ところで、上記の欠陥修正技術の対象となるパターン基板では、金属膜や金属酸化物などの遮光膜上に樹脂膜が形成されたものがある。このような遮光膜上の樹脂膜の欠陥を修正するため、レーザ光を照射する場合、遮光膜にレーザ光が吸収されてしまう。従って、マスクフィルムを通過したレーザ光が遮光膜に入射して、遮光膜が損傷してしまうという問題点がある。特にマスクフィルムに開口部を形成するためには、レーザ光の照射パワーを高くする必要がある。そのため、欠陥でない遮光膜がレーザ光によるダメージを受けて、新たな欠陥となってしまうという問題が生じてしまう。なお、上記の問題は、修正が必要なパターンの下側に配置された下地膜であれば、遮光膜以外の透過膜などであっても生じてしまう。従って、従来の方法では、欠陥修正の品質が低下するという問題点があった。
このように従来の欠陥修正装置、及び欠陥修正方法では、欠陥修正の品質が低下してしまうため、生産性の向上を図ることが困難であるという問題点があった。
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであって、欠陥修正の品質を向上させて、生産性を向上することができる欠陥修正装置及び欠陥修正方法ならびにそれを用いたパターン基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様にかかる欠陥修正方法は、基板上に設けられたパターンの欠陥にレーザ光を照射して、前記欠陥を修正する欠陥修正方法であって、前記パターンの欠陥を検出する工程と、前記欠陥よりも大きい開口部を有するマスクフィルムと前記基板とを相対移動させる工程と、前記相対移動させた後、前記開口部が前記欠陥上に配置された状態で、前記マクスフィルムの開口部を前記基板に対して密着させる工程と、前記開口部を介して前記欠陥にレーザ光を照射して、前記欠陥を除去する工程と、を備えるものである。これにより、確実に欠陥を修正することができ、生産性を向上することができる。例えば、下地膜として遮光膜がある場合、遮光膜を損傷することなく適切なレーザパワーで欠陥を修正することができる。
本発明の第2の態様にかかる欠陥修正方法は、上述の欠陥修正方法であって、前記基板の外側において前記マスクフィルムにレーザ光を照射して、前記開口部を形成する工程をさらに備え、前記相対移動させる工程では、前記基板の欠陥に対して前記マスクフィルムの開口部を位置合わせするものである。これにより、確実に欠陥を修正することができ、生産性を向上することができる。
本発明の第3の態様にかかる欠陥修正方法は、上述の欠陥修正方法であって、前記開口部を形成する工程では、前記マスクフィルムのレーザ光が照射される位置近傍を吸引しながら前記開口部を形成することを特徴とするものである。これにより、マスクフィルムに開口部を形成するときに発生する異物が基板に付着するのを防ぐことができ、欠陥修正の品質を向上できる。
本発明の第4の態様にかかる欠陥修正方法は、上述の欠陥修正方法であって、前記マスクフィルムに異なるサイズの前記開口部を形成し、前記欠陥のサイズに応じて、前記欠陥上に配置される開口部のサイズを決定するものである。これにより、生産性を向上することができる。
本発明の第5の態様にかかる欠陥修正方法は、上述の欠陥修正方法であって、前記基板と前記欠陥上に配置されたマスクフィルムとの間にレーザ光を遮光する遮光部材を配置する工程と、前記遮光部材が配置された状態で、前記遮光部材上の前記マスクフィルムにレーザ光を照射して、前記欠陥よりも大きい開口部を形成する工程とを備え、前記シャッター板を前記レーザ光の光路上から取り除いた後、前記マスクフィルムと前記基板とを近づけて、前記マスクフィルムの開口部を前記基板に対して密着させるものである。これにより、確実に欠陥を修正することができ、生産性を向上することができる。
本発明の第6の態様にかかる欠陥修正方法は、上述の欠陥修正方法であって、前記パターンが欠落している白欠陥を覆う領域に修正液を付着させる白欠陥修正工程をさらに備え、前記白欠陥修正工程で前記修正液が付着することによって生成された黒欠陥にレーザ光を照射するものである。これにより、確実に欠陥を修正することができ、生産性を向上することができる。
本発明の第7の態様にかかる欠陥修正方法は、上述の欠陥修正方法であって、前記開口部が前記欠陥よりも片側10μm以上大きいことを特徴とするものである。これにより、確実に欠陥を修正することができ、生産性を向上することができる。
本発明の第8の態様にかかる欠陥修正方法は、上述の欠陥修正方法であって、前記開口部のサイズが100μm以下であることを特徴とするものである。これにより、確実に欠陥を修正することができ、生産性を向上することができる。
本発明の第9の態様にかかる欠陥修正方法は、上述の欠陥修正方法であって、前記パターンが前記基板に形成された下地膜上のレジストパターンであることを特徴とするものである。これにより、下地膜の損傷を防ぐことができる。
本発明の第10の態様にかかるパターン基板の製造方法は、上述の欠陥修正方法によって下地膜上のレジストパターンを修正する工程と、前記修正されたレジストパターンを介して下地膜をエッチングする工程と、を備えるものである。これにより、生産性を向上することができる。
本発明の第11の態様にかかる欠陥修正装置は、基板上に設けられたパターンの欠陥にレーザ光を照射して、前記欠陥を修正する欠陥修正装置であって、前記欠陥よりも大きい開口部を有するマスクフィルムが取り付けられるマスクフィルムリールと、前記開口部が前記欠陥上に配置された状態で、開口部と前記欠陥とを密着させる密着部と、前記開口部を介して、前記欠陥に照射されるレーザ光を出射するレーザ光源と、を備えるものである。これにより、確実に欠陥を修正することができ、生産性を向上することができる。
本発明の第12の態様にかかる欠陥修正装置は、上述の欠陥修正装置であって、前記レーザ光源からのレーザ光によって前記マスクフィルムに前記開口部を形成するものである。これにより、部品点数を削減することができ、生産性を向上することができる。
本発明の第13の態様にかかる欠陥修正装置は、上述の欠陥修正装置であって、前記マスクフィルムのレーザ光が照射される位置近傍を吸引する吸引手段をさらに備えるものである。これにより、マスクフィルムに開口部を形成するときに発生する異物が基板に付着するのを防ぐことができ、欠陥修正の品質を向上できる。
本発明の第14の態様にかかる欠陥修正装置は、上述の欠陥修正装置であって、前記マスクフィルムを開口部を形成するときのレーザ光のスポット形状と、前記開口部を介して前記欠陥に対してレーザ光を照射する時のレーザ光のスポット形状とを、異なる形状に変えるビーム成形機構をさらに備えるものである。これにより、確実に欠陥を修正することができ、生産性を向上することができる。
本発明の第15の態様にかかる欠陥修正装置は、上述の欠陥修正装置であって、前記マスクフィルムと前記基板との間において前記レーザ光を遮光するよう、前記光路上に移動可能に設けられた遮光部材をさらに備え、前記遮光部材を光路上に配置した状態で、前記マスクフィルムにレーザ光を照射して、前記開口部を形成し、前記遮光部材を光路上から取り除いた状態で、前記開口部を介して前記欠陥にレーザ光を照射して、前記欠陥を除去するものである。これにより、確実に欠陥を修正することができ、生産性を向上することができる。
本発明の第16の態様にかかる欠陥修正装置は、上述の欠陥修正装置であって、前記基板の外側において前記マスクフィルムにレーザ光を照射して、前記開口部を形成する工程をさらに備え、前記マスクフィルムに形成された開口部を前記欠陥に対して位置合わせするものである。これにより、確実に欠陥を修正することができ、生産性を向上することができる。
本発明の第17の態様にかかる欠陥修正装置は、上述の欠陥修正装置であって、前記パターンが欠落している白欠陥に修正液を付着させるディスペンサーをさらに備え、前記白欠陥に前記修正液が付着することによって生成された黒欠陥に前記開口部を介してレーザ光を照射するものである。これにより、様々な欠陥を修正することができ、生産性を向上することができる。
本発明の第18の態様にかかる欠陥修正装置は、上述の欠陥修正装置であって、前記開口部が前記欠陥よりも片側10μm以上大きいことを特徴とするものである。これにより、確実に欠陥を修正することができ、生産性を向上することができる。
本発明の第19の態様にかかる欠陥修正装置は、上述の欠陥修正装置であって、前記開口部のサイズが100μm以下であることを特徴とするものである。これにより、確実に欠陥を修正することができ、生産性を向上することができる。
本発明の第20の態様にかかる欠陥修正装置は、上述の欠陥修正装置であって、前記パターンが前記基板に形成された下地膜上のレジストパターンであることを特徴とするものである。これにより、遮光膜に対するダメージを低減することができる。
本発明は生産性を向上させることができる欠陥修正装置及び欠陥修正方法ならびにそれを用いたパターン基板の製造方法を提供する。
本発明の実施例について以下に図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施例を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施例に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
本実施の形態にかかる欠陥修正装置は、下地膜上のパターンに存在する欠陥を修正する。ここでは、下地膜上に設けられた感光性樹脂材料からなるレジストパターンの欠陥を修正する例について説明する。具体的には、レーザ光をレジストパターンの黒欠陥に照射して、不要な部分の樹脂材料を除去している。欠陥を修正する際、マスクフィルムに設けられた開口部を介して欠陥にレーザ光を照射している。これにより、レーザ照射によって飛散した樹脂材料が基板上に付着するのを防ぐことができ、新たな欠陥の発生を防止できる。
さらに、本実施の形態では、マスクフィルムに開口部を形成する際、下地膜に損傷が生じないようにしている。具体的には、マスクフィルムの開口部を基板に対して位置合わせする。そして、開口部を基板に密着させる前に、マスクフィルムにレーザ光を照射し、開口部を形成する。その後、マスクフィルムの開口部を基板に対して密着させる。これにより、欠陥除去の際のレーザ光の照射パワーを低減することができる。すなわち、マスクフィルムに開口部を設けるために必要な照射パワーを有するレーザ光が下地膜に入射するのを防ぐことができる。従って、樹脂材料からなる欠陥の除去に好適な照射パワーで、レーザ光を基板に対して照射することができる。よって、マスクフィルムに開口部を形成する場合と比べて、照射パワーを低減することができる。これにより、下地膜が損傷するのを防ぐことができる。このとき、マスクフィルムの開口部は、修正する欠陥に比べて大きいものとする。これにより、欠陥に対する開口部の位置合わせを容易に行うことができる。
本実施の形態にかかるパターン基板の欠陥修正装置について図1及び図2を用いて説明する。図1は欠陥修正装置の構成を模式的に示す上面図であり、図2は欠陥修正装置の構成を示す側面断面図である。6は基板、7はステージ、31は架台、32はYレール、33はフレーム、34はXレール、35はリペアヘッド、36は裏面可動レール、37は透過光源ヘッドである。ここでは、基板6を液晶表示装置等のパターン転写に用いられるフォトマスク基板として説明する。基板6には、ガラス基板の上に下地膜として、金属や金属酸化物からなる遮光膜が形成されている。基板6は、遮光膜上に設けられた樹脂膜を有している。遮光膜がクロムやクロム酸化膜などから形成されており、遮光膜上の樹脂膜がレジストパターンであるとして説明する。本実施の形態にかかる欠陥修正装置は、レジストパターンの欠陥を修正する構成を有している。
架台31の上には、額縁状のフレーム33が設けられている。この額縁状のフレーム33の上に、透明なガラス板から構成されるステージ7が設けられる。すなわち、ステージ7の外周近傍がフレーム33によって支持される。フレーム33は架台31に対して固定され、ステージ7はフレーム33に対して固定されている。ステージ7の上には上面にカラーフィルタが作成された基板6が載置される。なお、ステージ7をX−Y−Zステージとしてもよい。
ステージ7の外側にはYレール32が設けられている。Yレール32はY方向に沿ってステージ7の両側に配設されている。この2本のYレール32の上にはXレール34が設けられている。Xレール34は基板6をまたぐよう、X方向に沿って設けられている。Xレール34にはリペアヘッド35が取り付けられている。リペアヘッド35はXレール34に対して移動可能に設けられている。これにより、リペアヘッド35がX方向に沿って移動する。リペアヘッド35には後述するように、欠陥を検出するための欠陥検出機構及び欠陥を修正するための欠陥修正機構が設けられている。
さらに、Xレール34はYレール32に対して移動可能に設けられている。これにより、Xレール34がY方向に移動する。従って、リペアヘッド35は基板6の上をXY方向に移動する。すなわち、リペアヘッド35をX方向に移動させ、リペアヘッド35が取り付けられたXレール34をY方向に移動させることで、リペアヘッド35を2次元的に移動させることができる。これにより、基板6全面に対して欠陥の検出及び修正を行うことができる。また、欠陥修正装置のフットプリントを小さくすることができるため、生産性を向上することができる。リペアヘッド35やXレール34の駆動は、ACサーボモータなどの公知の方法を用いて行なうことができる。
ステージ7の裏面側には、裏面可動レール36が設けられている。裏面可動レール36には、光源ヘッド37が取り付けられている。光源ヘッド37はリペアヘッド35と同様にXY方向に移動可能に設けられている。すなわち、光源ヘッド37はX方向に移動可能に設けられ、裏面可動レール36がY方向に移動可能に設けられている。さらに、光源ヘッド37はリペアヘッド35の移動に追従して移動することが可能である。すなわち、リペアヘッド35が移動した場合、リペアヘッド35が移動した方向に同じ距離だけ、光源ヘッド37が移動する。これにより、XY平面において、光源ヘッド37がリペアヘッド35と同じ位置に移動する。光源ヘッド37には、透過照明用の照明光源が設けられている。
次に、リペアヘッド35及び光源ヘッド37の構成について図3及び図4を用いて説明する。図3はリペアヘッド35及び光源ヘッド37の構成を模式的に示す側面断面図である。図4はリペアヘッド35の構成を模式的に示す上面図である。まず、リペアヘッド35の構成に付いて説明する。リペアヘッド35には光学系41と、筐体47と、ディスペンサー72とが設けられている。筐体47は、Z方向移動機構48を介してリペアヘッド35に取り付けられている。このZ方向移動機構48によって、筐体47をリペアヘッド35とは独立にZ方向の移動させることができる。筐体47には巻き取り用モータ8aと、シャッター板71と、ディスペンサー72とが取り付けられ、これらは筐体47とともに移動する。リペアヘッド35の下側、すなわち基板6側は、開放されている。リペアヘッド35内の構造物が欠陥検出及び欠陥修正のために基板6に対して、アクセス可能になっている。光学系41には、欠陥除去のためのレーザ光源が設けられている。巻き取り用モータ8aが回転することによって、マスクフィルム5が巻き取られていく。また、巻き取り用モータ8aがZ方向に移動することによって、マスクフィルムリール8、及びマスクフィルム5も移動する。
基板6の上にはマスクフィルム5が設けられている。マスクフィルム5は、基板6と対向するように配設されている。マスクフィルム5はレーザアブレーションが容易な材質、や透明な材質を用いることができる。本実施の形態では例えば、約10μmのポリイミドを用いる。このマスクフィルム5に開口部5aを設け、開口部5aを介して欠陥を除去する。マスクフィルム5はマスクフィルムリール8に取り付けられている。2つのマスクフィルムリール8の一方が巻き取り用のリールであり、他方が供給用のリールである。巻き取り用モータ8aによって、巻取り用のマスクフィルムリール8を回転させると、供給用のマスクフィルムリール8からマスクフィルム5が図4の矢印の方向に送り出される。これにより、マスクフィルム5の未使用部分が基板6の上に供給される。このマスクフィルム5を介して、欠陥の観察及び欠陥修正が行われる。マスクフィルム5はY方向に送り出される。すなわち、マスクフィルム5は、リペアヘッド35の移動方向と垂直な方向にフィードされる。
このマスクフィルム5の下には、シャッター板71が配設されている。シャッター板71は、基板6と対向するように配置されている。このシャッター板71は、例えば、金属板であり、レーザ光を遮光する。すなわち、マスクフィルム5に開口部5aを形成するための高照射パワーのレーザ光は、シャッター板71で遮光される。シャッター板71は、シャッター板移動機構49に連結されている。このシャッター板移動機構49は、シャッター板71をX方向に移動させる。すなわち、シャッター板71は光路上に挿入可能に設けられている。例えば、シャッター板71はX方向に移動可能に設けられている。そして、シャッター板71を移動して、光路上に挿入すると図3に示す構成となる。この状態では、シャッター板71がマスクフィルム5の直下に配置される。従って、マスクフィルム5と基板6との間にシャッター板71が配置される。そして、シャッター板71が光路上に配置された状態で、マスクフィルム5にレーザ光を照射する。これにより、マスクフィルム5に開口部5aが形成される。このとき、レーザ光の照射パワーを高くしても、シャッター板71でレーザ光が遮光される。基板6上の遮光膜に照射されることがなくなるため、遮光膜の損傷を防ぐことができる。また、マスクフィルム5の開口部5aを形成するときに発生する異物が遮光膜上に付着するのを防止できる。なお、シャッター板移動機構49は、筐体47に取り付けられている。よって、シャッター板移動機構49は、Z方向移動機構48の動作によって筐体47とともにZ方向に移動する。シャッター板移動機構49としては、例えば、モータやシリンダ等を用いることができる。
マスクフィルム5に開口部5aを形成した後、シャッター板71をX方向に移動させる。これにより、シャッター板71が光路上から取り除かれ、図4に示す構成となる。シャッター板71はマスクフィルム5から独立して移動可能に設けられている。すなわち、シャッター板71を移動しても、マスクフィルム5は移動しない。これにより、開口部形成時には、シャッター板71をマスクフィルム5と基板6の間に挿入させることが可能になる。そして、欠陥修正時には、マスクフィルム5と基板6との間からシャッター板71が除去される。開口部5aを形成するとき、光学系41の光軸は基板6の欠陥に位置合わせすることが好ましい。これにより、マスクフィルムをXY方向に移動することなしに、開口部5aと基板6とを密着させることができる。これにより、XY方向の移動による位置ずれを防ぐことができる。
マスクフィルム5の上にはマスクフィルム密着治具44が設けられている。このマスクフィルム密着治具44によるマスクフィルム5の密着方法について図5を用いて説明する。図5はマスクフィルム密着治具44及びマスクフィルム5の構成を示す側面図である。なお、図5では、説明の明確化のため基板6について省略している。マスクフィルム密着治具44は図5に示すように上下方向に移動可能に設けられている。マスクフィルム密着治具44はマスクフィルム5を基板6に対して密着するクランパーである。欠陥修正時には、マスクフィルム密着治具44を下げて、マスクフィルム5を基板6に押し当てる。すなわち、マスクフィルム密着治具44の角度を変えて、マスクフィルム密着治具44の先端を下げてマスクフィルム5と基板6とを接触させる。このとき、マスクフィルム5にはマスクフィルムリール8の巻き取り用モータ8aによってテンションが加わっている。これにより、マスクフィルム5が基板6に密着し、マスクフィルム5の開口部5aを基板6に対して密着させることができる。欠陥を修正している間、マスクフィルム5の開口部5aの位置と欠陥の位置を一致させることができる。マスクフィルム5の開口部の両側に、マスクフィルム密着治具44を設けることが好ましい。また、マスクフィルム5を帯電させて静電気力により基板6に密着させることも可能である。マスクフィルム密着治具44の先端はシリコーンゴムとすることができる。なお、開口部5aと基板6との密着は、上記のマスクフィルム密着治具44に限られるものではない。例えば、イオナイザーによってマスクフィルム5を帯電させて、密着させてもよい。
なお、巻き取り用モータ8aが搭載された筐体47は、上下方向(Z方向)に移動可能に設けられている。シャッター板71を光路上に挿入する場合、筐体47を上方向に移動させる。これにより、マスクフィルム5、及びシャッター板71が基板6から離れて、シャッター板71を挿入しやすくなる。マスクフィルム5を基板6に対して密着させる場合、筐体47を下方向に移動させる。これにより、マスクフィルム5と基板6との距離が近づいて、マスクフィルム5を密着可能になる。Z方向にマスクフィルム密着治具44を移動することで、シャッター板71とマスクフィルム5等が干渉するのを防ぐことができる。よって、シャッター板71の出し入れ、及びマスクフィルムの密着を容易に実施することができる。
リペアヘッド35には、修正液となる溶液を塗布するディスペンサー72が設けられている。ディスペンサー72は、基板6にあるレジストパターンの白欠陥を覆う領域に溶液を付着させる。ここで、白欠陥とは、設計上、レジストパターンが存在すべき箇所に、レジストパターンが存在していない箇所をいう。また、黒欠陥とは、設計上、レジストパターンが存在しない箇所に、レジストパターンが存在している箇所をいう。また、基板6に異物等が付着した場合も黒欠陥となる。ディスペンサー72は、レジストパターンとなる樹脂材料と同じ樹脂材料を含む溶液を塗布することができる。ここで、ディスペンサー72として、微量の溶液を塗布することができるマイクロディスペンサーを用いることが好ましい。ディスペンサー72から噴出された微量の溶液は、レジストパターンの白欠陥とその近傍にのみ塗布される。すなわち、白欠陥を含む領域には不透明な樹脂材料が付着する。修正液が設計上のパターンからはみ出した箇所が黒欠陥となる。そして、不要な部分に付着した樹脂材料に対してレーザ光を照射して、黒欠陥を除去する。すなわち、白欠陥を含む領域に樹脂材料を塗布した後、不要部分をレーザ光で除去する。これにより、黒欠陥のみならず、白欠陥の修正を行うことが可能となる。
ディスペンサー72からの溶液は、マスクフィルム5の開口部5aを介して塗布されてもよい。すなわち、マスクフィルム5に開口部5aを形成した後、シャッター板71の移動及びマスクフィルム5の密着を行なう。そして、開口部5aが基板6の欠陥に位置合わせされた状態で、ディスペンサー72から溶液を塗布する。これにより、開口部5aを介して欠陥箇所に溶液が塗布される。また、開口部5a以外の領域に、溶液が付着されるのを防ぐことができる。これにより、レーザ光を照射する領域を狭くすることができるため、生産性を向上することができる。もちろん、マスクフィルム5を基板6上に配置する前に、ディスペンサー72から溶液を塗布してもよい。なお、ディスペンサー72をリペアヘッド35内に移動可能に設けてもよい。これにより、ディスペンサー72からの溶液が所定の位置に塗布されることができる。
ステージ7の下側に配置された光源ヘッド37には、照明光源51が設けられている。照明光源51は、リペアヘッド35の光学系41の光軸と一致するよう配置される。照明光源51によって透過像を撮像するための透過照明が行われる。すなわち、照明光源51は、欠陥を検出する時、あるいは欠陥修正が正常に行われたか否かを確認する時に、透過観察用の照明光を出射する。照明光源51から出射した光は透明なステージ7を介して基板6に入射する。そして、基板6を通過した透過光が光学系41に設けられたCCDカメラ等によって検出される。これにより、透過像を撮像することができる。なお、図3では図示していないが、レンズなどの光学部品を光源ヘッド37に設けてもよい。
次に光学系41の構成について図6を用いて説明する。図6は光学系41及び光源ヘッド37の構成を示す図である。光学系41は、ハーフミラー3、レーザ光源1、ビーム成形機構2、対物レンズ4、ランプ光源9、フィルタ10、ハーフミラー11及びCCDカメラ12を備えている。光学系41のランプ光源9、ハーフミラー3、ハーフミラー11、フィルタ10及びCCDカメラ12ならびに光源ヘッド37の照明光源51は欠陥の検出あるいは、欠陥の修正が正常に行われたか否かを確認するために用いられる。すなわち、基板6の反射像あるいは透過像を観察して、欠陥の検出等が行なわれる。
基板6の反射像を観察するための構成について説明する。反射観察用光源として光学系41に設けられたランプ光源9を用いている。ランプ光源9は基板6の表面を照明するための白色光を出射する。ランプ光源9から出射した反射観察用の光はフィルタ10を通過して、ハーフミラー11に入射する。フィルタ10は波長可変フィルタであり、所定の波長のみを遮光することができる。ここで、フィルタ10は欠陥検出に好適な波長の光を出射させることができる。ハーフミラー11に入射した光は基板6の方向に反射する。この光はハーフミラー3を透過して、対物レンズ4に入射する。対物レンズ4と基板6の間にはマスクフィルム5が基板6と対向して設けられている。そして、対物レンズ4で集光された光はマスクフィルム5を透過して基板6の表面に入射する。これにより、基板6の上面から基板6の一部を照明することができる。基板6で反射された光はマスクフィルム5、対物レンズ4、ハーフミラー3及びハーフミラー11を透過してCCDカメラ12に入射する。CCDカメラ12は基板6の表面での反射光に基づいて反射画像を検出する。これによって、基板6の反射像を観察することができる。
次に、透過像を観察するための構成について説明する。本発明では、基板6の透過像を観察するため、光源ヘッド37に照明光源51を用いている。照明光源51は、対物レンズ4の光軸上に設けられている。すなわち、照明光源51の光軸は上記の反射像の観察用光学系の光軸と一致している。照明光源51はステージ7を介して基板6の裏面側から基板6に透過照明光を入射させる。基板6を透過した透過光は、マスクフィルム5、対物レンズ4、ハーフミラー3及びハーフミラー11を透過してCCDカメラ12に入射する。照明光源51には、反射像の観察と同様にランプ光源を用いることができる。また、照明光源51に対してレンズや波長可変フィルタなどのフィルタ等を設けても良い。欠陥検出時は、リペアヘッド35と光源ヘッドを同期して移動させる。これにより、透過照明光と反射照明光とが同じ光軸で基板に入射するため、ランプ光源9及び照明光源51のON/OFFを独立して制御することにより、透過像又は反射像のいずれを撮像するかを容易に切り替えることができる。
なお、上記の説明では、マスクフィルム5を介して基板6の観察を行なったが、これに限るものではない。例えば、マスクフィルム5を基板6と光学系41の間から外して観察を行なうこともできる。すなわち、マスクフィルム5を光軸からずらした状態で観察を行ってもよい。
CCDカメラ12はパーソナルコンピューター(PC)等の情報処理装置に接続されており、検出された画像に基づいて基板6の欠陥の有無を判断する。例えば、検出したリファレンスダイと比較するダイツーダイ方式(Die−to−Die)を用いることができる。検出した画像がリファレンスダイと異なる場合は、欠陥部分であると判断する。この欠陥検出機構では、不透明な黒欠陥及び透明な白欠陥を区別して検出することができる。さらに、PCはリペアヘッド35のXY駆動機構と接続され、欠陥検出時のリペアヘッド35の位置から検出箇所が特定され、基板上における欠陥画素の座標が検出される。もちろん、欠陥検出機構は図示した構成に限らず、これ以外の構成を備える欠陥検出機構を用いてもよい。この欠陥検出機構については従来の欠陥検出装置と同様の構成を用いることができる。リペアヘッド35を移動させることにより、基板6とランプ光源9からの光の相対位置を変化させて、基板6の全面の欠陥検出を行う。情報処理装置は、基板6の欠陥箇所の座標を、欠陥の種別(黒欠陥又は白欠陥)や欠陥の大きさと対応付けて記憶する。
上述の欠陥検出機構により検出された欠陥は欠陥修正機構により、修正が行われる。欠陥修正機構について以下に説明する。レーザ光源1はQスイッチYAGレーザーであり、10nsec以下の短パルス光を出射することができる。レーザ光源1から出射した短パルスレーザ光はビーム成形機構2に入射する。ビーム成形機構2はアパーチャーやスリットあるいはレンズ等を備えており、短パルス光のスポットを適当な形状のビームスポットに成形することが可能である。例えば、基板上での短パルス光のビームスポットをカラーフィルタの画素と略同じ矩形状に成形する。あるいは欠陥の形状と略同じ形状に成形するようにしてもよい。さらに、ビーム成形機構2によって欠陥よりも大きい開口部をマスクフィルム5に形成する。開口部5aの形状は、例えば、矩形状とすることができる。また、開口部5aを欠陥の形状に応じた形状としてもよく、例えば、多角形にすることができる。ハーフミラー3は短パルス光を基板6の方向に反射する。ここで、レーザ光源1とランプ光源9からの光が同軸になるようにそれぞれの光学部品が配置されている。ハーフミラー3で反射した短パルスレーザ光はマスクフィルム5に照射される。レーザアブレーションによって、マスクフィルム5に開口部5aが形成される。さらに、開口部5aを介して、基板の欠陥箇所にレーザ光が照射される。レーザアブレーションによって、不要な部分が除去され、欠陥修正が可能となる。
ここで、開口部5aの形成と、欠陥の除去とは、同じレーザ光源1で行なわれる。これにより、部品点数を削減することができる。なお、開口部5aは修正される欠陥よりも大きく形成される。このため、開口部5aの形成時と欠陥の除去時とで、ビームスポット形状を変える。ビームスポット形状は、ビーム成形機構2によって、任意の形状に変えられる。例えば、開口部5a形成時には、ビーム成形機構2のスリットを広げて、ビームスポットを大きくする。これにより、修正される欠陥よりも大きいサイズの開口部5aを容易に形成することができる。もちろん、開口部5aの形成と、欠陥の除去とを、異なるレーザ光源で行ってもよい。この場合、それぞれに好適なレーザ光源を選択することができる。
さらにハーフミラー3にはレーザ光源1からのレーザ光を効率よく反射させるミラー等を用いることも可能である。例えば、レーザ光の波長に対して反射率の高いダイクロイックミラーや反射ミラーを用いてもよい。これにより、レーザ光を効率よくマスクフィルム5に照射することができるため、レーザ光源1の出力を低減することができる。この場合、欠陥検出時や欠陥観察時には、ハーフミラー3を光路上から外してもよい。すなわち、欠陥検出時や欠陥観察時には、欠陥の検出や欠陥の観察に好適な波長の光によって基板6を照明するため、ハーフミラー3をランプ光源9の光路上から外すことが好ましい。このとき、ハーフミラー3を機械的に移動させることによって、光路上から取り除くようにする。欠陥検出時及び観察時には、ハーフミラー3をランプ光源9の光路上から除去し、開口部の形成時にはハーフミラー3をランプ光源9の光路上に配置する。
次に、図7乃至図9を用いて欠陥修正方法の手順について説明する。図7は欠陥修正方法の手順を示すフローチャートである。図8、図9は欠陥箇所周辺の構成を示す工程断面図である。まず、基板6の欠陥を光学的に検出する(ステップS101)。ここでは、リペアヘッド35に設けられた光学系41及び、光源ヘッド37に設けられた照明光源51を用いる。そして、光学系41のCCDカメラの光軸と、照明光源51の光軸とが一致するように、リペアヘッド35と光源ヘッド37とを同期して移動させる。これによって、透過観察が可能になり、欠陥の検出効率を向上することができる。もちろん、反射観察によって欠陥を検出してもよい。リペアヘッド35と光源ヘッド37を走査して、基板全面に対して欠陥検査を行う。そして、検出された欠陥のそれぞれに対し、その基板上の位置と、欠陥の種別と、欠陥の大きさなどが対応付けて情報処理装置に記憶される。なお、欠陥検出時にはマスクフィルム5を光路上から取り除いてもよい。また、欠陥検出は、他の欠陥検査装置で行ってもよい。
次に、リペアヘッド35を欠陥箇所に移動する(ステップS102)。このとき、情報処理装置に記憶された欠陥の座標にリペアヘッド35の光学系41に配置される。さらに、欠陥箇所に対応する位置には光源ヘッド37の照明光源51が配置される。そして、照明光源51又はランプ光源9からの光を基板に照射して、マスクフィルム越しに基板6を観察してもよい。この場合、欠陥の位置に正確に位置合わせされているかを確認することができる。すなわち、光学系41の光軸が正確に欠陥の位置と一致していることを確認することができる。正確に位置合わせできていない場合、リペアヘッド35及び光源ヘッド37を移動して、微調整を行なうようにしてもよい。
リペアヘッド35を欠陥箇所に移動したら、マスクフィルム5に開口部5aを形成する(ステップS103)。この工程について、図8を用いて詳細に説明する。図8に示すように、基板6上には、遮光膜81と、レジスト82とが形成されている。レジスト82のパターンは遮光膜81の上に形成されている。ここで、遮光膜81のパターニング前であるため、遮光膜81は基板6の略全面に形成されている。一方、レジスト82は、露光工程、現像工程を経て、所定のパターン形状になっている。ここで、レジスト82には、黒欠陥83が存在する。
マスクフィルム5と基板6との間にシャッター板71を挿入して、レーザ光を照射する。これにより、図8(a)に示す構成となる。ここで、レーザ光は、欠陥箇所の上のマスクフィルム5に入射する。すなわち、黒欠陥83を含む領域において、レーザ光がマスクフィルム5に照射される。マスクフィルム5にレーザ光を照射すると、レーザアブレーションによってマスクフィルム5の一部が除去される。よって、マスクフィルム5に開口部5aが形成される。しかしながら、マスクフィルム5の下にシャッター板71が挿入されているため、基板6にはレーザ光が照射されない。従って、基板上に形成された遮光膜81にレーザ光が照射されるのを防ぐことができる。シャッター板71が挿入されているため、レジスト82の下地膜である遮光膜81にレーザ光が照射されない。よって、遮光膜81の損傷を防ぐことができる。従って、開口部5aの形成に、高照射パワーのレーザ光を用いることが可能である。なお、複数のパルスのレーザ光を照射して、開口部5aを形成してもよい。そして、シャッター板71を移動して、光路上から取り除く。
次に、開口部5aが形成されたマスクフィルム5を基板6に近づけるため、マスクフィルムリール8を下方向に移動する。その後、マスクフィルム密着治具44を用いてマスクフィルム5を基板6に密着させる(ステップS104)。これにより、基板6の表面がマスクフィルム5と近接され、図8(b)に示す構成となる。黒欠陥83上に開口部5aが配置されるよう位置合わせされた状態で、マスクフィルム5が密着する。よって、黒欠陥83の外周が開口部5aからはみ出すことがなく、開口部5aに対して黒欠陥83が内包される。すなわち、マスクフィルム5が存在する領域が黒欠陥83と重複せず、黒欠陥83がマスクフィルム5の開口部5aから露出する。また、マスクフィルム密着治具44を用いているため、黒欠陥83が開口部5aからずれることがない。
次に、欠陥を修正する(ステップS105)。黒欠陥83の場合、図9(a)に示すように開口部5aを介して基板6にレーザ光を照射する。これにより、黒欠陥83が基板6上から除去される。白欠陥の場合、レーザ光照射前にディスペンサー72を用いて基板6に樹脂材料を付着させる。これにより、不要部分に付着した樹脂材料が図8(b)に示す黒欠陥となる。そして、図9(a)に示すように、開口部5aを介して基板6にレーザ光を照射して、黒欠陥83を除去する。欠陥修正時のレーザ光のスポット形状は、ビーム成形機構2によって、開口部形成時のそれよりも小さくなっている。レーザアブレーションによって、黒欠陥83を構成する樹脂材料が化学的に分解する。従って、図9(b)に示すように黒欠陥83が基板6から離脱する。さらに、基板6は、欠陥箇所とその周辺以外は、マスクフィルム5で覆われている。よって、レーザアブレーションによって飛散した樹脂材料84が、マスクフィルム5の上に付着する。これにより、樹脂材料84が修正部周辺の基板上に付着して、新たな欠陥となるのを防ぐことができる。また、黒欠陥除去時のレーザ照射パワーを開口部形成時のレーザ光照射パワーよりも低くすることができる。これにより、下地膜である遮光膜81への損傷を低減することができる。そして、マスクフィルム5を基板6から離すよう、マスクフィルム5を移動する(ステップS106)。具体的には、マスクフィルム密着治具44による密着を解除して、マスクフィルムリール8を上に移動させる。これにより、マスクフィルム5が基板6から離れる。これにより、欠陥の修正が完了する。なお、欠陥が確実に修正できたか否かをCCDカメラ12の像によって確認してもよい。基板6上に他の欠陥がある場合、ステップS102からの工程を繰り返し行なう。このとき、マスクフィルムリール8を回転させて、マスクフィルムの未使用部分を用いる。
樹脂材料84の再付着を防ぐためには、開口部5aのサイズをより小さくすることが好ましい。すなわち、開口部5aのサイズが欠陥に対して大きすぎると、レーザアブレーションによって飛散した樹脂材料84が、開口部5a内で基板6に付着してしまう。すなわち、開口部5aが飛散距離に比べて大きいと、樹脂材料が開口部5aを越えない。このため、飛散した樹脂材料がマスクフィルム5まで到達せずに、基板6に付着してしまう。従って、開口部5aのサイズをより小さくすることが好ましい。例えば、修正する欠陥の直径が30μmである場合、1辺100μmの正方形の開口部5aを形成する。なお、レーザ光としては、YAGレーザの3倍高調波の355nmを用いることができる。照射条件としては、パルス幅5nsec、1パルス0.025mJ、1秒辺り20パルス(0.5mJ)とすることができる。このときの樹脂材料の飛散距離は、約100μm〜600μmである。よって、開口部5aのサイズを100μm以下にすることが好ましい。
開口部5aのサイズは、黒欠陥83のサイズと、マスクフィルムリール8の移動精度とに応じて決定されている。すなわち、開口部5aを移動精度に応じて黒欠陥83よりも大きくすることにより、マスクフィルムリール8をZ方向に移動しても、開口部5aから黒欠陥83がはみ出すのを防ぐことができる。具体的には、開口部5aを、欠陥サイズよりも移動精度以上大きくする。例えば、移動精度が±10μmのとき、片側10μm以上開口部5aを大きくする。これにより、マスクフィルムリール8の移動において、開口部5aの位置がずれても、開口部5aから黒欠陥83がはみ出すことがない。従って、確実に黒欠陥83を修正することができる。
本実施形態では、基板6とマスクフィルム5との間に移動可能なシャッター板71を用いている。従って、マスクフィルム5に開口部5aを形成した後、開口部5aを基板6に密着させるまでの間、リペアヘッド35は上下方向にしか移動しない。すなわち、開口部5aを形成した後、XY方向における移動なしで、開口部5aと基板6とが密着する。ここで、XY方向における移動は、一般に、Z方向における移動よりも、XY方向に対する移動精度が低い。すなわち、XY方向にリペアヘッド35を移動させると、開口部5aの位置ずれ量が大きくなってしまう。本実施の形態では、レーザ光を遮光するシャッター板71を設けている。そのため、XY方向の移動なしで、開口部5aの形成からマスクフィルム5の密着までの工程を実行することができる。よって、XY方向の移動精度を高くすることができる。これにより、開口部5aのサイズを小さくすることができ、確実に欠陥を修正することができる。もちろん、シャッター板71に限らず、レーザ光を遮光する遮光部材を光路上に配置してもよい。
このように、マスクフィルム5と基板6との間に移動可能なシャッター板71を用いているため、開口部形成時において、遮光膜81に高パワーのレーザ光が照射されない。よって、遮光膜81に対する損傷を防ぐことができる。さらに開口部形成に高パワーのレーザ光を用いることができる。よって、欠陥修正に好適な材料や厚さを有するマスクフィルム5を用いることができる。なお、修正されるパターンはレジストパターン以外のパターンであってもよい。さらに、修正パターンは樹脂材料以外の材料で形成されていてもよい。さらに、修正されるパターンの下地膜は遮光膜81に限られるものでない。すなわち、下地膜は、レーザ光の照射によってダメージを受けるものであればよく、例えば、透明膜や着色膜であってもよい。具体的には、カラーフィルタ基板の着色層であってもよい。さらに、基板6上に直接形成されているパターンを修正する場合でも、基板6の損傷を防ぐことができる。すなわち、高パワーのレーザ光照射による基板6の損傷を防ぐことができる。従って、本実施の形態にかかる欠陥修正は、基板6上に直接形成されたパターンを修正する場合にも適用可能である。
マスクフィルム5の開口部5aを介してレーザ光を照射することによって、除去された黒欠陥83を構成する材料が基板6に付着するのを防ぐことができる。よって、新たな欠陥が発生するのを防ぐことができる。これにより、確実に欠陥を修正することができる。
さらに、開口部5aを欠陥よりも大きくしているため、確実に修正を行うことができる。すなわち、マスクフィルム5の開口部5aと欠陥とを密着させるまでの間に位置ずれが生じてしまう場合でも、開口部5aから欠陥がはみ出すのを防ぐことができる。よって、欠陥を確実に修正することができる。なお、開口部5aを形成するとき、レーザ光を基板上以外で、マスクフィルム5に照射してもよい。すなわち、リペアヘッド35を基板6の外側に配置した状態で、マスクフィルム5にレーザ光を照射する。このとき、マスクフィルム5の下側には基板6が配置されていない。従って、高パワーのレーザ光を用いた場合であっても、下地膜の損傷を防ぐことができる。開口部5aを形成した後、リペアヘッド35をXY方向に移動する。これにより、マスクフィルム5に形成された開口部5aが欠陥に位置合わせされる。このとき、開口部5aを移動精度に比べて十分大きくしておけば、開口部5aから欠陥がはみ出すことがない。なお、開口部5aの大きさは、例えば、欠陥サイズよりも片側30μm以上大きくすることが好ましい。
また、マスクフィルム5に対して予め複数の開口部5aを形成しておくことも可能である。これにより、欠陥修正のタクトタイムを短縮することが可能となる。さらに、異なるサイズの開口部5aを形成するようにしてもよい。この場合、欠陥サイズに応じて、異なるサイズの開口部5aの中から適切なサイズの開口部5aを決定する。具体的には、大きい欠陥に対しては、大きい開口部5aを用い、小さい欠陥に対しては、小さい開口部5aを用いる。マスクフィルムリール8によって、開口部5aの位置を移動して、適切なサイズの開口部5aを基板上に配置する。これにより、確実に欠陥を修正することができる。
本実施の形態では、開口部5aを形成した後、マスクフィルム5を移動させる必要がある。このときのマスクフィルム5の移動をZ方向のみとすることによって、移動精度を向上することができる。このことは、シャッター板71を用いることで、容易に実現できる。よって、開口部5aを小さくすることができ、より確実に欠陥を修正することができる。上記の説明では、リペアヘッド35を移動する例について説明したが、基板6を移動させてもよい。例えば、リペアヘッド35を密着させた状態で、駆動ステージにより基板6を移動させてもよい。すなわち、基板6とマスクフィルム5とが相対移動する構成であればよい。
さらに、図10に示すように、開口部5aを形成する際に生じる異物を吸引する吸引機構を用いてもよい。図10は、ステップS103において開口部5aを形成する際に用いられる異物吸引機構を示す側面図である。異物吸引機構は、吸引ノズル91と吸引配管91とを有している。図10に示すように、吸引ノズル91は、対物レンズ4の側方から下側まで延設されている。吸引ノズル91は対物レンズ4の外周全体を囲むように設けられている。そして、この吸引ノズル91には、吸引配管92が取り付けられている。吸引配管91は吸引ノズル91の側方に配置される。また、この吸引ノズル91はレーザ光を透過させるための透光穴を有している。そして、この透光穴は対物レンズ4の下方において、対物レンズ4の光軸上に配置される。従って、対物レンズ4を出射したレーザ光は、透光穴を通ってマスクフィルム5や基板6に照射される。
上記の透光穴は開放している。従って、吸引ノズル91は、透光穴、及び吸引配管92を除いて密閉されている。これにより、透光穴を介して吸引を行なうことが可能となる。ここで、透光穴は光軸と一致するよう設けられている。従って、吸引ノズル91からレーザ光が照射される位置の近傍の気体が吸引される。よって、ステップS103で開口部5aをマスクフィルム5に対して形成する際、レーザ照射によって生じる異物を吸引ノズル91によって吸引することができる。すなわち、吸引配管92を減圧状態として、吸引ノズル91で吸引しながらレーザ光を照射する。これにより、レーザアブレーションによってマスクフィルム5に開口部5aが形成される。ここで、開口部形成時に発生するマスクフィルム材料の異物が吸引ノズル91から吸引される。すなわち、マスクフィルム5のレーザ光が照射される位置近傍を吸引しているため、異物が周囲の気体(空気)とともに上方に吸引される。従って、異物が落下することがなくなり、基板6に付着するのを防ぐことができる。このように異物を吸引する吸引ノズル91を用いることによって、欠陥修正の品質を向上することができ、生産性を向上することができる。
上記のような異物吸引機構を用いた場合、シャッター板71を用いることなく、基板上でマスクフィルム5に開口部5aを形成することができる。すなわち、基板6上で開口部を形成しても、その際に生じる異物が吸引ノズルから吸引されるため、基板上に付着しない。これにより、タクトタイムの向上を図ることができ、生産性を向上することができる。また、基板6とレーザ光の焦点位置とが離れていれば、マスクフィルム5を介してレーザ光が基板6に照射されても、基板に対する損傷はない。例えば、基板6と焦点位置とを5mm以上離して、開口部5aを形成することが好ましい。
なお、修正対象となる基板は、フォトマスク基板以外であってもよい。例えば、カラーフィルタやTFTアレイ基板等について、欠陥修正を行ってもよい。例えば、フォトマスク基板では、遮光膜として、クロムなどの金属膜やクロム酸化物などの金属酸化物膜が基板上に形成されている。そして、遮光膜の上に形成されているレジストパターンに対して、上記の欠陥修正を実行する。これにより、確実にレジストパターンの欠陥を修正することができる。そして、修正されたレジストパターンを介して、遮光膜81をエッチングする。これにより、遮光膜81が正確にパターニングされる。よって、不良品の発生を低減することができ、フォトマスクの生産性を向上することができる。さらに、上記のフォトマスクを用いて半導体装置、表示装置用のパターン基板を露光することによって、生産性を向上できる。