次に、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る基板温調固定装置の断面図である。
図3を参照するに、第1の実施の形態の基板温調固定装置10は、静電チャック11と、ベースプレート12と、電源14〜17を有する。
静電チャック11は、基体21と、静電電極22と、抵抗発熱体23と、電極31〜38と、複数の開口部40とを有する。基体21は、ベースプレート12上に配設されている。基体21は、基板20が載置される基板載置面21Aを有する。基体21は、セラミックからなり、積層された複数のグリーンシート(図示せず)を焼成することにより形成する。
静電電極22は、薄膜形状とされた電極である。静電電極22は、基板載置面21Aの近傍に位置する部分の基体21に内蔵されている。静電電極22は、電極31,32と接続されている。静電電極22は、電極31,32を介して、電源14と電気的に接続されている。静電電極22は、電圧が印加された際、基体21上に基板20を吸着することで基体21上に基板20を固定する。
図3は、図2に示す抵抗発熱体の平面図である。
図2及び図3を参照するに、抵抗発熱体23は、第1〜第3の抵抗発熱体41〜43を有する。第1〜第3の抵抗発熱体41〜43は、静電電極22の下方に位置する部分の基体21に内蔵されている。第1〜第3の抵抗発熱体41〜43は、基体21内において、同一平面上に配置されている。第1〜第3の抵抗発熱体41〜43は、静電電極22と電気的に絶縁されている。
第1の抵抗発熱体41は、基体21の中央部に配置されている。第1の抵抗発熱体41は、電極33,34と接続されている。第1の抵抗発熱体41は、電極33,34を介して、電源15と電気的に接続されている。第1の抵抗発熱体41は、電源15から電圧を印加された際、発熱する。第1の抵抗発熱体41は、基板20の中央部を加熱するためのものである。
第2の抵抗発熱体42は、基体21の外周部に配置されている。第2の抵抗発熱体42は、電極35,36と接続されている。第2の抵抗発熱体42は、電極35,36を介して、電源16と電気的に接続されている。第2の抵抗発熱体42は、電源16から電圧を印加された際、発熱する。第2の抵抗発熱体42は、基板20の外周部を加熱するためのものである。
第3の抵抗発熱体43は、第1の抵抗発熱体41と第2の抵抗発熱体42との間に位置する部分の基体21に配置されている。第3の抵抗発熱体43は、電極37,38と接続されている。第3の抵抗発熱体43は、電極37,38を介して、電源17と電気的に接続されている。第3の抵抗発熱体43は、電源17から電圧を印加された際、発熱する。第3の抵抗発熱体43は、基板20の中央部と外周部との間に位置する部分の基板20を加熱するためのものである。
抵抗発熱体23は、基体21の基板載置面21Aの温度が所定の温度となるように加熱するためのものである。なお、図2及び図3では、第1〜第3の抵抗発熱体41〜43を簡略化して図示したが、第1〜第3の抵抗発熱体41〜43は、それぞれ配線パターンにより構成されている。
電極31,32は、静電電極22の下方に位置する部分の基体21を貫通するように設けられている。電極31は、電源14のプラス端子14Aと電気的に接続されている。電極32は、電源14のマイナス端子14Bと電気的に接続されている。
電極33,34は、第1の抵抗発熱体41の下方に位置する部分の基体21を貫通するように設けられている。電極33は、電源15のプラス端子15Aと電気的に接続されている。電極34は、電源15のマイナス端子15Bと電気的に接続されている。
電極35,36は、第2の抵抗発熱体42の下方に位置する部分の基体21を貫通するように設けられている。電極35は、電源16のプラス端子16Aと電気的に接続されている。電極36は、電源16のマイナス端子16Bと電気的に接続されている。
電極37,38は、第3の抵抗発熱体43の下方に位置する部分の基体21を貫通するように設けられている。電極37は、電源17のプラス端子17Aと電気的に接続されている。電極38は、電源17のマイナス端子17Bと電気的に接続されている。
図4は、図2に示す静電チャックの下面側の平面図である。
図2及び図4を参照するに、複数の開口部40は、基体21の下面21B側(基板載置面21Aの反対側に位置する部分の基体21)に設けられている。開口部40は、基体21の下面21B全体に配置されている。基体21の下面21Bは、ベースプレート12と接触する側の基体21の面である。複数の開口部40内には、空気が存在している。開口部40の直径R1は、例えば、0.1mm〜0.5mmとすることができる。また、開口部40の深さD1は、例えば、0.5mmとすることができる。
このように、ベースプレート12と接触する基体21の下面21B側に複数の開口部40を設けることにより、ベースプレート12と基体21との間の接触面積が小さくなるため、ベースプレート12と基体21との間の熱の移動を制限することが可能になると共に、複数の開口部40内に存在する空気によりベースプレート12と基体21との間の熱の移動を制限することが可能となる。これにより、従来よりも短時間の加熱で、基板20全体の温度を所定の温度にすることができる。
ベースプレート12は、プレート本体46と、管路47と、冷却水導入部48と、冷却水排出部49とを有する。プレート本体46は、基体21の下面21B側に設けられている。プレート本体46は、静電チャック11を支持するためのものである。プレート本体46の材料としては、金属を用いることができる。プレート本体46の材料となる金属としては、例えば、Alを用いることができる。
管路47は、プレート本体46に内設されている。管路47は、冷却水を循環させるためのものである。この管路47を流れる冷却水は、基体21を冷却することで、基板載置面21Aの温度が所定の温度となるように調整するためのものである。
冷却水導入部48は、プレート本体46の下面側に設けられている。冷却水導入部48は、管路47内に冷却水を導入するためのものである。冷却水排出部49は、プレート本体46の下面側に設けられている。冷却水排出部49は、プレート本体46の外部に温度が上昇した冷却水を排出するためのものである。
電源14は、プラス端子14Aと、マイナス端子14Bとを有する。プラス端子14Aは、電極31と電気的に接続されており、マイナス端子14Bは、電極32と電気的に接続されている。
電源15は、プラス端子15Aと、マイナス端子15Bとを有する。プラス端子15Aは、電極33と電気的に接続されており、マイナス端子15Bは、電極34と電気的に接続されている。
電源16は、プラス端子16Aと、マイナス端子16Bとを有する。プラス端子16Aは、電極35と電気的に接続されており、マイナス端子16Bは、電極36と電気的に接続されている。
電源17は、プラス端子17Aと、マイナス端子17Bとを有する。プラス端子17Aは、電極37と電気的に接続されており、マイナス端子17Bは、電極38と電気的に接続されている。
本実施の形態の静電チャックによれば、ベースプレート12と接触する基体21の下面21B側に複数の開口部40を設けることにより、ベースプレート12と基体21との間の接触面積が小さくなるため、ベースプレート12と基体21との間の熱の移動を制限することが可能になると共に、複数の開口部40内に存在する空気によりベースプレート12と基体21との間の熱の移動を制限することが可能となる。これにより、従来よりも短時間の加熱で、基板20全体の温度を所定の温度にすることができる。
なお、本実施の形態では、平面視円形状の開口部40を設けた場合を例に挙げて説明したが、開口部40の形状はこれに限定されない。例えば、平面視四角形の開口部を基体21の下面21B側に複数設けてもよい。
図5〜図12は、本発明の第1の実施の形態に係る静電チャックの製造工程を示す図である。図5〜図12において、第1の実施の形態の静電チャック11と同一構成部分には同一符号を付す。
始めに、図5に示す工程では、グリーンシート55〜58(複数のグリーンシート)を準備する。グリーンシート55〜58は、例えば、セラミック粉末をバインダ、溶剤等と混合したものをシート状にすることで形成する。グリーンシート55〜58は、後述する図12に示す工程において焼成されることにより、基体21となるものである。第1のグリーンシートであるグリーンシート55は、焼成されることにより、基板載置面21Aの反対側に位置する部分の基体21となるものである。第2のグリーンシートであるグリーンシート56は、抵抗発熱体23を形成するためのものである。第3のグリーンシートであるグリーンシート57は、静電電極22を形成するためのものである。第4のグリーンシートであるグリーンシート58は、焼成されることにより、基板20が載置される部分の基体21となるものである。グリーンシート55〜58の厚さは、例えば、0.5mmとすることができる。
次いで、図6に示す工程では、グリーンシート57に貫通部60,61を形成し、その後、印刷法(例えば、スクリーン印刷)によりグリーンシート57の上面57Aに導体ペースト59と貫通部60,61を充填する導体ペースト62とを同時に形成する。導体ペースト59は、後述する図12に示す工程において焼成されることにより、静電電極22となるものである。また、貫通部60,61内に充填された導体ペースト62は、焼成されることにより、電極31,32の一部となるものである。導体ペースト59,62としては、例えば、タングステンやモリブデン等の金属粒子或いは導電性セラミック粒子と、バインダと、溶剤とを含むものを用いることができる。
次いで、図7に示す工程では、グリーンシート56に貫通部63〜70を形成し、その後、印刷法(例えば、スクリーン印刷)によりグリーンシート56の上面56Aに導体ペースト71と貫通部63〜70を充填する導体ペースト72とを同時に形成する。導体ペースト71は、後述する図12に示す工程において焼成されることにより、抵抗発熱体23となる。また、導体ペースト72は、焼成されることにより、電極31〜38の一部となる。導体ペースト71,72としては、例えば、タングステンやモリブデン等の金属粒子或いは導電性セラミック粒子と、バインダと、溶剤とを含んだ材料を用いることができる。
次いで、図8に示す工程では、グリーンシート56に貫通部81〜88を形成する。貫通部81〜88は、電極31〜38の一部となる導体ペースト91(図10参照)を配設するためのものである。
次いで、図9に示す工程では、グリーンシート55に複数の第1の貫通部90を形成する(第1の貫通部形成工程)。第1の貫通部90は、例えば、ポンチを挿入する挿入部を有したダイ上にグリーンシート55を配置し、ポンチをグリーンシート55に押し当てることで形成する。第1の貫通部90は、積層されたグリーンシート55〜58を焼成することにより、図2で説明した開口部40となるものである。なお、第1の貫通部90は、貫通部81〜88と同時に形成してもよい。
次いで、図10に示す工程では、印刷法(例えば、スクリーン印刷)により貫通部81〜88に導体ペースト91を形成する。導体ペースト91としては、例えば、タングステンやモリブデン等の金属粒子或いは導電性セラミック粒子と、バインダと、溶剤とを含むものを用いることができる。貫通部81〜88に充填された導体ペースト91は、後述する図12に示す工程において焼成されることにより、電極31〜38の一部となるものである。
次いで、図11に示す工程では、グリーンシート55上に、グリーンシート56〜58を順次積層させる。このとき、図11に示す構造体をホットプレス法により加熱して接着する。
次いで、図12に示す工程では、図11に示す構造体を焼成して、グリーンシート55〜58、及び導体ペースト59,62,71,72,91を焼結させる(焼成工程)。これにより、基体21と、静電電極22と、抵抗発熱体23と、電極31〜38と、複数の開口部40とを有した静電チャック11が製造される。焼成する際の温度は、例えば、1600℃を用いることができる。
本実施の形態の静電チャックの製造方法によれば、グリーンシート55に複数の第1の貫通部90を形成後、グリーンシート55上に、抵抗発熱体23が形成されるグリーンシート56と、静電電極22が形成されるグリーンシート57と、グリーンシート58とを積層させて焼成することにより、ベースプレート12と接触する基体21の下面21B側に複数の開口部40を形成することが可能となる。これにより、ベースプレート12と基体21との間の接触面積が小さくなるため、ベースプレート12と基体21との間の熱の移動を制限することが可能になると共に、複数の開口部40内に存在する空気によりベースプレート12と基体21との間の熱の移動を制限することが可能となるので、従来よりも短時間の加熱で、基板20全体の温度を所定の温度にすることができる。
また、グリーンシート55に複数の第1の貫通部90を形成することにより、グリーンシート55〜58を焼成する際、グリーンシート55〜58に含まれるバインダから発生するガスをグリーンシート55〜58の外部に排出することができるため、短時間で焼成させることができる。
なお、本実施の形態の静電チャック11の製造方法では、説明の便宜上、グリーンシート55〜58に対して、順番に貫通部や導体ペーストを形成した場合を例に挙げて説明したが、実際に静電チャック11を製造する場合は、グリーンシート55〜58に対して一括して貫通部や導体ペーストを形成する。
図13〜図17は、本発明の第1の実施の形態に係る静電チャックの他の製造工程を示す図である。図13〜図17において、第1の実施の形態の静電チャック11と同一構成部分には同一符号を付す。
始めに、図13に示す工程では、先に説明した図5〜図9に示す工程と同様な手法により、貫通部81〜88及び第1の貫通部90が設けられたグリーンシート55と、導体ペースト71及び貫通部63〜70が設けられたグリーンシート56と、導体ペースト59及び貫通部60,61が設けられたグリーンシート57とを形成する。
続く、図14に示す工程では、グリーンシート55上に、グリーンシート56〜58を順次積層させる。このとき、図14に示す構造体をホットプレス法により加熱して接着する。
次いで、図15に示す工程では、図14に示す構造体を焼成して、グリーンシート55〜58、及び導体ペースト59,71を焼結させる(焼成工程)。これにより、基体21と、静電電極22と、抵抗発熱体23と、複数の開口部40と、開口部101〜108とが形成される。焼成する際の温度は、例えば、1600℃を用いることができる。
開口部101は、電極31を配設するためのものであり、開口部102は、電極35を配設するためのものである。開口部103は、電極37を配設するためのものであり、開口部104は、電極33を配設するためのものである。開口部105は、電極34を配設するためのものであり、開口部106は、電極38を配設するためのものである。開口部107は、電極36を配設するためのものであり、開口部108は、電極32を配設するためのものである。
次いで、図16に示す工程では、電極31〜38を準備する。電極31〜38としては、例えば、金属部材(例えば、金属のピン)を用いることができる。
次いで、図17に示す工程では、開口部101〜108に電極31〜38を挿入する。このとき、電極31,32は静電電極22と接触するように挿入し、電極33,34は第1の抵抗発熱体41と接触するように挿入する。また、電極35,36は第2の抵抗発熱体42と接触するように挿入し、電極37,38は第3の抵抗発熱体43と接触するように挿入する。これにより、基体21と、静電電極22と、抵抗発熱体23と、電極31〜38と、複数の開口部40とを有した静電チャック11が製造される。焼成する際の温度は、例えば、1600℃を用いることができる。
なお、電極31,32と静電電極22とを導電性接着剤やろう付けにより接合してもよい。また、電極33〜38と第1〜第3の抵抗発熱体41〜43とを導電性接着剤やろう付けにより接合してもよい。
上記説明した図13〜図17に示す工程により、第1の実施の形態の静電チャック11を製造してもよい。この場合、第1の実施の形態の静電チャック11の製造方法(図5〜図12参照)と同様な効果を得ることができる。
図18〜図21は、本発明の第1の実施の形態に係る静電チャックのその他の製造工程を示す図である。
始めに、先に説明した図5〜図8に示す工程と同様な処理を行うことにより、図8に示す構造体を形成する。
次いで、図18に示す工程では、印刷法により貫通部81〜88に導体ペースト91を形成する。続く、図19に示す工程では、グリーンシート55上に、グリーンシート56〜58を順次積層させる。このとき、図19に示す構造体をホットプレス法により加熱して接着する。
次いで、図20に示す工程では、図19に示す構造体を焼成して、グリーンシート55〜58、及び導体ペースト59,62,71,72,91を焼結させる(焼成工程)。これにより、基体21と、静電電極22と、抵抗発熱体23と、電極31〜38とが形成される。焼成時の温度としては、例えば、1600℃を用いることができる。
次いで、図21に示す工程では、マシニング法により、基体21の下面21B側から基体21を切削加工して、複数の開口部40を形成する(開口部形成工程)。これにより、複数の開口部40を備えた静電チャック11が製造される。
このように、グリーンシート55〜58を焼成後、マシニング法により、複数の開口部40を基体21に形成してもよい。この場合も、第1の実施の形態の静電チャック11の製造方法と同様な効果を得ることができる。
(第2の実施の形態)
図22は、本発明の第2の実施の形態に係る基板温調固定装置の断面図である。図22において、第1の実施の形態の基板温調固定装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
図22を参照するに、第2の実施の形態の基板温調固定装置120は、第1の実施の形態の基板温調固定装置10に設けられた静電チャック11の代わりに静電チャック121を設けた以外は基板温調固定装置10と同様な構成とされている。
静電チャック121は、第1の実施の形態で説明した静電チャック11に設けられた基体21、電極31〜38、及び複数の開口部40の代わりに、基体123、電極125〜132、及び複数の開口部135を設けた以外は静電チャック11と同様に構成される。
基体123は、ベースプレート12上に配設されている。基体123は、基板20が載置される基板載置面123Aを有する。基体123は、第1の実施の形態で説明した基体21よりも厚さが厚い以外は基体21と同様な構成とされている。基体123は、セラミックからなり、基体21よりも多い枚数のグリーンシート(図示せず)を積層し、焼成することにより形成する。
電極125,126は、静電電極22の下方に位置する部分の基体123を貫通するように設けられている。電極125は、その一方の端部が静電電極22と接続されており、他方の端部が電源14のプラス端子14Aと電気的に接続されている。電極126は、その一方の端部が静電電極22と接続されており、他方の端部が電源14のマイナス端子14Bと電気的に接続されている。
電極127,128は、第1の抵抗発熱体41の下方に位置する部分の基体123を貫通するように設けられている。電極127は、その一方の端部が第1の抵抗発熱体41と接続されており、他方の端部が電源15のプラス端子15Aと電気的に接続されている。電極128は、その一方の端部が第1の抵抗発熱体41と接続されており、他方の端部が電源15のマイナス端子15Bと電気的に接続されている。
電極129,130は、第2の抵抗発熱体42の下方に位置する部分の基体123を貫通するように設けられている。電極129は、その一方の端部が第2の抵抗発熱体42と接続されており、他方の端部が電源16のプラス端子16Aと電気的に接続されている。電極130は、その一方の端部が第2の抵抗発熱体42と接続されており、他方の端部が電源16のマイナス端子16Bと電気的に接続されている。
電極131,132は、第3の抵抗発熱体43の下方に位置する部分の基体123を貫通するように設けられている。電極131は、その一方の端部が第3の抵抗発熱体43と接続されており、他方の端部が電源17のプラス端子17Aと電気的に接続されている。電極132は、その一方の端部が第3の抵抗発熱体43と接続されており、他方の端部が電源17のマイナス端子17Bと電気的に接続されている。
図23は、図22に示す静電チャックの平面図である。
図22及び図23を参照するに、複数の開口部135は、基体123の下面123B側に設けられている。開口部135は、基体123の下面123B全体に配置されている。基体123の下面123Bは、ベースプレート12と接触する基体123の面である。開口部135の深さD2は、第1の実施の形態で説明した開口部40の深さD1よりも深くなるように構成されている。開口部135内には、空気が存在している。開口部135の直径R2は、例えば、0.1mm〜0.5mmとすることができる。また、開口部135の深さD2は、例えば、1mmとすることができる。
このように、ベースプレート12と接触する基体123の下面123B側に、第1の実施の形態で説明した開口部40(図2参照)よりも深さの深い開口部135を複数設けることにより、ベースプレート12と基体123との間の熱の移動を制限する効果を向上させることが可能となる。
本実施の形態の静電チャックによれば、ベースプレート12と接触する基体123の下面123B側に、第1の実施の形態で説明した開口部40(図2参照)よりも深さの深い開口部135を複数設けることにより、ベースプレート12と基体123との間の熱の移動を制限する効果が向上するため、短時間の加熱で、基板20全体の温度を所定の温度にすることができる。
図24〜図30は、本発明の第2の実施の形態に係る静電チャックの製造工程を示す図である。図24〜図30に示す工程において、第2の実施の形態の静電チャック121と同一構成部分には同一符号を付す。
始めに、図24に示す工程では、グリーンシート55〜58,141(複数のグリーンシート)を準備する。グリーンシート55〜58,141は、例えば、セラミック粉末をバインダ、溶剤等と混合したものをシート状にすることで形成する。グリーンシート55〜58,141は、後述する図30に示す工程において焼成されることにより、基体123となるものである。
第1のグリーンシートであるグリーンシート55は、焼成されることにより、基板載置面123Aの反対側に位置する部分の基体123となるものである。第2のグリーンシートであるグリーンシート56は、抵抗発熱体23を形成するためのものである。第3のグリーンシートであるグリーンシート57は、静電電極22を形成するためのものである。第4のグリーンシートであるグリーンシート58は、焼成されることにより、基板20が載置される部分の基体123となるものである。第5のグリーンシートであるグリーンシート141は、グリーンシート55とグリーンシート56との間に配置されるグリーンシートである。グリーンシート55〜58,141の厚さは、例えば、0.5mmとすることができる。
次いで、図25に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図6〜図10に示す工程と同様な処理を行って、貫通部60,61及び導体ペースト59,62をグリーンシート57に形成し、続いて、貫通部63〜70及び導体ペースト71,72をグリーンシート56に形成し、次いで、貫通部81〜88、第1の貫通部90、及び導体ペースト91をグリーンシート55に形成する。
次いで、図26に示す工程では、グリーンシート141に貫通部142〜149を形成する。貫通部142〜149は、電極125〜132の一部となる導体ペースト153(図28参照)を配設するためのものである。
次いで、図27に示す工程では、グリーンシート141に複数の第2の貫通部151を形成する(第2の貫通部形成工程)。第2の貫通部151は、第1の貫通部90が形成されたグリーンシート55上にグリーンシート141を積層させた際、第1の貫通部90の上方に位置する部分のグリーンシート141に形成する。第2の貫通部151は、例えば、ポンチを挿入する挿入部を有したダイ上にグリーンシート56を配置し、ポンチをグリーンシート141に押し当てることで形成する。
第2の貫通部151の直径は、第1の貫通部90の直径と略等しくなるように構成されている。第2の貫通部151の直径は、例えば、0.1mm〜0.5mmとすることができる。
第1及び第2の貫通部90,151は、積層されたグリーンシート55〜58,141を焼成することにより、図22で説明した開口部135となるものである。
次いで、図28に示す工程では、印刷法により貫通部142〜149に導体ペースト153を形成する。導体ペースト153としては、例えば、タングステンやモリブデン等の金属粒子或いは導電性セラミック粒子と、バインダと、溶剤とを含むものを用いることができる。貫通部142〜149に充填された導体ペースト153は、後述する図30に示す工程において焼成されることにより、電極125〜132の一部となるものである。
続く、図29に示す工程では、グリーンシート55上に、グリーンシート141、グリーンシート56、グリーンシート57、及びグリーンシート58を順次積層させる。このとき、図29に示す構造体をホットプレス法により加熱して接着する。
次いで、図30に示す工程では、図29に示す構造体を焼成して、グリーンシート55〜58,141、及び導体ペースト59,62,71,72,91,153を焼結させる(焼成工程)。これにより、基体123と、静電電極22と、抵抗発熱体23と、電極125〜132と、複数の開口部135とを有した静電チャック121が製造される。焼成する際の温度は、例えば、1600℃を用いることができる。
本実施の形態の静電チャックの製造方法によれば、複数の第1の貫通部90をグリーンシート55に形成し、第1の貫通部90と対向する部分のグリーンシート141に第2の貫通部151を形成し、その後、グリーンシート55上に、グリーンシート141と、抵抗発熱体23が形成されるグリーンシート56と、静電電極22が形成されるグリーンシート57と、グリーンシート58とを積層させて焼成することにより、ベースプレート12と接触する基体123の下面123B側に、第1の実施の形態で説明した開口部40よりも深さの深い複数の開口部135を形成することができる。これにより、ベースプレート12と基体123との間の接触面積が小さくなるため、ベースプレート12と基体123との間の熱の移動を制限することが可能になると共に、複数の開口部135内に存在する空気によりベースプレート12と基体123との間の熱の移動を制限することが可能となるので、従来よりも短時間の加熱で、基板20全体の温度を所定の温度にすることができる。
また、グリーンシート55に複数の第1の貫通部90を形成すると共に、グリーンシート141に第1の貫通部90と対向する第2の貫通部151を形成することにより、積層されたグリーンシート55〜58,141を焼成する際、グリーンシート55〜58,141に含まれるバインダから発生するガスをグリーンシート55〜58,141の外部に排出することができる。これにより、短時間で焼成することができる。
なお、本実施の形態の静電チャック121の製造方法では、貫通部142〜149、第2の貫通部151、及び導体ペースト153が形成された1枚のグリーンシート141を、グリーンシート55とグリーンシート56との間に配置して焼成を行う場合を例に挙げて説明したが、グリーンシート55とグリーンシート56との間に貫通部142〜149、第2の貫通部151、及び導体ペースト153が形成された複数のグリーンシート141を配置し、その後、焼成してもよい。
このように、グリーンシート55とグリーンシート56との間に、複数のグリーンシート141を配置することにより、開口部135の深さD2をさらに深くすることが可能となる。
また、電極125〜132は、第1の実施の形態で説明した図13〜図17に示す工程を用いて形成してもよい。さらに、複数の開口部135は、マシニング法(図21参照)により形成してもよい。
(第3の実施の形態)
図31は、本発明の第3の実施の形態に係る基板温調固定装置の断面図である。図31において、第1の実施の形態の基板温調固定装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
図31を参照するに、第3の実施の形態の基板温調固定装置160は、第1の実施の形態の静電チャック11に設けられた複数の開口部40の代わりに溝部163〜171を設けた以外は静電チャック11と同様に構成される。
図32は、図31に示す静電チャックの下面側の平面図である。
図31及び図32を参照するに、溝部163〜171は、平面視リング状とされた溝であり、基体21の下面21B側に同心円状に形成されている。
溝部163は、電極31,32の形成位置よりも外側に位置する部分の基体21に形成されている。溝部164は、電極31,32よりも内側で、かつ電極35,36よりも外側に位置する部分の基体21に形成されている。溝部165〜168は、電極35,36よりも内側で、かつ電極37,38よりも外側に位置する部分の基体21に形成されている。溝部169,170は、電極37,38よりも内側で、かつ電極33,34よりも外側に位置する部分の基体21に形成されている。溝部171は、電極33,34よりも内側に位置する部分の基体21に形成されている。
溝部163〜171の幅は、例えば、2mmとすることができる。また、基体21の下面21Bを基準としたときの溝部163〜171の深さは、例えば、0.5mmとすることができる。
本実施の形態の静電チャックによれば、ベースプレート12と接触する基体21の下面21B側に溝部163〜171を設けることにより、ベースプレート12と基体21との間の接触面積が小さくなるため、ベースプレート12と基体21との間の熱の移動を制限することが可能になると共に、溝部163〜171内に存在する空気によりベースプレート12と基体21との間の熱の移動を制限することが可能となる。これにより、従来よりも短時間の加熱で、基板20全体の温度を所定の温度にすることができる。また、開口部40と比較して溝部163〜171の容積は大きいため、保温効果も得ることができる。
なお、本実施の形態では、同心円状に配置された溝部163〜171を基体21に設けた場合を例に挙げて説明したが、基体の下面21B側に形成する溝部の形状及び数はこれに限定されない。
また、溝部163〜171は、完全な同心円状の貫通溝ではなく、一部グリーンシートの不貫通部分が残るような形状としてもよい。このような形状とすることにより、溝部163〜171が形成されるグリーンシートがばらばらになることを防ぐことができる。
図33〜図36は、本発明の第3の実施の形態に係る静電チャックの製造工程を示す図であり、図37は、図33に示すグリーンシートの平面図である。図33〜図37において。第3の実施の形態の静電チャック161と同一構成部分には同一符号を付す。
始めに、第1の実施の形態で説明した図5〜図8に示す工程と同様な手法により、図8に示す構造体を形成する。
次いで、図33に示す工程では、グリーンシート55に第1の貫通部173〜181(図37参照)を形成する(第1の貫通部形成工程)。第1の貫通部173〜181は、リング状の貫通溝である。第1の貫通部173〜181は、例えば、ポンチを挿入する挿入部を有したダイ上にグリーンシート55を配置し、ポンチをグリーンシート55に押し当てることで形成する。第1の貫通部173〜181は、積層されたグリーンシート55〜58を焼成することにより、図31で説明した溝部163〜171となる。
なお、第1の貫通部173〜181は、完全な同心円状の貫通溝ではなく、一部グリーンシート55の不貫通部分が残るような形状としてもよい。このような形状とすることにより、第1の貫通部173〜181が形成されたグリーンシート55がばらばらになることを防ぐことができる。
次いで、図34に示す工程では、印刷法により貫通部81〜88に導体ペースト91を形成する。貫通部81〜88に充填された導体ペースト91は、後述する図36に示す工程において焼成されることにより、電極31〜38の一部となるものである。
次いで、図35に示す工程では、グリーンシート55上に、グリーンシート56〜58を順次積層させる。このとき、図35に示す構造体をホットプレス法により加熱して接着する。
次いで、図36に示す工程では、図35に示す構造体を焼成して、グリーンシート55〜58、及び導体ペースト59,62,71,72,91を焼結させる(焼成工程)。これにより、基体21と、静電電極22と、抵抗発熱体23と、電極31〜38と、溝部163〜171とを有した静電チャック161が製造される。焼成時の温度としては、例えば、1600℃を用いることができる。
本実施の形態の静電チャックの製造方法によれば、グリーンシート55に第1の貫通部173〜181を形成後、グリーンシート55上に、抵抗発熱体23が形成されるグリーンシート56と、静電電極22が形成されるグリーンシート57と、グリーンシート58とを積層させて焼成することにより、ベースプレート12と接触する基体21の下面21B側に溝部163〜171を形成することが可能となる。これにより、ベースプレート12と基体21との間の接触面積が小さくなるため、ベースプレート12と基体21との間の熱の移動を制限することが可能になると共に、溝部163〜171内に存在する空気によりベースプレート12と基体21との間の熱の移動を制限することが可能となるので、従来よりも短時間の加熱で、基板20全体の温度を所定の温度にすることができる。
また、グリーンシート55に第1の貫通部173〜181を形成することにより、グリーンシート55〜58を焼成する際、グリーンシート55〜58に含まれるバインダから発生するガスをグリーンシート55〜58の外部に排出することができる。よって、短時間で焼成することができる。
なお、電極31〜38は、第1の実施の形態で説明した図13〜図17に示す工程を用いて形成してもよい。さらに、溝部163〜171は、マシニング法(図21参照)により形成してもよい。
(第4の実施の形態)
図38は、本発明の第4の実施の形態に係る基板温調固定装置の断面図である。図38において、第2の実施の形態の基板温調固定装置120と同一構成部分には同一符号を付す。
図38を参照するに、第4の実施の形態の基板温調固定装置190は、第2の実施の形態の基板温調固定装置120に設けられた静電チャック121の代わりに静電チャック191を設けた以外は基板温調固定装置120と同様な構成とされている。
図39は、図38に示す静電チャックの平面図である。
図38及び図39を参照するに、静電チャック191は、第2の実施の形態で説明した静電チャック121に設けられた複数の開口部135の代わりに、基体123の下面123B側に同心円状の溝部193〜201を設けた以外は静電チャック121と同様に構成される。
溝部193は、電極125,126の形成位置よりも外側に位置する部分の基体123に形成されている。溝部194は、電極125,126よりも内側で、かつ電極129,130よりも外側に位置する部分の基体123に形成されている。溝部195〜198は、電極129,130よりも内側で、かつ電極131,132よりも外側に位置する部分の基体123に形成されている。溝部199,200は、電極131,132よりも内側で、かつ電極127,128よりも外側に位置する部分の基体123に形成されている。溝部201は、電極127,128よりも内側に位置する部分の基体123に形成されている。
溝部193〜201の深さは、第3の実施の形態で説明した溝部163〜171の深さよりも深くなるように構成されている。溝部193〜201の幅は、例えば、2mmとすることができる。また、基体123の下面123Bを基準としたときの溝部193〜201の深さは、例えば、1mmとすることができる。
本実施の形態の静電チャックによれば、ベースプレート12と接触する基体123の下面123B側に、第3の実施の形態で説明した溝部163〜171(図31参照)よりも深さの深い溝部193〜201を設けたことにより、ベースプレート12と基体123との間の熱の移動を制限する効果が向上するため、短時間の加熱で、基板20全体の温度を所定の温度にすることができる。
なお、溝部193〜201は、完全な同心円状の貫通溝ではなく、一部グリーンシートの不貫通部分が残るような形状としてもよい。このような形状とすることにより、溝部193〜201が形成されるグリーンシートがばらばらになることを防ぐことができる。
図40〜図45は、本発明の第4の実施の形態に係る静電チャックの製造工程を示す図である。図40〜図45において、第4の実施の形態の静電チャック191と同一構成部分には同一符号を付す。
始めに、第2の実施の形態で説明した図24に示すグリーンシート55〜58,141を準備する。次いで、図40に示す工程では、第3の実施の形態で説明した図33及び図34に示す工程と同様な手法により、貫通部81〜88、導体ペースト91、及び第1の貫通部173〜181をグリーンシート55に形成し、貫通部63〜70及び導体ペースト71,72をグリーンシート56に形成し、貫通部60,61及び導体ペースト59,62をグリーンシート57に形成する。
次いで、図41に示す工程では、グリーンシート141に貫通部207〜214を形成する。貫通部207〜214は、電極125〜132の一部となる導体ペースト226(図43参照)を配設するためのものである。
次いで、図42に示す工程では、グリーンシート141に第2の貫通部216〜224を形成する。第2の貫通部216〜224は、第1の貫通部173〜181が形成されたグリーンシート55上にグリーンシート141を積層させた状態において、第1の貫通部173〜181の上方に位置する部分のグリーンシート141に形成する。第2の貫通部216〜224は、同心円状の貫通溝である。第2の貫通部216〜224は、例えば、ポンチを挿入する挿入部を有したダイ上にグリーンシート141を配置し、ポンチをグリーンシート141に押し当てることで形成する。
第2の貫通部216〜224の幅は、第1の貫通部173〜181の幅と略等しくなるように構成されている。第2の貫通部216〜224の幅は、例えば、2mmとすることができる。第1及び第2の貫通部173〜181,216〜224は、積層されたグリーンシート55〜58,141を焼成することにより、図38で説明した溝部193〜201となるものである。
なお、第1及び第2の貫通部173〜181,216〜224は、完全な同心円状の貫通溝ではなく、一部グリーンシートの不貫通部分が残るような形状としてもよい。このような形状とすることにより、第1及び第2の貫通部173〜181,216〜224が形成されたグリーンシートがばらばらになることを防ぐことができる。
次いで、図43に示す工程では、印刷法により貫通部207〜214に導体ペースト226を形成する。導体ペースト226としては、例えば、タングステンやモリブデン等の金属粒子或いは導電性セラミック粒子と、バインダと、溶剤とを含むものを用いることができる。貫通部207〜214に充填された導体ペースト226は、後述する図45に示す工程において焼成されることにより、電極125〜132の一部となるものである。
次いで、図44に示す工程では、グリーンシート55上に、グリーンシート141と、グリーンシート56と、グリーンシート57と、グリーンシート58とを順次積層する。このとき、図44に示す構造体をホットプレス法により加熱して接着する。
次いで、図45に示す工程では、図44に示す構造体を焼成して、グリーンシート55〜58,141、及び導体ペースト59,62,71,72,91,226を焼結させる(焼成工程)。これにより、基体123と、静電電極22と、抵抗発熱体23と、電極125〜132と、溝部193〜201とを有した静電チャック191が製造される。焼成時の温度としては、例えば、1600℃を用いることができる。
本実施の形態の静電チャックの製造方法によれば、グリーンシート55に第1の貫通部173〜181を形成し、第1の貫通部173〜181と対向する部分のグリーンシート141に第2の貫通部216〜224を形成し、次いで、グリーンシート55上に、グリーンシート141と、抵抗発熱体23が形成されるグリーンシート56と、静電電極22が形成されるグリーンシート57と、グリーンシート58とを積層させて焼成することにより、基体123の下面123B側に第3の実施の形態で説明した溝部163〜171よりも深さの深い溝部193〜201を形成することが可能となる。これにより、ベースプレート12と基体123との間の熱の移動を制限する効果が向上するため、短時間の加熱で、基板20全体の温度を所定の温度にすることができる。
また、基体123の下面123Bに相当するグリーンシート55に複数の第1の貫通部173〜181を形成すると共に、グリーンシート55上に積層されるグリーンシート141に第1の貫通部173〜181と対向する第2の貫通部216〜224を形成することにより、グリーンシート55〜58,141を焼成する際、グリーンシート55〜58,141に含まれるバインダから発生するガスをグリーンシート55〜58,141の外部に排出することができる。よって、短時間で焼成させることができる。
なお、本実施の形態の静電チャック191の製造方法では、貫通部207〜214、第2の貫通部216〜224、及び導体ペースト226が形成された1枚のグリーンシート141を、グリーンシート55とグリーンシート56との間に配置して焼成を行う場合を例に挙げて説明したが、グリーンシート55とグリーンシート56との間に貫通部207〜214、第2の貫通部216〜224、及び導体ペースト226が形成された複数のグリーンシート141を配置し、その後、焼成してもよい。
このように、グリーンシート55とグリーンシート56との間に、複数のグリーンシート141を配置することにより、溝部193〜201の深さをさらに深くすることが可能となる。
また、電極125〜132は、第1の実施の形態で説明した図13〜図17に示す工程を用いて形成してもよい。さらに、複数の開口部135は、マシニング法(図21参照)により形成してもよい。
(第5の実施の形態)
図46は、本発明の第5の実施の形態に係る基板温調固定装置の断面図であり、図47は、図46に示す静電チャックの平面図である。図46において、Eは冷却水導入部48の上方に位置する部分の基板20(以下、「基板部分E」とする)を示している。また、図46及び図47において、Fは冷却水導入部48の上方に位置する部分の基体21(以下、「基体部分F」とする)を示している。また、図46及び図47において、第1の実施の形態の基板温調固定装置10と同一構成部分には同一符号を付す。
図46を参照するに、第5の実施の形態の基板温調固定装置210は、第1の実施の形態の基板温調固定装置10に設けられた静電チャック11の代わりに静電チャック211を設けた以外は基板温調固定装置10と同様に構成される。
静電チャック211は、静電チャック11に設けられた開口部40を冷却水導入部48の上方に位置する基体部分Fの下面21B側にのみ設けた以外は静電チャック11と同様に構成される。
このように、冷却水導入部48の上方に位置する基体部分Fにのみ開口部40を設けることにより、基板20にクーリングスポットが発生することを防止できる。これにより、基板20面内における温度ばらつきが小さくなるため、基板20全体の温度を所定の温度にすることができる。
本実施の形態の静電チャックによれば、冷却水導入部48の上方に位置する基体部分Fにのみ開口部40を設けることにより、クーリングスポットの発生を抑制して、基板20全体の温度を所定の温度にすることができる。
(第6の実施の形態)
図48は、本発明の第6の実施の形態に係る基板温調固定装置の断面図である。図48において、第2の実施の形態に係る基板温調固定装置120と同一構成部分には同一符号を付す。
図48を参照するに、第6の実施の形態に係る基板温調固定装置220は、第2の実施の形態の基板温調固定装置120に設けられた複数の開口部135の代わりに、複数の空洞部223を設けた以外は基板温調固定装置120と同様に構成される。
複数の空洞部223は、基板載置面123Aの下方に位置する部分の基体123内に設けられている。複数の空洞部223は、基体123内において、同一平面上に配置されている。空洞部223の高さH1は、例えば、0.5mmとすることができる。また、空洞部223の幅W1は、例えば、2mmとすることができる。
このように、基板載置面123Aの下方に位置する部分の基体123内に、同一平面上に配置された複数の空洞部223を設けることにより、ベースプレート12と基体123との間における熱の移動を制限することが可能となるため、基板20全体が所定の温度となるように、抵抗発熱体23により短時間で基板20を加熱することができる。
本実施の形態の静電チャックによれば、基板載置面123Aの下方に位置する部分の基体123内に、同一平面上に配置された複数の空洞部223を設けることにより、複数の空洞部223内に存在する空気によりベースプレート12と基体123との間の熱の移動を制限することが可能となる。これにより、従来よりも短時間の加熱で、基板20全体の温度を所定の温度にすることができる。
図49〜図53は、本発明の第6の実施の形態の静電チャックの製造工程を示す図である。図49〜図53において、第6の実施の形態の静電チャック221と同一構成部分には同一符号を付す。
始めに、第2の実施の形態で説明した図24に示すグリーンシート55〜58,141を準備する。次いで、図49に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図6〜図8に示す工程と同様な手法により、グリーンシート57に貫通部60,61及び導体ペースト59,62を形成し、グリーンシート56に貫通部63〜70及び導体ペースト71,72を形成し、グリーンシート55に貫通部81〜88を形成する。
次いで、図50に示す工程では、第1の実施の形態で説明した図10に示す工程と同様な手法により、貫通部81〜88に導体ペースト91を形成する。
次いで、図51に示す工程では、第2の実施の形態で説明した図26〜図28に示す工程と同様な手法により、グリーンシート141に貫通部142〜149,225、及び導体ペースト153を形成する。貫通部225は、積層されたグリーンシート55〜58,141を焼成することにより、図48で説明した空洞部223となるものである。貫通部225の幅W2は、空洞部223の幅W1と略等しい。貫通部225の幅W2は、例えば、2mmとすることができる。
次いで、図52に示す工程では、グリーンシート55上に、グリーンシート141と、グリーンシート56と、グリーンシート57と、グリーンシート58とを順次積層させる。このとき、図52に示す構造体をホットプレス法により加熱して接着する。
次いで、図53に示す工程では、図52に示す構造体を焼成して、グリーンシート55〜58,141、及び導体ペースト59,62,71,72,91,153を焼結させる(焼成工程)。これにより、基体123と、静電電極22と、抵抗発熱体23と、電極125〜132と、複数の空洞部223とを有した静電チャック221が製造される。焼成時の温度としては、例えば、1600℃を用いることができる。
本実施の形態の静電チャックの製造方法によれば、グリーンシート55上に、複数の貫通部225が形成されたグリーンシート141と、抵抗発熱体23が形成されるグリーンシート56と、静電電極22が形成されるグリーンシート57と、グリーンシート58とを積層させて焼成することにより、基体123内に同一平面上に配置された複数の空洞部223を形成することが可能となる。この複数の空洞部223により、ベースプレート12と基体123との間における熱の移動を制限することが可能となるため、従来よりも短時間の加熱で、基板20全体の温度を所定の温度にすることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。