JP6838475B2 - 化学蓄熱反応器、及び化学蓄熱反応器システム - Google Patents

化学蓄熱反応器、及び化学蓄熱反応器システム Download PDF

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Description

本発明は、化学反応によって蓄熱、及び放熱を行う化学蓄熱反応器、及び化学蓄熱反応器システムに関する。
化学反応によって蓄熱、及び放熱を行う化学蓄熱反応器として、例えば特許文献1に記載の化学蓄熱反応器が知られている。この化学蓄熱反応器では、密閉された反応容器の内部に、蓄熱材形成体を備えた蓄熱材反応部と、蓄熱反応部への熱供給、及び熱回収を行う熱交換器とが交互に積層された積層ユニットが収納されている。
特開2014−126293号公報
ところで、蓄熱(熱源)を行う場所と、放熱を行う場所(熱利用対象物)とが離れている場合、化学蓄熱反応器を運搬する必要がある。化学蓄熱反応器は、積層ユニットと、積層ユニットを収容する反応容器とを含んで構成されているため重く、搬送を容易にするための軽量化が簡単にできない。
化学蓄熱反応器を可搬するには、熱交換器に接続されている熱媒配管を取り外す必要があり、熱媒が漏れる懸念がある。
積層ユニットは、反応容器内に密閉状態で収容されているため、蓄熱材形成体の体積は反応容器の内容積の制約を受け、蓄熱密度を大きくすることが容易でない。
本願発明の課題は、搬送が容易で、熱媒の漏れを抑制できる化学蓄熱反応器、及び化学蓄熱反応器システムを提供することにある。
請求項1に記載の化学蓄熱反応器は、反応媒体と結合することで発熱又は反応媒体が脱離して蓄熱する一対の蓄熱材と、一方の蓄熱材と他方の蓄熱材との間に配置され前記蓄熱材に対して反応媒体を付与する反応媒体拡散層と、前記蓄熱材と前記反応媒体拡散層とを内部に密閉した密閉容器とを含んで構成された複数の蓄熱反応器が間隔を開けて配置されると共に、複数の前記蓄熱反応器が一体的に連結された蓄熱反応器カートリッジと、内部に流れる熱媒体によって前記蓄熱材への熱供給及び前記蓄熱材からの熱回収を行う複数の熱交換器が間隙を開けて配置されると共に、複数の前記熱交換器が一体的に連結された熱交換器ユニットと、を備え、前記蓄熱反応器は、前記熱交換器の間隙に着脱可能に挿入され、前記蓄熱反応器が前記熱交換器の間隙に挿入されることで、前記蓄熱反応器と前記熱交換器とが交互に積層され、一方の前記蓄熱材は、前記密閉容器の一方の壁面を介して前記蓄熱反応器の積層方向一方側の前記熱交換器に対向し、他方の前記蓄熱材は、前記密閉容器の他方の壁面を介して前記蓄熱反応器の積層方向の他方側の前記熱交換器に対向する
請求項1に記載の化学蓄熱反応器では、蓄熱材を放熱させる場合には、反応媒体拡散層に反応媒体を流す。反応媒体が、蓄熱材と結合することで、蓄熱材が放熱する。一方、蓄熱材に蓄熱を行う場合には、熱交換器に熱媒体を流す。これにより、熱交換器の熱が蓄熱材に伝達され、蓄熱材が加熱されると、蓄熱材から反応媒体が脱離して蓄熱が行われる。
請求項1に記載の化学蓄熱反応器では、蓄熱反応器が、熱交換器の間隙に着脱可能に挿入される構成であるため、蓄熱反応器カートリッジは熱交換器ユニットに対して容易に着脱することができる。
このため、一例として、蓄熱反応器カートリッジに蓄熱を行う場所、即ち、蓄熱材を加熱するための熱源と、蓄熱反応器カートリッジが放熱を行う場所、即ち、蓄熱反応器カートリッジの熱を利用する熱利用対象物とが離れている場合に、熱源の近傍と、熱利用対象物の近傍の両方に、熱交換器ユニットを配置しておけば、蓄熱材を加熱する際には蓄熱反応器カートリッジのみを熱源の近傍に配置した熱交換器ユニットに搬送して装着し、蓄熱材から放熱を行う場合には熱利用対象物の近傍に配置した熱交換器ユニットに搬送して装着すればよく、従来のように化学蓄熱反応器全体を搬送しなくてもよいため、搬送が容易になる。
また、熱交換器は搬送する必要がなく、熱源または熱利用対象物に対して熱媒配管を着脱する必要がなく、熱媒の漏れを抑制することができる。
さらに、蓄熱反応器カートリッジ、及び熱交換器ユニットは、容器内に収容していないため、蓄熱材の体積が容器の内容積の制限を受けることがない。
請求項2に記載の化学蓄熱反応器は、反応媒体と結合することで発熱又は反応媒体が脱離して蓄熱する複数の蓄熱材と、前記蓄熱材と前記蓄熱材との間に配置され前記蓄熱材に対して反応媒体を付与する反応媒体拡散層と、前記蓄熱材と前記反応媒体拡散層とを内部に密閉した密閉容器とを含んで構成された複数の蓄熱反応器が間隔を開けて配置されると共に、複数の前記蓄熱反応器が一体的に連結された蓄熱反応器カートリッジと、内部に流れる熱媒体によって前記蓄熱材への熱供給及び前記蓄熱材からの熱回収を行う複数の熱交換器が間隙を開けて配置されると共に、複数の前記熱交換器が一体的に連結された熱交換器ユニットと、を備え、前記蓄熱反応器は、前記熱交換器の間隙に着脱可能に挿入され、前記蓄熱反応器が前記熱交換器の間隙に挿入されることで、前記蓄熱反応器と前記熱交換器とが交互に積層され、前記密閉容器の内部で、前記蓄熱材と前記反応媒体拡散層とが、前記蓄熱反応器と前記熱交換器との積層方向に対して直交する方向に積層され、複数の前記蓄熱材は、一方の面が前記密閉容器の一方の壁面を介して前記蓄熱反応器の積層方向一方側の前記熱交換器に対向し、他方の面が前記密閉容器の他方の壁面を介して前記蓄熱反応器の積層方向の他方側の前記熱交換器に対向する。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の化学蓄熱反応器において、前記複数の熱交換器は、前記熱媒体を流す可撓性を有した配管で相互に接続されている。
化学蓄熱反応器において、蓄熱反応器カートリッジは、蓄熱反応器が間隔を開けて配置されると共に、複数の蓄熱反応器が一体的に連結されており、熱交換器ユニットは、複数の熱交換器が間隙を開けて配置されると共に、複数の熱交換器一体的に連結されており、蓄熱反応器が、熱交換器の間隙に着脱可能に挿入される構成であるため、蓄熱反応器の間隔、及び熱交換器の間隔のバラツキ(製造上の公差等)が大きいと、熱交換器の間隙に蓄熱反応器を挿入することが困難になる場合がある。
請求項3に記載の化学蓄熱反応器では、複数の熱交換器が、可撓性を有した配管で相互に接続されているため、熱交換器の間隙に蓄熱反応器を挿入する際に、熱交換器と熱交換器との間隔を容易に調整することができる。このため、熱交換器の間隙に蓄熱反応器を容易に挿入することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の化学蓄熱反応器において、前記蓄熱材、及び前記反応媒体拡散層は、密閉ケースに収容されている。
請求項4に記載の化学蓄熱反応器は、蓄熱材が密閉ケースに収容されているため、蓄熱材の漏れ、及び蓄熱材が大気に触れることによる炭酸劣化を抑制することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の化学蓄熱反応器において、前記熱媒体は、液体、または気体である。
請求項5に記載の化学蓄熱反応器では、液体、または気体を熱媒体として用いることが出来る。気体としては、例えば、可燃物を燃焼させた後に得られる廃熱ガス等を用いることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の化学蓄熱反応器において、前記蓄熱反応器を前記熱交換器の間隙に挿入した状態で、複数の前記蓄熱反応器と複数の前記熱交換器とを、積層方向両側から挟持して拘束する拘束部材を有する。
蓄熱材は、反応媒体と反応する際に膨張しようとするため、場合によっては、蓄熱反応器が変形する場合が考えられる。請求項5に記載の化学蓄熱反応器では、蓄熱反応器を熱交換器の間隙に挿入した状態で、複数の蓄熱反応器との前記熱交換器とを、拘束部材で積層方向両側から挟持して拘束するため、蓄熱反応器、及び熱交換器の積層方向の変形を抑えることができる。また、蓄熱反応器、及び熱交換器の積層方向の変形を抑えることができるため、部材間に隙間が生じて蓄熱材が漏れ出ることを抑制できる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の化学蓄熱反応器。において、前記熱交換器と熱利用対象物とを連結して前記熱交換器を通過した前記熱媒体を前記熱利用対象物に供給する配管、蓄熱反応器カートリッジ、及び熱交換器ユニットを覆う断熱材が設けられている
請求項7に記載の化学蓄熱反応器では、熱交換器と熱利用対象物とを連結して熱交換器を通過した熱媒体を熱利用対象物に供給する配管、蓄熱反応器カートリッジ、及び熱交換器ユニットが断熱材で覆われているため、蓄熱材で生じた熱が外部(大気)に放出されることが抑制され、熱交換器で加熱された熱媒体の温度低下を抑制して、蓄熱材で生じた熱を効率的に熱利用対象物に搬送することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の化学蓄熱反応器を備えた化学蓄熱反応器システムであって、前記熱交換器ユニットが複数設けられている。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の化学蓄熱反応器システムにおいて、熱源に接続され前記熱源からの熱を受ける前記熱交換器ユニットと、熱利用対象物に接続され前記熱利用対象物に熱を付与する前記熱交換器ユニットと、を有する。
本発明の化学蓄熱反応器、及び化学蓄熱反応器システムによれば、搬送が容易で、熱媒の漏れを抑制できる、という優れた効果を有する。
第1の比較例に係る化学蓄熱反応器を用いた化学蓄熱システムの概略構成を示した構成図である。 (A)は第1の比較例に係る化学蓄熱反応器を示す側面図であり、(B)は図2(A)に示す化学蓄熱反応器の平面図である。 (A)は第1の比較例に係る化学蓄熱反応器の熱交換器ユニットを示す側面図であり、(B)図3(A)に示す化学蓄熱反応器の熱交換器ユニットの平面図である。 (A)は蓄熱反応器カートリッジを示す側面図であり、(B)は蓄熱反応器カートリッジを示す平面図であり、(C)は蒸発凝縮器の内部構成を示す断面図である。 (A)は蓄熱反応器を示す縦断面図(図5(B)に示す蓄熱反応器の5(A)−5(A)線断面図)であり、(B)は図5(A)に示す蓄熱反応器の5(B)−5(B)線断面図であり、(C)は図5(B)に示す蓄熱反応器の5(C)−5(C)線断面図である。 (A)は拘束部材で拘束した化学蓄熱反応器を示す側面図であり、(B)は図6(A)に示す化学蓄熱反応器の平面図である。 熱源、及び熱源の近傍に配置された化学蓄熱反応器の熱交換器ユニットを示す側面図である。 第2の比較例に係る化学蓄熱反応器を示す断面図である。 第3の比較例に係る化学蓄熱反応器を示す断面図である。 (A)は第1の実施形態に係る化学蓄熱反応器の蓄熱反応器を示す縦断面図であり、(B)は、図10(A)に示す蓄熱反応器の10(B)−10(B)線断面図であり、(C)は図10(A)に示す蓄熱反応器の10(C)−10(C)線断面図である。 (A)は第2の実施形態に係る蓄熱反応器の蓄熱反応器を示す縦断面図(図11(B)に示す)であり、(B)は、図11(A)に示す蓄熱反応器の10(B)−10(B)線断面図であり、(C)は図11(Bbに示す蓄熱反応器の11(C)−11(C)線断面図である。
第1の比較例
図1乃至図7にしたがって、第1の比較例に係る化学蓄熱システム10を説明する。
図1に示すように、本比較例の化学蓄熱システム10では、一例として、化学蓄熱反応器12が、熱源14の近傍と、熱利用対象物16の近傍とに配置されている。本比較例の熱源14は、溶鉱炉であるが、他の熱源であってもよい。
(化学蓄熱反応器の構成)
図2〜4に示すように、本比較例に係る化学蓄熱反応器12は、熱交換器ユニット18と、熱交換器ユニット18に対して着脱可能な蓄熱反応器カートリッジ20とを含んで構成されている。
(熱交換器ユニット)
図3に示すように、熱交換器ユニット18は、平面視で矩形状に形成された厚みが薄く、内部が中空とされた箱状に形成された複数の熱交換器22を備えており、これら複数の熱交換器22が一定の間隔を開けて上下方向に配置されている。
これらの熱交換器22の対角方向には、鉛直方向に延びる一対の配管24が配置されている。各熱交換器22には、対角方向の両側に、可撓性を有する蛇腹配管26の一端が接続されており、蛇腹配管26の他端が配管24に接続されている。このため、一方の配管24に熱媒体が供給されると、熱媒体は、一方の蛇腹配管26、熱交換器22の内部、他方の蛇腹配管26を介して他方の配管24に排出されるように構成されている。なお、配管24は、配管25を介して熱源14または熱利用対象物16に接続されている。
なお、熱交換器22は、可撓性を有する蛇腹配管26を介して配管24に接続されているため、熱交換器22をある程度は上下方向に移動することができ、これにより、熱交換器22と熱交換器22との間隔を調整可能となっている。
(蓄熱反応器カートリッジ)
図4に示すように、蓄熱反応器カートリッジ20は、複数の蓄熱反応器28を備えており、これら複数の蓄熱反応器28が一定の間隔を開けて上下方向に配置されている。図5に示すように、蓄熱反応器28は、内部が中空とされた箱状に形成された金属製の密閉容器30を備えており、密閉容器30の内部には、蓄熱成形体32が配置されている。蓄熱成形体32には、一例として、アルカリ土類金属の酸化物の1つである酸化カルシウム(CaO:蓄熱材の一例)の成形体が用いられている。この成形体は、例えば、酸化カルシウム粉体をバインダ(例えば粘土鉱物等)と混練し、焼成することで、略矩形ブロック状に形成されている。
ここで、蓄熱成形体32は、水和に伴って膨張して放熱(発熱)し、脱水に伴って蓄熱(吸熱)するものであり、以下に示す反応で放熱、蓄熱を可逆的に繰り返し得る構成とされている。
CaO + HO ⇔ Ca(OH)
この式に蓄熱量、発熱量Qを併せて示すと、
CaO + HO → Ca(OH) + Q
Ca(OH) + Q → CaO + H
となる。
なお、一例として、蓄熱成形体32の1kg当たりの蓄熱容量は、1.86[MJ/kg]とされている。
図5に示すように、蓄熱成形体32の上面は、フィルター34で覆われている。フィルター34は、一例としてφ200〔μm〕の微小貫通孔(図示せず)が、フィルター全面に多数形成された金属材料からなるエッチングフィルターである。フィルター34は、蓄熱成形体32を構成する蓄熱材の平均粒径より小さいろ過精度を有している。これにより、フィルター34は、蓄熱成形体32を構成する蓄熱材の平均粒径より小さい流路を水蒸気が通過するのを許容する一方、平均粒径よりも大きい蓄熱材の通過を制限するようになっている。
フィルター34の上には、反応媒体拡散層36が配置されている。反応媒体拡散層36は、金属材料からなる矩形状の天板36Aと、天板36Aに固定される金属材料からなる複数の流路部材36Bとを備えている。
流路部材36Bは、間隔をあけて並んでおり、夫々の流路部材36Bは、天板36Aに対して下方側に配置され、フィルター34側が開放された略U字状とされている。なお、流路部材36Bは天板36Aの下面に溶接されている。
これにより、流路部材36Bの内側、及び隣り合う流路部材36Bの間に、蓄熱成形体32へ供給される水蒸気、又は蓄熱成形体32から排出される水蒸気が流れるようになっている。
図4、及び図5に示すように、密閉容器30は、平面視で矩形状とされた矩形部30Aと、平面視で三角形状とされた三角形状部30Bとを備えており、に突出しており、三角形状部30Bの先端側には、配管38の一端が接続されている。密閉容器30の側方には、鉛直方向に延びる配管40が配置されており、この配管40の側部に密閉容器30から延びる各配管38の他端部が接続されている。配管40の両端部は閉塞されており、配管40の中間部には、配管42を介して蒸発凝縮器44が接続されている。
蒸発凝縮器44は、貯留した水を蒸発させて蓄熱反応器28に供給する(水蒸気を生成する)蒸発部、蓄熱反応器28から受け取った水蒸気を凝縮する凝縮部、及び水蒸気が凝縮された水を貯留する貯留部、としての各機能を備えている。蒸発凝縮器44は、内部に水が貯留される容器46を備えており、この容器46の内部には、水蒸気Wを凝縮する、又は水を蒸発するのに用いる熱媒流路48の一部が配置されている。さらに、熱媒流路48は、容器46の内部における少なくとも気相部46Aを含む部分で熱交換を行うように配置されている。そして、凝縮時には低温媒体、蒸発時には中温媒体が、熱媒流路48を流れるようになっている。なお、配管42の中間部には、蒸発凝縮器44と蓄熱反応器28との連通、非連通を切り替えるための開閉弁50が設けられている。
密閉容器30、配管38、配管40、配管42、及び蒸発凝縮器44の内部は相互に連通され、これらの内部空間は予め真空脱気されている。
なお、密閉容器30の内部で水蒸気を効率的に通過させるには、密閉容器30の矩形部30Aにおいて、三角形状部30B側で、矩形部30Aの内部に水蒸気が流入するマニホールド部31の流路断面積(図5(D)参照)と、配管38の流路断面積と、反応媒体拡散層36において水蒸気の通過する流路の流路断面積(図5(A)参照)とは、同等に設定することが好ましい。
ここで、熱利用対象物16で使用する化学蓄熱反応器12では、水和に伴って蓄熱成形体32が放熱(発熱)すると共に膨張する。このため、放熱する際には、図6に示すように、拘束部材52を用い、積層状態とされた蓄熱反応器28、及び熱交換器22を積層方向両側(上下方向両側)から挟持して拘束することが好ましい。積層された蓄熱反応器28、及び熱交換器22を積層方向両側から拘束部材52で挟持することで、蓄熱成形体32が膨張する際の力による蓄熱反応器28、及び熱交換器22の変形を抑制することができる。拘束部材52としては、例えば、市販のシャコ万力(バイスとも呼ばれる)等を用いることができる。
なお、熱源14で使用する化学蓄熱反応器12では、蓄熱成形体32が加熱されて収縮するため、蓄熱反応器28、及び熱交換器22を拘束部材52で拘束する必要はない。
(化学蓄熱システムの使用方法)
次に、化学蓄熱反応器12の使用方法について説明する。
(熱の利用)
化学蓄熱反応器12において、蓄熱反応器28の蓄熱成形体32から発熱(放熱)させ、その熱を熱利用対象物16で使用する場合には、熱利用対象物16に接続された熱交換器ユニット18に、予め蓄熱しておいた蓄熱成形体32を有する蓄熱反応器カートリッジ20を挿入し、蒸発凝縮器44で生成した水蒸気を蓄熱反応器28に供給する。
水蒸気は、反応媒体拡散層36を流れ、そして、水蒸気はフィルター34を通過して蓄熱成形体32と接触する。これにより、蓄熱成形体32は、水和反応を生じつつ発熱(放熱)する。この熱は、熱交換器22の内部を流れる熱媒体によって、熱利用対象物16に輸送することができる。
(蓄熱)
一方、化学蓄熱反応器12において蓄熱成形体32に熱を蓄熱させる際には、発熱(放熱)の終了した蓄熱反応器カートリッジ20を、熱利用対象物16に接続された熱交換器ユニット18から抜き取り、熱源14に接続された熱交換器ユニット18に搬送して装着する。
そして、熱交換器22の内部に、熱源14から排出される廃熱ガスを供給する。これにより、熱交換器22を流れる廃熱ガスの熱によって蓄熱成形体32が脱水反応を生じ、この熱が蓄熱成形体32に蓄熱される。なお、蓄熱成形体32から離脱された水蒸気は、フィルター34から反応媒体拡散層36に流れ込む。反応媒体拡散層36に流れ込んだ水蒸気は、蒸発凝縮器44内に流れ込み、蒸発凝縮器44の気相部46Aにおいて、熱媒流路48を流れる低温媒体によって水蒸気が冷却され、凝縮された水が容器46の液相部46Bに貯留される。
本比較例の化学蓄熱反応器12は上記の構成を備えているので、以下の効果が得られる。
(1) 蓄熱、及び発熱に際して、蓄熱反応器カートリッジ20のみを搬送すればよいため、化学蓄熱反応器12を搬送する場合に比較して、搬送するものが軽く、搬送が容易になる。
(2) 従来の化学蓄熱反応器は、熱源と熱利用対象物とが離れている場合、化学蓄熱反応器を搬送しなければならなかったが、本比較例では、熱交換器ユニット18は搬送する必要がない。即ち、熱源14または熱利用対象物16と熱交換器ユニット18とを接続する熱媒配管を着脱する必要がないため、熱媒(本比較例では廃熱ガス)の漏れを抑制することができ、安全性を確保することができる。
(3) 蓄熱反応器カートリッジ20、及び熱交換器ユニット18は、容器に収容していないため、蓄熱成形体32の体積が容器の内容積の制限を受けることがない。
(4) 蓄熱反応器カートリッジ20は、内部を密閉しているため、蓄熱成形体32が外気(大気)に触れることが無く、蓄熱材の炭酸劣化を抑制することができ、蓄熱材の性能を維持できる。そのため、化学蓄熱反応器12の性能を維持できる。
(5) 本比較例の化学蓄熱反応器12は、発熱させた場合に蓄熱成形体32が膨張するので、拘束部材52は、熱利用対象物16の化学蓄熱反応器12のみで使用すればよく、熱源14の化学蓄熱反応器12では必要としないので、拘束部材52を2個用いる必要がなく、コストダウンとなる。
(6) 本比較例の化学蓄熱反応器12は、蓄熱と放熱とを別々の箇所で行っており、熱源14で使用する化学蓄熱反応器12では拘束部材52が不要となっている。したがって、拘束部材52は1個で済み、熱源14で使用する化学蓄熱反応器12、及び熱利用対象物16の各々で使用するために拘束部材52を2個必要とせず、コストダウンとなる。
(7) なお、本比較例では、熱源14である溶鉱炉の廃熱ガスを熱交換器22に供給したが、本発明はこれに限らず、図7に示すように、熱源14と化学蓄熱反応器12の熱交換器22との間に、熱交換器54を配置し、熱交換器54の熱源側に溶鉱炉の熱で加熱されるオイルを循環させる配管56を接続し、熱交換器54の化学蓄熱反応器側にオイルや不凍液等の液体、または気体を循環させる配管58を接続し、配管56を循環するオイルと、配管58を循環する液体、または気体との間で熱交換を行い、オイルで加熱された液体、または気体で熱交換器22を加熱するようにしてもよい。
第2の比較例
次に、図8にしたがって、第2の比較例に係る化学蓄熱反応器12を説明する。なお、第1の比較例と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図8に示すように、本比較例の化学蓄熱反応器12は、全体が断熱材60で覆われている。また、熱利用対象物16と接続される配管24、及び熱利用対象物16に至る経路の配管も断熱材62で覆われている。なお、本比較例の断熱材60、及び断熱材62は、グラスウール、ロックウール等の柔軟な断熱材が用いられている。
これにより、化学蓄熱反応器12から熱利用対象物16へ至る熱媒体の熱が大気に放出することが抑制され、加熱された熱媒体の温度低下が抑制されて、蓄熱材で生じた熱を効率的に熱利用対象物16に搬送することができる。
第3の比較例
次に、図9にしたがって、第3の比較例に係る化学蓄熱反応器12を説明する。なお、前述した比較例と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
本比較例の化学蓄熱反応器12は、化学蓄熱反応器12の上下に硬質の断熱板64が配置されており、化学蓄熱反応器12が断熱板64を介して拘束部材52で拘束されている。断熱板64の材料としては、例えば、セラミックス等が用いられている。
本比較例においても、化学蓄熱反応器12から熱利用対象物16へ至る熱媒体の熱が大気に放出することが抑制され、加熱された熱媒体の温度低下が抑制されて、蓄熱材で生じた熱を効率的に熱利用対象物16に搬送することができる。
第1の実施形態
次に、図10にしたがって、本発明の第1の実施形態に係る化学蓄熱反応器12の蓄熱反応器28を説明する。なお、前述した比較例と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
前述した比較例の蓄熱反応器28では、密閉容器30の内部に蓄熱成形体32が1個収納されていたが、本実施形態では、図10に示すように、波型に形成された反応媒体拡散層66の両側にフィルター34を介して蓄熱成形体32を配置している
第2の実施形態
次に、図11にしたがって、本発明の第2の実施形態に係る化学蓄熱反応器12の蓄熱反応器28を説明する。なお、前述した比較例と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
前述した第1の比較例の蓄熱反応器28では、密閉容器30の内部に蓄熱成形体32が1個収納されていたが、本実施形態では、図11に示すように、波型に形成された2枚の反応媒体拡散層66を水平方向に間隔を開けて配置し、反応媒体拡散層66の両側にフィルター34を介して蓄熱成形体32を配置している。
[その他の実施形態]
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。
12 化学蓄熱反応器
18 熱交換器ユニット
20 蓄熱反応器カートリッジ
22 熱交換器
28 蓄熱反応器
32 蓄熱材成形体(蓄熱材)
36 反応媒体拡散層
66 反応媒体拡散層

Claims (9)

  1. 反応媒体と結合することで発熱又は反応媒体が脱離して蓄熱する一対の蓄熱材と、一方の蓄熱材と他方の蓄熱材との間に配置され前記蓄熱材に対して反応媒体を付与する反応媒体拡散層と、前記蓄熱材と前記反応媒体拡散層とを内部に密閉した密閉容器とを含んで構成された複数の蓄熱反応器が間隔を開けて配置されると共に、複数の前記蓄熱反応器が一体的に連結された蓄熱反応器カートリッジと、
    内部に流れる熱媒体によって前記蓄熱材への熱供給及び前記蓄熱材からの熱回収を行う複数の熱交換器が間隙を開けて配置されると共に、複数の前記熱交換器が一体的に連結された熱交換器ユニットと、
    を備え、
    前記蓄熱反応器は、前記熱交換器の間隙に着脱可能に挿入され、前記蓄熱反応器が前記熱交換器の間隙に挿入されることで、前記蓄熱反応器と前記熱交換器とが交互に積層され、一方の前記蓄熱材は、前記密閉容器の一方の壁面を介して前記蓄熱反応器の積層方向一方側の前記熱交換器に対向し、他方の前記蓄熱材は、前記密閉容器の他方の壁面を介して前記蓄熱反応器の積層方向の他方側の前記熱交換器に対向する、化学蓄熱反応器。
  2. 反応媒体と結合することで発熱又は反応媒体が脱離して蓄熱する複数の蓄熱材と、前記蓄熱材と前記蓄熱材との間に配置され前記蓄熱材に対して反応媒体を付与する反応媒体拡散層と、前記蓄熱材と前記反応媒体拡散層とを内部に密閉した密閉容器とを含んで構成された複数の蓄熱反応器が間隔を開けて配置されると共に、複数の前記蓄熱反応器が一体的に連結された蓄熱反応器カートリッジと、
    内部に流れる熱媒体によって前記蓄熱材への熱供給及び前記蓄熱材からの熱回収を行う複数の熱交換器が間隙を開けて配置されると共に、複数の前記熱交換器が一体的に連結された熱交換器ユニットと、
    を備え、
    前記蓄熱反応器は、前記熱交換器の間隙に着脱可能に挿入され、前記蓄熱反応器が前記熱交換器の間隙に挿入されることで、前記蓄熱反応器と前記熱交換器とが交互に積層され、
    前記密閉容器の内部で、前記蓄熱材と前記反応媒体拡散層とが、前記蓄熱反応器と前記熱交換器との積層方向に対して直交する方向に積層され、
    複数の前記蓄熱材は、一方の面が前記密閉容器の一方の壁面を介して前記蓄熱反応器の積層方向一方側の前記熱交換器に対向し、他方の面が前記密閉容器の他方の壁面を介して前記蓄熱反応器の積層方向の他方側の前記熱交換器に対向する、化学蓄熱反応器。
  3. 前記複数の熱交換器は、前記熱媒体を流す可撓性を有した配管で相互に接続されている、請求項1または請求項2に記載の化学蓄熱反応器。
  4. 前記蓄熱材、及び前記反応媒体拡散層は、密閉ケースに収容されている、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の化学蓄熱反応器。
  5. 前記熱媒体は、液体、または気体である、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の化学蓄熱反応器。
  6. 前記蓄熱反応器を前記熱交換器の間隙に挿入した状態で、複数の前記蓄熱反応器と複数の前記熱交換器とを、積層方向両側から挟持して拘束する拘束部材を有する、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の化学蓄熱反応器。
  7. 前記熱交換器と熱利用対象物とを連結して前記熱交換器を通過した前記熱媒体を前記熱利用対象物に供給する配管、蓄熱反応器カートリッジ、及び熱交換器ユニットを覆う断熱材が設けられている、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の化学蓄熱反応器。
  8. 請求項1に記載の化学蓄熱反応器を備えた化学蓄熱反応器システムであって、
    前記熱交換器ユニットが複数設けられた化学蓄熱反応器システム。
  9. 熱源に接続され前記熱源からの熱を受ける前記熱交換器ユニットと、
    熱利用対象物に接続され前記熱利用対象物に熱を付与する前記熱交換器ユニットと、
    を有する、請求項8に記載の化学蓄熱反応器システム。
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