JP4938323B2 - 熱交換型反応器の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱交換媒体との間での熱の授受に伴って化学的な気固系可逆反応を起こす反応材を備え、熱交換媒体が流れる熱交換媒体流路と、気固系可逆反応により前記反応材から分離若しくは前記反応材に吸収される反応ガスが流れる反応ガス流路とを備えた熱交換型反応器の製造方法に関する。
この種の熱交換型反応器は、例えば、遮断弁を備えた連通管を介して凝縮器と連通連結され、所謂、ケミカルヒートポンプを構成する。
ケミカルヒートポンプは、図2に示すように、反応材が収納される反応器10と、凝縮器11とを、反応ガスが流通可能な連通管12を介して連通接続したものであり、連通管12に備えられる遮断弁13の開閉操作と、反応器10及び凝縮器11での熱の授受に伴って良好な作動状態が維持される。塩化カルシウムの水和/脱水反応を反応器10側の反応に用い、凝縮器11での水の蒸発/凝縮を発生させる場合は、以下のような蓄熱工程と放熱工程とを交互に選択する形態で動作することとなる。
蓄熱過程
反応器10に高温熱が投入され、塩化カルシウムの水和物の脱水反応により化学反応エネルギーを蓄える化学蓄熱が起こる。脱水した水蒸気は凝縮器11に移動し、凝縮器11内で凝縮水が生成される。この状態は、遮断弁13を閉状態に維持することで、その蓄熱状態を維持することができる。
この蓄熱動作は、反応材が受熱する受熱量をΔH、反応ガスの凝縮熱をΔhとして、以下のように記載される。
CaCl・6HO+ΔH→CaCl・4HO+2Hgas
2Hgas−Δh→2HLiquid
放熱過程
上記の蓄熱状態において、遮断弁13を開状態とすると、反応器10、凝縮器11間に形成される圧力差により、凝縮器11内で水が蒸発するとともに反応器10に移流し、反応器10内において、塩化カルシウムの水和反応が進行する。この際、反応器10内では、水和反応熱による温熱生成が起こる。本願にあっては、放熱後の状態を放熱状態と呼ぶ。
この放熱動作は以下のように記載される。
CaCl・6HO←CaCl・4HO+2Hgas−ΔH
2Hgas←2HLiquid+Δh
この動作形態における反応器10内の熱力学的状態を示したのが、図3である。図3は横軸に温度Tの逆数1/T(単位〔K−1〕)を、縦軸に圧力P(単位:101.3kPaで無次元化)を取ったものであり、Pe1、Pe2、Pe3、Pe4は、夫々、同図下側に示す平衡反応が起こる平衡状態に対応している。
図上、前述の蓄熱反応は状態aから状態bへの変化であり、放熱反応は、状態cから状態dへの変化である。
以上説明したように、反応器は、内部に、熱交換媒体との間での熱の授受に伴って化学的な気固系可逆反応を起こす反応材を備え、熱交換媒体が流れる熱交換媒体流路と、気固系可逆反応により反応材から分離若しくは反応材に吸収される反応ガスが流れる反応ガス流路とを備えた構成とされる。
従来、この反応ガス流路は粒状の反応材が収納された粒子充填反応層として構成されていた。しかしながら、粒子充填反応層は本質的に熱伝導性が悪く、この要因による低熱回収率と低反応速度がケミカルヒートポンプの実用化を阻害していた。この点、熱伝導性を高めるために、粒子層の充填密度を増大させると反応ガスの透過性が低下する。
また、装置小型化のためには粒子層の厚さをある程度大きくする必要があるが、それに伴って反応ガスが粒子層内部まで透過しにくくなる問題がある。
この種の問題を解決することを目的として、以下に示すような様々な提案がなされている。
(1) 反応器内の熱伝導性を向上させることを目的として、スパイラル状の伝熱管(内部が、これまで説明してきた熱交換媒体流路とされる)を備える構造(特許文献1)や、フィンを配置した円盤状のトレイを多段に配置する構造(特許文献2)が提案されている。
(2) 粒子状の反応材自体の熱伝導性を改善する技術として、膨張黒鉛を圧縮してブロック化したものに無機塩などの反応材溶液を含浸させた後、溶媒を蒸発させて複合反応材を得ることが提案されている(特許文献3)。
特開2003−322431号公報 特開平11−182968号公報 特開平8−283011号公報
しかしながら、特許文献1に記載の反応器では、充分な伝熱促進・ガス透過促進効果を得ようとすれば、伝熱管の占める体積が大きくなって装置が大型化する。
特許文献2に記載の技術でも、装置の小型化と伝熱距離や物質移動距離の減少は両立し難い。
特許文献3に記載の技術では、反応材の製造に多くの手順と装置を要する。又、この手法では、膨張黒鉛の存在を前提とするため、基本的に、粒子充填反応層の基本骨格が守られているという構造上の理由から、熱伝導性が悪いことに変わりはない。
さらに、特許文献1〜3のいずれも、反応材、フィン、伝熱管、反応器構造体表面との接触が良好でなく、これらの反応材の間の接触熱抵抗のため、伝熱促進効果が制限される。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、充分な伝熱促進・ガス透過効果を確保できるとともに、装置の小型化や伝熱距離や物質移動距離の減少を達成できる熱交換型反応器を、比較的簡単な製作工程で得ることができる熱交換型反応器の製造方法を得ることにある。
上記目的を達成するための本発明に係る、
熱交換媒体との間での熱の授受に伴って化学的な気固系可逆反応を起こす反応材を備え、
前記熱交換媒体が流れる熱交換媒体流路と、前記気固系可逆反応により前記反応材から分離若しくは前記反応材に吸収される反応ガスが流れる反応ガス流路とを備えた熱交換型反応器の製造方法の第1特徴構成は、
無機化合物系反応材である前記反応材を溶媒に溶解させた反応材溶液を前記反応ガス流路内に充填する充填工程と、
充填状態にある前記反応材溶液から前記溶媒を脱離する溶媒脱離工程とを経て、前記反応ガス流路側の反応器構造体表面に、前記反応材の析出相を形成し、
前記充填工程において、加熱により除去可能な空隙形成材を前記反応材溶液に混入し、
前記溶媒脱離工程を経て、前記反応材の析出相を前記反応ガス流路に形成するとともに、前記空隙形成材を加熱除去する空隙形成材除去工程を実行し、
前記反応ガス流路内の前記反応材の析出相間に、前記空隙形成材の除去により形成された空隙を形成する点にある。
この方法では、充填工程において、反応材となりうる材料が溶解した反応材溶液を得、その溶液を反応ガス流路内に充填する。この充填状態において溶液は、反応ガス流路内を満たすこととなり、反応器構造体表面及び表面間に形成される空間が充填された状態となる。
そして、溶媒脱離工程で、反応材溶液から溶媒を抜く操作を実行する。この操作にあっては、加熱あるいは減圧、若しくはその両方を行う。このようにすることで、溶解状態にある反応材が、少なくとも反応器構造体の表面に析出する。さらに、フィン−フィン間と言った構造体の中間部位にも、先に形成された析出相を基部として、同様に析出相が形成される。
本願のような化学的な気固系可逆反応を起こす反応材である無機化合物反応材は、溶媒脱離反応を起こさせてやると、その析出相が形成されるとともに、析出相間にガスの流通が可能な通気部も形成する。結果、本願のように、直接反応器構造体を起点とする反応材の析出操作により反応材相を反応ガス流路内に形成する場合も、その部位の通気性を確保できる。
そして、この構造においては、反応器構造体表面に反応材の析出相を形成するため、構造体と反応材との間の接触熱抵抗の減少効果、反応材自体内の熱出伝導度の増大効果を得ることができる。
即ち、反応器構造体表面に反応材の析出相が直接形成されるため、反応材と構造体表面の密着性が確保され、従来型の粒子充填反応層より、格段に接触熱抵抗を低くできる。
さらに、反応器構造体表面間にあっては、反応材の析出相が連続した状態で形成されるため、層内における熱伝導度自体も増大する。
従って、反応材から反応器構造体への熱移動が速やかとなり、熱回収効率が向上する。また、反応材から反応器構造体への熱移動が速やかになることにより、これまで大きな問題であった反応材の温度変化による反応推進圧力差に減少が軽減され、総括反応速度が増大する。
結果、総括反応速度の増大に加えて、粒子層に比べて充填密度が大きくなる効果も相乗して熱交換型反応器を小型化できる。
さらに、上記製造方法では、空隙形成材を反応材溶液に混入し、析出相の形成とともに、空隙形成材除去工程において加熱処理で空隙形成材を除去することで、積極的に空隙を形成できる。
従って、反応ガス流路に形成される反応ガスの通気路を確実に確保できる。さらに、この空隙形成材の量を調整することにより、その通気状態を調整できる。
上記のように、析出相として反応材を得るに、
化学的な気固系可逆反応が、熱交換媒体から反応材が受熱して反応ガスが分離された蓄熱状態と、熱交換媒体へ反応材が放熱して反応ガスを吸収した放熱状態との間で繰替えされる反応である場合に、
前記溶媒脱離工程において、放熱状態における反応材の反応ガス成分比より少ない反応ガス成分比に、析出相の反応ガス成分比を調整して、反応器構造体表面に析出相を形成することが好ましい。
この場合の気固系可逆反応は、蓄熱状態では反応ガスが分離され、放熱状態で反応ガスを吸収した状態となるが、蓄熱状態における反応ガス成分比より低い状態にある反応ガス成分比の析出相を予め得ておくことで、析出相は気固系可逆反応において安定であり、化学的な気固系可逆反応を良好に継続することができる。
さらに、前記充填工程において、反応材溶液に前記反応ガスが透過可能なガス透過性材料を混入し、前記溶媒脱離工程を経て、前記反応ガス流路に、前記反応材の析出相と前記ガス透過性材料が混在する複合層を形成することが好ましい。
このようにガス透過性材料を混入しておくことで、反応ガス流路内に形成される複合層内に、反応ガスの流通路を確保でき好ましい。
この種のガス透過性材料としては、後述するように、膨張黒鉛等が採用できる。
熱交換型反応器の構成としては、
並設される複数のプレートと、プレート間に配設されるフィンとを備えて構成され、前記プレート間に形成される通路が前記反応ガス流路とされ、当該反応ガス流路に前記反応材の析出相が形成されていることとすることが好ましい。
この構成にあっては、従来型のプレート−フィン型の熱交換器の構造を踏襲しながら、フィン間に反応材の析出相を形成し、反応ガス流路として使用することができ、容易且つ迅速に、本願の目的を達成できる熱交換型反応器を得ることができる。
これまで説明してきた無機化合物系反応材としては、これに、塩化カルシウム、塩化マンガン、塩化マグネシウム、塩化ニッケル、炭酸ナトリウム、硫酸カルシウムから選択される一種以上の無機塩を採用することで、良好に本願が対象とする化学的な気固系可逆反応を発生させることができ、例えば、有用なケミカルヒートポンプを構築できる。
このようにして得られる、熱交換媒体との間での熱の授受に伴って化学的な気固系可逆反応を起こす反応材を備え、
前記熱交換媒体が流れる熱交換媒体流路と、前記気固系可逆反応により前記反応材から分離若しくは前記反応材に吸収される反応ガスが流れる反応ガス流路とを備えた熱交換型反応器は、
前記反応ガス流路側の反応器構造体表面に、前記反応材の析出相を備え、
前記反応ガス流路内の前記反応材の析出相間に、加熱により除去可能な空隙形成材の除去により形成された空隙を有する熱交換型反応器となる。
以上が、反応材溶液を得ることができる場合の本願に係る熱交換型反応器の製造方法と熱交換型反応器の構造の説明であるが、反応材溶液を得ることが困難を伴う場合は、以下の手法で本願に係る熱交換型反応器を得ることができる。
本願に係る、熱交換媒体との間での熱の授受に伴って化学的な気固系可逆反応を起こす反応材を備え、
前記熱交換媒体が流れる熱交換媒体流路と、前記気固系可逆反応により前記反応材から分離若しくは前記反応材に吸収される反応ガスが流れる反応ガス流路とを備えた熱交換型反応器の製造方法の第二の特徴手段は、
前記反応材が酸化マグネシウム若しくは酸化カルシウムから選択される一種以上であり、
粉化された前記反応材のスラリーを前記反応ガス流路内に充填する充填工程と、充填状態にある前記スラリーから液分を脱離する液分脱離工程とを実行し、反応器構造体の前記反応ガス流路側表面に、前記反応材の固化相を形成し、
前記充填工程において、加熱により除去可能な空隙形成材を前記スラリーに混入し、
前記液分脱離工程を経て、前記反応材の固化相を前記反応ガス流路に形成するとともに、前記空隙形成材を加熱除去する空隙形成材除去工程を実行し、
前記反応ガス流路の前記反応材の固化相間に、前記空隙形成材の除去により形成された空隙を形成することにある。
この方法では、充填工程において、反応材を粉化しておき、そのスラリーを得る。そして、そのスラリーを反応ガス流路内に充填する。この充填状態においてスラリーは、反応ガス流路内を満たすこととなり、反応器構造体表面及び表面間の空間が充填された状態となる。
そして、液分脱離工程で、スラリーから液分を抜く操作を実行する。この操作にあっては、加熱あるいは減圧、若しくはその両方を行う。このようにすることで、反応材が少なくとも反応器構造体の表面に固化相を形成する。さらに、フィン−フィン間と言った構造体の中間部位にも、先に形成された固化相析を基部として、同様に固化相が形成される。
この例で対象とする反応材である酸化マグネシウム或は酸化カルシウムは、液分脱離反応を起こさせてやると、その固化相が形成されるとともに、粉状に成形されているため粒子間にガスの流通が可能な通気部も形成する。結果、本願のように、直接反応器構造体を起点とする反応材の固化相の形成により、反応材相を反応ガス流路内に形成する場合も、その部位の通気性を確保できる。
そして、この構造においては、反応器構造体表面に反応材の固化相を形成するため、構造体と反応材との間の接触熱抵抗の減少効果、反応材自体内の熱出伝導度の増大効果を得ることができる。
即ち、反応器構造体表面に反応材の固化相が直接形成されるため、反応材と構造体表面の密着性が確保され、従来型の粒子充填反応層より接触熱抵抗を低くできる。
さらに、反応器構造体表面間にあっては、反応材の固化相が連続した状態で形成されるため、層内における熱伝導度自体も増大する。
従って、反応材から反応器構造体への熱移動が速やかとなり、熱回収効率が向上する。また、反応材から反応器構造体への熱移動が速やかになることにより、これまで大きな問題であった反応材の温度変化による反応推進圧力差に減少が軽減され、総括反応速度が増大する。
結果、総括反応速度の増大に加えて、粒子層に比べて充填密度が大きくなる効果も相乗して熱交換型反応器を小型化できる。
さらに、この製造方法を採用する場合は、空隙形成材を反応材溶液に混入し、固化相の形成とともに、空隙形成材除去工程において加熱処理で空隙形成材を除去することで、積極的に空隙を形成できる。
従って、反応ガス流路に形成される反応ガスの通気路を確実に確保できる。さらに、この空隙形成材の量を調整することにより、その通気状態を調整できる。
さて、前記充填工程において、スラリーに前記反応ガスが透過可能なガス透過性材料を混入し、前記液分脱離工程を経て、前記反応ガス流路に、前記反応材の固化相と前記ガス透過性材料が混在する複合層を形成することが好ましい。
このようにガス透過性材料を混入しておくことで、反応ガス流路内に形成される複合層内に、反応ガスの流通路を確保でき好ましい。
この種のガス透過性材料としては、後述するように、膨張黒鉛等が採用できる。
熱交換型反応器の構成としては、
並設される複数のプレートと、プレート間に配設されるフィンとを備えて構成され、前記プレート間に形成される通路が前記反応ガス流路とされ、当該反応ガス流路に前記反応材の析出相が形成されていることとすることが好ましい。
この構成にあっては、従来型のプレート−フィン型の熱交換器の構造を踏襲しながら、フィン間に反応材の析出相を形成し、反応ガス流路として使用することができ、容易且つ迅速に、本願の目的を達成できる熱交換型反応器を得ることができる。
上記の製造方法により製造される熱交換型反応器は、
熱交換媒体との間での熱の授受に伴って化学的な気固系可逆反応を起こす反応材を備え、
前記熱交換媒体が流れる熱交換媒体流路と、前記気固系可逆反応により前記反応材から分離若しくは前記反応材に吸収される反応ガスが流れる反応ガス流路とを備えた熱交換型反応器であって、
前記反応材が酸化マグネシウム若しくは酸化カルシウムから選択される一種以上であり、
前記反応ガス流路側の反応器構造体表面に、前記反応材の固化相を備え、
前記反応ガス流路内の前記反応材の固化相間に、加熱により除去可能な空隙形成材の除去により形成された空隙を有する構成となる。
本発明の実施の形態について、以下、本願に係る熱交換型反応器1をケミカルヒートポンプに使用する例で、図1〜4に基づいて説明する。
本願に係る実施形態は、反応材sが溶媒に溶解可能で反応材sの相を析出相seとして得る第一実施形態と、反応材sが難溶性若しくは不溶性であり、反応材sの相を固化相として得る第二実施形態を含むものである。
1 熱交換型反応器1の構造、2 第一実施形態、3 第二実施形態の順に説明する。第一実施形態、第二実施形態において反応器1自体の構造は共通であり、反応材sが、析出相seとなっているか、固化相となっているかの違いがある。
1 熱交換型反応器1の構造
図1に示すように、この反応器1は、反応容器2内にプレートフィン型の熱交換部3を備えて構成される。
この熱交換部3には、反応容器2外から送られてくる熱交換媒体hが、媒体入口4から容器2内に送り込まれ熱交換部3に到るとともに、この熱交換部3で熱交換を終えた熱交換媒体hが、媒体出口5から反応容器2外に導出される構造が採用されている。
図示するように熱交換部3はプレートフィン型に構成されており、並設される複数のプレート3aと、これら複数のプレート3a間に配設されるフィン3bとを備えて構成されている。図1(a)に示すように、この熱交換部3には流入側ヘッダー3cと流出側ヘッダー3dとが設けられており、両ヘッダー3c、3d間にプレート3aが掛け渡される構造が採用されている。さらに、このプレート3a内には、両ヘッダー3c,3d間に渡って、熱交換媒体hが移流する熱交換媒体流路3eが形成されており、フィン3b間に配設されている反応材sとの熱交換を良好に行うことが可能とされている。
さて、プレート3a間には、波型成型されたフィン3bが配設されている。このフィン3b間は、反応材sが位置される部位とされており、この反応材sの相間を反応ガスgが流通可能な構成が採用されている。この構造において、プレート3a間及びフィン3b間に、図1(b)において紙面表裏方向に形成される流路が反応ガスgが流れる流路(図4参照)となるため、この流路を反応ガス流路3fと呼ぶ。
本願においては、反応材sは、プレート3a及びフィン3bの反応ガス流路側表面を覆う状態で位置されるとともに、フィン3b間に形成される空間をも層として覆う構成となっている。この状態を図1(b)及び図4に示した。この反応材sの層は、その製造手法に起因して、反応ガスgが流通するに充分な連通空間を有するものとなっている。
下記する第一実施形態では、この反応材sの層は溶液からの析出された析出相seとなっており、第二実施形態では、この反応材sの層は微粉体が固化した固化相となっている。
図1(a)に示す例にあっては、図上、熱交換媒体流路3eにおいて左から右へ熱交換媒体hが流れる構成が採用されており、反応材sから分離若しくは反応材sに吸収される反応ガスgは、反応ガス流路3fにおいて紙面表裏方向に流れて、凝縮器6(図2参照)へ送られるあるいは凝縮器6から戻ってくることとなる。
ここで、図1に示した例に於ける実施形態の具体的構成に関して述べておくと、ヘッダー3c−ヘッダー3d間の距離(即ち、反応ガス流路3fの幅)は26cm程度であり、プレート3a−プレート3a間の距離(即ち、反応ガス流路3fの高さ)は1.2cm程度であり、波状に形成されるフィン3aの折り曲げ周期は0.5cm程度である。
以上が、本願に係る熱交換型反応器1の機械的構成であるが、以下、第一実施の形態、第二実施の形態に関して説明する。これら実施の形態の差異は、フィン3a間に形成される反応材sの層が析出相se或いは固化相からなっていることにあるため、その製造手法を中心に説明する。
2 第一実施形態
フィン3a間に反応材の層を形成する前の反応器構造体を用意する。この反応器構造体は、先に説明したように、ヘッダー3c,3d、多数のプレート3a、フィン3bを、図1に示すように結合し、未だ、反応材sを反応ガス流路3fに備えていないものである。
第一実施形態での熱交換型反応器1の製造は、充填工程、溶媒脱離工程を経たものとする。以下順に説明する。
充填工程
この工程は、無機化合物系反応材である反応材sを溶媒に溶解させた反応材溶液を反応ガス流路3f内に充填する工程である。
ここで、無機化合物系反応材としては、塩化カルシウム、塩化マンガン、塩化マグネシウム、塩化ニッケル、炭酸ナトリウム、硫酸カルシウムから選択される一種以上を挙げることができる。
塩化カルシウムに対しては、水、メタノール、アンモニア、メチルアミンが本願にいう化学的な気固系可逆反応を起こす。
塩化マンガンに対しては、水、アンモニアが本願にいう化学的な気固系可逆反応を起こす。
塩化マグネシウムに対しては、水、メタノール、アンモニアが本願にいう化学的な気固系可逆反応を起こす。
塩化ニッケルに対しては、アンモニアが本願にいう化学的な気固系可逆反応を起こす。
炭酸ナトリウムに対しては、水が本願にいう化学的な気固系可逆反応を起こす。
硫酸カルシウムに対しては、水が本願にいう化学的な気固系可逆反応を起こす。
これら無機化合物系反応材に対する溶媒としては、一般的には水、アルコール等を利用でき、酸、アセトン、グリセリン等も溶媒として使用することができる。
反応材溶液の生成は、常温・常圧(この状態が、図3に示す状態eである)で行ってよいが、加熱・減圧状態にある環境下で行うこともできる。本願の場合、得られた反応材溶液を反応ガス流路3fに充填するため、溶液濃度は充分高いものとしておく。
このようにして得られた反応材溶液を、反応ガス流路3fに充填することで、充填工程を終える。この充填工程は、本願の場合、反応容器2内に熱交換部3に配設さえる前に、反応ガス流路3fにペースト状の反応材溶液を充填してやればよい。
溶媒脱離工程
この工程では、充填状態にある反応材溶液から溶媒を脱離する。この脱離に際しては、容器の上部開口を閉じた状態で、加熱しながら内部の脱気を実行する。このようにすることで、少なくとも反応ガス流路3f側の反応器構造体表面に、反応材sの析出相seを形成することができる。本願にあっては、先の充填工程において、少なくともフィン3b間、さらにはフィン3b−プレート3a間に反応材溶液を充填するため、反応器構造体表面(フィン3b表面あるいはプレート3aの反応ガス流通路3f側表面)に反応材sの析出相seが形成される。さらに、この析出は、反応器構造体表面に析出相seが形成された後、反応ガス流路3fを横断する形態で通気性を有する析出相seの連続層が形成される。
この析出相の製造条件は、先に図3に基づいて説明した化学的な気固系可逆反応の状態を考慮した条件設定を行う。即ち、化学的な気固系可逆反応が、熱交換媒体hから反応材sが受熱して反応ガスgが分離された蓄熱状態と、熱交換媒体hへ反応材sが放熱して反応ガスgを吸収した放熱状態(この放熱状態は、図3においてPe4で示す平衡線に乗った状態となる)との間で繰替えされる反応であるとして、溶媒脱離工程においては、放熱状態における反応材sの反応ガス成分比より少ない反応ガス成分比に、析出相seの反応ガス成分比がなるように、溶媒脱離工程の最終段階の条件を設定する。この状態は、前記平衡線Pe4より下に位置する状態f或は状態f´の状態となる。
このようにして、少なくとも反応器構造体表面に反応材の析出相seを得ることができる。
塩化カルシウムの水和物を反応材として使用する場合の、反応材溶液の作成条件及び溶媒脱離工程の条件を以下に示す。
反応材溶液の作成条件
塩化カルシウム80〜82.8gを100gの水に溶解し、塩化カルシウム溶液(濃度44.4〜45.3質量%)を得る。この反応材溶液の作成は、常温・常圧で行う。そして、上記のようにして得られた飽和溶液を一旦加熱して濃縮した後、温度を低下させ、固化しようとしている溶液を下記の充填に使用する。このような固化しかかった溶液の濃度(充填時の塩化カルシウム濃度)は62〜70質量%となっていた。
溶媒脱離工程の条件
上記の条件で得られた塩化カルシウム溶液をフィン3b間に充填し、脱水・焼成処理を施す。この充填に際しては、本願の場合、反応容器2内に熱交換部3を配設した状態で、反応容器2内に反応材溶液を充填すればよい。
脱水は、温度 室温、圧力1kPaの条件で、あるいは温度80〜100℃で常圧の条件で、180分実行する。この処理を実行することで、図3において、塩化カルシウムは状態f、f´で示す状態となる。
上記の脱水処理に引き続いて、温度250℃、常圧の条件で、焼成処理を60分実行する。この処理を実行することで、図3において、塩化カルシウムは状態yで示す状態となる。焼成処理を施すことで、反応材sの析出相seを安定化させることができる。
上記処理を施して得られたフィン3b間に形成される反応ガス流路3fの状態を図4に示した。この図からも判明するように、塩化カルシウムの析出相se間に、反応ガスgが流通可能な空隙7が形成されていることが判る。
このようにして得られた熱交換型反応器の吸水量は、顕著な増加を示した。
この結果を図5に基づいて説明する。図5は吸水量の比較を示した図面であり、白丸○が本願に係る熱交換型反応器の吸水量を、黒丸●が従来型(反応材が塩化カルシウムで、粒子状反応層を備えたもの)の吸水量を示している。図5(a)は反応材単位重量当りで比較した吸水量であり、図5(b)は同一体積(占有容積が同一)で比較した吸水量である。これら図面において横軸は、吸水始めからの経過時間を示している。
図5からも判明するように、本願の構造を採用すると、反応材単位重量当りでは約3倍の吸水量を得られており、同一体積での比較で、約1.5倍の吸水量を得られている。
3 第二実施形態
フィン3b間に反応材sの層を形成する前の反応器構造体1を用意する。この反応器構造体は、先に説明したように、ヘッダー3c,3d、多数のプレート3a、フィン3bを、図1に示すように結合したものである。
第二実施形態での熱交換型反応器1の製造は、充填工程、液分脱離工程を経たものとする。以下順に説明する。
充填工程
この工程は、酸化マグネシウム或いは酸化カルシウムの粉末スラリーを反応ガス流路3f内に充填する工程である。
酸化マグネシウムに対しては、水が本願にいう化学的な気固系可逆反応を起こす。
酸化カルシウムに対しては、水、二酸化炭素が本願にいう化学的な気固系可逆反応を起こす。
これらの物質は、その粉体として、平均粒径として0.01〜200μm程度のものを使用する。
これらの物質をスラリーとする場合、液分としては、一般的には水、アルコール等を利用でき、アセトン、トルエン等も液分として使用することができる。スラリーの作成は、常温・常圧で行う。本願の場合、得られたスラリーを反応ガス流路3fに充填するため、スラリー濃度は充分高いものとしておく。この充填工程は、本願の場合、反応容器2内に熱交換部3が配設される前に行える。このようにして得られたスラリーを反応ガス流路3fに充填することで、充填工程を終える。
液分脱離工程
この工程では、充填状態にあるスラリーから液分を脱離する。先に例と同様に、この脱離に際しては、容器の上部開口を閉じた状態で、加熱しながら内部の脱気を実行する。
このようにすることで、少なくとも反応ガス流路3f側の反応器構造体表面に、反応材sの固化相を形成することができる。本願にあっては、先の充填工程において、少なくともフィン3b間、さらにはフィン3b−プレート3a間にスラリーを充填するため、反応器構造体表面(フィン3b表面あるいはプレート3aの反応ガス流通路側表面)に反応材sの固化相が形成される。さらに、この固化相の形成は、反応器構造体表面に固化相が形成された後、反応ガス流路3fを横断する形態で通気性を有する固化相の連続層が形成される。
酸化カルシウムを反応材として使用する場合の、スラリーの作成条件及び液分脱離工程の条件を以下に示す。
スラリーの作成条件
平均粒径0.01〜200μmの酸化カルシウム粉20〜60gを100gの水に混合し、酸化カルシウム粉体のスラリーを得る。このスラリーの作成は、常温・常圧で行う。上記のようにして得られた飽和溶液を一旦加熱して濃度を上げた後、温度を低下させ、固化しようとしている溶液(スラリーと呼んでいる)を下記の充填に使用する。
液分脱離工程の条件
上記の条件で得られた酸化カルシウムスラリーをフィン3b間に充填し、脱水・焼成処理を施す。
脱水は、温度80℃、常圧の条件で、24時間実行する。この処理を実行することで、反応器構造体表面に、酸化カルシウム粉体の固化相が形成できる。
上記の脱水処理に引き続いて、温度600℃、常圧の条件で、焼成処理を240分実行する。この処理を実行することで、焼成処理を施すことで、反応材sの固化相を安定化させることができる。
そして、上記第一実施形態・第二実施形態においては、通気性を改良すべく、以下の構成を採用している。
第一実施形態の場合
この例の場合、充填工程において、加熱により除去可能な空隙形成材を反応材溶液に混入し、溶媒脱離工程を経て、反応材の析出相を反応ガス流路3fに形成するとともに、空隙形成材を加熱除去する空隙形成材除去工程を実行し、反応ガス流路内の反応材の析出相間に、空隙形成材の除去により形成された空隙を形成する。
この種の空隙形成材としては、重炭酸ナトリウムや炭素粒子を使用する。先に示した反応材のみを使用する例にあっても、脱水の後に焼成を行うが、この焼成工程は、比較的高温(先の例では300℃程度)で行うため、この焼成工程が、本願にいう空隙形成材を混入しておいた場合、空隙形成材除去工程を兼ねる。この空隙形成材の混入割合(空隙形成材量/(反応材量+空隙形成材量)は、数質量%程度である。
この工程を実行することで、反応材層内に充分な空隙を形成することができる。
第二実施形態の場合
この例の場合、充填工程において、加熱により除去可能な空隙形成材をスラリーに混入し、前記液分脱離工程を経て、反応材の固化相を反応ガス流路に形成するとともに、空隙形成材を加熱除去する空隙形成材除去工程を実行し、反応ガス流路の前記反応材の固化相間に、前記空隙形成材の除去により形成された空隙を形成する。
この種の空隙形成材としては、重炭酸ナトリウムや炭素粒子を使用する。先に示した反応材のみを使用する例にあっても、脱水の後に焼成を行うが、この焼成工程は、比較的高温(先の例では300℃程度)で行うため、この焼成工程が、本願にいう空隙形成材を混入しておいた場合、空隙形成材除去工程を兼ねる。この空隙形成材の混入割合(空隙形成材量/(反応材量+空隙形成材量)は、数質量%程度である。
この工程を実行することで、反応材層内に充分な空隙を形成することができる。
〔別実施の形態〕
これまで説明してきた実施の形態においては、反応ガス流路3f内に、通気性を有する反応材の層を形成する場合に関して述べたが、伝熱性及び通気性の改良として、以下のような製造手法を取ることができる。
以下、第一の実施形態、第二の実施形態に関して、各別に説明する
一実施形態の場合
この形態の場合は、充填工程において、反応材溶液に反応ガスが透過可能なガス透過性材料を混入し、溶媒脱離工程を経て、反応ガス流路に、反応材の析出相とガス透過性材料が混在する複合層を形成することができる。
この種のガス透過性材料としては、膨張黒鉛、金属フォーム等が代表的である。このようなガス透過性材料を混合した反応材溶液を使用して、反応材の析出相を析出させると、反応器構造材の表面及びガス透過性材料の表面に反応材の析出相を形成できる。
膨張黒鉛を使用する場合は、この材質の有する高い熱伝性のため、伝熱性及び通気性を確保できるが、その混入量は、膨張黒鉛の混入割合として、1〜20質量%が好ましい。1質量%より低いと膨張黒鉛の混入効果が発現されにくく、20質量%より高いと反応材の充填密度が減少する問題が発生しやすい。
第二実施形態の場合
この形態の場合は、充填工程において、スラリーに前記反応ガスが透過可能なガス透過性材料を混入し、液分脱離工程を経て、反応ガス流路に、反応材の固化相とガス透過性材料が混在する複合層を形成することができる。この場合、反応材の平均粒径は、ガス透過性材料が有する通気孔の径に対して、十分に小さい(例えば1/10)ものとしておく。
この実施形態の場合も、ガス透過性材料としては、膨張黒鉛、金属フォーム等が代表的である。このようなガス透過性材料を混合したスラリーを使用して、反応材の固化相を形成すると、反応器構造材の表面及びガス透過性材料の表面に反応材の固化相を形成できる。
膨張黒鉛を使用する場合は、この材質の有する高い熱伝性のため、伝熱性及び通気性を確保できるが、その混入量は、膨張黒鉛の混入割合(膨張黒鉛量/(反応材量+膨張黒鉛量)として、1〜20質量%が好ましい。1質量%より低いと膨張黒鉛の混入効果が発現されにくく、20質量%より高いと反応材の充填密度が減少する問題が発生しやすい。
充分な伝熱促進・ガス透過効果を確保できるとともに、装置の小型化や伝熱距離や物質移動距離の減少を達成できる熱交換型反応器を得ることができた。また、本願に係る熱交換型反応器は、比較的簡単な製作工程で製造することができる。
熱交換型反応器の構成を示す図 塩化カルシウムの水和物を反応材とするケミカルヒートポンプの動作説明図 ケミカルヒートポンプの作動状態と反応材析出時の状態を示す図 フィン間に形成された塩化カルシウムの析出相の状態を示す図 吸水量の比較図
符号の説明
1 熱交換反応器
2 反応容器
3 熱交換部
3a プレート
3b フィン
3e 熱交換媒体流路
3f 反応ガス流路
g 反応ガス
s 反応材
se 析出相
h 熱交換媒体

Claims (8)

  1. 熱交換媒体との間での熱の授受に伴って化学的な気固系可逆反応を起こす反応材を備え、
    前記熱交換媒体が流れる熱交換媒体流路と、前記気固系可逆反応により前記反応材から分離若しくは前記反応材に吸収される反応ガスが流れる反応ガス流路とを備えた熱交換型反応器の製造方法であって、
    無機化合物系反応材である前記反応材を溶媒に溶解させた反応材溶液を前記反応ガス流路内に充填する充填工程と、
    充填状態にある前記反応材溶液から前記溶媒を脱離する溶媒脱離工程とを経て、前記反応ガス流路側の反応器構造体表面に、前記反応材の析出相を形成し、
    前記充填工程において、加熱により除去可能な空隙形成材を前記反応材溶液に混入し、
    前記溶媒脱離工程を経て、前記反応材の析出相を前記反応ガス流路に形成するとともに、前記空隙形成材を加熱除去する空隙形成材除去工程を実行し、
    前記反応ガス流路内の前記反応材の析出相間に、前記空隙形成材の除去により形成された空隙を形成する熱交換型反応器の製造方法。
  2. 前記化学的な気固系可逆反応が、前記熱交換媒体から前記反応材が受熱して前記反応ガスが分離された蓄熱状態と、前記熱交換媒体へ前記反応材が放熱して前記反応ガスを吸収した放熱状態との間で繰替えされる反応であり、
    前記溶媒脱離工程において、前記放熱状態における前記反応材の反応ガス成分比より少ない反応ガス成分比に、前記析出相の前記反応ガス成分比を調整して、前記反応器構造体表面に前記析出相を形成する請求項1記載の熱交換型反応器の製造方法。
  3. 前記充填工程において、反応材溶液に前記反応ガスが透過可能なガス透過性材料を混入し、前記溶媒脱離工程を経て、前記反応ガス流路に、前記反応材の析出相と前記ガス透過性材料が混在する複合層を形成する請求項1又は2記載の熱交換型反応器の製造方法。
  4. 並設される複数のプレートと、前記プレート間に配設されるフィンとを備えて構成され、前記プレート間に形成される通路が前記反応ガス流路とされ、当該反応ガス流路に前記反応材の析出相が形成されている請求項1〜3のいずれか1項記載の熱交換型反応器の製造方法。
  5. 前記無機化合物系反応材が、塩化カルシウム、塩化マンガン、塩化マグネシウム、塩化ニッケル、炭酸ナトリウム、硫酸カルシウムから選択される一種以上の無機塩である請求項1〜4のいずれか1項記載の熱交換型反応器の製造方法。
  6. 熱交換媒体との間での熱の授受に伴って化学的な気固系可逆反応を起こす反応材を備え、
    前記熱交換媒体が流れる熱交換媒体流路と、前記気固系可逆反応により前記反応材から分離若しくは前記反応材に吸収される反応ガスが流れる反応ガス流路とを備えた熱交換型反応器の製造方法であって、
    前記反応材が酸化マグネシウム若しくは酸化カルシウムから選択される一種以上であり、
    粉化された前記反応材のスラリーを前記反応ガス流路内に充填する充填工程と、充填状態にある前記スラリーから液分を脱離する液分脱離工程とを実行し、反応器構造体の前記反応ガス流路側表面に、前記反応材の固化相を形成し、
    前記充填工程において、加熱により除去可能な空隙形成材を前記スラリーに混入し、
    前記液分脱離工程を経て、前記反応材の固化相を前記反応ガス流路に形成するとともに、前記空隙形成材を加熱除去する空隙形成材除去工程を実行し、
    前記反応ガス流路の前記反応材の固化相間に、前記空隙形成材の除去により形成された空隙を形成する熱交換型反応器の製造方法。
  7. 前記充填工程において、スラリーに前記反応ガスが透過可能なガス透過性材料を混入し、前記液分脱離工程を経て、前記反応ガス流路に、前記反応材の固化相と前記ガス透過性材料が混在する複合層を形成する請求項記載の熱交換型反応器の製造方法。
  8. 並設配置される複数のプレートと、前記プレート間に配設されるフィンとを備えて構成され、前記フィン間に形成される通路が前記反応ガス流路とされ、当該反応ガス流路に前記反応材の固化相が形成されている請求項又は記載の熱交換型反応器の製造方法。
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