JP4529427B2 - 積層型圧電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロポンプの弁制御等、微小変位のための駆動源として用いられる積層型圧電素子に関する。
従来における積層型圧電素子として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この積層型圧電素子は、多数の個別電極がパターン形成された圧電体層と、コモン電極がパターン形成された圧電体層とが交互に積層され、積層型圧電素子の厚さ方向に整列した各個別電極が、圧電体層に形成されたスルーホールを介して導電部材により接続されたものである。このような積層型圧電素子においては、所定の個別電極とコモン電極との間に電圧が印加されることで、圧電体層において当該所定の個別電極に対応する活性部(圧電効果により歪みが生じる部分)が選択的に変位させられる。
特開2002−254634号公報
しかしながら、上述した積層型圧電素子にあっては、次のような問題が存在する。すなわち、個別電極がパターン形成された圧電体層には、積層型圧電素子の厚さ方向に整列した各コモン電極を電気的に接続するために、中継コモン電極もパターン形成されている。そのため、積層型圧電素子の作製時において個別電極とコモン電極との間に電圧を印加して分極処理を行うと、個別電極がパターン形成された圧電体層では、その厚さ方向だけでなく、隣り合う個別電極と中継コモン電極との間にも電界が生じることになる。従って、当該圧電体層において隣り合う個別電極と中継コモン電極との間の部分には、面方向への歪みによって、個別電極の角部から中継コモン電極に向かってクッラクが発生するおそれがある。
このようなクラックの発生は、圧電体層において振動に寄与する活性部の面積を維持しつつ、積層型圧電素子の小型化或いは個別電極の高集積化を図るべく、個別電極と中継コモン電極との間隔を狭くするほど顕著になる。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、積層型圧電素子の作製における分極処理等を原因として、個別電極が形成された圧電体層において隣り合う個別電極と中継コモン電極との間の部分にクッラクが発生するのを防止することができる積層型圧電素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る積層型圧電素子は、互いに電気的に独立した複数の個別電極が形成された第1の圧電体層と、個別電極との間に電圧が印加されるコモン電極が形成された第2の圧電体層とが交互に積層されてなる積層型圧電素子であって、第1の圧電体層には、第1の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材と、第2の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材とによって、積層方向において隣り合うコモン電極のそれぞれに電気的に接続された中継コモン電極が形成されており、中継コモン電極と隣り合う個別電極の中継コモン電極側の端部は、凸状に湾曲した外形を有しており、第2の圧電体層には、第1の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材と、第2の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材とによって、積層方向において隣り合う個別電極のそれぞれに電気的に接続された中継個別電極が形成されており、コモン電極と隣り合う中継個別電極のコモン電極側の端部における角部は面取りされていることを特徴とする。
この積層型圧電素子においては、個別電極が形成された第1の圧電体層には、積層方向において隣り合うコモン電極のそれぞれに電気的に接続された中継コモン電極も形成されている。そのため、例えば、積層型圧電素子の作製時において個別電極とコモン電極との間に電圧を印加して分極処理を行うと、第1の圧電体層では、その厚さ方向だけでなく、隣り合う個別電極と中継コモン電極との間にも電界が生じることになる。このとき、中継コモン電極と隣り合う個別電極の中継コモン電極側の端部は、凸状に湾曲した外形を有しているため、第1の圧電体層において隣り合う個別電極と中継コモン電極との間の部分にクッラクが発生するのを防止することができる。更に、第2の圧電体層には、第1の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材と、第2の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材とによって、積層方向において隣り合う個別電極のそれぞれに電気的に接続された中継個別電極が形成されており、コモン電極と隣り合う中継個別電極のコモン電極側の端部における角部は面取りされている。このように、コモン電極が形成された第2の圧電体層に、積層方向において隣り合う個別電極のそれぞれに電気的に接続された中継個別電極も形成されている場合、例えば、積層型圧電素子の作製時において個別電極とコモン電極との間に電圧を印加して分極処理を行うと、第2の圧電体層では、その厚さ方向だけでなく、隣り合う中継個別電極とコモン電極との間にも電界が生じることになる。このとき、コモン電極と隣り合う中継個別電極のコモン電極側の端部における角部は面取りされているため、第2の圧電体層において隣り合う中継個別電極とコモン電極との間の部分にクッラクが発生するのを防止することができる。
また、本発明に係る積層型圧電素子は、互いに電気的に独立した複数の個別電極が形成された第1の圧電体層と、個別電極との間に電圧が印加されるコモン電極が形成された第2の圧電体層とが交互に積層されてなる積層型圧電素子であって、第1の圧電体層には、第1の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材と、第2の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材とによって、積層方向において隣り合うコモン電極のそれぞれに電気的に接続された中継コモン電極が形成されており、中継コモン電極と隣り合う個別電極の中継コモン電極側の端部における角部は面取りされていることを特徴とする。
この積層型圧電素子においても、上述した積層型圧電素子と同様に、例えば、積層型圧電素子の作製時において個別電極とコモン電極との間に電圧を印加して分極処理を行うと、第1の圧電体層では、その厚さ方向だけでなく、隣り合う個別電極と中継コモン電極との間にも電界が生じることになる。このとき、中継コモン電極と隣り合う個別電極の中継コモン電極側の端部における角部は面取りされているため、第1の圧電体層において隣り合う個別電極と中継コモン電極との間の部分にクッラクが発生するのを防止することができる。
また、第2の圧電体層には、第1の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材と、第2の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材とによって、積層方向において隣り合う個別電極のそれぞれに電気的に接続された中継個別電極が形成されており、コモン電極と隣り合う中継個別電極のコモン電極側の端部は、凸状に湾曲した外形を有していてもよい。
このように、コモン電極が形成された第2の圧電体層に、積層方向において隣り合う個別電極のそれぞれに電気的に接続された中継個別電極も形成されている場合、例えば、積層型圧電素子の作製時において個別電極とコモン電極との間に電圧を印加して分極処理を行うと、第2の圧電体層では、その厚さ方向だけでなく、隣り合う中継個別電極とコモン電極との間にも電界が生じることになる。このとき、コモン電極と隣り合う中継個別電極のコモン電極側の端部は、凸状に湾曲した外形を有しているため、第2の圧電体層において隣り合う中継個別電極とコモン電極との間の部分にクッラクが発生するのを防止することができる。
また、第2の圧電体層には、第1の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材と、第2の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材とによって、積層方向において隣り合う個別電極のそれぞれに電気的に接続された中継個別電極が形成されており、コモン電極と隣り合う中継個別電極のコモン電極側の端部における角部は面取りされていてもよい。
この場合にも、上述した場合と同様に、例えば、積層型圧電素子の作製時において個別電極とコモン電極との間に電圧を印加して分極処理を行うと、第2の圧電体層では、その厚さ方向だけでなく、隣り合う中継個別電極とコモン電極との間にも電界が生じることになる。このとき、コモン電極と隣り合う中継個別電極のコモン電極側の端部における角部は面取りされているため、第2の圧電体層において隣り合う中継個別電極とコモン電極との間の部分にクッラクが発生するのを防止することができる。
本発明によれば、積層型圧電素子の作製における分極処理等を原因として、個別電極が形成された圧電体層において隣り合う個別電極と中継コモン電極との間の部分にクッラクが発生するのを防止することができる。
以下、本発明に係る積層型圧電素子の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る積層型圧電素子の一実施形態を示す分解斜視図である。同図に示すように、積層型圧電素子1は、個別電極2が形成された圧電体層(第1の圧電体層)3と、コモン電極4が形成された圧電体層(第2の圧電体層)5とを交互に積層し、更に、端子電極17,18が形成された圧電体層7を最上層に積層して構成されている。
各圧電体層3,5,7は、チタン酸ジルコン酸鉛等のセラミックスを主成分とし、例えば「10mm×30mm,厚さ30μm」の長方形薄板状に形成されている。また、個別電極2及びコモン電極4は、銀及びパラジウムを主成分とする材料からなり、スクリーン印刷によりパターン形成されたものである。このことは、端子電極17,18を除き、以下に述べる各電極についても同様である。
この積層型圧電素子1において、最上層の圧電体層7から数えて2層目、4層目、6層目、8層目の圧電体層3aの上面には、図2に示すように、多数の長尺状の個別電極2がマトリックス状に配置されている。各個別電極2は、その長手方向が圧電体層3aの長手方向と直交するように配置されており、隣り合う個別電極2,2は、所定の間隔をとることによって電気的な独立が達成され、且つ互いの振動の干渉が防止されている。
ここで、圧電体層3aの長手方向を行方向、当該長手方向と直交する方向を列方向とすると、個別電極2は、例えば4行75列というように配置されている(明瞭化のため図面では4行23列とする)。このように、多数の個別電極2をマトリックス状に配置することで、圧電体層3aに対して効率の良い配置が可能となるため、圧電体層3aにおいて振動に寄与する活性部の面積を維持しつつ、積層型圧電素子1の小型化或いは個別電極2の高集積化を図ることができる。
1行目及び2行目の個別電極2は、1行目と2行目との間で対向する端部を接続端部2aとし、その接続端部2aの直下において圧電体層3aに形成されたスルーホール13内の導電部材に接続されている。同様に、3行目及び4行目の個別電極2は、3行目と4行目との間で対向する端部を接続端部2aとし、その接続端部2aの直下において圧電体層3aに形成されたスルーホール13内の導電部材に接続されている。
また、圧電体層3aの上面において1行目の個別電極2の外側には、1行目に配列された個別電極2の端部2bに沿って延在する長方形状の中継コモン電極6aが形成されており、同様に、圧電体層3aの上面において4行目の個別電極2の外側には、4行目に配列された個別電極2の端部2bに沿って延在する長方形状の中継コモン電極6bが形成されている。更に、圧電体層3aの上面において2行目の個別電極2と3行目の個別電極2との間には、2行目及び3行目に配列された個別電極2の端部2bに沿って延在する長方形状の中継コモン電極6cが形成されている。
各中継コモン電極6は、それぞれの直下において圧電体層3aに形成された複数のスルーホール8内の導電部材に接続されている。ここで、各中継コモン電極6の直下において圧電体層3aに形成された複数のスルーホール8は、例えば、2つ又は3つの個別電極2に対して1つというように、中継コモン電極6の延在方向に沿って所定の間隔毎に形成されている。
以上の圧電体層3aにおいては、中継コモン電極6aと隣り合う1行目の各個別電極2の中継コモン電極6a側の端部2bは半円形状の外形を有しており、同様に、中継コモン電極6bと隣り合う4行目の各個別電極2の中継コモン電極6b側の端部2bも半円形状の外形を有している。更に、中継コモン電極6cと隣り合う2行目及び3行目の各個別電極2の中継コモン電極6c側の端部2bも半円形状の外形を有している。
なお、10層目に位置する圧電体層3bの上面にも、上述した2層目、4層目、6層目、8層目の圧電体層3aと同様に個別電極2及び中継コモン電極6が形成されている。ただし、図3に示すように、10層目の圧電体層3bは、スルーホール8,13が形成されていない点で上述の圧電体層3aと異なっている。
最上層の圧電体層7から数えて3層目、5層目、7層目、9層目の圧電体層5の上面には、図4に示すように、積層型圧電素子1の積層方向(換言すれば、積層型圧電素子1の厚さ方向、すなわち、圧電体層3,5の厚さ方向)において圧電体層3aの各接続端部2aに対向するように中継個別電極16が形成されている。各中継個別電極16は、その直下において圧電体層5に形成されたスルーホール13内の導電部材に接続されている。
また、圧電体層5の上面において1行目の中継個別電極16の外側には、長方形状のコモン電極4aが形成されており、同様に、圧電体層5の上面において4行目の中継個別電極16の外側には、長方形状のコモン電極4bが形成されている。更に、圧電体層5の上面において2行目の中継個別電極16と3行目の中継個別電極16との間には、長方形状のコモン電極4cが形成されている。
各コモン電極4は、積層方向から見て、各個別電極2の接続端部2aを除く部分と重なっている。これにより、圧電体層3,5において各個別電極2の接続端部2aを除く部分に対向する部分の全体を、振動に寄与する活性部として有効に用いることができる。なお、各コモン電極4は、積層方向において圧電体層3の各中継コモン電極6に対向するように、各中継コモン電極6の延在方向に沿って圧電体層5に形成された複数のスルーホール8内の導電部材に接続されている。
以上の圧電体層5においては、コモン電極4aと隣り合う1行目の各中継個別電極16のコモン電極4a側の端部は半円形状の外形を有しており、同様に、コモン電極4bと隣り合う4行目の各中継個別電極16のコモン電極4b側の端部も半円形状の外形を有している。更に、コモン電極4cと隣り合う2行目及び3行目の各中継個別電極16のコモン電極4c側の端部も半円形状の外形を有している。
また、最上層の圧電体層7の上面には、図5に示すように、積層方向において圧電体層5の各中継個別電極16に対向するように端子電極17が形成され、積層方向において圧電体層3の中継コモン電極6に対向するように延在する端子電極18が形成されている。各端子電極17は、その直下において圧電体層7に形成されたスルーホール13内の導電部材に接続されている。一方、各端子電極18は、積層方向において圧電体層3の中継コモン電極6に対向するように、中継コモン電極6の延在方向に沿って圧電体層7に形成された複数のスルーホール8内の導電部材に接続されている。これらの端子電極17,18には、駆動電源に接続するためのリード線が半田付けされる。
以上のように電極パターンが形成された圧電体層3,5,7の積層によって、最上層の各端子電極17に対しては、積層方向において5つの個別電極2が中継個別電極16を介在させて整列し、整列した各電極2,16,17は、図6に示すように、スルーホール13内の導電部材14により電気的に接続されることになる。一方、最上層の各端子電極18に対しては、積層方向において4つのコモン電極4が中継コモン電極6を介在させて整列し、整列した各電極4,6,18は、スルーホール8内の導電部材14により電気的に接続されることになる。
このような積層型圧電素子1における電気的接続により、所定の端子電極17と端子電極18との間に電圧を印加すると、当該所定の端子電極17下に整列する個別電極2とコモン電極4との間に電圧が印加されることになる。これにより、圧電体層3,5においては、図6に示すように、個別電極2とコモン電極4とで挟まれる部分に電界Eが生じ、当該部分が活性部Aとして変位することになる。従って、電圧を印加する端子電極17を選択することで、マトリックス状に配置された各個別電極2に対応する活性部Aのうち、選択した端子電極17下に整列する活性部Aを積層方向に変位させることができる。このような積層型圧電素子1は、マイクロポンプの弁制御等、微小変位を必要とする種々の装置の駆動源に適用される。
以上のように構成された積層型圧電素子1おいては、個別電極2が形成された圧電体層3には、積層方向において隣り合うコモン電極4,4のそれぞれに電気的に接続された中継コモン電極6も形成されている。そのため、例えば、積層型圧電素子1の作製時において個別電極2とコモン電極4との間に電圧を印加して分極処理を行うと、圧電体層3では、その厚さ方向だけでなく、隣り合う個別電極2と中継コモン電極6との間(例えば、1行目の各個別電極2と中継コモン電極6aとの間)にも電界が生じることになる。このとき、中継コモン電極6と隣り合う個別電極2の中継コモン電極6側の端部2bは半円形状の外形を有しているため、圧電体層3において隣り合う個別電極2と中継コモン電極6との間の部分にクッラクが発生するのを防止することができる。これにより、圧電体層3,5において振動に寄与する活性部Aの面積を維持しつつ、積層型圧電素子1の小型化或いは個別電極2の高集積化を図ることができ、隣り合う個別電極2と中継コモン電極6との間隔を、例えば50μmまで狭くすることが可能になる。
また、コモン電極4が形成された圧電体層5には、積層方向において隣り合う個別電極2のそれぞれに電気的に接続された中継個別電極16も形成されている。そのため、圧電体層5においても、上述した圧電体層3と同様に、例えば、積層型圧電素子1の作製時において個別電極2とコモン電極4との間に電圧を印加して分極処理を行うと、圧電体層5の厚さ方向だけでなく、隣り合う中継個別電極16とコモン電極4との間(例えば、1行目の各中継個別電極16とコモン電極4aとの間)にも電界が生じることになる。このとき、コモン電極4と隣り合う中継個別電極16のコモン電極4側の端部は半円形状の外形を有しているため、圧電体層5において隣り合う中継個別電極16とコモン電極4との間の部分にクッラクが発生するのを防止することができる。
なお、積層型圧電素子1では、積層方向において隣り合うコモン電極4,4のそれぞれにおいて、各行方向に配列された個別電極2に対向する部分には、中継コモン電極6の延在方向に沿って各圧電体層3,5に形成された複数のスルーホール8内の導電部材14を介して、ほぼ同時に電圧が印加されることになる。従って、マトリックス状に配置された個別電極2の形成位置によって各個別電極2に対応する活性部Aの応答時間にばらつきが生じるのを防止することができ、積層型圧電素子1を適切に駆動させることが可能なる。ここで、活性部Aの応答時間とは、所定の個別電極2とコモン電極4との間に電圧を印加してから当該個別電極2に対応する活性部Aが変位するまでに要する時間を意味する。
更に、積層型圧電素子1では、積層方向において隣り合うコモン電極4,4同士を電気的に接続するための中継コモン電極6が延在するように形成され、しかも、中継コモン電極6とコモン電極4とが複数のスルーホール8内の導電部材14により電気的に接続されている。そのため、個別電極2とコモン電極4との間に電圧が印加された際のコモン電極4側の電気抵抗を下げることができる。従って、積層型圧電素子1の駆動回路に掛かる負荷を低減することができ、積層型圧電素子1及び駆動回路を含む製品全体の発熱を抑えることが可能になる。
次に、積層型圧電素子1の作製手順について説明する。まず、チタン酸ジルコン酸鉛等を主成分とする圧電セラミックス材料に有機バインダ・有機溶剤等を混合して基体ペーストを作製し、この基体ペーストを用いて各圧電体層3,5,7となるグリーンシートを成形する。また、所定比率の銀とパラジウムとからなる金属材料に有機バインダ・有機溶剤等を混合して導電ペーストを作製する。
続いて、各圧電体層3,5,7となるグリーンシートの所定の位置にレーザ光を照射してスルーホール8,13を形成する。そして、スルーホール8,13内に対して、導電ペーストを用いて充填スクリーン印刷を行い、導電部材14を形成する。その後、各圧電体層3,5となるグリーンシートに対しては、導電ペーストを用いてスクリーン印刷を行い、各電極2,4,6,16を形成する。また、最上層の圧電体層7となるグリーンシートに対しては、導電ペーストを用いてスクリーン印刷を行い、端子電極17,18の下地電極を形成する。
続いて、電極パターンが形成されたグリーンシートを上述の順序で積層し、積層方向にプレスを行って積層体グリーンを作製する。この積層体グリーンを脱脂・焼成した後、圧電体層7となる焼結シート上の各下地電極に対して銀の焼付電極を施し、端子電極17,18を形成する。その後、分極処理を行って積層型圧電素子1を完成させる。なお、端子電極17,18を形成する際の銀の焼き付けに替えて、材料として金や銅等を用いたり、形成方法としてスパッタリングや蒸着、無電界メッキ法等を採用したりしてもよい。
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態は、圧電体層3において、中継コモン電極6と隣り合う個別電極2の中継コモン電極6側の端部2bが半円形状の外形を有している場合であったが、個別電極2の端部2bは、中継コモン電極6側に凸状に湾曲した外形を有していればよい。この場合にも、圧電体層3において隣り合う個別電極2と中継コモン電極6との間の部分にクッラクが発生するのを防止することができる。同様に、圧電体層5において、コモン電極4と隣り合う中継個別電極16のコモン電極4側の端部も、半円形状の外形に限られず、コモン電極4側に凸状に湾曲した外形を有していればよい。
また、図7に示すように、圧電体層3において、中継コモン電極6と隣り合う個別電極2の中継コモン電極6側の端部2bの角部21は、R状に(すなわち、丸みを帯びるように)面取りされていてもよいし(図7(a))、直線状に面取りされていてもよい(図7(b))。これらの場合にも、圧電体層3において隣り合う個別電極2と中継コモン電極6との間の部分にクッラクが発生するのを防止することができる。
同様に、図8に示すように、圧電体層5において、コモン電極4と隣り合う中継個別電極16のコモン電極4側の端部の角部22も、R状に面取りされていてもよいし(図8(a))、直線状に面取りされていてもよい(図8(b))。これらの場合にも、圧電体層5において隣り合う中継個別電極16とコモン電極4との間の部分にクッラクが発生するのを防止することができる。
本発明に係る積層型圧電素子の一実施形態を示す分解斜視図である。 図1に示す積層型圧電素子の2層目、4層目、6層目、8層目の圧電体層の平面図である。 図1に示す積層型圧電素子の10層目の圧電体層の平面図である。 図1に示す積層型圧電素子の3層目、5層目、7層目、9層目の圧電体層の平面図である。 図1に示す積層型圧電素子の最上層の圧電体層の平面図である。 図1に示す積層型圧電素子の長手方向に垂直な拡大断面図である。 図1に示す積層型圧電素子の個別電極の変形例を示す拡大平面図であって、(a)は個別電極の角部がR状に面取りされている場合であり、(b)は個別電極の角部が直線状に面取りされている場合である。 図1に示す積層型圧電素子の中継個別電極の変形例を示す拡大平面図であって、(a)は中継個別電極の角部がR状に面取りされている場合であり、(b)は中継個別電極の角部が直線状に面取りされている場合である。
符号の説明
1…積層型圧電素子、2…個別電極、3,3a,3b…圧電体層(第1の圧電体層)、4,4a,4b,4c…コモン電極、5…圧電体層(第2の圧電体層)、6,6a,6b,6c…中継コモン電極、8,13…スルーホール、14…導電部材、16…中継個別電極。

Claims (4)

  1. 互いに電気的に独立した複数の個別電極が形成された第1の圧電体層と、前記個別電極との間に電圧が印加されるコモン電極が形成された第2の圧電体層とが交互に積層されてなる積層型圧電素子であって、
    前記第1の圧電体層には、前記第1の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材と、前記第2の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材とによって、積層方向において隣り合う前記コモン電極のそれぞれに電気的に接続された中継コモン電極が形成されており、
    前記中継コモン電極と隣り合う前記個別電極の前記中継コモン電極側の端部は、凸状に湾曲した外形を有しており、
    前記第2の圧電体層には、前記第1の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材と、前記第2の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材とによって、積層方向において隣り合う前記個別電極のそれぞれに電気的に接続された中継個別電極が形成されており、
    前記コモン電極と隣り合う前記中継個別電極の前記コモン電極側の端部における角部は面取りされていることを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 互いに電気的に独立した複数の個別電極が形成された第1の圧電体層と、前記個別電極との間に電圧が印加されるコモン電極が形成された第2の圧電体層とが交互に積層されてなる積層型圧電素子であって、
    前記第1の圧電体層には、前記第1の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材と、前記第2の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材とによって、積層方向において隣り合う前記コモン電極のそれぞれに電気的に接続された中継コモン電極が形成されており、
    前記中継コモン電極と隣り合う前記個別電極の前記中継コモン電極側の端部における角部は面取りされていることを特徴とする積層型圧電素子。
  3. 前記第2の圧電体層には、前記第1の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材と、前記第2の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材とによって、積層方向において隣り合う前記個別電極のそれぞれに電気的に接続された中継個別電極が形成されており、
    前記コモン電極と隣り合う前記中継個別電極の前記コモン電極側の端部は、凸状に湾曲した外形を有していることを特徴とする請求項2記載の積層型圧電素子。
  4. 前記第2の圧電体層には、前記第1の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材と、前記第2の圧電体層に形成されたスルーホール内の導電部材とによって、積層方向において隣り合う前記個別電極のそれぞれに電気的に接続された中継個別電極が形成されており、
    前記コモン電極と隣り合う前記中継個別電極の前記コモン電極側の端部における角部は面取りされていることを特徴とする請求項2記載の積層型圧電素子。
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