JP4938864B2 - 受信機及び利得制御方法 - Google Patents
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Description
【0001】
本発明は、自動利得制御機能を有する受信機及び利得制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動通信用受信機は、一般的に、受信信号の平均電力レベルに応じて増幅器の利得を増減し復調器への入力レベルを一定に保つ自動利得制御機能を有している。しかしながら、妨害波を含む受信信号には複数の変調信号が含まれており、各変調方式により最大ピーク電力と平均電力との比、すなわちピークファクタが異なる。このため、受信信号の平均電力レベルに応じて増幅器の利得を制御するだけでは十分な利得制御ができるとはいえない。そこで、受信信号の平均電力だけではなく、受信信号に含まれる変調信号のピークファクタをも考慮した最適利得制御を行うものとして、例えば、特許文献1に記載されたものがあげられる。
【0003】
図9は、特許文献1に記載された自動利得制御機能を持つ受信機の構成を示す図である。図9において、受信機1は受信した入力信号を信号増幅部2により所定レベルまで増幅する。信号増幅部2の出力は、信号復調部3内で、A/D変換器4にてデジタル信号に変換され、ピーク電力算出器5とチャネル復調器6とに出力される。
【0004】
ピーク電力算出器5によって、ピーク電力が算出される。チャネル復調器6の出力から、チャネル平均電力算出器7によって平均電力が算出される。ピーク電力算出器5で算出されたピーク電力は、電力判定器8により閾値9と比較される。チャネル平均電力算出器7で算出された平均電力は、電力判定器10により閾値11と比較される。これらのピーク電力及び平均電力の判定結果に応じて可変利得器12の利得を増減することで、入力信号のピークファクタに応じた自動利得制御機能を実現している。
【0005】
また、特許文献2には、受信信号のヘッダ情報から信号の変調方式を判定し、変調方式に応じて自動利得制御を行うことにより、受信信号のピークファクタに応じた自動利得制御機能を実現する無線受信装置が開示されている。
【先行技術文献】
【0006】
【特許文献1】
特開2005−323123号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】
特開2007−124403号公報(第3頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された受信機では、受信信号のピーク電力及び平均電力の算出をA/D変換器4の通過後にデジタル処理で行っている。しかしながら、A/D変換器4の入力ダイナミックレンジ及び周波数範囲は有限であるため、特許文献1では記載が省略されているが、通常はA/D変換器4の直前に狭帯域フィルタリング処理が必要となる。
【0008】
このとき信号増幅部2に強入力妨害波が入力されてもフィルタリングされた強入力妨害波のレベルをA/D変換器4以降では検知することができず、信号増幅部2の利得を下げる指令を出せない。このため、信号増幅部2が強入力妨害波によって非線形歪みを生じる可能性が高い。
【0009】
また、特許文献2に記載された無線受信装置では、実際に受信信号を復調してその復調された信号に付加されたヘッダ情報を読みとることで、変調波の種類(変調方式)を識別するため、その受信装置がサポートしていない他システムの変調波が妨害波として入力された場合に対応できない。
【0010】
さらに、受信機が地上波デジタルTVチューナ付携帯電話機あるいは地上波デジタルTVチューナ付モバイル端末である場合において、下記のような不都合が起きる。具体的には、テレビ視聴中、すなわち増幅器のゲインが地上波デジタルTV放送波に対応するものとなっている場合において、通話のためにFOMA(登録商標)変調波の送信が開始されると、受信中の地上波デジタルTV放送波より高い平均電力レベルを有する当該変調波が地上波デジタルTVチューナの入力端子に漏れこんでしまう。すると、増幅器のゲインは、地上波デジタルTVの放送波よりも平均電力レベルの高い当該変調波に対応するものに設定され、地上波デジタルTV放送波に対するゲインとしては不十分となる場合がある。
【0011】
本発明の目的は、A/D変換される前の入力信号のピークファクタに応じた最適な自動利得制御を行うことができる受信機及び利得制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、入力信号を設定利得にて増幅する可変利得増幅器と、前記可変利得増幅器の出力を復調する復調器と、前記可変利得増幅器の出力の瞬時ピーク電力PDoutを検波するピーク検波器と、前記瞬時ピーク電力PDoutを閾値PDETLと比較する第一の電力判定器と、前記瞬時ピーク電力PDoutを前記閾値PDETLより大きい閾値PDETHと比較する第二の電力判定器と、前記第一の電力判定器及び前記第二の電力判定器の出力結果から判定した振幅密度に基づいて前記可変利得増幅器の利得の値を制御する振幅密度計算部と、を備える受信機を提供する。
【0013】
上記構成によれば、可変利得増幅器の後段かつ復調器の前段にピーク検波器を配置し、閾値の異なる2つの電力判定器を用いることで、入力信号をA/D変換することなく、ピークファクタの異なる二種類の変調波を区別できるため、簡易な構成にて、入力信号のピークファクタに応じた最適な自動利得制御を行うことができる。したがって、A/D変換器の前段に設けられる狭帯域フィルタのフィルタ帯域外に存在する強入力妨害波のレベルをも考慮した適切な利得制御が可能となる。また、受信機がサポートしていない他システムの変調波が妨害波として入力された場合にも対応できる。
【0014】
また、本発明の受信機は、前記閾値PDETH及び閾値PDETLのレベル差が、区別すべき二種類の変調波のうち、ピークファクタが小さいほうの変調波のピークファクタ値と近い値に設定されるものであってもよい。
【0015】
上記構成によれば、判別した入力信号の振幅密度の情報を利用して可変利得増幅器の利得をピークファクタに応じた最適な値に設定し、A/D変換器の入力ダイナミックレンジに依存しない自動利得制御を簡易な構成で実現することができる。
【0016】
また、本発明の受信機は、前記振幅密度計算部が、前記瞬時ピーク電力PDoutが、前記閾値PDETHより大きい第一の電力領域、前記閾値PDETH以下で前記閾値PDETLより大きい第二の電力領域、及び前記閾値PDETL以下の第三の電力領域の各電力領域に存在する割合に基づいて、前記可変利得増幅器の利得を制御してもよい。
【0017】
上記構成によれば、ピーク検波器から出力される瞬時ピーク電力PDoutを2つの閾値PDETH,PDETLと比較し、瞬時ピーク電力PDoutが各電力領域に存在する割合に基づいて、異なるピークファクタを有する入力信号の種類を識別し、最適な利得制御を実行することが可能となる。
【0018】
また、本発明の受信機は、前記振幅密度計算部が、一定期間において前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第二の電力領域に該当する割合に基づいて、前記可変利得増幅器の利得を制御するものであってもよい。
【0019】
上記構成によれば、ピーク検波器から出力される瞬時ピーク電力PDoutを2つの閾値PDETH,PDETLと比較し、瞬時ピーク電力PDoutが第二の電力領域に存在する割合に基づいて、異なるピークファクタを有する入力信号の種類を識別し、最適な利得制御を実行することが可能となる。
【0020】
また、本発明の受信機は、前記振幅密度計算部が、一定期間において前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第三の電力領域に該当する割合に基づいて、前記可変利得増幅器の利得を制御するものであってもよい。
【0021】
上記構成によれば、ピーク検波器から出力される瞬時ピーク電力PDoutを2つの閾値PDETH,PDETLと比較し、瞬時ピーク電力PDoutが第三の電力領域に存在する割合に基づいて、異なるピークファクタを有する入力信号の種類を識別し、最適な利得制御を実行することが可能となる。
【0022】
また、本発明の無線装置は、本発明の受信機を搭載したものである。
【0023】
上記構成によれば、入力信号をA/D変換することなく、ピークファクタの異なる二種類の変調波を区別できるため、簡易な構成にて、入力信号のピークファクタに応じた最適な自動利得制御を行うことができる無線装置を実現できる。
【0024】
また、本発明の利得制御方法は、入力信号を増幅する可変利得増幅器に対する利得制御方法であって、閾値PDETHより大きい第一の電力領域、前記閾値PDETH以下で閾値PDETLより大きい第二の電力領域、及び前記閾値PDETL以下の第三の電力領域、を設定するステップと、前記可変利得増幅器の出力の瞬時ピーク電力PDoutを検波するステップと、前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロの場合に、前記可変利得増幅器の利得を現状維持するステップと、前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロでなく、第一の規定値以上の場合に、前記可変利得増幅器の利得を減少するステップと、前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロでなく、前記第一の規定値より小さく、かつ前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第二の電力領域に該当する割合が、第二の規定値以上の場合に、前記可変利得増幅器の利得を現状維持するステップと、前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロでなく、前記第一の規定値より小さく、かつ前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第二の電力領域に該当する割合が、前記第二の規定値より小さい場合に、前記可変利得増幅器の利得を減少するステップと、を有することを特徴とする。
【0025】
上記構成によれば、入力信号の振幅密度の情報を利用して可変利得増幅器の利得を最適な値に設定し、A/D変換器の入力ダイナミックレンジに依存しない自動利得制御を簡易な構成で実現することができる。
【0026】
また、本発明の利得制御方法は、入力信号を増幅する可変利得増幅器に対する利得制御方法であって、閾値PDETHより大きい第一の電力領域、前記閾値PDETH以下で閾値PDETLより大きい第二の電力領域、及び前記閾値PDETL以下の第三の電力領域、を設定するステップと、前記可変利得増幅器の出力の瞬時ピーク電力PDoutを検波するステップと、前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロの場合に、前記可変利得増幅器の利得を現状維持するステップと、前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロでなく、第三の規定値以上の場合に、前記可変利得増幅器の利得を減少するステップと、前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロでなく、前記第三の規定値より小さく、かつ前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第三の電力領域に該当する割合が、第四の規定値より小さい場合に、前記可変利得増幅器の利得を現状維持するステップと、前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロでなく、前記第三の規定値より小さく、かつ前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第三の電力領域に該当する割合が、前記第四の規定値以上の場合に、前記可変利得増幅器の利得を減少するステップと、を有する。
【0027】
上記構成によれば、入力信号の振幅密度の情報を利用して可変利得増幅器の利得を最適な値に設定し、入力信号のピークファクタに応じた最適な自動利得制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る受信機及び利得制御方法によれば、入力信号の振幅密度の情報を利用して可変利得増幅器の利得を最適な値に設定し、入力信号のピークファクタに応じた最適な自動利得制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】 本発明の実施の形態1における受信機の構成を示す図
【図2】 本発明の実施の形態1における受信機入力信号(地上波デジタルTV放送波)振幅の特性図
【図3】 本発明の実施の形態1における受信機入力信号(FOMA変調波)振幅の特性図
【図4】 本発明の実施の形態2における受信機の利得制御フローチャート
【図5】 本発明の実施の形態2における利得制御判定基準を示す図
【図6】 本発明の実施の形態2における利得制御結果を示す図
【図7】 本発明の実施の形態3における受信機の利得制御フローチャート
【図8】 本発明の実施の形態3における利得制御判定基準を示す図
【図9】 従来技術の受信機の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。また、図面において、同一のものについては同一の符号を付して説明する。
【0031】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における受信機の構成を示す図である。図1に示すように、受信機101は、入力信号を、後述する振幅密度計算部109によって設定される利得で増幅する可変利得増幅器102と、可変利得増幅器102の出力を直交復調して出力する復調器103と、可変利得増幅器102の出力の瞬時ピーク電力を検波するピーク検波器104と、ピーク検波器104の出力をそれぞれ閾値PDETL105、PDETH106と比較する電力判定器107、108と、前記電力判定器107、108の出力結果から振幅密度、すなわち一定期間内に入力された入力信号のうち特定の電力領域にピークが存在する入力信号の割合を判定し、判定結果に基づいて可変利得増幅器102の利得を制御する振幅密度計算部109から構成される。
【0032】
以上のように構成された受信機101について、その動作を説明する。入力から印加された受信信号は、可変利得増幅器102に入力され、その時点で振幅密度計算部109によって設定されている利得にて増幅が行われる。
【0033】
可変利得増幅器102によって増幅された信号は、ピーク検波器104及び復調器103に入力される。ピーク検波器104は、入力された信号の各ピークの信号振幅値を電力判定器107、108に出力する。
【0034】
ピーク検波器104から出力される各ピークの信号振幅値は、電力判定器107により閾値PDETLと比較され、かつ、電力判定器108により閾値PDETHと比較される。そして、その比較結果(判定結果)が振幅密度計算部109に送出される。ここで、閾値PDETHの値は、閾値PDETLの値よりも大きいものとする。
【0035】
振幅密度計算部109は、電力判定器108の判定結果、すなわち、閾値PDETL及びPDETHと信号振幅値との大小情報を元にして入力信号の振幅密度を判定する。ここで、振幅密度とは、所定の長さの時間内に、信号のピークが領域1(PDETHより大)に位置する割合(%)、領域2(PDETLより大、かつPDETH以下)に位置する割合、領域3(PDETL以下)に位置する割合を示すものである。
【0036】
図2及び図3は、受信機に入力される信号の振幅特性図である。図2に地上波デジタルTVの放送波、図3に携帯電話のFOMA(登録商標)変調波の振幅値の時間変動を一例として示している。
【0037】
地上波デジタルTV放送では、変調方式としてOFDM(直交周波数分割多重:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式が用いられ、ピークファクタが約12dBである。これに対し、FOMA変調波では、端末から基地局への上り回線(Uplink)において、変調方式としてHPSK(Hybrid Phase Shift Keying)方式が用いられ、ピークファクタは約3dBである。
【0038】
そのため、図2及び図3で示すように、振幅のピーク位置は、閾値PDETHと閾値PDETLとで仕切られる3つの領域1、2、3それぞれにおける振幅密度は変調波の種類により大きく異なることがわかる。
【0039】
そこで、変調波の種類による振幅密度の違いに着目し、領域1〜3における振幅密度を比較判定すれば地上波デジタルTV放送とFOMA変調波とを区別することができる。そして2つの変調波を区別することにより、変調波の種類に応じて利得制御開始電力を変えることができる。
【0040】
なお、2つの閾値PDETH及びPDETLのレベル差は、区別したい2つの変調波のうち、ピークファクタの小さいほうの信号(図3ではFOMA変調波)のピークファクタ付近に設定する必要がある(例えば本実施の形態の場合、4dBに設定している)。
【0041】
従来例ではA/D変換後デジタル処理によってピーク値と平均電力を個別に算出していたため、A/D変換器の入力ダイナミックレンジを越える入力に対しては効果がなかった。これに対し、本実施の形態によれば、振幅密度計算部109は、電力判定器107、108で判定した入力信号の振幅密度の情報を利用して、新たに可変利得増幅器102の利得を最適な値に設定することができる。従って、本発明の構成によれば、A/D変換器の入力ダイナミックレンジに依存しない自動利得制御を、より簡易な構成にて実現できる。
【0042】
以上から、本実施の形態の受信機によれば、ピーク検波器104から出力される信号振幅値(信号のピーク位置)を2つの閾値と比較し振幅密度を算出することで、異なるピークファクタを有する入力信号の種類を識別し、最適な利得制御を実行することが可能となる。
【0043】
なお、本実施の形態1では、区別したい変調波のうち、ピークファクタの小さいものが携帯電話のFOMA(登録商標)のUpLink(端末から基地局への上り回線)の変調波で、大きいものが地上波デジタルTVの放送波である場合を例に挙げたが、これらに限定されるものではない。
ピークファクタの小さいもの(概ね4dB以下)としては、他に携帯電話のPDC(Personal Digital Cellular)、PHS(Personal Handyphone System)、CDMAx1(Code Division Multiple Access x1)、GSM(Global System for Mobile communications)/EDGE(Enhanced Data rates for GSM Evolution)等であってもよい。また、ピークファクタの大きいもの(概ね9dB以上)としては、WLAN(Wireless LAN)(802.11a/g)やUMTS(Universal Mobile Telecommunications System)のDownLink信号(基地局から端末への下り回線)、DVB(Digital Video Broadcasting project)−H、T−DMB(Digital Multimedia Broadcasting)等であってもよい。
【0044】
(実施の形態2)
本実施の形態においては、実施の形態1で説明した振幅密度の情報を用いて利得制御する具体的な方法について説明する。すなわち、ピーク検波器104(図1)から出力される信号振幅値(信号のピーク位置)が、閾値PDETH及びPDETLにより区切られる領域1〜3に位置する割合を判定し(判定方法1)、その情報を用いて可変利得増幅器102にフィードバックする方法について説明する。
【0045】
図4は、本発明の受信機への入力レベルが強くなった場合に受信機の利得を下げる方法を示すフローチャートである。ここでは、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0046】
規定時間中(例えば地上波デジタルTV信号の1フレーム)、受信機の入力信号のピーク検波後の出力(各ピークの信号振幅値)を閾値PDETH及びPDETLと比較し、毎回3つの領域に分類し、各領域に位置した回数(割合)を記憶する(ステップS11)。ピーク検波後の出力をPDoutとして、3つの領域をそれぞれ、領域1をPDout>PDETH、領域2をPDETL<PDout≦PDETH、領域3をPDout≦PDETLと、定義する。
【0047】
まず(領域1の割合)>0でない場合(ステップS12のNO:すなわち、領域1にPDoutが1回もこない場合)、可変利得増幅器102における利得の値は現状の値が維持される(ステップS15)。
【0048】
次に、(領域1の割合)>0(ステップS12のYES)でかつ(領域1の割合)<(規定値1)でない場合(ステップS13のNO:すなわち、領域1にPDoutが規定値1以上くる場合)は、可変利得増幅器102における利得の値は現状の値より低い値に設定される(ステップS16)。
【0049】
また、(領域1の割合)>0(ステップS12のYES)で、かつ(領域1の割合)<(規定値1)(ステップS13のYES)で、更に(領域2の割合)≧(規定値2)の場合(ステップS14のYES)、利得の値は現状の値が維持される(ステップS15)。一方、(領域2の割合)≧(規定値2)でない場合(ステップS14のNO)は、利得の値は現状の値より低い値に設定される(ステップS16)。
【0050】
図5は、判定方法1の判定基準を示す図であり、上述の規定値1が3%、規定値2が40%である場合を示す。図5は、領域1の割合が3%以上であれば受信機の利得を下げ(Down)、領域1の割合が3%未満で領域2の割合が40%以上であれば受信機の利得を維持し(HOLD)、領域1の割合が3%未満で領域2の割合が40%未満であれば受信機の利得を下げる(Down)ことを示す。
【0051】
このように、本実施の形態の受信機では、PDoutが領域2にくる割合に着目することで変調波のピークファクタを区別する。区別したい2種類の信号がOFDM波とHPSK波である場合、PDETHとPDETLの差を約2〜4dBに設定し、図5に示したように規定値1は3%、規定値2は40%程度とすることが望ましい。
【0052】
図6に地上波デジタルテレビ放送波(DTV信号)とFOMA変調波の振幅密度解析結果を示す。図6から、PDETHとPDETLの差(検波幅)を小さくしすぎると信号の区別がつかず効果がなく、また、大きくしすぎると信号レベルを変えていったときに誤動作が発生することがわかる。以下、詳細に説明する。
【0053】
検波幅が1dBの場合、信号の強さを0dBから4dBに変化させた場合に、FOMA変調波及びDTV信号のどちらに対しても利得制御がDown(利得を下げる)となり差が現れない。
【0054】
一方、検波幅が2dBから4dBの場合には、信号の強さを0dBから4dBに変化させた場合に、FOMA変調波の0dB及び1dBに対して利得制御がHOLD(利得を維持する)となり、2dBから4dBに対して利得制御がDownとなる。これに対し、DTVの0dBから4dBに対して利得制御がすべてDownとなる。
【0055】
また、検波幅が5dBの場合、信号の強さを0dBから4dBに変化させた場合に、FOMA変調波の0dB及び1dBに対して利得制御がHOLDとなり、2dBから4dBに対して利得制御がDownとなるが、DTVの3dBで利得制御がHOLDとなり誤判定が生じる。
【0056】
以上説明した通り、本実施の形態の受信機によれば、PDETL<PDout≦PDETH(領域2)の密度、すなわちPDoutが領域2に存在する割合によって、2つの変調波のピークファクタを識別することが可能である。なお、入力信号が強くなった場合の例を示したが、入力信号が弱くなり利得を増加させる場合にも適用可能であることはいうまでもない。
【0057】
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3における受信機への入力レベルが強くなった場合に受信機の利得を下げる方法を示すフローチャートである。実施の形態2では、領域2に注目したが、実施の形態3では、領域3に着目した判定方法(判定方法2)を説明する。ここでは、実施の形態2と異なる点を主に説明する。
【0058】
まず(領域1の割合)>0でない場合(ステップS22のNO)、可変利得増幅器102における利得は現状の値が維持される(ステップS25)。次に(領域1の割合)>0の場合(ステップS22のYES)で(領域1の割合)<(規定値3)でない場合(ステップS23のNO)、利得は減少される(ステップS26)。
【0059】
また、(領域1の割合)>0(ステップS22のYES)でかつ(領域1の割合)<(規定値3)(ステップS23のYES)で、更に(領域3の割合)≧(規定値4)でない場合(ステップS24のNO)、利得の値は現状の値が維持される(ステップS25)。一方、(領域3の割合)≧(規定値4)である場合(ステップS24のYES)、利得の値は現状の値より低い値に設定される(ステップS26)。
【0060】
図8は、判定方法2の判定基準を示す図であり、上述の規定値3が3%、規定値4が60%である場合を示す。図8は、領域1の割合が3%以上であれば受信機の利得を下げ(Down)、領域1の割合が3%未満で領域3の割合が60%未満であれば受信機の利得を維持し(HOLD)、領域1の割合が3%未満で領域3の割合が60%以上であれば受信機の利得を下げる(Down)ことを示す。
【0061】
このように、本実施の形態の受信機では、PDoutが領域3にくる割合に着目することで変調波のピークファクタを区別する。区別したい2種類の信号がOFDM波とHPSK波である場合、PDETHとPDETLの差を約2〜4dBに設定し、図8に示したように閾値3は3%、閾値4は60%程度とすることが望ましい。入力レベル依存性は図6と同一となるため説明は省略する。
【0062】
以上説明した通り、本実施の形態の受信機によれば、PDout≦PDETL(領域3)の密度、すなわちPDoutが領域3に存在する割合によって、2つの変調波のピークファクタを識別することが可能である。なお、入力信号が強くなった場合の例を示したが入力信号が弱くなり利得を増加させる場合にも適用可能であることはいうまでもない。
【0063】
なお、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
【0064】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【0065】
本出願は、2007年12月26日出願の日本特許出願(特願2007−334609)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、各種高周波移動体通信装置の受信部に用いる受信機及び利得制御方法として利用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1,101 受信機
2 信号増幅部
3 信号復調部
4 A/D変換器
5 ピーク電力算出器
6 チャネル復調器
7 チャネル平均電力算出器
8,10,107,108 電力判定器
9,11 閾値
12 可変利得器
102 可変利得増幅器
103 復調器
104 ピーク検波器
105 閾値PDETL
106 閾値PDETH
109 振幅密度計算部
Claims (8)
- 入力信号を設定利得にて増幅する可変利得増幅器と、
前記可変利得増幅器の出力を復調する復調器と、
前記可変利得増幅器の出力の瞬時ピーク電力PDoutを検波するピーク検波器と、
前記瞬時ピーク電力PDoutを閾値PDETLと比較する第一の電力判定器と、
前記瞬時ピーク電力PDoutを前記閾値PDETLより大きい閾値PDETHと比較する第二の電力判定器と、
前記第一の電力判定器及び前記第二の電力判定器の出力結果から判定した振幅密度に基づいて前記可変利得増幅器の利得の値を制御する振幅密度計算部と、を備える受信機。 - 前記閾値PDETH及び閾値PDETLのレベル差は、区別すべき二種類の変調波のうち、ピークファクタが小さいほうの変調波のピークファクタ値と近い値に設定されるものである請求項1記載の受信機。
- 前記振幅密度計算部は、前記瞬時ピーク電力PDoutが、前記閾値PDETHより大きい第一の電力領域、前記閾値PDETH以下で前記閾値PDETLより大きい第二の電力領域、及び前記閾値PDETL以下の第三の電力領域の各電力領域に存在する割合に基づいて、前記可変利得増幅器の利得を制御するものである請求項2記載の受信機。
- 前記振幅密度計算部は、一定期間において前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第二の電力領域に該当する割合に基づいて、前記可変利得増幅器の利得を制御するものである請求項3記載の受信機。
- 前記振幅密度計算部は、一定期間において前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第三の電力領域に該当する割合に基づいて、前記可変利得増幅器の利得を制御するものである請求項3記載の受信機。
- 請求項1ないし5のいずれか一項記載の受信機を搭載した無線装置。
- 入力信号を増幅する可変利得増幅器に対する利得制御方法であって、
閾値PDETHより大きい第一の電力領域、前記閾値PDETH以下で閾値PDETLより大きい第二の電力領域、及び前記閾値PDETL以下の第三の電力領域、を設定するステップと、
前記可変利得増幅器の出力の瞬時ピーク電力PDoutを検波するステップと、
前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロの場合に、前記可変利得増幅器の利得を現状維持するステップと、
前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロでなく、第一の規定値以上の場合に、前記可変利得増幅器の利得を減少するステップと、
前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロでなく、前記第一の規定値より小さく、かつ前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第二の電力領域に該当する割合が、第二の規定値以上の場合に、前記可変利得増幅器の利得を現状維持するステップと、
前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロでなく、前記第一の規定値より小さく、かつ前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第二の電力領域に該当する割合が、前記第二の規定値より小さい場合に、前記可変利得増幅器の利得を減少するステップと、を有する利得制御方法。 - 入力信号を増幅する可変利得増幅器に対する利得制御方法であって、
閾値PDETHより大きい第一の電力領域、前記閾値PDETH以下で閾値PDETLより大きい第二の電力領域、及び前記閾値PDETL以下の第三の電力領域、を設定するステップと、
前記可変利得増幅器の出力の瞬時ピーク電力PDoutを検波するステップと、
前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロの場合に、前記可変利得増幅器の利得を現状維持するステップと、
前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロでなく、第三の規定値以上の場合に、前記可変利得増幅器の利得を減少するステップと、
前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロでなく、前記第三の規定値より小さく、かつ前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第三の電力領域に該当する割合が、第四の規定値より小さい場合に、前記可変利得増幅器の利得を現状維持するステップと、
前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第一の電力領域に該当する割合がゼロでなく、前記第三の規定値より小さく、かつ前記瞬時ピーク電力PDoutが前記第三の電力領域に該当する割合が、前記第四の規定値以上の場合に、前記可変利得増幅器の利得を減少するステップと、を有することを特徴とする利得制御方法。
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