JP4632192B2 - 色素増感型太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

色素増感型太陽電池およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素増感型太陽電池およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
二酸化炭素が原因とされる地球温暖化が世界的に問題となっている近年、環境にやさしく、クリーンなエネルギー源として、太陽光エネルギーを利用した太陽電池が注目され、積極的な研究開発が進められている。このような太陽電池として、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池などが既に実用化されているが、より光電変換効率が高く、かつ、低コスト化の可能性のある太陽電池として、色素増感型太陽電池が注目され研究開発が進められている。
【0003】
色素増感型太陽電池は、例えば、光の入射する側から、透明基板、この透明基板上に形成された透明電極、色素増感剤が担持された酸化物半導体層、電解質を有する電解質層、および対電極基板が順に積層されてセルが形成される。
【0004】
色素増感型太陽電池、とりわけグレッチェルセルの特徴は、ナノ微粒子である酸化チタンを焼成させた多孔質の酸化物半導体層を用いることである。酸化物半導体層を多孔質とすることで増感色素の吸着量が増加し光吸収能を向上させることができる。
【0005】
また、酸化チタンの焼成の目的としては、金属酸化物半導体微粒子間の結合力を向上させ、増感色素から酸化物半導体層への電子伝達効率を向上させることである。さらに、焼成することで透明基板と酸化物半導体層との密着性も高めることができるため、酸化物半導体層から透明電極へ効率的に電子移動を行うことができる。
【0006】
このような色素増感型太陽電池において、例えば、透明基板としてガラス基板を用いた場合は、多孔質膜を形成するために400〜600℃での焼成を行うことが可能であるが、ガラス基板よりも耐熱性が劣るフィルム基板を用いた場合は、フィルムの耐熱温度以下で焼成しなければならず、酸化物半導体微粒子間の結合力が不充分となるため、光励起により生じた電子における増感色素から酸化物半導体層、および透明電極への伝達経路が十分に確保できないことがあった。また、フィルム基板と酸化物半導体層との密着性も充分でなくフィルムの可撓性に追従できずに膜の剥離や亀裂が生じるといった不都合があった。
【0007】
例えば、特許文献1には、少なくとも、増感色素を担持した半導体層が被着された第1の電極と、前記第1の電極の前記半導体層と対峙する第2の電極と、前記第1の電極の前記半導体層と前記第2の電極との間に配置された電解質層とを有する光電変換素子であって、前記半導体層が、半導体粒子と半導体ゲルから構成されている光電変換素子とする技術が開示されている。
【0008】
上記特許文献1は、半導体層を半導体粒子と半導体ゲルとを用いて形成することにより、上記問題点を解決するものである。しかしながら、半導体層は、上述した半導体粒子および半導体ゲルの他にバインダーを含有しており、このバインダーが絶縁性であることから、光励起によって生成された電子が増感色素から酸化物半導体層、および透明電極へと伝達する際、その伝達が妨げられ、電子の伝達経路が十分に確保されずに電子伝達の損失が生じるという問題があった。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−313444号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、フィルム基板を用いた場合であっても、金属酸化物半導体微粒子同士の結着性、および、基板と酸化物半導体層との密着性の低下を防止することができ、色素増感剤から生じた電荷の伝達効率に優れた色素増感型太陽電池およびその製造方法を提供することを主目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を有し、色素増感剤が担持されており、光照射により上記色素増感剤から生じた電荷を伝導する酸化物半導体層と、上記基板と対向する対向基板と、上記対向基板上に形成され、上記第1電極層と対向する電極である第2電極層と、上記酸化物半導体層および上記第2電極層間に位置し、上記酸化物半導体層により伝導された電荷が上記第1電極層および上記第2電極層を介して、上記酸化物半導体層へ輸送される際の輸送を行う電解質層とを有する色素増感型太陽電池であって、上記酸化物半導体層は、導電性高分子を含有することを特徴とする色素増感型太陽電池を提供する。
【0012】
本発明においては、導電性高分子を含有する酸化物半導体層とすることにより、色素増感剤から生じた電荷が色素増感剤から酸化物半導体層、および第1電極層へと伝達する際、その伝達経路を十分に確保することができるため、伝達における電荷の損失を少なくすることができる。また、例えば、基板としてフィルム基板を用いた場合であっても、金属酸化物半導体微粒子同士の結着性、および、基板と酸化物半導体層との密着性が低下することを抑制することができるので、電荷の伝達効率の低下、膜の剥離や亀裂といった不都合の発生を防止することができる。
【0013】
上記記載の本発明においては、上記第1電極層上に、導電性高分子材料を含有する導電性高分子下地層が形成されていることが好ましい。導電性高分子下地層を第1電極層および酸化物半導体層の間に形成することにより、酸化物半導体層から第1電極層への電荷の伝達を、より電荷の損失を少なく行うことができるからである。
【0014】
本発明においてはまた、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、導電性高分子材料を含有する導電性高分子下地層と、上記導電性高分子下地層上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を有し、色素増感剤が担持されており、光照射により上記色素増感剤から生じた電荷を伝導する酸化物半導体層と、上記基板と対向する対向基板と、上記対向基板上に形成され、上記第1電極層と対向する電極である第2電極層と、上記酸化物半導体層および上記第2電極層間に位置し、上記酸化物半導体層により伝導された電荷が上記第1電極層および上記第2電極層を介して、上記酸化物半導体層へ輸送される際の輸送を行う電解質層とを有することを特徴とする色素増感型太陽電池を提供する。
【0015】
本発明においては、導電性高分子下地層を第1電極層および酸化物半導体層の間に設けることにより、色素増感剤から生じた電荷が酸化物半導体層から第1電極層へと伝達する際の、電荷の損失を少なくすることができる。
【0016】
上記記載の本発明においては、上記導電性高分子または導電性高分子材料が、π電子共役系ポリマーであることが好ましい。導電性に優れた材料だからである。
【0017】
さらに本発明においては、上記酸化物半導体には、結着剤が含有されていることが好ましい。結着剤を含有させることにより、酸化物半導体層と基板との密着性の向上および酸化物半導体層に担持されている金属酸化物半導体微粒子同士の結着性の向上に効果を有するからである。
【0018】
また、本発明においては、上記金属酸化物半導体微粒子が酸化チタンであることが好ましい。入手が容易であり、取り扱い性に優れているからである。
【0019】
さらに本発明においては、上記基板はフィルム基板であることが好ましい。加工性に優れているため、他のデバイスとの組合せが容易であり、用途の幅を広げることができるからである。また、軽量化、生産性の向上および製造コストの削減にも効果がある。
【0020】
本発明においてはまた、基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、
上記第1電極層上に、金属酸化物半導体微粒子および導電性高分子を含有し、色素増感剤が担持され、光照射により上記色素増感剤から生じた電荷を伝導する酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程と、
上記酸化物半導体により伝導された電荷が、上記第1電極層および、上記第1電極層と対向する電極である第2電極層を介して、上記酸化物半導体層へ輸送される際の輸送を行う電解質層を上記酸化物半導体層上に形成する電解質層形成工程と、
上記第2電極層および対向基板を形成する対電極基板形成工程とを有する色素増感型太陽電池の製造方法であって、
上記酸化物半導体層形成工程は、上記色素増感剤を担持する処理を施す前、または施した後に、加圧する処理を行うことを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法を提供する。
【0021】
酸化物半導体を形成する際に加圧する処理を行うことにより、例えば、基板としてフィルム基板を用いた場合であっても、金属酸化物半導体微粒子同士の結着性および基板と酸化物半導体層との密着性において、十分に高温な温度条件で焼成して形成された酸化物半導体層と比較し、同程度の効果を得ることができる。さらに、導電性高分子を含有する酸化物半導体層とすることにより、色素増感剤から生じた電荷が、色素増感剤から酸化物半導体層、および第1電極層へと伝達する際、その伝達経路を十分に確保することができるため、伝達における電荷の損失が少ない色素増感型太陽電池を製造することができる。
【0022】
上記記載の本発明においては、上記第1電極層形成工程により、基板上に第1電極層を形成した後、上記第1電極層上に、導電性高分子材料を含有する導電性高分子下地層を形成する導電性高分子下地層形成工程を有することが好ましい。
【0023】
導電性高分子下地層を第1電極層および酸化物半導体層の間に形成することにより、酸化物半導体層から第1電極層への電荷の伝達を、より電荷の損失を少なく行うことができるからである。
【0024】
さらに本発明においては、基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、
上記第1電極層上に、導電性高分子材料を含有する導電性高分子下地層を形成する導電性高分子下地層形成工程と、
上記導電性高分子下地層上に、金属酸化物半導体微粒子を含有し、色素増感剤が担持され、光照射により上記色素増感剤から生じた電荷を伝導する酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程と、
上記酸化物半導体により伝導された電荷が、上記第1電極層および、上記第1電極層と対向する電極である第2電極層を介して、上記酸化物半導体層へ輸送される際の輸送を行う電解質層を上記酸化物半導体層上に形成する電解質層形成工程と、
上記第1電極層と対向する電極である第2電極層および対向基板を形成する対電極基板形成工程とを有する色素増感型太陽電池の製造方法であって、
上記酸化物半導体層形成工程では、色素増感剤を担持する処理を施す前、または施した後に、加圧する処理を行うことを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法を提供する。
【0025】
本発明においては、導電性高分子下地層を設け、その上に酸化物半導体層を形成しているので、酸化物半導体層から第1電極層への電荷の伝達を効率良く行うことができ、さらに、酸化物半導体層を形成する際に加圧処理を施すことにより、基板として例えばフィルム基板を用いた場合であっても、酸化物半導体層に含有されている金属酸化物半導体微粒子同士の結着性および導電性高分子下地層と酸化物半導体層との密着性を低下させることなく色素増感型太陽電池を製造することができる。
【0026】
また本発明においては、上記酸化物半導体層形成工程は、金属酸化物半導体微粒子および導電性高分子を含有する、または金属酸化物半導体微粒子を含有する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布することにより酸化物半導体層を形成することが好ましい。
【0027】
さらに本発明においては、上記基板はフィルム基板であることが好ましい。フィルム基板は、加工性に優れているため加圧する処理を容易に行うことができるからである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の色素増感型太陽電池およびその製造方法について説明する。
【0029】
A.色素増感型太陽電池
本発明の色素増感型太陽電池は、酸化物半導体層および導電性高分子下地層の態様の違いにより、2つの実施態様に分けることができる。以下、各々の実施態様に分けて本発明の色素増感型太陽電池について説明する。
【0030】
1.第1実施態様
本実施態様の色素増感型太陽電池は、基板と、前記基板上に形成された第1電極層と、前記第1電極層上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を有し、色素増感剤が担持されており、光照射により前記色素増感剤から生じた電荷を伝導する酸化物半導体層と、前記基板と対向する対向基板と、前記対向基板上に形成され、前記第1電極層と対向する電極である第2電極層と、前記酸化物半導体層および前記第2電極層間に位置し、前記酸化物半導体層により伝導された電荷が前記第1電極層および前記第2電極層を介して、前記酸化物半導体層へ輸送される際の輸送を行う電解質層とを有する色素増感型太陽電池であって、前記酸化物半導体層は、導電性高分子を含有することを特徴とするものである。
【0031】
本実施態様においては、導電性高分子を含有する酸化物半導体層とすることにより、色素増感剤から生じた電荷が、色素増感剤から酸化物半導体層、および第1電極層へと伝達する際、その伝達経路を十分に確保することができるため、伝達における電荷の損失を少なくすることができる。また、例えば、基板としてフィルム基板を用いた場合であっても、金属酸化物半導体微粒子同士の結着性、および、基板と酸化物半導体層との密着性が低下することを抑制することができるので、電荷の伝達効率の低下、膜の剥離や亀裂といった不都合の発生を防止することができる。
【0032】
このような利点を有する本実施態様の色素増感型太陽電池について図面を用いて具体的に説明する。
【0033】
図1は本実施態様の色素増感型太陽電池の一例を示した概略断面図である。図1に示すように、矢印で示す光が入射する側から、透明基板1と、前記透明基板1表面に透明電極2とが形成されている。さらに、透明電極2の光が入射する方向と反対側の表面には、酸化物半導体層3が形成されている。この酸化物半導体層3は多孔質であることから、その細孔には色素増感剤が担持され、さらに本実施態様においては、導電性高分子を含有するものとしている。この酸化物半導体層3の光が入射する方向と反対側の表面には、電解質層4が形成されている。
【0034】
また、電解質層4の光の入射方向と反対側の表面には、上記透明電極2と対向する電極である対向電極5および対向基板6が形成されている。
【0035】
このような色素増感型太陽電池においては、色素増感剤から生じた電荷を利用して光電流を得ているが、一般的に、色素増感剤から生じる電荷としては電子を挙げることができる。以下、色素増感剤から生じた電荷を電子として、色素増感型太陽電池の原理について説明する。まず、図1に示す矢印の方向から光が入射すると、酸化物半導体層3に担持されている色素増感剤が光を吸収し励起状態へと移行する。励起状態にある色素増感剤は電子を発生させ、生じた電子は、酸化物半導体層3へ渡される。本実施態様における酸化物半導体層3は、導電性高分子を含有していることから、色素増感剤によって励起された電子が酸化物半導体層3内を伝導し、その後、透明電極2へ電子移動する際に、充分な伝達経路を確保することができ、電子の損失が少なく透明電極2へ電子を注入することができる。その後、透明電極2に注入された電子は、接続されたリード線7を通じて、対向電極5に運ばれる。これにより光電流を得ることができる。色素増感剤は、生じた電子を酸化物半導体層3に渡すことにより酸化される。また、生じた電子は、対向電極5に移動した後、電解質層4内に存在する酸化還元対であるI/I のうちI を還元しIとする。さらに、Iは酸化した色素増感剤を還元させることにより基底状態に戻すことができる。
【0036】
以下、本実施態様の色素増感型太陽電池について、各部材ごとに詳細に説明する。
【0037】
(1)基板および対向基板
本実施態様に用いる基板および対向基板は、透明なものであっても不透明なものであっても特に限定されるものではないが、光の受光面側に位置する場合には、光の透過性に優れた透明基板であることが好ましい。さらに、耐熱性、耐候性、水蒸気、その他のガスバリア性に優れたものであることが好ましい。具体的には、石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルサルフォン(PES)フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム、ポリエーテルイミド(PEI)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエステルナフタレート(PEN)等のプラスチックフィルムを挙げることができる。本実施態様においては、これらの中でも、プラスチックフィルムを用いたフィルム基板とすることが好ましい。加工性に優れているため、他のデバイスとの組合せが容易であり、用途の幅を広げることができるからである。また、軽量化、生産性の向上および製造コストの削減にも効果がある。さらに、本実施態様においては、酸化物半導体層に導電性高分子が含有されていることから、例えば、このような酸化物半導体層を加圧処理を施して形成した場合には、金属酸化物半導体微粒同士の結着性および基板と酸化物半導体層との密着性において、十分に高温な温度条件で焼成して形成された酸化物半導体層と比較し、同程度の効果を得ることができる。したがって、ガラス基板よりも多少耐熱性に劣るフィルム基板を用いた場合であっても、膜の剥離や亀裂が生じるといった不都合が生じる心配が少ない。
【0038】
また、上記フィルムは単独で使用しても良く、また、2種以上のフィルムを積層した複合フィルムとする場合であってもよい。
【0039】
また、基板および対向基板の膜厚としては、15〜500μmの範囲内であることが好ましい。
【0040】
(2)第1電極層および第2電極層
次に、本実施態様に用いられる第1電極層および第2電極層について説明する。なお、以下、両者をまとめて電極層と表現する場合がある。
【0041】
第1電極層および第2電極層を形成する材料としては、導電性に優れたものであれば特に限定はされないが、光の受光面側に位置する電極層においては、光の透過性に優れているものであることが好ましい。例えば、光の透過性に優れた材料としては、SnO、ITO、IZO、ZnO等を挙げることができる。中でも、フッ素ドープしたSnO、ITOであることが好ましい。導電性および透過性の両方に優れているからである。
【0042】
また、第1電極層および第2電極層は、各々の仕事関数等を考慮して材料を選択することが好ましい。例えば、仕事関数が高い材料としては、Au、Ag、Co、Ni、Pt、C、ITO、SnO、フッ素をドープしたSnO、ZnO等を挙げることができる。一方、仕事関数が低い材料としては、Li、In、Al、Ca、Mg、Sm、Tb、Yb、Zr等を挙げることができる。
【0043】
また、各々の電極層は、単層からなる場合であってもよく、また、異なる仕事関数の材料を用い、積層されてなる場合であってもよい。例えば、図3に示すように、矢印の方向から光が入射する場合、第1電極層30として透明電極を用い、さらに、この第1電極層30と対向する電極である第2電極層33として、Ptを蒸着した層31およびITOからなる層32を積層したものを用いる場合を例として挙げることができる。
【0044】
さらに、電極層の膜厚としては、単層からなる電極層の場合はその膜厚が、複数層からなる場合は総膜厚が、0.1nm〜500nmの範囲内、中でも、1nm〜300nmの範囲内であることが好ましい。
【0045】
このような電極層を形成する方法としては、特に限定はされないが、蒸着法、スパッタ法、CVD法等を挙げることができる。中でも、スパッタ法であることが好ましい。
【0046】
(3)酸化物半導体層
次に、酸化物半導体層について説明する。本実施態様における酸化物半導体層は、金属酸化物半導体微粒子を有し、色素増感剤が担持されており、光照射により前記色素増感剤から生じた電荷を伝導する機能を有する部材である。
【0047】
このような酸化物半導体層において、特に本実施態様では、導電性高分子を含有するものとしたことを特徴とする。導電性高分子が有する導電性を利用することにより、色素増感剤から生じた電荷が酸化物半導体層内を伝導し、その後、第1電極層へ移動する際に、充分な伝達経路を確保することができるので、電荷の損失が少なく第1電極層へ電荷を注入することができるのである。したがって、エネルギー変換効率の向上に効果を有する。
【0048】
また、酸化物半導体層は、その表面に色素増感剤が担持されることから、連通孔を有する多孔質であることが好ましい。このような多孔質とすることにより、酸化物半導体層の表面積を大きくすることができるため、充分な量の色素増感剤を担持させることができるからである。また、後述する電解質層との接触面積も大きくすることができ、エネルギー変換効率の向上に効果がある。
【0049】
このような酸化物半導体層の膜厚としては、1μm〜100μmの範囲内、その中でも、5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、酸化物半導体層自体の膜抵抗を小さくすることができ、また、酸化物半導体層によって十分に光吸収が行われるからである。
【0050】
以下、本実施態様における酸化物半導体層を構成する材料について、各々の材料ごとに詳細に説明する。
【0051】
▲1▼ 導電性高分子
本実施態様における導電性高分子としては、導電性を有するものであれば特に限定はされないが、具体的に、その導電性としては、電気伝導度が、10−5S/cm〜10S/cmの範囲内、その中でも、10−5S/cm〜10S/cmの範囲内であることが好ましい。
【0052】
また、本実施態様における導電性高分子として用いることが可能な材料としては、電荷を輸送する機能を有する電荷輸送性の材料であれば特に限定はされないが、中でも、π電子共役系ポリマーであることが好ましい。導電性に優れているからである。具体的には、ポリパラフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリパラフェニレンおよびその誘導体、ポリチェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリアセチレンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体等を挙げることができる。また、一般的に、色素増感型太陽電池では、色素増感剤から生じる電荷は電子であることから、上記電荷輸送性の材料の中でも、電子輸送に優れた材料であることが特に好ましい。
【0053】
このような導電性高分子の含有量は、電荷の伝達効率の向上に効果を有するのであれば特に限定はされないが、酸化物半導体層に対して導電性高分子が占める割合が、0.05重量%〜50重量%の範囲内、中でも、0.2重量%〜20重量%の範囲内であることが好ましい。
【0054】
▲2▼ 金属酸化物半導体微粒子
金属酸化物半導体微粒子は、色素増感剤から発生した電荷を第1電極層へ伝導させることができるものであれば特に限定はされない。具体的には、TiO、ZnO、SnO、ITO,ZrO、SiO、MgO、Al,CeO、Bi、Mn、Y、WO、Ta、Nb、La等を挙げることができる。これらの金属酸化物微粒子は、多孔性の酸化物半導体層を形成するのに適しており、エネルギー変換効率の向上、コストの削減を図ることができるため好ましい。また、上記微粒子のうち、いずれか一種を使用しても良く、また、2種以上を混合して使用してもよい。中でも、TiOを好ましく用いることができる。さらに、これらのうち一種をコア微粒子とし、他の金属酸化物微粒子により、コア微粒子を包含してシェルを形成するコアシェル構造としてもよい。
【0055】
また、本実施態様において、金属酸化物半導体微粒子の酸化物半導体層に対する含有量としては、40〜99.9重量%の範囲内、中でも、85〜99.5重量%の範囲内であることが好ましい。
【0056】
また、金属酸化物半導体微粒子の粒径としては、1nm〜10μmの範囲内、その中でも、10nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。上記範囲よりも粒子径が小さい場合は、そのような微粒子を製造すること自体が困難であり、各々の粒子が凝集し、二次粒子を形成する場合があるため好ましくない。一方、上記範囲よりも粒子径が大きい場合は、酸化物半導体層を厚膜化させる場合があり、抵抗が高くなるため好ましくない。
【0057】
また、上記範囲内の粒子径を有し、粒径の異なる同種または異種の金属酸化物半導体微粒子を混合して用いてもよい。これにより、光散乱効果を高めることができ、酸化物半導体層内でより多くの光を閉じ込めることができるため、色素増感剤における光吸収を効率的に行うことができる。例えば、10〜50nmの範囲内にある金属酸化物半導体微粒子と、50〜200nmの範囲内にある金属酸化物半導体微粒子とを混合して用いる場合を挙げることができる。
【0058】
▲3▼ 色素増感剤
本実施態様における色素増感剤は、光を吸収し起電力を生じさせることが可能なものであれば特に限定はされない。具体的には、有機色素または金属錯体色素を使用することができる。例えば有機色素としては、アクリジン系、アゾ系、インジゴ系、キノン系、クマリン系、メロシアニン系、フェニルキサンテン系の色素が挙げられる。中でも、クマリン系であることが好ましい。
【0059】
また、金属錯体色素では、ルテニウム系色素が好ましく、特にルテニウム錯体であるルテニウムビピリジン色素およびルテニウムターピリジン色素が好ましい。酸化物半導体層では、可視光(400〜800nm程度の波長の光)を殆ど吸収することはできないが、例えば、ルテニウム錯体を酸化物半導体層に担持させることにより、大幅に可視光まで取り込んで光電変換を生じさせることができ、光電変換できる光の波長領域を大幅に広げることができる。
【0060】
▲4▼ 結着剤
本実施態様における酸化物半導体層おいては、上述した導電性高分子、金属酸化物半導体微粒子および色素増感剤の他に、結着剤が含有されていることが好ましい。上記導電性高分子は、この結着剤と同様の作用を及ぼすことから、基板としてフィルム基板を用いた場合であっても、金属酸化物半導体微粒子同士の結着性、および、基板と酸化物半導体層との密着性の低下を抑制することができるが、さらに、導電性高分子以外に結着剤を含有させることにより、このような効果をより高めることができるからである。
【0061】
このような結着剤としては、公知のものを用いることが可能であるが、後述する電解質層の形成に溶媒を用いる場合には、そのような溶媒に対して不溶性であるものが好ましい。具体的には、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、さらには、ポリエチレングリコールのような多価アルコール類を挙げることができる。これらを単独で使用してもよく、複数を混合して使用してもよい。これらの中でも、特に、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、ポリフッ化ビニリデン等を好ましく用いることができる。
【0062】
このような結着剤の添加量は、酸化物半導体層に対して、結着剤の占める割合が、0〜30重量%の範囲内、その中でも、0.1重量%〜10重量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲よりも割合が低いと、第1電極層等との密着性および金属酸化物半導体微粒子間の結着性を向上させる効果が不充分となる場合があり好ましくない。一方、上記範囲よりも割合を高くすると、絶縁性である結着剤が多量に存在することから、色素増感剤から生じた電荷を伝導する機能が阻害されるおそれがあるため好ましくない。
【0063】
▲5▼ その他
本実施態様における酸化物半導体層は、金属酸化物半導体微粒子、導電性高分子等を適切な溶媒に溶解または分散させ、塗工液としたものを塗布することにより形成することが可能である。
【0064】
この際使用する溶媒としては、上述した導電性高分子を溶解させることが可能なものであれば特に限定はされない。具体的には、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、IPA、エタノール、メタノール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、その他、N−メチル−2−ピロリドン、および純水等を挙げることができる。
【0065】
その他、酸化物半導体層の形成に使用する塗工液の塗工適性を向上させるために、各種添加剤を用いてもよい。例えば、添加剤としては、界面活性剤、粘度調整剤、分散助剤、pH調節剤等を用いることができる。例えば、pH調製剤としては、硝酸、塩酸、酢酸、ジメチルホルムアミド、アンモニア等を挙げることができる。
【0066】
(4)電解質層
次に、電解質層について説明する。
【0067】
本実施態様における電解質層は、酸化物半導体層および第2電極層間に位置し、酸化物半導体層により伝導された電荷が第1電極層および第2電極層を介して、酸化物半導体層へ輸送される際の輸送を行うものである。
【0068】
このような電解質層は、一般的に色素増感型太陽電池において用いられているものであれば特に限定はされない。具体的には、液体状、固体状、ゲル状の電解質層を挙げることができる。中でも、固体状、ゲル状の電解質層であることが好ましい。色素増感型太陽電池の耐久性および安定性の向上に効果を有するからである。
【0069】
本実施態様における電解質層は、電荷の輸送に寄与する酸化還元対電解質を少なくとも有するものであるが、この酸化還元対電解質としては、一般的に電解質層において用いられているものであれば特に限定はされない。具体的には、ヨウ素およびヨウ化物の組合せ、臭素および臭化物の組合せであることが好ましい。例えば、ヨウ素およびヨウ化物の組合せとしては、LiI、NaI、KI、CaI等の金属ヨウ化物と、Iとの組合せを挙げることができる。さらに、臭素および臭化物の組み合わせとしては、LiBr、NaBr、KBr、CaBr等の金属臭化物と、Brとの組合せを挙げることができる。
【0070】
このような電解質層において、例えば、ゲル状とした場合には、物理ゲルと化学ゲルのいずれであっても特に限定はされない。物理ゲルは物理的な相互作用で室温付近でゲル化しているものであり、化学ゲルは架橋反応などにより化学結合でゲルを形成しているものである。例えば、物理ゲルの場合は、ゲル化剤としてポリアクリロニトリル、ポリメタクリレート等を挙げることができる。また、化学ゲルの場合は、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系等を挙げることができる。
【0071】
また、本実施態様における電解質層を固体状とした場合には、CuI、ポリピロール、ポリチオフェン等の正孔輸送性の高い導電性の高分子を用いることが好ましい。
【0072】
このような電解質層の膜厚としては、特に限定はされないが、上記酸化物半導体層が連通孔を有する多孔質であることが好ましいことから、このような酸化物半導体層内に充填されて電解質層が形成されている場合には、酸化物半導体層の膜厚も含めて2μm〜100μmの範囲内、その中でも、2μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲よりも膜厚が薄ければ酸化物半導体層と対向電極と接触しやすくなるため短絡の原因となり、上記範囲よりも膜厚が厚ければ内部抵抗が大きくなり性能低下につながるからである。
【0073】
(5)導電性高分子下地層
次に、導電性高分子下地層について説明する。
【0074】
本実施態様における導電性高分子下地層は、導電性高分子材料を含有するものである。本実施態様においては、このような導電性高分子下地層を上記第1電極層上に設けることが好ましい。第1電極層および酸化物半導体層の間に導電性高分子下地層を設けることにより、色素増感剤から生じた電荷を、効率良く第1電極層へ注入することができるからである。
【0075】
このような導電性高分子下地層は、導電性高分子材料を含有するものであれば特に限定はされない。なお、ここでいう導電性高分子材料とは、導電性を有する高分子のことを意味する。
【0076】
具体的にこのような導電性高分子材料としては、上記酸化物半導体層に含有されている導電性高分子と同様のものを用いることができる。したがって、ここでの説明は省略する。
【0077】
このような導電性高分子下地層の膜厚としては、特に限定はされないが、具体的には、10nm〜5000nmの範囲内、その中でも、30nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。
【0078】
2.第2実施態様
次に、第2実施態様の色素増感型太陽電池について説明する。
【0079】
本実施態様の色素増感型太陽電池は、基板と、前記基板上に形成された第1電極層と、前記第1電極層上に形成され、導電性高分子材料を含有する導電性高分子下地層と、前記導電性高分子下地層上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を有し、色素増感剤が担持されており、光照射により前記色素増感剤から生じた電荷を伝導する酸化物半導体層と、前記基板と対向する対向基板と、前記対向基板上に形成され、前記第1電極層と対向する電極である第2電極層と、前記酸化物半導体層および前記第2電極層間に位置し、前記酸化物半導体層により伝導された電荷が前記第1電極層および前記第2電極層を介して、前記酸化物半導体層へ輸送される際の輸送を行う電解質層とを有することを特徴とするものである。
【0080】
本実施態様においては、導電性高分子下地層を第1電極層および酸化物半導体層の間に設けることにより、色素増感剤から生じた電荷が酸化物半導体層から第1電極層へと伝達する際の、電荷の損失を少なくすることができる。
【0081】
このような本実施態様の色素増感型太陽電池について具体的に図面を用いて説明する。
【0082】
図2は、本実施態様の色素増感型太陽電池の一例を示した概略断面図である。図2に示すように、矢印で示す光が入射する側から、透明基板1と、前記透明基板1表面に透明電極2とが形成されている。さらに、透明電極2の光が入射する方向と反対側の表面には、導電性高分子材料を含有する導電性高分子下地層8が形成されており、さらに、導電性高分子下地層8上には酸化物半導体層3が形成されている。導電性高分子下地層8は、内部に導電性高分子材料を含有することから、このような導電性高分子下地層8を第1電極層2および酸化物半導体層3の間に形成することにより、酸化物半導体層3に担持された色素増感剤から生じた電子を効率良く透明電極2へ注入させることができる。したがって、エネルギー変換効率の向上に効果を有する。
【0083】
さらに、酸化物半導体層3の光が入射する方向と反対側の表面には、電解質層4が形成されており、電解質層4の光の入射方向と反対側の表面には、上記透明電極2と対向する電極である対向電極5および対向基板6が形成されている。
【0084】
本実施態様の色素増感型太陽電池においては、上述した第1実施態様の色素増感型太陽電池と異なり、酸化物半導体層には導電性高分子が含有されていない。また、このような酸化物半導体層と第1電極層との間に、導電性高分子材料を含有する導電性高分子下地層を形成したことを特徴とするものである。
【0085】
本実施態様における酸化物半導体層は、上記第1実施態様における酸化物半導体層と異なり、導電性高分子を含有しないものであるが、上記第1実施態様の場合と同様に、金属酸化物半導体微粒子を含有し、その表面には色素増感剤が担持されており、この色素増感剤から生じた電荷を伝導する機能を有するものである。
【0086】
また、本実施態様の色素増感型太陽電池は、第1電極層上に導電性高分子材料を含有する導電性高分子下地層が形成されているが、このような導電性高分子下地層を第1電極層上に設けることにより、酸化物半導体層内を伝導した電荷が、第1電極層へ伝達される際の電荷の損失を少なくすることができ、効率良く第1電極層内へ電荷を注入することができる。
【0087】
このような本実施態様における導電性高分子下地層は、導電性高分子材料を含有するものであれば特に限定はされない。
【0088】
なお、ここでいう導電性高分子材料とは、導電性を有する高分子を意味する。具体的に導電性高分子材料としては、上述した、第1実施態様における酸化物半導体層に含有された導電性高分子と同様のものを用いることができる。
【0089】
このような本実施態様における導電性高分子下地層は、上述した第1実施態様における導電性高分子下地層と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0090】
また、本実施態様における基板、電極層および対向基板等に関することは、上記第1実施態様に記載したものと同様なのでここでの説明は省略する。
【0091】
B.色素増感型太陽電池の製造方法
次に、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について説明する。
【0092】
本発明の色素増感型太陽電池の製造方法は、酸化物半導体層および導電性高分子下地層の態様の違いにより2つの実施態様に分けることができる。以下、本発明の色素増感型太陽電池の製造方法について各実施態様ごとに分けて説明する。
【0093】
1.第3実施態様
本実施態様の色素増感型太陽電池の製造方法は、基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、
前記第1電極層上に、金属酸化物半導体微粒子および導電性高分子を含有し、色素増感剤が担持され、光照射により前記色素増感剤から生じた電荷を伝導する酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程と、
前記酸化物半導体により伝導された電荷が、前記第1電極層および、前記第1電極層と対向する電極である第2電極層を介して、前記酸化物半導体層へ輸送される際の輸送を行う電解質層を前記酸化物半導体層上に形成する電解質層形成工程と、
前記第2電極層および対向基板を形成する対電極基板形成工程とを有する色素増感型太陽電池の製造方法であって、
前記酸化物半導体層形成工程は、前記色素増感剤を担持する処理を施す前、または施した後に、加圧する処理を行うことを特徴とするものである。
【0094】
本実施態様においては、導電性高分子を有する酸化物半導体層であって、このような酸化物半導体層を形成する際に加圧する処理を行うことにより、例えば、基板としてフィルム基板を用いた場合であっても、金属酸化物半導体微粒子同士の結着性および基板と酸化物半導体層との密着性において、十分に高温な温度条件で焼成して形成された酸化物半導体層と比較し、同程度の効果を得ることができる。さらに、導電性高分子を含有する酸化物半導体層とすることにより、色素増感剤から生じた電荷が、色素増感剤から酸化物半導体層、および第1電極層へと伝達する際、その伝達経路を十分に確保することができるため、伝達における電荷の損失が少ない色素増感型太陽電池を製造することができる。
【0095】
このような利点を有する本実施態様の色素増感型太陽電池の製造方法について図面を用いて説明する。図4は、本実施態様の色素増感型太陽電池の製造方法の一例を示した工程図である。
【0096】
まず、図4(a)に示すように、透明電極41を透明基板40上に形成し、さらに、透明電極41上に、酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、酸化物半導体膜42を形成する。次に、図4(b)に示すように、この酸化物半導体膜42上からプレス処理を行う。プレス処理を酸化物半導体膜42に施すことにより、酸化物半導体膜42と、透明電極41を有する透明基板40との密着性を高めることができる。さらに、酸化物半導体膜42における均質化、高密度化を図ることができ、さらに金属酸化物半導体微粒子間の結着性を高めることができる。したがって、酸化物半導体層における機械的強度および電子の伝導性の向上に効果を有する。
【0097】
次に、プレス処理された酸化物半導体膜42を色素増感剤が溶解している溶液に浸漬し、酸化物半導体膜42の表面に色素増感剤を吸着させる。その後、表面に色素増感剤が吸着した酸化物半導体膜42を乾燥させることにより、色素増感剤が担持された酸化物半導体層42´を形成することができる。
【0098】
次に、酸化物半導体層42´上に、図4(c)に示すように、電解質層43を形成する。さらに、電解質層43を形成した後、図4(d)に示すように、第2電極層44が形成された対向基板45を、電解質層43上に配置することにより、色素増感型太陽電池を作製することができる。
【0099】
以下、本実施態様の色素増感型太陽電池の製造方法について、各工程に分けて詳細に説明する。
【0100】
(1)第1電極層形成工程
第1電極層形成工程は、基板上に第1電極層を形成する工程である。
【0101】
このような本工程において、用いる基板としては、一般的に用いられているものを用いることができるが、本実施態様においては、フィルム基板であることが好ましい。導電性高分子が含有されている酸化物半導体層を、加圧処理を施して形成する際、その処理を容易に行うことができるからである。また、フィルム基板は、ガラス基板よりも多少耐熱性に劣るが、その耐熱性の範囲内の焼成であっても、金属酸化物半導体微粒同士の結着性および基板と酸化物半導体層との密着性において、十分な効果を得ることができるため、膜の剥離および亀裂といった不都合の発生を抑制することができるからである。
【0102】
基板上に第1電極層を形成する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、蒸着法、スパッタ法、CVD法等を挙げることができる。中でも、スパッタ法であることが好ましい。
【0103】
なお、その他、基板および第1電極層に関することは、上述した「A.色素増感型太陽電池」の項目の中に記載したものと同様であるためここでの説明は省略する。
【0104】
(2)酸化物半導体層形成工程
本実施態様における酸化物半導体層形成工程は、第1電極層上に、金属酸化物半導体微粒子および導電性高分子を含有し、色素増感剤が担持され、光照射により前記色素増感剤から生じた電荷を伝導する酸化物半導体層を形成する工程である。さらに、本実施態様においては、このような酸化物半導体層形成工程において、色素増感剤を担持する処理を施す前、または施した後に、加圧する処理を行うことを特徴とする。
【0105】
これにより、酸化物半導体層の均質化、高密度化を図ることができ、さらに、酸化物半導体層内に含有されている金属酸化物半導体微粒子間の結着性を高めることができることから、電荷の伝導性を向上させることができる。また、基板と酸化物半導体層との密着性も向上させることができる。したがって、充分に高温の温度で焼成して形成された酸化物半導体層の場合と比較して、金属酸化物半導体微粒子同士の結着性、基板との密着性等の面において同程度の効果を得ることができることから、ガラス基板よりも多少耐熱性が劣るフィルム基板を用い、フィルム基板の耐熱温度以下で焼成した場合であっても、膜の剥離および亀裂といった不都合が生じる心配が少ない。
【0106】
このような本工程において酸化物半導体層を形成する方法としては、特に限定はされないが、塗布法により形成することが好ましい。すなわち、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル、プラネタリーミキサー等の公知の分散機を用いて金属酸化物半導体微粒子および導電性高分子等が溶媒に分散または溶解している酸化物半導体層形成用塗工液を調整し、この酸化物半導体層形成用塗工液を第1電極層上に塗布し、乾燥させることにより酸化物半導体膜を形成する方法である。その後、酸化物半導体膜表面に色素増感剤を吸着させることにより、色素増感剤が担持された酸化物半導体層を形成することができる。
【0107】
このような形成方法において、酸化物半導体層形成用塗工液を塗布する方法としては、公知の塗布方法であれば特に限定はされないが、具体的には、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコートや、スクリーン印刷(ロータリー方式)等を挙げることができる。このような塗布法を用い、単数回または複数回、塗布および乾燥を繰り返すことにより酸化物半導体膜を所望の膜厚に調整して形成する。
【0108】
また、上記塗布方法により酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、乾燥させることにより酸化物半導体膜を形成した後、色素増感剤を担持させる方法としては、特に限定はされないが、上述したように酸化物半導体層は、連通孔を有する多孔質であることが好ましいことから、酸化物半導体層の細孔に色素増感剤を吸着させることが可能な方法であることが好ましい。例えば、色素増感剤の溶液に酸化物半導体膜を浸漬させ、その後、乾燥させる方法や、色素増感剤の溶液を酸化物半導体膜上に塗布し、浸透させた後、乾燥させる方法等を挙げることができる。このような方法において、色素増感剤の溶液に使用する溶媒は、用いる色素増感剤に応じて、水系溶媒、有機系溶媒を選択する。
【0109】
さらに、本実施態様における酸化物半導体層形成工程は、酸化物半導体膜に色素増感剤を担持する処理を施す前、または施した後に、加圧する処理を行うものである。すなわち、本工程において、酸化物半導体層形成用塗工液を、第1電極層上に塗布し、乾燥させることにより酸化物半導体膜を形成した後、この酸化物半導体膜上から加圧する処理を施す場合、または、酸化物半導体膜を形成し、その表面に色素増感剤を吸着させ、色素増感剤が担持した酸化物半導体層を形成した後に酸化物半導体層上から加圧する処理を施す場合である。
【0110】
具体的に加圧処理の方法としては、均一に圧力をかけることができる方法であれば特に限定はされない。例えば、プレス処理を挙げることができる。プレス処理としては、具体的に、ロールプレスまたは平板プレス方式等を挙げることができる。
【0111】
また、加圧する際の圧力としては、50〜2000MPaの範囲内、その中でも、200〜1500MPaの範囲内であることが好ましい。さらに、プレス処理を行う際には、常温でおこなってもよく、また加熱しながら行ってもよい。
【0112】
例えば、加熱しながら加圧処理を施す場合、その温度としては、酸化物半導体層を劣化させることがないのであれば特に限定はされないが、60℃〜300℃の範囲内、その中でも、80℃〜200℃の範囲内であることが好ましい。
【0113】
また、加圧処理を施す前または施した後に、酸化物半導体層内から水分および残留溶剤等の不要物を取り除くために、所定の温度で乾燥処理を行ってもよい。このような乾燥処理を施すことにより、多孔質性の酸化物半導体層であれば、多孔質化を促進させることができる。具体的に、このような乾燥処理における温度としては、100℃以上であることが好ましく、さらには、150℃〜180℃の範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、例えば、基板をフィルム基板とした場合に、フィルム基板における耐熱性の範囲内で、酸化物半導体層内に残存する不要物の除去および多孔質化の促進を十分に図ることができるからである。
【0114】
(3)電解質層形成工程
次に、電解質層形成工程について説明する。本実施態様における電解質層形成工程は、酸化物半導体により伝導された電荷が、第1電極層および第2電極層を介して、酸化物半導体層へ輸送される際の輸送を行う電解質層を酸化物半導体層上に形成する工程である。
【0115】
このような本工程で形成される電解質層は、一般的に色素増感型太陽電池において用いられているものであれば特に限定はされず、固体状、ゲル状、液体状のいずれの形態からなる電解質層であってもよい。このような電解質層を形成する方法は、形成される電解質層の形態に応じて、適宜選択するものとする。
【0116】
例えば、電解質層の形成方法としては、電解質層の形成に用いる電解質形成用塗工液を、上記酸化物半導体層上に塗布し、乾燥させることにより形成する方法(以下、塗布法と記載する場合がある。)、または、本工程の前に、酸化物半導体層と第2電極層とを所定の間隙を有するように配置させ、その間隙に、電解質層形成用塗工液を注入することにより、電解質層を形成する方法(以下、注入法と記載する場合がある。)等を挙げることができる。以下、電解質層の形成方法について、両方の場合に分けて説明する。
【0117】
▲1▼ 塗布法
まず、酸化物半導体層上に、電解質層を形成する電解質層形成用塗工液を塗布し、乾燥等させることにより電解質層を形成する塗布法について説明する。このような形成方法により、主に固体状の電解質層を形成することができる。
【0118】
このような塗布法において、酸化物半導体層形成用塗工液の塗布方法としては、公知の塗布法を用いることができ、具体的には、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコートや、スクリーン印刷(ロータリー方式)等を挙げることができる。
【0119】
また、塗布法により電解質層を形成する場合、電解質層を形成する電解質層形成用塗工液としては、少なくとも酸化還元対電解質および酸化還元対電解質を保持する高分子を有するものであれば特に限定はされないが、その他に、添加剤として架橋剤、光重合開始剤等が含有しているものであってもよい。このような添加剤が含有した電解質層形成用塗工液の場合には、酸化物半導体層形成用塗工液を塗布した後、活性光線を照射し硬化させることにより、酸化物半導体層を形成することができる。
【0120】
さらに、このような塗布法により電解質層を形成した後、加圧する処理を施してもよい。上述したように本実施態様における色素増感型太陽電池の製造方法においては、酸化物半導体層を加圧する処理を施して形成しているが、本工程より電解質層を形成した後、電解質層にも同様に加圧する処理を施すことにより、酸化物半導体層および電解質層の密着性を高めることができるため、エネルギー変換効率の向上に効果を有する。この加圧処理の方法については、上述した「(2)酸化物半導体層形成工程」の項目の中に記載したものと同様なのでここでの説明は省略する。
【0121】
▲2▼ 注入法
次に、電解質層を形成する際に用いる電解質層形成用塗工液を、酸化物半導体層および第2電極層間に注入して、電解質層を形成する注入法について説明する。
【0122】
このような注入法を用いることにより、液体状、ゲル状および固体状の電解質層を形成することができる。
【0123】
注入法により電解質層を形成する場合の本実施態様の色素増感型太陽電池の製造方法の一例について図6を用いて説明する。まず、上述した酸化物半導体層形成工程により第1電極層61上に酸化物半導体層62を形成した後、第2電極層64が形成された対向基板63を準備し、図6(a)に示すように、酸化物半導体層62および第2電極層64が所定の間隙を有して対向するように、透明基板60および対向基板63を配置する。
【0124】
次に、電解質層の形成に用いる電解質層形成用塗工液を、図6(b)に示すように、酸化物半導体層62および第2電極層64間に形成された間隙に注入する。これにより、図6(c)に示すように、酸化物半導体層62および第2電極層64間に、電解質層65を形成することができる。また、このような注入法により形成された電解質層が特に液体状またはゲル状である場合には、溶媒の揮発、電解質層の流失等を防止するため、さらに、図6(d)に示すように、有機ポリマー66等で封止することにより色素増感型太陽電池を作製することができる。
【0125】
このような注入法により電解質層を形成する場合に、酸化物半導体層および第2電極層間に形成された間隙に、電解質形成用塗工液を注入する方法としては、容易に、塗工液を注入させることができる方法であれば特に限定はされないが、例えば、毛細管現象を利用して注入させる方法を用いることができる。
【0126】
また、注入法により、電解質層形成用塗工液を注入した後、例えば、温度調整、紫外線照射または電子線照射等を行い、二次元または三次元の架橋反応を生じさせることによりゲル状さらには固体状の電解質層を形成することができる。
【0127】
その他、電解質層に関することは、上述した「A.色素増感型太陽電池」の項目の中に記載したものと同様なのでここでの説明は省略する。
【0128】
(4)対電極基板形成工程
次に、対電極基板形成工程について説明する。本実施態様における対電極基板形成工程は、前記第1電極層と対向する電極である第2電極層および対向基板を形成する工程である。
【0129】
本工程は、上述した電解質層形成工程における電解質層の形成の方法に応じて、電解質層形成工程の前または後のいずれかに行われる。すなわち、上述したように、酸化物半導体層を塗布法により形成した場合には、電解質層形成工程の後に、本工程を行うことにより、第2電極層および対向基板が電解質層上に形成され、色素増感型太陽電池を作製することができる。または、酸化物半導体層を注入法により形成した場合には、酸化物半導体層形成工程の後に、本工程を行うことにより、酸化物半導体層と第2電極層とを所定の間隙を有して対向させて配置し、その後、上述した電解質層形成工程により電解質層を形成することにより色素増感型太陽電池を作製することができる。
【0130】
例えば、上述した電解質層形成工程において塗布法により形成した場合、本工程において、第2電極層および対向基板を形成する方法としては、特に限定はされないが、具体的には、第2電極層が形成された対向基板を準備し、電解質層上にこのような対向基板を貼り合わせることにより形成することができる。
【0131】
また、上述した電解質層形成工程において注入法により形成した場合、本工程において第2電極層および対向基板を形成する方法としては、具体的に、上述した酸化物半導体層形成工程の後、酸化物半導体層と第2電極層とが、所定の間隙を有して対向するように、酸化物半導体層を有する透明基板および第2電極層を有する対向基板を配置することにより形成することができる。
【0132】
この場合、酸化物半導体層および第2電極層間の間隙としては、この間隙に電解質層を形成することができるのであれば特に限定はされないが、一般的に0.01μm〜100μmの範囲内、その中でも、0.1μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記範囲よりも間隙を狭くすると、電解質層形成用塗工液を注入するのに長時間を要する場合があるため好ましくなく、上記範囲よりも間隙を広くすると、そのような間隙に形成された電解質層の膜厚が厚膜化する場合があるので好ましくない。
【0133】
また、酸化物半導体層と第2電極層とを所定の間隙を有して配置する場合には、精度良く所望の間隙に調整するために、基板または対向基板のいずれか一方にスペーサーを形成しても良い。このようなスペーサとしては、公知のガラススペーサ、樹脂スペーサ、またはオレフィン系多孔質膜等を挙げることができる。
【0134】
その他、第2電極層および対向基板に関することは、上述した「A.色素増感型太陽電池」の項目の中に記載したものと同様であるためここでの説明は省略する。
【0135】
(5)その他
(導電性高分子下地層形成工程)
本実施態様においては、上述した第1電極層形成工程により、基板上に第1電極層を形成した後、この第1電極層上に、導電性高分子材料を含有する導電性高分子下地層を形成する導電性高分子下地層形成工程を行うことが好ましい。
【0136】
このような導電性高分子下地層形成工程を行った場合は、上述した酸化物半導体層形成工程は、この導電性高分子下地層上に酸化物半導体層を形成することとなる。このように第1電極層および酸化物半導体層間に導電性高分子下地層を設けることにより、酸化物半導体層から第1電極層への電荷の伝達を効率良く行うことができる。
【0137】
このような導電性高分子下地層の形成方法としては特に限定はされないが、導電性高分子下地層を形成する塗工液を、第1電極層上に塗布することにより形成する方法を挙げることができる。具体的に、塗工液を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。
【0138】
その他、導電性高分子下地層に関することは上述した「A.色素増感型太陽電池」の項目の中に記載したものと同様であるのでここでの説明は省略する。
【0139】
2.第4実施態様
次に第4実施態様の色素増感型太陽電池の製造方法について説明する。
【0140】
本実施態様における色素増感型太陽電池の製造方法は、基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、
前記第1電極層上に、導電性高分子材料を含有する導電性高分子下地層を形成する導電性高分子下地層形成工程と、
前記導電性高分子下地層上に、金属酸化物半導体微粒子を含有し、色素増感剤が担持され、光照射により前記色素増感剤から生じた電荷を伝導する酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程と、
前記酸化物半導体により伝導された電荷が、前記第1電極層および、前記第1電極層と対向する電極である第2電極層を介して、前記酸化物半導体層へ輸送される際の輸送を行う電解質層を前記酸化物半導体層上に形成する電解質層形成工程と、
前記第1電極層と対向する電極である第2電極層および対向基板を形成する対電極基板形成工程とを有する色素増感型太陽電池の製造方法であって、
前記酸化物半導体層形成工程では、色素増感剤を担持する処理を施す前、または施した後に、加圧する処理を行うことを特徴とするものである。
【0141】
本実施態様においては、導電性高分子下地層を設け、その上に酸化物半導体層を形成しているので、酸化物半導体層から第1電極層への電荷の伝達を効率良く行うことができ、さらに、酸化物半導体層を形成する際に加圧処理を施すことにより、基板として例えばフィルム基板を用いた場合であっても、酸化物半導体層に含有されている金属酸化物半導体微粒子同士の結着性および導電性高分子下地層と酸化物半導体層との密着性を低下させることなく色素増感型太陽電池を製造することができる。
【0142】
このような本実施態様の色素増感型太陽電池の製造方法について図面を用いて説明する。図5は本実施態様の色素増感型太陽電池の製造方法の一例を示した工程図である。
【0143】
まず、図5(a)に示すように、透明電極51を透明基板50上に形成し、さらに、透明電極51上に、導電性高分子材料を含有する導電性高分子下地層52を形成する。さらに、図5(b)に示すように、導電性高分子下地層52上に、酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布し、酸化物半導体膜53を形成する。次に、図5(c)に示すように、この酸化物半導体膜53上からプレス処理を行う。プレス処理を酸化物半導体膜53に施すことにより、酸化物半導体膜53と、導電性高分子下地層52との密着性を高めることができる。さらに、酸化物半導体膜53における均質化、高密度化、さらに金属酸化物半導体微粒子間の結着性を高めることができ、電子の伝導性の向上に効果を有する。
【0144】
次に、加圧処理が施された酸化物半導体膜53を色素増感剤が溶解している溶液に浸漬し、酸化物半導体膜53に色素増感剤を吸着させる。その後、表面に色素増感剤が吸着した酸化物半導体膜53を乾燥させることにより、色素増感剤が担持された酸化物半導体層53´を形成することができる。
【0145】
次に、酸化物半導体層53´上に、図5(d)に示すように、電解質層54を形成する。さらに、電解質層54を形成した後、図5(e)に示すように、第2電極層55が形成された対向基板56を、上記電解質層54上に配置することにより、色素増感型太陽電池を作製することができる。
【0146】
このような本実施態様の色素増感型太陽電池の製造方法は、最終的に得られる色素増感型太陽電池において、上述した第3実施態様における色素増感型太陽電池の製造方法により得られた色素増感型太陽電池と異なり、酸化物半導体層には導電性高分子が含有されていない。また、このような酸化物半導体層と第1電極層との間に、導電性高分子材料を含有する導電性高分子下地層を形成している。
【0147】
このような本実施態様において、導電性高分子下地層形成工程に関することは上述した第3実施態様における導電性高分子下地層形成工程と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0148】
また、本実施態様における酸化物半導体層形成工程において、酸化物半導体層を形成する方法としては、特に限定はされないが、塗布法により形成することが好ましい。すなわち、金属酸化物半導体微粒子等が溶媒に分散または溶解している酸化物半導体層形成用塗工液を、第1電極層上に塗布し、乾燥させることにより酸化物半導体膜を形成する方法である。その後、酸化物半導体膜表面に色素増感剤を吸着させることにより、色素増感剤が担持された酸化物半導体層を形成することができる。すなわち、本実施態様における酸化物半導体層形成工程においては、上述した第3実施態様における酸化物半導体層形成工程において、酸化物半導体層形成用塗工液を導電性高分子が含有されていないものとすることにより、本実施態様における酸化物半導体層を形成することができる。
【0149】
なお、本実施態様において、第1電極層形成工程、電解質層形成工程および対電極基板形成工程は、上述した第3実施態様と同様であるためここでの説明は省略する。
【0150】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0151】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに説明する。
【0152】
(実施例1)
フィルム基板として二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み125μm)を用い、このフィルム基板上に第1電極層として表面抵抗10Ω/□のITOスパッタ層を形成した。さらに、このITOスパッタ層上に酸化物半導体層を以下のように形成した。
【0153】
酸化物半導体層形成塗工液として、粒子径20nmのTiO2 微粒子(P25日本アエロジル社製)37.5重量%、結着剤としてポリエステル樹脂0.5重量%、導電性高分子としてポリ(2−メトキシ−5−(2'−エチルヘキシロキシ)−1−シアノビニレンフェニレン)(CN−PPV)を5重量%とし、ホモジナイザーを用いて溶解、分散させてスラリーを作製した。
【0154】
作成したスラリーをワイヤーバーにて塗布後、150℃、30分間乾燥させた。その後、480MPaにて加圧することにより膜厚12μmの酸化物半導体層を形成した。
【0155】
次に、色素増感剤としてルテニウム錯体(小島化学株式会社)をエタノール溶液に濃度3×10−4mol/lとなるように溶解させ、色素増感剤が溶解した吸着用色素溶液を得た。この溶液中に酸化物半導体層を形成したフィルム基板を浸漬し、40℃、1時間の条件下で放置した。
【0156】
次に電解質層を形成する電解質層形成用塗工液を以下のように調整した。メトキシアセトニトリルを溶媒とし、濃度0.1mol/lのヨウ化リチウム、濃度0.05mol/lのヨウ素、濃度0.3mol/lのジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド、濃度0.5mol/lのターシャリーブチルピリジンを溶解させたものを電解質層形成用塗工液とした。
【0157】
対向基板としては、上述したITOスパッタ層を有するフィルム基板と同様のものを用い、さらに、ITOスパッタ層上に膜厚50nmの白金膜をスパッタリングにて付与したものとした。
【0158】
以上のようにして酸化物半導体層を形成したフィルム基板と、対向基板を厚さ20μmの熱融着フィルムによって貼り合せ、その間に電解質層形成用塗工液を含浸させたものを素子とした。
【0159】
作成した素子の評価は、AM1.5、擬似太陽光(100mW/cm)を光源とし、ソースメジャーユニット(ケースレー2400型)にて電圧印加により電流電圧特性の評価を行った。評価結果を下記表1に示す。評価結果には短絡電流Isc(mA/cm)、変換効率%を示した。
【0160】
(実施例2)
実施例2では、以下に示したとおり導電性高分子下地層を形成したこと以外は、上記実施例1に準じて素子作成を行った。また、評価についても同様に行った。
【0161】
導電性高分子下地層としては、PEDOT:PSS(ポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネイト水分散液)(Bayer社製、品名BaytronP)を80nmとなるように塗布した後、120℃で10分間乾燥させることにより形成した。
【0162】
評価結果を下記表1に示す。
【0163】
(実施例3)
実施例3では、酸化物半導体層用の塗工液として、粒子径20nmのTiO2微粒子(P25 日本アエロジル社製)39.5重量%、結着剤としてポリエステル樹脂0.5重量%をホモジナイザーを用いて溶解、分散させてスラリーを作製したこと以外は、上記実施例2に準じて素子作成を行った。また、評価についても同様に行った。
【0164】
評価結果を下記表1に示す。
【0165】
(比較例1)
比較例1では、実施例1のうち酸化物半導体層用の塗工液として、粒子径20nmのTiO2微粒子(P25 日本アエロジル社製)39.5重量%、結着剤としてポリエステル樹脂0.5重量%をホモジナイザーを用いて溶解、分散させてスラリーを作製したこと以外は、実施例1に準じて素子作成を行った。また、評価についても同様に行った。評価結果を下記表1に示す。
【0166】
【表1】
Figure 0004632192
【0167】
【発明の効果】
本発明によれば、導電性高分子を含有する酸化物半導体層とすることにより、色素増感剤から生じた電荷が色素増感剤から酸化物半導体層、および第1電極層へと伝達する際、その伝達経路を十分に確保することができるため、伝達における電荷の損失を少なくすることができる。また、例えば、基板としてフィルム基板を用いた場合であっても、金属酸化物半導体微粒子同士の結着性、および、基板と酸化物半導体層との密着性が低下することを抑制することができるので、電荷の伝達効率の低下、膜の剥離や亀裂といった不都合の発生を防止することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の色素増感型太陽電池の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の色素増感型太陽電池の他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の色素増感型太陽電池の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の色素増感型太陽電池の製造方法の一例を示す工程図である。
【図5】本発明の色素増感型太陽電池の製造方法の他の例を示す工程図である。
【図6】本発明の色素増感型太陽電池の製造方法の他の例を示す工程図である。
【符号の説明】
1 … 透明基板
2 … 透明電極
3 … 酸化物半導体層
4 … 電解質層
5 … 対向電極
6 … 対向基板
7 … リード線

Claims (10)

  1. 基板と、前記基板上に形成された第1電極層と、前記第1電極層上に形成され、金属酸化物半導体微粒子を有し、色素増感剤が担持されており、光照射により前記色素増感剤から生じた電荷を伝導する酸化物半導体層と、前記基板と対向する対向基板と、前記対向基板上に形成され、前記第1電極層と対向する電極である第2電極層と、前記酸化物半導体層および前記第2電極層間に位置し、前記酸化物半導体層により伝導された電荷が前記第1電極層および前記第2電極層を介して、前記酸化物半導体層へ輸送される際の輸送を行う電解質層とを有する色素増感型太陽電池であって、
    前記酸化物半導体層は、導電性高分子を含有し、前記酸化物半導体層中の前記導電性高分子の含有量が、0.2質量%〜20質量%の範囲内であることを特徴とする色素増感型太陽電池。
  2. 前記第1電極層上には、導電性高分子材料を含有する導電性高分子下地層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  3. 前記導電性高分子または導電性高分子材料が、π電子共役系ポリマーであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の色素増感型太陽電池。
  4. 前記酸化物半導体には、結着剤が含有されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の色素増感型太陽電池。
  5. 前記金属酸化物半導体微粒子が酸化チタンであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の色素増感型太陽電池。
  6. 前記基板はフィルム基板であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の色素増感型太陽電池。
  7. 基板上に第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、
    前記第1電極層上に、金属酸化物半導体微粒子および導電性高分子を含有し、色素増感剤が担持され、光照射により前記色素増感剤から生じた電荷を伝導する酸化物半導体層を形成する酸化物半導体層形成工程と、
    前記酸化物半導体により伝導された電荷が、前記第1電極層および、前記第1電極層と対向する電極である第2電極層を介して、前記酸化物半導体層へ輸送される際の輸送を行う電解質層を前記酸化物半導体層上に形成する電解質層形成工程と、
    前記第2電極層および対向基板を形成する対電極基板形成工程とを有する色素増感型太陽電池の製造方法であって、
    前記酸化物半導体層形成工程は、前記色素増感剤を担持する処理を施す前、または施した後に、加圧する処理を行うものであり
    前記酸化物半導体層形成工程で得られる酸化物半導体層には、前記酸化物半導体層中に前記導電性高分子が、0.2質量%〜20質量%の範囲内で含有されていることを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。
  8. 前記第1電極層形成工程により、基板上に第1電極層を形成した後、前記第1電極層上に、導電性高分子材料を含有する導電性高分子下地層を形成する導電性高分子下地層形成工程を有することを特徴とする請求項7に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
  9. 前記酸化物半導体層形成工程は、金属酸化物半導体微粒子および導電性高分子を含有する酸化物半導体層形成用塗工液を塗布することにより酸化物半導体層を形成することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
  10. 前記基板はフィルム基板であることを特徴とする請求項7から請求項9までのいずれかの請求項に記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
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