JP7069648B2 - 熱交換型反応器 - Google Patents
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Description
(a)固体酸化物型燃料電池の排ガス処理装置、
(b)水素を可逆的に吸蔵・放出するための水素貯蔵・供給装置、
(c)排熱を化学エネルギーとして蓄えるための化学蓄熱装置
などに応用されている。
しかしながら、反応材は、一般に、ガス成分の吸収・放出を繰り返すと、吸収・放出特性が劣化するという問題がある。
例えば、特許文献1には、リチウムシリケートを含む炭酸ガス吸収材を用いて炭酸ガスを可逆的に吸蔵・放出する場合において、炭酸リチウムを添加しながら炭酸ガスを放出させる方法が開示されている。
同文献には、
(a)リチウムオルトシリケートを含有する炭酸ガス吸収材にアルカリ炭酸塩を添加すると、炭酸ガスの吸収速度を高めることはできるが、炭酸リチウムとアルカリ炭酸塩が共晶を形成し、炭酸リチウムが溶出しやすくなる点、
(b)炭酸リチウムの溶出が炭酸ガスの吸収性能の劣化の一因となっている点、及び、
(c)炭酸リチウムを添加しながら炭酸ガスを放出させると、溶出した炭酸リチウムが補われるために炭酸ガス吸収材を良好に再生することが可能となる点、
が記載されている。
さらに、反応ガスを一方向から流すと、ガスの吸収・放出に伴い、ガス流路の温度が変化する。その結果、ガス流路の下流側の温度が最適温度域から外れ、反応率が低下する場合がある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、吸収・放出時の温度応答遅れによる反応速度の低下を抑制することが可能な熱交換型反応器を提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、ガス流路内の温度を最適温度域に維持することが可能な熱交換型反応器を提供することにある。
(1)前記熱交換型反応器は、
特定のガス成分を含む反応ガスを流通させる反応流路層と、前記反応流路層と熱交換を行うための媒体ガスを流通させる媒体流路層とが交互に積層された積層体と、
前記積層体を収容するための容器と、
前記積層体と前記容器との間に充填された断熱材と
を備えている。
(2)前記反応流路層は、
前記特定のガス成分を吸収・放出する反応材と、
前記反応材を収容するための反応ガス流路と
を備えている。
(3)前記媒体流路層は、金属からなる。
また、前記熱交換型反応器は、前記反応流路層と前記媒体流路層との間に挿入された、前記反応材よりも高い熱伝導率を持つセラミックス(B)を含む接着層をさらに備えているのが好ましい。
さらに、前記媒体流路層は、前記媒体ガスを同一の前記媒体流路層内においてUターンさせるターン構造を備えているのが好ましい。
また、積層体と容器との間に反応ガスの一部が通過すると、反応流路層の出口における反応率が低下する。これに対し、積層体と容器との間に断熱材を設置すると、反応ガスの吹き抜け、及びこれに起因する反応率の低下を抑制することができる。
また、反応流路層と媒体流路層とを所定の条件を満たす接着層で接着すると、熱交換効率が向上し、かつ、接着層に発生する熱応力を軽減することができる。その結果、昇温/降温時における各層間の温度差を小さくすることができ、反応温度の切替時間を短縮することができる。
さらに、媒体流路層をターン構造にすると、媒体ガスの入口近傍における反応材の温度と出口近傍における反応材の温度の温度差を低減することができる。
[1. 熱交換型反応器(1)]
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る熱交換型反応器の分解斜視図を示す。図1において、熱交換型反応器10は、
特定のガス成分を含む反応ガスを流通させる反応流路層22、22…と、反応流路層22、22…と熱交換を行うための媒体ガスを流通させる媒体流路層24、24…とが交互に積層された積層体20と、
積層体20を収容するための容器30と、
積層体20と容器30との間に充填された断熱材(図示せず)と
を備えている。
熱効交換型反応器10は、反応流路層22と媒体流路層24との間に挿入された接着層(図示せず)をさらに備えていても良い。
積層体20は、特定のガス成分を含む反応ガスを流通させる反応流路層22、22…と、反応流路層22、22…と熱交換を行うための媒体ガスを流通させる媒体流路層24、24…とが交互に積層されたものからなる。
積層体20の一方の端部には、媒体ガスを上方から導入するための媒体ガス導入管26が設けられ、積層体20の他方の端部には、媒体ガスを上方に排出するための媒体ガス排出管28が設けられている。各媒体流路層24、24…の内部には、媒体ガスを流通させるための媒体ガス流路(図示せず)が設けられている。媒体ガス流路の形状は、特に限定されない。図1に示す例では、媒体ガスは、紙面の左側から右側に向かって流れるようになっている。
媒体ガス導入管26及び媒体ガス排出管28は、それぞれ、各媒体ガス流路と連通している。そのため、媒体ガス導入管26に導入された媒体ガスは、各媒体流路層24、24…に分配される。また、各媒体流路層24、24…から排出された媒体ガスは、媒体ガス流路の出口で合流し、媒体ガス排出管28を介して外部に排出される。
反応ガス流路の両端は、それぞれ、容器30内に開放されている。そのため、容器30の左側の端部に導入された反応ガスは、各反応流路層22、22…に分配される。また、各反応流路層22、22…から排出された反応ガスは、反応ガス流路の出口で合流し、容器30の右側の端部から外部に排出される。
反応流路層22、媒体流路層24、及び接着層の構造、材料などの詳細については、後述する。
反応ガスの種類は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。反応ガスとしては、例えば、
(a)固体酸化物形燃料電池、自動車、工場などから排出されるCO2を含むガス、
(b)H2を含むガス、
(c)NH3を含むガス、
などがある。
容器30は、積層体20を収容するためのものである。容器30の構造は、積層体20を収容することができ、かつ、積層体20に反応ガス及び媒体ガスを供給可能なものである限りにおいて、特に限定されない。
図1に示す例において、容器30は、筒状の筐体32と、筐体32の一方の端部を封止する蓋(A)34と、筐体32の他方の端部を封止する蓋(B)36とを備えている。
断熱材は、積層体20から容器30への熱伝達を抑制し、少ない投入エネルギーで積層体20を最適吸収温度又は最適放出温度に維持するためのものである。また、図1に示すような構造を備えた熱交換型反応器10の場合、反応ガス導入管34a及び反応ガス排出管36aと、反応流路層22、22…内の反応ガス流路とが直接、連結していない。そのため、容器30内に反応ガスを導入すると、反応ガスの一部が筐体32と積層体20の隙間を吹き抜けることがある。一方、筐体32と積層体20の間に断熱材を挿入すると、このような反応ガスの吹き抜けを抑制することができる。
これらの中でも、膨張性断熱材は、断熱性及び吹き抜け防止能が高いので、筐体32と積層体20の間に挿入する断熱材として好適である。
膨張性断熱材としては、例えば、バーミキュライト、サーミキュライト、膨張性グラファイトなどがある。
図2に、本発明の第1の実施の形態に係る熱交換型反応器10の断面図(反応ガスが流れる方向に対して垂直方向の断面図)を示す。上述したように、積層体20は、反応流路22、22…と媒体流路24、24…とが交互に積層されたものからなる。積層体20は、容器30の内部に収容されており、積層体20と容器30との間の隙間には断熱材40が充填されている。また、図2に示す例では、反応流路22と媒体流路24との間には、接着層50、50…が挿入されている。
[A. 反応流路層の構造]
反応流路層22、22…は、特定のガス成分を吸収・放出する反応材(図示せず)と、反応材を収容するための反応ガス流路とを備えている。
ここで、「反応ガス流路に反応材が収容されている」とは、ガス成分を吸収・放出することが可能となるように、反応材が反応ガス流路内に設置されていることをいう。このような機能を奏する限りにおいて、反応流路層22、22…の構造、反応材の形状や充填方法などは、特に限定されない。
(a)反応ガス流路そのものが反応材で構成されている構造、
(b)反応ガス流路の内面に反応材がコーティングされている構造、
(c)反応ガス流路の内部に多孔質の反応材が充填されている構造、
などがある。
図2に示す例において、反応流路層22、22…は、断面がハニカム状の反応ガス流路と、反応ガス流路の内面にコーティングされた反応材(図示せず)とを備えている。
後述するように、本発明においては媒体流路層24、24…に金属が用いられるが、高温強度に優れた金属は、熱伝導率が相対的に低い場合が多い。また、特定のガス成分を吸収・放出する際には、反応ガス流路は高温に曝される。さらに、反応ガスは、不活性ガスだけでなく、酸化性ガス又は還元性ガスが含まれる場合がある。そのため、反応ガス流路が反応材とは異なる材料からなる場合において、強度を維持し、かつ、酸化又は還元による材料の劣化を生じさせることなく反応材の昇温及び降温を短時間で行うためには、反応ガス流路の材料には、少なくとも反応材よりも高い熱伝導率を持つセラミックス(A)を用いるのが好ましい。
このようなセラミックス(A)としては、例えば、SiC、AlN、B4C、Si3N4、Al2O3、Y2O3などがある。これらの中でも、SiC、AlN、及びB4Cは、高い熱伝導率を有しているので、反応ガス流路を構成する材料として好適である。
反応材は、ガス成分の種類に応じて最適なものを選択する。反応材は、特定のガス成分を可逆的に吸収・放出することが可能なものである限りにおいて、特に限定されない。
CO2を吸収・放出することが可能な反応材(CO2吸収材)としては、例えば、Li4SiO4、Li4SiO4とアルカリ金属炭酸塩との混合物、Li5AlO4とアルカリ金属炭酸塩との混合物などがある。
H2を吸収・放出することが可能な反応材(H2吸収材)としては、例えば、水素吸蔵合金、ジルコニウム合金、水素化マグネシウムなどがある。
NH3を吸収・放出することが可能な反応材(NH3吸収材)としては、例えば、ゼオライト、塩化カルシウムなどがある。
[A. 媒体流路層の構造]
媒体流路層24、24…は、媒体ガス流路に媒体ガスを流すことによって、反応流路層22、22…と熱交換を行うためのものである。このような機能を奏する限りにおいて、媒体流路層24、24…の構造は、特に限定されない。図2に示す例において、媒体流路層24、24…は、断面がハニカム状の媒体ガス流路を備えている。
(a)媒体ガス流路の一端から他端に向かって媒体ガスを一方向に流す一方向構造、
(b)媒体ガスを同一の媒体流路層24内においてUターンさせるターン構造、
などがある。
図1及び図2に示す積層体20は、一方向構造を備えているものの例である。図3に、一方向に媒体ガスを流す一方向構造を備えた積層体20の平面図(図3(a))、及び正面図(図3(b))を示す。ターン構造を備えた積層体20については、後述する。
媒体流路層24、24…は、金属からなる。媒体流路24、24…を構成する金属は、熱交換型反応器10の使用温度域において、必要な強度を確保できるものであれば良い。
このような金属としては、例えば、ステンレス鋼、耐熱鋼、超耐熱合金などがある。
特に、線膨張係数が5±1.0×10-6/Kであるステンレス鋼(Coを含む低熱膨張性ステンレス鋼)は、耐熱性、耐酸化性、高温強度、及び加工性に優れ、しかも低コストであるため、媒体流路層24、24…を構成する材料として好適である。
[A. 接着層の材料]
反応流路層22、22…と媒体流路層24、24…との間には、接着層50、50…が挿入されていても良い。接着層50、50…は、少なくとも、熱交換型反応器10の使用温度域において、接合強度を維持することが可能なものであれば良い。セラミックス系接着材は、高温強度が高いので接着層50、50…の材料として好適である。
また、反応流路層22、22…と媒体流路層24、24…との間の熱伝達率を向上させるためには、接着層50、50…は、反応材よりも高い熱伝導率を持つセラミックス(B)を含むセラミックス系接着材が好ましい。さらに、熱応力による接着層50、50…の破損を抑制するためには、接着層50、50…は、反応流路層22、22…と媒体流路層24、24…の中間の線膨張係数を持つものが好ましい。
これらの中でも、マグネシア系接着剤は、高温強度が高く、化学的に安定であり、適度な線膨張係数を持つので、接着層50、50…の材料として好適である。
熱交換型反応器10の昇温及び降温を繰り返すと、接着層50、50…に熱応力が発生する。そのため、反応流路層22、媒体流路層24、及び接着層50の間の線膨張係数差が過度に大きくなると、接着層50、50…が熱応力によって破損し、熱伝達率が低下する。これを回避するためには、反応流路層22、媒体流路層24、及び接着層50の3つの材料間の線膨張係数差が所定の関係を満たすのが好ましい。
なお、以下の説明では、添え字「h」は反応流路層22、22…を表し、添え字「m」は媒体流路層24、24…を表し、添え字「b」は接着層50、50…を表す。
ここで、δbは、接着層50、50…の厚さを表す。また、ρは、接着層50、50…の中立面の曲率半径を表す。ρは、線膨張係数差Δα、各層の厚さδi[m](i=b、h、又はm)、接着層50、50…の長さL[m]、及び、接着層50、50…の温度T[K]の関数である。
但し、
σdは、前記接着層(b)の強度[Pa]、
σbは、前記反応流路層(h)、前記媒体流路層(m)、及び前記接着層(b)の間の線膨張係数差Δαの最大値により発生する応力[Pa]、
Ebは、前記接着層の曲げ弾性係数[Pa]、
δb/(2・ρ)は、Δαにより前記接着層(b)の最表面に発生する曲げ歪み、
δbは、前記接着層(b)の厚さ[m]、
ρは、前記接着層(b)の中立面の曲率半径[m]であって、ρ=f(Δα、δi、L、T)。但し、δi(i=b、h、又はm)は前記反応流路層(h)、前記媒体流路層(m)、及び前記接着層(b)の厚さ[m]、Lは前記接着層の長さ[m]、Tは前記接着層の温度[K]。
αb=(αm+αh)/2±1×10-6/K ・・・(2)
例えば、SiCの線膨張係数αhは3.7×10-6/K、低熱膨張性ステンレス鋼の線膨張係数αmは5.0×10-6/K、マグネシア系接着剤の線膨張係数αbは4.7×10-6/Kである。そのため、これらをそれぞれ反応流路層22、22…、媒体流路層24、24…、及び接着層50、50…に用いると、媒体流路層24、24…からの温熱/冷熱を効率よく反応流路層22、22…に供給することができる。
本発明の第2の実施の形態に係る熱交換型反応器は、
反応流路層と媒体流路層とが交互に積層された積層体と、
積層体を収容するための容器と、
積層体と容器との間に充填された断熱材と
を備えている。
本実施の形態において、前記媒体流路層は、前記媒体ガスを同一の前記媒体流路層内においてUターンさせるターン構造を備えている。この点が第1の実施の形態とは異なる。その他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
図4に、同一平面内で媒体ガスをUターンさせるターン構造を備えた積層体の平面図(図4(a))、正面図(図4(b))、及び右側面図(図4(c))を示す。なお、図4においては、見やすくするために、媒体ガス流路の幅及び隔壁の厚さを拡大して描いてある。図4において、積層体20は、反応流路層22、22…と、媒体流路層24、24…と、媒体ガス導入管26と、媒体ガス排出管28とを備えている。反応流路層22、22…と媒体流路層24、24…とは、交互に積層されている。
このような構成を備えた積層体20において、媒体ガス導入管26から供給された媒体ガスは、媒体ガス流路24b→ターン部24d→媒体ガス流路24cを通って、媒体ガス排出管28から排出される。
図5に、上下2層の媒体ガス流路で媒体ガスをUターンさせるターン構造を備えた媒体流路層の第1層の平面図(図5(a))及び第2層の平面図(図5(b))、並びに、媒体流路層の正面図(図5(c))及び右側面図(図5(d))を示す。なお、図5においては、見やすくするために、媒体ガス流路の幅及び隔壁の厚さを拡大して描いてある。図5において、媒体流路層24は、上層25と、下層27と、媒体ガス導入管26と、媒体ガス排出管28とを備えている。
同様に、下層27の右側端部は、上層25とは逆方向に欠損部分を持つ台形状になっており、台形状部分の先端が媒体ガス排出管28に連通している。下層27の右側端部の欠損部分には媒体ガス導入管26が設置されており、下層27は媒体ガス導入管26とは連通していない。
[3.1. 積層体による熱交換効率の向上、及び断熱材による伝熱ロスの軽減]
反応材を用いた熱交換型反応器において、反応材のガス吸収量には限界がある。そのため、連続的に特定のガス成分の吸収/放出を行う場合には、2以上の熱交換型反応器をガス供給・排出ラインに対して並列に接続し、交互に吸収及び放出を繰り返すのが一般的である。また、一般に、反応材の最適吸収温度は、最適放出温度とは異なる。そのため、1つの熱交換型反応器に対して吸収及び放出が繰り返される場合、反応材の昇温と降温が繰り返される。
第1の熱交換型反応器10a及び第2の熱交換型反応器10bは、それぞれ、フィードガス供給ライン62、及びパージガス供給ライン64に対して並列に接続されている。また、第1の熱交換型反応器10a及び第2の熱交換型反応器10bは、いずれもCO2吸収材を反応材に用いた熱交換型反応器である。
所定時間経過後、第1の熱交換型反応器10aをパージガス供給ライン64側に接続し、CO2の放出を行う。これと同時に、第2の熱交換型反応器10bをフィードガス供給ライン62側に接続し、CO2の吸収を行う(図6の下図参照)。
以下、このような吸収/放出が交互に繰り返される。
(a)反応流路層の流方向における温度差を低減すること、及び、
(b)吸収と放出の間を移動する際には、反応材の温度を速やかに最適吸収温度域又は最適放出温度域に移行させること
が必要である。
また、Li2CO3の融点は726℃であるが、K2CO3とLi2CO3の共晶塩(KLiCO3)は、放出温度域では液相である。このような共晶塩を含むCO2吸収材において、反応材の温度が高くなりすぎると、CO2吸収時に生成するLi2CO3が溶出し、反応材を再生することができなくなる。このような溶出に起因する材料劣化を抑制するためには、反応材の温度を750℃以下にする必要がある。
熱交換型反応容器において、積層体と容器との間に隙間が存在すると、反応ガスの一部が隙間を通過し(吹き抜けの発生)、反応ガス流路の出口における反応率が低下する。これに対し、積層体と容器との間に挿入する断熱材として膨張性断熱材を用いると、反応温度で断熱材が膨張し、隙間からの反応ガスの吹き抜けを防止することができる。
セラミックス製の反応流路層と金属製の媒体流路層とをセラミックス系接着剤で接合すると、接着層が反応流路層と媒体流路層との間の熱伝導パスとなる。その結果、接触熱抵抗が低減され、媒体ガスの温度と反応材の温度との差を小さくすることができる。
上述したように、反応流路層と媒体流路層との間に接着層を挿入すると、接触熱抵抗が低減され、媒体ガスから反応流路層への温熱/冷熱輸送が可能となる。この場合、反応流路層を構成する材料として、熱伝導率が高いセラミックスを用いると、温熱/冷熱輸送がさらに効率化する。
図7に、媒体ガスの流方向位置と温度との関係を示す。ガス顕熱による熱交換において、小さい比熱で冷熱/温熱量を確保するためには、ガスの流量を増加させる必要がある。また、システム要件により媒体ガス流量に制約がある場合には、媒体ガスの入口温度を最適な反応温度よりも低温又は高温に設定する必要がある。
例えば、Li4SiO4とK2CO3との混合物からなるCO2吸収材を750℃以上に加熱すると、液相である共晶塩(KLiCO3)の粘度が低下し、移動しやすくなる。液相移動が起こると、液相とLi2CO3(固相)とが接触しにくくなるため、CO2放出時におけるLi4SiO4の反応率が低下する。
20 積層体
22 反応流路層
24 媒体流路層
30 容器
40 断熱材
50 接着層
Claims (7)
- 以下の構成を備えた熱交換型反応器。
(1)前記熱交換型反応器は、
特定のガス成分を含む反応ガスを流通させる反応流路層と、前記反応流路層と熱交換を行うための媒体ガスを流通させる媒体流路層とが交互に積層された積層体と、
前記積層体を収容するための容器と、
前記積層体と前記容器との間に充填された断熱材と、
前記反応流路層と前記媒体流路層との間に挿入された接着層と
を備えている。
(2)前記反応流路層は、
前記特定のガス成分を吸収・放出する反応材と、
前記反応材を収容するための反応ガス流路と
を備えている。
(3)前記媒体流路層は、金属からなる。
(4)前記反応ガス流路は、前記反応材よりも高い熱伝導率を持つセラミックス(A)からなり、
前記反応材は、前記反応ガス流路の内面にコーティングされている。
(5)前記セラミックス(A)は、前記媒体流路層を構成する前記金属よりも高い熱伝導率を持つ高熱伝導セラミックスからなる。 - 前記断熱材は、膨張性断熱材からなる請求項1に記載の熱交換型反応器。
- 前記セラミックス(A)は、SiC、AlN、又はB4Cからなり、
前記金属は、Coを含む低熱膨張性ステンレス鋼からなり、
前記断熱材は、バーミキュライト、又はサーミキュライトからなる
請求項1又は2に記載の熱交換型反応器。 - 前記接着層は、前記反応材よりも高い熱伝導率を持つセラミックス(B)を含むセラミックス系接着材からなる請求項1から3までのいずれか1項に記載の熱交換型反応器。
- 前記接着層は、マグネシア系接着剤からなる請求項1から4までのいずれか1項に記載の熱交換型反応器。
- 前記媒体流路層は、前記媒体ガスを同一の前記媒体流路層内においてUターンさせるターン構造を備えている請求項1から5までのいずれか1項に記載の熱交換型反応器。
- 前記反応材は、CO2吸収材からなる請求項1から6までのいずれか1項に記載の熱交換型反応器。
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