JP4948946B2 - 電極材料およびその製造方法ならびにそれを用いた蓄電池 - Google Patents

電極材料およびその製造方法ならびにそれを用いた蓄電池 Download PDF

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Description

本発明は、可逆的なレドックス活性を有する硫黄含有芳香族化合物であるテトラチオナフタレンを主骨格とするポリマーからなる電極材料およびその製造方法ならびにそれを用いた蓄電池に関する。
リチウム系二次電池は、高エネルギー密度および高出力という特長を有していることから、携帯電話、ノートパソコン等の携帯機器に使用されており、また、電気自動車等への応用も検討されている。
従来のリチウム系二次電池においては、正極材料には、主に、リチウム含有金属複合酸化物が用いられているが、その容量に限界があることから、近年、これに替わる材料として、有機硫黄化合物が注目されている。
前記有機硫黄化合物の中でも、アセン化合物にチオール基を導入した誘導体は、レドックス活性点となるジスルフィド結合を分子内に有することから、有機電極材料として期待される。
例えば、特許文献1には、下記式(3)に示すように、テトラチオナフタレン(以下、TTNと略記する。)の2つのジチオール環の開裂・環化によるレドックス反応によって、1分子当たり4電子の授受が可能であり、理論容量が425mAh/gと非常に大きいことが記載されている。
Figure 0004948946
しかしながら、前記TTNのレドックス反応は、動作電圧が低く、また、充放電のサイクル特性に劣り、電極材料性能としては十分とは言えなかった。
これに対しては、下記式(4)
Figure 0004948946
に示すように、TTNの2つのジチオール環に、正の電荷を付与することにより、該ジチオール環を開環することなく、2電子反応を生じ、理論容量は213mAh/gと上記の場合より劣るものの、現行のリチウム系二次電池と同等の動作電圧が得られることが認められている(例えば、特許文献2参照)。
上記のように、TTNは、高エネルギー密度を有し、レドックス活性を示す有機硫黄正極材料として有望視されていたが、比較的低分子量であるため、繰り返しの電位掃引により電解液に溶出するという欠点を有しており、充放電サイクル特性に課題があり、電極として用いることは困難であった。
そこで、本発明者らは、TTNの電解液への溶出を抑制すべく検討した結果、TTNをポリマー化することにより、電解液への不溶化を図ることができ、さらに、連結部にレドックス活性点を付与することにより、モノマーに対して充放電容量を向上させることを提案した。
具体的には、下記式(1)
Figure 0004948946
に示すように、TTNの両末端を分子修飾した後、チオエーテル結合(−S−)を介してポリマー化し、チアントレン骨格を形成することにより、電解液への溶出を抑制し、さらに、連結部にレドックス活性点を付与することで、モノマーユニット当たり3電子反応となり、理論容量および充放電サイクル特性を向上させることができる。
前記TTNポリマー(以下、poly(TTN)という。)の製造方法は、特許文献2に記載されているように、従来は、TTNの2,3,6,7位が塩素で置換されたテトラチオナフタレン、すなわち、2,3,6,7−テトラクロロ−1,4,5,8−テトラチオナフタレン(以下、TTN−4Clと略記する。)を、窒素気流下で硫化ナトリウム9水和物と反応させる方法が用いられていた。
また、特許文献2には、これにより得られたポリマーは、出力電位が2.7〜4.2V(対リチウム電極)であり、また、高エネルギー密度であり、良好な電極活性を示すことが記載されている。
特開2001−273901号公報 国際公開第2005/096417号パンフレット
しかしながら、上記特許文献2に記載された製造方法では、poly(TTN)の収率が約8%と低かった。
また、合成されたpoly(TTN)は、炭素に対する硫黄の組成重量比(S/C)が1.78と、poly(TTN)(=(C106n)のS/C理論値である1.60を大きく超えており、ポリマー純度の観点からも、優れた製造方法であるとは言えなかった。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、ポリマー純度の高いpoly(TTN)を合成し、また、反応収率の向上を図ることができる効率的なpoly(TTN)からなる電極材料の製造方法を提供し、さらに、それを用いた蓄電池を提供することを目的とするものである。
本発明によれば、炭素に対する硫黄の組成重量比(S/C)が1.50〜1.70であることを特徴とする下記式(1)
Figure 0004948946
(式中、nは2〜1000の整数)で表される、モノマー間が硫黄で架橋されたpoly(TTN)からなる電極材料が提供される。
本発明に係るpoly(TTN)は、S/Cが理論値1.60に近づき、ポリマー純度が従来よりも向上したものである。
また、本発明に係るpoly(TTN)の製造方法は、下記式(2)
Figure 0004948946
(式中、Xはハロゲン原子)で表されるTTNのハロゲン化物を、弱アルカリ性塩の存在下、300〜400℃で無機硫黄と加熱反応させて、上記式(1)で表されるpoly(TTN)を得ることを特徴とする。
この製造方法は、ポリマー純度の向上および収率の向上を図ることができる効率的なpoly(TTN)の合成法である。
上記製造方法においては、前記弱アルカリ性塩は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムのうちのいずれかであることが好ましい。
これらの塩は、合成反応後、残留した場合においても、容易に洗浄除去可能であることから、取扱い上好ましい。
また、本発明によれば、正極に前記poly(TTN)が用いられていることを特徴とする蓄電池が提供される。
上述したように電気化学的特性に優れた本発明に係るpoly(TTN)は、リチウム系二次電池、キャパシタ等の正極材料として好適に用いることができる。
上述したとおり、本発明に係るpoly(TTN)からなる電極材料の製造方法によれば、poly(TTN)の合成において、S/Cが理論値1.60に近づき、ポリマー純度を従来よりも向上させることができ、また、ポリマー収率の向上を図ることができる。
また、本発明に係るpoly(TTN)は、電極活性に優れていることから、二次電池およびキャパシタの正極材料として好適に用いることができる。
以下、本発明について、より詳細に説明する。
本発明に係るpoly(TTN)は、上記式(1)で表される硫黄含有芳香族化合物であり、レドックス活性物質であるTTNをモノマーユニットに含み、モノマー間が硫黄で架橋されたポリマーからなる電極材料である。
すなわち、TTNの芳香族環が、2個のチオール基(−S−)を対称位置に含む環構造によって架橋(連結)されたポリマーからなる電極材料である。
また、本発明に係るpoly(TTN)の製造方法は、下記式(2)
Figure 0004948946
(式中、Xはハロゲン原子)で表されるTTNのハロゲン化物を、弱アルカリ性塩の存在下、300〜400℃で無機硫黄と加熱反応させて、上記式(1)で表されるpoly(TTN)を得ることを特徴とする。
この製造方法は、ポリマー純度の向上および収率の向上を図ることができる効率的なpoly(TTN)の合成法であり、従来法よりも優れた製造方法である。
上記製造方法において用いられる弱アルカリ性塩としては、具体的には、弱酸である酢酸(CH3COOH)、炭酸(H2CO3)、リン酸(H3PO4)、ホウ酸(H2BO4)、シュウ酸((COOH)2)、クエン酸(H3657)等と、強塩基であるLiOH、NaOH、KOH、CsOHからなる塩が挙げられる。これらの中でも、酢酸ナトリウム(CH3COONa)、酢酸カリウム(CH3COOK)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カルシウム(K2CO3)が、合成反応後の除去等の工程においても、取扱い容易であることから好適に用いられる。
具体的な製造方法としては、例えば、既報論文(E.Klingsberg et.al., Tetrahedron,28,963-965(1972))に基づいて合成されるTTN−4Clを原料として、下記実施例に示すように、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カルシウムと、硫黄とを混合して、減圧下、300〜400℃の高温条件下で反応させることにより、poly(TTN)を合成することができる。
この製造方法によれば、従来のTTN−4Clと硫化ナトリウム9水和物との合成反応による製造方法と比較して、反応収率をはるかに向上させることができ、また、生成物であるpoly(TTN)のS/Cを1.60に近づける、すなわち、純度の著しい向上を図ることができる。
本発明に係る合成反応は、反応温度は300〜400℃と比較的高温であることが好ましく、また、反応促進のため、減圧下で行うことが好ましく、このような条件においては、1〜48時間程度で反応させることができる。
上記製造方法により得られるpoly(TTN)は、上述したように、レドックス活性に優れ、また、エネルギー密度、充放電容量等においても、優れた電極活性を有するものであることから、蓄電池の正極材料として好適に用いることができる。
電極の構成としては、例えば、前記poly(TTN)の粉末に、導電性炭素粒子等の導電助剤を添加し、さらに、適量のバインダーを添加して混合したものを、集電体基板上に塗布し、加圧成形することにより、レドックス活性膜被覆電極を作製することができる。
前記電極は、充放電の初期段階から、室温付近でも0.1〜3mA/cm2程度の実用的な電流密度を達成することができる。
前記導電助剤として用いられる導電性炭素粒子としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ等を例示することができる。この導電性炭素微粒子の添加量は、poly(TTN)に対して1〜30重量%程度であることが好ましい。
また、導電助剤としては、上記導電性炭素粒子以外にも、銅、鉄、銀、ニッケル、パラジウム、金、白金、インジウム、タングステン等の金属や、酸化インジウム、酸化錫等の金属酸化物等の金属系導電性粒子を用いてもよい。
また、前記電極は、poly(TTN)以外に、金属酸化物または金属錯体等をも含む複合材料により構成してもよい。これにより、poly(TTN)および金属酸化物等の両者のエネルギー貯蔵能を利用することができる。
前記金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn24)等のレッドクス活性物質、また、poly(TTN)を層間に固定可能な層状金属化合物である五酸化バナジウム(V25)等が挙げられる。
また、金属錯体としては、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFeO4)等のリチウム塩等を例示することができる。
さらに、前記電極においては、ポリチオフェン系等の電子伝導性高分子にpoly(TTN)をドープした複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電極における電子移動反応の促進を図ることができる。
また、前記電極材料を支持する集電体基板は、少なくとも、poly(TTN)によるレドックス活性膜との接触面において、導電性を示すことを要する。このため、前記基板は、導電性材料である金属、金属酸化物、カーボン等により構成することができ、特に、銅、カーボン、金、アルミニウムまたはこれらの合金からなるものであることが好ましい。
前記基板の形状は、poly(TTN)によるレドックス活性膜を形成できるものであれば、特に限定されないが、表面に凹凸を有するもの、または、網状のもの等が被覆膜との接触面積が大きく、好ましい。
前記集電体基板を被覆するレドックス活性膜は、厚さが10〜100μmであることが好ましく、また、前記膜に用いられる各粒子の粒径は、その膜厚よりも小さいことが好ましい。
上記のようにして形成された電極は、これを正極とし、負極にリチウムを吸蔵および放出可能な材料が用いられ、電解液が非水系である二次電池に好適に用いることができる。
前記負極は、金属リチウム、リチウム−アルミニウム等のリチウム合金、または、炭素等のリチウムインターカレーション材料により構成することができる。これらの材料は、電池の軽量化の観点から、箔の形態で使用されることが好ましい。
また、電解質には、CF3SO3Li、(CF3SO22NLi、(CF3SO22CLi、LiBF4、LiPF6、LiClO4等のリチウム塩を溶質とし、これを非水系溶媒に溶解した非水系電解液を用いることができる。
前記非水系電解液の濃度は、溶質の種類やイオン伝導性の目標レベルに応じて、適宜定めることができるが、約0.1〜3mol/l、好ましくは、0.5〜2mol/lの範囲である。
前記非水系溶媒としては、鎖状カーボネート、環状カーボネート、環状エステル、ニトリル化合物、酸無水物、アミド化合物、ホスフェート化合物、アミン化合物等が挙げられる。具体的には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメトキシエタン(DME)、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリジノン、N,N’−ジメチルアセトアミド、PCとDMEとの混合物、ECとDECとの混合物、スルホランとテトラヒドロフランとの混合物等を例示することができる。
さらに、前記電解質は、機械的強度および漏液防止等の観点から、前記非水系電解液をポリマーに浸透膨潤、または、ポリマーのミクロ架橋構造の中に保持させたゲル電解質であることが好ましい。
前記ポリマーとしては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、または、これらの共重合体や、ポリエチレンとポリエチレングリコールのグラフト重合体等が挙げられる。
また、本発明に係るpoly(TTN)は、上記のような二次電池以外にも、負極に電解液中のカチオンをドープおよび脱ドープ可能な材料を用いた非水系電解液のキャパシタの正極にも好適に用いることができる。
前記電極材料は、キャパシタにおいても、エネルギー密度の向上に寄与し得るものである。
前記キャパシタの電解質には、テトラメチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩、テトラエチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩、トリエチルモノメチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩等の第4級アンモニウム塩等を溶質とし、これを非水系溶媒に溶解した非水系電解液が好適に用いられる。
また、前記非水系溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物を単独で、または、他の有機溶媒と混合して使用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、下記実施例により制限されるものではない。
(TTN−4Clの合成)
オクタクロロナフタレン15gと硫黄6gを200mlフラスコに入れ、窒素気流下で310℃まで昇温した。途中で二塩化硫黄が大量発生したが、310℃で約20分間保持した後、放冷した。
室温まで冷却した後、二硫化炭素での還流および洗浄を2度繰り返した。
ろ過後、真空乾燥を行い、TTN−4Clを収率75%で得た。
なお、生成物の元素分析測定の結果、C:30.8%、H:0.2%以下、S:33.7%、Cl:36.3%(重量比)であり、TTN−4Clの理論値(C:30.8%、S:32.8%、Cl:36.4%(重量比))とほぼ一致した。
(TTN−4Clのポリマー化)
[実施例1]
TTN−4Clを992.5mgと硫黄240mgと炭酸ナトリウム795mgを粉砕混合し、耐熱ガラス管に入れた。この管内を、油回転真空ポンプを用いて減圧し、そのまま、バーナーで封入して反応管とした。
この封管にリボンヒーターを巻き付けて、320℃まで昇温し、12時間経過後、放冷した。
封管内の黒褐色粉末を、蒸留水、アセトン、熱DMFで、ろ液が着色しなくなるまで、還流および洗浄を繰り返した。
ろ過後、真空乾燥を行い、反応生成物600mgを得た。この生成物をpoly(TTN)と仮定した場合の収率は約77%であった。
なお、蒸留水による洗浄後のろ液のpHを測定したところ、初回の洗浄ではpH=11であったが、繰り返し洗浄により、pH=7に近付いた。このことから、未反応の残留炭酸ナトリウムが、複数回の蒸留水による洗浄で除去できることが認められた。
[実施例2]
TTN−4Clを995mgと硫黄240mgと酢酸ナトリウム1250mgを粉砕混合し、耐熱ガラス管に入れた。この管内を、油回転真空ポンプを用いて減圧し、そのまま、バーナーで封入して反応管とした。
この封管にリボンヒーターを巻き付けて、320℃まで昇温し、12時間経過後、放冷した。
封管内の黒褐色粉末を、蒸留水、アセトン、熱DMFで、ろ液が着色しなくなるまで、還流および洗浄を繰り返した。
ろ過後、真空乾燥を行い、反応生成物653mgを得た。この生成物をpoly(TTN)と仮定した場合の収率は約84%であった。
[比較例1]
TTN−4Clを992.5mgと硫黄480mgを粉砕混合し、耐熱ガラス管に入れた。この管内を、油回転真空ポンプを用いて減圧し、そのまま、バーナーで封入して反応管とした。
この封管にリボンヒーターを巻き付けて、320℃まで昇温し、24時間経過後、放冷した。
封管内の茶褐色粉末を、蒸留水、アセトン、熱DMFで、ろ液が着色しなくなるまで、還流および洗浄を繰り返した。
ろ過後、真空乾燥を行い、反応生成物630mgを得た。この生成物をpoly(TTN)と仮定した場合の収率は約90%であった。
[比較例2]
TTN−4Clを1gと硫化ナトリウム9水和物0.5gを粉砕混合し、20mlフラスコに入れ、窒素気流下、330℃まで昇温し、30分間保持した。
放冷後、窒素気流を止め、得られた黒褐色粉末を、蒸留水、アセトン、熱DMFで、ろ液が着色しなくなるまで、還流および洗浄を繰り返した。
ろ過後、真空乾燥を行い、反応生成物64mgを得た。この生成物をpoly(TTN)と仮定した場合の収率は約8%であった。
TTN−4Cl、上記実施例1,2および比較例1,2で得られた各生成物について、定性分析として、元素分析、赤外線吸収スペクトル測定、熱重量分析を行った。
(元素分析)
表1に元素分析の結果をまとめて示す。
表1には、元素分析の結果から算出される炭素に対する硫黄の組成重量比(S/C)、反応収率、反応前後における塩素重量比から求めた脱塩素率も併せて示す。
Figure 0004948946
表1に示したように、比較例1においては、S/Cが1.34と、poly(TTN)の理論値である1.60に比べて小さかった。また、脱塩素率も約52%と低かった。
これに対して、弱アルカリ性塩である炭酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムを反応時に添加した実施例1,2においては、S/Cが1.62、1.63と、理論値とほぼ一致していた。また、脱塩素率は90.4%、88.7%となり、弱アルカリ性塩を添加しない系(比較例1)よりも、向上していることが認められた。
また、窒素気流下で硫化ナトリウム9水和物と反応させる従来の合成法である比較例2においては、S/Cが1.78、収率が8%であり、この従来法と比べて、実施例1,2は、純度および収率ともに非常に向上していることが認められる。
(赤外吸収スペクトル測定)
原料であるTTN−4Clは、波数670,850,990,1290,1430,1520cm-1に、比較的強い吸収ピークを有している。そのうち、990cm-1は、ベンゼン環に塩素が付加したC−Clに起因するものである。
比較例1においては、990cm-1の吸収ピークが若干残存していたのに対して、実施例1,2においては、同ピークは消失していた。
このことから、弱アルカリ性塩を用いた反応では、塩素の脱離反応が促進されていることが確認された。
また、実施例1,2においては、600〜700cm-1の領域に新たな吸収ピークが検出された。
これは、伸縮振動によるピークが600〜700cm-1の領域に生じるC−S結合に帰属するものと推定され、TTNモノマー間のチオエーテル結合に起因するもの、すなわち、モノマー間が硫黄原子で架橋されたことを示唆している。
(熱重量分析)
窒素ガス雰囲気下での分析測定の結果、原料であるTTN−4Clは、250〜350℃の領域で、ほぼ100%の重量減少が見られたのに対して、実施例1,2および比較例1においては、300℃を超えた付近から徐々に重量減少し、550℃での重量減少率は約30%であった。
このことから、実施例1,2および比較例1で得られた生成物は、重合反応が進行したオリゴマーまたはポリマーであると推測される。
上記の元素分析、赤外吸収スペクトルおよび熱重量分析の測定結果から、実施例1,2および比較例1,2で得られた生成物は、poly(TTN)であると同定される。
したがって、本発明に係る製造方法により、TTNモノマー間が硫黄で架橋され、高分子化することが確認された。また、弱アルカリ性塩を添加して反応させることにより、反応率(収率)が向上することも認められた。
さらに、前記生成物について、電気化学的特性の評価として、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定および充放電試験による電気容量の測定を行った。
(CV測定)
実施例1で得られた生成物70mgを、分散媒としてNMPを用いて分散させ、導電助剤としてカーボンブラック粉末20mgおよびバインダーのポリマー(PVdF)10mgを加えてペースト状にした。これをアルミニウム箔に塗布し、乾燥して、正極とした。電極の厚さは約60μmであった。
この電極を20mm×20mmに切断し、アルミニウム金属をタブ付けして、正極とした。
負極には、30mm×30mmに切断した金属リチウムを用いた。
電解液は、エチレンカーボネート(EC)/ジエチルカーボネート(DEC)の混合液(重量比1/3)に、電解質塩として四フッ化ホウ酸リチウムを用い、1.0M電解液を調製した。
上記の正極、負極、電解液およびセパレータを用いて電池を作製し、正極を作用極とし、負極を対極・参照極として、CV測定を行った。電位範囲は3.2〜4.4V、掃引速度は0.05mV/sとした。
この測定結果のグラフを図1に示す。
図1から分かるように、3.4〜4.4Vの範囲で電流応答が見られ、サイクルを繰り返しても、レドックス活性は低下せず、このことからも、前記生成物が高分子化していることが確認された。
(充放電試験)
上記において作製した電池を用いて、充放電試験を行った。電位範囲は2.8〜4.4Vとし、1mA/cm2での定電流充電−放電とした。
その結果、放電容量は約150mA/g(対活物質)であり、100サイクルを超えても、良好な繰り返し特性を示すことが認められた。
実施例における生成物のCV測定結果のグラフである。

Claims (4)

  1. 炭素に対する硫黄の組成重量比が1.50〜1.70であることを特徴とする下記式(1)
    Figure 0004948946
    (式中、nは2〜1000の整数)で表される、モノマー間が硫黄で架橋されたテトラチオナフタレンポリマーからなる電極材料。
  2. 下記式(2)
    Figure 0004948946
    (式中、Xはハロゲン原子)で表されるテトラチオナフタレンのハロゲン化物を、弱アルカリ性塩の存在下、300〜400℃で無機硫黄と加熱反応させて得られることを特徴とする下記式(1)
    Figure 0004948946
    (式中、nは2〜1000の整数)で表されるテトラチオナフタレンポリマーからなる電極材料の製造方法。
  3. 前記弱アルカリ性塩が、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムのうちのいずれかであることを特徴とする請求項2記載のテトラチオナフタレンポリマーからなる電極材料の製造方法。
  4. 正極に請求項1記載のテトラチオナフタレンポリマーからなる電極材料が用いられていることを特徴とする蓄電池。
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