JP4955852B2 - 光電極及びこれを用いた光化学電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質高分子膜を支持膜とした光半導体複合膜、該光半導体複合膜を用いた光電極及び光化学電池に関するもので、特に色素増感型光化学電池に好適な光半導体複合膜、並びにこれを用いた光電極及び光化学電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
色素増感型光化学電池は、シリコン太陽電池に比べて安価であるという特徴を有し、古くから研究されているが、光電変換効率が低いために実用化されていなかった。
【0003】
しかし、1991年ローザンヌ工科大学のM.グレッツェル教授らが、光電変換効率が7.1〜7.9%の色素増感型光化学電池を発表し(Nature,353,737(1991))、すでに10%を越える変換効率を達成している。この色素増感型光化学電池は、透明なガラス基板上にフッ素ドープ酸化スズの導電性膜を積層し、さらにアナターゼ型酸化チタンの多孔質膜を積層し、この酸化チタン膜の表面にルテニウム錯体を光増感色素として付着させた色素増感型光化学電池である。透明導電ガラス基板上に形成された酸化チタン膜は、ガラス基板上で高温に焼成されることにより形成され、厚みが10μm程度で、ラフネスファクター(基板面積に対する多孔質内部の実表面積の割合)が700〜800と大きい。このような構成を有する色素増感型光化学電池(グレッツェル電池)は、実用化に可能な光電変換効率を有するとして、現在、実用化されようとしている。
【0004】
一方、このグレッツェル電池は導電性ガラスを基板としているため、重くて、可撓性が無い。色素増感型光化学電池の軽量化及び可撓性を付与するために、基板として、高分子フィルムを用いることが提案されている。例えば、2nd World Conference and Exhibition on Photovoltaic Solar Enegy Conversion, Vienna 1998(従来技術1)には、基板としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用し、このPETフィルム表面にインジウム・スズ酸化物(ITO)を積層した導電性高分子フィルムを用いた色素増感型光化学電池が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
基板として導電性高分子フィルムを用い、この導電性高分子フィルム上に酸化チタン層を積層してなる高分子フィルム型グレッツェル電池は、導電性フィルム表面に酸化チタン含有液を塗布した後、熱処理して酸化チタン層を形成することにより形成されるが、高分子フィルムの耐熱性との関係から、熱処理温度を高くできないという問題があった。つまり、ガラスを基板として用いている場合には、450℃程度で焼成を行うことが可能であるが、ポリエステルフィルム等の高分子フィルムを用いた従来技術1では、せいぜい150℃程度が限界であった。このため、形成される酸化チタン層はガラス基板を用いて作製した酸化チタン層のように、酸化チタン同士が密接した酸化チタン層を得ることができず、ひいてはぶ厚い酸化チタン層を形成することが困難である。これらの理由から、導電性フィルム上に酸化チタン層を積層した高分子フィルム型グレッツエル電池の光電変換効率は、室内光に相当する250ルクス(0.2mW/cm2)で短絡電流密度(Jsc)15μA/cm2、開放電圧(VOC)0.48V、形状因子(ff)0.67、光電変換効率(η)2.3%であり、実用化は室内用途のごく限られたものになる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、室内光だけでなく屋外でも実用化に可能なレベルの光電変換効率を有する、高分子基板を用いた光電極、及び当該光電極を用いた色素増感型光化学電池を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の光電極は、外部に連通する空孔を有する多孔質高分子膜に光半導体を担持してなる光半導体複合膜と、該光半導体複合膜の一面に積層されている透明な導電層とを含む。
【0008】
前記光半導体は、前記多孔質高分子膜の空孔内に保持されるとともに、前記多孔質高分子膜の一面に光半導体層が積層されるように担持されていて、前記導電層は、前記光半導体層に積層されていることが好ましい。
【0009】
前記多孔質高分子膜は、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜であることが好ましい。
【0010】
前記光半導体複合膜の厚みが1〜30μmであることが好ましい。
【0011】
前記光半導体は、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化スズ及び酸化亜鉛よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、さらに、多孔質光半導体粒子及び光半導体粉末を含むことが好ましい。また、前記多孔質光半導体粒子は、光半導体粉末を界面活性剤または親水性高分子化合物とともに400〜600℃で焼成した後、粉砕することにより得られるものであることが好ましい。さらに、前記光半導体粉末と前記多孔質光半導体粒子との含有質量比率は、光半導体粉末:多孔質光半導体粒子が1:9〜5:5であることが好ましい。
【0012】
前記導電層は、透明高分子基板と、該透明高分子基板の片面に積層された導電性物質層とを含むことが好ましく、前記導電性物質層は、インジウム・スズ酸化物、フッ素ドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、及びドーパント含有酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0013】
前記光半導体複合膜は、多孔質高分子膜に、光半導体含有液を塗布又は含浸した後、200℃以上で焼成したものであることが好ましい。
【0014】
本発明の光電極は、前記光半導体に、さらに色素が付着されていてもよい。
【0015】
本発明の光半導体複合膜は、外部に連通する空孔を有する多孔質高分子膜と、該多孔質高分子膜に担持された光半導体とを含む光半導体複合膜であって、該光半導体複合膜は、光半導体含有液を前記多孔質膜に塗布または含浸した後、200℃以上で焼成して得られたものである。
【0016】
本発明の光化学電池は、上記本発明の光電極と、該光電極の光半導体複合膜と対向する側に設けられた対極と、該光電極と該対極との間に充填される電解液とを含む。
【0017】
【発明の実施の形態】
はじめに、本発明の光電極に用いられる光半導体複合膜について説明する。
【0018】
〔光半導体複合膜〕
本発明で用いられる光半導体複合膜は、外部に連通する空孔を有する多孔質高分子膜と、これに担持された光半導体とを含んでいる。
【0019】
図1は、外部に連通する空孔1aを有する多孔質高分子膜1の模式断面図を示しており、図2は、この多孔質高分子膜1の空孔1a内に光半導体2が保持されるとともに、多孔質高分子膜1の片面に光半導体2からなる光半導体層3が形成されるように担持された光半導体複合膜5を示している。
【0020】
光半導体2が多孔質高分子膜1の空孔1a内に保持されることにより、多孔質高分子膜の空孔1a内に保持される光半導体2が安定化するだけでなく、多孔質高分子膜1上に積層された光半導体層3も安定化し、その結果、光半導体をより多く担持したぶ厚い光半導体層を得ることが可能となる。
【0021】
本発明で用いられる多孔質高分子膜1は、外部に連通する空孔1aを有する多孔質の高分子フィルムであればよく、具体的には、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、酢酸セルロース、多孔質ポリスチレン、多孔質ポリエチレン等の高分子膜が挙げられる。これらのうち、化学的安定性(特に耐熱性、耐薬品性)、電気化学的安定性に優れるという点から、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜が好ましく用いられる。耐熱性に優れるPTFE系高分子膜を用いることにより、その融点または分解温度以下であれば、200℃以上、好ましくは300℃程度の高温で乾燥焼成することが可能になる。高温焼成により、光半導体2同士がより密着した光半導体層3を形成できる。つまり、多量の光半導体2を多孔質高分子膜1に安定して固定することができる。
【0022】
ここで、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)とは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のファインパウダーを成形助剤と混合することにより得られるペーストの成形体から、成形助剤を除去した後あるいは除去せずに延伸し、さらに必要に応じて焼成することにより得られるもので、一軸延伸の場合、フィブリルが延伸方向に配向するとともに、フィブリル間が空孔1aとなった繊維質構造となっている。また、二軸延伸の場合には、フィブリルが放射状に広がり、ノード及びフィブリルで画された空孔が多数存在するクモの巣状の繊維質構造となっている。
【0023】
多孔質高分子膜1の厚みは、安定した光半導体層3を形成するのに十分な厚みで、1〜30μm程度の光半導体複合膜を得ることができる程度の厚みが好ましい。具体的には、0.5μm以上が好ましく、より好ましくは1μm以上である。一方、好ましい上限は、20μm、より好ましくは10μm、さらに好ましくは5μmである。0.5μm以下では安定な光半導体層3の形成が困難となり、逆に多孔質高分子膜1の膜厚が大きすぎると、最終的に得られる光半導体複合膜も分厚くなって電極間距離が大きくなるため、抵抗が大きくなるとともに電解質の拡散が困難になるからである
連通型多孔質高分子膜1の空孔1aの大きさは、最大孔径が0.1μm以上が好ましく、より好ましくは1μm以上である。0.1μm未満では、空孔1a内に光半導体2を含浸させることが困難となるために、操作が煩雑となり、また空孔1a内に充分な量の光半導体2を充填することが困難となり、光電変換効率が低下するからである。
【0024】
連通型多孔質高分子膜1の空孔率は、ePTFEの場合、空孔率50〜98%程度が好ましく、より好ましくは80〜90%である。空孔率が50%未満では、保持できる光半導体2が少なくなりすぎて、光電変換効率が低下する。一方、空孔率が高くなりすぎると、膜強度が低下して取り扱いにくくなる。また空孔率が高いと、保持される光半導体を多くできるが、得られる光半導体複合膜の可撓性が低下する。光半導体複合膜の可撓性の低下は、光電極の基板として可撓性を有する高分子フィルムを用いたときのメリットを損なうことになるからである。
【0025】
ここで、空孔率(%)は、下式から求められる。式中、真比重とあるのは、連通型多孔質高分子膜を構成する材料の真の比重であり、例えばePTFEの場合はポリテトラフルオロエチレンの比重である2.2となる。
空孔率=(真比重−見かけの比重)÷真比重×100
空孔の最大孔径は、下式に示すようにバブルポイントから求められた値である。式中、B.P.は膜の上面に2−プロパノールを注ぎ、下面から空気を圧入したときに連続した気泡が発生するときの圧力である。
最大孔径=0.65÷B.P.
【0026】
光半導体2としては、光により励起したエネルギーに基づいて電子を発生する化合物、例えば酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、ニオブ酸カリウムなどが挙げられ、これらのうち色素増感型光化学電池の光半導体電極や水の光分解反応用の光電極としては、光触媒機能が高い酸化チタン、特にアナターゼ型酸化チタンが好ましく用いられる。
【0027】
これらの光半導体は、粉末(一次粒径7〜50nm程度)を用いてもよいし、粉末を一旦焼成して多孔質化した光半導体粒子を用いてもよく、好ましくは光半導体粉末と多孔質化光半導体粒子を併用することである。
【0028】
図2は、光半導体として、光半導体粉末2bと多孔質化光半導体粒子2aを混合したものを用いて作製した光半導体複合膜5′を示している。この光半導体複合膜5′では、多孔質光半導体粒子2a間に光半導体粉末2bが充填されたような緻密な光半導体層3′が形成されている。このように光半導体同士の密着性が高められた光半導体層3′では、光半導体粉末単独、多孔質化光半導体粒子単独で形成される光半導体層よりも光半導体同士の間隙が小さくなり、接触抵抗が小さくなって、結果として高い光電変換効率が実現できる。
【0029】
一般に光半導体は、光半導体粉末として市販されているので、光半導体粉末2bとしては市販品(例えば、石原産業株式会社の酸化チタンST−21、日本アエロジル株式会社のP25)をそのまま用いればよい。
【0030】
多孔質光半導体粒子2aとしては、光半導体粉末を、界面活性剤又は親水性高分子化合物とともに、400℃以上、600℃以下で焼成し、界面活性剤又は親水性高分子化合物を焼失させることにより多孔質化したものが好ましく用いられる。具体的には、原料となる光半導体粉末、空孔を形成するための界面活性剤又は親水性高分子化合物、及び光半導体粉末の凝集を防止する分散剤を、分散媒中で分散させて光半導体ペーストを調製し、この半導体ペーストを400〜600℃、好ましくは450℃程度で焼成することにより得られる。このようにして得られる多孔質光半導体粒子2aは、光半導体の1次粒子が、焼成等により結着されるとともに、焼成によって除去された界面活性剤等の有機物が存在していた部分が空孔となっている。多孔質光半導体粒子は、その粒径が粉末の場合よりも大きくなるが、多孔質化されているので、色素増感型光化学電池用光電極作製のために、色素等を付着させる場合であっても、付着量を減らすことなく、高められた光電変換効率を発揮できる。また、多孔質光半導体粒子内では、粒子内の空孔を通じて電解質の拡散が容易となるため、結果として得られる光電極の光電変換効率が向上する。
【0031】
多孔質半導体粒子の製造原料に用いる光半導体粉末としては、光半導体層2の構成成分である光半導体粉末として使用できるようなもの(市販品)を用いることができる。また、分散剤としてはアセチルアセトンやカテコール、あるいは硝酸などの酸が用いられ、分散媒としては、水およびアルコールなどが用いられる。界面活性剤又は親水性高分子化合物としては、焼成工程で焼失するものであれば特に制限はないが、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸又はこれらの誘導体などが好ましく用いられる。焼成は、400℃以上、好ましくは450℃以上の耐熱性を有する基板(例えばガラス基板、素焼き板、蒸発皿)上に光半導体のペーストを成膜した状態で行うことが好ましい。焼成により基板上に形成された多孔質光半導体膜を物理的に基板から剥離し、これを乳鉢等を用いて粉砕することにより、粒径0.1〜5μm程度の多孔質光半導体粒子を得ることができる。
【0032】
光半導体として、光半導体粉末2bと多孔質光半導体粒子2aを混合して用いる場合、両者の含有質量比率(光半導体粉末:多孔質光半導体粒子)が1:9〜5:5となるように含有することが好ましく、より好ましくは1:3〜1:2である。上述のように多孔質光半導体粒子の粒径が光半導体粉末2bの一次粒子の粒径より大きいために、このような割合で含有することにより、有効に多孔質光半導体粒子2a間の間隙に光半導体粉末2bが充填されるようになり、光半導体間間隙が密接して抵抗低減に寄与した光半導体層3を形成することができる。
【0033】
以上のような光半導体複合膜5は、多孔質高分子膜に、光半導体を含む液(光半導体含有液)を塗布又は含浸した後、乾燥することにより得ることができる。好ましくは、多孔質膜として、耐熱性に優れたePTFEを使用し、乾燥を、200℃以上でPTFEの融点未満(327℃未満)、好ましくは300℃程度で焼成することにより行う。200〜327℃、好ましくは300℃程度で焼成することにより、光半導体同士が焼き固められて、光半導体同士が密着した光半導体層を形成することが可能となる。光半導体同士が密接した光半導体層は、接触抵抗が小さいため光電変換効率の向上に寄与できる。また、高温での焼成により、支持膜として用いられる多孔質高分子膜と光半導体との密着性が向上し、安定な光半導体複合膜が得られる。
【0034】
光半導体含有液に用いられる分散媒としては、多孔質光半導体粒子の製造時に用いた分散媒を使用することができる。すなわち、水、エタノール等のアルコール類等を用いることができる。多孔質高分子膜としてePTFEを用いる場合、分散媒はアルコールが好ましく用いられ、光半導体100質量部に対して、分散媒300〜3000質量部を用いることが好ましい。また分散剤としてはアセチルアセトンが好ましく用いられ、光半導体100質量部に対して分散剤1〜30質量部を用いることが好ましい。
【0035】
光半導体の多孔質高分子膜における担持量は、多孔質高分子膜に担持できる量であれば多いほど好ましく、多孔質高分子膜の空孔率、空孔径等により決定される。光半導体含有液を塗布する場合には、塗布量は、安定した光半導体層3を形成できる量で、好ましくは多孔質高分子膜1の空孔内1aに、光半導体2が密に充填される量であり、必要に応じて2回以上の重ね塗りを行ってもよい。
【0036】
尚、図2及び図3に示す光半導体複合膜5,5′はいずれも、多孔質高分子膜の一面にだけ光半導体層3,3′が積層されていたものであったが、本発明の光半導体複合膜はこれに限定されず、多孔質高分子膜1の両面に光半導体層が積層されていてもよい。光半導体含有液に、多孔質高分子膜1を浸漬した場合には、両面に光半導体層が形成された光半導体複合膜が得られる。
【0037】
以上のような構成を有する本発明の光半導体複合膜は、使用する多孔質高分子膜の厚みにもよるが、1μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは5μm以上で、30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下であることが好ましい。1μm未満では、光半導体の量が少なすぎて、光電変換効率が低下する。また30μmを越えると、電極間距離が大きくなり、抵抗が大きくなるとともに、電解質の拡散が困難になる。本発明の光半導体複合膜は、光半導体の担持に外部に連通する空孔を有する多孔質高分子膜を用いているので、多孔質高分子膜上に積層される光半導体層が安定化され、従来技術1のように、高分子基板上に形成されている導電層に直接光半導体を積層した場合と比べて、はるかに多量の光半導体を担持することができる。そして、光半導体複合膜においては、光半導体層は勿論、多孔質高分子膜内に充填された光半導体も光電変換に寄与することができるので、高い光電変換効率が達成できる。また、多孔質高分子膜として耐熱性に優れたePTFEを用いることにより、光半導体層形成のために行う焼成温度を高くすることができるので、得られる光半導体層における光半導体同士の密着強度が高くなり、結果として光電変換効率をより高めることができる。
【0038】
〔光電極〕
本発明の光電極は、光半導体複合膜の一面に透明な導電層が積層されたものである。
【0039】
図4は、図2に示すような光半導体複合膜5に、導電層10が積層された光電極を示している。導電層10としては、透明高分子基板12の一面に、透明導電性物質層11が積層したものを使用し、導電性物質層11を光半導体層3に積層している。
【0040】
透明高分子基板12としては、透明な高分子フィルム、高分子シート、高分子膜、高分子板(以下、これらをまとめて「高分子フィルム等」と総称する)などが用いられる。高分子の種類は特に限定されず、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系樹脂などを用いることができる。これらのうち、耐候性を特に必要とする場合には透明フッ素樹脂フィルム等が好ましく用いられる。
【0041】
本発明にいう透明とは、波長が550nmで透光度50%以上の場合をいう。この程度であれば、透過光量は十分である。一方、50%未満では、光の透過が少なすぎて、光電極用の透明導電層としては不十分である。
【0042】
透明高分子基板12の厚みは、特に限定しないが、可撓性を必要とする場合には透明性を損なわない程度の厚みのフィルム、具体的には、10μm〜4mm程度のフィルムが好ましく用いられる。
【0043】
導電性物質層11は、透明な高分子基板12の透明性を損ねない導電性物質からなる。このような要求を満足する導電性物質としては、インジウム・スズ酸化物、フッ素ドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、及びドーパント含有酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種が用いられる。ここで、ドーパント含有酸化亜鉛とは、酸化亜鉛に、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、及びフッ素からなる群より選ばれる少なくとも一種をドープしたものをいい、特にアルミニウム、ガリウムをドーパントとして用いたドーパント含有酸化亜鉛が好ましい。
【0044】
導電性物質層11の形成方法は、特に限定しないが、透明高分子フィルム12の片面に、スパッタ法、電子ビーム真空蒸着法、イオンプレーティング法などにより導電性物質を積層する方法が好ましく用いられる。
【0045】
導電性物質層11と光半導体層3との間の接着は、導電性物質層11表面にバインダーとなる光半導体塗布液や導電性接着剤を塗布した後、上記本発明に係る光半導体複合膜5の光半導体層3を重ねあわせることにより行えばよい。本発明の光半導体複合膜の光半導体層3の表面は凹凸面であるから、導電性物質層11の凹凸面との間を埋める程度のバインダーが存在すれば、光電極として必要な接着強度が得られる。界面の接触抵抗を低減するために、積層後、加熱加圧することが好ましい。
【0046】
光半導体塗布液としては、光半導体複合膜の製造に用いた光半導体含有液を用いることができる。導電性接着剤としては、インジウム、スズ酸化物インクなどを用いることができる。
【0047】
本発明の光電極に用いられる導電層としては、図4に示されるような、高分子基板12と該高分子基板12上に導電性物質層を積層したものに限定されない。光半導体複合膜5の光半導体層3表面に、直接導電性物質をスパッタ法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法等により積層して導電層を形成してもよい。このような方法によれば、バインダーを介在させることなく、直接光半導体層上に導電層が形成されることになるので、より光半導体層3と導電層との界面での接触抵抗を低減させることができる。
【0048】
以上のような構成を有する本発明の光電極は、多孔質高分子膜を支持膜として分厚い光半導体層を形成しているので、従来よりも高い光電変換効率が得られる。さらに、多孔質高分子膜としてePTFEを用いた光電極では、光半導体層形成の際の焼成温度を高くして、光半導体同士が密接した光半導体層を形成することができるので、高い光電変換効率が達成されている。
【0049】
本発明の光電極は、水の光分解、二酸化炭素の光分解や光化学反応、有機光化学反応などの種々の光化学反応用電極として用いることができる。また、多孔質構造を有しているので、光半導体層に太陽光で励起するのに必要な量の光増感色素を多量に付着させることができる。色素を付着させた光電極は、色素増感型光化学電池(太陽電池)用の光電極として有用である。
【0050】
光増感色素としては、太陽光を効率良く吸収できるものであれば特に限定されないが、酸化チタンなどの光半導体への電子伝導を容易に行うためにカルボキシル基を有する化合物があるものが好ましく用いられる。そのなかでも、広い可視光波長領域に吸収のあるルテニウム金属錯体が特に好ましく用いられる。例えば、シス−ビス(イソチアシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)、トリス(イソチアシアナト)(2,2’:6’,2”−ターピリジン−4,4’,4”−トリカルボキシレート)ルテニウム(II)、シス−ビス(イソチアシアナト)ビス(1,10−フェナントロリル−4,7−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)などが挙げられる。この他、クマリン誘導体、ローズベンガル、エオシン、メロシアニン、ペリレン、フタロシアニン類などの安価な有機色素を用いることもできる。
【0051】
光増感色素の付着方法としては、上記光増感色素を溶媒に溶解させた溶液に、光半導体複合膜単体で、あるいは光半導体複合膜に導電層を積層した状態で、浸漬する方法が挙げられる。いずれの場合も多孔質高分子膜の外部に連通する空孔を通じて色素が進入し、光半導体層に付着する。
【0052】
〔光化学電池〕
本発明の光化学電池は、上記色素を付着させた光電極を用いたものである。すなわち、図5に示すように、本発明の光電極20と対極30とを、光電極20の多孔質高分子膜1側が対極30と向かい合うように設置し、両者の間に、電解液を充填したものである。
【0053】
電解液にはヨウ素とヨウ化物からなるヨウ素溶液が好ましく用いられるが、酸化還元反応により電子伝達が可能な媒介物質であればよい。また、溶媒には、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピレンカーボネート、3−メチル−2−オキサゾリジノン、エチレンカーボネートなどの有機化合物が用いられる。これらの電解液には疑似固体化のために、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリルなどの高分子ゲル化剤;L−イソロイシン誘導体やL−バリン誘導体等の低分子のゲル化剤;メタクリル酸メチルと脂環式エポキシからなるアクリル系、ポリイソシアネート、ポリウレタンプレポリマー及び硬化促進剤からなるウレタン系等の反応性ゲル化剤を添加しても良い。
【0054】
対極30としては、従来よりこの分野で用いられていたものを使用することができるが、一般には基材31上に導電性物質層32、さらに白金層33が順に積層されたものが用いられる。基材31及び導電性物質層32の組合わせとしては、光電極20で用いたものと同種類のものを用いることができる。導電性物質層32の上には、触媒として白金を、スパッタや電着により設けることができる。
【0055】
光電極20として色素付着型光電極を用いれば、太陽光で作動する太陽電池が得られる。太陽電池の場合、太陽光を吸収して色素が励起し、励起により発生した電子が光半導体に取り込まれ、隣接する他の光半導体を移動して、導電性物質層11に運ばれる。導電性物質層11に運ばれてきた電子は、外部回路を通って、対極30に送られる。対極30では、白金の触媒作用により、電解質(I3 -)が電子を受け取って、ヨウ化物イオン(I-)となる。ヨウ化物イオンは、光電極20側に移動し、酸化された色素を還元型に戻す。
【0056】
本発明の光化学電池は、ガラス基板を用いた従来の色素増感型光化学電池と比べて、大変軽く、薄く加工しやすいため、電卓、ゲーム機、おもちゃなどの室内用機器の電源やノート型コンピュータ、携帯電話、電子ペーパー、スマートカードなどの携帯用電気製品、電子機器に用いる電源として用いることができる。さらには、基板として高分子フィルムのような可撓性を有する基板を用いた場合には、テント、ビーチパラソル、日傘などのアウトドア用製品、カーテン、ブラインド、衣服、かばんなどに貼付して充電することができる手軽で便利な光化学電池(太陽電池)として有用である。
【0057】
【実施例】
〔測定評価方法〕
▲1▼電流・電圧特性
光化学電池に山下電装株式会社のソーラーシミュレータYSS−50とケースレー社のデジタルソースメータ2400を用いて、AM1.5、100mW/cm2の光を照射した時の電流−電圧特性を測定し、下記値を求めた。
【0058】
a)開放電圧VOC(V)
開路が開放しているときの電圧である。
【0059】
b)短絡電流値Isc(mA)及び短絡電流密度Jsc(mA/cm2
短絡電流値は、短絡時すなわち電圧が0のときの電流値であり、短絡電流密度は求められた短絡電流値を光化学電池の投影面積S(cm2)で除した値である。
【0060】
c)形状因子ff
下記式により算出される値である。尚、式中の最大電圧(Vmax)、最大電流(Imax)は、電流電圧曲線の変極点の電流及び電圧である。
Figure 0004955852
【0061】
d)光電変換効率η(%)
強度W(mW/cm2)の光を照射した際に、光化学電池が照射光を電力として変換できる効率で、下記式により求められる値である。
Figure 0004955852
具体的には、以下の方法で求めた。
【0062】
較正されたリファレンスセルをソーラシミュレータの下で測定し、その短絡電流が短絡電流の較正値Iscとなるようにソーラシミュレータの光量を調整する。光量を調整したソーラーシミュレータに光化学電池をセットし、ソースメータで電圧を任意の範囲にスイープさせて、変極点となる最大電流値(Imax)及び最大電圧(Vmax)を測定し、上式に代入して求めた。
【0063】
▲2▼光化学電池の投影面積
光電極の縦横の長さをノギスで測定して、面積を計算した。
【0064】
▲3▼光半導体複合膜の膜厚
株式会社ミツトヨ製デジマチックマイクロメータNo.293−421−20を用いて測定した。
【0065】
〔多孔質酸化チタン粒子の調製〕
a)多孔質酸化チタン粒子P25:
日本アエロジル株式会社製の酸化チタン粉末P25(TiO2含有率99.5質量%、比表面積50m2/g、一次粒径21nm、ルチル化率30%)を6g、エタノール2cm3、分散剤としてアセチルアセトン0.2cm3をジルコニアビーズの入った容器に入れ、ペイントシェーカーを用いて30分間分散させた。その後、エタノール2cm3を加えてペイントシェーカーを用いて30分間分散させる操作を4回繰返して、酸化チタンペーストを調製した。トリトンX−100界面活性剤0.2cm3を水1cm3に溶かした溶液を、先に調製した酸化チタンペーストに添加し、軽く攪拌後、ガラス板上に塗り、450℃で30分間焼成した。焼成した酸化チタン膜を剥がし、瑪瑙乳鉢で粉砕して、多孔質光半導体粒子に該当する多孔質酸化チタン粒子P25を得た。
【0066】
b)多孔質酸化チタン粒子ST−21:
酸化チタン粉末P25に代えて、石原産業株式会社製の酸化チタン粉末ST−21(TiO2含有率98質量%、比表面積64cm2/g、一次粒径20nm)を用いた以外は同様にして、多孔質酸化チタン粒子ST−21を調製した。
【0067】
〔酸化チタン含有塗布液〕
a)P25塗布液:
酸化チタン粉末P25を6g、エタノール2cm3、及びアセチルアセトン0.2cm3を、ジルコニアビーズの入った容器に入れ、ペイントシェーカーを用いて30分間分散させた。その後、エタノール2cm3を加えてペイントシェーカーを用いて分散させるというエタノール添加及び分散操作を4回繰り返した。さらに、エタノール40cm3を加えた後、超音波洗浄器で30分間処理して、P25塗布液を調製した。
【0068】
b)ST−21塗布液:
酸化チタン粉末P25に代えて、酸化チタン粉末ST−21を用いた以外はP25塗布液を調製する場合と同様にして、ST−21塗布液を調製した。
【0069】
c)多孔質酸化チタン粒子・酸化チタン粉末混合塗布液
酸化チタン粉末P25の添加量を1.8gに減量した代わりに、上記で調製した多孔質酸化チタン粒子P25の添加量を4.2gとして、P25塗布液の調製に準じて、P25混合塗布液を調製した。
【0070】
酸化チタン粉末ST−21の添加量を1.8gに減量した代わりに、上記で調製した多孔質酸化チタン粒子ST−21の添加量を4.2gとして、ST−21塗布液の調製に準じて、ST−21混合塗布液を調製した。
【0071】
〔光電極の作製〕
光電極No.1〜5:
延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)(膜厚3μm、空孔率60%、最大孔径0.30μm)をペトリディッシュに張り、表1に示す酸化チタンを含有する塗布液に浸漬し、超音波洗浄器で30分間処理した後、風乾し、引き続き、300℃で焼成することにより、光半導体複合膜を作製した。
【0072】
尚、No.1は、P25混合塗布液に浸漬し、超音波洗浄器で30分間処理した後、ST−21混合塗布液に浸漬した。
【0073】
この酸化チタンePTFE複合膜に、バインダーとしてP25塗布液を塗布し、塗布面を王子トービ株式会社の透明導電性ITO−PETフィルムOTEC−110B−125N(表面抵抗率1.1×101Ω/□、550nmでの光線透過率73%)に貼着して、真空乾燥器で150℃、30分間乾燥することにより光電極を作製した。
【0074】
光電極No.6:
光半導体複合膜の作製にあたり、300℃で焼成しなかった以外は、光電極No.4と同様にして作製した。
【0075】
光電極No.7:
酸化チタン粉末ST−21を6g、エタノール2cm3、及びアセチルアセトン0.2cm3を、ジルコニアビーズの入った容器に入れ、ペイントシェーカーを用いて30分間分散させた。その後、エタノール2cm3を加えてペイントシェーカーを用いて分散させるというエタノール添加及び分散操作を4回繰り返して、ST−21粉末のペーストを調製した。このペーストを、光電極No.1で用いたものと同種類の透明導電性ITO−PETフィルムOTEC−110B−125Nの導電面に、直接塗布した後、真空乾燥機で150℃、30分間乾燥することにより光電極を作製した。
【0076】
〔光化学電池の作製〕
作製した光電極を0.3mmol/dm3のシス−ビス(イソチアシアナト)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)(以下、N3錯体と呼ぶ)のエタノール溶液につけて一晩放置した。その後N3錯体が付着した電極(光電極)をエタノールですすいだ後、風乾して色素付着光電極を得た。
【0077】
上記で作製した色素付着光電極の酸化チタン層と対極の白金スパッタ層とが向かい合うように、両者を重ね合わせ、ヨウ化テトラブチルアンモニウム0.5mol/dm3とヨウ素50mmol/dm3のアセトニトリル溶液(電解液)を注入して色素増感型光化学電池(太陽電池)を組み立てた。
【0078】
この光化学電池の電流電圧特性を測定した結果を表1に示す。また光化学電池No.1の電流電圧特性を図6に、No.4の電流電圧特性を図7に、No.7の電流電圧特性を図8に示す。
【0079】
【表1】
Figure 0004955852
【0080】
表1からわかるように、酸化チタンの担持に多孔質高分子膜を使用しなかったNo.7は、光電変換効率が小さかった。
【0081】
No.6は、酸化チタン塗布後に室温で風乾を行い、導電性フィルムの貼着の際に150℃で焼成したものである。No.7よりも高い光電変換効率を示したことから、多孔質高分子膜を支持膜として用いることは、光電変換効率の向上に寄与できることがわかる。但し、No.1〜5と比べると、光電変換効率は劣っていた。150℃程度の焼成では、光電変換効率の向上に十分とは言えない。
【0082】
No.1〜5は、いずれも多孔質高分子膜を用いて酸化チタンを担持し、さらに酸化チタン塗布液の乾燥を300℃で焼成した場合であり、光電変換効率は1.7以上を示した。特に、担持する酸化チタンとして、多孔質酸化チタン粒子と酸化チタン粉末を混合して用いた場合には、より高い光電変換効率を達成できた(No.1,2)。予め十分な高温(450℃)で焼成した多孔質酸化チタン粒子では、電解質の拡散が容易となり、多孔質酸化チタン粒子内での酸化チタン同士の密着が優れているので、抵抗低減に寄与したと考えられる。
【0083】
尚、従来技術1の光電変換効率は2.3%と報告されている。しかし、従来技術1では0.2mW/cm2の光を照射したときの光電変換効率であり、本発明の実施例では100mW/cm2の光を照射したときの光電変換効率を示している。一般に、強い光を照射するほど、光電変換効率は低下する傾向にあることから、本発明実施例のように、100mW/cm2の光を照射したときの光電変換効率が2%以上、特にNo.1の3.1%は画期的なことである。
【0084】
【発明の効果】
本発明の光電極は、光半導体の担持に多孔質高分子膜を用いているので、可撓性を有することは勿論、多孔質高分子膜の空孔内に光半導体を安定に保持するとともに、多孔質高分子膜上に積層される光半導体層も安定化でき、平坦な高分子膜に積層する場合と比べて、分厚い光半導体層を形成でき、多量の光半導体を担持できる。
【0085】
さらに、多孔質高分子膜としてePTFEを用いた場合には、光半導体の担持に際して高温での焼成が可能となる。高温で焼成することにより、光半導体層における光半導体同士の密着度合いが高くなり、接触抵抗が小さくなって光電変換効率が増大する。
【0086】
また、担持する光半導体として、予め高温で焼成して得た多孔質光半導体粒子と光半導体粉末を混合して用いた場合には、多孔質光半導体粒子内での光半導体同士の密着性が高まり、また光半導体中における電解質の拡散が容易となるので、光電変換効率の増大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多孔質高分子膜の構成を示す断面模式図である。
【図2】本発明の光半導体複合膜の一実施形態の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の光半導体層の他の実施形態の構成を示す模式図である。
【図4】本発明の光電極の構成の一実施形態の構成を示す模式図である。
【図5】本発明の光化学電池の一実施形態の構成を示す模式図である。
【図6】光化学電池No.1の電流−電圧特性を示すグラフである。
【図7】光化学電池No.4の電流−電圧特性を示すグラフである。
【図8】光化学電池No.7の電流−電圧特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 多孔質高分子膜
1a 空孔
2 光半導体
2a 多孔質光半導体粒子
2b 光半導体粉末
3,3′ 光半導体層
5,5′ 光半導体複合膜
10 導電層
11 導電性物質層
12 透明高分子基板
20 光電極
30 対極

Claims (13)

  1. 外部に連通する空孔を有する多孔質高分子膜に光半導体を担持してなる光半導体複合膜と、該光半導体複合膜の一面に積層されている透明な導電層とを含み、
    前記光半導体は、前記多孔質高分子膜の空孔内に保持されるとともに、前記多孔質高分子膜の一面に光半導体層が積層されるように担持されていて、
    前記導電層は、前記光半導体層に積層されている光電極。
  2. 前記多孔質高分子膜は、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜である請求項1に記載の光電極。
  3. 前記光半導体複合膜の厚みが1〜30μmである請求項1又は2に記載の光電極。
  4. 前記光半導体は、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化スズ及び酸化亜鉛よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜のいずれかに記載の光電極。
  5. 前記光半導体は、多孔質光半導体粒子及び光半導体粉末を含む請求項1〜のいずれかに記載の光電極。
  6. 前記多孔質光半導体粒子は、光半導体粉末を界面活性剤または親水性高分子化合物とともに、400〜600℃で焼成した後、粉砕することにより得られるものである請求項に記載の光電極。
  7. 前記光半導体粉末と前記多孔質光半導体粒子との含有質量比率は、光半導体粉末:多孔質光半導体粒子が1:9〜5:5である請求項又はに記載の光電極。
  8. 前記導電層は、透明高分子基板と、該透明高分子基板の片面に積層された導電性物質層とを含む請求項1〜のいずれかに記載の光電極。
  9. 前記導電性物質層は、インジウム・スズ酸化物、フッ素ドープ酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、及びドーパント含有酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種を含む請求項に記載の光電極。
  10. 前記光半導体複合膜は、多孔質高分子膜に、光半導体含有液を塗布又は含浸した後、200℃以上で焼成したものである請求項1〜のいずれかに記載の光電極。
  11. 前記光半導体には、さらに色素が付着している請求項1〜10のいずれかに記載の光電極。
  12. 外部に連通する空孔を有する多孔質高分子膜と、該多孔質高分子膜に担持された光半導体とを含む光半導体複合膜であって、
    該光半導体は、前記多孔質高分子膜の空孔内に保持されるとともに、該多孔質高分子膜の一面に光半導体層が積層されるように担持されていて、
    該光半導体複合膜は、光半導体含有液を前記多孔質高分子膜に塗布または含浸した後、200℃以上で焼成して得られたものである光半導体複合膜。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載の光電極と、該光電極の光半導体複合膜と対向する側に設けられた対極と、該光電極と該対極との間に充填される電解液とを含む光化学電池。
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