20℃)経過後、遠心脱水機を用いて2000rpmの回転で繊維間の水を除去する。このようにして調整した試料の重量(W1)を測定する。次に前記試料を80℃の真空乾燥機中で恒量になるまで乾燥して重量(W2)を測定する。次式により保水率を算出する。
保水率(%)=[(W1−W2)/W2]×100
本発明においては保水率20%以上が好ましい。
前記基材、被覆材を構成する素材としては、発熱組成物の収納袋として機能すれば制限はない。通常化学カイロや発熱体に使用されている素材が使用できる。例えば素材として非通気性素材、通気性素材、吸水性素材、非吸水性素材、非伸長性素材、伸長性素材、伸縮性素材、非伸縮性素材、発泡素材、非発泡素材、非ヒートシール性素材、ヒートシール性素材等が一例として挙げられ、フィルム、シート、不織布、織布等及びそれらの複合体の所望の形態で、所望の用途により適宜使用できる。
通常、基材は非通気性フィルム又はシートからなり、被覆材は通気性フィルム又はシート又は不織布からなるが、逆でもかまわないし、双方が通気性を有していてもよい。また、敷材は通気性や非通気性は適宜使い分ければよい。
前記収納袋の包材は単層構造でもよく、多層構造でもよく、その構造には制限はない。また、包材は少なくとも基材及び被覆材からなるが、発熱組成物成形体を積層する包材が基材であり、発熱組成物成形体に被せる包材が被覆材であり、通気性のありなしは関係ない。一例として、非通気性の包材を基材、通気性性包材を被覆材として、多層構造の例を説明すれば、基材がA層/B層又はA層/B層/C層又はA層/B層/C層/D層からなるものや、被覆材がF層/G層又はE層/F層/G層又はF層/H層/G層からなるものが一例として挙げられる。A層は、ポリエチレン等熱可塑性樹脂フィルム、ポリエチレンやEVA等のヒートシール層や、吸水性紙類等、B層はナイロン等の熱可塑性樹脂の不織布、非吸水性紙類、吸水性紙類、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミド(ナイロン等)フィルム等熱可塑性樹脂フィルム、非吸水性紙類や吸水性紙類等の芯材等、C層は粘着剤層、非吸水性紙類、吸水性紙類、ポリエチレン等熱可塑性樹脂フィルム、滑り止め層、ポリエステルやナイロン等の熱可塑性樹脂の不織布等、D層はセパレータ、ポリエチレン等熱可塑性樹脂フィルム、不織布等、E層はヒートシール層等、F層はポリエチレン等熱可塑性樹脂製多孔質フィルムや穿孔フィルム等、ポリエチレン等熱可塑性樹脂製フィルム、非吸水性紙類、吸水性紙類等、G層はポリエステルやナイロン等の熱可塑性樹脂の不織布等、H層は非吸水性紙類、吸水性紙類等である。例えば、基材又は被覆材の例としては、メタロセン触媒使用のポリエチレン製ヒートシール層/ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン製ヒートシール層/ポリプロピレンフィルム、EVA製ヒートシール層/ポリプロピレンフィルム、EVA製ヒートシール層/ポリプロピレンフィルム/粘着剤層/セパレータ、EVA製ヒートシール層/ポリエチレンフィルム/ナイロン不織布、不織布/多孔質フィルム、メタロセン触媒使用のポリエチレン製ヒートシール層/ポリエチレンフィルム/ナイロン不織布、メタロセン触媒使用のポリエチレン製ヒートシール層/ポリプロピレンフィルム/ポリプロピレン不織布、不織布/(紙及び/又は穿孔(針、レーザー)フィルム)/多孔質フィルム、不織布/(紙及び/又は多孔質フィルム)/穿孔(針、レーザー)フィルム、不織布/(紙及び/又は多孔質フィルム)/不織布等が一例として挙げられる。各層の積層方法については制限はなく、各層の直接積層でもよく、各層は通気性粘着剤層やラミネート剤層を介して積層してもよく、熱溶融押出し等でラミネートをしてもよい。また、本発明ではメタロセン触媒を使用して製造したポリエチレンもポリエチレンに含む。
例えば、不織布、多孔質フィルム等の前記素材を通気性接着層を介して積層する場合、前記通気性接着層の形成は、接着性物質を加熱溶融下に熱風を介し吹付け展開するカーテンスプレー方式やメルトブロー方式やスロットスプレー方式などの適宜な方式で接着性物質を繊維化して多孔質フィルムや通気性基材やセパレータ等からなる適宜な支持基材上に展開堆積させ多孔状態の接着層とする方法などが一例として挙げられる。
前記基材、被覆材、敷材及びそれらを構成する素材の厚さとしては、用途によって大きく異なるが、制限はない。通常は5〜5000μm、好ましくは10〜500μm、より好ましくは20〜250μmである。
前記非通気性素材としては、非通気性があれば制限はない。ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体等ポリマーからなるフィルム、シート、塗布物及びそれらに酸化ケイ素等の金属(半導体も含む)化合物を積層したものやそれらを使った複合素材が一例として挙げられる。
例えば、前記非通気性素材の中で、非通気性の高いフィルムとしては、非通気性素材フィルム上に半導体を含む金属やその化合物の薄膜を単層又は多層に設けたものが一例として挙げられる。例えば、半導体を含む金属としては、ケイ素、アルミニウム等及びこれら金属を含む合金や混合物等が一例として挙げられる。半導体を含む金属化合物としては、上記金属又は合金や混合物の酸化物、窒化物及び酸窒化物が一例として挙げられる。例えば、酸化ケイ素層、酸化アルミニウム層、酸窒化ケイ素層やそれらの任意層をポリエステル製フィルムに積層したものや、更に、それに延伸ポリオレフィンフィルム(例えば2軸延伸ポリプロピレンフィルム)を積層したものが一例として挙げられる。
前記通気性素材としては、通気性があれば制限はない。例えば、多孔質フィルム及び穿孔フィルム等の通気性フィルムや紙類、不織布等の単独で通気性を有するもの、紙類及びそれに通気性フィルムや不織布等を少なくとも1種以上積層し通気性を持たせたもの、不織布にポリエチレンフィルムがラミネートされた非通気性の包材に針などを用いて微細な孔を設けて通気性を持たせたもの、繊維が積層され熱圧着されて通気性を制御された不織布、多孔質フィルム、或いは、多孔質フィルムに不織布を貼り合わせたもの等が一例として挙げられる。ここで、穿孔フィルムとはポリエチレンフィルムなどの非通気性フィルムに針で微細な孔を設けて通気性を持たせたものである。
通気性としては、発熱が維持できれば制限はない。通常の発熱に使用される場合、通気性はリッシー法(Lyssy法)による透湿度が、通常は50〜10,000g/m/24hrであり、好ましくは70〜5,000g/m/24hrであり、より好ましくは100〜2,000g/m/24hr、更に好ましくは100〜700g/m/24hrである。
この透湿度が、50未満であると発熱量が少なくなり、十分な温熱効果が得られないので好ましくなく、一方、10,000g/m/24hrを越えると発熱温度が高くなって安全性に問題が生じる虞れが生じるので好ましくない。ただし、用途によっては10,000g/m/24hrを越えたり、場合によっては開放系に近い透湿度で使用することも制限されない。
前記伸縮性包材としては、伸縮性があれば、特に限定されるものではない。即ち、全体として、伸縮性があればよく、単品でも、伸縮性基材同士又は伸縮性基材と非伸縮性基材との組み合わせによる複合品でもよい。
例えば、天然ゴム、再生ゴム、合成ゴム、エラストマー、伸縮性形状記憶ポリマー等の単品やこれらの混合物やこれらと非伸縮性素材との混合品、混抄品やこれらの組み合わせ品から構成される織物、フィルム、糸、ストランド、リボン、テープ、スクリム構造弾性状フィルム等が一例として挙げられる。
前記多孔質フィルムとしては、制限はないが、ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等と充填材からなるフィルムを延伸した多孔質フィルムで、適宜選択することができる。
前記不織布としては、制限はないが、レーヨン、ナイロン(ポリアミド)、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、ビニロン、ポリエチレン、ポリウレタン、キュプラ、綿、セルロース、パルプ等の材質からなる単繊維又は複合繊維の単一不織布又はそれら繊維の混抄又は累積繊維層の積層が用いられる。また、製法的には乾式不織布、湿式不織布、スパンボンド、スパンレース等を使用することができる。芯鞘構造の複合繊維からなる不織布でもよい。肌と接する面の不織布は起毛の(毛羽立てた)不織布が好ましい。また、伸縮性不織布や非伸縮性不織布も使用できる。
前記吸水性素材としては、吸水性を有するフィルム状ないしシート状のものであれば特に限定されるものではない。
この吸水性素材としては、その素材自体が吸水性を有するか否かを問わず、結果として吸水性を有するものであれば特に限定されるものではない。
具体的には、例えば、吸水性を有する発泡フィルム・シート(吸水性発泡ポリウレタン等の発泡体)や紙類、吸水性を有する繊維で形成された不織布や織布、或いは、吸水性を有する繊維を含む不織布や織布、又は吸水性の多孔質フィルム・シートなどの吸水材の他、吸水性の有無を問わず、発泡フィルム・シート、不織布、織布又は多孔質フィルム・シートに、吸水剤を含有、含浸、練り込み、転写又は担持させて吸水性を付与ないし増大させたり、吸水性の有無を問わず、発泡フィルム・シート、紙類、不織布、織布又は多孔質フィルム・シートに、本発明物の平面形状に切断した吸水性の発泡フィルム・シート、紙類、不織布、織布又は多孔質フィルム・シート等の吸水性素材を本発明物の片面又は両面に当てがって吸水性が付与されたものが挙げられる。
特に、本発明の発熱体において、皮膚と接触する面は、汗などに対する吸水性など快適な面とするために、発汗した場合には汗が吸収されるように、皮膚と接触する面の包材を、保水率20%以上の吸水性の繊維を主成分とする不織布又は織布を用いた包装材で構成されることが好ましい。保水率20%以上の吸水性の繊維としては、綿、絹、麻、ウール、ポリアクリロニトリル系合成繊維、ポリアミド系合成繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維、アセテート繊維、トリアセテート繊維、再生繊維等を例示することができる。更に、吸水性が優れた不織布として、高吸水性ポリマーを不織布に保持させた不織布等を用いることもできる。尚、これらの繊維を主成分とする不織布又は織布は、皮膚に対して感触が比較的良好なものでもある。
更に、前記包材に、汗の吸収性の高い高吸水性の包装材を用いることもできる。例えば、表面が高吸水性樹脂で被覆された繊維を含む不織布、中空状で表面に多数の微細孔を有する繊維を含む不織布、断面形状が多数の嚢もしくは複層状等を形成することによって毛細管作用を持たせた繊維を含む不織布などが用いられる。
このほか、非粘着面の包装材に、吸水性無機化合物を保持させた不織布、或いは、フィルムを用いることもできる。例えば、不織布に珪藻土、ゼオライト、シリカゲルなどの粉末を保持させた不織布、シリカ、アルミナ等の粉末をポリエチレンなどの合成樹脂に比較的多量に保持させたフィルム等も用いることができる。
本発明においてヒートシール層を構成するヒートシール材としては、単独素材でもよく、ヒートシール層を有する複合素材でもよく、加熱によって少なくともその一部が接合しうるものであれば制限はない。一例を挙げると、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンやオレフィン共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂などのエチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂等のエチレン系ホットメルト樹脂、ポリアミド系ホットメルト樹脂、ブチラール系ホットメルト樹脂、ポリエステル系ホットメルト樹脂、ポリアミド系ホットメルト樹脂、ポリエステル系ホットメルト樹脂、ポリメチルメタクリレート系ホットメルト樹脂、ポリビニルエーテル系ホットメルト樹脂、ポリウレタン系ホットメルト樹脂、ポリカーボネート系ホットメルト樹脂、酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等のホットメルト系樹脂及びそのフィルムやシートが一例として挙げられる。また、ホットメルト系樹脂及びそのフィルムやシートには、種々の酸化防止剤等添加剤を配合したものも使用することができる。特に、低密度ポリエチレン、メタロセン触媒使用のポリエチレンが有用である。
本発明において仮着とは、基材と被覆材との間に発熱組成物成形体を挟持する場合に、粘着剤からなる粘着層を介して、少なくとも基材と被覆材を粘着し、ヒートシールをするまでの間、収納した発熱組成物成形体を保留しておくための弱い感圧接着又は粘着をいう。
また、開着とは、ヒートシール後の仮着シール部において、未ヒートシール部領域の発熱組成物を前記領域に移動させること等により仮着を解くことである。
仮着シール部は、粘着層を介して形成されるが、粘着層を構成する粘着剤は、常温でタックがある高分子組成物で形成された層で、仮着後ヒートシールができれば限定はない。
また、仮着に使用される粘着層を構成する粘着剤としては、前記粘着層の粘着剤が使用できるが、非親水性の粘着剤が好ましい。粘着層を構成する粘着剤はヒートシールを構成するヒートシール材と相溶性が良いものが好ましく、粘着剤のベースポリマーの融点はヒートシール材の融点以下が好ましい。特に、ホットメルト系粘着剤が好ましい。また、ヒートシール材がオレフィン系の素材である場合は粘着剤としては、オレフィン系の粘着剤が好ましい一例として挙げられる。
尚、仮着のための粘着層の設けかたには制限はなく、全面に設けても、部分的や間欠的に設けてもよい。網状、ストライプ状、ドット状、帯状等、各種形状が一例として挙げられる。
固定手段としては、関節周囲部用温熱包装体や発熱部を有するものを所要部に固定できる固定能力を有するものであれば制限はない。
前記固定手段として一般的に採用されている、粘着剤層、鍵ホック、ホックボタン、ベルクロ等の面ファスナー、マグネット、バンド、ひも等及びそれらを組み合わせたものを任意に使用できる。
尚、バンドの場合、面ファスナーと粘着剤層との組み合わせで調整用固定手段を更に構成しても構わない。
ここで、面ファスナーとは、マジックテープ(登録商標)、マジックファスナー(登録商標)、ベルクロファスナー、フックアンドループテープ等の商品名で知られているもので、雌ファスナーであるループと前記雌ファスナー締結し得る雄ファスナーであるフックとの組み合わせで締結機能を有するものである。前記ループ機能を有するものとして、不織布や、毛羽立ち、わなを有する糸の織布等あるが、バンドを形成する芯材の表面にこれらループ機能(雌ファスナー機能)を有するものを被覆してもよいが、これ自体でバンドを構成してもよい。雄ファスナー部材であるフック部材は特に制限はないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂やポリアミド、ポリエステル等から形成されたものが一例として挙げられる。フックの形状は特に限定されるものではないが、断面がI字型、逆L字型、逆J字型、いわゆるきのこ型等の形状のフックがループに引っかかり易く、かつ肌に極度の刺激感を与えない点で好ましい。尚、フックがファスニングテープの全面積に粘着されていてもよく、更にテープ基体を省略してフックのみで、ファスニングテープとして使用してもよい。
前記粘着剤層は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、界面活性剤、有機ケイ素化合物、疎水性高分子化合物、焦電物質、酸化防止剤、骨材、繊維状物、保湿剤、機能性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有してもよい。
本発明の粘着剤は、非親水性粘着剤、混合粘着剤、親水性粘着剤(ジェル等)に分類される。
前記粘着剤層を構成する粘着剤としては、皮膚や衣服に付着するに必要な粘着力を有するものであれば、制限はなく、溶剤系、水性系、エマルジョン型、ホットメルト型、反応性、感圧系、或いは、非親水性粘着剤、親水性粘着剤などの各種形態が用いられる。
前記粘着剤層は、前記非親水性粘着剤から構成される非親水性粘着剤1層と前記非親水性粘着剤から構成される非親水性粘着剤層とがある。
前記非親水性粘着剤層が吸水性ポリマーや保水剤を含有して吸水性を改良したものは非親水性粘着剤層として扱う。
前記親水性粘着剤層と基材又は被覆材との間にホットメルト系の粘着剤を設けてもよい。
また、前記親水性粘着剤を関節周囲部用温熱包装体に設ける場合制限はなく、関節周囲部用温熱包装体のシール処理後に親水性粘着剤層を関節周囲部用温熱包装体に設けてもよい。
また、粘着剤層としては、通気性を有するものであっても、通気性を有しないものであってもよい。用途に応じて適宜選択をすればよい。通気性としては、全体として通気性があればよい。例えば、部分的に粘着剤が存在し、部分的に粘着剤の存在しない部分があり、領域全体として通気性がある粘着剤層が一例として挙げられる。
通気性の基材及び/又は被覆材に粘着剤をそのまま層状に積層するにあたり、その通気性を維持する方法としては、例えば、粘着剤を印刷、或いは、転写により、粘着剤層を部分的に積層し、その非積層部を通気部とする方法と、粘着剤を糸状に円を描きながら、一方向に移動させたり、ジグザグに移動させたりするなど適宜二次元方向に運行させ、その糸状の粘着剤の隙間が通気性ないし透湿性を推持させたり、粘着剤を発泡させる方法やメルトブロー方式で形成された層とが一例として挙げられる。
非親水性粘着剤層を構成する粘着剤はアクリル系粘着剤、酢酸ビニル系粘着剤(酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル樹脂系ホットメルト粘着剤)、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルアセタール系粘着剤、塩化ビニル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ポリエチレン系粘着剤、セルロース系粘着剤、クロロプレン(ネオプレン)系粘着剤、ニトリルゴム系粘着剤、ポリサルファイド系粘着剤、ブチルゴム系粘着剤、シリコーンゴム系粘着剤、スチレン系粘着剤(例えば、スチレン系ホットメルト粘着剤)、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が一例として挙げられる。これらのうち、粘着力が高く、安価で、長期安定性が良く、しかも温熱を与えても粘着力の低下が少ない等の理由より、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤又はホットメルト系高分子物質を含有する粘着剤が望ましい。
前記粘着剤に前記ベースポリマーの他に、所望により、他の成分、例えば、ロジン類、クマロンインデン樹脂、水添石油樹脂、無水マレイン酸変性ロジン、ロジン誘導体類又はC5系石油樹脂等の脂環族系石油樹脂に代表される石油樹脂類等の粘着付与剤やテルペンフェノール系樹脂、ロジンフェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂等のフェノール系粘着付与剤(特にアニリン点が50℃以下の粘着付与剤)、ヤシ油、ヒマシ油、オリーブ油、ツバキ油、流動パラフィン等の軟化剤、軟化剤、老化防止剤、充填剤、骨材、粘着調整剤、粘着改良剤、着色剤、消泡剤、増粘剤、改質剤等が適宜配合し、ナイロン製衣類や混紡布製衣類への粘着性向上等の性能向上をしてもよい。
前記ホットメルト系の粘着剤としては、粘着性を付与した公知のホットメルト系粘着剤が挙げられ、具体的には、例えば、SIS、SBS、SEBS又はSIPS等のA−B−A型ブロック共重合体をベースポリマーとするスチレン系粘着剤、塩化ビニル樹脂をベースポリマーとする塩化ビニル系粘着剤、ポリエステルをベースポリマーとするポリエステル系粘着剤、ポリアミドをベースポリマーとするポリアミド系粘着剤、アクリル樹脂をベースポリマーとするアクリル系粘着剤、ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンをベースポリマーとするポリオレフィン系粘着剤、1,2−ポリブタジエンをベースポリマーとする1,2−ポリブタジエン系粘着剤又はポリウレタンをベースポリマーとするポリウレタン系粘着剤、或いは、接着性の改善や安定性等を変えたこれらの変性体からなる粘着剤、若しくはこれらの粘着剤の2種以上の混合物が挙げられる。また、発泡させた粘着剤から構成される粘着剤層や粘着剤が架橋されたものから構成される粘着剤層も使用できる。
前記非芳香族系ホットメルト系粘着剤とは、ベースポリマーが芳香族環を含有しないホットメルト系粘着剤であれば、制限はない。オレフィン系ホットメルト系粘着剤やアクリル系ホットメルト系粘着剤等が一例として挙げられる。芳香族環を含有しないベースポリマーである非芳香族系ポリマーとは、オレフィンやジエン等のポリマーやコポリマーが挙げられる。一例としてオレフィン系ポリマーが挙げられる。オレフィン系ポリマーは、エチレン、αオレフィンの重合体又は共重合体である。また、他のモノマーとしてブタジエン、イソプレン等のジエンも加えたものもよい。
αオレフィンとしては、二重結合が末端にあるモノマーであれば制限はなく、プロピレン、ブテン、ヘプテン、ヘキセン、オクテン等が一例として挙げられる。
芳香族系ホットメルト系粘着剤とは、ベースポリマーが芳香族環を含有するホットメルト系粘着剤で、A−B−A型ブロック共重合体に代表されるスチレン系のホットメルト系粘着剤等が一例として挙げられる。
前記A−B−A型ブロック共重合体において、Aブロックはスチレン、メチルスチレン等のモノビニル置換芳香族化合物Aで、非弾性重合体ブロックであり、Bブロックはブタジエン、イソプレン等の共役ジエンの弾性重合体ブロックであり、具体的には、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、又はこれらの水添タイプ(SEBS、SIPS)等が挙げられ、また、これらを混合して用いてもよい。
上記非親水性粘着剤層の水分増加による粘着力低下防止対策として上記非親水性粘着剤に更に吸水性ポリマーが配合された粘着剤層も使用できる。
前記親水性粘着剤層を構成する親水性粘着剤としては、親水性ポリマーや水溶性ポリマーを主成分として、粘着性を有し、粘着剤として親水性であれば特に制限はない。
前記親水性粘着剤の構成成分としては、ポリアクリル酸等の親水性ポリマーやポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルピロリドン等の水溶性ポリマー、乾燥水酸化アルミニウムやメタケイ酸アルミン酸金属塩等の架橋剤類、グリセリンやプロピレングリコール等の軟化剤類、また、軽質流動パラフィンやポリブテン等の高級炭化水素やミリスチン酸イソプロピル等の一級アルコール脂肪酸エステル、シリコーン油等の含ケイ素化合物、モノグリセリド等の脂肪酸グリセリンエステル、オリーブ油等の植物油等の油性成分、また、パラオキシ安息香酸メチルやパラオキシ安息香酸プロピル等の防腐剤、N−メチル−2−ピロリドン等の溶解剤、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油やソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤、酒石酸等のオキシカルボン酸、軽質無水ケイ酸、吸水性ポリマー、カオリン等の賦形剤、D−ソルビトール等の保湿剤、エデト酸ナトリウムやパラオキシ安息香酸エステルや酒石酸等の安定化剤、架橋型吸水性ポリマー、ホウ酸等のホウ素化合物、水等が一例として挙げられる。また、これらの任意の組み合わせから構成される。
仮着シール部は、粘着層を介して形成されるが、粘着層を構成する粘着剤は、常温でタックがある高分子組成物で形成された層で、仮着後ヒートシールができれば限定はない。
また、仮着に使用される粘着層を構成する粘着剤は前記粘着剤層の粘着剤が使用できる。非親水性の粘着剤が好ましい。粘着層を構成する粘着剤はヒートシールを構成するヒートシール材と相溶性が良く、粘着剤のベースポリマーの融点はヒートシール材の融点以下が好ましい。特に、ホットメルト系接着剤にはホットメルト系粘着剤が好ましい。また、ヒートシール材がオレフィン系の素材である場合は粘着剤としては、オレフィン系の粘着剤が好ましい一例として挙げられる。
通気調整材を固定する接着層は通常使用されている接着剤や粘着剤から構成される。特に粘着剤は有用であり、前記粘着剤層を構成する粘着剤が使用できる。
また、接着層の設ける方法については通気調整材が固定できれば制限はなく、全面に設けても、部分的や間欠的に設けてもよい。網状、ストライプ状、ドット状、帯状等、各種形状が一例として挙げられる。
また、粘着剤層を親水性粘着剤層にした場合、前記親水性粘着剤層と発熱組成物成形体との間に水分保持力の差がある場合にはその間にある基材等の包材を介して、水分の移動が起こり、双方に取って、不都合が起こる。特に保存中に多く起こる。これを防止するために、これらの間に介在する包材は、透湿度が、少なくとも、リッシー法(Lyssy法)による透湿度で、2g/m/day以下であることが好ましい。これを使用することにより、発熱体を非通気性収納袋である外袋に収納し保存する場合、水分移動が防げる。
粘着剤層に親水性粘着剤層を使用した場合、発熱組成物成形体と親水性粘着剤層との間に設けられた防湿性包装材の透湿度は、発熱性能に影響しない範囲で、水分の移動が防止できれば制限はないが、リッシー法(Lyssy法)による透湿度で、通常、2g/m/day以下であり、好ましくは1.0g/m/day以下であり、より好ましくは0.5g/m/day以下であり、更に好ましくは0.01〜0.5g/m/dayである。ここで、大気圧下、40℃、90%RHという条件下の値である。尚、前記防湿性包装材は基材や被覆材としても使用できるし、単独で基材や被覆材等に積層してもよい。
前記防湿性包材は、発熱組成物成形体と親水性粘着剤層の間の水分移動が防止できれば、制限はないが、金属蒸着フィルム、金属酸化物の蒸着フィルム、金属箔ラミネートフィルム、EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合物、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物)系フィルム、二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニリデンコートフィルム、ポリ塩化ビニリデンをポリプロピレン等の基材フィルムに塗布してなるポリ塩化ビニリデンコートフィルム、アルミニウム箔等の金属箔、ポリエステルフィルム基材にアルミニウム等の金属を真空蒸着やスパッタリングしてなる非通気性包材、可撓性プラスチック基材の上に、酸化ケイ素、酸化アルミニウムを設けた構造の透明バリア性フィルムを使用した包装用積層体が一例として挙げられる。前記外袋等に使用されている非通気性包材も使用できる。
また、特開平2002−200108号公報の防湿性包材等の包材も使用でき、この記載内容を本発明に組み入れる。
水含有の親水性粘着剤(ジェル等)を粘着剤層に使用する場合、発熱組成物と前記粘着剤層の水分平衡を調整するために、発熱組成物中の塩化ナトリウム等の反応促進剤や吸水性ポリマー等の水分確保力のある物質の含有量を発熱組成物に対して、10〜40重量%の範囲で、好ましくは15〜40重量%の範囲で、更に好ましくは15〜30重量%の範囲で調整してもよい。
また、透湿性がよく、皮膚への刺激性が低い粘着剤としては、特開平10−265373号公報、特開平9−87173号公報等の含水粘着剤(親水性粘着剤、ジェル)や特開平6−145050号公報、特開平6−199660号公報に記載されているホットメルト塗工できる粘着剤や特開平10−279466号公報や特開平10−182408号公報に記載されているゴム系粘着剤も有用であり、本各文献を引用し、全文を本明細書に組み入れる。
前記粘着剤層に含ませる機能性物質としては、機能を有する物質であれば制限はないが、芳香化合物、植物エキス、生薬、香料、スリム化剤、鎮痛剤、血行促進剤、むくみ改善剤、抗菌剤、殺菌剤、防かび剤、消臭剤、脱臭剤、経皮吸収性薬剤、脂肪分解成分、マイナスイオン発生体、遠赤外線放射体、磁気体、湿布剤、化粧料、竹酢液又は木酢液等から選ばれた少なくとも一種を一例として挙げられる。
具体的には、メントール、ベンツアルデヒド等の芳香族化合物、ヨモギエキス等の植物エキス、モグサ等の生薬、ラベンダー、ローズマリー等の香料、アミノフィリン、茶エキス等のスリム化剤、インドメタシン、d1−カンフル等の鎮痛剤、酸性ムコポリサッカライド、カミツレ等の血行促進剤、セイヨウトチンキ、フラボン誘導体等のむくみ改善剤、ホウ酸水、生理的食塩水、アルコール水等の湿布剤、タイソウ抽出液、カフェイン、トナリン等の脂肪分解成分、アロエエキス、ビタミン剤、ホルモン剤、抗ヒスタミン剤、アミノ酸類等の化粧料、石炭酸誘導体、ホウ酸、ヨード剤、逆性石鹸、サリチル酸系の物質、イオウ、抗生物質等の抗菌剤や殺菌剤、或いは、防かび剤が一例として挙げられる。
経皮吸収性薬剤としては、経皮吸収性のものであれば特に限定されるものではないが、コルチコステロイド類、消炎鎮痛剤、高血圧剤、麻酔剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗菌性物質、抗真菌物質、皮膚刺激剤、炎症抑制剤、抗てんかん剤、鎮痛剤、解熱剤、麻酔剤、殺菌剤、抗微生物抗生物質、ビタミン類、抗ウィルス剤、むくみ改善剤、利尿剤、血圧降下剤、冠血管拡張剤、鎮咳去痰剤、スリム化剤、抗ヒスタミン剤、不整脈用剤、強心剤、副腎皮質ホルモン剤、血行促進剤、局所麻酔剤、脂肪分解成分等及びそれらの混合物が一例として挙げられるが、これらに限定されない。これら薬物は、1種又は必要に応じて2種以上配合されて用いられる。
このこの機能性物質の含有量としては、薬効を期待できる範囲であれば特に限定されるものではないが、薬理効果や経済性、更に、粘着力等の観点より、機能性物質の含有量が粘着剤100重量部に対して、好ましくは0.01〜25重量部、更に好ましくは0.5〜15重量部である。
また、粘着剤層の設ける方法については、は関節周囲部用温熱包装体が固定できれば制限はなく、全面に設けても、部分的や間欠的に設けてもよい。網状、ストライプ状、ドット状、帯状等、各種形状が一例として挙げられる。
本発明において、実質的に平面状とは、発熱組成物を収納するために予め設けられた収納用のポケット、収納区画、収納区域等の収納用凹部を有しない平らな面をいう。従って、意図的に発熱組成物を収納しない凹凸は存在してもよい。
本発明のポケットとは、発熱組成物を収納するために、予め包材に設けられた収納用ポケットであり、特表2001−507593号公報に記載されているようなポケットである。意図的な発熱組成物成形体の収納用でない凹凸はポケットではないので、そのような凹凸が基材にあっても、実質的な平面状の基材とする。
前記収納区画とは、発熱組成物を収納するために、予め包材に設けられた収納用収納区画であり、特許316160号公報、特表平11−508314号公報に記載されているような収納区画である。意図的な発熱組成物成形体の収納用でない凹凸は収納区画ではないので、そのような凹凸が基材にあっても、実質的な平面状の基材とする。
前記収納区域とは、発熱組成物を収納するために、予め包材に設けられた収納用収納区域であり、特許316160号公報、特表平11−508314号公報に記載されているような収納区域である。意図的な発熱組成物成形体の収納用でない凹凸は収納区域ではないので、そのような凹凸が基材にあっても、実質的な平面状の基材とする。
発熱体中の発熱組成物の易動水値及び混合物や発熱体中の発熱組成物中の鉄粉の鉄酸化物皮膜の厚さ、ウスタイト量を測定する場合は、発熱組成物や混合物を各項目に従って測定すればよい。
即ち、
1)易動水値
発熱体から発熱組成物を取り出し、前記易動水値の測定法に従って測定する。
2)鉄粉の鉄酸化物皮膜の厚さ、ウスタイト窒素雰囲気下、窒素置換されたイオン交換水に発熱組成物、発熱組成物成形体、発熱組成物圧縮体又は混合物を分散させ、磁石で、鉄粉を分離し、窒素雰囲気下で乾燥させたものを測定用試料とする。
混合物中の分析方法として、
1)活性鉄粉が鉄粉及びその他の成分(炭素成分、反応促進剤、水等)の少なくとも何れかを含む混合物を使用して作成された場合は、作成後の混合物を窒素雰囲気中で、前記混合物を脱イオン粋の窒素置換水の中に入れ、よく攪拌した後、プラスチックフィルムに包んだ磁石を入れ、鉄粉を磁石に付けて取り出し、ティッシュペーパー等の吸水材で水分を取り除いた後に、非通気性フィルムの収納袋に入れ、袋口をヒートシールして試料を保存する。
2)発熱体中の発熱組成物中の鉄粉の鉄酸化物皮膜の厚みやウスタイト量を測定する場合は、窒素雰囲気中で、発熱体から発熱組成物を取り出し、ビーカーに入れる。次に脱イオン水の窒素置換水を前記ビーカーに入れ、よく攪拌した後、プラスチックフィルムに包んだ磁石を入れ、鉄粉を磁石に付けて取り出し、ティッシュペーパー等の吸水材で水分を取り除いた後に、非通気性フィルムの収納袋に入れ、袋口をヒートシールして試料を保存する。
3)前記試料を使用して、オージェ電子分光法により測定し、酸素と鉄の存在する領域を有し、その領域の厚みが3nm以上あり、且つ、少なくとも酸素と鉄の存在する領域を有する鉄粉の中心部領域及び酸素と鉄の存在する領域の下の領域から選ばれた少なくとも1領域において酸素を含まない鉄成分の領域を有する場合、前記鉄粉は活性鉄粉であるとする。
4)又はX線解析装置を用い、ウスタイト量を求め、その量が、鉄とのX線ピーク強度比で、2〜50重量%以上あれば前記鉄粉は活性鉄粉であるとする。
また、易動水値0.01未満の発熱組成物は、その反応特性や発熱特性に影響しない範囲において、凝集助剤、凝集化剤、集塊補助剤、乾燥バインダー、乾燥結合剤、乾燥結合材、粘着性素材、増粘剤、賦形剤、水溶性高分子をそれぞれ0.01〜3重量部の範囲内で含有してもよい。
前記凝集助剤とは、特許第3161605号公報(特表平11−508314号公報)に記載されている凝集助剤で、ゼラチン、天然ガム、コーンシロップ等である。
前記凝集化剤とは、特表平2002−514104号公報に記載されている凝集化剤で、コーンシロップ、マルチトールシロップ等である。
前記集塊補助剤とは、特表平2001−507593号公報に記載されている集塊補助剤で、コーンシロップ等である。
前記乾燥バインダーとは、特表平2002−514104号公報に記載されている乾燥バインダーで、微結晶セルロース、マルトデクストリン等又はこれらの混合物である。
前記乾燥結合剤とは、特表平2001−507593号公報に記載されている乾燥結合剤で、マルトデクストリン、噴霧された乳糖等である。
前記乾燥結合材とは、特表平11−508314号公報に記載されている乾燥結合材で、微晶質セルロース、マルトデクストリン等又はこれらの混合物である。
前記粘着性素材又はバインダーとは、特開平4−293989号公報に記載されている粘着性素材又はバインダーで、水ガラス、ポリビニールアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等である。
前記増粘剤とは、特開平6−343658号公報に記載されている増粘剤で、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン等である。
前記賦形剤とは、特開平7−194641号公報に記載されている賦形剤で、α化でんぷん、アルギン酸ナトリウム等である。
前記水溶性高分子とは、粘着剤層での水溶性高分子が使用できる。
本発明の引張試験は、JIS L1096に準じて、包材は幅2.5cm×長さ約20cmにカットされる。細片の端部をロードセルに荷重をかけることなく、すべてゆるみを除去するのに十分な引張力をかけられ、チャック間10cmのチャックに挟まれ、装置に設置される。次に試料の温度は所望の試験温度に安定化される。
1)非弾性体判定試験
試料は25℃に安定化された後、クロスヘッド速度を約50cm/分で、チャック間を5mm伸ばし、その後装置から取り出される。
伸長後の長さが伸長前の長さより長い場合は永久歪みが生じているので、非弾性体であるとする。
また、伸びと引張強度との一次関数関係からのズレを生じ、弾性変形外と認められた試料も非弾性体とする。
また、異方向性のある試料では少なくとも一方向において、非弾性が認められたものは非弾性体とする。
2)25℃破断強度
25℃の試験温度に安定化された後、破断するまで、装置を稼働させ、試料が破断した時の強度をチャートから読みとり、破断強度とする。
3)90℃破断強度
90℃の試験温度に安定化された後、破断するまで、装置を稼働させ、試料が破断した時の強度をチャートから読みとり、90℃破断強度とする。
4)90℃の破断伸び
90℃の試験温度に安定化された後、破断するまで、装置を稼働させ、試料が破断した時の伸びをチャートから読みとり、90℃の破断伸びとする。
非弾性体とは、JIS L1096 に準じて、環境温度での引張試験によって、幅2.5cm×長さ20cmの試料をチャック間10cmのチャックに挟み、クロスヘッド速度を約50cm/分で、チャック間が5mm増加するまで引っ張る。前記試験後の試料が試料の伸長方向の永久伸びを生じたもの、又は、伸びと引張強度との一次関数関係からのズレを生じ、弾性変形外と認められた試料をいう。また、異方向性のある試料では少なくとも一方向において、非弾性が認められたものは非弾性体とする。
弾性とは、引張り力を受けた場合に、それにより材料が力の方向に伸びるか広がり、そして力が除去されると張力がかかっていないその元の寸法に戻る材料の特性を指している。
より具体的に述べると、弾性とは、エレメント又は構造体が、50%より大きなパーセンテージ歪みH%を受けた後その最初の長さLbの約10%以内に回復する方向的特性を意味している。
この明細書で用いているパーセンテージ歪みH%は次のように定義される:
H%=[(Lx−Lb)/Lb]×100
ここで、Lx=伸びた時の長さ
Lb=最初の長さ
一貫性のある比較をするためには、エレメント又は構造体の回復は、その伸びた時の長さLfから緩められた後30秒に測定するのが好ましい。エレメント又は構造体が50%のパーセンテージ歪みH%から緩められた後30秒以内に約10%以内に回復しなければ、これらはすべて非弾性的と考えられる。非弾性的エレメント又は構造体には、50%のパーセンテージ歪みH%を受けた場合に、壊れたり及び/又は永久的又は可塑的に変形するエレメントや構造体もある。
90℃非収縮性とは、90℃で3分保持後、室温にもどした時、元の長さより長さが短くならないことである。更に詳しく述べると、90℃非伸縮性とは、90℃で3分保持後、室温にもどした後の収縮率が好ましくは15%以下である。より好ましくは10%以下であり、更に好ましくは8%以下であり、更に好ましくは5%以下であり、更に好ましくは1%以下である。
この収縮率は次のように定義される。
S =[(Lb−L90)/Lb]×100
S:収縮率(%)
Lb:もとの長さ
L90:90℃で3分保持後、室温にもどした後の長さ
特に、型成形により、収納用ポケットを有しない包材上に発熱組成物成形体(本発明では発熱組成物圧縮体も含む)を積層し、更に包材を被せ、シールして区分発熱部を有する発熱部や発熱体を作成する場合には少なくともどちらか一方の包材は熱可塑性樹脂製の繊維状物と熱可塑性樹脂製のフィルム状物との積層体を使用することが好ましい。
前記型成形発熱体用包材としては、可撓性ではあるが少なくとも25〜60℃において非弾性体であり、25℃において、好ましくは400g/mm以上、より好ましくは500g/mm以上、更に好ましくは800g/mm以上の破断強度を有し、90℃において20%以上の破断伸びを有することが好ましい。90℃における破断伸びは、より好ましくは30%以上であり、更に好ましくは50%以上であり、更に好ましくは100%以上であり、更に好ましくは150%以上である。これにより発熱組成物成形体の周縁部をヒートシールする時に前記包材は余熱によりヒートシールに必要な料を伸びることができるので、シール切れなしに発熱組成物成形体の周縁部をヒートシールでき、発熱体の使用時には発熱体の形状を維持できる。
前記フィルム状物とは、前記基材や被覆材で記載した素材をフィルム状にしたもので、前記繊維状物としては、不織布や織布等が一例として挙げられる。積層方法は制限はない。化学カイロ等の発熱体で使用する包材の作成時に使用する方法が一例として挙げられる。
前記伸長性とは、引張力を与えると破損することなく伸びる性質、特に、元の長さの1.1倍以上伸長することができる性質のことであり、この引張力を除くと元の状態にもどるか否かは問わない。
前記伸長性材料は、伸長性を有するフィルム、シート、不織布、編布、織布、或いは、これらの積層体が一例として挙げられる。その厚さとしては、少なくとも、これらを用いて形成された可撓性保持部に引張り力を与えると、可撓性保持部が破損する事なく、元の長さの1.2倍以上伸長するものであれば特に限定されるものではない。合成樹脂製単層フィルムや合成樹脂製積層体が一例として挙げられる。
例えば、合成樹脂製単層フィルムの厚さとしては、制限はないが、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは5〜12.5μmである。厚さが15μmを超えると、所要の伸長性が得られない場合がある。
前記非伸長性材料は、前記伸長性材料以外の材料である。
伸縮性とは、引張り力を与えると破損することなく、力の方向に伸び、引張り力を取り除くと、張力がかかっていない時の、元の長さに戻る材料の特性を示している。
更に、詳細に述べると、マクロ的伸縮性とは、元の長さの1.1倍以上の伸長を受けた後、元に戻ることができる性質のことであり、ミクロ的伸縮性とは、元の長さの1.5倍以上の伸長を受けた後、元の長さの1.1倍以内に戻ることができる性質のことである。
また、材料や部材の回復はその伸びた時の長さから力が除去された後30秒以内に行われることが好ましい。
一方、材料や部材がその伸びた時の長さから力が除去された後30秒以内に回復しなければ、これらはすべて非伸縮性であるとする。マクロ的非伸縮性材料や部材には元の長さの1.1倍以上の伸長を受けた時に壊れたり、永久的な可塑的変形を起こすものもある。
ミクロ的非伸縮性材料や部材には元の長さの1.5倍以上の伸長を受けた時に壊れたり、永久的な可塑的変形を起こすものもある。
ここでマクロ的伸縮性を有する材料や部材はミクロ的伸縮性を有しない材料に互い違いに配設した、厚み方向に貫通する複数の切り込みを有する材料や部材を対象とする。それ以外のもの、即ち、ミクロ的伸縮性を有しない材料に千鳥状に配設した、厚み方向に貫通する複数の切り込みを有する材料や部材以外はすべてミクロ的伸縮性を有するものとする。
前記少なくとも1つの包材が、25℃において、好ましくは400g/mm以上の、より好ましくは500g/mm以上、更に好ましくは1000g/mm以上、更に好ましくは2000g/mm以上の破断強度を有し、更に、90℃において、100%以上の破断伸びを有する素材からなることが好ましい。また、前記包材の厚みは前記破断伸びを確保すれば制限はないが、好ましくは10μm以上であり、より好ましくは10〜500μmであり、更に好ましくは10〜300μmであり、更に好ましくは10〜250μmであり、更に好ましくは50〜250μmである。
不織布と熱可塑性樹脂のフィルム状物との積層体が好ましい一例として挙げられる。
少なくとも1つの包材は繊維状物とフィルム状物との積層体で、ヒートシール可能で、可撓性の素材である。また、少なくとも25〜60℃の環境において、500g/mm以上の破断強度を有し、90℃において、100%以上の破断伸びを有する。本発明の前記包材を使用した発熱体において、発熱組成物成形体又はその圧縮体である発熱組成物圧縮体を含有する区分発熱部は剛軟度が高く、その間に存在し、発熱組成物成形体又はその圧縮体である発熱組成物圧縮体(以下発熱組成物成形体という)を含有せず、ヒートシール部である区分け部は剛軟度が低い。前記区分発熱部と区分け部からなる発熱部は約0℃から約80℃の間で、剛軟度を保つことができるので、区分け部がヒンジとして機能し、区分発熱部より優先的に曲がる。区分発熱部と区分け部からなる発熱体は少なくとも常温から加熱時(約23〜約50℃)まで、区分け部がヒンジとして機能し、区分発熱部より優先的に曲がる。加熱時の良好な剛軟度差は尚維持される。この結果、発熱体は区分発熱部の構造的支持を維持し、製造中又は使用中十分な剛性を有する。一方、加熱された時の優れた剛軟度を尚維持する。
基材又は被覆材の少なくとも1種に前記包材を使用する発熱体は、発熱組成物成形体を実質的に平面状の基材上に積層し、それに被覆材を被せ、発熱組成物成形体の周縁部をヒートシールし、シール部である区分け部が形成されるが、一例として被覆材に前記包材を使用した場合、可撓性で、少なくとも25〜60℃において、25℃における破断強度が500g/mm以上あるので、撓むが、腰があって、発熱組成物成形体を確実に覆うことができる。更にヒートシール時には、90℃において100%以上の破断伸びを有するため、ヒートシール時の温度により被覆材は破断することなく、シール切れもなく、確実ヒートシール部を形成できる。従って、発熱組成物成形体を含有する区分発熱部と含有しない区分け部からなる発熱部を有する本発明の発熱体において、発熱組成物成形体又はその圧縮体である発熱組成物圧縮体を含有する区分発熱部は剛軟度が高く、その間に存在し、発熱組成物成形体又はその圧縮体である発熱組成物圧縮体を含有せず、ヒートシール部である区分け部は剛軟度が低い。前記区分発熱部と区分け部からなる発熱部は約0℃から約80℃の間で、剛軟度を保つことができるので、区分け部がヒンジとして機能し、区分発熱部より優先的に曲がる。区分発熱部と区分け部からなる発熱体は少なくとも使用温度における変化が少ない包材を使用しているため、使用時、包材による寸法変化が少なく、剛軟度による構造的柔軟性が保持されるため、発熱体に安定した適度の柔軟性が保たれる。また、少なくとも包材のどちらか一方が90℃の破断伸びが100%以上の包材(通常は被覆材)を使用しているので、実質的に平面上の基材に積層された発熱物成形体に実質的に平面上の被覆材を被せて発熱組成物成形体の周縁部をヒートシールする場合、シール漏れを生ずるしわが発生せず、シール切れのないシール部が形成できる。被覆材は一部に凹部を有していてもよい。
本発明の発熱体は、各種形状、厚み、温度帯のものが得られるため、通常の身体採暖用の外、関節用、美顔用、目用、痩身用、点滴液加温・保温用、温熱湿布用、薬剤カイロ用、頚部用、腰用、マスク用、手袋用、痔瘻用、或いは、肩痛、筋肉痛、生理痛等の症状緩和用、座布団用、手術中の人体加温・保温用、温熱シート用、蒸散芳香用、腹部用、蒸散殺虫用、癌治療用等の各用途に用いることができる。更に、機械類やペット等への加温・保温用等へ利用できる。
例えば、症状緩和用として使用する場合は、本発明の発熱体を身体の必要部位に直接あてがうか、布等を介して間接的にあてがう。また、手術中の人体加温・保温用として使用する場合は、
1.加温・保温を必要とする身体に発熱体を直接あてがう、
2.カバー等に発熱体を固定して身体にかける、
3.身体の下側に敷く敷物等に発熱体を固定する、
4.予め、発熱体を備える製品としてのカバーや敷物として使用する、等の使用方法が一例として挙げられる。尚、筋肉や骨格等の痛みとは、急性筋肉痛、急性骨格痛、急性関連痛、既往筋肉痛、既往骨格痛、慢性関連痛、膝や肘等の関節痛等が一例として挙げられる。
前記維持時間は制限はないが、好ましくは20秒〜24時間であり、より好ましくは1時間〜24時間であり、更に好ましくは8時間〜24時間である。
維持温度は、好ましくは30〜50℃であり、より好ましくは32〜50℃であり、更に好ましくは32〜43℃であり、更に好ましくは32〜41℃であり、更に好ましくは32〜39℃である。
以下、実施例等に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
本発明の発熱体の一実施例の平面図 同Z−Zの断面図 本発明の発熱体の発熱組成物の発熱特性図 本発明の発熱体の発熱特性図 本発明の発熱体の他一実施例の平面図 本発明の発熱体の他の一実施例の平面図 本発明の発熱体形状の一実施例の平面図 本発明の発熱体の一実施例の平面図 本発明の易動水値測定用の濾紙の平面図 本発明の易動水値測定実施斜視図 本発明の易動水値測定実施断面図 本発明の易動水値測定実施静置断面図 本発明の水易動水値測定実施後の濾紙の平面図
符号の説明
1 発熱体
2 発熱組成物成形体
3 被覆材
4 基材
6 粘着剤層
7 セパレータ
9 押し込み板
15 押し込み板
10 平板
11 非吸水性フィルム(ポリエチレンフィルム等)
12 中心点から放射状に45度間隔で8本の線がかかれた濾紙
13 中空円筒状の穴を持つ型板
14 穴
15 試料
16 ステンレス板
17 水又は溶液の浸みだし先端までの距離
18 濾紙上の中空円筒状の穴相当位置
(実施例1)
鉄粉(Fe99.3重量%、C0.03重量%)1kgと粉末黒鉛(固定炭素97.0重量%、平均粒径7.0μm)5gをボールミルに入れ24時間皮膜処理を行ない炭素成分被覆鉄粉を得た。
次に、前記炭素成分被覆鉄粉100重量部、亜硫酸ナトリウム0.7重量部、11%食塩水を混合し、易動水値8の発熱組成物を得た。
ポリ容器を5ケ準備し、上記の操作を繰り返し温度測定用サンプル5ケを作った(ポリ容器は蓋を閉じてなるべく空気が入らないようにした)。
(比較例1)
実施例1の発熱組成物の中から水素発生抑制剤である亜硫酸ナトリウムを除去した以外は、実施例1と同様にして、易動水値8の発熱組成物を得た。
(比較例2)
実施例1で用いた溶接棒用鉄粉を導電性炭素質物質処理を行なわず、そのまま実施例1と同様の方法で易動水値8の発熱組成物を得た。
(表1)
膨らみ度(%) 減量度(%)
実施例1 0.5 2.0
比較例1 50.4 2.0
比較例2 0.6 2.0
表1のように、比較例1及び2は膨らみ度が著しく大きく、炭素成分の含有量が多くなる程膨らみ度が大きなり、実用化に問題があった。
(実施例2)
鉄粉(Fe99.3重量%、C0.03重量%)1kgと粉末黒鉛(固定炭素97.0重量%、平均粒径7.0μm)5gをボールミルに入れ24時間皮膜処理を行ない炭素成分被覆鉄粉を得た。
次に、前記炭素成分被覆鉄粉100重量部、活性炭(粒度300μm以下)3.0重量部、木粉(粒度300μm以下)5.0重量部、吸水性ポリマー(粒度300μm以下)0.8重量部、消石灰0.2重量部、亜硫酸ナトリウム0.7重量部、11%食塩水を混合し、易動水値8の発熱組成物を得た。
ポリ容器を5ケ準備し、上記の操作を繰り返し温度測定用サンプル5ケを作った(ポリ容器は蓋を閉じてなるべく空気が入らないようにした)。
(実施例3)
pH調整剤である消石灰を除去した以外は、実施例2と同様にして、易動水値8の発熱組成物を得た。
(実施例4)
実施例2の粉末黒鉛を31gにした以外は実施例2と同様にして炭素成分被覆鉄粉を作成し、易動水値8の発発熱組成物を作成した。
(実施例5)
実施例2の粉末黒鉛を53gにした以外は実施例2と同様にして炭素成分被覆鉄粉を作成し、易動水値8の発発熱組成物を得た。
(比較例3)
実施例2で用いた鉄粉を導電性炭素質物質処理を行なわず、そのまま実施例2と同様の方法で易動水値8の発熱組成物を得た。
(比較例4)
水素発生抑制剤である亜硫酸ナトリウムを除去した以外は、実施例2と同様にして、易動水値8の発熱組成物を得た。
(比較例5)
水素発生抑制剤である亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤である消石灰を除去した以外は、実施例2と同様にして、易動水値8の発熱組成物を得た。
(比較例6)
水素発生抑制剤である亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤である消石灰を除去した以外は、実施例2と同様にして、易動水値8の発熱組成物を得た。
次に、実施例2〜5、比較例3〜6の発熱組成物の各5ヶのサンプルを使用して膨らみ度及び減量度を測定した。試験開始より30日後の膨らみ度及び減量度(5ヶ平均)は表2の通りであった。
表2のように、比較例3〜6は膨らみ度が著しく大きく、炭素成分の含有量が多くなる程膨らみ度が大きなり、実用化に問題があった。
(表2)
膨らみ度(%) 減量度(%)
実施例2 0.5 2.0
実施例3 2.9 2.1
実施例4 0.5 2.1
実施例5 0.6 2.0
比較例3 48.1 2.0
比較例4 50.1 2.1
比較例5 80.1 2.1
比較例6 100.1 2.0
(測定例1)
実施例1、実施例2、実施例4、実施例5、比較例2の発熱組成物を使い、各サンプルに対して発熱組成物の発熱試験を行った。測温結果は図3の曲線に見られるごとく、実施例5の発熱組成物は4分後で約70℃(5ケの平均)であり、実施例1、実施例2及び実施例4の発熱組成物も4分後の温度は50℃(5ケの平均)以上であった。これに対して比較例2の発熱組成物は4分後の温度は約45℃と実施例1に用いた発熱組成物に比べ著しく昇温速度は遅かった。
(実施例6)
スポンジ鉄粉(Fe98.0重量%、C0.21重量%)を粉砕した鉄粉(300μm以下)1kgに53gの活性炭の微粉(45μm以下が90重量%)をV型ミキサーに入れ、6時間被覆処理を行い炭素成分被覆鉄粉を得た。次に、前記炭素成分被覆鉄粉105重量部、木粉(粒度300μm以下)5.0重量部、吸水性ポリマー(粒度300μm以下)0.8重量部、消石灰0.2重量部、亜硫酸ナトリウム0.7重量部、8%食塩水を混合し、易動水値9の発熱組成物を得た。実施例2と同様にして膨らみ度と減量度を測定して、膨らみ度0.5%、減量度2.0%を得た。また、発熱組成物の発熱試験を行ったが4分後の温度は、50℃(5個の平均)以上であった。
(比較例8)
亜硫酸ナトリウムと消石灰を除去した以外は、実施例6と同様にして、発熱組成物を得た。実施例2と同様にして膨らみ度と減量度を測定して、膨らみ度50%、減量度2.0%を得た。
(実施例7)
実施例5の発熱組成物を使用し、幅80mm×長さ120mm×厚さ3mmの抜き穴を持つ抜き型を用いた型通し成形で、各発熱組成物を用いて、図1及び図2に示すように、セパレータ7付き厚さ30μmのアクリル系粘着剤層6を設けたポリエチレンフィルムからなる基材4のポリエチレンフィルム面上に発熱組成物成形体2を設け、次に、その上にポリエチレン製多孔質フィルムを目付量40g/mのナイロン製不織布とを積層した通気性被覆材3を被せた後、発熱組成物成形体の周縁部を8mm幅でヒートシールし、実施例5の発熱体1を得た(図1、図2)。
尚、通気性被覆材3の通気性はリッシー法の透湿度で、400g/m/24hrであった。
発熱体1をリッシー法の透湿度1.6g/m/24hr及び酸素透過度2.00cc/m/24hrの非通気性フィルムから作成された収納袋(外袋)にヒートシールにより密封納入し、24時間、室温で放置した。
24時間後に外袋から各発熱体1を取り出し、発熱体の発熱試験を行い、図4の結果を得た。実施例5の発熱組成物を使用した発熱体1が比較例3の発熱組成物を使用した発熱体1より、発熱立ち上がり性は良かった。
(実施例8)
実施例2において使用した導電性炭素質物質(粉末黒鉛)に代えて、粉末黒鉛(固定炭素92.5重量%、平均粒径2μm)を用い、鉄粉1kgに対し粉末黒鉛31gを使用したことを除いては、実施例2と全く同様の方法で炭素成分被覆鉄粉を作成した。次に、実施例2と同様にして発熱組成物を得た。
(比較例9)
水素発生抑制剤である亜硫酸ナトリウムを除いた以外は実施例8と同様にして発熱組成物を作成した。
実施例8の発熱組成物と本比較例の発熱組成物について、膨らみ度及び減量度を測定した。試験開始より30日後の膨らみ度及び減量度は表3の通りであった。比較例9は膨らみ度が著しく大きく実用化に問題があった。
(表3)
膨らみ度(%) 減量度(%)
実施例8 0.5 2.0
比較例9 50.1 2.2
(実施例9)
還元鉄であるスポンジ鉄(Fe98.0重量%、C0.21重量%)を粉砕した鉄粉(300μm以下)1kgに、53gの活性炭の微粉(45μm以下が90重量%)をV型ミキサーに入れ6時間被覆処理を行ない炭素成分被覆鉄粉を得た。
次に炭素成分被覆鉄粉を用いて、実施例2と同様にして発熱組成物を得た。
(比較例10)
水素発生抑制剤である亜硫酸ナトリウムを除いた以外は実施例9と同様にして発熱組成物及び発熱体を作成した。
比較例10及び実施例9の発熱組成物に対し、実施例2同様にして膨らみ度及び減量度を測定した。試験開始より30日後の膨らみ度及び減量度は表4の通りであり、比較例10は膨らみ度が著しく大きく実用化に問題があった。
(表4)
膨らみ度(%) 減量度(%)
実施例9 0.6 2.1
比較例10 50.2 2.2
(実施例10)
実施例8の発熱組成物を使用して、図5に示すように、幅5mm×長さ80mmの抜き穴が5mm間隔で8個ある抜き型を用いた型通し成形で、前記発熱組成物を用いて、セパレータ付き厚さ30μmのアクリル系粘着剤層を設けたポリエチレンフィルムからなる基材のポリエチレンフィルム面上に8個の区分発熱部1Bを構成する発組成物成形体を設け、次に、その上にポリエチレン製多孔質フィルムを目付量40g/mのナイロン製不織布とを積層した通気性被覆材4を被せた後、各発熱組成物成形体の周縁部及び発熱体1の周辺部をシールした。各発熱組成物成形体間のシール部である区分け部1Cは3mmのシール幅でヒートシールし、区分け部1Cにより区分けされた区分発熱部1Bを作成した。また、発熱体1の周辺部は8mmのシール幅でシールすることにより、外寸で長さ98mm×幅91mmの発熱体1を得た。
尚、通気性被覆材4の通気性はリッシー法の透湿度で、400g/m/24hrであった。
また、剛軟度は発熱部の長辺方向(ストライプ方向と直交する方向)が最少の剛軟度を示し、20mmであった。
この発熱体1は使用感が非常に優れていた。また、この発熱体1は幅方向に巻回することができ、コンパクトになり、収納にも便利である。
この発熱体1を非通気性収納袋(外袋)に密封収納し、24時間、室温で放置した。24時間後に外袋から発熱体を取り出し、身体発熱試験を行ったが、3分で、温かく感じ、温かさが7時間続いた。同時に、曲面フィット性、巻回性、使い勝手について評価したがすべて優秀であった。
また、前記アクリル系粘着剤層を親水性粘着剤層であるジェル層に代えた発熱体1を作成した。その発熱体1を非通気性収納袋(外袋)に密封収納し、24時間、室温で放置した。24時間後に外袋から発熱体を取り出し、身体発熱試験を行ったが、3分で、温かく感じ、温かさが7時間続いた。同時に、曲面フィット性、巻回性、使い勝手について評価したがすべて優秀であった。
前記親水性のジェル層は親水性粘着剤から構成され、その親水性粘着剤はポリアクリル酸4.5重量%、ポリアクリル酸ナトリウム1.5重量%、カルボキシメチルセルロースナトリウム4.0重量部、グリセリン15.0重量%、プロピレングリコール5.0重量%、ソルビトール10.0重量%、水酸化アルミニウム0.1重量%、合成ヒドロタルサイト0.05重量%、ポリオキシエチレングリコール1.0重量%、その他は水からなる組成物である。
(実施例11)
実施例9の発熱組成物を使用し、図6に示すようにポリエチレン製多孔質フィルムを目付量40g/mのナイロン製不織布とを積層した通気性被覆材4を使用し、基材はポリエチレンフィルムに毛羽立てた不織布を積層したものを使用した。幅5mm×長さ50〜75mmの抜き穴が7mm間隔で6個が幅17mmを挟んで1対ある計12個の抜き穴を有する抜き型を用いた型通し成形で、発熱組成物成形体を基材上に積層した。シール幅5mmの仮着シール板とシール幅3mmのヒートシール板を使用して、実施例2と同様にして、区分発熱部1B周辺部のシール幅3mmでシールし区分け部1Cを形成し、発熱体1の周縁部をシール幅8mmでシールし、12個の長方形の区分発熱部1Bをスジ状に有する、そらまめ型に形成した。次にSBS系ホットメルト系粘着剤をメルトブロー法にて、網目状のホットメルト系粘着剤層6を通気性被覆材の上に設け、通気性粘着剤層付き通気性被覆材4とし、更にその上にセパレータを被せ、カットして、図6の発熱体1を得た。また、極薄セパレータを使用した本実施例の発熱体1の剛軟度は発熱部の長辺方向(スジ方向と直交する方向)で、35mmであり、短辺方向(スジ方向)方向を引っ張る)で、80mm以上であった。
また、長辺方向(スジ方向と直交する方向)の長さは220mmで、短辺方向(スジ方向)方向を引っ張るとは93mmであるので、同一方向での最大長さに対する剛軟度は長辺方向で0.16であり、短辺方向で0.86以上であるので、剛軟率は5以上であり、方向による柔軟性の差が大きいことがわかる。一方向の剛軟度が非常に高く、それにほぼ直角な方向の剛軟度が非常に低い場合は取り扱い、使用感が非常に優れる。また、この発熱体は幅方向に、ほぼ幅の大きさで巻けて、コンパクトになり、収納にも便利であった。尚、本実施例では剛軟度の低いセパレータを使用したため、セパレータ付きでも巻回することができた。
前記温熱体を非通気性外袋に密封収納し、24時間、室温で放置した。24時間後に外袋から発熱体を取り出し、発熱試験を行ったが、3分で、34℃に達し、34℃以上の発熱維持時間は10時間以上と長かった。
また、パンティの内側に発熱体1を貼り付けて、毛羽立てた不織布側を肌に接触させ、発熱体の身体試験を行った。5分後には温かく感じ、その後10時間以上に渡って快適に採暖できた。温度特性、曲面フィット性、巻回性、使い勝手について評価したがすべて優秀であった。
(実施例12)
アトマイズ鉄粉1kgに、60gの活性炭の微粉(45μm以下90重量%)をボールミルに入れ3時間被覆処理を行ない炭素成分被覆鉄粉を得た。
次に前記炭素被覆鉄粉(粒度300μm以下)100重量部、活性炭(粒度300μm以下)3.0重量部、木粉(粒度300μm以下)4.0重量部、吸水性ポリマー(粒度300μm以下)2.2重量部、消石灰0.2重量部、チオ硫酸ナトリウム・5水和物0.7重量部、6%食塩水を混合した易動水値0.01未満の反応混合物を接触処理装置容器内に入れた。
次に、20℃の環境下、前記接触処理装置容器の上部は開放形で、空気中に開放した状態で、攪拌しながら、自己発熱させ、反応混合物の温度が52℃になった時点で、非通気性収納袋に封入し、室温まで冷却し、発熱混合物を得た。前記発熱混合物に6%食塩水を混合し、易動水値10の発熱組成物を得た。
実施例11と同様の被覆材4を使用し、基材3はポリエチレンフィルムに毛羽立てた不織布を積層したものを使用した。幅5mm×長さ50〜75mmの抜き穴が9mm間隔で設けられた6個が幅17mmを挟んで1対ある計10個の抜き穴を有する抜き型を用いた型通し成形で、発熱組成物成形体を基材の上に積層した。シール幅5mmの仮着シール板とシール幅3mmのヒートシール板を使用して、実施例11と同様にして、区分発熱部1B周辺部のシール幅3mmでシールし区分け部1Cを形成し、発熱体1周縁部をシール幅8mmでシールし、12個の長方形の区分発熱部1Bをスジ状に有する、瓢箪形の発熱体1を得た。次にポリエチレン50μmフィルムの両面にSBS系粘着剤からなる粘着剤層6、6を有し片面にセパレータ7を有する両面テープの片面の粘着層を介して前記発熱体の両端部に粘着剤層6設けた。次にカットして、図7の両端部に粘着剤層6を有する瓢箪形の発熱体1を得た。
また、両端部の粘着剤層6を除いた時の剛軟度は発熱部の長辺方向(スジ方向と直交する方向)で、30であり、短辺方向(スジ方向)方向を引っ張る)で、80以上であった。剛軟度は2以上であった。 また、長辺方向(スジ方向と直交する方向)の長さは220mmで、短辺方向(スジ方向)方向を引っ張る)は93mmであるので、同一方向での最大長さに対する剛軟度は長辺方向で0.16であり、短辺方向で0.86以上であるので、剛軟率は5以上であり、方向による柔軟性の差が大きいことがわかる。
一方向の剛軟度が非常に高く、それにほぼ直角な方向の剛軟度が非常に低い場合は取り扱い、使用感が非常に優れる。また、この発熱体は幅方向に、ほぼ幅の大きさで巻けて、コンパクトになり、収納にも便利であった。尚、本実施例では剛軟度の低いセパレータ7を使用したため、セパレータ7付きでも巻けた。
前記発熱体1を非通気性外袋に密封収納し、24時間、室温で放置した。24時間後に外袋から発熱体を取り出し、セパレータを取り除き、両端部にある粘着剤層6を使用し、肩に発熱体1を貼り付け、毛羽立てた不織布側を肌に接触させ、発熱体の身体試験を行った。温度特性、曲面フィット性、巻回性、使い勝手について評価したがすべて優秀であった。
(実施例13)
図8の発熱体1は、他の一実施例を示す。実施例8の発熱組成物2を使用し、12個(3×4)の区分発熱部1Bが平面形状が正方形の形状で設けられ、ヒートシール部である区分け部1Cや発熱体周縁部のシール部が格子状の模様5Bを有し、且つ、区分け部1Cに手切れ可能なミシン目8を設けた発熱体1である。
(実施例14)
還元鉄であるスポンジ鉄(Fe98.0重量%、C0.21重量%)を粉砕した鉄粉(300μm以下)1kgに、53gの活性炭の微粉(45μm以下90重量%)をV型ミキサーに入れ6時間被覆処理を行ない炭素成分被覆鉄粉を得た。
次に前記炭素被覆鉄粉(粒度300μm以下)100重量部、活性炭(粒度300μm以下)3.0重量部、木粉(粒度300μm以下)4.0重量部、吸水性ポリマー(粒度300μm以下)2.2重量部、消石灰0.2重量部、亜硫酸酸ナトリウム0.7重量部、6%食塩水を混合した易動水値0.01未満の反応混合物を接触処理装置容器内に入れた。
次に、20℃の環境下、前記接触処理装置容器の上部は開放形で、空気中に開放した状態で、攪拌しながら、自己発熱させ、反応混合物の温度が25℃になった時点で、非通気性収納袋に封入し、室温まで冷却し、発熱混合物を得た。前記発熱混合物に6%食塩水を混合し、易動水値8の発熱組成物を得た。次に実施例11と同様にして発熱体を得た。発熱体1の剛軟度は発熱部の長辺方向(スジ方向と直交する方向)で、35mmであり、短辺方向(スジ方向)方向を引っ張る)で、80mm以上であった。
また、長辺方向(スジ方向と直交する方向)の長さは220mmで、短辺方向(スジ方向)方向を引っ張る)は93mmであるので、同一方向での最大長さに対する剛軟度は長辺方向で0.16であり、短辺方向で0.86以上であるので、剛軟率は5以上であり、方向による柔軟性の差が大きいことがわかる。
一方向の剛軟度が非常に高く、それにほぼ直角な方向の剛軟度が非常に低い場合は取り扱い、使用感が非常に優れる。また、この発熱体は幅方向に巻回することができ、コンパクトになり、収納にも便利であった。尚、本実施例では剛軟度の低いセパレータを使用したため、セパレータ付きでも巻けた。
前記温熱体を非通気性外袋に密封収納し、24時間、室温で放置した。24時間後に外袋から発熱体を取り出し、また、パンティの内側に発熱体1を貼り付けて、毛羽立てた不織布側を肌に接触させ、発熱体の身体試験を行った。5分後には温かく感じ、その後10時間以上に渡って快適に採暖できた。温度特性、曲面フィット性、巻回性、使い勝手について評価したがすべて優秀であった。
(実施例14)
炭素成分0.02重量%含有の溶接棒用鉄粉10kgと粉末黒鉛(固定炭素97.0重量%、平均粒径7.0μm)50gを小型ボールミルに入れ24時間皮膜処理を行ない、炭素成分被覆鉄粉を得た。
次に、前記炭素成分被覆鉄粉を使用し、前記炭素成分被覆鉄粉(粒度300μm以下)100重量部、活性炭(粒度300μm以下)3.0重量部、食塩40重量部、木粉(粒径300μm以下)2.3重量部、吸水性ポリマー(粒度300μm以下)1.8重量部、消石灰0.5重量部、亜硫酸ナトリウム0.7重量部、11%食塩水を混合し、易動水値12の発熱組成物を得た。そして、被覆材としては、毛羽立てた、即ち、起毛のある不織布とポリエチレン製多孔質フィルムを使用し、基材としては、起毛のない不織布とポリエチレンとの積層体からなる基材を使用した。
抜き型としては、10mm幅の中心部を挟んで、幅5mm×長さ80mmの抜き穴が7mm間隔でスジ状に5個、合計10個の抜き穴を備える抜き形を使用した。
次に、オレフィン系ホットメルト系粘着剤をメルトブロー法にて、網目状の通気性粘着剤層を通気性被覆材の多孔質フィルム側に設け、発熱組成物成形体と基材に被せた。
その後、仮着板を使用し、発熱組成成形体の頂部及び最外側の2つの発熱組成物成形体から8mm外側を長手方向に直線状に、10mm幅で仮着した。次に、ヒートシール板を用いて、区分発熱部の周辺部をシール幅3mmでシールし、発熱体となる外周部をシール幅8mmでシールし、発熱体(長さ153m×幅98mm)を得た。
次に、親水性粘着剤(ジェル)からなる親水性粘着剤層を基材の上に設け、その上にセパレータを被せてから裁断して、発熱体を得た。セパレータの剛軟度は、20mm以下であった。
発熱体の剛軟度は発熱部の長辺方向(スジ方向と直交する方向)で、30mm以下であり、短辺方向(スジ方向)で、80mm以上であった。剛軟度比は、2以上であった。一方向の剛軟度が非常に高く、それにほぼ直角な方向の剛軟度が非常に低いので、取り扱い性及び使用感が非常に優れていた。
また、この発熱体は、巻回することができるので、コンパクトになり、収納にも便利であった。尚、本実施例では剛軟度の低いセパレータを使用したため、セパレータ付きでも巻回することができた。
前記発熱体を、非通気性外袋に密封収納し、24時間、室温で放置した。24時間後に外袋から発熱体1を取り出し、セパレータを除き、親水性粘着剤層側を腰にあて、発熱体を腰に貼り付けて、発熱体の身体試験を行った。温度特性、曲面フィット性、巻回性、使い勝手について評価し、すべてが優秀であった。尚、親水性粘着剤層を構成する親水性粘着剤はポリアクリル酸(平均分子量15万)2.5重量%、ポリアクリル酸ナトリウム4.5重量%、カルボキシメチルセルロースナトリウム1.0重量%、グリセリン18.0重量%、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム0.2重量%、木粉8.0重量%、エデト酸2ナトリウム0.1重量%、クエン酸0.1重量%、酒石酸0.1重量%、精製水残部で合計100重量%からなる。
(実施例15)
酸化性ガス接触処理装置として攪拌用の回転翼を備えたミキサーからなる攪拌機付きバッチ式酸化性ガス接触処理装置を使用し、酸化性ガスとして空気を用いた。
鉄粉(粒度300μm以下)100重量部、活性炭(粒度300μm以下)5.5重量部、食塩40重量部、木粉(粒径300μm以下)2.3重量部、吸水性ポリマー(粒度300μm以下)1.8重量部、消石灰0.5重量部、亜硫酸ナトリウム0.7重量部、11%食塩水5重量部からなる、易動水値0.01未満の反応混合物を前記攪拌機付きバッチ式酸化性ガス接触処理装置容器内に入れた。
次に、20℃の環境下、前記接触処理装置容器の上部は開放系で空気中に開放した状態で、攪拌しながら、自己発熱させ、反応混合物の温度上昇分が40℃になった時点で、非通気性収納袋に封入し、室温まで冷却し、発熱混合物を得た。前記発熱混合物に11%食塩水を混合し、易動水値12の発熱組成物を得た。そして、被覆材としては、毛羽立てた、即ち、起毛のある不織布とポリエチレン製多孔質フィルムを使用し、基材としては、起毛のない不織布とポリエチレンとの積層体からなる基材を使用した。抜き型としては、10mm幅の中心部を挟んで、幅5mm×長さ80mmの抜き穴が7mm間隔でスジ状に5個、合計10個の抜き穴を備える抜き形を使用した。
次に、オレフィン系ホットメルト系粘着剤をメルトブロー法にて、網目状の通気性粘着剤層を通気性被覆材の多孔質フィルム側に設け、発熱組成物成形体と基材に被せた。
その後、仮着板を使用し、発熱組成成形体の頂部及び最外側の2つの発熱組成物成形体から8mm外側を長手方向に直線状に、10mm幅で仮着した。次に、ヒートシール板を用いて、区分発熱部の周辺部をシール幅3mmでシールし、発熱体となる外周部をシール幅8mmでシールし、発熱体(長さ153m×幅98mm)を得た。
次に、親水性粘着剤(ジェル)からなる親水性粘着剤層を基材の上に設け、その上にセパレータを被せてから裁断して、発熱体を得た。セパレータの剛軟度は、20mm以下であった。
発熱体の剛軟度は発熱部の長辺方向(スジ方向と直交する方向)で、30mm以下であり、短辺方向(スジ方向)で、80mm以上であった。剛軟度比は、2以上であった。一方向の剛軟度が非常に高く、それにほぼ直角な方向の剛軟度が非常に低いので、取り扱い性及び使用感が非常に優れていた。
また、この発熱体は、巻回することができるので、コンパクトになり、収納にも便利であった。尚、本実施例では剛軟度の低いセパレータを使用したため、セパレータ付きでも巻回することができた。
前記発熱体を、非通気性外袋に密封収納し、24時間、室温で放置した。24時間後に外袋から発熱体を取り出し、セパレータを除き、親水性粘着剤層側を腰にあて、発熱体を腰に貼り付けて、発熱体の身体試験を行った。温度特性、曲面フィット性、巻回性、使い勝手について評価し、すべてが優秀であった。
尚、親水性粘着剤層を構成する親水性粘着剤はポリアクリル酸(平均分子量15万)2.5重量%、ポリアクリル酸ナトリウム4.5重量%、カルボキシメチルセルロースナトリウム1.0重量%、グリセリン18.0重量%、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム0.2重量%、木粉8.0重量%、エデト酸2ナトリウム0.1重量%、クエン酸0.1重量%、酒石酸0.1重量%、精製水残部で合計100重量%からなる。

Claims (11)

  1. 0.3〜10.0重量%の導電性炭素質物質で部分的に被覆された鉄粉、水素発生抑制剤、反応促進剤及び水を必須成分とし、前記発熱組成物の膨らみ度が40%以下であることを特徴とする発熱組成物。
  2. 前記導電性炭素質物質は、導電性グラファイト、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン及び活性炭からなる群から選択され導電性炭素質物質であることを特徴とする請求項1に記載の発熱組成物。
  3. 前記導電性炭素質物質は、3.01〜10.0重量%であることを特徴とする請求項1に記載の発熱組成物。
  4. 前記発熱組成物の易動水値は、0.01〜20であることを特徴とする請求項1に記載の発熱組成物。
  5. 前記発熱組成物は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、骨材、繊維状物、機能性物質、界面活性剤、有機ケイ素化合物、焦電物質、保湿剤、肥料成分、疎水性高分子化合物、発熱助剤、鉄以外の金属、酸化鉄以外の金属酸化物、酸性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の発熱組成物。
  6. 前記発熱組成物は、少なくとも0.3〜10.0重量%の導電性炭素質物質で部分的に被覆された鉄粉、炭素成分、反応促進剤及び水の混合物を酸化性ガスにより接触処理した成分を含有することを特徴とする請求項1に記載の発熱組成物。
  7. 請求項1に記載の発熱組成物を通気性収納袋に収納したことを特徴とする発熱体。
  8. 1)前記収納袋は、基材と被覆材とから構成され、
    2)前記発熱組成物の周囲がシールされて形成される区分け部と、前記区分け部間に形成される区分発熱部とを有し、
    3)前記基材が実質的に平面状で、ポケット、収納区画又は収納区域を有せず、
    4)前記発熱組成物は、凝集助剤、凝集化剤、集塊補助剤、乾燥バインダー、乾燥結合剤、乾燥結合材、粘着性素材、増粘剤及び賦形剤を含有せず、
    5)発熱組成物中の水分がバリア層として機能せず、空気と接触して発熱反応を起こし、
    6)前記発熱組成物成形体の体積は、0.1〜30cmであり、
    7)前記発熱組成物成形体の体積と前記区分発熱部の容積との比率は、0.6〜1.0であり、
    8)前記区分発熱部の最大高さは、0.1〜10mmであり、
    9)前記区分発熱部の間隔である区分け部の幅は、0.3〜30mmである、ことを特徴とする請求項7に記載の発熱体。
  9. 前記区分発熱部の厚み方向と直交する面における最小剛軟度は、50mm以下であることを特徴とする請求項7に記載の発熱体。
  10. 前記区分発熱部は、スジ状に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の発熱体。
  11. 前記発熱体は、少なくとも一部に固定手段を有することを特徴とする請求項8に記載の発熱体。
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