JP4962368B2 - タンタルコンデンサおよびタンタルコンデンサの製造方法 - Google Patents

タンタルコンデンサおよびタンタルコンデンサの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、タンタル焼結体を含むタンタルコンデンサおよびタンタルコンデンサの製造方法に関する。
従来から、パーソナルコンピュータなどといった電子機器に、電源電圧のノイズを除去する電源平滑化回路が搭載されている。近年では、電子機器の小型化および高速化が進んでおり、電源平滑回路として、多孔質なタンタル焼結体を用いることによって小型・大容量化を実現したタンタルコンデンサが広く用いられている。
図1は、タンタルコンデンサの概略構成図であり、図2は、タンタルコンデンサ10の製造方法を示す図である。
図1に示すように、タンタルコンデンサ10は、樹脂などで構成された筐体11内にコンデンサ本体14が収容されており、コンデンサ本体14と接続された陽極側リードフレーム12および陰極側リードフレーム13が筐体11の外に延びている。また、コンデンサ本体14は、タンタル焼結体を含む内部素子14_1と、内部素子14_1から突出してタンタルコンデンサ10の陽極として機能する陽極棒14_2とで構成されており、内部素子14_1に塗布された導電性接着剤(銀など)がタンタルコンデンサ10の陰極層15を形成している。
タンタルコンデンサ10を製造するときには、まず、コンデンサ本体14の陽極棒14_2に陽極側リードフレーム12が接着され、陰極側リードフレーム13に陰極層15が塗布される(図2のステップS1)。
続いて、陰極層15によってコンデンサ本体14が陰極側リードフレーム13に接着され、それらが筐体11内に収容される(図2のステップS2)。
さらに、陽極側リードフレーム12および陰極側リードフレーム13が折り曲げられて(図2のステップS3)、それらが同じ面に設置される(図2のステップS4)。
また、図1に示すように、タンタルコンデンサ10は、陽極棒14_2と接続された陽極側リードフレーム12と、陰極層15と接続された陰極側リードフレーム13が電子部品21に半田22で固定されることによって、プリント基板20と接続される。
図3は、タンタルコンデンサ10の層構造と抵抗成分との関係を示す図である。
タンタルコンデンサ10の内部素子14_1は、タンタル焼結体34、酸化被膜33、機能性高分子層32(あるいはマンガン層)、およびカーボン層31が順に積層されている。さらに、内部素子14_1の外面に陰極層15となる導電性接着剤が塗布され、陰極層15に陰極側リードフレーム13が接続されるとともに、タンタル焼結体34に陽極棒14_2が挿しこまれ、陽極棒14_2に陽極側リードフレーム12が接続される。このタンタルコンデンサ10は、陰極側リードフレーム13の抵抗成分41(R1+L1)と、酸化被膜33、機能性高分子層32、カーボン層31、タンタル焼結体34、および陰極層15を合わせた抵抗成分42(R2+L2)と、タンタル焼結体34のコンデンサ成分43(C)と、陽極棒14_2および陽極側リードフレーム12を合わせた抵抗成分44(R3+L3)を直列に繋いだ回路と等価であり、すなわち、等価直列抵抗45(ESL:L1+L2+L3)と、等価直列インダクタンス46(ESR:R1+R2+R3)とコンデンサ成分43(C)とを直列に接続した回路と等価となる。
ここで、図1に示すように、タンタルコンデンサ10は、陰極側リードフレーム13および陽極側リードフレーム12が折れ曲がっている分だけ長くなってしまい、ESL45およびESR46が増加して高周波特性が劣化してしまうという問題がある。特に、近年では、電子機器の高速化に伴って電源周波数が増加してきており、高周波領域においても安定した性能を維持することが強く求められている。
この点に関し、特許文献1および特許文献2には、タンタル焼結体と陰極層との間に絶縁層を挟むことによって、陽極と陰極とをコンデンサの同一面上に形成する技術について記載されており、特許文献1には、陰極との間に絶縁層を挟んだ複数の陽極を設けて電流経路を増加させる技術について記載されている。これらの技術を利用することによって、ESLやESRを低減して高周波特性を向上させることができる。
特開2005−101279号公報 特開2002−237431号公報 特開2003−332173号公報
しかし、引用文献1、引用文献2、および引用文献3に記載された技術では、タンタル焼結体や陽極を絶縁層で取り囲む必要があり、コンデンサ全体が大型化してしまうという問題がある。また、引用文献1、引用文献2、および引用文献3に記載された技術では、層の形状や構造が複雑であるため、製造工程が煩雑化したり、製造コストが上昇してしまうという問題がある。
上記事情に鑑み、製造工程の煩雑化を抑え、高周波性能が良好で小型なタンタルコンデンサ、およびタンタルコンデンサの製造方法を提供する。
上記目的を達成するタンタルコンデンサの基本形態は、複数のタンタル焼結体であって、各タンタル焼結体の第1面同士が互いに同一面を形成しかつ各タンタル焼結体が相互に離間して配列された複数のタンタル焼結体と、
複数のタンタル焼結体それぞれの内部に延びるとともに各タンタル焼結体の第1面から突出した複数本の電極棒と、
複数のタンタル焼結体の、第1面を除く面に順次積層された、酸化膜層、機能性高分子層又はマンガン層、およびカーボン層と、
複数のタンタル焼結体の、前記第1面を除く外面を覆う導電層と、
複数のタンタル焼結体それぞれの第1面に対向する位置に前記電極棒を露出させる開口を有し、複数のタンタル焼結体の該第1面に跨って広がって導電層に接続された電極板とを備えたことを特徴とする。
このタンタルコンデンサの基本形態では、導電層がタンタル焼結体の第1面を除く面を覆っており、タンタル焼結体から突出した電極棒に対応する位置に開口が設けられた電極板が導電層と接続している。このため、タンタル焼結体全体を覆うような複雑な絶縁層を設けることなく、陽極として機能する複数の電極棒と陰極として機能する電極板とを同一面上に形成することができ、コンデンサの大型化を抑えて、ESLおよびESRを低減することができる。また、このタンタルコンデンサの基本形態によると、複数のタンタルコンデンサの、第1面を除く外面に導電層を積層し、それらタンタルコンデンサの第1面側に電極板を接続することによって、複数の陽極を備えたタンタルコンデンサを容易に製造することができ、製造工程の煩雑化や製造コストの上昇を抑えることができる。
また、上述したタンタルコンデンサの基本形態に対し、上記導電層は、複数のタンタル焼結体それぞれの第1面上の、電極板の開口に対応する部分を除く部分を覆うものであるという応用形態は好ましい。
導電層がタンタル焼結体の、電極板の開口に対応する部分を除く部分を覆うことによって、導電層と電極板とを確実に接続することができる。
また、上述したタンタルコンデンサの基本形態に対し、上記導電層は、複数のタンタル焼結体の、第1面に対して窪んだものであるという応用形態は好ましい。
導電層をタンタル焼結体の第1面に対して窪ませることによって、タンタル焼結体と導電層との接触を確実に防止し、ショートなどといった不具合を回避することができる。
また、上述したタンタルコンデンサの基本形態に対し、複数のタンタル焼結体それぞれの第1面における、電極板の開口に対応する部分に樹脂層を備えたという応用形態は好適である。
このタンタルコンデンサの好適な応用形態によると、ショートなどといった不具合を果実に回避することができるとともに、電極棒と接続された端子の形状をBGA構造などに加工することができる。
また、上記目的を達成するタンタルコンデンサの製造方法の基本形態は、複数のタンタル焼結体の第1面同士が互いに同一面を形成するように各タンタル焼結体を相互に離間して配列するタンタル焼結体配置過程と、
複数のタンタル焼結体それぞれの内部に延びるとともに各タンタル焼結体の第1面から突出した複数本の電極棒を形成する電極棒形成過程と、
複数のタンタル焼結体の、前記第1面を除く面に、酸化膜層、機能性高分子層又はマンガン層、およびカーボン層を順次に積層する積層過程と、
前記複数のタンタル焼結体の、前記第1面を除く外面を覆う導電層を形成する導電層形成過程と、
前記複数のタンタル焼結体それぞれの前記第1面に対向する位置に前記電極棒を露出させる開口を有し、該複数のタンタル焼結体の該第1面に跨って広がる電極板を前記導電層に接続させる電極板接続過程とを有することを特徴とする。
このタンタルコンデンサの製造方法の基本形態によると、タンタル焼結体および電極棒と、導電層および電極板との間に絶縁層を設ける工程を追加せずに、電極板と電極棒とを同一面上に形成することができ、製造工程の煩雑化やコンデンサの大型化を抑えて、高周波特性を向上させることができる。
また、上述したタンタルコンデンサの製造方法の基本形態に対し、上記積層過程は、複数のタンタル焼結体それぞれの、第1面を除く面に、酸化膜層、機能性高分子層又はマンガン層、およびカーボン層を順次に積層する過程であり、
上記導電層形成過程は、導電層で複数のタンタル焼結体相互間の隙間を充填するとともに第1面を除く面を覆う過程であるという応用形態は好ましい。
このタンタルコンデンサの製造方法の応用形態によると、複数のタンタル焼結体に対して導電層をまとめて形成することができ、個々に導電層を形成する手間を省くことができる。
また、上述したタンタルコンデンサの製造方法の基本形態に対し、上記積層過程は、複数のタンタル焼結体それぞれの、第1面を除く面に、酸化膜層、および機能性高分子層又はマンガン層を順次に積層して複数の第1生成体を生成する第1過程と、カーボン層で複数の第1生成体焼結体相互間の隙間を充填するとともに第1面を除く面を覆う第2過程とを有するという応用形態も好ましい。
このタンタルコンデンサの製造方法の応用形態によると、複数のタンタル焼結体それぞれにカーボン層を個別に形成する手間を省くことができ、製造工程を簡略化することができる。
また、上述したタンタルコンデンサの製造方法の基本形態に対し、上記積層過程は、複数のタンタル焼結体それぞれの、第1面を除く面に、酸化膜層を積層して複数の第2生成体を生成する第3過程と、機能性高分子層又はマンガン層で該複数の第2生成体焼結体相互間の隙間を充填するとともに第1面を除く面を覆って第3生成体を生成する第4過程と、第3生成体の、第1面を除く面にカーボン層を積層する第5過程とを有するという応用形態は好適である。
この好適なタンタルコンデンサの製造方法の応用形態によると、複数のタンタル焼結体に対して機能性高分子層又はマンガン層と、カーボン層と、導電層とを個別に積層する手間を省くことができ、製造工程を大幅に簡略化することができる。
以上説明したように、タンタルコンデンサおよびタンタルコンデンサの製造方法における基本形態によると、高周波性能が良好で小型なタンタルコンデンサを提供することができる。
以下、図面を参照して、上記説明した基本形体および応用形態に対する具体的な実施形態を説明する。
図4は、上述したタンタルコンデンサの具体的な第1実施形態を示す図である。
本実施形態のタンタルコンデンサには、複数のタンタル焼結体が備えられているが、図4(A)には、それら複数のタンタル焼結体のうちの1つのタンタル焼結体の側面が示されており、図4(B)には、1つのタンタル焼結体の陽極および陰極が設けられた面が示されている。
図4(A)に示すように、タンタルコンデンサ100は、タンタル焼結体110から陽極タンタル棒170が突出しており、その陽極タンタル棒170が突出した面(以下では、この面を端子面と称する)を除く外面に、酸化膜層120、機能性高分子層130、カーボン層140、銀層150が順に積層され、さらに、外部樹脂192で覆われている。タンタル焼結体110は、本実施形態におけるタンタル焼結体の一例にあたり、陽極タンタル棒170は、本実施形態における電極棒の一例に相当する。また、酸化層120は、本実施形態における酸化膜層の一例にあたり、機能性高分子層130は、本実施形態における機能性高分子層の一例にあたり、カーボン層140は、本実施形態におけるカーボン層の一例にあたり、銀層150は、本実施形態における導電層の一例に相当する。
タンタル焼結体110の端子面には、半田151によって銀層150と接続された電極板160が配置されている。電極板160には、陽極タンタル棒170に接続された陽極端子180が貫通する貫通孔161が設けられており、タンタル焼結体110と電極板160との間の隙間には内部樹脂191が充填されている。電極板160は、本実施形態における電極板の一例に相当する。
タンタルコンデンサ100は、陰極となる電極板160、および陽極となる陽極端子180が半田301によってプリント基板300上の電子部品302と接続されている。本実施形態においては、電極板160と陽極端子180とが同一面上に形成されているために電流経路が短縮され、タンタルコンデンサ100全体のESLおよびESRを低減することができ、高周波特性を向上させることができる。
図5は、複数のタンタル焼結体110を備えたタンタルコンデンサ100の透過斜視図であり、図6は、タンタルコンデンサ100の端子面を示す図である。
図5に示すように、タンタルコンデンサ100は、外部樹脂192が筐体を形成しており、その筐体内に複数のタンタル焼結体110_1,110_2,…,110_nが陽極端子180を同じ側に向けて相互に離間して配置されている。また、図6に示すように、電極板160には、複数のタンタル焼結体110_1,110_2,…,110_nそれぞれの陽極端子180に対応する複数の貫通孔161が設けられており、タンタルコンデンサ100は、複数の陽極端子180が陰極となる電極板160を共有している。タンタルコンデンサ100に複数の陽極と広い面状の陰極とが設けられることによって、電流経路を増加させることができる。
図7は、タンタルコンデンサ100の、陰極および陽極を形成する前までの製造工程を示す図である。
図7の左側には、各製造工程における製造物の端子面が示されており、図7の右側には、各製造工程における製造物の側面が示されている。
タンタルコンデンサ100を製造するのにあたり、まず、複数のタンタル焼結体110それぞれに陽極タンタル棒170が挿し込まれ、それら複数のタンタル焼結体110が相互に離間して配置される(図7のステップS11)。
続いて、複数のタンタル焼結体110それぞれの、端子面を除く外面に、酸化膜層120(図7のステップS12)、機能性高分子層130(図7のステップS13)、およびカーボン層140(図7のステップS14)が順に積層される。
さらに、複数のタンタル焼結体110相互間の隙間に銀ペーストが充填されるとともに、それら複数のタンタル焼結体110の、端子面を除く外面にも銀ペーストが塗布されて、銀層150が形成される(図7のステップS15)。複数のタンタル焼結体110に対して銀層150を一体的に形成することによって、製造工程を簡略化することができる。また、銀層150は、タンタル焼結体110の端子面に対して窪んだ段差Pを形成しており、ショートなどといった不具合の回避が図られている。
以上のようにして、タンタル焼結体110に酸化膜層120、機能性高分子層130、カーボン層140、および銀層150が積層されると、タンタルコンデンサ100の陰極と陽極が形成される。
図8は、タンタルコンデンサ100の陰極および陽極を形成する製造工程を示す図である。
まず、複数の陽極タンタル棒170が一体化されたタンタル生成物200と、複数の貫通孔161が設けられた電極板160とが用意され、複数の陽極タンタル棒170それぞれに陽極端子180が溶接によって取り付けられる。さらに、各陽極端子180が各貫通孔161を貫通するように、タンタル焼結体110の端子面側に電極板160が設置される(図8のステップS21)。
続いて、電極板160と銀層150とが半田151で接続されることによって(図8のステップS22)、陰極が形成される。この状態では、タンタル焼結体110の端子面と、電極板160との間には、電極板160と銀層150との間に挟まれた半田151の分だけ隙間が形成されている。
さらに、タンタル焼結体110の、銀層150よりもさらに外面が外部樹脂192で覆われるとともに(図8のステップS23)、電極板160の貫通孔161から内部樹脂191が注がれることによって、タンタル焼結体110の端子面と電極板160との間の隙間に内部樹脂191が充填される(図8のステップS24)。本実施形態においては、タンタル焼結体110と電極板160とが内部樹脂191によって絶縁されるため、層構造の複雑化やタンタルコンデンサ100の大型化を抑えて、タンタルコンデンサ100の高周波特性を向上させることができる。
以上のようにして、タンタルコンデンサ100に陰極となる電極板160と、陽極となる陽極端子180が取り付けられると、陽極端子180に折り曲げ加工が施されて(図8のステップS25)、タンタルコンデンサ100が完成する(図8のステップS26)。尚、ステップS25において、陽極端子180にボールパンプ加工が施されると、BGA構造のタンタルコンデンサ100が形成される(図8のステップS27)。
このように、本実施形態のタンタルコンデンサ100によると、層構造の複雑化やコンデンサの大型化を抑えて、陽極と陰極とを同一面上に形成することができ、コンデンサのESLおよびESRを低減して高周波特性を向上させることができる。
以上で、タンタルコンデンサおよびタンタルコンデンサの製造方法における第1実施形態の説明を終了し、第2実施形態について説明する。タンタルコンデンサおよびタンタルコンデンサの製造方法の第2実施形態は、積層構造が第1実施形態とは異なっている。以下では、第1実施形態と同じ材料については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
図9は、第2実施形態のタンタルコンデンサ100_2における、陰極および陽極を生成する前段階のタンタル生成物200_2を形成する製造工程を示す図である。
図9には、各製造工程における製造物の端子面と側面とが示されている。
第2実施形態のタンタルコンデンサ100_2においても、図7に示す第1実施形態のタンタルコンデンサ100と同様に、まず、複数のタンタル焼結体110それぞれに陽極タンタル棒170が挿し込まれ(図9のステップS31)、各タンタル焼結体110の端子面を除く外面に、酸化膜層120(図9のステップS32)、および機能性高分子層130(図9のステップS33)が順に積層される。
図7に示す第1実施形態のタンタルコンデンサ100では、カーボン層140が各タンタル焼結体110それぞれの、端子面を除く外面に積層されていたが、本実施形態のタンタルコンデンサ100_2においては、複数のタンタル焼結体110相互間の隙間、および端子面を除く外面に、まとめてカーボン層140が形成されて、ひとまとまりのタンタル生成物200_2が生成される(図9のステップS34_1)。
さらに、カーボン層140が形成されることによってまとめられたタンタル生成物200_2の、端子面を除く外面に銀層150が形成される(図9のステップS35_1)。
以上のようにして生成されたタンタル生成物200_2に対して、図8に従って陰極および陽極が形成され、タンタルコンデンサ100_2が生成される。
このように、本実施形態のタンタルコンデンサ100_2によると、複数のタンタル焼結体110それぞれに対して一体的にカーボン層140および銀層150を積層することができ、製造工程をさらに効率良く簡略化することができる。
また、カーボン層140を積層するのにあたり、タンタル焼結体110の端子面に対して窪んだ段差P2を形成し(図9のステップS34_2)、銀層150を、タンタル生成物200_2の外面に加えて、タンタル生成物200_2の端子面の、タンタル焼結体110に対応する部分を除く部分にも塗布してもよい(図9のステップS35_2)。段差P2を形成することによって、銀層150とタンタル焼結体110との接触を防止してショートなどを回避することができ、銀層150をタンタル生成物200_2の端子面の一部にも塗布することによって、図8のステップS21において電極板160と銀層150とを広い面で接続させることができ、通電性を向上させることができる。
以上で、タンタルコンデンサおよびタンタルコンデンサの製造方法における第2実施形態の説明を終了し、第3実施形態について説明する。タンタルコンデンサおよびタンタルコンデンサの製造方法の第3実施形態は、積層構造が第1実施形態および第2実施形態とは異なっている。以下では、第1実施形態および第2実施形態と同じ材料については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態および第2実施形態との相違点についてのみ説明する。
図10は、第3実施形態のタンタルコンデンサ100_3における、陰極および陽極を生成する前段階のタンタル生成物200_3を形成する製造工程を示す図である。
図10には、各製造工程における製造物の端子面と側面とが示されている。
第3実施形態のタンタルコンデンサ100_3においても、図7に示す第1実施形態のタンタルコンデンサ100と同様に、まず、複数のタンタル焼結体110それぞれに陽極タンタル棒170が挿し込まれ(図10のステップS41)、各タンタル焼結体110の端子面を除く外面に、酸化膜層120が積層される(図10のステップS42)。
本実施形態のタンタルコンデンサ100_3においては、機能性高分子層130を形成する段階で、複数のタンタル焼結体110がまとめられてタンタル生成物200_2が生成される。酸化膜層120が積層されたタンタル焼結体110が相互に離間して配置され、それら複数のタンタル焼結体110相互間および端子面を除く外面に機能性高分子層130が積層される(図10のステップS43_1)。
続いて、タンタル生成物200_2の、端子面を除く外面にカーボン層140が積層され(図10のステップS44_1)、さらに、銀層150が積層される(図10のステップS45_1)。以上のようにして生成されたタンタル生成物200_3に対して、図8に従って陰極および陽極が形成され、タンタルコンデンサ100_3が生成される。
このように、本実施形態のタンタルコンデンサ100_3によると、複数のタンタル焼結体110それぞれに対して個々に機能性高分子層130、カーボン層140、および銀層150を積層する手間を省くことができる。
また、機能性高分子層130を積層するのにあたり、タンタル焼結体110の端子面に対して窪んだ段差P3を形成し(図10のステップS43_2)、カーボン層140および銀層150を、タンタル生成物200_3の外面に加えて、タンタル生成物200_3の端子面の、タンタル焼結体110に対応する部分を除く部分にも順に塗布してもよい(図10のステップS44_2,S45_2)。
ここで、上記では、酸化膜層とカーボン層との間に機能性高分子層を形成する例について説明したが、酸化膜層とカーボン層との間にマンガン層を形成してもよい。
タンタルコンデンサの概略構成図である。 タンタルコンデンサの製造方法を示す図である。 タンタルコンデンサの層構造と抵抗成分との関係を示す図である。 タンタルコンデンサの具体的な第1実施形態を示す図である。 複数のタンタル焼結体を備えたタンタルコンデンサの透過斜視図である。 タンタルコンデンサの端子面を示す図である。 タンタルコンデンサの、陰極および陽極を形成する前までの製造工程を示す図である。 タンタルコンデンサの陰極および陽極を形成する製造工程を示す図である。 第2実施形態のタンタルコンデンサにおける、陰極および陽極を生成する前段階のタンタル生成物を形成する製造工程を示す図である。 第3実施形態のタンタルコンデンサにおける、陰極および陽極を生成する前段階のタンタル生成物を形成する製造工程を示す図である。
符号の説明
10,100 タンタルコンデンサ
11 筐体
12 陽極側リードフレーム
13 陰極側リードフレーム
14 コンデンサ本体
110 タンタル焼結体
170 陽極タンタル
120 酸化膜層
130 機能性高分子層
140 カーボン層
150 銀層
192 外部樹脂
160 電極板
180 陽極端子

Claims (8)

  1. 複数のタンタル焼結体であって、各タンタル焼結体の第1面同士が互いに同一面を形成しかつ各タンタル焼結体が相互に離間して配列された複数のタンタル焼結体と、
    前記複数のタンタル焼結体それぞれの内部に延びるとともに各タンタル焼結体の第1面から突出した複数本の電極棒と、
    前記複数のタンタル焼結体の、前記第1面を除く面に順次積層された、酸化膜層、機能性高分子層又はマンガン層、およびカーボン層と、
    前記複数のタンタル焼結体の、前記第1面を除く外面を覆う導電層と、
    前記複数のタンタル焼結体それぞれの前記第1面に対向する位置に前記電極棒を露出させる開口を有し、該複数のタンタル焼結体の該第1面に跨って広がって前記導電層に接続された電極板とを備えたことを特徴とするタンタルコンデンサ。
  2. 前記導電層は、前記複数のタンタル焼結体それぞれの前記第1面上の、前記電極板の開口に対応する部分を除く部分を覆うものであることを特徴とする請求項1記載のタンタルコンデンサ。
  3. 前記導電層は、前記複数のタンタル焼結体の、前記第1面に対して窪んだものであることを特徴とする請求項1から2のうちのいずれか1項記載のタンタルコンデンサ。
  4. 前記複数のタンタル焼結体それぞれの前記第1面における、前記電極板の開口に対応する部分に樹脂層を備えたことを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項記載のタンタルコンデンサ。
  5. 複数のタンタル焼結体の第1面同士が互いに同一面を形成するように各タンタル焼結体を相互に離間して配列するタンタル焼結体配置過程と、
    前記複数のタンタル焼結体それぞれの内部に延びるとともに各タンタル焼結体の第1面から突出した複数本の電極棒を形成する電極棒形成過程と、
    前記複数のタンタル焼結体の、前記第1面を除く面に、酸化膜層、機能性高分子層又はマンガン層、およびカーボン層を順次に積層する積層過程と、
    前記複数のタンタル焼結体の、前記第1面を除く外面を覆う導電層を形成する導電層形成過程と、
    前記複数のタンタル焼結体それぞれの前記第1面に対向する位置に前記電極棒を露出させる開口を有し、該複数のタンタル焼結体の該第1面に跨って広がる電極板を前記導電層に接続させる電極板接続過程とを有することを特徴とするタンタルコンデンサの製造方法。
  6. 前記積層過程は、前記複数のタンタル焼結体それぞれの、前記第1面を除く面に、酸化膜層、機能性高分子層又はマンガン層、およびカーボン層を順次に積層する過程であり、
    前記導電層形成過程は、前記導電層で前記複数のタンタル焼結体相互間の隙間を充填するとともに前記第1面を除く面を覆う過程であることを特徴とする請求項5記載のタンタルコンデンサの製造方法。
  7. 前記積層過程は、前記複数のタンタル焼結体それぞれの、前記第1面を除く面に、酸化膜層、および機能性高分子層又はマンガン層を順次に積層して複数の第1生成体を生成する第1過程と、前記カーボン層で該複数の第1生成体焼結体相互間の隙間を充填するとともに該第1面を除く面を覆う第2過程とを有することを特徴とする請求項5記載のタンタルコンデンサの製造方法。
  8. 前記積層過程は、前記複数のタンタル焼結体それぞれの、前記第1面を除く面に、酸化膜層を積層して複数の第2生成体を生成する第3過程と、前記機能性高分子層又はマンガン層で該複数の第2生成体焼結体相互間の隙間を充填するとともに該第1面を除く面を覆って第3生成体を生成する第4過程と、該第3生成体の、該第1面を除く面に前記カーボン層を積層する第5過程とを有することを特徴とする請求項5記載のタンタルコンデンサの製造方法。
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