JP2017122150A - 紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物 - Google Patents

紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物 Download PDF

Info

Publication number
JP2017122150A
JP2017122150A JP2016000889A JP2016000889A JP2017122150A JP 2017122150 A JP2017122150 A JP 2017122150A JP 2016000889 A JP2016000889 A JP 2016000889A JP 2016000889 A JP2016000889 A JP 2016000889A JP 2017122150 A JP2017122150 A JP 2017122150A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dye
ultraviolet curable
curable inkjet
inkjet composition
metal powder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016000889A
Other languages
English (en)
Inventor
季 山田
Minoru Yamada
季 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2016000889A priority Critical patent/JP2017122150A/ja
Publication of JP2017122150A publication Critical patent/JP2017122150A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】金属光沢、耐擦性に優れたパターン(印刷部)の形成が可能な紫外線硬化型インクジェット組成物を提供すること。また、当該紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて、金属光沢、耐擦性に優れたパターンを有する記録物を提供すること。
【解決手段】本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物は、インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット組成物であって、重合性化合物と、フッ素系化合物で表面処理された金属粉末と、調色用染料とを含むことを特徴とする。調色用染料は、油溶性染料であることが好ましい。金属粉末は、少なくとも表面が主としてAlで構成された鱗片状の粉末で、フッ素系化合物で表面処理されたものであるのが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物に関する。
従来、光輝性を有するインクジェット組成物では、金属粉末と無彩色顔料とを配合したインクジェット組成物が知られていた。これは、金属粉末に無彩色顔料を微量添加することによって、記録物上で局所的にコントラスト差を発生させ、形成するパターンの金属意匠性(キラキラ感)を向上させることを目的としている。例えば、特許文献1では、無彩色顔料と表面処理を施した金属粉末とを配合した紫外線硬化型インクジェット組成物が提案されている。
特開2013−1810号公報
しかしながら、特許文献1に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物では、高速印刷に対応するため紫外線の照射時間を短くした場合、金属光沢が低下しやすいという課題があった。詳しくは、紫外線の照射時間を短縮して短時間で硬化させると、顔料および金属粉末(以下、これらをまとめて顔料種と呼ぶ)それぞれの配向が不十分なまま成膜が完了すること(以下、ランダム配向と呼ぶ)がある。このランダム配向により、記録物のパターン表面において光の損失が起こりやすくなり、本来得られるはずの金属光沢が低下する恐れがあった。とりわけ、顔料種が複数存在する場合においては、互いの粒子が干渉しあうため配向時間がより必要となる。これにより、塗膜中において顔料種がランダム配向となる確率が高まり、さらに金属光沢が低下する恐れがあった。
また、パターン表面における光の損失が増加すると、膜中へ到達する紫外線量が減る。これによって、硬化性が低下し記録物の耐擦性が悪化しやすいという課題もあった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る紫外線硬化型インクジェット組成物は、インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット組成物であって、重合性化合物と、フッ素系化合物で表面処理された金属粉末と、調色用染料とを含むことを特徴とする。
本適用例によれば、形成されるパターンの金属光沢および耐擦性を特に優れたものとすることができる。詳しくは、水系/油系の組成物に関わらず染料は溶解するため、調色材として顔料の代わりに染料を用いることで、調色材と金属粉末との粒子干渉による影響を低減できる。これにより、従来より短時間で硬化させても、金属粉末の塗膜表面近傍における配向を良好なものとすることができる。また、金属粉末の表面をフッ素系化合物で処理することで、金属粉末が塗膜表面近傍から沈降しにくくなるため、塗膜表面近傍において配向しやすくなる。これらによって、パターン表面における光の損失を低減することができ、形成されるパターンの金属光沢および耐擦性を特に優れたものとすることができる。
従って、高速印刷時において金属光沢および耐擦性に優れたパターン形成が可能で、かつ、着色にも対応した紫外線硬化型インクジェット組成物を提供することができる。
[適用例2]上記適用例に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物であって、調色用染料は、油溶性染料であることが好ましい。
これによれば、油溶性染料は重合性化合物への溶解度が高いため、金属粉末の塗膜表面近傍における配向の阻害を抑制することができる。また、粒子分散系(顔料)と比較して溶解系(染料)では粒子配向による表面ラフネスの影響を受けないため、パターン表面を平滑にすることができ、これらによって、高速印刷においてパターン表面における光の損失を低減することができ、形成されるパターンの金属光沢および耐擦性を特に優れたものとすることができる。
[適用例3]上記適用例に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物であって、調色用染料の含有量は0.3質量%以上4.0質量%以下であることが好ましい。
これによれば、調色用染料が0.3質量%以上含まれることで塗膜の着色性を確保することでき、それによって、形成されるパターンの色調を良好なものとなる。また、調色用染料を4.0質量%以下に抑えることで紫外線によるパターンの硬化をより確実なものとすることができ、それによって、耐擦性の特に優れたパターンとすることができる。
[適用例4]上記適用例に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物であって、調色用染料は、Cyan染料、Blue染料、Magenta染料、Red染料、Yellow染料、Violet染料、Orange染料、Green染料よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
これによれば、調色用染料種を増やし組み合わせることによって再現可能な色相の範囲が拡張される。それによって、形成されるパターンの色再現性を特に優れたものとすることができる。
[適用例5]上記適用例に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物であって、金属粉末は少なくとも表面が主としてAlで構成された粉末が、フッ素系化合物で表面処理されたものであることが好ましい。
これによれば、金属粉末の表面が高反射率を有するAlであるため、パターン表面における光の損失を低減することができる。また、金属粉末の表面をフッ素系化合物で処理することで金属粉末が気液界面から沈降しにくくなるため、塗膜表面近傍において配向しやすくなる。これらによって、形成されるパターンの金属光沢および耐擦性を特に優れたものとすることができる。
[適用例6]上記適用例に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物であって、フッ素系化合物は、フッ素系シラン化合物、フッ素系リン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
これによれば、金属粉末とフッ素系化合物との結合力が向上するため、金属粉末と重合性化合物との接触が減り金属粉末と重合性化合物との反応が抑制される。それによって、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性を優れたものとできる。また、金属粉末が気液界面から沈降しにくくなるため、金属粉末が塗膜表面近傍に配向しやすくなる。それによって、形成されるパターンの金属光沢および耐擦性を特に優れたものとすることができる。
[適用例7]上記適用例に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物であって、金属粉末は鱗片状をなすものであることが好ましい。
これによれば、金属粉末が鱗片状であるため、その他の形状よりも同体積で比較すると1粒子当たりの表面積が大きくなり、少ない含有量で塗膜の隠蔽率を高め、金属光沢を良好なものとすることができる、これによって、当該紫外線硬化型インクジェット組成物中に含有される金属粉末量を低減することができる。
また、金属粉末量を低減することによって、紫外線によるパターンの硬化をより確実なものとすることが可能となり、耐擦性の特に優れたパターンとすることができる。
[適用例8]上記適用例に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物であって、金属粉末の含有量は0.3質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
これによれば、金属粉末が0.3質量%以上含まれることで塗膜の隠蔽性を確保することでき、それによって、形成されるパターンの金属光沢を良好なものとすることができる。また、金属粉末を3.0質量%以下に抑えることで、紫外線によるパターンの硬化をより確実なものとすることができる。それによって、耐擦性の特に優れたパターンとすることができる。さらに、金属粉末の流路内での詰まりを抑制することが可能となり、それによって、吐出安定性を高めることができる。
[適用例9]上記適用例に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物であって、重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
これによれば、その他の重合性化合物よりも当該重合性化合物が活性な官能基を有していないため、金属粉末との反応(ゲル化)を抑制することができる。それによって、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性を優れたものとすることができる。また、当該重合性化合物の粘度がその他の重合性化合物よりも低いため、濃度を高めやすくその分反応速度が高まる。それによって、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット組成物の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、形成されるパターンの耐擦性を特に優れたものとすることができる。
[適用例10]上記適用例に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物であって、重合性化合物として、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートまたはアミノアクリレートの少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
これによれば、当該重合性化合物を微量添加することにより、無添加時と比較して紫外線による硬化性を促進することができる。また、当該重合性化合物は親水性のメチロール基やアミノ基を含有するため、耐水性に優れた塗膜とすることができる。それによって、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット組成物の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性を特に優れたものとすることができる。
[適用例11]本適用例に係る記録物は、紫外線硬化型インクジェット組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたことを特徴とする。
これによれば、金属光沢および耐擦性に優れたパターンを有する記録物を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
《紫外線硬化型インクジェット組成物》
まず、本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物について詳細に説明する。
顔料、染料、または金属粉末を含む組成物を記録媒体上に塗布する方法として、インクジェット法が知られている。インクジェット法は、微小ノズルから微量の組成物を液滴として吐出し、記録媒体上にその組成物を塗布して、乾燥、または硬化させることで描画する技術である。微細なパターンの形成や曲面部への記録にも好適に適用できるという点で優れている。また、近年、インクジェット法において、耐擦性、耐水性、耐溶剤性等を特に優れたものとするため等に、紫外線を照射すると硬化する組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)が用いられている。この紫外線硬化型インクジェット組成物は、金属やガラスなどの液滴が浸透しない記録媒体を含む、広範な種類の記録媒体に適用が可能な点、塗膜の耐擦性が向上する点などの特長を備えている。
本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物は、インクジェット方式により吐出されるものであり、紫外線の照射により重合する重合性化合物と、フッ素系化合物で表面処理された金属粉末と、調色用染料とを含むものである。
以下、インク組成物の各構成要素及び特徴を詳細に説明する。
<金属粉末>
まず、金属粉末について説明する。
本発明において、金属粉末は、フッ素系化合物で表面処理されたものである。
従来のフッ素系化合物で表面処理された金属粉末は、紫外線硬化型インクジェット組成物で形成したパターン表面に配向し、金属光沢を確保しているが、配向のために硬化用の紫外線がパターン内部まで行き渡らず、硬化が不十分となり、耐擦性が低下する場合がある。本発明によれば、配合量を比較的少なくすることができ、良好な金属光沢を維持しつつ、耐擦性を優れたものとすることができる。
[母粒子]
まず、金属粉末を構成する母粒子(フッ素系化合物による表面処理を受ける粒子)について説明する。
金属粉末を構成する母粒子は、少なくとも、表面付近を含む領域が金属材料で構成されたものであればよく、例えば、全体が金属材料で構成されたものであってもよいし、非金属材料で構成された基部と、当該基部を被覆する金属材料で構成された被膜とを有するものであってもよい。
また、母粒子を構成する金属材料としては、単体としての金属や各種合金等を用いることができるが、母粒子は、少なくとも表面付近が主としてAlで構成されたものであるのが好ましい。Alは、本来、各種金属材料の中でも特に優れた金属光沢を呈するものであるが、紫外線硬化型インクジェット組成物に、Alで構成された粉末を適用しようとした場合に、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性は特に低いものとなり、ゲル化による粘度上昇による吐出安定性の低下等の問題が特に顕著に発生することを見出していた。これに対し、本発明では、表面がAlで構成された粉末を用いた場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、本発明に係る金属粉末が、少なくとも表面が主としてAlで構成された粉末がフッ素系化合物で表面処理されたものであることにより、本発明の効果は特に顕著に発揮される。
また、母粒子は、いかなる方法で製造されたものであってもよいが、Alで構成されたものである場合には、気相成膜法によりAlで構成された膜を形成し、その後、当該膜を粉砕することにより得られたものであるのが好ましい。これにより、金属粉末を含む紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成されるパターン(印刷部)において、Alが本来有している金属光沢等をより効果的に表現させることができる。また、各粒子間での特性のばらつきを抑制することができる。また、当該方法を用いることにより、比較的薄い金属粉末であっても好適に製造することができる。
このような方法を用いて母粒子を製造する場合、例えば、基材上に、Alで構成された膜の形成(成膜)を行うことにより、母粒子を好適に製造することができる。前記基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルム等を用いることができる。また、基材は、成膜面に離型剤層を有するものであってもよい。
また、上記粉砕は、液体中において、上記膜に超音波振動を付与することにより行われるものであるのが好ましい。これにより、上述したような粒径の母粒子を容易かつ確実に得ることができるとともに、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきの発生を抑制することができる。
また、上記のような方法で、粉砕を行う場合、上記液体としては、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテルおよびジエチレングリコールジエチルエーテルよりなる群から選択される1種または2種以上を含むものを用いるのが好ましい。これにより、母粒子の不本意な酸化等を防止しつつ、母粒子、金属粉末の生産性を特に優れたものとし、また、各粒子間での大きさ、形状、特性のばらつきを特に小さいものとすることができる。
[フッ素系化合物]
上述したように、本発明において、金属粉末は、フッ素系化合物で表面処理されたものである。フッ素系化合物で表面処理することにより、金属粉末は、パターン表面に配向しやすくなり、優れた金属光沢を付与することが可能となる。
フッ素系化合物としては、特に限定されないが、フッ素系シラン化合物、フッ素系リン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。これにより、金属粉末をパターン表面により配向させやすくなり、金属光沢をより優れたものとすることができる。また、母粒子としてAlを用いた場合の上述したような問題をより確実に防止することができる。
(フッ素系シラン化合物)
フッ素系シラン化合物としては、分子内に少なくとも1個のフッ素原子を有するシラン化合物を用いることができる。
特に、フッ素系シラン化合物は、下記式(1)で表される化学構造を有するものであるのが好ましい。
1SiX1 a2 (3-a) (1)
(式(1)中、R1は、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された炭化水素基を表し、X1は、加水分解基、エーテル基、クロロ基または水酸基を表し、R2は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、aは、1以上3以下の整数である。)
これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性を特に優れたものとし、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される記録物の印刷部の金属光沢、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
式(1)中のR1としては、例えば、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、さらに、分子構造に含まれる水素原子(フッ素原子で置換されていない水素原子)のうちの少なくとも一部がアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基等で置換されていてもよく、炭素鎖中に−O−、−S−、−NH−、−N=等のヘテロ原子やベンゼン等の芳香族環が挟まっていてもよい。R1の具体例としては、例えば、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたフェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ヒドロキシフェニル基、クロロフェニル基、アミノフェニル基、ナフチル基、アンスレニル基、ピレニル基、チエニル基、ピロリル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、ピリジニル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクタデシル基、n−オクチル基、クロロメチル基、メトキシエチル基、ヒドロキシエチル基、アミノエチル基、シアノ基、メルカプトプロピル基、ビニル基、アリル基、アクリロキシエチル基、メタクリロキシエチル基、グリシドキシプロピル基、アセトキシ基等が挙げられる。
式(1)で表されるフッ素系シラン化合物の具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、1−プロペニルメチルジクロロシラン、プロピルジメチルクロロシラン、プロピルメチルジクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、テトラデシルトリクロロシラン、3−チオシアネートプロピルトリエトキシシラン、p−トリルジメチルクロロシラン、p−トリルメチルジクロロシラン、p−トリルトリクロロシラン、p−トリルトリメトキシシラン、p−トリルトリエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブチロキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブチロキシシラン、ジ−t−ブチルジ−t−ブチロキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルメチルジエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルメトキシジクロロシラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、7−オクテニルトリクロロシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、オクチルメチルジクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、10−ウンデセニルジメチルクロロシラン、ウンデシルトリクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルドデシルジエトキシシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルオクタデシルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジメトキシシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、トリアコンチルジメチルクロロシラン、トリアコンチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルイソプロポキシシラン、メチル−n−ブチロキシシラン、メチルトリ−sec−ブチロキシシラン、メチルトリ−t−ブチロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルイソプロポキシシラン、エチル−n−ブチロキシシラン、エチルトリ−sec−ブチロキシシラン、エチルトリ−t−ブチロキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、2−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、4−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1,3−(トリクロロシリルメチル)ヘプタコサン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルメチルジメトキシシラン、ベンジルジメチルメトキシシラン、ベンジルジメトキシシラン、ベンジルジエトキシシラン、ベンジルメチルジエトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシシラン、ω−アミノウンデシルトリメトキシシラン、アミルトリエトキシシラン、ベンゾオキサシレピンジメチルエステル、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、8−ブロモオクチルトリメトキシシラン、ブロモフェニルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、2−クロロメチルトリエトキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、クロロメチルメチルジイソプロポキシラン、p−(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、シアノメチルフェネチルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリメトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリエトキシシラン、3−シクロヘキセニルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルジメチルクロロシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルメチルジクロロシシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、(シクロヘキシルメチル)トリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリクロロシラン、(4−シクロオクテニル)トリクロロシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、1,1−ジエトキシ−1−シラシクロペンタ−3−エン、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(ジメチルクロロシリル)メチル−7,7−ジメチルノルピナン、(シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、(3−シクロペンタジエニルプロピル)トリエトキシシラン、N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(フルフリルオキシメチル)トリエトキシシラン、2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシプロポキシ)ジフェニルケトン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルメチルジクロロシラン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルトリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)メチルジクロロシラン、p−(メチルフェネチル)トリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)ジメチルクロロシラン、3−モルフォリノプロピルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−メチルジエトキシシリル−2−ノルボルネン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、3−ヨードプロピルトリメトキシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチル{2−(3−トリメトキシシリルプロピルアミノ)エチルアミノ}−3−プロピオネート、7−オクテニルトリメトキシシラン、R−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、S−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルメチルジメトキシシラン、フェネチルジメチルメトキシシラン、フェネチルジメトキシシラン、フェネチルジエトキシシラン、フェネチルメチルジエトキシシラン、フェネチルジメチルエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、(3−フェニルプロピル)ジメチルクロロシラン、(3−フェニルプロピル)メチルジクロロシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)ダンシルアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、2−(トリエトキシシリルエチル)−5−(クロロアセトキシ)ビシクロヘプタン、(S)−N−トリエトキシシリルプロピル―O―メントカルバメート、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド、3−(トリエトキシシリル)プロピルサクシニック無水物、N−〔5−(トリメトキシシリル)−2−アザ−1−オキソ−ペンチル〕カプロラクタム、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(トリメトキシシリルエチル)ベンジル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、フェニルビニルジエトキシシラン、3−チオシアナートプロピルトリエトキシシラン、N−{3−(トリエトキシシリル)プロピル}フタルアミド酸、1−トリメトキシシリル−2−(クロロメチル)フェニルエタン、2−(トリメトキシシリル)エチルフェニルスルホニルアジド、β−トリメトキシシリルエチル−2−ピリジン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムブロマイド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、ビニルメチルジエトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルフェニルジクロロシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルフェニルジメチルシラン、ビニルフェニルメチルクロロシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス−t−ブトキシシラン、アダマンチルエチルトリクロロシラン、アリルフェニルトリクロロシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ベンジルメチルジクロロシラン、フェネチルジイソプロピルクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、フェネチルジメチルクロロシラン、フェネチルメチルジロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリクロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、2−(ビシクロヘプチル)ジメチルクロロシラン、2−(ビシクロヘプチル)トリクロロシラン、1,4−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、ブロモフェニルトリクロロシラン、3−フェノキシプロピルジメチルクロロシラン、3−フェノキシプロピルトリクロロシラン、t−ブチルフェニルクロロシラン、t−ブチルフェニルメトキシシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルジメチルクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルトリクロロシラン、1,3−
(クロロジメチルシリルメチル)ヘプタコサン、((クロロメチル)フェニルエチル)ジメチルクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)メチルジクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリクロロシラン、2−シアノエチルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルジメチルエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン等のシラン化合物が有する水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換した構造を有する化合物を挙げることができる。
また、フッ素系シラン化合物は、パーフルオロアルキル構造(Cn2n+1)を有するものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性をさらに優れたものとし、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される記録物の印刷部の金属光沢、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
パーフルオロアルキル構造(Cn2n+1)を有するフッ素系シラン化合物としては、例えば、下記式(3)で表されるものが挙げられる。
n2n+1(CH2mSiX1 a2 (3-a) (3)
(式(3)中、X1は、加水分解基、エーテル基、クロロ基または水酸基を表し、R2は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、nは、1以上14以下の整数であり、mは、2以上6以下の整数であり、aは、1以上3以下の整数である。)
このような構造を有する化合物の具体例としては、CF3−CH2CH2−Si(OCH33、CF3(CF23−CH2CH2−Si(OCH33、CF3(CF25−CH2CH2−Si(OCH33、CF3(CF25−CH2CH2−Si(OC253、CF3(CF27−CH2CH2−Si(OCH33、CF3(CF211−CH2CH2−Si(OC253、CF3(CF23−CH2CH2−Si(CH3)(OCH32、CF3(CF27−CH2CH2−Si(CH3)(OCH32、CF3(CF28−CH2CH2−Si(CH3)(OC252、CF3(CF28−CH2CH2−Si(C25)(OC252等が挙げられる。
また、フッ素系シラン化合物としては、上述したパーフルオロアルキル構造(Cn2n+1)の代わりにパーフルオロアルキルエーテル構造(Cn2n+1O)を有するものを用いることもできる。
パーフルオロアルキルエーテル構造(Cn2n+1O)を有するフッ素系シラン化合物としては、例えば、下記式(4)で表されるものが挙げられる。
p2p+1O(Cp2pO)r(CH2mSiX1 a2 (3-a) (4)
(式(4)中、X1は、加水分解基、エーテル基、クロロ基または水酸基を表し、R2は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、pは1以上4以下の整数であり、rは1以上10以下の整数であり、mは、2以上6以下の整数であり、aは、1以上3以下の整数である。)
このような構造を有する化合物の具体例としては、CF3O(CF2O)6−CH2CH2−Si(OC253、CF3O(C36O)4−CH2CH2−Si(OCH33、CF3O(C36O)2(CF2O)3−CH2CH2−Si(OCH33、CF3O(C36O)8−CH2CH2−Si(OCH33、CF3O(C49O)5−CH2CH2−Si(OCH33、CF3O(C49O)5−CH2CH2−Si(CH3)(OC252、CF3O(C36O)4−CH2CH2−Si(C25)(OCH32等が挙げられる。
(フッ素系リン酸エステル)
フッ素系リン酸エステルとしては、分子内に少なくとも1個のフッ素原子を有するリン酸エステルを用いることができる。特に、フッ素系リン酸エステルは、下記式(2)で表される化学構造を有するものであるのが好ましい。
PORn(OH)3-n (2)
(式(2)中、Rは、CF3(CF2m−、CF3(CF2m(CH2l−、CF3(CF2m(CH2O)l−、CF3(CF2m(CH2CH2O)l−、CF3(CF2mO−、または、CF3(CF2m(CH2lO−であり、nは1以上3以下の整数であり、mは2以上18以下の整数であり、lは1以上18以下の整数である。)
これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性を特に優れたものとし、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される記録物の印刷部の金属光沢、耐擦性を特に優れたものとすることができる。
式(2)の注釈において、mは、3以上14以下の整数であるのが好ましいが、4以上12以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
また、式(2)の注釈において、lは、1以上14以下の整数であるのが好ましいが、1以上10以下の整数であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
また、フッ素系リン酸エステルは、パーフルオロアルキル構造(Cn2n+1)を有するものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性をさらに優れたものとし、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される記録物の印刷部の金属光沢、耐擦性をさらに優れたものとすることができる。
上記のようなフッ素系化合物は、母粒子に直接処理するものであってもよいが、前記母粒子に対して酸または塩基を処理させた後に、当該母粒子に対してフッ素系化合物による処理を行うのが好ましい。これにより、母粒子表面に、フッ素系化合物による化学的な結合による修飾をより確実に行うことができ、上述したような本発明による効果をより効果的に発揮させることができる。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、炭酸、蟻酸、安息香酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、亜硫酸、次亜硫酸、亜硝酸、次亜硝酸、亜リン酸、次亜リン酸等のプロトン酸を用いることができる。中でも、塩酸、リン酸、酢酸が好適である。一方、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等を用いることができる。中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好適である。
金属粉末は、球状、紡錘形状、針状等、いかなる形状のものであってもよいが、鱗片形状をなすものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物が付与される記録媒体上で、当該金属粉末の主面が記録媒体の表面形状に沿うように、金属粉末を配置することができ、金属粉末を構成する金属材料が本来有している金属光沢等を、得られる記録物においてもより効果的に発揮させることができ、形成されるパターン(印刷部)の金属光沢、高級感を特に優れたものとすることができる。また、上述したようなフッ素系化合物による表面処理を施していない構成においては、金属粉末が鱗片状をなすものであると、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性が低いものとなるという傾向が特に顕著になっていたが、本発明では、金属粉末が鱗片状をなすものであっても、このような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、金属粉末の形状が鱗片状である場合に、本発明の効果はより顕著に発揮される。
本発明において、鱗片状とは、平板状、湾曲板状等のように、所定の角度から観察した際(平面視した際)の面積が、当該観察方向と直交する角度から観察した際の面積よりも大きい形状のことをいい、特に、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S1[μm2]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S0[μm2]に対する比率(S1/S0)が、好ましくは2以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは8以上である。この値としては、例えば、任意の50個の粒子について観察を行い、これらの粒子についての算出される値の平均値を採用することができる。
金属粉末の平均粒径は、500nm以上2.0μm以下であるのが好ましく、800nm以上1.8μm以下であるのがより好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される記録物の金属光沢、高級感をさらに優れたものとすることができる。また、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性をさらに優れたものとすることができる。
金属粉末の含有量は、0.3質量%以上3.0質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以上2.5質量%以下であるのがより好ましい。これにより、金属粉末がパターン表面に配向した場合であっても、適度に紫外線がパターン内部に行き届き、パターンをより確実に硬化させることができる。その結果、形成されるパターンの金属光沢を良好なものとしつつ、耐擦性に特に優れたパターンとすることができる。
<調色用染料>
調色用染料は、上述したような金属粉末とともに用いることにより、金属粉末の金属光沢を補助する機能を備えるものである。このような調色用染料を含むことにより、金属粉末の含有量を比較的少ないものとすることができる。その結果、パターンの硬化のための紫外線をパターン内部に行き渡らせることが可能となり、良好な金属光沢を有し、かつ、優れた耐擦性を有するパターンを形成することができる。また、有彩色染料を用いた場合、形成されるパターンは色調豊かな金属光沢(メタリックカラー)を呈するものとなり、特に意匠性に優れたものとすることができる。看板やポスターなどの用途向けにとって、メタリックカラーは高付加価値実現のために必要不可欠なものであり、その価値は計り知れない。
このような調色用染料は、「C.I.Disperse」及び「C.I.Solvent」として、カラーインデックス番号が付与されている染料から選択される着色剤が挙げられる。また、カラーインデックスに記載されていない染料であっても、使用する重合性化合物に溶解するものであれば良い。例えば、疎水性の重合性化合物の場合、溶解性の高さを考慮すると油溶性染料であるのが好ましい。これらの調色用染料の色としてはCyan、Blue、Magenta、Red、Yellow、Violet、Orange、Greenよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。これにより、金属粉末の含有量を比較的少ないものとしつつ、形成するパターンの光沢性をより良好なものとすることができる。
油溶性染料としては、以下に限定されるものではないが、特に好ましい具体例としては、例えば、オリヱント化学工業株式会社製Valifast Yellow 4120、Valifast Yellow 3150、Valifast Yellow 3108、Valifast Yellow 2310N、Valifast Yellow 1101、Valifast Red 3320、Valifast Red 3304、Valifast Red 1306、Valifast Blue 2610、Valifast Blue 2606、Valifast Blue 1603、Oil Yellow GG−S、Oil Yellow 3G、Oil Yellow 129、Oil Yellow 107、Oil Yellow 105、Oil Scarlet 308、Oil Red RR、Oil Red OG、Oil Red 5B、Oil Pink 312、Oil Blue BOS、Oil Blue 613、Oil Blue 2N、Oil Black BY、Oil Black BS、Oil Black 860、Oil Black 5970、Oil Black 5906、Oil Black 5905、日本化薬株式会社製Kayaset YellowSF−G、Kayaset Yellow K−CL、Kayaset Yellow GN、Kayaset Yellow A−G、Kayaset Yellow 2G、Kayaset Red SF−4G、Kayaset Red K−BL、Kayaset Red A−BR、Kayaset Magenta 312、Kayaset Blue K−FL、有本化学工業株式会社製FS Yellow 1015、FS Magenta 1404、FS Cyan 1522、FS Blue 1504、C.I.Solvent Yellow 88、83、82、79、56、29、19、16、14、04、03、02、01、C.I.Solvent Red 84:1、C.I.Solvent Red 84、218、132、73、72、51、43、27、24、18、01、C.I.Solvent Blue 70、67、44、40、35、11、02、01、C.I.Solvent Black 43、70、34、29、27、22、7、3、C.I.Solvent Violet3、C.I.Solvent Green 3及び7等が挙げられる。
また、特開平9−277693号、同10−20559号、同10−30061号に示されるような、金属錯体色素も好ましく用いられ、好ましい構造としては下記一般式(1)で表されるものである。
一般式(1)
M(Dye)l(A)m
式中、Mは金属イオンを表し、Dyeは金属と配位結合可能な色素を表す。Aは色素以外の配位子を表し、lは1から3、mは0、1,2,3を表す。mが0のときlは2または3を表し、その場合Dyeは同種でも異なっていてもよい。
Mで表される金属イオンとしては、周期律表の第I〜VIII族に属する金属、例えばAl、Co、Cr、Cu、Fe、Mn、Mo、Ni、Sn、Ti、Pt、Pd、Zr及びZnのイオンが挙げられる。色調、各種耐久性からNi、Cu、Cr、Co、Zn、Feのイオンが特に好ましい。特に好ましくはNiイオンである。
Dyeで表される金属と配位結合可能な色素としては種々の色素構造が考えられるが、共役メチン色素、アゾメチン色素、アゾ色素骨格に配位基を有するものが好ましい。
油溶性染料として分散染料を用いることができ、分散染料としては、以下に限定されるものではないが、特に好ましい具体例としては、C.I.ディスパーズイエロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、204、224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119及び163;C.I.ディスパーズレッド54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット33;C.I.ディスパーズブルー56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365及び368並びにC.I.ディスパーズグリーン6:1及び9等が挙げられる。
その他、油溶性染料として、フェノール、ナフトール類、また、ピラゾロン、ピラゾロトリアゾール等の環状メチレン化合物、あるいは、開鎖メチレン化合物等のいわゆるカプラーに、p−フェニレンジアミン類あるいはp−ジアミノピリジン類等、アミノ化合物を酸化カップリングさせ得られるアゾメチン色素、インドアニリン色素等も好ましい。特にマゼンタ染料として、ピラゾロトリアゾール環を有するアゾメチン色素は好ましい。
調色用染料の含有量は、0.3質量%以上4.0質量%以下であるのが好ましく、0.5質量%以上3.0質量%以下であるのがより好ましい。これにより、金属粉末の含有量を比較的少ないものとしつつ、形成するパターンの金属光沢をより良好なものとすることができる。なお、下限を下回ると着色性が確保できず、形成されるパターンの意匠性が悪化する恐れがある。一方、上限を上回ると調色材による光の吸収量が増え、金属光沢が低下しやすくなる。
調色用染料が0.3質量%以上含まれることで塗膜の着色性を確保することでき、それによって、形成されるパターンの色調を良好なものとなる。また、調色用染料を4.0質量%以下に抑えることで紫外線によるパターンの硬化をより確実なものとすることができ、それによって、耐擦性の特に優れたパターンとすることができる。
<重合性化合物>
重合性化合物は、紫外線の照射により重合し、硬化する成分である。このような成分を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて製造される記録物の耐擦性、耐水性、耐溶剤性等をより優れたものとすることができる。
重合性化合物は、液状をなすものであり、紫外線硬化型インクジェット組成物において、金属粉末を分散する分散媒として機能するものであるのが好ましい。これにより、別途、記録物の製造過程において除去される(蒸発する)分散媒を用いる必要がなく、記録物の製造においても、分散媒を除去する工程を設ける必要がないため、記録物の生産性を特に優れたものとすることができる。また、分散媒として一般に有機溶媒として用いられているものを使用する必要がないため、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を防止することができる。また、重合性化合物を含むことにより、様々な記録媒体(基材)に対する、紫外線硬化型インクジェット組成物を用いて形成される印刷部の密着性を優れたものとすることができる。すなわち、重合性化合物を含むことにより、紫外線硬化型インクジェット組成物は、メディア対応性に優れたものとなる。
重合性化合物としては、紫外線の照射により重合する成分であればよく、例えば、各種モノマー、各種オリゴマー(ダイマー、トリマー等を含む)等を用いることができるが、紫外線硬化型インクジェット組成物は、重合性化合物として、少なくともモノマー成分を含むものであるのが好ましい。モノマーは、オリゴマー成分等に比べて、一般に、低粘度の成分であるため、紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出安定性を特に優れたものとする上で有利である。
重合性化合物としてのモノマーとしては、例えば、イソボニルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、PO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、EO変性2エチルヘキシルアクリレート、EO変性ノニルフェノールアクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、EO変性フェノールアクリレート、EO変性クレゾールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1.9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、ポリエチレングリコール300ジアクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピパレートジアクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレート、ポリエチレングリコール600ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1.9−ノナンジオールジアクリレート、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、PO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、グリセリンPO付加トリアクリレート、トリスアクリロイルオキシエチルフォスフェート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル等が挙げられる。中でも、4−ヒドロキシブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが好ましい。
特に、紫外線硬化型インクジェット組成物は、重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性を優れたものとしつつ、インクジェット法による吐出後の紫外線硬化型インクジェット組成物の反応性を特に優れたものとし、記録物の生産性を特に優れたものとすることができるとともに、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。
また、紫外線硬化型インクジェット組成物は、前記重合性化合物として、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートおよび/またはアミノアクリレートを含むのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性をより優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等をさらに優れたものとすることができる。
また、紫外線硬化型インクジェット組成物は、重合性化合物として、モノマー以外に、オリゴマーを含むものとしてもよい。特に多官能のオリゴマーを含むものであるのが好ましい。これにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性を優れたものとしつつ、形成されるパターンの耐擦性等を特に優れたものとすることができる。なお、本発明では、重合性化合物の中でも、分子の骨格中に繰り返し構造を有し、分子量が600以上のものをオリゴマーと呼ぶ。オリゴマーとしては、繰り返し構造がウレタンであるウレタンオリゴマー、繰り返し構造がエポキシであるエポキシオリゴマー等が好ましく用いられる。
<その他の成分>
本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物は、上述した以外の成分(その他の成分)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、光重合開始剤、スリップ剤(レベリング剤)、分散剤、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、着色剤、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、増感剤(増感色素)等が挙げられる。
光重合開始剤は、紫外線照射によってラジカルやカチオン等の活性種を発生し、上記重合性化合物の重合反応を開始させるものであれば特に制限されない。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができるが、光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。光重合開始剤を用いる場合、当該光重合開始剤は、紫外線領域に吸収ピークを有していることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、重合性化合物への溶解性および硬化性の観点から、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物から選択される少なくとも1種が好ましく、アシルホスフィンオキサイド化合物およびチオキサントン化合物を併用することがより好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、およびビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられ、これらのうちから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
紫外線硬化型インクジェット組成物中における光重合開始剤の含有量は、0.5質量%以上10質量%以下であるのが好ましい。光重合開始剤の含有量が前記範囲であると、紫外線硬化速度が十分大きく、且つ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色がほとんどない。
紫外線硬化型インクジェット組成物がスリップ剤を含むものであると、レベリング作用により記録物の表面が平滑になり、耐擦性が向上する。
スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤を用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンまたはポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが好ましい。
紫外線硬化型インクジェット組成物が分散剤を含むものであると、金属粉末の分散性を優れたものとすることができ、紫外線硬化型インクジェット組成物の保存安定性、吐出安定性を特に優れたものとすることができる。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物は、記録物の製造工程において除去される(蒸発する)有機溶剤を含まないものであるのが好ましい。これにより、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を効果的に防止することができる。
本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物の室温(20℃)での粘度は、20mPa・s以下であるのが好ましく、3mPa・s以上15mPa・s以下であるのがより好ましい。これにより、インクジェット法による液滴吐出を好適に行うことができる。
《記録物》
次に、本発明の記録物について説明する。
本発明の記録物は、上述したような紫外線硬化型インクジェット組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたものである。このような記録物は、金属光沢、耐擦性に優れたパターン(印刷部)を有するものである。
上述したように、本発明に係る紫外線硬化型インクジェット組成物は、重合性化合物を含むものであり、記録媒体に対する密着性に優れるものである。このように、本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物は記録媒体に対する密着性に優れるものであるため、記録媒体は、いかなるものであってもよく、吸収性または非吸収性のいずれを用いてもよく、例えば、紙(普通紙、インクジェット用専用紙等)、プラスチック材料、金属、セラミックス、木材、貝殻、綿、ポリエステル、ウール等の天然繊維・合成繊維、不織布等を用いることができる。
本発明の記録物は、いかなる用途のものであってもよく、例えば、装飾品やそれ以外に適用されるものであってもよい。本発明の記録物の具体例としては、コンソールリッド、スイッチベース、センタークラスタ、インテリアパネル、エンブレム、センターコンソール、メーター銘板等の車両用内装品、各種電子機器の操作部(キースイッチ類)、装飾性を発揮する装飾部、指標、ロゴ等の表示物等が挙げられる。
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、インクを加熱して発生した泡(バブル)によりインクを吐出させる方式等を用いることができるが、紫外線硬化型インクジェット組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
インクジェット法による紫外線硬化型インクジェット組成物の吐出は、公知の液滴吐出装置を用いて行うことができる。
インクジェット法により吐出された紫外線硬化型インクジェット組成物は、紫外線の照射により硬化する。
紫外線源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV−LED)、紫外線レーザダイオード(UV−LD)等を用いることができる。中でも、小型、高寿命、高効率、低コストの観点から、紫外線発光ダイオード(UV−LED)および紫外線レーザダイオード(UV−LD)が好ましい。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
このような構成とすることにより、調色用染料により金属粉末の金属光沢を調整させることができ、金属粉末の含有量を比較的少ないものとすることができる。その結果、紫外線がパターン内部まで行き届き、硬化を完全なものとすることができ、耐擦性に優れたパターンとすることができる。また、調色用染料を含んでいるので、パターンは色調豊かな金属光沢を呈するものとなる。また、このような特徴を有することにより、紫外線硬化型インクジェット組成物の高周波特性を向上させることができ、描画速度を向上させることができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
[1]インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)の製造
まず、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルG440E)を用意した。
次に、このフィルムの一方の面の全体にシリコーンオイルを塗布した。
次に、シリコーンオイルを塗布した面側に、蒸着法により、Alで構成された膜を形成した。
次に、Alの膜が形成されたポリエチレンテレフタレート製のフィルム(基材)を、テトラエチレングリコールジエチルエーテルで構成された液体中に入れ、超音波振動を付与した。これにより、鱗片状のAl製の粒子(母粒子となるべき粒子)が得られた。
次に、遠心分離をかけ上澄み液を捨てることにより剥離剤の除去を行った。
次に、上記のようにして得られたAl製の粒子を、フッ素系シラン化合物としての(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン(CF3(CF27−CH2CH2−Si(OCH33)の1質量%テトラエチレングリコールジエチルエーテル溶液中に投入し、10時間攪拌することにより、フッ素系シラン化合物による表面処理を行った。
次に、メンブレンフィルターで分級を行い粗大粒子を除去することで目的の金属粉末を得た。
このようにして得られた金属粉末の平均粒径は0.8μm、平均厚さは、35nmであった。
次に、金属粉末と、調色用の油溶性染料としての「FS Cyan 1522」(有本化学工業株式会社製)とを、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、トリプロピレングリコールジアクリレート、アミノアクリレート、光重合開始剤としてのIrgacure819(チバ・ジャパン社製)、光重合開始剤としてのSpeedcure TPO(Lambson社製)、光重合開始剤としてのSpeedcure DETX(Lambson社製)、レベリング剤としてのUV−3500(ビックケミー社製)、および、重合禁止剤としてのp−メトキシフェノールと混合することにより、インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を得た。
(実施例2〜実施例12)
金属粉末の構成(母粒子の組成および表面処理に用いるフッ素系シラン化合物の種類)を表1に示すようにするとともに、インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)の調製に用いる原料の種類・比率を変更することにより、表1に示すような組成となるようにした以外は、実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
(実施例13)
まず、表面が平滑なポリエチレンテレフタレート製のフィルム(表面粗さRaが0.02μm以下)を用意した。
次に、このフィルムの一方の面の全体にシリコーンオイルを塗布した。
次に、シリコーンオイルを塗布した面側に、蒸着法により、Alで構成された膜を形成した。
次に、Alの膜が形成されたポリエチレンテレフタレート製のフィルム(基材)を、ジエチレングリコールジエチルエーテルで構成された液体中に入れ、超音波振動を付与した。これにより、鱗片状のAl製の粒子(母粒子となるべき粒子)が得られた。
次に、遠心分離をかけ上澄み液を捨てることにより剥離剤の除去を行った。
次に、上記のようにして得られたAl製の粒子をフッ素系リン酸エステルとしてのCF3(CF25(CH22O−PO(OH)2の1質量%プロパノール溶液中に投入し、10時間攪拌することにより、フッ素系リン酸エステルによる表面処理を行った。
次に、メンブレンフィルターで分級を行い粗大粒子を除去することで目的の金属粉末を得た。
このようにして得られた金属粉末の平均粒径は0.9μm、平均厚さは、35nmであった。
次に、金属粉末、調色用の油溶性染料としてのC.I.Disperse Orange 13とを、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、4−ヒドロキシブチルアクリレート、アミノアクリレート、光重合開始剤としてのIrgacure819(チバ・ジャパン社製)、光重合開始剤としてのSpeedcure TPO(ACETO社製)、光重合開始剤としてのSpeedcure DETX(Lambson社製)、レベリング剤としてのUV−3500(ビックケミー社製)、および、重合禁止剤としてのp−メトキシフェノールと混合することにより、インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を得た。
(実施例14〜実施例20)
金属粉末の構成(母粒子の組成および表面処理に用いるフッ素系リン酸エステル化合物の種類)を表2に示すようにするとともに、インクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)の調製に用いる原料の種類・比率を変更することにより、表2に示すような組成となるようにした以外は、実施例13と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
(比較例1)
調色材を添加せず、金属粉末の添加量を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
(比較例2)
無彩色顔料(二酸化チタン)を調色材として用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
(比較例3)
有彩色顔料(C.I.Pigment Red 254)を調色材として用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
(比較例4)
酸性染料(C.I.Acid Orange 7)を調色材として用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
(比較例5)
非フッ素系化合物(CH3(CH29−Si(OCH33)による表面処理を施したAl製の粒子を金属粉末として用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
(比較例6)
フッ素系化合物による表面処理を施していないAl製の粒子を金属粉末として用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
(比較例7)
金属粉末としてSUS316Lを用いた以外は、比較例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
(比較例8)
金属粉末として、ガスアトマイズ法を用いて製造された球形状のAl粉末(フッ素系化合物による表面処理を施していないもの)を用いた以外は、比較例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
(比較例9)
重合性化合物としてベンジルメタクリレート、ウレタンアクリレート、N−ビニルカプロラクタムを表3に示すような割合で配合したものを用いた以外は、実施例1と同様にしてインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)を製造した。
上記の各実施例および各比較例について、インクジェット組成物の組成を、表1〜表3にまとめて示した。なお、表中、CF3(CF27−CH2CH2−Si(OCH33を「F17M」、CF3(CF25−CH2CH2−Si(OC253を「F13E」、CF3−CH2CH2−Si(OCH33を「F3M」、CF3−CH2CH2−SiCl3を「F3C」、CH3(CH29−Si(OCH33を「H10M」、CF3(CF25(CH22O−PO(OH)2を「PF1」、CF3(CF25(CH22−PO(OH)2を「PF2」、CF3(CF25(CH22−PO(OH)2を「PF3」、CF3(CF23(CH2O)10−PO(OH)2を「PF4」、CF3(CF211O−PO(OH)2を「PF5」、CF3(CF27−PO(OH)2を「PF6」、(CF3(CF25(CH22O)2−PO(OH)を「PF7」、(CF3(CF2)(CH2O))3−POを「PF8」、フェノキシエチルアクリレートを「PEA」、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルを「VEEA」、トリプロピレングリコールジアクリレートを「TPGDA」、ジプロピレングリコールジアクリレートを「DPGDA」、N−ビニルカプロラクタムを「VC」、ベンジルメタクリレートを「BM」、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートを「DMTCDDA」、アミノアクリレートを「AA」、ウレタンアクリレートを「UA」、Irgacure 819(チバ・ジャパン社製)を「ic819」、Speedcure TPO(ACETO社製)を「scTPO」、Speedcure DETX(Lambson社製)を「scDETX」、UV−3500(ビックケミー社製)を「UV3500」、p−メトキシフェノールを「pMP」、4−ヒドロキシブチルアクリレートを「HBA」で示した。また、表中、実施例14について、金属粉末の組成は、各元素の含有率を重量比で示した。また、各インクジェット組成物中に含まれるそれぞれ任意の10個の金属粒子について観察を行い、投影面積が最大となる方向から観察した際(平面視した際)の面積S1[μm2]と、当該観察方向と直交する方向のうち観察した際の面積が最大となる方向から観察した際の面積S0[μm2]に対する比率(S1/S0)を求め、これらの平均値を、表1〜表3にあわせて示した。また、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された上記各実施例のインクジェット組成物(紫外線硬化型インクジェット組成物)の20℃における粘度は、いずれも、3mPa・s以上15mPa・s以下の範囲内の値であった。
Figure 2017122150
Figure 2017122150
Figure 2017122150
[2]液滴吐出の安定性評価(吐出安定性評価)
前記各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、下記に示すような試験による評価を行った。
まず、チャンバー(サーマルチャンバー)内に設置した液滴吐出装置および上記各実施例および比較例のインクジェット組成物を用意し、ピエゾ素子の駆動波形を最適化した状態で、25℃、55%RHの環境下で、各色のインクについて、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、2000000発(2000000滴)の液滴の連続吐出を行った。その後、液滴吐出装置の運転を停止し、液滴吐出装置の流路に各インクが充填された状態で、25℃、55%RHの環境下に、240時間放置した。
その後、液滴吐出ヘッドの各ノズルから、25℃、55%RHの環境下で、3000000発(3000000滴)の液滴の連続吐出を行った。上記120時間放置した後の、液滴吐出ヘッドの中央部付近の指定したノズルから吐出された3000000発の液滴について、着弾した各液滴の中心位置の中心狙い位置からのズレ量dの平均値を求め、以下の5段階の基準に従い、評価した。この値が小さいほど飛行曲がりの発生が効果的に防止されていると言える。
A:ズレ量dの平均値が0.9μm未満。
B:ズレ量dの平均値が0.9μm以上1.5μm未満。
C:ズレ量dの平均値が1.5μm以上1.8μm未満。
D:ズレ量dの平均値が1.8μm以上2.2μm未満。
E:ズレ量dの平均値が2.2μm以上。
[3]インクジェット組成物の保存安定性評価(長期安定性評価)
前記各実施例および比較例のインクジェット組成物について、40℃の環境下に、30日間放置した後、振動式粘度計を用いて、JIS Z8809に準拠して測定された前記各実施例のインクジェット組成物の20℃における粘度を測定し、製造直後からの粘度の上昇率を求め、以下の基準に従い、評価した。
A:粘度の上昇率が10%未満。
B:粘度の上昇率が10%以上15%未満。
C:粘度の上昇率が15%以上20%未満。
D:粘度の上昇率が20%以上25%未満。
E:粘度の上昇率が25%以上。
[4]硬化性
上記各実施例および比較例のインクジェット組成物について、エプソン製インクジェットプリンター;PM800Cへ導入し、記録媒体として三菱樹脂(株)製、ダイアホイル G440E(厚さ38μm)を用いて、インク量wet 9g/m2にて、ベタ印刷を行い、印刷後、ただちにLED−UVランプ;フォセオン社製 RX firefly(ギャップ6mm ピーク波長365nm 1000mW/cm2)を用いて紫外線の照射を行い、インクジェット組成物が硬化したか否かを確認し、以下の5段階の基準に従い、評価した。硬化したか否かは、綿棒にて表面をこすって、未硬化のインク組成物が付着しないか否かで判断した。なお、下記A〜Eの照射量に該当するかどうかは、ランプを何秒照射したかによって算出できる。
A:100mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
B:100mJ/cm2以上200mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
C:200mJ/cm2以上500mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
D:500mJ/cm2以上1000mJ/cm2未満の紫外線照射量にて硬化した。
E:1000mJ/cm2以上の紫外線照射量にて硬化する。もしくはまったく硬化
しない。
[5]記録物の製造
各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、それぞれ、以下のようにして、記録物としてのインテリアパネルを製造した。
まず、インクジェット組成物をインクジェット装置に投入した。
その後、ポリカーボネート(旭硝子社製、カーボグラス ポリッシュ 2mm厚)を用いて成形した曲面部を有する基材(記録媒体)上に、所定のパターンで、インクジェット組成物を吐出した。
その後、365nm、380nm、395nmの波長に極大値を有するスペクトルの紫外線の照射を、照射強度180mW/cm2を10秒間照射し、基材上のインクジェット組成物を硬化させ、記録物としてのインテリアパネルを得た。
上記のような方法を用いて、各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、それぞれ、10個のインテリアパネル(記録物)を製造した。
また、基材として、ポリエチレンテレフタレート(三菱樹脂社製 ダイアホイル G440E 38μm厚)を用いて成形したもの、低密度ポリエチレン(三井化学東セロ社製 T.U.X(L−LDPE) HC−E #80)を用いて成形したもの、2軸延伸ポリプロピレン(三井化学東セロ社製 OP U−1 #60)を用いて成形したもの、硬質塩化ビニル(アクリサンデー社製 サンデーシート(透明)0.5mm厚)を用いて成形したものを用いた以外は、上記と同様にして、各実施例および比較例のインクジェット組成物を用いて、それぞれ、10個ずつのインテリアパネル(記録物)を製造した。
[6]記録物の評価
上記のようにして得られた各記録物について、以下のような評価を行った。
[6.1]記録物の外観評価
上記各実施例および比較例で製造した各記録物に蛍光灯の光を当て、眺める角度に応じた色変化を、目視により観察し、以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:識別不能なレベル。
B:隣接比較で、わずかに色差を感じられるレベル。
C:離間比較では、ほとんど気付けない色差レベル。
D:JIS標準色票、マンセル色票などの1歩程に相当するレベル。
E:細分化された系統色名で区別ができるレベル。
F:別の色と判別できる色差レベル。
[6.2]光沢度
前記各実施例および比較例で製造した各記録物のパターン形成部について、光沢度計(MINOLTA MULTI GLOSS 268)を用い、煽り角度60°での光沢度を測定し、以下の基準に従い評価した。
A:光沢度が300以上。
B:光沢度が200以上300未満。
C:光沢度が100以上200未満。
D:光沢度が100未満。
[6.3]耐擦性
前記各実施例および比較例に係る記録物について、記録物の製造から48時間経過した時点で、サウザーランドラブテスターを用い、JIS K5701に準じ、相紙としてポリエチレンテレフタレート製のフィルム(三菱樹脂社製、ダイアホイルG440E)を用いた耐擦性試験を行い、上記[6.2]で述べたのと同様の方法により、耐擦性試験後の記録物についても光沢度(煽り角度60°)を測定し、耐擦性試験前後での光沢度の低下率を求め、以下の基準に従い評価した。
A:光沢度の低下率が6%未満。
B:光沢度の低下率が6%以上14%未満。
C:光沢度の低下率が14%以上24%未満。
D:光沢度の低下率が24%以上28%未満。
E:光沢度の低下率が28%以上、または、金属粒子が脱落して記録媒体の表面が
露出したもの。
これらの結果を表4に示す。なお、表4中、ポリカーボネート製の基材を用いて製造された記録物を「M1」、ポリエチレンテレフタレート製の基材を用いて製造された記録物を「M2」、低密度ポリエチレン製の基材を用いて製造された記録物を「M3」、2軸延伸ポリプロピレン製の基材を用いて製造された記録物を「M4」、硬質塩化ビニル製の基材を用いて製造された記録物を「M5」で示した。
Figure 2017122150
表4から明らかなように、本発明の紫外線硬化型インクジェット組成物は、液滴の吐出安定性、保存安定性および硬化性に優れていた。また、本発明の記録物は、優れた金属光沢、外観を有しており、パターン形成部の耐擦性にも優れていた。これに対して、比較例では、満足な結果が得られなかった。
なし

Claims (11)

  1. インクジェット方式により吐出される紫外線硬化型インクジェット組成物であって、重合性化合物と、フッ素系化合物で表面処理された金属粉末と、調色用染料とを含むことを特徴とする紫外線硬化型インクジェット組成物。
  2. 前記調色用染料は、油溶性染料であることを特徴とする請求項1に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  3. 前記調色用染料の含有量は、0.3質量%以上4.0質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  4. 前記調色用染料は、Cyan染料、Blue染料、Magenta染料、Red染料、Yellow染料、Violet染料、Orange染料、Green染料よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  5. 前記金属粉末は、少なくとも表面が主としてAlで構成された粉末が、フッ素系化合物で表面処理されたものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  6. 前記フッ素系化合物は、フッ素系シラン化合物、フッ素系リン酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  7. 前記金属粉末は、鱗片状をなすものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  8. 前記金属粉末の含有量は、0.3質量%以上3.0質量%以下であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  9. 前記重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、および、4−ヒドロキシブチルアクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  10. 前記重合性化合物として、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレートまたはアミノアクリレートの少なくとも1種を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インクジェット組成物を記録媒体上に付与し、その後、紫外線を照射することにより製造されたことを特徴とする記録物。
JP2016000889A 2016-01-06 2016-01-06 紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物 Pending JP2017122150A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016000889A JP2017122150A (ja) 2016-01-06 2016-01-06 紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016000889A JP2017122150A (ja) 2016-01-06 2016-01-06 紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017122150A true JP2017122150A (ja) 2017-07-13

Family

ID=59305675

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016000889A Pending JP2017122150A (ja) 2016-01-06 2016-01-06 紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017122150A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10637003B2 (en) 2017-11-29 2020-04-28 Sakai Display Products Corporation Organic electroluminescent display device and method for producing same
WO2020174783A1 (ja) * 2019-02-27 2020-09-03 富士フイルム株式会社 ポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物、画像記録方法及び画像記録物

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10637003B2 (en) 2017-11-29 2020-04-28 Sakai Display Products Corporation Organic electroluminescent display device and method for producing same
WO2020174783A1 (ja) * 2019-02-27 2020-09-03 富士フイルム株式会社 ポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物、画像記録方法及び画像記録物
JPWO2020174783A1 (ja) * 2019-02-27 2021-12-02 富士フイルム株式会社 ポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物、画像記録方法及び画像記録物
JP7279148B2 (ja) 2019-02-27 2023-05-22 富士フイルム株式会社 ポリ塩化ビニル建材用インクジェットインク組成物、画像記録方法及び画像記録物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5857766B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェット用組成物および記録物
JP6051532B2 (ja) 記録物
JP5998624B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェット組成物および印刷物
JP5821269B2 (ja) 金属粉末、紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物
JP6064555B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェット用組成物および記録物
JP6094054B2 (ja) 記録物の製造方法
JP5793981B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物
JP5834502B2 (ja) インクセット、記録物の製造方法および記録物
JP6213164B2 (ja) 金属粉末、紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物
JP5793982B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物
JP2013023628A (ja) 紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物
JP6064554B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェット用組成物および記録物
JP2013122008A (ja) 記録物の製造方法および記録物
JP2014172956A (ja) 紫外線硬化型インクジェット用組成物および記録物
JP2017122150A (ja) 紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物
JP2013121656A (ja) インクジェット描画方法および記録物
JP6035709B2 (ja) 金属粉末の製造方法
JP6268947B2 (ja) 記録物の製造方法
JP6094055B2 (ja) 記録物の製造方法
JP2013018920A (ja) インクセットおよび記録物
JP6268946B2 (ja) 記録物の製造方法
JP6056933B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物の製造方法
JP6156477B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェット用組成物および記録物
JP5853416B2 (ja) 金属粉末、紫外線硬化型インクジェット組成物および記録物
JP6278139B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェット用組成物および記録物