JP4811091B2 - 電解コンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は陽極体の表面に導電性高分子の固体電解質層を形成して大容量及び低等価直列抵抗(以下低ESRと称す)を実現できる積層型固体電解コンデンサに関するものである。
最近では電子機器の小型化・高周波化が進み、使用されるコンデンサも高周波で低インピーダンスが実現できる導電性高分子を固体電解質に用いた固体電解コンデンサが商品化されてきている。
この固体電解コンデンサは高導電率の導電性高分子を固体電解質として用いているため、従来の駆動用電解液を用いた電解コンデンサや二酸化マンガンを用いた固体電解コンデンサに比べてESR成分が低く、理想に近い大容量でかつ小形の固体電解コンデンサを実現することができることから、市場で受け入れられるようになってきている。
また、コンピュータのCPUの省電力化と高速化に伴い、高周波でコンデンサに流れる電流も飛躍的に大きくなり、コンデンサのESRが低くなければその発熱が大きくコンデンサの故障の原因となるので、固体電解コンデンサに対する高速過渡応答性が必要とされ、大容量でかつ低ESRであることが必須の要件となっている。
上記の要望に応えるために、複数個の焼結体素子を同一外装ケース内に接続して実装時の占有面積をできるだけ抑える技術が開発されており、また、複数枚の平板状のコンデンサ素子を積層してリード端子に接続した構造の積層型固体電解コンデンサの技術が開発されている。
このような積層型固体電解コンデンサとしては次の文献記載のものが知られている。
特開平11−154631号 特開2000−138138号
近年は、モバイルパソコン等で動作時間をより長いものとするため、CPUの省電力化の要請が強い。このことからCPUの駆動電圧はより低いものが要求されてきている。さらにCPUの高速化と相俟って、CPUバックアップ用として要求される過渡応答特性はより高いものが求められるようになってきている。そして従来の構造の固体電解コンデンサでは、この要求には十分に応えることができず、さらなる性能の向上が望まれていた。
本発明はこのような従来の課題を解決するもので、大容量でしかも低ESRで、過渡応答特性に優れた電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
この出願の請求項1に係る発明は、矩形状の弁作用金属箔の両端を陽極部とし、中央部分を拡面化し誘電体酸化皮膜を形成して容量形成部とし、さらに容量形成部に固体電解質層および陰極層を順次形成し、陰極部としたコンデンサ素子と、コンデンサ素子を搭載する矩形の絶縁板であって、絶縁板の対向する側面が同極性となるように外部電極が形成され、対向する陽極の外部電極を電気的に接続するとともに、絶縁板のコンデンサ素子搭載面でコンデンサ素子の陽極部とそれぞれ接続する陽極接続部を有する第一の導電パターンが形成され、対向する陰極の外部電極を電気的に接するとともに、コンデンサ素子の陰極部と電気的接続する陰極接続部を有する第二の導電パターンがコンデンサ素子搭載面に形成された絶縁板と、からなり、コンデンサ素子の陽極部と陰極部はそれぞれ絶縁板の陽極接続部、陰極接続部と接続された固体電解コンデンサであって、第一の導電パターンの幅を、少なくとも陽極の外部電極の幅以上とするとともに、第二の導電パターンの幅を、コンデンサ素子陰極部の長手方向の長さ以上とした固体電解コンデンサである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の固体電解コンデンサにおいて、対向する陽極の外部電極を接続する第一の導電パターンが絶縁板の裏面に沿って形成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2記載の固体電解コンデンサにおいて、絶縁板の裏面に形成された第一の導電パターンの幅が、コンデンサ素子の陽極部よりも広く形成されていることを特徴とする。
このような固体電解コンデンサでは陽極部の幅よりも第一の導電パターンの幅が広く形成され、その第一の導電パターンが広い幅を維持したまま、陽極の外部電極となる。また、コンデンサ素子の陰極部の幅よりも、第二の導電パターンの幅が広く形成され、その広い幅の第二の導電パターンがその幅を維持したまま、陰極の外部電極となる。このため、コンデンサ素子の陽極部から出入力する電流が、陽極の外部端子に至るまで、またコンデンサ素子の陰極部から出入力する電流が、陰極の外部端子に至るまで、それらの電流を阻害する要因が無い。このことから、高周波で動作するCPUに電力を供給する場合のように、充放電動作が高速に行われた場合でも、電力供給を素早く行うことが可能となり、過渡応答特性の良い固体電解コンデンサとなる。
そして、固体電解コンデンサからCPUへの電力供給の際には、CPUへは物理的に近い方の陽極の外部電極から電力を供給することになるが、過渡応答時に電圧が低下した場合には、反対端の陽極の外部電極から固体電解コンデンサの絶縁板の裏面に形成した第一の導電パターンを通じて、CPUに電力を供給するようになる。このように一方の外部電極では、電力の供給不足が生じたときには、反対端の外部電極からCPUに電力を供給するようになる。従って、電圧降下時の電圧の補償を極めて短時間に行うことができ、過渡応答性の良い固体電解コンデンサとなる。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3の何れかに記載の固体電解コンデンサにおいて、コンデンサ素子と電気的に並列に、セラミックコンデンサを配置したことを特徴としている。
コンデンサ素子と電気的に並列に、セラミックコンデンサを配置したことにより、まず固体電解コンデンサよりも過渡応答特性の良いセラミックコンデンサからの電力供給によってCPUの動作電圧を補償し、やや遅れてコンデンサ素子1からの電力供給が行うようになり、さらに過渡応答特性を向上させることができる。
この出願の請求項1に係る発明では、固体電解コンデンサの内部抵抗が小さなものとなり、過渡応答特性に優れた固体電解コンデンサを得ることができる。
この出願の請求項2に係る発明では、対向する陽極の外部端子を電気的に接続する第一のパターンの絶縁板の裏面に形成することにより、製造が簡易なものとなる。
この出願の請求項3に係る発明では、絶縁板の裏面に形成された第一の導電パターンの幅が、コンデンサ素子の陽極部よりも広く形成されていることにより、絶縁板裏面での電流の流れが阻害されることがなく、過渡応答特性がより優れた固体電解コンデンサを得ることができる。
この出願の請求項4に係る発明では、コンデンサ素子と電気的に並列に、セラミックコンデンサを配置したことにより、まず固体電解コンデンサよりも過渡応答特性の良いセラミックコンデンサからの電力供給によってCPUの動作電圧を補償し、やや遅れてコンデンサ素子からの電力供給が行われて、CPUの動作電圧を補償するようになる。このように、過渡応答性の良いセラミックコンデンサを組み合わせることによって、さらに過渡応答特性を向上させることができる。
本発明はコンデンサ素子をプリント絶縁板に実装した構造の電解コンデンサである。
コンデンサ素子1は図1に示すように、弁作用金属であるアルミニウム箔11を、その両端部を除いてエッチング処理を施し、さらにエッチング部に誘電体酸化皮膜を形成して容量形成部とし、さらにこの容量形成部に導電性高分子よりなる固体電解質層12および陰極層13を形成したものである。固体電解質層12としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンまたはそれらの誘導体からなる導電性高分子を用いて作成することができる。陰極層13はグラファイトを主体とするグラファイト層とさらに銀ペースト層を順次積層して形成する。
以上のようにコンデンサ素子1を形成することにより、コンデンサ素子は両端が陽極部17、17となり、その陽極部の間が陰極部18として構成される。
なお、この実施の形態の中では、単板状のコンデンサ素子を用いているが、同じ形状のコンデンサ素子を複数個積層したものであっても良い。
本発明に用いる絶縁板2は図2(a)、(b)に示すように、フェノール等の絶縁絶縁板に両面に導電パターンを形成したものである。図2(a)が絶縁板のコンデンサ素子搭載面の斜視図、(b)が裏面の斜視図である。
絶縁板2の外形としては、ほぼ正方形状をなしている。そして、絶縁板2の4側面には外部電極20、30が形成されており、対向する外部電極がそれぞれ同極性となる。この外部電極は後述する第一の導電パターン21および第二の導電パターン31と同時に形成され、それぞれの導電パターンの一部を露出させて形成したものである。
そして絶縁板2の表面(コンデンサ素子搭載面)には、対向する陽極の外部電極20、20とそれぞれ接続する第一の導電パターン21,21が絶縁板の縁部近傍にそれぞれ形成されている。また絶縁板のコンデンサ素子搭載面には、陰極の外部電極30,30同士を電気的に接続する第二の導電パターン31が形成されており、この第二の導電パターン31は絶縁板の縁部近傍では、第一の導電パターン21、21を囲むように中央部分よりも幅広に形成されている。
絶縁板2の裏面では、陽極の外部端子20,20を電気的に接続するように第一の導電パターン21が形成されている。また、第二の導電パターン31,31が第一の導電パターン21を挟み込むように形成されている。
絶縁板2に形成された第一の導電パターン21、第二の導電パターン31は、コンデンサ素子搭載面側では、コンデンサ素子の陽極部及び陰極部と接続する部分を除いてレジスト層40によって被覆されている。そして、レジスト層40によって被覆されずに露出した導電パターンが、コンデンサ素子を搭載する際の陽極接続部23および陰極接続部33となる。
なお、絶縁板2の側面もレジスト層40によって被覆されているが、外部電極の部分はレジスト層40には被覆されない。図面中は外部電極20,30の周囲の導電パターンもレジスト層40に被覆されているが、このレジスト層に被覆された導電パターンの部分は外部電極には含まない。また、絶縁板2の側面には凹部が形成されており、この凹部全体およびその周囲が外部電極を形成している。このような凹部は、固体電解コンデンサのはんだ付けする際に、はんだ付け性が良好になるために形成したものである。
絶縁板2の裏面では、外部電極20,30の周囲の領域を除き、その全面がレジスト層40によって被覆されている。
以上のような導電パターンは、無電解メッキ等により絶縁板を製造することができる。特に陽極の外部端子同士を接続する第一の導電パターンが絶縁板の裏面に沿って形成すれば、他の導電パターンの形成と同時に形成でき、製造効率の向上を図ることができる。また、外部電極も導電パターンと同時に形成することができ、この点でも製造効率の向上を図ることができる。
図3に示すように、前述したコンデンサ素子1を絶縁板2に搭載し、コンデンサ素子の陽極部17を陽極接続部23に、コンデンサ素子の陰極部18を陰極接続部33にそれぞれ接続する。そして図示はしないが、コンデンサ素子に外装を施して固体電解コンデンサとする。
次に、コンデンサ素子のサイズとプリント絶縁板の導電パターンの幅の関係について説明する。
コンデンサ素子を搭載した絶縁板では、図3に示すように、コンデンサ素子の陽極部17の幅(図中W1)よりも第一の導電パターン21の幅(図中W2)が広く形成されている。また、コンデンサ素子の陰極部18の長手方向の長さ(L1)よりも第二の導電パターン31の幅(L2)は広く形成されている。
また、絶縁板の裏面に形成された第一の導電パターン21の幅もコンデンサ素子の陽極部17の幅(図中W1)よりも広い幅で形成されている。
このような固体電解コンデンサでは陽極部17の幅よりも第一の導電パターン21の幅が広く形成され、その第一の導電パターン21が広い幅を維持したまま、陽極の外部電極20となる。また、コンデンサ素子の陰極部18の幅よりも、第二の導電パターン31の幅が広く形成され、その広い幅の第二の導電パターン31がその幅を維持したまま、陰極の外部電極30となる。このため、コンデンサ素子の陽極部17から出入力する電流が、陽極の外部電極20に至るまで、またコンデンサ素子の陰極部18から出入力する電流が、陰極の外部電極30に至るまで、それらの電流が流れることを阻害する要因が無い。このことから、高周波で動作するCPUに電力を供給する場合のように、充放電動作が高速に行われた場合でも、電力供給を素早く行うことが可能となり、過渡応答特性の良い固体電解コンデンサとなる。
さらに本願発明の固体電解コンデンサの電子回路における機能について説明する。図4に示すように、固体電解コンデンサはCPUへ電力供給に使用される。CPUの消費電力の低減の要請から、動作電圧は1.8V程度のものが使用されている。そしてCPUの動作の高速化に伴い、極短時間での電力の供給が要求される。
高速周波数でのCPUの動作時には、固体電解コンデンサより電力が供給されるが、極短時間での過渡応答特性を見た場合、固体電解コンデンサからの供給電圧が低下する。すなわち固体電解コンデンサは瞬時に電荷を放出することにはなるが、流れる電流はコンデンサ素子の静電容量部分から始まるの全ての導電経路における抵抗分によって電力供給が遅延することがあり、これが過渡応答特性における電圧降下の原因となっている。
そして、CPUの安定動作のためには、降下した電圧がいち早く所定の電圧にまで回復することが大きな要因となる。本発明の固体電解コンデンサは、図4に示すように、まずCPUへは物理的に近い陽極の外部電極から電力を供給する(電流I)ことになるが、過渡応答時に電圧が低下した場合には、反対端の陽極の外部電極から固体電解コンデンサの絶縁板の裏面の第一の導電パターンを通じて、CPUに電力を供給(電流I)するようになる。この電流Iは、コンデンサ素子内部を通じて電流Iとして流れるよりも早く応答することができる。なぜなら、コンデンサ素子に蓄積されている電荷のうち、CPUに近い位置に蓄積されていた電荷は電流Iとして流れ出すが、CPUから遠い位置に蓄積されていた電荷は、コンデンサ素子の内部を通じて、電流Iとして流れ出そうとする。しかし、コンデンサ素子の内部には内部抵抗があるため、外部に流れ出すまでに時間的な遅延が生じてしまう。一方で、導電パターンの抵抗は、コンデンサ素子の内部抵抗よりも値が低いために、電流の遅延が起こりづらい。従って、CPUから遠い位置に蓄積されていた電荷は、絶縁板の裏面に形成された第一の導電パターン21を通じて(電流Iとして)、CPUに電荷が供給されるようになり、その応答速度も、一方の外部電極からのみ電力を供給しようとした場合に比べて、速いものとなる。このように一方の外部電極では、電力の供給不足が生じたときには、反対端の外部電極からCPUに電力を供給するようになる。従って、電圧降下時の電圧の補償を極めて短時間に行うことができ、過渡応答性の良い固体電解コンデンサとなる。
次に別の実施の形態について説明する。
コンデンサ素子は先に示した実施の形態と同じものを用いている。絶縁板については、図5(a)、(b)に示すように導電パターン形状は同じであるが、コンデンサ素子を搭載するための陽極接続部23,陰極接続部33に隣接するように第一の導電パターン21と第二の導電パターン31共に露出部を設ける。図5(a)ではこの一対の露出部が4個形成されている。
この露出部が第二の陽極接続部24、第二の陰極接続部34となりここにはセラミックコンデンサ50を搭載する。電気回路的には、コンデンサ素子1と並列に4個のセラミックコンデンサ50が接続されていることになる。
このような固体電解コンデンサでは、コンデンサ素子1よりも過渡応答特性に優れるセラミックコンデンサ50を並列に接続していることから、まず、セラミックコンデンサ50からの電力供給によってCPUの動作電圧を補償する。しかし、セラミックコンデンサ50は静電容量が小さいため、セラミックコンデンサ50からの電力供給は短時間で終了するが、やや遅れてコンデンサ素子1からの電力供給が行われるようになり、デバイス全体としては電力供給を十分に行うことができる。このような固体電解コンデンサでは、さらに初期の過渡応答特性を向上させることができる。
コンデンサ素子の構造を示す図面である。 この発明の実施の形態で用いる絶縁板の構造を示す斜視図で、(a)はコンデンサ素子搭載面から見た図、(b)は裏面から見た図である。 この発明の実施の形態で絶縁板にコンデンサ素子を搭載する状況を示す斜視図である。 固体電解コンデンサの電流動作を説明する図面である。 この発明の他の実施の形態で用いる絶縁板の構造を示す斜視図で、(a)はコンデンサ素子搭載面から見た図、(b)は裏面から見た図である。 この発明の他の実施の形態で絶縁板にコンデンサ素子を搭載する状況を示す斜視図である。
符号の説明
1 コンデンサ素子
12 固体電解質層
13 陰極層
17 陽極部
18 陰極部
2 絶縁板
20 陽極の外部電極
21 第一の導電パターン
23 陽極接続部
24 第二の陽極接続部
30 陰極の外部電極
31 第二の導電パターン
33 陰極接続部
34 第二の陰極接続部
40 レジスト層
50 セラミックコンデンサ

Claims (4)

  1. 矩形状の弁作用金属箔の両端を陽極部とし、中央部分を拡面化し誘電体酸化皮膜を形成して容量形成部とし、さらに容量形成部に固体電解質層および陰極層を順次形成し、陰極部としたコンデンサ素子と、
    コンデンサ素子を搭載する矩形の絶縁板であって、
    絶縁板の対向する側面が同極性となるように外部電極が形成され、
    対向する陽極の外部電極を電気的に接続するとともに、絶縁板のコンデンサ素子搭載面でコンデンサ素子の陽極部とそれぞれ接続する陽極接続部を有する第一の導電パターンが形成され、
    対向する陰極の外部電極を電気的に接するとともに、コンデンサ素子の陰極部と電気的接続する陰極接続部を有する第二の導電パターンがコンデンサ素子搭載面に形成された絶縁板と、
    からなり、
    コンデンサ素子の陽極部と陰極部はそれぞれ絶縁板の陽極接続部、陰極接続部と接続された固体電解コンデンサであって、
    第一の導電パターンの幅を、少なくとも陽極の外部電極の幅以上とするとともに、第二の導電パターンの幅を、コンデンサ素子陰極部の長手方向の長さ以上とした固体電解コンデンサ。
  2. 対向する陽極の外部電極を接続する第一の導電パターンが絶縁板の裏面に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 絶縁板の裏面に形成された第一の導電パターンの幅が、コンデンサ素子の陽極部よりも広く形成されていることを特徴とする請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. コンデンサ素子と電気的に並列に、セラミックコンデンサを配置した請求項1ないし3の何れかに記載の固体電解コンデンサ。
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