JP7226321B2 - 近赤外線吸収繊維およびこれを用いた繊維製品、並びにそれらの製造方法 - Google Patents
近赤外線吸収繊維およびこれを用いた繊維製品、並びにそれらの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7226321B2 JP7226321B2 JP2019542303A JP2019542303A JP7226321B2 JP 7226321 B2 JP7226321 B2 JP 7226321B2 JP 2019542303 A JP2019542303 A JP 2019542303A JP 2019542303 A JP2019542303 A JP 2019542303A JP 7226321 B2 JP7226321 B2 JP 7226321B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fiber
- tungsten oxide
- fine particles
- composite tungsten
- oxide fine
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- D—TEXTILES; PAPER
- D01—NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
- D01F—CHEMICAL FEATURES IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED FOR THE MANUFACTURE OF CARBON FILAMENTS
- D01F1/00—General methods for the manufacture of artificial filaments or the like
- D01F1/02—Addition of substances to the spinning solution or to the melt
- D01F1/10—Other agents for modifying properties
-
- D—TEXTILES; PAPER
- D06—TREATMENT OF TEXTILES OR THE LIKE; LAUNDERING; FLEXIBLE MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- D06M—TREATMENT, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE IN CLASS D06, OF FIBRES, THREADS, YARNS, FABRICS, FEATHERS OR FIBROUS GOODS MADE FROM SUCH MATERIALS
- D06M11/00—Treating fibres, threads, yarns, fabrics or fibrous goods made from such materials, with inorganic substances or complexes thereof; Such treatment combined with mechanical treatment, e.g. mercerising
- D06M11/32—Treating fibres, threads, yarns, fabrics or fibrous goods made from such materials, with inorganic substances or complexes thereof; Such treatment combined with mechanical treatment, e.g. mercerising with oxygen, ozone, ozonides, oxides, hydroxides or percompounds; Salts derived from anions with an amphoteric element-oxygen bond
- D06M11/36—Treating fibres, threads, yarns, fabrics or fibrous goods made from such materials, with inorganic substances or complexes thereof; Such treatment combined with mechanical treatment, e.g. mercerising with oxygen, ozone, ozonides, oxides, hydroxides or percompounds; Salts derived from anions with an amphoteric element-oxygen bond with oxides, hydroxides or mixed oxides; with salts derived from anions with an amphoteric element-oxygen bond
- D06M11/48—Oxides or hydroxides of chromium, molybdenum or tungsten; Chromates; Dichromates; Molybdates; Tungstates
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A41—WEARING APPAREL
- A41D—OUTERWEAR; PROTECTIVE GARMENTS; ACCESSORIES
- A41D13/00—Professional, industrial or sporting protective garments, e.g. surgeons' gowns or garments protecting against blows or punches
- A41D13/002—Professional, industrial or sporting protective garments, e.g. surgeons' gowns or garments protecting against blows or punches with controlled internal environment
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Textile Engineering (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Artificial Filaments (AREA)
- Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
- Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
- Socks And Pantyhose (AREA)
- Outerwear In General, And Traditional Japanese Garments (AREA)
- Outer Garments And Coats (AREA)
- Professional, Industrial, Or Sporting Protective Garments (AREA)
Description
当該保温効果を高める方法には、大別して2通りの方法ある。第1の方法は、例えば上述した防寒衣料において織り編みの構造を制御したり、用いられる繊維を中空や多孔質にしたりする等して、当該防寒衣料における空気層を物理的に多くし、人体から発生する熱の放散性を減少させて保温性を維持する方法である。第2の方法は、例えば上述した防寒衣料において、当該衣料全体または防寒衣料を構成する繊維ヘ化学的・物理的な加工を施して、人体から発生する熱を再び人体へ向けて輻射したり、当該防寒衣料が受けた太陽光の一部を熱に変換するなどの積極的な方法により熱を蓄熱し、保温性を向上させる方法である。
金属等を含有させた近赤外線放射特性を有するシリカ等の無機微粒子を調製し、当該無機微粒子を含有した近赤外線放射性繊維を製造した場合、当該無機微粒子の繊維に対する添加量が多くなる。この結果、当該繊維の比重が高くなるため衣服が重くなったり、当該無機微粒子を溶融紡糸中に均一に分散させることが極めて困難になったりする等の問題点があった。
一般に、自由電子を含む材料は、太陽光線の領域周辺である波長200nmから2600nmの電磁波に対しプラズマ振動による反射吸収応答を示すことが知られている。そして、当該材料の粉末を光の波長より小さい微粒子とすると、可視光領域(波長380nmから780nm)の幾何学散乱が低減されて、可視光領域の透明性を得られることが知られている。尚、本発明において「透明性」とは、可視光領域の光に対して散乱が少なく透過性が高いという意味で用いている。
近赤外線吸収特性を有する複合タングステン酸化物微粒子を、表面および/または内部に含有する繊維であって、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶の結晶構造を含む複合タングステン酸化物微粒子であり、
前記複合タングステン酸化物微粒子の格子定数は、a軸が7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸が7.5600Å以上7.6240Å以下であり、
前記複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径が100nm以下であることを特徴とする近赤外線吸収繊維である。
第2の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の格子定数は、a軸が7.4031Å以上7.4111Å以下、c軸が7.5891Å以上7.6240Å以下であることを特徴とする第1の発明に記載の近赤外線吸収繊維である。
第3の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径が、10nm以上100nm以下であることを特徴とする第1または第2の発明に記載の近赤外線吸収繊維である。
第4の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の結晶子径が、10nm以上100nm以下であることを特徴とする第1から第3の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維である。
第5の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybから選択される1種類以上の元素で、Wはタングステン、Oは酸素で、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子であることを特徴とする第1から第4の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維である。
第6の発明は、
前記M元素が、Cs、Rbから選択される1種類以上の元素であることを特徴とする第5の発明に記載の近赤外線吸収繊維である。
第7の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の含有量が、前記繊維の固形分に対して0.001質量%以上80質量%以下であることを特徴とする第1から第6の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維である。
第8の発明は、
第1から第7の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維の表面および/または内部ヘ、さらに遠赤外線放射物質の微粒子を含有させた繊維であって、
当該遠赤外線放射物質の微粒子の含有量が、当該繊維の固形分に対して0.001質量%以上80質量%以下であることを特徴とする近赤外線吸収繊維である。
第9の発明は、
前記繊維が、合成繊維、半合成繊維、天然繊維、再生繊維、無機繊維、または、これらの繊維の混紡、合糸、混繊による混合糸のいずれか、から選択される繊維であることを特徴とする第1から第8の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維である。
第10の発明は、
前記合成繊維が、ポリウレタン繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリエーテルエステル系繊維の、いずれかから選択される合成繊維であることを特徴とする第9の発明に記載の近赤外線吸収繊維である。
第11の発明は、
前記半合成繊維が、セルロース系繊維、タンパク質系繊維、塩化ゴム、塩酸ゴムの、いずれかから選択される半合成繊維であることを特徴とする第9または第10の発明に記載の近赤外線吸収繊維である。
第12の発明は、
前記天然繊維が、植物繊維、動物繊維、鉱物繊維の、いずれかから選択される天然繊維であることを特徴とする第9から第11の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維である。
第13の発明は、
前記再生繊維が、セルロース系繊維、タンパク質系繊維、アルギン繊維、ゴム繊維、キチン繊維、マンナン繊維の、いずれかから選択される再生繊維であることを特徴とする第9から第12の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維である。
第14の発明は、
前記無機繊維が、金属繊維、炭素繊維、けい酸塩繊維の、いずれかから選択される無機繊維であることを特徴とする第9から第13の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維である。
第15の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の表面が、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムの、いずれかから選択される1種類以上の元素を含む表面被覆膜により、被覆されていることを特徴とする第1から第14の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維である。
第16の発明は、
前記表面被覆膜が、酸素原子を含有することを特徴とする第15の発明に記載の近赤外線吸収繊維である。
第17の発明は、
第1から第16の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維の加工物であることを特徴とする繊維製品である。
第18の発明は、
近赤外線吸収特性を有する複合タングステン酸化物微粒子を、表面および/または内部に含有する繊維の製造方法であって、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶の結晶構造を含む複合タングステン酸化物微粒子であり、
前記複合タングステン酸化物微粒子を、その格子定数がa軸は7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸は7.5600Å以上7.6240Å以下の範囲となるように製造し、
前記複合タングステン酸化物微粒子において前記格子定数の範囲を保ちながら、平均粒子径を100nm以下とする粉砕・分散処理工程を行うことを特徴とする近赤外線吸収繊維の製造方法である。
第19の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybから選択される1種類以上の元素で、Wはタングステン、Oは酸素で、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子であることを特徴とする第18の発明に記載の近赤外線吸収繊維の製造方法である。
第20の発明は、
前記M元素が、Cs、Rbから選択される1種類以上の元素であることを特徴とする第19の発明に記載の近赤外線吸収繊維の製造方法である。
第21の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の含有量を、前記繊維の固形分に対して0.001質量%以上80質量%以下とするとを特徴とする第18から第20の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維の製造方法である。
第22の発明は、
第18から第21の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維の表面および/または内部ヘ、さらに遠赤外線放射物質の微粒子を含有させる近赤外線吸収繊維の製造方法であって、
当該遠赤外線放射物質の微粒子の含有量を、前記繊維の固形分に対して0.001質量%以上80質量%以下とすることを特徴とする近赤外線吸収繊維の製造方法である。
第23の発明は、
前記繊維として、
合成繊維、半合成繊維、天然繊維、再生繊維、無機繊維、
または、合成繊維、半合成繊維、天然繊維、再生繊維、無機繊維から選択される2種類以上の繊維の混紡による混合糸、或いは、前記2種類以上の繊維の合糸による混合糸、或いは、前記2種類以上の繊維の混繊による混合糸、
から選択されるいずれかの繊維を用いることを特徴とする第18から第22の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維の製造方法である。
第24の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の表面の少なくとも一部を、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムの、いずれかから選択される1種類以上の元素を含有する表面被覆膜により被覆することを特徴とする第18から第23の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維の製造方法である。
第25の発明は、
前記表面被覆膜が、酸素原子を含有することを特徴とする第24の発明に記載の近赤外線吸収繊維の製造方法である。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子と、当該複合タングステン酸化物微粒子を各種の繊維へ含有させて後述する近赤外線吸収繊維を製造する為に用いる複合タングステン酸化物微粒子分散液とについて、[a]複合タングステン酸化物微粒子の性状、[b]複合タングステン酸化物微粒子の合成方法、[c]複合タングステン酸化物微粒子分散液、の順で説明する。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、近赤外線吸収特性を有し、六方晶の結晶構造を含む複合タングステン酸化物微粒子であり、当該六方晶の複合タングステン酸化物の格子定数は、a軸が7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸が7.5600Å以上7.6240Å以下を有するものである。そして、(c軸の格子定数/a軸の格子定数)に係る比の値が、1.0221以上、1.0289以下であることが好ましいものである。また、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、その平均粒子径が100nm以下のものである。
以下、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子について、(1)結晶構造と格子定数、(2)粒子径および結晶子、(3)複合タングステン酸化物微粒子の組成、(4)複合タングステン酸化物微粒子の表面被覆、(5)まとめ、の順に説明する。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、六方晶以外に、正方晶、立方晶のタングステンブロンズの構造を取るが、いずれの構造をとるときも近赤外線吸収材料として有効である。しかしながら、当該複合タングステン酸化物微粒子がとる結晶構造によって、近赤外線領域における吸収位置が変化する傾向がある。即ち、近赤外線領域の吸収位置は、立方晶よりも正方晶のときが長波長側に移動し、六方晶のときは正方晶のときよりも、さらに長波長側へ移動する傾向がある。また、当該吸収位置の変動に付随して、可視光線領域の光の吸収は六方晶が最も少なく、次に正方晶であり、立方晶はこの中では最も大きい。
この六角形の空隙にM元素の陽イオンが添加されて存在するとき、近赤外線領域の吸収が向上する。ここで、一般的には、イオン半径の大きなM元素を添加したとき当該六方晶が形成され、具体的には、Cs、Rb、K、Tl、In、Baから選択される1種類以上を添加したとき六方晶が形成され易く好ましい。
さらに、これらイオン半径の大きなM元素のうちでもCs、Rbから選択される1種類以上を添加した複合タングステン酸化物微粒子においては、近赤外線領域の吸収と可視光線領域の透過との両立が達成できる。
尚、M元素として2種類以上を選択し、その内の1つをCs、Rb、K、Tl、Ba、Inから選択し、残りを、M元素を構成する1以上の元素から選択した場合にも、六方晶となることがある。
M元素としてRbを選択したRbタングステン酸化物微粒子の場合、その格子定数は、a軸が7.3850Å以上7.3950Å以下、c軸が7.5600Å以上7.5700Å以下であることが好ましい。
M元素としてCsとRbとを選択したCsRbタングステン酸化物微粒子の場合、その格子定数は、a軸が7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸が7.5600Å以上7.6240Å以下であることが好ましい。
尤も、M元素が上記CsやRbに限定される訳ではない。M元素がCsやRb以外の元素であっても、WO6単位で形成される六角形の空隙に添加M元素として存在すれば良い。
即ち、当該自由電子量を増加させる方策として、当該複合タングステン酸化物微粒子へ機械的な処理を加え、含まれる六方晶へ適宜な歪や変形を付与することに想到したものである。当該適宜な歪や変形を付与された六方晶においては、結晶子構造を構成する原子における電子軌道の重なり状態が変化し、自由電子の量が増加するものと考えられる。
さらなる研究の結果、当該各々の粒子間における格子定数や構成元素組成のばらつきにも拘わらず、最終的に得られる複合タングステン酸化物微粒子において、その格子定数が所定の範囲内にあれば、所望の光学特性を発揮することを知見した。
そして当該研究の結果、六方晶の複合タングステン酸化物微粒子において、a軸が7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸が7.5600Å以上7.6240Å以下であるとき、当該微粒子は、波長350nm~600nmの範囲に極大値を有し、波長800nm~2100nmの範囲に極小値を有する光の透過率を示し、優れた近赤外線吸収効果を発揮する複合タングステン酸化物微粒子であるとの知見を得た。
複合タングステン酸化物微粒子が、アモルファス相の体積比率50%以下の単結晶であると、格子定数を上述した所定の範囲内に維持しながら、結晶子径を10nm以上100nm以下とすることができ、優れた光学的特性を発揮することができるものと考えられる。
さらに、アモルファス相は各微粒子外周部に存在する場合が多いので、各微粒子外周部に着目することで、アモルファス相の体積比率を算出可能な場合が多い。例えば、真球状の複合タングステン酸化物微粒子において、格子縞が不明瞭なアモルファス相が当該微粒子外周部に層状に存在する場合、その平均粒子径の10%以下の厚さであれば、当該複合タングステン酸化物微粒子におけるアモルファス相の体積比率は、50%以下である。
なお、複合タングステン酸化物微粒子の結晶構造や格子定数の測定は、近赤外線吸収体形成用分散液の溶媒を除去して得られる複合タングステン酸化物微粒子に対し、X線回折法により当該微粒子に含まれる結晶構造を特定し、リートベルト法を用いることにより格子定数としてa軸長およびc軸長を算出することが出来る。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、その平均粒子径が100nm以下のものである。そして、より優れた赤外線吸収特性を発揮させる観点から、当該平均粒子径は10nm以上100nm以下であるのが好ましく、より好ましくは10nm以上80nm以下、さらに好ましくは10nm以上60nm以下である。平均粒子径が10nm以上60nm以下の範囲であれば、最も優れた赤外線吸収特性が発揮される。
ここで、平均粒子径とは凝集していない個々の複合タングステン酸化物微粒子がもつ径の値であり、後述する複合タングステン酸化物微粒子分散体に含まれる複合タングステン酸化物微粒子の粒子径である。
一方、当該平均粒子径は、複合タングステン酸化物微粒子の凝集体の径を含むものではなく、分散粒子径とは異なるものである。
複合タングステン酸化物微粒子分散体に含まれる複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径は、断面加工で取り出した複合タングステン酸化物微粒子分散体の薄片化試料の透過型電子顕微鏡像から、複合タングステン酸化物微粒子100個の粒子径を、画像処理装置を用いて測定し、その平均値を算出することで求めることが出来る。当該薄片化試料を取り出すための断面加工には、ミクロトーム、クロスセクションポリッシャ、集束イオンビーム(FIB)装置等を用いることが出来る。尚、複合タングステン酸化物微粒子分散体に含まれる複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径とは、マトリックスである固体媒体中で分散している複合タングステン酸化物微粒子の粒子径の平均値である。
この結果、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液や複合タングステン酸化物微粒子を含む複合タングステン酸化物微粒子分散体においても本発明の効果は発揮される。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で表記される、複合タングステン酸化物微粒子であることが好ましい。
一般式MxWyOz中のM元素、x、y、zおよびその結晶構造は、複合タングステン酸化物微粒子の自由電子密度と密接な関係があり、近赤外線吸収特性に大きな影響を及ぼす。
ここで本発明者らは、当該タングステン酸化物へ、M元素(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種以上の元素)を添加して複合タングステン酸化物とすることで、当該複合タングステン酸化物中に自由電子が生成され、近赤外線領域に自由電子由来の吸収特性が発現し、波長1000nm付近の近赤外線吸収材料として有効なものとなること、且つ、当該複合タングステン酸化物は化学的に安定な状態を保ち、耐候性に優れた近赤外線吸収材料として有効なものとなることを知見したものである。さらに、M元素は、Cs、Rb、K、Tl,Ba、Inが好ましいこと、なかでも、M元素がCs、Rbであると、当該複合タングステン酸化物が六方晶構造を取り易くなる。この結果、可視光線を透過し、近赤外線を吸収し、熱に変換することから、後述する理由により特に好ましいことも知見したものである。尚、M元素として2種類以上を選択し、その内の1つをCs、Rb、K、Tl、Ba、Inから選択し、残りはM元素を構成する1以上の元素から選択した場合にも、六方晶となることがある。
x/yの値が0.001以上であれば、十分な量の自由電子が生成され目的とする近赤外線吸収特性を得ることが出来る。そして、M元素の添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、近赤外線吸収特性も上昇するが、x/yの値が1程度で当該効果も飽和する。また、x/yの値が1以下であれば、複合タングステン微粒子に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。
一般式MxWyOzで示される複合タングステン酸化物微粒子において、z/yの値は、2.0≦z/y≦3.0であることが好ましく、より好ましくは2.2≦z/y≦3.0であり、さらに好ましくは2.6≦z/y≦3.0、最も好ましくは2.7≦z/y≦3.0である。このz/yの値が2.0以上であれば、当該複合タングステン酸化物中に目的以外であるWO2の結晶相が現れるのを回避することが出来ると伴に、材料としての化学的安定性を得ることが出来るので、有効な赤外線吸収材料として適用できるためである。一方、このz/yの値が3.0以下であれば、当該タングステン酸化物中に必要とされる量の自由電子が生成され、効率よい赤外線吸収材料となる。
複合タングステン酸化物微粒子の耐候性を向上させるために、複合タングステン酸化物微粒子の表面の少なくとも一部をケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムから選択される1種類以上の元素を含む表面被覆膜により、被覆することも好ましい。これらの表面被覆膜は基本的に透明であり、添加することで複合タングステン酸化物微粒子の可視光透過率を低下させることがないため、繊維の意匠性を損なうことがない。被覆方法は特に限定されないが、当該複合タングステン酸化物料微粒子を分散した溶液中へ、上記元素を含む金属のアルコキシドを添加することで、複合タングステン酸化物微粒子の表面を被覆することが可能である。この場合、前記表面被覆膜は酸素原子を含有するが、当該表面被覆膜が酸化物で構成されていることが好ましい。
以上、詳細に説明した、複合タングステン酸化物微粒子の格子定数や平均粒子径、結晶子径は、所定の合成条件によって制御可能である。具体的には、後述する熱プラズマ法や固相反応法などにおいて、当該微粒子が生成される際の温度(焼成温度)、生成時間(焼成時間)、生成雰囲気(焼成雰囲気)、前駆体原料の形態、生成後のアニール処理、不純物元素のドープなどの合成条件の適宜な設定によって制御可能である。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の合成方法について説明する。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の合成方法としては、熱プラズマ中にタングステン化合物の出発原料を投入する熱プラズマ法や、タングステン化合物出発原料を還元性ガス雰囲気中で熱処理する固相反応法が挙げられる。熱プラズマ法や固相反応法で合成された複合タングステン酸化物微粒子は、分散処理または粉砕・分散処理される。
以下、(1)熱プラズマ法、(2)固相反応法、(3)合成された複合タングステン酸化物微粒子、の順に説明する。
熱プラズマ法について(i)熱プラズマ法に用いる原料、(ii)熱プラズマ法とその条件、の順に説明する。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を熱プラズマ法で合成する際には、タングステン化合物と、M元素化合物との混合粉体を原料として用いることができる。
タングステン化合物としては、タングステン酸(H2WO4)、タングステン酸アンモニウム、六塩化タングステン、アルコールに溶解した六塩化タングステンに水を添加して加水分解した後溶媒を蒸発させたタングステンの水和物、から選ばれる1種以上であることが好ましい。
上述したタングステン化合物と上述したM元素化合物とを含む水溶液とを、M元素とW元素の比が、MxWyOz(但し、Mは前記M元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.0、2.0≦z/y≦3.0)のM元素とW元素の比となるように湿式混合する。そして、得られた混合液を乾燥することによって、M元素化合物とタングステン化合物との混合粉体が得られる、そして、当該混合粉体は、熱プラズマ法の原料とすることが出来る。
本発明で用いる熱プラズマとして、例えば、直流アークプラズマ、高周波プラズマ、マイクロ波プラズマ、低周波交流プラズマ、のいずれか、または、これらのプラズマの重畳したもの、または、直流プラズマに磁場を印加した電気的な方法により生成するプラズマ、大出力レーザーの照射により生成するプラズマ、大出力電子ビームやイオンビームにより生成するプラズマ、が適用出来る。尤も、いずれの熱プラズマを用いるにしても、10000~15000Kの高温部を有する熱プラズマであり、特に、微粒子の生成時間を制御できるプラズマであることが好ましい。
先ず、真空排気装置により、水冷石英二重管内と反応容器6内とで構成される反応系内を、約0.1Pa(約0.001Torr)まで真空引きする。反応系内を真空引きした後、今度は、当該反応系内をアルゴンガスで満たし、1気圧のアルゴンガス流通系とする。
その後、反応容器内にプラズマガスとして、アルゴンガス、アルゴンとヘリウムの混合ガス(Ar-He混合ガス)、またはアルゴンと窒素の混合ガス(Ar-N2混合ガス)から選択されるいずれかのガスを、プラズマガス供給ノズル4から30~45L/minの流量で導入する。一方、プラズマ領域のすぐ外側に流すシースガスとしてAr-He混合ガスを、シースガス供給ノズル3から60~70L/minの流量で導入する。
そして、高周波コイル2に交流電流をかけて、高周波電磁場(周波数4MHz)により熱プラズマ1を発生させる。このとき、高周波電力は30~40kWとする。
キャリアガス流量と原料供給速度は、微粒子の生成時間に大きく影響する。そこで、キャリアガス流量を6L/min以上9L/min以下とし、原料供給速度を25~50g/minとするのが好ましい。
固相反応法について(i)固相反応法に用いる原料、(ii)固相反応法における焼成とその条件、の順に説明する。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を固相反応法で合成する際には、原料としてタングステン化合物およびM元素化合物を用いる。
タングステン化合物は、タングステン酸(H2WO4)、タングステン酸アンモニウム、六塩化タングステン、アルコールに溶解した六塩化タングステンに水を添加して加水分解した後、溶媒を蒸発させたタングステンの水和物、から選ばれる1種以上であることが好ましい。
また、より好ましい実施形態である一般式MxWyOz(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、Ba、Inから選択される1種類以上の元素、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で示される複合タングステン酸化物微粒子の原料の合成に用いるM元素化合物には、M元素の酸化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、炭酸塩、から選ばれる1種以上であることが好ましい。
当該湿式混合で合成したM元素化合物とタングステン化合物との混合粉体、もしくは不純物元素化合物を含むM元素化合物とタングステン化合物との混合粉体を、不活性ガス単独または不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下、1段階で焼成する。焼成温度は複合タングステン酸化物微粒子が結晶化し始める温度に近いことが好ましく、具体的には焼成温度が1000℃以下であることが好ましく、800℃以下であることがより好ましく、800℃以下500℃以上の温度範囲がさらに好ましい。
尤も、当該複合タングステン酸化物微粒子の合成において、前記タングステン化合物に替えて、三酸化タングステンを用いても良い。
熱プラズマ法や固相反応法による合成法で得られた複合タングステン酸化物微粒子を用いて、後述する複合タングステン酸化物微粒子分散液を作製した場合、当該分散液に含有されている微粒子の分散粒子径が200nmを超える場合は、後述する複合タングステン酸化物微粒子分散液を製造する工程において、粉砕・分散処理すればよい。そして、粉砕・分散処理を経て得られた複合タングステン酸化物微粒子の粒子径、結晶子径、格子定数のa軸長やc軸長の値が本発明の範囲を実現できていれば、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子やその分散液から得られる複合タングステン酸化物微粒子分散体は、優れた近赤外線吸収特性を実現できるのである。
上述した工程で得られた複合タングステン酸化物微粒子を、各種の繊維へ含有させて後述する近赤外線吸収繊維を製造する為に用いる複合タングステン酸化物微粒子分散液について説明する。
複合タングステン酸化物微粒子分散液は、前記合成方法で得られた複合タングステン酸化物微粒子と、水、有機溶媒、液状樹脂、プラスチック用の液状可塑剤、高分子単量体またはこれらの混合物から選択される混合スラリーの液状媒体、および適量の分散剤、カップリング剤、界面活性剤等を、媒体攪拌ミルで粉砕、分散させたものである。
そして、当該溶媒中における当該微粒子の分散状態が良好で、その分散粒子径が1~200nmであることを特徴とする。また、該複合タングステン酸化物微粒子分散液に含有されている複合タングステン酸化物微粒子の含有量が、0.01質量%以上80質量%以下であることが好ましい。
以下、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液について、(1)用いられる溶媒、(2)用いられる分散剤、(3)粉砕・分散方法、(4)分散粒子径、(5)バインダー、その他の添加剤、の順に説明する。
複合タングステン酸化物微粒子分散液に用いられる液状溶媒は特に限定されるものではなく、複合タングステン酸化物微粒子分散液の塗布条件、塗布環境、および、適宜添加される無機バインダーや樹脂バインダーなどに合わせて適宜選択すればよい。例えば、液状溶媒は、水、有機溶媒、油脂、液状樹脂、媒体樹脂用の液状可塑剤、高分子単量体、または、これらの混合物などである。
なかでも、トリエチレングリコールジヘキサネート、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-オクタネート、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノネート等のトリエチレングリコールの脂肪酸エステルが好適である。トリエチレングリコールの脂肪酸エステルが望ましい。
さらに、当該複合タングステン酸化物微粒子分散液中における複合タングステン酸化物微粒子の分散安定性を一層向上させ、再凝集による分散粒子径の粗大化を回避するために、各種の分散剤、界面活性剤、カップリング剤などの添加も好ましい。当該分散剤、カップリング剤、界面活性剤は用途に合わせて選定可能であるが、アミンを含有する基、水酸基、カルボキシル基、または、エポキシ基を官能基として有するものであることが好ましい。これらの官能基は、複合タングステン酸化物微粒子の表面に吸着して凝集を防ぎ、赤外線吸収膜中においても本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を均一に分散させる効果を持つ。これらの官能基のいずれかを分子中にもつ高分子系分散剤がさらに望ましい。
日本ルーブリゾール社製、SOLSPERSE(登録商標)(以下同じ)3000、5000、9000、11200、12000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000SC、24000GR、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、32600、33000、33500、34750、35100、35200、36600、37500、38500、39000、41000、41090、53095、55000、56000、71000、76500、J180、J200、M387等;
SOLPLUS(登録商標)(以下同じ)D510、D520、D530、D540、DP310、K500、L300、L400、R700等;
ビックケミー・ジャパン社製、Disperbyk(登録商標)(以下同じ)-101、102、103、106、107、108、109、110、111、112、116、130、140、142、145、154、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、191、192、2000、2001、2009、2020、2025、2050、2070、2095、2096、2150、2151、2152、2155、2163、2164;
Anti-Terra(登録商標)(以下同じ)-U、203、204等;
BYK(登録商標)(以下同じ)-P104、P104S、P105、P9050、P9051、P9060、P9065、P9080、051、052、053、054、055、057、063、065、066N、067A、077、088、141、220S、300、302、306、307、310、315、320、322、323、325、330、331、333、337、340、345、346、347、348、350、354、355、358N、361N、370、375、377、378、380N、381、392、410、425、430、1752、4510、6919、9076、9077、W909、W935、W940、W961、W966、W969、W972、W980、W985、W995、W996、W9010、Dynwet800、Siclean3700、UV3500、UV3510、UV3570等;
エフカアディデブズ社製、EFKA(登録商標)(以下同じ)2020、2025、3030、3031、3236、4008、4009、4010、4015、4046、4047、4060、4080、7462、4020、4050、4055、4300、4310、4320、4400、4401、4402、4403、4300、4320、4330、4340、5066、5220、6220、6225、6230、6700、6780、6782、8503;
BASFジャパン社製、JONCRYL(登録商標)(以下同じ)67、678、586、611、680、682、690、819、-JDX5050等;
大塚化学社製、TERPLUS(登録商標)(以下同じ) MD1000、D 1180、D 1130等;
味の素ファインテクノ社製、アジスパー(登録商標)(以下同じ)PB-711、PB-821、PB-822等;
楠本化成社製、ディスパロン(登録商標)(以下同じ)1751N、1831、1850、1860、1934、DA-400N、DA-703-50、DA-325、DA-375、DA-550、DA-705、DA-725、DA-1401、DA-7301、DN-900、NS-5210、NVI-8514L等;
東亞合成社製、アルフォン(登録商標)(以下同じ)UC-3000、UF-5022、UG-4010、UG-4035、UG-4070等;が挙げられる。
複合タングステン酸化物微粒子の分散液への分散方法は、当該微粒子を分散液中において、凝集させることなく均一に分散できる方法であれば特に限定されない。当該粉砕・分散方法として、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザーなどの装置を用いた粉砕・分散処理方法が挙げられる。その中でも、ビーズ、ボール、オタワサンドといった媒体メディアを用いる、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー等の媒体攪拌ミルで粉砕、分散させることは、所望とする分散粒子径に要する時間が短いことから好ましい。
媒体攪拌ミルを用いた粉砕・分散処理によって、複合タングステン酸化物微粒子の分散液中への分散と同時に、複合タングステン酸化物微粒子同士の衝突や媒体メディアの該微粒子への衝突などによる微粒子化も進行し、複合タングステン酸化物微粒子をより微粒子化して分散させることができる(即ち、粉砕・分散処理される。)。
120℃以下の沸点を有する有機溶剤として、具体的にはトルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸ブチル、イソプロピルアルコール、エタノールが挙げられる。尤も、沸点が120℃以下で近赤外線吸収機能を発揮する微粒子を均一に分散可能なものであれば、任意に選択できる。但し、当該有機溶剤を添加した場合は、分散完了後に乾燥処理を実施し、複合タングステン酸化物微粒子分散体の一例として後述する近赤外線吸収用中間膜中に残留する有機溶剤を5質量%以下とすることが好ましい。近赤外線吸収用中間膜の残留溶媒が5質量%以下であれば、後述する赤外線吸収合わせ構造体において気泡が発生せず、外観や光学特性が良好に保たれるからである。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液中における、複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径は、200nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、分散粒子径が200nm以下10nm以上である。これは、複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径が10~200nmであれば、幾何学散乱またはミー散乱によって波長380nm~780nmの可視光線領域の光を散乱することがないので、曇り(ヘイズ)が減少し、可視光透過率の増加を図ることが出来るからである。さらに、レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に比例して低減するため、分散粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上する。そこで、分散粒子径が200nm以下となると散乱光は非常に少なくなり、結果的に衣料等繊維資材において複合タングステン酸化物微粒子に起因する着色が生じ難くなり好ましい。
尚、複合タングステン酸化物微粒子分散液の分散粒子径と、近赤外線吸収繊維を構成する糸等に分散された複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径とが異なる場合がある。これは、複合タングステン酸化物微粒子分散液中では複合タングステン酸化物微粒子が凝集している場合がある為である。そして、当該複合タングステン酸化物微粒子分散液を用いて、近赤外線吸収繊維を構成する糸等が製造・加工される際に、複合タングステン酸化物微粒子の凝集が解されるからである。ただし、複合タングステン酸化物微粒子分散液の分散粒子径が小さいほど、近赤外線吸収繊維の分散粒子径も小さくなる傾向にあるため、複合タングステン酸化物微粒子分散液の分散粒子径を制御することは後工程で得られる近赤外線吸収繊維の特性を制御する上で重要となる。
尚、上述した複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径とは、複合タングステン酸化物微粒子の凝集体の径を含む概念であり、上述した本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の粒子径とは異なる概念である。
また、上記分散粒子径が200nm以下であれば後の紡糸や延伸などの繊維化工程時でフィルターへの目塞がりや糸切れ等の可紡性を回避できる。また、たとえ紡糸を行なうことができても、延伸工程で糸切れ等の問題が生じ、しかも、紡糸原料中に粒子が均一に混合、分散しにくくなる場合もあるので、当該観点からも分散粒子径は200nm以下であることが好ましい。
当該複合タングステン酸化物微粒子分散液には、適宜、樹脂バインダーから選ばれる1種以上を含有させることができる。当該複合タングステン酸化物微粒子分散液に含有させる樹脂バインダーの種類は特に限定されるものではないが、樹脂バインダーとしては、近赤外線吸収繊維の原料ポリマーもちろん、原料ポリマーとの相溶等を考慮してアクリル樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが適用できる。
複合タングステン酸化物微粒子分散液には、公知の紫外線吸収剤や有機物の公知の赤外線吸収材やリン系の着色防止剤を添加してもよい。
更には、遠赤外線を放射する能力を有する微粒子を添加してもよい。例えば、ZrO2、SiO2、TiO2、Al2O3、MnO2、MgO、Fe2O3、CuO等の金属酸化物、ZrC、SiC、TiC等の炭化物、ZrN、Si3N4、AlN等の窒化物等を挙げることができる。
本発明に係る近赤外線吸収繊維について説明する。
近赤外線吸収繊維は、上記の合成方法で得られた複合タングステン酸化物微粒子を適宜な媒体中に分散させて、当該分散物を繊維の表面および/または内部に含有させたものである。
そして、複合タングステン酸化物微粒子の含有量が、繊維の固形分に対して0.001質量%以上80質量%以下であることを特徴とする。
以下、本発明に係る近赤外線吸収繊維について、(1)用いられる繊維、(2)繊維中への複合タングステン酸化物微粒子分散方法、(3)添加剤、(4)本発明に係る近赤外線吸収繊維、の順に説明する。
本発明に使用される繊維は、用途に応じて各種選択可能であり、合成繊維、半合成繊維、天然繊維、再生繊維、無機繊維、または、これらの混紡、合糸、混繊等による混合糸のいずれを使用してもかまわない。さらに、複合タングステン酸化物微粒子を簡便な方法で繊維内に含有させることや、保温持続性を考慮すると、合成繊維が好ましい。
また例えば、アクリル系繊維として、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-塩化ビニル共重合体、モダクリル等が挙げられる。
また例えば、ポリエステル系繊維として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
また例えば、ポリオレフィン系繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等が挙げられる。
また例えば、ポリビニルアルコール系繊維として、ビニロン等が挙げられる。
また例えば、ポリ塩化ビニリデン系繊維として、ビニリデン等が挙げられる。
また例えば、ポリ塩化ビニル系繊維として、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
また例えば、ポリエーテルエステル系繊維として、レクセ、サクセス等が挙げられる。
本発明に使用される繊維が半合成繊維である場合は、例えば、セルロース系繊維、タンパク質系繊維、塩化ゴム、塩酸ゴム等が挙げられる。
また例えば、セルロース系繊維として、アセテート、トリアセテート、酸化アセテート等が挙げられる。
また例えば、タンパク質繊維として、プロミックス等が挙げられる。
本発明に使用される繊維が天然繊維である場合は、例えば、植物繊維、動物繊維、鉱物繊維等が挙げられる。
また例えば、植物繊維としては、綿、カポック、亜麻、大麻、黄麻、マニラ麻、サイザル麻、ニュージーランド麻、羅布麻、やし、いぐさ、麦わら等が挙げられる。
また例えば、動物繊維として、羊毛、やぎ毛、モヘヤ、カシミヤ、アルパカ、アンゴラ、キャメル、ビキューナ等のウール、シルク、ダウン、フェザー等が挙げられる。
また例えば、鉱物繊維として、石綿、アスベスト等が挙げられる。
本発明に使用される繊維が再生繊維である場合は、例えば、セルロース系繊維、タンパク質系繊維、アルギン繊維、ゴム繊維、キチン繊維、マンナン繊維等が挙げられる。
また例えば、セルロース系繊維として、レーヨン、ビスコースレーヨン、キュプラ、ポリノジック、銅アンモニアレーヨン等が挙げられる。
また例えば、タンパク質系繊維として、カゼイン繊維、落花生タンパク繊維、とうもろこしタンパク繊維、大豆タンパク繊維、再生絹糸等が挙げられる。
本発明に使用される繊維が無機繊維である場合は、例えば、金属繊維、炭素繊維、けい酸塩繊維等が挙げられる。
また例えば、金属繊維として、金属繊維、金糸、銀糸、耐熱合金繊維等が挙げられる。
また例えば、けい酸塩繊維として、ガラス繊維、鉱さい繊維、岩石繊維等が挙げられる。
本発明に用いられる繊維の表面および/または内部へ、複合タングステン酸化物微粒子を均一に含有させる方法は特に限定されない。例えば、(a)合成繊維の原料ポリマーへ、複合タングステン酸化物微粒子を直接混合して紡糸する方法、(b)あらかじめ原料ポリマーの一部へ前記複合タングステン酸化物微粒子を高濃度に含有せしめたマスターバッチを製造し、これを紡糸時に所定の濃度に希釈調整してから紡糸する方法、(c)前記複合タングステン酸化物微粒子を、あらかじめ原料モノマーまたはオリゴマー溶液中に均一に分散させておき、この分散溶液を用いて目的とする原料ポリマーを合成すると同時に、当該複合タングステン酸化物微粒子を均一に原料ポリマー中に分散せしめた後、紡糸する方法、(d)あらかじめ紡糸して得られた繊維の表面へ、前記複合タングステン酸化物微粒子を、結合剤などを用いて付着させる方法などが挙げられる。
以上説明した、本発明に使用される繊維へ複合タングステン酸化物微粒子を均一に含有させる(a)~(d)の各方法について、具体的な例を挙げ説明する。
例えば、繊維としてポリエステル繊維を用いる場合、熱可塑性樹脂であるポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットへ、「[1]複合タングステン酸化物微粒子[d]複合タングステン酸化物微粒子分散液」にて説明した複合タングステン酸化物微粒子分散液を添加し、ブレンダーで均一に混合した後、溶媒を除去する。当該溶媒を除去した混合物を二軸押出機で溶融混練し、複合タングステン酸化物微粒子を含有するマスターバッチを得る。得られた複合タングステン酸化物微粒子を含有するマスターバッチと、微粒子無添加のポリエチレンテレフタレートよりなるマスターバッチの目的量とを、当該樹脂の溶融温度付近で溶融混合する。そして、当該混合された樹脂を常法にしたがって紡糸する方法である。
予め調製しておいた複合タングステン酸化物微粒子を含有するマスターバッチを用いる以外は、上述した(a)と同様にして、複合タングステン酸化物微粒子を含有するマスターバッチと、例えば、微粒子無添加のポリエチレンテレフタレートよりなるマスターバッチの目的量とを、樹脂の溶融温度付近で溶融混合する。そして、当該混合された樹脂を常法にしたがって紡糸する方法である。
当該マスターバッチの製造方法は特に限定されないが、「[1]複合タングステン酸化物微粒子[d]複合タングステン酸化物微粒子分散液」にて説明した複合タングステン酸化物微粒子分散液と、熱可塑性樹脂の粉粒体またはペレットと、必要に応じて他の添加剤とを、リボブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、プラネタリーミキサー等を用いて混合し、混合物を得る。当該混合物を、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、一軸押出機、二軸押出機等の混練機を使用して溶剤を除去しながら均一に溶融混合することで、熱可塑性樹脂に微粒子を均一に分散した混合物としてマスターバッチを調製することが出来る。
さらに異なる方法として、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の粉末を、直接、熱可塑性樹脂へ添加して均一に溶融混合し、熱可塑性樹脂に当該微粒子を均一に分散した混合物を製造することも出来る。
例えば、繊維としてウレタン繊維を用いる場合について説明する。
複合タングステン酸化物微粒子を含有した高分子ジオールと有機ジイソシアネートとを、二軸押出機内で反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを合成した後、ここへ鎖伸長剤を反応させてポリウレタン溶液(原料ポリマー)を製造する。当該ポリウレタン溶液を常法にしたがって紡糸すれば良い。
例えば、天然繊維の表面に複合タングステン酸化物微粒子を付着させる場合について説明する。
まず、「[1]複合タングステン酸化物微粒子[d]複合タングステン酸化物微粒子分散液」にて説明した複合タングステン酸化物微粒子分散液であって、アクリル・エポキシ・ウレタン・ポリエステルから選ばれた少なくとも1種のバインダー樹脂と、水などの溶媒と、を混合した処理液を調製する。次に、当該調製された処理液に当該天然繊維を浸漬させるか、調製された処理液をパディング、印刷またはスプレー等により当該天然繊維へ含浸させ、乾燥することで、当該天然繊維に複合タングステン酸化物微粒子を付着させれば良い。
尚、当該(d)の方法は、上述した天然繊維の他、半合成繊維、再生繊維、無機繊維、または、これらの混紡、合糸、混繊等のいずれにも適用することができる。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の単位重量あたりの近赤外線吸収能力は非常に高いので、ITOやATOと比較して、4~10分の1程度の使用量でその効果を発揮する。具体的には、繊維の表面および/または内部に含有される、複合タングステン酸化物微粒子の含有量は、0.001~80重量%の間であることが好ましい。さらに、複合タングステン酸化物微粒子添加後における繊維の重量や原料コストを考慮した場合は、0.005~50重量%の間であることが好ましい。複合タングステン酸化物微粒子の含有量が0.001重量%以上であれば、生地が薄くても十分な近赤外線吸収効果を得ることができ、80重量%以下であれば、紡糸工程でフィルターへの目塞がりや糸切れ等による可紡性の低下を回避できる。そして、繊維の物性を保つ観点からは、複合タングステン酸化物微粒子の添加量が少ない方が好ましい。当該観点からは、複合タングステン酸化物微粒子の含有量が50重量%以下であることがさらに好ましい。
本発明に係る近赤外線吸収繊維へは、当該繊維の性能を損なわない範囲内で、目的に応じて、酸化防止剤、難燃剤、消臭剤、防虫剤、抗菌剤、紫外線吸収剤等を含有させて使用することができる。
これに対し、遠赤外線を放射する能力を有する微粒子は、複合タングステン酸化物微粒子が吸収したエネルギーを受け取り、当該エネルギーを中・遠赤外線波長の熱エネルギーに転換、放射する能力を有している。例えば、ZrO2微粒子は、当該受け取ったエネルギーを波長2~20μmの熱エネルギーに転換して放射する。
従って、当該遠赤外線を放射する能力を有する微粒子が、複合タングステン酸化物微粒子と共に繊維内や表面で共存することにより、複合タングステン酸化物に吸収された太陽光エネルギーが近赤外線吸収繊維内部・表面で効率良く遠赤外線に変換され、より効果的な保温がなされる。
以上説明したように、本発明に係る近赤外線吸収繊維は、近赤外線吸収成分として複合タングステン酸化物微粒子を均一に繊維に含有させ、更には、遠赤外線を放射する微粒子をも均一に繊維に含有させたものである。
当該構成を有することで、本発明に係る近赤外線吸収繊維は、少量の複合タングステン酸化物微粒子の含有で太陽光などからの近赤外線を効率良く吸収し、保温性に優れた近赤外線吸収繊維を提供することを可能とした。また、耐候性が良く透明性に優れ低コストである。さらに、複合タングステン酸化物微粒子の添加量を少なくすることが可能である為、繊維製品自体の意匠性を損なうことがなく、強度や伸度などの繊維の基本的な物性を損なうことも回避できた。
この結果、本発明に係る近赤外線吸収繊維は、保温性を必要とする防寒用衣料、スポーツ用衣料、ストッキング、カーテン等の繊維製品やその他産業用繊維製品等の種々の用途に使用することができる。
また、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の結晶構造、格子定数、結晶子径の測定には、複合タングステン酸化物微粒子分散液から溶媒を除去して得られる複合タングステン酸化物微粒子を用いた。そして当該複合タングステン酸化物微粒子のX線回折パターンを、粉末X線回折装置(スペクトリス(株)PANalytical製X’Pert-PRO/MPD)を用いて粉末X線回折法(θ―2θ法)により測定した。得られたX線回折パターンから当該微粒子に含まれる結晶構造を特定し、さらにリートベルト法を用いて格子定数と結晶子径とを算出した。
水6.70kgに、炭酸セシウム(Cs2CO3)7.43kgを溶解して溶液を得た。当該溶液を、タングステン酸(H2WO4)34.57kgへ添加して十分撹拌混合した後、撹拌しながら乾燥した(WとCsとのモル比が1:0.33相当である。)。当該乾燥物を、N2ガスをキャリアーとした5容量%H2ガスを供給しながら加熱し、800℃の温度で5.5時間焼成した、その後、当該供給ガスをN2ガスのみに切り替えて、室温まで降温して複合タングステン酸化物粒子を得た。
また、当該複合タングステン酸化物微粒子分散液から溶媒を除去した後に得られた、複合タングステン酸化物微粒子の格子定数を測定したところ、a軸が7.4071Å、c軸が7.6188Åであった。また、結晶子径は24nmであった。そして、六方晶の結晶構造が確認された。以上の合成条件および測定結果を表1に示す。尚、表1には、後述する実施例2-21に係る合成条件および測定結果についても併せて記載する。
当該測定において、分光光度計の光の入射方向は測定用ガラスセルに垂直な方向とした。
さらに、当該測定用ガラスセルへ希釈溶媒であるトルエンのみを入れたブランク液においても光の透過率測定し、当該測定結果を光の透過率のベースラインとした。
得られた複合タングステン酸化物微粒子分散粉を、熱可塑性樹脂であるポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットに添加し、ブレンダーで均一に混合した後、当該混合物を二軸押出機で溶融混練して押し出し、当該押出されたストランドをペレット状にカットし、近赤外線吸収成分である複合タングステン酸化物微粒子を80重量%含有するマスターバッチを得た。
得られたマスターバッチと、同じ方法で調製した複合タングステン酸化物微粒子を添加していないポリエチレンテレフタレートのマスターバッチとを、重量比1:1で混合し、複合タングステン酸化物微粒子を40重量%含有した実施例1に係る混合マスターバッチを得た。
得られたポリエステルマルチフィラメント糸を切断してポリエステルステープルを作製し、これを用いて紡績糸を製造した。そして、この紡績糸を用いて保温性を有する実施例1に係る近赤外線吸収繊維であるニット製品試料を得た(ここで、作製されたニット製品試料の日射反射率は8%となるように調整した。尚、当該ニット製品試料における日射反射率の8%への調整は、後述する実施例および比較例の全てで行った。)。
日射吸収率(%)=100%-日射透過率(%)-日射反射率・・・・・(式)
算出された日射吸収率は52.2%であった。ニット製品試料の製造条件および測定結果を表2に示す。尚、表2には、後述する実施例2-21に係る製造条件および測定結果についても併せて記載する。
20℃、60%RH環境下において、太陽光線近似スペクトルランプ(セリック(株)製ソーラーシミュレータXL-03E50改)を、当該ニット製品の生地から30cmの距離より照射し、一定時間毎(0秒、30秒、60秒、180秒、360秒、600秒)の、当該生地裏面の温度を放射温度計(ミノルタ(株)製HT-11)にて測定した。この測定結果を表3に示す。尚、表3には、後述する実施例2-21に係る測定結果についても併せて記載する。
実施例1において、タングステン酸と炭酸セシウムとを、もしくは、メタタングステン酸アンモニウム水溶液(WO3換算で50質量%)と炭酸セシウムとを、WとCsとのモル比が1:0.21~0.37となるように所定量を秤量した以外は、実施例1と同様に操作した。そして、実施例2~11に係る複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散液と複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散粉と混合マスターバッチとを得た。さらに、当該複合タングステン酸化物微粒子分散粉と混合マスターバッチとを用いて、実施例1と同様の操作により、実施例2~11に係る近赤外線吸収繊維であるポリエステルマルチフィラメント糸とニット製品試料とを得て、これらの特性を測定した。尚、いずれの複合タングステン酸化物微粒子試料も、六方晶の結晶構造が確認された。実施例2~11に係る合成条件、製造条件と測定結果とを、表1~3に示す。
実施例1にて説明した複合タングステン酸化物微粒子の合成において、N2ガスをキャリアーとした5%H2ガスを供給しながら550℃の温度で9.0時間焼成した以外は、実施例1と同様に操作した。そして、実施例12に係る複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散液と複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散粉と混合マスターバッチとを得た。さらに、当該複合タングステン酸化物微粒子分散粉と混合マスターバッチとを用いて、実施例1と同様の操作により、実施例12に係る近赤外線吸収繊維であるポリエステルマルチフィラメント糸とニット製品試料とを得て、これらの特性を測価した。尚、複合タングステン酸化物微粒子試料には、六方晶の結晶構造が確認された。当該合成条件と製造条件と測定結果とを表1~3に示す。
熱可塑性樹脂としてナイロン6樹脂ペレットを使用した以外は、実施例1と同様の操作で、複合タングステン酸化物微粒子を30質量%含有したナイロン6のマスターバッチを調製した。当該マスターバッチと、実施例1と同様の操作で調製した複合タングステン酸化物微粒子を添加していないナイロン6のマスターバッチとを、重量比1:1で混合し、複合タングステン酸化物微粒子を15重量%含有した実施例13に係る混合マスターバッチを得た。
実施例13に係る混合マスターバッチを溶融紡糸し、続いて延伸を行ない、実施例13に係る近赤外線吸収繊維であるナイロンマルチフィラメント糸を製造した。得られたマルチフィラメント糸を切断してナイロンステープルを作製し、これを用いて紡績糸を製造した。この紡績糸を用いて保温性を有するナイロン繊維製品試料を製造した。製造した混合マスターバッチとナイロンマルチフィラメント糸とナイロン繊維製品試料とを、実施例1と同様の方法で測定した。当該合成条件と製造条件と測定結果とを表1~3に示す。
熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂ペレットを使用した以外は、実施例1と同様の操作で、複合タングステン酸化物微粒子を50質量%含有したポリアクリロニトリルのマスターバッチを作製した。当該マスターバッチと、実施例1と同様の操作で調製した複合タングステン酸化物微粒子を添加していないポリアクリロニトリルのマスターバッチとを、重量比1:1で混合し、複合タングステン酸化物微粒子を25質量%含有した実施例14に係る混合マスターバッチを得た。
実施例14に係る混合マスターバッチを紡糸し、続いて延伸を行ない、実施例14に係る近赤外線吸収繊維であるアクリルマルチフィラメント糸を製造した。得られたマルチフィラメント糸を切断してアクリルステープルを作製し、これを用いて紡績糸を製造した。この紡績糸を用いて保温性を有するアクリル繊維製品試料を製造した。製造した混合マスターバッチとアクリルマルチフィラメント糸とアクリル繊維製品試料とを、実施例1と同様の方法で測定した。当該合成条件と製造条件と測定結果とを表1~3に示す。
実施例1に係る複合タングステン酸化物微粒子を30質量%含有したポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG2000)と、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートとを反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを調製した。次に、当該プレポリマーへ、鎖伸長剤として、1,4-ブタンジオールと3-メチル-1,5-ペンタンジオールとを反応させて重合を行ない、熱可塑性ポリウレタン溶液を製造した。
得られた熱可塑性ポリウレタン溶液を紡糸原液として紡糸し、続いて当該紡糸の延伸を行ない、実施例15に係る近赤外線吸収繊維であるポリウレタン弾性繊維を得た。このポリウレタン弾性繊維を用いて保温性を有するウレタン繊維製品試料を製造した。製造したポリウレタン弾性繊維とウレタン繊維製品試料とを、実施例1と同様の方法で測定した。当該合成条件と製造条件と測定結果とを表1~3に示す。
実施例1に係る方法と同様にして複合タングステン酸化物微粒子を得た。その後、得られた微粒子10質量部と、平均粒径65nmのZrO2微粒子15質量部と、トルエン70質量部と、分散剤a15質量部とを混合してスラリーを調製した。このスラリーに対し、実施例1と同様の粉砕分散処理を施し、実施例16に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液を得た。当該複合タングステン酸化物微粒子分散液へ、実施例1と同様の操作を行い、複合タングステン酸化物微粒子分散粉と混合マスターバッチとを得た。さらに、実施例1と同様の操作を行い、実施例16に係る近赤外線吸収繊維であるポリエステルマルチフィラメント糸とニット製品試料とを製造して特性を測定した。尚、複合タングステン酸化物微粒子試料には、六方晶の結晶構造が確認された。当該合成条件と製造条件と評価結果とを表1~3に示す。
水6.70kgに、炭酸ルビジウム(Rb2CO3)5.56kgを溶解して、溶液を得た。当該溶液を、タングステン酸(H2WO4)36.44kgに添加して十分撹拌混合した後、撹拌しながら乾燥して、実施例17に係る乾燥物を得た(WとRbとのモル比は、1:0.33相当である。)。
実施例1において、タングステン酸と炭酸セシウムとを、WとCsのモル比が1:0.11(比較例1)、1:0.15(比較例2)、1:0.39(比較例3)となるように所定量秤量した以外は実施例1と同様に操作した。そして、比較例1~3に係る複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散液と複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散粉と混合マスターバッチとを得た。さらに、実施例1と同様に操作して、比較例1~3に係る近赤外線吸収繊維であるポリエステルマルチフィラメント糸とニット製品試料とを得て特性を測定した。当該合成条件と製造条件と測定結果とを表4~6に示す。
実施例1において、タングステン酸と炭酸セシウムとを、WとCsのモル比が1:0.21(比較例4)、1:0.23(比較例5)となるように所定量秤量し、400℃の温度で5.5時間焼成した以外は実施例1と同様に操作した。そして、比較例4、5に係る複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散液と複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散粉と混合マスターバッチとを得た。さらに、実施例1と同様に操作して、比較例4、5に係る近赤外線吸収繊維であるポリエステルマルチフィラメント糸とニット製品試料とを得て特性を測定した。当該合成条件と製造条件と測定結果とを表4~6に示す。
実施例1に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液の製造において、ペイントシェーカーの回転速度を実施例1の0.8倍にしたことと、100時間粉砕・分散処理したこと以外は、実施例1と同様に操作した。そして、比較例6に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液と複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散粉と混合マスターバッチとを得た。さらに、実施例1と同様に操作して、比較例6に係る近赤外線吸収繊維であるポリエステルマルチフィラメント糸とニット製品試料とを得て特性を測定した。当該合成条件と製造条件と測定結果とを表4~6に示す。
実施例1に係る複合タングステン酸化物微粒子の製造において、N2ガスをキャリアーとした3容量%H2ガスを供給しながら440℃の温度で5.5時間焼成した以外は、実施例1と同様に操作した。そして、比較例7に係る複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散液と複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散粉と混合マスターバッチとを得た。さらに、実施例1と同様に操作して、比較例7に係る近赤外線吸収繊維であるポリエステルマルチフィラメント糸とニット製品試料とを得て特性を測定した。当該合成条件と製造条件と測定結果とを表4~6に示す。
実施例1に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液の製造において、複合タングステン酸化物微粒子10質量%と、分散剤a10質量%と、トルエン80質量%とを秤量し、10分間の超音波の振動で混合した以外は実施例1と同様にして、比較例8に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液と複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散粉と混合マスターバッチとポリエステルマルチフィラメント糸とニット製品試料とを得た。即ち、比較例8に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液に含まれる複合タングステン酸化物微粒子は粉砕されていないものである。
比較例8に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液と複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散粉と混合マスターバッチとポリエステルマルチフィラメント糸とニット製品試料との特性を測定した。当該合成条件と製造条件と測定結果とを表4~6に示す。
実施例1に係る複合タングステン酸化物微粒子の粉砕・分散処理において、ペイントシェーカーの回転速度を実施例1の1.15倍にしたことと、25時間粉砕・分散処理した以外は、実施例1と同様に操作した。そして、比較例9に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液と複合タングステン酸化物微粒子と複合タングステン酸化物微粒子分散粉と混合マスターバッチとを得た。さらに、実施例1と同様に操作して、比較例9に係る近赤外線吸収繊維であるポリエステルマルチフィラメント糸とニット製品試料とを得て特性を測定した。当該合成条件と製造条件と測定結果とを表4~6に示す。
実施例1~21に係る複合タングステン酸化物微粒子を用いて製造された近赤外線吸収繊維であるフィラメント糸は、表2に示すように優れた近赤外線吸収特性を発揮した。また、表3に示すように、当該実施例に係る各繊維製品の生地裏面温度は、表6に示す比較例に係る各繊維製品の生地裏面温度と比較して、平均で7℃以上も高くなり保温性に優れることが判明した。
2 高周波コイル
3 シースガス供給ノズル
4 プラズマガス供給ノズル
5 原料粉末供給ノズル
6 反応容器
7 吸引管
8 フィルター
Claims (20)
- 近赤外線吸収特性を有する複合タングステン酸化物微粒子を、表面および/または内部に含有する繊維であって、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、一般式MxWyOz(但し、M元素は、Cs、Rbから選択される1種類以上の元素で、Wはタングステン、Oは酸素で、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で表記され、六方晶の結晶構造を含む複合タングステン酸化物微粒子であり、
前記複合タングステン酸化物微粒子の格子定数は、a軸が7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸が7.5600Å以上7.6240Å以下であり、
前記複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径が100nm以下であり、
前記複合タングステン酸化物微粒子の結晶子径が、10nm以上100nm以下であることを特徴とする近赤外線吸収繊維。 - 前記複合タングステン酸化物微粒子の格子定数は、a軸が7.4031Å以上7.4111Å以下、c軸が7.5891Å以上7.6240Å以下であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収繊維。
- 前記複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径が、10nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線吸収繊維。
- 前記複合タングステン酸化物微粒子の含有量が、前記繊維の固形分に対して0.001質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維。
- 請求項1から4のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維の表面および/または内部ヘ、さらに遠赤外線放射物質の微粒子を含有させた繊維であって、
当該遠赤外線放射物質の微粒子の含有量が、当該繊維の固形分に対して0.001質量%以上80質量%以下であることを特徴とする近赤外線吸収繊維。 - 前記繊維が、合成繊維、半合成繊維、天然繊維、再生繊維、無機繊維、または、これらの繊維の混紡、合糸、混繊による混合糸、のいずれかから選択される繊維であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維。
- 前記合成繊維が、ポリウレタン繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリエーテルエステル系繊維のいずれか、から選択される合成繊維であることを特徴とする請求項6に記載の近赤外線吸収繊維。
- 前記半合成繊維が、セルロース系繊維、タンパク質系繊維、塩化ゴム、塩酸ゴムの、いずれかから選択される半合成繊維であることを特徴とする請求項6または7に記載の近赤外線吸収繊維。
- 前記天然繊維が、植物繊維、動物繊維、鉱物繊維の、いずれかから選択される天然繊維であることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維。
- 前記再生繊維が、セルロース系繊維、タンパク質系繊維、アルギン繊維、ゴム繊維、キチン繊維、マンナン繊維の、いずれかから選択される再生繊維であることを特徴とする請求項6から9のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維。
- 前記無機繊維が、金属繊維、炭素繊維、けい酸塩繊維の、いずれかから選択される無機繊維であることを特徴とする請求項6から10のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維。
- 前記複合タングステン酸化物微粒子の表面の少なくとも一部が、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムの、いずれかから選択される1種類以上の元素を含む表面被覆膜により、被覆されていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維。
- 前記表面被覆膜が、酸素原子を含有することを特徴とする請求項12に記載の近赤外線吸収繊維。
- 請求項1から13のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維の加工物であることを特徴とする繊維製品。
- 近赤外線吸収特性を有する複合タングステン酸化物微粒子を、表面および/または内部に含有する繊維の製造方法であって、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、一般式MxWyOz(但し、M元素は、Cs、Rbから選択される1種類以上の元素で、Wはタングステン、Oは酸素で、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で表記され、六方晶の結晶構造を含む複合タングステン酸化物微粒子であり、
前記複合タングステン酸化物微粒子を、その格子定数がa軸は7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸は7.5600Å以上7.6240Å以下の範囲となるように製造し、
前記複合タングステン酸化物微粒子において前記格子定数の範囲を保ちながら、平均粒子径を100nm以下、結晶子径を10nm以上100nm以下とする粉砕・分散処理工程を行うことを特徴とする近赤外線吸収繊維の製造方法。 - 前記複合タングステン酸化物微粒子の含有量を、前記繊維の固形分に対して0.001質量%以上80質量%以下とすることを特徴とする請求項15に記載の近赤外線吸収繊維の製造方法。
- 請求項15または16に記載の近赤外線吸収繊維の表面および/または内部ヘ、さらに遠赤外線放射物質の微粒子を含有させる近赤外線吸収繊維の製造方法であって、
当該遠赤外線放射物質の微粒子の含有量を、前記繊維の固形分に対して0.001質量%以上80質量%以下とすることを特徴とする近赤外線吸収繊維の製造方法。 - 前記繊維として、
合成繊維、半合成繊維、天然繊維、再生繊維、無機繊維、
または、合成繊維、半合成繊維、天然繊維、再生繊維、無機繊維から選択される2種類以上の繊維の混紡による混合糸、或いは、前記2種類以上の繊維の合糸による混合糸、或いは、前記2種類以上の繊維の混繊による混合糸、
から選択されるいずれかの繊維を用いることを特徴とする請求項15から17のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維の製造方法。 - 前記複合タングステン酸化物微粒子の表面の少なくとも一部を、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムの、いずれかから選択される1種類以上の元素を含有する表面被覆膜により被覆することを特徴とする請求項15から18のいずれかに記載の近赤外線吸収繊維の製造方法。
- 前記表面被覆膜が、酸素原子を含有することを特徴とする請求項19に記載の近赤外線吸収繊維の製造方法。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017176407 | 2017-09-14 | ||
JP2017176407 | 2017-09-14 | ||
PCT/JP2018/034172 WO2019054476A1 (ja) | 2017-09-14 | 2018-09-14 | 近赤外線吸収繊維およびこれを用いた繊維製品、並びにそれらの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2019054476A1 JPWO2019054476A1 (ja) | 2020-10-29 |
JP7226321B2 true JP7226321B2 (ja) | 2023-02-21 |
Family
ID=65722791
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019542303A Active JP7226321B2 (ja) | 2017-09-14 | 2018-09-14 | 近赤外線吸収繊維およびこれを用いた繊維製品、並びにそれらの製造方法 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7226321B2 (ja) |
TW (1) | TWI816696B (ja) |
WO (1) | WO2019054476A1 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109991133B (zh) * | 2019-05-17 | 2020-11-13 | 中国科学院化学研究所 | 一种纳米颗粒物化学组分检测系统及检测方法 |
TWI732556B (zh) * | 2020-05-18 | 2021-07-01 | 張文禮 | 奈米前處理長效功能性複合材料及其織物 |
JP2022101126A (ja) * | 2020-12-24 | 2022-07-06 | 共同印刷株式会社 | タングステン系赤外線吸収性顔料分散液、染色液、繊維製品、及び繊維製品の処理方法 |
EP4324963A1 (en) | 2021-04-16 | 2024-02-21 | Sumitomo Metal Mining Co., Ltd. | Infrared absorbing fiber and fiber product |
JP2023001491A (ja) * | 2021-06-21 | 2023-01-06 | 住友金属鉱山株式会社 | 抗菌材料、抗菌材料分散液、抗菌材料分散体、および、それらの製造方法 |
CN118056040A (zh) | 2021-10-07 | 2024-05-17 | 住友金属矿山株式会社 | 红外线吸收纤维、纤维制品 |
CN114540974A (zh) * | 2022-04-25 | 2022-05-27 | 天津包钢稀土研究院有限责任公司 | 一种红外蓄热功能纤维及其制备方法 |
WO2024080084A1 (ja) * | 2022-10-11 | 2024-04-18 | 住友金属鉱山株式会社 | 赤外線遮蔽繊維構造物とこれを用いた衣類 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006004925A1 (en) | 2004-06-28 | 2006-01-12 | Amgen Sf, Llc | Tetrahydroquinazolin-4(3h)-one-related and tetrahydropyrido[2,3-d]pyrimidin-4(3h)-one-related compounds, compositions and methods for their use |
WO2006049025A1 (ja) | 2004-11-08 | 2006-05-11 | Sumitomo Metal Mining Co., Ltd. | 近赤外線吸収繊維およびこれを用いた繊維製品 |
WO2013125563A1 (ja) | 2012-02-22 | 2013-08-29 | 住友金属鉱山株式会社 | 複合タングステン酸化物微粒子分散ポリカーボネート樹脂組成物およびそれを用いた熱線遮蔽成形体並びに熱線遮蔽積層体 |
JP2013173642A (ja) | 2012-02-24 | 2013-09-05 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子とその製造方法、および日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液、並びに日射遮蔽体 |
-
2018
- 2018-09-14 WO PCT/JP2018/034172 patent/WO2019054476A1/ja active Application Filing
- 2018-09-14 TW TW107132474A patent/TWI816696B/zh active
- 2018-09-14 JP JP2019542303A patent/JP7226321B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006004925A1 (en) | 2004-06-28 | 2006-01-12 | Amgen Sf, Llc | Tetrahydroquinazolin-4(3h)-one-related and tetrahydropyrido[2,3-d]pyrimidin-4(3h)-one-related compounds, compositions and methods for their use |
WO2006049025A1 (ja) | 2004-11-08 | 2006-05-11 | Sumitomo Metal Mining Co., Ltd. | 近赤外線吸収繊維およびこれを用いた繊維製品 |
WO2013125563A1 (ja) | 2012-02-22 | 2013-08-29 | 住友金属鉱山株式会社 | 複合タングステン酸化物微粒子分散ポリカーボネート樹脂組成物およびそれを用いた熱線遮蔽成形体並びに熱線遮蔽積層体 |
JP2013173642A (ja) | 2012-02-24 | 2013-09-05 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子とその製造方法、および日射遮蔽体形成用複合タングステン酸化物微粒子分散液、並びに日射遮蔽体 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2019054476A1 (ja) | 2019-03-21 |
TW201934493A (zh) | 2019-09-01 |
TWI816696B (zh) | 2023-10-01 |
JPWO2019054476A1 (ja) | 2020-10-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7226321B2 (ja) | 近赤外線吸収繊維およびこれを用いた繊維製品、並びにそれらの製造方法 | |
JP7353972B2 (ja) | 近赤外線吸収繊維とその製造方法、およびこれを用いた繊維製品 | |
JP4355945B2 (ja) | 近赤外線吸収繊維およびこれを用いた繊維製品 | |
US20110091720A1 (en) | Boride nanoparticle-containing fiber and textile product that uses the same | |
JP7363394B2 (ja) | 赤外線吸収繊維、繊維製品 | |
BR112018012241B1 (pt) | Partículas ultrafinas de óxido de tungstênio compósito, e, líquido de dispersão de partículas ultrafinas de óxido de tungstênio compósito | |
JP7151712B2 (ja) | 農園芸用覆土フィルムおよびその製造方法 | |
WO2022219808A1 (ja) | 赤外線吸収繊維、繊維製品 | |
JP2023019374A (ja) | 近赤外線吸収繊維、繊維製品、近赤外線吸収繊維の製造方法 | |
TW202242219A (zh) | 紅外線吸收纖維、纖維製品 | |
WO2023058694A1 (ja) | 赤外線吸収繊維、繊維製品 | |
JP2023151572A (ja) | 近赤外線吸収繊維、繊維製品、近赤外線吸収繊維の製造方法 | |
JP7067557B2 (ja) | 農園芸用覆土フィルムとその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210607 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220329 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220527 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20221011 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221130 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230110 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230123 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7226321 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |