JP7069648B2 - 熱交換型反応器 - Google Patents

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Description

本発明は、熱交換型反応器に関し、さらに詳しくは、CO2などの特定のガス成分を吸収・放出することが可能な反応材を備えており、かつ、反応材によるガス成分の吸収・放出を効率良く行うことが可能な熱交換型反応器に関する。
CO2、H2、アンモニアなどの特定のガス成分を可逆的に吸収・放出することが可能な各種の材料(以下、これらを総称して「反応材」ともいう)が知られている。このような反応材は、いずれも吸収時には発熱を伴い、放出時には吸熱を伴う。そのため、反応材は、このような特性を利用して、
(a)固体酸化物型燃料電池の排ガス処理装置、
(b)水素を可逆的に吸蔵・放出するための水素貯蔵・供給装置、
(c)排熱を化学エネルギーとして蓄えるための化学蓄熱装置
などに応用されている。
しかしながら、反応材は、一般に、ガス成分の吸収・放出を繰り返すと、吸収・放出特性が劣化するという問題がある。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、リチウムシリケートを含む炭酸ガス吸収材を用いて炭酸ガスを可逆的に吸蔵・放出する場合において、炭酸リチウムを添加しながら炭酸ガスを放出させる方法が開示されている。
同文献には、
(a)リチウムオルトシリケートを含有する炭酸ガス吸収材にアルカリ炭酸塩を添加すると、炭酸ガスの吸収速度を高めることはできるが、炭酸リチウムとアルカリ炭酸塩が共晶を形成し、炭酸リチウムが溶出しやすくなる点、
(b)炭酸リチウムの溶出が炭酸ガスの吸収性能の劣化の一因となっている点、及び、
(c)炭酸リチウムを添加しながら炭酸ガスを放出させると、溶出した炭酸リチウムが補われるために炭酸ガス吸収材を良好に再生することが可能となる点、
が記載されている。
反応材のガス吸収量には限界があるため、反応材を用いた各種装置においては、ガス成分の吸収と放出が繰り返される。一方、反応材には、効率良くガス成分を吸収することが可能な反応温度域(最適吸収温度域)と、効率良くガス成分を放出することが可能な反応温度域(最適放出温度域)がある。さらに、最適吸収温度域は、一般に最適放出温度域とは異なる。そのため、吸収から放出、あるいは、放出から吸収に切り替える際には、反応材の昇温又は降温が必要となる。
しかしながら、ある種の反応材は、最適吸収温度域及び最適放出温度域が狭く、かつ、両温度域の差が大きい。そのため、定常作動時における温度スウィングが100~200℃程度となる場合がある。温度スウィングが大きい場合、温度応答遅れによる反応速度の低下が大きくなり、時間的に安定した反応率は得られない。
さらに、反応ガスを一方向から流すと、ガスの吸収・放出に伴い、ガス流路の温度が変化する。その結果、ガス流路の下流側の温度が最適温度域から外れ、反応率が低下する場合がある。
特開2004-098018号公報
本発明が解決しようとする課題は、CO2などの特定のガス成分の吸収・放出を効率良く行うことが可能な新規な熱交換型反応器を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、吸収・放出時の温度応答遅れによる反応速度の低下を抑制することが可能な熱交換型反応器を提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、ガス流路内の温度を最適温度域に維持することが可能な熱交換型反応器を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る熱交換型反応器は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記熱交換型反応器は、
特定のガス成分を含む反応ガスを流通させる反応流路層と、前記反応流路層と熱交換を行うための媒体ガスを流通させる媒体流路層とが交互に積層された積層体と、
前記積層体を収容するための容器と、
前記積層体と前記容器との間に充填された断熱材と
を備えている。
(2)前記反応流路層は、
前記特定のガス成分を吸収・放出する反応材と、
前記反応材を収容するための反応ガス流路と
を備えている。
(3)前記媒体流路層は、金属からなる。
前記反応ガス流路は、前記反応材よりも高い熱伝導率を持つセラミックス(A)からなり、前記反応材は、前記反応ガス流路の内面にコーティングされているのが好ましい。また、前記セラミックス(A)は、特に、前記媒体流路層を構成する前記金属よりも高い熱伝導率を持つ高熱伝導セラミックスが好ましい。
また、前記熱交換型反応器は、前記反応流路層と前記媒体流路層との間に挿入された、前記反応材よりも高い熱伝導率を持つセラミックス(B)を含む接着層をさらに備えているのが好ましい。
さらに、前記媒体流路層は、前記媒体ガスを同一の前記媒体流路層内においてUターンさせるターン構造を備えているのが好ましい。
反応流路層と媒体流路層とを交互に積層すると、反応流路層と媒体流路層との間の熱交換効率が向上する。その結果、積層体の熱容量及び伝熱ロスが低減し、最適温度域への追従時間を最小にすることができる。
また、積層体と容器との間に反応ガスの一部が通過すると、反応流路層の出口における反応率が低下する。これに対し、積層体と容器との間に断熱材を設置すると、反応ガスの吹き抜け、及びこれに起因する反応率の低下を抑制することができる。
また、反応流路層と媒体流路層とを所定の条件を満たす接着層で接着すると、熱交換効率が向上し、かつ、接着層に発生する熱応力を軽減することができる。その結果、昇温/降温時における各層間の温度差を小さくすることができ、反応温度の切替時間を短縮することができる。
さらに、媒体流路層をターン構造にすると、媒体ガスの入口近傍における反応材の温度と出口近傍における反応材の温度の温度差を低減することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る熱交換型反応器の分解斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る熱交換型反応器の断面図である。 一方向に媒体ガスを流す一方向構造を備えた積層体の平面図(図3(a))、及び正面図(図3(b))である。 同一平面内で媒体ガスをUターンさせるターン構造を備えた積層体の平面図(図4(a))、正面図(図4(b))、及び右側面図(図4(c))である。
上下2層の媒体ガス流路で媒体ガスをUターンさせるターン構造を備えた媒体流路層の第1層の平面図(図5(a))及び第2層の平面図(図5(b))、並びに、媒体流路層の正面図(図5(c))及び右側面図(図5(d))である。 バッチ切替式の熱交換型反応器の定常作動を説明するための模式図である。 媒体ガスの流方向位置と温度との関係を示す図である。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 熱交換型反応器(1)]
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る熱交換型反応器の分解斜視図を示す。図1において、熱交換型反応器10は、
特定のガス成分を含む反応ガスを流通させる反応流路層22、22…と、反応流路層22、22…と熱交換を行うための媒体ガスを流通させる媒体流路層24、24…とが交互に積層された積層体20と、
積層体20を収容するための容器30と、
積層体20と容器30との間に充填された断熱材(図示せず)と
を備えている。
熱効交換型反応器10は、反応流路層22と媒体流路層24との間に挿入された接着層(図示せず)をさらに備えていても良い。
[1.1. 積層体]
積層体20は、特定のガス成分を含む反応ガスを流通させる反応流路層22、22…と、反応流路層22、22…と熱交換を行うための媒体ガスを流通させる媒体流路層24、24…とが交互に積層されたものからなる。
積層体20の一方の端部には、媒体ガスを上方から導入するための媒体ガス導入管26が設けられ、積層体20の他方の端部には、媒体ガスを上方に排出するための媒体ガス排出管28が設けられている。各媒体流路層24、24…の内部には、媒体ガスを流通させるための媒体ガス流路(図示せず)が設けられている。媒体ガス流路の形状は、特に限定されない。図1に示す例では、媒体ガスは、紙面の左側から右側に向かって流れるようになっている。
媒体ガス導入管26及び媒体ガス排出管28は、それぞれ、各媒体ガス流路と連通している。そのため、媒体ガス導入管26に導入された媒体ガスは、各媒体流路層24、24…に分配される。また、各媒体流路層24、24…から排出された媒体ガスは、媒体ガス流路の出口で合流し、媒体ガス排出管28を介して外部に排出される。
同様に、各反応流路層22、22…の内部には、反応ガスを流通させるための反応ガス流路(図示せず)が設けられている。反応ガス流路の形状は、特に限定されない。図1に示す例では、反応ガスは、紙面の左側から右側に向かって流れるようになっている。
反応ガス流路の両端は、それぞれ、容器30内に開放されている。そのため、容器30の左側の端部に導入された反応ガスは、各反応流路層22、22…に分配される。また、各反応流路層22、22…から排出された反応ガスは、反応ガス流路の出口で合流し、容器30の右側の端部から外部に排出される。
反応流路層22と媒体流路層24とは、単に物理的に接触しているだけでも良く、あるいは、接着層を介して接合されていても良い。特に、高熱伝導性の接着層を介して反応流路層22と媒体流路層24とを接合すると、両者の間の熱伝達率が向上する。その結果、温度応答遅れによる反応速度の低下を抑制することができる。
反応流路層22、媒体流路層24、及び接着層の構造、材料などの詳細については、後述する。
[1.2. 反応ガス、媒体ガス]
反応ガスの種類は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。反応ガスとしては、例えば、
(a)固体酸化物形燃料電池、自動車、工場などから排出されるCO2を含むガス、
(b)H2を含むガス、
(c)NH3を含むガス、
などがある。
媒体ガスは、反応流路層22、22…を加熱又は冷却し、反応流路層22、22…内に収容された反応材を最適吸収温度域又は最適放出温度域に維持するためのものである。媒体ガスの種類は、特に限定されるものではなく、反応流路層22、22…と媒体流路層24、24…との間で効率よく熱交換を行うことが可能なものであれば良い。媒体ガスとしては、例えば、空気、Ar、N2などがある。
[1.3. 容器]
容器30は、積層体20を収容するためのものである。容器30の構造は、積層体20を収容することができ、かつ、積層体20に反応ガス及び媒体ガスを供給可能なものである限りにおいて、特に限定されない。
図1に示す例において、容器30は、筒状の筐体32と、筐体32の一方の端部を封止する蓋(A)34と、筐体32の他方の端部を封止する蓋(B)36とを備えている。
筐体32は、積層体20を収容するためのものであり、上部には、媒体ガス導入管26及び媒体ガス排出管28を挿入するための挿入孔32a、32bが設けられている。蓋(A)34のほぼ中央には、反応ガスを容器30に導入するための反応ガス導入管34aが設けられている。また、蓋(B)36のほぼ中央には、反応流路層22、22…を通過した反応ガスを容器30から排出するための反応ガス排出管36aが設けられている。
[1.4. 断熱材]
断熱材は、積層体20から容器30への熱伝達を抑制し、少ない投入エネルギーで積層体20を最適吸収温度又は最適放出温度に維持するためのものである。また、図1に示すような構造を備えた熱交換型反応器10の場合、反応ガス導入管34a及び反応ガス排出管36aと、反応流路層22、22…内の反応ガス流路とが直接、連結していない。そのため、容器30内に反応ガスを導入すると、反応ガスの一部が筐体32と積層体20の隙間を吹き抜けることがある。一方、筐体32と積層体20の間に断熱材を挿入すると、このような反応ガスの吹き抜けを抑制することができる。
断熱材の材料は、断熱性が高いもの、あるいは、断熱性に加えて吹き抜け抑制能が高いものであればよい。このような断熱材としては、例えば、膨張性断熱材、緻密セラミックス断熱材、緻密ガラス束断熱材などがある。
これらの中でも、膨張性断熱材は、断熱性及び吹き抜け防止能が高いので、筐体32と積層体20の間に挿入する断熱材として好適である。
ここで、「膨張性断熱材」とは、温度の上昇に伴い、格子振動の増大に起因する原子間距離の増大を超える量の膨張を示す材料をいう。
膨張性断熱材としては、例えば、バーミキュライト、サーミキュライト、膨張性グラファイトなどがある。
[1.5. 積層体の構造の詳細]
図2に、本発明の第1の実施の形態に係る熱交換型反応器10の断面図(反応ガスが流れる方向に対して垂直方向の断面図)を示す。上述したように、積層体20は、反応流路22、22…と媒体流路24、24…とが交互に積層されたものからなる。積層体20は、容器30の内部に収容されており、積層体20と容器30との間の隙間には断熱材40が充填されている。また、図2に示す例では、反応流路22と媒体流路24との間には、接着層50、50…が挿入されている。
[1.5.1. 反応流路層]
[A. 反応流路層の構造]
反応流路層22、22…は、特定のガス成分を吸収・放出する反応材(図示せず)と、反応材を収容するための反応ガス流路とを備えている。
ここで、「反応ガス流路に反応材が収容されている」とは、ガス成分を吸収・放出することが可能となるように、反応材が反応ガス流路内に設置されていることをいう。このような機能を奏する限りにおいて、反応流路層22、22…の構造、反応材の形状や充填方法などは、特に限定されない。
このような機能を奏する構造としては、例えば、
(a)反応ガス流路そのものが反応材で構成されている構造、
(b)反応ガス流路の内面に反応材がコーティングされている構造、
(c)反応ガス流路の内部に多孔質の反応材が充填されている構造、
などがある。
図2に示す例において、反応流路層22、22…は、断面がハニカム状の反応ガス流路と、反応ガス流路の内面にコーティングされた反応材(図示せず)とを備えている。
[B. 反応ガス流路の材料]
後述するように、本発明においては媒体流路層24、24…に金属が用いられるが、高温強度に優れた金属は、熱伝導率が相対的に低い場合が多い。また、特定のガス成分を吸収・放出する際には、反応ガス流路は高温に曝される。さらに、反応ガスは、不活性ガスだけでなく、酸化性ガス又は還元性ガスが含まれる場合がある。そのため、反応ガス流路が反応材とは異なる材料からなる場合において、強度を維持し、かつ、酸化又は還元による材料の劣化を生じさせることなく反応材の昇温及び降温を短時間で行うためには、反応ガス流路の材料には、少なくとも反応材よりも高い熱伝導率を持つセラミックス(A)を用いるのが好ましい。
さらに、反応流路層22と媒体流路層24との間の熱交換効率をさらに向上させるためには、セラミックス(A)は、媒体流路層24、24…を構成する金属よりも高い熱伝導率を持つ高熱伝導セラミックスが好ましい。
このようなセラミックス(A)としては、例えば、SiC、AlN、B4C、Si34、Al23、Y23などがある。これらの中でも、SiC、AlN、及びB4Cは、高い熱伝導率を有しているので、反応ガス流路を構成する材料として好適である。
[C. 反応材]
反応材は、ガス成分の種類に応じて最適なものを選択する。反応材は、特定のガス成分を可逆的に吸収・放出することが可能なものである限りにおいて、特に限定されない。
CO2を吸収・放出することが可能な反応材(CO2吸収材)としては、例えば、Li4SiO4、Li4SiO4とアルカリ金属炭酸塩との混合物、Li5AlO4とアルカリ金属炭酸塩との混合物などがある。
2を吸収・放出することが可能な反応材(H2吸収材)としては、例えば、水素吸蔵合金、ジルコニウム合金、水素化マグネシウムなどがある。
NH3を吸収・放出することが可能な反応材(NH3吸収材)としては、例えば、ゼオライト、塩化カルシウムなどがある。
[1.5.2. 媒体流路層]
[A. 媒体流路層の構造]
媒体流路層24、24…は、媒体ガス流路に媒体ガスを流すことによって、反応流路層22、22…と熱交換を行うためのものである。このような機能を奏する限りにおいて、媒体流路層24、24…の構造は、特に限定されない。図2に示す例において、媒体流路層24、24…は、断面がハニカム状の媒体ガス流路を備えている。
媒体ガス流路の長手方向の構造は、特に限定されない。媒体ガス流路の長手方向の構造としては、例えば、
(a)媒体ガス流路の一端から他端に向かって媒体ガスを一方向に流す一方向構造、
(b)媒体ガスを同一の媒体流路層24内においてUターンさせるターン構造、
などがある。
図1及び図2に示す積層体20は、一方向構造を備えているものの例である。図3に、一方向に媒体ガスを流す一方向構造を備えた積層体20の平面図(図3(a))、及び正面図(図3(b))を示す。ターン構造を備えた積層体20については、後述する。
[B. 媒体流路層の材料]
媒体流路層24、24…は、金属からなる。媒体流路24、24…を構成する金属は、熱交換型反応器10の使用温度域において、必要な強度を確保できるものであれば良い。
このような金属としては、例えば、ステンレス鋼、耐熱鋼、超耐熱合金などがある。
特に、線膨張係数が5±1.0×10-6/Kであるステンレス鋼(Coを含む低熱膨張性ステンレス鋼)は、耐熱性、耐酸化性、高温強度、及び加工性に優れ、しかも低コストであるため、媒体流路層24、24…を構成する材料として好適である。
[1.5.3. 接着層]
[A. 接着層の材料]
反応流路層22、22…と媒体流路層24、24…との間には、接着層50、50…が挿入されていても良い。接着層50、50…は、少なくとも、熱交換型反応器10の使用温度域において、接合強度を維持することが可能なものであれば良い。セラミックス系接着材は、高温強度が高いので接着層50、50…の材料として好適である。
また、反応流路層22、22…と媒体流路層24、24…との間の熱伝達率を向上させるためには、接着層50、50…は、反応材よりも高い熱伝導率を持つセラミックス(B)を含むセラミックス系接着材が好ましい。さらに、熱応力による接着層50、50…の破損を抑制するためには、接着層50、50…は、反応流路層22、22…と媒体流路層24、24…の中間の線膨張係数を持つものが好ましい。
接着層50、50…としては、例えば、マグネシア系接着剤、ジルコニア系接着剤、アルミナ系接着剤などがある。
これらの中でも、マグネシア系接着剤は、高温強度が高く、化学的に安定であり、適度な線膨張係数を持つので、接着層50、50…の材料として好適である。
[B. 接着層の線膨張係数]
熱交換型反応器10の昇温及び降温を繰り返すと、接着層50、50…に熱応力が発生する。そのため、反応流路層22、媒体流路層24、及び接着層50の間の線膨張係数差が過度に大きくなると、接着層50、50…が熱応力によって破損し、熱伝達率が低下する。これを回避するためには、反応流路層22、媒体流路層24、及び接着層50の3つの材料間の線膨張係数差が所定の関係を満たすのが好ましい。
なお、以下の説明では、添え字「h」は反応流路層22、22…を表し、添え字「m」は媒体流路層24、24…を表し、添え字「b」は接着層50、50…を表す。
反応流路層22、22…、媒体流路層24、24…、及び接着層50、50…の線膨張係数が異なる場合、線膨張係数差Δαにより、接着層50、50…に曲げ応力σbが発生する。この曲げ応力σbが接着層50、50…の曲げ強度σdより大きくなると、接着層50、50…に割れが発生する。そのため、接着層50、50…に繰り返し熱サイクルが加えられると、接着層50、50…が破砕され、反応流路層22、22…と媒体流路層24、24…の間に接着層50、50…が存在できなくなる。その結果、反応流路層22、22…と媒体流路層24、24…との間の熱伝達率が悪化する。
反応流路層22、22…の線膨張係数をαh、媒体流路層24、24…の線膨張係数をαm、接着層50、50…の線膨張係数をαbとする。各層の材料を最適化すると、αh<αb<αmとなる。この時、線膨張係数差Δαの最大値(=αm-αh)により、接着層50、50…に曲げ歪みδb/(2・ρ)が発生する。
ここで、δbは、接着層50、50…の厚さを表す。また、ρは、接着層50、50…の中立面の曲率半径を表す。ρは、線膨張係数差Δα、各層の厚さδi[m](i=b、h、又はm)、接着層50、50…の長さL[m]、及び、接着層50、50…の温度T[K]の関数である。
接着層50、50…の曲げ弾性係数をEb[Pa]とすると、Δαにより発生する応力σb[Pa]は、Eb・δb/(2/ρ)と表せる。以上により、反応流路層22、22…と媒体流路層24、24…との間の熱伝達率の悪化を抑制するためには、次の式(1)が成り立つことが好ましい。
σd>σb=Eb・δb/(2・ρ) ・・・(1)
但し、
σdは、前記接着層(b)の強度[Pa]、
σbは、前記反応流路層(h)、前記媒体流路層(m)、及び前記接着層(b)の間の線膨張係数差Δαの最大値により発生する応力[Pa]、
bは、前記接着層の曲げ弾性係数[Pa]、
δb/(2・ρ)は、Δαにより前記接着層(b)の最表面に発生する曲げ歪み、
δbは、前記接着層(b)の厚さ[m]、
ρは、前記接着層(b)の中立面の曲率半径[m]であって、ρ=f(Δα、δi、L、T)。但し、δi(i=b、h、又はm)は前記反応流路層(h)、前記媒体流路層(m)、及び前記接着層(b)の厚さ[m]、Lは前記接着層の長さ[m]、Tは前記接着層の温度[K]。
αh<αb<αmの関係が成り立つ場合において、熱応力による接着層50、50…の破損を抑制するためには、次の式(2)の関係を満たしているのが好ましい。
αb=(αm+αh)/2±1×10-6/K ・・・(2)
例えば、SiCの線膨張係数αhは3.7×10-6/K、低熱膨張性ステンレス鋼の線膨張係数αmは5.0×10-6/K、マグネシア系接着剤の線膨張係数αbは4.7×10-6/Kである。そのため、これらをそれぞれ反応流路層22、22…、媒体流路層24、24…、及び接着層50、50…に用いると、媒体流路層24、24…からの温熱/冷熱を効率よく反応流路層22、22…に供給することができる。
[2. 熱交換型反応器(2)]
本発明の第2の実施の形態に係る熱交換型反応器は、
反応流路層と媒体流路層とが交互に積層された積層体と、
積層体を収容するための容器と、
積層体と容器との間に充填された断熱材と
を備えている。
本実施の形態において、前記媒体流路層は、前記媒体ガスを同一の前記媒体流路層内においてUターンさせるターン構造を備えている。この点が第1の実施の形態とは異なる。その他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[2.1. 同一平面内でUターンさせるターン構造]
図4に、同一平面内で媒体ガスをUターンさせるターン構造を備えた積層体の平面図(図4(a))、正面図(図4(b))、及び右側面図(図4(c))を示す。なお、図4においては、見やすくするために、媒体ガス流路の幅及び隔壁の厚さを拡大して描いてある。図4において、積層体20は、反応流路層22、22…と、媒体流路層24、24…と、媒体ガス導入管26と、媒体ガス排出管28とを備えている。反応流路層22、22…と媒体流路層24、24…とは、交互に積層されている。
図4(a)において、媒体ガス導入管26、及び媒体ガス排出管28は、ともに媒体流路層24の右側の端部に設けられている。媒体流路層24の内部の中央には、媒体ガス導入管26から供給される入りガスと、媒体ガス排出管28から排出される出ガスとを分離するための隔壁24aが設けられている。媒体流路層24の内部であって、隔壁24aに対して紙面の上方には、媒体ガスを右側から左側に向かって流すための媒体ガス流路24bが設けられている。また、媒体流路層24の内部であって、隔壁24aに対して紙面の下方には、媒体ガスを左側から右側に向かって流すための媒体ガス流路24cが設けられている。
さらに、媒体ガス流路24bの左側端部と、媒体ガス流路24cの左側端部は、それぞれ、ターン部24dに連通している。ターン部24dは、媒体ガス流路24bから排出された媒体ガスを媒体ガス流路24cにUターンさせるためのものである。
このような構成を備えた積層体20において、媒体ガス導入管26から供給された媒体ガスは、媒体ガス流路24b→ターン部24d→媒体ガス流路24cを通って、媒体ガス排出管28から排出される。
[2.2. 上下2層の媒体ガス流路同一平面内でUターンさせるターン構造]
図5に、上下2層の媒体ガス流路で媒体ガスをUターンさせるターン構造を備えた媒体流路層の第1層の平面図(図5(a))及び第2層の平面図(図5(b))、並びに、媒体流路層の正面図(図5(c))及び右側面図(図5(d))を示す。なお、図5においては、見やすくするために、媒体ガス流路の幅及び隔壁の厚さを拡大して描いてある。図5において、媒体流路層24は、上層25と、下層27と、媒体ガス導入管26と、媒体ガス排出管28とを備えている。
媒体流路層24は、上層25と、下層27の2層構造になっている。上層25の右側端部は、台形状になっており、台形状部分の先端が媒体ガス導入管26に連通している。上層25の右側端部の欠損部分には媒体ガス排出管28が設置されており、上層25は媒体ガス排出管28とは連通していない。
同様に、下層27の右側端部は、上層25とは逆方向に欠損部分を持つ台形状になっており、台形状部分の先端が媒体ガス排出管28に連通している。下層27の右側端部の欠損部分には媒体ガス導入管26が設置されており、下層27は媒体ガス導入管26とは連通していない。
上層25の内部には、紙面の右側から左側に向かって媒体ガスを流すための媒体ガス流路25aが設けられている。媒体ガス流路25aの左側端部は、ターン部25bに連通している。下層27の内部には、紙面の左側から右側に向かって媒体ガスを流すための媒体ガス流路27aが設けられている。媒体ガス流路27aの左側端部は、ターン部27bに連通している。さらに、ターン部25bは、ターン部27bと連通している。ターン部25b及びターン部27bは、上層25に供給された媒体ガスを下層27に向かってUターンさせるためのものである。
このような構成を備えた媒体流路層24において、媒体ガス導入管26から供給された媒体ガスは、媒体ガス流路25a→ターン部25b→ターン部27b→媒体ガス流路27aを通って、媒体ガス排出管28から排出される。さらに、このような構成を備えた媒体流路層24と、反応流路層(図示せず)とを交互に積層すれば、ターン構造を備えた積層体が得られる。
[3. 作用]
[3.1. 積層体による熱交換効率の向上、及び断熱材による伝熱ロスの軽減]
反応材を用いた熱交換型反応器において、反応材のガス吸収量には限界がある。そのため、連続的に特定のガス成分の吸収/放出を行う場合には、2以上の熱交換型反応器をガス供給・排出ラインに対して並列に接続し、交互に吸収及び放出を繰り返すのが一般的である。また、一般に、反応材の最適吸収温度は、最適放出温度とは異なる。そのため、1つの熱交換型反応器に対して吸収及び放出が繰り返される場合、反応材の昇温と降温が繰り返される。
図6に、バッチ切替式の熱交換型反応器の定常作動を説明するための模式図を示す。図6において、バッチ切替式の熱交換型反応器60は、第1の熱交換型反応器10aと、第2の熱交換型反応器10bと、フィードガス(反応ガス)供給ライン62と、パージガス供給ライン64とを備えている。
第1の熱交換型反応器10a及び第2の熱交換型反応器10bは、それぞれ、フィードガス供給ライン62、及びパージガス供給ライン64に対して並列に接続されている。また、第1の熱交換型反応器10a及び第2の熱交換型反応器10bは、いずれもCO2吸収材を反応材に用いた熱交換型反応器である。
このようなバッチ切替式の熱交換型反応器60を用いて連続的にCO2の吸収及び放出を行う場合、まず、第1の熱交換型反応器10aをフィードガス供給ライン62に接続し、CO2の吸収を行う。これと同時に、第2の熱交換型反応器10bをパージガスライン64に接続し、CO2の放出を行う(図6の上図参照)。
所定時間経過後、第1の熱交換型反応器10aをパージガス供給ライン64側に接続し、CO2の放出を行う。これと同時に、第2の熱交換型反応器10bをフィードガス供給ライン62側に接続し、CO2の吸収を行う(図6の下図参照)。
以下、このような吸収/放出が交互に繰り返される。
フィードガスから連続的に特定のガス成分を除去する場合、吸収/放出反応による発熱/吸熱が伴い、かつ、反応速度に温度依存性があることから、バッチ切替式の熱交換型反応器による連続的なガス成分の除去が必要となる。特に、反応温度域が狭く、材料劣化を抑制するための温度制限がある場合には、
(a)反応流路層の流方向における温度差を低減すること、及び、
(b)吸収と放出の間を移動する際には、反応材の温度を速やかに最適吸収温度域又は最適放出温度域に移行させること
が必要である。
例えば、Li4SiO4によるCO2吸収/放出では、最適吸収温度域は500~550℃であり、最適放出温度域は650~700℃である。
また、Li2CO3の融点は726℃であるが、K2CO3とLi2CO3の共晶塩(KLiCO3)は、放出温度域では液相である。このような共晶塩を含むCO2吸収材において、反応材の温度が高くなりすぎると、CO2吸収時に生成するLi2CO3が溶出し、反応材を再生することができなくなる。このような溶出に起因する材料劣化を抑制するためには、反応材の温度を750℃以下にする必要がある。
一方、バッチ切替後の熱交換型反応器は、媒体ガスからの冷熱/温熱により速やかに吸収温度/放出温度に移行させ、反応速度が最大となる温度域に冷却/加熱する必要がある。このため、反応流路層と媒体流路層を構成する部材の熱容量を低減するだけでなく、媒体ガスからのガス顕熱量を有効利用するために、容器と接続配管との間の熱遮断が必要不可欠となる。特に、熱交換型反応器では、構造強度を確保するために、外壁を厚くする必要がある。外壁を介した接続配管への熱伝達や、外界への放熱があるためため、媒体ガスからの熱量だけでは、反応材の昇温/降温に時間がかかってしまう。
これに対し、本発明に係る熱交換型反応器は、セラミックスを基材とした反応流路層と、金属製の媒体流路層とを交互に積層した積層体を備えているため、熱交換効率が高い。また、積層体とこれを収容する容器との間に断熱材を設置しているので、熱容量を軽減することができ、かつ、外界への放熱と配管を介した熱伝達ロスを軽減することができる。そのため、バッチ切替時における吸収温度/放出温度への追従時間が最小となり、反応速度が最大となる温度に速やかに移行することができる。また、これによって、連続的かつ高効率なガス分離が可能となる。
[3.2. 膨張性断熱材による反応ガスの吹き抜けの防止]
熱交換型反応容器において、積層体と容器との間に隙間が存在すると、反応ガスの一部が隙間を通過し(吹き抜けの発生)、反応ガス流路の出口における反応率が低下する。これに対し、積層体と容器との間に挿入する断熱材として膨張性断熱材を用いると、反応温度で断熱材が膨張し、隙間からの反応ガスの吹き抜けを防止することができる。
例えば、バーミキュライト及びサーミキュライトは、いずれもSiO2/Al23/MgOを主成分としており、500℃以上に加熱されるとMgO層がアコーディオン状に膨張する。そのため、室温での装着時に完全なシール性が確保されていなくても、反応温度以下で膨張し、積層体と容器の隙間から反応ガスが吹き抜けるのを防止することができる。また、これによって反応率の低下を抑制することができる。
さらに、バーミキュライトは、熱伝導率が極めて小さい(0.058W/m/K)ため、積層体と容器との間の熱移動を遮断することができる。そのため、容器を介した外界への放熱や接続配管を介した熱伝導ロス量を軽減することができる。また、これによって、吸収/放出反応の最適温度域に降温/昇温するための顕熱量が軽減され、媒体流路層から供給される温熱/冷熱を効率良く反応流路層に伝えることができる。その結果、速やかな温度移行が可能となる。
[3.3. 接着層による高反応率の確保]
セラミックス製の反応流路層と金属製の媒体流路層とをセラミックス系接着剤で接合すると、接着層が反応流路層と媒体流路層との間の熱伝導パスとなる。その結果、接触熱抵抗が低減され、媒体ガスの温度と反応材の温度との差を小さくすることができる。
反応材の温度を媒体ガスの温度に近づけることにより、温度効率が向上し、効率よく媒体ガスと反応流路層との熱交換を行うことができるだけでなく、昇温/降温時における各層間の温度差を小さくすることができ、反応温度の切替時間を短縮することができる。これにより、温度移行期間において、反応温度追従性の悪化に起因する反応速度及び反応量の低下を抑制することができ、速やかな温度推移による高反応率の確保が可能となる。
媒体流路層を構成する金属は、反応流路層を構成するセラミックスに比べて線膨張係数が大きく(ステンレス鋼の線膨張係数は、~10-5/Kオーダー)、セラミックスと比較して昇温/降温による膨張量/収縮量が大きい。そのため、昇温/降温時には、接着層には横方向の強いせん断応力が発生する。このせん断応力により反応流路層と媒体流路層とを熱的に接続していた接着層が剥離すると、接触熱抵抗は増大する。
これに対し、反応流路層、接着層、及び媒体流路層の線膨張係数を互いに近い値にすると、高温作動時において、各層の膨張量/収縮量はほぼ同等となる。その結果、各層間の剥離を抑制することができる。また、接触熱抵抗を小さく維持することができるので、媒体流路層と反応流路層の温度差が小さい場合であっても、媒体流路層から反応流路層への冷熱移動/温熱移動が生じる。そのため、バッチ切替時における温度移行時間を短縮することができる。
[3.4. 高熱伝導セラミックスによる温熱/冷熱輸送の効率化]
上述したように、反応流路層と媒体流路層との間に接着層を挿入すると、接触熱抵抗が低減され、媒体ガスから反応流路層への温熱/冷熱輸送が可能となる。この場合、反応流路層を構成する材料として、熱伝導率が高いセラミックスを用いると、温熱/冷熱輸送がさらに効率化する。
ここで、ステンレス鋼の熱伝導率κは、17W/m/K程度である。一方、SiC、AlN、及びB4Cの熱伝導率κは、それぞれ、270W/m/K、170~180W/m/K、20~35W/m/Kであり、ステンレス鋼のそれより高い。そのため、反応流路層の材料としてSiC等の高熱伝導セラミックスを用いると、反応流路層を熱拡散部材として利用することが可能となる。
[3.5. ターン構造による入口/出口間の温度差の低減]
図7に、媒体ガスの流方向位置と温度との関係を示す。ガス顕熱による熱交換において、小さい比熱で冷熱/温熱量を確保するためには、ガスの流量を増加させる必要がある。また、システム要件により媒体ガス流量に制約がある場合には、媒体ガスの入口温度を最適な反応温度よりも低温又は高温に設定する必要がある。
このため、ターン構造を持たない媒体流路を備えた熱交換型反応器において冷熱/温熱の熱交換を行うと、図7に示すように、媒体ガスの入口近傍における反応温度は、最適な反応温度域を外れ、最適温度よりも低温又は高温となる。その結果、入口近傍における反応速度が低下する。特に、温熱の熱交換では、入口温度が材料の劣化が促進される温度域に到達し、反応材の性能が低下する場合がある。
例えば、Li4SiO4とK2CO3との混合物からなるCO2吸収材を750℃以上に加熱すると、液相である共晶塩(KLiCO3)の粘度が低下し、移動しやすくなる。液相移動が起こると、液相とLi2CO3(固相)とが接触しにくくなるため、CO2放出時におけるLi4SiO4の反応率が低下する。
これに対し、媒体流路層がターン構造を備えている場合、図7に示すように、入口/出口間の温度差が小さくなる。その結果、媒体流路層の面内において温度分布がより均一となる。また、これによって、バッチ切替時において、反応流路層の温度を反応材の劣化が促進される温度に到達させることなく、速やかに適正な温度域に移行させることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る熱交換型反応器は、固体酸化物型燃料電池の排ガス処理装置、水素を可逆的に吸蔵・放出するための水素貯蔵・供給装置、排熱を化学エネルギーとして蓄えるための化学蓄熱装置などに用いることができる。
10 熱交換型反応器
20 積層体
22 反応流路層
24 媒体流路層
30 容器
40 断熱材
50 接着層

Claims (7)

  1. 以下の構成を備えた熱交換型反応器。
    (1)前記熱交換型反応器は、
    特定のガス成分を含む反応ガスを流通させる反応流路層と、前記反応流路層と熱交換を行うための媒体ガスを流通させる媒体流路層とが交互に積層された積層体と、
    前記積層体を収容するための容器と、
    前記積層体と前記容器との間に充填された断熱材と、
    前記反応流路層と前記媒体流路層との間に挿入された接着層と
    を備えている。
    (2)前記反応流路層は、
    前記特定のガス成分を吸収・放出する反応材と、
    前記反応材を収容するための反応ガス流路と
    を備えている。
    (3)前記媒体流路層は、金属からなる。
    (4)前記反応ガス流路は、前記反応材よりも高い熱伝導率を持つセラミックス(A)からなり、
    前記反応材は、前記反応ガス流路の内面にコーティングされている。
    (5)前記セラミックス(A)は、前記媒体流路層を構成する前記金属よりも高い熱伝導率を持つ高熱伝導セラミックスからなる。
  2. 前記断熱材は、膨張性断熱材からなる請求項1に記載の熱交換型反応器。
  3. 前記セラミックス(A)は、SiC、AlN、又はB4Cからなり、
    前記金属は、Coを含む低熱膨張性ステンレス鋼からなり、
    前記断熱材は、バーミキュライト、又はサーミキュライトからなる
    請求項1又は2に記載の熱交換型反応器。
  4. 前記接着層は、前記反応材よりも高い熱伝導率を持つセラミックス(B)を含むセラミックス系接着材からなる請求項1から3までのいずれか1項に記載の熱交換型反応器。
  5. 前記接着層は、マグネシア系接着剤からなる請求項1から4までのいずれか1項に記載の熱交換型反応器。
  6. 前記媒体流路層は、前記媒体ガスを同一の前記媒体流路層内においてUターンさせるターン構造を備えている請求項1から5までのいずれか1項に記載の熱交換型反応器。
  7. 前記反応材は、CO2吸収材からなる請求項1から6までのいずれか1項に記載の熱交換型反応器。
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