JP2005101279A - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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淳志 野木
Tatsuo Fujii
達雄 藤井
Katsumasa Miki
勝政 三木
Yuji Mido
勇治 御堂
Ryo Kimura
涼 木村
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Abstract

【課題】固体電解コンデンサにおいて、弁金属シート体の表面の強固な酸化被膜を除去し、弁金属シート体と接続性のよい接続端子構成とすることにより、接続抵抗の非常に小さい低いESR特性を実現できる固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
【解決手段】弁金属シート体1の所定の位置にスルホール電極7を設けた固体電解コンデンサの弁金属シート体1またはスルホール電極7の上の接続端子11を下地層9とバリア層10の2層以上の構成とし、この接続端子11の上に接続バンプ12を設ける構成とする。
【選択図】図2

Description

本発明は各種電気機器に利用される固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
従来の固体電解コンデンサとしては、図14に示すようにアルミニウムやタンタルなどの多孔質化された弁金属シート体20の厚み方向の片面あるいは中間の芯部を電極部とし、この弁金属シート体20の多孔質部の表面に誘電体酸化被膜15を形成し、陽陰極分離のために絶縁部19を形成した後、誘電体酸化被膜15の表面に機能性高分子などの固体電解質層16を設け、その固体電解質層16の表面に集電体層17を形成し、この集電体層17の上に金属による電極層18を設けてコンデンサ素子を構成している。
この固体電解コンデンサにおいて、電気機器の高周波化に伴って等価直列抵抗(以下ESRと称す)を低減するための取り組みがなされており、固体電解質層16および集電体層17の改良またはこれらの積層構造を工夫し、各コンデンサ素子の電極部をまとめて外部端子に接続するなどの取り組みがなされている。
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2001−358039号公報
しかしながら、上記従来の構成では、半導体部品と同じように回路基板に表面実装され実際の回路を構成した状態でのESRや等価直列インダクタンス(以下ESLと称す)特性が端子長や配線長が存在するために大きくなり、高周波応答性に劣るといった課題を有するものであった。
こうした課題を解決するため、固体電解コンデンサの表面に陽陰極電極端子を配置し、他の部品をこの固体電解コンデンサの上に直接実装することでESRやESLを下げることができる複数の接続端子構造を有する固体電解コンデンサが提案されている。
本発明はこの複数の接続端子構造を有する固体電解コンデンサにおいて、弁金属シート体の表面の強固な酸化被膜を除去し、弁金属シート体と接続性のよい接続端子構成とすることにより、接続抵抗の非常に小さい低いESR特性を実現できる固体電解コンデンサを提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
本発明の請求項1に記載の発明は、少なくとも弁金属シート体の片面に多孔質部を設け、この多孔質部の表面に誘電体被膜、この誘電体被膜の上に固体電解質層、この固体電解質層の上に集電体層を設けてなる固体電解コンデンサにおいて、前記弁金属シート体の所定の位置に設けたスルホールと、このスルホールの内壁及び弁金属シート体の多孔質化されていない面に設けた絶縁部と、前記スルホール内に設けた前記集電体層と接続したスルホール電極と、前記絶縁部の所定の位置に設けた開口部からなり、少なくとも前記スルホール電極および前記弁金属シート体の上に下地層と少なくとも1層以上のバリア層からなる接続端子を設け、この接続端子の上に接続バンプを設けた固体電解コンデンサであり、接続端子を2層構成とすることにより、低ESR特性を有する高周波応答性に優れた固体電解コンデンサを実現することができる。
本発明の請求項2に記載の発明は、弁金属シート体に少なくとも片面を多孔質化されたアルミニウム箔を用いた請求項1に記載の固体電解コンデンサであり、請求項1の作用に加えて、特に生産性に優れた固体電解コンデンサを実現することができる。
本発明の請求項3に記載の発明は、接続端子の下地層とバリア層にAlよりもイオン化傾向が大きな金属を使用した請求項1に記載の固体電解コンデンサであり、酸化被膜の形成を最少限に少なくすることにより、接続抵抗を下げることにより低ESR特性を有する高周波応答性に優れた固体電解コンデンサを実現することができる。
本発明の請求項4に記載の発明は、接続端子の下地層をZnで形成した請求項1に記載の固体電解コンデンサであり、より接続抵抗を下げることにより低ESR特性を実現することができる。
本発明の請求項5に記載の発明は、接続端子のバリア層を5μm以上の厚みを有するNi,Cu,Ag,Auのいずれか一つを含む金属で形成した請求項1に記載の固体電解コンデンサであり、接続バンプの弁金属シートへの拡散を防ぎながら低ESR特性を実現することができる。
本発明の請求項6に記載の発明は、接続端子の下地層をZnで形成し、接続端子のバリア層を5μm以上の厚みを有するNi,Cu,Ag,Auのいずれか一つを含む金属で形成した請求項1に記載の固体電解コンデンサであり、接続性に優れた低ESR特性の固体電解コンデンサを実現することができる。
本発明の請求項7に記載の発明は、接続バンプをAuまたはハンダで形成した請求項1に記載の固体電解コンデンサであり、外部の半導体デバイスとの接続性に優れた固体電解コンデンサを実現することができる。
本発明の請求項8に記載の発明は、少なくとも弁金属シート体の片面に多孔質部を形成し、この多孔質部の表面に誘電体被膜を形成し、この誘電体被膜の上に固体電解質層、集電体層を形成してなる固体電解コンデンサにおいて、前記弁金属シート体の所定の位置にスルホールを形成し、このスルホールの内壁及び弁金属シート体の多孔質化されていない面に絶縁部を形成し、前記スルホール内に形成した前記集電体層と接続されるスルホール電極と、前記絶縁部の所定の位置に開口部を形成した固体電解コンデンサの製造方法において、少なくとも前記スルホール電極および弁金属シート体の上に下地層と少なくとも1層以上のバリア層からなる接続端子をめっき法で形成する工程と、この接続端子の上に接続バンプをめっき法で形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法であり、低ESR特性を有する高周波応答性に優れた固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
本発明の請求項9に記載の発明は、めっき法を無電解めっき法で行う請求項8に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、緻密な膜質の接続端子を形成することができることからESR特性の低い固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
本発明の請求項10に記載の発明は、接続端子の下地層を置換めっき法で形成し、接続端子のバリア層を還元めっき法で形成する請求項9に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、最も弁金属シート体の酸化被膜を介在させないで接続端子を形成することができることから、最もESR特性の低い固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
本発明の請求項11に記載の発明は、接続端子の下地層を無電解めっき法で形成し、接続端子のバリア層を電解めっき法で形成する請求項8に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、より生産性に優れたESR特性の低い固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
本発明の請求項12に記載の発明は、接続端子の下地層を置換めっき法で形成する請求項11に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、より低ESR特性に優れた固体電解コンデンサの生産性に優れた製造方法を提供することができる。
本発明の請求項13に記載の発明は、接続端子のバリア層を電解めっき法で形成する工程において、電解めっきを少なくとも電流密度が1A/dm2以下で形成する第1工程と電流密度が1A/dm2以上で形成する第2工程からなる請求項11に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、電解めっき法で接続端子を形成する際にESRをより低減できる製造方法を提供することができる。
本発明の請求項14に記載の発明は、第2工程のめっき膜を第1工程のめっき膜より厚く形成する請求項13に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、低ESR特性を有する高周波応答性に優れた固体電解コンデンサの生産性に優れた製造方法を提供することができる。
本発明の請求項15に記載の発明は、接続端子を無電解めっきで形成する工程において、攪拌または超音波によりめっき液に振動を加える請求項9〜12のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、無電解めっき時の発生した気泡を除去することで、めっき膜を緻密に成長させ、ESRを低減できる高周波応答性に優れた固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
本発明の請求項16に記載の発明は、接続端子をめっき法で形成する工程において、接続端子を形成する部位以外の弁金属シート体にポリイミド系またはエポキシ系樹脂を塗布し、弁金属シート体の溶出を防ぐ請求項8に記載の固体電解コンデンサの製造方法であり、めっき時の気泡の発生を防ぐことで、めっき膜を緻密に成長させ、ESRを低減することができる。
以上のように本発明の固体電解コンデンサおよびその製造方法は、少なくとも前記スルホール電極および前記弁金属シート体の上に下地層と少なくとも1層以上のバリア層からなる接続端子を設け、この接続端子の上に接続バンプを設けることにより、低ESL/ESR性能を有することができることから高周波応答性に優れた固体電解コンデンサを実現することができるとともに効率よく製造することができる製造方法を提供することができるという効果を奏するものである。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1および図1〜図9により請求項1〜3および7〜11に記載の発明を説明する。
図1は本発明の実施の形態における固体電解コンデンサの斜視図、図2は断面構造図、図3は要部の拡大断面図である。また図4〜図9は本発明の固体電解コンデンサの製造方法を説明するための工程断面図である。但し、図1〜図9は模式的であり各位置を寸法的に正しく示したものではない。
まず、本発明の固体電解コンデンサの構造について図1〜図3を用いて説明する。図1〜図3に示す固体電解コンデンサは、少なくとも弁金属シート体1の片面に多孔質部14を設け、この多孔質部14の表面に誘電体被膜2を形成し、この誘電体被膜2の上に固体電解質層3、集電体層4を設けて固体電解コンデンサの容量素子部を形成している。
さらに、図3に示すように内周部の弁金属シート体1の所定の位置に設けたスルホール5と、このスルホール5の内壁及び弁金属シート体1の多孔質化されていない面に設けた絶縁部6と、スルホール5内に設けた集電体層4と接続されるスルホール電極7と、絶縁部6の所定の位置に設けた開口部8からなり、このようなスルホール電極7を設けることで固体電解コンデンサ内に逆向きのループ電流が発生し、それがお互いに相殺することによりESLを低下させることができるコンデンサ構造を形成しており、最後に樹脂モールドなどにより外装13を形成することにより固体電解コンデンサを構成している。
このような低ESL特性を有する固体電解コンデンサの構成において、スルホール電極7または弁金属シート1の上に下地層9と少なくとも1層以上のバリア層10からなる接続端子11を設け、この接続端子11の上に接続バンプ12を設ける構成にすることを特徴としている。このような構成とすることにより接続抵抗を低くすることが可能となり、弁金属シート体1と接続端子11との接続界面に酸化物などの介在を最小限に抑制することができる。
ただし、スルホール電極7の上の接続端子11は下地層9の単層であっても十分に低ESR特性を実現することが可能である。その理由は、下地層9を形成するときに弁金属シート体1の表面に強固に形成されている不導体膜である酸化被膜を除去し、この弁金属シート体1の金属表面の上に接続端子11を形成することができることから、低いESR特性を得ることができるものである。
次に、図4〜図9を用いて本発明の固体電解コンデンサの製造工程を説明する。
まず始めに弁金属シート体1として厚み100μmのアルミニウム箔を準備し、この弁金属シート体1を電解液中で交流電流を印加して電解エッチングすることにより片面に多孔質部14を形成した弁金属シート体1を作製する。このときの弁金属シート体1は生産性、コストの観点からアルミニウム箔が好ましいがタンタル、ニオブなどの弁金属であればこれに限定するものではない。
また、多孔質化の方法も直流エッチングなど他の方法でもよい。
次に、図4に示すようにこの多孔質部14を形成した弁金属シート体1の片面を化成液中で陽極酸化することにより誘電体被膜2を形成した後、この弁金属シート体1の所定の位置にパンチング法やレーザー加工法などを用いてスルホール5を形成する。
次に、図5に示すようにスルホール5の内壁及び弁金属シート体1の多孔質化されていない面に絶縁部6を樹脂などの絶縁材料を電着法あるいは塗布法などにより形成する。
その後、この誘電体被膜2の上に固体電解質層3を形成する。この固体電解質層3の形成方法はポリピロールやポリチオフェンなどのパイ電子共役高分子またはそれ以外の導電性高分子を用いて化学重合や電解重合によって形成することができる。またこの固体電解質層3は化学重合でプレコートした後電解重合することにより形成してもよいし、導電性高分子の粉末の懸濁液を塗布・乾燥した後電解重合してもよいし、硝酸マンガンを含浸させてから熱分解して二酸化マンガンを形成した後導電性高分子を電解重合してもよい。
次に、図6に示すように前記固体電解質層3の上に集電体層4を形成する。この集電体層4はカーボン微粒子の懸濁液および銀ペーストなどの導電性ペーストを用いて、カーボン層と銀ペースト層の積層構造を前記固体電解質層3の上に形成することにより、効率的に電荷を引き出すことが可能である。
次に、スルホール5の内部に集電体層4と電気的に接続したスルホール電極7を形成する。このスルホール電極7を形成する方法としては銀または銅などの低抵抗な導電性ペーストを充填し、熱硬化する方法を用いることができる。この形成方法ではスルホール5内へ導電性ペーストを容易に充填ができることと熱硬化が容易であることから、スルホール電極7を効率よく形成することができる。
また、集電体層4およびスルホール電極7をめっき法などで形成することもできる。この場合、導電性ペーストを用いる方法に比較し、より低ESR特性を有する固体電解コンデンサを作製することができる。
次に、図7に示すように多孔質化されていない弁金属シート体1の面上に形成された絶縁部6の所定の位置にフォトリソ法、レーザー加工法などで絶縁部6を除去して開口部8を形成する。レーザー加工法を用いるとき、加工表面に熱酸化層および溶融物などが生じることがあるが、これは固体電解コンデンサのESR特性を低下させることになるので、アルカリ、酸などを用いて十分除去することが必要である。
次に、図8に示すように弁金属シート体1の開口部8以外の部位である集電体層4の下面部および外周部など露出した端部などに塗布法、流動浸漬法、静電塗装法、電着法などを用いて絶縁材料で外装13を形成する。この外装13はエポキシ樹脂、あるいはシリコン樹脂などの有機絶縁材料を用いて樹脂モールド成型法により形成することができる。このように弁金属シート体1の不必要な露出部を外装13にて覆うことにより接続端子11をめっき法で形成する場合、気泡の発生を抑制することが可能となる。
次に、図9に示すようにスルホール電極7および開口部8の弁金属シート体1の上に下地層9を形成した後バリア層10をめっき法により形成することで2層構造の接続端子11を形成することで接続抵抗の低い接続端子11を形成することができる。このめっき法には無電解めっき法、電解めっき法が存在し、無電解めっき法の中でも置換めっき法と還元めっき法とに分類される。
置換めっき法とは下地となる金属と置換反応を起こすことで金属層を形成する方法であり、特に接続抵抗を低く抑えることが可能となる。この置換めっき法を利用して下地層9を形成することにより、弁金属シート体1の表面に形成された薄い酸化物層を除去しながら下地層9を弁金属シート体1の金属表面に直接形成することができる。しかしながら、この反応はイオン化傾向の差を利用しているので厚みの厚い膜を形成することが困難である。また還元めっき法とはイオン化傾向の差と触媒を利用することで金属層を形成する方法であり、緻密な金属層を形成できる代わりに厚膜を形成するには長時間を必要とする。また電解めっき法とは電流を印加することで溶液中に溶解している金属を電気化学的に還元析出させ金属層を形成する方法であり、電流密度により厚膜を短時間に得ることができるものである。
このように、下地層9を特に置換めっき法で形成することが最も低いESR特性を実現するために重要となる。そしてこの下地層9を形成した後、下地層9の上にバリア層10を形成する。このバリア層10は還元めっき法で形成することで緻密なめっき膜を得ることができるので低ESR特性の接続端子11を得ることが可能となる。また下地層9を無電解めっきで形成した後、バリア層10を電解めっき法で形成すると短時間で接続端子11を得ることが可能となり、効率よく接続端子11を形成することができる。
次に、接続端子11の上に接続バンプ12を形成することにより、図2に示す固体電解コンデンサを実現することができる。この接続バンプ12ははんだを溶融させ形成する方法あるいはAuめっき法によりAuバンプを形成することにより、半導体部品などをこの固体電解コンデンサの上に直接実装することにより、低ESR/ESL特性を実現する固体電解コンデンサを実現することができる。
以上説明してきたように、図1〜図3に示す固体電解コンデンサは表面に接続バンプ12を形成することで外部デバイスとの接続を容易にすることが可能となり、接続の信頼性が向上する。さらに接続端子11との接続間距離が通常のコンデンサ素子よりも短くなることから、他の半導体デバイスあるいは電子部品と低いESR特性での接続を実現することができる。
また、弁金属シート体1として片面をエッチング処理して多孔質化されたアルミニウム箔を用いることができ、既に確立されているアルミ固体電解コンデンサの技術を利用することができることにより、生産性を高めることができる。
さらに弁金属シート体1にアルミニウム箔を用いた場合、接続端子11をアルミニウムよりもイオン化傾向の大きな金属を主体にすることで無電解めっきにより形成することが可能となるため、最も低いESR特性を容易に実現可能となる。
以上のように作製した固体電解コンデンサにおいて、集電体層4から接続バンプ12までの間のESR特性をインピーダンスアナライザで測定した結果、全ての端子において10mΩ以下の低いESR特性を実現していた。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2および図10、図11により請求項4,12,15,16に記載の発明を説明する。
図10は本発明の実施の形態2における固体電解コンデンサの接続抵抗評価モデルの断面図、図11は本発明における下地層9の形成方法の違いによるESR特性の比較図である。
図10の接続抵抗評価モデルの固体電解コンデンサは少なくとも弁金属シート体1の片面に多孔質部14を形成し、この多孔質部14の表面に誘電体被膜2を形成し、多孔質部14を形成していない面に絶縁部6を形成し、この絶縁部6の所定の位置に開口部8を形成し、この開口部8に下地層9、下地層9の上にバリア層10を形成して接続端子11とし、この接続端子11の上に接続バンプ12を形成したものである。この固体電解コンデンサの接続抵抗評価モデルの試料によって、誘電体被膜2の上に形成した電極と接続バンプ12間の接続抵抗を測定することで本発明の固体電解コンデンサのESR特性を間接的に確認した。
弁金属シート体1の表面は通常強固な酸化被膜に覆われていることから、本発明では下地層としてZnを置換めっき法を用いることで置換反応を利用することによって酸化被膜を除去しながら弁金属シート体1の金属表面にZnを緻密で均一に形成していくことによって下地層9を形成することがESRの低減に必要となる。
しかしながら、弁金属シート体1は置換めっきの工程において使用される酸またはアルカリ溶液中において気泡を発生させる。この発生した気泡が開口部8に付着してしまうと、その気泡部分でZnが置換反応を起こさなくなり下地層9を緻密な膜に形成することが困難となる場合がある。それは弁金属シート体1のめっき液中に放置される状態に大きく左右されることとなる。
この影響を最小限に抑制するために弁金属シート体1に振動を加えることで弁金属シート体1の表面に付着した気泡を除去し、下地層9であるZnを弁金属シート体1の表面に緻密に形成することが可能となる。またコンデンサ素子の端部などの弁金属シート体1が露出した部分に外装13としての樹脂材料などを形成することで気泡を発生させずにZnを緻密に形成することが可能となる。この発生する気泡は置換めっきにおいて最も大量に発生するものであるが、無電解めっきにおいても同様の効果が確認できており、無電解めっきの工程で攪拌または超音波によりめっき液に振動を加えることにより緻密なめっき膜を得ることができる。図11に示すように、従来例は弁金属シート体1の表面に従来の無電解めっきにより形成した接続端子11の接続抵抗を示し、実施例1は振動を加えていない状態でかつ外装13を形成していない状態での接続抵抗の特性を示したものであり、従来例と比較して接続抵抗は低くなっていることがわかる。さらに端部などをポリイミド系またはエポキシ系樹脂を塗布することにより外装13で保護し、振動を加えながら置換めっきを行って下地層9を形成することで、全ての接続端子11について3mΩ以下という非常に低い接続抵抗を実現することが可能となった(実施例2)。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3および図10、図12、図13により請求項5,6,13,14に記載の発明を説明する。
本発明の実施の形態3における固体電解コンデンサの接続抵抗評価モデルは実施の形態2で用いた図10と同じもので評価した。図12はバリア層10の厚みの違いによる接続抵抗の特性変化図であり、実施の形態2の方法で形成した下地層9の上にバリア層10をCuとした時の厚みと接続抵抗の関係を示す。また図13は下地層9を無電解めっきで形成した後、バリア層10を電解めっきで形成した時の電解めっきの第1工程における電流密度の違いによる接続抵抗の特性比較図である。また、実施の形態2と同様に固体電解コンデンサの接続抵抗評価モデルの接続抵抗を測定することで本発明の固体電解コンデンサのESRを間接的に確認した。
このバリア層10は接続バンプ12の過剰な拡散を防ぎ、良導体であることがESRを低下させるために必要となってくる。
このバリア層10は接続バンプ12と接するために接続バンプ12内へ拡散し合金層を形成する。バリア層10がある厚みより薄いと拡散は過剰となり、バリア層10が疎な状態となり接続の強度が弱くなり、電気的な特性も悪くなることがある。図12の結果より、接続端子11のバリア層10は5μm以下であると急激に接続抵抗が増大することが分かる。またバリア層10の構成をNi,Cu,Ag,Auの単層、NiとCuの2層、NiとAgの2層とし、それぞれの厚みを5μm以上にすると、どの構成においても接続抵抗が3mΩ以下となった。
このことからバリア層10を5μm以上形成することでESRを低下することが可能となる。
次に、実施の形態2の方法で形成した下地層9の上に電解めっきでバリア層10を形成する方法について説明する。本発明の接続端子11は複数の金属層で構成されており、異種金属間で抵抗を持つことが予想される。特に電解めっきは還元めっきなどの無電解めっきに比べて、めっき膜の成長速度が大きいことから電流密度による特性の変化が大きく作用してくる。また接続端子11を形成する時に開口部8が微細な径であることから、特に異種金属上にめっきをする第1工程の電流密度が重要となり、緻密にめっき膜を形成させるためには電解めっきの電流密度を絞ることが重要となり、電解めっき時の第1工程において1A/dm2以下の電流密度にすることでESRを低減することが可能となることがわかった。
その後、第2工程において1A/dm2以上の電流密度でめっき膜を形成することで、めっき膜の成長速度が飛躍的に上昇し、短時間において接続バンプ12の拡散を防ぐ5μm以上のバリア層10を得ることができることがわかった。
以上のようにして第1工程を1A/dm2以下の電流密度で形成し、第2工程を1A/dm2以上で5μm以上のバリア層10を形成すると図13に示すように全ての端子において接続抵抗を低減できる。
また、第1工程より第2工程で形成されるめっき膜厚を厚くすることによってバリア層10の成長時間は電流密度と比例して短くなることから、接続バンプ12の拡散を防ぐ5μm以上の厚みを短時間で形成することができることから生産性に優れた工法となる。
置換めっきによりZnを形成して下地層9とし、この下地層9の上に接続バンプ12の拡散を防ぐために5μm以上の厚みを有するバリア層10を形成することで、全ての接続端子11においてESRを低下することが可能となる。
本発明にかかる固体電解コンデンサおよびその製造方法は、低ESL/ESR性能を有する固体電解コンデンサを実現できることから高周波応答性に優れるという効果を有し、各種電気機器に利用される固体電解コンデンサ及びその製造方法として有用である。
本発明の実施の形態1における固体電解コンデンサの斜視図 同構造断面図 同要部拡大図 同製造方法を説明するための断面図 同断面図 同断面図 同断面図 同断面図 同断面図 本発明の実施の形態2における固体電解コンデンサの接続抵抗評価モデルの断面図 同下地層9の形成方法の違いによるESR特性の比較図 本発明の実施の形態3における固体電解コンデンサのバリア層の厚みの違いによる接続抵抗の特性変化図 同電解めっきの第1工程における電流密度の違いによる接続抵抗の特性比較図 従来の固体電解コンデンサの断面図
符号の説明
1 弁金属シート体
2 誘電体被膜
3 固体電解質層
4 集電体層
5 スルホール
6 絶縁部
7 スルホール電極
8 開口部
9 下地層
10 バリア層
11 接続端子
12 接続バンプ
13 外装
14 多孔質部

Claims (16)

  1. 少なくとも弁金属シート体の片面に多孔質部を設け、この多孔質部の表面に誘電体被膜、この誘電体被膜の上に固体電解質層、この固体電解質層の上に集電体層を設けてなる固体電解コンデンサにおいて、前記弁金属シート体の所定の位置に設けたスルホールと、このスルホールの内壁及び弁金属シート体の多孔質化されていない面に設けた絶縁部と、前記スルホール内に設けた前記集電体層と接続したスルホール電極と、前記絶縁部の所定の位置に設けた開口部からなり、少なくとも前記スルホール電極および前記弁金属シート体の上に下地層と少なくとも1層以上のバリア層からなる接続端子を設け、この接続端子の上に接続バンプを設けた固体電解コンデンサ。
  2. 弁金属シート体に少なくとも片面を多孔質化されたアルミニウム箔を用いた請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 接続端子の下地層とバリア層にAlよりもイオン化傾向が大きな金属を使用した請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 接続端子の下地層をZnで形成した請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 接続端子のバリア層を5μm以上の厚みを有するNi,Cu,Ag,Auのいずれか一つを含む金属で形成した請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  6. 接続端子の下地層をZnで形成し、接続端子のバリア層を5μm以上の厚みを有するNi,Cu,Ag,Auのいずれか一つを含む金属で形成した請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  7. 接続バンプをAuまたはハンダで形成した請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  8. 少なくとも弁金属シート体の片面に多孔質部を形成し、この多孔質部の表面に誘電体被膜を形成し、この誘電体被膜の上に固体電解質層、集電体層を形成してなる固体電解コンデンサにおいて、前記弁金属シート体の所定の位置にスルホールを形成し、このスルホールの内壁及び弁金属シート体の多孔質化されていない面に絶縁部を形成し、前記スルホール内に形成した前記集電体層と接続されるスルホール電極と、前記絶縁部の所定の位置に開口部を形成した固体電解コンデンサの製造方法において、少なくとも前記スルホール電極および弁金属シート体の上に下地層と少なくとも1層以上のバリア層からなる接続端子をめっき法で形成する工程と、この接続端子の上に接続バンプをめっき法で形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法。
  9. めっき法を無電解めっき法で行う請求項7に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 接続端子の下地層を置換めっき法で形成し、接続端子のバリア層を還元めっき法で形成する請求項9に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  11. 接続端子の下地層を無電解めっき法で形成し、接続端子のバリア層を電解めっき法で形成する請求項8に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  12. 接続端子の下地層を置換めっき法で形成する請求項11に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  13. 接続端子のバリア層を電解めっき法で形成する工程において、電解めっきを少なくとも電流密度が1A/dm2以下で形成する第1工程と電流密度が1A/dm2以上で形成する第2工程からなる請求項11に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  14. 第2工程のめっき膜を第1工程のめっき膜より厚く形成する請求項13に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  15. 接続端子を無電解めっきで形成する工程において、攪拌または超音波によりめっき液に振動を加える請求項9〜12のいずれか1つに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  16. 接続端子をめっき法で形成する工程において、接続端子を形成する部位以外の弁金属シート体にポリイミド系またはエポキシ系樹脂を塗布し、弁金属シート体の溶出を防ぐ請求項8に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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