JP5059289B2 - 色素増感型太陽電池用積層体、色素増感型太陽電池用電極およびその製造方法 - Google Patents

色素増感型太陽電池用積層体、色素増感型太陽電池用電極およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は色素増感型太陽電池用積層体および色素増感型太陽電池用電極に関し、さらに詳しくは、光発電効率が高く、耐久性に優れたフレキシブル色素増感型太陽電池を製造することのできる色素増感型太陽電池用積層体、それを用いた色素増感型太陽電池用電極およびその製造方法に関する。
色素増感型太陽電池は、色素増感半導体微粒子を用いた光電変換素子が提案されて以来(「ネイチャー(Nature)」 第353巻、第737〜740ページ、(1991年))、シリコン系太陽電池に替る新たな太陽電池として注目されている。特に、支持体としてプラスチックフィルムを用いた色素増感型太陽電池は、柔軟化や軽量化が可能であり、数多くの検討がなされてきた。
特開平11−288745号公報 特開2001−160426号公報 特開2002−50413号公報
プラスチックフィルムの中でもポリエステルフィルムは、安価でありながら高透明でかつ耐熱性を有するため、色素増感型太陽電池用の支持体として有用な素材である。しかしながら、ポリエステルフィルムの物性を適切に設計し、それに合わせた温度で半導体層を焼結させないと、実用的な光発電性能が得られない。すなわち、色素増感型太陽電池の半導体層は、より多くの色素を吸着させるために、微粒子を焼結させて、多孔質構造を形成させる。プラスチックフィルムを支持体として用いた場合、この焼結のための温度を十分に高くすることができず、結果として電荷キャリア輸送効率が低下し、ガラスを支持体として用いた場合に比べて光発電性能が著しく劣る。
この問題を解決するために、発明者らはプラスチックフィルムの熱的性質を改良する検討を続けてきた。プラスチックフィルムを用いる場合に、電極の透明導電層として最も一般的なインジウム−スズ複合酸化物(ITO)では、ガラス基板上での挙動と異なり、焼結温度を上げるにつれて非晶質になり、あるいは非晶質と結晶質との混合状態になっていく。このため、熱処理に際して非晶・結晶相転移が起こり、機械特性が悪化し、クラックが発生しやすくなり、太陽電池を作成した際に光発電性能が経時的に劣化するという問題がある。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、光発電効率が高く、経時的な劣化の少ない、耐久性に優れるフレキシブル色素増感型太陽電池を製造することのできる色素増感型太陽電池用積層体を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、200℃で10分間熱処理した際のフィルムの長手方向の熱収縮率が0.0%以上0.5%以下である2軸配向ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートフィルムと、そのうえに設けられる透明導電層であって、主として酸化インジウムからなり酸化亜鉛が透明導電層を構成する組成物100重量%に対して5〜15重量%添加され表面抵抗40Ω/□以下である透明導電層と、からなる色素増感型太陽電池用積層体である。
さらに本発明は、上記色素増感型太陽電池用積層体と、この積層体の透明導電層のうえに設けられた、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化スズからなる群から選ばれた少なくとも1種の酸化物よりなる多孔質半導体層と、からなる色素増感型太陽電池用電極である。
本発明はまた、上記色素増感型太陽電池用積層体の透明導電層のうえに、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化スズからなる群から選ばれた少なくとも1種の酸化物よりなる多孔質半導体層を形成し、この多孔質半導体を170〜250℃の温度で焼き付けることを特徴とする、色素増感型太陽電池用電極の製造方法である。
本発明によれば、かかる従来技術の問題を解決し、光発電効率が高く、経時的な劣化の少ない、耐久性に優れるフレキシブル色素増感型太陽電池を製造することのできる色素増感型太陽電池用積層体を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリエステルフィルム]
本発明におけるポリエステルフィルムは、200℃で10分間熱処理した際のフィルムの長手方向の熱収縮率が0.0%以上0.5%以下、好ましくは0.0%以上0.3%以下である。熱収縮率がこの範囲を外れると、積層体にカールが発生したり、透明導電層と多孔質半導体の密着性が悪化して、色素増感型太陽電池を作成した際、十分な光発電性能が得られなくなる。そして、ポリエステルフィルムを230℃で10分間熱処理した際のフィルムの長手方向の熱収縮率が0.0%以上2.0%以下、好ましくは0.0%以上1.5%以下である。熱収縮率がこの範囲を外れると、積層体にカールが発生したり、透明導電層と多孔質半導体の密着性が悪化することがあり、また、色素増感型太陽電池を作成した際、十分な光発電性能が得られないことがあり好ましくない。
以下、このポリエステルフィルムについて説明する。
本発明におけるポリエステルフィルムのヘーズ値は、より効率良く光発電を行う観点から、好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
本発明におけるポリエステルフィルムは、実質的に粒子を含有しないことが好ましい。粒子を含有していると高透明性が損なわれたり、表面が粗面化し透明導電層の加工が困難になることがある。
本発明におけるポリエステルフィルムの3次元中心線平均粗さは、両面共に好ましくは0.0001〜0.02μm、さらに好ましくは0.0001〜0.015μm、さらに好ましくは0.0001〜0.010μmである。特に少なくとも片面の3次元中心線平均粗さが0.0001〜0.005μm、さらに0.0005〜0.004μmであると、透明導電層の加工がしやすくなるので好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムの厚みは、好ましくは10〜500μm、さらに好ましくは20〜400μm、特に好ましくは50〜300μmである。
本発明において、ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。
これらのポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが力学的物性や光学物性等のバランスが良いので好ましい。特にポリエチレン−2,6−ナフタレートは機械的強度の大きさ、熱収縮率の小ささ、加熱時のオリゴマー発生量の少なさなどの点でポリエチレンテレフタレートにまさっているので最も好ましい。
ポリエステルは、ホモポリマーでも、第三成分を共重合したコポリマーでもよいが、コポリマーである場合、共重合量は、好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下である。特にホモポリマーが好ましい。
コポリマーである場合、コポリマーを構成する共重合成分としては、分子内に2つのエステル形成性官能基を有する化合物を用いることができ、かかる化合物としては例えば、蓚酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如きジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸の如きオキシカルボン酸、或いはプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールの如き2価アルコールを用いることができる。これらの化合物は1種のみ用いてもよく、2種以上を用いることができる。
本発明におけるポリエステルは従来公知の方法で、例えばジカルボン酸とグリコールの反応で直接低重合度ポリエステルを得る方法や、ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとを従来公知のエステル交換触媒である、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、コバルトを含む化合物の一種または二種以上を用いて反応させた後、重合触媒の存在下で重合反応を行う方法で得ることができる。重合触媒としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウムで代表されるようなゲルマニウム化合物、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルカリウム、チタントリスアセチルアセトネートのようなチタン化合物を用いることができる。
エステル交換反応を経由して重合を行う場合は、重合反応前にエステル交換触媒を失活させる目的でトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、正リン酸等のリン化合物が通常は添加されるが、リン元素としてのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート中の含有量が20〜100ppmであることがポリエステルの熱安定性の点から好ましい。
なお、ポリエステルは、溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素などの不活性気流中においてさらに固相重合を施してもよい。
ポリエステルの固有粘度は0.40dl/g以上であることが好ましく、0.40〜0.90dl/gであることがさらに好ましい。固有粘度が0.40dl/g未満では工程切断が多発することがある。また0.9dl/gより高いと溶融粘度が高いため溶融押出しが困難になり、重合時間が長く不経済であり好ましくない。
本発明におけるポリエステルフィルムは、上述のポリエステルを用いて、例えば下記の方法で製造することができる。なお、ガラス転位温度をTgと略記する。
まず、ポリエステルをフィルム状に溶融押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて未延伸フィルムとし、この未延伸フィルムをTg〜(Tg+60)℃で長手方向に1回もしくは2回以上合計の倍率が3倍〜6倍になるよう延伸し、その後Tg〜(Tg+60)℃で幅方向に倍率が3〜5倍になるように延伸し、必要に応じてさらにTm180℃〜255℃で1〜60秒間熱処理を行う。
ポリエステルフィルムの長手方向と幅方向における熱収縮率の差、および長手方向の熱収縮を小さくするためには、特開平57−57628号公報に示されるような、熱処理工程で縦方向に収縮せしめる方法や、特開平1−275031号公報に示されるような、フィルムを懸垂状態で弛緩熱処理する方法などを用いるとよい。
[透明導電層]
本発明における透明導電層は、主として酸化インジウムからなる透明な導電層であり、酸化亜鉛が添加されている。主として酸化インジウムからなるとは、酸化インジウムが透明導電層を構成する組成物の合計重量100重量%あたり例えば50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上を占めることをいう。本発明では透明導電層を構成する主たる成分として酸化インジウムを用いることが肝要である。透明導電層に酸化インジウムを用いずに、例えば金属薄膜(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム)や炭素材料を用いると、光線透過率が十分に確保できない。また、例えば、他の導電性金属酸化物、例えばフッ素ドープ酸化スズは、比抵抗が大きく、数μmの厚みで形成しないと十分な導電性が確保できず、金属酸化物に比して強度のないポリエステルフィルム上では、カールやクラックによる導電性の悪化や素子の信頼性の低下につながり、扱いが困難であり、本発明には適用できない。
酸化インジウムには、他の酸化物を添加して導電性と光線透過率を両立させることができる。しかしながら、最も一般的な、酸化スズを添加したインジウム−スズ複合酸化物(ITO)は、低温でポリエステルフィルム上に形成し、適度の表面抵抗の膜を形成することはができるものの、その構造は非晶質或いは非晶質と結晶質が混在した状態であり、このような状態のITO膜は素子形成過程における熱工程温度である150℃程度の温度において結晶質に相転移する。その結果著しい内部応力の増大がITO膜内で起こりクラックの発生や素子の信頼性低下をもたらす。
この問題を回避するため、本発明では、酸化インジウムに酸化亜鉛を添加した透明導電材料(IZO)を用いる。透明導電層を構成する組成物100重量%あたりの酸化亜鉛の配合量は、好ましくは5〜15重量、さらに好ましくは5〜12.5重量%、特に好ましくは7.5〜10重量%である。この範囲であれば導電性と透過率を両立することができ、同時に素子形成過程で加わる熱によっても結晶相転移が起こらない透明導電層を形成することができる。
全光線透過率は、透明導電層の層厚みと密接な相関を持つが、好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上である。
本発明における透明導電膜の表面抵抗は40Ω/□以下、好ましくは15以下である。40Ω/□を超えると、素子の性能を十分に向上させることができない。他方、表面抵抗を1Ω/□未満とするためには、膜厚を大きくする必要がありクラックが発生しやすい膜となることから、1Ω/□が表面抵抗の実用上の下限となる。
本発明における透明導電層の表面張力は40mN/m以上、好ましくは65mN/m以上である。表面張力が40mN/m未満であると、透明導電層と多孔質半導体の密着性が劣る。表面張力が65mN/m以上であると、溶媒の主成分が水である水性塗液の塗布による多孔質半導体層の形成が容易になり好ましい。
上記の条件を満足する透明導電層は、透明導電層を構成する組成物をフィルムのうえに配置した後、例えば(1)透明導電性薄膜を酸性もしくはアルカリ性溶液で表面を活性化する方法、(2)紫外線や電子線を薄膜表面に照射して活性化する方法、(3)コロナ処理やプラズマ処理を施して活性化する方法、を適用することにより得ることができる。この中でプラズマ処理により表面を活性化する方法は、高い表面張力が得られるため、特に好ましい。
[易接着層]
また、ポリエステルフィルムと透明導電層との密着性を向上させるために、ポリエステルフィルムと透明導電層の間に易接着層を設けることが好ましい。易接着層の厚みは、好ましくは10〜200nm、さらに好ましくは20〜150nmである。易接着層の厚みが10nm未満であると密着性を向上させる効果が乏しく、200nmを超えると易接着層の凝集破壊が発生しやすくなり密着性が低下することがあり好ましくない。
易接着層を設ける方法としては、ポリエステルフィルムの製造過程で塗工により設ける方法が好ましく、さらには配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗布するのが好ましい。ここで、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、さらには縦方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向また横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものである。なかでも、未延伸フィルムまたは一方向に配向せしめた一軸延伸フィルムに、上記組成物の水性塗液を塗布し、そのまま縦延伸および/または横延伸と熱固定とを施すのが好ましい。
易接着層の構成材としては、ポリエステルフィルムと透明導電層の双方に優れた接着性を示すもので、具体的にはポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタンアクリル樹脂、シリコンアクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリシロキサン樹脂などが例示できる。これらの樹脂は単独、または2種以上の混合物として用いることができる。
[ハードコート]
さらに、ポリエステルフィルムと透明導電層との密着性、特に密着の耐久性を向上させるために、易接着層と透明導電層との間にハードコート層を設けることが好ましい。ハードコート層は、易接着層を設けたポリエステルフィルム上に塗工する方法で設けることが好ましい。ハードコート層は、易接層および透明導電層の双方に優れた密着性を示す材料で構成されることが好ましく、熱硬化性やエネルギー線硬化性樹脂が工業的な生産性の観点から、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、エポキシ系樹脂等の樹脂成分やこれらとアルミナ、シリカ、マイカ等の無機粒子の混合物が好ましい。ハードコート層の厚みは、好ましくは0.01〜20μm、さらに好ましくは1〜10μmである。
[反射防止層]
本発明の積層体には、光線透過率を上げて光発電効率を高めることを目的として、透明導電層とは反対側の面に反射防止層を設けることができる。該反射防止層には、ポリエステルフィルムの屈折率とは異なる屈折率を有する素材を単層もしくは2層以上に積層形成する方法が好ましく採用される。単層構造の場合は、基材フィルムよりも小さな屈折率を有する素材を使用するのがよく、また2層以上の多層構造とする場合は、積層体と隣接する層はポリエステルフィルムよりも大きな屈折率を有する素材とし、その上に積層される層には、これよりも小さな屈折率を有する素材を選択することが好ましい。
この様な反射防止処理層を構成する素材としては、有機材料、無機材料の如何を問わず上記屈折率の関係を満足するものであればよいが、好ましい例としては、CaF,MgF,NaAlF,SiO,ThF,ZrO,Nd,SnO,TiO,CeO,ZnS,Inなどの誘電体が挙げられる。
上記反射防止処理層を積層する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、イオンプレーテイング法などのドライコーティング法でも、グラビア方式、リバース方式、ダイ方式などのウェットコーティング法でも構わない。さらに上記反射防止処理層の積層に先立って、コロナ放電処理、プラズマ処理、スパッタエッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、プライマ処理、易接着処理などの公知の前処理を施してもよい。
[電極]
本発明における色素増感型太陽電池用電極は、該積層体の透明導電層の上に多孔質半導体層を積層して形成する。多孔質半導体層を構成する半導体の材料としては、n型半導体である酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)であり、これらの半導体の複数を複合させた半導体材料も用いることができる。
多孔質半導体層は半導体の超微粒子が焼結又は融着した構造を有し、その粒径は、一次粒子の平均粒径で5〜100nm、特に5〜50nmのものが好ましい。粒径分布の異なる2種類以上の微粒子を混合してもよく、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、粒径の大きな、例えば300nm程度の半導体粒子を混合することもできる。
多孔質半導体層を構成する超微粒子は、例えば公知のゾル−ゲル法や気相熱分解法(2001年技術教育出版社発行,柳田祥三監修,「色素増感太陽電池の基礎と応用」又は1995年技術情報協会発行,「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技術」参照)によって調製することができる。
多孔質半導体層は、塗布法により形成することが好ましい。すなわち、多孔質半導体を含む分散液を積層体の透明導電層の上に塗布し、加熱乾燥することによって多孔質層を支持体上に固定化する方法で設けることが好ましい。この際、半導体微粒子の分散液を調整するには、前述のゾルーゲル法の他に、溶媒中で微粒子を化学反応の共沈生成物として析出させる方法、超音波照射や機械的粉砕によって超微粒子に粉砕して分散する方法などを用いることができる。
分散媒としては、水又は各種の有機溶媒を用い、分散の際、必要に応じて例えばポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのようなポリマー、界面活性剤、酸又はキレート剤などを分散助剤として少量加えて、支持体上へ塗布し、製膜する。この塗布は、ローラ法、ディッブ法、エアーナイフ法、ブレード法、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法など、これまで塗布加工に際し慣用されている任意の方法を用いて行うことができる。また汎用機によるスピン法やスプレー法も用いることができる。凸版、オフセット及びグラビアの3大印刷法をはじめ、凹版、ゴム版、スクリーン印刷のような湿式印刷を用いて塗布してもよい。これらの中から、液粘度やウェット厚さに応じて、好ましい製膜方法を選択する。
塗設した半導体微粒子の層に対し、半導体微粒子同士の電子的接触の強化と、支持体との密着性の向上のために、好ましくは170〜250℃、さらに好ましくは180〜230℃、特に好ましくは190〜220℃で加熱処理を施すとよい。
すなわち、本発明においては、透明導電層のうえに、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化スズからなる群から選ばれた少なくとも1種の酸化物よりなる多孔質半導体層を形成し、この多孔質半導体を170〜250℃の温度で焼き付けることが好ましい。この焼き付けを行なうことにより、ポリエステルフィルム支持体の加熱による変形を防ぎながら多孔質半導体層の抵抗上昇を小さくすることができる。さらに、半導体微粒子に対して該微粒子が強く吸収する紫外光などを照射したり、マイクロ波を照射して微粒子層を加熱することにより、微粒子の間の物理的接合を強める処理を行うこともできる。
そのほか、電着によって粒子の薄膜を担持する方法も用いることができる。すなわち、半導体微粒子を適当な低伝導度の溶媒、例えば純水、アルコールやアセトニトリル、THFなどの極性有機溶媒、ヘキサン、クロロホルムなどの非極性有機溶媒、あるいはこれらの混合溶媒に添加し、凝集のないよう均一に分散し、電着すべき導電性樹脂シート電極と対極とを一定の間隔で平行に対向させ、この間隙に上記の分散液を注入し、両電極間に直流電圧を印加する。このようにして、分散液の濃度と電極間隔を選択することにより、基板電極に一定かつ均一な厚みの電着膜が形成される。
この際の半導体微粒子全体の厚さとしては1〜30μm、好ましくは2〜10μmの範囲で選ばれる。透明度を高める目的では2〜6μmが好ましい。塗布量としては半導体微粒子の支持体1m当り0.5〜5〜20g/m、特に5〜10g/mが好ましい。
なお、多孔質半導体を担持する透明導電層が対極と電気的に短絡することを防止するな
どの目的のため、予め透明導電層の上に下塗り層を設けておくこともできる。この下塗り層としては、TiO、SnO、ZnO、Nb、特にTiOが好ましい。この下塗り層は、例えばElectrochim、Acta40、643〜652(1995)に記載されているスプレーパイロリシス法の他、スパッタ法などにより設けることができる。この下塗り層の好ましい膜厚は5〜1000nm以下、特に10〜500nmである。
[色素増感太陽電池の作成]
本発明の電極を用いて、例えば下記の方法で色素増感型太陽電池を作成することができる。
(1)本発明の電極の多孔質半導体層に色素を吸着させる。ルテニウムビピリジン系錯体(ルテニウム錯体)に代表される有機金属錯体色素、シアニン系色素、クマリン系色素、キサンテン系色素、ポルフィリン系色素など、可視光領域および赤外光領域の光を吸収する特性を有する色素を、アルコールやトルエンなどの溶媒に溶解させて色素溶液を作成し、多孔質半導体層を浸漬するか、多孔質半導体層に噴霧または塗布する。(電極A)
(2)対極としては、本発明の積層体の透明導電層側に、薄い白金層をスパッタ法により形成したものを用いる。(電極B)
(3)上記電極Aと電極Bを、熱圧着性のポリエチレンフィルム製フレーム型スペーサー(厚さ20μm)を挿入して重ね合わせ、スペーサー部を120℃に加熱し、両電極を圧着する。さらに、そのエッジ部をエポキシ樹脂接着剤でシールする。
(4)シートのコーナー部にあらかじめ設けた電解液注入用の小孔を通して、ヨウ化リチウムとヨウ素(モル比3:2)ならびにスペーサーとして平均粒径20μmのナイロンビーズを3重量%含む電解質水溶液を注入する。内部の脱気を十分に行い、最終的に小孔をエポキシ樹脂接着剤で封じる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、例中の各特性値は、下記の方法により測定した。
(1)固有粘度
固有粘度([η]dl/g)は、35℃のo−クロロフェノール溶液で測定した。
(2)フィルム厚み
マイクロメーター(アンリツ(株)製のK−402B型)を用いて、フィルムの連続製膜方向および幅方向に各々10cm間隔で測定を行い、全部で300ヶ所のフィルム厚みを測定した。得られた300ヶ所のフィルム厚みの平均値を算出してフィルム厚みとした。
(3)熱収縮率
200℃に温度設定されたオーブンの中に無緊張状態で10分間フィルムを保持し、フィルム長手方向(MD)および幅方向(TD)について各々の加熱処理前後での寸法変化を熱収縮率として下式により算出し、長手方向(MD)と幅方向(TD)の熱収縮率を求めた。
熱収縮率%=((L0−L)/L0)×100
ただし、L0:熱処理前の標点間距離、L:熱処理後の漂点間距離
(4)塗布層の厚み
フィルムの小片をエポキシ樹脂(リファインテック(株)製エポマウント)中に包埋し、Reichert−Jung社製Microtome2050を用いて包埋樹脂ごと50nm厚さにスライスし、透過型電子顕微鏡(LEM−2000)にて加速電圧100KV、倍率10万倍にて観察し、塗膜層の厚みを測定した。
(5)表面抵抗値
4探針式表面抵抗率測定装置(三菱化学(株)製、ロレスタGP)を用いて任意の5点を測定し、その平均値を代表値として用いた。
(6)表面張力
表面張力が既知である水、およびヨウ化メテレンの透明導電層に対する接触角:θw、θyを接触角計(協和界面科学社製「CA−X型」)を使用し、25℃、50%RHの条件で測定した。これらの測定値を用い、以下の様にして透明導電層の表面張力γsを算出した。
透明導電層の表面張力γsは、分散性成分γsdと極性成分γspとの和である。
即ち、
γs=γsd+γsp (式1)
また、Youngの式より、
γs=γsw+γw・cosθw (式2)
γs=γsy+γy・cosθy (式3)
ここで、γswは透明導電層と水との間に働く張力、γswは透明導電層とヨウ化メチレンとの間に働く張力、γwは水の表面張力、γyはヨウ化メチレンの表面張力である。
また、Fowkesの式より、
γsw=γ+γ−2×(γsd・γwd1/2−2×(γsp・γwp1/2 (式4)
γsy=γ+γ−2×(γsd・γyd1/2−2×(γsp・γyp1/2 (式5)
である。ここで、γwdは水の表面張力の分散性成分、γwpは水の表面張力の極性成分、γydはヨウ化メテレンの表面張力の分散性成分、γypはヨウ化メチレンの表面張力の極性成分である。
式1〜5の連立方程式を解くことにより、透明導電層の表層張力γ=γsd+γspを算出できる。この時、水の表面張力(γ):72.8mN/m、よう化メチレンの表面張力(γ):50.5mN/m、水の表面張力の分散性成分(γwd):21.8mN/m、水の表面張力の極性成分(γwp):51.0mN/m、ヨウ化メチレンの表面張力の分散性成分(γd):49.5mN/m、ヨウ化メテレンの表面張力の極性成分(γyp):1.3mN/mを用いた。
(7)透明導電層の耐熱性
透明導電層を形成したポリエステルフィルムを、オーブンにて220℃で60分加熱し、その後室温まで冷却する。冷却後、表面抵抗値を任意の10点にて測定し、平均値を求めた。
(8)光発電効率
25mm大の色素増感太陽電池を形成し、AM1.5疑似太陽光100mW/cm照射下でのI−V測定により、開放電圧、短絡電流密度、曲線因子、光発電効率を求めた。なお、測定には分光計器製CEP−2000型分光感度測定装置を用いた。光発電効率は、電池作成後の経時変化を考慮し、温度23℃、湿度50%の環境下で1000時間経過させてから、測定を行った。
[実施例1]
<フィルム用ポリマーの作成>
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル100部、およびエチレングリコール60部を、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03部を使用し、150℃から238℃に徐々に昇温させながら120分間エステル交換反応を行なった。途中反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.024部を添加し、エステル交換反応終了後、リン酸トリメチル(エチレングリコール中で135℃、5時間0.11〜0.16MPaの加圧下で加熱処理した溶液:リン酸トリメチル換算量で0.023部)を添加した。その後反応生成物を重合反応器に移し、290℃まで昇温し、27Pa以下の高真空下にて重縮合反応を行って、固有粘度が0.63dl/gの、実質的に粒子を含有しない、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを得た。
<ポリエステルフィルムの作成>
このポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのペレットを170℃で6時間乾燥後、押出機ホッパーに供給し、溶融温度305℃で溶融し、平均目開きが17μmのステンレス鋼細線フィルターで濾過し、3mmのスリット状ダイを通して表面温度60℃の回転冷却ドラム上で押出し、急冷して未延伸フィルムを得た。このようにして得られた未延伸フィルムを120℃にて予熱し、さらに低速、高速のロール間で15mm上方より850℃のIRヒーターにて加熱して縦方向に3.2倍に延伸した。この縦延伸後のフィルムの片面に下記の塗剤Aを乾燥後の塗膜厚みが0.15μmになるようにロールコーターで塗工し易接層を形成した。
続いてテンターに供給し、140℃にて横方向に.3.3倍に延伸した。得られた二軸配向フィルムを243℃の温度で5秒間熱固定し、固有粘度が0.59dl/g、厚み125μmのポリエステルフィルムを得た。続いて、このフィルムを懸垂状態で、弛緩率0.8%、温度205℃で熱弛緩させた。200℃、10分で処理した際のポリエステルフィルムの長手方向の熱収縮率は0.15%、幅方向の熱収縮率は0.05%であった。また、230℃、10分で処理した際のポリエステルフィルムの長手方向の熱収縮率は1.78%であった。
<塗剤A>
四つ口フラスコに、界面活性剤としてラウリルスルホン酸ナトリウム3部、およびイオン交換水181部を仕込んで窒素気流中で60℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部、亜硝酸水素ナトリウム0.2部を添加し、さらにモノマー類である、メタクリル酸メチル30.1部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン21.9部、ポリエチレンオキシド(n=10)メタクリル酸39.4部、アクリルアミド8.6部の混合物を3時間にわたり、液温が60〜70℃になるよう調整しながら滴下した。滴下終了後も同温度範囲に2時間保持しつつ、攪拌下に反応を継続させ、次いで冷却して固形分が35%重量のアクリルの水分散体を得た。
一方で、シリカフィラー(平均粒径:100nm)(日産化学株式会社製 商品名スノーテックスZL)を0.2重量%、濡れ剤として、ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成株式会社製 商品名ナロアクティーN−70)の0.3重量%添加した水溶液を作成した。
アクリルの水分散体15重量部と水溶液85重量部を混合して、塗剤Aを作成した。
<ハードコート>
得られたポリエステルフィルムを用い、この易接層側にUV硬化性ハードコート剤(JSR製 デソライトR7501)を厚さ約5μmになるよう塗布し、UV硬化させてハードコート層を形成した。
<透明導電層形成>
ハードコート層が形成された片面に、主として酸化インジウムからなり酸化亜鉛が7.5重量%添加されたIZOターゲットを用いた直流マグネトロンスパッタリング法により、膜厚260nmのIZOからなる透明導電層を形成した。透明導電層のスパッタリング法による形成は、プラズマの放電前にチャンバー内を5×10−4Paまで排気した後、チャンバー内にアルゴンと酸素を導入して圧力を0.3Paとし、IZOターゲットに2W/cm2の電力密度で電力を印加して行った。酸素分圧は3.7mPaであった。透明導電層の表面抵抗値は14Ω/□であった。
次いで、常圧プラズマ表面処理装置(積水化学工業製AP−T03−L)を用いて、窒素気流下(60L/分)、1m/分にて透明導電層表面にプラズマ処理を施した。このとき、表面抵抗値14.5Ω/□、全光線透過率81%、表面張力は72.3mN/mであった。
透明導電層の耐熱性を評価した結果、加熱後の表面抵抗値は16Ω/□であり、表面抵抗値の上昇が小さいことが確認された。
<反射防止層>
積層体の透明導電層を形成した面とは反対側の面に、厚さ75nmで屈折率1.89のY層、その上に厚さ120nmで屈折率2.3のTiO層、さらにその上に厚さ90nmで屈折率1.46のSiOを、夫々高周波スパッタリング法によって製膜し、反射防止処理層とした。各静電体薄膜を製膜するに際し、いずれも真空度は1×10−3Torrとし、ガスとしてAr:55sccm、O:5sccmを流した。また、基板は製膜行程中、加熱もしくは冷却をすることなく室温のままとした。
<多孔質半導体層形成>
積層体の透明導電層の上に、市販されている低温形成型多孔質二酸化チタン層形成用ペースト(昭和電工製SP−200)をバーコーターにて塗布し、大気中200℃で60分間の熱処理を行って厚み3μmになるように多孔質二酸化チタン層を形成し、色素増感型太陽電池の電極を作成した。
<色素増感型太陽電池の作成>
この電極をルテニウム錯体(Ru535bisTBA、Solaronix製)の300μMエタノール溶液中に24時間浸漬し、光作用電極表面にルテニウム錯体を吸着させた。また、前記の積層体の透明導電層上にスパッタリング法によりPt膜を堆積して対向電極を作成した。電極と対向電極を、熱圧着性のポリエチレンフィルム製フレーム型スペーサー(厚さ20μm)を介して重ね合わせ、スペーサー部を120℃に加熱し、両電極を圧着する。さらに、そのエッジ部をエポキシ樹脂接着剤でシールする。電解質溶液(0.5Mのヨウ化リチウムと0.05Mのヨウ素と0.5Mのtert−ブチルピリジン、平均粒径20μmのナイロンビーズ3重量%を含む3−メトキシプロピオニトリル溶液)を注入した後、エポキシ系接着剤でシールした。
完成した色素増感 型太陽電池は、温度23℃、湿度50%の環境下で1000時間
経過させた後にI−V測定(有効面積25mm)を行った。開放電圧、短絡電流密度、曲線因子はそれぞれ、0.74V、7.9mA/cm、0.69であり、その結果、光発電効率は4.0%であった。
[実施例2]
実施例1と同様に、ハードコート層付きポリエステルフィルムを作成した。
ハードコート層が形成された片面に、主として酸化インジウムからなり酸化亜鉛が7.5重量%添加されたIZOターゲットを用いた直流マグネトロンスパッタリング法により、膜厚130nmのIZOからなる透明導電層を形成した。透明導電層のスパッタリング法による形成は、プラズマの放電前にチャンバー内を5×10−4Paまで排気した後、チャンバー内にアルゴンと酸素を導入して圧力を0.3Paとし、IZOターゲットに2W/cm2の電力密度で電力を印加して行った。酸素分圧は3.7mPaであった。透明導電層の表面抵抗値は28Ω/□であった。
次いで、常圧プラズマ表面処理装置(積水化学工業製AP−T03−L)を用いて、窒素気流下(60L/分)、1m/分にて透明導電層表面にプラズマ処理を施した。このとき、表面抵抗値28Ω/□、全光線透過率85%、表面張力は71.7mN/mであった。
透明導電層の耐熱性を評価した結果、加熱後の表面抵抗値は30Ω/□であり、表面抵抗値の上昇が小さいことが確認された。
実施例1と同様に、電極および色素増感型太陽電池を作成し、I−V測定(有効面積25mm)を行った結果、開放電圧、短絡電流密度、曲線因子はそれぞれ、0.75V、7.3mA/cm、0.62であり、その結果、光発電効率は3.4%であった。
[実施例3および比較例1]
ポリエステルフィルム作成時に、縦延伸倍率、横延伸倍率、熱固定温度、熱弛緩温度、弛緩率を表1のように変えた他は実施例2と同様にして積層体、電極および色素増感型太陽電池を得た。ポリエステルフィルムの長手方向の熱収縮率、色素増感型太陽電池の光発電効率は、表1に示す通りであった。
Figure 0005059289
比較例2
実施例2と同様にハードコート層付きのポリエステルフィルムを作成した。
ハードコート層が形成された片面に、主として酸化インジウムからなり酸化錫が10重量%添加されたITOターゲットを用いた直流マグネトロンスパッタリング法により、膜厚170nmのITOからなる透明導電層を形成した。透明導電層のスパッタリング法による形成は、プラズマの放電前にチャンバー内を5×10−4Paまで排気した後、チャンバー内にアルゴンと酸素を導入して圧力を0.3Paとし、ITOターゲットに2W/cm の電力密度で電力を印加して行った。酸素分圧は4.2mPaであった。透明導電層の表面抵抗値は30Ω/□であった。
次いで、常圧プラズマ表面処理装置(積水化学工業製AP−T03−L)を用いて、窒素気流下(60L/分)、1m/分にて透明導電層表面にプラズマ処理を施した。このとき、表面抵抗値31Ω/□、全光線透過率85%、表面張力は72.1mN/mであった。
透明導電層の耐熱性を評価した結果、加熱後の表面抵抗値は62Ω/□であり、表面抵抗値の上昇が大きいことが確認された。
実施例2と同様に、電極および色素増感型太陽電池を作成し、I−V測定(有効面積25mm)を行った結果、開放電圧、短絡電流密度、曲線因子はそれぞれ、0.65V、7.1mA/cm、0.48であり、その結果、光発電効率は2.2%であった。
本発明の色素増感型太陽電池用積層体は、加工性、層間の密着性が高められており、色素増感型太陽電池用積層体として有用であり、これを用いて光発電性能の高い色素増感型太陽電池を作成することができる電極を得ることができ、産業上の有用性が高い。

Claims (9)

  1. 200℃で10分間熱処理した際のフィルムの長手方向の熱収縮率が0.0%以上0.5%以下である2軸配向ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートフィルムと、そのうえに設けられる透明導電層であって、主として酸化インジウムからなり酸化亜鉛が透明導電層を構成する組成物100重量%に対して5〜15重量%添加され表面抵抗40Ω/□以下である透明導電層と、からなる色素増感型太陽電池用積層体。
  2. 全光線透過率が75%以上である、請求項1記載の色素増感型太陽電池用積層体。
  3. 透明導電層の表面張力が65mN/m以上である、請求項1記載の色素増感型太陽電池用積層体。
  4. 該2軸配向ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートフィルムを230℃で10分間熱処理した際のフィルムの長手方向の熱収縮率が0.0%以上2.0%以下である、請求項1記載の色素増感型太陽電池用積層体。
  5. 該2軸配向ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートフィルムと透明導電層との間に、さらに厚み10〜200nmの易接層を有する、請求項1記載の色素増感型太陽電池用積層体。
  6. 易接層と透明導電層との間にさらにハードコート層を有する、請求項記載の色素増感型太陽電池用積層体。
  7. 該2軸配向ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートフィルの透明導電層が設けられている面とは反対側の面に、さらに反射防止層を有する、請求項1記載の色素増感型太陽電池用積層体。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の色素増感型太陽電池用積層体と、この積層体の透明導電層のうえに設けられた、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化スズからなる群から選ばれた少なくとも1種の酸化物よりなる多孔質半導体層と、からなる色素増感型太陽電池用電極。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の色素増感型太陽電池用積層体の透明導電層のうえに、酸化チタン、酸化亜鉛および酸化スズからなる群から選ばれた少なくとも1種の酸化物よりなる多孔質半導体層を形成し、この多孔質半導体を170〜250℃の温度で焼き付けることを特徴とする、色素増感型太陽電池用電極の製造方法。
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