JP4960184B2 - 溶液製膜方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリマーを含むドープに添加剤液を添加してインラインミキサで混合した後、流延ダイから走行する支持体上に流延して流延膜を形成し、この流延膜が自己支持性を有した後に剥ぎ取ってポリマーフイルムを得る溶液製膜方法に関するものである。
光学用ポリマーフイルムのポリマーとしては、様々なものが利用されている。中でも、セルロースアシレートフイルムは、透明性と適度な透湿性とを有し、機械的強度が大きく、かつ、寸法の湿度依存性及び温度依存性が低いことから、広く用いられているもののひとつである。
セルロースアシレートを製膜する場合には、溶液製膜方法が適用されることが多い。溶液製膜方法は、ポリマーを溶媒と混合して原料ドープとし、この原料ドープに可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤、レタデーション制御剤などの各種添加剤を含む添加剤液を添加することでドープを製造し、このドープをダイから流延支持体へ流延し、自己支持性をもったところで流延膜を剥ぎ取って、これを乾燥工程で乾燥させる方法である。
ドープを製造する場合には、原料ドープに添加剤液を添加した後、インラインミキサによって混合する。インラインミキサとしては、長方形の板をねじって形成されたエレメントによって、管内を通過する物質を捻転させながら混合させる捻転混合型のスタティックミキサや、複数の細長い仕切板を交互に交差させて組み付けたエレメントによって、管内を通過する物質の流れを複数に分割させながら混合させる分割混合型のスルーザミキサなどが用いられる。
混合が不十分でドープが均質でないと、異物故障などが発生し、品質が低下してしまう。このため、添加剤液が確実に混合されるように様々な工夫がなされている。例えば、下記特許文献1には、スルーザミキサとスタティックミキサを直列に接続した例が記載されている。また、下記特許文献2には、添加剤液を添加するための添加口の形状に工夫を施したものが記載されている。
特開2006−76280号公報 特開2006−117904号公報
しかしながら、上記特許文献記載の方法を適用することで、ドープの混合性を向上できるものの、依然として長径が数mm程度の大きさの添加剤液の固まりが混合されずに残ってしまうといった問題があった。
本発明は、長径が数mm以下となるように添加剤液を混合できる溶液製膜方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明の溶液製膜方法は、ポリマーを含むドープに添加剤液を添加してインラインミキサで混合した後、流延ダイから走行する支持体上に流延して流延膜を形成し、この流延膜が自己支持性を有した後に剥ぎ取ってポリマーフイルムを得る溶液製膜方法において、前記インラインミキサにより混合された前記ドープと前記添加剤液との混合物を、剪断混合装置によって、剪断速度が500s−1以上2500s−1以下の範囲で剪断混合する精密混合ステップを備えるとともに、前記精密混合ステップでは、前記ドープが流される配管の径を段階的に絞り込むことによって形成された多段式かつ静止型の混合装置を用いて前記剪断混合を行うことを特徴としている。
前記絞り込みを行うことによって前記配管の径が最も小径となる最終段階の絞り込み後、所定長の区間は、絞り込んだ配管の径を維持することが好ましい。また、各段階の絞り込み後、所定長の区間は、絞り込んだ配管の径を維持してもよい。
さらに、前記ドープと前記添加剤液の粘度比が10以上10以下であることが好ましい。また、前記流延膜の流延幅が1500mm以上3000mm以下の範囲であることが好ましい。さらに、前記ポリマーがセルロースアシレートであることが好ましい。
本発明によれば、インラインミキサの下流に剪断混合装置を設け、剪断速度が500s−1〜2500s−1の範囲で添加剤液を剪断混合するようにしたので、長径が数mm以下となるように添加剤液を混合できる。また、剪断混合装置として多段型のものを用いることで、より確実な混合を行える。さらに、剪断混合装置として静止型のものを用いることでコストを抑えることができる。また、本発明は、ドープと添加剤液との粘度比が大きい場合、並びに、ドープの流量が大きくなる高速製膜や広幅流延の場合に、より顕著な効果を得ることができる。
以下に、本発明の実施様態について詳細に説明する。ただし、本発明はここに挙げる実施様態に限定されるものではない。
[原料]
本実施形態のポリマーとしては、セルロースアシレートが好ましく、トリアセチルセルロース(TAC)が特に好ましい。このTACとしては、リンター綿とパルプ綿とのいずれから得られたものでもよいが、好ましくはリンター綿から得られたものである。そして、セルロースアシレートの中でも、セルロースの水酸基の水素に置換されているアシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものがより好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、Aはセルロースの水酸基の水素に対するアセチル基の置換度、またBはセルロースの水酸基の水素に対する炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。なお、TACの90質量%以上が0.1mm〜4mmの粒子であることが好ましい。
(I) 2.5≦A+B≦3.0
(II) 0≦A≦3.0
(III) 0≦B≦2.9
セルロースを構成し、β−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部の水素を炭素数2以上のアシル基により置換してエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位の水酸基がエステル化している割合であって、各水酸基が100%エステル化していると各置換度は1である。したがって、3つの水酸基がすべて100%エステル化しているとアシル基置換度は3となる。
ここで、グルコース単位の2位の水酸基の水素にアシル基が置換した割合(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)をDS2とし、3位の水酸基の水素にアシル基が置換した割合(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)をDS3とし、6位の水酸基の水素にアシル基が置換した割合(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)をDS6とする。全アシル置換度、即ち、DS2+DS3+DS6は2.00〜3.00が好ましく、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、D6S/(DS2+DS3+DS6)は0.32以上が好ましく、より好ましくは0.322以上、特に好ましくは0.324〜0.340である。
セルロースアシレートのアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上であってもよい。アシル基が2種類以上であるときには、そのひとつがアセチル基であることが好ましい。2位、3位及び6位の水酸基の水素がアセチル基により置換された割合(置換度)の総和をDSAとし、アセチル基以外のアシル基による2位、3位及び6位の水酸基の水素の置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、より好ましくは2.2〜2.86であり、特に好ましくは2.40〜2.80である。また、DSBは1.50以上であることが好ましく、特に好ましくは1.7以上である。さらにDSBはその28%以上が6位水酸基の置換基であるが、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、31%以上がさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。また更に、セルロースアシレートの6位のDSA+DSBの値が0.75以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.80以上であり、特に好ましくは0.85以上である。これらのセルロースアシレートを用いることにより溶解性の好ましい溶液(ドープ)を製造することができ、特に、非塩素系有機溶媒において溶解性が良好な溶液の製造が可能となる。さらに、上記のようなセルロースアシレートにより、粘度が低く濾過性の良い溶液の製造が可能となる。
セルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくはプロピオニル基、ブタノイル基である。
ドープを調製するための溶媒としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロベンゼン等)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ジエチレングリコール等)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ等)等が例示される。なお、ここで、ドープとはポリマーを溶媒に溶解または分散して得られるポリマー溶液または分散液である。
これらの溶媒の中でも炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、ジクロロメタンが最も好ましく用いられる。そして、セルロースアシレートの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フイルムの機械的強度、フイルムの光学特性等の種々の特性の観点から、炭素原子数1〜5のアルコールを一種ないし数種類を、ジクロロメタンに混合して用いることが好ましい。このとき、アルコールの含有量は、溶媒全体に対し2質量%〜25質量%であることが好ましく、5質量%〜20質量%であることがより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等が挙げられるが、中でも、メタノール、エタノール、n−ブタノール、あるいはこれらの混合物がより好ましく用いられる。
ところで、最近、環境に対する影響を最小限に抑えることを目的に、ジクロロメタンを使用しない場合の溶媒組成についても検討が進み、この目的に対しては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルが好ましく、これらを適宜混合して用いることがある。これらのエーテル、ケトン及びエステルは環状構造を有していてもよい。また、エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、溶媒として用いることができる。また、溶媒は、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を化学構造中に有していてもよい。
ドープに添加する添加剤としては、可塑剤がある。可塑剤としては、リン酸エステル系(例えば、トリフェニルホスフェート(以下、TPPと称する)、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート(以降、BDPと称する)、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェートなど)、フタル酸エステル系(例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレートなど)、グリコール酸エステル系(例えば、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレートなど)及びその他の可塑剤を用いることができる。この中で、セルロースアシレートをフイルムとするために特に好ましいものとしてはTPPが挙げられる。
ドープには、可塑剤以外の添加剤を各種含ませてもよい。他の添加剤としては、紫外線吸収剤、離型剤、剥離促進剤、光学異方性コントロール剤、染料、マット剤、レタデーション制御剤、フッ素系界面活性剤、等がある。紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物が好ましく、中でも、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物が特に好ましい。
なお、セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号公報の[0140]から[0195]に記載されており、これらの記載は本発明にも適用することができる。また、溶媒及び可塑剤、劣化防止剤、紫外線吸収剤、光学異方性コントロール剤、染料、マット剤、剥離剤、レタデーション制御剤等の添加剤についても、同じく特開2005−104148号公報の[0196]から[0516]に詳細に記載されている。
[ドープ製造方法]
以下、本発明のセルロースアシレートドープの製造設備及び製造方法について説明する。ただし、以下の実施様態は本発明の一例として挙げるものであって、本発明はこの実施様態に限定されるものではない。図1、図2に示すように、ドープ製造設備10は、原料ドープ11を製造するための前工程12と、原料ドープ11にそれぞれ組成の異なる添加剤液13、14、15を添加することによって中間層用、支持体面用、エアー面用の3種類のドープ16、17、18(図6参照)を製造するための後工程19とからなる。
図1において、前工程12には、溶剤を貯留するための第1タンク20と、所定の添加剤を貯留するための第2タンク21と、TACを供給するためのホッパ22と、溶剤とTACと所定の添加剤とを混合するための第3タンク23とが設けられている。また、前工程12には、第3タンク23で撹拌されて得られた膨潤液を加熱するための加熱装置24と、加熱された膨潤液の温度を調整して原料ドープ11を得るための温調装置25と、第1及び第2の濾過装置26、27と、原料ドープ11の濃度を調整するためのフラッシュ装置28と、溶剤を回収するための回収装置29と、回収された溶剤を再生するための再生装置30とが設けられている。さらに、前工程12には、送液用の送液ポンプP1、P2と、流量調節用のバルブV1〜V3と、前工程12にて生成された原料ドープ11を貯留するための第4タンク31とが設けられている。
図2において、後工程19には、第4タンク31からの原料ドープ11のドープ流路32を3つに分岐することで、中間層用ドープ流路33、支持体面用ドープ流路34、エアー面用ドープ流路35が形成されている。各ドープ流路33、34、35には、原料ドープ11を送液するための送液ポンプP3、P4、P5が設けられている他、添加剤液13、14、15を貯留するためのストックタンク36、37、38と、添加剤液13、14、15を送液するための送液ポンプP6、P7、P8とがインライン接続されている。また、後工程19には、原料ドープ11と添加剤液13、14、15を混合するためのインラインミキサ39、40、41、及び、剪断混合器43、44、45とが設けられている。
添加剤液13としては、例えば、紫外線吸収剤、レタデーション制御剤などの添加剤を含む溶液(または分散液)が用いられ、添加剤液14、15としては、例えば、フイルムをロール状に巻き取った際にフイルム面間での密着を抑制するマット剤(例えば、二酸化ケイ素など)などの添加剤を含む溶液(または分散液)が用いられる。また、添加剤液14には、流延支持体88(図5、図6参照)からの剥離を容易とする剥離促進剤(例えば、クエン酸エステルなど)も含まれている。さらに、本実施形態では、各添加剤液13、14、15として、原料ドープ11との粘度比が10〜10のものを用いている。
インラインミキサ39、40、41としては、前述したスタティックミキサやスルーザミキサなどが用いられる。インラインミキサ39、40、41のエレメント数は、50個〜150個とされている。なお、インラインミキサ39、40、41は、1種類のミキサのみで構成してもよいし、複数種類のミキサを組み合わせて用いてもよい。また、エレメント数も上記に限定されるものではなく適宜変更できる。さらに、全てのインラインミキサ39、40、41が同一構成である必要はないので、各インラインミキサ39、40、41の構成を異ならせてもよい。
剪断混合器43、44、45は、インラインミキサ39、40、41の直後に配置され、原料ドープ11と添加剤液13、14、15との混合物をさらに剪断混合するものである。本発明では、インラインミキサ39、40、41による混合の後、さらに、剪断混合器43、44、45により、より精密な混合を行うことで、長径が数mm以下となるように混合できる。
剪断混合器43、44、45は、同様の構成をしているので、以下、これらを代表して剪断混合器43について説明する。図3に示すように、剪断混合器43は、原料ドープ11と添加剤液13との混合物50が流される配管51の径を絞り込むことによって形成された静止型の混合器であり、配管51の中央付近と内壁近傍との間で生じる混合物50の流速の違いを利用して混合物50を剪断混合する。剪断混合器43は、剪断速度が500s−1〜2500s−1の範囲になるように、その形状が決定される。
なお、剪断混合器としては、例えば、図4(A)に示す剪断混合器55のように、配管51の径を段階的に絞り込んだものや、同図(B)に示す剪断混合器56のように、配管51の径を複数箇所で絞り込んだものなど、複数回の剪断混合を行う多段式のものを用いてもよい。また、同図(C)に示すように、配管51の径よりも一回り小さな径の開口57を有する複数の隔壁58を備えた剪断混合器59を用いてもよい。なお、図4では、前述した実施形態と同様の部材については同様の符号を付して説明を省略している。
また、前述したような静止型の剪断混合器以外にも、例えば、回転する攪拌翼により剪断混合を行う動的な剪断混合器を用いてもよい。この場合、配管内に配置された攪拌翼を磁気の力により配管外から非接触で回転させるインライン磁気カップリング混合器を用いることが好ましい。もちろん、前記配管を貫通する駆動シャフトを設け、この駆動シャフトにより攪拌翼と駆動源(例えばモータ)とを連結して、攪拌翼を回転させるといったことも考えられる。しかしこの場合、駆動シャフトと配管との隙間に液漏れ防止用のシール部材を設ける必要があり、このシール部材の交換やメンテナンスを考慮するとランニングコストが高くなってしまう。
さらに、前述したような剪断混合器に代えて送液ポンプを設けるといったことも考えられる。送液ポンプは、送液過程において送液対象物を剪断混合することになるので、剪断混合器に代えて送液ポンプを設けても剪断混合器を設けた場合と同様の効果を得ることができる。この場合、剪断混合を行うための送液ポンプよりも上流側の送液ポンプ(例えば、送液ポンプP3、P4、P5)の送液量に応じて、剪断混合を行うための送液ポンプの送液量を決定する。
次に、このドープ製造設備10を用いた場合のドープ製造方法について説明する。図1に示すように、前工程12において、溶媒はバルブV1を開いて第1タンク20から第3タンク23に送られ、ホッパ22に供給されるTACは計量されながら第3タンク23に送り込まれる。添加剤は、溶剤に溶解した溶液状態、あるいは分散された分散状態で、バルブV2の開閉操作により必要量が第2タンク21から第3タンク23に送り込まれる。添加剤の溶剤は、通常は第1タンク20内の溶剤と同一のものとされるが、添加剤の種類等に応じて適宜変更できる。
添加剤が固体の場合には、第2タンク21に代えてホッパ等を用い、第3タンク23に送り込むことも可能である。複数種類の添加剤を添加する場合には、それら複数の添加剤を溶解させた溶液を予め作っておき、それを第2タンク21から第3タンク23へ送液したり、あるいは、各添加剤の溶液を複数のタンクにそれぞれ入れて、それぞれ独立した送液管により第3タンク23に送り込む等の方法もある。また、添加剤が常温で液体の場合には、溶剤を使用せずに第3タンク23に送り込むことが可能である。
なお、第3タンク23に投入する溶媒、TAC、添加剤などの投入順番は適宜変更できる。さらに、添加剤は、後の工程でTAC及び溶媒と混合してもよい。また、第3タンク23の内部温度は、−10℃〜55℃の範囲に保たれていることが好ましい。さらに、本実施形態においては、第3タンク23には、TACが溶媒中で膨潤した膨潤液が貯蓄されるが、本発明はこの様態に限定されるものではない。
次に、膨潤液は、送液ポンプP1により加熱装置24に送られる。加熱装置24は、ジャケット付き配管であることが好ましく、加熱により、膨潤液の固形分の溶解を進めることができる。この加熱装置24での溶解における温度は、0℃〜97℃であることが好ましい。したがって、ここでの加熱とは、室温以上の温度に加熱するという意味ではなく、第3タンク23から送られてきた膨潤液の温度を上昇させる意味であり、例えば、送られてきた膨潤液の温度が−7℃であるときにこれを0℃にする場合等も含められる。さらに、この加熱装置24には、膨潤液を加圧するための加圧手段が備えられることがより好ましく、この加圧手段により、溶解をより効率的に進めることができる。
なお、加熱装置24による加熱溶解に代えて、膨潤液をさらに冷却して−100℃〜−10℃とする周知の冷却溶解法を適用することもでき、これらの加熱溶解法、冷却溶解法を、各原料の性状等に応じて適宜選択して実施することにより、溶解性を制御することができる。
続いて、加熱装置24により加熱された膨潤液を、温調装置25により略室温とする。これにより、ポリマーが溶剤に溶解された原料ドープ11が得られる。この原料ドープ11は、第1濾過装置26により濾過されて未溶解物や不溶解物等が取り除かれる。第1濾過装置26に使用されるフィルタは、その平均孔径が100μm以下のものであることが好ましい。第1濾過装置26での濾過流量は50リットル/hr以上であることが好ましい。濾過後の原料ドープ11は、バルブV3を介して、第4タンク31に送られて貯留される。
ところで、上記のように原料ドープを製造する方法は、TAC濃度が高い原料ドープを生成する場合ほど要する時間が長くなり、そのため製造コストの点で問題となる場合がある。そこで、目的とする濃度よりもTAC濃度が低い原料ドープをつくってから、その後に目的の濃度とするための濃縮工程を行うことが好ましい。その方法としては、図1に示すように、所定の濃度よりも低濃度につくられた原料ドープ11を、第1濾過装置26で濾過した後に、バルブV3を介してフラッシュ装置28に送り、このフラッシュ装置28で原料ドープ11の溶媒の一部を蒸発させる方法がある。蒸発により発生した溶媒ガスは、凝縮器(図示せず)により凝縮されて液体となり回収装置29により回収される。回収された溶媒は、再生装置30により再生されて再利用される。この方法により、上記の製造効率の向上と溶媒の再利用によるコストダウンとが図られる。
上記のように濃縮された原料ドープ11は、送液ポンプP2によりフラッシュ装置28から抜き出される。さらに、ここで、原料ドープ11に発生した気泡を抜くために、泡抜き処理が行われることが好ましい。この泡抜き方法としては、公知の種々の方法が適用され、例えば超音波照射法が挙げられる。原料ドープ11は、続いて第2濾過装置27に送られ、未溶解物や不溶解物等がさらに除去される。なお、第2濾過装置27における原料ドープ11の温度は0℃〜200℃であることが好ましい。そして、原料ドープ11は第4タンク31に送られて貯蔵される。
図2に示すように、後工程19において、原料ドープ11は、送液ポンプP3、P4、P5により、中間層用、支持体面用、エアー面用の3つのドープ流路33、34、35を送液される。そして、中間層用ドープ流路33においては、送液ポンプP6によりストックタンク36に貯留された添加剤液13が添加された後、インラインミキサ39、剪断混合器43により原料ドープ11と添加剤液13とが混合されて中間層用ドープ16が生成される。同様に、支持体面用ドープ流路34においては、原料ドープ11と添加剤液14とがインラインミキサ40、剪断混合器44により混合されて支持体面用ドープ17が生成され、エアー面用ドープ流路35においては、原料ドープ11と添加剤液15とがインラインミキサ41、剪断混合器45により混合されてエアー面用ドープ18が生成される。なお、必要に応じ、支持体面用、エアー面用のドープ流路34、35において、ドープのTAC濃度を調節するための希釈液を添加してもよい。
以上の方法により、TAC濃度が5質量%〜40質量%の3種類のドープ16、17、18を製造することができる。そして、生成された3種類のドープ16、17、18は、後述する流延部81(図5参照)へ送られる。本発明では、インラインミキサによる混合の後に、剪断混合器によりより精密な混合を行うようしたので、長径が数mm以下となるように、原料ドープに添加剤液を混合できる。なお、ドープに直径50μm以上の添加剤液の固まりが残らないように剪断混合器の仕様を決定することがより好ましい。また、TACフイルムを得る溶液製膜法における素材、原料、添加剤の溶解方法、濾過方法、脱泡、添加方法については、特開2005−104148号公報の[0517]から[0616]が詳しく、これらの記載も本発明に適用することができる。
[溶液製膜方法]
次に、上記で得られたドープを用いてフイルムを製造する方法を説明する。図5において、溶液製膜設備80は、前述したドープ製造設備10に加え、ドープを流延するための流延部81と、流延部81から送られてきたフイルムを乾燥するための乾燥部82と、乾燥されたフイルムを巻き取るための巻取部83とを有している。しかし、これらは設備内で明確に区画されているわけではない。
まず流延部81について説明する。流延部81には、バックアップローラ86、87の回転により連続走行するバンド状の流延支持体88と、この流延支持体88上にドープ16、17、18を流延するための流延ダイ90と、ドープ16、17、18が流延されることによって形成された流延膜102をフイルムとして剥ぎ取るためのローラ91とが備えられているとともに、バックアップローラ86、87にはその表面温度を制御するための伝熱媒体循環装置92が取り付けられている。さらに、流延ダイ90から流延支持体88にかけて形成されるビードの背面部を圧力制御するための減圧チャンバ94が配されている。
上記の流延ダイ90、流延支持体88等の流延用機器は流延室95に収められ、この流延室95には、その内部温度を制御する温度コントローラ96と、揮発した有機溶媒を凝縮するための凝縮器(コンデンサ)98とが設けられている。そして、流延室95の外部には、凝縮液化した有機溶媒を回収するための回収装置101が設けられている。
また、流延室95には、流延膜102に送風するための送風機105、106、107を設けている。本実施形態においては、各送風機105、106、107の取り付け位置は、流延支持体88の上方上流側と下流側、及び流延支持体88の下方としているが、本発明はこれに限定されるものではない。また、流延ダイ90の下流であって流延支持体88の近傍には、遮風装置109が備えられている。
ここで、流延部81に備えられる各流延機器についてそれぞれ詳細に説明する。流延ダイ90は、図6に示すように、ドープ16、17、18が供給されるフィードブロック110が備えられている。流延ダイ90の材質としては、オーステナイト相とフェライト相との混合組成をもつ2相系ステンレス鋼が好ましく、その熱膨張率が2×10−5(℃−1)以下であることが好ましい。そして、電解質水溶液での強制腐食試験でSUS316と略同等の耐腐食性を有するものもこの流延ダイ90の材質として用いることができ、さらに、ジクロロメタン、メタノール、水の混合液に3ヵ月浸漬しても気液界面にピッティング(孔開き)が生じない耐腐食性を有するものが好ましい。
流延ダイ90は、さらに、鋳造後1ヶ月以上経過したものを研削加工して作製されたものであることが好ましく、これにより流延ダイ90内を流れるドープ16、17、18の面状が一定に保たれる。流延ダイ90とフィードブロック110との接液面の仕上げ精度は、表面粗さで1μm以下、真直度はいずれの方向にも1μm/m以下であることが好ましい。流延ダイ90のスリットのクリアランスは、自動調整により0.5mm〜3.5mmの範囲で調整可能とされている。流延ダイ90のリップ先端の接液部の角部分について、そのRは全巾にわたり50μm以下とされている。また、流延ダイ90の内部における剪断速度は、1S−1〜5000S−1となるように調整されていることが好ましい。
流延膜102の幅は、特に限定されるものではないが、1500mm〜3000mmであることが好ましい。また、流延ダイ90の幅は特に限定されるものではないが、最終製品となるフイルムの幅の1倍〜1.5倍程度であることが好ましい。さらに、製膜中の温度が所定温度に保持されるように、この流延ダイ90に温度コントローラ(図示せず)を取り付けることが好ましい。また、流延ダイ90としてはコートハンガー型ダイが好ましい。さらに、フイルムの厚みを調整するために、例えば厚み調整ボルト(ヒートボルト)を流延ダイ90の幅方向に所定の間隔で設けること等の自動厚み調整機構が、この流延ダイ90に備えられていることがより好ましい。ここでのフイルム厚みとは、厚み変動と、幅方向における平坦性とを含めて意味している。ヒートボルトについては、予め設定されるプログラムにより送液ポンプ(高精度ギアポンプが好ましい)の送液量に応じてプロファイルが設定されることが好ましい。また、赤外線厚み計等の厚み計(図示せず)のプロファイルに基づく調整プログラムによってヒートボルトの調整量をフィードバック制御してもよい。
流延ダイ90のリップ先端には硬化膜が形成されていることがより好ましい。硬化膜の形成方法は、特に限定されるものではないが、セラミックスコーティング、ハードクロムメッキ、窒化処理方法などが挙げられる。硬化膜としてセラミックスを用いる場合には、研削でき気孔率が低く脆くなく耐腐食性が良いものが好ましい。具体的には、タングステン・カーバイド(WC)、Al、TiN、Crなどが挙げられるが、中でも特に好ましくはWCである。WCコーティングは、溶射法で行うことができる。
また、流延ダイ90のスリット端に流出するドープ16、17、18が、局所的に乾燥固化することを防止するために、スリット端には溶媒供給装置(図示せず)を取り付けることが好ましい。この場合には、ドープ16、17、18を可溶化する溶媒(例えば、ジクロロメタン86.5質量部、アセトン13質量部、n−ブタノール0.5質量部の混合溶媒)がビードの両端部及びスリットと外気との両気液界面に供給されることが好ましい。そして溶媒は、片端部のそれぞれに0.01mL/分〜10mL/分で供給されることが好ましく、これにより、ビード両端部の固化を防止して流延膜中への固化物混入を防止することができる。なお、この溶媒供給のための送液ポンプとしては、脈動率が5%以下のものが好ましい。
流延支持体88については、その幅は特に限定されるものではないが、流延膜102の幅の1.1倍〜1.5倍であることが好ましい。また、その表面は、粗さが0.05μm以下となるように研磨されていることが好ましい。流延支持体88は、ステンレス製であることが好ましく、十分な耐腐食性と強度とを有するようにSUS316製であることがより好ましい。
なお、ドラムを流延支持体として用いることも可能である。この場合には、偏芯等による回転ムラが0.2mm以下となるように高精度で回転できる回転ローラを用いることが好ましく、その表面の平均粗さを0.01μm以下とすることが好ましい。そして、クロムメッキ処理などを行い十分な硬度と耐久性を持たせたドラムであることがより好ましい。以上のように流延支持体88についてはその表面欠陥を最小限に抑制する必要がある。具体的には、30μm以上のピンホールが無く、10μm〜30μmのピンホールは1個/m以下であり、10μm未満のピンホールは2個/m以下であることが好ましい。
次に、図5に戻り、乾燥部82について説明する。乾燥部82は、流延支持体88から剥離されて形成されたフイルム121を所定方向に延伸しながら乾燥するテンタ122と、テンタ122の下流に備えられてフイルム121の両側端部を切断する耳切装置123とを備えるとともに、側端部を切断除去されたフイルム121をローラ126で搬送しながら乾燥する乾燥装置127と、フイルムを冷却する冷却装置128とを備える。そして、乾燥装置127には溶媒ガスを吸着回収するための吸着回収装置131が取り付けられている。なお、前記耳切装置123には、切断されたフイルム側端部の屑を細かく切断するためのクラッシャ132が接続されている。また、フイルム121がテンタ122へ導入される前の渡り部133には、送風機134が備えられている。
続いて巻取部83について説明する。巻取部83には、フイルムの帯電圧値を所定の値となるように調整するための強制除電装置(除電バー)137と、フイルム121の両側端部にエンボス加工をするためのナーリング付与ローラ138と、フイルム121を巻き取るための巻取ローラ141とが備えられ、巻取ローラ141は巻き取り時のフイルム張力を制御するためのプレスローラ142を備える。なお、巻取ローラ141とプレスローラ142とは、巻取室143の内部に備えられている。
次に、上記の溶液製膜設備80によるフイルム製造方法を以下に説明する。図5において流延ダイ90の下方のバックアップローラ86、87は、図示しない駆動装置により回転しており、この回転に伴い流延支持体88は無端走行する。そして、10m/分〜200m/分の流延速度とされることが好ましい。バックアップローラ86、87は、流延支持体88に生じるテンションが1.5×10kg/mとなるように駆動を制御されることが好ましく、流延支持体88とバックアップローラ86、87との相対速度差が0.01m/分以下となるように調整されることが好ましい。
流延支持体88については、その速度変動を0.5%以下とするとともに、一回転する際に生じる幅方向の蛇行を1.5mm以内に抑制することが好ましい。この蛇行を抑制するために、流延支持体88の両側縁の位置を検出する検出器(図示せず)を設け、その測定値に基づきバンドの位置をフィードバック制御することがより好ましい。さらに、流延ダイ90直下における流延支持体88について、バックアップローラ86の回転に伴う上下方向の位置変動が200μm以下となるように調整することが好ましい。
また、本実施形態では伝熱媒体循環装置92によりバックアップローラ86、87が温度調整されている。このバックアップローラ86、87からの伝熱により流延支持体88の表面温度が−20℃〜40℃に調整されることが好ましい。本実施形態におけるバックアップローラ86、87には伝熱媒体の流路(図示せず)が形成されており、その流路を、伝熱媒体循環装置92により所定温度に制御されている伝熱媒体が通過することにより、バックアップローラ86、87の温度が所定の値に保持される。
図6において、流延ダイ90からは、ドープ製造設備10により製造された中間層用、支持体面用、エアー面用の3種類のドープ16、17、18が、流延支持体88に流延される。このとき、中間層用ドープ16が流延膜102の中間層を、支持体面用ドープ17が流延支持体88側の支持体面層を、エアー面用ドープ18が反流延支持体88側のエアー面層を構成するように、中間層用ドープ16を挟んで流延支持体88側に支持体面用ドープ17、反流延支持体88側にエアー面用ドープ18を流延する。これらドープ16、17、18は、流延時における温度が−10℃〜57℃とされることが好ましい。
図5に戻り、流延ダイ90から流延支持体88にかけて形成されるビードの背面部は減圧チャンバ94により圧力制御される。これによりビードの形成が安定化されるとともに、ビードの揺れ等を制御することができる。減圧チャンバ94の内部温度は特に限定されるものではなく、この内部温度制御のために減圧チャンバ94にジャケット等を設けることが好ましい。また、減圧チャンバ94には、ドープ16、17、18の流出口の両側端近傍に吸引装置(図示なし)をさらに設ける場合がある。これにより、ビードの両側端部を吸引してビードの形状をより安定化することができる。この場合には、吸引風力を1L/分〜100L/分とすることが好ましい。
流延支持体88に流延された流延膜102中の溶媒は、送風機105、106、107からの乾燥風により蒸発が促進させる。このとき、遮風装置109は、形成直後の流延膜102が乾燥風の吹き付けにより面状が変動してしまうことを抑制する。また、流延膜102から揮発した有機溶媒は、凝縮器(コンデンサ)98により凝縮され、回収装置101により凝縮された有機溶媒が回収されドープ調製用溶媒として再利用される。なお、流延室95の内部温度は、温度コントローラ96により−10℃〜57℃とされることが好ましい。
フイルム121は、送風機134から所定温度の乾燥風が必要に応じて吹き付けられることにより乾燥が進行されつつテンタ122へ搬送される。送風機134からの乾燥風の温度は20℃〜250℃であることが好ましい。なお、渡り部133では、所定のローラの回転速度を、そのローラよりも上流側のローラの回転速度よりも大きくすることによりフイルム121に搬送方向における張力を付与させることが可能となっている。
テンタ122に送られたフイルム121は、その両端部がクリップ等の保持部材で把持されて搬送されながら乾燥される。本実施形態におけるテンタ122は、フイルム121を幅方向に延伸させることができる。このように、渡り部133とテンタ122との少なくともいずれかひとつにおいては、フイルム121の流延方向と幅方向との少なくとも1方向について0.5%〜300%延伸することが好ましい。なお、テンタ122を区画することにより、その区画毎に温度等の乾燥条件を適宜調整することが好ましい。
フイルム121は、テンタ122で所定の残留溶媒量となるまで乾燥された後、耳切装置123により両側端部を切断除去される。切断された両側端部は、カッターブロワ(図示せず)によりクラッシャ132に送られ、このクラッシャ132により粉砕されてチップとなる。このチップはドープ調製用として再利用されるので、製造コストの改善という観点から有効である。なお、この両側端部の切断工程については省略することもできるが、前記流延工程から巻取部83による巻き取り工程までのいずれかの工程で行うことが好ましい。
両側端部を切断除去されたフイルム121は、乾燥装置127に送られてさらに乾燥される。乾燥装置127においては、フイルム121は、ローラ126に巻き掛けられながら搬送されており、乾燥装置127の内部温度は、特に限定されるものではないが、100℃〜150℃の範囲であることが好ましい。乾燥装置127によりフイルム121から蒸発して発生した溶媒ガスは、吸着回収装置131により吸着回収される。そして溶媒成分が除去された空気は乾燥風として乾燥装置127で再利用される。なお、乾燥装置127は、乾燥温度を変えるために複数の区画に分割されていることがより好ましい。また、耳切装置123と乾燥装置127との間に予備乾燥装置(図示せず)を設けて、この予備乾燥装置によりフイルム121を予備乾燥すると、フイルム121の温度が乾燥装置127で急激に上昇してしまうことを防止することができるので、フイルム121の形状変化をより抑制することができる。
次に、フイルム121は、冷却装置128において略室温にまで冷却される。なお、乾燥装置127と冷却装置128との間に調節手段としての調湿室等を設けてもよく、この調湿手段ではフイルム121に所望の湿度及び温度に調整された空気を吹き付けられることが好ましい。これにより、フイルム121のカール発生や巻き取り工程における巻き取り不良の発生を抑制することができる。
続いてフイルム121は、強制除電装置(除電バー)137により所定の帯電圧値(例えば、−3kV〜+3kV)とされる。ただし、この除電の工程位置は、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、乾燥部82の内部の所定位置やエンボスローラ138の下流位置等であってもよく、また、複数箇所であってもよい。そしてフイルム121は、図5に示すように、その両側端部がエンボスローラ138によりエンボス加工されてナーリングを付与されることが好ましく、施されたエンボスの凹凸差が1μm〜200μmであることが好ましい。
最後に、フイルム121を巻取ローラ141で巻き取る。巻き取り時のフイルムは、プレスローラ142により所望のテンションを付与されながら巻き取られる。このテンションは、巻取開始時から終了時にかけて徐々に変化されることがより好ましい。本実施形態におけるフイルム121は、長手方向の長さが100m以上、幅が600mm以上とされている。このように、製造されたフイルム121は、ドープ16、17、18を生成する際に剪断混合器43、44、45により長径が数mm以下となるように添加剤液13、14、15を混合し、直径50μm以上の添加剤液13、14、15の固まりが残らないようにしているため、高い光学性能を得ることができる。
なお、本発明の溶液製膜方法において、複数のドープを共流延する方法としては、同時積層流延でもよいし逐次流延でもよく、双方を組み合わせてもよい。同時積層共流延を行う際には、本実施形態のようにフィードブロックを取り付けた流延ダイを用いても良いし、マルチマニホールド型流延ダイを用いても良い。複層構造のフイルムは、反剥離面の層の厚さと支持体側の層の厚さとの少なくともいずれか一方が、フイルム全体の厚みの0.5%〜30%であることが好ましい。
さらに、同時積層共流延を行う場合には、高粘度ドープが低粘度ドープにより包み込まれることが好ましく、具体的には表面層を形成するドープが、それらの表面層に挟まれる層を形成するドープよりも低粘度であることが好ましい。また、同時積層共流延を行なう場合には、ダイスリットから支持体にかけて形成されるビードのうち、外界と接するドープが内部のドープよりもアルコールの組成比が大きいことが好ましい。なお、上記の各実施形態では、複層のフイルムを製造する場合のドープ、具体的には、複層フイルムの表面に露出する層のドープの製造方法に関して説明しているが、本発明は単層フイルム用のドープを製造する際にも適用することができる。
流延ダイ、減圧チャンバ、支持体などの構造、共流延、剥離法、延伸、各工程の乾燥条件、ハンドリング方法、カール、平面性矯正後の巻取り方法から、溶媒回収方法、フイルム回収方法まで、特開2005−104148号公報の[0617]から[0889]に詳しく記述されている。これらの記載も本発明に適用できる。
[性能・測定法]
(カール度・厚み)
巻き取られたセルロースアシレートフイルムの性能及びそれらの測定法は、特開2005−104148号公報の[0112]から[0139]に記載されている。これらの性能及び測定法は本発明に適用することができる。
[表面処理]
前記セルロースアシレートフイルムは、その少なくとも一方の面が表面処理されてから、種々の用途に用いられる。表面処理としては、真空グロー放電処理、大気圧プラズマ放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、火炎処理、酸処理またはアルカリ処理の少なくとも一種が行われる。
[機能層]
(帯電防止・硬化層・反射防止・易接着・防眩)
前記セルロースアシレートフイルムは、その少なくとも一面に下塗り層がさらに設けられて各種用途に用いられても良い。
さらに前記セルロースアシレートフイルムは、これをベースフイルムとし、このベースフイルムに他の機能性層を付与した機能性材料として好ましく用いることできる。前記機能性層は、帯電防止層、硬化樹脂層、反射防止層、易接着層、防眩層及び光学補償層から選択される少なくとも1層である。
前記機能性層が、少なくとも一種の界面活性剤を0.1mg/m〜1000mg/m含有することが好ましい。さらには、前記機能性層が、少なくとも一種の帯電防止剤を1mg/m〜1000mg/mの比率で含有することが好ましい。このような機能性層の付与方法としては、特開2005−104148号公報の[0890]から[1087]に詳細な条件、方法も含めて記載されていれており、本発明に適用することができる。
(用途)
製造されたセルロースアシレートフイルムは、特に偏光板保護フイルムとして有用である。セルロースアシレートフイルムを偏光子に貼り合わせた偏光板を、液晶層に通常は2枚貼って液晶表示装置を作製する。ただし、液晶層と偏光板との配置は限定されるものではなく、周知の各種配置とすることができる。この内容については、特開2005−104148号公報の[1088]から[1265]には、液晶表示装置として、TN型、STN型、VA型、OCB型、反射型、その他の例が詳しく記載されており、これを本発明にも適用できる。また、同出願には光学的異方性層を付与したセルロースアシレートフイルムや、反射防止、防眩機能を付与したセルロースアシレートフイルムについての記載もあり、これも本発明に適用できる。更には、適度な光学性能を付与した二軸性セルロースアシレートフイルムとして光学補償フイルムとしての用途も記載されており、これも本発明に適用できる。
本発明により、光学特性に優れるセルロースアシレートフイルムが得られる。このセルロースアシレートフイルムは、偏光板保護フイルムや写真感光材料のベースフイルムとして使用することができる。さらに、テレビ用途等の液晶表示装置の視野角依存性を改良するための光学補償フイルムとして、特に、偏光板の保護フイルムを兼ねる用途に効果的である。そのため、従来のTNモードだけでなく、IPSモード、OCBモード、VAモード等の液晶表示装置に適する。
ドープ製造設備の前工程を示す概略図である。 ドープ製造設備の後工程を示す概略図である。 剪断混合器の構成を示す説明図である。 構成の異なる剪断混合器を示す説明図である。 本発明の溶液製膜設備の概略図である。 流延ダイから支持体上に3種類のドープを流延する際の説明図である。
符号の説明
10 ドープ製造設備
11、16、17、18 ドープ
13、14、15 添加剤液
39、40、41 インラインミキサ
43、44、45、55、56、59 剪断混合器
80 溶液製膜設備
88 流延支持体
90 流延ダイ
102 流延膜
121 フイルム

Claims (6)

  1. ポリマーを含むドープに添加剤液を添加してインラインミキサで混合した後、流延ダイから走行する支持体上に流延して流延膜を形成し、この流延膜が自己支持性を有した後に剥ぎ取ってポリマーフイルムを得る溶液製膜方法において、
    前記インラインミキサにより混合された前記ドープと前記添加剤液との混合物を、剪断混合装置によって、剪断速度が500s−1以上2500s−1以下の範囲で剪断混合する精密混合ステップを備えるとともに、
    前記精密混合ステップでは、前記ドープが流される配管の径を段階的に絞り込むことによって形成された多段式かつ静止型の混合装置を用いて前記剪断混合を行うことを特徴とする溶液製膜方法
  2. 前記絞り込みを行うことによって前記配管の径が最も小径となる最終段階の絞り込み後、所定長の区間は、絞り込んだ配管の径を維持することを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法
  3. 各段階の絞り込み後、所定長の区間は、絞り込んだ配管の径を維持することを特徴とする請求項記載の溶液製膜方法
  4. 前記ドープと前記添加剤液の粘度比が10以上10以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の溶液製膜方法
  5. 前記流延膜の流延幅が1500mm以上3000mm以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の溶液製膜方法
  6. 前記ポリマーがセルロースアシレートであることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の溶液製膜方法
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