JP6511974B2 - 化学蓄熱反応器、化学蓄熱システム - Google Patents

化学蓄熱反応器、化学蓄熱システム Download PDF

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Description

本発明は、化学反応によって蓄熱する化学蓄熱反応器、及び化学蓄熱システムに関する。
特許文献1に記載の構成では、蓄熱材層、反応媒体拡散層、及び熱交換部が積層されることで積層体が形成され、この積層体は、積層方向の両側から一対のエンドプレートによって挟まれ、拘束されている。具体的には、一方のエンドブレードの四隅部分と他方のエンドプレートの四隅部分とを、ボルトを介して連結させることで、蓄熱材層、反応媒体拡散層、及び熱交換部を拘束する拘束力が生じている。
特開2014−126293号公報
しかし、特許文献1に記載の構成では、積層体の四隅部分に負荷される拘束力と他の部分を拘束する拘束力との差が大きく、蓄熱材が膨張した際に、蓄熱材層、反応媒体拡散層、及び熱交換部が変形してしまうことがあった。
本願発明の課題は、蓄熱材が膨張した際に、積層されている各部材の積層方向の間隔が変化しまうのを抑制することである。
本発明の請求項1に係る化学蓄熱反応器は、反応媒体と結合することで膨張し発熱又は反応媒体が脱離して蓄熱する蓄熱材成形体が拘束枠の内部に配置されている複数の蓄熱材層と、前記蓄熱材層に積層され、積層方向において前記拘束枠と接触し、前記蓄熱材層へ供給される又は前記蓄熱材層から排出される反応媒体が流れる反応媒体拡散層と、前記蓄熱材層において前記反応媒体拡散層とは反対側に積層され、前記積層方向において前記拘束枠と接触し、前記蓄熱材層への熱供給及び前記蓄熱材層からの熱回収のうち少なくとも一方を行う熱交換部と、夫々の前記拘束枠と連結されている連結部材と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、反応媒体拡散層は、蓄熱材層に積層され、熱交換部は、蓄熱材層において反応媒体拡散層とは反対側に積層されている。また、蓄熱材層においては、反応媒体と結合することで膨張して発熱又は反応媒体が脱離して蓄熱する蓄熱材成形体が拘束枠の内部に配置されている。さらに、連結部材が、積層方向に延びて、夫々の拘束枠と連結されている。
また、積層方向において、反応媒体拡散層及び熱交換部は、拘束枠と接触している。これにより、連結部材が拘束枠に連結されていない場合と比して、蓄熱材成形体が膨張した際に、積層されている各部材の積層方向の間隔が変化しまうのを抑制することができる。
本発明の請求項2に係る化学蓄熱反応器は、請求項1に記載の化学蓄熱反応器において、前記拘束枠は、積層方向から見て矩形状とされ、前記連結部材は、前記拘束枠を挟み込むように前記拘束枠の一方側と他方側とに連結されていることを特徴とする。
上記構成によれば、拘束枠は、積層方向から見て矩形状とされ、連結部材は、拘束枠を挟み込むように拘束枠の一方側と他方側とに連結されている。これにより、連結部材が、拘束枠の一方側だけに連結されている場合と比して、蓄熱材成形体が膨張した際に、積層されている各部材の積層方向の間隔が変化しまうのを抑制することができる。
本発明の請求項3に係る化学蓄熱反応器は、請求項2に記載の化学蓄熱反応器において、前記積層方向から見て、前記連結部材を外側から囲み、前記連結部材を蓄熱材層、反応媒体拡散層、及び熱交換部に押し付ける押付部材を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、押付部材は、積層方向から見て、連結部材を外側から囲み、連結部材の相対位置関係の変化を制限している。これにより、蓄熱材が膨張した際に、蓄熱材層、反応媒体拡散層、及び熱交換部が、積層方向を軸として捻じれるのを抑制することができる。
本発明の請求項4に係る化学蓄熱反応器は、請求項1〜3の何れか1項に記載の化学蓄熱反応器において、前記蓄熱材層、前記反応媒体拡散層、及び前記熱交換部を前記積層方向の両端側から挟む一対の挟持部材を備え、前記挟持部材は、前記連結部材と連結されていることを特徴とする。
上記構成によれば、一対の挟持部材が、蓄熱材層、反応媒体拡散層、及び熱交換部を積層方向の両端側から挟んでいる。さらに、挟持部材は、連結部材と連結されている。
このため、連結部材が挟持部材に連結されていない場合と比して、蓄熱材成形体が膨張した際に、積層されている各部材の積層方向の間隔が変化しまうのを抑制することができる。
本発明の請求項5に係る化学蓄熱システムは、請求項1〜4の何れか1項に記載の化学蓄熱反応器と、前記化学蓄熱反応器の前記反応媒体拡散層への反応媒体の供給及び前記反応媒体拡散層からの反応媒体の受け取りのうち少なくとも一方を行う蒸発凝縮器と、を有することを特徴とする。
上記構成によれば、化学蓄熱システムは、請求項1〜4の何れか1項に記載の化学蓄熱反応器を備えている。これにより、化学蓄熱システムの熱損失を抑制することができる。
本発明によれば、蓄熱材が膨張した際に、積層されている各部材の積層方向の間隔が変化しまうのを抑制することができる。
第1実施形態に係る反応器(化学蓄熱反応器)に備えられた積層ユニット等を示した斜視図である。 第1実施形態に係る反応器に備えられた積層ユニット等を示した断面図である。 第1実施形態に係る反応器に備えられた積層ユニット等を示した分解斜視図である。 第1実施形態に係る反応器に備えられた積層ユニット等を示した分解斜視図である。 第1実施形態に係る反応器を示した斜視図である。 第1実施形態に係る反応器を示した分解斜視図である。 (A)(B)第1実施形態に係る反応器に備えられた反応媒体拡散層を示した斜視図、及び正面図である。 (A)(B)第1実施形態に係る反応器に備えられた熱流動部を示した斜視図、及び平面図である。 (A)(B)第1実施形態に係る反応器に備えられた蓄熱層を示した分解斜視図、及び斜視図である。 第1実施形態に係る反応器に備えられた積層体を示した分解斜視図である。 第1実施形態に係る反応器に備えられた蓄熱材反応部を示した断面図である。 第1実施形態に係る反応器に用いられた蓄熱材成形体の反応平衡線及び水の気液平衡線を温度と平衡圧との関係で示す線図である。 (A)(B)第1実施形態に係る化学蓄熱システムを示した構成図である。 第2実施形態に係る反応器に備えられた積層ユニット等を示した断面図である 第3実施形態に係る反応器に備えられた積層ユニット等を示した斜視図である。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る化学蓄熱反応器及び化学蓄熱システムの一例について図1〜図13を用いて説明する。なお、図中に示す矢印Hは装置上下方向(鉛直方向)を示し、矢印Wは装置幅方向(水平方向)を示し、矢印Dは装置奥行方向(水平方向)を示す。
(全体構成)
図13(A)(B)に示されるように、本実施形態に係る化学蓄熱システム10は、水の蒸発、水蒸気(反応媒体の一例)の凝縮が行われる蒸発凝縮器12と、化学蓄熱反応器の一例としての反応器20と、蒸発凝縮器12と反応器20とを連通する連通路14とを含んで構成されている。
〔蒸発凝縮器〕
蒸発凝縮器12は、貯留した水を蒸発させて反応器20に供給する(水蒸気を生成する)蒸発部、反応器20から受け取った水蒸気を凝縮する凝縮部、及び水蒸気が凝縮された水を貯留する貯留部、としての各機能を備えている。
また、蒸発凝縮器12は、内部に水が貯留される容器16を備えており、この容器16内には、水蒸気を凝縮する、又は水を蒸発するのに用いる熱媒流路17の一部が配置されている。さらに、熱媒流路17は、容器16内における少なくとも気相部16Aを含む部分で熱交換を行うように配置されている。そして、凝縮時には低温媒体、蒸発時には中温媒体が、熱媒流路17を流れるようになっている。
〔連通路〕
連通路14は、蒸発凝縮器12(容器16)と反応器20(後述する反応容器22)との連通、非連通を切り替えるための開閉弁19を備えている。そして、容器16、反応容器22、連通路14、及び開閉弁19は、互いの接続部位が気密に構成されており、これらの内部空間が予め真空脱気されている。
〔反応器〕
反応器20は、図5に示されるように、反応容器22と、反応容器22の内部に配置されて発熱又は蓄熱する蓄熱材反応部30と、蓄熱材反応部30に積層されている熱交換部の一例としての熱流動部50と備えている。そして、蓄熱材反応部30と熱流動部50とを含んで積層体60が構成され、この積層体60は、反応容器22内に複数積層されている。
[反応容器]
反応容器22は、直方体状とされ、図6に示されるように、上方側が開放される箱状の本体部22Aと、蓋部材22Bとを備えている。そして、反応容器22の内部は、水蒸気(反応媒体の一例)が流れる反応媒体流動部26とされ、前述したように内部が真空脱気されている。
[蓄熱材反応部:全体構成]
蓄熱材反応部30は、反応容器22の内部に封入され、図10に示されるように、蓄熱材層32と、蓄熱材層32に上方側から積層される蓄熱材拘束層34と、蓄熱材拘束層34に上方側から積層される反応媒体拡散層36とを備えている。
そして、蓄熱材層32、蓄熱材拘束層34、及び反応媒体拡散層36は、装置上下方向から見て同様の矩形状とされ、装置上下方向に並んで非接合状態(溶接などで固定されていない状態)で積層されている(所謂積層構造)。
[蓄熱材反応部:蓄熱材層]
蓄熱材層32は、図9(A)(B)に示されるように、複数の蓄熱材成形体40から構成される蓄熱材ユニット42と、蓄熱材ユニット42が内部に配置される枠状の拘束枠の一例としてのフレーム部材44とを備えている。
また、蓄熱材成形体40の厚さは30〔mm〕とされ、装置上下方向(板厚方向)から見て、蓄熱材成形体40は、一辺が100〔mm〕の正方形状とされている。
蓄熱材成形体40には、一例として、アルカリ土類金属の酸化物の1つである酸化カルシウム(CaO:蓄熱材の一例)の成形体が用いられている。この成形体は、例えば、酸化カルシウム粉体をバインダ(例えば粘土鉱物等)と混練し、焼成することで、略矩形ブロック状に形成されている。
ここで、蓄熱材成形体40は、水和に伴って膨張して放熱(発熱)し、脱水に伴って蓄熱(吸熱)するものであり、以下に示す反応で放熱、蓄熱を可逆的に繰り返し得る構成とされている。
CaO + H2O ⇔ Ca(OH)2
この式に蓄熱量、発熱量Qを併せて示すと、
CaO + H2O → Ca(OH)2 + Q
Ca(OH)2 + Q → CaO + H2O
となる。
なお、一例として、蓄熱材成形体40の1kg当たりの蓄熱容量は、1.86[MJ/kg]とされている。
また、本実施形態において、蓄熱材成形体40を構成する蓄熱材の粒径とは、蓄熱材が粉体の場合はその平均粒径、粒状の場合は造粒前の粉体の平均粒径とする。これは、粒が崩壊する場合、前工程の状態に戻ると推定されるためである。
また、フレーム部材44は、装置上下方向から見て矩形枠状とされており、蓄熱材ユニット42は、フレーム部材44内に配置されるようになっている。これにより、蓄熱材ユニット42における水平方向(板厚方向に対して直交する直交方向)の動きは、フレーム部材44によって拘束されるようになっている。そして。フレーム部材44の装置上下方向の寸法(厚み寸法)は、水和反応に伴って蓄熱材成形体40が膨張した際の密度が、予め決められた蓄熱材成形体40の設定密度になるように決められている。
さらに、フレーム部材44の装置幅方向に延びる一対の板部材44Aにおいて、装置幅方向の両端側の部分には、後述するボルト110が締め込まれるネジ穴45が、外側を向いて形成されている。
[蓄熱材反応部:蓄熱材拘束層]
蓄熱材拘束層34は、図10に示されるように、反応媒体拡散層36と蓄熱材層32との間に挟まれ、φ200〔μm〕の貫通孔が多数形成されたエッチングフィルターである。
そして、蓄熱材拘束層34は、蓄熱材成形体40(図9参照)を構成する蓄熱材の平均粒径より小さいろ過精度を有している。これにより、蓄熱材拘束層34では、蓄熱材成形体40を構成する蓄熱材の平均粒径より小さい流路を水蒸気が通過するのを許容する一方、平均粒径よりも大きい蓄熱材の通過を制限するようになっている。
なお、ろ過精度とは、ろ過効率が50〜98%となる粒子径のことであり、ろ過効率とは、ある粒子径の粒子に対する除去効率である。
[蓄熱材反応部:反応媒体拡散層]
反応媒体拡散層36は、図7(A)に示されるように、矩形状の天板37と、天板37に固定される複数の流路部材38とを備えている。流路部材38は、水蒸気が流れる装置幅行方向に延び、装置奥行方向に間隔をあけて並んでいる(図7(B)参照)。
夫々の流路部材38は、図7(B)に示されるように、天板37に対して下方側に配置され、装置幅方向から見て蓄熱材拘束層34(図10参照)側が開放されたU字状とされている。そして、上壁38Bが天板37の下面に溶接されている。
これにより、流路部材38の内側、及び隣り合う流路部材38の間に、蓄熱材層32へ供給される水蒸気、又は蓄熱材層32から排出される水蒸気が装置幅方向に沿って流れるようになっている。
〔熱流動部〕
熱流動部50は、図10に示されるように、下方側から蓄熱材反応部30に積層されている。
熱流動部50は、図8(A)(B)に示されるように、装置上下方向から見て矩形状の本体部52を備えている。また、本体部52の内部には、熱媒体が流れる流路54が、本体部52の側壁に沿うように形成されている。そして、流路54の両方の流路端54A、54Bは、本体部52において、装置奥行方向の手前側を向いた側面52Aで開放されている。また、一方の流路端54Aと、他方の流路端54Bとは、装置幅方向に並んでいる。
さらに、蓄熱材反応部30と熱流動部50とを含む積層体60は、直方体状とされ、反応器20には、図4に示されるように、積層体60が、積層体60の積層方向(本実施形態では装置上下方向)に3個積層されている。そして、3個の積層体60によって積層ユニット90が構成されている。
〔熱媒体流路〕
熱媒が流れる熱媒体流路70は、図3、図6に示されるように、反応容器22を構成する蓋部材22Bを貫通するように装置上下方向に延びる一対の配管70A、70Bと、配管70A、70Bと熱流動部50の流路54とを連通させる複数の連通部材70Cとを備えている。
具体的には、連通部材70Cが、間隔をあけて配管70A、70Bに取り付けられている。そして、夫々の連通部材70Cが、図示せぬ固定具を用いて、流路端54A、54Bに取り付けられることで、配管70A、70Bと熱流動部50の流路54とが連通するようになっている。
〔他の部材〕
反応器20は、積層ユニット90を構成する反応媒体拡散層36、蓄熱材拘束層34、及び熱流動部50装置上下方向の位置ずれを拘束する位置ずれ抑制機構100と、積層ユニット90の捻じれを抑制する捻じれ抑制機構140とを備えている。なお、位置ずれ抑制機構100と、捻じれ抑制機構140とについては、詳細を後述する。
図5、図6に示されるように、積層ユニット90を下方から支持する円柱状の4個(図5では2個、図6では3個のみ示す)の支持部材72が設けられている。
(化学蓄熱システムの作用)
次に、化学蓄熱システム10の作用について説明する。
化学蓄熱システム10において反応器20に蓄熱された熱を蓄熱材層32から発熱(放熱)させる際には、図13(B)に示されるように、切替部材76により熱媒体流路70の連通先が熱利用対象物96に切り替えられる。さらに、開閉弁19を開放し、この状態で、蒸発凝縮器12の熱媒流路17に中温媒体を流し、液相部16Bの水を蒸発させる。そして、生成された水蒸気が連通路14内を矢印D方向に移動して、反応容器22内に供給される。
続いて、反応容器22内では、供給された水蒸気が反応媒体流動部26を通り、図11に示されるように、反応媒体拡散層36を流れる。そして、水蒸気Wが蓄熱材拘束層34を通過して蓄熱材層32と接触することにより、蓄熱材層32の蓄熱材成形体40は、水和反応を生じつつ発熱(放熱)する。この熱は、熱流動部50の流路54内を流れる熱媒体によって、熱利用対象物96に輸送される。
一方、化学蓄熱システム10において蓄熱材層32の蓄熱材成形体40に熱を蓄熱させる際には、図13(A)に示されるように、切替部材76により熱媒体流路70の連通先が熱源94に切り替えられる。さらに、開閉弁19を開放し、この状態で、熱流動部50の流路54内(図11参照)に熱源94によって加熱された熱媒体が流れる。
図11に示されるように、流路54を流れる熱媒体の熱によって蓄熱材成形体40が脱水反応を生じ、この熱が蓄熱材成形体40に蓄熱される。
さらに、蓄熱材成形体40から離脱された水蒸気Wは、蓄熱材拘束層34から反応媒体拡散層36に流れ込む。反応媒体拡散層36に流れ込んだ水蒸気Wは、反応媒体流動部26を通り、図13(A)に示されるように、連通路14を矢印E方向に流れて蒸発凝縮器12内に流れ込む。
そして、蒸発凝縮器12の気相部16Aにおいて、熱媒流路17を流れる冷媒によって水蒸気が冷却され、凝縮された水が容器16の液相部16Bに貯留される。
以上説明した蓄熱材成形体40の蓄熱、放熱について、図12に示す化学蓄熱システム10のサイクル(一例)を参照しつつ補足する。図12には、PT線図に示された圧力平衡点における化学蓄熱システム10のサイクルが示されている。この図において、上側の等圧線が脱水(蓄熱)反応を示し、下側の等圧線が水和(発熱)反応を示している。
このサイクルでは、例えば、蓄熱材成形体40の温度が410℃で蓄熱された場合、水蒸気は、50℃が平衡温度となる。そして、化学蓄熱システム10では、水蒸気は蒸発凝縮器12(図13参照)において熱媒流路17の冷媒との熱交換によって50℃以下に冷却され、凝縮されて水になる。
一方、熱媒流路17に中温媒体を流すことで、蒸気圧の水蒸気が発生する。例えば、図12のサイクルにおいて、5℃で水蒸気を発生させる場合、蓄熱材成形体は315℃で放熱することが解る。このように、内部が真空脱気されている化学蓄熱システム10では、5℃付近の低温熱源から熱を汲み上げて、315℃もの高温を得ることができる。
(要部構成)
次に、位置ずれ抑制機構100と、捻じれ抑制機構140とについて説明する。
〔位置ずれ抑制機構〕
位置ずれ抑制機構100は、図3、図4に示されるように、装置上下方向(積層方向)に延びる4個の連結部材の一例としての柱部材102と、積層ユニット90を装置上下方向から挟む一対の挟持プレート106と、ボルト110とを備えている。
夫々の柱部材102は、断面矩形状とされ、積層ユニット90の四隅に配置されている。そして、2個の柱部材102で、積層ユニット90の装置幅方向の一方側(図中左側)の部分が装置奥行方向から挟まれ、他の2個の柱部材102で、積層ユニット90の装置幅方向の他方側(図中右側)の部分が装置奥行方向から挟まれるようになっている。
さらに、夫々の柱部材102には、装置上下方向において間隔をあけて複数の貫通孔102Aが形成されている。
また、一対の挟持プレート106は、装置上下方向から見て、積層ユニット90と同様の外形とされ、矩形状とされている。そして、夫々の挟持プレート106の装置奥行方向を向いた端面106Aにおいて装置幅方向の両端側の部分には、後述するボルト110が締め込まれるネジ穴108が形成されている。また、フレーム部材44の装置幅方向に延びる一対の板部材44Aにおいて、装置幅方向の両端側の部分には、後述するボルト110が締め込まれるネジ穴45が形成されている(図9(B)参照)。
具体的には、ネジ穴108は、挟持プレート106の四隅側に形成され、ネジ穴45は、フレーム部材44の四隅側に形成されている。なお、四隅側とは、上方側から見て、ネジ穴45、108から角部までの距離(図9(B)のL1)が、ネジ穴45、108から蓄熱材層32、挟持プレート106の中央線C1までの距離(図9(B)のL2)より短い場合をいう。なお、図9(B)では、フレーム部材44を例にしてL1、L2が示されている。
この構成において、ボルト110を柱部材102の貫通孔102Aに通してフレーム部材44(蓄熱材層32)のネジ穴45に締め込む。これにより、夫々の蓄熱材層32の間に積層されている各部材について、蓄熱材成形体40が膨張した際に、積層方向の間隔が変化しまうのが抑制されるようになっている。なそ、積層方向の間隔とは、積層方向のピッチであって、一の部材の中央部と、一の部材の隣りに配置されている部材の中央部との距離である。
また、ボルト110を柱部材102の貫通孔102Aに通して挟持プレート106のネジ穴108に締め込む。これにより、最も上方側に配置されている蓄熱材層32と上方側の挟持プレート106との間の反応媒体拡散層36について、蓄熱材成形体40が膨張した際に、積層方向の間隔が変化しまうのが抑制されるようになっている。さらに、最も下方側に配置されている蓄熱材層32と下方側の挟持プレート106との間の熱流動部50について、蓄熱材成形体40が膨張した際に、積層方向の間隔が変化しまうのが抑制されるようになっている。
具体的には、図2に示されるように、夫々の挟持プレート106及び蓄熱材層32のフレーム部材44とは、ボルト110を介して柱部材102に取り付けられている(連結されている)。
さらに、最も上方側に配置されている蓄熱材層32と上方側の挟持プレート106との間に挟まれている反応媒体拡散層36は、下面の外周部分が蓄熱材層32のフレーム部材44と装置上下方向で接触し、上面が挟持プレート106と接触している。このため、蓄熱材成形体40が膨張した際に、反応媒体拡散層36と蓄熱材層32との積層方向の間隔が変化しまうのが抑制されるようになっている。
また、最も上方側に配置されている蓄熱材層32と上方側から二番目に配置されている蓄熱材層32と間に挟まれている熱流動部50及び反応媒体拡散層36は、上面及び下面の外周部分が蓄熱材層32のフレーム部材44と装置上下方向で接触している。このため、蓄熱材成形体40が膨張した際に、各部材の積層方向の間隔が変化しまうのが抑制されるようになっている。
さらに、上方側から二番目に配置されている蓄熱材層32と最も下方側に配置されている蓄熱材層32と間に挟まれている熱流動部50及び反応媒体拡散層36は、上面及び下面の外周部分が蓄熱材層32のフレーム部材44と装置上下方向で接触している。このため、蓄熱材成形体40が膨張した際に、各部材の積層方向の間隔が変化しまうのが抑制されるようになっている。
また、最も下方側に配置されている蓄熱材層32と下方側の挟持プレート106との間に挟まれている熱流動部50は、上面の外周部分が蓄熱材層32のフレーム部材44と装置上下方向で接触し、下面が挟持プレート106と接触している。このため、蓄熱材成形体40が膨張した際に、熱流動部50と蓄熱材層32との積層方向の間隔が変化しまうのが抑制されるようになっている。
さらに、柱部材102は、フレーム部材44の四隅側でフレーム部材44と連結されるようになっている。これにより、柱部材102が、フレーム部材44の中央部分の一箇所だけでフレーム部材44と連結されている場合と比して、蓄熱材成形体40が膨張した際に、各部材の積層方向の間隔が変化しまうのが抑制されるようになっている。
〔捻じれ抑制機構〕
捻じれ抑制機構140は、図1に示されるように、装置上下方向から見て、柱部材102を外側から囲み、柱部材102の相対位置関係の変化を制限する押付部材の一例としての拘束ベルト144を備えている。
拘束ベルト144は、3個設けられている。そして、柱部材102を拘束する前の状態で、図3に示されるように、夫々の拘束ベルト144は、装置奥行方向に分割されている。具体的には、拘束ベルト144は、装置奥行方向の手前側(図中左側)の分割部材144Aと、装置奥行方向の奥側(図中右側)の分割部材144Bとに分割されるようになっている。
分割部材144A、144Bは、装置上下方向から見て、互いに対向する側が開放された形状とされている。そして、分割部材144Aの両端側の部分には、台形状の凸部146が夫々形成され、分割部材144Bの両端側の部分には、凸部146と係合する短辺が開放された台形状の溝部148が夫々形成されている。
この構成において、図1に示されるように、分割部材144Aの凸部146と、分割部材144Bの溝部148とを係合させる。これより、拘束ベルト144は、4個の柱部材102を外側から囲み、夫々の柱部材102を積層ユニット90に押し付けるようになっている。これより、拘束ベルト144は、柱部材102の相対位置関係の変化を制限するようになっている。
(要部構成のまとめ)
前述したように、ボルト110を柱部材102の貫通孔102Aに通してフレーム部材44(蓄熱材層32)のネジ穴45に締め込む。これにより、フレーム部材44が柱部材102に連結されていない場合と比して、蓄熱材成形体40が膨張した際に、蓄熱材層32と蓄熱材層32との間に積層されている各部材の積層方向の間隔が変化しまうのを抑制することができる。
また、蓄熱材層32と蓄熱材層32との間に積層されている各部材において積層方向の間隔が変化しまうのが抑制されることで、蓄熱材反応部30と熱流動部50との間での熱交換効率が低下するのを抑制することができる。
また、ボルト110を柱部材102の貫通孔102Aに通して挟持プレート106のネジ穴108に締め込む。これにより、挟持プレート106が柱部材102に締結されていない場合と比して、挟持プレート106と蓄熱材層32との間の各部材について、蓄熱材成形体40が膨張した際に、積層方向の間隔が変化しまうのを抑制することができる。
また、挟持プレート106と蓄熱材層32との間の各部材について、積層方向の間隔が変化しまうのが抑制されることで、蓄熱材反応部30と熱流動部50との間での熱交換効率が低下するのを抑制することができる。
また、拘束ベルト144が柱部材102を外側から囲むことで、夫々の柱部材102を積層ユニット90に押し付けるようになっている。これより、拘束ベルト144は、蓄熱材成形体40が膨張した際に、柱部材102の相対位置関係の変化を制限することができる。
また、柱部材102の相対位置関係の変化が制限されることで、蓄熱材成形体40が膨張した際に、積層方向(装置上下方向)を軸とした積層ユニット90の捻じれを抑制することができる。
また、積層ユニット90の捻じれが抑制されることで、蓄熱材反応部30と熱流動部50との間での熱交換効率が低下するのを抑制することができる。
また、化学蓄熱システム10においては、各部材の積層方向の間隔が変化しまうのが抑制されることで、熱損失を抑制することができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る化学蓄熱反応器及び化学蓄熱システムの一例について図14を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
図14に示されるように、第2実施形態の反応器160の柱部材102は、積層ユニット90の四隅側でフレーム部材44と連結されておらず、積層ユニット90の装置幅方向の中央側でフレーム部材44と連結されている。
具体的には、反応器160は、一対の柱部材102を備え、一対の柱部材102は、装置奥行方向から積層ユニット90を挟むように配置されている。そして、ボルト110を柱部材102の貫通孔(図示省略)に通してフレーム部材44のネジ穴(図示省略)に締め込むことで、夫々の柱部材102がフレーム部材44に連結されている。換言すれば、柱部材102は、フレーム部材44を装置奥行方向から挟み込むようにフレーム部材44の一方側と他方側とに連結されている。
これにより、柱部材102がフレーム部材44の一方側だけに連結されている場合と比して、蓄熱材成形体40が膨張した際に、蓄熱材層32と蓄熱材層32との間に積層されている各部材の積層方向の間隔が変化しまうのを抑制することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る化学蓄熱反応器及び化学蓄熱システムの一例について図15を用いて説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
図15に示されるように、第3実施形態の反応器190は、積層ユニット90において装置奥行方向の奥側(図中右側)の部分で、積層ユニット90を装置幅方向から挟む2個の柱部材192を備えている。さらに、反応器190は、積層ユニット90において装置奥行方向の手前側(図中左側)の部分で、積層ユニット90を装置幅方向から挟む2個の柱部材192を備えている。
柱部材192には、装置上下方向において間隔をあけて複数の貫通孔(図示省略)が形成されている。また、フレーム部材44(蓄熱材層32)及び一対の挟持プレート106には、柱部材192に形成された貫通孔と対応するようにネジ穴(図示量略)が形成されている。
この構成において、ボルト196を柱部材の192の貫通孔に通してフレーム部材44(蓄熱材層32)のネジ穴に締め込み、さらに、ボルト196を柱部材192の貫通孔に通して挟持プレート106のネジ穴に締め込むようになっている。そして、拘束ベルト144が柱部材102、192を外側から囲むことで、夫々の柱部材102、192を積層ユニット90に押し付けるようになっている。
これにより、フレーム部材44及び挟持プレート106が柱部材192に締結されていない場合と比して、蓄熱材成形体40が膨張した際に、各部材の積層方向の間隔が変化しまうのが抑制される。
他の作用については、第1実施形態と同様である。
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記第1、2、3実施形態では、拘束ベルト144は、3個設けられたが、1個、2個、又は4個以上であってよい。
また、上記実施形態では、柱部材102、202とフレーム部材44及び挟持プレート106とをボルトを用いて連結させたが、例えば、一方に凸状の係合部を形成させ、他方に凹状の被係合部を形成させて、この係合部と被係合部とを係合させることで、柱部材102、202とフレーム部材44及び挟持プレート106とを連結させてもよい。
また、上記実施形態では、挟持プレート106を設けたが、挟持プレートを設けなくてもよい。この場合は、挟持プレート106を設けることで奏する作用が生じない。
また、上記第3実施形態では、柱部材192とフレーム部材44とを連結させたが、柱部材192とフレーム部材44とを連結させなくてもよい。
また、上記実施形態では特に説明しなかったが、第2実施形態の構成、第3実施形態の構成、及び第4実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。
10 化学蓄熱システム
12 蒸発凝縮器
20 反応器(化学蓄熱反応器の一例)
36 反応媒体拡散層
40 蓄熱材成形体
44 フレーム部材(拘束枠の一例)
50 熱流動部(熱交換部の一例)
102 柱部材(連結部材の一例)
106 挟持プレート(挟持部材の一例)
144 拘束ベルト(押付部材の一例)
160 反応器(化学蓄熱反応器の一例)
190 反応器(化学蓄熱反応器の一例)
192 柱部材(連結部材の一例)

Claims (5)

  1. 反応媒体と結合することで膨張し発熱又は反応媒体が脱離して蓄熱する蓄熱材成形体が拘束枠の内部に配置されている複数の蓄熱材層と、
    前記蓄熱材層に積層され、積層方向において前記拘束枠と接触し、前記蓄熱材層へ供給される又は前記蓄熱材層から排出される反応媒体が流れる反応媒体拡散層と、
    前記蓄熱材層において前記反応媒体拡散層とは反対側に積層され、前記積層方向において前記拘束枠と接触し、前記蓄熱材層への熱供給及び前記蓄熱材層からの熱回収のうち少なくとも一方を行う熱交換部と、
    夫々の前記拘束枠と連結されている連結部材と、
    を備える化学蓄熱反応器。
  2. 前記拘束枠は、積層方向から見て矩形状とされ、
    前記連結部材は、前記拘束枠を挟み込むように前記拘束枠の一方側と他方側とに連結されている請求項1に記載の化学蓄熱反応器。
  3. 前記積層方向から見て、前記連結部材を外側から囲み、前記連結部材を蓄熱材層、反応媒体拡散層、及び熱交換部に押し付ける押付部材を備える請求項2に記載の化学蓄熱反応器。
  4. 前記蓄熱材層、前記反応媒体拡散層、及び前記熱交換部を前記積層方向の両端側から挟む一対の挟持部材を備え、
    前記挟持部材は、前記連結部材と連結されている請求項1〜3の何れか1項に記載の化学蓄熱反応器。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の化学蓄熱反応器と、
    前記化学蓄熱反応器の前記反応媒体拡散層への反応媒体の供給及び前記反応媒体拡散層からの反応媒体の受け取りのうち少なくとも一方を行う蒸発凝縮器と、
    を有する化学蓄熱システム。
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