本発明の実施例について以下に図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施例を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施例に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものを実質的に同様の内容を示している。
本発明にかかるパターン基板の欠陥修正装置について図1及び図2を用いて説明する。図1は欠陥修正装置の構成を模式的に示す上面図であり、図2は欠陥修正装置の構成を示す側面断面図である。6は基板、7はステージ、21は転写フィルムローダ、22はトラッシュ、31は架台、32はYレール、33はフレーム、34はXレール、35はリペアヘッド、36は可動レール、37は光源ヘッドである。ここでは、基板を液晶表示装置等の表示装置に用いられるカラーフィルタ基板として説明する。カラーフィルタ基板はR、G、Bの三色の着色層と着色層の間に設けられた遮光層とを備えている。本実施の形態にかかる欠陥修正装置は基板6の欠陥を光学的に検出し、検出した欠陥に対してフィルム転写方式で欠陥修正を行う。さらに、本実施の形態では、3580550号明細書に記載されているように、パルスレーザ光の照射によってマスクフィルムに開口部を設け、開口部が設けられたマスクフィルムを介して転写フィルムの転写層を熱転写方式で転写している。さらに本実施の形態では、マスクフィルムに対するレーザ光の照射位置をずらして、マスクフィルムの2以上の複数箇所にレーザ光を照射している。そして、レーザ光が照射された複数箇所に対応して設けられた開口部を介して欠陥を修正している。すなわち、レーザ光が照射された複数箇所に基づく開口部を介して修正を行っている。
架台31の上には、額縁状のフレーム33が設けられている。この額縁状のフレーム33の上に、透明なガラス板から構成されるステージ7が設けられる。すなわち、ステージ7の外周近傍がフレーム33によって支持される。フレーム33は架台31に対して固定され、ステージ7はフレーム33に対して固定されている。ステージ7の上には上面にカラーフィルタが作成された基板6が載置される。なお、ステージ7をX−Y−Zステージとしてもよい。
ステージ7の外側にはYレール32が設けられている。Yレール32はY方向に沿ってステージ7の両側に配設されている。この2本のYレール32の上にはXレール34が設けられている。Xレール34は基板6をまたぐよう、X方向に沿って設けられている。Xレール34にはリペアヘッド35が取り付けられている。リペアヘッド35はXレール34に対して移動可能に設けられている。これにより、リペアヘッド35がX方向に沿って移動する。リペアヘッド35には後述するように、欠陥を検出するための欠陥検出機構及び欠陥を修正するための欠陥修正機構が設けられている。
さらに、Xレール34はYレール32に対して移動可能に設けられている。これにより、Xレール34がY方向に移動する。従って、リペアヘッド35は基板6の上をXY方向に移動する。すなわち、リペアヘッド35をX方向に移動させ、リペアヘッド35が取り付けられたXレール34をY方向に移動させることで、リペアヘッド35を2次元的に移動させることができる。これにより、基板6全面に対して欠陥の検出及び修正を行うことができる。また、欠陥修正装置のフットプリントを小さくすることができるため、生産性を向上することができる。リペアヘッド35やXレール34の駆動は、ACサーボモータなどの公知の方法を用いて行なうことができる。
ステージ7の下側には、可動レール36が設けられている。可動レール36には、光源ヘッド37が取り付けられている。光源ヘッド37はリペアヘッド35と同様にXY方向に移動可能に設けられている。すなわち、光源ヘッド37はX方向に移動可能に設けられ、可動レール36がY方向に移動可能に設けられている。さらに、光源ヘッド37はリペアヘッド35の移動に追従して移動することが可能である。すなわち、リペアヘッド35が移動した場合、リペアヘッド35が移動した方向に同じ距離だけ、光源ヘッド37が移動する。これにより、XY平面において、光源ヘッド37がリペアヘッド35と同じ位置に移動する。光源ヘッド37には、透過照明用の照明光源と転写層の転写時に照射するUV光源とが設けられている。この光源ヘッド37については後述する。
基板6及びステージ7の外側には、転写フィルムローダ21が設けられている。転写フィルムローダ21はカラーフィルタのR、G、Bの着色層及び遮光層に対応して4つ設けられている。すなわち、欠陥修正装置には、Rの転写フィルムローダ21とGの転写フィルムローダ21とBの転写フィルムローダ21と遮光層(BM)用の黒の転写フィルムローダ21とが設けられている。転写フィルムローダ21は各色に対応した転写フィルムの断片を供給する。
転写フィルムローダ21の構成について図3を用いて説明する。図3は転写フィルムローダ21の構成を示す側面断面図である。転写フィルムローダ21は転写フィルム供給リール25を備えている。転写フィルム供給リール25には、転写フィルム18が巻きつけられている。転写フィルム18の転写層側の面には、転写層を保護するためのカバーフィルム18aが設けられている。すなわち、カバーフィルム18aが取り付けられた転写フィルム18が転写フィルム供給リール25に巻き付けられている。カバーフィルム18aの先端側は転写フィルム18から剥がされてカバーフィルム巻取りリール26に取り付けられている。カバーフィルム巻取りリール26にはモータなどの回転駆動機構が設けられている。カバーフィルム巻取りリール26を回転させることによって、カバーフィルム18aが徐々に転写フィルム18から剥がされながら巻き取られていく。
カバーフィルム巻取りリール26を回転させてカバーフィルム18aを巻き取っていくと、転写フィルム18が転写フィルム供給リール25から矢印の方向に送り出されていく。これにより、転写フィルム18がフィルムカッタ27の方向にフィードされる。転写フィルム18の先端側には、フィルムカッタ27が設けられている。フィルムカッタ27によって、送り出された転写フィルム18を切り取ることができる。このようにして、転写フィルム供給リール25から転写フィルム18の断片を切り出すことができる。転写フィルムは例えば、幅約10mmで長さ約30mm程度に切り出すことができる。転写フィルム18の断片は、修正する欠陥の大きさに応じて変化させてもよい。なお、フィルムカッタ27はリペアヘッド35に設けて、リペアヘッド35を駆動することによって転写フィルムローダ21の転写フィルム18を切断してもよい。このように転写フィルム供給リール25に巻きつけられた転写フィルム18のロールから断片が供給される。
欠陥修正装置には、上記の構成の転写フィルムローダ21がR、G、B及び遮光層に対応するよう4つ設けられている。すなわち、Rの転写フィルムローダ21には赤色に着色された転写層を有する転写フィルム18が転写フィルム供給リール25に巻きつけられている。同様にGの転写フィルムローダ21には緑色に着色された転写層を有する転写フィルム18が、Bの転写フィルムローダ21には青色に着色された転写層を有する転写フィルム18が、遮光層の転写フィルムローダ21には黒色に着色された転写層を有する転写フィルム18が転写フィルム供給リール25に巻き付けられている。
そして、リペアヘッド35を修正する着色層の色に対応する転写フィルムローダ21の上に移動する。リペアヘッド35は、転写フィルムローダ21によって切り出された転写フィルム18の断片を吸着して、保持する。そして、リペアヘッド35を欠陥位置まで移動させて、転写フィルムの断片を保持した状態のまま降下させる。これにより、転写フィルム18の断片が欠陥箇所の上に配置される。すなわち、転写フィルム18の断片が欠陥箇所の近傍に設置される。そして、リペアヘッド35に設けられた熱転写ロッドで転写フィルム18を欠陥箇所に加熱押圧する。次にマスクフィルム5及びフィルムホルダ42を上昇させ、転写フィルム18を基板6から剥離させる。これにより、転写フィルム18の転写層が欠陥箇所に転写され、欠陥を修正することができる。そして、トラッシュ22の上まで移動して、使用済みの転写フィルム18を解放する。使用済みの転写フィルム18をトラッシュ22の中に落下させることにより、トラッシュ22内に捨てることができる。なお、転写フィルムローダ21に設けられている1つの転写フィルム供給リール25に4つの転写フィルム18を巻きつけてもよい。この場合、転写フィルム供給リール25が幅広になるが、転写フィルムローダ21を1つにすることができる。
次に、リペアヘッド35及び光源ヘッド37の構成について図4及び図5を用いて説明する。図4はリペアヘッド35及び光源ヘッド37の構成を模式的に示す側面断面図である。図5はリペアヘッド35の構成を模式的に示す上面図である。まず、リペアヘッド35の構成に付いて説明する。リペアヘッド35にはマスクフィルム5が巻きつけられたマスクフィルムリール8と、ハロゲンランプ14と、光学系41と、フィルムホルダ42と、熱転写ロッド43と、マスクフィルム固定治具44と、ヒータロッド45と、高温ブロワ46と、筐体47と、マスクフィルム押し付けロッド48が設けられている。筐体47は、X方向に移動可能となるようXレール34に取り付けられている。筐体47にはマスクフィルムリール8と、光学系41と、フィルムホルダ42と、熱転写ロッド43と、マスクフィルム固定治具44と、ヒータロッド45と、高温ブロワ46と、マスクフィルム押し付けロッド48とが取り付けられ、これらは筐体47とともに移動する。すなわち、筐体47をXレールに対してスライドさせることにより、リペアヘッド35内の構造物がX方向に移動する。筐体47の下側、すなわち基板6側は、開放されている。リペアヘッド35内の構造物が欠陥検出及び欠陥修正のために基板6に対して、アクセス可能になっている。
基板6の上にはマスクフィルム5が設けられている。マスクフィルム5は、基板6と対向するように配設されている。マスクフィルム5はレーザアブレーションが容易な材質、や透明な材質を用いることができる。本実施の形態では例えば、約10μmのポリイミドを用いる。このマスクフィルム5に開口部を設け、開口部を介して転写フィルム18の転写層を基板6に転写させる。マスクフィルム5はマスクフィルムリール8に巻き付けられている。2つのマスクフィルムリール8の一方が巻き取り用のリールであり、他方が供給用のリールである。巻取り用のマスクフィルムリール8を回転させると、供給用のマスクフィルムリール8からマスクフィルム5が図5の矢印の方向に送り出される。これにより、マスクフィルム5の未使用部分が基板6の上に供給される。このマスクフィルム5を介して、欠陥の観察及び欠陥修正が行われる。マスクフィルム5はY方向に送り出される。すなわち、マスクフィルム5は、リペアヘッド35の移動方向と垂直な方向にフィードされる。
さらに、マスクフィルムリール8はリペアヘッド35の筐体47ではなく、Xレール34にクランプさせることが可能である。すなわち、マスクフィルムリール8をXレール34に固定するか、リペアヘッド35の筐体47に固定するかを選択することができる。マスクフィルムリール8をXレール34にクランプした場合、リペアヘッド35が移動しても、マスクフィルムリール8及びマスクフィルム5は基板6上の同じ位置のままで固定されている。欠陥修正時には、マスクフィルムリール8をXレール34に対してクランプさせ、マスクフィルムリール8の位置を固定する。検査時には、マスクフィルムリール8をリペアヘッド35にクランプして、リペアヘッド35の移動に応じて、マスクフィルム5を移動させる。なお、マスクフィルムリール8をXレール34に対してクランプさせた場合、マスクフィルムリール8を下方に移動させ、マスクフィルム5の位置が基板6に対して近くなるようにしてもよい。また、Xレール34にリペアヘッド35をクランプさせるためのアームを設けても良い。
マスクフィルム5の上にはマスクフィルム固定治具44が設けられている。このマスクフィルム固定治具44によるマスクフィルム5の固定方法について図6を用いて説明する。図6はマスクフィルム固定治具44及びマスクフィルム押し付けロッド48の構成を示す側面図である。なお、図6では、説明の明確化のため基板6について省略している。マスクフィルム固定治具44は図6に示すように上下方向に移動可能に設けられている。マスクフィルム固定治具44はマスクフィルム5を基板6に対して固定するクランパーである。欠陥修正時には、マスクフィルム固定治具44を下げて、マスクフィルム5を基板6に押し当てる。すなわち、マスクフィルム固定治具44の角度を変えて、マスクフィルム固定治具44の先端を下げてマスクフィルム5と基板6とを接触させる。このとき、マスクフィルム5にはマスクフィルムリール8の巻き取り用モータによってテンションが加わっている。これにより、マスクフィルム5が基板6に密着し、マスクフィルム5を基板6に対して固定することができる。欠陥を修正している間、マスクフィルム5の開口部の位置と欠陥の位置を一致させることができる。マスクフィルム5の開口部の両側に、マスクフィルム固定治具44を設けることが好ましい。また、マスクフィルム5を帯電させて静電気力により基板6に固定することも可能である。マスクフィルム固定治具44は、先端がシリコーンゴムとすることができる。
マスクフィルム固定治具44もマスクフィルムリール8と同様に、Xレール34に直接クランプさせることができる。マスクフィルム固定治具44をXレール34に固定するか、リペアヘッド35の筐体47に固定するかを選択することができる。マスクフィルム固定治具44をXレール34に直接クランプした場合、リペアヘッド35が移動しても、マスクフィルム固定治具44は基板6上の同じ位置のままで固定されている。転写フィルム18から転写層を転写している間は、マスクフィルムリール8及びマスクフィルム固定治具44をXレール34にクランプさせて、リペアヘッド35がX方向に移動しても基板6に対して移動しないようにする。なお、マスクフィルム固定治具44は、どちらに固定されている場合でも、上下方向(Z方向)に移動することができる。このように、マスクフィルム固定治具44及びマスクフィルムリール8をXレール34に固定する固定ユニット、及びリペアヘッド35に固定する固定ユニットを設ける。
上述のようにマスクフィルム固定治具44により、マスクフィルム5を基板6に設置したとき、マスクフィルム5と基板6との間に含まれる空気等を除去するマスクフィルム押し付けロッド48がリペアヘッド35に設けられている。マスクフィルム押し付けロッド48は上下方向に移動可能に設けられている。マスクフィルム押し付けロッド48は図6に示すように、マスクフィルム5が基板6に接触している状態で、欠陥修正箇所のマスクフィルム5を基板に対して押圧する。これにより、横方向から欠陥修正箇所の空気が抜けていく。具体的には、マスクフィルム5が基板6に固定している状態で、欠陥箇所の上にマスクフィルム押し付けロッド48が配置されるようにリペアヘッド35を移動させる。このとき、マスクフィルムリール8とマスクフィルム固定治具44はXレール34に直接ロックさせておく。そして、マスクフィルム押し付けロッド48を下方向に移動させて、欠陥箇所におけるマスクフィルム5と基板6とを密着させる。これにより、マスクフィルム5と基板6との間に空間がなくなり、空気を除去することができる。そして、マスクフィルム押し付けロッド48を上方向に移動させる。これにより、欠陥箇所における基板6とマスクフィルム5の間の気泡の発生を防ぐことができるため、転写による欠陥修正を確実に行うことができる。マスクフィルム押し付けロッド48は、先端をシリコーンゴムなどの弾性体とすることが好ましい。
図4に示すようリペアヘッド35にはさらにハロゲンランプ14が設けられている。ハロゲンランプ14は転写後の転写層を加熱する。これについては後述する。光学系41には、反射照明を行うための光源と、欠陥検出を行なうための2次元光検出器と、マスクフィルム5に開口部を設けるためのパルスレーザ光源と、UV照射用のUV光源と、それらに対する光学部品とが設けられている。光学系41の構成については後述する。
フィルムホルダ42の下側には、2つの吸着パッド49が設けられている。この吸着パッド49によって、転写フィルム18の断片の両端が吸着されている。例えば、フィルムホルダ42に空気を吸引するための配管を取り付ける。これにより、吸着パッド49に転写フィルム18の断片が吸着される。なお、真空吸着に限らず、静電吸着を用いてもよい。さらには、機械的に転写フィルム18を挟んで保持してもよい。転写フィルムローダ21から供給された転写フィルム18の上にフィルムホルダ42が配置されるよう、リペアヘッド35を移動させる。そして、吸着パッド49から空気を吸引すると、吸着パッド49に転写フィルム18の断片が保持される。このとき、マスクフィルムリール8をXレール34に固定した状態にして、フィルムホルダ42の下側にマスクフィルム5が配置されないようにする。すなわち、マスクフィルムリール8をXレール34に固定した状態にして、リペアヘッド35を移動して、マスクフィルム5とフィルムホルダ42の位置をずらしておく。
転写フィルム18の断片を吸着した状態で、光学系41によって欠陥を検出した箇所にリペアヘッド35を移動させる。これにより、フィルムホルダ42が基板6の欠陥に対応する位置に移動する。したがって、欠陥箇所に対応するマスクフィルム5の開口部の上には転写フィルム18の断片が配置される。そして、フィルムホルダ42を下方向に移動して、基板6の欠陥箇所の近傍に転写フィルム18の断片を配置する。
フィルムホルダ42の上には熱転写ロッド43が配置される。熱転写ロッド43は、上下方向に移動可能に設けられている。フィルムホルダ42の中央部分には貫通孔が設けられている。熱転写ロッド43は貫通孔を介して、転写フィルム18の断片を基板6に押し当てる。これにより、転写フィルム18の断片が基板に押圧され、転写フィルム18の断片の転写層が欠陥箇所に転写される。なお、2つのフィルムホルダ42を用いて、その間に熱転写ロッド43を配置してもよい。熱転写ロッド43は、例えば、約100℃に加熱されている。また、熱転写ロッド43の温度と転写圧力は制御することができる。
マスクフィルムリール8をXレール34にクランプした状態で、リペアヘッド35をX方向に移動させるとマスクフィルム5の上に光学系41が配置される。すなわち、マスクフィルム5の上に配置されていたフィルムホルダ42がマスクフィルム5の上からずれて、マスクフィルム5の上には、光学系41が移動する。これにより、マスクフィルムを介した欠陥の観察及び転写層の転写が可能になる。すなわち、基板6の欠陥を観察するときは、光学系41をマスクフィルム5の上に配置して、マスクフィルム5を介して光学的に欠陥を観察する。そして、マスクフィルムリール8及びマスクフィルム固定治具44をXレール34にクランプした状態で、マスクフィルム固定治具44を押下して、マスクフィルム5を基板に固定する。さらに、マスクフィルム押し付けロッド48で空気を除去する。光学系41に設けられたレーザ光源からパルスレーザ光を照射して、マスクフィルム5に開口部を設ける。そして、リペアヘッド35を移動させ、フィルムホルダ42をマスクフィルム5の上に配置する。このとき、マスクフィルム5が移動しないため、欠陥箇所に開口部が配置されている。さらにマスクフィルム5の開口部の上には、熱転写ロッド43が配置される。そして、熱転写ロッド43を押下して、基板6に転写層を転写する。これにより、欠陥修正を行うことができる。なお、フィルムホルダ42と光学系41とはX方向、すなわちマスクフィルムのフィード方向と垂直な方向に設けられている。これにより、フィルムリール8の間隔を狭くできるため、リペアヘッド35の小型化を図ることができる。
高温ブロワ46及びヒータロッド45は転写後の転写層を乾燥、熱架橋するために設けられている。ヒータロッド45は上下方向に移動可能に設けられている。例えば、150℃以上に加熱したヒータロッド45を下げて、転写層に接触させる。これにより、転写層の温度が上昇し、転写層を熱架橋させることができる。高温ブロワ46は転写層に対して、高温の乾燥ガスを送風する。これにより、転写層を乾燥させることができるとともに、熱架橋させることができる。なお、ハロゲンランプ14から照射される赤外線により転写層を加熱して、熱架橋させることも可能である。
本発明では、転写フィルムローダ21をリペアヘッド35に設けていないため、リペアヘッドを小型化することができる。よって、ハロゲンランプ14、高温ブロワ46及びヒータロッド45をリペアヘッド35に設けた場合でも、リペアヘッド35の大型化を防ぐことができる。これによって、欠陥修正装置のフットプリントを小さくすることができ、生産性を向上することができる。さらに、リペアヘッド35に高温ブロワ及びヒータロッド45を設けることによって、リペアヘッド35に高温ブロワ及びヒータロッド45を転写箇所に高速に移動させることができる。これによって、修正時間を短縮することができ、生産性をより向上することができる。なお、ハロゲンランプ14、高温ブロワ46及びヒータロッド45はリペアヘッド35に設けていなくてもよく、これらのうち少なくとも1つがリペアヘッド35に設けられていることが好ましい。
ステージ7の下側に配置された光源ヘッド37には、UV光源52と照明光源51とが設けられている。照明光源51は、リペアヘッド35の光学系41の光軸と一致するよう配置される。照明光源51によって透過像を撮像するための透過照明が行われる。すなわち、照明光源51は、欠陥を検出する時、あるいは欠陥修正が正常に行われたか否かを確認する時に、透過観察用の照明光を出射する。照明光源51から出射した光は透明なステージ7を介して基板6に入射する。そして、基板6を通過した透過光が光学系41に設けられたCCDカメラ等によって検出される。これにより、透過像を撮像することができる。UV光源52は熱転写ロッド43によって転写フィルム18の断片から転写層を基板6に転写している間、基板6の裏面側から転写層に紫外線(UV光)照射する。なお、図4では図示していないが、レンズなどの光学部品を光源ヘッド37に設けてもよい。
次に光学系41の構成について図7を用いて説明する。図7は光学系41及び光源ヘッド37の構成を示す図である。光学系41は、ハーフミラー3、レーザ光源1、ビーム成形機構2、対物レンズ4、ランプ光源9、フィルタ10、ハーフミラー11、CCDカメラ12及び照射位置変位機構15を備えている。光学系41は、さらに基板6の欠陥箇所に転写された転写層に対してUV光を照射するUV光源13を備えている。光学系41のランプ光源9、ハーフミラー3、ハーフミラー11、フィルタ10及びCCDカメラ12ならびに光源ヘッド37の照明光源51は欠陥の検出あるいは、欠陥の修正が正常に行われたか否かを確認するために用いられる。すなわち、基板6の反射像あるいは透過像を観察して、欠陥の検出等が行なわれる。
基板6の反射像を観察するための構成について説明する。反射観察用光源として光学系41に設けられたランプ光源9を用いている。ランプ光源9は基板6の表面を照明するための白色光を出射する。ランプ光源9から出射した反射観察用の光はフィルタ10を通過して、ハーフミラー11に入射する。フィルタ10は波長可変フィルタであり、所定の波長のみを遮光することができる。ここで、フィルタ10は欠陥検出に好適な波長の光を出射させることができる。ハーフミラー11に入射した光は基板6の方向に反射する。この光はハーフミラー3を透過して、対物レンズ4に入射する。対物レンズ4と基板6の間にはマスクフィルム5が基板6と対向して設けられている。そして、対物レンズ4で集光された光はマスクフィルム5を透過して基板6の表面に入射する。これにより、基板6の上面から基板6の一部を照明することができる。基板6で反射された光はマスクフィルム5、対物レンズ4、ハーフミラー3及びハーフミラー11を透過してCCDカメラ12に入射する。CCDカメラ12は基板6の表面での反射光に基づいて反射画像を検出する。これによって、基板6の反射像を観察することができる。
次に、透過像を観察するための構成について説明する。本発明では、基板6の透過像を観察するため、光源ヘッド37に照明光源51を用いている。照明光源51は、対物レンズ4の光軸上に設けられている。すなわち、照明光源51の光軸は上記の反射像の観察用光学系の光軸と一致している。照明光源51はステージ7を介して基板6の裏面側から基板6に透過照明光を入射させる。基板6を透過した透過光は、マスクフィルム5、対物レンズ4、ハーフミラー3及びハーフミラー11を透過してCCDカメラ12に入射する。照明光源51には、反射像の観察と同様にランプ光源を用いることができる。また、照明光源51に対してレンズや波長可変フィルタなどのフィルタ等を設けても良い。欠陥検出時は、リペアヘッド35と光源ヘッドを同期して移動させる。これにより、透過照明光と反射照明光とが同じ光軸で基板に入射するため、ランプ光源9及び照明光源51のON/OFFを独立して制御することにより、透過像又は反射像のいずれを撮像するかを容易に切り替えることができる。
なお、上記の説明では、マスクフィルム5を介して基板6の観察を行なったが、これに限るものではない。例えば、マスクフィルム5を基板6と光学系41の間から外して観察を行なうこともできる。すなわち、マスクフィルム5を光軸からずらした状態で観察を行ってもよい。
CCDカメラ12はパーソナルコンピューター(PC)等の情報処理装置に接続されており、検出された画像に基づいて基板6の欠陥の有無を判断する。例えば、検出したリファレンスダイと比較するダイツーダイ方式(Die−to−Die)を用いることができる。検出した画像がリファレンスダイと異なる場合は、欠陥部分であると判断する。この欠陥検出機構では、不透明な黒欠陥及び透明な白欠陥を区別して検出することができる。さらに、PCはリペアヘッド35のXY駆動機構と接続され、欠陥検出時のリペアヘッド35の位置から検出箇所が特定され、基板上における欠陥画素の座標が検出される。もちろん、欠陥検出機構は図示した構成に限らず、これ以外の構成を備える欠陥検出機構を用いてもよい。この欠陥検出機構については従来の欠陥検出装置と同様の構成を用いることができる。リペアヘッド35を移動させることにより、基板6とランプ光源9からの光の相対位置を変化させて、基板6の全面の欠陥検出を行う。情報処理装置は、基板6の欠陥箇所の座標を、欠陥の種類(R、G、B、遮光層)や欠陥の大きさと対応付けて記憶する。
上述の欠陥検出機構により検出された欠陥は欠陥修正機構により、修正が行われる。欠陥修正機構について以下に説明する。レーザ光源1はQスイッチYAGレーザーであり、10nsec以下の短パルス光を出射することができる。レーザ光源1から出射した短パルスレーザ光はビーム成形機構2に入射する。ビーム成形機構2はアパーチャーやスリットあるいはレンズ等を備えており、短パルス光のスポットを適当な形状のビームスポットに成形することが可能である。例えば、基板上での短パルス光のビームスポットをカラーフィルタの画素と略同じ矩形状に成形する。あるいは欠陥の形状と略同じ形状に成形するようにしてもよい。ハーフミラー3は短パルス光を基板6の方向に反射する。ここでレーザ光源1とランプ光源9からの光が同軸になるようにそれぞれの光学部品が配置されている。ハーフミラー3で反射した短パルスレーザ光はマスクフィルム5に照射される。このとき、マスクフィルム5はマスクフィルム固定治具44によって固定されている。すなわち、基板6に対してマスクフィルム5が固定された状態で、マスクフィルム5に開口部が形成される。
さらにハーフミラー3にはレーザ光源1からのレーザ光を効率よく反射させるミラー等を用いることも可能である。例えば、レーザ光の波長に対して反射率の高いダイクロイックミラーや反射ミラーを用いてもよい。これにより、レーザ光1を効率よくマスクフィルム5に照射することができるため、レーザ光源1の出力を低減することができる。この場合、欠陥検出時や欠陥観察時には、ハーフミラー3を光路上から外してもよい。すなわち、欠陥検出時や欠陥観察時には、欠陥の検出や欠陥の観察に好適な波長の光によって基板6を照明するため、ハーフミラー3をランプ光源9の光路上から外すことが好ましい。このとき、ハーフミラー3を機械的に移動させることによって、光路上から取り除くようにする。欠陥検出時及び観察時には、ハーフミラー3をランプ光源9の光路上から除去し、開口部の形成時にはハーフミラー3をランプ光源9の光路上に配置する。
このマスクフィルム5と基板6との構成について図8を用いて説明する。図8は修正箇所の構成を示す拡大断面図である。図8(a)は短パルス光を照射中のマスクフィルム5と基板の構成を示している。図8(b)は欠陥画素の着色層が除去された基板の構成を示している。ここでは、マスクフィルム5の一箇所にレーザ光を照射することによって形成される開口部を介して欠陥を修正するときの修正箇所周辺の構成について説明する。61は赤色(R)の着色層、62は緑色(G)の着色層、63は青色(B)の着色層、64はブラックマトリックス(BM)であり、これらは基板6の上面側、すなわち、リペアヘッド35側に設けられている。まず、カラーフィルタ基板の一般的な製造方法について説明する。カラーフィルタ用の基板6には透明なガラス基板等に遮光膜となる黒色の樹脂膜等を形成して、露光、現像工程によりパターンニングする。これにより、樹脂膜はマトリクス状に形成されたBM64となる。この上から、着色層の色に対応した顔料を分散した感光性樹脂を塗布して、露光、現像工程によりパターンニングする。この工程を繰り返すことにより、Rの着色層61、Gの着色層62及びBの着色層63をBM64の間に順番に設ける。この上から保護膜や画素電極が形成される。ここでは図8(a)に示すようにRの着色層61に白抜け部分が設けられているとする。すなわち、Rの着色層61となる画素の一部に、Rの着色層61が付着していない箇所があるとする。このような白抜け部分が設けられている画素は、欠陥検出機構により光を透過する欠陥画素として検出される。マスクフィルム5は基板6と略接触している。
この画素に、レーザ光源1からの10nsec以下の短パルス光を照射する。対物レンズ4によって集光された短パルス光は基板6と近接するマスクフィルム5に入射する。この短パルス光はレーザアブレーションによりマスクフィルム5を部分的に開口するようにパワーが調整されている。本実施例では、ポリイミドフィルムを用いているため、YAG短パルスレーザ光源1の3倍高調波の355nm又は4倍高調波の266nmを使用すれば、短パルス光を吸収するので容易にマスクフィルム5に開口部を設けることができる。また、ポリイミドフィルムは可視光領域で吸収がなく略透明であるので観察が容易であり、ランプ光源9を用いて欠陥を検出することができる。なお、マスクフィルム5はポリイミドに限らず、光の照射によって、化学分解、熱的な分解、昇華又はアブレーション等によって開口する材質を用いることが出来る。レーザ光はビーム成形機構2によって、欠陥の形状又は画素の形状になるように成形されているので、マスクフィルム5の開口部の形状は欠陥形状又はRの画素の形状と略同じ形状にすることができる。レーザアブレーションによってRの着色層61とマスクフィルムの一部を略同時に除去することができる。
除去されたRの着色層61はマスクフィルム5の開口部を通って、基板から離脱する。これにより、白欠陥画素のRの着色層61の略全てを除去することができ、図8(b)に示すように白欠陥66となる。このとき、基板6から除去された着色層61はマスクフィルム5の上に付着する。修正部周辺はフィルムでカバーされているため、Rの着色層61が修正部周辺に付着して新たな欠陥を作ることがない。このように、レーザアブレーションによりフィルムと欠陥を略同時に除去することができる。なお、除去されたRの着色層61は1片となっているが多数のデブリとなって、マスクフィルム上に着地する場合もある。レーザ光源1のパワーは徐々にマスクフィルム5に穴を開けるように調整してもよいし、マスクフィルム5の穴あけと着色層等の除去を同時に行なうように調整してもよい。
なお、上記の説明では、白抜きの画素において着色層61を除去したが、異物が付着している画素にも適用することができる。この場合、画素に付着した異物がマスクフィルム5によって再度基板6に付着するのを防ぐことができる。異物が透明な場合、異物に短パルス光を照射しても、光の吸収がないのでレーザアブレーションが生じない。これに対し、マスクフィルム5としてポリイミドなどの光を吸収するフィルムを用いて、吸収フィルムを異物の上部に略接触させた状態で短パルスレーザ光を照射すると、フィルムがレーザアブレーションで開口するのと同時に前方にとんだガスやデブリによって異物が基板に一瞬押し付けられ、その後の反跳によって基板から離脱することができる。上述の処理により基板上の異物とともに着色層61が除去されるため、黒欠陥は光を透過する白欠陥66となる。
白欠陥66となった画素に対して転写フィルム18の断片の転写層を転写する。具体的には、マスクフィルム5を基板6に対して固定した状態で、図4に示すリペアヘッド35を移動させる。これにより、開口部の上から光学系41が移動して、フィルムホルダ42が開口部の上に配置される。転写フィルム18を吸着した状態でフィルムホルダ42を下降して、転写フィルム18の断片を開口部の上に配置する。これにより、開口部が転写フィルム18の断片によって覆われ、白欠陥66の箇所に転写フィルム18の断片を対向させることができる。
転写フィルム18は熱転写によって転写する転写層を有する転写フィルムであり、例えば、富士写真フイルム社製トランサー(登録商標)を用いることができる。このフィルムにより、転写層と基板6との密着性を向上することができる。この転写フィルム18の構成について図9を用いて説明する。
この転写フィルム18はベース層18eの上に形成されたクッション層18dを備えている。クッション層18dの上には酸素遮断層18c、さらにその上には各種顔料によって着色された転写層18bを設けている。転写層18bは例えば、感光性樹脂によって形成される。この転写層18bの顔料は修正するカラーフィルターの画素に応じて着色されている。この転写層18bを基板6に転写して白欠陥を修正する。転写層18bの上に表面保護のためポリプロピレンのカバーフィルム18aを圧着している。また、剥離帯電などにより塵などの付着を防止する目的でベース層18eの裏面に電子伝導性の帯電防止層18fを設けている。
ベース層18eは例えば、厚さが約75μmのPETにより形成されている。クッション層18dとしては厚さが約20μmの弱アルカリに可溶性の熱可塑性樹脂を用いることができる。このクッション層18dにより、基板の欠陥部分における段差を吸収して、転写層の密着性を向上することができる。酸素遮断層は厚さ1.6μm、転写層18bは厚さ2.0μm、カバーフィルムは厚さ1.2μmとした。カバーフィルム18aが転写フィルムローダ21によって剥がされた状態で、転写フィルム18がフィルムホルダ42によって保持される。上述の転写フィルム18の構成は典型的な一例であり、上述の構成に限るものではない。例えば、酸素遮断層18c又は帯電防止層18fは設けなくてもよい。また、転写層18bは感光性樹脂層に限られず、転写するパターンに応じた着色層であればよい。
熱転写ロッド43は上下に移動可能に設けられており、転写フィルム18の転写層18bを付着させる時には下に移動して転写フィルム18を基板6に押圧する。この時の基板6と転写フィルム18の構成を図10に示す。図10は欠陥修正部分における基板6の構成を示す断面図である。ここで転写フィルム18の酸素遮断層18c、ベース層18e及び帯電防止層18fについては省略して図示してある。熱転写ロッド43により転写フィルム18を押圧すると図10(a)に示す構成となる。
熱転写ロッド43を押しつけることにより、基板6と転写フィルム18に開口部を有するマスクフィルム5が挟まれた状態となる。従って、転写層18bがマスクフィルム5の開口部を介して基板6の欠陥位置に押し当てられる。開口部はレーザアブレーションにより着色層61を除去した箇所と同じ大きさ及び同じ位置に設けられているため修正が必要な箇所と一致している。マスクフィルム5を介して転写層18bを転写することにより開口部では基板6に転写層18bが付着する。一方、開口部以外の領域では転写層18bはマスクフィルム5の上面に付着される。
このように、マスクフィルム5の開口部を介して着色層となる転写層18bを転写することにより、欠陥箇所以外の領域に転写層18bが付着されることを防止できる。これにより、簡易な構成で欠陥箇所にのみ転写層18bを転写することができ、正確に欠陥を修正することが可能になる。また、余分な箇所に転写層18bが付着されないため、後の工程で余分な箇所の転写層18bを除去する必要がなくなり、生産性を向上することができる。
さらに本実施例では、熱可塑性樹脂層18dを介して転写層18bを押下している。熱可塑性樹脂層18dは弾力性を有し、転写フィルム18を基板6に押圧する際にはクッション層として機能する。これにより、着色層62、BM64及びマスクフィルム5により生じる基板上の段差が吸収されるため、正確に転写層18bを転写することができる。熱可塑性樹脂層18dは厚さが20μmであるため、例えば、着色層が2μm、BMが2μm、マスクフィルム5が8μmの厚さであっても、これらにより生じる段差を吸収して正確に転写することができる。
ここで、熱転写ロッド43を押下して転写層18bを熱転写している間、光源ヘッド37のUV光源52によって基板6の裏面側からUV光を照射する。これにより、転写層18bの基板6に対する密着性を向上することができる。裏面側からのUV光の照射量は、例えば、約50mJ/cm2とする。
熱転写ロッド43を上げて基板6と離した後、フィルムホルダ42を上昇して基板6から転写フィルム18を離す。同時にマスクフィルム固定治具44を上昇して、基板6からマスクフィルム5を離す。これにより、上面に転写層18bが付着したマスクフィルム5が基板から剥離される。これにより、図10(b)に示す構成となる。このように、ドライプロセスにより転写層18bを熱転写することができる。さらに、マスクフィルム固定治具44を上げた後、マスクフィルムリール8を回転させる。基板6側に酸素遮断層18c又は熱可塑性樹脂層18dが付着してしまう場合は、後の洗浄工程において、弱アルカリ水溶液でシャワー噴霧処理を行い酸素遮断層18c又は熱可塑性樹脂層18dを除去する。あるいは、酸素遮断層18cや熱可塑性樹脂層18dを研磨テープで削り取る又は布テープで拭き取る等の方法により除去する。これにより、図10(b)に示すように白欠陥の位置に着色層となる転写層18bが転写される。
このようにマスクフィルム5を用いることにより、着色層として転写される層の厚さ、色、透過率などの特性を容易に制御することができる。すなわち、転写フィルム18の転写層18bを所望の特性で形成することにより、修正された着色層が正常な着色層と略同じ状態となるように修正することができる。これにより、正確な欠陥修正を行うことができる。また、マスクフィルム5を用いて転写することにより、転写層の密着性を向上することができる。上述の熱転写工程では、転写速度を上げるため。基板6を予備加熱するようにしてもよい。例えば、ハロゲンランプ14から赤外線を照射することにより、予備加熱することもできる。
マスクフィルム5を基板6から剥がした後、転写箇所の上にUV光源13が配置されるようリペアヘッド35を移動する。そして、基板6の表面側に設けられたUV光源13からUV光を照射する。これにより、転写層18bの両面からUV光が照射されることになる。よって、転写層18bに対して均一にUV光を照射することができ、感光性樹脂からなる転写層18bが均一に硬化される。なお、光学系41にはUV光源13に対するレンズやフィルタ等を設けても良い。
表面側からUV光を照射したら、基板6に付着した転写層18bの真上にヒータロッド45が配置されるようリペアヘッド35を移動させる。ヒータロッド45は熱転写ロッド43よりも高い温度に設定されている。そして、ヒータロッド45を基板6に押圧して転写層18bを加熱する。これにより、転写層18bに熱架橋反応を起こさせることができる。また、光学系41に設けられたハロゲンランプ14からの赤外線によって加熱してもよい。さらに、リペアヘッド35を移動した後、高温ブロワ46から高温の乾燥ガスを送風して、転写層18bを乾燥させる。なお、高温ブロワで高温の乾燥ガスを送風しながら、あるいは送風する前に、ヒータロッド45で加熱してもよい。これにより、処理時間を短縮することができ、生産性を向上することができる。これにより、転写層18bを固化することができ、転写層18bを安定させることができる。さらに、後の工程(例えば、洗浄工程)での転写層18bの剥がれの発生を低減することができる。よって、欠陥を確実に修正することができる。送風前にヒータロッドで加熱する場合、マスクフィルムを介して加熱押圧する。これにより、転写層18bの平坦性を向上することができる。また、ヒータロッド45は熱転写ロッド43と共用してもよいが、温度変更の時間を削減するため、別途設けることが好ましい。
このように、本実施の形態では、正確に欠陥を修正することができる。さらに、本実施の形態では、マスクフィルム5の2箇所以上にレーザ光を照射するため、光学系41に照射位置変位機構15が設けられている。照射位置変位機構15は、対物レンズ4を移動させるためのリニアアクチュエータを有している。具体的には、照射位置変位機構15は処理装置からの制御信号によって動作するモータ及びX方向及びY方向に駆動する駆動機構を有している。これにより、対物レンズ4がXY方向、すなわち、基板面と平行な水平方向に移動する。
マスクフィルム5を基板6に対して固定した状態で、マスクフィルム5の1箇所にレーザ光を照射させる。そして、照射位置変位機構15によって対物レンズ4を移動させる。これにより、レーザ光の照射位置が変位して、マスクフィルム5の異なる箇所にレーザ光を照射することができる。すなわち、照射位置変位手段によって照射位置を変位させることにより、マスクフィルム5の2箇所にレーザ光が照射される。従って、レーザ光が照射された2箇所の領域に対応する開口部がマスクフィルム5に形成される。そして、この開口部を介して上記と同様に転写層を転写する。これにより、例えば、異なる2つの欠陥を同時に修正することができる。さらに、1回の照射で照射される照射領域を超える大きなサイズの欠陥を一度に修正することができるため、確実に欠陥を修正することができる。すなわち、修正後の転写層に段差が生じ、厚さが不均一になったり、継ぎ目が発生するのを防ぐことができる。従って、確実に修正を行うことができる。もちろん、レーザ光を照射する箇所は、2箇所に限らず、3箇所以上でもよい。すなわち、対物レンズ4の位置を変位して2箇所以上にレーザ光を照射し、レーザ光が照射された2箇所以上に対応して設けられた開口部を介して前記欠陥を修正することが可能である。
次に、レーザ光を異なる2箇所に照射して欠陥を修正するときの、修正箇所周辺の構成について図11及び図12を用いて説明する。図11及び図12は、BM64を修正するときの構成を模式的に示す図である。図11(a)、図11(b)、図12(c)及び図12(d)において、上部は、マスクフィルムと対物レンズの構成を示す断面図であり、下部は、そのときの基板のパターン面を示す上面図である。ここでは、BM64の3箇所に生じた欠陥を1度に修正するときの構成を示している。
まず、欠陥が検出された位置で、マスクフィルム5を基板6に固定し、光学系41を欠陥位置に移動する。これにより、図11(a)に示す構成となる。そして、レーザ光を照射して、マスクフィルム5に開口部5aを形成する。このとき、レーザ光源1からのレーザスポットは、ビーム成形機構2によって、BM64のパターン幅と一致するように成形されている。従って、修正領域に対応した部分のBM64aが、基板6から除去される。このとき、パルスレーザ光の照射によって、基板6上のBM64のみが除去され、その両側のBの着色層63、Rの着色層61は除去されない。基板6から除去されたBM64は、開口部5aを介してマスクフィルム5の上に付着する。
次に、マスクフィルム5を基板6に固定した状態のまま、対物レンズ4を照射位置変位機構15によって移動する。例えば、対物レンズ4をX方向に移動する。これにより、図11(b)に示す構成となる。ここでは、画素ピッチに対応する距離だけ対物レンズ4を移動させている。これにより、レーザ光の照射位置が隣のBM64にずれる。そして、パルスレーザ光を照射して、マスクフィルム5に開口部5bを形成する。ここでは、レーザ光の照射位置が重ならないように、レーザ光の照射位置をずらしている。したがって、マスクフィルム5には、開口部5aから離れた位置に開口部5bが形成される。すなわち、マスクフィルム5には互いに離間した2つの開口部5a、5bが形成される。さらに、開口部5bに対応する領域のBM64bが基板6から除去される。BM64bは、Rの着色層61とGの着色層62の間の遮光膜である。従って、Rの着色層61の両側のBM64が除去される。これにより、異なる2箇所のBM64a、64bが基板6から除去される。ここでは、修正する領域に対応するBM64aとBM64bとは略同じ大きさである。もちろん、修正する領域のBM64aとBM64bとの大きさが異なる場合、ビーム成形機構2によって、レーザ光のスポットサイズを変えてもよい。
なお、対物レンズ4を移動させると、レーザ光の光軸から、対物レンズ4がずれる。よって、レーザ光の一部が対物レンズ4の瞳の外側に入射してしまうことがある。この場合、開口部を形成するため、レーザ光のエネルギーを上げて照射してもよい。あるいは照射するパルス数を増やして、開口部を形成してもよい。
さらに、マスクフィルム5を基板6に固定した状態のまま、対物レンズ4を照射位置変位機構15によって移動する。例えば、対物レンズ4をX方向に移動する。これにより、図12(c)に示す構成となる。ここでは、図12(b)に示す状態から、1画素ピッチだけ対物レンズ4を移動させている。従って、マスクフィルム5に開口部5cが形成される。ここでも、レーザ光の照射位置が重ならないように、レーザ光の照射位置をずらしている。したがって、マスクフィルム5には、開口部5a、5bと離れた位置に開口部5cが形成される。すなわち、マスクフィルム5には互いに離間した3つの開口部5a、5b、5cが形成される。さらに、開口部5cに対応する領域のBM64cが基板6から除去される。BM64bは、Gの着色層62とBの着色層63の間の遮光膜である。従って、Gの着色層62の両側のBM64が除去される。これにより、異なる3箇所のBM64a、64b、64cが基板6から除去される。ここでは、修正する領域に対応するBM64a、64bとBM64cとは略同じ大きさである。もちろん、修正する領域のBM64cとBM64a、64bとの大きさが異なる場合、ビーム成形機構2によって、レーザ光のスポットサイズを変えてもよい。
これにより、図12(c)に示すようにマスクフィルム5には、合計3つの開口部5a、5b、5cが形成される。そして、基板6上では、BM64a、64b、64cが除去される。ここで、マスクフィルム5が基板6に固定された状態で、開口部5a、5b、5cが形成されるため、開口部5a、5b、5cと、BM64a、64b、64cとは略同じ箇所にそれぞれ形成される。すなわち、開口部5a、5b、5cの位置と、BM64a、64b、64cの位置をそれぞれ一致されている。この状態で、光学系41を欠陥箇所から移動して、転写フィルム18を欠陥箇所の上に配置する。すなわち、フィルムホルダ42及び熱転写ロッド43を開口部5a、5b、5cが設けられた欠陥箇所の上に配置する。ここで、フィルムホルダ42の保持された転写フィルム18は、3つの開口部5a、5b、5cを覆うように配置される。これにより、図12(d)に示す構成となる。
そして、上記と同様に、転写フィルム18を熱転写ロッド43で押さえつける。すなわち、熱転写ロッド43を下降して、転写フィルム18を基板6に対して押圧する。これにより、開口部5a、5b、5cを介して、転写フィルム18の転写層18bが基板6に転写される。従って、BM64a、64b、64cに対応する箇所には、BM64の修正部64dが形成される。また、転写と同時に裏面からUV照射を行なう。そして、上記と同様にUV照射処理、加熱乾燥処理などをして、欠陥を修正する。ここで、開口部5a、5b、5cとBM64a、64b、64cが除去された領域の形状、大きさ、位置は略一致しているため、正確に欠陥を修正することができる。さらに、フィルムホルダ42で保持された1枚の転写フィルム18によって、複数箇所の欠陥を修正することができる。そのため、タクトタイムを短くすることができ、生産性を向上することができる。すなわち、転写フィルム18の断片を保持するフィルムホルダ42を有するリペアヘッド35が転写フィルムローダ21に移動する時間を短縮することができる。これにより、複数の欠陥を修正する場合でも、転写フィルムローダ21まで転写フィルムを取りに行く時間及び使用済みの転写フィルム18を捨てに行く時間を短縮することができ、生産性を向上することができる。
例えば、カラーフィルタ基板の製造工程では、基板上にBM64となる遮光膜及び着色層となる樹脂膜が順番に形成される。各膜の形成工程の間には、基板が、成膜装置(塗布装置)、露光装置、現像装置、洗浄装置などに搬送させる。従って、搬送処理中に基板6上に設けられた膜に傷が付いたり、異物が付着してしまうことがある。あるいは、成膜中に、基板上に異物が付着してしまうことがある。このような場合、例えば、BM64及びR、G,Bの着色層のうちの1つ又は2以上に欠陥が生じてしまう。具体的には、最初に遮光膜を塗布した段階で搬送処理において基板表面が何かと接触すると、遮光膜に筋のような傷がつき、BM64にのみ欠陥が生じる。このようなライン状の欠陥は複数の画素にわたって形成されることもある。この場合、マスクフィルム5に複数の開口部を設ける。そして複数の開口部を介して、一度に転写層を転写して欠陥を修正することが有効である。もちろん、BM64に限らず、各色の着色層に対応する開口部を複数設けても良い。これにより、複数画素におよぶ欠陥を一度の転写で修正することができる。なお、複数の開口部を設ける場合は、異なる色の転写層が転写されるのを防ぐため、色の異なる着色層に対応する箇所に開口部が形成されないようにする。すなわち、赤色の転写層を転写する場合は、赤色の着色層に対応する箇所にのみ開口部を形成する。
さらに、上記の説明では、マスクフィルム5に複数の開口部を設けるためレーザ光の照射位置を変えたが、開口部を広げるためにレーザ光の照射位置を変えてもよい。すなわち、レーザ光の照射位置を変える際に、既に開いている開口部に重なるようにレーザ光の照射位置をずらす。換言すると照射位置を変化させる前後で、レーザ光のスポットの一部が重複する位置に、照射位置を変化させる。そして、再度、パルスレーザ光を照射して、マスクフィルム5の異なる位置に開口部を設ける。この場合、基板上において、レーザ光が照射される領域が重複する。従って、レーザ光の照射位置をずらした場合でも、開口部の一部にレーザ光が照射される。従って、1回目の照射位置で設けた開口部が広がる。これにより、一つの大きな欠陥や、複雑な形状の欠陥や画素に対しての修正を容易に行うことができる。これについて、図13及び図14を用いて説明する。図13は、修正される画素の形状の一例を模式的に示す平面図である。図14は、修正箇所近傍の構成を示す側面断面図である。
図13に示すように画素、すなわち、赤色の着色層61はコの字型をしている。そして、コの字型の赤色の着色層61の周りにBM64が設けられている。このような赤色の着色層61の全体を修正する場合、1箇所のレーザ照射で着色層61に対応する開口部を形成しようとするとビーム成形機構2の構成が複雑になってしまう。従って、本実施の形態では、3つの矩形の開口部をつなぎ合わせてコの字型の開口部を設けている。すなわち、図13中の着色層61aに対応する開口部と、着色層61bに対応する開口部と、着色層61cに対応する開口部とを形成するため、図13中の点線で区分けされた3箇所にレーザ光を照射している。これにより、ビームスポットを矩形状に形成するビーム成形機構2を用いて、修正することができる。コの字型に欠陥を修正する場合でも、ビーム成形機構2の構成を簡易なものにすることができる。例えば、X方向のスリットとY方向のスリットとの組み合わせによってビーム成形機構2を構成することができる。
具体的には、ビーム成形機構2によってレーザ光を着色層61aに対応するスポット形状にする。すなわち、ビーム成形機構2に設けられたX方向のスリットとY方向にスリットの開口幅を調整して、着色層61aに対応したビームスポットを形成する。そして、パルスレーザ光を照射して、マスクフィルム5に開口部を設ける。これにより、図14(a)に示す構成となる。マスクフィルム5に着色層61に対応する矩形状の開口部5aが形成される。このとき、着色層61の一部、すなわち着色層61aが除去される。この着色層61aの除去部分67aと開口部5aの形状は略一致する。
そして、マスクフィルム5を基板6に固定したまま、対物レンズ4を移動する。これにより、レーザ光の照射位置が変位する。このとき、ビーム成形機構2によって、ビームスポットを着色層61bに対応する形状に成形する。そして、パルスレーザ光を照射すると図14(b)に示す構成となる。これにより、マスクフィルム5に開口部5bが形成される。さらに、着色層61の一部、すなわち着色層61bが除去される。この着色層61bの除去部分67bは、開口部5bの形状と略一致する。このとき、レーザ光の照射領域の一部が重なっている。すなわち、1回目の照射位置と2回目の照射位置で、レーザスポットの一部が基板の同じ位置に入射する。換言すると対物レンズ4の移動の前後で、レーザ光のスポットが重複する位置に照射位置がずれる。これにより、1箇所目の照射に基づく開口部5aと2箇所目の照射に基づく開口部5bがつながり、開口部が広くなる。さらに、基板上の着色層61を確実に除去できる。すなわち、着色層61bと着色層61aの境界における着色層61を確実に除去することができる。
マスクフィルム5を基板6に固定したまま、さらに対物レンズ4を移動する。これにより、レーザ光の照射位置が変位する。このとき、ビーム成形機構2によって、ビームスポットを着色層61cに対応する形状に成形する。そして、パルスレーザ光を照射すると図14(c)に示す構成となる。これによりマスクフィルム5に開口部5cが形成される。さらに、着色層61の一部、すなわち着色層61cが除去される。この着色層61cの除去部分67cは、開口部5cの形状と略一致する。このとき、レーザ光の照射領域の一部が重なっている。すなわち、2回目の照射位置と3回目の照射位置で、レーザスポットの一部が基板の同じ位置に入射する。これにより、2回目の照射による開口部5bと3回目の照射による開口部5cがつながる。さらに、基板上の着色層61を確実に除去できる。すなわち、着色層61bと着色層61cの境界における着色層61を確実に除去することができる。これにより、コの字型の画素全体の着色層61が基板6から除去される。さらに、コの字型の画素に対応する開口部がマスクフィルム5に形成される。すなわち、開口部の形状は、1〜3回目の照射位置におけるレーザ光のスポット形状の和となる。そして、上記と同様に転写層を開口部5a、5b、5cを介して基板6を転写する。これにより、着色層61の除去部分67a、67b、67cに転写層が転写される。同時に裏面からUV照射を行なう。従って、コの字型に転写層が転写される。そして、上記と同様にUV照射処理、加熱乾燥処理などをして、欠陥を修正する。
このようにレーザ光の照射位置をずらして、複数箇所にレーザ光を照射することによって、開口部を広くすることができる。さらに、レーザ光の照射位置をずらす際に、ビーム成形機構2でビームスポットを任意の形状に成形すれば、複雑な形状の開口部を簡便に形成することができる。これにより、開口部を修正箇所に対応する形状に広げることができる。さらに、レーザスポットが重複するようにビーム成形機構2による成形及び照射位置変位機構15による照射位置の変位を調整する。これにより、継ぎ目や段差が生じるのを防ぐことができる。すなわち、着色層61aと着色層61bとの境界に対応する箇所に、開口部5aの一部が残存するのを防ぐことができる。さらに、着色層61aと着色層61bとの境界に対応する箇所に着色層61が残存するのを防ぐことができる。これにより、転写層を均一に転写することができる。さらに、1度の転写によって画素全体を修正することができるため、修正した画素の光学的な特性を均一にすることができる。もちろん、1画素の一部に領域を修正することも可能である。さらには、コの字型以外の形状でも修正を行うことができる。
このように開口部を広げて修正を行うことによって、サイズの大きな欠陥の修正を1回の転写で行うことができる。従って、継ぎ目や段差のない高精度の欠陥修正を確実に行うことができる。また、照射位置をずらす前後で、ビームのスポット形状を変化させることによって、様々な形状の欠陥を一度に修正することができる。さらに、1回の転写工程で修正することができるため、複数回転写工程を行なう場合と比べてタクトタイムを短縮することができる。例えば、リペアヘッド35が転写フィルムローダ21に移動する時間を短縮することができる。よって生産性を向上することができる。
なお、図11〜図14を用いた説明は、欠陥修正の一例であり、本発明は上記の修正に限られるものではない。すなわち、本発明では、照射位置変位機構15によって照射位置を変位させ、マスクフィルム5の2箇所以上にレーザ光を照射する。そして、レーザ光が照射された2箇所以上に対応して設けられた開口部を介して欠陥を修正する。すなわち、対物レンズ4を移動して、レーザ光を複数箇所に照射する。これにより、複数の照射位置に基づく照射領域に対応する開口部が形成される。そして、照射領域に対応する開口部を介して欠陥を修正する。これにより、複雑な形状の欠陥に対して1度に転写層を転写することができる。さらに、複数の画素にわたる欠陥であっても、一度に転写することができる。なお、照射位置変位機構15は対物レンズ4を例えば、約1mm程度移動させることができる。従って、約1mm角の領域を一度に転写することができる。よって、例えば、1画素が200μm×300μmの場合、複数画素に生じた欠陥を1度に修正することができる。さらに、レーザ光を1箇所に照射して形成される開口部の最大形状が、例えば、20〜30μmである場合でも、複数箇所にレーザ光を照射することによって、1画素全体を1度の転写で修正することができる。これによって、精度よく欠陥を修正することができる。さらに、タクトタイムを短縮することができるため、生産性を向上することができる。
なお、上記の説明では、転写層を転写することによって欠陥を修正したが、本発明はこれに限られるものでない。例えば、マスクフィルム5の開口部を介して、修正用に着色された樹脂溶液を基板にスプレー塗布したり、ディスペンサによって塗布することも可能である。さらには、マスクフィルムの開口部を介して着色されたインクを付着してもよい。もちろん、本発明は、上記の構成に限られるものでなく、マスクフィルム5に設けられた開口部を介して欠陥を修正することができる構成であればよい。また、複数の開口部を設けて修正する構成と、開口部を広げて修正する構成とを組み合わせてもよい。すなわち、マスクフィルム5にレーザ光の照射位置をずらして広げた開口部を複数設け、複数の開口部を介して欠陥を修正してもよい。
さらに、基板に転写された転写層を平坦化するため、転写してマスクフィルムを基板上から取り除いた後、熱転写ロッド43を基板に押し付けてもよい。あるいは、ヒータロッド45によって転写部分を押し付けるようにしてもよい。このとき、マスクフィルム5の開口部が設けられていない領域を介して熱転写ロッド43又はヒータロッド45を基板に押圧することが好ましい。具体的には、転写後にマスクフィルムリール8を回転させて、開口部が設けられていない未使用領域を転写箇所上に配置する。そして、マスクフィルム5の上から、転写箇所を押し付ける。これにより、転写後の転写層の厚さを均一にすることができる。よって、より精度の高い修正を行うことができる。
次に、図15を用いて欠陥修正方法の手順について説明する。図15は欠陥修正方法の手順を示すフローチャートである。まず、基板6の欠陥を光学的に検出する(ステップS101)。ここでは、リペアヘッド35に設けられた光学系41及び、光源ヘッド37に設けられた照明光源51を用いる。そして、光学系41のCCDカメラの光軸と、照明光源51の光軸とが一致するように、リペアヘッド35と光源ヘッド37とを同期して移動させる。これによって、透過観察が可能になり、欠陥の検出効率を向上することができる。もちろん、反射観察によって欠陥を検出してもよい。リペアヘッド35と光源ヘッド37を走査して、基板全面に対して欠陥検査を行う。そして、検出された欠陥のそれぞれに対し、その基板上の位置と、欠陥の種類と、欠陥の大きさなどが対応付けて情報処理装置に記憶される。なお、欠陥検出時にはマスクフィルム5を光路上から取り除いてもよい。
基板6に対する欠陥検査が終了したら、修正箇所、修正領域とその修正色を決定する(ステップS102)。このとき、情報処理装置での処理によって自動的に決定してもよく、あるいは、欠陥箇所を観察してオペレータがその修正色を決定してもよい。そして、修正色に対応する転写フィルムローダ21までリペアヘッド35を移動させる(ステップS103)。
リペアヘッド35を転写フィルムローダ21に対応する位置まで移動させた後、転写フィルム18を保持する(ステップS104)。ここでは、修正する欠陥に対応した色の転写フィルム18を保持する。具体的には、フィルムホルダ42によって転写フィルムローダ21によって供給される転写フィルム18の断片を吸着する。なお、このリペアヘッドの移動には、光源ヘッド37を追従させなくてよい。すなわち、光源ヘッド37は検出する欠陥に対応する位置に移動させておけばいよい。
次に、リペアヘッド35を欠陥箇所に移動する(ステップS105)。このとき、情報処理装置に記憶された欠陥の座標にリペアヘッド35の光学系41が配置される。さらに、欠陥箇所に対応する位置には光源ヘッド37の照明光源51が配置される。そして、照明光源51又はランプ光源9からの光を基板に照射して、マスクフィルム越しに基板6を観察してもよい。この場合、欠陥の位置に正確に位置合わせされているかを確認することができる。すなわち、光学系41の光軸が正確に欠陥の位置と一致していることを確認することができる。正確に位置合わせできていない場合、リペアヘッド35及び光源ヘッド37を移動して、微調整を行なうようにしてもよい。
リペアヘッド35を欠陥箇所に移動したら、基板6に対しマスクフィルム5を固定する(ステップS106)。まず、マスクフィルムリール8及びマスクフィルム固定治具44をXレール34に対してクランプさせる。これにより、リペアヘッド35を移動させた場合でも、マスクフィルム5の位置がずれなくなる。そして、マスクフィルム固定治具44を下方向に移動して、マスクフィルム5を基板6に押し当てる。これにより、マスクフィルム5が基板6に対して圧着され、固定される。そして、マスクフィルム押し付けロッド48によって基板とマスクフィルム5の間の空気を除去し、密着度を向上させる。
そして、マスクフィルム5に光学系41のレーザ光源1からレーザ光を照射して開口部を形成する(ステップS107)。これに加えて、対物レンズ4を移動させて、レーザ光の照射位置を変位させる。これにより、マスクフィルム5の複数箇所に開口部を形成する。このとき、修正する欠陥の大きさに応じて、ビーム成形機構を調整する。これにより、開口部の大きさを修正する欠陥に対応した大きさとすることができる。例えば、開口部の大きさをカラーフィルタの1画素と略一致させることができる。光学系41において、レーザ光源1からのレーザ光とランプ光源9の照明光の光軸とは一致している。すなわち、レーザ光源1とランプ光源9からの光は同じ光軸上になるように調整されているので、マスクフィルム5におけるレーザスポットと観察用の照明光のスポットは略同じ位置になる。したがって、レーザ光源1からのレーザ光と、ランプ光源9からの照明光とは基板6上の同じ位置に入射する。これにより、欠陥に対応する箇所に正確に開口部を形成することができる。
レーザ光を複数箇所に照射する場合、対物レンズ4を移動させてレーザ光の照射位置を変位させる。すなわち、レーザ光の照射による開口部の形成と、対物レンズ4の移動によるレーザ光の照射位置の変位を繰り返し行なう。これにより、マスクフィルムの複数の箇所にレーザ光を照射することができる。レーザ光を照射して開口部を形成している間、マスクフィルム固定治具44によってマスクフィルム5を基板6に対して固定したままとする。これにより、基板6の欠陥箇所に対応する開口部を正確に形成することができる。このように、対物レンズ4を移動して、2以上の複数箇所にレーザ光を照射して開口部を形成することによって、開口部の大きさを広くすることができる。このとき、マスクフィルム5に照射されたレーザ光のスポットの一部が重複する位置にレーザ光の照射位置を変位させる。これにより、段差や継ぎ目が生じるのを防ぐことができ、確実に修正を行うことができる。あるいは、マスクフィルム5に複数の開口部を形成することができる。これにより、例えば、2画素に及ぶ欠陥を1度の転写で修正することができる。従って、様々なタイプの欠陥に対する修正を1度の転写により行うことができる。継ぎ目や段差の発生を防ぐことができ、均一に修正することができる。さらに、タクトタイムを短縮することができ、生産性を向上することができる。もちろん、欠陥サイズが小さく、1箇所のみにレーザ光を照射して、欠陥箇所に対応する開口部を形成することができる場合は、レーザ光を1箇所のみに照射欠陥を修正することも可能である。
また、照射位置変位機構15によって、レーザ光の照射位置を変位させる前後で、ビーム成形機構2を用いてレーザ光のスポット形状を変化させる。これにより、複雑な形状の欠陥に対しても転写層を1度に転写することができる。よって、簡易な構成のビーム成形機構2で様々なタイプの欠陥を修正することができる。
なお、本実施の形態では、対物レンズ4のみを移動させることによって、照射位置を変化させているため、リペアヘッド35を簡易な構成とすることができる。もちろん、照射位置変位機構15は対物レンズ4を移動させる構成に限られるものではない。例えば、基板6が載置されたステージ7を移動させてもよい。ステージ7を移動させる場合は、マスクフィルム5を基板6に固定したまま移動を行なう。さらに、照射位置変位機構15は、レーザ光源1からマスクフィルムまでの間で光学部品を駆動して、レーザ光の照射位置を変化させるものであればよい。
1つ又は2以上の開口部を形成した後、フィルムホルダ42をマスクフィルム5の上に移動させる(ステップS108)。すなわち、リペアヘッド35をX方向に移動させ、光学系41の位置をマスクフィルム5の開口部の上からずらして、マスクフィルム5の上にフィルムホルダ42を配置する。これにより、マスクフィルム5の1又は2以上の開口部の上に、転写フィルム18及び熱転写ロッド43が配置される。転写フィルム18は複数の開口部の全て又は広げられた開口部の全体を覆うように配置される。このとき、マスクフィルムリール8及びマスクフィルム固定治具44をXレール34に固定しているため、マスクフィルム5は移動しない。したがって、欠陥箇所に開口部が位置合わせされている。
次に転写フィルムの圧着及び裏面側からのUV照射を行なう(ステップS109)。具体的には、開口部の上に配置された熱転写ロッド43を下げて、転写フィルム18を基板6に対して押圧する。これにより、1つ又は2以上の開口部を介して転写フィルム18の転写層が基板6に転写される。本発明ではマスクフィルム5を用いているため、基板6の開口部に対応する箇所のみ転写層が圧着される。開口部以外の箇所は熱転写ロッド43で押圧されてもマスクフィルム5でマスクされるため、基板6に付着しない。これにより、欠陥箇所のみに転写層18bを転写させることができ、正確な欠陥修正が可能になる。さらに、熱転写ロッド43で転写フィルム18を押圧している間、光源ヘッド37のUV光源52によって基板6の裏面側からUV光を照射する。これによって、転写層を硬化することができ、基板6に対する密着性を向上することができる。なお、ステップS107の前に光源ヘッド37を移動させ、開口部に対応する位置にUV光が照射されるように配置することが好ましい。
そして、転写層を転写した後、マスクフィルム5から転写フィルム18を剥離する。例えば、熱転写ロッド43を上げ、転写フィルム18を冷却した後、マスクフィルム5を吸着した状態のフィルムホルダ42を上昇させて、マスクフィルム5から転写フィルム18を離す。そして、マスクフィルム固定治具44を上昇させて、マスクフィルム5を基板6から剥離する。これによって、マスクフィルム5と基板6とを離すことができる。この後、マスクフィルムリール8を回転させて、マスクフィルム5の未使用部分をフィルムホルダ42の下に移動させてもよい。
マスクフィルム5を基板から離した後、基板6の表面から転写層にUV光を照射する(ステップS110)。具体的には、光学系41に設けられたUV光源13が転写箇所に対応する位置になるよう、リペアヘッド35を転写箇所まで移動する。そして、UV光源13からUV光を転写層に照射する。このとき、マスクフィルム5が転写箇所の上に設けられていないため、UV光はマスクフィルム5を介さずに照射される。なお、表面からUV光を照射する前に、転写された転写層を押圧してもよい。これにより、基板6に転写された転写層を平坦化することができる。このとき、マスクフィルムの開口部が設けられていない未使用領域を介して転写層を押圧することが好ましい。さらに、転写後の押圧には、加熱された熱転写ロッド43又はヒータロッド45によって押圧することが好ましい。これにより、転写された転写層の厚さを均一にすることができる。よって、精度よく欠陥を修正することができる。
UV光の照射が終了したら、転写層を加熱する(ステップS111)。具体的には、リペアヘッド35をX方向に移動させ、加熱されているヒータロッド45を転写箇所に対向させる。そして、ヒータロッド45を下方向に移動して、転写層を押圧する。ヒータロッド45からの熱によって転写層が加熱される。さらに、リペアヘッド35をX方向に移動させ、転写箇所に高温ブロワ46を対向させる。そして、高温の乾燥ガスを送風して、基板6に転写された転写層を加熱させる。あるいは、光学系41に設けられたハロゲンランプ14を用いて、加熱してもよい。これによって、基板6に転写された転写層が熱架橋し、転写層を固化することができる。転写層が熱架橋することによって、転写層が安定し、不純物の発生を防ぐことができる。さらに、転写層の後工程での剥がれを防止することができる。これにより、欠陥修正が完了する。なお、基板6の欠陥箇所が多い場合は、1枚の基板6に対する全欠陥の転写が終了してから、まとめて加熱を行ってもよい。具体的には、加熱を行わずに全ての欠陥箇所に転写層を転写して、その基板6を高温オーブンで加熱してもよい。
欠陥修正が終了した後、使用済みの転写フィルムを廃棄する(ステップS112)。具体的には、リペアヘッド35を移動して、使用済みの転写フィルム18の断片を吸着したフィルムホルダ42をトラッシュ22の上に移動させる。そして、フィルムホルダ42での吸着を停止して、使用済みの転写フィルム18の断片を開放する。これによって、使用済みの転写フィルム18の断片を廃棄することができる。この直後、次の欠陥に対応する転写フィルム18の断片を保持するようにしてもよい。
さらに、基板6に欠陥が複数ある場合、ステップS102から工程を繰り返し実行する。このとき、マスクフィルムリール8を回転させて、マスクフィルム5の上面に転写層が付着していない部分を用いる。これにより、基板6全体に対して欠陥を修正することができる。なお、ステップS111の後、修正箇所を光学系41によって観察して、欠陥が正常に修正されているか否かを確認してもよい。欠陥が正常に修正されていない場合、その箇所を欠陥として、再度同じ箇所に修正を行うようにしてもよい。
なお、図示した欠陥検出機構及び欠陥修正機構の光学系等の構成は一例であり、その他のフィルター、レンズ、ミラー等の光学部品を備えていてもよい。なお、上述の説明では液晶表示装置等の表示装置のカラーフィルタ基板で説明したが、CCDカメラ等の固体撮像素子用のカラーフィルタ基板に利用することもできる。もちろん、カラーフィルタ基板以外のパターン基板に対して利用可能である。例えば、PDPやブラウン管等の蛍光体の修正に利用することも可能である。さらには、液晶表示装置の薄膜トランジスタアレイ基板に対して利用することも可能である。この場合、転写フィルムにはクロム等の金属からなる導電層を設けて、短パルス光により導電層を転写することにより、配線や電極等のパターンの修正を行うことができる。これにより、配線の断線修復も可能である。あるいはフィルムに絶縁膜を設けて、配線間の絶縁層の欠陥を修正するようにしてもよい。さらにはフォトマスクパターンの修正も可能である。この場合もクロムや黒色に着色された樹脂などの遮光層を転写することにより、パターン修正が可能になる。このように欠陥を修正するため、修正する箇所に応じた材質の転写層(着色層、遮光層、導電層等)をフィルムに設けることによって、様々な種類のパターン基板の欠陥を修正することができる。
上述の説明では欠陥を白抜き部分が設けられている画素としたが、欠陥は透明な材質からなる異物でもよく。さらには、精度良く設けられていない着色層等を除去しても良い。これらの除去しなければならない異物等を欠陥と称するものとする。この欠陥を除去し、転写層18bを転写することにより欠陥を修正することができる。また、パターン形成時に所定のパターンが形成されなかった欠陥箇所に対して、転写層を転写することにより欠陥を修正することができる。上述の欠陥修正装置を用いて欠陥修正を行うことにより、パターン基板の生産性を向上することができる。すなわち、リペアヘッドの小型化を図ることができ、装置のサイズを小さくすることができる。よって、フットプリントを小さくすることができ、生産性を向上することができる。さらに、リペアヘッド35に転写フィルムのリール等が設けられていないため、リペアヘッド35を簡易な構造とすることができる。よって、リペアヘッド35にヒータロッド45などのヒータや光学系41を取り付けた場合でも、リペアヘッド35の大型化を防ぐことができる。
なお、転写フィルム18及びマスクフィルム5は上述の構成のフィルムに限られるものではない。また、図15に示した欠陥修正方法の工程は、典型的な修正方法の工程であり、本発明はこれに限定されるものではない。本発明にかかる欠陥検査装置は上述の構成に限られるものではない。例えば、観察用のCCDカメラ12はリペアヘッド35ではなく、光源ヘッド37に設けてもよい。UV光源13、ハロゲンランプ14、ヒータロッド45又は高温ブロワ46はリペアヘッド35に設けることが好ましい。リペアヘッド以外の新たなヘッドを設ける必要がないため、欠陥修正装置のコストを低減することができる。さらに、これらを同じヘッドに設けることによってヘッドの移動距離が短くなり、欠陥修正の処理時間を短縮することができる。なお、上記の欠陥修正装置は例えば、カラーフィルタ基板などのように異なる種類のパターンが形成され、複数の転写フィルムが必要なパターン基板に好適である。これによって、パターン基板の生産性を向上することができる。もちろん、本発明にかかるカラーフィルタ以外のパターン基板に対しても適用することができる。例えば、フォトリソグラフィー工程などによって基板上にパターンを形成した後、上記の手順でパターンの欠陥を検出する。そして、上記と同様に欠陥を修正することによって、パターン基板の生産性を向上することができる。