JP4940210B2 - あられの製造方法 - Google Patents
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Description
その理由は、従来のあられの一般的製法は、洗米したモチ米を蒸した後、杵つき機、餅練り機等で処理し、それを5℃の冷蔵庫に3日程度置き、その冷蔵で固まった生地をあられ切断機の回転刃で均一にスライスする。その結果、均一な製品が生まれるが、一方で、切断面が平滑で、その後焼成したあられも表面に凸凹のない形態となり、全体的に単調で変化に乏しい人工的な雰囲気となってしまうからである。
一方、他の従来のあられの製法として水切り法があり、これは蒸練した生地を冷蔵庫に入れず、常温下で放冷させた後に水を付けながら刃物(現在は振子切断機)で切断するものである。しかし、これも上記あられ程ではないが、全体的に平坦であり、次の温風乾燥時に「浮き」という全体が膨らんだ状態となってしまい、歯ごたえが失われてしまう。
又、先行技術として煎餅を反り変形するように焼き上げる製造方法に関する提案があるが(特許文献1)、これは液状の調味料を煎餅生地の片面に塗布することにより焼き上げたときに反り変形が生じるようにしたものであり、凹凸をともなった手造り風の煎餅を造るものではない。
請求項3の発明にあっては、締め工程において、冷却温度を5〜7℃とすることができる。
その際、澱粉のアルファー化が進まない不均一な生地組織の存在はなく、実質的に全体が均一にアルファー化した後、上記見た目に関して独自の手焼き風の凹凸を表現できると共に、十分な糊化が進んで優れた味を呈する。
又、ロールに通して平板状とした餅生地を約40〜60℃に保ち、一定間隔を保った支持体上に載置すると、支持体間に餅の荷重によって撓みが生じ、全体に湾曲としての一定波形のウェイブが形成され、手焼き風の波状の形態を表現できる。
更に、生地を冷蔵庫内に保存して5〜7℃程度の低温下において締めを行うので、艶のある焼き上げとなり、凝縮した味で、ひび割れ模様ができ、シャリシャリ感を伴った歯ごたえのある、いわゆる堅焼きあられの食感が得られる。
図1は、本発明誠三方法の工程図、図2はあられ表面に結節と凹凸が形成された状態の写真、図3は全体にウェイブが形成された状態の写真である。
これを杵つき機又は製餅用練り機によって、搗き及び練りで餅状の生地に調整する。
この工程は、従来のあられ製造におけるものと変わらない。
これは結節を形成する工程であり、従来結節はあられ製造ではつくってはいけないものとして嫌われていたものであるが、本発明では逆にこれを活用しようと着眼している。
即ち、上記蒸気による蒸し工程で、もち米原料が糊化し杵つきで餅となった後、これを冷却していくと、その過程でアルファー化した澱粉の一部がβ澱粉へと変化する状態となり、分子の房が水分と空気でふくれた状態から冷えてβデンプン化し、分子が収縮して密に結合するものとなり、その過程で小さな(6mm〜10mm位の)餅の結節の核が発生する。このとき、もち米に含まれるアミロペクチンは、うるち米に含まれるアミロースと比べると、β化の速度がきわめて遅く、比較的ゆっくりと結節が形成されていくので、上記工程の調整がやり易い。
この結節を意識的に形成させることが本発明の一つの要点であり、該冷却工程によって端緒が開かれる。
上記冷却工程で50〜65℃程度に冷えた生地を例えば2本の平滑ロールに通して、生地を圧延状態におく。
すると、上記冷却工程で形成された結節の核が形成された比較的固い部分と、それ以外の糊化して未だ軟らかい部分とが併存し、それが2本のロールに挟まれて圧延される状態となる。その結果、固い結節の核の部分は圧に抗して凸状態となり、一方それ以外の柔らかい部分は引き延ばされ、結節の核の付近では強く伸ばされて、極めて薄い部分が発生する。
斯くして、上記結節の核を含んだ状態の餅生地を2本のロールに通していくと、結節の核を中心にした凸の部分と、その周辺に薄く引き延ばされた凹の部分とが形成され、全体的にでこぼこの変化に富んだ凹凸面が形成される(図2参照)。
更に、上記圧延状態とした生地は、抜き型を通して、例えば50mm×80mm程度の大きさに成形でき、あられ切断機による切断を要しない。
上記糊化で軟化した餅生地を50〜65℃付近まで冷却し、これをロールに通していくと更に若干冷されるが、該餅生地は約40〜55℃に保たれた状態となる。すると、餅生地は蒸し工程で一旦軟化した後、冷却の過程で徐々に硬化に向かうが、約40〜55℃の温度範囲では、生地の一端を持っても垂れ下がってしまう非常に柔らかい状態と、一部を持っても全体が持ち上がるカチカチに固まる状態のいずれでもなく、その中間の撓み性のある状態となる。
この撓み性があり、且つ2本のロールにより平板化された餅生地を、一定間隔を保った支持体上に載置する。この支持体には、例えば、亀甲網を用いることができる。
すると、支持体上の餅生地はそのままであるが、支持体と支持体に挟まれた中間の生地には餅の重さが荷重として働き、荷重によって撓みが生じ、つまり、2点の支持体上で固定される一方で、その中間部が自重で下側に沈むように撓み、全体に湾曲としての一定波形のウェイブが形成される(図3参照)。このウェイブは、従来のひねり、曲がり、波形を想起させる形態となる。
この支持体の間隔は、形成すべきウェイブの大きさによって異なるが、生地の温度、厚み等を勘案して決定される。図3では、生地の厚み5.5mmで、温度45℃のとき、40mm間隔の亀甲網を用いて成形した生地を示した。
支持体上に載置してウェイブを形成した餅生地を、そのまま冷蔵庫内に入れて、5〜7℃程度の低温下に3日間程度保存する。
冷蔵庫内で生地を収縮させ、「締まる」状態とし、焼成後に歯ごたえのある硬さとする。
この冷却工程が存しないと、例えば水切りと呼ばれる製法では、冷却が存せずに乾燥工程に移行させて焼き上げると、そのまま膨化して浮きの大きな柔らかい状態となる。
そこで、本発明では、生地を冷蔵庫内に保存して5〜7℃程度の低温下において、締めを行い、焼成時の膨化を調整する。
これによって、艶のある焼き上げとなり、凝縮した味で、ひび割れ模様ができ、シャリシャリ感を伴った歯ごたえのある食感がもたらされる。
例えば、循環乾燥機に投入して60℃程度に保って、水分が23%になる程度に乾燥する。
水分の蒸散に伴って焼成に適した状態の生地とする。
これは通常の焼成工程と同様で、平煎機、運行釜、反復釜等で焙焼し、調味して製品とする。
しかもその際、従来結節はダマと呼ばれる澱粉のアルファー化が進まない又は冷却のし過ぎによる不均一な生地組織の存在が味の劣る原因として指摘されていたが、本発明では、決して生地組織の不均一はなく、実質的に全体が均一にアルファー化した後、その見た目に関して独自の手焼き風の凹凸表現を試みたのであり、十分な糊化が進んで優れた味を呈し、味を落とすことがない。
又、ロールに通して平板状とした餅生地を約40〜55℃に保ち、一定間隔を保った支持体上に載置すると、支持体間に餅の荷重によって撓みが生じ、全体に湾曲としての一定波形のウェイブが形成される。
この大きなウェイブも、従来の手焼きで現れていた形態であり、ひねり、曲がり、波形を想起させる手焼き風を彷彿とさせる特徴となる。
更に、生地を冷蔵庫内に保存して5〜7℃程度の低温下において締めを行うので、艶のある焼き上げとなり、凝縮した味で、ひび割れ模様ができ、歯ごたえのある、いわゆる堅焼きあられの食感が得られる。
Claims (3)
- (a)もち米原料を蒸し且つ搗く蒸し上げ搗き工程と、
(b)該蒸し且つ搗いた蒸気で熱せられた熱い生地を、15〜20℃の冷気に15〜30分晒して、50〜65℃にまで冷やしてもち米分子が収縮して密に結合した結節を形成する結節形成工程と、
(c)該生地を平滑ロールに通して生地表面に凹凸を形づくる表面凹凸形成工程と、
(d)40〜60℃に保った生地を一定間隔を保った支持体で支持しつつ当該温度における自重による撓み性で湾曲させるウェイブ形成工程と、
(e)該生地を冷却させる締め工程と、
(f)該生地を乾燥させて細い気泡跡を形成する乾燥工程と、
(g)該生地を焼き上げる焼成工程と
から成るあられの製造方法。 - ウェイブ形成工程において、支持体が亀甲網である請求項1記載のあられの製造方法
- 締め工程において、冷却温度を5〜7℃とした請求項1又は2記載のあられの製造方法。
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