JP5175498B2 - 光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器 - Google Patents

光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器 Download PDF

Info

Publication number
JP5175498B2
JP5175498B2 JP2007199450A JP2007199450A JP5175498B2 JP 5175498 B2 JP5175498 B2 JP 5175498B2 JP 2007199450 A JP2007199450 A JP 2007199450A JP 2007199450 A JP2007199450 A JP 2007199450A JP 5175498 B2 JP5175498 B2 JP 5175498B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
electron transport
photoelectric conversion
transport layer
conversion element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007199450A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009037779A (ja
Inventor
嘉晴 安食
祐治 篠原
孝則 三好
伸弥 小村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Teijin Ltd
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp, Teijin Ltd filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2007199450A priority Critical patent/JP5175498B2/ja
Publication of JP2009037779A publication Critical patent/JP2009037779A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5175498B2 publication Critical patent/JP5175498B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Description

本発明は、光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器に関するものである。
従来から、環境にやさしい電源として、シリコンを用いた光電変換素子、いわゆる太陽電池が注目を集めている。シリコンを用いた太陽電池の中には、人工衛星等に用いられる単結晶シリコン型の太陽電池もあるが、実用的なものとしては、特に多結晶シリコンを用いた太陽電池や、アモルファスシリコンを用いた太陽電池が、産業用や家庭用として実用化が始まっている。
しかしながら、これらのシリコンを用いた太陽電池は、いずれも、製造コストが高く、また、製造に多大なエネルギーを必要とするため、必ずしも省エネルギーな電源とは言えなかった。
これに代わる次世代の太陽電池として開発され、製造コストが安く、また、製造エネルギーが少ないとされる色素増感太陽電池が提案されている。
色素増感太陽電池は、透明電極と対向電極との間に、色素を担持させた半導体層(電子輸送層)と電解液とを有する構成とされ、受光により色素で発生した電子と正孔(キャリア)とが、それぞれ透明電極と対向電極とに引き分けられ、これらの間に電位差を生じさせるものである。
例えば、特許文献1には、半導体層(電子輸送層)を酸化チタンの多結晶材料で構成してなる色素増感太陽電池が提案されている。酸化チタンの多結晶材料表面には、色素が吸着しており、色素で発生した電子は、半導体層を介して電極に移動する。これにより、2つの電極間に電位差が生じる。
しかしながら、酸化チタンの多結晶材料は、色素から電極に電子を移動させる電子輸送能が十分ではないという問題があった。
かかる問題点に対し、入射する光を反射する光反射層を備えたことにより、光電変換効率の向上を図る試みがなされている。
ところが、この光反射層によって、電解液中においてキャリアの移動を担うレドックスイオンの移動が妨げられるという問題が生じる。このため、レドックスイオンと色素との間の接触機会が減少し、光電変換効率を十分に高めることができない。
特許第2664194号公報
本発明の目的は、より高い光電変換効率を実現し得る光電変換素子、レドックスイオンからの電子を円滑に受けられる電子輸送層を備えた光電変換素子を効率よく製造可能な光電変換素子の製造方法、および、かかる光電変換素子を備えた信頼性の高い電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の光電変換素子は、第1の電極と、
該第1の電極と対向して設けられた第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置する電子輸送層と、
該電子輸送層と接触する色素層と、
前記電子輸送層と前記第2の電極との間に位置し、レドックスイオンを含む電解液を含む電解質層とを有し、
前記電子輸送層はそのうちの前記電解質側の部分であって金属酸化物を主成分とする半導体材料よりなる複数の繊維状物が三次元的に組み合わされてなる網目状構造を有し前記レドックスイオンが通過可能な多孔質部と、前記多孔質部以外の部分であって前記繊維状物の平均繊維径よりも平均粒径の小さい粒子の集合体で構成された緻密質部とで構成されており、
前記繊維状物は、平均繊維径が1μm以下であり、かつ、繊維径が5μm以上のものを実質的に含まないものであることを特徴とする。
これにより、緻密質部は、密度が高くなるとともに、表面積が大きくなる。その結果、緻密質部には、より多くの色素を担持させることができる。そして、色素の担持量が多い緻密質部に対して、レドックスイオンがより多く接触することができる。その結果、より高い光電変換効率を実現し得る光電変換素子が得られる。
また、金属酸化物は、大気中でも安定的に存在することができ、かつ安価である。このため、金属酸化物を半導体材料として用いることにより、長寿命かつ安価な光電変換素子を得ることができる。
また、これにより、多孔質部の内部および表面に、レドックスイオンがより確実に通過するのに十分な大きさの空孔が形成される。その結果、レドックスイオンと色素層との接触機会がより多くなる。
また、これにより、多孔質部の内部および表面に、複数の空孔がほぼ均一に分布する。これにより、電子輸送層の全体にわたってムラなく光電変換がなされることとなる。その結果、電子輸送層において、光電変換に寄与しない部分を減少させることができ、光電変換素子の光電変換効率をより高めることができる。
本発明の光電変換素子では、前記電子輸送層のうち、前記多孔質部の光反射率は、前記緻密質部の光反射率より大きいことが好ましい。
これにより、光を、電子輸送層内により効率よく閉じ込めることができる。その結果、光電変換に供される光の光量がより増大し、光電変換素子の光電変換効率を高めることができる。
本発明の光電変換素子では、前記多孔質部は、前記緻密質部に固着していることが好ましい。
これにより、多孔質部は、緻密質部に対して直接接触することができるので、これらの間の電子移動が円滑になされる。
本発明の光電変換素子では、前記多孔質部は、金属酸化物またはその前駆体を用いて、前記緻密質部に接合されていることが好ましい。
これにより、緻密質部と多孔質部との接合界面において電子移動度が著しく低下するのを防止しつつ、緻密質部と多孔質部とをより強固に接合することができる。このため、長期にわたって界面剥離を防止し得る信頼性の高い電子輸送層が得られる。
本発明の光電変換素子では、前記多孔質部の平均厚さは、前記緻密質部の平均厚さの10〜80%であることが好ましい。
これにより、緻密質部と多孔質部との比率を最適化して、電子輸送層における光吸収率を十分に高めることができる。その結果、光電変換に供される光の光量がより増大し、光電変換素子の光電変換効率を高めることができる。
本発明の光電変換素子では、前記多孔質部が有する空孔のサイズは、前記レドックスイオンのイオン径の30〜30000倍であることが好ましい。
これにより、レドックスイオンの移動を妨げることなく、レドックスイオンが多孔質部の内部を円滑に移動することができる。
本発明の光電変換素子では、前記電解液中の前記レドックスイオンは、実質的にI およびIであることが好ましい。
これにより、光電変換素子の光電変換効率をより高めることができる。
本発明の光電変換素子では、前記電解液において、I の含有率をA[mol/L]とし、Iの含有率をB[mol/L]としたとき、A/(A+B)は0.3〜0.6であることが好ましい。
これにより、電解液のキャリア移動の効率が特に高いものとなり、光電変換素子の光電変換効率を特に高めることができる。
発明の光電変換素子の製造方法は、第1の電極と、
該第1の電極と対向して設けられた第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置し、そのうちの前記電解質側の部分であって金属酸化物を主成分とする半導体材料よりなる複数の繊維状物が三次元的に組み合わされてなる網目状構造を有する多孔質部と、前記多孔質部以外の部分であって前記繊維状物の平均繊維径よりも平均粒径の小さい粒子の集合体で構成された緻密質部とで構成された電子輸送層と、
該電子輸送層と接触する色素層と、
前記電子輸送層と前記第2の電極との間に位置し、レドックスイオンを含む電解液を含む電解質層と、を備え、
前記多孔質部は、前記レドックスイオンが通過可能なものであり、前記繊維状物は、平均繊維径が1μm以下であり、かつ繊維径が5μm以上のものを実質的に含まないものである光電変換素子の製造方法であって、
前記第1の電極の一方の面上に、前記緻密質部を形成する段階と、
前記緻密質部上に前記多孔質部を形成して、前記電子輸送層を形成する段階と、
前記電子輸送層に接触するように、前記色素層を形成する段階と、
前記電子輸送層および前記色素層を介して、前記第1の電極と反対側に前記第2の電極を配置する段階と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記電解液を充填し、前記電解質層を形成する段階と、を有することを特徴とする。
本発明の電子機器は、本発明の光電変換素子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
以下、本発明の光電変換素子、電子輸送層の製造方法、光電変換素子の製造方法および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態について詳細に説明する。
以下、本発明の光電変換素子を太陽電池に適用した場合を一例に説明する。
<光電変換素子>
≪第1実施形態≫
まず、太陽電池の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の光電変換素子を太陽電池に適用した場合の第1実施形態を模式的に示す縦断面図、図2は、図1に示す太陽電池の一部を模式的に示す拡大図、図3ないし図5は、図1に示す太陽電池の製造方法を説明するための模式図である。なお、以下では、説明の都合上、図1ないし図5中、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
図1に示す太陽電池1は、基板2上に設けられた第1の電極3と、第1の電極3と対向して設置された、対向基板7に支持された第2の電極(対向電極)6と、これらの電極3、6間において、第1の電極3側に位置する電子輸送層4と、電子輸送層4と接触する色素層Dと、電子輸送層4と第2の電極6との間に位置し、色素層Dに接触する電解質層5とを有している。また、各電極3、6間の縁部全周にわたって、隔壁8が設けられている。そして、各電極3、6と隔壁8とで画成された空間内に、電子輸送層4、色素層Dおよび電解質層5が設けられている。
また、電解質層5は、レドックスイオンを含む電解液を有している。
このような太陽電池1では、光が入射すると、主に色素層Dにおいて、電子が励起され、電子(e)と正孔(h)とが発生する。このうち、電子は、電子輸送層4へ、正孔は、電解質層5へ移動し、第1の電極3と第2の電極6との間に、電位差(光起電力)が生じて、外部回路10に電流(光励起電流)が流れる。
以下、各部の構成について説明する。
本実施形態では、基板2および対向基板7は、第1の電極3、電子輸送層4、色素層D、および第2の電極6を支持するためのものであり、平板状の部材で構成されている。
本実施形態にかかる太陽電池1は、図1に示すように、基板2および後述する第1の電極3側から、例えば、太陽光等の光(以下、単に「光」と言う。)を入射させて(照射して)使用するものである。このため、基板2および第1の電極3は、それぞれ、好ましくは実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)とされる。これにより、光を、後述する色素層Dに効率よく到達させることができる。
基板2および対向基板7の各構成材料としては、それぞれ、例えば、ガラス材料、セラミックス材料、樹脂材料、アルミニウムのような金属材料等が挙げられる。
このうち、基板2および対向基板7の各構成材料は、特に樹脂材料であるのが好ましい。樹脂材料は、柔軟性に富んでいるため、太陽電池1の柔軟性を高めることができる。また、樹脂材料は、軽量なため、太陽電池1の可搬性や製造容易性を高めることもできる。
ここで、基板2および対向基板7を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAC)等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリアミド(例:ナイロン6)、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSU)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、スチレン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリエステル系、ポリイミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、樹脂材料としては、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSU)、ポリプロピレン(PP)またはポリイミド(PI)が好ましく用いられる。
さらに、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートがより好ましい。これらの樹脂材料は、比較的耐熱性および耐薬品性に優れているため、かかる樹脂材料で構成された基板は、太陽電池1を製造する際の熱処理や液相プロセスにおいて優れた耐久性を有する。
また、これらの樹脂材料は、透光性が高いので、より多くの光を色素層Dに到達させることができ、太陽電池1の光電変換効率を高めることができる。さらに、安価で入手が容易なため、太陽電池1の製造コストの低減を図ることができるという利点もある。
基板2および対向基板7の各平均厚さは、それぞれ、その構成材料、太陽電池1の用途等により適宜設定され、特に限定されないが、例えば、次のように設定することができる。
基板2および対向基板7をそれぞれ硬質材料で構成する場合、その平均厚さは、0.1〜1.5mm程度であるのが好ましく、0.3〜1.2mm程度であるのがより好ましい。また、基板2および対向基板7をそれぞれ可撓性材料で構成する場合、その平均厚さは、0.5〜500μm程度であるのが好ましく、10〜300μm程度であるのがより好ましい。
なお、対向基板7は、必要に応じて、省略することもできる。
基板2上(基板2の一方の面側)には、第1の電極3が設けられている。この第1の電極3は、後述する色素層Dで発生した電子を、電子輸送層4を介して受け取り、これに接続された外部回路10へ伝達する。
第1の電極3の構成材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、フッ素原子を含有する酸化錫(FTO)、酸化インジウム(InO)、酸化錫(SnO)のような金属酸化物材料、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタルまたはこれらを含む合金のような金属材料、黒鉛のような炭素材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等として)用いることができる。
第1の電極3の平均厚さは、その構成材料、太陽電池1の用途等により適宜設定され、特に限定されないが、例えば、次のように設定することができる。
第1の電極3を金属酸化物材料(透明導電性金属酸化物材料)で構成する場合、その平均厚さは、0.05〜5μm程度であるのが好ましく、0.1〜1.5μm程度であるのがより好ましい。また、第1の電極3を金属材料や炭素材料で構成する場合、その平均厚さは、0.01〜1μm程度であるのが好ましく、0.03〜0.1μm程度であるのがより好ましい。
なお、第1の電極3は、図示の形状に限定されず、例えば、複数の櫛歯を有する形状のもの等であってもよい。この場合、光は、複数の櫛歯同士の間を通過して、色素層Dに到達するので、第1の電極3は、実質的に透明でなくてもよい。これにより、第1の電極3の構成材料や形成方法(製造方法)等の選択の幅の拡大を図ることができる。
また、第1の電極3は、このような櫛歯状の電極と、層状の電極とを組み合わせて(例えば、積層等して)用いることもできる。
第1の電極3上には、電子輸送層4が設けられている。
電子輸送層4は、少なくとも、色素層Dで発生した電子を輸送する機能を有するものである。このため、電子輸送層4は、電子輸送材料で構成されている。
このような電子輸送層4は、図1および図2に示すように、第1の電極3側の部分が電子輸送材料の粒状体410の集合体(以下、「緻密質部」と言う。)41で構成されており、電解質層5側の部分が電子輸送材料の針状体(繊維状物)420の集合体(以下、「多孔質部」と言う。)42で構成されている。
また、図2に示すように、緻密質部41および多孔質部42は、それぞれ、その内部および表面に色素dを担持している。
ここで、緻密質部41および多孔質部42は、いずれも、色素dを担持するための多数の空孔を有しているが、本明細書では、これらを、その空孔の割合(体積率)に基づいて区別するものとする。すなわち、緻密質部41は、多孔質部42に比べて相対的に緻密質であることから「緻密質部」と言い、多孔質部42は、緻密質部41に比べて相対的に多孔質であることから「多孔質部」と言うものとする。
なお、図1および図2において、緻密質部41を構成する粒状体410のサイズ、および、多孔質部42を構成する針状体420のサイズは、それぞれ、太陽電池1のサイズに対して誇張して示されている。
ここで、電子輸送材料は、電子を輸送する機能を有する材料であれば特に限定されないが、例えば、半導体材料、金属材料等が挙げられる。
このうち、半導体材料としては、無機または有機の各種n型半導体材料を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、無機のn型半導体材料としては、例えば、二酸化チタン(TiO)、一酸化チタン(TiO)、三酸化二チタン(Ti)等の酸化チタン、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)のような金属酸化物を主成分とするものが好適である。金属酸化物は、大気中でも安定的に存在することができ、かつ安価である。このため、金属酸化物を半導体材料として用いることにより、長寿命かつ安価な太陽電池1を得ることができる。
これらの中でも、金属酸化物としては、二酸化チタンを主成分とするものが好ましい。二酸化チタンは、特に、電子の輸送能力に優れ、また、光に対する感受性が高いので、金属酸化物自体でも、電子を発生することができる。その結果、太陽電池1は、その発電効率(光電変換効率)がより向上する。
また、二酸化チタンは、その結晶構造が安定しているので、二酸化チタンを主材料とする半導体材料では、過酷な環境下に曝された場合でも、経年変化(劣化)が少なく、安定した性能が長期間継続して得られるという利点を有する。
さらに、二酸化チタンとしては、結晶構造がアナターゼ型のものを主成分とするもの、ルチル型のものを主成分とするもの、アナターゼ型のものとルチル型のものとの混合物のいずれであってもよい。
また、金属材料としては、金、銀、白金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子輸送材料の粒状体(粒子)410は、その形状が比較的球形に近いものである。このような粒状体410は、製造が容易であるとともに、複数の粒状体410を集合させたときの密度が高くなり易い。このため、緻密質部41は、表面積が大きくなる。その結果、緻密質部41には、より多くの色素dを担持させることができる。
また、隣接する複数の電子輸送材料の粒状体410同士は、その表面同士が接触してさえいれば電子輸送を担うことができるが、接合(ネッキング)しているのが好ましい。これにより、各粒状体410間における電子移動度を高めることができる。その結果、太陽電池1の光電変換効率を高めることができる。
このような粒状体410の平均粒径は、特に限定されないが、1nm〜1μm程度であるのが好ましく、5〜50nm程度であるのがより好ましい。これにより、粒状体410の製造容易性を維持しつつ、より表面積の大きい緻密質部41を構成することができる。
また、緻密質部41の平均厚さは、特に限定されないが、3〜30μm程度であるのが好ましく、5〜20μm程度であるのがより好ましい。緻密質部41の平均厚さを前記範囲内とすることにより、緻密質部41の機能が十分に発揮されるとともに、緻密質部41が厚すぎて電気抵抗成分が増大してしまうのを防止することができる。
一方、電子輸送材料の針状体420は、その形状が細長い繊維状(針状)をなしている。このため、そのような形状の複数の針状体420が集合してなる集合体、すなわち多孔質部42は、各針状体420同士が干渉して隙間が生じ易くなり、充填密度が低下する。したがって、多孔質部42は、内部および表面に多数の空孔を有するものとなる。その結果、この空孔は、図2に示すように、電解質層5中のレドックスイオン51が十分に通過可能なサイズとなる。
ところで、レドックスイオン51は、酸化・還元状態を相互にとることにより、キャリアの移動を担うことができるイオンである。レドックスイオン51が、多孔質部42の内部、すなわち電子輸送層4の内部を通過可能になると、レドックスイオン51と色素層Dとの接触機会がより多くなり、色素層Dで発生したキャリア(正孔)を、レドックスイオン51を介して、効率よく第2の電極6へと移動させることができる。
特に、図2に示すように、電子輸送層4が緻密質部41と多孔質部42との積層体で構成されている場合、多孔質部42に担持された色素dからレドックスイオン51に対して効率よく電子が移動する。また、緻密質部41には、より多くの色素dが担持されていることから、レドックスイオン51に対してより多くの電子が移動する。その結果、例えば、電子輸送層4全体が緻密質部で構成された場合に比べ、電子輸送層4における電子移動量の増大を図ることが、太陽電池1の光電変換効率を高めることができる。
このような各針状体420同士は、その表面同士が接触してさえいれば電子輸送を担うことができるが、接合(ネッキング)しているのが好ましい。これにより、各針状体420間における電子移動度を高めることができる。その結果、太陽電池1の光電変換効率を高めることができる。
ここで、針状体420は、その平均繊維径が1μm以下であるのが好ましく、0.7μm以下であるのがより好ましい。また、実質的に5μm以上の繊維径をもつ繊維が存在しないことが好ましい。
ここで、実質的に5μm以上の繊維径をもつ繊維が存在しないとは、電子顕微鏡観察において、任意の点で上記範囲の繊維径をもつ繊維が観察されないことを指す。平均繊維径が5μmを越える繊維が含まれると、多孔質部42の内部および表面に、レドックスイオン51が通過するための空孔の割合が小さくなるため好ましくない。
また、針状体420の繊維長としては、実質的に60μm以下のものが存在しないことが好ましい。
ここで、実質的に60μm以下の繊維長を有する繊維が存在しないとは、任意の点を中心とした2000倍の電子顕微鏡観察において、繊維の両端が観察されないことを指す。繊維長が60μm以下の繊維が含まれると、多孔質部42の内部および表面に、レドックスイオン51が通過するための空孔の割合が小さくなるため好ましくない。
なお、図2に示すレドックスイオン51のイオン径は、多孔質部42に形成された空孔のサイズに対して誇張して示されている。
また、多孔質部42の平均厚さは、特に限定されないが、1〜15μm程度であるのが好ましく、3〜10μm程度であるのがより好ましい。多孔質部42の平均厚さを前記範囲内とすることにより、多孔質部42の機能が十分に発揮されるとともに、多孔質部42が厚すぎて電気抵抗成分が増大するのを防止することができる。
また、図1および図2に示す多孔質部42では、複数の針状体420が三次元的に組み合わされてなる網目状構造を構築している。かかる構造の多孔質部42では、その内部および表面に形成される複数の空孔が、多孔質部42全体にわたってほぼ均一に分布する。このような構造を有する電子輸送層4では、全体にわたってムラなく光電変換がなされることとなる。その結果、電子輸送層4において、光電変換に寄与しない部分を減少させることができ、太陽電池1の光電変換効率をより高めることができる。
ここで、前述したように、多孔質部42の内部および表面に形成された空孔は、レドックスイオン51が通過可能であるため、そのサイズは、レドックスイオン51のイオン径より十分に大きくなっているのが好ましい。具体的には、空孔のサイズが、レドックスイオン51のイオン径の30〜60000倍程度であるのが好ましく、50〜30000倍程度であるのがより好ましい。このようなサイズの空孔であれば、レドックスイオン51の移動を妨げることなく、レドックスイオン51が多孔質部42の内部を円滑に移動することができる。このため、太陽電池1におけるキャリア移動度が高くなり、光電変換効率のさらなる向上を図ることができる。
より具体的には、前記空孔のサイズ(内径)は、レドックスイオン51のイオン径によって異なるが、例えば、20〜10000nm程度であるのが好ましく、50〜5000nm程度であるのがより好ましい。
ここで、多孔質部42の光反射率は、緻密質部41の光反射率より大きいのが好ましい。これにより、光を電子輸送層4内により効率よく閉じ込めることができる。これは、すなわち、緻密質部41を透過した光を、多孔質部42によって緻密質部41側に効率よく反射させることができるので、緻密質部41における光吸収率が向上することによるものである。その結果、光電変換に供される光の光量がより増大し、太陽電池1の光電変換効率を高めることができる。
この場合、多孔質部42は、特に可視光に対する反射率が大きいのが好ましい。これにより、特に太陽光に対して、高い光電変換効率を示す太陽電池1が得られる。
このような多孔質部42の平均厚さは、緻密質部41の平均厚さの10〜80%程度であるのが好ましく、20〜70%程度であるのがより好ましい。多孔質部42の平均厚さを前記範囲内に設定することにより、緻密質部41と多孔質部42との比率を最適化して、電子輸送層4における光吸収率を十分に高めることができる。
また、粒状体410の構成材料と、針状体420の構成材料とは、それぞれ異なっていてもよいが、同種であるのが好ましい。これにより、緻密質部41と多孔質部42との間の電子移動度をさらに高めることができる。
なお、多孔質部42は、図1および図2に示すように、緻密質部41に一体的に固着されている。これにより、多孔質部42は、緻密質部41に対して直接接触することができるので、これらの間の電子移動が円滑になされる。すなわち、多孔質部42と緻密質部41との間の界面において、電子移動が妨げられるのを抑制することができる。
このような電子輸送層4には、色素dが、例えば吸着、結合(共有結合、配位結合)等させることにより接触している(担持されている)。
この色素dは、前述したように、受光により、電子と正孔とを発生する機能を有し、図2に示すように、粒状体410および針状体420の表面に担持されている。これにより、色素dで発生した電子を効率よく電子輸送層4に受け渡すことができる。
この色素dとしては、顔料および染料を単独または混合して使用することができる。なお、経時的変質、劣化がより少ないという点で顔料を、電子輸送層4への吸着性(結合性)がより優れるという点で染料を用いるのが好ましい。
ここで、顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、アントラキノン系顔料、アゾメチン系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、ニトロソ系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料のような有機顔料、炭素系顔料、クロム酸塩系顔料、硫化物系顔料、酸化物系顔料、水酸化物系顔料、フェロシアン化物系顔料、ケイ酸塩系顔料、リン酸塩系顔料のような無機顔料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
一方、染料としては、例えば、RuL(SCN)、RuLCl、RuLCN、Rutenium535−bisTBA(Solaronics社製)、[RuL(NCSOのような金属錯体色素、シアン系色素、キサンテン系色素、アゾ系色素、ハイビスカス色素、ブラックベリー色素、ラズベリー色素、ザクロ果汁色素、クロロフィル色素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、前記組成式中のLは、2,2’−bipyridineまたはその誘導体を示す。
第1の電極3、第2の電極6および隔壁8で画成された空間内には、レドックスイオン51を含む電解液が充填されている。また、この電解液は、緻密質部41内の空孔および多孔質部42内の空孔にも浸透している。このような電解液を含む電解質層5では、色素dに対してレドックスイオン51が広い面積で接触することができるので、レドックスイオン51を介してキャリアの移動が効率よく行われる。その結果、太陽電池1の光電変換効率を高めることができる。
このような電解質層5が含む電解液は、液体状またはゲル状とされる。
このうち、液体状の電解液は、例えば、I/I系、Br/Br系、Cl/Cl系、F/F系のようなハロゲン系、キノン/ハイドロキノン系等のレドックス電解質(酸化還元物質:電解質成分)の1種または2種以上を組み合わせたものを、例えば各種水、アセトニトリル、エチレンカーボネート、炭酸プロピレン、ポリエチレングリコール等の溶媒(または、これらの混合溶媒)に溶解した電解質溶液で構成することができる。
このようなレドックスイオン51は、好ましくはI/I系、すなわちI とIとを含むのが好ましく、より好ましくは、実質的にI とIとであるのがより好ましい。かかるレドックスイオン51を含む電解液は、太陽電池1の光電変換効率をより高めることができる。
電解液中のレドックスイオン51の濃度(含有率)は、特に限定されないが、0.1〜25wt%程度であるのが好ましく、0.5〜15wt%程度であるのがより好ましい。
また、I/I系の電解液において、I とIとの比率はいかなるものであってもよいが、電解液中のI の含有率をA[mol/L]とし、Iの含有率をB[mol/L]としたとき、A/(A+B)は、好ましくは0.3〜0.6程度とされ、より好ましくは0.4〜0.5程度とされる。I とIとの比率をこのような範囲に設定することにより、電解液のキャリア移動の効率が特に高いものとなり、太陽電池1の光電変換効率を特に高めることができる。
また、ゲル状の電解液は、例えば、前述のような液体状の電解液をゲル状の基材(ゲル基材)中に保持させたもので構成することができる。
このゲル基材としては、例えば、主として熱可塑性樹脂で構成されるもの、主として熱硬化性樹脂で構成されるもの、主として共重合体で構成されるもの、主としてシロキサン結合を有する化合物で構成されるもの等を用いることができ、さらに、これらのうちの任意の2種以上を組み合わせて用いることもできる。
このうち、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂(PI)、エポキシ樹脂、石炭酸樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
また、共重合体は、少なくとも2種の化合物(共重合体の前駆体)を、例えば、イオン重合(カチオン重合、アニオン重合)、ラジカル重合等、あるいは、これらを併用して重合させることにより得られるものであり、例えば、エポキシ系共重合体、ビニルエーテル系共重合体、オキセダン系共重合体、ウレタンアクリレート系共重合体、エポキシアクリレート系共重合体、エステルアクリレート系共重合体、アクリレート系共重合体等が挙げられる。
したがって、前記化合物(共重合体の前駆体)としては、例えば、ウレタン、ポリアセン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリカーボン、ポリピロール、ポリアニリン、活性硫黄等のうちから、任意の2種以上を適宜選択して用いることができる。
また、シロキサン結合を有する化合物としては、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリアルキルフェニルシロキサン、シリコン原子の一部が他の金属原子(例えば、アルミニウム、チタン等)と置換したポリメタロシロキサン等が挙げられる。
このような電解質層5の平均厚さ(電子輸送層4内に入り込んだ部分を除く)は、特に限定されないが、1〜500μm程度であるのが好ましく、10〜300μm程度であるのがより好ましく、10〜100μm程度であるのがさらに好ましい。
電解質層5上(第1の電極3と反対側)には、第1の電極3に対向する第2の電極6が設けられている。
この第2の電極6の構成材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、フッ素原子を含有する酸化錫(FTO)、酸化インジウム(InO)、酸化錫(SnO)のような金属酸化物材料、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタルのような金属またはこれらを含む合金、あるいは、黒鉛のような各種炭素材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、第2の電極6は、層状の電極を組み合わせて(例えば、積層等して)用いるようにしてもよい。
なお、第2の電極6の平均厚さは、その構成材料、太陽電池1の用途等により適宜設定され、特に限定されない。
このような太陽電池1は、例えば、次のようにして製造することができる。
[1]まず、基板2を用意し、この基板2上に、図3(a)に示すように、第1の電極3を形成する。
この第1の電極3は、例えば、蒸着法、スパッタリング法、印刷法等により形成することができる。
[2]次に、第1の電極3上に、電子輸送層4を形成する。
[2−1]まず、第1の電極3上に、複数の粒状体410を分散媒に分散させてなる分散液を塗布する。これにより、第1の電極3上に、図3(b)に示すように、液状被膜411を形成することができる。
この際の塗布法には、例えば、スピンコート法、ディップコート法、スキージ印刷法、スクリーン印刷法、液滴吐出法等の方法が用いられる。
[2−2]次に、液状被膜411中の分散媒を揮発・除去する。これにより、液状被膜411を乾燥・固化させ、被膜を得る。
液状被膜中の分散媒を除去する方法としては、例えば、自然乾燥による方法、空気、窒素ガス等の気体を吹き付ける方法、凍結乾燥による方法、比較的低温での熱処理による方法等により行うことができる。
[2−3]次に、得られた被膜に対して、熱処理を施す。この熱処理により、被膜中の各粒状体410同士が部分的に接合(ネッキング)する。
熱処理の温度は、例えば、粒状体410が酸化チタン粒子である場合、300〜700℃程度であるのが好ましく、400〜600℃程度であるのがより好ましい。
また、熱処理の時間は、熱処理の温度に応じて若干異なるが、1〜180分程度が好ましく、5〜60分程度がより好ましい。
また、熱処理の雰囲気としては、酸化性雰囲気、不活性雰囲気等が挙げられる。
このようにして、図3(c)に示す粒状体410の集合体、すなわち緻密質部41が得られる。この緻密質部41は、前述したように、内部および表面に多数の空孔を有しているため、より多量の色素を担持することができる。このため、光電変換効率の高い太陽電池1が得られる。
[2−4]次に、電子輸送材料の前駆体を含む溶液を用意する。
次いで、この溶液を繊維状に成形しつつ、緻密質部41上に供給する。この成形・供給方法は特に限定されないが、図4(d)に示すようなエレクトロスピニング法を用いるのが好ましい。エレクトロスピニング法は、電気的な引力を利用して、溶液を微細な繊維状に引き伸ばすことにより、溶液を繊維状に成形する方法である。
図4(d)には、エレクトロスピニング法を行うエレクトロスピニング装置300の一例の概略を示す。この装置は、前述の電子輸送材料の前駆体を含む溶液421を貯留する容器301と、この容器301に貯留された溶液421を、緻密質部41に向けて噴射するノズル302と、ノズル302に電圧を印加する回路303とを有する。溶液421は、バインダのような高分子材料を含んでおり、比較的高い粘度になるように設定されている。また、緻密質部41は、アース線304によって電気的に接地している。
ノズル302と緻密質部41との間に高電圧(例えば、数kV〜数10kV程度)を印加すると、電気的な引力によって、ノズル302の溶液421が緻密質部41へと高速で噴射される。
このようなエレクトロスピニング法によれば、溶液を非常に微細な繊維状に効率よく成形することができる。その結果、最終的には、微細な繊維状の粒子を効率よく製造することができる。
次いで、繊維状に成形された溶液421に対して図4(e)に示すように熱処理を施すことにより、溶液中の電子輸送材料の前駆体を反応(例えば、加水分解、重縮合等)させる。これにより、繊維状の電子輸送材料、すなわち針状体420を作製する。
また、この熱処理に伴って、各針状体420同士や、緻密質部41と接する針状体420とが、それぞれ部分的に接合される。このようにして、緻密質部41上に、図4(f)に示す多孔質部42が形成され、電子輸送層4が形成される。
ここで、電子輸送材料の前駆体としては、例えば、電子輸送材料として酸化チタンを用いた場合には、チタンテトライソプロポキシド(TPT)、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラブトキシド等の有機チタン化合物を用いることができる。
この際、熱処理の温度は、例えば、電子輸送材料として酸化チタンを用いた場合には、300〜700℃程度であるのが好ましく、400〜600℃程度であるのがより好ましい。
また、熱処理の時間は、熱処理の温度に応じて若干異なるが、1〜180分程度が好ましく、5〜60分程度がより好ましい。
また、熱処理の雰囲気としては、酸化性雰囲気、不活性雰囲気等が挙げられる。
なお、必要に応じて、得られた電子輸送層4を加圧して、緻密質部41と多孔質部42とを圧着するようにしてもよい。これにより、緻密質部41と多孔質部42との間の圧着強度が向上し、これらの界面における剥離をより確実に防止することができるようになる。
[3]次に、電子輸送層4を、色素(増感色素)を含む色素液D1に接触させる。これにより、電子輸送層4中に色素が入り込む。
電子輸送層4に色素液を接触させる方法としては、例えば、図5(g)に示すように、色素液D1中に電子輸送層4を備えた基板2を浸漬する方法(浸漬法)、電子輸送層4に色素液をシャワー状に供給する方法(噴霧法)等を用いることができるが、特に、浸漬法が好ましい。この浸漬法によれば、電子輸送層4に対して色素をムラなく、かつ効率よく担持させることができる。
この場合、色素液D1中に電子輸送層4を浸漬する時間は、特に限定されないが、0.5〜72時間程度であるのが好ましく、2〜24時間程度であるのがより好ましい。これにより、必要かつ十分な量の色素を、電子輸送層4に担持させることができる。なお、浸漬する時間を前記上限値より長くしてもよいが、担持量のさらなる増大を期待することはできない。
また、このときの色素液D1の温度は、特に限定されないが、20〜100℃程度であるのが好ましく、50〜90℃程度であるのがより好ましい。これにより、熱による色素の変質、変色、光電変換能の低下等を防止しつつ、電子輸送層4に対して色素を効率よく担持させることができる。
色素液D1中に浸漬した電子輸送層4には、必要に応じて、色素液D1の乾燥を行う。
色素液D1の乾燥は、前述の分散媒を除去する方法と同様の方法により行うことができる。
[4]次に、対向基板7を用意し、この対向基板7上に、第2の電極6を形成する。
この第2の電極6は、前記第1の電極3と同様の方法により形成することができる。
[5]次に、図5(h)に示すように、第2の電極6を備えた対向基板7を、第1の電極3と第2の電極6とが対向するように配置する。そして、第1の電極3と第2の電極6との間の縁部の全周にわたって隔壁8を設ける。これにより、第1の電極3、第2の電極6および隔壁8で画成された液密な空間9を得る。
なお、隔壁8の一部には、空間9と空間9の外部とに連通する貫通孔(図示せず)を設けるようにする。
また、隔壁8は、例えば、エポキシ系接着剤、シリコーン系接着剤のような各種接着剤、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂のような各種樹脂材料等により構成される。
[6]次に、次に、図5(i)に示すように、前記貫通孔を介して、空間9に電解液を注入し、充填する。注入された電解液は、電子輸送層4中にも浸透する。これにより、電解質層5が形成される。
続いて、隔壁8の構成材料により、前記貫通孔を封止する。
なお、電解液をゲル状とする場合、ゲル化剤を含む電解液を空間9に注入した後、ゲル化剤の作用により電解液をゲル化すればよい。
[7]次に、第1の電極3と第2の電極6とに、それぞれ、外部回路10の端部を接続する。
以上のようにして、太陽電池(本発明の光電変換素子)1が製造される。
なお、図1では、電子輸送層4が緻密質部41と多孔質部42とに分かれているが、電子輸送層4の全部が多孔質部42で構成されていてもよい。このような場合でも、電子輸送層4の内部および表面に形成された空孔をレドックスイオン51が通過することができる。このため、太陽電池1におけるキャリア移動度が高くなり、光電変換効率の向上という効果を奏することができる。
≪第2実施形態≫
次に、太陽電池の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の光電変換素子を太陽電池に適用した場合の第2実施形態を模式的に示す縦断面図、図7および図8は、図6に示す太陽電池の製造方法を説明するための模式図である。
以下、第2実施形態にかかる太陽電池について説明するが、前記第1実施形態にかかる太陽電池との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる太陽電池1は、図6に示すように、緻密質部41と多孔質部42とを被覆部43で覆うことによって固定・接合してなる電子輸送層4を有する以外は、前記第1実施形態と同様である。
このような構成の電子輸送層4は、緻密質部41と多孔質部42とを連続して覆うように形成された被覆部43を有するので、緻密質部41と多孔質部42との間を確実に固定・接着することができる。これにより、緻密質部41と多孔質部42との接合界面において電子移動度が著しく低下するのを防止しつつ、緻密質部41と多孔質部42とをより強固に接合することができる。このため、長期にわたって界面剥離を防止し得る信頼性の高い電子輸送層4を得ることができる。
このような被覆部43は、金属酸化物またはその前駆体で構成されている。
かかる金属酸化物としては、例えば、前記第1実施形態において半導体材料として用いられる各種金属酸化物が挙げられる。
また、金属酸化物の前駆体としては、例えば、加水分解や重縮合等の化学反応に伴って金属酸化物を生成するような材料が挙げられ、具体的には、金属アルコキシドや四塩化チタン等を用いることができる。
次に、本実施形態にかかる電子輸送層4を製造する方法について説明する。
まず、図7(a)に示すように、電子輸送材料の前駆体を含む溶液421を繊維状に成形しつつ、別途用意した回収用基板305上に供給する。この成形・供給方法としては、例えば、図7(a)に示すようなエレクトロスピニング法が好ましい。また、電子輸送材料の前駆体としては、例えば、前記第1実施形態に挙げた有機チタン化合物を用いることができる。
図7(a)には、エレクトロスピニング法を行うエレクトロスピニング装置300の一例の概略を示す。この装置の構成は、前記第1実施形態と同様である。なお、本実施形態では、回収用基板305上に溶液421を供給する。このため、回収用基板305は、アース線304によって電気的に接地している。
ノズル302と回収用基板305との間に高電圧(例えば、数kV〜数10kV程度)を印加すると、電気的な引力によって、ノズル302の溶液421が回収用基板305へと高速で噴射される。これにより、回収用基板305上に繊維構造体422が形成される。
次に、図7(b)に示すように、形成された繊維構造体422を回収用基板305より剥離する。
次いで、図7(c)に示すように、剥離した繊維構造体422に熱処理を施す。これにより、繊維状の電子輸送材料、すなわち、針状体420で構成された多孔質部42を作製することができる。なお、この熱処理の条件は、前記第1実施形態と同様である。
一方、前記第1実施形態と同様にして、基板2上に第1の電極3を形成するとともに、第1の電極3上に緻密質部41を形成する。
そして、図8(d)に示すように、緻密質部41上に作製した多孔質部42を重ねる。
次いで、図8(e)に示すように、緻密質部41と多孔質部42の積層体に対して、半導体材料の前駆体を含む溶液423を浸透させる。なお、この浸透の方法は、特に限定されないが、浸漬法、噴霧法のほか、図8(e)に示すように、積層体に対して溶液423を滴下する方法等が挙げられる。
次に、溶液423に浸漬させた後、緻密質部41および多孔質部42を備えた基板2に対して、図8(f)に示すように焼成を行う。これにより、緻密質部41および多孔質部42に浸透した溶液423が焼成され、図6に示す被覆部43が形成される。その結果、被覆部43によって、緻密質部41と前記多孔質部42とが固着し、図6に示す電子輸送層4が得られる。なお、この焼成(熱処理)の条件は、前記第1実施形態と同様である。
また、必要に応じて、緻密質部41と多孔質部42とを加圧して両者を圧着するようにしてもよい。
以上のようにして、本実施形態にかかる太陽電池(本発明の光電変換素子)1に用いられる電子輸送層4が製造される。
以上のように、本実施形態では、回収用基板305を用いることにより、基板2や第1の電極3が高温に曝されるのを避けることができる。これにより、繊維構造体422に対して、より高温での熱処理が可能となるため、熱処理条件の幅を広げることができるようになる。その結果、針状体420のネッキングの程度を幅広く制御することができ、光電変換効率の向上を図ることができる。
また、例えば、耐熱性が低いものの電気的特性に優れた材料で第1の電極3を構成したり、耐熱性が低いものの光学的特性に優れ、かつ柔軟性の高い材料で基板2を構成したりすることができるようになる。すなわち、基板2と第1の電極3の構成材料の選択の幅が広がるようになる。その結果、最終的には、光電変換効率が高く、かつ柔軟性に優れた太陽電池1を得ることができる。
<電子機器>
本発明の電子機器は、このような太陽電池1を備えるものである。
以下、図9および図10に基づいて、本発明の電子機器について説明する。
図9は、本発明の電子機器を適用した電卓を示す平面図、図10は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)を示す斜視図である。
図9に示す電卓100は、本体部101と、本体部101の上面(前面)に設けられた表示部102、複数の操作ボタン103および太陽電池設置部104とを備えている。
図9に示す構成では、太陽電池設置部104には、太陽電池1が5つ直列に接続されて配置されている。
図10に示す携帯電話機200は、本体部201と、本体部201の前面に設けられた表示部202、複数の操作ボタン203、受話口204、送話口205および太陽電池設置部206とを備えている。
図10に示す構成では、太陽電池設置部206が、表示部202の周囲を囲むようにして、太陽電池1が複数、直列に接続されて配置されている。
以上、本発明の光電変換素子、電子輸送層の製造方法、光電変換素子の製造方法および電子機器を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、各図では、電子輸送層中の多孔質部の針状体(繊維状物)が比較的規則正しく配列しているが、この配列状態はいかなるものであってもよく、部分的または全体が不規則な配列であってもよい。
また、光電変換素子および電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
なお、本発明の光電変換素子は、太陽電池のみならず、例えば、光センサー、光スイッチのような、光を受光して電気エネルギーに変換する各種素子(受光素子)に適用することができるものである。
また、本発明の光電変換素子では、光の入射方向は、図示のものとは異なり、逆方向からであってもよい。すなわち、光の入射方向は、任意である。
また、本発明の電子輸送層の製造方法および光電変換素子の製造方法では、それぞれ、任意の目的の工程が1または2以上追加されていてもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。なお、本発明は、この実施例によって制限されるものではない。
1.太陽電池(光電変換素子)の製造
(実施例1)
次のようにして、図1に示す太陽電池(光電変換素子)を製造した。
[1A]まず、平均厚さ1μmのFTO膜(第1の電極)を備えたガラス基板(平均厚さ1mm)を用意した。
[2A]そして、FTO膜上に、電子輸送層の緻密質部を形成するために用いる液状材料を調製した。これは、次のようにして行った。
まず、平均粒径20nmの略球状の二酸化チタン(アナターゼ、触媒化成工業製)粉末を含む分散液(ペースト)を用意した。そして、スキージ印刷法により、この分散液をFTO膜上に塗布し、液状被膜を形成した。
[3A]次に、液状被膜を450℃で加熱することにより、液状被膜中の分散媒を除去し、平均厚さ10μmの緻密質部を得た。
[4A]次に、チタンテトラノルマルブトキシド(和光純薬工業株式会社製、一級)1重量部に、酢酸(和光純薬工業株式会社製、特級)1.23重量部を添加し、均一な溶液を得た。この溶液にイオン交換水1重量部を攪拌しながら添加することにより溶液中にゲルが生成した。生成したゲルは、更に攪拌を続けることにより解離し、透明な溶液を調製することが出来た。
調製した溶液に、ポリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製、一級、平均分子量300,000〜500,000)0.016重量部混合し二酸化チタン前駆体溶液を調製した。この溶液からエレクトロスピニング法により、繊維状に成形しつつ、緻密質部上に供給した。
次いで、この繊維状物を空気雰囲気下で電気炉を用いて600℃まで10時間で昇温し、その後600℃で2時間保持することにより、二酸化チタンで構成された網目状構造をなす多孔質部を得た。平均繊維径は300nmであり、繊維長100μm以下の繊維は観察されなかった。
また、得られた多孔質部は、前記工程[3A]で得られた緻密質部に比べて、光反射率が高いものであった。
[5A]次に、緻密質部に対して多孔質部を加圧して、これらを固着した。これにより、FTO膜上に電子輸送層を得た。
[6A]次に、色素としてcis-bis(isothiocyanato)bis(2,2'-bipyridyl-4,4'-dicarboxylato)-ruthenium(II)bis-tetrabutylammonium(N719)を、アセトニトリルとt−ブチルアルコールとを容積比で1:1となるように混合した溶媒中に溶解し、色素溶液を調製した。なお、色素溶液中のN719色素の濃度(含有率)は、0.3mMとした。
次いで、色素溶液中に前記[1A]〜[5A]で作製した電子輸送層付きガラス基板を浸漬し、暗所で12時間放置した後、取り出した。
そして、取り出したガラス基板をエタノールで洗浄した後、室温にて乾燥させた。これにより、電子輸送層中に色素を担持させた。
[7A]次に、FTO膜(平均厚さ1μm)と白金膜とをこの順で備えてなるガラス基板(対向基板、平均厚さ1mm)を用意した。
[8A]次に、白金膜と電子輸送層とが対向するように、2つのガラス基板を所定間隔を開けて配置し、一部を除いて縁部をエポキシ系接着剤で封止した。
[9A]次に、封止しなかった部分から、電解液を注入した。この電解液は、DMPII(1,2-Dimethyl-3-Propylimidazolium lodide)、TBP(t-Butylpyridine)、IおよびLiI(ヨウ化リチウム)を、それぞれ窒素雰囲気下において、アセトニトリル(溶媒)中に溶解して調製した。なお、各電解質の濃度は、DMPIIが0.6M、TBPが0.5M、Iが0.05M、LiIが0.1Mとした。また、電解液中のレドックスイオンは、I およびIであり、これらの比率は、5:7とした。
また、多孔質部に形成された空孔のサイズは、このレドックスイオンのイオン径に対して、300〜1000倍であった。
[10A]次に、封止しなかった部分をエポキシ系接着剤で封止し、太陽電池を得た。
(実施例2)
まず、前記工程[1A]〜[3A]と同様にして、FTO膜上に緻密質部を形成した。
次いで、チタンテトラノルマルブトキシド(和光純薬工業株式会社製、一級)1重量部に、酢酸(和光純薬工業株式会社製、特級)1.23重量部を添加し均一な溶液を得た。この溶液にイオン交換水1重量部を攪拌しながら添加することにより溶液中にゲルが生成した。生成したゲルは、更に攪拌を続けることにより解離し、透明な溶液を調製することが出来た。
調製した溶液に、ポリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製、一級、平均分子量300,000〜500,000)0.016重量部混合し、二酸化チタン前駆体溶液を調製した。この溶液からエレクトロスピニング法により、繊維状に成形しつつ、回収用基板上に繊維構造体を形成させた。
次いで、回収用基板より繊維構造体を剥離し、剥離した繊維構造体を空気雰囲気下で電気炉を用いて600℃まで10時間で昇温し、その後600℃で2時間保持することにより、二酸化チタンで構成された網目状構造をなす多孔質部を得た。平均繊維径は300nmであり、繊維長100μm以下の繊維は観察されなかった。
次に、得られた多孔質部を、緻密質部上に重ね、上述の透明な溶液をイオン交換水で希釈した溶液を滴下し、浸漬させた。次に、空気雰囲気下で電気炉を用いて500℃まで10時間で昇温し、その後500℃で2時間保持することにより、緻密質部と多孔質部とを接合し、緻密質部と多孔質部との積層体で構成された電子輸送層を得た。
次いで、前記工程[6A]〜[10A]と同様にして太陽電池を得た。
(比較例1)
前記工程[4A]〜[5A]を省略した以外は、前記実施例1と同様にして太陽電池を得た。すなわち、これにより、多孔質部を省略した太陽電池を得た。
なお、前記工程[2A]で形成する液状被膜の厚さを厚くすることにより、前記工程[3A]で形成される緻密質部の厚さを15μmとした。
(比較例2)
前記工程[4A]を、以下の工程[4B]で置き換えた以外は、前記実施例1と同様にして太陽電池を得た。
[4B]次に、平均粒径400nmの略球状の二酸化チタン(アナターゼ、触媒化成工業製)粉末を含む分散液(ペースト)を用意した。そして、スキージ印刷法により、この分散液をFTO膜上に塗布し、液状被膜を形成した。
次いで、この液状被膜を450℃で加熱することにより、液状被膜の分散媒を除去し、平均厚さ5μmの多孔質部を得た。
2.評価
各実施例および各比較例で製造した太陽電池の電流−電圧特性を、それぞれ、ソーラーシミュレータによるAM1.5(100mW/cm)の条件下でI−Vテスターを用いて測定した。そして、各太陽電池の開放電圧、短絡電流、形状因子(フィルファクタ)および光電変換効率を求めた。
なお、開放電圧は、太陽電池の両電極に何も繋がない状態で、両電極間に発生する電圧、短絡電流は、太陽電池の両電極間を短絡させた状態で、回路に流れる電流、形状因子は、最大出力/(開放電圧×短絡電流)として、それぞれ定義される。
また、光電変換効率は、照射する光エネルギーに対する、出力される電気エネルギーの割合である。
測定結果を表1に示す。
Figure 0005175498
表1からも明らかなように、各実施例で得られた太陽電池は、いずれも、各比較例で得られた太陽電池よりも光電変換効率が高かった。
特に、実施例1で得られた太陽電池は、光電変換効率とともに形状因子も最も高い値を示した。
本発明の光電変換素子を太陽電池に適用した場合の第1実施形態を模式的に示す縦断面図である。 図1に示す太陽電池の一部を模式的に示す拡大図である。 図1に示す太陽電池の製造方法を説明するための模式図である。 図1に示す太陽電池の製造方法を説明するための模式図である。 図1に示す太陽電池の製造方法を説明するための模式図である。 本発明の光電変換素子を太陽電池に適用した場合の第2実施形態を模式的に示す縦断面図である。 図6に示す太陽電池の製造方法を説明するための模式図である。 図6に示す太陽電池の製造方法を説明するための模式図である。 本発明の電子機器を適用した電卓を示す平面図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)を示す斜視図である。
符号の説明
1……太陽電池 2……基板 3……第1の電極 4……電子輸送層 41……緻密質部 410……粒状体 411……液状被膜 42……多孔質部 420……針状体 421……溶液 422……繊維構造体 423……半導体材料の前駆体を含む溶液 43……被覆部 D……色素層 D1……色素液 d……色素 5……電解質層 51……レドックスイオン 6……第2の電極 7……対向基板 8……隔壁 9……空間 10……外部回路 100……電卓 101……本体部 102……表示部 103……操作ボタン 104……太陽電池設置部 200……携帯電話機 201……本体部 202……表示部 203……操作ボタン 204……受話口 205……送話口 206……太陽電池設置部 300……エレクトロスピニング装置 301……容器 302……ノズル 303……回路 304……アース線 305……回収用基板

Claims (10)

  1. 第1の電極と、
    該第1の電極と対向して設けられた第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置する電子輸送層と、
    該電子輸送層と接触する色素層と、
    前記電子輸送層と前記第2の電極との間に位置し、レドックスイオンを含む電解液を含む電解質層とを有し、
    前記電子輸送層はそのうちの前記電解質側の部分であって金属酸化物を主成分とする半導体材料よりなる複数の繊維状物が三次元的に組み合わされてなる網目状構造を有し前記レドックスイオンが通過可能な多孔質部と、前記多孔質部以外の部分であって前記繊維状物の平均繊維径よりも平均粒径の小さい粒子の集合体で構成された緻密質部とで構成されており、
    前記繊維状物は、平均繊維径が1μm以下であり、かつ、繊維径が5μm以上のものを実質的に含まないものであることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記電子輸送層のうち、前記多孔質部の光反射率は、前記緻密質部の光反射率より大きい請求項に記載の光電変換素子。
  3. 前記多孔質部は、前記緻密質部に固着している請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記多孔質部は、金属酸化物またはその前駆体を用いて、前記緻密質部に接合されている請求項1または2に記載の光電変換素子。
  5. 前記多孔質部の平均厚さは、前記緻密質部の平均厚さの10〜80%である請求項1ないし4のいずれかに記載の光電変換素子。
  6. 前記多孔質部が有する空孔のサイズは、前記レドックスイオンのイオン径の30〜30000倍である請求項1ないしのいずれかに記載の光電変換素子。
  7. 前記電解液中の前記レドックスイオンは、実質的にI およびIである請求項1ないしのいずれかに記載の光電変換素子。
  8. 前記電解液において、I の含有率をA[mol/L]とし、Iの含有率をB[mol/L]としたとき、A/(A+B)は0.3〜0.6である請求項に記載の光電変換素子。
  9. 第1の電極と、
    該第1の電極と対向して設けられた第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に位置し、そのうちの前記電解質側の部分であって金属酸化物を主成分とする半導体材料よりなる複数の繊維状物が三次元的に組み合わされてなる網目状構造を有する多孔質部と、前記多孔質部以外の部分であって前記繊維状物の平均繊維径よりも平均粒径の小さい粒子の集合体で構成された緻密質部とで構成された電子輸送層と、
    該電子輸送層と接触する色素層と、
    前記電子輸送層と前記第2の電極との間に位置し、レドックスイオンを含む電解液を含む電解質層と、を備え、
    前記多孔質部は、前記レドックスイオンが通過可能なものであり、前記繊維状物は、平均繊維径が1μm以下であり、かつ繊維径が5μm以上のものを実質的に含まないものである光電変換素子の製造方法であって、
    前記第1の電極の一方の面上に、前記緻密質部を形成する段階と、
    前記緻密質部上に前記多孔質部を形成して、前記電子輸送層を形成する段階と、
    前記電子輸送層に接触するように、前記色素層を形成する段階と、
    前記電子輸送層および前記色素層を介して、前記第1の電極と反対側に前記第2の電極を配置する段階と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に、前記電解液を充填し、前記電解質層を形成する段階と、を有することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  10. 請求項1ないしのいずれかに記載の光電変換素子を備えることを特徴とする電子機器。
JP2007199450A 2007-07-31 2007-07-31 光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器 Expired - Fee Related JP5175498B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007199450A JP5175498B2 (ja) 2007-07-31 2007-07-31 光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007199450A JP5175498B2 (ja) 2007-07-31 2007-07-31 光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009037779A JP2009037779A (ja) 2009-02-19
JP5175498B2 true JP5175498B2 (ja) 2013-04-03

Family

ID=40439521

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007199450A Expired - Fee Related JP5175498B2 (ja) 2007-07-31 2007-07-31 光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5175498B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5252488B2 (ja) * 2008-07-14 2013-07-31 独立行政法人産業技術総合研究所 半導体電極およびこれを用いた色素増感型光電気化学セル
KR100997843B1 (ko) * 2008-08-29 2010-12-01 주식회사 솔켐 전기방사법에 의해 제조된 고분자 전해질을 포함한 염료감응형 태양전지 소자 및 이의 제조방법
JP5334646B2 (ja) * 2009-03-31 2013-11-06 日本バイリーン株式会社 色素増感型太陽電池用電極及び色素増感型太陽電池
JP2011034726A (ja) * 2009-07-30 2011-02-17 Nitto Denko Corp 色素増感型太陽電池用電極および色素増感型太陽電池
JP5571930B2 (ja) * 2009-10-05 2014-08-13 ローム株式会社 光電変換素子
JP2011233507A (ja) * 2010-04-05 2011-11-17 Osaka Gas Co Ltd 多孔質酸化チタン塗膜が形成された基板
CN102569943B (zh) * 2010-12-13 2015-04-15 依诺特生物能量控股公司 有机负电极以及具有该有机负电极的电池
JP5377788B1 (ja) * 2013-03-30 2013-12-25 株式会社フジクラ 色素増感太陽電池素子

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003123860A (ja) * 2001-10-19 2003-04-25 Nec Corp 光電変換素子及び光電変換素子の製造方法
JP5029015B2 (ja) * 2004-10-15 2012-09-19 株式会社ブリヂストン 色素増感型金属酸化物半導体電極及びその製造方法並びに色素増感型太陽電池
KR100666477B1 (ko) * 2005-06-16 2007-01-11 한국과학기술연구원 산화티타늄 나노로드 및 그의 제조방법
JP2007018951A (ja) * 2005-07-11 2007-01-25 Teijin Dupont Films Japan Ltd 色素増感型太陽電池用電極
JP5021914B2 (ja) * 2005-07-15 2012-09-12 帝人デュポンフィルム株式会社 色素増感型太陽電池用電極
WO2008007448A1 (en) * 2006-07-13 2008-01-17 Teijin Dupont Films Japan Limited Dye-sensitized solar cell, and electrode and laminated film therefor
JP5209216B2 (ja) * 2007-01-23 2013-06-12 帝人デュポンフィルム株式会社 色素増感型太陽電池用電極およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009037779A (ja) 2009-02-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5175498B2 (ja) 光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器
JP4201035B2 (ja) 電池素子および電子機器
KR100839371B1 (ko) 염료감응 태양전지
JP5033813B2 (ja) 光電変換素子
JP4579935B2 (ja) 光電変換素子および電子機器
JP4785672B2 (ja) 色素増感太陽電池用色素および色素増感太陽電池
JP5163849B2 (ja) 光電変換素子の製造方法、光電変換素子および電子機器
JP2007095682A (ja) 積層型光起電素子およびその製造方法
JP2006236960A (ja) 色素増感太陽電池及びその製造方法
JP5493369B2 (ja) 下地層形成用組成物、下地層の製造方法、光電極の製造方法及び太陽電池の製造方法
JP4887694B2 (ja) 光電変換素子およびその製造方法ならびに光電変換素子モジュールならびに電子機器ならびに移動体ならびに発電システムならびにディスプレイおよびその製造方法
Keothongkham et al. Electrochemically deposited polypyrrole for dye-sensitized solar cell counter electrodes
JP4925605B2 (ja) 光電変換装置およびそれを用いた光発電装置
JP4277639B2 (ja) 光電変換素子モジュール
JP4696452B2 (ja) 光電変換素子
JP4836473B2 (ja) 光電変換装置およびその製造方法ならびに光発電装置
JP2002175843A (ja) 光電極及びこれを用いた光化学電池
JP4897226B2 (ja) 色素増感型太陽電池および色素増感型太陽電池モジュール
JP4696459B2 (ja) モジュール集合体
JP2010015830A (ja) 光電変換素子
JP2005093252A (ja) 光電変換素子モジュール
JP2013140701A (ja) カーボン対極及びこのカーボン対極を備えた色素増感太陽電池
KR101408888B1 (ko) 염료감응 태양전지 및 이의 제조방법
JP2012156070A (ja) 色素増感太陽電池における光触媒膜の形成方法および色素増感太陽電池
TWI389372B (zh) 含觸媒之電極的形成方法及其應用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100326

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121002

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121126

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121211

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130107

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees