JP4953323B2 - グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子を含有する繊維及びそれを用いた寝具 - Google Patents

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Description

本発明は、グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子を含有する繊維及びそれを用いた寝具に関する。
波長3〜1000μm程度の遠赤外線は、物体の分子にエネルギー(C-C結合、C-O結合、C-H結合等に由来する振動)を与えて、物体を温める温熱効果を有することが知られている。さらに、遠赤外線は比較的物体の内部にまで浸透するために、物体表面を必要以上に加熱することなく物体内部の温度を上昇させることが可能である。従来から、このような遠赤外線の温熱効果を利用した、保温性に優れた繊維、衣服、寝具等の開発が行われている。遠赤外線の温熱効果は、遠赤外線を放射する特性を有する成分を繊維に配合することにより、得ることができる。
遠赤外線の放射特性を有する成分が配合された繊維に関する技術として、特開平3-51301号(特許文献1)は、30℃における遠赤外線放射率が平均65%以上である粒子(アルミナ、ジルコニア、マグネシア等)を含有した遠赤外線放射層を有する肌着を開示している。また特開平3-190990号(特許文献1)は、アルミナ、チタン及びプラチナからなる遠赤外線放射性粒子が配合されてなる合成繊維を開示している。しかし、これらの遠赤外線放射性粒子は十分に高い遠赤外線放射能を有しているとは言えず、さらに放射効率の良い遠赤外線放射性粒子が望まれている。
特開2002-161429号(特許文献2)は、アルミナ、シリカ、マグネシア、酸化カルシウム及び二酸化チタンから選択された一種以上の金属酸化物粒子、及びプラチナ粒子を分散混合させた紡糸原液を湿式紡糸して作製されるレーヨン系繊維を開示しており、前記粒子は脱落することなくしっかりと繊維に含有されるので、このレーヨン系繊維で作製した肌着を着用することにより血流量を増大させると記載している。しかし、上記の遠赤外線放射性粒子は遠赤外線の放射量が十分満足のゆくものではなく、さらなる保温効果の向上が望まれている。
特開2008-106392号(特許文献3)は、衝撃波で合成されたsp3ダイヤモンド構造及びsp2グラファイト構造を有する複合炭素粒子を繊維に混入又は付着させてなる、赤外線放射機能及び荷電粒子放出機能を有する機能性繊維を開示しており、前記機能性繊維は特に波長4〜10μmの間の放射特性が優れていると記載している。しかしながら、特開2008-106392号(特許文献3)は、複合炭素粒子として爆射法で得られた、いわゆる粗ダイヤモンドを使用し、その複合炭素粒子を2質量%以上混合しないと赤外線放射能及び荷電粒子浸透効果が十分得られないと記載しており、このため前記機能性繊維はsp2グラファイト構造の炭素に起因する着色の問題を有していた。
特開平3-51301号公報 特開2002-161429号公報 特開2008-106392号公報
従って、本発明の目的は、優れた遠赤外線放射効果を発揮する繊維及びそれを用いた寝具を安価に提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、爆射法で得られた粗ダイヤモンドを適度に精製して得られた、グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなるナノメーター大きさの粒子を含有させた繊維は、着色が問題にならない程度の添加量でも繊維の遠赤外線放射量が著しく増大することを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の繊維は、グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子を含有する繊維であって、前記粒子の比重が2.63〜3.38 g/cm3であることを特徴とする。
前記粒子の比重は2.75〜3.25 g/cm3であるのが好ましい。前記粒子のメジアン径は30〜250 nmであるのが好ましい。
前記繊維1 kgあたり、前記グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子を0.1 mg〜10 g含有するのが好ましい。前記繊維1 kgあたり、前記グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子を1 mg〜2 g含有するのが好ましい。
前記繊維は、さらにナノサイズダイヤモンドを含有するのが好ましい。
前記グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子、又は前記グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子及びナノサイズダイヤモンドは繊維に付着させてなるのが好ましい。
前記グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子、又は前記グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子及びナノサイズダイヤモンドは繊維に練り込んでなるのが好ましい。
本発明の寝具は、前記繊維を含有してなることを特徴とする。
本発明のグラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子を含有する繊維は、着色の問題がなく、優れた遠赤外線放射性能を有するので、寝具、防寒着、サポーター等の保温材に好適である。
[1] グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子を含有する繊維
本発明の繊維は、グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子(以下、「グラファイト-ダイヤモンド粒子」という。)が分散した液をスプレー、パディング、プリント、コーティング、浸漬等の方法で繊維に付着させて、常温又は加熱して乾燥させることによって得られる。繊維に付着させるときの分散液中のグラファイト-ダイヤモンド粒子の濃度は、特に限定されないが、10%以下であるのが好ましく、1%以下であるのがさらに好ましく、0.01%以下であるのが最も好ましい。グラファイト-ダイヤモンド粒子の分散液には、必要に応じて分散剤、バインダー、増粘剤等を加えても良いが、これらの物質は遠赤外線放射効果を妨げるので、できるだけ少なく添加するのが好ましい。バインダーとしては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アミノプラスト樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、洗濯耐久性の観点から、アクリル樹脂及びウレタン樹脂が好ましい。分散剤としては、ポリアクリル酸系のポリマーや、無機系の分散剤が使用できる。増粘剤としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が使用できる。
グラファイト-ダイヤモンド粒子を付着させる繊維としては、従来から使用されているものがいずれも使用可能である。例えば、木綿等のセルロース繊維、ナイロン(登録商標)、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維、ベンベルグ、レーヨン等の再生繊維、及び羊毛や絹等のタンパク質繊維が挙げられる。これらの繊維は、単独で用いても良いし、2種以上を混紡、混織、交撚、交編織等で混用しても良い。これらの繊維は、フィラメント、ステーブル、編み物、織物、不織布、縫製品等の任意の形態で使用することができる。
グラファイト-ダイヤモンド粒子は、紡糸する前の紡糸原液中にこれらの分散物又は粉末を混合した後に、常法に従いこの原液を紡糸することによっても繊維に含有させることができる。使用できる高分子材料としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル、エポキシ樹脂等の熱可塑性樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂、天然ゴム、合成ゴム等のゴム、レーヨン等の再生樹脂等が挙げられる。
本発明の繊維は、分散物を付着させる方法又は紡糸原液中に混合する方法により作製することができる。分散液を付着させる方法は、どのような繊維に対しても広く適用できる。
グラファイト-ダイヤモンド粒子の使用量は、遠赤外線放射効果が十分に得られれば特に限定されない。遠赤外線放射効果が十分に得られる量は、繊維1 kgあたり0.1 mg以上であり、好ましくは1 mg以上であり、さらに好ましくは10 mg以上であり、最も好ましくは50 mg以上である。グラファイト-ダイヤモンド粒子は過剰に添加しても特に遠赤外線放射性能を悪化させないので、これらの添加量の上限は特に限定されないが、経済性及び着色の観点からグラファイト-ダイヤモンド粒子の添加量は繊維1 kgあたり100 g以下、好ましくは10 g以下、さらに好ましくは2 g以下、最も好ましくは1 g以下である。特に繊維に混練して用いる場合は、繊維1 kgあたり100 gを越えて添加して用いると混練性、成形性、押出し特性、繊維の強度等が悪化してしまう。
グラファイト-ダイヤモンド粒子にナノサイズダイヤモンドの粒子を添加しても良い。ナノサイズダイヤモンドは、特に精製度の低いグラファイト-ダイヤモンド粒子と混合して用いることで、グラファイト-ダイヤモンド粒子に起因する着色等の問題を回避し、高い遠赤外線放射効果を発揮することができる。混合粒子の平均比重は、好ましくは2.75〜3.25 g/cm3であるのが好ましい。ナノサイズダイヤモンドの添加量は特に制限はないが、グラファイト-ダイヤモンド粒子の添加量に対して0〜100容量%であるのが好ましく、0〜50容量%であるのがさらに好ましく、0〜10容量%であるのが最も好ましい。ナノサイズダイヤモンドはグラファイト-ダイヤモンド粒子と同様に高い遠赤外線放射効果を発揮するが、コストを考慮するとグラファイト-ダイヤモンド粒子の比率を高くして用いるのが好ましい。
グラファイト-ダイヤモンド粒子及びナノサイズダイヤモンド粒子以外に、遠赤外線放射効果を有する化合物として、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、マグネシア、酸化カルシウム、ジルコニア、酸化クロム、フェライト、スピネル、セリウム、バリウム、炭化ホウ素、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化モリブデン、炭化タングステン、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ジルコニウム、炭素、グラファイト、タングステン、プラチナ、モリブデン、バナジウム、タンタル、マンガン、ニッケル、酸化銅、酸化鉄等を適宜任意に配合することができる。これらの任意の成分の配合量は特に限定されないが、遠赤外線放射性粒子全量中、好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは2〜10重量%である。その粒径も特に限定されず任意に設定することができるが、通常の場合好ましくは0.1〜15μm、さらに好ましくは0.1〜5μm、最も好ましくは0.2〜1.5μmである。
グラファイト-ダイヤモンド粒子を含有させた繊維は、寝具(布団、シーツ等)等の保温剤として使用する以外に、衣料品(手袋、靴下、下着類、帽子、腹巻き、外套、靴の内張等)、インテリア製品(カーペット等)、電機製品及びその他の産業資材等に使用することができる。
[2] グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子、及びナノサイズダイヤモンド
(1) グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子
グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子(グラファイト-ダイヤモンド粒子)は、ダイヤモンドの表面をグラファイト系炭素が覆ったコア/シェル構造を有しており、グラファイト系炭素の表面には-COOH、-OH等の親水性官能基が多数存在し、水、アルコール、エチレングリコール等の-OH基を有する溶媒との親和性が極めて良好であり、これらの溶媒にすみやかに分散する。中でも水に対する分散性が最も良い。
グラファイト-ダイヤモンド粒子は、比重が2.63〜3.38 g/cm3である場合に高い遠赤外線放射効果を発揮する。グラファイト-ダイヤモンド粒子の比重は、好ましくは2.75〜3.25 g/cm3である。ダイヤモンドの比重を3.50 g/cm3、グラファイトの比重を2.25 g/cm3として、ダイヤモンドとグラファイトの割合を計算すると、比重2.63 g/cm3はダイヤモンド30容積%及びグラファイト70容積%の組成を有する粒子に相当し、比重3.38 g/cm3はダイヤモンド90容積%及びグラファイト10容積%の組成を有する粒子に相当する。同様に比重が2.75 g/cm3はダイヤモンド40容積%及びグラファイト60容積%の、比重3.25 g/cm3はダイヤモンド80容積%及びグラファイト20容積%の組成を有する粒子に相当する。なお比重2.87 g/cm3はダイヤモンド50容積%及びグラファイト50容積%の組成を有する粒子に相当する。比重が2.63 g/cm3未満であると、グラファイトが多くなるため凝集が多くなり繊維への付着が不十分となると共に、グラファイトに起因する着色が問題となる。比重が3.38 g/cm3を越えると、精製に時間がかかり過ぎるためコスト的に不利となる。
グラファイト-ダイヤモンド粒子は、メジアン径が30〜250 nmであると、繊維への付着が十分となり、遠赤外線放射効果も大きい。
(2) ナノサイズダイヤモンド
ナノサイズダイヤモンドは、前記グラファイト-ダイヤモンド粒子をさらに精製し、グラファイトを除去したものであり、比重が3.38〜3.45 g/cm3のものである。ナノサイズダイヤモンドの粒径は、一次粒子が4〜7 nm、二次粒子が30〜250 nmであるのが好ましい。
[3]製造方法
グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子(グラファイト-ダイヤモンド粒子)は、爆射法によって合成された粗ダイヤモンド(以下、「ブレンドダイヤモンド」又は「BD」とも云う)を精製することによって得られる。ナノサイズダイヤモンド[以下UDD(Ultra Dispersed Diamonds:超分散ダイヤモンド)と言うこともある。]は、前記粗ダイヤモンドをさらに精製することによって得られる。爆射法としては、Science,Vol.133,No.3467(1961), pp1821-1822、特開平1-234311号、特開平2-141414号、Bull. Soc. Chim.Fr.Vol.134(1997).pp875-890、Diamond and Related materials Vol.9(2000),pp861-865、Chemical Physics Letters,222(1994) pp343-346、Carbon,Vol.33, No.12(1995), pp1663-1671、Physics of the Solid State,Vol.42,No.8(2000),PP1575-1578、Carbon Vol.33, No.12(1995), pp1663-1671、K. Xu. Z. Jin, F. Wei and T. Jiang, Energetic Materials, 1,19(1993)(in Chinese)、特開昭63-303806号、特開昭56-26711号、英国特許第1154633号、特開平3-271109号、特表平6-505694号(WO93/13016号)、炭素,第22巻,No.2,189〜191頁(1984)、Van Thiei. M. & Rec., F. H., J. Appl. Phys. 62, pp. 1761〜1767(1987)、特表平7-505831号(WO94/18123号)及び米国特許第5861349号等に記載の方法を用いることができる。グラファイト-ダイヤモンド粒子は、爆射条件及びBDの精製度を調節することにより得られる。
(a) 爆射条件によるグラフアイトとダイヤモンドとの比率の制御
炭素原子をグラフアイト構造からダイヤモンド構造に変換するためには、高温及び高圧状態が必要である。爆薬の爆射は、反応系内に置かれた炭素原料をダイヤモンド構造に変換するのに必要な高圧及び高温状態を容易に発生させる。ダイヤモンド合成操作で、印加されていた圧力が瞬時に開放されたときに、熱(温度)が残存していると生成したダイヤモンド構造をグラフアイト構造に戻してしまう。反応系中の生成済みダイヤモンド構造がグラフアイト構造に戻る温度は、高圧が解除された場合、例えば典型的には常圧では約2000℃であるため、すみやかにこの温度以下に冷却する必要がある。
爆薬の爆射による衝撃波の伝播速度は通常0.8〜12 km/sec程度であるため、通常の厚さ及び大きさの反応系が高圧に維持される時間はたかだか10-5〜10-6secの短時間であり、極小反応単位が高圧に維持される時間は10-8〜10-9 secにすぎない。生成したダイヤモンド構造を保持するためには、反応系の密閉状態を瞬時に開放して、ダイヤモンド構造がグラフアイト構造に変換される温度(約2000℃)以下に急冷する必要があるが、このような短時間で精度良く温度を制御することは困難である。従って、爆射条件のみを制御して工業レベルでグラファイト系炭素とダイヤモンドの割合を適宜変えたグラファイト-ダイヤモンド粒子を製造することは困難である。
爆射後の反応容器内を急速に冷却しグラファイト量を調節する技術が、特表平7-505831号(WO94/18123号)に記載されている。特表平7-505831号(WO94/18123号)には、トリニトロトルエン(TNT)/シクロトリメチレントリニトロアミン(RDX)=60/40を爆薬として用いた場合の爆発温度(3500〜4000 K)から、爆発の後に生成物を7000度/分の程度の速度で350 Kまで冷した場合、炭素相は70〜80質量%の立方晶相(ダイヤモンド)を含んで生成し、反対に冷却速度が200度/分より低い場合、生成物は二酸化炭素と水蒸気と反応して完全にCOに変わってしまうと記載されている。つまり爆射による反応後の容器内のガスの冷却速度を調節することにより、ブレンドダイヤモンド中のグラファイトとダイヤモンドの組成比を制御することができる。冷却速度は、異なるガス放出条件を用い、爆発容積と爆発チャンバー容積を変えること、及び反応容器中の氷量又は水量を変えることによって調節することができる。
さらには、グラファイト-ダイヤモンド粒子のグラファイト系炭素とダイヤモンドの割合を制御する方法としては、特許公開2003-146637号に記載の方法で得られた最終工程の精製UDD(超分散ダイヤモンド)を部分的にグラファイトに変える方法がある。窒素などの不活性ガス下、酸素雰囲気下、又は真空下で、700〜1200℃で、1〜30分加熱することによって、ダイヤモンド表面を覆うグラファイト量を変えたグラファイト-ダイヤモンド粒子を得ることができる。
しかし特表平7-505831号(WO94/18123号)や特許公開2003-146637号に記載の方法は、原理的には可能であるが、工業レベルで行うには品質の安定性の確保が難しく、生産コストも高い。本発明はこれらの方法によってもグラファイト量の調節が可能であるが、これらの方法に限定されず、後述の爆射合成後のBD精製時にグラファイト量調節する方法が好ましい。
(b)精製条件によるグラフアイトとダイヤモンドの比率の制御
爆射法で得られたBDは、数10〜数100 nmの径を有するUDD(超分散ダイヤモンド)及び非グラフアイトからなり、1.7〜7 nm径の極小さなナノクラスター大きさのダイヤモンド単位(ナノメーター大きさのダイヤモンド)が強固に凝集した凝集体である。つまり最低4個、通常十数個〜数百個の、場合によっては数千個のナノメーター大きさのダイヤモンドの強固な凝集体である。BDは極少量の微小(1.5 nm以下)アモルファスダイヤモンド、グラフアイト及び非グラファイト炭素超微粒子を含有する。
BDの不純物は、(i)水溶性電解質(ionized)、(ii)ダイヤモンド表面に化学結合した加水分解性の基及びイオン性の物質(官能性表面基の塩等)、(iii)水不溶性の物質(表面に付着した不純物、不溶性塩、不溶性酸化物)、(iv)揮発性物質、(v)ダイヤモンド結晶格子中に包含されるか又はカプセル化された物質に分けることがでる。
前記(i)及び(ii)は、UDDの精製過程で形成されたものである。前記(i)の水溶性電解質は水洗により除去できるが、より効果的に除去するにはイオン交換樹脂で処理するのが好ましい。前記(iii)の水不溶性の不純物は、金属、金属酸化物、金属カーバイド、金属塩(硫酸塩、シリケート、カーボネート)のような分離したミクロ粒子、分離できない表面塩、表面金属酸化物等からなる。これらを除去するには、酸によって可溶性の形に変換するのが好ましい。前記(iv)の揮発性不純物は、通常0.01 Pa程度の真空中で、250〜400℃で熱処理することにより除去することができる。
本発明で用いるグラファイト-ダイヤモンド粒子は、必ずしも不純物を完全に除去する必要はないが、前記(i)〜(iii)の不純物を40〜95%除去するのが好ましい。グラファイトとダイヤモンドとの比率は、前記爆射法の条件を変更すること、及び/又はBDの精製条件を変更することによって調節することができる。
グラファイト-ダイヤモンド粒子の製造工程の一例を図1に模式的に示すが、これらの方法に限定されるものではない。この例におけるグラファイト-ダイヤモンド粒子の製造方法は、(A)爆薬の爆射により爆射式初期BDを製造する工程、(B)生成した初期BDを回収して酸化性分解により電気雷管等の混入金属、炭素等の夾雑物を分解する酸化性分解処理工程、(C)酸化性分解処理により精製したBDを酸化性エッチング処理して主にBD表面を被覆する硬質炭素を除去しグラファイト-ダイヤモンド粒子とする酸化性エッチング処理工程、(D)酸化性エッチング処理してなるグラファイト-ダイヤモンド粒子を含む硝酸水溶液に、それ自身揮発性の又はその分解反応生成物が揮発性の塩基性材料を加えて中和し、二次凝集体であるグラファイト-ダイヤモンド凝集体を一次粒子である個々のグラファイト-ダイヤモンド粒子にする中和反応工程、(E)中和反応工程を経て生成したグラファイト-ダイヤモンド粒子の反応懸濁液を水により充分にデカンテーションする傾斜工程、(F)傾斜工程を経たグラファイト-ダイヤモンド粒子懸濁液に硝酸を加え洗浄して静置し、得られたグラファイト-ダイヤモンド粒子を含む下層懸濁液を上層排液から抜き取る洗浄工程、(G)洗浄されたグラファイト-ダイヤモンド粒子懸濁液を遠心分離する工程、及び(H)遠心分離されたグラファイト-ダイヤモンド粒子分散液を所望pH及び所望濃度に調製する工程からなる。グラファイト-ダイヤモンド粒子の分散液は、通常4.0〜10.0のpH、好ましくは5.0〜8.0のpH、より好ましくは6.0〜7.5のpHを有する。
(A) 爆射式初期BD製造工程
水と多量の氷1を満たした純チタン製の耐圧容器2に、電気雷管6を装着した爆薬5[この例ではTNT(トリニトロトルエン)/HMX(シクロテトラメチレンテトラニトラミン)=50/50を使用]を胴内に収納せる片面プラグ付き鋼鉄製パイプ4を水平に沈め、この鋼鉄製パイプ4に鋼鉄製のヘルメット3を被覆して、爆薬5を爆裂させ、反応生成物としての初期BDを容器2中の水及び氷中から回収する。
(B) BD酸化性分解処理工程
回収した初期BDを55〜56質量%の濃HNO3と共に、例えば14気圧150〜180℃のオートクレーブ7中で、10〜30分間酸化性分解処理し、炭素系夾雑物、無機夾雑物、残存金属等の不純物を分解する。
(C) 酸化性エッチング処理工程
酸化性エッチング処理は、酸化性分解処理したBD表面を被覆する硬質炭素をできるだけ除去するため、一般に酸化性分解処理よりもさらに厳しい条件(例えば、18気圧、200〜240℃)で行う。このような条件で10〜30分処理すると、BD表面を被覆する硬質炭素、すなわちグラファイトを徹底的に除去することができる。本発明では、BD表面を被覆するグラファイトを徹底的に除去することが目的ではなく、残存グラファイト量を調節することが目的であるため、温度及び圧力の処理条件を緩和させて行う。例えば13気圧、120〜150℃、0.5〜3時間処理の条件で酸化性エッチング処理することで、硬質炭素を除去する速度を遅くして、非ダイヤモンド炭素(グラファイト)量を適宜調整したグラファイト-ダイヤモンド粒子を作製することができる。酸化性エッチング処理後の液は、通常pH2〜6.95の酸性である。
前記BD酸化性分解処理の条件(14気圧、150〜180℃、10〜30分)や、前記酸化性エッチング処理の条件(13気圧、120〜150℃、0.5〜3時間)は限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。酸化性エッチング処理の条件は、温度、圧力、時間の組み合わせによっては変わりうるので、特に限定されないが、12〜18気圧、120〜150℃、0.5〜3時間であるのが好ましい。
(D) 中和反応工程
中和反応工程は、従来法にない特徴的操作の1つである。酸化性エッチング処理をされたグラファイト-ダイヤモンド粒子を含む硝酸水溶液に、それ自身揮発性の又はその分解反応生成物が揮発性の塩基性物質を加えて中和反応させる。塩基性物質の添加により、被処理液はpHが2〜6.95から7.05〜12に上昇する。この中和反応は、凝集したグラファイト-ダイヤモンド粒子内にカチオン(アニオンより一般的にイオン半径が小さい)が浸透して、粒子内に残存する硝酸を攻撃することにより、小爆発を伴う激しい中和反応、分解反応、不純物脱離溶解反応、ガス生成反応及び表面官能基生成反応を生起し、その結果ガスの発生及び昇圧昇温によりグラファイト-ダイヤモンド凝集体を個々のグラファイト-ダイヤモンド粒子に解体する。この工程で、グラファイト-ダイヤモンド粒子の大きな比表面積及び孔部吸着空間が形成されるものと思われる。
塩基性材料としては、アンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、アリルアミン、アニリン、N,N-ジメチルアニリン、ジイソプロピルアミン、ジエチレントリアミンやテトラエチレンペンタミンのようなポリアルキレンポリアミン、2-エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ピペリジン、ホルムアミド、N,N-メチルホルムアミド、尿素等を挙げることができる。例えば、塩基性材料をしてアンモニアを使用した場合、硝酸と以下のような各種ガス発生反応が進行する。
HNO3 + NH3 → NH4NO3 → N2O + 2H2O N2O → N2 + (O) 3HNO3 + NH3→NH4NO2 + N2O3 + H2O + O2+ (O) NH4NO2 → N2 + 2H2O N2O3+ NH3 → 2N2 + 3H2O N2O3→ N2 + O2 + (O) NH4NO2 + 2NH3→2N2 + H2O + 3H2 H2 + (O)→ H2O HCl + NaOH → Na + Cl + H2O HCl + NH3→ NH4 + Cl NH4 →NH3+ H H2SO4 + 2NH3→N2O + SO2 + NO2
発生したN2、O2、N2O、H2O、H2、SO2ガスは系外に放出されるので、残存物による系に対する影響はほとんどなくなる。
(E) 傾斜工程
前記中和反応工程を経て生成されたグラファイト-ダイヤモンド粒子の反応懸濁液に水を加えてデカンテーションを必要回数(例えば3回以上)繰り返し行う。
(F) 洗浄工程
前記傾斜工程を経たグラファイト-ダイヤモンド粒子懸濁液に硝酸を加え撹拌(例えば、メカニカルマグネチックスターラーを使用)し洗浄して静置し、上層排液と下層懸濁液に分け、グラファイト-ダイヤモンド粒子を含む下層懸濁液を抜き取る。例えば、グラファイト-ダイヤモンド粒子含有液1 kgに対して水50 kg加えた場合、上層排液と下層懸濁液とは明瞭に層分離しないが、グラファイト-ダイヤモンド粒子を含む下層懸濁液の容量は、上層排液の容量のほぼ1/4程度である。
(G) 遠心分離工程
槽の底部から回収されたグラファイト-ダイヤモンド粒子懸濁液を、例えば20,000 rpmの超遠心分離機により遠心分離する。遠心分離により濃縮されたグラファイト-ダイヤモンド粒子分散液は、所望により(H)グラファイト-ダイヤモンド粒子分散液調製工程で濃度調整、又は(J)グラファイト-ダイヤモンド粒子微粉末作製工程で乾燥する。
(H)グラファイト-ダイヤモンド粒子分散液調製工程
遠心分離により濃縮されたグラファイト-ダイヤモンド粒子分散液を、水等の溶媒で希釈し濃度調節する。
(J)グラファイト-ダイヤモンド粒子微粉末作製工程
遠心分離により濃縮されたグラファイト-ダイヤモンド粒子分散液を乾燥し、グラファイト-ダイヤモンド粒子微粉末を作製する。
グラファイト-ダイヤモンド粒子分散液は、pH 4〜10、好ましくはpH5〜8、より好ましくはpH6〜7.5に調節する。液中に分散しているグラファイト-ダイヤモンド粒子は、ほとんどが2〜250 nmの粒径(数基準で80%以上、重量基準で70%以上が2〜250 nmの範囲にある)であって狭分散形である。分散液中のグラファイト-ダイヤモンド粒子濃度は0.05〜16%、好ましくは0.1〜12%、より好ましくは1〜5%である。
図1では便宜上、例えば(B)BD酸化性分解処理工程と(C)酸化性エッチング処理工程とを別の場所で別の容器で実行するかのように示されているが、これら各工程は、同一場所及び/又は同一容器で実行してもよい。(E)傾斜工程と(F)洗浄工程との場合も同様である。容器は耐圧容器を用いる。
[4] 物性測定方法
(1)遠赤外線放射特性の評価
遠赤外線放射特性は、FT-IR、放射照度計等の赤外線測定装置によって試料から放射される遠赤外線量を測定し、理想黒体(全波長の放射を完全に吸収する物体)に対してどの程度の遠赤外線が放出されているかで評価する。測定は室温で行っても良いが、遠赤外線を吸収するCO2やH2OによりS/N比が悪化するのを防ぐため、試料を40〜70℃に加熱して行うのが好ましい。高温で測定することによって遠赤外線の放射量が増加しS/N比が改良される。赤外線測定装置としては、例えばミネラッド社製SA-200赤外線放射計が挙げられる。
(2) 粒子の比重測定法
グラファイト-ダイヤモンド粒子、又はグラファイト-ダイヤモンド粒子及びナノダイヤモンド粒子の混合粒子の真比重は以下の操作により測定できる。
1.試料を比重ビンに入れ、蓋をした状態で秤量し重量を求める。
2.蒸留水を試料の少し上位まで入れ、煮沸法で気泡を完全に除去する。
3.25℃蒸留水を入れ、恒温槽(25℃)に10分間入れて、基線まで満たす。
4.恒温槽から比重ビンを取り出し、外側の水分を良く拭き取った後秤量し重量を測る。
5.比重ビンをよく洗浄し、25℃の蒸留水のみを入れ、恒温槽(25℃)に10分間入れて、基線まで満たし、4と同様に重量を測定する。
6.上記操作で得た値から以下の式(1)により真比重ρを求める。
ρ=[(W−P)・dw]/[(W1−P)−(W2−P)] ・・・(1)
(ここで、W:比重ビン+試料の重量、
W1:比重ビンに蒸留水のみを満たしたときの重量、
W2:比重ビンに試料と蒸留水を満たし、完全に気泡を満たした(空気を除いた)時の重量、
P:比重ビンの重量、及び
dw:測定時の温度における水の比重である。)
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1(グラファイト-ダイヤモンド粒子を付着させてなるポリエステル繊維)
(1)分散液1の作製
TNT(トリニトロトルエン)とRDX(シクロトリメチレントリニトロアミン)を60/40の比で含む0.65 kgの爆発物を3 m3の爆発チャンバー内で爆発させて生成するBDを保存するための雰囲気を形成した後、同様の条件で2回目の爆発を起こしBDを合成した。爆発生成物が膨張し熱平衡に達した後、15 mmの断面を有する超音速ラバルノズルを通して35秒間ガス混合物をチャンバーより流出させた。チャンバー壁との熱交換及びガスにより行われた仕事(断熱膨張及び気化)のため、生成物の冷却速度は280℃/分であった。サイクロンで捕獲した生成物(黒色の粉末、BD)の比重は2.55 g/cm3、メジアン径(動的光散乱)は220 nmであった。このBDは比重から計算して、76容積%のグラファイト系炭素と24容積%のダイヤモンドからなっていると推定された。
このBDを60質量%硝酸水溶液と混合し、(B)酸化性分解処理を160℃、14気圧、20分の条件で行った後、(C)酸化性エッチング処理を130℃、13気圧、1時間で行った。酸化性エッチング処理により、BDからグラファイトが一部除去され、グラファイト-ダイヤモンド粒子となった。以下(D)中和[アンモニアを使用し、210℃、20気圧、20分還流した。]、(E)傾斜による分離、(F)洗浄[35質量%硝酸で洗浄]、(G)遠心分離、(H)グラファイト-ダイヤモンド粒子分散液調整し、0.5質量%の濃度のグラファイト-ダイヤモンド粒子の分散液を得た。
(2)分散液2〜8の作製
酸化性エッチング処理の条件のみを表1に示すように変更し、その他の処理は実施例1と同様にして、グラファイト-ダイヤモンド粒子の分散液(分散液2〜7)及びナノサイズダイヤモンド粒子の分散液(分散液8)を作製した。分散液6は酸化性エッチング処理を行わなかった。
分散液1〜8の酸化性エッチング処理条件、粒子の比重、ダイヤモンド率、メジアン径(HORIBA LB-500を用いて動的光散乱法により測定)を表1に示す。
Figure 0004953323
注(1):比重から計算したダイヤモンドの容量%
(3)繊維101〜104
分散液3を水で希釈して、表2に示すように0.00025〜0.25質量%の希釈分散液を作製し、この希釈分散液20 mLを50 gのポリエステル綿(単糸繊度1.7 dtexの繊維)にスプレー法で均一に付着させ、自然乾燥し繊維101〜104を作製した。さらに、分散液の代わりに水20 mLを同様にして吹き付けた繊維105を作製した。
乾燥後の繊維101〜105をホルダー(5 cm×5 cm)にセットし、測定面と反対側からドライヤーで加熱して表面温度65℃(±1℃)に保ち、測定面から放出される遠赤外線量をミネラッド社製SA-200赤外線放射計で測定した。得られた遠赤外線量から、波長3〜15μmにおける放射率(理想黒体の放射量を1.0としたときの相対強度)を求めた。また繊維の着色を目視により以下の判断基準により評価した。
着色が全く気にならないもの・・・◎
着色が少しあるが実用上問題のないもの・・・○
着色があり実用的に問題となるもの・・・×
結果を表2に示す。繊維101〜105の遠赤外線放射輝度(遠赤外線放射量)をそれぞれ図2〜6に示す。図2は、理想黒体の放射(点線)と繊維101の測定データ(実線)との重ね書きであり、理想黒体の値により近い方が遠赤外線の放射量が多い。他の図についても同様である。ただし試料の遠赤外線放射輝度は理想黒体の値を超えることはない。
Figure 0004953323
注(1):波長3〜15μmにおける理想黒体に対する相対放射量。
表2の結果から、グラファイト-ダイヤモンド粒子を付着させた繊維は遠赤外線放射率が著しく高いことが分かる。またこれらの添加量では、繊維の着色は全く問題にならないレベルであった。
(4)繊維111〜119の作製
分散液1〜8をそれぞれ水で希釈し、0.025質量%の希釈分散液を作製した。この分散液20 mLを50 gのポリエステル綿にスプレー法で均一に付着させ、自然乾燥し繊維111〜118を作製した。さらに、分散液の代わりに水を同様にして吹き付けた繊維119を作製した。繊維101〜105の場合と同様にして、得られた繊維の遠赤外線放射率の測定及び着色の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0004953323
注(1):波長3〜15μmにおける理想黒体に対する相対放射量。
表3から本発明の繊維であるグラファイト-ダイヤモンド粒子を付着させたポリエステル綿(繊維111〜115)は、何も付着させていない試料(繊維119)に比べて、遠赤外線放射率が著しく高く、非常に優れた放射効果を示すことが分かった。また、精製度の低いグラファイト-ダイヤモンド粒子を付着させたポリエステル綿(繊維116及び117)及びナノサイズダイヤモンドを付着させたポリエステル綿(繊維118)は、何も付着させていない試料(繊維119)よりも多少の遠赤外線放射率の向上が見られたが、本発明の繊維111〜115には及ばなかった。特に比重が2.75〜3.25 g/cm3であるグラファイト-ダイヤモンド粒子を付着させた繊維112〜114は非常に優れた遠赤外線放射効果を発揮した。また、BDを付着させた繊維116は実用的に問題となるレベルの着色があったが、グラファイト-ダイヤモンド粒子を付着させた本発明の繊維111〜115は、着色が全く問題にならないレベルであった。
(4) 分散液9〜11の作製
分散液1(グラファイト-ダイヤモンド粒子分散液)及び分散液8(ナノサイズダイヤモンド分散液)を、表4に示す比(容量比)で混合した分散液9〜11を作製した。
Figure 0004953323
注(1):比重から計算したダイヤモンドの容量%
(5)繊維121〜123
分散液9〜11を用いた以外、繊維111と同様にして繊維121〜123を作製した。繊維101〜105の場合と同様にして、得られた繊維の遠赤外線放射率の測定及び着色の評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 0004953323
注(1):波長3〜15μmにおける理想黒体に対する相対放射量。
表5の結果から、グラファイト-ダイヤモンド粒子にナノサイズダイヤモンドを添加してなる分散液を付着させた繊維は、グラファイト-ダイヤモンド粒子のみを付着させた繊維と同様、遠赤外線放射率が高いことが分かる。またこれらの繊維の着色は全く問題にならないレベルであった。
実施例2(グラファイト-ダイヤモンド粉末を混練してなるポリエステル繊維)
(1) グラファイト-ダイヤモンド粉末の作製
実施例1で作製したグラファイト-ダイヤモンド分散液(分散液3)を遠心分離により濃縮後、乾燥し、グラファイト-ダイヤモンド粉末を作製した。
(2)繊維201の作製
水分量100 ppm以下に乾燥したポリエチレンテレフタレートのペレット1800 gと、グラファイト-ダイヤモンド粉末を180 gとを二軸押し出し機を用いて設定温度230〜300℃で溶融混練し、ペレット化したのち、ノーベント式30 mm単軸押し出し機に投入し,250〜300℃で溶融させ、ノズル径0.5 mmの丸断面孔100孔を有する紡糸口金を用いて溶融ポリマーを吐出し、口金下2 mの位置で300 m/分の速度で巻き取り未延伸糸を得た。得られた未延伸糸を80℃の温水浴中で4.5倍に延伸し、次いで150℃に加熱したヒートロールを用いて10秒間熱処理し、単糸繊度1.7 dtexのポリエステル系繊維(繊維201)を得た。
(3)繊維202〜208の作製
グラファイト-ダイヤモンド粉末の添加量を表6に示すように変更した以外は、繊維201と同様にして繊維202〜208を作製した。繊維208はグラファイト-ダイヤモンド粉末を添加していない繊維である。
得られた繊維の赤外線放射率と着色を実施例1と同様にして評価した。結果を表6に示す。また繊維203〜206の遠赤外線放射輝度(遠赤外線放射量)をそれぞれ図7〜10に示す。図7〜10は、図2と同様、理想黒体の放射(点線)と繊維試料の測定データ(実線)との重ね書きである。
Figure 0004953323
注(1):繊維1 kgあたりの粒子の量
注(2):波長3〜15μmにおける理想黒体に対する相対放射量。
表6の結果から、グラファイト-ダイヤモンド粒子にナノサイズダイヤモンドをPETに混練した繊維201〜207は、グラファイト-ダイヤモンド粒子を付着させた繊維と同様、遠赤外線放射率が高いことが分かる。またこれらの繊維の着色は実用上問題にならないレベルであった。
実施例3(グラファイト-ダイヤモンド粉末を添加してなるビスコースレーヨン繊維)
(1)繊維301
8.5質量%のセルロース、5.8質量%の水酸化ナトリウム及びセルロースに対して32質量%の二硫化炭素を含有するビスコース溶液に、実施例1で作製した分散液3の希釈液(0.25質量%)を、20℃でセルロース100 gあたり40 mLの割合で添加した。このグラファイト-ダイヤモンド粒子を含むビスコース溶液を、硫酸110 g/L、硫酸亜鉛15 g/L及び硫酸ナトリウム350 g/Lを含む紡糸浴(60℃)中に紡糸速度50 m/分、延伸率50%で紡糸し、繊度1.7デシテックスのビスコースレーヨンのトウを得た。これを繊維長52 mm切断して脱硫、漂白した。繊維301は繊維1 kgあたり1 gのグラファイト-ダイヤモンド粒子を含有する。
(2)繊維302〜304
実施例1で作製した分散液3の希釈率を変更した以外は繊維301と同様にして、繊維302〜304のビスコースレーヨンのトウを作製した。なお、繊維302〜304の繊維あたりのグラファイト-ダイヤモンド粒子の添加量は、それぞれ繊維102〜104で作製したグラファイト-ダイヤモンド粒子を含有する綿の繊維あたりの添加量と同じ値であった。
繊維301〜304のビスコースレーヨンについて、繊維103と同様にして遠赤外線放射率の測定及び着色の評価を行った結果、これらのビスコースレーヨンは繊維101〜104と同様、着色の問題もなく、非常に優れた遠赤外線放射効果を発揮した。
実施例4(官能評価)
繊維102と同様の方法でグラファイト-ダイヤモンド粒子を付着させたポリエステル綿を用いて寝具を作製した。この寝具を用いて、20人(男10人、女10人)の被験者に10℃55%RHの恒温恒湿で一晩睡眠を取ってもらい、保温効果を評価した。比較として、グラファイト-ダイヤモンド粒子を付着させていないポリエステル綿を用いて作製した寝具で、同様の試験を行った。
その結果、20人中18人の被験者(男8人、女10人)が、本発明のグラファイト-ダイヤモンド粒子を付着させたポリエステル綿で作製した寝具を使用した場合の方が、保温効果が高く快適な睡眠がとれたという評価であった。
本発明の研磨材に用いるグラファイト-ダイヤモンド粒子の製造工程の一例を示す模式図である。 実施例1で作製した繊維101(本発明例)及び理想黒体の遠赤外線放射輝度を示すグラフである。 実施例1で作製した繊維102(本発明例)及び理想黒体の遠赤外線放射輝度を示すグラフである。 実施例1で作製した繊維103(本発明例)及び理想黒体の遠赤外線放射輝度を示すグラフである。 実施例1で作製した繊維104(本発明例)及び理想黒体の遠赤外線放射輝度を示すグラフである。 実施例1で作製した繊維105(比較例)及び理想黒体の遠赤外線放射輝度を示すグラフである。 実施例2で作製した繊維203(本発明例)及び理想黒体の遠赤外線放射輝度を示すグラフである。 実施例2で作製した繊維204(本発明例)及び理想黒体の遠赤外線放射輝度を示すグラフである。 実施例2で作製した繊維205(本発明例)及び理想黒体の遠赤外線放射輝度を示すグラフである。 実施例2で作製した繊維206(本発明例)及び理想黒体の遠赤外線放射輝度を示すグラフである。
符号の説明
1・・・氷+水
2・・・耐圧容器
3・・・ヘルメット
4・・・鋼鉄製パイプ
5・・・爆薬
6・・・電気雷管
7・・・オートクレーブ

Claims (7)

  1. グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子を含有する繊維であって、前記粒子の比重が2.63〜3.38 g/cm3であることを特徴とする繊維。
  2. 請求項1に記載の繊維において、前記グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子が、前記ダイヤモンドの表面を前記グラファイト系炭素が覆ったコア/シェル構造を有していることを特徴とする繊維。
  3. 請求項1又は2に記載の繊維において、前記粒子のメジアン径が30〜250 nmであることを特徴とする繊維。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の繊維において、前記繊維1 kgあたり、前記グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子を0.1 mg〜100 g含有することを特徴とする繊維。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の繊維において、前記グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子を付着させてなることを特徴とする繊維。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の繊維において、前記グラファイト系炭素とダイヤモンドとからなる粒子を練り込んでなることを特徴とする繊維。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の繊維を含有してなる寝具。
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