JP5020283B2 - 即席パスタ類の製造法 - Google Patents

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本発明は、パスタ同士の付着や変形が少なく、かつ復元性に優れ、復元後の食味、食感の良好な即席パスタ類を製造し得る即席パスタ類の製造法に関する。
即席パスタ類としては、短時間で復元すること、復元ムラがないこと、復元時のほぐれがよいこと、復元後の食味、食感、外観が良好であること、パスタ同士の付着や変形がないこと等が求められている。
このような要求を満たすために、種々の即席パスタ類の製造方法が提案されている。例えば、特許文献1には、押出し成型直後のパスタ生地を1〜10分間蒸す工程、蒸した生地を1〜20分間浸水させる工程、パスタから余分な水分を除去する工程、およびパスタを82〜177℃で2〜30分間トーストする工程を含む即席パスタの製造方法が提案されており、この製造方法によれば、復元後の食感および復元性に優れる即席パスタが得られることが記載されている。
また、特許文献2には、押出し成型した麺線を茹で処理する工程、茹で処理した麺線を蒸煮処理し、水分含量を50〜64重量%に調整する工程、蒸煮処理した麺線を乾燥する工程を備えた、スパゲティ、マカロニ等の洋風即席麺の製法が提案されており、この製法によれば、復元後の食感および復元性に優れる洋風即席麺が得られ、また製造時における麺線相互の結着を防止できることが記載されている。
特許文献3には、(1) 強力粉および/または中力粉からなる小麦粉と前記小麦粉に対して20〜40重量%の澱粉または加工澱粉とを主原料とする原料に、全粉体原料に対し25〜45重量%の水を加えて混練する工程、(2) 肉厚が0.9mm以下となるように成形する工程、(3) 0.1〜3kg/cm2 、0.5〜10分間の条件で蒸煮する工程、(4) 5〜40℃の水と接触させ、水分含量を40〜80%に調整する工程、(5) 0.1〜3kg/cm2 の条件で蒸煮し、α化度を50%以上にする工程、(6) 70〜90℃、20〜40%RHの条件で乾燥し、水分含量を5〜15%に調整する工程、からなる早戻りパスタの製造方法が提案されており、この製造方法によれば、湯戻り時間が短く、湯戻り後の食感および製品の透明感が良好な高品質のパスタが得られることが記載されている。
特許文献4には、常法により製麺された生麺線を60〜100℃の湯に浸漬、シャワーおよび/または噴霧をする湯処理をし、これを蒸煮した後で蒸煮麺の品温を0〜40℃に水で冷却処理をし、次いで熱風乾燥する即席麺類の製造方法が提案されており、この製造方法によれば、復元性に優れ、復元時の麺のほぐれがよい即席麺類が得られることが記載されている。
特許文献5には、茹で麺を緻密な麺線で嵩高な麺塊に乾燥してなるノンフライ乾燥即席麺が提案されており、この即席麺は、保存安定性、復元性、復元時の麺のほぐれ性に優れ、復元後の食味食感がよく、茹で伸びが遅いことが記載されている。
特表2004−514455号公報 特開平6−237720号公報 特開平8−38085号公報 特開平11−276105号公報 特開2003−153660号公報
前述の特許文献1〜5に記載された製造方法で得られる即席パスタ類は、十分に満足し得るものではなく、特に、パスタ同士の付着や変形の点で満足し得るものではない。
従って、本発明の目的は、パスタ同士の付着や変形が少なく、かつ、短時間でムラなく復元することができ、湯戻しのみならず水戻しも可能であり、復元時のほぐれがよく、復元後の食味、食感、外観が良好である即席パスタ類を製造し得る即席パスタ類の製造法を提供することにある。
本発明者らは、種々検討した結果、即席パスタ類の製造工程において、水分含量調整し、蒸煮処理した生パスタを乾燥処理するに際し、生パスタをパスタ同士が互いに接触しないように乾燥することにより、上記目的を達成する高品質の即席パスタ類が得られることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、生パスタを水または温水と接触させて水分含量を調整する工程、水分含量を調整した生パスタを蒸煮処理する工程、および蒸煮処理した生パスタを乾燥処理する工程を有する即席パスタ類の製造法において、蒸煮処理した生パスタを、軸流ファンに投入し通過させた後、高振幅型の流動層乾燥機を用いて乾燥処理することを特徴とする即席パスタ類の製造法を提供するものである。
本発明の即席パスタ類の製造法によれば、パスタ同士の付着や変形が少なく、かつ、短時間でムラなく復元することができ、湯戻しのみならず水戻しも可能であり、復元時のほぐれがよく、復元後の食味、食感、外観が良好である即席パスタ類が得られる。
本発明の即席パスタ類の製造法は、水分含量調整工程(生パスタを水または温水と接触させて水分含量を調整する工程)、蒸煮処理工程(水分含量を調整した生パスタを蒸煮処理する工程)、および乾燥処理工程(蒸煮処理した生パスタを乾燥処理する工程)有する製造法において、蒸煮処理した生パスタを、軸流ファンに投入し通過させた後、高振幅型の流動層乾燥機を用いて乾燥処理することを特徴とする。
以下、本発明の即席パスタ類の製造法をその好ましい工程順に説明する。
〔水分含量調整工程〕
この工程では、生パスタを水または温水と接触させて水分含量を調整する。生パスタと水または温水との接触方法としては、シャワー、噴霧、浸漬などによる方法があげられる。生パスタと水または温水との接触時間は、20〜90秒程度が好ましく、30〜60秒程度がより好ましい。接触時間が20秒未満では、パスタの吸水が不足し、蒸煮処理工程でのパスタのα化が不充分となり、また90秒超では、パスタの吸水が多すぎて、蒸煮処理工程以降でのパスタの付着が増大する。この水分調整工程により、最終的に、生パスタの水分含量を好ましくは40〜65質量%、より好ましくは45〜55質量%に調整する。生パスタ中の水分含量が40質量%未満では、蒸煮処理工程でのパスタのα化が不充分となり、また65質量%超では、蒸煮処理工程以降でのパスタの付着が増大する。
〔蒸煮処理工程〕
この工程では、水分含量を調整した生パスタを蒸煮処理する。蒸煮処理としては、飽和水蒸気を使用する方法、過熱水蒸気を使用する方法などがあげられるが、中でも、常圧の飽和水蒸気により、好ましくは5〜30分間、より好ましくは10〜20分間蒸煮処理する方法が好ましい。飽和水蒸気による蒸煮時間が5分未満では、パスタのα化が不充分となり、また30分超では、パスタ表面が硬くなり、喫食時の復元が悪くなる。
〔乾燥処理工程〕
この工程では、蒸煮処理した生パスタを乾燥処理して、水分含量を特定のレベルに調整する。具体的には蒸煮処理した生パスタを、軸流ファンに投入し通過させた後、高振幅型の流動層乾燥機を用いて乾燥処理する。
軸流ファンとは、円筒内の真中に軸があり、その軸に羽根が付いているもので、付着し合ったパスタをほぐすためのものである。かかる軸流ファンとしては、ポータブル軸流送排風機ハンディジェットなどの市販品を使用することができる。生パスタの軸流ファンへの投入は、蒸煮処理した生パスタの軸流ファンへの投入量を、軸流ファンの単位面積当たり、好ましくは4000kg/m2以下、より好ましくは3000kg/m2以下とし、軸流ファンの周速を、好ましくは15〜30m/s、より好ましくは25〜30m/sとして行う。この場合、生パスタの軸流ファンへの投入量が軸流ファンの単位面積当たり、4000kg/m2超では、軸流ファンを通過した後でも付着し合っているパスタが多くなる、もしくは全くほぐされずに付着し合ったパスタのままで通過してくる。また軸流ファンの周速が15m/s未満では、軸流ファンを通過した後でも付着し合っているパスタが多くなる、もしくは全くほぐされずに付着し合ったパスタのままで通過してくる、30m/s超では、パスタが割れてしまう、もしくはちぎれてしまう。
また乾燥処理に使用する高振幅型の流動層乾燥機としては、振動流動乾燥機など従来公知の流動層乾燥機を使用することができる。乾燥処理の条件は、高振幅型の流動層乾燥機の振幅を好ましくは3.0〜15.0mm、より好ましくは5.5〜6.0mmとし、単位処理面積当たりの熱風風速を好ましくは0.5〜2.5m/s、より好ましくは0.7〜1.5m/sとし、熱風温度を好ましくは80〜100℃、より好ましくは95〜100℃とし、生パスタの水分含量が好ましくは8〜14質量%、より好ましくは10〜12質量%になるまで乾燥する。この場合、振幅が3.0mm未満では、パスタが流動化せずせっかく軸流ファンでほぐしたパスタが再付着してしまう。15.0mm超の機械は製作困難である。また単位処理面積当たりの熱風風速が0.5m/s未満では、パスタが乾燥不足で振動流動乾燥機を通過後にパスタ同士が再付着してしまう、2.5m/s超では、パスタが過乾燥になってしまう。また熱風温度が80℃未満では、パスタが乾燥不足で振動流動乾燥機を通過後にパスタ同士が再付着してしまう、また100℃超では、パスタが膨化してしまう。さらに乾燥パスタの水分含量が8質量%未満では、パスタの復元性が悪く、また14質量%超では、パスタの保存性が悪くなる。
本発明の即席パスタ類の製造法が適用されるパスタ類としては、特に制限されるものではなく、スパゲッティなどのロングパスタ、マカロニなどのショートパスタのいずれにも適用することができるが、特に、マカロニなどのショートパスタに適用することが好ましい。
本発明で用いられる生パスタは、常法に従って製造されたものでよく、特に制限されるものではない。例えば、公知の押出し成型の方法などにより、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉)、米粉、とうもろこし粉、そば粉などの穀粉類、水、およびその他の材料(澱粉類、蛋白類、油脂類、食物繊維、乳化剤、増粘剤など)を用いて製造されたものである。
また、生パスタの水分含量も、特に制限されるものではなく、通常の生パスタの水分含量と同様に28〜33質量%程度でよい。
以上、本発明の即席パスタ類の製造法について説明したが、特に好ましい実施形態の一例をあげると以下の通りである。
先ず、生パスタの水分含量調整および蒸煮処理を並行して行う。水分含量調整および蒸煮処理は、具体的には、常圧の飽和水蒸気により5〜30分間蒸煮処理を行いながら、20〜60℃の水または温水を生パスタにシャワーして、生パスタの水分含量を40〜65%に調整する。次いでこの生パスタを、軸流ファンに投入し通過させた後、高振幅型の流動層乾燥機を用いて乾燥処理する。生パスタの軸流ファンへの投入は、生パスタの軸流ファンへの投入量を、軸流ファンの単位面積当たり、3000kg/m2以下とし、軸流ファンの周速を25〜30m/sとして行う。また乾燥処理は、流動層乾燥機の振幅を5.5〜6.0mmとし、単位処理面積当たりの熱風風速を0.7〜1.5m/sとし、熱風温度を95〜100℃とし、生パスタの水分含量が8〜14質量%になるまで乾燥する。
本発明の製造法により得られる即席パスタ類は、従来の即席パスタと同様の方法および条件により、保存、流通、喫食することができる。特に本発明の製造法により製造される即席パスタ類は、湯戻しだけでなく水戻しが可能である。また湯戻しする場合、湯戻し時間が格段に短く、短時間(2〜3分程度)で復元することが可能である。水戻しする場合も、20〜30分程度で復元することが可能である。
次に本発明をさらに具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
実施例1
常法により製造した生マカロニを、常圧の飽和水蒸気により10分間蒸煮処理を行いながら、50℃の温水を生マカロニに40秒間シャワーして、生マカロニの水分含量を50質量%に調整した。
次に、この生マカロニを、軸流ファン(TRUSCO製ポータブル軸流送排風機ハンディジェット)に、軸流ファンの単位面積当たり3000kg/m2の投入量で投入した。尚、軸流ファンの周速は30m/sとした。
次いで、軸流ファンを通過した生マカロニを、高振幅型の流動層乾燥機(日本乾燥機製振動流動乾燥機)を用いて乾燥処理を行うことで、水分含量が12質量%である即席マカロニを製造した。乾燥条件としては、流動層乾燥機の振幅幅を5.5mm、単位処理面積当たりの熱風風速を1.5m/s、熱風温度を100℃、乾燥時間を5分とした。
得られた即席マカロニについて、付着性、復元性、復元後の食味、食感及び外観を、10名のパネラーにより、下記に示す評価基準にしたがって評価試験を行った。得られた評点の平均値を下記の表1に示す。尚、即席マカロニの復元は、次のようにして行った。
〔即席マカロニの復元方法〕
即席マカロニ25gを磁器製の容器に入れ、200mlの熱湯(95℃)を注ぎ、3分間復元させ、その後お湯を切り、評価に供した。
〔評価基準〕
・付着性
評点 5 パスタ同士の付着が全く無い。
4 パスタ同士の付着が少し見られるが、復元後は付着なし。
3 パスタ同士の付着が少し見られるが、復元はほぼ付着なし。
2 パスタ同士の付着が少し見られ、復元後もやや付着あり。
1 パスタ同士の付着がかなり見られ、復元後もやや付着あり。
・復元性
評点 5 パスタ全体が完全に復元している。
4 パスタ全体がほぼ完全に復元している。
3 パスタの一部で復元がやや悪いが、喫食には問題ない。
2 パスタの一部で復元がやや悪く、やや喫食し難い。
1 パスタの一部で復元が悪く、喫食し難い。
・復元後の食味
評点 5 完全に復元しており、非常に美味しい。
4 ほぼ完全に復元しており、美味しい。
3 一部で復元がやや悪いが、普通の美味しさ。
2 一部で復元がやや悪く、やや美味しくない。
1 一部で復元が悪く、美味しくない。
・食感
評点 5 パスタ全体が非常に滑らかで、弾力のある食感
4 パスタ全体が滑らかで、弾力のある食感
3 パスタのほぼ全体が全体が滑らかで、弾力のある食感
2 パスタの一部がやや硬く、ネチャつく食感
1 パスタの一部が硬く、ネチャつく食感
・外観
評点 5 パスタ全体の形状が整っている。
4 パスタほぼ全体の形状が整っている。
3 パスタの一部に付着やつぶれが見られるが、問題ない。
2 パスタの一部に付着やつぶれが見られ、やや目立つ。
1 パスタのかなりの部分に付着やつぶれが見られ、目立つ。
比較例1
軸流ファン及び流動乾燥機を使用する代わりに、通常の乾燥装置(日本乾燥機製)を用いて70℃、30分間乾燥処理した以外は、実施例1と同様にして、即席マカロニを製造した。得られた即席マカロニについて、実施例1と同様にして評価試験を行った。得られた評点の平均値を下記の表1に併せて示す。
Figure 0005020283

Claims (4)

  1. 生パスタを水または温水と接触させて水分含量を調整する工程、水分含量を調整した生パスタを蒸煮処理する工程、および蒸煮処理した生パスタを乾燥処理する工程を有する即席パスタ類の製造法において、蒸煮処理した生パスタを、軸流ファンに投入し通過させた後、高振幅型の流動層乾燥機を用いて乾燥処理することを特徴とする即席パスタ類の製造法。
  2. 常圧の飽和水蒸気により5〜30分間蒸煮処理を行いながら、水または温水を生パスタにシャワーして、生パスタの水分含量を40〜65%に調整することにより、上記水分含量を調整する工程及び蒸煮処理する工程を並行して行う、請求項1記載の即席パスタ類の製造法。
  3. 蒸煮処理した生パスタの軸流ファンへの投入量を軸流ファンの単位面積当たり3000kg/m2以下とし、軸流ファンの周速を25〜30m/sとする請求項1または2に記載の即席パスタ類の製造法。
  4. 高振幅型の流動層乾燥機の振幅幅を5.5〜6.0mmとし、単位処理面積当たりの熱風風速を0.7〜1.5m/sとし、熱風温度を95〜100℃とする請求項1または2に記載の即席パスタ類の製造法。
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