JP4946336B2 - エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 Download PDF

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本発明は、スポーツ用途、航空機用途および一般産業用途に適した繊維強化複合材料、これを得るためのプリプレグ、さらにはそのマトリックス樹脂として好適に用いられるエポキシ樹脂組成物に関するものである。
近年、炭素繊維やアラミド繊維などを強化繊維として用いた繊維強化複合材料は、その高い比強度・比弾性率を利用して、航空機や自動車などの構造材料や、テニスラケット、ゴルフシャフト、釣り竿などのスポーツ・一般産業用途などに利用されてきた。繊推強化複合材料の製造方法には、強化繊維に未硬化のマトリックス樹脂が含浸されたシート状中間材料であるプリプレグを用い、それを硬化させる方法や、モールド中に並べた強化繊維に液状の樹脂を流し込んで中間体を得、それを硬化させるレジン・トランスファー・モールディング法などが用いられている。これらの製造方法のうちプリプレグを用いる方法では、通常、プリプレグを複数枚積層した後、加熱加圧することによって繊維強化複合材料成形物を得ている。このプリプレグに用いられるマトリックス樹脂としては、プロセス性などの生産性の面から、熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂が用いられることが多い。
エポキシ樹脂からなるマトリックス樹脂は、優れた耐熱性と良好な機械物性を示す一方で、エポキシ樹脂の伸度および/または靱性が熱可塑性樹脂に対して低いため、繊維強化複合材料としたとき、靱性や耐衝撃性が低くなることが指摘され、改善を要求されてきた。特に、繊維強化複合材料を航空機の一次構造材として利用する場合、離着陸時における小石の跳ね上げや整備時の工具の落下のような外部からの衝撃によって、破損する恐れがある。このため、繊維強化複合材料に衝撃後残存圧縮強度に代表される耐衝撃性を付与することは重要な課題となっている。
繊維強化複合材料の耐衝撃性を上げるためには、繊維強化複合材料を構成する強化繊維の伸度やマトリックス樹脂の伸度や靱性を向上させる必要がある。これらのうち、特にマトリックス樹脂の靱性を向上させることが重要かつ有効であるとされ、エポキシ樹脂の改質が試みられてきた。
従来、エポキシ樹脂の靱性を向上させる方法としては、靱性に優れるゴム成分や熱可塑性樹脂を配合する方法などが試されてきた。例えば、カルボキシル基を含有するアクリロニトリル−ブタジエンゴムのようなゴム成分をエポキシ樹脂に配合することにより、エポキシ樹脂の靱性が改善されることは1970年代から検討されており、一般によく知られている。しかしながら、ゴム成分は、耐熱性低下や弾性率低下を引き起こす上、ゴム成分による靱性改質効果を十分に得るためには、ゴム成分を多量に配合する必要がある。このため、エポキシ樹脂本来の耐熱性や機械物性が低下し、良好な物性を有する複合材料が得られないという欠点があった。
また、エポキシ樹脂に熱可塑性樹脂を配合する方法としては、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンおよびポリエーテルイミドのような熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂に溶解、あるいは微粉末で配合し溶解することにより、エポキシ樹脂中に熱可塑性樹脂を均一に分散させる方法があり、エポキシ樹脂の持つ機械物性を損なうことなしに靱性を向上し、耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料が得られることが知られている(特許文献1参照。)。
しかしながら、この方法では、靱性改質効果を十分に得るためには、これらの熱可塑性樹脂を多量に配合する必要がある。その結果、エポキシ樹脂組成物の粘度が大幅に上昇し、プリプレグを得る際のプロセス性の大幅な低下や、得られるプリプレグにおける樹脂未含浸部やボイドが生じるというような欠点があった。
さらに、スチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチルからなる共重合体や、ブタジエン−メタクリル酸メチルからなるブロック共重合体などのブロック共重合体を用いることにより、エポキシ樹脂の靭性を向上させ方法が提案されている(特許文献2参照。)。
しかしながら、この方法においては、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂と、硬化剤として4,4’−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)を用いた組み合わせにおいて、靱性向上効果と耐熱性維持の両立が確認されているが、靱性向上効果は十分とは言えないものであった。また、一般的に、航空機などの耐熱性が要求される繊維強化複合材料には、ジアミノジフェニルスルホンのような極性基を有するエポキシ樹脂硬化剤が用いられるが、極性基を有するエポキシ樹脂硬化剤とこれらブロック共重合体とは相溶性が悪く、硬化過程においてこれら共重合体がエポキシ樹脂から粗大分離し、脆弱な硬化物を与えることがある。この点については特許文献2においては全く触れられていない。
特公平6−43508号公報 特表2003−535181号パンフレット
本発明の目的は、かかる従来技術の欠点を改良し、耐熱性が高く、かつ、靱性の高い硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物を提供することにある。さらに詳しくは、本発明の目的は、耐熱性が高く、極性基を有する硬化剤を用いても粗大分離することなく、かつ、靱性の高い硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
前記課題を達成するため、本発明のエポキシ樹脂組成物は、下記の構成からなるものである。
すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は、
[A]エポキシ樹脂、
[B]ジアミノジフェニルスルホンを含んでなるエポキシ樹脂硬化剤、および
[C]S−B−M、B−MおよびM−B−Mからなる群から選ばれた少なくとも一種のブロック共重合体(前記の各ブロックは共有結合によって連結されているか、一方のブロックに一つの共有結合形成を介して結合され、他方のブロックに他の共有結合形成を介して結合された中間分子によって連結されており、ブロックMはポリメタクリル酸メチルのホモポリマーまたはメタクリル酸メチルを少なくとも50重量%含むコポリマーであり、ブロックBは[A]エポキシ樹脂およびブロックMに非相溶で、そのガラス転移温度Tgが20℃以下であり、ブロックSはエポキシ樹脂、ブロックBおよびブロックMに非相溶で、そのガラス転移温度Tgまたは融点TfはブロックBのガラス転移温度Tgより高い。)
を含んでなるエポキシ樹脂組成物であって、前記の[A]エポキシ樹脂が、
[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂と
[A2]ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂およびジフェニルフルオレン型エポキシ樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種のエポキシ樹脂
を含んでなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
本発明によれば、耐熱性に優れ、靭性の高く、かつプリプレグを得る際のプロセス性に優れたエポキシ樹脂組成物を得ることができる。このエポキシ樹脂組成物と強化繊維を組み合わせることにより、プリプレグを得ることができ、これを硬化させることにより耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。また、得られる繊維強化複合材料は、引張強度、特に−60℃のような低温における引張強度に優れている。
本発明による繊維強化複合材料は、航空宇宙用途では、主翼、尾翼およびフロアビーム等の航空機一次構造材用途、フラップ、エルロン、カウル、フェアリングおよび内装材等の二次構造材用途、ロケットモーターケースおよび人工衛星構造材用途等に好適に用いられる。このような航空宇宙用途の中でも、特に耐衝撃性が必要で、かつ、高度飛行中において低温にさらされるため、低温における引張強度が必要な航空機一次構造材用途、特に胴体スキンや主翼スキンにおいて、本発明による繊維強化複合材料が特に好適に用いられる。また、スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニス、バトミントンおよびスカッシュ等のラケット用途、ホッケー等のスティック用途、およびスキーポール用途等に好適に用いられる。さらに一般産業用途では、自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、補強筋、および補修補強材料等の土木・建築材料用途等に好適に用いられる。
本発明者らは、前記課題について鋭意検討した結果、特定の組み合わせからなるエポキシ樹脂と、メタクリル酸メチルを含む特定のブロック共重合体とを組み合わせることにより、耐熱性に優れ、かつ、靭性の高いエポキシ樹脂組成物が特異的に得られることを見出し、本発明に至った。
本発明で用いられる[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂は、プリプレグを得る際のプロセス性および得られる樹脂組成物の耐熱性を確保するために必須の成分である。
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールSとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールADとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールADとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールAD型エポキシ樹脂、およびこれらのハロゲンあるいはアルキル置換体などが挙げられる。これらビスフェノール型エポキシ樹脂は、単独で用いても良いし、二種類以上を混ぜて用いても良い。
これらの中でも、より優れた耐熱性およびプロセス性を得るためには、[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂および/またはビスフェノールF型エポキシ樹脂を含んでなることが好ましい。ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の両方を含まない場合は、耐熱性が不足したり、プリプレグを作製する際のプロセス性が著しく低下したりする場合がある。
また、より優れたプロセス性を得るためには、エポキシ当量が大きくとも200であるビスフェノール型エポキシ樹脂を含んでなることが好ましい。エポキシ当量が200より大きなビスフェノール型エポキシ樹脂のみからなる場合、[A2]高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂と[C]ブロック共重合体を均一に混合することができないばかりか、プリプレグを作製する際のプロセス性が著しく低下する場合がある。
[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂は、全エポキシ樹脂中20〜85重量部含まれることが好ましい。[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂が20重量部未満の場合は[A2]エポキシ樹脂と[C]ブロック共重合体を均一に混合することができないばかりか、プリプレグを作製する際のプロセス性が著しく低下する場合がある。また、[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂が85重量部より多い場合は、得られるエポキシ樹脂硬化物の靭性が不十分であることがある。[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂は、25〜60重量部含まれることがさらに好ましい態様である。
本発明で用いられる[A2]高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂と[C]ブロック共重合体の相溶性を高め、得られる樹脂硬化物の靱性を向上するために必須の成分である。
芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジフェニルフルオレン型エポキシ樹脂、および、これらのハロゲンあるいはアルキル置換体からなる群から選ばれた少なくとも一種エポキシ樹脂をいい、これらのうち一種を単独で用いても良いし、二種類以上を混ぜて用いても良い。
本発明では、これらの中でも、得られる樹脂硬化物の靭性が極めて優れることから、高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂として、[A2]フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、およびジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、および、これらのハロゲンあるいはアルキル置換体からなる群から選ばれた少なくとも一種のエポキシ樹脂を用いる。これらエポキシ樹脂は、上述の高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂のなかでも、[C]ブロック共重合体との組み合わせにより、特に優れた靭性を与えるものである。
また、[A2]高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂は、全エポキシ樹脂100重量部に対し少なくとも15重量部含まれることが好ましい。[A2]高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂が15重量部より少ない場合、[C]ブロック共重合体との相溶性が低下し、硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物の靱性向上効果が得られないばかりか、むしろ脆い硬化物となってしまうことがある。[A2]高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂は30重量部以上含まれることがさらに好ましい態様である。一方、[A2]エポキシ樹脂は、多くとも80重量部であることが好ましい。[A2]高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂が80重量部を超えると、[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂が少なくなるためプロセス性が低下する上、得られるエポキシ樹脂組成物が均一に混合されず、硬化物の靭性が低下することがある。[A2]高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂のさらに好ましい配合割合は、40〜75重量部の範囲である。
これら[A2]エポキシ樹脂と[C]ブロック共重合体との相溶性が高い理由については明らかになっていないが、[A2]高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂は[C]ブロック共重合体に含まれるメタクリル酸メチルからなる骨格が芳香族環や脂肪族環との相互作用が高く、[A2]芳香族環や脂肪族環エポキシ樹脂がその芳香族環・脂肪族環の含有率が高いことが考えられる。
加えて、これらに[A2]エポキシ樹脂が組み合わされることにより、[A2]エポキシ樹脂と[C]ブロック共重合体との相互作用がさらに高められていると考えられる。
このような観点からも、本発明のエポキシ樹脂組成物は[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂は、全エポキシ樹脂100重量部に対して、20〜85重量部含まれることが好ましく、[A2]高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂は、全エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましくは15〜80重量部含まれてなることが好ましく、それぞれ25〜60重量部および40〜75重量部含まれてなることがさらに好ましい態様である。
本発明で用いられる[B]ジアミノジフェニルスルホンを含んでなるエポキシ樹脂硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化するために必要である。
すなわち、[B]ジアミノジフェニルスルホンを含んでなるエポキシ樹脂硬化剤、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物である。
芳香族ポリアミンをエポキシ樹脂硬化剤として用いると、耐熱性の良好なエポキシ樹脂硬化物が得られる。特に、本発明のエポキシ樹脂硬化剤に含まれるジアミノジフェニルスルホンは、分子中に極性基(スルホニル基)を有するため、優れた耐熱性を有し、かつ弾性率の高いエポキシ樹脂硬化物が得られる。
一般的にかかる極性基を有するジアミノジフェニルスルホンは、ポリメタクリル酸メチルと相溶性が悪いため、極性基を有するジアミノジフェニルスルホンと[C]ブロック共重合体を含んでなるエポキシ樹脂組成物では、硬化中にブロック共重合体が分離し、析出することがある。本発明においては[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂および[A2]高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂を組み合わせることによって、エポキシ樹脂と[C]ブロック共重合体との相溶性が向上したため、極性基を有するジアミノジフェニルスルホンが好適に用いられるようになったものである。極性基を有するジアミノジフェニルスルホンの中でも耐熱性に優れるだけでなく、さらに[C]ブロック共重合体との相溶性も確保できる点から、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンおよびそれらの組み合わせが特に好ましく用いられる。
[B]ジアミノジフェニルスルホンを含んでなるエポキシ樹脂硬化剤の添加量は、エポキシ樹脂と[C]ブロック共重合体との相溶性を確保するため、全エポキシ樹脂100重量部に対し多くとも50重量部であることが好ましい。かかるエポキシ樹脂硬化剤の添加量が50重量部より多い場合、エポキシ樹脂組成物の硬化中に[C]ブロック共重合体が分離し析出することがある。硬化性と相溶性との両立の観点から、かかるエポキシ樹脂硬化剤の添加量は、より好ましくは15〜50重量部の範囲である。
また、[A]エポキシ樹脂と[B]ジアミノジフェニルスルホンを含んでなるエポキシ樹脂硬化剤、あるいはそれらの一部を予備反応させた物を組成物中に配合することもできる。この方法は、粘度調節や保存安定性向上に有効である場合がある。
本発明で用いられる[C]ブロック共重合体は、エポキシ樹脂硬化物の優れた耐熱性を維持しつつ、靭性を向上させるために必須の成分である。
[C]ブロック共重合体のジブロック共重合体B−MのブロックMは、メタクリル酸メチルのモノマーから成るか、好ましくはメタクリル酸メチルを少なくとも50重量%含むもの、より好ましくはメタクリル酸メチルを少なくとも75重量%含むものである。このMブロックMを構成する他のモノマーは、アクリル系のモノマーであってもアクリル系のモノマーでなくてもよく、反応性モノマーであっても反応性モノマーでなくてもよい。ここで、反応性モノマーとは、エポキシ分子のオキシラン基または硬化剤の化学基と反応可能な化学基を意味し、例としてはオキシラン基、アミン基またはカルボキシル基等の反応性官能基を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。反応性モノマーは、(メタ)アクリル酸またはこの酸に加水分解可能な他の任意のモノマーにすることができる。ブロックMを構成できる他のモノマーとしては、メタクリル酸グリシジルまたはtert−ブチルメタクリレートが挙げられるが、ブロックMは少なくとも60重量%がシンジオタクティックMMAから成ることが好ましい。
ジブロック共重合体B−MのブロックBのガラス転移温度Tgは20℃以下であり、好ましくは0℃以下であり、より好ましくは−40℃以下である。
ブロックBのエラストマブロックを合成するために用いられるモノマーは、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンおよび2−フェニル−1,3−ブタジエンから選択されるジエンにすることができる。このブロックBは、ポリ(ジエン)、特にポリ(ブタジエン)、ポリ(イソプレン)およびこれらのランダム共重合体または部分的または完全に水素化されたポリ(ジエン類)の中から選択することが好ましい。ポリブタジエンの中ではガラス転移温度Tgが最も低い、ガラス転移温度Tgが約−90℃の1,4−ポリブタジエンを使用することが有利である(1,2−ポリブタジエンのガラス転移温度Tg約0℃よりガラス転移温度Tgが低い)。ブロックBのブロックは水素化されていてもよい。この水素化は、通常の方法に従って実行される。
エラストマのブロックBを合成するために用いられるモノマーは、アルキル(メタ)アクリレートにすることができる。得られるガラス転移温度Tg値は、アクリレートの名称の後のカッコ中に示す:アクリル酸エチル(−24℃)、アクリル酸ブチル(−54℃)、2−エチルヘキシルアクリレート(−85℃)、ヒドロキシエチルアクリレート(−15℃)および2-エチルヘキシルメタアクリレート(−10℃)。これらの中でも、低温での靱性が確保できるという点で、アクリル酸ブチルおよび2−エチルヘキシルアクリレートが好ましく用いられる。
ブロックBとブロックMは、非相溶であるという条件から、このアクリレートはブロックMのアクリレートとは相違する。このブロックBは、主として1,4−ポリブタジエンから成ることが好ましい。
[C]ブロック共重合体のトリブロック共重合体M−B−MのブロックMは、ジブロック共重合体B−MのブロックMと同じモノマーおよびコモノマから選択することができる。トリブロック共重合体M−B−Mの二つのブロックMは互いに同一でも異なっていてもよい。また、同じモノマーで、分子量が異なるものにすることもできる。このトリブロックM−B−MのブロックMは、ジブロック共重合体B−MのブロックMと同一でも、異なっていてもよい。このブロックBはジブロック共重合体B−MのブロックBと同じモノマーおよびコモノマの中から選択することができる。このトリブロック共重合体M−B−MのブロックBは、ジブロック共重合体B−Mと同一でも異なっていてもよい。
トリブロック共重合体S−B−MのブロックMは、ジブロック共重合体B−MのブロックMと同じモノマーおよびコモノマから成る。このトリブロック共重合体S−B−MのブロックMと、トリブロック共重合体M−B−Mの各ブロックMと、ジブロック共重合体B−MのブロックMとは互いに同一でも異なっていてもよい。ブロックBは、ジブロック共重合体B−MのブロックBと同じモノマーおよびコモノマの中から選択することができる。トリブロック共重合体S−B−Mと、トリブロック共重合体M−B−Mと、ジブロック共重合体M−Bとの各ブロックBは互いに同一でも異なっていてもよい。
ブロックSのガラス転移温度Tgまたは融点Tfは、好ましくは23℃以上であり、より好ましくは50℃以上である。ブロックSの例として、芳香族ビニル化合物、例えば、スチレン(Tg:90℃)、α−メチルスチレンまたはビニルトルエンから得られるもの、アルキル鎖が1〜18の炭素原子を有するアクリル酸および/またはメタクリル酸のアルキルエステルから得られるものを挙げることができる。後者の場合、ブロックSとブロックMは、互いに非相溶であるというその条件から、アクリレートはブロックMのものとは相違する。
本発明で使用される[C]ブロック共重合体は、アニオン重合によって製造することができる。例えば、欧州特許第EP524,054号公報や欧州特許第EP749,987号公報に記載の方法で製造することができる:
トリブロック共重合体M−B−Mの具体例としては、メタクリル酸メチル−ブチルアクリレート−メタクリル酸メチルからなる共重合体として、アルケマ社製の“ナノストレングス(Nanostrength)”M22(登録商標)が挙げられる。また、トリブロック共重合体S−B−Mの具体例としては、スチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチルからなる共重合体として、アルケマ社製の“Nanostrength”123、“Nanostrength”250、“Nanostrength”012、“Nanostrength”E20、および“Nanostrength”E40(いずれも登録商標)が挙げられる。
本発明では、[A]エポキシ樹脂として、[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂および[A2]エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を、目的に応じ配合することができる。例えば、耐熱性が良好で、かつ弾性率の高い硬化物を与えることから、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノールおよびトリグリシジルアミノクレゾールのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂や、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシフェニル)メタンなどのエポキシ樹脂を配合することができる。これら[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂および[A2]高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂は、全エポキシ樹脂100重量部中多くとも50重量部にすることが好ましい。[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂および[A2]エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂が50重量部を超えると、エポキシ樹脂と[C]ブロック共重合体との相溶性が低下し、得られる樹脂硬化物の靭性が大きく低下する場合がある。[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂および[A2]高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂の割合は、より好ましくは多くとも20重量部である。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、未硬化樹脂の粘弾性や樹脂硬化物の靱性などを改良するため、各種の改質剤を添加することができる。具体的には、ゴム粒子および熱可塑性樹脂粒子等の有機粒子や無機粒子を配合することができる。
ゴム粒子としては、取り扱い性等の観点から、架橋ゴム粒子、および架橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコアシェルゴム粒子が好ましく用いられる。
架橋ゴム粒子の市販品としては、カルボキシル変性のブタジエン−アクリロニトリル共重合体の架橋物からなるFX501P(日本合成ゴム工業社製)、アクリルゴム微粒子からなるCX−MNシリーズ(日本触媒(株)製)、YR−500シリーズ(東都化成(株)製)等を使用することができる。
コアシェルゴム粒子の市販品としては、例えば、ブタジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物からなる“パラロイド”(登録商標)EXL−2655(呉羽化学工業(株)製)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体からなる“スタフィロイド”(登録商標)AC−3355、TR−2122(武田薬品工業(株)製)、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合物からなる”パラロイド(PARALOID)”(登録商標)EXL−2611、EXL−3387(Rohm&Haas社製)等を使用することができる。
熱可塑性樹脂粒子としては、ポリアミド粒子やポリイミド粒子が好ましく用いられ、ポリアミド粒子の市販品として、東レ(株)製、SP−500、アルケマ社製“オルガソール”(登録商標)等を使用することができる。
本発明では、ゴム粒子および熱可塑性樹脂粒子等の有機粒子は、得られる樹脂硬化物の弾性率と靱性を両立させる点から、全エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜30重量部配合することが好ましく、より好ましくは1〜15重量部配合することができる。
本発明では、エポキシ樹脂組成物の増粘等の粘弾性制御および揺変性付与のため、エポキシ樹脂組成物に、シリカ、アルミナ、スメクタイトおよび合成マイカ等の無機粒子を配合することができる。
本発明では、無機粒子はエポキシ樹脂組成物に適度な粘弾性を与え、優れた取り扱い性のプリプレグ、良質な複合材料が得られるため、全エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001〜20重量部、より好ましくは0.01〜10重量部配合することができる。
本発明では、樹脂調製時や成形時に発生するボイドを少なくして、繊維強化複合材料としてより高い力学特性を発現させるため、泡減少剤や張力低下剤を用いることができる。これら泡減少剤や張力低下剤は各々単独で用いても良いし、組み合わせても良い。
泡減少剤としては、一般に消泡剤と呼ばれている化合物であり、シリコーン系消泡剤や非シリコーン系消泡剤、ミネラルオイル系消泡剤などを用いることができる。これら消泡剤はビックケミー・ジャパン(株)より“BYK”(登録商標)の名で販売されているものなどを利用できる。シリコーン系消泡剤の具体例としてはポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のポリシロキサン系消泡剤や、ビックケミー・ジャパン(株)製の“BYK”(登録商標)−077、“BYK”(登録商標)−088などが挙げられる。非シリコーン系消泡剤としては、アルキルメタクリレート、ポリアクリレート、アクリル酸共重合物等のアクリル酸系消泡剤や、ブタジエン共重合物系消泡剤、ビックケミー・ジャパン(株)製の“BYK”(登録商標)−054)、“BYK”(登録商標)−A500、“BYK”(登録商標)−A535などが挙げられる。これら泡減少剤は単独で用いても良いし、組み合わせて用いても良い。本発明において泡減少剤を用いる場合、その配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対し0.01〜5重量部であると好ましい。5重量部を越える場合は得られる繊維強化複合材料の耐熱性が低下することがあり、0.01重量部未満の場合、エポキシ樹脂組成物中に空気の泡を含みやすくなって、得られる繊維強化複合材料の力学特性が十分でないことがある。
張力低下剤としては、フッ素化アルキルエステル系張力低下剤、パーフロロアルキルアルコキシレート系張力低下剤、パーフロロアルキルポリオキシエチレンエタノール系張力低下剤、フロロアルキルカルボン酸系張力低下剤又はパーフロロアルキルカルボン酸系張力低下剤等を用いることができる。これらのフッ素原子を構造中に有するフッ素系界面活性剤を用いた場合、少量の配合で表面張力を低下させることが可能なため、得られる繊維強化複合材料の耐熱性が優れる。本発明において、張力低下剤を用いる場合、その配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対し0.01〜3重量部の範囲内で配合すると好ましい。3重量部を越える場合は得られる繊維強化複合材料の耐熱性が低下することがあり、0.01重量部未満の場合、エポキシ樹脂組成物中に空気の泡を含みやすくなって、得られる繊維強化複合材料の力学特性が十分でないことがある。
これら泡減少剤や張力低下剤を配合する順序は特に限定されないが、ジアミノジフェニルスルホンなどを固体として配合する場合やシリカなどの固体を配合する場合は、これらを配合するより前にエポキシ樹脂に配合しておくことが混合時の泡の発生を防ぐことができ好ましい。
本発明において用いられる強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維および炭化ケイ素繊維等が挙げられる。これらの強化繊維を2種以上混合して用いても構わないが、より軽量で、より耐久性の高い成形品を得るために、炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが好ましい。
本発明においては、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが可能であるが、耐衝撃性に優れ、高い剛性および機械強度を有する複合材料を得られることから、JIS R7601(1986)に記載の方法によるストランド引張試験における引張弾性率が200GPa以上、引張強度4.4GPa以上 、引張伸度1 .7%以上の高強度高伸度炭素繊維が最も適している。
強化繊維の形態は特に限定されるものではなく、例えば、一方向に引き揃えた長繊維、トウ、織物、マット、ニット、組み紐などが用いられる。また、特に、比強度と比弾性率が高いことを要求される用途には、強化繊維が単一方向に引き揃えられた配列が最も適しているが、取り扱いの容易なクロス(織物)状の配列も本発明には適している。
本発明のプリプレグは、マトリックス樹脂として用いられる前記のエポキシ樹脂組成物を、メチルエチルケトンやメタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、強化繊維に含浸させる方法(ウェット法)と、マトリックス樹脂を加熱により低粘度化し、強化繊維に含浸させるホットメルト法(ドライ法)等により作製することができる。
ウェット法は、強化繊維をマトリックス樹脂であるエポキシ樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法であり、ホットメルト法(ドライ法)は、加熱により低粘度化したエポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法、または一旦エポキシ樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングしたフィルムを作成しておき、次いで強化繊維の両側または片側から前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより強化繊維に樹脂を含浸させる方法である。ホットメルト法によれば、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上皆無となるため、本発明においては好ましい態様である。
得られたプリプレグを積層後、積層物に圧力を付与しながらマトリックス樹脂を加熱硬化させる方法等により、本発明による繊維強化複合材料が作製される。
ここで熱および圧力を付与する方法には、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法および内圧成形法等が採用される。
本発明の繊維強化複合材料は、プリプレグを介さず、エポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させた後、加熱硬化せしめる方法、例えば、ハンド・レイアップ法、フィラメント・ワインディング法、プルトルージョン法、レジン・インジェクション・モールディング法、およびレジン・トランスファー・モールディング法等の成形法によっても作製できる。これら方法では、エポキシ樹脂からなる主剤とエポキシ樹脂硬化剤との2液を使用直前に混合してエポキシ樹脂組成物を調製することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いた繊維強化複合材料は、スポーツ用途、航空機用途および一般産業用途に好適に用いられる。より具体的には、航空宇宙用途では、主翼、尾翼およびフロアビーム等の航空機一次構造材用途、フラップ、エルロン、カウル、フェアリングおよび内装材等の二次構造材用途、ロケットモーターケースおよび人工衛星構造材用途等に好適に用いられる。このような航空宇宙用途の中でも、特に耐衝撃性が必要で、かつ、高度飛行中において低温にさらされるため、低温における引張強度が必要な航空機一次構造材用途、特に胴体スキンや主翼スキンにおいて、本発明による繊維強化複合材料が特に好適に用いられる。また、スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニス、バトミントンおよびスカッシュ等のラケット用途、ホッケー等のスティック用途、およびスキーポール用途等に好適に用いられる。さらに一般産業用途では、自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、補強筋、および補修補強材料等の土木・建築材料用途等に好適に用いられる。
以下、実施例により、本発明のエポキシ樹脂組成物についてさらに詳細に説明する。なお、本発明の参考実施例を、実施例1、2に示す。各実施例の樹脂組成物を得るために、下記の樹脂原料を用いた。
[[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂]
・エポキシ当量177のビスフェノールA型エポキシ樹脂、“エピコート”(登録商標)825(ジャパンエポキシレジン(株)製)
・エポキシ当量172のビスフェノールF型エポキシ樹脂、“エピクロン”(登録商標)830(大日本インキ化学工業(株)製)
[[A2]の高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂など
・フェノールノボラック型エポキシ樹脂、“エピコート”(登録商標)154(ジャパンエポキシレジン(株)製)
・オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、“エポトート”(登録商標)YDCN700−5(東都化成(株))
・ビフェニル型エポキシ樹脂、“エピコート”(登録商標)YX4000H(ジャパンエポキシレジン(株)製)(本発明の[A2])
・ビフェニル型エポキシ樹脂、NC3000(日本化薬(株)製)(本発明の[A2])
・ジシクロペタジエン型エポキシ樹脂、“エピクロン”(登録商標)HP7200(大日本インキ化学工業(株)製)(本発明の[A2])
・ジフェニルフルオレン型エポキシ樹脂、ESF−300(新日鐵化学(株)製)(本発明の[A2])
[前記の[A1]および[A2]以外のエポキシ樹脂]
・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ELM434(住友化学(株)製)
[[B]エポキシ樹脂硬化剤]
・3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(三井化学ファイン(株)製)
[[C]ブロック共重合体]
・Sがスチレン(Tg:90℃)Bが1,4−ブタジエン(Tg:−90℃)Mがメタクリル酸メチル(Tg:130℃)からなるS−B−Mの共重合体“ナノストレングス(Nanostrength)”(登録商標)E20(アルケマ(株)製)
・Bがブチルアクリレート(Tg:−54℃)、Mがメタクリル酸メチル(Tg:130℃)からなるM−B−Mのブロック共重合体“ナノストレングス(Nanostrength)”(登録商標)M22(アルケマ(株)製)
樹脂組成物の調製、樹脂硬化物の曲げ弾性率、曲げたわみ量、耐熱性、破壊靭性、プリプレグの作製、0°引張強度、衝撃後圧縮強度および有孔板圧縮強度の測定は、次のような条件で行った。特に断りのない限り、温度23℃、相対湿度50%の環境で測定を行った。また、結果は表1にまとめて示した。
[その他の成分]
[消泡剤]
・シリコーン系消泡剤“BYK”(登録商標)−077(ビックケミー・ジャパン(株)製)
・非シリコーン系消泡剤“BYK”(登録商標)−A535(ビックケミー・ジャパン(株)製)
(実施例1〜10、比較例1〜6)
(1)エポキシ樹脂組成物の調製
樹脂原料をニーダーで混練して、表1に示す組成のエポキシ樹脂組成物を調製した。
(2)樹脂硬化物の曲げ弾性率および曲げたわみ量
上記(1)で作製したエポキシ樹脂組成物を、80℃の温度に加熱して、モールドに注入し、180℃の温度のオーブンで2時間硬化して、厚さ2mmの樹脂硬化物の板を作成した。次に、得られた樹脂硬化物の板から、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、スパン間32mmの3点曲げを測定し、JIS K7171(1994)に従い、曲げ弾性率および曲げたわみ量を求めた。
(3)樹脂硬化物の耐熱性
上記(2)で作製した樹脂硬化物の板から、樹脂硬化物を7mg取り出し、TAインスツルメンツ社製DSC2910(型番)を用いて、30℃〜350℃温度範囲を昇温速度10℃/分にて、測定を行い、ガラス転移領域の中点をガラス転移温度Tgとし、耐熱性を評価した。
(4)樹脂硬化物の破壊靭性
上記(1)で作製したエポキシ樹脂組成物を、80℃の温度に加熱して、モールドに注入し、180℃の温度のオーブンで2時間硬化して、厚さ6mmの樹脂硬化物の板を作成した。次に、樹脂硬化物の板から、幅12.7mmの試験片を切り出し、ASTM D 5045−91に基づき、ノッチ付き3点曲げ法により破壊靭性K1cを求めた。
(5)プリプレグの作製
上記(1)で作製したエポキシ樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。次に、シート状に一方向に配列させた東レ(株)製、炭素繊維“トレカ”(登録商標)T800G−24K−31E(繊維数24000本、引張強度5.9GPa、引張弾性率290GPa、引張伸度2.0%)に、樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧により樹脂を含浸させ、炭素繊維の目付が190g/m2、マトリックス樹脂の重量分率が35.5%の一方向プリプレグを作製した。
(6)繊維強化複合材料の作成と0°引張強度
上記(5)により作製した一方向プリプレグを、繊維方向を揃えて6プライ積層し、オートクレーブにて180℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成型して積層体を作製した。この積層体について、JISK7073(1988)に従い、0゜引張強度(MPa)を求めた。
(7)繊維強化複合材料の作成と衝撃後圧縮強度
上記(5)により作製した一方向プリプレグを、(+45°/0°/−45°/90°)3s構成で、擬似等方的に24プライ積層し、オートクレーブにて、180℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成型して積層体を作製した。この積層体から、縦150mm×横100mmのサンプルを切り出し、JIS K 7089(1996)に従い、サンプルの中心部に6.7J/mmの落錘衝撃を与え、衝撃後圧縮強度を求めた。結果を表1および2に示す。
Figure 0004946336
Figure 0004946336
比較例1、および6と、実施例3〜10とを比較すると、[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂のみ、あるいは、[A2]の高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂のみの場合は、曲げたわみ量や複合材料特性が劣っていたり、樹脂調製上のプロセス性が劣っていたりするが、[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂と[A2]の高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂を併用した場合は、優れた特性を有し、しかもプロセス性の問題がない。
また、比較例3および4、さらに参考実施例である実施例1および2と、実施例3〜10とを比較することにより、[A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂に対し、[A2]の高芳香族環・脂肪族環含有率型エポキシ樹脂を組み合わせた場合にのみ、優れた繊維強化複合材料特性を示すことが分かる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、耐熱性に優れ、靭性の高く、かつプリプレグを得る際のプロセス性に優れている。そのため、このエポキシ樹脂組成物と強化繊維を組み合わせることにより、プリプレグを得ることができ、これを硬化させることにより耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。得られる繊維強化複合材料は、引張強度、特に−60℃のような低温における引張強度に優れている。本発明により得られる繊維強化複合材料は、航空宇宙用途、スポーツ用途、さらに一般産業用途等に好適に用いられる。

Claims (5)

  1. [A]エポキシ樹脂、
    [B]ジアミノジフェニルスルホンを含んでなるエポキシ樹脂硬化剤、および
    [C]S−B−M、B−MおよびM−B−Mからなる群から選ばれた少なくとも一種のブロック共重合体(前記の各ブロックは共有結合によって連結されているか、一方のブロックに一つの共有結合形成を介して結合され、他方のブロックに他の共有結合形成を介して結合された中間分子によって連結されており、ブロックMはポリメタクリル酸メチルのホモポリマーまたはメタクリル酸メチルを少なくとも50重量%含むコポリマーであり、ブロックBは[A]エポキシ樹脂およびブロックMに非相溶で、そのガラス転移温度Tgが20℃以下であり、ブロックSはエポキシ樹脂、ブロックBおよびブロックMに非相溶で、そのガラス転移温度TgはブロックBのガラス転移温度Tgより高い。)
    を含んでなるエポキシ樹脂組成物であって、前記の[A]エポキシ樹脂が、
    [A1]ビスフェノール型エポキシ樹脂と、
    [A2]ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂およびジフェニルフルオレン型エポキシ樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種のエポキシ樹脂
    を含んでなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. [C]ブロック共重合体が、スチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチル共重合体である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. [C]ブロック共重合体が、メタクリル酸メチル−ブチルアクリレート−メタクリル酸メチル共重合体である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物と強化繊維からなるプリプレグ。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物と強化繊維とを硬化させてなる繊維強化複合材料。
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