JP5209216B2 - 色素増感型太陽電池用電極およびその製造方法 - Google Patents

色素増感型太陽電池用電極およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は色素増感型太陽電池用電極に関し、詳しくは、プラスチック基材を使用しても光発電性能の高い色素増感型太陽電池を製造することができる色素増感型太陽電池用電極に関する。
色素増感型太陽電池は、色素増感半導体微粒子を用いた光電変換素子が提案されて以来(「ネイチャー(Nature)」 第353巻、第737〜740ページ、(1991年))、シリコン系太陽電池に替る新たな太陽電池として注目されている。特に、支持体としてプラスチックフィルムを用いた色素増感型太陽電池は、柔軟化や軽量化が可能であり、数多くの検討がなされてきた。
色素増感型太陽電池の金属酸化物半導体層は、ガラス基板上の場合色素の吸着量を増加させるために、通常酸化物半導体の微粒子を焼結させて多孔質体としたものを使用する。しかし、この方法は加工温度が高いためプラスチック基材を用いる場合には適用することができない。
そこでプラスチック基材の場合、結晶性の金属酸化物微粒子を基材上の透明導電層に固着することで電荷輸送効率の高い太陽電池用電極の開発が検討されている。しかしながら金属酸化物の微粒子を用いた場合、膜質も弱く取り扱い時に粉末状で脱離したり電解液中で剥離したりといった問題があるため接着剤や塗液組成の検討等実施されている。
ところで、特開2001−93590号公報および特開2001−358348号公報には、金属酸化物の針状結晶を太陽電池用電極に用いることで電荷輸送の効率を向上させることが記載されている。しかし、良好な多孔質構造を得て高い電荷輸送効率を達成するためには、金属酸化物の結晶状態を適切に制御する必要がある。例えば金属酸化物が酸化チタンの場合、アナターゼ型結晶である事が好ましい。しかしながら針状のアナターゼ型結晶である酸化チタンを作成するのは困難であり、通常製造できるのはルチル型結晶である。結果その効果は十分なものではなかった。
アスペクト比の高い金属酸化物微粒子を得る手法として静電紡糸法がある。この手法においては、ポリマー等の焼失成分を含む金属酸化物前駆体を高いアスペクトの状態で吐出したのちに高温で熱処理することで金属酸化物を得るが、この熱処理条件等の検討で結晶系をコントロールすることが可能である。この静電紡糸法を利用した色素増感型太陽電池の作成方法が公表されている。
特開平11−288745号公報 特開2001−160426号公報 特開2002−50413号公報 特開2001−93590号公報 特開2001−358348号公報 特開2003−105658号公報 特開2002−249966号公報 US2005/0109385 ダン リら著、ナノレター、2004年、p933〜938 ダン ヨン キムら著、ナノテクノロジー、2004年、p1861〜1865
これらの手法においては、金属酸化物前駆体をガラス基板上の透明導電層に高アスペクト比の状態で吐出し積層したのち高温で焼成する事で金属酸化物層を得る。この焼成の際金属酸化物の自己収縮応力が強く、透明導電層から剥離する傾向にあり、抑制するためにポリマー成分等の除去といった前処理が必要である。さらにこの吐出―熱処理と行った一連の工程においては、色素増感型太陽電池用電極に求められる高い比表面積や電荷輸送効率の向上といった複数の特性を達成するのには限界がある。さらにこの手法は400℃以上での熱処理工程を経るために、プラスチック型太陽電池の作成手法に適用するのは困難である。
本発明は、支持体としてプラスチック基材を用いながら、十分な量の色素を吸着し高い電荷輸送効率を得ることができ、なおかつ多孔質酸化物膜が良好に基材に積層された、光発電性能の高い色素増感型太陽電池を製造できる、色素増感型太陽電池用電極を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、粒子含有短繊維状金属酸化物10〜70重量%および粒子径2〜500nmの金属酸化物微粒子30〜90重量%の合計100重量部とバインダー0.1〜40重量部とからなる多孔質半導体層(A)、透明導電層(B)ならびにプラスチックフィルム(C)からなる色素増感型太陽電池用電極であって、粒子含有短繊維状金属酸化物が、細部の平均繊維径50〜1000nm、繊維長/細部の繊維径が3以上であり、その形状がビーズ状であることを特徴とする、色素増感型太陽電池用電極である。但し、ビーズ状とは、繊維軸方向に、粒子含有短繊維状金属酸化物に含まれる粒子からなる太部が多数連なった形状である。
本発明はまた、上述の粒子含有短繊維状金属酸化物を含む分散液をプラスチックフィルム(C)上に設けられた透明導電層(B)のうえに塗布して色素増感型太陽電池用電極を得る、色素増感型太陽電池用電極の製造方法である。
本発明によれば、支持体としてプラスチック基材を用いながら、十分な量の色素を吸着し高い電荷輸送効率を得ることができ、なおかつ多孔質酸化物膜が良好に基材に積層された、光発電性能の高い色素増感型太陽電池を製造できる、色素増感型太陽電池用電極を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[多孔質半導体層(A)]
本発明における多孔質半導体層(A)は、粒子含有短繊維状金属酸化物および粒子径2〜500nmの金属酸化物微粒子とバインダーとからなる。
[粒子含有短繊維状酸化物]
本発明における粒子含有短繊維状金属酸化物は、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化スズからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる。粒子含有短繊維状金属酸化物を構成する粒子の部分と、粒子以外の部分とは同じ種類の金属酸化物であってもよく、異なる種類の金属酸化物であってもよい。例えば粒子の部分が酸化チタン、粒子以外の部分も酸化チタンであってもよく、粒子の部分が酸化チタン、粒子以外の部分が酸化亜鉛または酸化スズであってもよい。
また、粒子含有短繊維状金属酸化物は、少量割合、例えば5重量%以下、好ましくは1重量%以下の割合の副成分として、例えばAl、SiO、LiO、NaO、MgO、CaO、SrO、BaO、B、P、SnO、ZrO、KO、CsO、ZnO、Sb、As、CeO、V、Cr、MnO、Fe、CoO、NiO、Y、Lu、Nb、Er、Yb、HfOといったの酸化物系セラミックスを含んでいてもよい。
本発明における粒子含有短繊維状金属酸化物は、その平均繊維径が50〜1000nm、好ましくは55nm〜800nmである。平均繊維径が50nm未満であると実質的に取り扱いが困難になる。1000nmを超えると十分にその表面に色素が吸着できず十分に発電しない。
本発明における粒子含有短繊維状金属酸化物は、繊維長/細部の平均繊維径が3以上、好ましくは5以上である。3未満であると目的とする多孔質構造が得られない。
本発明における粒子含有短繊維状金属酸化物はビーズ状である。このビーズ状の形態をとることで比表面積が増大し、色素の吸着量の増加もしくは金属酸化物同士の結着性が向上するため、色素増感型太陽電池用電極として高い物性を発揮することができる。
本発明におけるビーズ状とは、添加した金属微粒子もしくはその凝集物からなる太部が繊維軸方向に多数連なった形状をいい、太部の平均繊維径と細部の平均繊維径の比は例えば1.2〜100、好ましくは2〜50であるものをいう。太部の平均繊維径と細部の平均繊維径との比が1.2未満であると比表面積が十分に向上せず色素の吸着量が向上しないため好ましくなく、100を超えると、特に細部が太い場合、粒子が粗大になり比表面積が低下するため好ましくない。
このビーズ状粒子含有短繊維状金属酸化物において太部の個数は、例えば1〜50個/10μm、好ましくは1.5〜30個/10μmである。1個未満であると色素が十分吸着することが困難になるため好ましくない。50個を超えると目的とする多孔構造を維持することが困難となるため好ましくない。
本発明における粒子含有短繊維状金属酸化物の結晶サイズは10〜100nmである。10nm未満であると電荷輸送効率が低下するため好ましくない。100nmを超えると多孔性半導体層の比表面積が低下し、十分な発電量が得られないため好ましくない。
本発明における粒子含有短繊維状金属酸化物のBET比表面積は好ましくは3〜1000m/gである。3m/g未満であると十分に色素が吸着できず十分に発電しないため好ましくない。1000m/gを超えると実質的に取り扱いが困難になるため好ましくない。
また本発明における粒子含有短繊維状金属酸化物は、好ましくは酸化チタンからなり、そしてこの酸化チタンはアナターゼ型結晶を主たる結晶系とする。酸化チタンからなり、主たる結晶系がアナターゼ型結晶であることで、電荷輸送効率が向上するため好ましい。主たる結晶系がアナターゼ型結晶であることは、X線回折における全結晶相のピーク積分強度のうち、アナターゼ相に起因するピークの積分強度が最も大きいことを意味する。
本発明における粒子含有短繊維状金属酸化物を製造するには、前述の要件を同時に満足するような粒子含有短繊維状金属酸化物が得られる手法であればいずれも採用することができる。なかでも、金属アルコキサイドと金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物とを含む混合物、水、金属酸化物粒子、および、繊維形成性溶質を含む繊維形成用組成物を調製する繊維形成用組成物調製工程と、静電紡糸法にて前記繊維形成用組成物を噴出することにより繊維を得る紡糸工程と、前記繊維を累積させて繊維集合体を得る累積工程と、前記繊維集合体を焼成して繊維構造体を得る焼成工程と、を含む粒子含有短繊維状金属酸化物の製造方法によって製造することが好ましい。
[繊維形成用組成物]
以下に、本発明における粒子含有短繊維状金属酸化物を得るための好ましい製造方法に用いられる繊維形成用組成物とその成分ならびに粒子含有短繊維状金属酸化物の製造方法について説明する。
本発明における粒子含有短繊維状金属酸化物を得るための好ましい製造方法に用いられる繊維形成用組成物について説明する。好ましい態様として用いられる繊維形成用組成物は、金属アルコキサイドと金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物とを含む混合物、水、金属酸化物粒子、および、繊維形成性溶質を含む組成物である。
繊維形成用組成物の構成について以下に説明する。
[金属アルコキサイド]
粒子含有短繊維状金属酸化物を得るために用いる金属アルコキサイドとしては、チタンアルコキサイドが好ましく、例えば、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラノルマルプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラターシャリーブトキシドが挙げられる。
[金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物]
粒子含有短繊維状金属酸化物を得るために用いる金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物としては、例えばカルボン酸、アミド、エステル、ケトン、ホスフィン、エーテル、アルコール、チオールといった配位性の化合物が挙げられる。
後記する繊維形成用組成物調製工程においては、金属アルコキサイドと金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物とを含む混合物と水とを混合する。このため、金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物としては、常温で水との反応性を示さない程度までに強固な錯体を形成する化合物を用いることは好ましくない。この観点からは、金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物としてカルボン酸を用いることが好ましく、より好ましくは脂肪族カルボン酸、さらに好ましくは水酸基有さない脂肪族カルボン酸、特に好ましくは酢酸を用いる。
また、金属アルコキサイドに対する錯体形成性化合物の添加量としては、本発明における粒子含有短繊維状金属酸化物を作製するための繊維形成用組成物を作製することのできる量であればよく、金属アルコキサイドに対して好ましくは5当量以上、さらに好ましくは7〜10当量である。
[水]
粒子含有短繊維状金属酸化物を得るために用いる水に金属イオンが不純物として含まれると、作製された粒子含有短繊維状金属酸化物中に前記金属が残存するため好ましくない。そのため、本製造方法に用いる水は、蒸留水やイオン交換水であることが好ましい。
また、添加する水の量は、繊維形成用組成物から粒子含有短繊維状金属酸化物を作製することのできる量であればよく、金属アルコキサイドの質量に対して、好ましくは0.5〜10倍量、さらに好ましくは0.5〜3倍量、特に好ましくは0.5〜1.5倍量である。
[粒子含有短繊維状金属酸化物添加用金属酸化物粒子]
ビーズ状の粒子含有短繊維状金属酸化物の太部を形成するために用いる、金属酸化物粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜10μmである。平均粒径が0.005μm未満であると得られる粒子含有短繊維状金属酸化物の表面に露出する金属酸化物粒子の割合が小さくなり、粒子含有短繊維状金属酸化物の比表面積が小さくなるため好ましくない。他方、平均粒径が10μmを超えると繊維形成用組成物における分散性が低下するため好ましくない。
この金属酸化物粒子は、好ましくは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、特に好ましくは共に酸化チタンである。なお、金属酸化物粒子は、その結晶構造がアナターゼ型のものが好ましいが、少ない割合であればルチル型のものを併用してもよい。
[繊維形成性溶質]
次に、粒子含有短繊維状金属酸化物を得るために用いる繊維形成性溶質について説明する。本発明の粒子含有短繊維状金属酸化物を得るための好ましい製造方法の態様においては、繊維形成用組成物に曳糸を持たせることを目的として、繊維形成用組成物に繊維形成性溶質を溶解させる。繊維形成性溶質としては、取り扱いの容易さの観点や、焼成工程において除去される必要があることから、有機高分子を用いることが好ましい。
有機高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、エーテルセルロース、ペクチン、澱粉、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルイソシアネート、ポリブチルイソシアネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリノルマルプロピルメタクリレート、ポリノルマルブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリパラフェニレンテレフタラミド−3,4’−オキシジフェニレンテレフタラミド共重合体、ポリメタフェニレンイソフタラミド、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、メチルセルロース、プロピルセルロース、ベンジルセルロース、フィブロイン、天然ゴム、ポリビニルアセテート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルノルマルプロピルエーテル、ポリビニルイソプロピルエーテル、ポリビニルノルマルブチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリビニルターシャリーブチルエーテル、ポリビニリデンクロリド、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(N−ビニルカルバゾル)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリビニルメチルケトン、ポリメチルイソプロペニルケトン、ポリプロピレンオキシド、ポリシクロペンテンオキシド、ポリスチレンサルホン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、並びにこれらの共重合体が挙げられる。中でも、水溶性のものが好ましく、水に対する溶解性の観点から、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルピリジン、ポリアクリルアミド、エーテルセルロース、ペクチン、澱粉が好ましく、ポリエチレングリコールが特に好ましい。
有機高分子の数平均分子量は、例えばポリエチレングリコールの場合には、好ましくは100,000〜8,000,000、さらに好ましくは100,000〜6,000,000の範囲である。数平均分子量が低いと、有機高分子の添加量を大きくせねばならないことから、焼成工程において発生する気体が多くなり、また、得られる粒子含有短繊維状金属酸化物の構造に欠陥が発生する可能性が高くなるため好ましくない。他方、数平均分子量がこの範囲より高いと溶液粘度が高く紡糸が困難となるため好ましくない。
繊維形成性溶質の添加量としては、粒子含有短繊維状金属酸化物の欠陥部を減少させる観点から、繊維を形成することのできる濃度範囲において可能な限り少量であることが好ましく、繊維形成用組成物全体に対して、好ましくは0.01〜2重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%である。
[繊維形成用組成物調製工程]
繊維形成用組成物調製工程においては、金属アルコキサイドと金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物とを含む混合物、水、金属酸化物粒子、および、繊維形成性溶質を含む繊維形成用組成物を調製する。
繊維形成用組成物調製工程においては、まず、金属アルコキサイドと金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物とを含む混合物を得る。ここで、金属アルコキサイドと金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物との混合により得られる混合物は、均一な溶液となる。
混合の方法は、攪拌等の周知の方法を採用することができる。また、添加順序は、一方をベースとして他方を添加する形態でも、あるいは、同量ずつを同時に添加する形態であってもよい。
続いて、上記で得られた金属アルコキサイドと金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物とを含む混合物と、水と、を混合する。これらを混合すると、ゲルが生成する。繊維形成用組成物調製工程においては、生成したゲルを解離させることにより、透明なチタン含有溶液を調製する。
金属アルコキサイドと金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物とを含む混合物に水を添加する際には、水の濃度が局所的に高くなると、解離困難なゲルが生成する可能性がある。このため、金属アルコキサイドと金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物とを含む混合物を攪拌しつつ、水を徐々に添加することが好ましい。
また、生成したゲルの解離にあたっては、さらに攪拌を続けることによってゲルを解離させることができる。ゲルが解離すると、透明な溶液を得ることができる。例えば、チタンアルコキサイドを用いた場合には、透明なチタン含有溶液を得ることができる。
引き続き、上記で得られた溶液に、金属酸化物粒子と繊維形成性溶質とを添加することにより、最終的に繊維形成用組成物を得ることができる。
金属酸化物粒子と繊維形成性溶質の溶液への添加の方法は、溶液と金属酸化物粒子および繊維形成性溶質がほぼ均一に混合できればよい。金属酸化物粒子と繊維形成性溶質の添加順序は、逐次添加であっても、同時添加であっても差し支えない。また、繊維形成性溶質の添加時期は、溶液の調整時であっても差し支えない。この場合には、金属アルコキサイドと金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物とを含む混合物を得る時点であっても、また、当該混合物と水とを混合する時点であってもよい。繊維形成性溶質を水と同時に添加する場合には、例えば、水と繊維形成性溶質とを予め混合しておき、金属アルコキサイドと金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物とを含む混合物に徐々に添加することも可能である。
本発明において、繊維形成用組成物の溶液の安定性や紡糸の安定性の観点から、水以外の溶媒を繊維形成用組成物に添加する場合や、その他の任意成分を添加する場合には、金属アルコキサイドと金属アルコキサイドとの錯体形成性化合物とを含む混合物を得る時点、当該混合物と水とを混合する時点、あるいは、さらに金属酸化物粒子を添加する時点、のいずれの時点においても添加することが可能である。
[紡糸工程]
紡糸工程においては、静電紡糸法にて上記で得られた繊維形成用組成物を噴出することにより、繊維を作製する。以下に、紡糸工程における紡糸方法および紡糸装置について説明する。
好ましい態様の紡糸工程においては、静電紡糸法によって繊維を作製する。ここで、「静電紡糸法」とは、繊維形成性の基質等を含む溶液または分散液を、電極間で形成された静電場中に吐出し、溶液または分散液を電極に向けて曳糸することにより、繊維状物質を形成する方法である。なお、紡糸により得られる繊維状物質は、後記する累積工程において、捕集基板である電極上に積層される。
また、形成される繊維状物質は、繊維形成用組成物に含まれていた繊維形成性溶質や溶媒等が完全に留去した状態のみならず、これらが繊維状物質に含まれたまま残留する状態も含む。
なお、通常の静電紡糸は室温で行われるが、本発明においては、溶媒等の揮発が不十分な場合等、必要に応じて紡糸雰囲気の温度を制御したり、あるいは、後記する累積工程で用いられる捕集基板の温度を制御することも可能である。
静電場を形成するための電極は、導電性を示しさえすれば、金属、無機物、または有機物等のいかなるものであってもよい。また、絶縁物上に導電性を示す金属、無機物、または有機物等の薄膜を設けたものであってもよい。
静電紡糸法で用いられる静電場は、一対または複数の電極間で形成されるものであり、静電場を形成するいずれの電極に高電圧を印加しても良い。これは、例えば、電圧値が異なる高電圧の電極2つ(例えば15kVと10kV)と、アースにつながった電極1つの合計3つの電極を用いる場合をも含み、3つを越える数の電極を用いる場合も含む。
[累積工程]
累積工程においては、上記の紡糸工程で得られた繊維を累積させて、繊維集合体を得る。具体的には、上記の紡糸工程で形成される繊維状物質を、捕集基板である電極上に累積(積層)することによって繊維集合体を得る。
したがって、捕集基板となる電極として平面を用いれば平面状の繊維集合体を得ることができるが、捕集基板の形状を変えることによって、所望の形状の繊維集合体を作製することもできる。また、繊維集合体が捕集基板上の一箇所に集中して累積(積層)される等、均一性が低い場合には、基板を揺れ動かしたり、回転させたりすることも可能である。
なお、焼成前の繊維集合体は強度が低いことから、捕集基板上に累積(積層)された繊維集合体を剥離する際に、その構造の一部が壊れてしまうことがある。このため、捕集基板とノズルとの間に静電気除去装置等を設置し、ノズルと静電気除去装置との間に綿状に繊維集合体を積層させることも可能である。
また、繊維集合体は上記同様に、繊維形成用組成物に含まれていた溶媒等が完全に留去して集合体となっている状態のみならず、溶媒等が繊維状物質に含まれたまま残留する状態も含まれる。
[焼成工程]
焼成工程においては、上記の累積工程において得られた繊維集合体を焼成することにより、粒子含有短繊維状金属酸化物の構造体を得る。
焼成にあたっては、一般的な電気炉を用いることができるが、必要に応じて炉内の気体を置換可能な電気炉を用いてもよい。焼成は金属酸化物の構造体を得るために有機物を燃焼して除去するためと、金属酸化物を結晶化するために行う。焼成温度は、例えば300〜1000℃、さらに好ましくは500〜900℃であり、これは、金属酸化物が、例えば酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンでのいずれの場合でも同様である。
[金属酸化物微粒子]
本発明における多孔質半導体層(A)においては色素の吸着量をさらに増加させて発電効率を上げる目的で金属酸化物微粒子をさらに含む。この金属酸化物微粒子は粒子含有短繊維状金属酸化物を製造したときに用いたものとは別に用いられるものであり、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化スズからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる。
金属酸化物微粒子の平均粒子径は、好ましくは2〜500nmである。2nm未満であると粒子界面が増え、電化輸送効率が低下するため好ましくない。他方、500nmを超えると吸着する色素の量が低下し、十分な発電量が得られないため好ましくない。
[バインダー]
本発明における多孔質半導体層(A)の構成成分であるバインダーは、金属酸化物成分を固着する作用をする成分であり、例えば金属酸化物前駆体を用いることができる。例えば、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラノルマルプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラターシャリーブトキシド、チタン水酸化物を用いることができる。これらは単体で用いてもよく、複数組み合わせて使用してもよい。
[多孔質半導体層(A)の形成]
本発明において、多孔質半導体層(A)において、粒子含有短繊維状金属酸化物と金属酸化物微粒子の合計における粒子含有短繊維状金属酸化物の割合は好ましくは10〜70重量%である。10重量%未満であると目的とする多孔質構造が得られない。他方、70重量%を超えると緻密性が不充分であり、透明導電層(B)から電解質への逆電子注入がおこる。
本発明の多孔質半導体層(A)において、粒子含有短繊維状金属酸化物と金属酸化物微粒子の合計における金属酸化物微粒子の割合は好ましくは30〜90重量%である。30重量%未満であると目的とする発電効率向上の効果が得られない。他方、90重量%を超えると粒子含有短繊維状金属酸化物の量が少なくなり、目的とする多孔質性が得られない。
本発明の多孔質半導体層(A)におけるバインダーの割合は、粒子含有短繊維状金属酸化物と金属酸化物粒子の合計量100重量部に対して0.1〜40重量部である。0.1重量部未満であると粒子同士を結着する効果が低い。他方、40重量部を超えると電子輸送効率が低下し、電極の電池性能が低下する。
これら多孔質半導体層(A)の構成成分は、分散媒に分散して塗液として用いる。または、塗液中に含まれる分散媒中で分散してもよい。この塗液は分散媒中で、例えばボールミル、媒体攪拌型ミル、ホモジナイザーなどを利用した物理的分散、超音波処理によって分散してもよい。
塗液中の多孔質半導体層(A)の構成成分総量の濃度は、好ましくは0.5〜90重量%、さらに好ましくは1〜70重量%、特に好ましくは1〜50重量%である。0.5重量%未満であると最終的な多孔質半導体層(A)の厚みが薄くなるため好ましくない。90重量%を超えると、粘度が高くなりすぎて塗布するのが困難なため好ましくない。
分散媒としては、水または有機溶媒、有機溶媒として好ましくはアルコールを用いる。分散媒への分散の際には、必要に応じて分散助剤を少量添加してもよい。分散助剤としては、例えば界面活性剤、酸、キレート剤を用いることができる。
透明導電層(B)のうえへの塗液の塗布は、従来から塗布加工に際し慣用されている任意の方法を用いて行うことができる。例えば、ローラ法、ディッブ法、エアーナイフ法、ブレード法、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法を適用することができる。汎用機によるスピン法やスプレー法を用いてもよく、凸版、オフセットおよびグラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷のような湿式印刷を用いて塗布してもよい。これらの中から、液粘度やウェット厚さに応じて、好ましい製膜方法を用いることができる。
塗液の塗布量は、乾燥時の支持体1m当り、好ましくは0.5〜50g/m、さらに好ましくは5〜20g/mである。
透明導電層(B)のうえに塗液を塗設したあと熱処理を行ない、多孔質半導体層(A)を形成する。この熱処理は、乾燥工程で行なってもよく、乾燥後の別工程で行なってもよい。熱処理は、好ましくは170〜250℃で1〜120分間、さらに好ましくは180〜230℃で1〜90分間、特に好ましくは190〜220℃で1〜60分間の条件で行なう。この熱処理を行うことで、透明導電層(B)を支持するフィルムの加熱による変形を防ぎながら多孔質半導体層(A)の抵抗上昇を小さくすることができる。
最終的な多孔質半導体層(A)の厚さは、好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは2〜10μmである。
なお、多孔質半導体層(A)を構成することになる金属酸化物粒子に対して粒子が強く吸収する紫外光などを照射したり、マイクロ波を照射して微粒子層を加熱することにより、粒子の間の物理的接合を強める処理を行ってもよい。
なお、多孔質半導体(A)を担持する透明導電層(B)が対極と電気的に短絡することを防止するなどの目的のため、予め透明導電層(B)の上に下塗り層を設けておくこともできる。この下塗り層としては、TiO、SnO、ZnO、Nb、特にTiOが好ましい。この下塗り層は、例えばElectrochim、Acta40、643〜652(1995)に記載されているスプレーパイロリシス法の他、スパッタ法などにより設けることができる。この下塗り層の膜厚は、好ましくは5〜1000nm、さらに好ましくは10〜500nmである。
[透明導電層(B)]
透明導電層(B)としては、例えば導電性の金属酸化物(フッ素ドープ酸化スズ、インジウム−スズ複合酸化物(以下「ITO」という)、インジウム−亜鉛複合酸化物(以下「IZO」という)、金属の薄膜(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウムなど)、炭素材料を用いることができる。この透明導電層(B)は2種以上を積層したり、複合化させたものでもよい。これらのなかでもITOおよびIZOは、光線透過率が高く低抵抗であるため、特に好ましい。
透明導電層(B)の表面抵抗は、好ましくは100Ω/□以下、さらに好ましくは40Ω/□以下である。100Ω/□を超えると電池内抵抗が大きくなりすぎて光発電効率が低下するため好ましくない。
透明導電層(B)の厚みは、好ましくは100〜500nmである。100nm未満であると十分に表面抵抗値を低くすることができず、500nmを超えると光線透過率が低下するとともに、透明導電層(B)がわれやすくなり好ましくない。
透明導電層(B)の表面張力は、好ましくは40mN/m以上、さらに好ましくは65mN/m以上である。表面張力が40mN/m未満であると、透明導電層(B)と多孔質半導体層(A)の密着性が劣ることがあり、65mN/m以上であると溶媒の主成分が水である水性塗液の塗布による多孔質半導体層(A)の形成が容易になりより好ましい。
上記性質を備える透明導電層(B)は、例えばITOやIZOを用いて透明導電層(B)を形成し、下記のいずれかの方法で加工を施すことにより得ることができる。
(1)酸性もしくはアルカリ性溶液で透明導電層表面を活性化する方法
(2)紫外線や電子線を透明導電層表面に照射して活性化する方法
(3)コロナ処理やプラズマ処理を施して透明導電層表面を活性化する方法
中でもプラズマ処理により表面を活性化する方法は、高い表面張力が得られるため特に好ましい。
[プラスチックフィルム(C)]
本発明において、透明導電層(B)を支える支持体としてプラスチックフィルム(C)を用いる。プラスチックフィルム(C)としては、機械的な強度な強度や安定性の点から、ポリエステルフィルムが好ましい。このポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。このポリエステルは、ホモポリマーでも、第三成分を共重合したコポリマーでもよい。
かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを例示することができる。これらの共重合体またはこれと小割合の他樹脂とのブレンドであってもよい。これらのポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが力学的物性や光学物性等のバランスが良いので好ましい。
特にポリエチレン−2,6−ナフタレートは機械的強度の大きさ、熱収縮率の小ささ、加熱時のオリゴマー発生量の少なさなどの点でポリエチレンテレフタレートに勝っているので最も好ましい。
ポリエチレンテレフタレートとしては、エチレンテレフタレート単位を好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上有するものを用いるとよい。ポリエチレン−2,6−ナフタレートとしては、ポリエチレン−2,6−ナフタレート単位を好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上有するものを用いるとよい。
ポリエステルの固有粘度は、好ましくは0.40dl/g以上、さらに好ましくは0.40〜0.90dl/gである。固有粘度が0.40dl/g未満では工程切断が多発することがあり好ましくなく、0.90dl/gを超えると溶融粘度が高いため溶融押出しが困難になり、重合時間が長く不経済であり好ましくない。
ポリエステルは従来公知の方法で得ることができる。例えば、ジカルボン酸とグリコールの反応で直接低重合度ポリエステルを得る方法で得ることができる。また、ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応触媒を用いて反応させた後、重合反応触媒の存在下で重合反応を行う方法で得ることができる。
エステル交換反応触媒としては、従来公知のもの、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、コバルトを含む化合物を用いることができる。
重合反応触媒としては、従来公知のもの、例えば三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウムで代表されるようなゲルマニウム化合物、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルカリウム、チタントリスアセチルアセトネートのようなチタン化合物を用いることができる。
エステル交換反応を経由して重合を行う場合は、重合反応前にエステル交換触媒を失活させる目的でトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、正リン酸等のリン化合物が通常は添加されるが、リン元素としてのポリエステル中の含有量が20〜100ppmであることが熱安定性の点から好ましい。
なお、ポリエステルは、溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素などの不活性気流中において更に固相重合を施してもよい。
ポリエステルフィルムは、実質的に粒子を含有しないことが好ましい。粒子を含有していると高透明性が損なわれたり、表面が粗面化し透明導電層(B)の加工が困難になることがある。フィルムのヘーズ値は、好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
ポリエステルフィルムは、波長370nmにおける光線透過率が3%以下であることが好ましい。この光線透過率は、2,6−ナフタレンジカルボン酸のような紫外線を吸収するモノマーを構成成分とするポリエステルを用いることにより、また紫外線吸収剤をポリエステルに含有させることにより得ることができる。
紫外線吸収剤を用いる場合、例えば2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(6−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(6−クロロ−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)および2,2’−(2,6−ナフチレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)などの環状イミノエステル化合物を用いることができる。
ポリエステルフィルムは、3次元中心線平均粗さが、両面共に好ましくは0.0001〜0.02μm、さらに好ましくは0.0001〜0.015μm、特に好ましくは0.0001〜0.010μmである。特に、少なくとも片面の3次元中心線平均粗さが0.0001〜0.005μmであると、透明導電層(B)の加工がしやすくなるので好ましい。少なくとも片面の最も好ましい表面粗さは、0.0005〜0.004μmである。
ポリエステルフィルムの厚みは、好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは20〜400μm、特に好ましくは50〜300μmである。
次に、ポリエステルフィルムの好ましい製造方法について説明する。なおガラス転位温度をTgと略記する。
ポリエステルフィルムは、ポリエステルをフィルム状に溶融押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて未延伸フィルムとし、この未延伸フィルムをTg〜(Tg+60)℃で長手方向に1回もしくは2回以上合計の倍率が3倍〜6倍になるよう延伸し、その後Tg〜(Tg+60)℃で幅方向に倍率が3〜5倍になるように延伸し、必要に応じて更にTm180℃〜255℃で1〜60秒間熱処理を行うことにより得ることができる。ポリエステルフィルムの長手方向と幅方向における熱収縮率の差、および長手方向の熱収縮を小さくするためには、特開平57−57628号公報に示されるような、熱処理工程で縦方向に収縮せしめる方法や、特開平1−275031号公報に示されるような、フィルムを懸垂状態で弛緩熱処理する方法などを用いることができる。
[易接着層]
プラスチックフィルム(C)としてポリエステルフィルムを用いる場合、ポリエステルフィルムには、透明導電層(B)との密着性を向上させるために、ポリエステルフィルムと透明導電層(B)の間に易接着層を設けても良い。易接着層の厚みは好ましくは10〜200nm、さらに好ましくは20〜150nmである。易接着層の厚みが10nm未満であると密着性を向上させる効果が乏しく、200nmを超えると易接着層の凝集破壊が発生しやすくなり密着性が低下することがあり好ましくない。
易接着層を設ける場合、ポリエステルフィルムの製造過程で塗工により設けること好ましく、さらには配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗布することが好ましい。ここで、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、さらには縦方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向また横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)を含むものである。なかでも、未延伸フィルムまたは一方向に配向せしめた一軸延伸フィルムに、上記組成物の水性塗液を塗布し、そのまま縦延伸および/または横延伸と熱固定とを施すのが好ましい。易接着層は、ポリエステルフィルムと透明導電層(B)の双方に優れた接着性を有する素材からなることが好ましく、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタンアクリル樹脂、シリコンアクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリシロキサン樹脂を用いることができる。これらの樹脂は単独で用いても良く、2種以上の混合物として用いてもよい。
[ハードコート層]
プラスチックフィルム(C)と透明導電層(B)との密着性、特に密着の耐久性を向上させるために、易接着層と透明導電層(B)との間にハードコート層を設けてもよい。ハードコート層の厚みは好ましくは0.01〜20μm、さらに好ましくは1〜10μmである。
プラスチックフィルム(C)としてポリエステルフィルムを用いこれにハードコート層を設ける場合、易接着層を設けたポリエステルフィルム上に塗工により設けることが好ましい。ハードコート層は、易接着層と透明導電層(B)の双方に優れた密着性を有する素材からなることが好ましく、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、UV硬化系樹脂、エポキシ系樹脂といった樹脂成分やこれらと無機粒子の混合物を用いることができる。無機粒子としては、例えばアルミナ、シリカ、マイカの粒子を用いることができる。
[反射防止層]
本発明においては、光線透過率を上げて光発電効率を高めることを目的として、透明導電層(B)とは反対側の面に反射防止層を設けてもよい。
反射防止層を設ける方法としては、プラスチックフィルム(C)の屈折率とは異なる屈折率を有する素材を単層もしくは2層以上に積層形成する方法が好ましい。単層構造の場合は、基材フィルムよりも小さな屈折率を有する素材を使用するのがよく、また2層以上の多層構造とする場合は、積層フィルムと隣接する層はプラスチックフィルム(C)よりも大さな屈折率を有する素材とし、その上に積層される層には、これよりも小さな屈折率を有する素材を選択することが好ましい。
この反射防止層を構成する素材としては、有機材料、無機材料の如何を問わず上記屈折率の関係を満足するものであればよい。好ましくは、CaF,MgF,NaAlF,SiO,ThF,ZrO,Nd,SnO,TiO,CeO,ZnS,Inからなる群から選ばれる誘電体を用いる。
反射防止層を積層する方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーテイング法などのドライコーティング法を用いることができ、また例えばグラビア方式、リバース方式、ダイ方式などのウェットコーティング法を用いることができる。
反射防止層の積層に先立って、コロナ放電処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、プライマ処理、易接着処理などの前処理を施してもよい。
[色素増感型太陽電池の作成]
本発明の電極を用いて色素増感型太陽電池を作成するには、公知の方法を用いることができる。具体的は例えば下記の方法で作成することができる。
(1)本発明の電極の多孔質半導体層(A)に色素を吸着させる。ルテニウムビピリジン系錯体(ルテニウム錯体)に代表される有機金属錯体色素、シアニン系色素、クマリン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素など、可視光領域および赤外光領域の光を吸収する特性を有する色素を、アルコールやトルエンなどの溶媒に溶解させて色素溶液を作成し、多孔質半導体層(A)を浸漬するか、多孔質半導体層(A)に噴霧または塗布する。(電極A)
(2)対極としては、本発明の電極の透明導電層側に、薄い白金層をスパッタ法により形成したものを用いる。(電極B)
(3)上記電極Aと電極Bを、熱圧着性のポリエチレンフィルム製フレーム型スペーサー(厚さ20μm)を挿入して重ね合わせ、スペーサー部を120℃に加熱し、両電極を圧着する。さらに、そのエッジ部をエポキシ樹脂接着剤でシールする。
(4)シートのコーナー部にあらかじめ設けた電解液注入用の小孔を通して、ヨウ化リチウムとヨウ素(モル比3:2)ならびにスペーサーとして平均粒径20μmのナイロンビーズを3重量%含む電解質水溶液を注入する。内部の脱気を十分に行い、最終的に小孔をエポキシ樹脂接着剤で封じる。
以下、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明する。なお、実施例および比較例において、以下の項目について以下の方法によって測定・評価を実施した。なお、重量部を「部」と表記する場合がある。
(1)粒子含有短繊維状金属酸化物の平均繊維径
走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、商品名:S−2400)により、得られた粒子含有短繊維状金属酸化物の表面を撮影(倍率:2000倍)し、写真図を得た。得られた写真図から粒子を含有していない部分を無作為に20箇所選択して繊維径を測定し、この測定結果(n=20)の平均値を求めて、粒子含有短繊維状金属酸化物の細部の平均繊維径とした。また、粒子を含有して太くなっている箇所を無作為に20箇所選択して径を測定し、この測定結果(n=20)の平均値を求めて、粒子含有短繊維状金属酸化物の太部の平均繊維径とした。
(2)金属酸化物微粒子の平均粒子径
走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、商品名:S−2400)により、原料の段階での粒子を撮影(倍率:2000倍)し、写真図を得た。得られた写真図から粒子を無作為に20個選択し、粒子径を測定した。粒子径のすべての測定結果(n=20)の平均値を求めて、平均粒子径とした。
(3)粒子含有短繊維状金属酸化物の繊維長/細部の平均繊維径
走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、商品名:S−2400)により、得られた粒子含有短繊維状金属酸化物の表面を撮影(倍率:2000倍)し、写真図を得た。得られた写真図から粒子を含有していない部分を繊維径を測定し、さらにその繊維長を測定しその比繊維長/細部の平均繊維径を算出した。この測定結果(n=20)の平均値を求めて、粒子含有短繊維状金属酸化物の繊維長/細部の平均繊維径とした。
(4)BET比表面積
窒素ガスを用いたBET法により、得られた粒子含有短繊維状金属酸化物の比表面積測定を実施することにより、BET比表面積を得た。
(5)X線回折の測定
X線回折測定には理学電気社製 ROTA FLEX RU200B を用いて半径185nmのゴニオメータで反射法を採用し、X線はモノクロメーターにより単色化してCu Kα線とした。測定サンプルは、得られた粒子含有短繊維状金属酸化物に内部標準としてX線回折標準用の高純度シリコン粉末を添加したものを用いた。
(6)結晶子サイズの測定
上記で得られたX線回折プロファイルを強度補正し、回折角2θについては内部標準のシリコンの111回折ピークで補正した。ここでシリコンの111回折ピークの半価幅は0.15°以下であった。補正したX線回折プロファイルについて25.3°付近に現れる回折ピークを用いて、以下のScherrerの式によって結晶子サイズを算出した。2θ=24〜30°の範囲における酸化チタン、ならびにシリコンの回折ピークは、Cu Kα1、Kα2線由来で分離しておらず、全てCu Kα、として取り扱った。
D=K×λ/βcosθ
D:結晶子サイズ;
λ:測定X線波長;
β:結晶子サイズによる回折線の拡がり;
θ:回折ピークのブラッグ角;
K:形状因子(Scherrer定数)
ここでβは光学系の拡がりを補正するため、25.3°付近に現れる酸化チタンの回折ピークの半値幅Bから内部標準のシリコン111回折ピークの半値幅bを差し引いたもの(β=B−b)を採用し、K=1、λ=0.15418nmとした。
(7)固有粘度
固有粘度([η]dl/g)は、35℃のo−クロロフェノール溶液で測定した。
(8)フィルム厚み
マイクロメーター(アンリツ(株)製のK−402B型)を用いてフィルムの連続製膜方向および幅方向に各々10cm間隔で測定を行い、全部で300ヶ所のフィルム厚みを測定する。得られた300ヶ所のフィルム厚みの平均値を算出してフィルム厚みとした。
(9)光線透過率
(株)島津製作所製分光光度計MPC3100を用い、波長370nmおよび400nmの光線透過率を測定した。
(10)塗布層の厚み
フィルムの小片をエポキシ樹脂(リファインテック(株)製エポマウント)中に包埋し、Reichert−Jung社製Microtome2050を用いて包埋樹脂ごと50nm厚さにスライスし、透過型電子顕微鏡(トプコンLEM−2000)にて加速電圧100KV、倍率10万倍にて観察し、塗膜層の厚みを測定した。
(11)表面抵抗値
4探針式表面抵抗率測定装置(三菱化学(株)製、ロレスタGP)を用いて任意の5点を測定し、その平均値を代表値として用いた。
(12)I−V特性(光電流−電圧特性)
100mm大の色素増感型太陽電池を形成し、下記の方法で光発電効率を算出した。ぺクセルテクノロジーズ社製ソーラーシュミレーター(PEC−L10)を用い入射光強度が100mW/cmの模擬太陽光を、気温25℃、湿度50%の雰囲気で測定した。電流電圧測定装置(PECK 2400)を用いて、システムに印加するDC電圧を10mV/secの定速でスキャンし、素子の出力する光電流を計測することにより、光電流−電圧特性を測定し、光発電効率を算出した。
[実施例1]
(ポリエステルフィルムの作成)
固有粘度が0.63で、実質的に粒子を含有しないポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのペレットを170℃で6時間乾燥後、押出機ホッパーに供給し、溶融温度305℃で溶融し、平均目開きが17μmのステンレス鋼細線フィルターで濾過し、3mmのスリット状ダイを通して表面温度60℃の回転冷却ドラム上で押出し、急冷して未延伸フィルムを得た。このようにして得られた未延伸フィルムを120℃にて予熱し、さらに低速、高速のロール間で15mm上方より850℃のIRヒーターにて加熱して縦方向に3.1倍に延伸した。この縦延伸後のフィルムの片面に下記の塗剤Aを乾燥後の塗膜厚みが0.25μmになるようにロールコーターで塗工し易接層を形成した。
続いてテンターに供給し、140℃にて横方向に.3.3倍に延伸した。得られた二軸配向フィルムを245℃の温度で5秒間熱固定し、固有粘度が0.58dl/g、厚み125μmのポリエステルフィルムを得た。その後、このフィルムを懸垂状態で、弛緩率0.7%、温度205℃で熱弛緩させた。
(塗剤Aの調製)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル66部、イソフタル酸ジメチル47部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル8部、エチレングリコール54部、ジエチレングリコール62部を反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。次いで反応系の温度を徐々に255℃まで上昇させ系内を1mmHgの減圧にして重縮合反応を行い、ポリエステルを得た。このポリエステル25部をテトラヒドロフラン75部に溶解させ、得られた溶液に10000回転/分の高速攪拌下で水75部を滴下して乳白色の分散体を得、次いでこの分散体を20mmHgの減圧下で蒸留し、テトラヒドロフランを留去し、固形分が25重量%のポリエステルの水分散体を得た。
次に、四つ口フラスコに、界面活性剤としてラウリルスルホン酸ナトリウム3部、およびイオン交換水181部を仕込んで窒素気流中で60℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部、亜硝酸水素ナトリウム0.2部を添加し、更にモノマー類である、メタクリル酸メチル30.1部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン21.9部、ポリエチレンオキシド(n=10)メタクリル酸39.4部、アクリルアミド8.6部の混合物を3時間にわたり、液温が60〜70℃になるよう調整しながら滴下した。滴下終了後も同温度範囲に2時間保持しつつ、攪拌下に反応を継続させ、次いで冷却して固形分が35%重量のアクリルの水分散体を得た。
一方で、シリカフィラー(平均粒径:100nm)(日産化学株式会社製 商品名スノーテックスZL)を0.2重量%、濡れ剤として、ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成株式会社製 商品名ナロアクティーN−70)の0.3重量%添加した水溶液を作成した。
上記のポリエステルの水分散体8重量部、アクリルの水分散体7重量部と水溶液85重量部を混合して、塗剤Aを作成した。
(ハードコート)
得られたポリエステルフィルムを用い、この易接層側にUV硬化性ハードコート剤(JSR製 デソライトR7501)を厚さ約5μmになるよう塗布し、UV硬化させてハードコート層を形成した。
(透明導電層形成)
ハードコート層が形成された片面に、主として酸化インジウムからなり酸化亜鉛が10重量%添加されたIZOターゲットを用いた直流マグネトロンスパッタリング法により、膜厚260nmのIZOからなる透明導電層を形成した。透明導電層のスパッタリング法による形成は、プラズマの放電前にチャンバー内を5×10−4Paまで排気した後、チャンバー内にアルゴンと酸素を導入して圧力を0.3Paとし、IZOターゲットに2W/cmの電力密度で電力を印加して行った。酸素分圧は3.7mPaであった。透明導電層の表面抵抗値は15Ω/□であった。
次いで、常圧プラズマ表面処理装置(積水化学工業製AP−T03−L)を用いて、窒素気流下(60L/分)、1m/分にて透明導電層表面にプラズマ処理を施した。このとき、表面抵抗値16Ω/□、表面張力は71.5mN/mであった。
(反射防止層)
積層フィルムの透明導電層を形成した面とは反対側の面に、厚さ75nmで屈折率1.89のY層、その上に厚さ120nmで屈折率2.3のTiO層、更にその上に厚さ90nmで屈折率1.46のSiOを、夫々高周波スパッタリング法によって製膜し、反射防止処理層とした。各静電体薄膜を製膜するに際し、いずれも真空度は1×10−3Torrとし、ガスとしてAr:55sccm、O:5sccmを流した。また、基板は製膜行程中、加熱もしくは冷却をすることなく室温のままとした。
(粒子含有短繊維状金属酸化物の調製)
[第一調製工程]
チタンテトラノルマルブトキシド(和光純薬工業株式会社製、一級)1重量部に、酢酸(和光純薬工業株式会社製、特級)1.0重量部を添加し、攪拌することにより、均一な溶液を得た。得られた溶液に、イオン交換水1重量部を攪拌しながら添加したところ、溶液中にゲルが生成した。さらに攪拌を続けることにより、生成したゲルは解離し、透明なチタン含有溶液を調製することができた。
[第二調製工程]
上記で得られたチタン含有溶液に、酸化チタン粒子(和光純薬工業株式会社製、結晶型:アナターゼ型、BET比表面積:41m/g、粒度:5μm以下、平均粒径:0.5μm、含量(純分分析による):99.9%)0.1重量部を混合し、白色溶液を得た。引き続き、得られた白色溶液に、ポリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製、一級、平均分子量:300,000〜500,000)0.016重量部を混合することにより、繊維形成用組成物(紡糸溶液)を調製した。
[紡糸工程・累積工程]
上記で得られた繊維形成用組成物(紡糸溶液)を用いて、図1に示す静電紡糸装置により繊維形成用組成物を噴出し、連続的に紡糸を行うことにより繊維を蓄積させて、繊維集合体を作製した。このときの噴出ノズル1の内径は0.2mm、電圧は15kV、噴出ノズル1から電極4までの距離は15cmであった。
[焼成工程]
上記で得られた繊維集合体を、空気雰囲気下で電気炉を用いて600℃まで10時間かけて昇温し、その後、600℃で2時間保持することにより粒子含有繊維構造体を得た。
[測定・評価]
得られた粒子含有短繊維状金属酸化物につき、上記の各種測定・評価を実施した。この粒子含有短繊維状金属酸化物は、繊維軸方向にビーズ状の太部が多数連なった形態であり、細部の平均繊維径は370nm、太部の平均繊維径は777nm、太部の平均繊維径/細部の平均繊維径は2.1、繊維長/細部の繊維径は9.1であり、BET比表面積は3.4m/gであった。また、得られた粒子含有短繊維状金属酸化物のX線回折結果から、2θ=25.4°に鋭いピークが認められたことから、アナターゼ型結晶が形成されていることが確認された。結晶子サイズを算出したところ、39nmであった。
(バインダーの調製)
テトライソプロポキシチタン60重量部を0.1M硝酸120重量部に滴下後12時間加熱還流することでバインダーを得た。乾燥後の固形物重量は17重量%であった。
(多孔質半導体層の形成)
上記の粒子含有短繊維状金属酸化物を全金属酸化物重量中44重量%及び昭和タイタニウム製酸化チタン分散液SP−200(酸化チタン含量:25重量% アナターゼ相および若干のルチル相、平均粒子0.1μmを全酸化チタン重量中44重量%、前述のバインダーを全酸化チタン重量中12重量%分を、エタノール(和光純薬製)中に分散し、固形物濃度12重量%の分散液を作成し40.0Hzの超音波照射下30分処理した。結果均一な塗液を得た。この塗液を直ちに透明導電層上にバーコーターにて塗布し、大気中180℃で5分間の熱処理を行って厚み5μmになるように多孔質半導体層を形成した。熱処理後多孔質半導体層の剥離や脆さは観察されず、基材と密着性の良い色素増感型太陽電池の電極を作成した。
(色素増感型太陽電池の作成)
この電極をルテニウム錯体(Ru535bisTBA、Solaronix製)の300μMエタノール溶液中に24時間浸漬し、光作用電極表面にルテニウム錯体を吸着させた。また、前記の積層フィルムの透明導電層上にスパッタリング法によりPt膜を堆積して対向電極を作成した。電極と対向電極を、熱圧着性のポリエチレンフィルム製フレーム型スペーサー(厚さ20μm)を介して重ね合わせ、スペーサー部を120℃に加熱し、両電極を圧着する。さらに、そのエッジ部をエポキシ樹脂接着剤でシールする。電解質溶液(0.5Mのヨウ化リチウムと0.05Mのヨウ素と0.5Mのtert−ブチルピリジンを含む3−メトキシプロピオニトリル溶液)を注入した後、エポキシ系接着剤でシールした。
完成した色素増感型太陽電池のI−V特性の測定(有効面積100mm)を行った結果、開放電圧0.7V、短絡電流密度7.1mA/cm、曲線因子0.49で、光発電効率2.5%であった。
[実施例2]
粒子含有短繊維状金属酸化物製造時の第二調整工程において金属酸化物粒子を0.2重量部とした以外は請求工1記載の手法を用いて粒子含有短繊維状金属酸化物を作成した。得られた粒子含有短繊維状金属酸化物は、繊維軸方向にビーズ状の太部が多数連なった形態であり、細部の平均繊維径は350nm、太部の平均繊維径は875nm、太部の平均繊維径/細部の平均繊維径は2.5、繊維長/細部の繊維径は10.1であり、BET比表面積は16m/gであった。この粒子含有短繊維状金属酸化物のX線回折結果から、2θ=25.4°に鋭いピークが認められたことから、アナターゼ型結晶が形成されていることが確認された。結晶子サイズを算出したところ、25nmであった。
完成した色素増感型太陽電池のI−V特性の測定(有効面積100mm)を行った結果、開放電圧0.7V、短絡電流密度8.3mA/cm、曲線因子0.45、光発電効率2.7%であった。
[比較例1]
粒子含有短繊維状金属酸化物製造時の第二調整工程において金属酸化物粒子を添加しない以外は実施例1記載の手法を用いて粒子含有短繊維状金属酸化物を作成した。得られた粒子含有短繊維状金属酸化物は、繊維軸方向にビーズ状の太部が多数連なった形態ではなく、平均繊維径が384nm、BET比表面積が0.5m/gであった。また、得られた粒子含有短繊維状金属酸化物のX線回折結果から、2θ=25.4°に鋭いピークが認められたことから、アナターゼ型結晶が形成されていることが確認された。結晶子サイズを算出したところ、169nmであった。
完成した色素増感型太陽電池のI−V特性の測定(有効面積100mm)を行った結果、開放電圧0.7V、短絡電流密度6.4mA/cm、曲線因子0.50、光発電効率2.3%であった。
本発明の色素増感型太陽電池用電極は、色素増感型太陽電池の部材として好適に利用することができる。
実施例で用いたエレクトロスピニング法による吐出装置である。
符号の説明
1 溶液噴出ノズル
2 溶液
3 溶液保持槽
4 電極
5 高電圧発生器

Claims (5)

  1. 粒子含有短繊維状金属酸化物10〜70重量%および粒子径2〜500nmの金属酸化物微粒子30〜90重量%の合計100重量部とバインダー0.1〜40重量部とからなる多孔質半導体層(A)、透明導電層(B)ならびにプラスチックフィルム(C)からなる色素増感型太陽電池用電極であって、粒子含有短繊維状金属酸化物が、細部の平均繊維径50〜1000nm、繊維長/細部の平均繊維径が3以上であり、その形状がビーズ状であることを特徴とする、色素増感型太陽電池用電極。
    但し、ビーズ状とは、繊維軸方向に、粒子含有短繊維状金属酸化物に含まれる粒子からなる太部が多数連なった形状である。
  2. 粒子含有短繊維状金属酸化物の結晶サイズが10〜100nm、BET比表面積が3〜1000m/gである、請求項1記載の色素増感型太陽電池用電極。
  3. 粒子含有短繊維状金属酸化物が、アナターゼ型酸化チタンからなる、請求項1記載の色素増感型太陽電池用電極。
  4. 粒子含有短繊維状金属酸化物が、金属アルコキシドと金属アルコキシドとの錯体形成性化合物とを含む混合物、水、金属酸化物粒子および、繊維形成性溶質を含んでなる繊維形成用組成物を調製する繊維形成用組成物調製工程と、静電紡糸法にて前記繊維形成用組成物を噴出することにより繊維を得る紡糸工程と、前記繊維を累積させて繊維集合体を得る累積工程と、前記繊維集合体を焼成して、粒子含有短繊維状金属酸化物の構造体を得る焼成工程と、を含む製造方法で製造された、請求項1記載の色素増感型太陽電池用電極。
  5. 金属アルコキシドと金属アルコキシドとの錯体形成性化合物とを含む混合物、水、金属酸化物粒子および、繊維形成性溶質を含んでなる繊維形成用組成物を調製する繊維形成用組成物調製工程と、静電紡糸法にて前記繊維形成用組成物を噴出することにより繊維を得る紡糸工程と、前記繊維を累積させて繊維集合体を得る累積工程と、前記繊維集合体を焼成して、粒子含有短繊維状金属酸化物の構造体を得る焼成工程と、を含む製造方法で製造された粒子含有短繊維状酸化金属酸化物を含む分散液をプラスチックフィルム(C)上に設けられた透明導電層(B)のうえに塗布して色素増感型太陽電池用電極を得る、色素増感型太陽電池用電極の製造方法。
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