JP4821362B2 - プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

プリプレグおよび繊維強化複合材料 Download PDF

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本発明は、スポーツ用途、航空機用途および一般産業用途に適した繊維強化複合材料、これを得るためのプリプレグ関するものである。
近年、炭素繊維やアラミド繊維などを強化繊維として用いた繊維強化複合材料は、その高い比強度・比弾性率を利用して、航空機や自動車などの構造材料や、テニスラケット、ゴルフシャフトおよび釣り竿などのスポーツ・一般産業用途などに利用されてきた。
このような繊推強化複合材料の製造方法としては、強化繊維に未硬化のマトリックス樹脂が含浸されたシート状中間材料であるプリプレグを用い、それを硬化成形させる方法や、モールド中に並べた強化繊維に液状の未硬化のマトリックス樹脂を流し込んで中間体を得、それを硬化成形させるレジン・トランスファー・モールディング法などが用いられている。これらの製造方法のうち、前者のプリプレグを用いる方法では、通常、プリプレグを複数枚積層した後、加熱加圧することによってマトリックス樹脂を硬化せしめ繊維強化複合材料成形物を得ている。このプリプレグに用いられるマトリックス樹脂としては、プロセス性などの生産性の面から、熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂が用いられることが多い。
ところで、エポキシ樹脂からなるマトリックス樹脂は、優れた耐熱性と高い弾性率を示す一方で、エポキシ樹脂の靱性が熱可塑性樹脂に対して低いため、繊維強化複合材料としたとき、靱性や耐衝撃性が低くなることが指摘され、改善を要求されてきた。
従来、エポキシ樹脂の靱性を向上させる方法としては、靱性に優れる熱可塑性樹脂をエポキシ樹脂に配合する方法が試されてきた。例えば、耐熱性や弾性率に優れるグリシジルアミン型エポキシを中心としたエポキシ樹脂に、靭性と耐熱性、さらには炭素繊維への接着性に優れるポリエーテルスルホンを溶解し均一に分散させることにより、エポキシ樹脂の持つ耐熱性や弾性率を損なうことなしに靱性を向上させ、耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料が得られることが知られている(特許文献1参照)。
ところが、グリシジルアミン型エポキシ樹脂は反応発熱が大きいため、大型の複合材料成型物を硬化させる際には反応発熱を逃がすため、硬化時の昇温速度を下げたり、昇温途中で温度を一旦ホールドしたりするなど、硬化条件に制限が生じるようになってきた。これを解決するためには、グリシジルアミン型エポキシ樹脂に変えて、分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型を用いればよいが、分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂はポリエーテルスルホンとの相溶性に乏しく、エポキシ樹脂中にポリエーテルスルホンを溶解させて均一に分散させることができない。
従って、耐熱性、弾性率および靱性に優れ、かつ、反応発熱が低いエポキシ樹脂組成物をえることは困難であった。
国際公開番号WO96/17006号パンフレット
本発明の目的は、かかる従来技術の欠点を改良し、耐熱性に優れ、弾性率が高く、高い靱性を有する硬化物を与え、かつ硬化時の反応発熱が低いエポキシ樹脂組成物を用いた、プリプレグおよび繊維強化複合材料を提供することにある。
前記課題を達成するための本発明、下記の構成からなるものである(以下、本発明に用いられるエポキシ樹脂組成物を「本発明のエポキシ樹脂組成物」と称することがある)
すなわち、本発明、全エポキシ樹脂100重量部に対するグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の配合量が95〜100重量部であり、少なくとも、分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]と、ビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]および下記一般式(1)
Figure 0004821362
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜5のアルキル基からなる群から選ばれた一種を表す。)で示される構造を有する熱可塑性樹脂[C]を含んでなり、かつ前記熱可塑性樹脂[C]の配合量(重量部)に対する前記ビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]の配合量(重量部)の比が0.1〜5であエポキシ樹脂組成物と強化繊維からなるプリプレグである
本発明のエポキシ樹脂組成物の好ましい態様によれば、前記の熱可塑性樹脂[C]の配合量(重量部)に対する前記のビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]の配合量(重量部)の比が0.3〜2である。
本発明のエポキシ樹脂組成物の好ましい態様によれば、前記の分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、テトラフェニロールエタンテトラグリシジルエーテルおよびこれらのハロゲン置換体もしくはアルキル置換体からなる群から選ばれた少なくとも一種である。
本発明のエポキシ樹脂組成物の好ましい態様によれば、前記の分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]は、全エポキシ樹脂100重量部に対し10〜80重量部配合されてなることである。
本発明のエポキシ樹脂組成物の好ましい態様によれば、本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂およびこれらのハロゲンもしくはアルキル置換体からなる群から選ばれた少なくとも一種のエポキシ樹脂[D]を含んでなるものである。
本発明のエポキシ樹脂組成物の好ましい態様によれば、前記のエポキシ樹脂[D]は、全エポキシ樹脂100重量部に対し25〜90重量部配合されてなることである。
さらに前記エポキシ樹脂組成物は、強化繊維と併用され繊維強化複合材料を形成することができる。
熱性に優れ、弾性率が高く、高い靱性を有する硬化物を与え、かつ硬化時の反応発熱が低いエポキシ樹脂組成物を用いる本発明は、このエポキシ樹脂組成物と強化繊維を組み合わせることにより、プリプレグや耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料を得ることができ、また、前記のプリプレグを硬化成形させることによっても、耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明による繊維強化複合材料は、航空宇宙用途では、主翼、尾翼およびフロアビーム等の航空機一次構造材用途、フラップ、エルロン、カウル、フェアリングおよび内装材等の二次構造材用途、ロケットモーターケースおよび人工衛星構造材用途等に好適に用いられる。このような航空宇宙用途の中でも、特に成形中の反応発熱制御が難しい大型構造体、特に胴体部材や主翼部材において、本発明によるエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグが特に好適に用いられる。また、スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニス、バトミントンおよびスカッシュ等のラケット用途、ホッケー等のスティック用途、およびスキーポール用途等に好適に用いられる。さらに一般産業用途では、自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、補強筋、および補修補強材料等の土木・建築材料用途等に好適に用いられる。
本発明者らは、前記課題について鋭意検討した結果、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂を多く含み、かつ、分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を含んだエポキシ樹脂組成物においても、特定の組み合わせからなるエポキシ樹脂であれば、ポリエーテルスルホンとの相溶性が得られ、耐熱性に優れ、弾性率が高く、高い靱性を有する硬化物を与え、かつ硬化時の反応発熱が低いエポキシ樹脂組成物が特異的に得られることを見出し、本発明に至った。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、全エポキシ樹脂100重量部に対しグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の配合量が95〜100重量部であるエポキシ樹脂組成物である。グリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、グリシジルアミン型エポキシ樹脂に比べ、エポキシ基1モルあたりの発熱量が小さい。グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の配合量が95重量部未満であると、得られるエポキシ樹脂組成物の発熱量が高くなることがある。グリシジルエーテル型エポキシの配合量が多ければ多いほど発熱量を減らすことができ好ましい態様である。最も好ましい態様は、全エポキシ樹脂がグリシジルエーテル型エポキシであることである。
本発明で用いられる分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]は、硬化時の反応発熱が低いエポキシ樹脂組成物でありながら、かつ、高い耐熱性および弾性率を有するエポキシ樹脂硬化物を得るために、本発明のエポキシ樹脂組成物において必須の成分である。
分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]の具体例としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、テトラフェニロールエタンテトラグリシジルエーテルおよびこれらのハロゲン置換体もしくはアルキル置換体等が挙げられる。この分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]は、これらのうち一種を単独で用いても良いし、二種類以上を混用しても良い。
これらの中でも、得られる樹脂硬化物の耐熱性が極めて優れることから、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂およびこれらのハロゲン置換体もしくはアルキル置換体からなる群から選ばれた少なくとも一種のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
また、分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]は、全エポキシ樹脂100重量部に対し少なくとも10重量部含まれることが好ましい。分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]が15重量部より少ない場合、硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物の耐熱性が不十分となってしまうことがある。分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]は、20重量部以上含まれることがさらに好ましい態様である。一方、分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]は、全エポキシ樹脂100重量部に対し多くとも80重量部であることが好ましい。分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]が80重量部を超えると、得られる樹脂組成物の粘度が高くなりプロセス性が低下する上、得られる硬化物が脆くなることがある。分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]のさらに好ましい配合量は、25〜60重量部の範囲である。
本発明で用いられるビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]は、熱可塑性樹脂[C]をエポキシ樹脂に均一に溶解させるために、本発明のエポキシ樹脂組成物において必須の成分である。本発明においては、熱可塑性樹脂[C]との相溶性が劣る分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]を用いても、このビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]が適正量存在するため、均一かつ靭性に優れるエポキシ樹脂組成物が得られる。
本発明で用いられるビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]としては、下記一般式(2)
Figure 0004821362
(式中、R〜R16はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜5のアルキル基からなる群から選ばれた一種を表す。)で示される構造を有する化合物が好ましく、特に、ビスフェノールSとエピクロロヒドリンとの反応により得られる化合物や、ビスフェノールS以外のビスフェノール化合物とエピクロロヒドリンとの反応により得られる2官能エポキシとビスフェノールSを反応させて得られる化合物などが好適に用いられる。ビスフェノールSとエピクロロヒドリンとの反応により得られる化合物を得る際には、ビスフェノールS以外のフェノール基を有する化合物を混合し、共重合させても良い。
ビスフェノールSとエピクロロヒドリンの反応により得られる化合物の具体例としては“エピクロン(登録商標)”EXA−1514、 “エピクロン(登録商標)”EXA−4004、および“エピクロン(登録商標)”EXA−4800(以上、大日本インキ(株)製)などが挙げられる。
ビスフェノールS以外のビスフェノール化合物とエピクロロヒドリンとの反応により得られる2官能エポキシとビスフェノールSを反応させて得られる化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールSとの反応物、ビスフェノールF型エポキシ樹脂とビスフェノールSとの反応物、およびビスフェノールADとビスフェノールSとの反応物などが挙げられる。
ビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]は、これらの中でも特に相溶性が優れることから、ビスフェノールSとエピクロロヒドリンの反応物、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールSとの反応物、およびビスフェノールF型エポキシ樹脂とビスフェノールSとの反応物を好適に用いることができ、中でも、ビスフェノールSとエピクロロヒドリンの反応物が最も相溶性に優れており、特に好ましく用いられる。また、ビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]は、熱可塑性樹脂[C]の配合量(重量部)に対するビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]の配合量(重量部)の比([B]の配合量(重量部))/[C]の配合量(重量部))が、0.1〜5であるように配合することが必要である。その比([B]の配合量(重量部))/([C]の配合量(重量部))が0.1より小さいと、熱可塑性樹脂[C]をエポキシ樹脂に均一に溶解させることができなくなる可能性があり、また、その比([B]の配合量(重量部))/([C]の配合量(重量部))が5より多いと得られるエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなりプロセス性が低下する上、得られる硬化物の弾性率が低下することがある。ビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]のより好ましい配合量は、比([B]の配合量(重量部))/([C]の配合量(重量部))が0.3〜2であり、より好ましくは0.3〜1である。
本発明で用いられる下記一般式(1)
Figure 0004821362
(式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜5のアルキル基からなる群から選ばれた一種を表す。)で示される構造を有する熱可塑性樹脂[C]は、高い靱性および耐熱性を有するエポキシ樹脂組成物を得るために、本発明のエポキシ樹脂組成物において必須の成分である。
上記の熱可塑性樹脂[C]の具体的な化合物としては、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリスルホンおよびポリエーテルエーテルスルホンなどが挙げられる。
ポリエーテルスルホンの具体例としては、“スミカエクセル(登録商標)”3600P、スミカエクセル4100P、“スミカエクセル”5200P、“スミカエクセル”7600P、および“スミカエクセル”5003P(以上、住友化学社製)や、“RADEL(登録商標)”A−100、“RADEL” A−200、および“RADEL” A−300(以上、帝人アモコ社製)などが挙げられる。
ポリフェニルスルホンの具体例としては、“RADEL(登録商標)”R−5000(帝人アモコ社製)などが挙げられる。
ポリスルホンの具体例としては、“UDEL(登録商標)” P−1700や、“UDEL” P−3500(以上、帝人アモコ社製)などが挙げられる。
これらの中でも、末端や側鎖にエポキシ基やエポキシ樹脂硬化剤と反応し得る官能基を有する化合物が、エポキシ樹脂との相溶性が高くなり、より高い靱性が得られるため好ましく用いられる。かかる官能基の例としては、エポキシ基と反応する官能基として水酸基やアミノ基などが、エポキシ樹脂硬化剤と反応し得る官能基としてはエポキシ基があげられる。このような化合物としては、具体的には、末端に水酸基を有するポリエーテルスルホンである“スミカエクセル”5003P(以上住友化学社製)などが挙げられる。
熱可塑性樹脂[C]の配合量は、分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]およびビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]の種類や、使用する熱可塑性樹脂[C]の種類によるが、エポキシ樹脂100重量部に対して、5重量部以上70重量部以下であることが好ましい。熱可塑性樹脂[C]の配合量が、5重量部未満では十分な靭性向上効果が得られないことがあり、また、70重量部を超えるとエポキシ樹脂組成物の粘度が高くなり、プロセス性が低下する場合がある。熱可塑性樹脂[C]の配合量は、より好ましくは8重量部以上30重量部以下である。
本発明のエポキシ樹脂組成物では、分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]以外のエポキシ樹脂を、更に配合することもできる。
本発明では、熱可塑性樹脂[C]とエポキシ樹脂との相溶性をさらに向上させるため、[D]ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂およびこれらのハロゲン置換体もしくはアルキル置換体からなる群から選ばれた少なくとも一種のエポキシ樹脂[D]を好ましく配合することもできる。
また、得られるプリプレグのタック性やドレープ性を向上することができることから、エポキシ樹脂[D]のエポキシ当量は大きくとも200であることが好ましい。
エポキシ樹脂[D]の配合量は、全エポキシ樹脂100重量部に対し25〜90重量部であることが好ましい。配合量が25重量部未満では十分な靭性向上効果が得られないことがあり、配合量が90重量部を超えると、分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]やビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]の配合量が少なくなり、耐熱性や靭性が低下する場合がある。エポキシ樹脂[D]の配合量は、より好ましくは25重量部以上75重量部以下であり、特に好ましくは25〜50重量部である。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂硬化剤を配合することができる。本発明で用いられるエポキシ樹脂硬化剤は特に限定されないが、耐熱性および機械物性に優れたエポキシ樹脂硬化物を与え、かつビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]と同時に用いることにより、分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]と熱可塑性樹脂[C]との相溶性をより高めるため、分子内に芳香族環を有するジアミン硬化剤が好ましく用いられる。
エポキシ樹脂硬化剤を特に例示するならば、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、およびそれらの芳香族環の水素が炭素数3以下のアルキル基もしくはハロゲン基により置換された誘導体などが挙げられる。
これらのエポキシ樹脂硬化剤のうち、分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]と熱可塑性樹脂[C]との相溶性向上効果が高く、かつ、エポキシ樹脂組成物の硬化物が高い弾性率、高い耐熱性を与えることから、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、および4,4’−ジアミノジフェニルスルホンが好ましく用いられる。さらに、エポキシ樹脂組成物の硬化物に、特に室温下および高温高湿下にて高い弾性率および低い吸水率を与える3,3’−ジアミノジフェニルスルホンと3,4’−ジアミノジフェニルスルホンが特に好ましく用いられる。エポキシ樹脂硬化剤は、モノマーとオリゴマーいずれの形でも使用することができる。他成分との混合時は、粉体と液体いずれの形態でも良く、粉体と液体のものを混合して用いても良い。
エポキシ樹脂硬化剤の配合量は、用いられるエポキシ樹脂の種類や量によって変わるが、全エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましくは25重量部以上70重量部以下の範囲で配合することができる。エポキシ樹脂硬化剤の配合量が25重量部未満の場合、十分な靱性が得られない場合があり、また70重量部を超える場合は、力学特性が低下することがある。これらのエポキシ樹脂硬化剤は、単独もしくは2種以上混合して用いても良い。
また、本発明では、必要に応じて、芳香族ジアミン以外のエポキシ樹脂硬化剤や硬化促進剤を併用することも可能である。芳香族ジアミン以外のエポキシ樹脂硬化剤の例としては、イソホロンジアミンなどの脂環式アミンやジシアンジアミドなどわが、また硬化促進剤の例としては、ジクロロジメチルウレアなどの尿素化合物、イミダゾール類、3級アミンおよび有機金属塩などをそれぞれ挙げることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、前記の各[A]〜[D]成分のほかに、前記の[A]、[B]および[D]のエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂や、有機粒子、無機粒子などの粒子、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂などの熱硬化性樹脂や、エポキシ樹脂組成物の機械物性を損なわない範囲で、粘度調整などのために、熱可塑性樹脂[C]成分とは異なる熱可塑性樹脂などを少量添加することも可能である。
本発明では、各種樹脂の靭性や、得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性をさらに高めるため、エポキシ樹脂組成物にゴム粒子および熱可塑性樹脂粒子等の有機粒子を配合することができる。
ゴム粒子としては、取り扱い性等の観点から、架橋ゴム粒子、および架橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコアシェルゴム粒子が好ましく用いられる。
架橋ゴム粒子の市販品としては、カルボキシル変性のブタジエン−アクリロニトリル共重合体の架橋物からなるXER−91(型番、日本合成ゴム工業社製)、アクリルゴム微粒子からなるCX−MNシリーズ(型番、日本触媒製)、およびYR−500シリーズ(型番、東都化成製)等を使用することができる。
また、コアシェルゴム粒子の市販品としては、例えば、ブタジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合物からなる“パラロイド(登録商標)”EXL−2655(呉羽化学工業製)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体からなる“スタフィロイド(登録商標)”AC−3355、TR−2122(以上武田薬品工業製)、アクリル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合物からなる“PARALOID(登録商標)”EXL−2611、およびEXL−3387(以上Rohm&Haas社製)等を使用することができる。
熱可塑性樹脂粒子としては、ポリアミド粒子やポリイミド粒子が好ましく用いられ、ポリアミド粒子の市販品として、SP−500(型番、東レ製)や、“オルガソール(登録商標)”(ATOCHEM社製)等を使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物における、ゴム粒子および熱可塑性樹脂粒子等の有機粒子の配合量は、得られるエポキシ樹脂硬化物の弾性率と靱性を両立させる点から、全エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上50重量部以下であることが好ましく、更に好ましくは1重量部以上35重量部以下である。
本発明では、エポキシ樹脂組成物の増粘等の粘弾性制御と揺変性付与のため、エポキシ樹脂組成物に、シリカ、アルミナ、スメクタイトおよび合成マイカ等の無機粒子を配合することができる。
本発明では、無機粒子は、エポキシ樹脂組成物に適度な粘弾性を与え、優れた取り扱い性のプリプレグと、良質な繊維強化複合材料が得られるため、無機粒子を、全エポキシ樹脂100重量部に対して、好ましくは0.001重量部以上20重量部以下、より好ましくは0.01重量部以上10重量部以下配合することが好ましい。
本発明では、前記のエポキシ樹脂組成物と強化繊維からなるプリプレグとする。本発明のプリプレグに好適に用いられる強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維および炭化ケイ素繊維などが挙げられる。これらの強化繊維を2種以上混合して用いてもよく、より軽量で、より耐久性の高い成形品を得るために、炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが好ましい。
本発明においては、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが可能であるが、耐衝撃性に優れ、高い剛性および機械強度を有する複合材料が得られることから、JIS R7601−1986に記載の方法によるストランド引張試験における引張弾性率が200GPa以上、引張強度4 .4GPa以上 、引張伸度1 .7%以上の高強度高伸度炭素繊維が最も適している。
強化繊維の形態は特に限定されるものではなく、例えば、一方向に引き揃えた長繊維、トウ、織物、マット、ニットおよび組み紐などが用いられる。また、特に、比強度と比弾性率が高いことを要求される用途には、強化繊維が単一方向に引き揃えられた配列が最も適しているが、取り扱いの容易な織物状の配列のものも適している。
本発明のプリプレグは、マトリックス樹脂を、メチルエチルケトンやメタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、含浸させるウェット法と、加熱により低粘度化し、含浸させるホットメルト法(ドライ法)等により作製することができる。
ウェット法は、強化繊維をエポキシ樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発させる方法であり、ホットメルト法は、加熱により低粘度化したエポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させる方法、または一旦エポキシ樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングしたフィルムを作製しておき、次いで強化繊維の両側または片側から前記フィルムを重ね、加熱加圧することにより強化繊維に樹脂を含浸させる方法である。ホットメルト法によれば、プリプレグ中に残留する溶媒が実質上皆無となる。
得られたプリプレグを積層後、積層物に圧力を付与しながら樹脂を加熱硬化させる方法等により、本発明による繊維強化複合材料が作製される。
ここで熱および圧力を付与する方法には、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法および内圧成形法等が採用される。本発明の繊維強化複合材料は、プリプレグを介さず、エポキシ樹脂組成物を直接強化繊維に含浸させた後、加熱硬化せしめる方法、例えば、ハンド・レイアップ法、フィラメント・ワインディング法、プルトルージョン法、レジン・インジェクション・モールディング法およびレジン・トランスファー・モールディング法等の成形法によっても作製することができる。これらの方法では、エポキシ樹脂からなる主剤とエポキシ樹脂硬化剤との2液を使用直前に混合してエポキシ樹脂組成物を調製することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂として用いた繊維強化複合材料は、スポーツ用途、航空機用途および一般産業用途に好適に用いられる。より具体的には、航空宇宙用途では、主翼、尾翼およびフロアビーム等の航空機一次構造材用途、フラップ、エルロン、カウル、フェアリングおよび内装材等の二次構造材用途、ロケットモーターケースおよび人工衛星構造材用途等に好適に用いられる。このような航空宇宙用途の中でも、特に成形中の反応発熱制御が難しい大型構造体、特に胴体部材や主翼部材において、本発明によるエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグが特に好適に用いられる。また、スポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニス、バトミントンおよびスカッシュ等のラケット用途、ホッケー等のスティック用途、およびスキーポール用途等に好適に用いられる。さらに一般産業用途では、自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、補強筋、および補修補強材料等の土木・建築材料用途等に好適に用いられる。
以下、実施例により、本発明のエポキシ樹脂組成物についてさらに詳細に説明する。各実施例のエポキシ樹脂組成物を得るために、下記の樹脂原料を用いた。
<の分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]>
・分子中にエポキシ基を3.6含むフェノールノボラック型エポキシ樹脂、“エピコート(登録商標)”154(ジャパンエポキシレジン(株)製)
・分子中にエポキシ基を5含むオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、“エポトート(登録商標)”YDCN700−5(東都化成(株))
<ビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]>
・ “エピクロン(登録商標)”EXA−1514(大日本インキ化学工業(株)製)
<熱可塑性樹脂[C]>
・末端に水酸基を有するポリエーテルスルホン“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P(住友化学(株)製)
・末端に塩素基を有するポリエーテルスルホン“スミカエクセル(登録商標)”PES5200P(住友化学(株)製)
<エポキシ樹脂[D]>
・エポキシ当量172のビスフェノールF型エポキシ樹脂、“エピクロン(登録商標)”830(大日本インキ化学工業(株)製)
・エポキシ当量177のビスフェノールA型エポキシ樹脂、“エピコート(登録商標)”825(ジャパンエポキシレジン(株)製)
<エポキシ樹脂硬化剤>
・3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(三井化学ファイン(株)製)
<上記[A]、[B]および[D]のエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂>
・ビフェニル型エポキシ樹脂、“エピコート(登録商標)”YX4000H(ジャパンエポキシレジン(株)製)
・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ELM434(住友化学(株)製)
樹脂組成物の調製、樹脂硬化物の弾性率、耐熱性、破壊靭性、プリプレグの作製、衝撃後圧縮強度および湿熱環境下での有孔板圧縮強度の測定は、次のような条件で行った。特に断りのない限り、温度23℃、相対湿度50%の環境で測定を行った。また、結果は表1にまとめて示した。
(実施例1〜6、比較例1〜6)
(1)エポキシ樹脂組成物の調製
上記の樹脂原料をニーダーで混練して、表1に示す組成のエポキシ樹脂組成物を調製した。
(2)エポキシ樹脂組成物の硬化発熱量
上記(1)で作製したエポキシ樹脂組成物を7mg取り出し、TAインスツルメンツ社製DSC2910(型番)を用いて、30℃〜350℃温度範囲を昇温速度10℃/分にて測定を行い、発熱量を評価した。
(3)樹脂硬化物の弾性率
上記(1)で作製したエポキシ樹脂組成物を、80℃の温度に加熱して、モールドに注入し、180℃の温度のオーブンで2時間硬化して、厚さ2mmの樹脂硬化物の板を作成した。次に、得られた樹脂硬化物の板から、幅10mm、長さ60mmの試験片を切り出し、スパン間32mmの3点曲げを測定し、JIS K7171−1994に従い、曲げ弾性率を求めた。
(4)樹脂硬化物の耐熱性
上記(3)で作製した樹脂硬化物の板から、樹脂硬化物を7mg取り出し、TAインスツルメンツ社製DSC2910(型番)を用いて、30℃〜350℃温度範囲を昇温速度10℃/分にて、測定を行い、ガラス転移領域の中点をガラス転移温度Tgとし、耐熱性を評価した。
(5)樹脂硬化物の破壊靭性
上記(1)で作製したエポキシ樹脂組成物を、80℃の温度に加熱して、モールドに注入し、180℃の温度のオーブンで2時間硬化して、厚さ6mmの樹脂硬化物の板を作成した。次に、樹脂硬化物の板から、幅12.7mmの試験片を切り出し、ASTM D 5045−91に基づき、ノッチ付き3点曲げ法により破壊靭性K1cを求めた。
(6)プリプレグの作製
上記(1)で作製したエポキシ樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。次に、シート状に一方向に配列させた東レ(株)製、炭素繊維“トレカ(登録商標)”T800G−24K−31E(繊維数24000本、引張強度5.9GPa、引張弾性率290GPa、引張伸度2.0%)に、樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧により樹脂を含浸させ、炭素繊維の目付が190g/m2、マトリックス樹脂の重量分率が35.5%の一方向プリプレグを作製した。
(7)プリプレグの硬化発熱量
上記(6)で作製したプリプレグを20mg取り出し、TAインスツルメンツ社製DSC2910(型番)を用いて、30℃〜350℃温度範囲を昇温速度10℃/分にて測定を行い、発熱量を評価した。
(8)繊維強化複合材料の作成と衝撃後圧縮強度
上記(6)により作製した一方向プリプレグを、(+45°/0°/−45°/90°)3s構成で、擬似等方的に24プライ積層し、オートクレーブにて、180℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成型して積層体を作製した。この積層体から、縦150mm×横100mmのサンプルを切り出し、SACMA SRM 2R−94に従い、サンプルの中心部に6.7J/mmの落錘衝撃を与え、衝撃後圧縮強度を求めた。
(9)繊維強化複合材料の作成と湿熱環境下での有孔板圧縮強度
上記(6)により作製した一方向プリプレグを、(+45°/0°/−45°/90°)2s構成で、擬似等方的に16プライ積層し、オートクレーブにて、180℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成型して積層体を作製した。この積層体から、縦305mm×横25.4mmのサンプルを切り出し、中央部に直径6.35mmの孔を穿孔して有孔板に加工した。この有効板を72℃の温度の温水中に2週間浸漬し、SACMA SRM 3R−94に従い、82℃の温度の雰囲気下で圧縮強度を求めた。
結果を表1と表2に示す。
Figure 0004821362
Figure 0004821362
実施例1〜5と比較例1〜2との比較から、本発明のエポキシ樹脂組成物とプリプレグは、硬化発熱量が大幅に低減されていることが分かる。また、実施例1〜5と比較例3〜5との比較から、熱可塑性樹脂[C]の配合量(重量部)に対するビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]の配合量(重量部)の比([B]の配合量(重量部))/([C]の配合量(重量部))が、本発明の範囲(0.1〜5)の場合、均一であり、かつ、プロセス性に優れた粘度を示すことが分かる。さらに、実施例1〜5のなかでも、比([B]の配合量(重量部))/([C]の配合量(重量部))が0.1〜2の場合、弾性率が高く、得られる複合材料の湿熱環境下での有孔板圧縮強度が優れることが分かる。
熱性に優れ、弾性率が高く、高い靱性を有する硬化物を与え、かつ硬化時の反応発熱が低いエポキシ樹脂組成物を用いる本発明は、このエポキシ樹脂組成物と強化繊維を組み合わせることにより、プリプレグや耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料を得ることができ、また、前記のプリプレグを硬化成形させることによっても、耐衝撃性に優れた繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明による繊維強化複合材料は、航空宇宙用途、スポーツ用途および一般産業用途など広い分野好適に用いられ有用である。

Claims (11)

  1. 全エポキシ樹脂100重量部に対するグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の配合量が95〜100重量部であり、少なくとも、分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]と、ビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]および下記一般式(1)
    Figure 0004821362
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜5のアルキル基からなる群から選ばれた一種を表す。)で示される構造を有する熱可塑性樹脂[C]を含んでなり、かつ前記熱可塑性樹脂[C]の配合量(重量部)に対する前記ビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]の配合量(重量部)の比が0.1〜5であエポキシ樹脂組成物と強化繊維からなるプリプレグ
  2. 分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、テトラフェニロールエタンテトラグリシジルエーテルおよびこれらのハロゲン置換体もしくはアルキル置換体からなる群から選ばれた少なくとも一種である、請求項1に記載のプリプレグ
  3. 分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]が、全エポキシ樹脂100重量部に対し10〜80重量部配合されてなる、請求項2に記載のプリプレグ
  4. さらに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂およびこれらのハロゲンもしくはアルキル置換体からなる群から選ばれた少なくとも一種のエポキシ樹脂[D]を含んでなる、請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグ
  5. エポキシ樹脂[D]が、全エポキシ樹脂100重量部に対し25〜90重量部配合されてなる、請求項4に記載のプリプレグ
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のプリプレグを硬化成形させてなる繊維強化複合材料。
  7. 全エポキシ樹脂100重量部に対するグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の配合量が95〜100重量部であり、少なくとも、分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]と、ビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]および下記一般式(1)
    Figure 0004821362
    (式中、R 〜R はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜5のアルキル基からなる群から選ばれた一種を表す。)で示される構造を有する熱可塑性樹脂[C]を含んでなり、かつ前記熱可塑性樹脂[C]の配合量(重量部)に対する前記ビスフェノールS型エポキシ樹脂[B]の配合量(重量部)の比が0.1〜5であるエポキシ樹脂組成物と強化繊維とを硬化成形させてなる繊維強化複合材料。
  8. 分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]が、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、トリフェニロールメタントリグリシジルエーテル、テトラフェニロールエタンテトラグリシジルエーテルおよびこれらのハロゲン置換体もしくはアルキル置換体からなる群から選ばれた少なくとも一種である、請求項7に記載の繊維強化複合材料。
  9. 分子中にエポキシ基を2.2以上含むグリシジルエーテル型エポキシ樹脂[A]が、全エポキシ樹脂100重量部に対し10〜80重量部配合されてなる、請求項8に記載の繊維強化複合材料。
  10. さらに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂およびこれらのハロゲンもしくはアルキル置換体からなる群から選ばれた少なくとも一種のエポキシ樹脂[D]を含んでなる、請求項7〜9のいずれかに記載の繊維強化複合材料。
  11. エポキシ樹脂[D]が、全エポキシ樹脂100重量部に対し25〜90重量部配合されてなる、請求項10に記載の繊維強化複合材料。
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