JP4943570B2 - 水圧転写フィルム用艶消し活性剤、水圧転写方法及び水圧転写品 - Google Patents

水圧転写フィルム用艶消し活性剤、水圧転写方法及び水圧転写品 Download PDF

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Description

本発明は、水圧転写フィルム用艶消し活性剤に関し、更に詳細に述べると、加飾されるべき物品の表面に水圧転写すべき水圧転写フィルム上の乾燥している印刷パターンの付着性を再現(回復)するために、水圧転写前に、印刷パターンに塗布し、印刷パターンの水圧転写後の装飾層に艶消し効果を付与することができる水圧転写フィルム用活性剤の改良に関するのである。
複雑な三次元的な表面を有する物品の表面を加飾するために、水溶性フィルムの上に非水溶性の印刷パターンを有する水圧転写フィルムを転写槽内の水面上に浮かばせ、この水圧転写フィルムの水溶性フィルムを水で湿潤させた上で、物品(被転写物)をこの水圧転写フィルムの印刷パターンに接触させながら転写層内の水中に押入れ、この際に物品の表面に対して発生する水圧を利用して水圧転写フィルムの印刷パターンを物品の表面に転写して装飾層を形成する水圧転写方法が用いられている。
この装飾層に艶消し効果を付与するために、樹脂ビーズや微粒子シリカの如き艶消し剤が用いられており、この艶消し剤は、通常は、物品に転写して得られた装飾層の上に形成されるトップコート層に添加して分散される(特許文献1)。
一方、本出願人は、先に、装飾層の上にトップコート層を施すことなく、装飾層自体に耐摩耗性、耐溶剤性等を付与しつつ装飾層を水圧転写する発明を提案している(特許文献2乃至6参照)。これらの方法では、水圧転写フィルムの乾燥している印刷パターンに付着性を再現するため光重合性モノマーの如き非溶剤型の活性化成分を含有する紫外線硬化樹脂組成物を印刷パターンに塗布すると、この紫外線硬化樹脂組成物の活性化成分によって印刷パターンの付着性が再現され、またこの紫外線硬化樹脂組成物が印刷パターンの全体に浸透した状態で印刷パターンが被転写物上に水圧転写されるので、この印刷パターン中の紫外線硬化樹脂組成物が紫外線照射によって硬化すると、印刷パターンによって形成される装飾層に恰も紫外線硬化性が付与された状態となり、この装飾層自体に耐溶剤性、耐摩耗性等の化学的、機械的表面保護機能が付与される。この水圧転写方法において、艶消し剤添加による艶消し効果を付与する場合には、艶消し剤は、水圧転写フィルムを活性化するための紫外線硬化樹脂組成物から成る活性剤に添加される(特許文献3乃至6)。
(艶消し剤による艶消し発現メカニズムその1)
艶消し剤による艶消し作用は、装飾層の上に形成されるトップコート層の表面近傍に存在する艶消し剤によって、トップコート層の表面が微細凹凸となるため、その微細凹凸で光が散乱されて発現する。そのため、図5に示すように、トップコート層TCに艶消し剤を分散させる場合には、トップコート層TCが、水圧転写によって物品が加飾された部分の最表層であるため、艶消し剤による艶消し作用は、トップコート層の表面で比較的容易に発現することができる。なお、図5において、符号10は物品、44は装飾層を示す。
(艶消し剤による艶消し発現メカニズムその2)
一方、特許文献2乃至6に開示されているような紫外線硬化樹脂組成物の活性剤に艶消し剤を添加して装飾層内に分散させる方法は、活性剤が印刷パターン内に浸透して水圧転写後に装飾層内で活性剤が紫外線硬化すると、装飾層自体に表面保護機能が付与されるので、トップコート層が不要となって作業工程が単純化されるが、艶消し剤MA(図6参照)は、転写前は、転写フィルムの活性剤塗布表面(転写面側)近傍に偏在しており、一方、活性剤の液体成分は、印刷パターンのインク層に浸透し、このため、図6に示すように、艶消し剤MAは、転写後は、物品10である基材と装飾層44との間に存在することになり、艶消し剤による装飾層44の微細凹凸の形成の程度が小さくなり(図5と対比のこと)、艶消し剤の添加条件が同じであれば、トップコート層に艶消し剤を分散させる方法に比べて、トップコート層がなく艶消し剤を添加した紫外線硬化型樹脂活性剤を用いる方法は、艶消し効果が低くならざるを得なかった。これを回避するため、多量の艶消し剤を添加すると、活性剤の粘度が高くなって活性剤を水圧転写フィルムに塗布し難くなり、それに伴って、活性剤が水圧転写フィルムの印刷パターンに浸透し難くなるため、活性化機能や表面保護機能が低下し、またある程度の活性化機能や表面保護機能が付与されるとしても、物品10である基材と装飾層44との密着性が低下する欠点があった。また、特許文献6に開示されているように、紫外線硬化樹脂組成物の活性剤よって装飾層の表面に凹凸を形成して触指感を付与する発明においては、活性剤中の艶消し剤が多くなると、表面凹凸が生じ難くなって所要の触指感を得ることができない問題があった。このように、トップコート層に艶消し剤を添加して艶消し意匠を発現させる従来技術を転用するだけでは、転写物品の品質を維持しながら十分な艶消し効果を得ることができなかった。
特開2005−125776号公報 WO2004/108434号公報 特開2005−14604号公報 WO2005−77676号公報 WO2007−023577号公報 特開2009−101657号公報
本発明が解決すべき第1の課題は、艶消し剤を添加した紫外線硬化型の活性剤を用いて水圧転写によって得られる装飾層に、少量の艶消し剤の添加でも最大の艶消し効果付与することができる水圧転写フィルム用艶消し活性剤を提供することにある。
本発明が解決すべき第2の課題は、艶消し剤を添加した紫外線硬化型の活性剤を用いて水圧転写によって得られる装飾層に、少量の艶消し剤の添加でも最大の艶消し効果付与することができる水圧転写方法を提供することにある。
本発明が解決すべき第3の課題は、艶消し剤を添加した紫外線硬化型の活性剤を用いて得られた装飾層を有する水圧転写品の装飾層に、少量の艶消し剤の添加でも最大の艶消し効果付与することができる水圧転写品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、樹脂ビーズ(樹脂製の微粒子)から成る艶消し剤を用いるにあたって、複数の樹脂ビーズを塊状に集合して形成されたビーズ群(以下、ビーズランプと称する)の形態で艶消し剤を装飾層と被転写物との間に配列させることによって、樹脂ビーズの添加量を増やすことなく艶消し効果を向上させることができることを知見し、本発明は、このような知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明の第1の課題解決手段は、水溶性フィルム上に乾燥された印刷パターンを有する水圧転写フィルムの前記印刷パターンを物品の表面に水圧転写する際に、前記水圧転写フィルムの前記印刷パターン上に塗布する紫外線硬化樹脂組成物から成り、前記紫外線硬化樹脂組成物は、光重合性モノマーを少なくとも有する光重合性成分と光重合開始剤とを含み、前記紫外線硬化樹脂組成物中の非溶剤活性化成分により前記印刷パターンの付着性を再現すると共に前記印刷パターンの全体に前記紫外線硬化樹脂組成物を浸透し混在させるためのものであって前記紫外線硬化樹脂組成物に艶消し剤が添加されている水圧転写フィルム用活性剤において、前記艶消し剤は、樹脂ビーズ(複数)を含み、且つ前記活性剤には、前記艶消し剤の他に、前記艶消し剤である樹脂ビーズに作用して前記樹脂ビーズを幾つかの樹脂ビーズ毎に塊状に集合する樹脂ビーズ集合剤が添加され、前記紫外線硬化樹脂組成物に対する前記艶消し剤である樹脂ビーズの配合の重量比(樹脂ビーズの配合重量比)は、0.01〜0.3であり、且つ前記樹脂ビーズに対する前記樹脂ビーズ集合剤の配合の重量比は、前記樹脂ビーズの配合重量比に応じて0.05〜1.5の範囲で調整されることを特徴とする水圧転写フィルム用艶消し活性剤を提供することにある。
本発明の第2の課題解決手段は、水溶性フィルム上に乾燥された印刷パターンを有する水圧転写フィルムの前記印刷パターンを物品の表面に水圧転写する際に、前記水圧転写フィルムの前記印刷パターン上に塗布する紫外線硬化樹脂組成物と艶消し剤とから成る活性剤を塗布して前記紫外線硬化樹脂組成物中の非溶剤活性化成分によって前記転写フィルムの印刷パターンの付着性を回復すると共に前記活性剤全体を前記印刷パターンの全厚みに浸透し、その後前記転写フィルムの印刷パターンを物品の表面に水圧転写し、前記紫外線硬化樹脂組成物は、光重合性モノマーを少なくとも有する光重合性成分と光重合開始剤とを含み、前記紫外線硬化樹脂組成物は、水圧転写後、紫外線照射によって硬化される水圧転写方法において、前記艶消し剤は、樹脂ビーズ(複数)を含み、且つ前記活性剤には、前記艶消し剤の他に、前記艶消し剤である樹脂ビーズに作用して前記樹脂ビーズを幾つかの樹脂ビーズ毎に塊状に集合する樹脂ビーズ集合剤が添加され、前記紫外線硬化樹脂組成物に対する前記艶消し剤である樹脂ビーズの配合の重量比(樹脂ビーズの配合重量比)は、0.01〜0.3であり、且つ前記樹脂ビーズに対する前記樹脂ビーズ集合剤の配合の重量比は、前記樹脂ビーズの配合重量比に応じて0.05〜1.5の範囲で調整されることを特徴とする水圧転写方法を提供することにある。
本発明の第3の課題解決手段は、第2の課題解決手段による方法で形成され、光沢度が日本工業規格Z8741−1997「方法3−60度鏡面光沢」に準拠して測定して55未満である装飾層を有することを特徴とする水圧転写品を提供することにある。
本発明の第1及び第2の課題解決手段において、前記樹脂ビーズは、PE(ポリエチレン)ビーズ、ウレタンビーズ、シリコーンビーズのいずれか1つ又はいずれか2つ以上の組み合わせであり、且つそのビーズ径は、5〜20μmであるのが好ましい。
また、本発明の第1及び第2の課題解決手段において、前記樹脂ビーズ集合剤は、チキソトロピック剤、特に、微粒子シリカであるのが好ましい。なお、前記のチキソトロピック剤とは、本発明の活性剤の構成成分として、活性剤のレオロジーにチキソトロピック性を発現させる作用を有する添加剤のことをいう。
この微粒子シリカは、疎水性シリカであり、且つその粒径は、0.005〜10μmであるのが好ましく、特に、この疎水性シリカは、シラン系またはシラザン系の表面処理がされているのが望ましい。
本明細書において、「樹脂ビーズ集合剤」とは、活性剤中において、艶消し剤である樹脂ビーズに作用して、複数の樹脂ビーズを塊状に集合して多数のビーズランプ(ビーズの塊)を形成するとともに、転写時にはこれらのビーズランプを装飾層と被転写物との間に配列し易くさせる機能を有する成分を意味し、この「樹脂ビーズ集合剤」は、艶消し剤である樹脂ビーズと共動して、樹脂ビーズ単体に比べて艶消し効果の向上に寄与するものであるが、その詳細は後に述べる。
本発明によれば、艶消し剤である樹脂ビーズと微粒子シリカの如き樹脂ビーズ集合剤とを併用し、この樹脂ビーズ集合剤が活性剤にチキソトロピー性を付与し、このチキソトロピー性によって、樹脂ビーズが塊状に集合して多数のビーズランプを形成するため、装飾層の表面に大きな微細凹凸が形成され、従って、樹脂ビーズの添加量が少なくても、装飾層に大きな艶消し効果を付与することができる上に、活性剤の塗布浸透が向上し、装飾層の良好な膜性(表面保護機能、密着性)を維持することができる。
また、装飾層内の艶消し剤の分散性が向上するので、黒インクのみでなく、青、赤、黄色にも良好な艶消し効果を付与して、独創的な艶消し意匠を実現することができる。
本発明の艶消し活性剤が用いられて実施される水圧転写の概略図である。 本発明の艶消し活性剤を用いて物品に水圧転写を行う方法の各工程を(A)乃至(H)で模式的に示す図面である。 図2の方法によって得られた艶消し装飾層を有する物品の拡大断面図である。 本発明の艶消し活性剤を転写フィルムに塗布したとき、樹脂ビーズ集合剤によって艶消し剤が複数の塊に変化する過程を(A)乃至(C)で順次示す模式図である。 従来技術による艶消し剤の分布状態を示すトップコート層の拡大横断面図である。 従来技術による紫外線硬化樹脂組成物の活性剤が印刷パターンに浸透され転写後に硬化されて得られた装飾層内の艶消し剤の分布状態を示す装飾層の拡大横断面図である。 本発明の活性剤が印刷パターンに浸透され転写後に硬化して得られた装飾層内の艶消し剤の分布状態を示す装飾層の拡大横断面図である。 触指感的な意匠を形成する水圧転写方法を工程順に(A)乃至(F)で模式的に示す図である。 触指感的な意匠を形成する別の形態の水圧転写方法を工程順に(A)乃至(G)で模式的に示す図である。 本発明の実施例と比較例に用いられた凹凸意匠性付与用転写フィルムの印刷パターンを拡大して寸法とともに示す図である。
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に述べると、図1は、本発明が適用される一般的な水圧転写方法を概略的に示し、この水圧転写方法は、印刷パターン40が施された水溶性フィルム(キャリアフィルム)30から成る転写フィルム20を印刷パターン40が上面となるようにして転写槽内の水50上に供給して浮かばせ、水圧転写すべき物品10をこの転写フィルム20を介して水50の中に押し込んで水圧転写する方法である。
水溶性フィルム30は、水を吸収して湿潤し軟化する例えばポリビニールアルコールを主成分とする水溶性材料から成っている。この水溶性フィルム30は、水圧転写時に、転写槽内の水50に触れて軟化し加飾されるべき物品に付き回って、水圧転写を行うことができるようにする。印刷パターン40は、一般的な水圧転写の場合には、水溶性フィルム30の上にグラビア印刷等によって予め施されており、転写フィルムをロール巻き等の状態で保管するために、水圧転写前には、完全に付着性が失われた乾燥固化の状態にある。なお、この印刷パターン40は厳密な意味での模様の他に無地(無模様)の印刷層も含む。
本発明が適用される水圧転写方法は、図2に示すように、物品10に水圧転写する前に(図2A参照)、転写フィルム20の印刷パターン40に紫外線硬化樹脂組成物62を含む活性剤60を塗布し(図2B参照)、この紫外線硬化樹脂組成物中の非溶剤活性化成分により印刷パターン40の付着性を再現すると共に印刷パターン40全体(全面積、全厚み)に活性剤60を浸透し吸収させて活性剤60(紫外線硬化樹脂組成物62)を印刷パターン40に混在させて行う方法である(図2C参照)。このようにすると、印刷パターン40のインク組成物とこの印刷パターン40に塗布されて印刷パターン40に浸透された紫外線硬化樹脂組成物62とが混合して両者が一体化する紫外線硬化性樹脂組成物混在印刷パターン46が形成される(図2D参照)。
このように紫外線硬化樹脂組成物62によって付着性が再現され、紫外線硬化樹脂組成物62が印刷パターン40の全体(全表面及び全厚み)に混在して形成された紫外線硬化性樹脂組成物混在印刷パターン46を有する転写フィルム20を物品10に水圧転写した後(図2E参照)、この物品10に紫外線70を照射すると(図2F)、紫外線硬化性樹脂組成物混在印刷パターン46中の紫外線硬化樹脂組成物が印刷パターンと渾然一体化して硬化するので、これは、丁度、印刷パターン40自体に紫外線硬化性が付与されるのと同等となる。従って、紫外線硬化性樹脂組成物混在印刷パターン46の転写によって形成された装飾層44(図3参照)は、紫外線硬化樹脂組成物が分散されて紫外線硬化していることによってそれ自体に表面保護機能が有することになる。
図2Fの紫外線70の照射は、紫外線硬化性樹脂組成物混在印刷パターン46が転写された物品10に水圧転写フィルム20の水溶性フィルム30が巻き付いている間に行われるのが好ましく、従って、紫外線照射工程は、図示しないが、物品がまだ水中にあるか、物品が水中から取り出された後であって水溶性フィルムの除去のための水洗作業が行われる前に行われるのが好ましい。なお、紫外線70は、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等の光源と照射器(ランプハウス)を含む公知の紫外線硬化装置を用いて照射することができる。
その後、図2Gに示すように、シャワー72等によって、物品10を水洗して、物品10に形成された装飾層44の上面を覆っている水溶性フィルム(膨潤溶解フィルム層)を除去し、更に、図2(H)に示すように、熱風74によって表面を乾燥して、物品10の表面に装飾層44が水圧転写された加飾物品12を完成する(図3参照)。
本発明は、特許文献6に開示されているように、装飾層に微細凸部を形成して触指感的な意匠(以下、凹凸意匠とも称する)を形成する水圧転写方法にも適用することができる。この方法の概略工程を述べると、図8(A)及び図9(A)に示すように、印刷パターン40は、インク層40Iを有する第1の領域41Aと、インク層を有しないか第1の領域41Aよりも薄いインク層を有する第2の領域41Bとから成り、第2の領域41B内に活性剤の余剰分を集合するのに必要な空間を有し、且つ印刷パターン40の上に全外表面柄固定層を有しない転写フィルム20を用意し、図8(B)及び図9(B)のように、活性剤60が転写フィルム20に塗布されると、この活性剤60は、印刷パターン40の第1の領域40Aのインク層40Iに浸透しながらこのインク層40Iを活性化してインク層の印刷時の状態と同じような付着性を復元して印刷パターン40の水圧転写を可能にしつつ、それと同時に物品10の表面に転写フィルム20の印刷パターン40を水圧転写して形成される装飾層(加飾層)の隣り合う第1の領域(インク印刷部分)41Aの間の第2の領域(中間空間)41Bに印刷パターン40を活性化するのに用いられる活性剤60の余剰分60Rを凸状に集合しながら転移させてこの中間空間41Bにインク印刷部分41Aよりも高い凸部60BPを形成して立体的な凹凸触感を付与する。この凸部60BPは、図8(C)〜(E)に示すように、転写フィルム20に塗布された活性剤の余剰分60Rを印刷パターン40のイン印刷部分41Aの間に流し込むようにして転写時にその余剰分60Rをインク印刷部分41Aの間に集合させながら物品の表面に転移させる形態、もしくは、図9(C)〜(E)に示すように、活性剤の余剰分60Rを印刷パターン40の第1の領域41Aのインク層40Iによるはじき作用と活性剤60の集合力とによって第2の領域41Bで凸状に集合させた後、転写時に、第2の領域41Bの活性剤凸状集合部分60BPを物品の表面に凹凸反転させる形態又はこれらの形態が両者相俟って行われると考えられている。
本発明の活性剤60の主成分である紫外線硬化樹脂組成物は、紫外線の化学的作用によって比較的短時間に硬化させることのできる樹脂であり、特許文献2〜6に記載されているように、用途に応じて、紫外線硬化型塗料、紫外線硬化型インク、紫外線硬化型接着剤などの形態を採るが、基本的には、この紫外線硬化樹脂組成物は、紫外線照射により硬化する前の液体状態のものであって、光重合性成分と光重合開始剤を必須成分として含み、光重合性成分は、光重合性モノマーを必須成分とし、第二成分として光重合性オリゴマーを含むことができる。このように、この光重合性オリゴマーは、必須成分ではないが、紫外線硬化後の膜強度や密着性向上の目的で光重合性モノマーと共に含まれていることが好ましい。また、本発明の活性剤は、紫外線硬化樹脂組成物に後に詳細に述べる艶消し剤等が添加して形成されていることに特徴がある。なお、この活性剤は、所定の粘度とインク溶解度を有することが必要であることはもちろんである。
本発明の水圧転写フィルム用活性剤(艶消し活性剤)は、紫外線硬化樹脂組成物と、樹脂ビーズである艶消し剤と、この艶消し剤に作用して艶消し効果を高める樹脂ビーズ集合剤とから成っているが、このうち、紫外線硬化樹脂組成物は、光重合性成分と光重合開始剤とを含み、光重合性成分は、少なくとも、(2)光重合性モノマーを必須成分として含み、更には、これに(1)光重合性オリゴマーを含むことができ、これら(1)〜(3)の成分の配分割合を掲げると、(1)〜(3)の成分の合計を100重量%として、下記の配合割合で含むことができる。
(配合割合)
(1)光重合性オリゴマー 0〜65重量%
(2)光重合性モノマー 30〜95重量%
(3)光重合開始剤 5〜10重量%
なお、この紫外線硬化樹脂組成物は、下記の(4)〜(6)の添加物を含んでいてもよいが、これらの添加物の量の配合割合は、(1)〜(3)の合計(100重量%)に対する割合である。従って、添加物を含む紫外線硬化樹脂組成物全体の重量%は、100重量%を越えることになる。
(4)非反応性樹脂 2〜12重量%
(5)耐光性付与剤
UV−A 0.5〜8 重量%
HALS 1.5〜3.5重量%
(6)レベリング剤 0.01〜0.5重量%
光重合性オリゴマーは、光化学作用によって更に硬化し得るポリマーであって、光重合性不飽和ポリマーと呼ばれたり、ベースレジンや光重合性プレポリマーと呼ばれたりしており、アクリル系オリゴマー、ポリエステル系オリゴマー、エポキシアクリレート系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー等の何れかを単独又は任意に組み合わせて使用することができ、装飾層の機械物性や化学特性を付与するのに寄与する。
光重合性モノマーは、紫外線硬化樹脂組成物中の非溶剤活性化成分であって、光重合性オリゴマーを希釈する役割を果たしつつ、乾燥固化している印刷パターン(インク)を溶解する溶解性を有して印刷パターンに付着性を付与するとともに、紫外線硬化時には光重合性モノマー自体が硬化反応して、装飾層自体に硬化性を付与するのに寄与する。この光重合性モノマーとしては、2官能モノマーが好ましく、1.6ヘキサンジオールジアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートなどが好適であり、インクへの浸透性と溶解力、更に好適なSP値を考慮すると、1.6ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートが好ましい。さらに、2官能モノマーと4官能モノマーなどの多官能モノマーとを組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤は、光重合性オリゴマー及び光重合性モノマーの光重合反応を開始させるためのものであり、本発明の活性剤では、紫外線硬化樹脂組成物が乾燥固化しているインクを溶解して浸透するようにするため、光重合開始剤は、表面硬化型光重合開始剤と内部硬化型光重合開始剤との両方を含んでいるのが好ましい。表面硬化型光重合開始剤としては、例えばヒドロキシケトン系を用いることができ、また内部硬化型光重合開始剤としては、例えばアシルホスフィンオキサイド系を用いることができる。
上記(4)〜(6)の添加物中、非反応性樹脂は、アクリルポリマー等とすることができ、この非反応性樹脂は、水圧転写して形成された装飾層の機械特性や化学特性等の物性と、被転写物と装飾層の密着性とを両立させる作用を有する。また、耐光性付与剤は、紫外線吸収剤(以下UV−Aと称する)やヒンダードアミン系光安定剤(以下HALSと称する)を含むことができ、特定の範囲の配合割合において、密着性を維持しつつ耐光性を向上することができ、また、レベリング剤は、装飾層の密着性を損なうことなく塗布剤の流動性を調整することができる。
本発明に用いられる活性剤60は、特許文献5で開示されているのと同様に、好ましい粘度範囲とSP値の範囲とを有することが要求され、具体的には、10〜500CPS(25℃)の粘度とSP値で7以上のインク溶解度と有することが要求されるが、その理由は、特許文献5で述べたのと同じである。即ち、粘度(25℃)が10CPS未満であると、光重合性モノマーの割合が多過ぎて、充分な塗膜物性が得られないので、渾然一体化して紫外線硬化した装飾層であっても、その後のキシレン等の溶剤に対するワイピングテストで、良好な結果が得られない。逆に、500CPSを超えると、光重合性モノマーの割合が少な過ぎて、印刷パターン40の乾燥インク全体に充分に浸透せず、良好なインク付着性を再現することができない。また、インク溶解度がSP値で7未満であると、印刷パターン40の乾燥インクに浸透してインクの付着性を復元することができても、水圧転写後、印刷パターン40、すなわち装飾層44が物品10の表面に付着し難い。
なお、本発明の活性剤のSP値の好ましい範囲を、特許文献5に開示されているような従来の活性剤のSP値の下限値である「10」よりも低い「7」としたが、これは、本発明の活性剤を発明する過程で見出されたことであるが、印刷パターンのインク組成物と活性剤との相性等によっては、7〜10未満の範囲のSP値でも、実用上問題ない程度のインク溶解性が得られることによるものである。
また、光重合性モノマーが3〜30CPS(25℃)の粘度とSP値で7以上のインク溶解度とを有していると、10〜500CPS(25℃)の粘度とSP値で7以上インク溶解度とを有する紫外線硬化製樹脂組成物を調合し易くなる。
なお、紫外線硬化樹脂組成物自体の溶解度がSP値で7以上を有することは、印刷パターン40のインク組成物の溶解度に近づけることになるので、充分なインク溶解力を呈することができるのである。
紫外線硬化樹脂組成物の粘度における「CPS」とは、特許文献4で述べたように、センチポアーズの略称であり、本明細書の数値は、株式会社東京計器社製のB型粘度計(形式BM)を用いて計測した結果である。
また、紫外線硬化樹脂組成物のインク溶解度における「SP値」は、同様に、特許文献4で述べたように、溶解性パラメータ(Solubility parameter)の略称であり、スー(K.W.SUE)とクラーク(D.H.CLARKE)が発表している濁度滴定法によるもので、この濁度滴定法は、「Journal of Polymer Science PARTA−1,Vol.5,1671-1681(1967)に記載されている。
本発明の活性剤60は、上記紫外線硬化樹脂組成物のほかに、艶消し剤である樹脂ビーズと、この樹脂ビーズに作用して艶消し効果を向上させる樹脂ビーズ集合剤とが所定の配合割合で添加されていることを特徴としている。紫外線硬化樹脂組成物に対する艶消し剤である樹脂ビーズの配合量は、前記紫外線硬化樹脂組成物に対する前記艶消し剤である樹脂ビーズの重量比で表わされ、この重量比は、0.01〜0.3であり、且つ前記樹脂ビーズ集合剤の配合量は、樹脂ビーズに対する樹脂ビーズ集合剤の重量比で表わされ、この重量比は、樹脂ビーズの配合量に応じて、0.05〜1.5の範囲で調整される。艶消し剤と樹脂ビーズ集合剤とをこのような範囲で配合すると、後に詳細に述べるように、所望の艶消し効果が得られるとともに、塗工性や硬化後の膜密着性にも優れた装飾層が得られ、また、凹凸意匠形成工法に適用する場合には、有効な表面凹凸が形成しつつ所望の艶消し効果と付与することができる。逆に、この範囲を外れると、所望の艶消し効果が得られ難い上に、塗工性や硬化後の膜密着性が低下するなどの不具合が発生し易くなり、また、凹凸意匠形成工法で有効な表面凹凸が形成され難くなるので好ましくない。
艶消し剤や樹脂ビーズ集合剤の配合量の範囲に関して更に詳細に述べると、次の通りある。
(1)艶消し剤である樹脂ビーズの配合量が上記重量比で0.01未満であると、所望の艶消し効果が得られないし、0.3を超えると、艶消し効果は得られても紫外線硬化樹脂組成物の流動性が低下して、塗工性や硬化後の膜密着性が悪くなり、凹凸意匠形成工法においては、有効な表面凹凸が形成され難くなる。
(2)樹脂ビーズと樹脂ビーズ集合剤との重量比は、艶消し効果と、装飾層の形成及び性能に関する諸特性(代表的には、塗工性や硬化後の膜密着性など)との両方を良好に得るためと、凹凸意匠形成工法に本発明を適用する場合において有効な表面凹凸を容易に形成するためとに必要な条件である。艶消し効果と上記の諸特性との程度やそれらの間のバランスに応じて樹脂ビーズと樹脂ビーズ集合剤との重量比の範囲内で調整する。樹脂ビーズと樹脂ビーズ集合剤との重量比の下限値は、上記の前記紫外線硬化樹脂組成物に対する樹脂ビーズの配合割合の上限値に対する樹脂ビーズ集合剤の必要最少量に相当する値であり、一方樹脂ビーズと樹脂ビーズ集合剤との重量比の上限値は、上記の前記紫外線硬化樹脂組成物に対する樹脂ビーズの配合割合の下限値に対する必要最大量に相当する値である。
(3)樹脂ビーズ集合剤は、その配合量が少ないと、樹脂ビーズを集合させる作用が小さくなり、一方その配合量が多くなると、活性剤の粘度を上昇させるように作用するので、樹脂ビーズの配合量に応じた樹脂ビーズ集合剤の配合量の調整は、次の通り行う。
(a)樹脂ビーズの配合量が少ない(下限側)の場合には、樹脂ビーズに対する樹脂ビーズ集合剤の配合の重量比を大きくする(上限側にする)ように調整して、少ない樹脂ビーズを集合させてビーズランプを形成し易くして艶消し効果の発現とその適正な度合いを達成することができる。
(b)樹脂ビーズの配合量が多い(上限側)場合には、樹脂ビーズが集合し易い上に、活性剤の粘度が高くなっているので、樹脂ビーズに対する樹脂ビーズ集合剤の配合の重量比を小さくする(下限側にする)ように調整して、活性剤の流動性を向上し、それによって活性剤の塗工性、その膜密着性及び凹凸意匠形成を確保しながら良好な艶消し効果を得ることができる。
(c)このような調整の好ましい一例を掲げると、紫外線硬化樹脂組成物に対する樹脂ビーズの重量比が0.15以上の場合には、樹脂ビーズに対する樹脂ビーズ集合剤の重量比を0.7未満とする。
(d)、艶消し効果と塗工性、凹凸意匠への適用性などの諸特性をバランスよく調整し易くするために、紫外線硬化樹脂組成物に対する前記樹脂ビーズの重量比を0.015〜0.25、樹脂ビーズに対する樹脂ビーズ集合剤の配合の重量比を0.1〜1.2とすることが好ましく、紫外線硬化樹脂組成物に対する樹脂ビーズの重量比を0.02〜0.2、樹脂ビーズに対する樹脂ビーズ集合剤の配合の重量比を0.15〜1.0の範囲で調整することが一層好ましい(後述する実施例20,21と他の実施例と対比のこと)。
(4)上記から理解されるように、樹脂ビーズに対する樹脂ビーズ集合剤の配合の重量比が0.05〜1.5の範囲を外れると、樹脂ビーズの配合量を上記の好ましい範囲にしても、本発明の効果は得られない。従って、本発明の効果を得るためには、艶消し剤である樹脂ビーズの配合量の好ましい範囲とし、且つ、樹脂ビーズの配合重量比に応じて樹脂ビーズに対する樹脂ビーズ集合剤の配合の重量比を好ましい範囲内で設定することが重要となる。なお、樹脂ビーズの配合重量比の基準となる紫外線硬化樹脂組成物の重量は、後述する溶剤を含む場合には、溶剤の重量を減じたものとする。その理由は、活性剤成分のうち、艶消し効果に寄与するのは、活性剤の硬化後に硬化物として渾然一体化して印刷層に含まれる成分であり、溶剤のように水圧転写工程で揮発消失する成分は、艶消し効果に寄与しないためである。
本発明の活性剤60の粘度は、紫外線硬化樹脂組成物の粘度と、活性剤全体に対する艶消し剤および樹脂ビーズ集合剤の配合量とによって変化するが、活性剤の塗工性の観点から1000CPS以下(25℃)となるように艶消し剤と樹脂ビーズ集合剤の配合量を決定するのが好ましい。活性剤60の粘度が1000CPSを超えると、印刷パターン40の乾燥インク全体に充分に活性剤60(より具体的には紫外線硬化樹脂成分)が浸透せず、良好なインク付着性を再現することができない。なお、活性剤の粘度は、株式会社東京計器社製のB型粘度計(形式BM)を用いて計測した。
艶消し剤として機能する好ましい樹脂ビーズは、樹脂製の微粒子であり、例えばPE(ポリエチレン)ビーズ、ウレタンビーズ、シリコーンビーズ等の如き艶消し機能を有する公知のものいずれか1つ又は2つ以上を組み合わせて使用することができる。また、これらの樹脂ビーズの好ましい粒径(以下ビーズ径と称す)は、5〜20μmであり、単一のビーズ径のものを用いてもよいし、異なるビーズ径のものを混ぜて用いてもよい。異なるビーズ径の樹脂ビーズを用いる理由は、異なるビーズ径の樹脂ビーズが集合してビーズランプを形成すると、大径の樹脂ビーズを多く含んで形成された大きなビーズランプの隙間が小径の樹脂ビーズを含む小さなビーズランプで埋められて艶消し材中に隙間の発生をなくすことができるからである。このようにすると、隣り合うビーズランプの間に隙間がある場合に比べてビーズランプによる艶消し効果を増長させることができるので好ましい。樹脂ビーズのビーズ径が5μm未満であると、活性剤の粘度が増加し、塗工性を満足する添加量範囲で十分な艶消し効果が得られ難くなることがあり、一方、樹脂ビーズのビーズ径が20μmを超えると、艶消し効果は高くなるが、意匠面がザラザラに荒れた状態になったり、艶消し剤の分布が疎密になったりして、艶消し斑が発生するなどの不具合が生じる場合があるので好ましくない。なお、樹脂ビーズの形状は、艶消し効果を発揮することができる形状であれば特に限定しないが、活性剤の塗工性の観点から、球形(球形に近い多面体を含む)が特に好ましい。
また、樹脂ビーズ集合剤は、活性剤中における艶消し剤である樹脂ビーズの沈降を防止しつつ、既に述べたように、活性剤にチキソトロピック性を付与することによって、複数の樹脂ビーズを集合して複数のビーズランプ群を形成することにより、艶消し剤の艶消し効果を向上させるものである。このような樹脂ビーズ集合剤としてはチキソトロピック性を付与する成分、例えば、有機系の増粘剤や無機系の微粒子シリカ等が用いられるが、活性剤への増粘付与作用が高く、また、活性剤に要求される物性や貯蔵安定性への悪影響が極めて小さいことから、微粒子シリカが特に好ましい。
この微粒子シリカとしては、親水性、疏水性のいずれか一方又は双方の種々の公知のものを使用することができるが、親水性シリカは、水分と親和性があるため、活性剤が吸水することによって紫外線硬化品の物性に不具合を生じる場合があるので、この不具合を回避し低減する必要性がある場合には、疎水性シリカを用いるのが好ましい。この疎水性シリカには乾式合成の形態と湿式合成の形態とがあり、どちらも使用することができるが、活性剤中での分散性や分散構造(後に述べるネットワーク形成状態)に起因する艶消し剤との相乗効果に優れている乾式合成の微粒子シリカが特に好ましい。また、微粒子シリカの一次粒径(連鎖状に凝集する前の一次粒子の粒径)は、樹脂ビーズの粒径よりも小さく、微粒子シリカの一次粒径が小さいほど活性剤にチキソトロピック性を付与する作用が大きいので、艶消し効果が大きくなる。なお、微粒子シリカの一次粒径が小さいほど、活性剤への均一な分散が困難となり、塗工性や硬化後の意匠性の低下などの現象が生じやすいため、艶消し効果と塗工性、意匠性のバランスを考慮して、微粒子シリカの一次粒径を選択するのが好ましい。具体的な微粒子シリカの好ましい一次粒径は、0.005〜10μmであり、更に好ましくは、0.007〜1μm、一層好ましくは、0.010〜0.1μmである。微粒子シリカの粒径が0.005μm未満であると、艶消し効果は得られるものの、塗工性が低下したり、意匠面がざらついた仕上がりになったりする場合があるので好ましくなく、微粒子シリカの粒径が10μmを超えると、活性剤にチキソトロピック性を付与する作用が小さいため、樹脂ビーズが集合し難くなり、艶消し効果が著しく低下する場合があるので好ましくない。好ましい乾式合成の微粒子シリカとしては、日本アエロジル社のAEROSIL(登録商標)やトクヤマ社のREOLOSIL(登録商標)、CABOT社のCAB−O−SIL(登録商標)に代表されるヒュームドシリカがある。また、湿式合成のシリカとしては、日本シリカ工業社のNIPSIL(登録商標)、富士シリシア社のSylisia(登録商標)、トクヤマ社のTOKUSIL(登録商標)などがある。なお、微粒子シリカの一次粒径の数値は、SEM又はTEM(透過型電子顕微鏡)で一次粒子が視認できる倍率の画像において、ランダムに選択した1000個の微粒子シリカの一次粒子画像のそれぞれ輪郭の最長径を測定し、相加平均して得られた数値である。
微粒子シリカの疎水性処理は、公知の処理方法で行うことができるが、シラン系又はシラザン系による処理が好ましい。シラン系による処理としては、ジメチルジクロロシラン系、トリメチルクロロシラン系等のクロロシラン類、オクチルシラン系等のアルキルシリル化剤による処理、シラザン系処理としては、ヘキサメチルジシラザン等による処理が好ましく、艶消し剤の配向効果と、硬化前の塗工性と硬化後の艶消し効果とのバランスの観点から、ジメチルジクロロシラン系による処理が特に好ましい。
活性剤に添加される艶消し剤である樹脂ビーズに樹脂ビーズ集合剤として微粒子シリカを所定の割合で配合した実施の形態では、図4に示すように、微粒子シリカFSは、活性剤中で、樹脂ビーズRBを核としてその周りに鎖状に繋がって線状もしくは網の目状の構造(ネットワーク構造と称す)を形成する。このネットワーク構造によって、活性剤にチキソトロピー性が付与されるので、塗工前の活性剤にせん断力を作用させて活性剤を攪拌すると、微粒子シリカFSのネットワーク構造が切れて、樹脂ビーズが均一に分散し易くなり(図4A参照)、一方、せん断力が働かない塗工後においては、せん断力によって分断されていた微粒子シリカFSのネットワーク構造が再び形成されるとともに、均一分散されていた樹脂ビーズRBが微粒子シリカFSのネットワーク構造を介して集合して粒子群を形成し(図4B、図4C参照)、この粒子群が大きな粒径の樹脂ビーズのように作用し、その結果、樹脂ビーズRBの添加量が少なくても、図7に示すように、装飾層44に大きな艶消し効果を付与することができる上に、活性剤の塗布性や印刷パターンのインクへの浸透性が向上し、装飾層44の良好な膜性(表面保護機能、密着性)を維持することができる。
樹脂ビーズ集合剤の他の例である増粘剤としては公知の脂肪酸アマイド系やポリオレフィン系等のものを用いることができる。艶消し剤である樹脂ビーズに樹脂ビーズ集合剤としてこれらの増粘剤を配合する実施の形態では、微粒子シリカの場合と同様に、この増粘剤によって、活性剤にチキソトロピック性が付与されるので、塗工前に活性剤を攪拌したときに樹脂ビーズが均一分散し易くなり、一方、塗工後においては、ネットワーク構造を介して再び集合して粒子群を形成し、大きな粒径になるので、樹脂ビーズRBの少ない添加量でも装飾層44に大きな艶消し効果を付与することができる上に、活性剤の塗布性や印刷パターンのインクへの浸透性が向上し、装飾層44の良好な膜性(表面保護機能、密着性)を維持することができる。
装飾層44内の艶消し剤の分散性が向上すると、黒インクのみでなく、青、赤、黄色のインクに対しても良好な艶消し効果を付与して、独創的な艶消し意匠を実現することができる。
特許文献6に開示されているように、微細凸部による触指感的な意匠(凹凸意匠)を付与する水圧転写方法においては、従来技術による艶消し剤による艶消し効果と触指感的な意匠の効果とは相反していたが、このような水圧転写方法(図8及び図9に示される方法に相当)に本発明による艶消し活性剤を使用すると、艶消し剤の添加量を増やすことなく良好な艶消し効果が得られるので、艶消し効果と触指感的な意匠の効果とを同時に達成することができ、従って本発明による艶消し活性剤は、このような触指的な意匠を付与する図8及び図9に示す水圧転写方法に特に有効である。
本発明の艶消し活性剤は、粘度調整剤及び添加物である非反応性樹脂を分散させるための溶剤を含んでいてもよい。この艶消し活性剤に含まれる「溶剤」は、活性剤の主成分である紫外線硬化樹脂組成物の光重合性モノマーによる印刷パターンの活性化を阻害することがない特性(溶解力)と添加量とで使用されるべきであることを理解すべきである。溶剤系活性剤と紫外線硬化樹脂組成物の非溶剤性活性化成分との根本的な相違は、前者の活性剤では塗布後に溶剤成分が揮発するため、インクの付着性の再現による可塑状態が経時的に変化するが、後者の活性剤(本発明で用いられる活性剤成分)では揮発することがない光重合モノマー成分でインクの付着性を再現するので、インクの過疎状態が変化することがないことである。本発明の活性剤は、その光重合モノマーの配合量が特定の範囲であれば、上記の条件を満たす範囲で溶剤が共存していてもインクの過疎状態を損なうことがない。このように非反応性樹脂を分散させる目的の溶剤の好ましい添加量は、紫外線硬化製樹脂組成物のうち、光重合性オリゴマーと光重合性モノマーと光重合開始剤との合計に対して、5重量%〜50重量%である。
(実施例1乃至36及び比較例1乃至13)
以下に、本発明の具体的な実施例1乃至36を比較例1乃至13と比較しながら説明する。これらの実施例及び比較例中、実施例1乃至13、実施例16乃至32及び実施例34乃至36並びに比較例1乃至13の紫外線硬化樹脂組成物は、表1に示す組成を有し、また実施例14、15及び33の紫外線硬化樹脂組成物は、表2の組成を有していた。
Figure 0004943570
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また、実施例1乃至36及び比較例1乃至13における樹脂ビーズの粒径、添加量、樹脂ビーズ集合剤の成分、添加量及びその他の条件(微粒子シリカの表面処理及び一次粒径、対艶消し剤に対する重量比)は、それぞれ表3乃至11に示されている通りである。なお、これらの実施例(実施例22乃至25除く)、比較例で使用した各粒径の樹脂ビーズは、PE(ポリエチレン)ビーズであり、各粒径ごとに、住友精化社製のフロービーズLE−1080(粒径6μm)、フロービーズLE−2080(粒径11μm)及びフローセンUF−80(粒径20μm)をそれぞれ用いた。また、実施例22、23、24ではシリコーン樹脂ビーズが用いられ、具体的には、それぞれ信越化学工業社製シリコーン複合パウダー KMP−600(粒径5μm)、KMP−605(粒径2μm)、KMP−602(粒径30μm)を用い、実施例25はウレタン樹脂ビーズ(大日精化工業社製 ダイナミックビーズ UCN−8070CMクリア(粒径7μm))が用いられた。なお、これらの樹脂ビーズの粒径は、JIS Z8825−1のレーザー回折法に準拠してレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所 SALD−2000J)によって測定して平均化した値(中位径:D50)である。また、微粒子シリカの一次粒子径は、TEM(日立ハイテク社製 H−8100)を用いて計測した。
Figure 0004943570
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表3乃至表11において、使用した微粒子シリカは表12の通りであり、また、微粒子シリカの表面処理の処理剤の記載は、それぞれ次の通りである。
Silan−a :ジメチルジクロロシラン
Silan−b :オクチルシラン
Silan−c :メタクリロキシラン
Silazane :ヘキサメチルシラザン
Siloxane :ジメチルシロキサン
なお、表12中のA〜Kは疎水性微粒子シリカであり、L〜Nは親水性微粒子シリカである。なお、疎水性シリカのうち、I、J、Kは疎水性処理されていない微粒子シリカを次の工程で疎水化処理したものである。
(a)100mlのフラスコ内に26gの微粒子シリカと、150gの蒸留水と51gのイソプロパノールとを加えた。
(b)得られた水性懸濁液を5分間攪拌し、次に、攪拌されている懸濁液に引き続き撹拌しながら3分間に亘って11gのジメチルジクロロシランを滴下しながら添加した。
(c)次に、引き続き攪拌しながら懸濁液を加熱して30分間還流させた。冷却された懸濁液に200mlのトルエンを加えた。
(d)得られた2相系を攪拌し、疎水性シリカをトルエン相に移動させ、水性相は、分液漏斗内でトルエン相から分離した。
(e)疎水性沈降シリカを含むトルエン相を300mlの蒸留水で3回洗浄した。
(f)共沸蒸留により洗浄されたトルエン相から残留水を除去し、続いてトルエンを除去するために蒸留した。
(g)回収された疎水性沈降シリカをオーブン内で130℃で24時間乾燥させた。
Figure 0004943570
また、表3の実施例5、35及び36並びに比較例11乃至13で用いられた増粘剤は、脂肪酸アマイド系チキソトロピック剤(製品名:楠本化成株式会社製 ディスパロン6900−10X)であった。
これらの実施例1乃至36及び比較例1乃至13による艶消し活性剤は、次のような方法で用いられて水圧転写が行われた。
(1)凹凸意匠性付与用転写フィルム
図10に示すように、楕円形のドットが点在する印刷パターン部分(第1の領域)とドット間の印刷パターンのない部分(第2の領域)とから成る印刷パターンを有し、本出願人である株式会社タイカが水圧転写技術のライセンス先に「スターバックSI」と称する商品名で販売しているものであって、この商品から全外表面柄固定層又は全面インク層を有していないものを用いた。なお、「スターバックSI」の転写フィルムのパターンについて具体的に説明すると、図10に示すように、A部(縦)400μm、B部(横)600μmの整列間隔で互い違いに整列した楕円(C部(横)470μm、D部(縦)590μm)サークル状にパール顔料系インク層から成る印刷パターンを有し、この楕円サークル状のインク層は約2μmの厚さを有し、また、水溶性フィルムは、約40μmの厚さを有していた。なお、実際に販売しているものは、この全表面にさらにシルバー顔料インク等からなる全外表面固定層を設けたものであるが、本発明では、全外表面固定層を設ける前の状態の転写フィルムを用いた。
(2)光沢付与用転写フィルム
市販のPVA(ポリビニールアルコール)フィルム(製品名ハイセロンE−100)に乾燥後の膜厚が3μmとなるように黄、赤、青、黒それぞれの単色パターンをバーコーターで塗布し形成された転写フィルムを用いた。なお、各単色パターンを形成するインクは、次のザ・インクテック社製のインクを用いた。
黄インク:KLCF耐光40黄(改−3)
赤インク:KLCF耐光15赤(改−3)
青インク:KLCF61青(改−3)
黒インク:KLCF91墨(改−3)
(3)活性剤の塗工
活性剤は、(1)(2)の転写フィルムに10μmの厚みにミヤバー法で塗布した。
(4)被転写体
非転写体である物品としは、10cm×20cm×3mmのABS樹脂製の平板(ユーエムジー・エービーエス株式会社製 TM20)が用いられ、この物品に、(1)の転写フィルムを用いた場合には、図9に示す工程順で、(2)の転写フィルムを用いた場合には、図2に示す工程順で、水圧転写した。
表3乃至9の評価結果における各評価項目毎にその評価方法を以下に述べる。
(塗工性)
転写フィルムを転写槽内に導入する直前に、各活性剤をミヤバー塗布方法によって転写フィルムの印刷パターン上に約20μmの厚みで塗布したときに、(1)の転写フィルムと(2)の転写フィルムのそれぞれについて、塗布作業性が良好な場合を「○」、少なくとも何れかの転写フィルムへの塗布が困難な場合を「×」とした。
(光沢性)
(2)の転写フィルムを用いて得られた水圧転写品について、スガ試験機株式会社製グロスメーター(型式HG−268)を用いて、Z8741−1997「方法3−60度鏡面光沢」に準じてグロス値を測定した。グロス値が黄、赤、青の全てで55未満であり、かつ相加平均値が20以下であるものを「◎」(優良)、20超〜30以下を「○」(良)、30超〜55未満であるものを「△」(可)、黄、赤、青の何れか一つでも55以上であるものを「×」(不可)とした。
(凹凸意匠性)
(1)の転写フィルムを用いて得られた水圧転写品について、加飾物品の表面の凹凸の高低差をレーザー顕微鏡(キーエンス社製VK8710)で測定し、高低差が6μm未満を「×」(不可)、6〜10μm未満の範囲を「△」(可)、10〜20μm未満の範囲を「○」(良)、20μm以上を「◎」(優良)とした。
(密着性)
(1)及び(2)の転写フィルムを用いて得られたそれぞれの水圧転写品ついて、セロテープ(登録商標)(ニチバン製)を用いて、試験片毎にクロスカット試験(旧JIS K5400−8.5準拠)で剥離状態を観察して密着性をそれぞれ評価した。いずれの水圧転写品でも印刷層(表面加飾層)の剥がれ全くない場合を「○」、少なくとも一方の水圧転写品の印刷層の剥がれがある場合を「×」とした。
実施例1乃至36と比較例1乃至4とを比較すると、従来では艶消し効果が不十分であった樹脂ビーズの添加量(紫外線硬化樹脂組成物に対する重量比が0.35以下)であっても、樹脂ビーズ集合剤として、チキソトロピック性を付与する成分である微粒子シリカ(実施例1乃至4並びに6乃至34)や増粘剤(実施例5及び35乃至36)を特定の配合割合の範囲で添加することによってグロス値が著しく低くなり(光沢度合いが低下し)、良好な塗工性や密着性を保ちつつ艶消し効果が格段に向上したことが解る。逆に、表10中の比較例7乃至10、表11中の比較例12及び13の評価に示すように特定の配合割合の範囲から外れると艶消し作用や塗工性が悪くなり好ましくなかったことが解る。また、樹脂ビーズ集合剤、樹脂ビーズが過剰に添加されると、樹脂ビーズ集合剤と併用しても塗工性が著しく悪くなり、特に樹脂ビーズ集合剤が微粒子シリカの場合にその傾向が著しい(比較例7、8及び13参照)。
なお、表3乃至表11には記載していないが、凹凸意匠フィルムを適用した場合においても、実施例1乃至36と比較例1乃至13(比較例7、8を除く)との目視での艶消し効果を比較したところ、実施例1乃至36の方が比較例1乃至13(比較例7、8を除く)に比べて艶消し効果が良好であったことが確認された。
また、すべての実施例において、一般に墨インクに比べて艶消し効果が得られ難いとされる黄、赤、青インク系でも高い艶消し効果が得られたことが確認された。特に、光沢性の評価が「◎」と「○」の実施例については、黄、赤、青のグロス値がほぼ同等であり、バランスよく高い艶消し効果が得られていることが確認された。
オリゴマー/モノマー系の紫外線硬化樹脂組成物を用いた実施例14、15及び33でも、表5及び表8の「評価」通り、同様の効果が得られることが確認された。
表3〜8中の実施例1乃至4並びに6乃至34の「評価」の通り、樹脂ビーズと樹脂ビーズ集合剤とを特定の配合割合の範囲で添加すれば、樹脂ビーズがポリエチレンやシリコーン、ウレタンのいずれの材質であっても同様の艶消し効果が得られることが解る。
また、実施例22乃至24において、樹脂ビーズの粒径の影響を比較すると、実施例22よりも粒径が小さい実施例23では塗工性が実施例22よりも低く、一方、実施例24では塗工性や艶消し効果には問題ないけれども、表6には記載していないが装飾層表面のザラツキが生じており、これらの結果から、樹脂ビーズの粒径を5〜20μmの範囲とすることが好ましいことが解る。
また、樹脂ビーズ集合剤が微粒子シリカである場合には、実施例6、16及び17から解るように、微粒子シリカの平均粒径が大きくなるほどチキソトロピック性の付与の程度が小さくなるので、艶消し効果が小さくなり(グロス値が大きくなり)、実施例17のように平均粒径が10μmを超えると塗工性も低下する傾向が見られる。また、樹脂ビーズに対する微粒子シリカの重量比や樹脂ビーズ径が同じ配合である実施例7と10を比較すると解るように、微粒子シリカの平均粒径が0.01μm(10nm)よりも小さいと、活性剤が増粘して塗工性が低下する傾向がみられる。これらの結果から樹脂ビーズ集合剤としての微粒子シリカは、平均粒径が0.005〜10μmの範囲であることがより好ましいことが解る。なお、実施例1乃至4及び6乃至25並びに29乃至34に用いた微粒子シリカは全て疎水性のものであるが、親水性シリカであっても艶消し効果が同様に実現できることは、実施例26乃至28から解かる。
このようにして、本発明の活性剤は、樹脂ビーズの添加量に影響を受けやすい凹凸意匠にも良好に適用することができることが解る。また、微粒子シリカの表面処理条件が異なる実施例1、3、4の光沢値を比較すると、微粒子シリカは、ジメチルジクロロシランで表面処理したものが特に艶消し効果が高いことが解る。
実施例7乃至11と比較例4とを比較すると、樹脂ビーズ単体で同等の艶消し効果を得るためには、比較例4のように、樹脂ビーズの添加量を実施例7乃至11の添加量の少なくとも2倍にする必要があるが、このように樹脂ビーズの添加量を多くすると、艶消し効果は向上するものの、塗工性が悪くなり実用性がなくなる。従って、本発明のように、艶消し剤である樹脂ビーズに樹脂ビーズ集合剤を併用することにより、従来よりも少ない量の樹脂ビーズで優れた艶消し効果が実現できるので、塗工性と艶消し効果とを両立することができることが解る。
更に、比較例5、6、11の評価に示す通り、微粒子シリカ単体もしくは増粘剤単体では、艶消し効果は得られないことが判明している。よって、艶消し剤である樹脂ビーズと樹脂ビーズ集合剤である微粒子シリカや増粘剤との協働によってはじめて、本発明の課題である艶消し効果が達成されることが解る。
本発明による紫外線硬化樹脂組成物の活性剤は、艶消し剤(樹脂ビーズ)と樹脂ビーズ集合剤(例えば、微粒子シリカ)とを所定の配合割合で添加しており、樹脂ビーズ集合剤は、樹脂ビーズを集合して粒子群化するため、塗工性を阻害することなく、装飾層に大きな艶消し効果を付与することができ、産業上の利用可能性が高い。
10 物品
20 転写フィルム
30 水溶性フィルム(キャリアフィルム)
40 印刷パターン
40I インク層
41A 第1の領域
41B 第2の領域
50 水
60 活性剤
60R 活性剤の余剰分
60BP 凸部
62 紫外線硬化樹脂組成物
70 紫外線
72 シャワー
74 熱風

Claims (12)

  1. 水溶性フィルム上に乾燥された印刷パターンを有する水圧転写フィルムの前記印刷パターンを物品の表面に水圧転写する際に、前記水圧転写フィルムの前記印刷パターン上に塗布する紫外線硬化樹脂組成物から成り、前記紫外線硬化樹脂組成物は、光重合性モノマーを少なくとも有する光重合性成分と光重合開始剤とを含み、前記紫外線硬化樹脂組成物中の非溶剤活性化成分により前記印刷パターンの付着性を再現すると共に前記印刷パターンの全体に前記紫外線硬化樹脂組成物を浸透し混在させるためのものであって前記紫外線硬化樹脂組成物に艶消し剤が添加されている水圧転写フィルム用活性剤において、前記艶消し剤は、樹脂ビーズを含み、且つ前記活性剤には、前記艶消し剤の他に、前記艶消し剤である樹脂ビーズに作用して前記樹脂ビーズを粒子群化する樹脂ビーズ集合剤が添加され、前記紫外線硬化樹脂組成物に対する前記艶消し剤である樹脂ビーズの配合の重量比(樹脂ビーズの配合重量比)は、0.01〜0.3であり、且つ前記樹脂ビーズに対する前記樹脂ビーズ集合剤の配合の重量比は、前記樹脂ビーズの配合重量比に応じて0.05〜1.5の範囲で調整されることを特徴とする水圧転写フィルム用艶消し活性剤。
  2. 請求項1に記載の水圧転写フィルム用艶消し活性剤であって、前記樹脂ビーズは、PE(ポリエチレン)ビーズ、ウレタンビーズ、シリコーンビーズのいずれか1つ又はいずれか2つ以上の組み合わせであり、且つその粒径は、5〜20μmであることを特徴とする水圧転写フィルム用艶消し活性剤。
  3. 請求項1又は2に記載の水圧転写フィルム用艶消し活性剤であって、前記樹脂ビーズ集合剤は、チキソトロピック剤であることを特徴とする水圧転写フィルム用艶消し活性剤。
  4. 請求項3に記載の水圧転写フィルム用艶消し活性剤であって、前記チキソトロピック剤は、微粒子シリカであることを特徴とする水圧転写フィルム用艶消し活性剤。
  5. 請求項4に記載の水圧転写フィルム用艶消し活性剤であって、前記微粒子シリカは、疎水性シリカであり、且つその粒径は、0.005〜10μmであることを特徴とする水圧転写フィルム用艶消し活性剤。
  6. 請求項4又は5に記載の水圧転写フィルム用艶消し活性剤であって、前記疎水性シリカは、シラン系またはシラザン系の表面処理がされていることを特徴とする水圧転写フィルム用艶消し活性剤。
  7. 水溶性フィルム上に乾燥された印刷パターンを有する水圧転写フィルムの前記印刷パターンを物品の表面に水圧転写する際に、前記水圧転写フィルムの前記印刷パターン上に塗布する紫外線硬化樹脂組成物と艶消し剤とから成る活性剤を塗布して前記紫外線硬化樹脂組成物中の非溶剤活性化成分によって前記転写フィルムの印刷パターンの付着性を回復すると共に前記活性剤全体を前記印刷パターンの全厚みに浸透し、その後前記転写フィルムの印刷パターンを物品の表面に水圧転写し、前記紫外線硬化樹脂組成物は、光重合性モノマーを少なくとも有する光重合性成分と光重合開始剤とを含み、前記紫外線硬化樹脂組成物は、水圧転写後、紫外線照射によって硬化される水圧転写方法において、前記艶消し剤は、樹脂ビーズを含み、且つ前記活性剤には、前記艶消し剤の他に、前記艶消し剤である樹脂ビーズに作用して前記樹脂ビーズを粒子群化する樹脂ビーズ集合剤が添加され、前記紫外線硬化樹脂組成物に対する前記艶消し剤である樹脂ビーズの配合の重量比(樹脂ビーズの配合重量比)は、0.01〜0.3であり、且つ前記樹脂ビーズに対する前記樹脂ビーズ集合剤の配合の重量比は、前記樹脂ビーズの配合重量比に応じて0.05〜1.5の範囲で調整されることを特徴とする水圧転写方法。
  8. 請求項7に記載の水圧転写方法であって、前記樹脂ビーズは、PE(ポリエチレン)ビーズ、ウレタンビーズ、シリコーンビーズのいずれか1つ又はいずれか2つ以上の組み合わせであり、且つその粒径は、5〜20μmであることを特徴とする水圧転写方法。
  9. 請求項7又は8に記載の水圧転写方法であって、前記樹脂ビーズ集合剤は、チキソトロピック剤であることを特徴とする水圧転写方法。
  10. 請求項9に記載の水圧転写方法であって、前記チキソトロピック剤は、微粒子シリカであることを特徴とする水圧転写方法。
  11. 請求項10に記載の水圧転写方法であって、前記微粒子シリカは、疎水性シリカであり、且つその粒径は、0.005〜10μmであることを特徴とする水圧転写方法。
  12. 請求項7乃至11のいずれかの方法で形成され、光沢度が日本工業規格Z8741−1997「方法3−60度鏡面光沢」に準拠して測定して55未満である装飾層を有することを特徴とする水圧転写品。
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