JP4098576B2 - 玄米粥 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明品は経時的な米粒の崩壊が低減化され、風味に優れた玄米粥に関する。さらに詳しくは、海産物を具材とした際の海産物特有の臭みを低減化した玄米粥に関する。
【0002】
【従来の技術】
玄米を原料としたお粥は、通常、外皮が固く、えぐみ、渋味が強く、レトルト粥に加工しても、食感のざらつき、糠臭、えぐみ、渋味が顕著になるという問題があり、健康指向の高い消費者には栄養価の高い玄米粥は、認知され需要があるものの、未だに広く一般に浸透するまでには至っていないのが現状である。
ところで、海産物を具材としたお粥を製造する場合には、通常の白米のお粥では、魚介類特有の生臭さが際立ち、調味料、香油などの添加でも、魚介臭の改善は困難であった。また、使用する原料を玄米にしてお粥にした場合においては、玄米特有の糠臭、えぐみ、渋味が影響し、さらに風味を損なってしまうという欠点がある。
【0003】
レトルト粥は簡単な製品のようであるが、米粒の経時的な崩壊抑制、風味の維持は、使用する米の品種によって異なる。従って、調理条件を微妙に変化させなくてはならず、おいしく均一に仕上げることが難しい製品である。特に製造後の粒立ちの維持、例えば、1〜2年間程度の品質保証期間中、お粥の粘度、粒立ちなどの品質を維持することを解決しなくてはならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、経時的な米粒の崩壊が低減化され、風味に優れた玄米粥であって、さらには、海産物を具材とした際の海産物特有の臭みを低減化した玄米粥を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、特定吸水率の多孔質構造を有する発芽玄米を使用することで、経時的な米粒の崩壊を低減化することができ、通常、玄米を使用したときに問題となる糠臭、えぐみ、渋味などの風味が改善されることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下のとおりである。
1.多孔質構造を有し、且つ、吸水率が110〜150質量%である発芽玄米に、水、海産物、調味料を加えてレトルト殺菌処理して得られる、海産物特有の臭みが低減化されたレトルト玄米粥であって、レトルト殺菌処理が90℃以上、110℃未満の一次加熱処理と、さらに110℃以上、130℃以下の二次加熱処理を経て行われたことを特徴とするレトルト玄米粥。
2.海産物がフカヒレであって、その配合率が、水分含量15質量%に換算した発芽玄米1質量部に対して、フカヒレが乾燥重量として0.05〜1質量部であることを特徴とする1.記載の玄米粥。
.多孔質構造を有し、且つ、吸水率が110〜150質量%である発芽玄米に、水、海産物、調味料を加えてレトルト殺菌処理して得られる、海産物特有の臭みが低減化されたレトルト玄米粥を製造する方法であって、レトルト殺菌処理が90℃以上、110℃未満の一次加熱処理を5〜10分間と、さらに110℃以上、130℃以下の二次加熱処理を15〜30分間行うことを特徴とするレトルト玄米粥の製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
玄米粥の製造方法において、玄米と水の混合割合は吸水率で決まってくる。吸水率が低いと玄米への含水率を上げるためにレトルト処理時の加熱温度を高く設定する必要があるが、加熱条件が過酷になるほど、レトルト臭が強調され、風味は悪くなる傾向にある。加熱条件が穏やかでも加熱時間が長くなれば風味は悪くなる。したがって、必要最小限の加熱に留めることができるように、玄米の吸水率を定めることが肝要である。
【0007】
本発明でいう吸水率は、30℃の水を用いて、30℃の恒温条件下にて60分間浸漬した後の発芽玄米の吸水重量を浸漬前の重量で除し、%で表したものである。お粥の製造において好ましい原料米の吸水率は、110〜150%が良く、さらに好ましくは120〜140%が良い。吸水率が110%より低い場合には、一般的なレトルト処理(121℃、30分)を施したのみでは、製造後の米の吸水が遅く、粒の形状が製造直後に比べて、顕著に変化するため、品質的に不安定となる。また、レトルト処理時の加熱条件(温度、時間)を一般的なレトルト処理(121℃、30分)よりも過酷な条件を設定する場合には、レトルト臭などが発生し、風味が悪くなる。一方、吸水率が150%を超えると、レトルト時の条件(温度、時間)を緩和することができるが、米粒の吸水が早すぎ、粒の崩壊が起こり、お粥の粘度を過剰に上昇させ、食味に悪影響を及ぼしてしまう。
【0008】
玄米の吸水率を調整する際には、玄米の表面を搗精或いは玄米を吸水処理後、膨化させ、玄米に亀裂を生じさせるなどの公知の方法によって吸水性を高めることができる。しかし、玄米の吸水性を高めても、糠臭、渋味、えぐみが強い。しかし、玄米を浸漬・発芽処理した発芽玄米を使用することにより、風味の良いお粥を得ることが可能となり、さらに発芽玄米を湿熱処理、乾燥した玄米は、胚乳部分が多孔質化しており、米の中心まで十分に調味液が浸透しやすいことから、風味の良いお粥を容易に製造することが可能となる。
【0009】
また、発芽玄米を湿熱処理、乾燥したときの水分量は、13〜20%が好ましく、さらに好ましくは14〜18%が良い。水分量は、発芽玄米の吸水性にも影響を与える。水分量が13%未満では、吸水性が高くなりすぎ、お粥に加工すると、粒の崩壊が発生しやすくなる。一方、水分量が20%を超えると吸水性が弱くなり、調味料と玄米の味の馴染みが悪く、風味に優れた玄米粥を得ることは困難となる。
【0010】
尚、吸水率は水分だけでなく、発芽玄米の表皮の剥離や、裂傷などにも大きく影響される。従って、水分量の調整や搗精することで、吸水率をコントロールすることが可能であり、搗精が進めば、吸水率も大きくなる。また、水分量、α化度、浸漬吸水率は適宜実験することにより、搗精、蒸煮、乾燥の条件を定めて所望の値に調整することができる。
【0011】
本発明に供される発芽玄米は、後述の実施例及び図1に示されるように、多孔質構造を有する。このような多孔質構造の玄米は、通常、玄米を浸漬処理し、湿熱処理後、乾燥することにより得られる。玄米の浸漬処理により玄米の糠層及び胚乳組織が吸水し膨潤化する。これを湿熱処理後、乾燥することにより膨潤化した形態を保ったまま乾燥され、糠層及び胚乳組織が多孔質となる。また、浸漬処理により玄米の糠層の蓚酸が除去される。蓚酸含量は、玄米中20mg/100g未満とするのが好ましく、15mg/100g以下であるのがより好ましい。そうすることで、玄米独特のえぐみが低減化され、食味が良くなる。
【0012】
玄米の浸漬処理は、例えば次のような方法で実施できる。玄米を通常2乃至4回程洗米し、水切り後、浸漬槽(浸漬用タンク)に浸漬する。洗米に供する水は、水道水、蒸留水、井戸水、酸性水、電解食塩水、オゾンを溶存させた水等の食品用に使用できる水であれば、いずれの使用も可能である。
浸漬槽の浸漬条件は、通常20乃至50℃の温水中に発芽するまで浸漬するか、あるいは例えば3乃至5時間程浸漬し、その後脱水を行い、間欠的に散水を行って、所定時間、高湿度の条件下で発芽させる方法が良い。使用する温水は、前記の洗米工程で例示した様な水が例示でき、食品用に使用できる水であれば、いずれも可能である。また、浸漬から発芽工程を液相中で実施する場合は、例えば、3乃至48時間、通常20乃至50℃の温水中に浸漬させ、発芽させる。尚、浸漬中は、適度なエアレーションを行うことで、均一な発芽を行うことが出来る。
【0013】
発芽させる場合には、一般的には胚の部分から0.5mm〜2.0mm程度の膨らみ、あるいは突起部、幼芽が確認できる程度の状態が良い。発芽後は、加熱処理して、発芽を停止させるが、その方法としては、蒸煮させても良いし、熱風あるいはマイクロウェーブ、冷却等の適当な方法により、温度処理あるいは乾燥させても良い。
【0014】
浸漬タンクから玄米を排出して次の乾燥工程へ移行するが、乾燥前に、玄米がほぼ単粒状態になる程度まで付着水を除去し、ついで湿熱処理を施して乾燥するのが好ましい。単粒状態とは玄米粒が表面の付着水によって大部分が互いに付着していない状態である。これによって、湿熱処理、乾燥工程時のハンドリングが行いやすくなり、粒同士あるいは機器壁面への付着、α化度の不均一、乾燥むらを防ぐことが可能となり、乾燥効率も改善できる。表面の付着水の除去は、例えば、排出した玄米を水切りコンベア上に載せて行うことができるし、その際に振動を与えたり、送風を行うことでより効率良く表面の付着水を除去することができる。また、必要に応じて、例えば攪拌機能をもった回転羽、スクリューなどで攪拌を行うと尚良い。
【0015】
湿熱処理は、具体的には、飽和水蒸気か熱水あるいは過熱蒸気等を熱媒体として高湿度雰囲気、例えば湿度60%以上の雰囲気で対象物を加熱する方法である。この場合には、加熱対象物と熱媒体を直接接触させ加熱する方法と例えば湿度60%以上の雰囲気でかつ伝導加熱方式のように間接的に熱媒体を接触させ、加熱する方法のどちらでも実施可能である。具体的な条件は、例えば、蒸気温度98〜180℃で3秒〜30分間処理することができる。蒸気温度が98℃以下の場合、α化、乾燥自体に問題はないが、所望のα化に要する時間が長くなるため、工業的に大量生産を行う場合には、あまり好ましくない。一方で、180℃を超えるとα化が進みすぎる問題があり、米粒の付着が生じ、乾燥工程のハンドリングが悪くなる。処理時間は、3秒未満では、粒のα化度にムラが生じやすいこともあるが、実際の工程における制御も難しい。また、処理時間が30分を超えると玄米のα化が進行し過ぎ、乾燥工程でのハンドリングが悪い。
【0016】
また、上述した以外の方法として米飯製造や発酵工業等で行われる米の蒸煮処理を用いた方法が例示できる。具体的には、例えば、浸漬・発芽処理した玄米を0.1〜7.0kg/cm2、好ましくは0.1〜2.0kg/cm2の条件下で、3秒〜30分間、好ましくは10秒〜30分間蒸気で処理する方法である。蒸気圧が、0.1kg/cm2未満では、胴割れ、砕米の発生防止効果は少なく、処理時間が3秒未満でも同様である。逆に処理時間が長くなりすぎると、α化が進み過ぎ、乾燥工程のハンドリングが悪くなる傾向がある。一方、蒸気圧が7.0kg/cm2を超えても、胴割れ、砕米の発生防止効果は得られるが、圧力が高すぎ、安全性に問題がある。
【0017】
乾燥は、対流(熱風)乾燥法、放射乾燥法、伝導乾燥法、電磁波等による均一発熱法、真空乾燥法、凍結乾燥法等のいずれの方法をもっても行うことが可能である。
また、所望の水分値に達するまでに、工程中にテンパリングを行うことで、仕上がりが美しく、砕米の発生をより低減させることが可能である。
【0018】
湿熱処理や乾燥の条件はα化度に影響を及ぼす。α化度とは、β−アミラーゼ・プルラナーゼ法(BAP法)によって測定した値である。BAP法は糊化デンプンと生デンプンまたは老化デンプンを識別するのに優れた方法である。湿熱処理や乾燥を緩やかな条件で行うとα化度は低くなり、温度を高くしたり時間を長くするとα化度は高くなる。発芽玄米のα化度は、通常5〜50%であり、好ましくは、5〜40%、さらに好ましくは10〜40%であり、このような範囲になるように、熱処理、乾燥の条件を定めるのが好ましい。
なお、原料玄米をあらかじめ搗精することにより、乾燥時間を短縮し、果皮の硬さや異臭を低減させることが可能になる。また、乾燥後に発芽玄米の表皮の一部を搗精して剥離・裂傷することで、表皮の固さや異臭をより低減させることもできる。このようにして浸漬、乾燥処理した多孔質玄米を得ることができる。
【0019】
本発明でいう海産物とは、例えば、フカヒレ、カニ、鮭、鰤、鯵、鰈、鱒、鮪、鯖、細魚、鰯、秋刀魚、鯛、平目、白魚、雑魚などの魚類、帆立、アワビ、しじみ、牡蠣、サザエ、ツブ貝、赤貝、ミル貝、ホッキ、アオヤギ、とり貝、平貝、まて貝などの貝類、白子、イクラ、数の子、ホヤ、ウニなどをいう。通常、これらの海産物を具材として使用し、白米でお粥を作ると独特の生臭みが際立ち、調味料、香油、香料などを使用しても風味に劣るが、米原料として発芽玄米を使用することで、生臭みを軽減することが可能となり風味に優れた海鮮粥を得ることができる。
【0020】
特に海産物にフカヒレを使用した場合、海産物特有の生臭み以外に、獣臭が強く出るという欠点がある。したがって、風味の良好なお粥を得るには、具材に使用するフカヒレの配合率が発芽玄米(水分含量15質量%に換算して)1質量部に対してフカヒレ(乾物)0.05〜1質量部がよく、好ましくは0.1〜1質量部が良い。フカヒレの比率が0.05質量部未満の場合には、海鮮粥特有の食感、風味に欠ける。一方、フカヒレの比率が1質量部を超えると、発芽玄米の消臭効果が低減化され、臭みが強くなる傾向が出てくる。
【0021】
このように、海産物を具材としたお粥を作るときには、発芽玄米を原料とすることで魚介臭や糠臭の影響を受けずに、風味の良好なお粥が提供できる。特にフカヒレなどの海産物を具材としたお粥は、暖めずに常温のまま、もしくは、冷やしても、おいしく食することができる。また、玄米のえぐみ、渋味が低減化しているため、調味に使用する塩分を少なくすることもできる。
【0022】
また、発芽玄米は、外皮が存在することで、粒の崩壊が抑制され、例えば、レトルト粥の品質保持期間である1〜2年経過後でも、粒立ちの良いお粥を得ることが可能である。また、玄米(未処理)に比べて、発芽玄米は糠臭、渋味、えぐみが低減化しているため、お粥に加工した場合、風味に優れている。特に、玄米を発芽処理した後、蒸煮、乾燥した発芽玄米は、胚乳部が多孔質構造を有しているため、吸水性が良く、味の馴染みが優れている上に、海産物の生臭みを低減させることができる。
【0023】
発芽玄米のお粥に海産物の具材として使用した時の、海産物独特の生臭みを低減化するメカニズムは定かではないが、鯨肉などの生臭さを消すために米糠をまぶして保存する方法(食品と開発、Vol.31、No.9、43、1996)や米由来の発酵液に不快な魚臭の発生を抑制することが報告(醸協、89、2、155、1994)されていること、米糠に含まれる消臭成分として知られているフィチン、フィチン酸が関与していることが公知となっていることから、この成分が関与していると推測される。特に、発芽玄米は、糠臭、渋味、えぐみが低減化されていることから、玄米よりも食味に優れている。また、多孔質状になった発芽玄米は、吸水性が高いことから、これらの消臭成分が溶出し、臭み成分と作用しやすいことが考えられ、海産物の消臭効果が優れていると考えられる。
尚、本発明においては、発芽玄米と白米を混合してお粥としても、海鮮粥の生臭さを低減する効果を得ることができる。
【0024】
ところで、レトルト粥の場合、品質保持期間である1〜2年の間、粒立ち、食味を維持する技術が求められる。通常の白米粥は、経時的に粒が崩壊するため、レトルト粥としては、あまり優れているものではなかったが、本発明のように発芽玄米をお粥の原料として使用することで、風味に優れ、1〜2年経過後も粒立ちの良いお粥を得ることができる。
【0025】
白米のレトルト粥の場合、通常、例えば120〜125℃程度の加熱、例えば、20〜30分間の一定時間行って製造されるが、粒の崩壊が早い問題があり、さらに調味した場合の味の馴染みも悪い傾向がある。玄米を使用した場合は、粒立ちは良いが、糠臭、渋み、えぐみが強く、味の馴染みが白米よりも悪い。しかし、レトルト処理において、二段階の加熱処理を行うことで、粒の崩壊も低減化され、粒立ちの良いお粥の製造が可能となる。この場合、お粥の原料に発芽玄米を使用することで、調味した際の味の馴染みも良くなり、特に海産物を具材とした海鮮粥を製造する場合には、生臭さも低減化することが可能となり、風味に優れたお粥を得ることができる。
【0026】
具体的な二段階の加熱処理条件は、一次加熱処理を、例えば、90℃以上110℃未満、5〜10分間程度実施する。この段階で、粒の成形性を維持させることができ、調味する場合には、調味液と発芽玄米との味の馴染みが良くなる。次に二次加熱処理を、例えば、110℃以上130℃以下、15〜30分間程度行う。この段階で、殺菌、調理が終了する。
上述の二段階加熱処理を施すことで、米粒の粒立ちの経時的な劣化(過剰な膨潤、崩壊)が抑制され、品質の安定したレトルト粥を製造することが可能となる。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明を製造例、実施例により説明するが、本発明はこれら製造例、実施例によって何ら限定されない。
製造例1
原料玄米を洗米機にて洗浄し、25℃の恒温水中で20時間浸漬、発芽処理を行った。その後、98℃、4分間蒸煮し、引き続き100℃の流動層乾燥を30分間行い、水分量が15.5%の発芽玄米を得た。
製造例2
原料玄米を洗米機にて洗浄し、25℃の恒温水中で24時間浸漬させ発芽させた。その後、98℃、4分間蒸煮し、引き続き100℃の流動層乾燥を10分間行い、水分量20%の発芽玄米を得た。その後、60℃、80%R.Hの雰囲気下に24時間静置させ、水分値が15.5%の発芽玄米を得た。
【0028】
図1に製造例1、2及び未処理の玄米(水分14.5%)を炊飯後、凍結乾燥させ、米粒をパラフィン包埋したものをマイクロトームで切片を作成し、走査型電子顕微鏡にて胚乳部分の組織構造を撮影したものを示した。
図1で明らかなように、製造例1、2の発芽玄米は、未処理の玄米(対照)と比較して、多孔質構造を有していることが示された。
【0029】
実施例1
製造例1で得られた発芽玄米を使用し、具材にカニを使用して海鮮粥を製造した。
実施例2
製造例2で得られた発芽玄米を使用し、具材にカニを使用して実施例1と同様に海鮮粥を製造した。
実施例3
製造例1で得られた発芽玄米を使用し、具材にホタテを用いて、海鮮粥を製造した。
比較例1
玄米とホタテを用いて、実施例1と同様に海鮮粥を製造した。
比較例2
白米とホタテを用いて、実施例1と同様に海鮮粥を製造した。
【0030】
評価例1
[食味試験の結果]
実施例1、実施例2のカニ粥、実施例3、比較例1、比較例2のホタテ粥をにつき、9名のパネラーにブラインドテストによる食味評価試験を行い、結果を表1に示した。
パネラー:9名
評価方法:ブラインド、−3〜+3 までの7段階評価、−3が最低、+3が最高の評価である。
発芽玄米を使用した実施例1、実施例2、実施例3では玄米を使用した比較例1や白米を使用した比較例2と比較して、香りの評価が高く、食味評価、食感についても、比較して高い評価となった。特に発芽玄米を使用することで、白米や玄米と比較して、生臭みが低減化されており、香り評価が高くなった。また、実施例1、2、3とも粒立ちが良くなっていること、玄米の味の馴染みが良いことから、食味の評価が高くなっていた。
【0031】
【表1】
Figure 0004098576
【0032】
実施例4
製造例1で得られた発芽玄米23gとフカヒレ3.2gを使用(15%水分発芽玄米1:乾物フカヒレ0.14)し、2段階加熱レトルト(一次加熱;90〜100℃、10分、二次加熱;121℃、30分)により、フカヒレ粥を製造した。
実施例5
製造例1で得られた発芽玄米23gとフカヒレ3.2gを使用(15%水分発芽玄米1:乾物フカヒレ0.14)し、一段階加熱レトルト(121℃、30分)により、フカヒレ粥を製造した。
比較例3
白米23gとフカヒレ3.2gを使用(15%水分白米1:乾物フカヒレ0.14)し、一段階加熱レトルトによるフカヒレ粥を製造した。
【0033】
評価例2
実施例4、5、比較例3のレトルト粥を室温で1月及び10月保存して、評価し、結果を表2に示した
1ヶ月、10ヶ月経過後の測定結果より、発芽玄米を使用し、二段階加熱レトルトを行った実施例4は、発芽玄米や白米を使用し、一段階加熱レトルトを行った実施例5、比較例3と比較しても、Brix、粘度共に安定しており。外観(粒立ち)や食味も非常に評価が高かった。このことから、発芽玄米を使用し、二段階加熱レトルトにすることで、経時的な品質の安定性を確保することができることが分かった。
【0034】
【表2】
Figure 0004098576
【0035】
実施例6
製造例1で得られた発芽玄米23gとフカヒレ24gを使用(15%水分発芽玄米1:乾物フカヒレ1.04)し、実施例4と同様の方法でフカヒレ粥を製造した。
実施例7
製造例1で得られた発芽玄米を23gとフカヒレ0.01gを使用(15%水分発芽玄米1:乾物フカヒレ0.04)し、実施例4と同様の方法でフカヒレ粥を製造した。
【0036】
実施例6のフカヒレ粥は、見た目はボリュームがあり、食べ応えがあるが、コメとの量的なバランスにおいて優れているとはいえず、フカヒレ独特の獣臭が強くなる傾向が見られた。一方、実施例7のフカヒレ粥は、生臭さ、獣臭が強く抑制されているものの、見た目のボリューム、食べ応えにおいて、若干乏しいところがみられた。
【0037】
【発明の効果】
本発明により、経時的な米粒の崩壊が低減化され、風味に優れた玄米粥が提供され、さらに、特に、海産物を具材として使用する海鮮粥とした場合に、海産物特有の臭いを低減化することができ、食味に優れた海鮮粥を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1、製造例2及び対照の炊飯玄米断面の走査顕微鏡写真を示す(上の段:×60、下の段:×1000)。

Claims (3)

  1. 多孔質構造を有し、且つ、吸水率が110〜150質量%である発芽玄米に、水、海産物、調味料を加えてレトルト殺菌処理して得られる、海産物特有の臭みが低減化されたレトルト玄米粥であって、レトルト殺菌処理が90℃以上、110℃未満の一次加熱処理と、さらに110℃以上、130℃以下の二次加熱処理を経て行われたことを特徴とするレトルト玄米粥
  2. 海産物がフカヒレであって、その配合率が、水分含量15質量%に換算した発芽玄米1質量部に対して、フカヒレが乾燥重量として0.05〜1質量部であることを特徴とする請求項1記載の玄米粥。
  3. 多孔質構造を有し、且つ、吸水率が110〜150質量%である発芽玄米に、水、海産物、調味料を加えてレトルト殺菌処理して得られる、海産物特有の臭みが低減化されたレトルト玄米粥を製造する方法であって、レトルト殺菌処理が90℃以上、110℃未満の一次加熱処理を5〜10分間と、さらに110℃以上、130℃以下の二次加熱処理を15〜30分間行うことを特徴とするレトルト玄米粥の製造方法。
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