JP2005142088A - 色素増感型太陽電池用電極基板及び色素増感型太陽電池 - Google Patents

色素増感型太陽電池用電極基板及び色素増感型太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 色素増感型太陽電池用電極基板であって、光電変換効率が高く、性能の経時的低下が抑制されて耐久性に優れた色素増感型太陽電池を得ることができる色素増感型太陽電池用電極基板を提供する。
【解決手段】 透明基材と、透明基材の片面に形成された透明電極とを有する色素増感型太陽電池用電極基板であって、その透明電極が、透明基材の上に形成された金属酸化物製の透明な第1導電層、第1導電層の上に形成された金属製の第2導電層、及び、第2導電層の上に形成されたカーボン製の第3導電層を有することにより、上記課題を解決した。この色素増感型太陽電池用電極基板は、色素増感型太陽電池の光電極基板及び対極基板の双方に用いられる。このとき、第1導電層は、白金、金及びニッケルの群から選ばれた金属からなることが好ましく、また、第2導電層は、フラーレン、フラーレン誘導体又はカーボンナノチューブからなることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、色素増感型太陽電池用電極基板及び色素増感型太陽電池に関する。
太陽光発電システムは、化石燃料や核燃料を用いた発電システムに比べて周囲の環境に及ぼす負荷が小さく、また、省資源化を図り易いことから、今日ではその利用が拡大している。
太陽光発電システムに使用される太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに直接変換することができる光電変換素子である。このような太陽電池としては、シリコン太陽電池、化合物半導体太陽電池(ガリウムヒ素太陽電池、インジウムリン太陽電池、CIS(銅インジウムセレン)型太陽電池等)、色素増感型太陽電池等がある。これらの太陽電池のうち、シリコン太陽電池は民生用の太陽電池として既に広く利用されている。また、近年では、シリコン太陽電池に比べても低コスト化が容易な色素増感型太陽電池に対する注目が高まっている。
図4は、代表的な色素増感型太陽電池(グレッツェル・セル)の断面構造を示す概略図である。図示の色素増感型太陽電池150は、I /I レドックス対を含有した電解質溶液105を1対の電極基板である電極基板120と電極基板130とで挟持した構造を有する湿式太陽電池である。
電極基板120は、受光側に設けられた電極基板(以下、光電極基板という。)であり、透明ガラス基板111と、その片面に形成された透明導電膜(フッ素ドープ酸化スズ膜)113と、その上に形成された多孔質半導体層(多孔質酸化チタン薄膜)115とを有している。多孔質半導体層115はゾルゲル法によって形成されたものであり、多数のアナターゼ型酸化チタン微粒子の焼結体である。この多孔質半導体層115の表面には、ルテニウム(Ru)錯体の1種からなる色素117が吸着されており、色素117の吸収波長域は、酸化チタンの吸収波長域よりも長波長側にまで及んでいる。また、色素117を光励起したときの電子のエネルギー準位は、酸化チタンの伝導帯端の位置よりも高い。図4においては、便宜上、色素117を1つの層として描いている。一方、電極基板130は、光電極基板に対向する電極基板(以下、対極基板という。)であり、透明ガラス基板121と、その片面に形成された透明導電膜(フッ素ドープ酸化スズ膜)123と、その上に形成された白金薄膜125とを有している。電極基板120中の透明導電膜113と電極基板130中の透明導電膜123とは、リード線135a、135bによって負荷140に接続されている。
色素増感型太陽電池150に色素117の吸収波長域内の光を照射すると、色素117が励起状態となり、光励起された電子(e )が多孔質半導体層115に注入される。電子(e )を失った色素117は、電解質溶液105中のI /I レドックス対から電子を奪って(I と反応してI を生じて)、元の状態に戻る。一方、多孔質半導体層115に注入された電子(e )は透明導電膜113に移動し、更に、リード線135a、負荷140、及びリード線135bを介して電極基板130に達してI と反応し、I を生じさせる。したがって、上記の光照射によって色素増感型太陽電池150には閉回路が形成される。この閉回路が形成されると、色素増感型太陽電池150は定常的に発電する。色素117を利用することにより、多孔質半導体層115の吸収波長域の光よりも更に長波長の光を利用して発電することが可能になるので、光電変換効率を高めることができる。なお、白金薄膜125は、電極基板130の導電性を上げる役割を果たす他に、I /I レドックス対のI がI に還元される際の触媒としての役割も果たす。
この透明導電膜には、通常、酸化インジウスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)等の金属酸化物が用いられるが、これらの金属酸化物は導電性が低く、このような透明導電膜を用いた電極基板は10Ω/□という非常に高い表面抵抗値を有する。これに対し、特許文献1では、ITOやIZO等の金属酸化物からなる2つの透明導電膜の間に銀や銅等の金属薄膜を挟み込んでなる透明電極が記載されており、これにより透明電極の導電性を向上させることが記載されている。
特開2003−243683号公報(請求項2、第0008〜0013段、第0017段及び第0018段)
しかしながら、上記の電解質層の電解質に用いられているハロゲン系のイオン(I /I )は化学的な活性が強いので、銀や銅等の金属を腐食させる性質がある。上記の色素増感型太陽電池においては、光電極基板の金属薄膜と電解質層との間に透明導電膜が設けられているものの、この透明導電膜を完全に緻密に形成することは困難である。特に、電極基板の材料として比較的耐熱性の低い透明樹脂フィルムを用いると、上記透明導電膜を形成する際の温度を透明樹脂フィルムの耐熱温度以下にしなければならないことから、緻密な透明導電膜を形成することができない。したがって、電解質溶液が透明導電膜に浸透して金属薄膜に容易に到達してしまい、その金属薄膜が腐食されるという問題があった。
特許文献1には、金属薄膜の材料として、銀や銅のほかに白金や金等の腐食され難い金属も挙げられている。しかしながら、このような金属からなる金属薄膜であっても、太陽電池として長期にわたって使用される間に腐食されてしまうという問題があることが分かった。また、上述の対極基板130に設けられた白金薄膜125は、電解質溶液105と隣接して設けられているので、光電極基板の場合と同様に電解質によって腐食されるという問題もあった。
このような金属薄膜の腐食は、光電極基板や対極基板の性能を経時的に低下させ、更にはこれらの電極基板が用いられた色素増感型太陽電池の光電変換効率を低下させてしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、光電変換効率が高く、性能の経時的低下が抑制されて耐久性に優れる色素増感型太陽電池を得ることができる色素増感型太陽電池用電極基板及びそのような色素増感型太陽電池を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の色素増感型太陽電池用電極基板は、透明基材と、該透明基材の片面に形成された透明電極とを有する色素増感型太陽電池用電極基板であって、前記透明電極が、透明基材の上に形成された金属酸化物製の透明な第1導電層、該第1導電層の上に形成された金属製の第2導電層、及び、該第2導電層の上に形成されたカーボン製の第3導電層を有することを特徴とする。
この発明によれば、透明電極に、金属製の第2導電層だけでなく高い耐腐食性を有するカーボン製の第3導電層が設けられているので、本発明の色素増感型太陽電池用電極基板が、1対の電極基板で電解質層を挟持した構成を有する色素増感型太陽電池の電極基板に使用された場合に、第3導電層が電解質で腐食されず、透明電極の電解質に対する耐腐食性を向上させることができる。また、本発明の色素増感型太陽電池用電極基板が色素増感型太陽電池の電極基板に使用された場合に、金属製の第2導電層と電解質層との間にその電解質で腐食されないカーボン製の第3導電層を介する構成となるので、第2導電層が腐食され難い。更に、この発明によれば、透明電極に、カーボン製の第3導電層だけでなく導電性の高い金属製の第2導電層が設けられているので、透明電極の抵抗を低下させることができ、導電性の高い色素増感型太陽電池用電極基板を提供できる。これらの理由から、この発明によれば、光電変換効率が高く、性能の経時的低下が抑制され耐久性に優れる色素増感型太陽電池を得ることができる。なお、この電極基板は、色素増感型太陽電池において、この構成のまま対極基板として用いられ、また、他の必要な構成が付加されて光電極基板として用いられる。
本発明の色素増感型太陽電池用電極基板においては、前記第3導電層が、フラーレン、フラーレン誘導体及びカーボンナノチューブからなる群から選ばれる1種又は2種以上のカーボンで形成されていることが好ましい。
この発明によれば、第3導電層が高い導電性を有するカーボンで形成されているので、透明電極の腐食を防止しつつ抵抗を低下させることができ、導電性が更に高く耐久性に優れる色素増感型太陽電池用電極基板を提供できる。
本発明の色素増感型太陽電池用電極基板においては、前記第2導電層が、白金、金又はニッケルで形成されていることが好ましい。
この発明によれば、第2導電層にも耐腐食性の高い金属を用いているので、更に耐久性に優れ導電性の高い色素増感型太陽電池用電極基板を提供できる。
本発明の色素増感型太陽電池用電極基板においては、前記透明電極上に、多数の半導体微粒子を用いて多孔質半導体電極が形成され、該多孔質半導体電極を形成している半導体微粒子の表面に色素が担持されていることが好ましい。
この発明によれば、色素増感型太陽電池の光電極基板として用いられた場合に、透明電極が電解質によって腐食されにくく、また、高い導電性を有する色素増感型太陽電池用電極基板となる。その結果、本発明の色素増感型太陽電池用電極基板を用いることにより、光電変換効率が高く、性能の経時的低下が抑制され耐久性に優れる色素増感型太陽電池を提供できる。
上記課題を解決するための本発明の色素増感型太陽電池は、表面に色素が担持された半導体微粒子からなる多孔質半導体電極を有する光電極基板と、該光電極基板に対向して配置された対極基板と、前記光電極基板と前記対極基板との間に介在する電解質層とを備えた色素増感型太陽電池であって、前記光電極基板が上記の色素増感型太陽電池用電極基板であることを特徴とする。
この発明によれば、光電極基板として本発明の色素増感型太陽電池用電極基板を用いているので、光電変換効率が高く、性能の経時的低下が抑制され耐久性に優れる色素増感型太陽電池を提供できる。
上記課題を解決するための本発明の色素増感型太陽電池は、表面に色素が担持された半導体微粒子からなる多孔質半導体電極を有する光電極基板と、該光電極基板に対向して配置された対極基板と、前記光電極基板と前記対極基板との間に介在する電解質層とを備えた色素増感型太陽電池であって、前記対極基板が上記の色素増感型太陽電池用電極基板であることを特徴とする。
本発明の色素増感型太陽電池においては、前記光電極基板が、上記の色素増感型太陽電池用電極基板であることが好ましい。
本発明の色素増感型太陽電池用電極基板によれば、光電変換効率が高く、性能の経時的低下が抑制されて耐久性に優れる色素増感型太陽電池を得ることが容易になるので、実用的な色素増感型太陽電池を得ることも容易になる。
本発明の色素増感型太陽電池によれば、光電極基板として上述した本発明の色素増感型太陽電池用電極基板を用いているので、光電変換効率が高く耐久性に優れるものを提供できる。また、本発明の色素増感型太陽電池によれば、対極基板として上述した本発明の色素増感型太陽電池用電極基板を用いているので、光電変換効率が高く耐久性に優れるものを提供できる。
以下、本発明の色素増感型太陽電池用電極基板、及び、色素増感型太陽電池それぞれの形態について、図面を参照しつつ順次説明する。
<色素増感型太陽電池用電極基板>
図1に示す電極基板20は、色素増感型太陽電池の光電極基板又は対極基板に利用される。光電極基板としては、図1に示した電極基板に光電極基板としての必要な構成が付加された図2に示す電極基板が利用される。対極基板としては、図1に示した電極基板がそのまま利用される。電極基板20は、透明基板1の片面に、第1導電層2と第2導電層3と第3導電層4とを含む透明電極10が形成された構成を有する。
図2に示す電極基板30は、色素増感型太陽電池の光電極基板に利用される。電極基板30は、透明基板1の片面に、第1導電層2と第2導電層3と第3導電層4と第4導電層5とを含む透明電極10が形成されている。また、この透明電極10の上には、多孔質半導体電極6が形成され、この多孔質半導体電極6を形成する半導体微粒子の表面には色素7が担持されている。なお、図2においては、便宜上、色素7を1つの層として描いている。
以下、まず、電極基板20について詳述し、ついで電極基板30について詳述する。
A.電極基板20:
(1)透明基材:
透明基材1は、特に電極基板20が光電極基板に用いられる場合に、紫外域から赤外域に亘る波長域中の所望の波長域の光を平均値で概ね85%以上透過させ、かつ、所望の耐光性及び耐候性を有するものであることが好ましい。上記の「所望の波長域」は、光電極基板を構成する多孔質半導体電極6及び色素7それぞれの吸収波長域を勘案して、適宜選定可能である。このような透明基材1は、無機材料又は有機材料を用いて、また必要に応じて各種の添加剤を併用して、種々の方法により形成される。
透明基材1としては、石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の透明で可撓性のないリジット材(硬質材)を用いることもできるが、可撓性の高い色素増感型太陽電池を得るという観点からは、透明ガラスシート又は透明樹脂フィルムを用いることが好ましく、特に透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
上記の透明樹脂フィルムとしては、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体フィルム、ポリエーテルサルフォン(PES)フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム、ポリエーテルイミド(PEI)フィルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエステルナフタレート(PEN)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、環状ポリオレフィンフィルム等を用いることができる。電極基板20の製造コストを抑えるという観点からは、エンジニアリングプラスチックのような比較的高価な樹脂材料で形成されたものよりも、比較的安価な樹脂材料で形成されたものが好ましい。
透明基材1の厚さは、電極基板20を用いて作製される色素増感型太陽電池の用途等に応じて適宜選定することができ、電極基板20を光電極基板に用いる場合及び対極基板に用いる場合共に、概ね15〜500μmである。なお、電極基板20を光電極基板として用いる場合は、多孔質半導体電極6を形成する際に透明基材1も加熱されるので、透明基材1の材料及び厚さを選定するにあたっては、あわせて耐熱性を考慮することが好ましい。
(2)透明電極:
電極基板20を構成する透明電極10は、図1に示すように、透明基材1の片面に形成された第1導電層2と、その上に形成された第2導電層3と、第3導電層4とを含んでいる。
透明電極10は、電極基板20が光電極基板に用いられる場合には、色素増感型太陽電池に光が照射された際、多孔質半導体電極6からキャリア(電子)を受け取り、又は、多孔質半導体電極6にキャリア(正孔)を伝える役割を有する。また、電極基板20が対極基板に用いられる場合には、透明電極10は、色素増感型太陽電池において電解質層35にキャリア(電子)を伝え、又は、電解質層35からキャリア(正孔)を受け取る役割を有する。
第1導電層2は、主に透明電極10の光透過性と導電性等を確保するためのものである。
第1導電層2は、光透過性及び導電性を考慮すると、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛(ZnO)等で形成されることが好ましい。これらの中でも、導電性及び光透過性の両方に優れた材料であるフッ素ドープ酸化スズ又はITOにより形成されることが好ましい。
第1導電層2の厚さは、電極基板20を用いて作製される色素増感型太陽電池の用途等に応じて適宜選定され、電極基板20が光電極基板に用いられる場合及び対極基板に用いられる場合共に、概ね5〜300nmである。また、第1導電層2のシート抵抗はできるだけ低い値であることが好ましく、電極基板20が光電極基板に用いられる場合及び対極基板に用いられる場合共に、概ね15Ω/□以下であることが好ましい。
第2導電層3は金属製の導電層であり、透明電極10の導電性を高める役割を有する。ここで、本発明でいう「金属製の導電層」とは、単体金属によって形成された導電層を含む他に、合金によって形成された導電層をも含むものとする。
第2導電層3の材料としては、導電性の高い透明電極10を得るという観点から、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、ステンレス、チタン(Ti)、コバルト(Co)等の金属又は合金を用いることが好ましく、これらの中でも、導電性の高い材料である銅、ニッケル、ステンレス、チタン等を用いることが好ましい。また、色素増感型太陽電池に用いられた場合に電解質層35の電解質が浸透することによる腐食を防止する観点からは、白金、金、ニッケル等を用いることが好ましい。
第2導電層3の厚さは、シート抵抗を低くする観点からは厚いことが好ましく、また、透明電極の光透過性を確保する観点からは薄いことが好ましい。具体的には、電極基板20が光電極基板に用いられる場合は、1〜30nmであることが好ましく、対極基板に用いられる場合は、1〜200nmであることが好ましい。
第3導電層4は、電極基板20が光電極基板として色素増感型太陽電池に用いられる場合に、第2導電層3と後述する第4導電層5との間に形成されるものである。また、第3導電層4は、電極基板20が対極基板として色素増感型太陽電池に用いられる場合に、第2導電層3と電解質層35の間に形成されるものである。
第3導電層4は、透明電極10の導電性を高める役割を有する。また、第3導電層4は、電極基板20を用いた色素増感型太陽電池50において、第2導電層3が電解質層35の電解質により腐食されるのを防止し、また、第2導電層3が腐食された場合でも透明電極10の性能の低下を抑制する役割を有する。
第3導電層4は、導電性が高く耐腐食性に優れたカーボンからなり、第3導電層自体が電解質によって腐食されない。このようなカーボンとしては、活性炭、カーボングラファイト、フラーレン、フラーレン誘導体又はカーボンナノチューブ等を挙げることができ、これらのカーボンのうち1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのカーボンの中でも高い導電性を得る観点からは、フラーレン、フラーレン誘導体又はカーボンナノチューブを用いることが好ましい。また、通常フラーレン、フラーレン誘導体又はカーボンナノチューブは溶媒に溶けるので、この材料を用いて第2導電層を形成する場合には、湿式塗布によっても電極基板の透明性を確保できる程度に薄い膜厚で形成することができる。
フラーレンとしては、一般的に知られているC60フラーレンだけでなく、C70、C76、C78又はC84等の高次フラーレン、バッキーオニオン、金属等を内包したフラーレン、又は、複数のフラーレンが結合したフラーレンポリマーを用いることもできる。フラーレン誘導体とは、表面に修飾基が付加されたフラーレンのことである。このようなフラーレン誘導体としては、C60H36やC70H36等の水素化フラーレン、C60やC70等のオキサイドフラーレン又はフラーレン金属錯体が挙げられ、また、フラーレンの球状表面にアルキル基、水酸基又はフェニル基等の多様な修飾基が付加された多機能のフラーレンを用いることもできる。中でも、フラーレン誘導体としては、薄膜の成膜性を向上させる目的でベンゼン誘導体やアゾベンゼン誘導体等が付加されたフラーレン、又は、溶媒に溶解させて湿式塗布により第3導電層を形成する場合には、溶媒溶解性を向上させる目的でn−ドデシルアミノ基等が付加されたフラーレンを用いることが好ましい。
第3導電層4は、このような材料から形成されることにより、この透明電極10が含まれた電極基板20が光電極基板として用いられた色素増感型太陽電池50(図3を参照。図中、光電極基板は符号30で示されている。)において、電解質層35の電解質が第4導電層5に浸透して第3導電層4に到達した場合であっても腐食されない。また、この電極基板20が対極基板として用いられた色素増感型太陽電池50(図3中、対極基板は符号20で示されている。)においても同様に、第3導電層4は電解質層35に隣接して設けられているが腐食されない。
さらに、電極基板20が光電極基板に用いられた場合に、この腐食され難い第3導電層4が第4導電層5と第2導電層3との間に位置することにより、第4導電層5に浸透した電解質が第2導電層3に到達し難く、第2導電層3が腐食され難い。また、電極基板20が対極基板に用いられた場合も同様に、第3導電層4が電解質層35と第2導電層3との間に位置するので、第2導電層3が腐食され難い。
そのため、この電極基板20は、太陽電池の電極基板(光電極基板又は対極基板)に用いられた場合に、経時的な性能の低下が抑制されて耐久性に優れる。
第3導電層4の厚さは、シート抵抗を低くする観点及び第2導電層3の腐食を防止する観点からは厚いことが好ましく、また、透明電極10の光透過性を確保する観点からは薄いことが好ましい。具体的には、電極基板20が光電極基板に用いられる場合は、1〜100nmであることが好ましく、対極基板に用いられる場合は、1〜800nmであることが好ましい。
また、第3導電層4は、第2導電層3の腐食を防止する観点から、電解質の浸透を防止できる程度に緻密な層であることが好ましい。
電極基板20を製造するにあたっては、まず、透明基材1に第1導電層2を形成し、その上に第2導電層3と第3導電層4をこの順に形成することにより、透明基材1上に透明電極10を形成する。
第1導電層2の形成は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長等により行うことができ、製造コストを抑えるという観点からはイオンプレーティング法、スパッタリング法により行うことが好ましい。
第2導電層3は、その厚さを薄くする観点から、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD法)や、プラズマ化学気相成長法(CVD法)等により形成されることが好ましい。
第3導電層4は、その厚さを薄くする観点から、第1導電層と同様、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相成長法(PVD法)や、プラズマ化学気相成長法(CVD法)等により形成されることが好ましい。
第3導電層4の材料にフラーレン又はフラーレン誘導体を用いる場合には、上記形成方法のほか、この材料を非極性溶媒に分散又は溶解させて、湿式塗布することによっても形成することができる。非極性溶媒には、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、ペンタン又はこれらの誘導体からなる炭化水素系の溶媒等を使用することができる。また、上記の湿式塗布には、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、ビードコート法、スプレーコート法等を用いることができ、その中でも、簡便に薄膜を形成する観点からは、スピンコート法またはダイコート法等を用いることが好ましい。
第3導電層4の材料にカーボンナノチューブを用いる場合には、この材料をバインダ樹脂や溶媒に分散させたものを湿式塗布することにより形成することができる。バインダ樹脂には、一般的に用いられているバインダ樹脂を用いることができ、溶媒には、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、エチレングリコール、ジメチルエーテル、ヒドラジン、プロピレンカーボネート、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、ニトロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、シアノ酢酸エチル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチル尿素、ホルムアミド、O−ニトロアニソール、ニトロエタン、ニトロプロパン、2−ニトロプロパン等又はこれらの混合溶媒を用いることができる。上記の湿式塗布には、一般的なコーティング方法を用いることができ、例えば、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコート又はスクリーン印刷(ロータリー方式)等の方法を用いることができる。また、第2導電層3がニッケル又はコバルト等で形成されている場合に、第3導電層4を、カーボンナノチューブを用いて真空中での熱分解反応によるCVD法により形成することが好ましい。このように形成すると、ニッケル等の微粒子が結晶核となることにより触媒として作用するので、容易に厚さの薄い第3導電層4を形成することができる。
上記の構成を有する電極基板20は、この構成のまま対極基板として用いられる。また、この電極基板20に光電極基板として必要な構成が付加された電極基板30は光電極基板として用いられる。
B.電極基板30:
図2に示す色素増感型太陽電池用光電極基板30には、上記の電極基板20の透明電極10に更に第4導電層5が含まれ、この透明電極10上に多孔質半導体電極15が形成されている。また、多孔質半導体電極15を形成する半導体微粒子の表面には色素17が担持されている。以下、色素増感型太陽電池用光電極基板20及びその製造方法について詳述する。なお、光電極基板20の構成要素である透明基材1については、上述の電極基板20と同様であるので説明を省略する。
(1)透明電極:
電極基板30の透明電極10は、上述の電極基板の透明電極に更に第4導電層5が含まれたものである。透明電極10の構成要素である第1導電層2、第2導電層3及び第3導電層4については、上述の電極基板20と同様であるので説明を省略する。
第4導電層5は、光電極基板20において第2導電層の上に設けられて透明電極10を構成するものであり、色素増感型太陽電池に所定の波長域の光が照射されたときに、多孔質半導体電極6からキャリア(電子)を受け取るもの、又は、多孔質半導体電極6にキャリア(正孔)を供給するものである。
第4導電層5の材料や形成方法は、上述した第1導電層2の場合と同様であるので、ここでは説明を省略する。なお、第1導電層2と第4導電層5は、それぞれ異なる材料で形成されていてもよい。第4導電層5の厚さは、5〜300nmの範囲内で適宜選定可能である。また、第4導電層5のシート抵抗はできるだけ低い値であることが好ましく、概ね15Ω/□以下であることが好ましい。
上記のような構成を有する透明電極10が設けられた透明基板1は、5Ω/□以下の低い表面抵抗値と60%以上の透過率を有する。
(2)多孔質半導体電極:
多孔質半導体電極6は、光励起された色素7からキャリア(電子)を受け取ることができるもの、又は、光励起された色素7にキャリア(正孔)を伝えることができるものであればよい。この多孔質半導体電極6は、単一成分の層とすることもできるし、混合物の層とすることもできる。更には、複数の半導体膜の積層物とすることもできる。多孔質半導体電極6の導電型は、通常、N型である。
多孔質半導体電極6の材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムスズ、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化セシウム、酸化ビスマス、酸化マンガン、酸化イットリウム、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ランタン等の金属酸化物半導体微粒子を用いることができる。これらの金属酸化物半導体微粒子は多孔質の半導体層を形成するのに適しており、色素増感型太陽電池のエネルギー変換効率の向上、コストの削減を図ることができるため好ましい。電極基板30を用いた色素増感型太陽電池の耐久性や、電極基板30を製造する際の安全性及び経済性等を考慮すると、多孔質半導体電極6の材料としては酸化チタンが好ましく、特に、アナターゼ型の酸化チタンが好ましい。なお、本発明でいう「半導体微粒子」は、微粒子形状の半導体を含む他に、不定形の微小半導体や微粉末状の半導体をも含むものとする。
上記の金属酸化物半導体微粒子の平均粒子径は概ね10〜250nmの範囲内であることが好ましく、特に、量子サイズ効果が発現する大きさであることが好ましい。また、多孔質半導体電極15の膜厚は、概ね5〜30μmの範囲内で適宜選定可能である。
電極基板30を製造するにあたっては、前述した第4導電層5の形成工程に引き続き、第4導電層5上に多孔質半導体電極6を形成する多孔質半導体電極形成工程を行う。この工程で形成する多孔質半導体電極6は、電極基板30を用いた色素増感型太陽電池の光電変換効率を高めるという観点からは、色素7を、多孔質半導体電極6を形成する半導体微粒子の表面に単分子膜状に、かつ、できるだけ多くの半導体微粒子上に担持させることが好ましく、そのためには、多孔質半導体電極6の比表面積をできるだけ大きくすることが好ましい。また、同様の観点から、多孔質半導体電極6を量子サイズ効果が発現するメソスコピックな多孔質にすることが特に好ましい。図2では、多孔質半導体電極6を多数の半導体微粒子6aによって形成された多孔質体として描いている。
多孔質半導体電極6は、所望の金属酸化物半導体微粒子の分散液(以下、「多孔質半導体電極用塗工液」という。)を調製し、この多孔質半導体電極用塗工液を第4導電層5上に塗布した後に焼成して、金属酸化物半導体微粒子を焼結させることにより形成される。このような形成方法としては、ゾル−ゲル法を用いることができる。但し、透明基材1に透明樹脂フィルムのような耐熱性の低い基材を用いる場合には、比較的低温で形成する観点から、多孔質半導体電極用塗工液を第4導電層5上に塗布した後に乾燥させることにより形成することが好ましい。
必要に応じて、多孔質半導体電極用塗工液には、多孔質半導体電極6において光散乱中心(図示せず。)として機能する微粒子を含有させることができる。多孔質半導体電極6にこの微粒子を組み込むことにより、色素7の光励起に寄与する光量を増大させることができ、結果として、色素増感型太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。光散乱中心として機能する微粒子の具体例としては、例えば粒子径が概ね50〜200nmの酸化チタン微粒子を挙げることができる。
多孔質半導体電極用塗工液は、例えば、(i)所定の溶媒中で半導体微粒子を結晶化微粒子として析出させてゾル液とする方法、又は(ii)半導体微粒子をボールミル、サンドミル又はロールミル等で適当な分散媒と混合し、混練機、ホモジナイザー又はプラネタリーミキサー等の公知の分散機を用いて分散媒中に分散させる方法、によって調製される。上記(ii)の方法によって塗工液を調整するにあたって、使用する半導体微粒子が凝集していた場合には、これらをほぐしてから上記の分散媒と混合することが好ましい。上記(i)のゾル液と上記(ii)の分散液とを混合して塗工液を調整することもできる。
多孔質半導体電極用塗工液の分散媒としては、多孔質半導体電極6が形成される部材の耐熱性が比較的低い場合に、多孔質半導体電極6が形成される部材の耐熱性が比較的低い場合、多孔質半導体電極用塗工液の分散媒としては、例えば、(a)クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系分散媒、(b)テトラヒドロフラン等のエーテル系分散媒、(c)トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系分散媒、(d)アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系分散媒、(e)酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系分散媒、(f)イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、メタノール、ブチルアルコール等のアルコール系分散媒、(g)その他(N−メチル−2−ピロリドン、純水等)、を用いることができる。多孔質半導体電極用塗工液に後述の結着剤を含有させる場合には、この結着剤を溶解させることが可能な分散媒を用いる。
多孔質半導体電極用塗工液には、高分子材料からなる結着剤を溶解させることができる。結着剤を含有させると、多孔質半導体電極6と透明電極10との密着性や多孔質半導体電極6自身の機械的強度を向上させることができる。特に、透明基材1に透明樹脂フィルムのような耐熱性の低い基材を用い、多孔質半導体電極6を焼成により形成できない場合に有効である。また、透明基材1にガラス基板のような耐熱性の高い基材を用い、焼成により多孔質半導体電極6を形成する場合でも、結着剤を用いることにより更に容易に多孔質の膜が形成できる。このような結着剤としては、例えば、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂や、ポリエチレングリコールのような多価アルコール類を使用することができる。多孔質半導体電極用塗工液中への結着剤の添加量は極力少ない方が好ましい。具体的には、分散液中の全固形分に対する結着剤の割合を0.5質量%以下とすることが好ましく、0.2質量%以下とすることが更に好ましい。
多孔質半導体電極用塗工液には、上述の結着剤の他に、その塗工適性を向上させるために各種の添加剤を含有させることができる。この添加剤としては、例えば、界面活性剤、粘度調整剤、分散助剤、pH調整剤等が挙げられる。例えば、pH調整剤としては、硝酸、塩酸、酢酸、ジメチルホルムアミド、アンモニア等を用いることができる。
多孔質半導体電極用塗工液の塗工方法としては、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコート、スクリーン印刷(ロータリー方式)等、種々の方法を適用することができる。このような塗工方法により単数回又は複数回、多孔質半導体電極用塗工液の塗布及び乾燥を繰り返して、所望の膜厚の多孔質半導体電極6を形成する。塗膜の乾燥は、透明基材1の耐熱温度以下で行う必要がある。具体的には、概ね100℃以上、透明基材1に透明樹脂フィルムのような耐熱性の低い基材を用いる場合は、耐熱温度以下の温度範囲内で加熱乾燥することが好ましい。
(3)色素:
色素7は、多孔質半導体電極6を増感させるためのものである。この色素7としては、(A)その吸収波長域が、多孔質半導体電極6の吸収波長域よりも長波長側にまで及んでいるもの、(B)多孔質半導体電極6がN型半導体である場合には、光励起されたときの電子のエネルギー準位が多孔質半導体電極6の伝導帯端の位置よりも高いもの、(C)多孔質半導体電極6がN型半導体である場合には、多孔質半導体電極6へキャリアを注入するのに要する時間が、多孔質半導体電極6からキャリアを再捕獲するのに要する時間に比べて短いもの、が好ましい。
例えば多孔質半導体電極6がアナターゼ型の酸化チタンによって形成されている場合、色素7としては、下式(I)によって表されるルテニウム錯体を用いることが好ましい。
Figure 2005142088
電極基板30を用いて光電変換効率の高い色素増感型太陽電池を得るうえからは、上記の式(I)で示されるルテニウム錯体の中でも、XがNCS(チオシアネート)である(シス−ジ(チオシアネート)−N、N’−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)を用いることが特に好ましい。
勿論、上述したルテニウム錯体以外の金属錯体色素や、有機色素を使用することもできる。有機色素の具体例としては、例えば、アクリジン系、アゾ系、インジゴ系、キノン系、クマリン系、メロシアニン系、フェニルキサンテン系の色素が挙げられる。これらの有機色素の中でも、クマリン系の色素が好ましい。
電極基板30を製造するにあたっては、前述した多孔質半導体電極形成工程に引き続き、多孔質半導体電極6を形成する半導体微粒子に色素を担持させる色素担持工程を行う。
多孔質半導体電極6を形成している半導体微粒子6aの表面に色素7を担持させるにあたっては、光電変換率の高い色素像感型太陽電池を得るという観点から、できるだけ多くの半導体微粒子6aに色素7を担持させることが好ましく、特に多孔質半導体電極6を形成している半導体微粒子6aそれぞれの表面に色素7を担持させることが好ましい。
そのためには、多孔質半導体電極6の細孔内表面にまで色素7を吸着させることが可能な方法によって、多孔質半導体電極6に色素7を担持させることが好ましい。例えば、色素の溶液(以下、「色素担持用塗工液」という。)を調製し、この色素担持用塗工液に多孔質半導体電極6まで形成した電極基板を浸漬し、その後に乾燥するという方法、又は、色素担持用塗工液を多孔質半導体電極6に塗布し、浸透させた後に乾燥するという方法等によると、多孔質半導体電極6の細孔内表面にまで色素7を吸着させることができ、半導体微粒子6aそれぞれの表面に色素7を担持させることも可能である。色素担持用塗工液は、用いる色素の種類に応じて水系溶媒及び有機系溶媒のいずれかを適宜選択して、調製する。
光電変換効率の高い色素増感型太陽電池を得るという観点からは、色素7を単分子膜の状態で多孔質半導体電極6に担持させることが好ましく、そのためには、多孔質半導体電極6に担持された余分な色素を、色素担持用塗工液の調製に使用し得る溶媒等によって洗浄、除去することが好ましい。
多孔質半導体電極6に予め表面処理を施しておくことにより、多孔質半導体電極6がN型半導体のときには色素7から多孔質半導体電極6へのキャリアの移動速度を高めることが可能である。多孔質半導体電極6を形成する半導体微粒子に色素7を担持させた後にこれら多孔質半導体電極6及び色素7に所定の処理、例えば、多孔質半導体電極6が酸化チタンによって形成され、色素7が上述したルテニウム錯体である場合には、t−ブチルピリジン等の塩基による処理を施すことにより、電極基板30を用いた色素増感型太陽電池の光電変換効率を向上させることが可能である。
(4)任意部材:
必要に応じて、電極基板30にはガスバリア層やパターニング層等を形成することができる。以下、これらの任意部材について説明する。
(a)ガスバリア層:
ガスバリア層は、透明基材1に透明樹脂フィルムを使用した電極基板30を用いて色素増感型太陽電池を作製したときに、電極基板30を通して酸素や水分が色素増感型太陽電池内に侵入すること、及び、色素増感型太陽電池で使用される電解質が電極基板30を通して外部に揮散すること、を防止するためのものであり、透明基材1と透明電極10との間又は透明基材1の背面(透明電極10が形成されている面とは反対側の面を意味する。)に設けることができる。
このガスバリア層の酸素透過率は概ね1cc/m /day・atm(約10ml/m /day/MPa)以下であることが好ましく、その水蒸気透過率は概ね1g/m /day以下であることが好ましい。このようなガスバリア層は、所望の有機材料の蒸着膜(物理気相成長法又は化学気相成長法によって形成された膜を意味する。以下同じ。)又はフィルムにより、あるいは、所望の無機材料の蒸着膜により、形成される。
色素増感型太陽電池内への酸素の侵入を防止することにより、色素7や電解質の劣化が抑制されるので、色素増感型太陽電池の性能の経時的低下を抑制することができる。また、水分の侵入を抑制することにより、例えば第1導電層2や第4導電層5をITOのように比較的水分により劣化し易い材料で形成した場合でもその性能の経時的低下が抑制されるので、色素増感型太陽電池の性能の経時的低下を抑制することができる。
なお、ガスバリア層は、透明基材1に透明樹脂フィルムを使用した電極基板20にも設けることができ、上述した電極基板30の場合と同様に、電極基板20における透明基材1と透明電極10との間又は透明基材1の背面(透明電極10が形成されている面とは反対側の面を意味する。)に設けることができる。
(b)パターニング層:
本明細書でいう「パターニング層」とは、光照射によって表面の濡れ性を変化させることができる層を意味する。このパターニング層の具体例としては、(i)疎水性バインダー中に光触媒(光半導体の微粒子)が分散した構造を有する光触媒含有層、(ii)クロロシランやアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して得られるオルガノポリシロキサンの層、(iii) 撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンが架橋したオルガノポリシロキサンの層、(iv)フルオロアルキルシラン等を用いた撥水性を示す自己組織化膜、等を挙げることができる。
上記(i)の光触媒含有層は、この光触媒含有層に含まれている光触媒の吸収波長を含む波長域の光でその表面を選択的に露光することにより、露光された領域の濡れ性を変化させてここを親水化することができる。このような光触媒含有層は、例えば、疎水性バインダー中に光触媒が分散した塗工液を調製し、この塗工液を所望箇所に塗布して塗膜を形成した後、この塗膜を乾燥することにより形成することができる。
また、上記(ii)〜(iv)の各層は、例えば紫外光によってその表面を選択的に露光することにより、露光された領域の濡れ性を変化させてここを親水化することができる。上記(ii)〜(iv)の各層の表面を選択的に露光するにあたっては、必要に応じて、フォトマスク(紫外線マスク)における被露光物側の表面に光触媒含有層を設けることができる。この光触媒含有層をフォトマスクに設けることにより、より長波長の紫外光によっても所望の親水化処理を施すことが可能になる。
パターニング層は透明電極10上に設けられて、多孔質半導体電極6の下地層として使用される。パターニング層の表面のうちで多孔質半導体電極6を形成しようとする領域が上述のようにして親水化される。この状態のパターニング層上に多孔質半導体電極6の材料となる前述の塗工液を塗工すると、実質的に上記の親水化された領域上にのみ塗膜、ひいては多孔質半導体電極6を形成することができる。
例えば動作電圧又は動作電流の大きい色素増感型太陽電池を得るうえからは、この色素増感型太陽電池の構造を、比較的小型のセルが複数個、電気的に直列又は並列に接続された構造にすることが好ましい。この場合、1つの電極基板30には、1つの透明電極10が形成されてその上に複数の多孔質半導体電極6が形成されるか、又は、複数の透明電極10が形成されて個々の透明電極10上に多孔質半導体電極6が1つずつ形成されることになる。パターニング層は、複数の多孔質半導体電極6を所望箇所に形成するうえで有用である。
以上説明した部材によって構成されている電極基板30は、既に説明した本発明の色素増感型太陽電池用電極基板の1種であるので、本発明の色素増感型太陽電池用電極基板についての説明の中で述べた技術的効果を奏する。
<色素増感型太陽電池>
図3に示す色素増感型太陽電池50は、光電極基板に本発明の電極基板30が用いられ、対極基板に本発明の電極基板20が用いられたものである。なお、図3では、説明の便宜上、透明基板1、第1導電層2、第2導電層3及び第3導電層4のそれぞれの符号に、電極基板30のものにはaの添え字が加えられており、電極基板20のものにはbの添え字が加えられてある。
電極基板20及び電極基板30の構成については既に説明したので、ここでは省略する。なお、光電極基板または対極基板のどちらかに本発明の電極基板が用いられていればよく、一方の電極基板が従来公知の構成を有するものであってもよい。
電極基板20と電極基板30とは、電極基板30中の多孔質半導体電極6と電極基板20中の第3導電層4bとが互いに対向するようにして配置されており、これらの電極基板20、30の間には電解質層35が介在している。電極基板30中の透明電極はリード線40aによって負荷45に接続されており、この負荷45はリード線40bによって電極基板20中の透明電極に接続されている。なお、図示を省略しているが、色素増感型太陽電池50では、電解質層35を形成している電解質が漏出するのを防止するために、電極基板20、30及び電解質層35の周囲を封止剤により封止している。
この2つの電極基板20、30の間隔を精度よく所望の間隔に保って短絡を防止するために、電極基板20と電極基板30との間にガラススペーサ、樹脂スペーサ、オレフィン系多孔質膜等のスペーサを配置してもよい。スぺーサーは、電極基板20、30の一方に予め形成しておくこともできるし、色素増感型太陽電池を組み立てる際に電極基板20、30の少なくとも一方に固着させて使用することもできる。また、前記スペーサが封止剤を兼ねることもできる。
電解質層35は、電極基板20と電極基板30との間に位置し、色素7から多孔質半導体電極6に伝導されたキャリア(電子)とは逆の電荷を有するキャリア(正孔)を電極基板30から電極基板20へ輸送する。
この電解質層35の材料としては、キャリアの輸送に寄与するレドックス対を少なくとも含有した、色素増感型太陽電池に用いられる種々の電解質を用いることができ、その形態は液体状、固体状、及びゲル状のいずれでもよい。色素増感型太陽電池50の耐久性及び安定性の向上を図るという観点からは、常温溶融塩電解液又はゲル状の電解質を用いることが好ましい。
上記のレドックス対は、電解質に用いられるものであれば特に限定されるものではない。このようなレドックス対の原料としては、ヨウ素とヨウ化物との組合せ、又は、臭素と臭化物との組合せを好ましく挙げることができる。例えば、ヨウ素とヨウ化物との組合せの具体例としては、ヨウ化リチウム(LiI)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化カルシウム(CaI )等の金属ヨウ化物とヨウ素(I )との組合せを挙げることができる。また、臭素と臭化物との組合せの具体例としては、臭化リチウム(LiBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、臭化カルシウム(CaBr )等の金属臭化物と臭素(Br )との組合せを挙げることができる。
電解質層35の材料としてゲル状の電解質を用いる場合、この電解質は物理ゲル及び化学ゲルのいずれであってもよい。物理ゲルは物理的な相互作用で室温付近でゲル化しているものであり、化学ゲルは架橋反応等の化学結合でゲルを形成しているものである。物理ゲルは、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリレート等のゲル化剤を用いて作製することができ、化学ゲルとしては、アクリル酸エステル系、メタクリル酸エステル系のもの等を用いることができる。
また、電解質層35の材料として固体状の電解質を用いる場合、この電解質としてはヨウ化銅(CuI)や、ポリピロール、ポリチオフェン等の正孔輸送性の高い導電性の高分子を用いることが好ましい。
電解質層35の厚さは適宜選定可能であるが、多孔質半導体電極6の膜厚との合計が2μm〜100μmの範囲内、その中でも、2μm〜50μmの範囲内になるように電解質層の厚さを選定することが好ましい。上記の範囲よりも電解質層35の厚さが薄いと、多孔質半導体電極6と第2導電膜26とが接触し易くなるため、短絡の原因となる。また、電解質層35の厚さが上記の範囲よりも厚いと、色素増感型太陽電池50の内部抵抗が大きくなり、性能が低下する。
上述した電解質層35は、その材料に応じて、種々の方法により形成することができる。例えば、電解質層35の形成に用いる電解質層形成用塗工液を多孔質半導体電極6上に塗布し、乾燥させることにより形成する方法(以下、「塗布法」と記載する場合がある。)、又は、多孔質半導体電極6と第3導電層4bとが所定の間隔を有するように電極基板20、30を配置し、電極基板20と電極基板30との間隙に電解質層形成用塗工液を注入することにより電解質層35を形成する方法(以下、「注入法」と記載する場合がある。)等を挙げることができる。以下、これらの「塗布法」及び「注入法」について説明する。
(I)塗布法:
塗布法は、主に固体状の電解質層を形成するために用いられる方法であり、この塗布法で用いる電解質層形成用塗工液としては、少なくともレドックス対とこのレドックス対を保持する高分子とを含有したものを用いる。他に、架橋剤や光重合開始剤等が添加されていることが好ましい。
電解質層形成用塗工液の塗布は、ダイコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート、リバースロールコート、バーコート、ブレードコート、ナイフコート、エアナイフコート、スロットダイコート、スライドダイコート、ディップコート、マイクロバーコート、マイクロバーリバースコートや、スクリーン印刷(ロータリー方式)等、種々の方法によって行うことができる。
電解質層形成用塗工液に上述の光重合開始剤が含有されている場合には、この電解質層形成用工液を塗布した後に光重合開始剤を感光させることにより、電解質層35を形成することができる。
(II)注入法:
注入法は、液体状、ゲル状又は固体状の電解質層を形成するために用いられる方法であり、この方法で電解質層35を形成する際には、前述したスペーサを利用して、電極基板20と電極基板30とが所望の間隔に保持されたセルを予め形成しておくことが好ましい。電解質層形成用塗工液の注入は、例えば毛細管現象を利用して行うことができる。ゲル状又は固体状の電解質層35を形成する場合には、電解質層形成用塗工液を注入した後に例えば温度調整、紫外線照射、電子線照射等を行って、二次元又は三次元の架橋反応を生じさせる。
<実施例1>
まず、光電極基板を作製した。
透明基材として、厚さ1mmの無アルカリガラス基板を用意し、これに酸化インジウムスズ(ITO)を蒸着させて、ITOからなる層厚36nmの第1導電層を形成した。
次に、透明基材の第1導電層が形成された側の表面に、スパッタ法により白金からなる層厚14nmの第2導電層を設けた。
その後、C60フラーレン(フロンティアカーボン社製、商品名;ナノムパープル)を入れたアルミナるつぼを真空蒸着器内に設置し、このアルミナるつぼから20cm離れた上方に、第2導電層が設けられた側を下に向けた上記の透明基材を配置した。そして、2.5×10−6Torrの真空下で500℃に加熱し、蒸着速度を5Å/secとしてフラーレンを透明基板に蒸着して、C60フラーレンからなる膜厚3nmの第3導電層を形成した。
第3導電層まで形成された上記の透明基材に酸化インジウムスズ(ITO)を蒸着させて、ITOからなる層厚40nmの第4導電層を形成し、透明基材の片面に、第1導電層、第2導電層、第3導電層、及び、第4導電層がこの順に形成された透明電極を得た。この透明電極の表面抵抗値は、4.5Ω/□であった。
(耐久性の確認)
上記の透明電極まで形成した透明基材のヨウ素電解質に対する耐性を確認するために、まず、メトキシアセトニトリルを溶媒とするヨウ素電解質溶液を調製した。このヨウ素電解質溶液は、ヨウ化リチウムを0.1mol/l、ヨウ素を0.05mol/l、ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイドを0.3mol/l、ターシャリーブチルピリジンを0.5mol/lの割合でそれぞれ含有している。
次に、透明電極まで形成した前述の透明基材を上記のヨウ素電解質溶液に一昼夜浸漬してから、その表面抵抗値を測定した。その結果、ヨウ素電解質溶液に浸漬した後での表面抵抗値は、4.5Ω/□であり、浸漬前の抵抗値を維持していた。
(多孔質半導体電極形成工程)
まず、一次粒子径が15nmの酸化チタン(TiO )微粒子(昭和電工社製のF−6)と結着剤としてのポリエステル樹脂とを、水とポリプロピレングリコールモノメチルエーテルとの混液中にホモジナイザーを用いて溶解、分散させて、前記のTiO 微粒子を20.5質量%含有し、前記の結着剤を0.3質量%含有するスラリーを調製した。このスラリーは、多孔質半導体電極用塗工液に相当する。
次いで、上記のスラリーをドクターブレード法により前述の透明電極上に塗布し、その後に150℃で30分間乾燥して、膜厚12μmの多孔質半導体電極を形成した。
(色素担持工程)
増感色素としてのルテニウム錯体(小島化学株式会社製)をその濃度が3×10−4mol/lとなるようにエタノールに溶解させた色素担持用塗工液を用意し、上述の多孔質半導体電極まで形成した透明基材をこの色素担持用塗工液中に浸漬して、液温40℃の条件下で1時間放置した。次いで、前記の透明基材を色素担持用塗工液から引き上げ、各多孔質半導体電極に付着した色素担持用塗工液を風乾させた。これにより、各多孔質多孔質半導体電極に上記の色素が坦持された。
この後、平面視したときに前述した多孔質半導体電極が1cm×1cmの正方形となるようにトリミングして、図2に示した電極基板30と同様の構成を有する色素増感型太陽電池用電極基板(以下、「光電極基板」という。)を得た。
<実施例2>
次に、対極基板を作製した。
対極基板の作製において、実施例1に記載の光電極基板の作製に用いたのと同じ材料及び同様の方法を用いて、透明基材の片面に、第1導電層、第2導電層、及び、第3導電層をこの順に形成した。このとき、透明基材の厚さは1mmであり、第1導電層の層厚を150nm、第2導電層の層厚を500nm、第3導電層の層厚を10nmとして形成し、図1に示した電極基板20と同様の構成を有する色素増感型太陽電池用電極基板(以下、「対極基板」という。)を得た。
実施例1で作製した光電極基板と上記の対極基板とを厚さ20μmの熱融着フィルム(デュポン社製のサーリン(商品名)を用いて貼り合せ、光電極基板と対極基板との間隙に電解質層形成用塗工液を充填して、図3に示した色素増感型太陽電池50と同様の構成を有する色素増感型太陽電池を得た。
このとき、上記の熱融着フィルムは、光電極基板、対極基板それぞれの内縁部にのみ融着するように、その形状を予め矩形枠状に成形して用いた。また、電解質層形成用塗工液としては、メトキシアセトニトリルを溶媒とし、この溶媒にヨウ化リチウムを0.1mol/l、ヨウ素を0.05mol/l、ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイドを0.3mol/l、ターシャリーブチルピリジンを0.5mol/lの割合でそれぞれ溶解させたものを用いた。
得られた色素増感型太陽電池の性能を測定するにあたり、擬似太陽光(AM1.5、照射照度100mW/cm )を光源として用いたときの電流電圧特性を、ソースメジャーユニット(ケースレー2400型)により求めた。その結果、電池特性としての変換効率は5.5%、曲線因子は0.62であった。
<比較例1>
第3導電層を形成しない以外は実施例1と同様にして、透明基材の片面に第1導電層、第2導電層、及び、第4導電層からなる透明電極を形成した。このとき、第1導電層の層厚を36nm、第2導電層を14nm、第4導電層の層厚を40nmとした。そして、この透明電極が形成された透明基材のヨウ素電解質に対する耐性を実施例1と同条件の下に確認した。その結果、この透明電極が形成された透明基材を作製した直後の表面抵抗値が3.5Ω/□であったのに対し、ヨウ素電解質溶液に1ヶ月浸漬した後での表面抵抗値は、12.9Ω/□であった。
<比較例2>
第2導電層を形成しない以外は実施例1と同様にして、透明基材の片面に第1導電層、第3導電層、及び、第4導電層からなる透明電極を形成した。このとき、第1導電層の層厚を36nm、第3導電層を3nm、第4導電層の層厚を40nmとした。そして、この透明電極が形成された透明基材の表面抵抗値を測定したところ、38Ω/□という高抵抗値であった。
<比較例3>
第2導電層、第3導電層、及び、第4導電層を形成せず、第1導電層の層厚を180nmとした以外は実施例1と同様にして、透明基材の片面にITOからなる透明電極を形成した。そして、この透明基材のヨウ素電解質に対する耐性を実施例1と同条件の下に確認した。その結果、この透明電極が形成された透明基材を作製した直後の表面抵抗値が12Ω/□であったのに対し、ヨウ素電解質溶液に1ヶ月浸漬した後での表面抵抗値は、18Ω/□であった。
本発明の色素増感型太陽電池用電極基板の基本的な断面構造の一例を示す概略図である。 本発明の色素増感型太陽電池用電極基板の基本的な断面構造の他の一例を示す概略図である。 本発明の色素増感型太陽電池の基本的な断面構造の一例を示す概略図である。 従来の色素増感型太陽電池の断面構造を示す概略図である。
符号の説明
1 透明基材
2 第1導電層
3 第2導電層
4 第3導電層
5 第4導電層
6 多孔質半導体電極
7 色素
10 透明電極
20 色素増感型太陽電池用電極基板
30 色素増感型太陽電池用電極基板
35 電解質層
50 色素増感型太陽電池

Claims (7)

  1. 透明基材と、該透明基材の片面に形成された透明電極とを有する色素増感型太陽電池用電極基板であって、
    前記透明電極が、透明基材の上に形成された金属酸化物製の透明な第1導電層、該第1導電層の上に形成された金属製の第2導電層、及び、該第2導電層の上に形成されたカーボン製の第3導電層を有することを特徴とする色素増感型太陽電池用電極基板。
  2. 前記第3導電層が、フラーレン、フラーレン誘導体及びカーボンナノチューブからなる群から選ばれる1種又は2種以上のカーボンで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の色素増感型太陽電池用電極基板。
  3. 前記第2導電層が、白金、金又はニッケルで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の色素増感型太陽電池用電極基板。
  4. 前記透明電極が、更に前記第3導電層上に形成された金属酸化物製の透明な第4導電層を有し、
    前記透明電極上に、多数の半導体微粒子を用いて多孔質半導体電極が形成され、該多孔質半導体電極を形成している半導体微粒子の表面に色素が担持されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池用電極基板。
  5. 表面に色素が担持された半導体微粒子からなる多孔質半導体電極を有する光電極基板と、該光電極基板に対向して配置された対極基板と、前記光電極基板と前記対極基板との間に介在する電解質層とを備えた色素増感型太陽電池であって、
    前記光電極基板が請求項4に記載の色素増感型太陽電池用電極基板であることを特徴とする色素増感型太陽電池。
  6. 表面に色素が担持された半導体微粒子からなる多孔質半導体電極を有する光電極基板と、該光電極基板に対向して配置された対極基板と、前記光電極基板と前記対極基板との間に介在する電解質層とを備えた色素増感型太陽電池であって、
    前記対極基板が請求項1〜3のいずれか1項に記載の色素増感型太陽電池用電極基板であることを特徴とする色素増感型太陽電池。
  7. 前記光電極基板が、請求項4に記載の色素増感型太陽電池用電極基板であることを特徴とする請求項6に記載の色素増感型太陽電池。
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