JP5334646B2 - 色素増感型太陽電池用電極及び色素増感型太陽電池 - Google Patents

色素増感型太陽電池用電極及び色素増感型太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は色素増感型太陽電池用電極及び色素増感型太陽電池に関する。
色素増感型太陽電池はシリコン半導体を使用せず、低コストで作製できることから、近年注目を集めている。この色素増感型太陽電池は図1に模式的断面図を示すように、基材11a上に透明導電膜11bと白金11cを順に有する正極11、基材10a上に透明導電膜10bを有する負極10、負極10と隣接して存在する色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子層12、及び電解液13としてヨウ素溶液を備えた構造を有する。このような色素増感型太陽電池の負極側から光をあてると、色素が光を吸収し、電子を放出するとともに、色素は電解液13であるヨウ素イオン(3I)を酸化し、三ヨウ化物イオン(I )とする。この放出された電子は多孔質酸化チタン粒子層12を導電して透明導電膜10bに到達した後、外部回路を通じて正極11に到達する。そして、正極11に到達した電子は三ヨウ化物イオン(I )をヨウ素イオン(3I)に還元する。このようなサイクルによって、発電することができる。
このような色素増感型太陽電池の電極として、「透明導電層を有するプラスチックフィルムおよび透明導電層のうえに積層された多孔質金属酸化物層からなり、該多孔質金属酸化物層がエレクトロスピニング法によって得た、平均繊維径50〜1000nmの繊維状金属酸化物から構成される金属酸化物不織布からなることを特徴とする色素増感型太陽電池用電極」が提案されている(特許文献1)。このような金属酸化物不織布は、「金属酸化物前駆体およびこれとの錯体を形成する化合物の混合物と、溶媒と、高アスペクト形成性の溶質とから成る溶液を、エレクトロスピニング法にて捕集基板上に吐出して累積および焼成させることによって、金属酸化物不織布を得ることができる」ものであることが開示され、実際に、「チタンテトラノルマルブトキシド(和光純薬工業株式会社製、一級)1重量部に、酢酸(和光純薬工業株式会社製、特級)1.3重量部を添加し均一な溶液を得た。この溶液にイオン交換水1重量部を攪拌しながら添加することにより溶液中にゲルが生成した。生成したゲルは、さらに攪拌を続けることにより解離し、透明な溶液を調製した。調製した溶液に、ポリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製、一級、平均分子量300,000〜500,000)0.016重量部混合し紡糸溶液を調製」し、この紡糸溶液を用いてエレクトロスピニング法により累積および焼成し、二酸化チタンからなる金属酸化物不織布を製造したことが開示されている。しかしながら、このような方法により製造される金属酸化物不織布は金属酸化物粒子を用いて形成しているため粒界が多く、緻密でなく、導電性が悪く、集電効率が悪い結果、変換効率の低いものであった。
同様の色素増感型金属酸化物半導体電極の製造方法として、「基板上に形成された透明導電膜上に酸化チタン半導体膜を形成する工程を有する色素増感型金属酸化物半導体電極の製造方法において、該酸化チタン半導体膜の形成に当たり、酸化チタン前駆体含有原料液をエレクトロスピニング法により該透明導電膜に向けて噴射することにより、該透明導電膜上に酸化チタン前駆体を含むナノファイバーの堆積層を形成し、次いで該堆積層を焼成することを特徴とする色素増感型金属酸化物半導体電極の製造方法。」が提案され、この「酸化チタン前駆体含有原料液」が酸化チタン前駆体5〜60重量%と高分子化合物1〜30重量%を含む溶液であることを開示している(特許文献2)。また、実施例において、酸化チタン前駆体含有原料液として、ポリ酢酸ビニル0.5g、N,N−DMF4.5g、チタニウムテトラ−i−プロポキシド2.0g及び酢酸0.5gを使用し、ナノファイバーの堆積層を形成した後、500℃で1時間焼成したことを開示している。しかしながら、このような方法により製造されるナノファイバーの堆積層も前記特許文献1と同様に粒界が多く、緻密でなく、導電性が悪く、集電効率が悪い結果、変換効率の低いものであった。
特開2007−48659号公報(請求項1、請求項2、請求項4、段落番号0012、段落番号0081〜0082など) 国際公開番号WO2006/041092号パンフレット(特許請求の範囲、実施例など)
本発明は上述のような問題を解決するためになされたもので、変換効率の優れる色素増感型太陽電池を製造できる電極、及び色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「すず化合物を含む曳糸性ゾル溶液を用いて形成した酸化すず含有繊維からなる不織布を有する色素増感型太陽電池用電極であり、前記不織布の空隙率が60〜90%であることを特徴とする、色素増感型太陽電池用電極。」である。
本発明の請求項2にかかる発明は、「不織布を構成する酸化すず含有繊維が一方向に配向していることを特徴とする、請求項1に記載の色素増感型太陽電池用電極。」である。
本発明の請求項3にかかる発明は、「請求項1又は2に記載の色素増感型太陽電池用電極を備えた色素増感型太陽電池。」である。
本発明の請求項1にかかる発明は、すず化合物を含む曳糸性ゾル溶液を用いて形成した酸化すず含有繊維は粒界が少なく、内部充実の密度の高い緻密な繊維であり、しかも不織布の空隙率が60〜90%であるという、酸化すず含有繊維同士の接点が十分、かつ酸化チタン粒子を十分に充填できるため、導電性、集電性能に優れ、変換効率の高い色素増感型太陽電池を製造できる電極である。
本発明の請求項2にかかる発明は、酸化すず含有繊維が一方向に配向していることによって、繊維の配向方向における電子の取り出し効率が高いため、導電性、集電性能に優れ、変換効率の高い色素増感型太陽電池を製造できる電極である。
本発明の請求項3にかかる発明は、前記色素増感型太陽電池用電極を備えているため、変換効率の高い色素増感型太陽電池である。
従来の色素増感型太陽電池の模式的断面図 本発明の色素増感型太陽電池の模式的断面図 本発明の不織布を製造できる製造装置の模式的断面図 不織布の抵抗率の測定方法を示す図 負極と多孔質酸化チタン粒子層との複合体に銀ペーストを塗った状態を表す平面図
本発明の色素増感型太陽電池用電極(以下、単に「電極」と表記することがある)を構成する不織布は、すず化合物を含む曳糸性ゾル溶液を用いて形成した酸化すず含有繊維からなる。曳糸性ゾル溶液を用いて紡糸を行っているため、紡糸後に反応が進み、Sn−O−Snネットワークが形成され、粒子状から作ったものより、粒界の少ない繊維が得られる。しかも内部充実の密度の高い緻密な繊維であるため導電性に優れている。
本発明の不織布を構成する酸化すず含有繊維同士は接着しているのが好ましい。電子が繊維の長さ方向だけではなく、繊維同士の接着点を介して導電することもでき、更に導電性に優れているためである。この接着は導電しやすいように、接着剤を介することなく接着している状態である、焼結した状態にあるのが好ましい。
その結果、不織布の抵抗率は45Ω・cm以下であるのが好ましい。より好ましくは抵抗率が30Ω・cm以下である。抵抗率が小さければ小さい程、導電性に優れていることを意味するため、抵抗率の下限は特に限定するものではない。なお、「抵抗率」は次の手順により得られる値をいう。
(1)不織布から5mm×10mm角の試料Sを採取し、試料Sの厚さ(d:単位=μm)を測定する。この測定は、試料S断面の電子顕微鏡写真(倍率:1万倍)を撮り、その電子顕微鏡写真における無作為に選んだ5点における厚さを計測し、その算術平均値を試料Sの厚さとする。
(2)ガラス板G上に銀ペーストPを介して前記試料Sを載せた後、温度60℃で1時間乾燥し、銀ペーストPで接着する。なお、銀ペーストPによる接着は、試料Sの長手方向における各端部から2.5mmの領域に行い、試料Sのみの領域を5mm×5mm角とする(図4参照)。
(3)両端の銀ペーストPに端子を接続した後、抵抗計により抵抗値(R:単位=Ω)を測定する。
(4)この抵抗値(R)と厚さ(d)から、次の式により抵抗率(ρ:単位=Ω・cm)を算出する。
ρ=R/(1×10/d)
(5)3つの試料Sについて抵抗率をそれぞれ算出し、その算術平均値を「抵抗率」とする。
なお、不織布を構成する酸化すず含有繊維の平均繊維径は1μm以下であるのが好ましい。このような平均繊維径であると、表面積が広く、多孔質酸化チタン粒子との接触点が多くなり、集電性能に優れているためである。平均繊維径が小さければ小さい程、多孔質酸化チタン粒子との接触点が多くなり、集電性能が高くなるため、平均繊維径は0.5μm以下であるのがより好ましく、0.4μm以下であるのが更に好ましい。他方、平均繊維径の下限は特に限定するものではないが、不織布の取り扱い性に優れているように、50nm以上であるのが好ましい。この「平均繊維径」は繊維の40点における繊維径の算術平均値をいい、「繊維径」は不織布表面を1〜5万倍に拡大した顕微鏡写真を撮り、この写真を元に算出した値を意味し、繊維断面形状が円形でない場合には、同じ断面積を有する円の直径を繊維径とする。
また、不織布を構成する酸化すず含有繊維のアスペクト比は1000以上であるのが好ましい。アスペクト比が1000以上であるということは繊維長の長い繊維であることを意味し、繊維長の長い繊維であると、繊維の長さ方向に導電でき、集電性能に優れるためである。つまり、アスペクト比が小さいと、繊維同士の界面、繊維と粒子との界面、及び/又は粒子同士の界面を介して電子が流れることになり、これら界面が抵抗となって内部抵抗が増加し、変換効率が低下するが、アスペクト比が1000以上であると、これら界面が少なく、抵抗が小さいため、結果として変換効率を高くしやすいためである。アスペクト比が大きければ大きい程、導電性に優れるため、アスペクト比の上限は特に限定するものではない。好ましくは、繊維長が実質的に連続で、アスペクト比が無限大である。なお、アスペクト比は平均繊維長(単位:μm)を平均繊維径(単位:μm)で除した商である。この「平均繊維長」は40本の繊維の繊維長の算術平均値をいい、「繊維長」は不織布表面を500〜5万倍に拡大した顕微鏡写真を撮り、この写真を元に算出した値を意味する。
本発明の不織布はすず化合物を含む曳糸性ゾル溶液を用いて形成されているため、不織布は酸化すず含有繊維からなる。しかしながら、酸化すず含有繊維の導電性及び透明性を損なわない範囲内で他の物質を含むことができる。例えば、カーボンナノチューブを含んでいることができる。カーボンナノチューブの場合、1mass%以下含むことができる。
本発明の不織布は空隙率が60〜90%である。空隙率が60%未満であると、酸化チタン粒子の存在できる空隙が少なく、放出される電子量自体が少なくなり、発電効率が低下する傾向があるためで、好ましい空隙率は65%以上である。一方、空隙率が90%を超えると、空隙が多くなる結果、酸化すず含有繊維同士の接点が少なくなり、接点を通じた導電性が低下する結果、発電効率が低下する傾向があるためで、好ましい空隙率は85%以下である。なお、空隙率は次の式から算出することができる。
P={1−W/(t×SG)}×100
ここで、Pは空隙率(単位:%)、Wは目付(単位:g/m)、tは厚さ(単位:μm)、SGは酸化すず含有繊維の比重(単位:g/cm、酸化すず100%の場合4.6g/cm)をそれぞれ表わす。
なお、不織布の目付は特に限定するものではないが、取り扱い性、生産性の点から0.5〜20g/mであるのが好ましく、0.5〜10g/mであるのがより好ましい。また、厚さも特に限定するものではないが、1〜100μmであるのが好ましく、1〜50μmであるのが更に好ましい。この「目付」は不織布1mあたりの重量を算出した値であり、「厚さ」は不織布断面の電子顕微鏡写真(倍率:1万倍)を撮り、その電子顕微鏡写真における無作為に選んだ5点における厚さを計測し、算術平均した値をいう。
本発明の不織布はすず化合物を含む曳糸性ゾル溶液を用いて形成した酸化すず含有繊維からなるが、「曳糸性ゾル溶液」であるかどうかは、次の手順により判断できる。つまり、アースしたアルミ板に対し、水平方向に配置した金属ノズル(内径:0.4mm)から曳糸性を判断する溶液(固形分濃度:20〜50wt%)を押し出す(押出量:0.5〜1.0g/hr)と共に、ノズルに電圧を印加(電界強度:1〜3kV/cm、極性:プラス印加又はマイナス印加)し、ノズル先端に溶液の固化を生じさせることなく、1分間以上、連続して紡糸し、アルミ板上に繊維を集積させて不織布を形成する。この集積した繊維の電子顕微鏡写真を撮り、観察し、液滴がなく、繊維の平均繊維径(40点の算術平均値)が1μm以下、アスペクト比が1000以上の不織布を製造できる条件が存在する場合には、その溶液は「曳糸性あり」と判断する。これに対して、前記条件(すなわち、固形分濃度、押出量、電界強度、及び/又は極性)を変え、いかに組み合わせても、液滴がある場合、オイル状で一定した繊維形態でない場合、平均繊維径が5μmを超える場合、あるいは、アスペクト比が1000未満(例えば、粒子状)で、不織布を製造できる条件が存在しない場合には、その溶液は「曳糸性なし」と判断する。
このようなすず化合物を含む曳糸性ゾル溶液は、例えば、一般式SnX・bHO(XはCl原子、Br原子、I原子、F原子、OH基、SO基、NO基またはCHCOO基を表し、aは1〜4の整数を、bは0〜6の整数をそれぞれ表す)で表わされるすず化合物を、すず化合物を溶解可能な溶媒に溶解させて調製できる。より具体的には、すず化合物として、SnCl、SnCl・2HO、SnBr、SnI、SnF、SnSO、Sn(CHCOO)、Sn(NO等を挙げることができ、これらの中でも、SnCl・2HO、SnCl、SnBrは反応性、溶解性の点から好適に使用できる。なお、Sn(CHClなどの有機化合物で化学修飾したものであっても使用することができる。
また、曳糸性ゾル溶液として、例えば、一般式Sn(OR)、Sn(OR)(R=メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)で表されるアルコキシドを用いることもできる。
なお、曳糸性ゾル溶液は導電性を向上させるために、フッ素系化合物を含んでいても良い。このフッ素系化合物は、通常、ドーパントとして使用されているものを使用することができ、例えば、フッ化アンモニウム、フッ化水素などを用いることができる。
すず化合物を溶解可能な溶媒はすず化合物を溶解できるものであれば良く、特に限定するものではないが、アルコールを使用することができる。より具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロピルアルコール、メトキシエトキシエタノール、2−フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、アリルアルコール、2−メチル−2−プロペン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、フェノール、メトキシフェノール、エトキシフェノール、クレゾール、エチルフェノールなどを使用することができる。
曳糸性ゾル溶液の粘度は50〜1000cP(センチポイズ)であるのが好ましく、70〜700cP(センチポイズ)であるのがより好ましい。粘度が50cP未満であると曳糸性ではない傾向があり、粘度が1000cPを超えると繊維径が大きくなる傾向があるためである。曳糸性ゾル溶液をこのような粘度とするために、前記すず化合物の溶解液を加熱しても良い。
なお、ゾル溶液が曳糸性で、不織布の導電性に悪影響を及ぼさなければ、カーボンナノチューブのような固形物を含むことができる。この場合、曳糸性ゾル溶液を調製した後に固形物を添加して調製することができる。
本発明の不織布は前記曳糸性ゾル溶液を用いて形成したものである。例えば、静電紡糸法、乾式法により紡糸したゲル繊維を巻き取ることなく、集積することによって製造することができる。これらの中でも静電紡糸法によれば、前記平均繊維径が1μm以下及び/又はアスペクト比が1000以上(特には連続繊維)を製造しやすいため好適である。
好適である静電紡糸法について説明すると、曳糸性ゾル溶液を紡糸空間へ供給するとともに、供給した曳糸性ゾル溶液に電界を作用させることにより繊維化させ、すず化合物ゲル状繊維を形成する。より具体的には、ノズル、ワイヤー、ブラシ等の供給手段によって、曳糸性ゾル溶液を紡糸空間へ供給する。例えば、ノズルを使用する場合、内径が0.1〜3mmのものを使用すると平均繊維径1μm以下のすず化合物ゲル状繊維を製造しやすい。なお、供給手段が金属製であると、一方の電極として使用できる。
なお、曳糸性ゾル溶液に作用させる電界は、すず化合物ゲル状繊維の繊維径、供給手段と支持体との距離、曳糸性ゾル溶液の溶媒、曳糸性ゾル溶液の粘度などによって変化するため、特に限定するものではないが、0.5〜5kV/cmであるのが好ましい。5kV/cmを超えると、空気の絶縁破壊が生じやすく、他方で、0.5kV/cm未満であると、繊維形状となりにくいためである。このように電界を作用させることにより、曳糸性ゾル溶液に静電荷が蓄積され、支持体側の電極によって電気的に引っ張られ、引き伸ばされて繊維化する。電気的に引き伸ばしているため、繊維が支持体に近づくにしたがって繊維の速度が加速され、細径化する。また、溶媒の蒸発によって細くなり、曳糸性ゾル中の静電気密度が高まり、その電気的反発力によって分裂して更に細くなるのではないかと考えている。
このような電界は、例えば、供給手段(例えば、ノズル)と支持体との間に電位差を設けることによって作用させることができる。例えば、供給手段に電圧を印加するとともに支持体をアースすることによって電位差を設けることができるし、逆に、支持体に電圧を印加するとともに供給手段をアースすることによって電位差を設けることもできる。
次いで、前記すず化合物ゲル状繊維を支持体上に集積させる。この時に、支持体を300〜750℃(好ましくは350〜700℃であり、より好ましくは400〜650℃であり、更に好ましくは450〜600℃)で加熱するのが好ましい。このように支持体を加熱すると、すず化合物ゲル状繊維を集積させるだけではなく、すず化合物ゲル状繊維を焼成でき、酸化すず化合物の結晶化が進行して、また酸化すず含有繊維同士が接着(焼結)するため導電性が高くなる。また、溶媒などの有機成分も除去される。更には、繊維の収縮を抑え、クラックを生じることなく不織布を製造できる。
このように支持体を加熱する場合、支持体はすず化合物ゲル状繊維を焼成できる温度に維持しても使用できるものであれば良く、特に限定するものではないが、例えば、金属製、セラミックス製、カーボン製のロール又はコンベアを使用できる。なお、セラミックス製のように、導電性のない場合には、別途金属等の導電性材料を電極として設置する。例えば、コンベアの供給手段(例えば、ノズル)側と反対側に、コンベアと接触して又は離間させて導電性材料を設置する。また、支持体は多孔性であっても良いし、無孔性であっても良い。なお、支持体を前記のような温度とするには、例えば、支持体の内部又は外部にヒーターを設置し、加熱することによって実施できる。また、支持体によるすず化合物ゲル状繊維の加熱焼成時間は、すず化合物ゲル状繊維の結晶化が進行し、導電性に優れる酸化すず含有繊維となるように、10秒以上であるのが好ましい。このすず化合物ゲル状繊維の集積と焼成を同時に行なう場合、効率的に酸化すず化合物とすることができるように、酸素存在下、特に空気雰囲気下で実施するのが好ましい。
以上、支持体ですず化合物ゲル状繊維の集積と焼成を同時に行う製造方法であるが、支持体上にすず化合物ゲル状繊維を集積して繊維ウエブを形成した後に焼成する方法によっても、酸化すず含有繊維からなる不織布を製造することができる。なお、この場合の焼成条件は前述の同時に焼成する場合と同様の条件で実施できる。
なお、本発明の不織布は空隙率が60〜90%であるが、このような空隙率となりやすいように、支持体を加熱する場合であっても、加熱しない場合であっても、すず化合物ゲル状繊維を集積させる支持体を200m/min.以上の速度で移動させるのが好ましい。このような速度で支持体を移動させることによって、すず化合物ゲル状繊維は一方向に配向しやすく、繊維同士の長さ方向に連続して密着し、繊維の充填率が高まる結果として空隙率が低くなりやすいためである。より好ましい支持体の移動速度は300m/min.以上であり、更に好ましい支持体の移動速度は400m/min.以上である。なお、支持体の移動速度の上限は特に限定するものではないが1200m/min.以下であるのが好ましい。
また、このようにして作製した不織布は酸化すず含有繊維が一方向に配向していることによって、繊維の配向方向へ電子が流れ易く、導電性、集電性能に優れているため好適である。
なお、本発明における「一方向に配向している」とは、繊維配向の標準偏差値が30以下であることをいう。この繊維配向の標準偏差値が小さければ小さい程、酸化すず含有繊維が一方向に配向していることを意味し、更に導電性、集電性能に優れているため、好ましい繊維配向の標準偏差値は28以下である。なお、繊維配向の標準偏差値の下限は酸化すず含有繊維全部が同じ方向に配向している0である。
この「繊維配向の標準偏差値」は、不織布表面の電子顕微鏡写真上に直線を引いた場合に形成される、酸化すず含有繊維と前記直線とのなす角度(同じ回転方向にて測定)を100点について測定し、その測定の結果得られる角度の標準偏差値をいう。なお、不織布表面の電子顕微鏡写真は1000倍の倍率で撮影したものを使用するのが好ましい。また、直線は任意の方向に対して引くことができ、特に限定するものではない。なお、1本の直線で100点の角度を確保できない場合には、1本目の直線と平行に直線を引いて角度を測定する。また、角度の標準偏差値は次の式から得られる値をいう。
標準偏差値={(nΣA−(ΣA))/n(n−1)}1/2
ここで、Aは各々の角度(°)を意味し、nは測定点数である100を意味する。
不織布の空隙率を60〜90%とするために、すず化合物ゲル状繊維を集積した後かつ加熱焼成前に、加熱焼成中に、又は加熱焼成後に、加圧するのが好ましい。加圧することによって繊維の充填率が高まり、空隙率を低くできるなど、空隙率の制御が可能であるためである。加圧は不織布の形成方法、特に静電紡糸法により支持体を移動させる場合にはその移動速度によって変化するため、特に限定するものではないが、空隙率を90%以下とできるように、1g/cm以上であるのが好ましく、5g/cm以上であるのがより好ましく、10g/cm以上であるのが更に好ましい。他方、空隙率が60%未満とならないように、50g/cm以下であるのが好ましい。なお、すず化合物ゲル状繊維を集積した後かつ加熱焼成前に、又は加熱焼成後に加圧する場合には同時に加熱することもできる。この場合、100〜450℃に加熱するのが好ましい。
以上のような方法により、本発明の不織布を製造することができるが、平均繊維径が1μm以下の酸化すず含有繊維は、供給手段による曳糸性ゾル溶液の供給量、電界強度、ゾル溶液の濃度、及び/又はゾル溶液の粘度等を調整することによって得ることができる。
本発明の不織布の製造方法を、製造装置の模式的断面図の一例である図3をもとに簡単に説明する。
まず、前述のように調製された曳糸性ゾル溶液はゾル溶液貯留部1から定量ポンプ等によって、ノズル群2〜211へと供給され、ノズル群2〜211から紡糸空間へ押し出される。一方、ゾル溶液貯留部1からノズル群2〜211へ曳糸性ゾル溶液を供給する金属製供給管3に電圧が印加されるとともに、支持体4はアースされているため、曳糸性ゾル溶液に電界が作用し、前記押し出された曳糸性ゾル溶液は繊維化し、すず化合物ゲル状繊維となり、支持体4へ向かって飛翔する。なお、ノズル群2〜211は不織布の地合いを向上させるために、揺動(特には、支持体4の幅方向に揺動)させても良い。このすず化合物ゲル状繊維は支持体4に到達し、集積して不織布となるが、支持体4はヒーター5によって300〜750℃に加熱され、維持されているため、すず化合物ゲル状繊維は焼成され、酸化すず含有繊維となる。つまり、酸化すず含有繊維からなる不織布となる。なお、支持体4はコンベアであり、その表面速度を調節することにより、すず化合物ゲル状繊維を一方向に配向させ、繊維同士の長さ方向に連続して密着させることにより、空隙率の低い不織布を形成することができる。
図3の製造装置においては、加熱された支持体4によって発生する気流によってすず化合物ゲル状繊維の均一な飛翔が乱れないように、気体供給装置6をノズル群2〜211よりも上流側に配置し、ノズル群2〜211から支持体4へ向かう気体(特には空気)の流れを形成している。同時に、支持体4よりも下流側に排気装置7を配置し、供給された気体を排気している。また、図3の製造装置においては、前記加熱された支持体4によって発生する気流の影響を更に少なくするために、支持体4を垂直に配置し、この支持体4に対して直角方向にノズル群2〜211を配置している。なお、支持体4の重力の作用方向上方にノズル群2〜211を配置しなければ、同様の効果が得られる。更に、図3の製造装置においては、揮発した曳糸性ゾル溶液の溶媒が分散しないように、容器8にノズル群2〜211、支持体4等が収納されている。
本発明の電極は前述のような不織布に加えて、電子を集電して外部回路へと供給できるように透明導電性膜を含み、この不織布と透明導電性膜とは接触しているのが好ましい。この透明導電性膜は光を遮ることなく、多孔質酸化チタン粒子層まで光を透過させることができるように透明であり、可視光領域(約400〜700nm)の光透過率が80%以上である程に透明であるのが好ましい。また、電子を集電し外部回路へと供給できるように、抵抗率が1×10−3Ω・cm以下である程に導電性であるのが好ましい。このような透明導電性膜としては、例えば、酸化すず系(フッ素ドープ酸化すず;FTO)、酸化インジュウム系(酸化インジュウム・すず;ITO)、酸化亜鉛系(アルミニウムドープ酸化亜鉛;AZO、ガリュウムドープ酸化亜鉛;GZO)などを挙げることができる。
本発明の電極における不織布は透明導電性膜と接触しているのが好ましいが、このように接触していると、不織布において集電した電子を速やかに透明導電性膜に導電することができる。この接触状態は不織布と透明導電性膜とが接着した状態にあっても良いし、接着していない状態にあっても良いが、導電性という観点から、接着した状態にあるのが好ましい。この接着した状態にある場合であっても、接着していることによって光の透過性を妨げたり、導電性を妨げることは変換効率の低下に繋がるため、透明導電性膜と不織布とは酸化すず化合物や酸化チタンなどの光触媒作用を示すものや、その他の透明導電素材(酸化亜鉛など)によって接着しているのが好ましい。このような接着した状態は、例えば、焼結した状態にある。なお、透明導電性膜と不織布との焼結は、透明導電性膜及び/又は不織布にすず化合物を含むゾル溶液等の接着剤を付与し、これらを積層した状態で乾燥し、続いて接着性及び導電性を高めるために焼結することによって実施できる。この焼結は通常、加熱処理により行うことができるが、再表2003―031673号公報に開示されているように、高周波電界中で低温プラズマに暴露する方法によれば、積極的な加熱処理を行うことなく低温で焼結できるため、プラスチック基材のような低融点の基材上の透明導電性膜と不織布とを焼結することができる。
なお、焼結のためにすず化合物を含むゾル溶液を用いる場合、ゾル溶液は前述と同様の曳糸性ゾル溶液であるのが好ましい。焼結した時に粒界が形成されにくく、導電性に優れているためである。また、ゾル溶液の固形分濃度は0.5〜10mass%であるのが好ましい。これは透明導電性膜と不織布を焼結し、さらに不織布を構成する酸化すず含有繊維同士を焼結することができるためである。濃度が0.5mass%未満であると焼結が不十分になる傾向があり、また10mass%を超えると焼結の際の収縮によりクラックが入りやすくなり、導電性が悪くなる傾向があるためである。また、透明導電性膜と不織布とを焼結する場合には、透明導電膜の耐熱温度を考慮して焼結する。例えば、透明導電膜がフッ素ドープ酸化すず膜(FTO膜)からなる場合、焼結温度は300〜450℃であるのが好ましい。
本発明の電極は前述のような不織布と透明導電性膜とを有するのが好ましいが、透明導電性膜を支持する基材を更に有することができる。この基材は特に限定するものではないが、例えば、ガラス、プラスチックフィルムなどの透明な材料から構成することができる。
本発明の色素増感型太陽電池(以下、単に「太陽電池」と表記することがある)について、模式的断面図である図2をもとに説明する。本発明の太陽電池は正極21、基材20a、透明導電性膜20b及び不織布20cからなる本発明の負極20、負極の不織布20cに充填された色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子の層22、及び電解液23を備えた構造を有する。本発明の太陽電池においては、本発明の電極を負極20としており、本発明の電極は不織布20cを備えており、この不織布20c内に色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子が充填された層22を備えているため、色素が光を吸収し、放出した電子は多孔質酸化チタン粒子から酸化すず含有繊維へと効率的に導電し、透明導電性膜20bに速やかに到達する。そのため、変換効率の高い太陽電池である。つまり、従来の負極のように不織布を備えていない場合、電子は多孔質酸化チタン粒子を伝って導電するが、多孔質酸化チタンにおける電子移動距離は10〜15μmといわれていたため、取り出すことのできる電子量が少なく、変換効率の悪いものであったが、本発明においては、多孔質酸化チタン粒子が酸化すず含有繊維と接触した状態にあることができるため、電子は多孔質酸化チタン粒子を伝い、酸化すず含有繊維からなる不織布20cによって速やかに集電されるため、変換効率の高い太陽電池である。
本発明の太陽電池は本発明の電極を用いていること以外は従来の太陽電池と同じ構成からなることができる。例えば、正極21はガラス等の基材21a上に酸化インジュウムスズ(ITO)などの透明導電性膜21b、白金21cを順に有する電極からなる。この正極は市販されているため入手可能である。
負極20の不織布20cに充填された色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子の層22は、例えば、酸化チタンを含有するペーストを調製し、このペーストを不織布に塗布し、焼成した後に、色素を吸着させることによって形成することができる。又は、液相析出法により不織布表面に酸化チタン粒子を析出させた後、析出した酸化チタン粒子に色素を吸着させることによっても形成することができる。なお、液相析出法とは、金属フルオロ錯体の加水分解を利用した薄膜合成法であり、反応機構は次の通りである。
MF (x−2n)−+nHO=MO+nF+2nH
BO+4H+4F=HBF+3H
このように、液相析出法は金属フルオロ錯体(MF (x−2n)−)の加水分解反応により、金属酸化物を溶液中で析出させるとともに、フッ化物イオンと反応しやすいホウ酸(HBO)を添加することにより、より安定なほうふっ化水素酸(HBF)を形成し、効率的に金属酸化物を析出させることができる方法である。このように、液中において金属酸化物を析出させることができるため、本発明のような空隙率の小さい不織布であっても、不織布の空隙へ酸化チタン粒子を析出させ、十分に充填することができる。
電解液23としてのヨウ素溶液は試薬として市販されているため入手可能である。このような正極21と色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子を充填した不織布層20cを備えた負極20との間にスペーサーを介在させて空隙を形成し、この空隙に電解液23を注液することにより、本発明の太陽電池を製造することができる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)不織布の作製;
(1)−1 曳糸性ゾルの調製;
100mlの反応容器に塩化第1すず(SnCl)10gとメタノール100mlを加え、撹拌して溶解させた。この反応容器の開口部を、溶媒の蒸散のために穴を開けた蓋で蓋をした状態で、温度40℃に設定したオーブン中に一日放置した。その後、この溶液をエバポレーターで濃縮し、粘度120cPの曳糸性ゾル溶液(濃度:47%)を得た。
(1)−2 不織布の製造;
上記調製した曳糸性ゾル溶液を、金属ノズル(内径:0.4mm)を備えたプラスチックシリンジに2ml入れ、押し出し量0.3g/時間の速度で金属ノズルから押し出すとともに、金属ノズルに電圧12kV印加し、金属ノズルの先端から6cm離れた金属ドラム(アース)上に集積し、すず化合物ゲル状繊維の繊維ウエブを形成した。なお、繊維を集積させる際に、ドラムを高速回転させた(ドラム表面速度:750m/min.)。
次いで、この繊維ウエブを電気炉に入れ、室温から10℃/min.の速度で450℃まで昇温し、温度450℃で30分間維持することにより焼成し、内部充実の酸化すず含有繊維同士が焼結した不織布(平均繊維径:0.1μm、目付:5.7g/m、厚さ:15μm、空隙率:90%、見掛密度:0.38g/cm、抵抗率:25Ω・cm)を製造した。この不織布を電子顕微鏡で観察したところ、アスペクト比が1000以上で、実質的に連続した繊維からなっていた。
(2)太陽電池の作製;
(2)−1 負極の作製;
15mm角のフッ素ドープ酸化すず膜被覆ガラス(FTOガラス、旭硝子ファブリテック社製、TCOガラス、タイプDU A−110U80)を用意し、エタノール及びアセトンで透明導電性膜(フッ素ドープ酸化すず膜)表面を洗浄した後、紫外線を5分間照射して更に洗浄した。
前記(1)−1で製造した曳糸性ゾル溶液を1−ブタノールで5wt%まで希釈した。この希釈液をFTOガラスのフッ素ドープ酸化すず膜に塗った後、前記(1)−2で製造した不織布(5mm角)、四フッ化エチレン樹脂シートの順に載せた後、10g/cmで加圧しながら、温度80℃で5分間加熱し、不織布とFTOガラスとを接着した。接着後、電気炉で室温から20℃/min.の速度で450℃まで昇温し、温度450℃で30分間維持することにより焼成し、不織布をFTOガラスの透明導電性膜(フッ素ドープ酸化すず膜)と酸化すず化合物により焼結した負極を作製した。
(2)−2 負極と多孔質酸化チタン粒子との複合;
負極の不織布の存在しない場所にマスキングを施した後、(NHTiF−0.1MとHBO−0.2Mの混合液に浸漬し、不織布表面に酸化チタン粒子を析出させた。温度100℃で30分間乾燥した後、1℃/min.の速度で温度450℃まで昇温し、450℃で30分間維持することにより焼成し、不織布中に多孔質酸化チタン粒子を混在させた。
次いで、色素N719(0.05984g)をt−ブタノール50ml、アセトニトリル50mlに溶解させた色素溶液中に、前記多孔質酸化チタン粒子が混在する負極を室温下、一日浸漬し、多孔質酸化チタン粒子に色素を吸着させた後、脱水したアセトニトリルで洗浄し、不織布中に色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子が混在する負極を製造した。
(2)−3 電解液の調製;
遮光性のビンに3−メトキシプロピオンニトリル(10ml)、LiI(0.13358g)、I(0.1269g)、4TBP(4−tert−butylpyridine(0.67605g))、DMPr2−I(1,2−Dimetyl−3−n−propylimdazoliumiodide(1.3572g)を入れ、撹拌して溶解させ、電解液を調製した。
(2)−4 正極の作製;
15mm角のすずドープ酸化インジウム(ITO)膜被覆ネサガラス(フルウチ化学社製)を用意し、エタノール及びアセトンでITO膜表面を洗浄した後、紫外線を5分間照射して更に洗浄した。
次いで、スパッタリング装置(JEOL JFC−1600)を用い、電流40mAで2分間の蒸着処理を2回(白金の厚みの狙い値:60nm)行い、前記ITO膜表面に白金を蒸着し、正極を作製した。
(2)−5 太陽電池の組み立て;
負極、正極のそれぞれのガラス(FG)に銀ペーストP(藤倉化成製、ドータイトD−500)をL字型に塗り、端子をとった(図5参照、図中Cは不織布)。
次いで、スペーサー(タマポリ製、HM−52、厚さ:30μm)を用いて、負極と正極を組み合わせ、(2)−3で調製した電解液を封入し、クリップで固定して、色素増感型太陽電池を組み立てた。
(実施例2)
次の方法により不織布を製造し、その不織布を使用したこと以外は実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池を組み立てた。
(1)−2 不織布の製造;
実施例1と同様にして製造した繊維ウエブを電気炉に入れ、10g/cmで加圧した状態で、室温から10℃/min.の速度で450℃まで昇温し、温度450℃で30分間維持することにより焼成し、内部充実の酸化すず含有繊維同士が焼結した不織布(平均繊維径:0.1μm、目付:12.2g/m、厚さ:14μm、空隙率77%、見掛密度:0.87g/cm、抵抗率:25Ω・cm)を製造した。この不織布を電子顕微鏡で観察したところ、アスペクト比が1000以上で、実質的に連続した繊維からなっていた。
(実施例3)
次の方法により不織布を製造し、その不織布を使用したこと以外は実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池を組み立てた。
(1)−2 不織布の製造;
実施例1と同様にして製造した繊維ウエブを電気炉に入れ、20g/cmで加圧した状態で、室温から10℃/min.の速度で450℃まで昇温し、温度450℃で30分間維持することにより焼成し、内部充実の酸化すず含有繊維同士が焼結した不織布(平均繊維径:0.1μm、目付:15.1g/m、厚さ:16μm、空隙率:75%、見掛密度:0.94g/cm、抵抗率:25Ω・cm)を製造した。この不織布を電子顕微鏡で観察したところ、アスペクト比が1000以上で、実質的に連続した繊維からなっていた。
(実施例4)
次の方法により不織布を製造し、その不織布を使用したこと以外は実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池を組み立てた。
(1)−2 不織布の製造;
実施例1と同様に調製した曳糸性ゾル溶液を、金属ノズル(内径:0.4mm)を備えたプラスチックシリンジに2ml入れ、押し出し量0.3g/時間の速度で金属ノズルから押し出すとともに、金属ノズルに電圧12kV印加し、金属ノズルの先端から6cm離れた金属ドラム(アース)上に集積し、すず化合物ゲル状繊維の繊維ウエブを形成した。なお、繊維を集積させる際に、ドラムを高速回転させた(ドラム表面速度:1000m/min.)。
次いで、この繊維ウエブを電気炉に入れ、10g/cmで加圧した状態で、室温から10℃/min.の速度で450℃まで昇温し、温度450℃で30分間維持することにより焼成し、内部充実の酸化すず含有繊維同士が焼結した不織布(平均繊維径:0.1μm、目付:21.3g/m、厚さ:14μm、空隙率:60%、見掛密度:1.52g/cm、抵抗率:25Ω・cm)を製造した。この不織布を電子顕微鏡で観察したところ、アスペクト比が1000以上で、実質的に連続した繊維からなっていた。
(比較例1)
(紡糸液の調製)
ポリ酢酸ビニル(PVAc)2.875gをN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)22.125gに加えて溶解させ、更にチタンテトライソプロポキシド(TTiP)5gと酢酸2.5gを混合した溶液を加え、紡糸液とした。
(不織布の製造)
前記調製した紡糸液を、金属ノズル(内径:0.4mm)を備えたプラスチックシリンジに2ml入れ、押し出し量0.3g/時間の速度で金属ノズルから押し出すとともに、金属ノズルに電圧12kV印加し、金属ノズルの先端から6cm離れた金属ドラム(アース)上に集積し、PVAc/TTiP混合繊維の繊維ウエブを形成した。なお、繊維を集積させる際に、ドラムを0.5m/min.で回転させた。その後、温度120℃で30分熱処理し、含有溶媒を取り除き、不織布とした。
(負極の作製)
15mm角のフッ素ドープ酸化すず膜被覆ガラス(FTOガラス、旭硝子ファブリテック社製、TCOガラス、タイプDU A−110U80)を用意し、エタノール及びアセトンで透明導電性膜(フッ素ドープ酸化すず膜)表面を洗浄した後、紫外線を5分間照射して更に洗浄した。
次いで、FTOガラスのフッ素ドープ酸化すず膜上に、前記不織布(5mm角)、四フッ化エチレン樹脂シートに順に載せた後、1kg/cmで加圧した状態で、温度120℃で10分間加熱し、不織布とFTOガラスとを接着した。接着後、電気炉で室温から10℃/min.の速度で450℃まで昇温し、温度450℃で30分間維持することにより焼成して不純物を取り除き、酸化チタン繊維からなる不織布をFTOガラスの透明導電性膜(フッ素ドープ酸化すず膜)に焼結した負極を作成した。なお、酸化チタン繊維はアスペクト比が1000以上で、実質的に連続した多孔質の繊維であり、また、不織布の物性は、平均繊維径0.1μm、目付14.0g/m、厚さ16μm、空隙率75%、見掛密度0.88g/cmであった。
(負極と多孔質酸化チタン粒子との複合)
前記負極の不織布の存在しない場所にマスキングを施した後、(NHTiF−0.1MとHBO−0.2Mの混合液に浸漬し、不織布表面に酸化チタン粒子を析出させた。温度100℃で30分間乾燥した後、1℃/min.の速度で温度450℃まで昇温し、450℃で30分間維持することにより焼成し、不織布中に多孔質酸化チタン粒子を混在させた。
次いで、色素N719(0.05984g)をt−ブタノール50ml、アセトニトリル50mlに溶解させた色素溶液中に、前記多孔質酸化チタン粒子が混在する負極を室温下、一日浸漬し、多孔質酸化チタン粒子に色素を吸着させた後、脱水したアセトニトリルで洗浄し、不織布中に色素を吸着した多孔質酸化チタン粒子が混在する負極を製造した。
その後、実施例1の(2)−3(電解液の調製)、(2)−4(正極の作製)、(2)−5(太陽電池の組み立て)と同様にして、色素増感型太陽電池を組み立てた。
(比較例2)
次の方法により不織布を製造し、その不織布を使用したこと以外は実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池を組み立てた。
(1)−2 不織布の製造;
実施例1と同様に調製した曳糸性ゾル溶液を、金属ノズル(内径:0.4mm)を備えたプラスチックシリンジに2ml入れ、押し出し量0.3g/時間の速度で金属ノズルから押し出すとともに、金属ノズルに電圧12kV印加し、金属ノズルの先端から6cm離れた金属ドラム(アース)上に集積し、すず化合物ゲル状繊維の繊維ウエブを形成した。なお、繊維を集積させる際に、ドラムを0.5m/min.で回転させた。
次いで、この繊維ウエブを電気炉に入れ、室温から10℃/min.の速度で450℃まで昇温し、温度450℃で30分間維持することにより焼成し、内部充実の酸化すず含有繊維同士が焼結した不織布(平均繊維径:0.1μm、目付:3.4g/m、厚さ:15μm、空隙率:94%、見掛密度:0.23g/cm、抵抗率:25Ω・cm)を製造した。この不織布を電子顕微鏡で観察したところ、アスペクト比が1000以上で、実質的に連続した繊維からなっていた。
(比較例3)
次の方法により不織布を製造し、その不織布を使用したこと以外は実施例1と同様にして、色素増感型太陽電池を組み立てた。
(1)−2 不織布の製造;
実施例1と同様に調製した曳糸性ゾル溶液を、金属ノズル(内径:0.4mm)を備えたプラスチックシリンジに2ml入れ、押し出し量0.3g/時間の速度で金属ノズルから押し出すとともに、金属ノズルに電圧12kV印加し、金属ノズルの先端から6cm離れた金属ドラム(アース)上に集積し、すず化合物ゲル状繊維の繊維ウエブを形成した。なお、繊維を集積させる際に、ドラムを1000m/min.で回転させた。
次いで、この繊維ウエブを電気炉に入れ、20g/cmで加圧した状態で、室温から10℃/min.の速度で450℃まで昇温し、温度450℃で30分間維持することにより焼成し、内部充実の酸化すず含有繊維同士が焼結した不織布(平均繊維径:0.1μm、目付:23.6g/m、厚さ:13μm、空隙率:55%、見掛密度:1.82g/cm、抵抗率:25Ω・cm)を製造した。この不織布を電子顕微鏡で観察したところ、アスペクト比が1000以上で、実質的に連続した繊維からなっていた。
(太陽電池の評価)
(1)光量の校正;
予め、擬似太陽光(擬似太陽光照射装置:セリック製、SXL−500V2形)の光量の校正を行った。
次いで、10分間、擬似太陽光を照射し、擬似太陽光照射装置の光源をウォームアップした。
次いで、フォトダイオード(分光計器製、シリコン系フォトダイオード、BS−520)に擬似太陽光を照射し、出力電流値が0.606mAを示すように試料台の高さを調節した。これによりAM1.5(100mW/cm)の太陽光が試料に照射できているものとした。
(2)変換効率の測定;
ケースレー社2400型ソースメータを用いて、各太陽電池(電極面積:0.25cm)の変換効率を測定した。つまり、電流−電圧特性の測定を−0.1〜+0.8Vの範囲で電圧を変化させ、電圧値及び電流値を読み取って測定を行い、変換効率を見積もった。この結果は表2に示す通りであった。なお、表1は紡糸液の状態及び不織布を製造する上で、特に空隙率に影響を及ぼすドラムの表面速度と加圧力についてまとめたものである。
Figure 0005334646
Figure 0005334646
この表1、2の結果から、曳糸性の紡糸液を使用すること、及び不織布の空隙率が60〜90%であることによって変換効率が高くなることがわかった。
本発明の色素増感型太陽電池用電極は色素増感型太陽電池の負極として使用することができる。
1 ゾル溶液貯留部
〜211 ノズル群
3 供給管
4 支持体
5 ヒーター
6 気体供給装置
7 排気装置
8 容器
10、20 負極
10a、20a 基材
10b、20b 透明導電性膜
20c 不織布
11、21 正極
11a、21a 基材
11b、21b 透明導電膜
11c、21c 白金
12、22 多孔質酸化チタン粒子層
13、23 電解液
G ガラス板
S 試料
P 銀ペースト
FG ガラス
C 不織布

Claims (3)

  1. すず化合物を含む曳糸性ゾル溶液を用いて形成した酸化すず含有繊維からなる不織布を有する色素増感型太陽電池用電極であり、前記不織布の空隙率が60〜90%であることを特徴とする、色素増感型太陽電池用電極。
  2. 不織布を構成する酸化すず含有繊維が一方向に配向していることを特徴とする、請求項1に記載の色素増感型太陽電池用電極。
  3. 請求項1又は2に記載の色素増感型太陽電池用電極を備えた色素増感型太陽電池。
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