JP5193139B2 - ダイヤモンドを含有する光散乱板、並びにダイヤモンド含有粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、各種光源の光を均一に散乱させるための光散乱板、並びにダイヤモンド含有粒子及びその製造方法に関し、詳しくは液晶表示装置等におけるバックライト光源や発光ダイオードの光源を均一に散乱させるための光散乱板、並びに光散乱板に用いることのできる高屈折率のダイヤモンド含有粒子、及び前記ダイヤモンド含有粒子の製造方法に関する。
液晶表示装置等におけるバックライト光や、発光ダイオードからの光を均一に散乱させるため、ガラスビーズ等の無機粒子や、アクリル、ポリスチレン等の樹脂粒子を樹脂中に分散させた光散乱層又は前記光散乱層を設けた光散乱板が前記光源等に使用されている。またポリスチレン等の真球ビーズを揮発性溶媒に分散させた液を基板に吹き付けることにより光散乱板を形成する方法が知られている。しかしながら、光散乱粒子として用いるガラスビーズ、アクリル樹脂、ポリスチレン等の屈折率は1.5〜1.6程度であり、散乱効率を向上させるためには更に高屈折率の粒子が望まれている。
特開平10-160909(特許文献1)は、基板と、前記基板上に設けた透明薄膜層と、前記透明薄膜層により固定された複数の球状微粒子とを備え、かつ前記微粒子の屈折率を前記透明薄膜層の屈折率よりも大きくした光散乱板を開示しており、前記微粒子としては、無機酸化物、金属、半導体、又はこれらの複合物が好適であると記載しており、二酸化チタンを用いた例を記載している。しかしながら、二酸化チタンは光触媒効果を有するため、二酸化チタンを有機系のバインダーに分散して使用した場合、バインダーが短時間で劣化してしまう。そのため、使用できるバインダーが主に無機系のものに限られ、設計の自由度が低い。
特開2006-171026(特許文献2)は、透明な導電体で形成された媒質と、前記媒質に埋め込まれた光散乱体とを含む光散乱膜を開示しており、前記光散乱体として、ダイヤモンドが好ましいと記載している。しかしながら、ダイヤモンドの粉末は一般に水及び溶媒への分散性が悪く、均一な分散膜を形成することが困難である。
液晶表示装置等に用いられる面光源として、サイドライト型と呼ばれるものが広く使用されている。サイドライト型面光源は、例えば図4に示すように、光を取込む入射端面1aを有し、前記入射端面1aから入射した光を導いて前面から出射する導光板1の入射端面1aに対向させて、前記入射端面1aの全長にわたる長さの冷陰極管2と、前記冷陰極管2からの出射光を前記入射端面1aに向けて反射するリフレクタ3とを配置した構成のものが使用されている。この面光源は、導光板1の入射端面1aの全長にわたる長さの冷陰極管2を備えたものであるため、この陰極管2からの出射光を前記導光板1にその入射端面1aのほぼ全域から入射させ、前記導光板1の前面からほぼ均一な輝度分布の光を出射することができるが、その反面、前記冷陰極管3の寿命が短いため、頻繁に冷陰極管3を交換しなければならず、維持費が嵩むという問題を有している。
省エネルギーの観点から、図5に示すように、LED(発光ダイオード)等からなる複数(図では2つ)の固体発光素子4を、前記導光板1の入射端面1aに対向させて、前記入射端面1aの長さ方向に沿って適当間隔で並べて配置した構成の面光源も近年使用されてきている。LED等の固体発光素子4の寿命は半永久的であるため、発光素子4の交換はほとんど不要である。しかしながら、LED等の固体発光素子4を用いた場合、前記素子4を適当間隔で並べて配置した構成となるため、前記入射端面1aから入射した光が導光板1の全域に均等に行き渡らないため、導光板1の前面から出射する光のうち、図5に斜線で示した領域からの出射光の輝度が低く、ほぼ均一な輝度分布の出射光が得られないという問題がある。
このようなLED等の固体発光素子を用いた時の問題を解決するため、特開2002-197916(特許文献3)は、少なくとも1つの固体発光素子と、前記発光素子からの出射光を取込む入射端面を有し、前記入射端面から入射した光を導いて前面から出射する導光板と、前記入射端面に設けられ、前記固体発光素子からの出射光を拡散して前記導光板に入射させるための拡散層とを備えた面光源を開示しており、前記拡散層として、アクリル樹脂等からなる透明な基材中に前記基材と異なる光屈折率を有する透明樹脂又はガラスからなる数μm〜数十μm程度の直径の光散乱粒子を分散させた散乱粒子分散フィルムを記載している。しかしながら、高い光散乱効果を得るためにはアクリル樹脂等の透明基材に対し、光屈折率差の大きな光散乱粒子を分散させる必要があり、透明樹脂又はガラスを光散乱粒子として用いた場合、十分な光散乱効果が得られない。
特開2009-32563(特許文献4)は、LEDを光源とした発光装置であって、前記LEDに近接して、あるいは前記LEDを内部に組み込むようにして透明体を配置し、前記透明体において前記LEDの光が通過する光照射面に、前記LEDの光を散乱させる光散乱層を塗布したことを特徴とする発光装置を開示している。前記光散乱層は、バインダー層にフィラーを、均一に分散及び充填して構成され、前記バインダー層としてアクリル樹脂、ニトロセルロースとアルキッド樹脂の混合物、ポリカーボネイト、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられており、前記フィラーとしてシリカ、ガラス、アルミナ、酸化チタンのうち少なくとも一つを含む無機物、又はポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコン樹脂のうち少なくとも一つを含む有機物からなる微粒粉体が挙げられている。前記酸化チタンは高屈折率であるため高い散乱効果が得られるが、光触媒効果を有するためバインダーが劣化してしまうという問題がある。他のフィラーは前記バインダーとの屈折率差が小さいため大きな散乱効果が得られない。
特開2002-176201(特許文献5)は、紫外光LEDチップの外面に、蛍光材料及び光散乱材を含有する樹脂を設けた半導体発光素子を開示しており、前記光散乱材としては石英又は石英よりも高い屈折率を有するダイヤモンドが好ましいと記載している。ダイヤモンド微粒子は高い屈折率を有するため光散乱材として好ましいが、ダイヤモンド微粒子は樹脂への分散性が低いため樹脂中で凝集してしまい、高い光散乱効果が得られないという問題がある。
特開平10-160909号公報 特開2006-171026号公報 特開2002-197916号公報 特開2009-32563号公報 特開2002-176201号公報
従って、本発明の目的は、高い屈折率を有し、水分散性に優れたダイヤモンド微粒子を用いることにより光散乱効果の大きな光散乱板を提供すること、並びにバインダー等への分散性の良好な光散乱用の粒子、及びその製造方法を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、(a)爆射法により得られたグラファイト相を有するナノダイヤモンドを超臨界流体又は亜臨界水中で酸化処理して得られるダイヤモンド微粒子が、高屈折率で、着色が少なく、水への分散性が高いこと、並びに(b)ダイヤモンド微粒子をシリカ、ポリマー樹脂等により被覆することで各種溶媒やバインダーに対して高い分散性を付与することができ、かつ高い屈折率を有するため光散乱用フィラーとして好適であることを見出し、本発明に想到した。
本発明の光散乱板は、粒径0.1〜50μmのダイヤモンド微粒子を含有する光散乱板であって、前記ダイヤモンド微粒子が、爆射法で得られたグラファイト相を有するナノダイヤモンドを、酸化性化合物を含有する、水及び/又はアルコールからなる超臨界流体中で酸化処理することにより得られたことを特徴とする。
本発明のもう一つの光散乱板は、粒径0.1〜50μmのダイヤモンド微粒子を含有する光散乱板であって、前記ダイヤモンド微粒子が、爆射法で得られたグラファイト相を有するナノダイヤモンドを、酸素を共存させた、水及び/又はアルコールからなる溶媒中で、前記溶媒の標準沸点以上の温度及び0.1 MPa(ゲージ圧)以上の圧力で、酸化処理することにより得られたことを特徴とする。
前記光散乱板は、基板と、前記基板上に設けた透明薄膜層とからなり、前記透明薄膜層に前記ダイヤモンド微粒子が固定されているのが好ましい。前記透明薄膜層は有機ポリマーからなるのが好ましい。
本発明のダイヤモンド含有粒子は、ダイヤモンド微粒子を含有する粒径0.1〜50μmの粒子であって、前記ダイヤモンド微粒子が、爆射法で得られたグラファイト相を有するナノダイヤモンドを、酸化性化合物を含有する、水及び/又はアルコールからなる超臨界流体中で酸化処理することにより得られたことを特徴とする。
本発明のもう一つのダイヤモンド含有粒子は、ダイヤモンド微粒子を含有する粒径0.1〜50μmの粒子であって、前記ダイヤモンド微粒子が、爆射法で得られたグラファイト相を有するナノダイヤモンドを、酸素を共存させた、水及び/又はアルコールからなる溶媒中で、前記溶媒の標準沸点以上の温度及び0.1 MPa(ゲージ圧)以上の圧力で、酸化処理することにより得られたことを特徴とする。
前記ダイヤモンド含有粒子は、有機ポリマー又はシリカからなる粒子に前記ダイヤモンド微粒子を含有してなるのが好ましい。
本発明の更にもう一つの光散乱板は、前記ダイヤモンド含有粒子を含有することを特徴とする。
前記光散乱板は、基板と、前記基板上に設けた透明薄膜層とからなり、前記透明薄膜層に前記ダイヤモンド含有粒子が固定されているのが好ましい。前記透明薄膜層は有機ポリマーからなるのが好ましい。
本発明の液体組成物は、前記ダイヤモンド含有粒子を含有することを特徴とする。
本発明の塗料は、前記液体組成物からなることを特徴とする。
本発明のインクは、前記液体組成物からなることを特徴とする。
ダイヤモンド微粒子を含有する粒径0.1〜50μmの粒子を製造する本発明の方法は、グラファイト相を有するナノサイズダイヤモンドを爆射法により得る工程、及び前記グラファイト相を有するナノサイズダイヤモンドを水及び/又はアルコールからなる超臨界流体中で、酸化性化合物により酸化処理する工程を含むことを特徴とする。
ダイヤモンド微粒子を含有する粒径0.1〜50μmの粒子を製造する本発明の方法は、グラファイト相を有するナノサイズダイヤモンドを爆射法により得る工程、及び前記グラファイト相を有するナノサイズダイヤモンドを水及び/又はアルコールからなる溶媒に酸素を共存させて、前記溶媒の標準沸点以上の温度及び0.1 MPa(ゲージ圧)以上の圧力で酸化処理する工程を含むことを特徴とする。
前記酸化処理の前に、前記グラファイト相を有するナノサイズダイヤモンドをメディア分散処理する工程を有するのが好ましい。
本発明の粒子は、高い屈折率及び高い分散安定性を有するので、様々な溶媒やバインダーに分散させることができ、高い光散乱効果を有する光散乱板を容易に形成することができる。
本発明の光散乱板は、高い光散乱効果を有するので、液晶表示装置等におけるバックライト光源や発光ダイオードの光源等に好適に用いることができる。
本発明のダイヤモンド含有粒子の例を示す模式図である。 本発明のダイヤモンド微粒子を含有する光散乱板の例を示す模式図である。 超臨界処理を行う装置の構成を示す概略図である。 冷陰極管を用いたサイドライト型面光源を模式的に示す(a)正面図、及び(b)側面図である。 固体発光素子を用いたサイドライト型面光源を模式的に示す正面図である。
[1] ダイヤモンド含有粒子
(1)構造
本発明のダイヤモンド含有粒子は、各種光源からの可視光を均一に散乱させるための光散乱層に用いるものであり、可視光を効率よく散乱させるため0.1〜50μmの粒径を有する。粒子の粒径は好ましくは0.2〜30μmであり、更に好ましくは0.5〜20μmである。これらの粒径を有する粒子は、いわゆるミー散乱により可視光を散乱させることができる。
本発明のダイヤモンド含有粒子は、ダイヤモンド微粒子のコアと有機ポリマー、無機材料等のシェルとからなるコア/シェル構造の複合粒子である。ダイヤモンドは2.4という高い屈折率を有するため、前記粒子の平均屈折率を高めることができる。そのため前記ダイヤモンド含有粒子を光散乱用フィラーとして用いた時に、媒体(空気、樹脂等)との屈折率差が大きくなり、より高い散乱効果が得られる。また、ダイヤモンドを粒子内に含有させることにより、ダイヤモンドを単独で使用する場合に比べて、使用する分散媒に応じて粒子の材質を選択することができるので、粒子の分散安定性の付与が容易であり光散乱効果の向上とともに製造適性も向上させることが可能である。
爆射法で得られたダイヤモンドは、1〜10 nm程度の径を有するナノサイズのダイヤモンドが凝集したメジアン径30〜250 nm(動的光散乱法)の粒子であり、可視光を散乱させるには粒径が小さすぎる。従って、この粒子を光散乱用フィラーとして使用する場合、例えば凝集させてミー散乱が起こる程度の粒径(0.1〜50μmの粒径)にする必要があるが、ナノサイズのダイヤモンドをコアとした複合粒子とすることで、容易に所望のサイズの粒子を得ることができる。
ダイヤモンド微粒子(コア粒子)の含有量は、ダイヤモンド含有粒子とダイヤモンド微粒子との合計に対して2〜98質量%であるのが好ましく、10〜96質量%であるのが更に好ましく、20〜94質量%であるのが最も好ましい。2質量%未満ではダイヤモンド微粒子による屈折率向上の効果が小さく、98質量%以上ではシェルの被覆が不完全となり分散安定性の向上効果が劣る場合がある。ダイヤモンド含有粒子内に含有するダイヤモンド微粒子(コア粒子)の数は、上記体積比率であれば特に制限はなく、1個であっても良いし、2個以上であっても良い。
本発明の粒子は、シェル部が有機ポリマー又は無機材料からなるのが好ましい。有機ポリマーとしては、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂等が好ましく、無機材料としてはシリカ、金属酸化物等が好ましい。
(2)ダイヤモンド微粒子
本発明の光散乱板又はダイヤモンド含有粒子に用いるダイヤモンド微粒子は、爆射法で得られた、グラファイト相を有するナノダイヤモンドを酸化処理して得られたものであるのが好ましい。爆射法で得られたナノモンドを含む微粒子は、ダイヤモンドの表面をグラファイト系炭素が覆ったコア/シェル構造を有しており、そのため黒く着色しており散乱粒子として用いるには好ましくない。前記酸化処理により、前記グラファイト相がほとんど除去されたダイヤモンド微粒子とするのが好ましい。前記グラファイト相をできるだけ除去することにより、着色成分がほとんどなくなるが、微量に残ったグラファイト系炭素の表面に存在する-COOH、-OH等の親水性官能基のため、水、アルコール、エチレングリコール等の-OH基を有する溶媒(特に水)との親和性は極めて良好であり、これらの溶媒にすみやかに分散するダイヤモンド微粒子となる。
酸化処理して得られた前記ダイヤモンド微粒子は、比重が3.38 g/cm3より大きいものであるのが好ましく、3.50 g/cm3以下であるのが好ましい。前述のように爆射法で得られたダイヤモンドは、1〜10 nm程度の径を有するナノサイズのダイヤモンドが凝集したメジアン径30〜250 nm(動的光散乱法)の粒子であるので、光散乱板に直接含有させて使用する場合、更に0.1〜50μmに凝集させて使用するのが好ましく、ダイヤモンド含有粒子のコアとして用いる場合、0.1〜50μmの粒径を有するダイヤモンド含有粒子を形成できる範囲であればどのような大きさであっても良く、30 nm以上50μm未満であるのが好ましく、30 nm以上10μm以下であるのがより好ましく、30 nm以上1μm以下であるのが最も好ましい。
[2] 光散乱板
(1)ダイヤモンド微粒子を含有する光散乱板
ダイヤモンド微粒子を含有する光散乱板は、光を散乱させる物質として粒径0.1〜50μmのダイヤモンド微粒子を含有する光散乱板である。ダイヤモンドは2.4という高い屈折率を有するため、ミーの散乱により、高い散乱効果を発揮する物質である。前記光散乱板は、図2(a)に示すように、基板11と、前記基板上に設けた透明薄膜層12とからなり、前記透明薄膜層12により前記ダイヤモンド微粒子1が固定されたものであるのが好ましい。粒径0.1〜50μmのダイヤモンド微粒子は、1〜10 nm程度のメジアン径を有するナノ粒子が凝集した形状のものであるのが好ましい。
前記透明薄膜層12は、基板との密着性がよく、かつ前記ダイヤモンド微粒子1の分散性がよいものであればどのような材料でもよい。例えば、有機又は無機のポリマーが挙げられる。ミーの散乱理論によると、散乱体(ここではダイヤモンド)と媒体との屈折率差が大きいほど光散乱効果は大きくなるので、有機又は無機のポリマー等に比べて相対的に低い屈折率を有する空気を媒体として構成した方がより高い散乱効果が得られる。従って、図2(b)に示すように、ダイヤモンド微粒子1の一部分が前記透明薄膜層12により固定されて、表面に突き出した状態で光散乱板を構成するのが好ましい。
(2) ダイヤモンド含有粒子を含有する光散乱板
前記ダイヤモンド微粒子を含有する光散乱板において、前記ダイヤモンド微粒子の代わりに、ダイヤモンド含有粒子を用いることによっても、高い光散乱性を有する光散乱板を構成できる。前記ダイヤモンド微粒子をダイヤモンド含有粒子に置き換えた以外は、前記ダイヤモンド微粒子を含有する光散乱板と同様の構成にするのが好ましい。また、前記ダイヤモンド微粒子とダイヤモンド含有粒子とを併用しても良い。
[3] 液体組成物
本発明の液体組成物は、前記ダイヤモンド微粒子及び/又はダイヤモンド含有粒子と、バインダーとを含有してなる。前記ダイヤモンド微粒子又はダイヤモンド含有粒子の粒径は、粒径0.1〜50μmであるのが好ましい。
(1)バインダー
バインダーは、水溶性樹脂又は水分散性樹脂からなるものが好ましく、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、非塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の水溶性樹脂又は水分散物(ラテックス)が挙げられる。バインダーが水分散物の場合、粒子の平均一次粒径は0.01〜1μmであるのが好ましく、0.1〜1μmであるのが更に好ましい。
水溶性樹脂及び水分散性樹脂は市販品として入手可能である。アクリル系樹脂の水溶液は、ジョンクリル60(ジョンソンポリマー(株)製)等として入手可能である。ウレタン系樹脂の水系分散液は、ハイドランHW171(大日本インキ化学工業(株)製)、ハイドランAP-40N(大日本インキ化学工業(株)製)等として入手可能である。アクリル系樹脂の水系分散液は、ボンコートHY364(大日本インキ化学工業(株)製)、ネオクリルXK-12(DSM社製)等として入手可能である。アクリルシリコン系樹脂の水系分散液は、カネビノールKD4(日本NSC(株)製)等として入手可能である。非塩素化ポリオレフィン系樹脂の水系分散液は、アローベースSB1010(ユニチカ(株)製)等として入手可能である。ポリエステル系樹脂の水系分散液は、バイロナールMD1245(東洋紡績(株)製)等として入手可能である。
液体組成物中におけるバインダーの含有量は、本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではなく、通常はダイヤモンド微粒子及び/又はダイヤモンド含有粒子の合計100質量部に対して10〜1000質量部が好適であり、被膜の強度の向上及び光散乱性向上の観点からは30〜200質量部が好ましい。バインダーの上記含有量は樹脂自体の含有量を示すものであり、いかなる形態で使用される場合においても、樹脂固形分の量が上記範囲内であればよい。
(2)分散剤
液体組成物には必要に応じて分散剤を含有させても良い。分散剤としては、公知の界面活性剤等を使用することができ、分子中に芳香環を有するスルホン酸系分散剤、アクリル系分散剤等が好ましい。分子中に芳香環を有するスルホン酸系分散剤は、界面活性剤の分野で使用されているいわゆる陰イオン性界面活性剤であって、ナフタレンスルホン酸含有化合物、ベンゼンスルホン酸含有化合物、スチレンスルホン酸含有化合物等である。スルホン酸基はナトリウムやカリウム等の金属塩の形態を有していても良い。
ナフタレンスルホン酸含有化合物としては、デモールN、デモールNL、デモールRN(以上花王(株)製)、ポリティN-100K(ライオン(株)製)等が好ましい。ベンゼンスルホン酸含有化合物としては、ネオペレックスNo.6、ネオペレックスG-65(以上花王(株)製)等が好ましい。スチレンスルホン酸含有化合物としては、ポリティPS-1900(ライオン(株)製)等が好ましい。
アクリル系分散剤は、界面活性剤の分野で使用されている陰イオン性のポリアクリル酸エステル共重合物、ポリα-メチルスチレン-スチレン-アクリル酸共重合物等が好ましい。
分散剤は使用しなくてもよいが、ダイヤモンド微粒子及び/又はダイヤモンド含有粒子を含む液体組成物を安定化させるため少量使用しても良い。分散剤の添加量は、ダイヤモンド微粒子及び/又はダイヤモンド含有粒子の合計に対し100質量%以下であるのが好ましい。分散剤の添加量が100質量%超の場合、塗膜の強度が低下する。分散剤の添加量は、更に好ましくは0.1〜100質量%であり、最も好ましくは0.1〜50質量%である。
(3)分散媒
前記ダイヤモンド微粒子及びダイヤモンド含有粒子は、水に対する高い親和性を有するため、液体組成物の分散媒は水、又は水及び有機溶剤の混合液が好ましい。有機溶剤としては、特にアルコール系の溶剤が好ましい。
(4)その他の添加剤
液体組成物には、必要に応じて、増粘剤、防腐剤、防かび剤、着色剤等を含有させても良い。
(5) 液体組成物の調製
液体組成物は、必要に応じて分散剤をあらかじめ溶解した水(又は水及び有機溶剤の混合液)に、水溶性樹脂又は水分散性樹脂からなるバインダー及びダイヤモンド微粒子及び/又はダイヤモンド含有粒子を添加して後述の装置により分散処理を行って調製する。バインダーとダイヤモンド微粒子及び/又はダイヤモンド含有粒子との添加順は特に制限はないが、分散剤はあらかじめ添加した水溶液にダイヤモンド微粒子及び/又はダイヤモンド含有粒子をまず添加して十分に分散処理するのが好ましい。
ダイヤモンド微粒子及び/又はダイヤモンド含有粒子を含む液体組成物を分散する装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散装置が使用できる。ディスパー、ホモミキサー、プラネタリーミキサー等のミキサー類、ホモジナイザー(エム・テクニック社製「クレアミックス」、PRIMIX社「フィルミックス」等)類、ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、コボールミル等のメディア型分散機、湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS-5」、奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、液体組成物の用途に応じて、金属不純物が悪影響を与える可能性がある場合には、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
金属混入防止処理としては、メディア型分散機を使用する場合は、セラミック製又は樹脂製のアジテーター及びベッセルからなる分散機を使用する方法や、アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いる方法が挙げられる。メディアとしては、ガラスビーズや、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。大きい径のメディアを使用するとダイヤモンド微粒子及び/又はダイヤモンド含有粒子を破壊してしまう可能性があるため、メディア径は1.0 mm以下が好ましく、0.5 mm以下が更に好ましい。
ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
[4] 塗料及びインク
本発明の液体組成物は、塗料、インク等に応用することができる。
[5] ダイヤモンド微粒子の製造方法
ダイヤモンド微粒子を製造する第一の方法は、爆射法により得られたグラファイト相を有するナノダイヤモンドを水及び/又はアルコールからなる超臨界流体中で、酸化性化合物により酸化処理することによって得られる。
ダイヤモンド微粒子を製造する第二の方法は、爆射法により得られたグラファイト相を有するナノサイズダイヤモンドを水及び/又はアルコールからなる溶媒に酸素を共存させて、前記溶媒の標準沸点以上の温度及び0.1 MPa(ゲージ圧)以上の圧力で酸化処理することによって得られる。
(1) グラファイト相を有するナノダイヤモンドの合成
グラファイト相を有するナノダイヤモンドとしては、爆射法によって合成された粗ダイヤモンド(以下、BDと言う)、又は前記BDを酸化性分解処理した後、塩基で中和することにより得られるグラファイト相の一部が除去されたグラファイト-ダイヤモンド粒子を用いるのが好ましい。本発明の方法においては、前記酸化処理を効率よく行うため、グラファイト-ダイヤモンド粒子を用いるのが好ましい。
前記爆射法は、Science, Vol. 133, No.3467(1961), pp1821-1822、特開平1-234311号、特開平2-141414号、Bull. Soc. Chem. Fr. Vol. 134(1997), pp. 875-890、Diamond and Related materials Vol. 9(2000), pp861-865、Chemical Physics Letters, 222(1994), pp. 343-346、Carbon, Vol. 33, No. 12(1995), pp. 1663-1671、Physics of the Solid State, Vol. 42, No. 8(2000), pp. 1575-1578、K. Xu. Z. Jin, F. Wei and T. Jiang, Energetic Materials, 1, 19(1993)、特開昭63-303806号、特開昭56-26711報、英国特許第1154633号、特開平3-271109号、特表平6-505694号(WO93/13016号)、炭素, 第22巻, No. 2, 189〜191頁(1984)、Van Thiei. M. & Rec., F. H., J. Appl. Phys. 62, pp. 1761〜1767(1987)、特表平7-505831号(WO94/18123号)、米国特許第5861349号及び特開2006-239511号等に記載の方法を用いることができる。
爆射法によるBDの合成は、例えば、水と多量の氷を満たした純チタン製の耐圧容器に、電気雷管を装着した爆薬[例えば、TNT(トリニトロトルエン)/HMX(シクロテトラメチレンテトラニトラミン)=50/50]を胴内に収納させ、片面プラグ付き鋼鉄製パイプを水平に沈め、この鋼鉄製パイプに鋼鉄製のヘルメットを被覆して、前記爆薬を爆裂させることにより行うことができる。反応生成物としてのBDは容器中の水及び氷中から回収する。
グラファイト-ダイヤモンド粒子は、(a) 爆射法で得られたBDを、酸(濃硝酸、濃硫酸、又はこれらの混合物等)中で酸化性分解(例えば、1.4 MPa程度の圧力及び150〜180℃程度の温度で10〜30分間加圧・加熱)し、電気雷管等の混入金属、炭素等の夾雑物を分解する酸化性分解処理工程、(b)酸化性分解処理したBDを、酸化性エッチング処理(例えば、1.8 MPa程度の圧力及び200〜240℃程度の温度で加圧・加熱)して主にBD表面を被覆する硬質炭素を除去しグラファイト-ダイヤモンド粒子とする酸化性エッチング処理工程、(c)酸化性エッチング処理して得られたグラファイト-ダイヤモンド粒子を含む硝酸水溶液に、それ自身揮発性の又はその分解反応生成物が揮発性の塩基性材料(例えば、アンモニア)を加えて中和し、二次凝集体であるグラファイト-ダイヤモンド凝集体を一次粒子である個々のグラファイト-ダイヤモンド粒子にする中和反応工程、(d)中和反応工程を経て生成したグラファイト-ダイヤモンド粒子の反応懸濁液を水により充分にデカンテーションする傾斜工程、(e)傾斜工程を経たグラファイト-ダイヤモンド粒子懸濁液に硝酸を加え洗浄して静置し、得られたグラファイト-ダイヤモンド粒子を含む下層懸濁液を上層排液から抜き取る洗浄工程、(f)洗浄されたグラファイト-ダイヤモンド粒子懸濁液を遠心分離する工程、及び(g)遠心分離されたグラファイト-ダイヤモンド粒子分散液を所望pH及び所望濃度に調製する工程、又は(h) 乾燥して微粉末とする工程により得られる。グラファイト-ダイヤモンド粒子を分散液とする場合は、通常pH4〜10、好ましくはpH5〜8、より好ましくはpH6〜7.5に調製する。
BD及びグラファイト-ダイヤモンド粒子は、主として粒界及び表面にグラファイト相を有する。BD及びグラファイト-ダイヤモンド粒子は、グラファイト以外の不純物として、(i) 非晶質炭素、(ii) 炭化水素、ヘテロ原子含有炭化水素等の炭化水素不純物、及び(iii) 金属(鉄、珪素、硫黄等)、金属酸化物、金属塩(金属硫酸塩、金属カーボネート等)、金属カーバイド等の金属系不純物を有する。これらの不純物によりBD及びグラファイト-ダイヤモンド粒子の表面は、メチル基、メチレン基、メチン基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、ニトロ基、硝酸エステル基、スルホン酸基、炭素原子に結合した水酸基(結合性水酸基)等の官能基が存在すると考えられる。
(2)メディア分散処理
爆射法により得られたBD、及びBDに上記工程(A)〜(H)の処理を施して得られたグラファイト-ダイヤモンド粒子の動的光散乱法で求めたメジアン径は30〜250 nmである。これらの粒子は、1〜10 nm程度の径を有するナノサイズのダイヤモンドが強固に凝集した凝集体である。着色の少ないダイヤモンド微粒子を得るために、後述する酸化処理の前にBD又はグラファイト-ダイヤモンド粒子をビーズミル等の公知のメディア分散法により粉砕するのが好ましい。ビーズミルによる分散は、ジルコニアビーズを使用するのが好ましい。BD又はグラファイト-ダイヤモンド粒子をメディア分散することにより、メジアン径を100 nm以下にするのが好ましく、50 nm以下にするのがより好ましく、30 nm以下にするのが最も好ましい。
ビーズミルによる分散は、例えば、アシザワファインテック株式会社製スターミルLMZを用いて行うことができる。この分散機は連続的に分散液を供給しながら、ビーズによる粉砕を行うことができる装置であり、例えば0.1 mm径のジルコニアビーズを0.15 Lのベッセルに充填し、10 m/s程度の周速で回転子を回転させながら、5%程度のグラファイト-ダイヤモンド粒子の水分散物を0.12 L/minで供給し粉砕する。更に細かく分散させたい時は、50 nm径のジルコニアビーズを用いて、アシザワファインテック株式会社製スターミル ナノゲッターで分散する。
(3)酸化処理
(i)第一の酸化処理
グラファイト相を有するナノダイヤモンド(BD、グラファイト-ダイヤモンド粒子等)を酸化処理する第一の方法は、(a) グラファイト相を有するナノダイヤモンドと、酸化性化合物と、水及び/又はアルコールからなる溶媒とからなる混合物A(単に「混合物A」とよぶことがある)を調製し、(b) この混合物Aを、溶媒の臨界点以上の温度及び圧力にした状態でグラファイト相を有するナノダイヤモンドを処理し、(c) 得られたダイヤモンド微粒子を含む液を遠心分離して溶媒を除去する工程を有する。更に、脱溶媒したダイヤモンド微粒子を水洗及び遠心分離により脱水する工程(d)を設けるのが好ましい。工程(c)と(d)の間に、必要に応じて、脱溶媒したダイヤモンド微粒子を塩基性溶液で中和する工程(e)、及び弱酸で処理する工程(f)を設けてもよい。工程(c)又は(d)で得られたダイヤモンド微粒子は、分散溶媒を加えて懸濁液にしてもよく、乾燥して微粉末にしてもよい。この分散溶媒は水、有機溶媒又はこれらの混合液が好ましい。懸濁液には、必要に応じて分散剤を添加してもよい。
(a) 混合物Aの調製工程
混合物Aは、グラファイト相を有するナノダイヤモンドの粉末に、酸化性化合物、及び水及び/又はアルコールからなる溶媒を混合することにより調製する。又は、前記溶媒にあらかじめグラファイト相を有するナノダイヤモンドを分散した液に、前記酸化性化合物又はその溶液を添加して調製しても良い。混合物Aには、酸化性化合物による酸化反応を促進させるため、塩基性化合物又は酸化性化合物を添加しても良い。
酸化性化合物としては、硝酸、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、塩素酸リチウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸カリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、マンガン酸ナトリウム、マンガン酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、重クロム酸カリウム、クロム酸カリウム等が挙げられ、硝酸及び過酸化水素が好ましく、硝酸がより好ましい。
酸性化合物としては、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、ホウ酸、フッ酸、臭化水素酸等の無機酸、及び蟻酸、酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられ、無機酸が好ましく、硝酸がより好ましい。
塩基性化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、四ホウ酸リチウム、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウム、アンモニア等が挙げられる。
これらの化合物は複数種を併用してもよい。好ましい組合せとして、酸化性化合物と酸性化合物との組合せ(例えば、過酸化水素と硝酸との組合せ)、又は酸化性化合物と塩基性化合物との組合せ(例えば、過酸化水素とアンモニアとの組合せ)が挙げられる。
溶媒としては、水、アルコール又はこれらの混合液を用いる。アルコールとしては炭素数1〜3の低級アルコールが好ましい。低級アルコールの具体例として、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール及びこれらの混合液が挙げられる。
十分に精製するために、前記酸化性化合物の混合物A中の濃度は、0.01〜10 mol/Lが好ましく、0.1〜5mol/Lがより好ましい。
混合物A中のグラファイト相を有するナノダイヤモンドの濃度は、0.05〜16質量%が好ましく、0.1〜12質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。この濃度が16質量%を超えると、精製が不十分となる恐れがある。一方0.05質量%未満であると、回収時のロスの割合が多くなり、効率が悪い。
(b) 超臨界処理工程
混合物Aを溶媒の臨界点以上の温度及び圧力で処理する。水の臨界温度は374℃であり、臨界圧力は22.1 MPaである。メタノールの臨界温度は240℃であり、臨界圧力は8.0 MPaである。エタノールの臨界温度は243℃であり、臨界圧力は7.0 MPaである。イソプロパノールの臨界温度は244℃であり、臨界圧力は5.4 MPaである。n-プロパノールの臨界温度は264℃であり、臨界圧力は5.1 MPaである。処理温度は溶媒の臨界温度以上、600℃以下であるのが好ましく、550℃以下であるのがより好ましい。処理圧力は溶媒の臨界圧力以上、100 MPa以下であるのが好ましく、70 MPa以下であるのがより好ましく、50 MPa以下であるのが最も好ましい。処理時間は温度及び圧力により適宜設定すればよいが、1〜24時間が好ましい。
酸化性化合物を含む超臨界流体に、グラファイト相を有するナノダイヤモンドを接触させると、超臨界流体の有する高い拡散性と高い溶解性とにより、粒界のグラファイト相に前記化合物が深く浸透し、前記化合物によるグラファイト相の酸化が促進されるものと考えられる。このような激しい反応性を有する超臨界流体により、グラファイト相を効率的に分解することができる。
(c) 脱溶媒工程
得られたダイヤモンド微粒子を含む液は、遠心分離等により脱溶媒するのが好ましい。
(d) 水洗工程
デカンテーション法により、脱溶媒したダイヤモンド微粒子を水洗するのが好ましい。洗浄操作は3回以上行うのが好ましい。水洗したダイヤモンド微粒子は、再度遠心分離し、脱水するのが好ましい。
(e) 中和工程
工程(c)で脱溶媒したダイヤモンド微粒子を、塩基性溶液で中和してもよい。塩基性溶液としては水酸化ナトリウム水溶液及び水酸化カリウム水溶液が好ましい。塩基性溶液の濃度は0.01〜0.5 mol/Lが好ましい。脱溶媒したダイヤモンド微粒子に塩基性溶液を添加し、超音波処理するのが好ましい。中和後、遠心分離し、塩基性溶液を除去する。
(f) 弱酸処理工程
工程(e)で中和したダイヤモンド微粒子を弱酸溶液で洗浄するのが好ましい。弱酸溶液によって、中和処理後に残留しているナトリウム等の金属イオンを除去することができる。弱酸溶液の例として、0.01〜0.5 mol/Lの塩酸が挙げられる。中和したダイヤモンド微粒子に弱酸溶液を添加し、超音波処理するのが好ましい。洗浄後、遠心分離し、弱酸溶液を除去する。
(ii)第二の酸化処理
グラファイト相を有するナノダイヤモンド(BD、グラファイト-ダイヤモンド粒子等)を酸化処理する第二の方法は、(a) グラファイト相を有するナノダイヤモンドと、水及び/又はアルコールからなる溶媒とからなる混合物Bを調製し、(b) この混合物Bに酸素を共存させた状態で、処理溶媒の標準沸点以上の温度及び0.1 MPa(ゲージ圧)以上の圧力でグラファイト相を有するナノダイヤモンドを処理し、(c) 得られたダイヤモンド微粒子を含む液を遠心分離して溶媒を除去する工程を有する。更に、脱処理溶媒したダイヤモンド微粒子を水洗及び遠心分離により脱水する工程(d)を設けるのが好ましい。工程(c)又は(d)で得られたダイヤモンド微粒子は、分散溶媒を加えて懸濁液にしてもよく、乾燥して微粉末にしてもよい。この分散溶媒は水、有機溶媒(アルコール等)又はこれらの混合液が好ましい。懸濁液には、必要に応じて分散剤を添加してもよい。
(a)混合物Bの調製工程
混合物Bは、グラファイト相を有するナノダイヤモンドと、水及び/又はアルコールからなる溶媒とを混合することにより調製する。混合物B中のグラファイト相を有するナノダイヤモンドの濃度は、0.05〜16質量%が好ましく、0.1〜12質量%がより好ましく、1〜10質量%が最も好ましい。この濃度が16質量%を超えると、精製が不十分となる恐れがある。一方0.05質量%未満であると、回収時のロスの割合が多くなり生産性が悪化する。
溶媒としては、前記混合物Aの調製で用いることのできるものと同じものが使用できる。
(2) 精製処理工程
混合物Bをオートクレーブに入れ、酸素を導入する。オートクレーブ内に空気がある場合、酸素で置換するのが好ましい。酸素の導入量は、グラファイト相を有するナノダイヤモンド中のグラファイト1 gに対して、0.1モル以上が好ましく、0.15モル以上がより好ましく、0.2モル以上が最も好ましい。この導入量の上限は特に制限されない。ナノダイヤモンド中のグラファイトの割合は、例えば、JIS K2249に準拠してナノダイヤモンドの比重を測定し、この比重から、ダイヤモンドの比重を3.50 g/cm3とし、グラファイトの比重を2.25 g/cm3として算出することができる。
処理溶媒の標準沸点Tb以上及び0.1 MPa(ゲージ圧)以上となるように、オートクレーブ内の温度及び圧力を調整する。処理溶媒のTb以上及び0.1 MPa(ゲージ圧)以上にする限り、処理溶媒を亜臨界状態[Tb以上の温度及び0.1 MPa(ゲージ圧)以上の圧力で、かつ臨界温度Tc未満及び/又は臨界圧力Pc未満の状態]にしてもよいし、超臨界状態にしてもよい。亜臨界又は超臨界状態の酸素及び処理溶媒により、グラファイト相を効率的に選択酸化することができる。
処理温度の下限は(処理溶媒の臨界温度Tc-150℃)が好ましく、(Tc−100℃)がより好ましい。処理温度の上限は800℃が好ましく、600℃がより好ましい。処理圧力の下限は、処理溶媒の臨界圧力Pcの30%が好ましく、Pcの50%がより好ましく、Pcの70%が最も好ましい。処理圧力の上限は70 MPaが好ましく、50 MPaがより好ましい。処理時間は温度及び圧力により適宜設定すればよいが、0.1〜24時間が好ましい。
表1に、酸素、水及び低級アルコールのTb、Tc及びPcを示す。水及び低級アルコールのTcは、酸素のTc(-118℃)より遥かに高く、水及び低級アルコールのPcは、酸素のPc(5.1 MPa)以上である。従って、水及び/又は低級アルコールからなる処理溶媒をTb以上及び0.1 MPa(ゲージ圧)以上にした時、酸素は亜臨界状態のままか超臨界状態となり、処理溶媒を超臨界状態にした時、酸素も超臨界状態となる。
Figure 0005193139
(3) 脱溶媒工程
第一の酸化処理方法と同様にして行う。
(4) 水洗工程
第一の酸化処理方法と同様にして行う。
(iii)ダイヤモンド微粒子の性質及び用途
第一及び第二の酸化処理方法により得られたダイヤモンド微粒子は、グラファイト相が十分に除去されている。具体的には、ラマンスペクトルにおけるダイヤモンドに帰属する1,330±10 cm-1のピーク強度I1が、グラファイトに帰属する1,610±100 cm-1のピーク強度I2より大きい(前者のピークの方が後者のピークより高い)。強度比I1/I2は1.2以上であるのが好ましい。
ダイヤモンド微粒子はまた、グラファイト相の除去に伴い多くの官能基が除去されている。具体的には、赤外吸収スペクトルにおける3,700 cm-1付近の炭素原子に結合した水酸基の伸縮振動に帰属されるピーク及び2,930 cm-1付近のメチレン基の伸縮振動に帰属されるピークが実質的に検出されない。
第一及び第二の酸化処理方法により得られたダイヤモンド微粒子は、ナノサイズのダイヤモンドの一次粒子が凝集してなるメジアン径30 nm〜1μm(動的光散乱法)程度の粒子であり、10μm以上の粗大粒子を微量に含む。この粒子は、使用目的に応じて濾過、遠心分離、デカンテーション等の方法により比較的細かい粒子と粗大な粒子とを分離して使用するのが好ましい。すなわち、前記ダイヤモンド含有粒子のコア粒子として使用する場合は、比較的細かい粒子を使用し、直接散乱板に使用する場合はミー散乱が得られる径(粒径0.1〜50μm)の粒子を使用する。
ダイヤモンド微粒子は前述の通りグラファイト相が十分に除去されているので、ダイヤモンド本来の性質(優れた機械的性質、化学的安定性、電気絶縁性、低誘電性、熱伝導性、耐熱性等)を十分に発揮することができる。ダイヤモンド微粒子は高い屈折率を有し、他の材料(透明樹脂、ガラス等)への分散性にも優れているので、本発明の光散乱板や、ダイヤモンド含有粒子に好適である。
[5] ダイヤモンド含有粒子の製造方法
ダイヤモンド含有粒子は、ダイヤモンド微粒子を粒子内に含んだコア/シェル構造を有する。シェルとして有機ポリマー又はシリカが好ましい。
(1) 有機ポリマーのシェルを有するダイヤモンド含有粒子
有機ポリマーのシェルを有するダイヤモンド含有粒子は、乳化重合、懸濁重合等により有機ポリマー粒子を合成する際に、前記ダイヤモンド微粒子を存在させることにより製造できる。ダイヤモンド微粒子は、水や溶媒に対する分散性に優れているため、乳化重合、懸濁重合等で得られる有機ポリマー粒子中に取込まれ、図1(a)〜図1(c)で示すようなコア/シェル構造の複合粒子が生成する。
以下に有機ポリマーのシェルを有するダイヤモンド含有粒子(複合ポリマー粒子)の製造法の一例を具体的に説明する。
複合ポリマー粒子は、ノニオン界面活性剤(第1のノニオン界面活性剤)の存在下、ダイヤモンド微粒子が水性媒体中に分散した系において、曇点以上の温度でビニル単量体を重合することにより得ることができる。特に、曇点未満の温度で第1のノニオン界面活性剤とダイヤモンド微粒子分散液とを混合した後、曇点以上の温度に昇温し、ダイヤモンド微粒子表面に第1のノニオン界面活性剤を吸着させ、ビニル単量体を重合することにより、ダイヤモンド微粒子とビニル重合体とが有効に結合した複合粒子を得ることができる。
前記分散系では、第1のノニオン界面活性剤がダイヤモンド微粒子表面に吸着するにつれて、又はビニル単量体の重合が進行するにつれてダイヤモンド微粒子が疎水化し、分散安定性が低下して凝集ゲル化する場合がある。従って、疎水化したダイヤモンド微粒子を水性媒体中で分散安定化させるために、第2のノニオン界面活性剤を反応系に添加してもよい。第2のノニオン界面活性剤は、混合初期に添加してもよく、昇温時、重合初期、又は重合後に添加してもよい。好ましくは、第1のノニオン界面活性剤の曇点以上の温度になった後、第2のノニオン界面活性剤を添加するのが好ましい。
第2のノニオン界面活性剤の曇点は、第1のノニオン界面活性剤が吸着したダイヤモンド微粒子を分散安定化させるために、第1のノニオン界面活性剤の曇点を越える場合が多い。更に、ビニル単量体が重合する過程で、ダイヤモンド微粒子を安定化させるためには、重合温度を越える温度の曇点を有していることが好ましい。第2のノニオン界面活性剤は、疎水化されたダイヤモンド微粒子表面に配向し、ダイヤモンド微粒子を安定化し、更には第1のノニオン界面活性剤とともに、ビニル単量体の重合の場を提供する。
第2のノニオン界面活性剤の使用量は、ミセルを形成してビニル重合体単独粒子が生成するのを防ぐために、臨界ミセル濃度(CMC)以下であるのが好ましく、例えば、固形分換算で、ダイヤモンド微粒子100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部、更に好ましくは0.1〜2重量部程度である。
乳化重合に一般的に使用されるアニオン界面活性剤を、分散安定化のために使用してもよい。第1のノニオン界面活性剤をダイヤモンド微粒子表面に有効に吸着させるために、第1のノニオン界面活性剤をダイヤモンド微粒子表面に吸着させた後に、アニオン界面活性剤を添加するのが好ましい。例えば、ノニオン界面活性剤がダイヤモンド微粒子へ均一に吸着した後、あるいはビニル単量体が重合し、安定化されたシード状複合粒子が生成した後に、アニオン界面活性剤を添加してもよい。
ビニル単量体は、前記分散系で重合可能な種々の方法で重合できる。好ましい重合方法は、水性媒体(特に、水)中でビニル単量体を重合する乳化重合法である。乳化重合法において、ビニル単量体を連続的あるいは段階的に反応系に仕込む方法が好ましい。ノニオン界面活性剤の存在下、ダイヤモンド微粒子が分散した系に一括に単量体を仕込むと、コア/シェル複合粒子の生成量が減少する場合がある。これは、ノニオン界面活性剤が単量体の油滴に溶解し、ダイヤモンド微粒子表面に吸着したノニオン界面活性剤が減少するためと考えられる。シードとして、安定な粒子が生成した後、ビニル単量体を一括に仕込んでもよい。反応系に単量体を添加する場合、単量体の組成は同一であってもよく、変化させてもよい。
重合開始剤としては、過酸化物(例えば、過酸化水素)、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム)、水性アゾ化合物やレドックス重合開始剤が使用できる。
重合体の分子量の調整のため、連鎖移動剤、例えば、ビニル単量体に可溶な有機過酸化物、有機アゾ化合物、ハロゲン化炭化水素(四塩化炭素等)、メルカプタン類、チオール類を用いてもよい。連鎖移動剤の使用量は、例えば、ビニル単量体に対して5重量%以下である。
必要であれば、ダイヤモンド微粒子の分散安定性を高めるため、pH調整剤(例えば、酸(硫酸、塩酸等)、アンモニア、アミン等)を重合過程又は反応終了後の水性分散体に添加してもよい。重合系又は水性分散体のpHは、例えば、pH7〜9(例えば、7.5〜8.5)程度に調整してもよい。
ノニオン界面活性剤の曇点や臨界ミセル濃度(CMC)又は使用量を組み合わせて調整することにより、コア/シェル粒子(複合ポリマー粒子)/ビニル重合体粒子/ダイヤモンド微粒子の比率を任意にコントロールできる。
ダイヤモンド微粒子が水性媒体中に分散した系において、ノニオン界面活性剤の曇点以上の温度でビニル単量体を重合すると、少なくともコア/シェル構造の複合粒子を主成分とした水性分散体を得ることができる。更に、ノニオン界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度(CMC)未満でビニル単量体を重合すると、ダイヤモンド微粒子にノニオン界面活性剤を有効に吸着させることができ、コア/シェル構造の複合粒子を得ることができる。一方、ノニオン界面活性剤濃度が臨界ミセル濃度以上である場合、ビニル単量体の重合の場としてのミセルを形成し、ビニル重合体粒子を形成する場合がある。
ノニオン界面活性剤の使用量が、ダイヤモンド微粒子に対する飽和吸着量未満である場合、通常のダイヤモンド微粒子が主成分となり、飽和吸着量以上であれば、少なくともコア/シェル構造の複合粒子を主成分とする水性分散体を得ることができる。
以上のように、ノニオン界面活性剤の曇点以上の温度で重合する方法において、ノニオン界面活性剤の種類や濃度を調整することによって、コア/シェル複合粒子/ビニル重合体粒子/ダイヤモンド微粒子の比率をコントロールすることができる。より具体的には、次の通りである。
(a-1)ノニオン界面活性剤の濃度が、臨界ミセル濃度(CMC)未満であって、ダイヤモンド微粒子に対する飽和吸着量未満である場合、コア/シェル構造の複合粒子/ダイヤモンド微粒子の混合物で構成された水性分散体が得られる。
(a-2)ノニオン界面活性剤の濃度が、臨界ミセル濃度未満であって、ダイヤモンド微粒子に対する飽和吸着量以上である場合、コア/シェル複合粒子を主成分とする水性分散体を得ることができる。
(b-1)ノニオン界面活性剤の濃度が、臨界ミセル濃度以上であって、ダイヤモンド微粒子に対する飽和吸着量未満である場合、複合粒子/ビニル重合体粒子/ダイヤモンド微粒子の三成分系で構成された水性分散体を得ることができる。
(b-2)ノニオン界面活性剤の濃度が、臨界ミセル濃度以上であって、ダイヤモンド微粒子に対する飽和吸着量以上である場合、複合粒子/ビニル重合体粒子の混合物で構成された水性分散体を得ることができる。
なお、本明細書において、臨界ミセル濃度(CMC)とは、ダイヤモンド微粒子の存在下、ノニオン界面活性剤を添加した時、水相にミセルが生成する濃度を意味する。この臨界ミセル濃度はダイヤモンド微粒子の含有量や電解質濃度などにより変化するが、界面活性剤の濃度と表面張力との関係から、表面張力が極小値となる濃度を見掛けの臨界ミセル濃度の指標とすることができる。例えば、ダイヤモンド微粒子や電解質が存在しない場合に比べて、これらの成分が存在すると、ノニオン界面活性剤の臨界ミセル濃度は大きくなる。なお、飽和吸着量は、慣用の方法であらかじめ測定することができる。平均粒子径が50 nm以下のダイヤモンド微粒子の場合、固形分換算でダイヤモンド微粒子100重量部に対して、0.5〜5重量部(例えば、1〜2重量部)程度である場合が多い。
水性分散体の固形分濃度は、用途などに応じて選択でき、例えば、10〜60重量%、好ましくは30〜55重量%、特に45〜55重量%程度である。
粒子表面でモノマーを重合し生成ポリマーでダイヤモンド微粒子を被覆する他の方法として、K. Nollen et al, Angew. Makromol. Chem., 6, 1 (1969)、F. Runge et al, Makromol. Chem., 81, 68 (1965)、K. Furusawa et al, J. ColloidInterface Sci., 109, 69 (1986)、M. Hasegawa et al, J. Polym. Sci., Polym. Chem. Ed., 25, 3117, 3231 (1987)等に記載の、粒子表面の活性種による重合法、開始剤の吸着又は結合による重合法、モノマーの吸着、結合又は吸蔵による重合法、モノマーの表面吸着層への可溶化による重合法、生長鎖の沈着による重合法等が挙げられる。
(2) シリカのシェルを有するダイヤモンド含有粒子
シリカのシェルを有するダイヤモンド含有粒子(複合シリカ粒子)は、例えば特開2007-284284、特開2009-51680等に記載の方法よって製造できる。
具体的には、例えば、下記工程(I)〜(III)により製造することができる。
工程(I)
0.1〜50グラム/L前記ダイヤモンド微粒子と、及び0.1〜100ミリモル/Lの下記一般式(1)及び(2)で表される第四級アンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種とを含む水溶性有機溶媒の分散液を調製する。
[R1(CH3)3N]+X- ・・・(1)
[R1R2(CH3)2N]+X- ・・・(2)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数4〜22の直鎖状又は分岐状アルキル基を示し、Xは1価陰イオンを示す。)
第四級アンモニウム塩は、ダイヤモンド微粒子の分散のために用いられる。前記一般式(1)及び(2)におけるR1及びR2は、炭素数4〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数8〜16の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。炭素数4〜22のアルキル基としては、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種エイコシル基等が挙げられる。
一般式(1)及び(2)におけるXは、高い結晶性を得るという観点から、好ましくはハロゲンイオン、水酸化物イオン、硝酸化物イオン、硫酸化物イオン等の1価陰イオンから選ばれる1種以上である。Xとしては、より好ましくはハロゲンイオンであり、更に好ましくは塩素イオン又は臭素イオンであり、最も好ましくは臭素イオンである。
一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、ブチルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ブチルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
一般式(2)で表されるジアルキルジメチルアンモニウム塩としては、ジブチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロミド、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
これらの第四級アンモニウム塩の中では、特に一般式(1)で表されるアルキルトリメチルアンモニウム塩が好ましく、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド又はアルキルトリメチルアンモニウムクロリドがより好ましく、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド又はドデシルトリメチルアンモニウムクロリドが特に好ましい。
シリカ源は、アルコキシシラン等の加水分解によりシラノール化合物を生成するものであり、下記一般式(3)〜(7)で示される化合物を挙げることができる。
SiY4 ・・・(3)
R3SiY3・・・(4)
R3 2SiY2・・・(5)
R3 3SiY ・・・(6)
Y3Si-R4-SiY3・・・(7)
(式中、R3はそれぞれ独立して、ケイ素原子に直接炭素原子が結合している有機基を示し、R4は炭素原子を1〜4個有する炭化水素基又はフェニレン基を示し、Yは加水分解によりヒドロキシ基になる1価の加水分解性基を示す。)
一般式(3)〜(7)において、R3がそれぞれ独立して、水素原子の一部がフッ素原子に置換していてもよい炭素数1〜22の炭化水素基であるのがより好ましく、具体的には炭素数1〜22、好ましくは炭素数4〜18、より好ましくは炭素数6〜18、特に好ましくは炭素数8〜16のアルキル基、フェニル基、又はベンジル基であり、R4が炭素数1〜4のアルカンジイル基(メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、テトラメチレン基等)又はフェニレン基であり、Yが炭素数1〜22、より好ましくは炭素数1〜8、特に好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基、又はフッ素を除くハロゲン基であるのが好ましい。
シリカ源の好適例としては、次の化合物が挙げられる。
(a)一般式(3)において、Yが炭素数1〜3のアルコキシ基であるか、又はフッ素を除くハロゲン基であるシラン化合物。
(b)一般式(4)又は(5)において、Yが炭素数1〜3のアルコキシ基であるか、又はフッ素を除くハロゲン基であり、R3がフェニル基、ベンジル基、又は水素原子の一部がフッ素原子に置換されている炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基であるトリアルコキシシラン又はジアルコキシシラン。
(c)一般式(6)において、Yが炭素数1〜3のアルコキシ基であるか、又はフッ素を除くハロゲン基であり、R3がフェニル基、ベンジル基、又は水素原子の一部がフッ素原子に置換されている炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基であるモノアルコキシシラン。
(d)一般式(7)において、Yがメトキシ基又はエトキシ基であって、R4がメチレン基、エチレン基又はフェニレン基である化合物。
これらの中で、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、1,1,1-トリフルオロプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
分散液中のダイヤモンド微粒子の含有量は、好ましくは0.1〜50グラム/L、より好ましくは0.3〜40グラム/L、特に好ましくは0.5〜30グラム/Lである。第四級アンモニウム塩の含有量は、好ましくは0.1〜100ミリモル/L、より好ましくは1〜100ミリモル/L、特に好ましくは5〜80ミリモル/Lである。
ダイヤモンド微粒子及び第四級アンモニウム塩を含有させる順序は特に制限はない。例えば、(i)溶液を撹拌しながら第四級アンモニウム塩、ダイヤモンド微粒子の順に投入する、(ii)溶液を撹拌しながらダイヤモンド微粒子と第四級アンモニウム塩を同時に投入する、(iii) ダイヤモンド微粒子、第四級アンモニウム塩の投入後に撹拌する等の方法を採用することができるが、これらの中では(i)の方法が好ましい。
ダイヤモンド微粒子及び第四級アンモニウム塩を含有する溶液には、複合シリカ粒子の形成を阻害しない限り、その他の成分として、陽イオン界面活性剤等の界面活性剤、有機化合物、無機化合物等の他の成分を添加してもよく、前記のように、シリカや有機基以外の他の元素を担持したい場合は、それらの金属を含有するアルコキシ塩やハロゲン化塩等の金属原料を製造時又は製造後に添加することもできる。
工程(II)
工程(I)で得られた分散液に、加水分解によりシラノール化合物を生成するシリカ源を0.1〜100ミリモル/Lの濃度となるように加える工程である。シリカ源の含有量は、好ましくは0.1〜100ミリモル/L、より好ましくは1〜100ミリモル/L、特に好ましくは5〜80ミリモル/Lである。
工程(III)
工程(II)で得られた分散液を10〜100℃、好ましくは10〜80℃の温度で所定時間撹拌した後、静置することで、ダイヤモンド微粒子の表面に、第四級アンモニウム塩とシリカ源によりメソ細孔構造が形成され、内部にダイヤモンド微粒子を包含した複合シリカ粒子を含む水分散液が得られる。撹拌処理時間は温度によって異なるが、通常10〜80℃で0.1〜24時間で行う。
複合シリカ粒子は、水中に懸濁した状態で得られる。用途によってはこれをそのまま使用することもできるが、好ましくは複合シリカ粒子を分離して使用する。分離方法としては、濾過法、遠心分離法等を採用することができる。
複合シリカ粒子は、通常陽イオン界面活性剤等を含む状態で得られるが、酸性溶液と1回又は複数回接触させる(例えば、複合シリカ粒子を酸性水溶液中で混合する)ことにより陽イオン界面活性剤を除去することができる。用いる酸性溶液としては、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;酢酸、クエン酸等の有機酸;陽イオン交換樹脂等を水やエタノール等に加えた液が挙げられるが、塩酸が特に好ましい。pHは通常1.5〜5.0に調整される。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
(1) グラファイト-ダイヤモンド粒子粉末の作製
TNT(トリニトロトルエン)とRDX(シクロトリメチレントリニトロアミン)を60/40の比で含む0.65 kgの爆発物を3 m3の爆発チャンバー内で爆発させて生成するBDを保存するための雰囲気を形成した後、同様の条件で2回目の爆発を起こしBDを合成した。爆発生成物が膨張し熱平衡に達した後、15 mmの断面を有する超音速ラバルノズルを通して35秒間ガス混合物をチャンバーより流出させた。チャンバー壁との熱交換及びガスにより行われた仕事(断熱膨張及び気化)のため、生成物の冷却速度は280℃/分であった。サイクロンで捕獲した生成物(黒色の粉末、BD)の比重は2.55 g/cm3、メジアン径(動的光散乱法)は220 nmであった。このBDは比重から計算して、76容積%のグラファイト系炭素と24容積%のダイヤモンドからなっていると推定された。
このBDを60質量%硝酸水溶液と混合し、(B)酸化性分解処理を160℃、14気圧、20分の条件で行った後、(C)酸化性エッチング処理を130℃、13気圧、1時間で行った。酸化性エッチング処理により、BDからグラファイトが一部除去され、グラファイト-ダイヤモンド粒子となった。以下(D)中和[アンモニアを使用し、210℃、20気圧、20分還流した。]、(E)傾斜による分離、(F)洗浄[35質量%硝酸で洗浄]、(G)遠心分離、及び(I)乾燥し、グラファイト-ダイヤモンドの粉末Aを得た。この粉末Aの比重は3.38 g/cm3であり、メジアン径は130 nm(動的光散乱法)であった。比重から計算して、90容積%のグラファイト系炭素と10容積%のダイヤモンドからなっていると推定された。
(2)硝酸による酸化処理
得られたグラファイト-ダイヤモンド粒子(粉末A)は、図3に示す装置を用いて超臨界状態で酸化処理した。この装置は、ハステロイ(登録商標)製オートクレーブ31(容量10 mL)と、これを加熱する炉32とを具備し、オートクレーブ31には、内容物の温度を検出するための温度計36と、管40とが挿入されている。管40は三方継手41を介して、一方はオートクレーブ31内の圧力を制御する背圧制御器33に接続されており、もう一方は超純水タンク38に接続されている。背圧制御器33は、背圧制御弁と、圧力センサとを具備し、三方継手41と背圧制御器33との間には、冷却コイル34が設けられており、背圧制御器33の後段には廃液容器35が設けられている。三方継手41と超純水タンク38との間には、超純水を送液するポンプ39が設けられている。背圧制御器33及び温度計36にはコンピュータ37が接続されており、背圧制御器33及び温度計36でそれぞれ検出した、オートクレーブ31内の圧力及び温度をコンピュータ37により記録することができる。
2.1質量%の粉末Aの水分散液と、13.4 Nの硝酸(61質量%、比重1.38、和光純薬工業株式会社製)とを体積比9:1で混合した反応液(7 mL)を、前記オートクレーブ31に入れ、管40及び温度計36を取り付け、炉32内に設置した。オートクレーブ31内の圧力が30 MPaに到達するまで、タンク38から超純水を0.5 mL/分の流量で送液した後、超純水の流量を0.1 mL/分に下げ、昇温を開始した。三方継手41から排出されたグラファイト等の不純物を含む水がオートクレーブ31に逆流するのを防止するために、超純水の流量を0.1 mL/分に保持しながら、オートクレーブ31内を30 MPaの圧力、及び374〜500℃の温度に3.5時間保持することにより、前記グラファイト-ダイヤモンド粒子を硝酸で超臨界処理した。超純水の流量を0.1 mL/分に保持したまま室温まで冷却した後、大気圧まで減圧し、精製されたナノダイヤモンドを含む液を回収した。
前記精製されたナノダイヤモンドを含む液は、自然沈降させデカンテーションにより3回水洗し、更に遠心分離により脱水し、120℃で加熱乾燥し、ダイヤモンド微粒子Aを得た。デカンテーションを繰り返すことにより、粒径の小さなナノサイズダイヤモンドは除去され、比較的粗大な凝集粒子が回収された。得られたダイヤモンド微粒子Aのメジアン径は3.5μm、比重は3.46 g/cm3であった。この比重から算出した組成は、ダイヤモンド97体積%及びグラファイト3体積%であった。
(3)ダイヤモンド微粒子Aを含有する液体組成物
97質量部の水に、0.01質量部のナフタレンスルホン酸系分散剤(デモールN;花王(株)製)、0.02質量部のドデシルベンゼンスルホン酸塩の分散剤(ネオペレックスG-65;花王(株)製)、0.01質量部のアクリル系分散剤(ジュリマー60;日本純薬(株))を溶解させた溶液に、1.6質量部のダイヤモンド微粒子Aを加え、超音波分散機(UH600;SMT(株)製)にて出力ゲージ5、ポンプゲージ16(流速4 g/s)、冷却水温度10℃で30分間分散させた。その後、分散液をディスパー撹絆機により周速1.6 m/sで撹絆しながら0.8質量部(固形分)のウレタン系樹脂の水系分散液(ハイドランHW171;大目本インキ化学工業(株)製)を添加し、更に5分間撹拌し、液体組成物Aを得た。液体組成物A中のダイヤモンド微粒子Aのメジアン径は2.1μmであった。
(4)ダイヤモンド微粒子Aを含有する光散乱板
この液体組成物Aをアクリル板にディップ法により塗布及び乾燥し、光散乱板を作製した。
実施例2
(1)ビーズミルによる分散処理
実施例1で得られたグラファイト-ダイヤモンドの粉末Aをビーズミルにより分散処理した。ビーズミルによる分散は、アシザワファインテック株式会社製スターミルLMZを用いて行った。243 gの粉末Aを水/トリエチレングリコール(50:50の容量比)に分散して5質量%の水分散液を調製し、ディゾルバーで予備分散した。0.1 mm径のジルコニアビーズを0.15 Lのベッセルに充填し、10 m/sの周速で回転子を回転させながら、前記粉末Aの分散液を0.12 L/minで供給し、連続的に分散処理を行った。約2.0 h分散処理した後のグラファイト-ダイヤモンドの粉末Aはメジアン径40 nmであった。
(2)酸素による酸化処理
ビーズミルによって分散処理した粉末Aの2.0質量%水分散液30 mLを、オートクレーブ(容量50 mL、SUS316製)に入れ、酸素導入管、温度計及び調圧弁を有する蓋で密封し、炉内に設置した。オートクレーブ内の空気を酸素で置換した後、オートクレーブ内が1.0 MPa(ゲージ圧)の圧力となるように、室温で酸素を導入した。オートクレーブを平均昇温速度6.5℃/分で昇温し、400±5℃の温度及び24.8±1 MPaの圧力で1時間保持した。オートクレーブを室温まで冷却した後、大気圧まで減圧し、精製されたナノダイヤモンドを含む液を回収した。この液は、上澄みと薄い灰色を呈する精製ナノダイヤモンドの沈殿とに分離していた。
前記精製されたナノダイヤモンドを含む液は、濾過膜を通し1μmの粗大な粒子を除去した後、遠心分離により脱水し、水で再分散させる操作を3回行うことにより水洗し、更に遠心分離により脱水し、120℃で加熱乾燥し、ダイヤモンド微粒子Bを得た。得られたダイヤモンド微粒子Bのメジアン径は350 nmであり、比重は3.48 g/cm3であった。この比重から算出した組成は、ダイヤモンド98体積%及びグラファイト2体積%であった。
(3) ダイヤモンド微粒子Bを内包する複合シリカ粒子
ダイヤモンド微粒子Bのコアとシリカのシェルとからなるダイヤモンド含有粒子を以下の方法により作製した。100 mlのステンレス容器に、20 gのメタノール、0.35 gのドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、2 gのダイヤモンド微粒子Bのイソプロパノール分散液(15質量%)を添加した。その分散液に5 mM水酸化ナトリウム水溶液60 gを加え、1分間撹拌後、テトラメトキシシラン0.34 gをゆっくりと加え、5時間撹拌後、12時間静置し熟成させた。得られた白色沈殿物をろ別し、水洗、乾燥の後、1℃/分の速度で600℃まで昇温したのち、2時間600℃で焼成し、ダイヤモンド微粒子Bをシリカで内包したダイヤモンド含有シリカ粒子を得た。このダイヤモンド含有シリカ粒子は、メジアン径0.9μmであった。
(4) ダイヤモンド含有シリカ粒子を含有する液体組成物及び光散乱板
このダイヤモンド含有シリカ粒子を用いて、実施例1と同様にして液体組成物を作製し、この液体組成物をアクリル板にディップ法により塗布及び乾燥し、光散乱板を作製した。
1・・・ダイヤモンド微粒子
2・・・シェル
11・・・基板
12・・・透明薄膜層
31・・・オートクレーブ
32・・・加熱炉
33・・・背圧制御器
34・・・冷却コイル
35・・・廃液容器
36・・・温度計
37・・・コンピュータ
38・・・超純水タンク
39・・・ポンプ
40・・・管
41・・・三方継手

Claims (8)

  1. 2個以上のダイヤモンド微粒子を含有する粒径0.1〜50μmの粒子であって、前記ダイヤモンド微粒子が、爆射法で得られたグラファイト相を有するナノダイヤモンドを、酸化性化合物を含有する、水及び/又はアルコールからなる超臨界流体中で酸化処理することにより得られたものであることを特徴とするダイヤモンド含有粒子。
  2. 2個以上のダイヤモンド微粒子を含有する粒径0.1〜50μmの粒子であって、前記ダイヤモンド微粒子が、爆射法で得られたグラファイト相を有するナノダイヤモンドを、酸素を共存させた、水及び/又はアルコールからなる溶媒中で、前記溶媒の標準沸点以上の温度及び0.1 MPa(ゲージ圧)以上の圧力で、酸化処理することにより得られたものであることを特徴とするダイヤモンド含有粒子。
  3. 請求項1又は2に記載のダイヤモンド含有粒子において、前記ダイヤモンド含有粒子が有機ポリマー又はシリカからなる粒子に前記ダイヤモンド微粒子を含有してなることを特徴とするダイヤモンド含有粒子。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のダイヤモンド含有粒子を含有する光散乱板であって、基板と、前記基板上に設けた透明薄膜層とを有し、前記透明薄膜層に前記ダイヤモンド含有粒子が固定されていることを特徴とする光散乱板。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のダイヤモンド含有粒子と、バインダーとを含有する液体組成物。
  6. 2個以上のダイヤモンド微粒子を含有する粒径0.1〜50μmの粒子を製造する方法であって、グラファイト相を有するナノサイズダイヤモンドを爆射法により得る工程、及び前記グラファイト相を有するナノサイズダイヤモンドを水及び/又はアルコールからなる超臨界流体中で、酸化性化合物により酸化処理する工程を含むことを特徴とするダイヤモンド含有粒子の製造方法。
  7. 2個以上のダイヤモンド微粒子を含有する粒径0.1〜50μmの粒子を製造する方法であって、グラファイト相を有するナノサイズダイヤモンドを爆射法により得る工程、及び前記グラファイト相を有するナノサイズダイヤモンドを水及び/又はアルコールからなる溶媒に酸素を共存させて、前記溶媒の標準沸点以上の温度及び0.1 MPa(ゲージ圧)以上の圧力で酸化処理する工程を含むことを特徴とするダイヤモンド含有粒子の製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載の製造方法において、前記酸化処理の前に、前記グラファイト相を有するナノサイズダイヤモンドをメディア分散処理する工程を有することを特徴とするダイヤモンド含有粒子の製造方法。
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