JP4050535B2 - 色素増感型太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、色素増感型太陽電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
色素増感型太陽電池としては、例えば特開平1−220380号公報に記載されているものが知られている。すなわち、金属酸化物の微粒子からなる透明半導体層の表面に色素を担持させたものから構成された電極(酸化物電極)と、この電極に対向する透明電極と、2つの電極間に介在される液状のキャリア移動層とを備える太陽電池である。このような太陽電池は、キャリア移動層が液状であるため、湿式方式の色素増感型太陽電池と呼ばれる。
【0003】
前述したような色素増感型太陽電池は、以下の過程を経て動作する。すなわち、透明電極側より入射した光は、透明半導体層表面に担持された色素に到達し、この色素を励起する。励起した色素は、速やかに透明半導体層へ電子を渡す。一方、電子を失うことによって正に帯電した色素は、キャリア移動層から拡散してきたイオンから電子を受け取ることによって電気的に中和される。電子を渡したイオンは透明電極に拡散して、電子を受け取る。この酸化物電極とこれに対向する透明電極とを、それぞれ負極および正極とすることにより、湿式色素増感型太陽電池が作動する。
【0004】
こうした太陽電池は、民生用用途を考えると軽量かつ破損しにくいことが要求され、太陽電池の基板をガラスからプラスチックへ変更することが要求される。
【0005】
しかしながら、プラスチック基板に酸化物電極を担持させることができなかったため、基板をガラスからプラスチックへ変更することは実現不可能であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透明なプラスチック板からなる透光性基板上の透明導電層にn型半導体電極を担持させることができ、かつ実用的なエネルギー変換効率が得られる色素増感型太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透明なプラスチック板からなる透光性基板と、
前記透光性基板に形成される透明導電層と、
前記透明導電層に担持されると共に、酸化チタン粒子とF含有量が40〜85重量%のフッ素ポリマーを含有する結着剤とを含むn型半導体電極と、
前記n型半導体電極の表面に吸着される色素と、
対向電極と
を具備する色素増感型太陽電池の製造方法であって、
前記n型半導体電極は、
前記酸化チタン粒子及び前記結着剤を含む混合物を前記透光性基板上の前記透明導電層にプレスにより担持させる工程により作製されることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る色素増感型太陽電池は、第1の透光性基板と、
前記第1の透光性基板に形成される透明導電層と、
前記透明導電層に担持されると共に、酸化チタン粒子とF含有量が40〜85重量%のフッ素ポリマーを含有する結着剤とを含むn型半導体電極と、
前記n型半導体電極の表面に吸着される色素と、
対向電極と、
電解質組成物と
を具備する。
【0009】
以下、n型半導体電極、色素、対向電極および電解質組成物について説明する。
【0010】
1)n型半導体電極
n型半導体電極は、第1の透光性基板上に形成された透明導電層に担持される。このn型半導体電極は、酸化チタン(例えば、TiO2)粒子を含むn型半導体粒子と、F含有量が40〜85重量%のフッ素ポリマーを含有する結着剤とを含む。
【0011】
n型半導体電極には、n型半導体粒子として酸化チタン粒子のみを用いても良いが、他のn型半導体粒子を併用しても良い。他のn型半導体粒子としては、可視光領域の吸収が少ない透明な半導体粒子であれば、特に限定されないが、例えば、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、亜鉛、インジウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデンあるいはタングステンなどの遷移金属の酸化物、SrTiO3、CaTiO3、BaTiO3、MgTiO3、SrNb2O6のようなペロブスカイト、あるいはこれらの複合酸化物または酸化物混合物、およびGaNなどを挙げることができる。
【0012】
n型半導体粒子の平均粒径は、特に限定されないが、5〜500nmの範囲内が望ましい。平均粒径を5nm未満にすると、比表面積は増大するものの、色素が吸着可能な有効表面積が減少するため、エネルギー変換効率が低下する恐れがある。一方、平均粒径が500nmを超えると、比表面積が低下してエネルギー変換効率が低くなる恐れがある。エネルギー変換効率をさらに向上させる観点から、平均粒径は、5〜100nmの範囲内にすることがより好ましい。また、平均粒径の違うn型半導体粒子を混合し、用いると充填密度が増加し、有効表面積が増加するとともに、n型半導体電極の内部で粒径の大きな粒子の表面で入射した光が乱反射し、色素に効率よく光を注入することができるため、さらに高効率化できる。なお、n型半導体粒子の平均粒径は、BET法により測定することができる。
【0013】
フッ素ポリマーのF含有量は、40〜85重量%の範囲内にすることが望ましい。これは以下に説明する理由によるものである。F含有量が40重量%未満であるフッ素ポリマーは、太陽光の入射により活性化された酸化チタンによって容易に分解される。その結果、半導体粒子間の結合強度が著しく低下するため、太陽電池のエネルギー変換効率が低くなる。一方、F含有量が85重量%を超えるポリマーは、分子量が小さいために揮発しやすく、フッ化水素のような分解性生成物により太陽電池のエネルギー変換効率が著しく損なわれる。F含有量のさらに好ましい範囲は、45〜80重量%である。
【0014】
F含有量が40〜85重量%のフッ素ポリマーとしては、基本骨格にフッ化炭素が含まれるものが好ましい。具体的には、F含有量が約60重量%のポリフッ化ビニリデン、F含有量が約76重量%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、F含有量が76重量%のフッ化エチレンポリプロピレンコポリマー(FEP)、F含有量が75重量%のテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(PFA)、F含有量が49重量%のポリクロロテトラフルオロエチレンコポリマー(PCF)等を挙げることができる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンが、酸化チタンに対する耐分解性が最も高いため、好ましい。
【0015】
電極中で使用するフッ素ポリマーの種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
【0016】
フッ素ポリマーの分子量(重量平均)は、200〜50,000,000の範囲内が望ましい。これは、以下に説明するような理由によるものである。フッ素ポリマーの分子量を200未満にすると、フッ素ポリマーの酸化チタンによる分解反応を十分に抑制することが困難になる。一方、フッ素ポリマーの分子量が50,000,000を超えると、n型半導体粒子の表面が結着剤で被覆されて色素の吸着が阻害されるため、n型半導体電極の色素吸着量が不足して高いエネルギー変換効率を得られない恐れがある。分子量のさらに好ましい範囲は、2000〜40,000,000である。
【0017】
フッ素ポリマーの形状は、線状、粒子状などどのような形状でも用いることができるが、n型半導体粒子に対して結着剤を均一に分散させるためには線状または微粒子が望ましい。
【0018】
n型半導体電極中の結着剤の含有量は、0.01〜50重量%の範囲内にすることが望ましい。結着剤の含有量を0.01重量%未満にすると、透光性基板上の透明導電層にn型半導体電極を保持させることが困難になって高いエネルギー変換効率を得られなくなる。一方、結着剤の含有量が50重量%を超えると、色素の吸着が可能な表面が減少したり、あるいはn型半導体電極の透明性が低下するため、高いエネルギー変換効率を得られない恐れがある。結着剤の含有量のさらに好ましい範囲は、0.1〜10重量%である。
【0019】
第1の透光性基板としては、例えば、ガラス、透明プラスチックなどを用いることができる。中でも、透明プラスチック板を用いるのは、太陽電池の軽量化を図ることができるため、好ましい。透明プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリル基板、ポリイミド、フッ素化ポリイミド等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネートが望ましい。
【0020】
第1の透光性基板に形成される透明導電層としては、可視光領域の吸収が少なく、かつ導電性を有するものが好ましい。かかる透明導電層は、例えば、ITO(indium tin oxide)、SnO2、フッ素ドープしたSnO2、フッ素あるいはインジウムなどがドープされた酸化亜鉛などから形成することができる。特に、透光性基板としてプラスチック板を用いる際には、低温での膜形成が可能なITOが望ましい。また、伝導性を向上させて抵抗の上昇を防ぐ観点から、透明導電層と併用して低抵抗な金属またはカーボンのマトリクスを配線することが望ましい。
【0021】
n型半導体電極は、例えば、以下に説明する方法で作製される。
【0022】
まず、酸化チタン粒子を含むn型半導体粒子と、F含有量が40〜85重量%のフッ素ポリマーを含む結着剤とをミキサーやロールなどの分散器を用いて混合する。混合時に、有機溶剤や水などを用いて粒子と結着剤を分散させても良い。また、フッ素ポリマーディスパージョンの溶液にn型半導体粒子を導入し、n型半導体に均一にフッ素ポリマーを分散する方法を用いても良い。得られた混合物は、ペースト状であることが望ましい。このペーストを、透光性基板上の透明導電層に形成する。形成法は特に限定されないがロールまたはプレスを利用する方法が望ましい。ペーストを軟化させ形成を容易にするためにロール、プレスを昇温して用いても良い。
【0023】
2)色素
n型半導体電極の表面の少なくとも一部には、色素が吸着されている。
【0024】
色素としては、例えば、ルテニウム−トリス型の遷移金属錯体、ルテニウム−ビス型の遷移金属錯体、オスミウム−トリス型の遷移金属錯体、オスミウム−ビス型の遷移金属錯体、ルテニウム−シス−ジアクア−ビピリジル錯体、フタロシアニン、およびポルフィリン等を挙げることができる。
【0025】
3)対向電極
この対向電極は、第2の透光性基板上に形成される。
【0026】
対向電極は、可視光領域の吸収が少なく、かつ導電性を有する透明導電膜から形成されることが好ましい。透明導電膜には、酸化スズ膜、フッ素がドープされた酸化スズ膜、酸化亜鉛膜などを用いることが好ましい。
【0027】
第2の透光性基板としては、例えば、ガラスを用いることができる。第2の透光性基板には、白金、金、および銀のような金属またはカーボンが付着していることが望ましい。白金は、電気化学的またはスパッタリングなどにより基板に付着させることができる。中でも、白金、カーボンが望ましい。電解質組成物に対する耐久性を考慮すると、白金が特に好ましい。白金は、電気化学的またはスパッタリングなどにより基板に付着させることができる。
【0028】
4)電解質組成物
電解質組成物の形態は、液体状またはゲル状にすることができる。
【0029】
電解質組成物は、可逆的な酸化還元対を含むことが好ましい。可逆的な酸化還元対は、例えば、ヨウ素(I2)とヨウ化物との混合物、ヨウ化物、臭化物、ハイドロキノン、およびTCNQ錯体等から供給することができる。特に、ヨウ素とヨウ化物との混合物から供給されるI-とI3 -とからなる酸化還元対が好ましい。
【0030】
電解質組成物中のヨウ素の含有量は0.01mol/L以上、3mol/L以下の範囲内にすることが望ましい。ヨウ素は、電解質組成物中で、ヨウ化物と混合して可逆的な酸化還元対として作用する。したがって、ヨウ素の含有量が0.01mol/L未満の場合には、酸化還元対の酸化体が不足し電荷を輸送することが困難になる恐れがある。一方、3mol/Lを越えると、溶液の光吸収が増大し、チタニアに効率よく光を与えることができないおそれがある。なお、ヨウ素の含有量は、0.03mol/L以上、1mol/L以下の範囲内であることがより好ましい。
【0031】
上述したような酸化還元対は、後述する色素の酸化電位よりも0.1〜0.6V小さい酸化還元電位を示すことが望ましい。色素の酸化電位よりも0.1〜0.6V小さい酸化還元電位を示す酸化還元対は、例えば、I-のような還元種が、酸化された色素から正孔を受け取ることができる。こうした酸化還元対が電解質中に含有されることによって、n型半導体電極と対向電極との間の電荷輸送の速度を速くすることができるとともに、開放端電圧を高くすることができる。
【0032】
電解質組成物中は、さらにヨウ化物が含有される。ヨウ化物としては、例えば、アルカリ金属のヨウ化物、有機化合物のヨウ化物、およびヨウ化物の溶融塩等が挙げられる。
【0033】
ヨウ化物の溶融塩としては、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、第4級アンモニウム塩、ピロリジニウム塩、ピラゾリジウム塩、イソチアゾリジニウム塩、およびイソオキサゾリジニウム塩等の複素環含窒素化合物のヨウ化物を使用することができる。
【0034】
前記ヨウ化物の溶融塩としては、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソペンチルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−イソヘキシル(分岐)イミダゾリウムアイオダイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムアイオダイド、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾールアイオダイド、1−エチル−3−イソプロピルイミダゾリウムアイオダイド、1−プロピル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、およびピロリジニウムアイオダイド等を挙げることができる。こうしたヨウ化物の溶融塩は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、その含有量は、電解液中0.005mol/L以上、7mol/L以下の範囲内であることが好ましい。0.005mol/L未満の場合には、効果を十分に得ることが困難となる。一方、7mol/Lを越えると、粘度が高くイオン伝導性が著しく低下するおそれがある。
【0035】
電解質組成物は、さらに有機溶媒を含有することが望ましい。有機溶媒を含有することによって、電解質組成物の粘度をよりいっそう低下させることができるため、電解質組成物のn型半導体電極への浸透速度を向上することができる。
【0036】
有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)などの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、およびジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、プロピオン酸メチル、およびプロピオン酸エチルなどが挙げられる。さらに、テトラヒドロフラン、および2一メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;ジメトキシエタン、およびジエトキシエタンなどの鎖状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、グルタロニトリル、およびメトキシプロピオニトリルなどのニトリル系溶剤などが挙げられる。こうした有機溶媒は、単独であるいは2種以上の混合物として用いることができる。
【0037】
電解質組成物中の有機溶媒の含有量は、30重量%以下にすることが好ましい。有機溶媒の含有量が30重量%を越えると、揮発による性能劣化のおそれがあるからである。
【0038】
以上説明した本発明に係る色素増感型太陽電池は、透光性基板と、前記透光性基板に形成される透明導電層と、前記透明導電層に担持されると共に、酸化チタン粒子とF含有量が40〜85重量%のフッ素ポリマーを含有する結着剤とを含むn型半導体電極とを具備する。
【0039】
n型半導体電極の作製方法としては、ガラス基板上の透明導電層にn型半導体粒子を含むペーストを塗布し、これを400〜500℃の高温で焼成することにより、ガラス基板上の透明導電層にn型半導体電極に形成する方法が知られている。この方法によると、ガラス基板上の透明導電層とn型半導体電極との間に強固な共有結合を形成することが可能であるものの、透光性基板が、耐熱性の高いガラス基板に限られるため、太陽電池の軽量化を図ることが困難であった。
【0040】
本発明者らは、F含有量が40〜85重量%のフッ素ポリマーを含む結着剤が、太陽光の入射で活性された酸化チタンによる分解反応が起こり難く、透光性基板上の透明導電層にn型半導体粒子を強固に保持させることが可能であることを見出した。その結果、400〜500℃という高温での焼成工程を行う必要がなくなったため、透光性基板として透明なプラスチック基板を用いることが可能になり、実用的なエネルギー変換効率を確保しつつ、太陽電池の軽量化を図ることができる。
【0041】
また、透光性基板としてガラス基板を用いる際には、F含有量が40〜85重量%のフッ素ポリマーを含む結着剤を用いて作製したn型半導体電極を400〜500℃の高温で焼成することにより、ガラス基板上の透明導電層とn型半導体電極との間の結合強度をさらに高めることが可能である。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0043】
図1は、実施例1の色素増感型太陽電池の製造工程を示す模式図で、図2は、実施例1の色素増感型太陽電池を示す断面図である。
【0044】
(実施例1)
平均粒径が30nmのTiO2粒子(日本アエロジル社製で、商品名がP25)を100gに、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子を1g(0.99重量%)添加し、乳鉢上で均一に分散した。得られた混合物をロールで50μmのシート状に成型した。
【0045】
一方、室温にて、透光性基板としてのポリカーボネート板1にスパッタリングによりITO膜2を形成した。ポリカーボネート板1上のITO膜2に前述したシートを配置し、これらをロールに通すことにより、ポリカーボネート板1上のITO膜2にn型半導体電極4を形成した。形成されたn型半導体電極4の厚さは、約10μmであった。
【0046】
一方、シス−ビス(チオシアナト)−N,N−ビス(2,2’−ジピリジル−4,4’−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)二水和物)を乾燥エタノールに溶解して、3×10-4Mの乾燥エタノール溶液を調製した。前述のn型半導体電極付きの基板を、この溶液に12時間浸漬した後、アルゴン気流中で引き上げた。これによって、n型半導体電極4の表面には、色素であるルテニウム錯体が担持された。
【0047】
また、フッ素ドープ酸化スズ対向電極5付ガラス基板(第2の透光性基板)6上に表面に白金を付着させた。前述のn型半導体電極4が作製された基板1上に、直径15μmのスペーサーを介してこの対向電極5を設置した。さらに、電解質組成物の注入口を残して、周囲をエポキシ系樹脂7で固めて固定した。
【0048】
以上の操作によって、図1(a)に示すような光電変換素子ユニットが得られた。
【0049】
電解質組成物は、次のようにして調製した。アセトニトリル100mL中に、リチウムアイオダイド0.5mol/L、メチルヘキシルイミダソリウムアイオダイド0.3mol/L、t−ブチルピリジン0.5mol/L、および、ヨウ素0.05mol/Lを溶解させ、電解質組成物を得た。
【0050】
次いで、図1(b)に示すように、光電変換素子ユニットの開口部に注入口8から電解質組成物9を注入した。電解質組成物9は、図1(c)に示されるように、n型半導体電極4に浸透するとともに、n型半導体電極4と対向電極5との間にも注入された。
【0051】
引き続き、図1(d)に示すように、光電変換ユニットの開口部をエポキシ樹脂10で封口した後、室温で12時間反応させることにより、光電変換素子、すなわち色素増感型太陽電池を製造した。得られた太陽電池の断面図を図2に示す。
【0052】
図2に示されるように、第1の透光性基板1上には、透明導電膜2を介して透明なn型半導体電極4が形成されている。このn型半導体電極4は、n型半導体粒子3を含むため、多孔質構造を有する。また、n型半導体電極4の表面の少なくとも一部には色素が単分子吸着しており、その表面は、樹脂状構造のように自己相似性を有したフラクタル形状とすることが可能である。一方、対向電極5は、第2の透光性基板6上に形成されている。第1の透光性基板1のn型半導体電極4と、第2の透光性基板6の対向電極5は、間隔を開けて対向している。電解質組成物9は、n型半導体電極4中の細孔に保持されるとともに、n型半導体電極4と対向電極5との間に介在される。
【0053】
このような色素増感型太陽電池において第1の透光性基板1側から光11が入射されると、まず、n型半導体電極4の表面に吸着されている色素が、入射光11を吸収して励起される。励起した色素が、n型半導体電極4へ電子を渡すとともに、電解質組成物9にホールを渡すことによって光電変換が行なわれる。
【0054】
(実施例2)
n型半導体電極中のフッ素ポリマー含有量を0.5g(0.5重量%)に変更すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様の手法により色素増感型太陽電池を製造した。
【0055】
(実施例3)
n型半導体電極中のフッ素ポリマー含有量を5g(4.8重量%)に変更すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様の手法により色素増感型太陽電池を製造した。
【0056】
(実施例4)
平均粒径が30nmのTiO2粒子(日本アエロジル社製で、商品名がP25)を100gに、デュポン社製のPTFEディスパーション(樹脂分60重量%、分散液、水)を1g(樹脂量0.6g、0.6重量%)を添加し、乳鉢上で均一に分散することにより、ペーストを調製した。得られたペーストをプレスで厚さが50μmのシート状に成型した。
【0057】
一方、透光性基板としてのポリカーボネート板に前述した実施例1で説明したのと同様にしてITO膜を形成した。ポリカーボネート板上のITO膜に前述したシートを配置し、これらをロールに通すことにより、ポリカーボネート板上のITO膜にn型半導体電極を形成した。
【0058】
このようなn型半導体電極を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様の手法により色素増感型太陽電池を製造した。
【0059】
(実施例5)
平均粒径が30nmのTiO2粒子(日本アエロジル社製で、商品名がP25)を100gに、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)粒子を1g添加し、乳鉢上で均一に分散した。得られた混合物をプレスで50μmのシート状に成型した。
【0060】
一方、前述した実施例1で説明したのと同様にして透光性基板としてのポリカーボネート板に化学蒸着法(CVD)によりITO膜を形成した。ポリカーボネート板上のITO膜に前述したシートを配置し、これらをロールに通すことにより、ポリカーボネート板上のITO膜にn型半導体電極を形成した。
【0061】
このようなn型半導体電極を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様の手法により色素増感型太陽電池を製造した。
【0062】
(実施例6)
n型半導体電極の結着剤としてテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(PFA)を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様の手法により色素増感型太陽電池を製造した。
【0063】
(実施例7)
n型半導体電極の結着剤としてフッ化エチレンポリプロピレンコポリマー(FEP)を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様の手法により色素増感型太陽電池を製造した。
【0064】
(実施例8)
n型半導体電極の結着剤としてポリクロロトリフルオロエチレン(PCF)を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様の手法により色素増感型太陽電池を製造した。
【0065】
(比較例1)
市販される色素増感型太陽電池用酸化チタンペースト(スイス、ソラロニクスSA社製、Nanoxide HT)をドクターブレード法により、ITO電極付ポリカーボネート基板上に厚さ10μmに製膜した。その後、基板の耐熱性を考慮して100℃でn型半導体電極を焼成した。こうして得られたn型半導体電極を用いること以外は、前述の実施例1と同様の手法により色素増感型太陽電池を製造した。
【0066】
(比較例2)
n型半導体電極の結着剤としてポリエチレンワックス(重量平均分子量3000)を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様の手法により色素増感型太陽電池を製造した。
【0067】
得られた実施例1〜8及び比較例1〜2の太陽電池について、100mW/cm2の擬似太陽光を照射した際のエネルギー変換効率を測定し、その結果を下記表1に示す。なお、表1には、各実施例で使用したフッ素ポリマーの種類、フッ素ポリマー中のF含有量(重量%)、n型半導体電極中のフッ素ポリマー含有量(重量%)を併記する。
【0068】
【表1】
【0069】
表1から明らかなように、F含有量が40〜85重量%のフッ素ポリマーを結着剤として用いる実施例1〜8の太陽電池は、F含有量が40重量%に満たないフッ素ポリマーを用いる比較例2の太陽電池に比較してエネルギー変換効率が高いことがわかる。また、太陽電池に擬似太陽光を100時間照射し耐久性を確認したところ、実施例1〜8の太陽電池のエネルギー変換効率はほとんど変化がなかったが、比較例2の太陽電池の出力は1/2に低下してしまった。
【0070】
一方、100℃の低温で焼結したn型半導体電極を備える比較例1の太陽電池は、電気を発生することができなかった。セル中のn型半導体電極を観察したところ、n型半導体電極に含まれるn型半導体粒子が基板から脱落してセル中に流出してしまっていた。
【0071】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、透明なプラスチック板からなる透光性基板上の透明導電層にn型半導体電極を担持させることができ、かつ実用的なエネルギー変換効率が得られる色素増感型太陽電池の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の色素増感型太陽電池の製造工程を示す模式図。
【図2】図2は、実施例1の色素増感型太陽電池を示す断面図。
【符号の説明】
1…第1の透光性基板、
2…透明導電層、
3…n型半導体粒子、
4…n型半導体電極、
5…対向電極、
6…第2の透光性基板、
9…電解質組成物。
Claims (3)
- 透明なプラスチック板からなる透光性基板と、
前記透光性基板に形成される透明導電層と、
前記透明導電層に担持されると共に、酸化チタン粒子とF含有量が40〜85重量%のフッ素ポリマーを含有する結着剤とを含むn型半導体電極と、
前記n型半導体電極の表面に吸着される色素と、
対向電極と
を具備する色素増感型太陽電池の製造方法であって、
前記n型半導体電極は、
前記酸化チタン粒子及び前記結着剤を含む混合物を前記透光性基板上の前記透明導電層にプレスにより担持させる工程により作製されることを特徴とする色素増感型太陽電池の製造方法。 - 前記色素増感型太陽電池は、有機溶媒を含む電解質組成物をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
- 前記混合物はシート状であることを特徴とする請求項1または2記載の色素増感型太陽電池の製造方法。
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