JP4426490B2 - 即席麺類の製造法及び中華麺臭の増強法 - Google Patents

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Description

本発明は、即席麺類の製造方法、特に中華麺臭が付与または増強された即席麺類の製造方法に関する。
即席麺類は、その乾燥工程の違いから、油揚げ麺とノンフライ麺に大別することができる。油揚げ麺は、蒸煮(本発明で「蒸煮」とは、蒸気を用いて加熱する方法をいう)または茹でてα化処理した麺を、150℃程度の高温の油でフライ処理して乾燥させた麺であり、ノンフライ麺とは、蒸煮または茹でてα化処理した麺を、熱風乾燥やマイクロ波照射による乾燥、あるいは、低温で送風乾燥する方法や凍結乾燥等の方法によって乾燥させたものである。いずれも、水分含量が非常に低く、長期間の保存が可能で、熱湯を注加して数分間放置するだけ、又は1〜数分程度炊いて調理するだけで喫食でき、極めて簡便性の高いものである。
ところが、これら即席麺が中華麺の場合には、とりわけ、油揚げによって乾燥させた即席中華麺の場合には、生の中華麺で感じられるような中華麺臭(小麦粉中の成分とかんすいが高温で反応することによって発生する中華麺独特の風味)がほとんどなく、生麺を茹でて調理した麺に比較すると物足りない感じがあった。これは、中華麺の場合には麺原料にかんすいを添加するが、即席麺の場合、とりわけ油揚げ麺の場合には、かんすいを生麺並みに添加できないことに理由がある。なぜなら、麺原料にかんすいを添加すると、麺線pHは添加量に従ってアルカリ性が強くなり、アルカリ性の麺が高温で処理されると、かん焼け(アルカリ焼)と呼ばれる現象が生じ、褐変し、焦げ臭が生じて、商品価値の無いものとなってしまうためである。
すなわち、油揚げ麺の場合には、α化処理された高水分の麺が150℃前後という高温で処理されるために、かん焼けの起こる可能性が高く、従って、原料に添加できるかんすいの量は非常に少ない。実際に市販されている油揚げ即席麺の場合、添加されているかんすいの量は、原料粉に対して0.1〜0.3重量%程度であり、一般的な生の中華麺の場合の1.0〜2.0重量%に比して1/4〜1/10程度しかなく、中華麺臭はほとんど感じられない。また、ノンフライ麺の場合、かんすいの添加量を多くして、熱風乾燥、マイクロウェーブ乾燥等を用いると、中華麺臭は生じるが同時に焼けた風味を伴い、一方、かんすいの添加量を抑えた場合には中華麺臭が充分でなく、中華麺臭を増強する方法が求められていた。
従来より、中華麺臭の増強方法としては、調理時や喫食時のスープに、中華麺臭を有する風味付与剤を添加する方法があるが、喫食前に風味付与剤を加える方法では、本来は麺が有するべき風味がスープに付与されるため違和感のあるものであった。そこで、本発明者らは、即席麺の麺自体に中華麺臭を付与または増強することを目的として、α化処理後乾燥処理し冷却された、すなわち、常法で製造された即席麺塊に、後からかんすいを含む液を吸着させ、次いでこれを熱風乾燥し、麺線が含有するかんすいの量を増加させることを試みたが、中華麺臭は弱く、えぐ味が付与されてしまい、好ましいものではなかった。
当該試作方法のように、常法によって製造された即席麺の麺線に、後から液体を吸着させて麺線に吸収させる技術としては特許文献1、特許文献2の先行技術がある。特許文献1は、最初の乾燥処理を油揚げで行った後に、調味液を麺線に付着させ、次いでマイクロ波乾燥処理するものである。また、特許文献2は最初の乾燥処理を即席麺製造工程の任意の乾燥方法とし、調味液を麺塊上に付着させた後、これに気体を吹き付けて麺に吸着させるものである。しかし、いずれの方法もかんすいを含む液を吸着させる発想は無く、また、たとえ、これら特許文献1、2の方法において、調味液に代えてかんすいを含む液を使用したとしても、これらの方法では、前記した試作結果の通り、好ましい中華麺風味を得ることは困難である。
そこで、本発明者らは、特許文献3として、常法によって製造された即席麺塊にかんすいを含む液を吸着させた後、これを蒸煮することによって中華麺臭を増強する技術を特許出願した。しかし、乾燥後に蒸煮工程を必須とするため、そのための設備を必要とし、従来の工場ラインにこれを導入するためには、製造ラインを延ばさなければならない等の問題があった。また、さらに、麺塊にかんすいを含む液を吸着させた後で蒸煮するために、麺線の水分含量が高くなり、過熱蒸気を用いる等特別な場合を除いて、再乾燥の工程をさらに必要とし、そのための大掛かりな設備も必要とした。
特開昭56−102763号 特開昭61−43969号 特願2004−362359号
本発明は、中華麺臭(かんすい臭)を付与または増強することのできる即席麺類の製造方法、あるいは、麺線中のかんすい含量が多いにもかかわらず、かん焼けのない即席麺類の製造方法を提供することを課題とする。また、設備の大掛かりな増設等を必要とせず、極めて簡単な方法によって、即席麺に中華麺臭を付与または増強する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、即席麺類における上記課題に対して、下記のような方法で課題を解決した。すなわち、本発明は、
α化処理後乾燥処理して得られた即席麺の麺塊に、該麺塊の表面温度が105℃以上の状態において、かんすいを含む液を吸着させる工程を付加したことを特徴とする、即席麺類の製造方法である。
具体的には、麺線をα化処理後乾燥処理して乾燥麺塊とする工程の後に、前記乾燥処理によって乾燥麺塊の麺塊表面温度が105℃以上にある状態で、または前記乾燥処理によって得た乾燥麺塊を加熱して麺塊表面温度を105℃以上とした状態で、該105℃以上の乾燥麺塊に、かんすいを含む液を吸着させる工程、を付加することを特徴とする即席麺類の製造方法である。ここで、乾燥処理によって麺塊表面温度が105℃以上にある状態とは、乾燥処理を高温で行って乾燥麺塊の温度を105℃以上とし、これが105℃以下に下がらないうちにある状態をいう。
このようにα化処理後乾燥処理し、麺塊表面の温度が105℃以上の即席麺の麺塊に、かんすいを含む液を吸着させることで、即席麺に中華麺臭を発現、または増強することができる。また、最終製品の麺線に含有されるかんすいの少なくとも一部を、即席麺製造工程の乾燥処理後に、麺線に含有させるようにしたことで、かん焼けを防止しながら、麺線中に含有されるかんすいの量を増やすことができる。
なお、本発明の場合、即席麺の利点である長期保存性を維持するため、かんすいを含む液を麺塊に吸着させた後、水分含量を下げるために再乾燥処理を行っても良いが、液体を吸着させる前の麺塊の温度が105℃以上と非常に高いために、液体の吸着と同時に水分蒸発が起こり、麺塊に吸着させる液の量を調整することで、再乾燥処理を行わなくとも水分含量を低く抑えることができる。このように長期保存性を維持するための麺塊の水分含量としては、麺塊が室温に下がった(製品化)時の水分含量が10%以上とならないようにすることが好ましく、このような水分含量になる量のかんすいを含む液を麺塊に吸着させるのが好ましい。また、保存性だけでなく、良好な中華麺臭を得るためにも、かんすいを含む液の麺塊への吸着量が重要で、適切な量としては、吸着処理時の麺塊の温度にもよるが、具体的には乾燥麺塊重量100gに対して、溶液の重量として1〜3g程度が特に良好である。
また本発明は、前記α化処理後の乾燥処理が油揚げによる乾燥処理である場合に、特に好ましい。油揚げ即席麺の場合は、油揚げ時の高温によってかん焼けが生じやすいため、原料に添加できるかんすいの量を特に抑える必要があり、中華麺臭を得ることが困難であったが、本発明によれば、このような油揚げ麺においてもかんすい臭を付与することができる。この場合、前記かんすいを含む液を麺塊に吸着させることで、麺塊が含有するかんすいの量を対原料粉当たり0.3〜0.4重量%とするのが好ましい。
本発明の即席麺類の製造方法によれば、調理時、喫食時において、中華麺特有の中華麺臭(かんすい臭)を感じる本物感のある風味の高い即席中華麺を得ることができる。そして、本発明によれば、麺自身が中華麺臭を有するために、スープに風味付与剤を添加する場合に感じられるような違和感が無い。また、工程的にも単純で、格別な装置を必要としないため、現在の即席麺の製造ラインに大きな変更を加えずに実施することができる。
また、特に即席麺が油揚げ麺の場合には、従来から、原料へのかんすいの添加量を極少量に抑える必要があり、中華麺臭を得ることが困難であったが、本発明によれば油揚げ麺においてもかん焼けを生じさせずに中華麺臭を付与できる。
以下、製造工程に従って具体的に説明する。
本発明では、常法によって即席麺を製造すればよい。常法とは、麺線をα化処理後乾燥処理する工程によって製造するもので、一般的に市販されているような油揚げ麺、ノンフライ麺等の製造方法である。すなわち、小麦粉等原料粉に、副原料、練り水を加えて混練した後、圧延、切出して麺線とするか、押出して麺線とした後、蒸煮及び、又は茹でてα化処理し、必要に応じて着味した後、これを油揚げ、あるいは熱風乾燥、マイクロウェーブ乾燥、低温での送風による乾燥、凍結乾燥等を行って乾燥処理する。
ここで、主原料としては小麦粉、澱粉等が使用される(本発明ではこれらを「原料粉」という)。副原料としては、かんすい、食塩、増粘剤、グルテン、卵白、色素等を必要に応じて添加する。かんすいは、背景技術の項で説明したように、油揚げ麺の場合、対原料粉0.3重量%程度まで添加が可能であるが、それ以上添加するとかん焼けを起こすので、これ以下の添加量とするのが好ましい。ただし、最終製品(喫食時)においてできるだけ強い中華麺臭を得るためには、原料混練時にある程度以上のかんすいを添加しておくのが好ましく、原料粉に対して上限に近い0.2〜0.3重量%程度を添加しておくのが良い。また、即席麺が油揚げ麺以外の場合には、乾燥時の温度を低くすることで、かんすいの添加量を増やしてもかん焼けを起こさずに乾燥することができるが、本発明の場合、乾燥時、又は乾燥後少なくとも麺塊表面温度を105℃以上とするために、原料にかんすいを多く添加すると、この時点でかん焼けの起こる場合がある。従って、本発明の場合、油揚げ麺以外の即席麺の場合でも、原料に添加するかんすいの量は0.2〜0.3重量%の範囲とするのが良い。
ここで、かんすいとは、食品衛生法で定義される「かんすい」すなわち、中華麺類の製造に用いられるアルカリ剤で、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸類のカリウム又はナトリウム塩を言い、本発明においてもこれらのものが使用できる。ただし、通常市販されているかんすいは、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム、あるいはこれらの混合物を主剤とすものが一般的で、本発明に用いるかんすいにもこのようなものが好ましく用いられる。本発明において具体的な添加量等を説明しているかんすいとしては、このような炭酸ナトリウム及び/または炭酸カリウムを主剤とする一般的に「かんすい」として市販されている物質における記載であり、例えば、一部のリン酸塩のように、アルカリ性の弱いものについては添加量等の記載において異なる場合がある。これら副原料の添加方法としては、小麦粉等原料粉と共に粉体で添加しても、水に溶解、懸濁して練り水として加えても良い。
麺線のα化処理は、一般的には蒸煮処理を行うが、茹で処理でα化しても構わないし、両方の処理を併用しても構わない。茹で処理の場合は、麺線が水を多量に吸収するために乾燥工程に負荷がかかるので、一般的には蒸煮処理が行われる。α化処理した麺線は、必要に応じて食塩、醤油、グルタミン酸ナトリウム等を含む着味液に浸漬、または着味液を噴霧して吸着させる。また、製品が熱風乾燥麺等の場合には、麺線同士の結着等が問題になる場合があるので、ほぐれ剤を含有する溶液に浸漬する、あるいは機械的にほぐし工程を加えても良い。
乾燥処理は、通常1食分づつにカットされた後リテーナ等に型詰めされて乾燥されるが、麺線のカットは麺線の形成以降、型詰めまでのいずれの工程でも可能である。乾燥工程は、油揚げ乾燥、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、低温での送風乾燥、凍結乾燥等の乾燥方法が可能であるが、これらを組み合わせて乾燥させても良い。ただし、本発明では、乾燥処理した麺塊に対して、その表面温度を105℃以上の状態とし、これにかんすいを含む液を吸着させるので、乾燥処理の温度を高温として、乾燥後の麺塊の表面温度が105℃より下らないうちにかんすいを吸着させる工程に移行するのが工程的にも単純で、また中華麺風味の増強効果も高く好ましい。このような工程を取ることのできる乾燥方法としては、油揚げ、または熱風乾燥があり、特に油揚げによる乾燥方法が望ましい。なお、一般的な麺塊の乾燥条件としては、油揚げによる乾燥の場合には通常130〜160℃で1〜3分、熱風乾燥の場合には60〜120℃で15〜180分程度であるが、本発明の場合、熱風乾燥による乾燥方法としては、乾燥後の表面温度を105℃以上とするために、最終的な乾燥条件を、110〜160℃で、かつ、この範囲の温度を3〜6分程度維持する乾燥方法とすることが好ましい。
一方、麺塊の表面温度が105℃以上にならない乾燥方法を用いた場合や、乾燥後105℃以下に低下した場合は、麺塊を加熱して麺塊の表面温度を105℃以上とした後に、これにかんすいを含む液を吸着させても良い。この場合の加熱方法としてはオーブン、電子レンジ等に該麺塊を投入して麺塊の温度を105℃以上に上げ、105℃を下らないうちにかんすいを含む液を吸着させる。
乾燥処理を高温で行って、乾燥麺塊の表面温度が105℃以下にならないうちにかんすいを含む液を吸着させる場合、または、乾燥麺塊を加熱して105℃以上とした後にかんすい液を吸着させる場合、いずれの方法の場合においても、好ましい乾燥麺塊の表面温度は、115〜140℃、特に好ましくは120〜130℃で、この範囲で甘味のある良好な中華麺臭が得られる。なお、105℃以下の麺塊にかんすいを含む液を吸着させた場合や、または温度の低い麺塊にかんすいを含む液を吸着させておいてから、この麺塊を105℃以上に加熱する方法では、中華麺臭は増強されないか、または弱く、好ましくないえぐ味が付与されることが多く、品質が低下する。
麺塊に吸着させるかんすいの量としては、原料添加したかんすいの量と併せたトータル量として、対原料粉0.25〜0.5重量%、好ましくは0.3〜0.4重量%となるように添加するのがよい。かんすいを含む液による吸着かんすい量が対原料粉0.4重量%を超えるとえぐ味が次第に強くなる。
また、かんすいを含む液の麺塊への吸着液量(添加量)としては、即席麺として充分な保存性を保持する点からすれば、吸着後冷却された時点での水分含量(製品水分含量)が約10%を超えないように吸着させるのが好ましく、そのような量の液量を吸着させるのが良い。また、良好な中華麺臭を得る効果の点からも、極めて高濃度のものを少量処理したり、低濃度のものを多量に処理するのではなく、乾燥処理した即席麺塊の重量100gに対して、好ましくは1〜3g程度の重量の液量(1〜3ml程度)が麺塊に吸着されるように処理するのがよい。
かんすいを含む液を麺塊に吸着させる方法としては、麺塊に溶液を噴霧する方法が好ましく、できるだけ均一に麺塊全体に吸着されるように処理するのが好ましい。また、かんすいを含む液を乾燥麺塊に吸着させた後急速に麺塊温度が下がると、中華麺臭増強効果において好ましくないので、吸着処理後急冷せず、例えば熱が逃げないようなカバーを当該箇所に取り付ける方法や、かんすいを含む液を温めておいてこれを処理する等の方法を採ることがより好ましい。
本発明においては、このようにかんすいを含む液を乾燥麺塊に吸着させて、好ましくは麺塊の麺線水分含量を10%以上にならないように、これを放置、または風乾して製品の即席麺塊することができるが、水分含量が高い場合、あるいはさらに乾燥させたい場合には、これを熱風乾燥、送風乾燥等の方法によって再乾燥処理を行っても良い。
以上のようにして、製造された即席麺塊は、袋、あるいはカップ状又は丼形状の容器に包装されて即席麺製品(即席中華麺)とする。完成された製品はお湯を入れるだけで喫食可能なワンタッチタイプの麺とすることも、炊いて調理するタイプの麺とすることもできる。
以下、比較実験等を示して本発明を実施するための最良の形態について詳述するが、本発明は以下の実験結果をもとに限定的に解釈されるべきものではない。
(なお、以下の実験結果は、「かんすい」として炭酸ナトリウムと炭酸カリウムを主剤とする一般的なものを使用している。炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの効力にはほとんど差が無く、これら両者の配合比の異なるものを使用しても効果はあまり変わらない。しかし、リン酸塩等の配合量の多いかんすいを使用する場合には、添加量の最適値等において、以下の実験結果とは異なる場合がある。)
[試作用油揚げ麺の作成]
次の方法によって試作用油揚げ即席麺を作成した。
小麦粉900g、澱粉100gからなる麺原料1kgに、食塩16g、かんすい(炭酸ナトリウム:炭酸カリウム=1:1 以降実施例で使用するかんすいは全てこの組成による)2.6g、重合リン酸塩2gを溶解した、練り水350mlを加えて、これらをミキサーで15分間混練した。この時のドウpHは7.9であった。得られた混練物を常法に従って整形・複合・圧延し、1.3mm厚の麺帯とした後、丸刃18番で切り出して麺線とした。該麺線を600kg/m/hrの通常蒸気で120秒間蒸煮してα化し、1食分にカットした。この麺線約112gを一食分づつフライリテーナに充填した。フライリテーナを閉蓋した後、145℃のパーム油で1分30秒間フライ処理して乾燥させ、フライ処理後直ちにフライリテーナを反転させ、リテーナから取り出した直後の油揚げ麺塊を試作用油揚げ麺とした。なお、この麺塊をそのまま室温まで自然冷却した時の麺塊の重量は89g、水分含量は約3%であった(対原料粉かんすい量0.26重量%)。
[比較実験1](かん焼けの起こるかんすいの原料添加量)
まず、原料に添加するかんすいの量によって、かん焼けの起こる状況を確認するため、前記試作用油揚げ麺と同様の製法で、かんすいの添加量だけを5g、10gに上げて油揚げ麺塊を作成した。その結果、5g添加時(対原料粉0.5重量%)においても既に、褐色の色調でかん焼けし、焦げ臭があり、さらに、これを室温まで自然冷却して500mlの熱湯に入れて3分間炊いて喫食したところ、中華麺臭は2.6gの場合と同程度でほとんど感じられなかった。また、10g添加時(対原料粉1.0重量%)に至っては、かん焼け、焦げ臭が強く、喫食時に中華麺臭は感じられなかった。なお、5g添加時のドウpHは約9.0、10g添加時では約9.8であった。
この比較実験1によって、ごく一般的な製法で製造される油揚げ麺の場合、原料添加できるかんすい量は、対原料粉0.3重量%程度が限界と考えられ、この状態では中華麺臭は弱いか、ほとんど感じられない。
[比較実験2・実施例1](麺塊表面温度の違いによる比較実験)
前記試作用油揚げ麺について、温度計で麺塊表面温度をモニターしながら(OPTEX社の非接触式温度計 商品名「THERMO-HUNTER PT-7LD」使用)、自然冷却によって麺塊表面温度が表1記載の温度となった時に、直ちにかんすい(試作用油揚げ麺作成時のものと同じ、以降も同様)の濃度を2.4重量%ととした溶液を霧状に吹き付け、麺塊に該かんすい液2gを吸着させ、麺線中のかんすい含量を、原料添加分と合わせて対原料粉0.3重量%とした(麺塊へのかんすい液の吹きつけは、麺塊から約15cmの位置から満遍なく溶液を拭きつけ、吹き付けたことによって減少した溶液の重量から、麺塊外に噴霧された溶液の重量を引いて、麺線が吸着した溶液の量を計算した。以降同様)。このようにして、試作用油揚げ麺にかんすいを含む液を含有させた後、放置して自然冷却し室温に下がった麺塊の水分含量は3.7%であった。
なお、表1中の麺塊表面温度130℃のサンプルのみは、フライ油の温度を155℃に上げて、フライ時間を1分間として、より高温の麺塊表面の油揚げ麺が得られる条件に代えて実験を行った。本比較実験2による各サンプルについて、500mlの熱湯に入れ、3分間炊いたものを、熟練した5人のパネラーで喫食し、中華麺臭と、食感について5点満点で評価した(合格点は3点以上)。結果を表1に示す。
表1の通り、かんすいを含む液を吸着させる時の麺塊の温度が高い方が、中華麺臭は強く発現し、一方、温度が低いとえぐみが強く付加されてしまう傾向が見られた。本実験によって、麺塊表面温度が105℃以上の状態でかんすいを含む液を吸着させることで、このような吸着工程を有しない麺に比して明らかに優位なものとなった。特に、120℃以上で吸着させることで、115℃以下ではわずかに感じるえぐみが無くなり、良好な中華麺臭が得られた。また、100℃以下でかんすいを含む液を吸着させると、麺の食感が弱くなる傾向が見られた。
Figure 0004426490
[比較実験3・実施例2](吸着させるかんすいの量による比較実験)
前記試作用油揚げ麺に対して、2.4%、4.0%、5.8%の濃度のかんすい溶液を、約125℃の麺塊に霧状に噴霧して、いずれも2gを麺塊に吸着させ、麺線中のかんすい含量を、原料添加分と合わせてそれぞれ、対原料粉0.30重量%、0.35重量%、0.40重量%とした。このようにして、試作用油揚げ麺にかんすいを含む液を含有させた後、放置して自然冷却し室温に下がった麺塊の水分含量は約4%であった。本比較実験3による各サンプルについて、500mlの熱湯に入れ、3分間炊いたものを、熟練した5人のパネラーで喫食し、中華麺臭と、食感について5点満点で評価した(合格点は3点以上)。結果を表2に示す。
表2の通り、麺線中のかんすい含量を原料添加分と合わせてそれぞれ、対原料粉0.3〜0.4重量%とすることでかんすい臭の増強効果が見られた。しかし、0.40重量%(かんすい溶液での添加量が対原料粉0.1%)では、若干えぐみを感じた。
Figure 0004426490
[比較実験4・実施例3](吸着させるかんすい溶液の液量による比較実験)
前記試作用油揚げ麺に対して、最終的に麺塊が含有するかんすいの量が、原料粉添加分と併せて対原料粉0.3重量%となるように、かんすい溶液の濃度と溶液の吸着量を調製して、吸着させるかんすい溶液の液量による効果の違いを検討した。かんすい溶液の濃度としては12.0%、4.0%、2.4%ととし、これを約125℃の麺塊に霧状に噴霧して、それぞれ、麺塊89g当たり0.5g、1.0g、2.0gの吸着量となるように処理し、麺線中のかんすい含量を、原料添加分と合わせて対原料粉0.3重量%とした。このようにして、試作用油揚げ麺にかんすいを含む液を含有させた後、放置して自然冷却し室温に下がった麺塊の水分含量はそれぞれ3.2%、3.5%、4.0%であった。本比較実験4による各サンプルについて、500mlの熱湯に入れ、3分間炊いたものを、熟練した5人のパネラーで喫食し、中華麺臭について5点満点で評価した(合格点は3点以上)。結果を表3に示す。
表3の通り、麺線に吸着させるかんすい溶液の液量としては、乾燥麺塊重量100g当たりで、0.6g以下ではえぐみが強くなるため、1〜3g程度吸着させるのが、最も効果的であると思われた。なお、4gを超えると麺塊表面温度をかなり上げたとしても麺線の水分含量が高くなり、えぐみを感じ、食感が弱くなる。
Figure 0004426490
[実施例4](加熱処理を行った麺塊における実施例)
(小麦粉900g、澱粉100gからなる麺原料粉1kgに、食塩20g、かんすい(炭酸ナトリウム:炭酸カリウム=1:1)2.5g(対原料粉0.25重量%)、重合リン酸塩2gを溶かした練り水350mlを加えて、これらをミキサーで15分間混練した。得られた混練物を常法に従って整形・複合・圧延し、1.3mm厚の麺帯とした後、角刃20番で切り出して麺線とした。該麺線を600kg/m/hrの通常蒸気で120秒間蒸煮してα化し、1食分107gにカットした後、リテーナに充填した。これを熱湯で1分間茹で、冷却後、5%食塩の着味液に浸漬し、よく液切りした。該リテーナのまま温度約90℃の乾燥庫で40分間熱風乾燥し、乾燥庫から出して風冷し、水分含量約8%の熱風乾燥麺を得た。
前記室温に下げた熱風乾燥麺を150℃の乾熱乾燥機に6分間投入して、麺塊表面温度が145℃の状態で、かんすい濃度10.7%の水溶液を満遍なく霧状に噴霧して、前記水溶液2gを吸着させた。計算値から麺線が含有するかんすいのトータル量が麺原料のかんすい含量が麺原料粉に対し0.5重量%である。この麺塊を室温まで自然冷却させ、水分含量を測定したところ8.5%であった。
このサンプルと、約90℃の乾燥庫で40分間熱風乾燥して風冷しただけの熱風乾燥麺をそれぞれ500mlの熱湯に入れ、3分間炊いたものを喫食したところ、若干のえぐみを感じたものの、かんすい溶液を噴霧しなかったものに比べて、あきらかに中華麺臭が増強されていた。

Claims (5)

  1. 麺線をα化処理後、乾燥処理して乾燥麺塊とする工程の後に、
    前記乾燥処理によって乾燥麺塊の麺塊表面温度が105℃以上にある状態で、または前記乾燥処理によって得た乾燥麺塊を加熱して麺塊表面温度を105℃以上とした状態で、
    該105℃以上の乾燥麺塊にかんすいを含む液を吸着させる工程を付加することを特徴とする、即席麺類の製造方法。
  2. 前記乾燥麺塊に吸着させるかんすいを含む液の量が、
    かんすいを含む液を吸着させた麺塊の温度が室温に下がった時の麺線水分含量が10%以上にならない量である、請求項1に記載の即席麺類の製造方法。
  3. 前記α化処理後の乾燥処理が、油揚げによる乾燥処理である請求項1または2に記載の即席麺類の製造方法。
  4. 前記かんすいを含む液を吸着させることで、麺塊が含有するかんすいの量を対原料粉当たり0.3〜0.4重量%とする、請求項1から3のいずれかに記載の即席麺類の製造方法。
  5. α化処理後乾燥処理した即席麺の麺塊に、麺塊表面温度が105℃以上の状態で、かんすいを含む液を吸着させることを特徴とする、即席麺類の中華麺臭の増強方法。

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