JP2749753B2 - 洋風即席麺の製法 - Google Patents

洋風即席麺の製法

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JP2749753B2 JP5047559A JP4755993A JP2749753B2 JP 2749753 B2 JP2749753 B2 JP 2749753B2 JP 5047559 A JP5047559 A JP 5047559A JP 4755993 A JP4755993 A JP 4755993A JP 2749753 B2 JP2749753 B2 JP 2749753B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱水を注ぐだけで復元
するマカロニ、スパゲティ等の洋風即席麺の製法に係
り、更に詳しくは、押出成形して製造される即席麺にお
いて、麺の厚みが厚くても短時間で熱水復元し、食感が
良好な洋風即席麺の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、即席麺類は、小麦粉を主体とす
る穀粉原料に加水して麺生地とした後、蒸煮処理、乾燥
等の処理を施して製造され、喫食時に熱湯を注いで、3
〜5分間程度で復元させ、喫食される。上記製造工程に
おいて、中華麺や和風麺は、麺生地を麺線化する際に、
圧延後切り刃で切り出して製造されるのに対し、スパゲ
ティやマカロニ等の洋風即席麺は、麺生地を押出成形し
て緻密な麺組織にし、腰の強い特有の食感としている。
しかしながら、このために洋風即席麺は、中華麺や和風
麺に比べ、熱水復元性が悪いという問題がある。
【0003】これを改良する方法としては、例えば、特
公平1−26668号公報に記載の方法が挙げられる。
この方法は、麺線化したマカロニ、スパゲティを、茹で
たり蒸煮する等の加水・加熱処理を施し、水分65〜8
0重量%(以下%と記す)とした後、40〜150℃で
乾燥するものである。しかしながら、この方法では、熱
水を注いで5分程度で復元させるために、麺の厚みを
1.0mm程度に薄くする必要がある。従って、スパゲ
ティの場合には、麺厚を1.0mm以下とするために、
麺線中心部が空洞となった、いわゆる穴あきスパゲティ
にしなくてはならない。穴あきスパゲティは、熱水を注
いだときの吸水効率は良いが、中心部が空洞になってい
て麺厚が薄いために、噛んだときに特有の腰の強い食感
が体感しにくく、本物のスパゲティとは程遠いものとな
ってしまう。また、この方法によって得られるスパゲテ
ィやマカロニは、熱水を注いだときの復元性を良くする
ために、押出成形後、加水・加熱処理によって水分を6
5〜80%に調整し、小麦粉澱粉のα化を促進する必要
があるが、水分が上記範囲であると、乾燥工程で麺線同
士が付着しやすく、乾燥ムラができて、熱水を注いで復
元させたときの復元ムラの原因となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑みなされたものであって、その目的とするとこ
ろは、麺の厚み(麺径)が1.5mm以上と太く、穴の
開いていないタイプの高圧押出成形される洋風即席麺で
あっても、熱水を注ぐだけで短時間に復元し、かつ、洋
風麺特有の腰の強い食感とすることができる洋風即席麺
の製法を提供するにある。更に他の目的は、押出成形後
の麺線を加水・加熱処理した後、乾燥する際に、麺線相
互の結着が防止できる洋風即席麺の製法を提供するにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、下記工程
を順次備えてなることを特徴とする洋風即席麺の製法に
よって達成される。 (A)小麦粉を主体とする麺原料と水とを混練する工
程。 (B)上記混練物を押出成形し、麺線化する工程。 (C)上記麺線を茹で処理する工程。 (D)上記茹で処理した麺線を蒸煮処理し、水分を50
〜64重量%に調整する工程。 (E)上記蒸煮処理した麺線を乾燥する工程。
【0006】すなわち、本発明者らは、麺厚が厚く、高
圧で押出成形された即席麺であっても、復元性に優れる
麺線を得る方法について検討を行った。その結果、ま
ず、押出成形して得られた麺線を加水、加熱する際の、
茹で処理条件について検討を行った。その結果、水分6
5%以上のいわゆる「芯のない状態」まで茹で処理をす
ると、特に麺線表面において澱粉の膨潤が過多になり、
この状態で乾燥された麺線は、熱水復元時に麺線内部へ
の熱水の浸透性が悪くなることがわかった。そこで更に
検討した結果、麺線の中心部において吸水率が低くなっ
ている、いわゆる「芯の残った状態」となるまで茹で処
理し、次に、上記麺線に蒸煮処理を施すことによって、
麺線中心部まで水分を均一に行き渡らせ、「芯の残った
状態」がなくなるようすると、洋風即席麺の復元性が飛
躍的に向上することを見出した。更に、茹で処理、蒸煮
処理後の麺線の水分が50〜64%となるようにするこ
とにより、麺線相互の付着が防止され、乾燥したときの
乾燥ムラが防止されることを見出し本発明に到達した。
【0007】次に、本発明を詳しく説明する。本発明の
洋風即席麺は、スパゲッティ、マカロニ等の洋風麺であ
り、小麦粉を主体とする麺原料からなる。本発明に用い
る小麦粉は、通常麺に用いられる各種小麦粉でよい。中
でも、デュラム小麦粉等の硬質小麦粉や、強力小麦粉等
の蛋白質含有量の高い小麦粉が好適に用いられる。ま
た、その配合量は、麺の種類によっても異なるが、通常
70〜98%程度である。
【0008】また、上記小麦粉の他に、麺原料中には、
食塩、着色料、安定剤、乳化剤、澱粉、香料、呈味料、
麺質改良剤等を適宜添加するようにしてもよい。特に、
食塩を、麺原料全体重量中の0.5〜2.0%程度添加
すると、復元性、風味の点で更に好適である。
【0009】更に、本発明の麺原料には、酸化澱粉を添
加すると、熱水復元性が更に高まるため、麺線をより太
くしたり、復元時間をより短くしたりできるので好適で
ある。上記酸化澱粉としては、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱
粉、コーンスターチ等の澱粉原料に、次亜塩素酸塩、さ
らし粉、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、硝酸等の
酸化剤を反応させ、澱粉分子のグリコシド結合の切断、
グルコース残基のC6の水酸基のカルボキシル化、
2、C3 のカルボニル化やカルボキシル化等の処理を
したものである。
【0010】上記酸化澱粉の中でも、その10%溶液の
粘度が、25℃において、B型粘度計にて100cps
以下である酸化澱粉を使用することが好適である。粘度
が100cpsを超えると、粘度が高くなりすぎ、麺類
の復元性が悪くなる傾向にある。このような酸化澱粉と
しては、例えば、「スタビローズBM」(松谷化学工業
(株)製)、「スタビローズS−10」(松谷化学工業
(株)製)、「スタビローズK」(松谷化学工業(株)
製)等が挙げられ、好適に用いられる。また、上記酸化
澱粉の配合量は、麺原料全体重量中、3〜30%に設定
する事が望ましい。酸化澱粉が3%未満だと、得られる
即席麺の熱水復元性が悪く、麺厚を厚くしにくくなる傾
向にある。逆に、酸化澱粉が30%を超えると、熱水で
復元したときの麺の腰が弱く、また、乾燥時のひび割れ
が著しくなって、外観が悪くなると共に、滑らかな食感
となりにくい傾向にある。
【0011】次に、上記麺原料を用いて本発明の洋風即
席麺の製法は、例えば、次のようにして行われる。すな
わち、まず、上記麺原料に加水し、混練して、好ましく
は水分が25〜35%の混練物とする。混練物の水分が
25%未満だと、押出成形時の圧力が高くなりすぎて、
麺組織が高密度になり、熱水を注いだときの復元性が悪
くなる傾向にある。逆に、水分が35%を超えると、麺
線が軟らかくなるため、押出成形直後の麺線が自重で伸
びたり、麺線同士が付着しやすい傾向にある。なお、上
記混練を減圧下で行うと、スパゲティ特有のコシのある
食感とすることができる点で更に好適である。
【0012】次に、上記混練物を、押出機等を用いて押
出成形し、麺線化する。このときの押出圧力は、麺原料
の配合比、水分等によって多少異なるが、50〜120
kg/cm2 が好ましい。押出ノズルの形状は、洋風即
席麺の種類によって異なるが、スパゲティの場合、円形
で直径が1.5〜2.0mmのものが適当である。ま
た、例えば、図1、図2に示すような変形ノズルを用い
て、押出成形を行ってもよい。このノズルは、麺線表面
が凹凸となるように構成されたものである。このような
変形ノズルを用いると、復元性が特に向上すると共に、
復元時の麺線の外観をより太くみせることができ、好適
である。また、押出成形した後、麺線を乾燥させると、
スパゲティ特有の腰、食感を保持でき、好適である。
た、乾燥時に加湿しながら徐々に乾燥することが中心部
まで均一に乾燥する点で望ましい。
【0013】次に、上記のようにして得られた麺線を、
20〜30cm程度に切断し、茹で処理を行う。この茹
で処理は、例えば、麺線を90〜100℃の熱水中で2
〜15分間茹で、麺線水分を好ましくは45〜64%に
調整し、麺線表面に膜を形成させて麺線中心部の吸水率
が少ない、いわゆる「芯の残った状態」とする。このと
き、茹で処理を高圧下で行ってもよい。茹で処理後の水
分が45重量%未満の場合、後工程の蒸煮によっても麺
線中心部に「芯の残った状態」のままとなり、水分の付
与が麺線中心部にまで充分に行われにくい。従って、熱
水復元時の麺が芯のある固い食感となり易い。また、逆
に64重量%を超えた場合、特に、麺線表面において澱
粉の膨潤が過多になり、この状態で乾燥された麺線は、
熱水復元時に麺線内部への熱水の浸透性が悪くなる。ま
た、乾燥時に麺線が相互に結着してしまうため、乾燥ム
ラや、復元ムラが生じる傾向にある。
【0014】次に、上記茹で処理を終えた麺線を、飽和
水蒸気にて0.5〜4分間蒸煮処理し、麺線水分を50
〜64%、好ましくは55〜62%に調整する。この蒸
煮処理を行うことによって、麺線中心部の「芯」の部分
にまで水分が行き渡り、麺線全体の吸水率を均一化する
ことによって復元性を高めることができる。また、蒸煮
後の麺線水分が50%未満であると、麺線中心部に「芯
の残った状態」のままで、乾燥されてしまうため、熱水
復元時の麺が「芯」のある固い食感となってしまう。逆
に、64%を超えると、特に、麺線表面において澱粉の
膨潤が過多になり、この状態で乾燥された麺線は、熱水
復元時に麺線内部への熱水の浸透性が悪くなる。また、
麺線表面の澱粉が溶解して乾燥時に麺線同士の結着を生
じ、復元性が悪かったり、復元ムラの原因となったりす
る。
【0015】このように、本発明は、麺線を茹で処理し
た後、蒸煮処理を施すことを特徴とするものであって、
まず、茹で処理により、表面に膜を形成させ、麺線中央
部は「芯の残った状態」としておき、次に、蒸煮処理を
施して、水分を麺線中心部まで均一に行き渡らせ、水分
を50〜64%に調整することにより、比較的太い麺線
であっても、復元性に優れる洋風即席麺を得るものであ
る。
【0016】次に、上記蒸煮処理をした麺線を、乾燥す
る。乾燥方法は、熱風乾燥、真空凍結乾燥、マイクロウ
ェーブ乾燥等、従来知られている乾燥方法を適宜1種も
しくは組み合わせて行えばよいが、中でも、熱風乾燥
は、復元時に腰の強い食感とすることができること、生
産効率が良いこと、エネルギーコストが低いこと等の点
で好適である。なお、熱風乾燥する際には、麺原料の配
合比、水分等によっても異なるが、40〜140℃で3
0分〜5時間乾燥すればよい。また、乾燥後の麺線の水
分は、好ましくは15%以下、より好ましくは13%以
下にすることが常温で長期保存安定性に優れる点で望ま
しい。また、水分を10%以下にすると、経日に伴い、
麺線表面に細かいランダムなひび割れが適度に発生し、
復元性を向上させることができる。
【0017】上記のようにして得られた洋風即席麺は、
95℃程度の熱水を注ぐと、4〜5分程度で復元する。
また、茹で処理、蒸煮処理もしくは乾燥工程の前後に、
乳化剤の水溶液や、乳化剤と油脂との乳化液を噴霧する
と、麺線同士の結着の防止の点で更に好適である。
【0018】
【発明の効果】以上のように、本発明の洋風即席麺の製
法は、押出成形された麺線に、まず茹で処理をし、麺線
中央部は「芯の残った状態」としておき、次に、蒸煮処
理をして水分を麺線中心部まで均一に行き渡らせ、水分
を50〜64%に調整しているので、即席麺の熱水復元
性が飛躍的に向上する。従って、スパゲティ等の高圧下
で押出成形される洋風麺の場合でも、麺厚を薄くした
り、麺線中心部を穴空きにすることなく麺線を短時間で
熱水復元することができ、スパゲティ本来の食感、外観
とすることができる。また、乾燥工程での麺線相互の結
着が防止され、乾燥ムラ、復元ムラを防止することがで
きる。
【0019】次に、本発明を実施例を挙げて具体的に説
明する。 〈実施例1〜5、比較例1、2〉表1もしくは表2に示
す配合及び製造条件で即席スパゲティを製造した。すな
わち、表1もしくは表2に示す麺原料に加水し、混練
し、押出機を用いて押出形成した。次いで、実施例3以
外は、得られた麺線を乾燥させた。次に、この麺線を1
00℃の熱湯に浸漬して茹で処理を施し、更に、100
℃の飽和蒸気で蒸煮処理を施した。そして、蒸煮処理を
施した麺線を、ざる状容器内で乾燥させ、更にコンベア
上で乾燥させ、即席スパゲティを得た。得られた即席ス
パゲティの麺線同士の結着性を目視確認すると共に、専
門パネラー20名にて、即席スパゲティを95℃の熱水
で復元させ、復元時間を測定し、また、復元性、喫食し
たときの食感を官能評価した。その結果を表1、表2に
あわせて示す。
【0020】〈比較例3〉蒸煮処理を施さなかった他
は、実施例1と同様にして、即席スパゲティを調製し、
評価した。その結果を表2に示す。
【0021】〈比較例4〉茹で処理を施さなかった他
は、実施例1と同様にして、即席スパゲティを調製し、
評価した。その結果を表2に示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】以上の結果から、実施例の即席スパゲティ
は、いずれも麺線同士の結着がなく、また、復元したと
きの復元ムラがなく、好結果が得られた。更に、図1に
示した変形ノズルを用いて押し出した麺線を用いた実施
例2や、酸化澱粉を添加した実施例4では、復元性にお
いて特に好結果が得られた。特に、実施例2及び実施例
5は実施例1に比べて、麺の太さが太く見え、ボリュー
ム感が感じられ、良好であった。これに対し、比較例の
即席スパゲティは、麺線同士が結着したり、また、復元
したときの復元むら、復元不足、食感(弾力性、腰、滑
らかさ等)の低下があったりして好ましくなかった。
【0025】〈比較例5〉実施例1において、蒸煮処理
を施した後、茹で処理を施すようにする以外は、実施例
1と同様にして即席スパゲティを得た。その結果、麺線
の見かけ水分は58%で、実施例1と同じであったが、
麺線中心部に芯が残ってしまい、熱水で5分間復元した
ときは、麺線中心部が復元不良となり、また、食感的に
も生感が残って好ましくなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される押出ノズルの断面形状の一
例を示す説明図。
【図2】本発明に使用される押出ノズルの断面形状の一
例を示す説明図。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程を順次備えてなることを特徴と
    する洋風即席麺の製法。 (A)小麦粉を主体とする麺原料と水とを混練する工
    程。 (B)上記混練物を押出成形し、麺線化する工程。 (C)上記麺線を茹で処理する工程。 (D)上記茹で処理した麺線を蒸煮処理し、水分を50
    〜64重量%に調整する工程。 (E)上記蒸煮処理した麺線を乾燥する工程。
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