JP6035709B2 - 金属粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。
他方、顔料または染料を含む組成物による記録媒体への記録方法として、インクジェット法による記録方法が用いられている。インクジェット法では、微細なパターンの形成や、曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。また、近年、インクジェット法において、耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を特に優れたものとするため等に、紫外線を照射すると硬化する組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、紫外線硬化型インクジェット組成物では、顔料や染料の代わりに、金属粉末を適用しようとした場合、当該金属が本来有している光沢感等の特性を十分に発揮させることができないという問題点があり、また、組成物の安定性(保存安定性)に劣り、ゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題を引き起こす。
本発明の金属粉末の製造方法は、インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット組成物の製造に用いられる金属粉末を製造する方法であって、
基材上に気相成膜法により金属材料で構成された膜を形成する成膜工程と、
下記式(4)で表されるフッ素系リン酸化合物を含む液体中で前記膜を粉砕する粉砕工程とを有することを特徴とする。
POR n (OH) 3−n (4)
(式(4)中、Rは、CF 3 (CF 2 ) m −、CF 3 (CF 2 ) m (CH 2 ) l −、CF 3 (CF 2 ) m (CH 2 O) l −、CF 3 (CF 2 ) m (CH 2 CH 2 O) l −、CF 3 (CF 2 ) m O−、または、CF 3 (CF 2 ) m (CH 2 ) l O−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは2以上18以下の整数であり、lは1以上20以下の整数である。)
これにより、保存安定性に優れ、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット組成物の製造に用いられる金属粉末を効率よく製造することができる製造方法を提供することができる。
Alは、本来、各種金属材料の中でも特に優れた光沢感を呈するものであるが、紫外線硬化型インクジェット組成物に、Alで構成された粉末を適用しようとした場合に、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性は特に低いものとなり、ゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題が特に顕著に発生することを本発明者は見出していた。これに対し、本発明では、表面がAlで構成された粉末を用いた場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、前記膜が主としてAlで構成されたものであることにより、本発明の効果は特に顕著に発揮される。
これにより、本工程で用いる液体中における酸素溶存率をより確実に低いものとすることができ、膜を構成する金属材料が、本工程において酸化されることをより確実に防止することができ、より好適に表面処理を施すことができる。
これにより、金属粉末の生産効率を特に優れたものとすることができるとともに、金属粒子をより好適に表面処理されたものとすることができ、粒子の凝集をより効果的に防止することができ、紫外線硬化型インクジェット組成物中における金属粉末の分散安定性、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性をさらに優れたものとすることができる。
これにより、金属粉末の生産効率を特に優れたものとすることができるとともに、金属粒子をより好適に表面処理されたものとすることができ、粒子の凝集をより効果的に防止することができ、紫外線硬化型インクジェット組成物中における金属粉末の分散安定性、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性をさらに優れたものとすることができる。また、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきを特に小さいものとすることができる。
《金属粉末の製造方法》
まず、本発明の金属粉末(紫外線硬化型インクジェット組成物用粉末)の製造方法について説明する。
本発明の金属粉末の製造方法は、インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット組成物の製造に用いられる金属粉末を製造する方法であって、基材上に気相成膜法により金属材料で構成された膜を形成する成膜工程と、表面処理剤を含む液体中で前記膜を粉砕する粉砕工程とを有する。
しかし、これらの方法では、微細なパターンを形成することや、曲面部への適用が困難であるといった問題があった。
他方、顔料または染料を含む組成物による記録媒体への記録方法として、インクジェット法による記録方法が用いられている。インクジェット法では、微細なパターンの形成や、曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。また、近年、インクジェット法において、耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を特に優れたものとするため等に、紫外線を照射すると硬化する組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)が用いられている。
そこで、発明者は、上記のような問題を解決する目的で鋭意研究を行った結果、本発明に至った。すなわち、本発明の金属粉末の製造方法は、基材上に気相成膜法により金属材料で構成された膜を形成する成膜工程と、表面処理剤を含む液体中で前記膜を粉砕する粉砕工程とを有する。これにより、保存安定性に優れ、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット組成物の製造に用いられる金属粉末を効率よく製造することができる。
成膜工程では、気相成膜法により金属材料で構成された膜を形成する。
本工程で適用することのできる気相成膜法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD、溶射等が挙げられるが、中でも、真空蒸着法が好ましい。気相成膜法として真空蒸着法を採用することにより、比較的成膜速度が速く、コストを安価にすることができる。また、基板への熱影響を少なくすることができる。
本工程で形成する膜は、少なくとも、表面を含む領域が金属材料で構成されたものであればよく、例えば、全体が金属材料で構成されたものであってもよいし、非金属材料で構成された基部と、当該基部を被覆する金属材料で構成された金属層とを有するものであってもよい。
また、前記基材は、気相成膜を行うのに先立ち、その表面に離型処理(例えば、離型剤の付与)が施されたものであってもよい。これにより、後に詳述する粉砕工程において、表面処理が施された膜を、基材から好適に剥離させることができ、金属粉末の生産性をさらに優れたものとすることができる。
本工程で形成する膜の平均厚さは、特に限定されないが、5nm以上150nm以下であるのが好ましく、10nm以上50nm以下であるのがより好ましい。これにより、金属粉末の生産性を優れたものとしつつ、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の光沢感、高級感を特に優れたものとすることができる。
粉砕工程では、前記工程で表面処理が施された膜を、表面処理剤を含む液体中で粉砕する。これにより、金属材料で構成された粒子(金属粒子)の集合体である金属粉末、特に、表面処理が施された金属粒子の集合体である金属粉末が得られる。
このように、膜(金属粉末)を粉砕して金属粉末を得ることにより、平坦面を有する粒子で構成された金属粉末を得ることができ、金属材料が本来有している光沢感等をより効果的に表現させることができる。また、各粒子間での特性のばらつきを抑制することができる。また、比較的薄い金属粒子であっても好適に製造することができる。
また、本発明では、膜(金属膜)を液体中で粉砕することにより、形成される粒子の凝集を確実に防止することができる。また、粉砕により得られた粒子が飛散することを好適に防止することができ、作業の安全性をより高いものとすることができる。
なお、上記のような優れた効果は、基材上に気相成膜法により金属材料で構成された膜を形成した後に、表面処理剤を含む液体中で前記膜を粉砕することにより得られるものであって、表面処理を行わなかった場合や、粉砕後に表面処理剤による表面処理を行った場合等には得られない。
本工程では、表面処理剤として、例えば、炭素数が2以上4以下の置換基を有していてもよいアルキル基を有する短鎖化合物を用いてもよい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性を特に優れたものとすることができるとともに、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
また、本工程では、表面処理剤として、炭素数が8以上20以下の置換基を有していてもよいアルキル基を有する長鎖化合物を用いてもよい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性を特に優れたものとすることができるとともに、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
また、本工程では、表面処理剤として、シランカップリング剤、リン酸化合物およびカルボン酸よりなる群から選択される材料を用いてもよい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性を特に優れたものとすることができるとともに、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の光沢感、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
フェネチルジメチルクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルトリクロロシラン、1,3−(クロロジメチルシリルメチル)ヘプタコサン、((クロロメチル)フェニルエチル)ジメチルクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)メチルジクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリクロロシラン、2−シアノエチルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルジメチルエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン等を挙げることができる。
カルボン酸としては、炭化水素基と、カルボキシル基とを有する化合物(脂肪酸)を用いることができる。このような化合物の具体例としては、デカン酸、テトラデカン酸、オクタデカン酸、cis−9−オクタデセン酸等を挙げることができる。
また、表面処理に用いることのできるフッ素系化合物は、分子内に少なくとも1個のフッ素原子を含むものであればよいが、より具体的には、例えば、上述したようなシランカップリング剤、リン酸化合物、カルボン酸が有する水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換された構造を有する化合物(フッ素系シラン化合物、フッ素系リン酸化合物、フッ素置換脂肪酸等)等が挙げられる。これらの化合物を用いることにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
R1SiX1 aR2 (3−a) (1)
(式(1)中、R1は、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭化水素基を表し、X1は、加水分解基、エーテル基、クロロ基または水酸基を表し、R2は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、aは、1以上3以下の整数である。)
式(1)中のR1としては、例えば、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、さらに、分子構造に含まれる水素原子(フッ素原子で置換されていない水素原子)のうちの少なくとも一部がアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基等で置換されていてもよく、炭素鎖中に−O−、−S−、−NH−、−N=等のヘテロ原子やベンゼン等の芳香族環が挟まっていてもよい。R1の具体例としては、例えば、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたフェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ヒドロキシフェニル基、クロロフェニル基、アミノフェニル基、ナフチル基、アンスレニル基、ピレニル基、チエニル基、ピロリル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、ピリジニル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクタデシル基、n−オクチル基、クロロメチル基、メトキシエチル基、ヒドロキシエチル基、アミノエチル基、シアノ基、メルカプトプロピル基、ビニル基、アリル基、アクリロキシエチル基、メタクリロキシエチル基、グリシドキシプロピル基、アセトキシ基等が挙げられる。
式(1)で表されるフッ素系シラン化合物の具体例としては、シリル基および炭化水素基を有するシラン化合物として例示した化合物が有する水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換した構造を有する化合物を挙げることができる。
CnF2n+1(CH2)mSiX1 aR2 (3−a) (2)
(式(2)中、X1は、加水分解基、エーテル基、クロロ基または水酸基を表し、R2は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、nは、1以上14以下の整数であり、mは、2以上6以下の整数であり、aは、1以上3以下の整数である。)
パーフルオロアルキルエーテル構造(CnF2n+1O)を有するフッ素系シラン化合物としては、例えば、下記式(3)で表されるものが挙げられる。
(式(3)中、X1は、加水分解基、エーテル基、クロロ基または水酸基を表し、R2は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、pは1以上4以下の整数であり、rは1以上10以下の整数であり、mは、2以上6以下の整数であり、aは、1以上3以下の整数である。)
PORn(OH)3−n (4)
(式(4)中、Rは、CF3(CF2)m−、CF3(CF2)m(CH2)l−、CF3(CF2)m(CH2O)l−、CF3(CF2)m(CH2CH2O)l−、CF3(CF2)mO−、または、CF3(CF2)m(CH2)lO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは2以上18以下の整数であり、lは1以上20以下の整数である。)
式(4)中、mは、4以上16以下の整数であるのが好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
また、式(4)中、lは、4以上16以下の整数であるのが好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
また、本工程で用いる液体は、脱気処理が施されたものであるのが好ましい。これにより、本工程で用いる液体中における酸素溶存率をより確実に低いものとすることができ、膜を構成する金属材料が、本工程において酸化されることをより確実に防止することができ、より好適に表面処理を施すことができる。
上記のような方法を用いることにより、本発明の金属粉末を得ることができる。
このようにして得られる金属粉末は、保存安定性に優れ、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット組成物の製造に用いることができる。特に、上記のような方法を用いて製造された金属粉末は、気相成膜により形成された膜(金属膜)のうち基材と接触する面や粉砕により生じる破断面が、空気等との接触により酸化される前に、速やかに表面処理剤で表面処理(表面修飾)されたものであるため、酸化被膜等により表面処理剤による表面処理(表面修飾)が阻害されてしまうことが確実に防止されている。その結果、金属粉末の紫外線硬化型インクジェット組成物中における分散安定性(保存安定性)、紫外線硬化型インクジェット組成物のインクジェット法による吐出安定性等を優れたものとすることができ、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)の光沢感、耐擦性を優れたものとすることができる。
次に、本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物について説明する。
本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物は、インクジェット方式により吐出されるものであり、重合性化合物と、上述したような金属粉末とを含むものである。これにより、保存安定性に優れ、光沢感、耐擦性に優れたパターン(印刷部)の形成に好適に用いることのできる紫外線硬化型インクジェット組成物を提供することができる。
重合性化合物は、紫外線の照射により重合し、硬化する成分である。このような成分を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される記録物の耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を優れたものとすることができる。
重合性化合物は、液状をなすものであり、紫外線硬化型インクジェット組成物において、金属粉末を分散する分散媒として機能するものであるのが好ましい。これにより、別途、記録物の製造過程において除去される(蒸発する)分散媒を用いる必要がなく、記録物の製造においても、分散媒を除去する工程を設ける必要がないため、記録物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、分散媒として一般に有機溶媒として用いられているものを使用する必要がないため、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を防止することができる。また、重合性化合物を含むことにより、様々な記録媒体(基材)に対する、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の密着性を優れたものとすることができる。すなわち、重合性化合物を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット組成物は、メディア対応性に優れたものとなる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物は、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、光重合開始剤、スリップ剤(レベリング剤)、分散剤、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、着色剤、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
これらの中でも、重合性化合物への溶解性および硬化性の観点から、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物を併用することがより好ましい。
紫外線硬化型インクジェット組成物がスリップ剤を含むものであると、レベリング作用により記録物の表面が平滑になり、耐擦性が向上する。
スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤を用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物の室温(20℃)での粘度は、20mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上15mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による液滴吐出を好適に行うことができる。
次に、本発明の記録物について説明する。
本発明の記録物は、上述したような紫外線硬化型インクジェット組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたものである。このような記録物は、光沢感、耐擦性等に優れたパターン(印刷部)を有するものである。
インクジェット法による紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出は、公知の液滴吐出装置を用いて行うことができる。
紫外線源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、紫外線レーザダイオード(UV−LD)等を用いることができる。中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV−LED)および紫外線レーザダイオード(UV−LD)が好ましい。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の金属粉末の製造方法は、上述した各工程に加え、さらに他の工程を有するものであってもよい。
[1]インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)の製造
(実施例1)
まず、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルG440E)を用意した。
次に、シリコーンオイルを塗布した面側に、真空蒸着法により、Alで構成された膜を形成した(成膜工程)。
一方、表面処理剤としての(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン(フッ素系シラン化合物(短鎖化合物))を3質量%の含有率となるようにジエチレングリコールジエチルエーテル中に添加し、その後、脱気モジュールによる脱気処理を施すことにより、表面処理液を調製した。得られた表面処理液の酸素溶存率は、14mg/L以下であった。
このようにして得られた金属粉末の平均粒径は0.8μm、平均厚さは、30nmであった。
金属粉末の製造における各工程の条件を表1に示すように変更するとともに、インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)の調製に用いる原料の種類・比率を変更することにより、表2に示すような組成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
表面処理剤を含まないジエチレングリコールジエチルエーテルを用いて粉砕工程を行った以外は、前記実施例1と同様にして金属粉末を製造し、当該金属粉末を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。すなわち、本比較例では、金属粉末を構成する金属粒子が表面処理が施されていない鱗片状をなすものである。
金属粉末として、ガスアトマイズ法を用いて製造された球形状のAl粉末(表面処理を施していないもの)を用いた以外は、前記比較例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
(比較例3)
表面処理剤を含まないジエチレングリコールジエチルエーテルを用いて粉砕工程を行い、その後、得られた粉末(表面処理が施されていない粉末)を、表面処理剤としての(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン(フッ素系シラン化合物(短鎖化合物))を3質量%の含有率で含むジエチレングリコールジエチルエーテル溶液中に添加し、120分間、40℃に加温した以外は、前記実施例1と同様にして金属粉末を製造し、当該金属粉末を用いた以外は、前記実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。すなわち、本比較例では、金属粉末を構成する金属粒子は、膜の粉砕後に表面処理が施されたものである。
前記各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
まず、チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および前記各実施例および比較例のインクジェット組成物を用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各インクジェット組成物について、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、2000000発(2000000滴)の液滴の連続吐出を行った。その後、液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インクジェット組成物が充填された状態で、25℃、55%RHの環境下に、600時間放置した。
B:ズレ量dの平均値が0.9μm以上1.5μm未満。
C:ズレ量dの平均値が1.5μm以上1.8μm未満。
D:ズレ量dの平均値が1.8μm以上2.2μm未満。
E:ズレ量dの平均値が2.2μm以上。
前記各実施例および比較例のインクジェット組成物について、45℃の環境下に、45日間放置した後、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクジェット組成物の20℃における粘度を測定し、製造直後からの粘度の上昇率を求め、以下の基準に従い、評価した。
B:粘度の上昇率が10%以上15%未満。
C:粘度の上昇率が15%以上20%未満。
D:粘度の上昇率が20%以上25%未満。
E:粘度の上昇率が25%以上、または、異物の発生が認められる。
前記各実施例および比較例のインクジェット組成物について、エプソン製インクジェットプリンター;PM800Cへ導入し、記録媒体として三菱樹脂(株)製、ダイアホイル G440E(厚さ38μm)を用いて、インク量wet 10g/m2にて、ベタ印刷を行い、印刷後、ただちにLED−UVランプ;フォセオン社製 RX firefly(ギャップ6mm ピーク波長365nm 1000mW/cm2)を用いて紫外線の照射を行い、インクジェット組成物が硬化したか否かを確認し、以下の5段階の基準に従い、評価した。硬化したか否かは、綿棒にて表面をこすって、未硬化のインク組成物が付着しないか否かで判断した。なお、下記A〜Eの照射量に該当するかどうかは、ランプを何秒照射したかによって算出できる。
B:100mJ/cm2以上200mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
C:200mJ/cm2以上500mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
D:500mJ/cm2以上1000mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
E:1000mJ/cm2以上の紫外線照射量にて硬化する。もしくはまったく硬化
しない。
各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、それぞれ、以下のようにして、記録物としてのインテリアパネルを製造した。
まず、インクジェット組成物をインクジェット装置に投入した。
その後、ポリカーボネート(旭硝子社製、カーボグラス ポリッシュ 2mm厚)を用いて成形した曲面部を有する基材(記録媒体)上に、所定のパターンで、インクジェット組成物を吐出した。
上記のような方法を用いて、各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、それぞれ、10個のインテリアパネル(記録物)を製造した。
上記のようにして得られた各記録物について、以下のような評価を行った。
[6.1]記録物の外観評価
前記各実施例および比較例で製造した各記録物を目視により観察し、以下の7段階の基準に従い、評価した。
B:高級感に溢れる光沢感を有し、非常に優れた外観を有している。
C:高級感のある光沢感を有し、優れた外観を有している。
D:高級感のある光沢感を有し、良好な外観を有している。
E:光沢感に劣り、外観がやや不良。
F:光沢感に劣り、外観が不良。
G:光沢感に劣り、外観が極めて不良。
前記各実施例および比較例で製造した各記録物のパターン形成部について、光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度60°での光沢度を測定し、以下の基準に従い評価した。
A:光沢度が330以上。
B:光沢度が230以上330未満。
C:光沢度が130以上230未満。
D:光沢度が130未満。
前記各実施例および比較例に係る記録物について、記録物の製造から48時間経過した時点で、サウザーランドラブテスターを用い、JIS K5701に準じて耐擦性試験を行い、上記[6.2]で述べたのと同様の方法により、耐擦性試験後の記録物についても光沢度(煽り角度60°)を測定し、耐擦性試験前後での光沢度の低下率を求め、以下の基準に従い評価した。
B:光沢度の低下率が6%以上14%未満。
C:光沢度の低下率が14%以上24%未満。
D:光沢度の低下率が24%以上28%未満。
E:光沢度の低下率が28%以上、または、金属粒子が脱落して記録媒体の表面が
露出したもの。
Claims (5)
- インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット組成物の製造に用いられる金属粉末を製造する方法であって、
基材上に気相成膜法により金属材料で構成された膜を形成する成膜工程と、
下記式(4)で表されるフッ素系リン酸化合物を含む液体中で前記膜を粉砕する粉砕工程とを有することを特徴とする金属粉末の製造方法。
PORn(OH)3−n (4)
(式(4)中、Rは、CF3(CF2)m−、CF3(CF2)m(CH2)l−、CF3(CF2)m(CH2O)l−、CF3(CF2)m(CH2CH2O)l−、CF3(CF2)mO−、または、CF3(CF2)m(CH2)lO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは2以上18以下の整数であり、lは1以上20以下の整数である。) - 前記膜は、主としてAlで構成されたものである請求項1に記載の金属粉末の製造方法。
- 前記液体は、脱気処理が施されたものである請求項1または2に記載の金属粉末の製造方法。
- 前記粉砕工程は、前記液体に超音波振動を付与することにより行うものである請求項1ないし3のいずれか一項に記載の金属粉末の製造方法。
- 前記液体は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、および、トリエチレングリコールジエチルエーテルよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものである請求項1ないし4のいずれか一項に記載の金属粉末の製造方法。
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